JP5291595B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、走行機体の前部に昇降自在に刈取前処理部を備え、刈取前処理部に備えた刈高検出装置の検出に基づいて刈取前処理部の対地高さを変更させて刈高さ制御を行うように構成してあるコンバインに関する。
特許文献1に示されているように、従来、走行機体の前部に機体横軸心周りに昇降自在に刈取前処理部を備え、刈取前処理部に一対の刈高さを検出する刈高検出装置を備え、刈高検出装置の検出に基づいて刈取前処理部の対地高さを変更させる刈高さ制御を行う制御手段を備えてあるコンバインが知られている。
上記コンバインにおいては、左右の刈高検出装置で得られた2つの刈高さの平均値に基づいて自動刈高さ制御が行われるように構成されていた。このコンバインにおいては刈高さが2つの平均値を基に制御されるので、凹凸の少ない圃場においては所望の刈高さに近い刈高さで植立穀稈を刈り取ることができ、刈り取った穀稈の稈長が揃いやすく好都合に脱穀が行われる利点がある。
特開2006−204197号公報
しかし、一方の刈高検出装置が圃場面の深い凹部を検出すると刈取前処理部が下降し、ある程度下降した状態においてもなお一方の刈高検出装置が深い凹部を検出している場合は更に刈取前処理部が下降するように制御されて刈取前処理部が圃場面に突っ込んでしまう虞がある。
本発明は、複数の刈高検出装置を用いて、一方の刈高検出装置(これが単一か複数かを問わない)により所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知された場合は、検出手段を他方の刈高検出装置(これも単一か複数かを問わない)に切り替えるとともに他方の刈高検出装置に基づく刈高さ制御においては刈取前処理部を下降させないようにして刈取前処理部が圃場面に突っ込むことを回避できるように制御できるコンバインを提供することを目的とする。
〔第1発明の構成〕
第1発明は、走行機体の前部に機体横軸心周りに昇降自在に刈取前処理部を備え、前記刈取前処理部に一対の刈高さを検出する刈高検出装置を備え、前記刈高検出装置の検出結果に基づいて前記刈取前処理部の対地高さを変更させる刈高さ制御を行う制御手段を備えてあるコンバインにおいて、
前記一対の刈高検出装置のうちの一方の刈高検出装置からの検出情報が所定範囲内の情報である場合は、前記一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて前記刈取前処理部を昇降させる刈高さ制御を実行し、
前記一方の刈高検出装置により前記所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知されると、前記一対の刈高検出装置のうちの他方の刈高検出装置による検出情報による刈高さ制御に切り替え、前記他方の刈高検出装置からの検出情報に基づいて前記刈取前処理部が下降制御されることはなく、前記刈取前処理部を上昇させる検出情報が検知されたときのみ前記刈取前処理部の刈取高さを設定高さ以上上昇させる刈高さ制御を実行し、
前記他方の刈高検出装置に基づいて刈高さ制御を実行しているときに前記一方の刈高検出装置による検出情報が前記所定範囲内に戻ったときには、前記一方の刈高検出装置による検出情報に切り替えて前記一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて前記刈取前処理部を昇降させる刈高さ制御を実行するように、前記制御手段を構成してある。
〔第1発明の作用〕
第1発明によると、刈取前処理部の対地高さを変更する刈高さ制御は、通常は一対の刈高検出装置のうち一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて刈取前処理部を昇降させる刈高さ制御を実行する。そして、一方の刈高検出装置で凹部を検出して、見かけ上所定範囲から外れた高刈り状態の検出情報を検知したときには、他方の刈高検出装置による検出情報による刈高さ制御に切り替わる。他方の刈高検出装置に基づく刈高さ制御では、刈取前処理部が下降制御されることはなく、刈取前処理部を上昇させる検出情報に基づいて刈取前処理部を設定高さ以上上昇させる刈高さ制御のみが実行され、他方の刈高検出装置による刈高さ制御が行われているときに、他方の刈高検出装置により圃場の隆起部が検知されて刈取前処理部が圃場に突っ込みそうになると刈取前処理部が上昇制御される。又、他方の刈高検出装置による刈高さ制御が行われているときに、他方の刈高検出装置により何の隆起部も検知されないうちに、一方の刈高検出装置が凹部の検出を脱して、一方の刈高検出装置による検出情報が所定範囲内に戻ったときには、一方の刈高検出装置による検出情報に基づく制御に戻って一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて刈取前処理部を昇降させる刈高さ制御が実行されるようになる。
第1発明によれば、他方の刈高検出装置は圃場の凹部を検知しても刈取前処理部は下降されず、圃場の隆起部を検知したときのみ刈取前処理部が上昇するようにしてあるので、一方及び他方の刈高検出装置が同時に凹部を検出しても刈取前処理部を下降させる制御が行われることがない、又は少ないので、刈取前処理部を圃場に突っ込ませることを良好に回避することができる。
〔第1発明の効果〕
第1発明によると、一方の刈高検出装置が凹部を検出しているときのみ、他方の刈高検出装置の検出情報による刈高さ制御に切り替わり、他方の刈高検出装置の検出情報による刈高さ制御が行われているときに、圃場の隆起部が検知されないときは他方の刈高検出装置による刈高さ制御は行われず、そのうちに一方の刈高検出装置による凹部の検知がなくなると刈高さが維持された状態のまま、他方の刈高検出装置による制御を脱して、一方の刈高検出装置による刈高さ制御に戻り、他方の刈高検出装置の検出情報による刈高さ制御が行われているときに、隆起部が検知されると刈取前処理部は上昇し、又、一方及び他方の刈高検出装置が同時に凹部を検出しても刈取前処理部を下降させる制御が行われることがない、又は少ないので、刈取前処理部が大きく圃場に突っ込むことが回避でき、良好な刈取収穫作業を継続して行うことができるようになった。
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記刈取前処理部を昇降操作するもので人為的に操作される操作具を備え、前記他方の刈高検出装置による検出情報に基づいて前記刈取前処理部が上昇する刈高さ制御が実行されて前記刈取前処理部が設定高さ以上上昇された後、前記刈取前処理部を下降させるときは、前記操作具の操作により前記刈取前処理部を下降させるように、前記制御手段を構成してある。
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、一方の刈高検出装置で凹部が検知されて、他方の刈高検出装置による検出情報に基づいて刈高さ制御が行われているときに、圃場の隆起部を検知すると刈取前処理部が設定高さ以上上昇される。この上昇制御により刈取前処理部が所定範囲より外れた高位置に上昇した場合、この高位置にある刈取前処理部を下降させるときは、操作具を操作して刈取前処理部を下降させる。刈取前処理部が下降して一方の刈高検出装置による検出情報が所定範囲内になると、当該一方の刈高検出装置に基づく刈高さ制御が実行されて、一方の刈高検出装置による刈高さ制御が実行されることになる。
〔第3発明の構成〕
第3発明は、走行機体の前部に機体横軸心周りに昇降自在に刈取前処理部を備え、前記刈取前処理部を昇降操作するもので人為的に操作される操作具を備え、前記刈取前処理部に一対の刈高さを検出する刈高検出装置を備え、前記操作具の操作により前記刈取前処理部が昇降操作され、前記刈高検出装置の検出に基づいて前記刈取前処理部の対地高さを変更させる刈高さ制御を行う制御手段を備えてあるコンバインにおいて、
前記一対の刈高検出装置のいずれの検出情報に基づいても前記刈取前処理部が下降制御されることはなく、前記刈取前処理部を上昇させる検出情報が検知されたときのみ前記刈取前処理部の刈取高さを設定高さ以上上昇させる刈高さ制御が行われ、
前記一対の刈高検出装置のうちの一方の刈高検出装置からの検出情報が所定範囲内の情報である場合は、前記一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて刈高さ制御を実行し、
前記一方の刈高検出装置により所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知されると、前記一対の刈高検出装置のうちの他方の刈高検出装置のみの検出情報により刈高さ制御を実行し、
前記他方の刈高検出装置による検出情報に基づいて前記刈取前処理部が上昇する刈高さ制御が実行されて前記刈取前処理部が設定高さ以上上昇された後、前記刈取前処理部を下降させるときは、前記操作具の操作により前記刈取前処理部を下降させるように、前記制御手段を構成してある。
〔第3発明の作用〕
第3発明によれば、刈取前処理部の対地高さを変更する刈高さ制御は、通常は一対の刈高検出装置のうち一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて刈取前処理部の対地高さを変更する刈高さ制御を実行する。この刈高さ制御は凹部を検知しても刈取前処理部を下降させる下降制御が行われることはなく、一方の刈高検出装置で隆起部を検知し、その検出情報が所定範囲を外れた低刈り状態を検知したときにだけ刈取前処理部を上昇させる刈高さ制御が行われるものである。
一方の刈高検出装置で凹部を検出して、見かけ上所定範囲から外れた高刈り状態の検出情報を検知したときには、他方の刈高検出装置による検出情報による刈高さ制御に切り替わる。他方の刈高検出装置に基づく刈高さ制御でも、刈取前処理部が下降制御されることはなく、刈取前処理部を上昇させる検出情報に基づいて刈取前処理部を設定高さ以上上昇させる刈高さ制御のみが実行され、他方の刈高検出装置による刈高さ制御が行われているときに、圃場の隆起部が検知されて刈取前処理部が圃場に突っ込みそうになると刈取前処理部が上昇制御される。
一方及び他方の刈高検出装置による検出情報に基づいて刈高さ制御を実行して刈取前処理部が設定高さ以上上昇されると、刈取前処理部は高位値に維持したまま刈高さ制御が停止する。高位置にある刈取前処理部を下降させるときは、操作具を操作して刈取前処理部を刈高さを目視しながら所望の刈高さとなったと思われるところで操作具の下降操作を止めて刈取前処理部の下降を停止させ、その刈高さで刈取作業を継続する。
〔第3発明の効果〕
第3発明によれば、一方の刈高検出装置で刈高さ制御が行われているときに、凹部が検出されると、他方の刈高検出装置の検出情報による刈高さ制御に切り替わり、他方の刈高検出装置の検出情報による刈高さ制御が行われているときに、隆起部が検知されると刈取前処理部は上昇するので、刈取前処理部が大きく圃場に突っ込むことが回避でき、高刈りとなったと思われるときは、操作具を操作して刈取前処理部を所望の刈高さとなるように操作具で調整する。これにより良好な刈取収穫作業を継続して行うことができる。
〔第4発明の構成〕
第4発明は、第1発明〜第3発明のうちのいずれか一つの発明において、前記一方の刈高検出装置を前記刈取前処理部に備えられた引起し装置よりも前方に配設し、前記他方の刈高検出装置を前記引起し装置よりも後方で、且つ、前記一方の刈高検出装置に対して左右方向に離れた位置に配設してある。
〔第4発明の作用効果〕
刈高検出装置を刈取前処理部に備えるに当たって、刈取前処理部の後よりも前に設ける方が圃場の凹凸を早く検知して刈取前処理部を上昇させることができるから、刈取前処理部の圃場面への突っ込み防止のためには刈高検出装置を刈取前処理部の前端に近いほうに設ける方が有利である。そして、第4発明によれば、刈高さ制御を行うため主として用いられる一方の刈高検出装置を、引起し装置よりも前側である刈取前処理部の前部に設けてあるので、効果的に刈取前処理部の突っ込みを防止することができる。
又、第4発明によれば、一方の刈高検出装置が、圃場に進行方向に沿う凹部(縦溝)検出しても、又進行方向とは交差する横方向の凹部(横溝)を検出しても他方の刈高検出装置が同時に凹部に差しかかって当該凹部を検出することが回避されるだけでなく、凹部が縦溝、横溝の何れであっても、一方の刈高検出装置が凹部を検出しているときに他方の刈高検出装置で圃場の隆起部を検知することのできる可能性が多くなり、凹部と隆起部が混在している圃場において、一方の刈高検出装置で凹部を検出しているときに他方の刈高検出装置で隆起部を検知して刈取前処理部を上昇させることができ、これによって刈取前処理部を隆起部に突っ込ませることを良好に回避して作業を行うことができる。
〔第5発明の構成〕
第5発明は、第4発明において、前記一方及び他方の刈高検出装置を、それぞれ前記刈取前処理部に備えられた右端及び左端の分草フレームよりも機体左右方向内側に位置し、且つ、左右方向で異なる分草フレームに取り付けてある。
〔第5発明の作用効果〕
一方及び他方の刈高検出装置を、刈取前処理部の左右端に位置する分草フレームに設けた場合は、刈取前処理部が圃場面に対して右又は左に相対的に傾くと、刈取前処理部を上昇させる誤検出が多くなり、不必要に刈取前処理装置を昇降制御又は昇降操作しなければならなくなることが多くなる。
これに対して、第5発明によれば、機体左右方向に中央部に近い位置に一方及び他方の刈高検出装置が配置されることになるので、刈取前処理部の相対的な左右傾斜が生じても一方及び他方の刈高検出装置が誤検出することが少なくなり、良好な刈高さ制御を行うことができるようになった。
コンバインの全体を示す側面図である。 コンバインの全体を示す平面図である。 コンバインの正面図である。 刈取前処理部の分草具、引起し装置、搬送装置の配置を示す平面図である。 センサによる刈高さ制御の制御系統図である。 センサにより刈取前処理部の昇降シリンダを制御する制御装置のブロック図である。 引起し装置よりも前に配設した第1センサを示す側面図である。 引起し装置とこれの前後に備えた第1、第2センサの配設を示す刈取前処理部の概略側面図である。 引起し装置よりも後に第2センサを備えた部分の分草フレームと持上げ可能な引起し装置を示す側面図である。 持上げ可能な引起し装置のロック構造を示す一部横断平面図である。 持上げ可能な引起し装置のロック構造を示す部分背面図である。 持上げ可能な引起し装置のロック構造のロック解除状態での斜視図である。 引起し装置よりも後に配設した第2センサを示す側面図である。 刈高さ制御を示すフローチャートである。 第2の実施の形態の刈高さ制御を示すフローチャートである。
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す平面図である。図3は、本発明の実施の形態に係るコンバインを示す正面図である。これらの図に示すように、本発明の実施の形態に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置11が装備された走行機体を備え、この走行機体の機体フレーム1の前部に前処理部フレーム10が連結されている刈取前処理部8を備え、走行機体の機体フレーム1の後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置2と穀粒タンク3を備えて構成してある。
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なうものであり、詳しくは次の如く構成してある。
走行機体は、機体フレーム1の前端側の右端部に設けたエンジン4が装備された原動部を備え、エンジン4の駆動力によって左右一対のクローラ走行装置11を駆動して自走する。走行機体は、エンジン4の上方に設けた運転座席5aが装備された運転部5を備え、この運転部5に搭乗して運転するよう乗用型になっている。
図1に示すように、左右のクローラ走行装置11は、走行機体の機体フレーム1に連結されたトラックフレーム12、機体フレーム1の前端部に設けたミッションケース6に駆動自在に支持されたクローラ駆動輪体13、トラックフレーム12に走行機体前後方向に並べて設けた接地輪体14、トラックフレーム12の後端部に回転自在に設けたクローラ緊張輪体15、各輪体13,14,15にわたって巻回されたゴム製のクローラベルト16を備えて構成してある。
刈取前処理部8の前処理部フレーム10は、機体フレーム1に機体横軸心Pまわりに昇降自在に連結されている。刈取前処理部8は、前処理部フレーム10のメインフレーム9が昇降シリンダ7によって機体フレーム1に対して上下に揺動操作されることにより、刈取前処理部8の前端部に走行機体横方向に並べて設けてある四つの分草具22〜25が圃場面近くに下降した下降作業状態と、四つの分草具22〜25が圃場面から高く上昇した非作業状態とに昇降する。
運転座席5aの前方の運転部5には、人為操作具としての操作レバー35を備え、この操作レバー35を、前後方向に操作することにより刈取前処理部8を昇降させることができ、左右操作に操作すると操作方向のクローラ走行装置11を減速又は停止させて走行機体を左旋回又は右旋回させることができるようになっている。操作レバー35を前後方向に操作すると、後述する刈高さ制御に優先して、刈取前処理部8を昇降操作することができる。すなわち、刈取前処理部8が上昇位置あるときに操作レバー35を前方に揺動操作すると刈取前処理部8が下降し、刈高さ制御が行われているときに操作レバー35を後方に揺動操作すると刈取前処理部8を上昇させることができる。
刈取前処理部8を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取前処理部8は、植立穀稈を引起すとともに刈取り、刈り取り穀稈を脱穀装置2の脱穀フィードチェーン2aの始端部に供給する。脱穀装置2は、脱穀フィードチェーン2aによって刈取穀稈の株元側を挟持して走行機体後方向きに搬送し、これによって刈取穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒タンク3は、脱穀装置2から搬送された脱穀粒を回収して貯留する。
刈取前処理部8について詳述する。
図1,2に示すように、刈取前処理部8の前処理部フレーム10は、走行機体の機体フレーム1から走行機体前方向きに機体横軸心Pまわりに昇降自在に延出したメインフレーム9、及びこのメインフレーム9の延出端側に走行機体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ配置で連結された四本の走行機体前後向きの分草フレーム17〜20を備えて構成してある。以下、四本の分草フレーム17〜20を個別に呼称する場合は、右側より右端分草フレーム17、右中分草フレーム18、左中分草フレーム19、左端分草フレーム20という。
刈取前処理部8は、四つの分草具22〜25(以下、四つの分草具22〜25を個別に呼称する場合は、右側より右端分草具22、右中分草具23、左中分草具24、左端分草具25という。)を備える他、分草具22〜25の走行機体後方側に走行機体横方向に並べて設けた三つの引起し装置26,27,28を備え、分草フレーム17〜20の基端側に設けた一つのバリカン形の刈取装置29、刈取装置29の上方から脱穀フィードチェーン2aの始端部の前方にわたって設けた搬送装置30を備えて構成してある。
図3,4に示すように、右端分草具22、右中分草具23及び左端分草具25には、それらの先端側から後方に位置する引起し装置26,27,28に向かって延出したガイド杆22a,23a,25aを備えており、このガイド杆22a,23a,25aによって植立穀稈の株元側を後方に位置する引起し装置26,27,28に案内する。
図1、図2、図3に示すように、各引起し装置26,27,28は、前処理部フレーム10に支持された前記引起しケース26a,27a,28aを備え、この引起しケース26a,27a,28aの内部に設けた無端回動形の引起しチェーン31を備えて構成してある。各引起し装置26,27,28の引起しケース26a,27a,28aは、上端側が下端側よりも若干走行機体後方側に位置した傾斜姿勢で支持されている。
引起しチェーン31は、引起しケース26a,27a,28aの内部の上端側に駆動自在に位置する輪体32と、引起しケース26a,27a,28aの内部の下端側に遊転自在に位置する輪体33とにわたって巻回されており、上側の輪体32によって駆動されて引起しケース26a,27a,28aの走行機体横方向での一端側を上昇移動し、引起しケース26a,27a,28aの走行機体横方向での他端側を下降移動する。引起しチェーン31は、これの長手方向に所定間隔で取り付けられた引起し爪34を備えている。各引起し爪34は、引起しチェーン31が引起しケース26a,27a,28aの走行機体横方向での一端側を上昇移動する際、引起し爪34の先端側が引起しケース26a,27a,28aから走行機体横向きに突出した取り付け姿勢となって上昇移動して植立穀稈に引起し作用する。
図4に示すように、搬送装置30は、右外側の引起し装置26の後方で、かつ刈取装置29の上方に搬送始端部が位置し、搬送終端部が脱穀フィードチェーン2aの搬送始端部の前方付近に位置した第一搬送装置30aと、左外側の引起し装置28及び中間の引起し装置27の後方で、かつ刈取装置29の上方に搬送始端部が位置し、搬送終端側が第一搬送装置30aの途中に連なった第二搬送装置30bとを備えて構成してある。
搬送装置30は、右外側の引起し装置26によって引起し処理されるとともに刈取装置29によって刈り取り処理された刈取穀稈を、第一搬送装置30aによって搬送して脱穀フィードチェーン2aに供給する。搬送装置30は、左外側の引起し装置28及び中間の引起し装置27によって引起し処理されるとともに刈取装置29によって刈り取り処理された刈取穀稈を、第二搬送装置30bによって第一搬送装置30aの途中に搬送して、第一搬送装置30aが搬送始端部から搬送してきた刈取穀稈に合流させることにより、脱穀フィードチェーン2aに供給する。
図4〜図6に示すように、前記刈取前処理部8に左右の刈高検出装置36,37(以下、左前方に位置する刈高検出装置36を第1センサ、右後方に位置する刈高検出装置37を第2センサという)を設け、前記第1,第2センサ36,37それぞれの検出部38に連係させた制御手段としての制御装置39に、前記昇降シリンダ7の制御弁40並びに前記運転部5に設けた第1刈高設定器41a及び第2刈高設定器41bを備えた刈高設定手段41を連係させてある。
図7に示すように、第1,第2センサ36,37のうち、左中分草フレーム19に取り付けた第1センサ36は、引起し装置27,28よりも前方で、左中分草具24の背面近傍に位置する部位において、左中分草フレーム19を上方に屈曲させた湾曲フレーム部分19aの下方空間S1に配設する状態で取付けた接地センサ本体42及びこの接地センサ本体42に連動している検出部38などを備えて成り、接地センサ本体42が地面上に接地作用することによって刈取前処理部8の対地高さを検出し、この検出情報を検出部38によって電気信号にして制御装置39に出力するようになっている。
第1センサ36は次のように構成されている。左中分草具24の取付ブラケット24aの後部にピン支持ボス71を支持し、このピン支持ボス71に、支持体70から前方に突出させた回動ピン(図示せず)を回動自在に保持してある。支持体70には、ギヤケース74と検出部38及び接地センサ本体42が取り付けられている。
支持ボス部71に巻きばね72が保持され、巻きばね72の両端部72a,72aどうしの間に、支持体70に固定された揺動ピン73と分草具24の取付ブラケット24bが位置するように構成されている。巻きばね72の両端部72a,72aで取付ブラケット24bの両側を挟持する状態で揺動ピン73が中央に位置するようにばね付勢されている。これにより第1センサ36を回動ピン(図示せず)の前後軸心Q周りに左右に揺動可能に中央に付勢された状態に保持している。
接地センサ本体42は、前端側に取付け片42aを備えるとともに機体下方向きに突出した接地作用部42bを備えるように曲げ成形した帯板ばねで構成してある。取付け片42aを、ギヤケース74の機体横向きの入力軸75に一体回動自在に連結してある。これにより、接地センサ本体42は、横向きの軸心Rのまわりで支持体70に対して揺動するようになっている。これにより、接地センサ本体42の接地作用部42bは、左右及び上下に揺動可能な状態で圃場面の凹凸形状に追従できるようになっている。
図8に示すように、前記メインフレーム9の上端の基端部から、山形に屈曲されたパイプ製の支持アーム43が前方に向けて延出され、この支持アーム43の前端に横長の支持フレーム44が連結されている。
図9に示すように、引起し駆動ケース45の上端部に横向きの六角軸からなるカウンタ軸46が貫通支持されている。カウンタ軸46は筒状のメインフレーム9及び引起し駆動伝動ケース47に内蔵された伝動機構(図示せず)によって駆動され、カウンタ軸46によって動力が横方向に分配され、引起し駆動ケース45内を伝動機構(図示せず)を介して3個の引起し装置26,27,28に伝動される。
引起し装置27の背部における穀稈搬送経路での詰まり除去作業や搬送手段の点検整備作業を容易にするために、中間の引起し装置27をカウンタ軸46の左右横軸心x周りに前方上方に向けて持ち上げて、刈取前処理部8の前方を開放することができるよう構成されている。
右中分草フレーム18における中央の引起し装置27の下部部分の後方近くに位置する右中分草フレーム18の部分が上方に湾曲して、湾曲フレーム部分18aが構成されており、湾曲フレーム部分18aに下部支持杆48を、この湾曲フレーム部分18aから前方上方に斜めに突出しかつ後部側が湾曲フレーム部分18aに沿った状態で固設している。下部支持杆48の前端部に取り付けた固定部50と支持フレーム44に亘って支持杆51が固定されており、この支持杆51と引起し駆動ケース45とに亘ってガススプリング52が架設されている。
中間の引起し装置27の下部は、右中分草フレーム18に取り付けた前記下部支持杆48の前端の固定部50との間に設けた固定手段としてのロック装置53により、固定部50側に固定及び固定解除自在に構成されている。
図10〜図12に示すように、固定部50は、下部支持杆48の前端にL型部材54を固定し、このL型部材54に添え板55を介して前記支持杆51を固定してある。L型部材54には前方に向けて2個のテーパピン56,56を左右に並んだ状態で突設するとともに、ナット嵌合用の孔57を形成してある。支持杆51の下端部と添え板55に亘って締付け具58の取付ブラケット59が固定されている。締付け具58は操作フック60と操作フック60を操作するレバー61とを備えている。中間の引起し装置27の背面の下部には、テーパピン56を嵌合させるピン孔62と、締付け具58の操作フック60を係合させる固定フック63を備えたブラケット64を、中間の引起し装置27の背面の下部に固定した取付け台65に2個のボルトナット66で固定してある。
中間の引起し装置27を右中分草フレーム18に固定する場合において、引起し装置27を後方に移動させると、前記ピン孔62がテーパピン56に位置決め案内されながら嵌合し、ボルトナット66が孔57に嵌合してブラケット64がL型部材54の前面に接当する。この状態で締付け具58の操作フック60を固定フック63に係合させてレバー61を操作すると引起し装置27が右中分草フレーム18に対して固定される。
引起し装置27の後方の搬送装置30に詰まりが生じたり、保守点検するときは、締付け具58のレバー61を操作して操作フック60の固定フック63との係合を外して、引起し装置27の下部を手で持ち上げる。
図9に示す引起し装置27の取付け姿勢では、ガススプリング52は、引起し装置27を閉じ勝手(図9の半時計方向)に付勢しているが、引起し装置27を取付け姿勢から少し持ち上げて、ガススプリング52の上部支点y1が下部支点y2と引起し装置27の左右横軸心xとを結ぶ直線(デッドポイント)を越えると、ガススプリング52の伸長付勢力が加わって引起し装置27を軽く持ち上がる。引起し装置27は図9の二点鎖線で示すガススプリング52の最大ストロークの位置まで上昇すると、ガススプリング52の伸長付勢力でその位置で位置保持される。
図8、図9、図13に示すように、第1,第2センサ36,37のうちの第2センサ37は、前記複数本の分草フレーム17〜20のうち、右端分草フレーム17に隣接する右中分草フレーム18であって、引起し装置27よりも後側に配設されている。第2センサ37は、中間の引起し装置27の後側近くにおいて、右中分草フレーム18を上方に屈曲させた湾曲フレーム部分18aの下方空間S2に配設されている。第2センサ37は、接地センサ本体42や検出部38等を備え、接地センサ本体42が地面上に接地作用することによって刈取前処理部8の対地高さを検出し、この検出情報を検出部38によって電気信号にして制御装置39に出力するようになっている。
図13に示すように、第2センサ37は次のように構成されている。中間の引起し装置27の下部直後の位置から右中分草フレーム18を上方に屈曲させた前方下り傾斜している湾曲フレーム部分27aに取付ブラケット76を固定して、この取付ブラケット76の後部に、第2センサ37が第1センサ36と同じように取り付けられている。即ち、前記取付ブラケット76の後部にピン支持ボス71を支持し、このピン支持ボス71に、支持体70から前方に突出させた回動ピン(図示せず)を回動自在に保持してある。支持体70には、ギヤケース74と検出部38及び接地センサ本体42が取り付けられている。
支持ボス部71に巻きばね72が保持され、巻きばね72の両端部72a,72aどうしの間に、支持体70に固定された揺動ピン73と取付ブラケット76が位置するように構成されている。巻きばね72の両端部72a,72aで取付ブラケット76の両側を挟持する状態で揺動ピン73が中央に位置するようにばね付勢されている。これにより第2センサ37を回動ピン(図示せず)の前後軸心Q周りに左右に揺動可能に中央に付勢された状態に保持している。
接地センサ本体42は、前端側に取付け片42aを備えるとともに機体下方向きに突出した接地作用部42bを備えるように曲げ成形した帯板ばねで構成してある。取付け片42aを、ギヤケース74の機体横向きの入力軸75に一体回動自在に連結してある。これにより、接地センサ本体42は、横向きの軸心Rのまわりで支持体70対して揺動するようになっている。これにより、接地センサ本体42の接地作用部42bは、左右及び上下に揺動可能な状態で圃場面の凹凸形状に追従できるようになっている。
刈高設定手段41は、ダイヤル式で第1刈高設定器41aと第2刈高設定器41bとを備え、刈高設定手段41が人為的にダイヤル操作されると第1、第2刈高設定器41a,41bが同時に設定される。第1刈高設定器41aによって設定される第1設定値(不感帯設定)は第1センサ36の検出情報と比較され、第2刈高設定器41bによって設定される第2設定値(上昇設定値)は第2センサ37の検出情報と比較され、これらの比較情報に基づいて、所望の切り株高さを維持するように刈高さ制御が行われる。
以下のように、通常は、第1センサ36の検出情報と第1刈高設定器41aの第1設定値との比較に基づいて刈取前処理部8が昇降制御される。又、第2刈高設定器41bの第2設定値は、刈取前処理部8が圃場面に突っ込まないように対地的に低い位置となる値に設定され、第2センサ37の検出情報と第2刈高設定器41bの第2設定値とが比較され、第1センサ36が凹部に填まり込んだときに、第1センサ36の検出情報による下降制御を行わないで、第2センサ37による検出情報と第2刈高設定器41bの第2設定値との比較により、第2センサ37による検出情報が第2刈高設定器41bによる設定高さ(第2設定値)より低くなったことを検知したときに、刈取前処理部8が優先的に上昇するように構成されている。
すなわち、図14に示すように、第1センサ36による検出結果を制御装置39に入力し、この検出結果が第1刈高設定器41aによる第1設定値(設定対地高さ)に基づいて設定した不感帯に入っているか否かを判断し(ステップ#1)、検出結果が不感帯から外れていると判定された場合(ステップ#1のNo)は、不感帯から高刈り側と低刈り側のいずれに外れているかを判断する(ステップ#2)。ステップ#2で低刈り側に外れていると判定されると(ステップ#2のYes)、制御弁40に操作信号を出力して昇降シリンダ7を伸長側に駆動操作することによって刈取前処理部8の上昇制御が行われる(ステップ#3の上昇制御I)。ステップ#2で高刈り側に外れていると判定された場合(ステップ#2のNo)は、第1センサ36による検出情報が最下端位置まで達した第3設定値(第1センサ36の接地センサ本体42が圃場面から浮上する状態を示す設定値)かどうかを判断し(ステップ#4)、第1センサ36による検出情報が前記不感帯から大きく離れていない許容できる範囲にあると判定されると(ステップ#4のNo)、制御弁40に操作信号を出力して昇降シリンダ7を短縮側に駆動操作することによって刈取前処理部8を下降させる下降制御が行われる(ステップ#5)(第1センサ36の検出情報において、第3設定値(下限)よりも上側の範囲が所定範囲に相当する)。
第1センサ36が凹部に填まり込んで、第1センサ36が第3設定値(第1センサ36の接地センサ本体42が圃場面から浮上する状態を示す設定値)に達していると判定されると(ステップ#4のYes)、第1センサ36に基づく昇降制御から第2センサ37に基づく制御に切り換わる(ステップ#6)。
ステップ#6において第2センサ37の検出情報が第2刈高設定器41bの第2設定値(刈取前処理部8が圃場に突っ込む状態に近い状態の設定値)より低い低刈側にあるかどうかを判断し、第2センサ37の検出情報が第2刈高設定器41bの第2設定値より低い低刈側にあると判定されると(ステップ#6のYes)、刈取前処理部8を予め設定された所定高さだけ上昇させる上昇制御を行う(ステップ#7の上昇制御II)。ステップ#
7で刈取前処理部8を所定高さ上昇させた後、ステップ#6に戻って、再度第2センサ37の検出情報が第2設定値より低い低刈側にあるかどうかを判断し、第2センサ37の検出情報が第2設定値より低い低刈側にあると判定されると(ステップ#6のYes)、再度刈取前処理部8を所定高さ上昇させる上昇制御を繰り返す。
ステップ#6において第2センサ37の検出情報が第2設定値より高くなったと判定されると(ステップ#6のNo)、ステップ#6,#7から最初に戻る。刈高さ制御が最初に戻った状態で、第1センサ36の接地センサ本体42が凹部から脱して第3設定値より上方に持ち上がった接地状態になると、第2センサ37による上昇制御IIが行われるこ
とはなく、第1センサ36によるステップ#1〜#5の通常の昇降制御が行われる。
ステップ#6,#7による上昇制御で刈取前処理部8の上昇量が大きくなった状態で制御が最初に戻った場合は、第1センサ36の接地センサ本体42が凹部から脱している状態で、第1センサ36が圃場面から浮上していると、刈取前処理装置8は上昇した状態が維持され(ステップ#1,#2,#4,#6が繰り返される状態)、これを下降させるときは、運転者が操作レバー35を操作して刈取前処理部8を第1センサ36が圃場面に接地する位置まで下降させる。これにより第1センサ36による自動の刈高さ制御の状態に戻すことができる。
要するに、第1実施の形態においては、刈取前処理部8を作業開始時などの高位置から下降させるときには操作レバー35による下降操作により刈取前処理部8が下降し、第1センサ36から所定範囲内の検出情報が検知されると、第1センサ36に基づく刈高さ制御が実行される。そして、第1センサ36からの検出情報が所定範囲内の情報である場合は、第1センサ36のみの検出情報に基づいて刈取前処理部8を昇降させる刈高さ制御を実行し、第1センサ36により所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知されると、第2センサ37による検出情報による刈高さ制御に切り替え、第2センサ37からの検出情報に基づいて刈取前処理部8が下降制御されることはなく、刈取前処理部8を上昇させる検出情報が検知されたときのみ刈取前処理部8の刈取高さを設定高さになるまで上昇させる刈高さ制御を実行し、第2センサ37に基づいて刈高さ制御を実行しているときに第1センサ36による検出情報が前記所定範囲内に戻ったときには、第1センサ36による検出情報に切り替えて第1センサ36のみの検出情報に基づいて刈取前処理部8を昇降させる刈高さ制御を実行する。
第2センサ37による検出情報に基づいて刈取前処理部8が上昇する刈高さ制御が実行されて刈取前処理部8が設定高さまで上昇された後、刈取前処理部8を下降させるときは、操作レバー35の操作により刈取前処理部8を下降させる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、第1センサ36及び第1刈高設定器41aの構成と刈高さ制御について第1の実施の形態と異なり、第1の実施の形態と異なる点について説明する。
第2の実施の形態の第1刈高設定器41aの第1設定値は、第2刈高設定器41bの第2設定値よりも刈取前処理部8が対地的に高い位置に対応する値で、第1センサ36の検出情報が第1刈高設定器41aの第1設定値よりも対地的に低い低刈状態となったときにのみ刈取前処理部8を上昇させるために設定された設定値である。
これにより、第2の実施の形態の刈高さ制御は次のように行われる。
すなわち、図15に示すように、第1センサ36による検出結果を制御装置39に入力し、この検出結果が第1刈高設定器41aによる第1設定値よりも低刈側に外れているかどうかを判断し(ステップ#11)、刈取前処理部8が第1設定値よりも低刈側に達していると判定されると(ステップ#11のYes)、制御弁40に操作信号を出力して昇降シリンダ7を伸長側に作動させて刈取前処理部8の上昇作動が行われる(ステップ#13の上昇制御I)。ステップ#11で刈取前処理部8が第1設定値よりも高く低刈側に達し
ていないと判定されると(ステップ#11のNo)、更に第1センサ36による検出情報が、接地センサ本体36が凹部に填まり込んで垂れ下がった状態となって第3設定値(第1センサ36の接地センサ本体42が下限まで垂れ下がった状態に対応する設定値)に対応する値になったかどうかを判定し(ステップ#12)、第1センサ36の接地センサ本体36が下限の状態(第1センサ36の検出情報が第3設定値に対応する値)になっていないと判定されると(ステップ#12のNo)、刈取前処理部8の制御弁40に対する操作信号は出力されず、昇降シリンダ7は伸縮作動されない。即ち、刈取前処理部8は停止状態にある(第1センサ36の検出情報において、第3設定値(下限)よりも上側の範囲が所定範囲に相当する)。
ステップ#12において、第1センサ36が凹部に填まり込んで、第1センサ36が下限位置となって第3設定値(第1センサ36の接地センサ本体42が下限まで垂れ下がった状態に対応する設定値)に達していると判定されると(ステップ#12のYes)、第1センサ36による制御から第2センサ37による制御に切り換わる(ステップ#14)。
ステップ#14において第2センサ37の検出情報が第2刈高設定器41bの第2設定値(刈取前処理部8が圃場に突っ込む状態に近い状態の設定値)より低い低刈側にあるかどうかを判断し、第2センサ37の検出情報が第2刈高設定器41bの第2設定値よりも低い低刈側にあると判定されると(ステップ#14のYes)、刈取前処理部8を予め設定された所定高さ分だけ上昇させる上昇制御を行う(ステップ#15の上昇制御II)。
ステップ#15で刈取前処理部8を所定高さ分上昇させた後、ステップ#14に戻って、再度第2センサ37の検出情報が第2設定値よりも低い低刈側にあるかどうかを判断し、第2センサ37の検出情報が第2設定値よりも低い低刈側にあると判定されると(ステップ#14のYes)、再度刈取前処理部8を所定高さ分だけ上昇させる上昇制御を繰り返す。
ステップ#14において第2センサ37の検出情報が第2設定値より高くなったと判定されると(ステップ#16のNo)、ステップ#14,#15から最初に戻る。刈高さ制御が最初に戻った状態で、第1センサ36の接地センサ本体42が凹部から脱して第3設定値より上方に持ち上がった接地状態になると第2センサ37による上昇制御IIが行わ
れることはなく、第1センサ36によるステップ#11〜#13の通常の制御が行われる。
ステップ#14,#15による上昇制御で刈取前処理部8の上昇量が大きくなった状態で制御が最初に戻った場合は、第1センサ36の接地センサ本体42が凹部から脱している状態で、第1センサ36が圃場面から浮上していると、刈取前処理装置8は上昇した状態が維持され、これを下降させるときは、運転者が操作レバー35を操作して刈取前処理部8を第1センサ36が圃場面に接地する位置まで下降させる。これにより第1センサ36による刈高さ制御の状態に戻すことができる。
要するに、第2実施の形態においては、第1、第2センサ36,37のいずれの検出情報によるものであっても刈取前処理部8が下降制御されることはなく、刈取前処理部8を上昇させる検出情報が検知されたときのみ刈取前処理部8の刈取高さを設定高さ以上上昇させる刈高さ制御が行われるように構成してある。
第1センサ36からの検出情報が所定範囲内の情報である場合は、第1センサ36のみの検出情報に基づいて刈取前処理部8を上昇させる刈高さ制御が実行され、第1センサ36により所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知されると、第2センサ37による検出情報により刈高さ制御が行われるとともに、第2センサ37により刈取前処理部8を上昇させる検出情報が検知されたときのみ刈取前処理部8の刈取高さを設定高さ以上上昇させる刈高さ制御が実行される。
第2センサ37による検出情報に基づいて刈取前処理部8が上昇する刈高さ制御が実行された後、刈取前処理部8を下降させるときは、操作レバー35の操作により刈取前処理部8を下降させる。
〔別実施の形態〕
(1)第1,第2の実施の形態では、第1センサ36を引起し装置27の下部位置よりも前方に、第2センサ37を引起し装置27の下部位置よりも後方に配設したが、第1、第2センサ36,37を共に、引起し装置27の前方位置において横一列(同じ前後位置)に設けてもよい。この場合、第1、第2センサ36,37が凹部に落ち込むと第2センサ37も凹部に落ち込むことになるが、刈高さ制御が第1センサ36から第2センサ37に制御が切り替わって第2センサ37が高刈り状態を検出しても刈取前処理部8は下降制御されることはない。
(2)第1,第2実施の形態では、引起し装置27の後側に配置した第2センサ37により高刈り状態を検知したときは、刈高さを所定量だけ上昇させることを繰り返して、刈取前処理部8の刈高さを設定高さ以上上昇させているが、第2センサ37による検出情報による刈高さが第2刈高設定器41bによる第2設定値に対応する刈高さ一致、又はこれより高くなったときに刈取前処理部8の上昇作動を停止するように、設定高さが変更されるように構成してもよい。
(3)引起し装置26〜28よりも前方に位置する1個又は2個以上の分草フレーム17〜20に複数の第1センサ36を配置し、引起し装置26〜28の下部後方に位置する1個又は2個以上の分草フレーム17〜20に複数の第2センサ37を配設してもよい。
(4)上記実施の形態では、接地式の第1,第2センサ36,37を採用して実施したが、超音波を利用して対地高さを検出するなど、非接触式のセンサ(超音波センサ)を刈高検出装置として採用して実施してもよい。
この場合、前方に配置した超音波センサによる刈高さが所定範囲より外れて大きくなった場合には、後方の超音波センサに切り替えて後方の超音波センサのみによる刈高さ制御を行うようにすればよい。
(5)図14のステップ#4及び図15のステップ#12において、第3設定値を接地センサ本体36の下限ではなく、下限よりも少し上側に設定してもよい。また、第3設定値及び所定範囲を任意に変更できるように構成してもよい。
本発明は、引起し装置を2個以上設けたコンバインに適用できる。
8 刈取前処理部
17 分草フレーム(右端分草フレーム)
18 分草フレーム(右中分草フレーム)
19 分草フレーム(左中分草フレーム)
20 分草フレーム(左端分草フレーム)
35 操作具
36 一方の刈高検出装置(第1センサ)
37 他方の刈高検出装置(第2センサ)
39 制御手段(制御装置)
P 機体横軸心

Claims (5)

  1. 走行機体の前部に機体横軸心周りに昇降自在に刈取前処理部を備え、前記刈取前処理部に一対の刈高さを検出する刈高検出装置を備え、前記刈高検出装置の検出結果に基づいて前記刈取前処理部の対地高さを変更させる刈高さ制御を行う制御手段を備えてあるコンバインにおいて、
    前記一対の刈高検出装置のうちの一方の刈高検出装置からの検出情報が所定範囲内の情報である場合は、前記一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて前記刈取前処理部を昇降させる刈高さ制御を実行し、
    前記一方の刈高検出装置により前記所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知されると、前記一対の刈高検出装置のうちの他方の刈高検出装置による検出情報による刈高さ制御に切り替え、前記他方の刈高検出装置からの検出情報に基づいて前記刈取前処理部が下降制御されることはなく、前記刈取前処理部を上昇させる検出情報が検知されたときのみ前記刈取前処理部の刈取高さを設定高さ以上上昇させる刈高さ制御を実行し、
    前記他方の刈高検出装置に基づいて刈高さ制御を実行しているときに前記一方の刈高検出装置による検出情報が前記所定範囲内に戻ったときには、前記一方の刈高検出装置による検出情報に切り替えて前記一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて前記刈取前処理部を昇降させる刈高さ制御を実行するように、前記制御手段を構成してあるコンバイン。
  2. 前記刈取前処理部を昇降操作するもので人為的に操作される操作具を備え、前記他方の刈高検出装置による検出情報に基づいて前記刈取前処理部が上昇する刈高さ制御が実行されて前記刈取前処理部が設定高さ以上上昇された後、前記刈取前処理部を下降させるときは、前記操作具の操作により前記刈取前処理部を下降させるように、前記制御手段を構成してある請求項1記載のコンバイン。
  3. 走行機体の前部に機体横軸心周りに昇降自在に刈取前処理部を備え、前記刈取前処理部を昇降操作するもので人為的に操作される操作具を備え、前記刈取前処理部に一対の刈高さを検出する刈高検出装置を備え、前記操作具の操作により前記刈取前処理部が昇降操作され、前記刈高検出装置の検出に基づいて前記刈取前処理部の対地高さを変更させる刈高さ制御を行う制御手段を備えてあるコンバインにおいて、
    前記一対の刈高検出装置のいずれの検出情報に基づいても前記刈取前処理部が下降制御されることはなく、前記刈取前処理部を上昇させる検出情報が検知されたときのみ前記刈取前処理部の刈取高さを設定高さ以上上昇させる刈高さ制御が行われ、
    前記一対の刈高検出装置のうちの一方の刈高検出装置からの検出情報が所定範囲内の情報である場合は、前記一方の刈高検出装置のみの検出情報に基づいて刈高さ制御を実行し、
    前記一方の刈高検出装置により所定範囲から外れた高刈りの検出情報が検知されると、前記一対の刈高検出装置のうちの他方の刈高検出装置のみの検出情報により刈高さ制御を実行し、
    前記他方の刈高検出装置による検出情報に基づいて前記刈取前処理部が上昇する刈高さ制御が実行されて前記刈取前処理部が設定高さ以上上昇された後、前記刈取前処理部を下降させるときは、前記操作具の操作により前記刈取前処理部を下降させるように、前記制御手段を構成してあるコンバイン。
  4. 前記一方の刈高検出装置を前記刈取前処理部に備えられた引起し装置よりも前方に配設し、前記他方の刈高検出装置を前記引起し装置よりも後方で、且つ、前記一方の刈高検出装置に対して左右方向に離れた位置に配設してある請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバイン。
  5. 前記一方及び他方の刈高検出装置を、それぞれ前記刈取前処理部に備えられた右端及び左端の分草フレームよりも機体左右方向内側に位置し、且つ、左右方向で異なる分草フレームに取り付けてある請求項4記載のコンバイン。
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