本発明の一実施形態に係る製袋包装機3を搭載した組合せ計量システム10について、図1〜図16を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明において用いる「上流側」、「下流側」とは、フィルムFが搬送される方向を基準にした方向を意味するものとする。
<組合せ計量システム10全体の構成>
本実施形態に係る組合せ計量システム10は、図1に示すように、被包装物となる菓子等の商品C(図2参照)の計量を行い、計量済みの商品Cをフィルムで覆って、角筒状としたフィルムを縦横にシールして商品Cを袋詰めする装置であって、主として、組合せ計量機2と、製袋包装機3とから成る。
商品Cは、製袋包装機3の上方に設けられた組合せ計量機2において、所定の重量ずつ計量されて各ホッパ内において貯留されており、回数計量によって所定の合計重量になるように排出される。
組合せ計量機2は、図1に示すように、後述する製袋包装機3の上部に配置されており、商品Cについて計量ホッパにおいて所定重量ずつ計量した後、これらの計量値を所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出して所定の合計重量の商品Cとする回数計量を行う。
製袋包装機3は、組合せ計量機2における回数計量の結果、所定の合計重量分が排出された商品Cについて、連続的に搬送されるフィルムFを用いて袋詰めする装置である。なお、この製袋包装機3について、以下に詳述する。
<製袋包装機3の構成>
製袋包装機3は、図1に示すように、製袋包装ユニット5と、この製袋包装ユニット5に対して袋となるフィルムFを供給するフィルム供給ユニット6と、を含むように構成されている。
フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5の成形機構13(図2参照)に対してシート状のフィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。
製袋包装ユニット5は、図2に示すように、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルムF(以下、角筒状フィルムFmという。)を連続的に搬送するプルダウンベルト機構14と、角筒状フィルムFmの重なり部分を縦にシールする縦シール機構15と、角筒状フィルムFmを横にシールすることで袋Bの上下の端部を封止する横シール機構17と、ガセット形成機構18と、制御部40とを備えている。
成形機構13は、チューブ13bと、フォーマ13aとを有している。チューブ13bは、角筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ13bの上端の開口部には、組合せ計量機2で計量された商品Cが投入される。フォーマ13aは、チューブ13bを取り囲むように配置されている。このフォーマ13aの形状は、フィルムロールから繰り出されてきたシート状のフィルムFがフォーマ13aとチューブ13bとの間を通るときに角筒状に成形されるような形状となっている(図2参照)。また、成形機構13のチューブ13bやフォーマ13aは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。チューブ13bの下端の四隅から下方に向けて、4つの薄板部材13cが延びている。これらの薄板部材13cは、後述する折り込み部材18a,18bが角筒状フィルムFmに押し当たる高さ位置においては、チューブ13bの下端の四隅よりも平面的に内側に位置している。そして、これらの薄板部材13cは、図5Aに示すように、折り込み部材18a,18bによるガセット形成動作において、角筒状フィルムFmの両側部の四隅部分が必要以上に内側に入り込まないようにサポートする。
プルダウンベルト機構14は、図2に示すように、チューブ13bに巻き付いた角筒状フィルムFmを吸着して下方に連続搬送する機構であって、チューブ13bを挟んで左右両側にそれぞれベルト14cが設けられている。プルダウンベルト機構14では、吸着機能を有するベルト14cを駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって回して角筒状フィルムFmを下方に運ぶ。なお、図2においては、駆動ローラ14a等を回転させるローラ駆動モータの図示を省略している。
縦シール機構15は、チューブ13bに巻き付いた角筒状フィルムFmの重なり部分を、一定の圧力でチューブ13bに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、チューブ13bの正面側に位置しており、ヒータや、そのヒータにより加熱され角筒状フィルムFmの重なり部分に接触するヒータベルトを有している。また、縦シール機構15は、図示しないが、ヒータベルトをチューブ13bに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置も備えている。
ガセット形成機構18は、図3に示すように、プルダウンベルト機構14と横シール機構17との間に配置されており、角筒状フィルムFmを挟み込むように左右に配置された一対の折り込み部材18a,18bを用いて袋Bとなる角筒状フィルムFmの側面部分にガセット(折り込み部分)G(図5A,図5B参照)を形成する。なお、このガセット形成機構18については、後段にて詳述する。
横シール機構17は、成形機構13、プルダウンベルト機構14、縦シール機構15およびガセット形成機構18の下方に配置されている。この横シール機構17についても、後段にて詳述する。
制御部40は、組合せ計量機2の制御および製袋包装機3の制御を行うものであって、CPU、ROM、RAMなどから構成されている。制御部40は、図1および図15に示す操作スイッチ類7やタッチパネル式ディスプレイ8から入力された操作および設定に従って、フィルム供給ユニット6においてフィルムローラ6bを回転させてフィルムFを繰り出させる送出モータ6a(図15参照)や、製袋包装ユニット5の各機構の駆動部分を制御する。また、制御部40は、組合せ計量機2および製袋包装機3に設置されている各種センサから必要な情報を取り込み、その情報を各種制御において利用する。
<ガセット形成機構18の詳細構成>
ガセット形成機構18は、図3および図4に示すように、折り込み部材18a,18bと、ステッピングモータ18cとを備えている。
折り込み部材18a,18bは、図2および図3に示すように、薄肉の板状部材である。折り込み部材18a,18bは、図4および図5Bに示すように、円形の軌道に沿って移動しながら、角筒状フィルムFmの縦シール部分B1を中心として左右の側面を挟み込むようにして、角筒状フィルムFmの一部に当接する。このとき、角筒状フィルムFmの一部には、図5Aおよび図5Bに示すように、内側へと折り込まれた部分(ガセットG)が形成される。また、折り込み部材18a,18bは、旋回速度を変えながら円軌道に沿って回るように、後述する制御部40の指令に従うステッピングモータ18cによって駆動される。
<横シール機構17の詳細構成>
横シール機構17は、図8および図9に示すように、主として、左右のシールジョー移動ユニット50a,50bから構成される。これらのシールジョー移動ユニット50a,50bは、それぞれ、2組の一対のシールジョー51,52をD字状(図8の2点鎖線で示すシールジョー51,52の軌跡を参照)に旋回させながら、角筒状フィルムFmを横シールするときに両ユニット50a,50bの一対のシールジョー51,51又はシールジョー52,52を押しつけ合わせるためのユニットである。以下、図8および図9において、角筒状フィルムFmの左側に位置する方を第1シールジョー移動ユニット50a、右側に位置する方を第2シールジョー移動ユニット50bと呼ぶこととする。なお、角筒状フィルムFmは、両シールジョー移動ユニット50a,50bを区切る面C0に沿って、面C0が角筒状フィルムFmの幅方向中心となるような状態で下方に搬送される。
シールジョー移動ユニット50a,50bは、ともにシールジョー51,52を有しているが、シールジョー51の駆動モータとシールジョー52の駆動モータとは異なっている。シールジョー51は、駆動モータ91によって軸C1,C2を中心に回転する。すなわち、第1シールジョー移動ユニット50aのシールジョー51は軸C1を中心として、第2シールジョー移動ユニット50bのシールジョー51は軸C2を中心として回転する。一方、シールジョー52は、駆動モータ92によって軸C1,C2を中心に回転する。すなわち、第1シールジョー移動ユニット50aのシールジョー52は軸C1を中心として、第2シールジョー移動ユニット50bのシールジョー52は軸C2を中心として回転する。
駆動モータ91の回転により、ギア91b,91cが回転し、シュミットカップリング98を介してシールジョー移動ユニット50a,50bの旋回中心C1,C2と同軸の旋回軸94,96に回転が伝わる。そして、旋回軸94にはレバー91dの一端が、旋回軸96にはレバー91fの一端が固定されているため、各レバー91d,91fが旋回中心C1,C2の周りを回転することになる。
一方、駆動モータ92の回転により、ギア92b,92cが回転し、シュミットカップリング99を介してシールジョー移動ユニット50a,50bの旋回中心C1,C2と同軸の旋回軸95,97に回転が伝わる。そして、旋回軸95にはレバー92dの一端が、旋回軸97にはレバー92fの一端が固定されているため、各レバー92d,92fが旋回中心C1,C2の周りを回転することになる。
第1シールジョー移動ユニット50aのシールジョー51は、一端がレバー91dの先端に、他端がレバー91eの先端によって支持されている。レバー91eは、旋回中心C1を中心として回転する部材であり、旋回軸95に相対回転可能に支持されている。
第2シールジョー移動ユニット50bのシールジョー51は、一端がレバー91fの先端に、他端がレバー91gの先端によって支持されている。レバー91gは、旋回中心C2を中心として回転する部材であり、旋回軸97に相対回転可能に支持されている。
第1シールジョー移動ユニット50aのシールジョー52は、一端がレバー92dの先端に、他端がレバー92eの先端によって支持されている。レバー92eは、旋回中心C1を中心として回転する部材であり、旋回軸94に相対回転可能に支持されている。
第2シールジョー移動ユニット50bのシールジョー52は、一端がレバー92fの先端に、他端がレバー92gの先端によって支持されている。レバー92gは、旋回中心C2を中心として回転する部材であり、旋回軸96に相対回転可能に支持されている。
各シールジョー51,52は、図9の垂直方向に角筒状フィルムFmの寸法より長く延びて形成された部材であり、内部にヒータ93(図15参照)を有している。このヒータ93によってシールジョー51,52のシール面が加熱され、左右のシールジョー51,51(或いはシールジョー52,52)によって挟み込まれた角筒状フィルムFmの一部が熱シールされるようになっている。
なお、シュミットカップリング98,99は、リンクにより結合されている3枚の円板から構成されており、入力軸の回転を出力軸に伝達する軸継手である。これらのシュミットカップリング98,99は、平面的に固定されている入力軸に対して出力軸が平面的に移動して両者の軸芯距離が変わった場合にも、入力軸の回転を出力軸に伝えることができるものである。
また、旋回軸94,95,96,97は、それぞれ、水平移動板62a,61a,62b,61bに軸支されている。これらの水平移動板62a,61a,62b,61bは、図10に示す横方向駆動機構55によって水平移動する。水平移動板61a,62aが互いに同じ動きをして、水平移動板61b,62bが互いに同じ動きをする。ここでは、水平移動板61a,61bを例にとって横方向駆動機構55の説明を行う。図10に示すように、横方向駆動機構55は、水平移動板61a,61bを互いに近接又は離反させるための駆動機構75を有するとともに、水平移動板61a,61bを水平方向にスライド自在に支持するガイド部やガイドレールを有している。
駆動機構75は、サーボモータ80(図15参照)によって回転するボールねじ80aと、ボールねじ80aに螺合する第1および第2ナット部材81,82と、ボールねじ80aと水平方向で直交するように設けられた第1および第2連結ロッド83,84と、移動方向に沿って設けられた1対の第3連結ロッド85と、第3連結ロッド85と平行に設けられた第4連結ロッド86とを有している。
第1連結ロッド83は継手87を介して1対の第3連結ロッド85に連結されており、1対の第3連結ロッド85の先端は水平移動板61bの側端面に固定されている。なお、1対の第3連結ロッド85は、水平移動板61aをスライド自在に貫通している。また、第2連結ロッド84は継手88を介して第4連結ロッド86に連結されており、第4連結ロッド86の先端は水平移動板61aの側端面に固定されている。
そして、ボールねじ80aにおいて、第1ナット部材81が螺合する部分と、第2ナット部材82が螺合する部分とは、互いに逆ねじになっている。
このような駆動機構75により、ボールねじ80aが回転することにより、水平移動板61a,61bを互いに近接させたり、離反させたりすることが可能となる。
(横シール機構17に付随するしごき機構150およびシャッタ機構160の構成)
横シール機構17では、上述の構成に加え、シールジョー51,52それぞれに連動するシャッタ部材166およびストリッパ部材155を設け、横シール動作時に商品Cが角筒状フィルムFm内に落下することを規制したり、商品Cを内包する角筒状フィルムFmを下方側にしごいたりしている。以下に、ストリッパ部材155をシールジョー51,52に連動させるしごき機構150と、シャッタ部材166をシールジョー51,52に連動させるシャッタ機構160とについて説明する。
なお、図11A〜図11Cおよび図14A〜図14Cでは、各部材の動きが理解しやすいように、各部材を重ねて実線で表現している。また、シールジョー51に対するしごき機構150およびシャッタ部材166と、シールジョー52に対するしごき機構150およびシャッタ部材166とが同じ構成であるため、以下では、シールジョー51に対するしごき機構150およびシャッタ部材166について説明を行う。なお、図2,図3,図8および図9においては、理解の容易のために、しごき機構150およびシャッタ機構160を省略している。
(しごき機構150の構成)
図11A等に示すように、しごき機構150は、左右一対の機構であり、それぞれが、シールジョー51,52を支持するベース部材64に支持される。ベース部材64は、上述していないが、各レバー91d,91e,91f,91g,92d,92e,92f,92gとシールジョー51,52との間に位置する(図9参照)。
しごき機構150は、それぞれ、しごき固定部材151と、ストッパー152と、平行リンク部材153と、しごき移動部材154と、ストリッパ部材155と、バネ部材156とから構成されている。
しごき固定部材151は、シールジョー51を支持するベース部材64に対して、相対移動不能に固定されている。また、しごき固定部材151には、各平行リンク部材153の端部およびバネ部材156の端部をピン支持するための突出部151aが形成されている。
ストッパー152も、ベース部材64に対して、相対移動不能に固定されている。このストッパー152は、図11Cに示すように、バネ部材156の引っ張り力により旋回中心C1,C2から離れる方向に移動しようとするしごき移動部材154を止める役割を果たす。後述するように一対の両しごき機構150のストリッパ部材155同士が互いに押し合っているときには、このストッパー152は作用しなくなる。
平行リンク部材153は、互いにシールジョー51の長手方向にずれて配置される対の部材であり、それぞれ、一端がしごき固定部材151の突出部151aにピン支持され、他端がしごき移動部材154のピン支持部154bにピン支持される。これらの平行リンク部材153によって、しごき移動部材154は、しごき固定部材151に対し、姿勢を概ね維持しつつ移動することができるようにされている(図11A〜図11C参照)。
しごき移動部材154は、図11Aの紙面垂直方向に角筒状フィルムFmの幅よりも長く延びる中間部154aと、中間部154aの両端に形成される板部とから成っている。しごき移動部材154の両端の板部は、上述のように、ピン支持部154bにおいて平行リンク部材153の端部をピン支持している。また、しごき移動部材154の板部は、それぞれ、旋回中心C1,C2に近いピン支持部154bにおいてバネ部材156の端部をピン支持している。
ストリッパ部材155は、シールジョー51と同様に角筒状フィルムFmの幅よりも長く延びて形成された部材であり、しごき移動部材154の中間部154aに固定される。ストリッパ部材155は、図11Aに示すように、後述するシャッタ部材166と少しの時間差を置いて、シールジョー51よりも早く角筒状フィルムFmを挟み込み、図11Bに示すように角筒状フィルムFmの被シール部分をしごく。
また、図11Aに示すしごき動作直前の状態になる前における一対のストリッパ部材155の上面図を図12Aに、図11Aに示すしごき動作直前の状態における一対のストリッパ部材155の端部における両者の関係の詳細を図12Bに示す。これらの図に示すように、対となっている2つのしごき機構150のストリッパ部材155は、角筒状フィルムFmに当接する金属製の本体部155cと、本体部155cの一端において外側に突出する金属製の突出部155aと、樹脂部155bとを有している。突出部155aは、横シール前後の期間において、すなわち図11Aや図11Bに示す状態において、対向するストリッパ部材155の樹脂部155bに係止するように配置されている(図12B参照)。
さらに、一対のストリッパ部材155は、角筒状フィルムFmの被シール部分(横シール対象部分)をしごく際に、横シール対象部分の下方の角筒状フィルムFm内の空間から上方の角筒状フィルムFm内の空間へと空気を逃がす。このため、本体部155cには、その中央部分に、切り欠き155dが形成されている。本体部155cは、シールジョー51と同じく、角筒状フィルムFmの両側部を結ぶ前後の長辺の部分に対して、前方および後方から押し当たる(図13A参照)。そして、本体部155cの中央に切り欠き155dが形成されているため、ガセットが形成される角筒状フィルムFmの両側部およびその近傍に押し当たる部分155c2(以下、ストリッパ側部155c2という)よりも、角筒状フィルムFmの両側部の間にある中央部に押し当たる部分155c1(以下、ストリッパ中央部155c1という)のほうが、他方のストリッパ部材155の本体部155cから離れるように凹んでいる状態となる(図13A参照)。この結果、横シール処理の前に角筒状フィルムFmに当接して角筒状フィルムFmよりも早い速度で下方に移動する一対のストリッパ部材155は、角筒状フィルムFmの当接部分の内側の空間のうち、ガセットが形成された角筒状フィルムFmの両側部の内側の第1空間S11よりも、角筒状フィルムFmの両側部の間にある中央部の内側の第2空間S12のほうが、大きくなる。
なお、上述のように、横シール処理の対象となる包材が、両側部にガセットが形成された角筒状フィルムFm(第1包材)である場合には、ストリッパ部材として、角筒状フィルムFmを挟み込んだときに空気を逃がす脱気部(第2空間S12)が角筒状フィルムFm(第1包材)の両側部の間の中央部分にのみ生じるストリッパ部材155が使用される。一方、横シール処理の対象となる包材が、図13Bに示すような、両側部にガセットが形成されていない角筒状(或いは円筒状)の筒状フィルムFm1(第2包材)である場合には、ストリッパ部材として、筒状フィルムFm1を挟み込んだときに空気を逃がす脱気部(空間S21)が少なくとも筒状フィルムFm1(第2包材)の両側部に生じる一対の第2ストリッパ部材159が使用される。第2ストリッパ部材159は、図12Cおよび図13Bに示すように、筒状フィルムFm1に当接する金属製の本体部155eと、本体部155eの一端において外側に突出する金属製の突出部155aと、樹脂部155bとを有している。突出部155aおよび樹脂部155bは、上述のストリッパ部材155の各部と同じである。本体部155eには、その両側部に、切り欠き155fが形成されている。具体的には、図13Bに示すように、一対のストリッパ部材159がしごき動作を行っているときに、筒状フィルムFm1の両側部に空気を逃がす脱気部(空間S21)が生まれる一方、筒状フィルムFm1の中央部には小さな隙間(空間S22)しか生まれないように、切り欠き155fが本体部155eに形成されている。
バネ部材156は、一端がしごき固定部材151の突出部151aにピン支持されており、他端がしごき移動部材154の旋回中心C1,C2に近いピン支持部154bにピン支持されている。バネ部材156は、図11Bに示すように、横シール時において、しごき移動部材154およびストリッパ部材155を、対向するしごき機構150側に付勢する。これにより、一対のストリッパ部材155は、それらの両端部において上述の突出部155aと樹脂部155bとが互いに押し合う状態で接触し、両本体部155cの間に所定の隙間(図13Aに示す第1空間S11および第2空間S12を含む隙間)を形成する。
なお、しごき機構150のしごき移動部材154およびストリッパ部材155を除く各部材は、ストリッパ部材155の両端に対してそれぞれ設けられている。
(シャッタ機構160の構成)
シャッタ機構160は、左右一対の機構であり、それぞれが、ベース部材64に支持される(図14A参照)。シャッタ機構160は、それぞれ、シャッタ固定部材161,162と、ストッパー163と、V字部材164と、シャッタ用ベアリング165と、シャッタ部材166と、バネ部材167とから構成されている。また、本実施形態の製袋包装機3は、横シール時の前後においてシャッタ用ベアリング165を誘導するシャッタ用カム170を有している。シャッタ用カム170は、一連の横シール動作におけるシャッタ部材166の姿勢変化によっても一対の両シャッタ部材166の間の隙間寸法が変化しないように、図14Aに示すような傾斜面を含む外面を有する形状にされている。
シャッタ固定部材161,162は、シールジョー51を支持するベース部材64に対して、相対移動不能に固定されている。シャッタ固定部材161には、バネ部材167の端部がピン支持される。シャッタ固定部材162は、V字部材164の中間部をピン支持する。
ストッパー163も、ベース部材64に対して相対移動不能に固定されている。このストッパー163は、図14Cに示すように、バネ部材167の引っ張り力により回動しようとするV字部材164を止める役割を果たす。シャッタ用カム170からの力がシャッタ用カムフォロアに作用してバネ部材167が伸びている状態のときには、このストッパー163は作用しなくなる。
V字部材164は、上述のように、その中間部がシャッタ固定部材162にピン支持されている。V字部材164の先端には、シャッタ部材166が固定されている。また、シャッタ部材166の固定部分の近傍には、シャッタ用ベアリング165が回転自在に装着されている。このシャッタ用ベアリング165は、横シール時およびその前後の期間において、図14Aに示すシャッタ用カム170の外面に沿って転動する。これにより、一対のシャッタ部材166は、横シール前後の期間において、両者の間の隙間距離がほぼ一定に保たれることになる(図14Aおよび図14B参照)。シャッタ部材166が固定されていない側のV字部材164の端部164aは、バネ部材167の端部をピン支持する。
シャッタ部材166は、シールジョー51と同様に角筒状フィルムFmの幅よりも長く延びて形成された部材であり、両端がV字部材164の先端に固定されている。シャッタ部材166は、前述のストリッパ部材155とともにシールジョー51よりも早く角筒状フィルムFmを挟み込み、角筒状フィルムFmの横シール時に、被シール部分の上方において商品Cの落下を抑える(図14B参照)。
なお、一対のシャッタ部材166は、一対のストリッパ部材155よりも少し早く、角筒状フィルムFmに当接して角筒状フィルムFmを挟み込む。
バネ部材167は、一端がピン167aによってシャッタ固定部材161に支持されており、他端がV字部材164の端部164aにピン支持されている。バネ部材167は、図14Bに示すように、横シール時において、V字部材164の端部164aを引っ張ることでシャッタ用ベアリング165をシャッタ用カム170に対して押しつける役割を果たす。
<製袋包装機3の概略動作>
次に、製袋包装機3の動作について説明する。
まず、製袋包装機3の横シール処理までの動作を図2に基づいて説明する。
フィルム供給部6から成形機構13に送られたシート状のフィルムFは、フォーマ13aからチューブ13bに巻き付けられて角筒状に成形され、そのままプルダウンベルト機構14によって下方に搬送される。そして、フィルムFはチューブ13bに巻き付けられた状態において両端部が周面上で重ね合わせられた状態となり、その重ね合わせ部分が縦シール機構15によって縦にシールされる。
縦にシールされた角筒状フィルムFmは、チューブ13bを抜けて横シール機構17へと降りていく。また、このときには、商品Cの固まりが組合せ計量機2からチューブ13bを通って落下してくる。そして、ガセット形成機構18でガセットが形成された角筒状フィルムFmは、商品Cが中にある状態で、横シール機構17において、袋Bの上端となる部分およびその袋Bの上部の袋の下端となる部分が、環状の軌跡を描きながら旋回移動する一対のシールジョー51,51(或いはシールジョー52,52)によって、横に熱シールされる。
<製袋包装機3のガセット形成処理での概略動作>
次に、ガセット形成機構18によって角筒状フィルムFmの両側部にガセットG(図5Aおよび図5B参照)が形成されるときの動作について説明する。
角筒状フィルムFmは、ガセットが形成される前の段階において、横断面形状が略長方形である(図8の2点鎖線を参照)。また、ガセット形成機構18の折り込み部材18a,18bが押し当たる角筒状フィルムFmの両側部は、横断面視における略長方形の形状の短辺の部分である(図5A参照)。
折り込み部材18a,18bは、横シール機構17における横シール処理が行われる前に、角筒状フィルムFmの両側部に対して押し当たって、角筒状フィルムFmの両側部にガセットGを形成する。
また、一対の折り込み部材18a,18bは、すぐ下流側に配置された横シール機構17のシールジョー51,52の動きと連動して旋回移動する。具体的には、シールジョー51,51(或いはシールジョー52,52)がD字状に旋回移動しながら互いに押し付け合って横シール処理を行う直前に、角筒状フィルムFmと接触している状態から退避位置へと移動する。これにより、折り込み部材18a,18bが横シール処理時においてシールジョー51,51(或いはシールジョー52,52)の間に挟まれてしまうことが回避されている。これについては、後に詳述する。
<しごき機構の動作およびシャッタ機構の動作を含む横シール処理の動作>
次に、横シール機構17の動作について説明する。
横シール機構17では、駆動モータ91,92を作動させることによって旋回軸94,95,96,97が回転し、サーボモータ80を作動させることによって第1シールジョー移動ユニット50aの旋回軸94,95と第2シールジョー移動ユニット50bの旋回軸96,97とが水平移動する。これらのモータ91,92,80を制御部40によってコントロールすることで、各シールジョー51,52が、略D字状の軌跡(図8の2点鎖線を参照)を描いて旋回することになる。そして、図11Bおよび図14Bに示すように、先行する袋の上端部と、これに続く袋の下端部とがほぼ同時に横シールされ、シールジョー51に内蔵されているカッター機構(図示せず)によって、先行する袋と後続の角筒状フィルムFmとが切り離される。
しごき機構150およびシャッタ機構160は、ベース部材64に支持されており、基本的にはシールジョー51とともに旋回中心C1,C2の周りを旋回する。しかし、しごき機構150のストリッパ部材155およびシャッタ機構160のシャッタ部材166は、平行リンク部材153やV字部材164を介してベース部材64に連結されているため、横シール時の前後においては、シールジョー51の移動速度と異なる速度で動くことになる。
シール処理前でシールジョー51が角筒状フィルムFmに当接しておらず且つストリッパ部材155が角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態を図11Aに示し、シール処理前でシールジョー51が角筒状フィルムFmに当接しておらず且つシャッタ部材166が角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態を図14Aに示す。本実施形態では、理解を容易にするため、図11Aと図14Aとに分けて各機構150,160を図示している。また、シールジョー51が角筒状フィルムFmに当接して熱シール(横シール)が為されている状態を、図11Bおよび図14Bに示す。さらに、熱シールが完了し、各機構150,160が角筒状フィルムFmから離れた直後の状態を、図11Cおよび図14Cに示す。
横シール動作において、シールジョー51は旋回中心C1,C2の動きにそのまま連動して横に動くが、一対のストリッパ部材155は、一方の突出部155aと他方の樹脂部155bとの押し合いによって、両ストリッパ部材155の間の隙間が保たれる(図13A参照)。また、シャッタ機構160のシャッタ部材166は、シャッタ用カム170によるシャッタ用ベアリング165の誘導によって、両シャッタ部材166の間の隙間が保たれる。すなわち、横シール動作の期間中、両ストリッパ部材155の間の隙間および両シャッタ部材166の間の隙間は、概ね一定に保持される。
図11Aと図11Bとを比較するとわかるように、横シール動作の初期において角筒状フィルムFmの上下に隣接する部分に当接したストリッパ部材155およびシャッタ部材166(図11A参照)は、一対のシールジョー51が角筒状フィルムFmを挟み込んで熱シールを行っているとき(図11B参照)において、それぞれ角筒状フィルムFmの異なる上下位置に当たっている状態に変化する。ストリッパ部材155の先端は、角筒状フィルムFmに当接した後、平行リンク部材153の姿勢変化によって、シールジョー51よりも速い速度で下方に移動する。すなわち、ストリッパ部材155は、シールジョー51に対して、姿勢を変えながら相対的に下方に移動し、角筒状フィルムFmの横シール対象部分の内側にある商品Cを下方に移送する。また、シャッタ部材166の先端は、角筒状フィルムFmに当接した後、V字部材164の回動によって、下方に移動する。すなわち、シャッタ部材166は、シールジョー51に対して、姿勢を変えながら相対的に上方に(絶対的には下方に)移動し、角筒状フィルムFmの横シール対象部分の内側空間に対して上方から商品C(被包装物)が落下してこないようにガードする。
<制御部40によるガセット形成機構18と横シール機構17との連動制御について>
次に、制御部40が行う、ガセット形成機構18と横シール機構17との連動制御について説明する。
図7に、ガセット形成機構18の折り込み部材18aの移動軌跡を示す。折り込み部材18bの移動軌跡は、折り込み部材18aの移動軌跡と対称であるため、ここでは説明を省略する。折り込み部材18aのホームポジション(H.P.)は、折り込み部材18bから最も離れたポイントから60°だけ進んだ位置である。
図7に示すように、折り込み部材18aは円軌道に沿って旋回するが、その速度は制御部40からステッピングモータ18cに出される指令によって変わる。
一方、制御部40は、使用者によって設定されている単位時間当たりの製袋量や袋サイズなどに応じて、横シール機構17のシールジョー51,52等の旋回速度を決めている。このため、制御部40は、横シール機構17のシールジョー51,52、シャッタ部材166およびストリッパ部材155の動きに合わせて、ガセット形成機構18の折り込み部材18aを旋回させることができる。ここでは、図16に示す以下のような各連動動作が生じるように、制御部40がガセット形成機構18のステッピングモータ18cおよび横シール機構17の駆動モータ91,92を連動制御する。
まず、制御部40は、シャッタ部材166が図14Aに示す第1状態になる前に、折り込み部材18a,18bによって角筒状フィルムFmの両側部にガセットが形成されるように、連動制御を行う。第1状態とは、シャッタ部材166が、角筒状フィルムFmの横シール対象部分の内側空間への上方からの商品Cの侵入を防ぐ状態である。図16に示すように、折り込み部材18a,18bは、ホームポジション(H.P.)から動き始め、角筒状フィルムFmの両側部に当たってガセットを形成し始めるが、そのときにはシャッタ部材166は未だ角筒状フィルムFmに接触していない。折り込み部材18a,18bが互いに最も近づくポイントBに到達した頃に、シャッタ部材166は角筒状フィルムFmに接触し始め、折り込み部材18a,18bが減速しながらポイントBを超えてポイントA(図7参照)に到達する頃に、シャッタ部材166が上述の第1状態になる。シャッタ部材166が第1状態になったときに、折り込み部材18a,18bは、ポイントAにおいて旋回速度がゼロ或いはゼロに近い速度になる。
その後、シャッタ部材166に少し遅れて一対のストリッパ部材155が角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態(図11Aに示す状態)になるが、そのときまで、折り込み部材18a,18bの旋回速度がゼロ(或いはほぼゼロ)の状態が続く。すなわち、折り込み部材18a,18bは、ガセットを形成した角筒状フィルムFmに接触している状態を維持する。
ストリッパ部材155が角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態になると、折り込み部材18a,18bは、再び旋回し始め、加速しながら角筒状フィルムFmから離れていく。
それと並行して、一対のストリッパ部材155は、角筒状フィルムFmよりも早い速度で下方に移動し、しごき動作を行う。このときの一対のストリッパ部材155の間に形成されている隙間は、図13Aに示すようになっており、上述のように、一対のストリッパ部材155に挟まれた角筒状フィルムFmの当接部分の内側の空間のうち、ガセットが形成された角筒状フィルムFmの両側部の内側の第1空間S11よりも、角筒状フィルムFmの両側部の間にある中央部の内側の第2空間S12のほうが、大きくなっている。したがって、下から上へと抜けていく空気は、第1空間S11ではなく第2空間S12を主として通ることになり、折り込み部材18a,18bが角筒状フィルムFmから離れていても、角筒状フィルムFmの両側部に形成されたガセットの形が崩れることは殆どない。
その後、ストリッパ部材155によるしごき動作の終了後に、図11Bおよび図14Bに示すように一対のシールジョー51が互いに押し当たり、その間に挟まれた角筒状フィルムFmの横シール対象部分が熱シールされる。このときには、折り込み部材18a,18bは、既に角筒状フィルムFmから完全に離れた位置まで旋回移動している。シールジョー51による熱シールが終わったときにも、折り込み部材18a,18bは、ホームポジション(H.P.)に向けて旋回移動を続け、その後に減速してホームポジション(H.P.)で停止する(図16参照)。そして、次のガセット形成動作の開始タイミングで、折り込み部材18a,18bは再び加速して旋回を始める。
<製袋包装機3の特徴>
(1)
製袋包装機3は、角筒状フィルムFmを連続的に搬送するプルダウンベルト機構14を備えた装置であり、図2および図3に示すように、一対のシールジョー51,51(又はシールジョー52,52)を用いて横シールを行う横シール機構17と、製袋される袋Bの両側部にガセットGを形成するガセット形成機構18とを備えている。ガセット形成機構18は、図4および図5Bに示すように、角筒状フィルムFmとの接触領域において角筒状フィルムFmの搬送速度に近い速度で移動する一対の折り込み部材18a,18bを有し、これらを角筒状フィルムFmの一部に対して押し当てる。
これにより、連続搬送される角筒状フィルムFmの一部に対して折り込み部材18a,18bを押し当てた場合でも、角筒状フィルムFmに大きな皺等を生じさせることなく、ガセットGを形成することができる。この結果、連続搬送される角筒状フィルムFmに対してガセットGを形成する場合でも、良好なシール性能を確保することができる。
(2)
製袋包装機3では、図6等に示すように、ガセット形成機構18が、環状(円形)の軌道に沿って一対の折り込み部材18a,18bを移動させる。
これにより、角筒状フィルムFmの搬送方向と同じ向きに折り込み部材18a,18bが移動するように環状の軌道をセットすることで、角筒状フィルムFmと同じ方向に折り込み部材18a,18bを移動させながら、両側部にガセットGを形成することができている。
(3)
製袋包装機3では、図6等に示すように、ガセット形成機構18が、円形の軌道に沿って一対の折り込み部材18a,18bを移動させる。ここでは、複雑な機構等を介すことなく、比較的簡易な構成により、角筒状フィルムFmの搬送方向に沿って折り込み部材18a,18bを駆動させることができている。
(4)
製袋包装機3では、一対のストリッパ部材155が、横シール処理の前に、角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態で、角筒状フィルムFmよりも早い速度で角筒状フィルムFmの搬送方向に沿って下方に移動する。これにより、角筒状フィルムFmの横シール対象部分の内側空間にある商品Cが、それよりも下方の空間に落とされ、横シール対象部分への商品Cの噛み込み現象が抑えられる。
このような、いわゆるストリッピング動作(しごき動作)を行うと、横シール対象部分の下方にある角筒状フィルムFm内の空気が、横シール対象部分の上方の角筒状フィルムFm内の空間に逃げる脱気現象が生じる。この脱気現象においては、一対のストリッパ部材155に狭持された角筒状フィルムFm内のわずかな隙間から、空気が下から上へと抜ける。この脱気現象における空気の抜けは、通常の製袋包装機においては筒状フィルムの両側部を通ることが多い。すなわち、通常の製袋包装機では、図13Aに示すストリッパ部材155ではなく、図13Bに示す第2ストリッパ部材159のような部材を用い、筒状フィルムの中央部に対応する箇所(ストリッパ中央部)において脱気部を小さく、筒状フィルムの両側部に対応する箇所(ストリッパ側部)において脱気部を大きくすることが多い。この理由は、例えば特開2008−110800号公報等に記載されている。
しかし、ガセット形成機構18によって角筒状フィルムFmの両側部にガセットGを形成する場合には、第2ストリッパ部材159のような従来の形状のものを用いたのでは、ストリッピング動作における脱気現象によって形成済みのガセットGが崩れてしまう恐れがある。
これに鑑み、上述の実施形態に係る製袋包装機3では、横シール処理の対象となる包材が、両側部にガセットが形成された角筒状フィルムFmである場合には、ストリッパ部材として、角筒状フィルムFmを挟み込んだときに空気を逃がす脱気部(第2空間S12)が角筒状フィルムFm(第1包材)の両側部の間の中央部分にのみ生じるストリッパ部材155が使用される。すなわち、ストリッパ側部155c2よりも、ストリッパ中央部155c1のほうが、他方のストリッパ部材155の本体部155cから離れるように凹んでいるストリッパ部材155(図12Aおよび図13A参照)を用いることで、ストリッピング動作における脱気現象によって形成済みのガセットGが崩れてしまう現象を防いでいる。
(5)
製袋包装機3の横シール機構17では、ガセットが形成された角筒状フィルムFmを横シールするときには、ガセットが崩れにくいストリッパ部材155を選択使用し、ガセットが形成されていない筒状フィルムを横シールするときには、従来から使われている第2ストリッパ部材159を選択使用する。これにより、ガセットが形成された角筒状フィルムFmから、ガセットが殆ど崩れずにきれいに形成されている袋Bを製造することができるとともに、ガセットが形成されていない筒状フィルムについては、従来どおりのシール性が保たれた袋を製造することができる。
(6)
製袋包装機3では、図4に示すように、ガセット形成機構18に含まれる一対の折り込み部材18a,18bを駆動する駆動源として、ステッピングモータ18cを搭載している。これにより、比較的簡易な制御によって、折り込み部材18a,18bの旋回軌道の各位置における移動速度(旋回速度)を変化させることができている。
そして、この製袋包装機3では、ガセット形成機構18の折り込み部材18a,18bが角筒状フィルムFmに押し当たる動作や、横シール機構17のシャッタ部材166やシールジョー51,52が角筒状フィルムFmに当接して角筒状フィルムFmを挟み込む動作を、制御部40が連動制御する構成を採っている。そして、シャッタ部材166が、角筒状フィルムFmの横シール対象部分の内側空間への上方からの商品Cの侵入を防ぐという、その本来的機能を発揮する第1状態(図14Aに示す、一対のシャッタ部材166が微小隙間をあけて角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態)になる前に、折り込み部材18a,18bにより角筒状フィルムFmの両側部にガセットが形成されるような連動制御が、制御部40によって為されている。
もしも、製袋スピードを優先してしまえば、横シール処理前のシャッタ部材166が角筒状フィルムFmを挟み込む動作が、折り込み部材18a,18bによるガセット形成動作と時間的に重複してしまうことになるが、それではシャッタ部材166が角筒状フィルムFmを挟み込んでいるときに生じる角筒状フィルムFm内の空気の乱れによってガセットが適切に形成されない恐れがある。これに鑑み、製袋包装機3では、上述の制御によって、シャッタ部材166が第1状態になる前に角筒状フィルムFmの両側部へのガセットの形成動作を終え、ガセットがきれいに形成されるようにしている。
また、製袋包装機3の横シール機構17では、シールジョー51,52およびシャッタ部材166に加え、ストリッパ部材155を有する構成を採用しており、シャッタ部材166、ストリッパ部材155、シールジョー51,52の順で各部材が角筒状フィルムFmに当接する。そして、制御部40の制御によって、シャッタ部材166が角筒状フィルムFmを挟み込む前に既にガセットを形成していたガセット形成機構18の折り込み部材18a,18bは、一対のストリッパ部材155が互いに最接近した状態で角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態になるまで、角筒状フィルムFmに接触している状態を維持するようになっている。このため、ストリッパ部材155が角筒状フィルムFmを挟み込む動作によって生じる角筒状フィルムFm内の空気の乱れによって、形成されたガセットGが形を崩してしまうことが、殆どなくなる。これにより、ガセットGがよりきれいに形成されるようになっている。
(7)
製袋包装機3では、シャッタ部材166が第1状態になったときに既にガセットを形成している折り込み部材18a,18bは、シャッタ部材166が第1状態になった後の旋回速度が、一時的にゼロになる。これにより、シャッタ部材166の動作によってガセットの形が崩れにくいという上述の効果に加え、シャッタ部材166が第1状態になった後の横シール機構17の動作によって生じる角筒状フィルムFm内の空気の乱れによって形成済みのガセットが崩れてしまうという現象を抑えることができている。なぜなら、ガセットを形成した折り込み部材18a,18bが、ガセットの形成された角筒状フィルムFmの両側部に接触し続けるからである。
これにより、横シール機構17の一連の動きによるガセット形成の阻害や形成後のガセット形状の崩れといった不具合が抑制され、横シール後の袋BにおいてガセットGがきれいに形成されているようになる。
なお、シャッタ部材166が第1状態になった後の折り込み部材18a,18bの旋回速度は、ゼロに限られない。例えば、ゼロではなく、ガセット形成時の旋回速度よりも遅い速度とすることで、ガセットの形が崩れる恐れのある期間において折り込み部材18a,18bが角筒状フィルムFmの両側部に留まるようにしてもよい。
(8)
製袋包装機3では、図2や図3に示すように、ガセット形成機構18に含まれる一対の折り込み部材18a,18bとして、薄肉の板状部材を用いている。これにより、折り込み部材18a,18bにおける板状部分の一部を角筒状フィルムFmの両側部に押し当てるように挿入することで、容易にガセットGを形成することができる。
なお、折り込み部材18a,18bを角筒状フィルムFmの両側部に押し当てる高さ位置には、チューブ13bの下端の四隅から延びる薄板部材13cが存在しており(図5A参照)、折り込み部材18a,18bおよび4つの薄板部材13cによってガセットGがきれいに形成される。
<変形例>
上記実施形態では、角筒状フィルムFmの搬送速度は一定であるが、変形例に係る製袋包装機3では、折り込み部材18a,18b、シールジョー51,52、及びストリッパ部材155の動作に合わせて搬送速度が制御される。
図18は、変形例に係る製袋包装機の折り込み部材、フィルムおよびシールジョーそれぞれの速度変化を示すグラフである。図2及び図18において、折り込み部材18a,18bは、それぞれが最も接近する区間で減速され低速回転となる。制御部40(図15参照)は、折り込み部材18a,18bの減速区間に対応して、プルダウンベルト機構14を制御してフィルムFmの搬送速度を低下させる。
通常、折り込み部材18a,18bがフィルムFmに接触するとき、折り込み部材の動作速度のうちフィルムFmの搬送方向の速度成分はフィルムFmの搬送速度より遅いので、折り込み部材18a,18bとフィルムFmとの接触がフィルムFmにとって抵抗となりフィルムFmが型崩れし易い。しかし、フィルムFmの搬送速度が落とされることによって、折り込み部材の動作速度のうちフィルムFmの搬送方向の速度成分とフィルムFmの搬送速度とが近づくので、互いに接触したときの抵抗が小さくなりフィルムFmの型崩れが抑制される。
また、制御部40は、折り込み部材18a,18bの動作速度およびフィルムFmの搬送速度が減速されたときに、シールジョー51,52を、フィルムFmの搬送速度より速い速度(通常の搬送速度の2倍程度)で移動させるので、ストリッパ部材155の移動速度のうちフィルムFmの搬送方向の速度成分も速くなる。その結果、フィルムFmが下方へ引っ張られて皺がなくなり、折り目が確実に付いたガセットが形成される。この直後、フィルムFmはストリッパ部材155に引っ張られた状態のまま横シール処理されるので、タックが発生することなくシールされる。
また、図18に示すように、制御部40は、シール区間でのシールジョー51,52の移動速度を従来(点線で表示)よりも低くし、シールジョー51,52の移動速度のうちフィルムFmの搬送方向の速度成分を、フィルムFmの搬送速度よりも遅くしている。このとき、フィルムFmの横シール処理された部分の上方が、シールジョー51,52に接近し加熱され、溶着し易い状態に変化する。フィルムFmは袋Bになって順次排出される段階で、その溶着し易い状態に変化した面と、横シール処理された部分の片面とが密着し平面領域が形成される。袋Bが陳列棚に並べられるときに、その平面領域が袋Bを安定して立たせるので、袋Bは、立たせることができない袋に比べて消費者を惹きつける効果が高い。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の一実施形態に係る製袋包装機3について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記の製袋包装機3では、一対のストリッパ部材155の両方を、本体部155cの中央部分に切り欠き155dが形成されているものとしているが、少なくとも一方に切り欠き155dが形成されている一対のストリッパ部材を採用してもよい。この場合にも、ストリッパ部材が当接する角筒状フィルムFmの当接部分の内側の空間のうち、ガセットが形成された角筒状フィルムFmの両側部の内側の第1空間よりも、角筒状フィルムFmの両側部の間にある中央部の内側の第2空間のほうが大きくなるからである。
(B)
上記の製袋包装機3では、ガセット形成機構18に含まれる折り込み部材18a,18bが、円形の軌道に沿って移動して、角筒状フィルムFmにガセットGを形成している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
折り込み部材が移動する軌道の形状としては、円形に限らず、例えば、略四角形のボックス形状であってもよいし、略三角形の形状や略楕円形の形状であってもよい。
(C)
上記の製袋包装機3では、一対の折り込み部材18a,18bを、単一の駆動源(ステッピングモータ18c)によって駆動している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、一対の折り込み部材18a,18bのそれぞれについて、別々の駆動源を用いて移動させるような構成であってもよい。
(D)
上記の製袋包装機3では、一対の折り込み部材18a,18bを駆動する駆動源として、ステッピングモータ18cを用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、折り込み部材を駆動する駆動源として、エアシリンダのような各種アクチュエータを用いることができる。
(E)
上記の製袋包装機3では、折り込み部材18a,18bとして、略L字形状の薄板材を用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、折り込み部材の形状としては、ある程度厚みを有する部材や各種形状を有する部材を利用することが可能である。
(F)
上記の製袋包装機3に関する説明では、シャッタ部材166が図14Aに示す第1状態になったときにおける折り込み部材18a,18bの高さ位置について明示していないが、横シール機構17とガセット形成機構18とが干渉しない構造を採れるならば、できるだけ折り込み部材18a,18bの下端位置が低いことが望ましい。
例えば、図17に示す、一対のシャッタ部材266,266、一対のシールジョー251a,251bおよび折り込み部材218aの高さ方向の相対位置関係が実現できる場合には、このようにすることが望ましい。ここでは、一対のシャッタ部材266,266が角筒状フィルムFmを挟み込んで横シール対象部分の内側空間への上方からの商品Cの侵入を防ぐ状態になったときに、折り込み部材218aの下端が、一対のシャッタ部材266,266の角筒状フィルムFmへの当接位置よりも低い位置にあり、一対のシールジョー251a,251bの上面との高さ方向の距離hが非常に小さくなっている。この高さ方向の距離hは、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。ここまで折り込み部材218aが側面視においてシールジョー251a,251bに近い位置にあれば、一連の横シール動作における一対のシャッタ部材266,266の動き等によってガセット形成処理が悪影響を受けたり形成したガセットの形が崩れたりすることが、ほぼなくなる。
なお、一対のシールジョー251a,251bの両対向面を傾斜させているのは、横シール部分を鉛直面に対して少し傾けることによって、出来上がる袋の底が平面に近い形になるからである。
また、図17の一対のシャッタ部材266,266は、剛体である一対の本体部267,267と、弾性体である一対の補助部268,268とを有している。本体部267は、金属製の薄板部材である。補助部268は、ブラシであり、角筒状フィルムFmへの当接面が多数のブラシ毛の先端から成る。一対の本体部267,267の隙間寸法は、折り込み部材218aの厚み寸法よりも大きい。一対の補助部268,268の隙間寸法は、折り込み部材218aの厚み寸法よりも小さい。しかし、補助部268のブラシ毛の先端が曲がるため、折り込み部材218aが存在しても、一対の補助部268,268は互いに近くまで近寄ることができる。このように、図17に示す例では一対の補助部268,268を備えるシャッタ部材266,266を採用しているため、折り込み部材218aの下端を一対のシャッタ部材266,266の下端よりも低い位置に持ってくることが可能となっている。
(G)
上記の製袋包装機3では、ストリッパ部材155が角筒状フィルムFmを挟み込んだ状態になると、折り込み部材18a,18bは、再び旋回し始め、加速しながら角筒状フィルムFmから離れていく。
これは、ストリッパ部材として、角筒状フィルムFmの当接部分の内側の空間のうち、ガセットが形成された角筒状フィルムFmの両側部の内側の第1空間S11よりも、角筒状フィルムFmの両側部の間にある中央部の内側の第2空間S12のほうが大きくなるストリッパ部材155を採用しており、しごき動作において、角筒状フィルムFmを挟み込んだときに空気を逃がす脱気部(第2空間S12)が角筒状フィルムFmの両側部の間の中央部分にのみ生じるからである。
しかし、ガセットを形成する角筒状フィルムFmに対して、ストリッパ部材155ではなく、従来から存在する第2ストリッパ部材159のようなものを用いる場合には、しごき動作の期間中も、できるだけ長い間、折り込み部材18a,18bを角筒状フィルムFmの両側部に接触させ続けることが望ましい。したがって、この場合には、シールジョー51による横シール動作が始まるまで折り込み部材18a,18bを角筒状フィルムFmに接触させておき、横シール動作が始まる直前に折り込み部材18a,18bが角筒状フィルムFmから離れるように制御することが好ましい。
(H)
チューブ13bは、角錐状の漏斗部と、角筒状の胴部とが結合した形状である。このような角型のチューブは、袋形態の多様化に対応するために使用されているが、重量が大きくメンテナンスが困難である。また、円チューブに比べて被包装物によるブリッジが発生しやすい。それ故、チューブ13bの構造として、漏斗部が胴部から分離可能な構造が好ましい。
図19は、他の実施形態に係る製袋包装機のチューブの斜視図である。図19に示す実施形態では、胴部13nの上部形状が小さい漏斗形状に成形されている。つまり、漏斗部13mの下部が胴部13nの上部に差し込まれることによって、漏斗部13mと胴部13nとが連結される。チューブ13bの清掃、漏斗部13mの交換時に漏斗部13mを胴部13nから引き抜く作業が必要であるが、漏斗部13mだけならば重量も小さいので、作業者への負担も軽減される。また、漏斗部13mが分離されれば清掃が容易になるのでメンテナンス性が良くなる。
図20は、図19の漏斗部と胴部とが分離された状態のチューブの斜視図である。図20において、漏斗部13mの下端面13pは、水平ではなく、水平面に対して所定角度だけ傾斜している。つまり、漏斗部13mの4つの側面が同じ深さで胴部13nの側面と接触しないので、漏斗部13mと胴部13nとの重なり代が減少し、その分、漏斗部13mの下端面13pの開口面積が増加し、被包装物によるブリッジが防止される。
(I)
図3において、4本の薄板部材13cのうち間隔の狭い2つの薄板部材13cの間には、落下してくる被包装物が挟まれ易いので、そこだけには被包装物が入り込まないことが好ましい。そこで、図19に示す実施形態では、胴部13nの下端で、且つ4本の薄板部材13cのうち間隔の狭い2つの薄板部材の間に、挟み込み防止板13dが設けられている。
挟み込み防止板13dは、胴部13n内を落下してくる被包装物が2つの薄板部材13cの間に向かってきたとき、被包装物の進行を阻止して落下する方向を逸らす。その結果、2つの薄板部材13cの間に被包装物が挟まることが防止される。
(J)
角型のチューブ13bと円チューブとでは、外観上の大きさが同じように見えても、角型のチューブ13bの断面積は円チューブよりも小さく、被搬送物によるブリッジが発生し易い。
図21は、図19のチューブの胴部を背面側から視た斜視図である。図21に示す実施形態では、チューブ13bの寸法を大きくすることなく、被包装物が落下する経路の断面積を大きくするため、胴部13nの一側面に開口13eが設けられている。開口13eは、胴部13nの長手方向に沿って、胴部13nの下端まで延びている。その開口13eによって、被包装物が落下する経路の断面積が拡大し、被包装物のブリッジが抑制される。