JP5291331B2 - 波形鋼板耐震壁 - Google Patents

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本発明は、架構を構成する周辺部材へ対向する波形鋼板を取り付けて構成された波形鋼板耐震壁に関する。
耐震壁としては、特許文献1に示すように、鋼板を波形に加工した波形鋼板を、波形の折筋の向きを水平にして架構の構面に配置した波形鋼板耐震壁が提案されている。この波形鋼板耐震壁は、垂直方向にアコーディオンのように伸縮するため鉛直力を負担しないが、水平せん断力に対しては抵抗可能であり、せん断剛性・せん断耐力を確保しつつ、優れた変形性能を有している。更に、せん断剛性及び強度については、鋼板の材質強度、板厚、重ね合わせ枚数、波形のピッチ、波高等を変えることにより調整可能であり、剛性及び設計強度の自由度が高い耐震壁を実現している。
ところで、このように耐震性能に優れた波形鋼板耐震壁は、板厚を薄く抑えることが可能であるため、一般的な鉄筋コンクリート造の耐震壁に比べて、その設置幅を小さく抑えることができる。更に、板厚を薄く抑えることで一般的なプレス機を用いて鋼板を波形に加工できるため、全体的な経済性が向上する。しかし、板厚を薄くした場合には、せん断座屈を防止するための手段を講じることが望ましい。
せん断座屈を防止する手段としては、図12に示すように、波形鋼板耐震壁100を構成する波形鋼板102に、複数の補剛リブ104を溶接することが考えられる。しかしながら、この溶接作業には熟練を要し、更に、溶接熱によって波形鋼板102が歪み、波形鋼板耐震壁100の寸法誤差が大きくなる場合がある。
また、同一の構面に複数の波形鋼板を配置する場合は、一枚当たりの波形鋼板が負担する耐力が小さくなるため、波形鋼板の板厚を更に薄くできるが、各波形鋼板に座屈防止用の補剛リブを溶接する必要があり、また、板厚が薄くなるに従って波形鋼板に溶接する補剛リブの数が増えるため、上記の寸法誤差等に注意する必要がある。
一方、特許文献2には、図13に示すように、ロングスパンに対応すべく提案されたハニカム型デッキプレート106が開示されている。このハニカム型デッキプレート106は、2枚のデッキプレート108、110を上下対称に重ね合わせ、接触する部分112を溶接して一体化したものである。しかし、デッキプレート108の凸部114と、デッキプレート110の凸部116との間に、断面6角形(ハニカム形状)の空洞部118が形成されるため、空洞部118の長手方向に力(水平力F)が作用すると、空洞部118が外側(面外方向)にはらみ出し、凸部114、凸部116がせん断座屈する恐れがある。
また、特許文献3には、大きさの異なる波形をした2枚の小波鋼板と大波鋼板とを上下に重ね合わせたデッキプレートが提案されている。しかし、このデッキプレートも、特許文献2と同様に、大波鋼板と小波鋼板との間に大きな空洞部が形成されており、この空洞部の長手方向に力(水平力)が作用すると、空洞部が外側(面外方向)にはらみ出し、小波鋼板の凸部、大波鋼板の凸部がせん断座屈する恐れがある。
特開2005−264713号公報 特開平11−117441号公報 特開平5−106292号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、簡易な構成で波形鋼板のせん断座屈を防止できる波形鋼板耐震壁を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、架構を構成する周辺部材に複数の波形鋼板を取り付け、対向する前記波形鋼板を正面視したとき、前側に凸の部分を山部とし後側に凹の部分を谷部として構成された波形鋼板耐震壁において、対向する前記波形鋼板の大きさの異なる前記山部同士及び大きさの異なる前記谷部同士の少なくとも一方、若しくは大きさの同じ前記山部と前記谷部とを接合手段により接合したことを特徴としている。
上記の構成によれば、架構を構成する周辺部材に、複数の波形鋼板を対向して取り付ける。そして、対向する波形鋼板の大きさの異なる山部同士及び大きさの異なる谷部同士の少なくとも一方、若しくは大きさの同じ山部と谷部とを接合手段により接合する。ここで、対向する波形鋼板を接合しない場合は、各波形鋼板の曲げ剛性によって波形鋼板耐震壁のせん断座屈耐力が決定されるが、対向する波形鋼板を接合して一体化することで、断面2次モーメントが大きくなるため、波形鋼板耐震壁の曲げ剛性を確保することができる。従って、せん断座屈耐力が向上してせん断座屈が抑制される。また、板厚を厚くしたり、補剛リブを形成する等の特別な補強を波形鋼板に施す必要がないため施工性が向上し、また、接合する波形鋼板の枚数を増減することにより、所定の設計剛性・強度が得られるため、設計自由度が向上する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の波形鋼板耐震壁において、一方の前記波形鋼板の前記山部に、該山部と大きさの異なる他方の前記波形鋼板の前記山部とを突き合わせると共に、一方の前記波形鋼板の前記谷部に、該谷部と大きさの異なる他方の前記波形鋼板の前記谷部とを突き合わせ、前記山部同士及び前記谷部同士の少なくとも一方を前記接合手段により接合したことを特徴としている。
上記の構成によれば、対向する波形鋼板において、大きさの異なる山部同士及び大きさの異なる谷部同士を突き合わせ、山部同士及び谷部同士の少なくとも一方を接合手段により接合している。このように、対向する山部同士及び谷部同士を突き合わせることで、波形鋼板耐震壁の設置幅を、1枚の波形鋼板を取り付けた場合と同程度の設置幅に抑えることができる。また、対向する山部同士及び谷部同士の大きさが異なるため、波形鋼板の加工誤差を吸収することができ、波形鋼板の生産性が向上する。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の波形鋼板耐震壁において、一方の前記波形鋼板の前記谷部に、他方の前記波形鋼板の前記山部を突き合わせて前記接合手段で接合し、一方の前記波形鋼板の前記山部と、該山部と対向する他方の前記波形鋼板の前記谷部との間に形成される空間に配置された長ナットに、面外方向からボルトをねじ込んで該山部と該谷部とを連結したことを特徴としている。
上記の構成によれば、一方の波形鋼板の谷部に、他方の波形鋼板の山部を突き合わせて接合手段により接合する。このように波形鋼板を突き合わせると、一方の波形鋼板の山部と他方の波形鋼板の谷部との間に空間が形成される。この空間に長ナットを配置し、面外方向からボルトをねじ込むことで、当該山部と当該谷部とを連結して一体化している。このため、波形鋼板耐震壁の曲げ剛性が向上し、面外方向へのはらみ出しが抑制されるため、せん断座屈を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁において、前記接合手段は、溶接又はリベットであることを特徴としている。
上記の構成によれば、簡易な手段により、波形鋼板同士を接合することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁において、前記波形鋼板が、デッキプレートであることを特徴としている。
上記の構成によれば、波形鋼板として、規格化されたデッキプレートを用いることで、経済性が向上する。
本発明は、上記の構成としたので、簡易な構成で波形鋼板のせん断座屈を防止し、波形鋼板耐震壁の耐震性能を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁について説明する。
先ず、図1、図2に示すように、鉄筋コンクリート造の柱10、12及び鉄筋コンクリート造の梁14、16に囲まれた架構18の構面に、鋼板を波形に加工した2枚の波形鋼板20、22が折り筋の向きを水平方向として対向配置され、波形鋼板20、22によって波形鋼板耐震壁24が構成されている。波形鋼板20、22の外周部には、接合用フレーム枠26が溶接され、接合用フレーム枠26を介して波形鋼板20、22が、後述する接合方法によって柱10、12及び梁14、16と接合されている。
波形鋼板20は、山部28と谷部30とが交互に連続する波形とされ、波形鋼板22は、山部32と谷部34とが交互に連続する波形とされている。そして、対向する山部28の山頂28Aと山部32の山頂32Aとを突き合わせると共に、対向する谷部30の谷底30Aと谷部34の谷底34Aとを突き合わせ、山頂28A又は谷底34Aの中央部において、山頂28Aと山頂32A、谷底30Aと谷底34Aとが溶接接合されている。なお、図2中の黒丸は溶接場所を示しており、一般的なデッキプレート等の接合に用いられる焼抜き栓溶接によって接合されている。
ここで、波形鋼板20と波形鋼板22とは同一形状の波形とされ、即ち、図2において、波形鋼板22を、鉛直方向を軸として左右に反転させて波形鋼板20の上に重ねると、山部28と谷部34、谷部30と山部32の形状がそれぞれ一致する。一方、各波形鋼板20、22について見ると、山部28と谷部30、山部32と谷部34がそれぞれ異なる大きさにされている。具体的には、山頂28Aの鉛直方向の長さが谷底30Aよりも長く、谷底34Aの鉛直方向の長さが山頂32Aよりも長くされている。このため、山部28と山部32、谷部30、谷部34を嵌め合わせると、山部28と山部32との間及び谷部30と谷部34との間に空間36、38がそれぞれ形成される。
なお、波形鋼板耐震壁24を正面(矢印A)から見たときに、前側に凸の部分を山部28、32とし、後側に凹の部分を谷部30、34としている。波形鋼板耐震壁24の正面の捉え方により、即ち、波形鋼板耐震壁24の表面と裏面のうち、何れの面を正面とするかによって各波形鋼板20、22の山部と谷部とが入れ替わるが、上記の前提は、波形鋼板20、22の接合場所を特定すべく便宜的に定めたものである。従って、正面の捉え方を変えた場合は、各波形鋼板20、22の山部と谷部を適宜入れ替えて解釈すれば良い。以下、全ての実施形態において、波形鋼板耐震壁24を正面(矢印A)から見た時に前側に凸の部分を山部とし、後側に凹の部分を谷部とする。
図3には、第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例として、架構18に4枚の波形鋼板20、22、40、42を配置して構成された波形鋼板耐震壁44を示す。波形鋼板耐震壁44は、図2に示す一体的に接合された波形鋼板20、22と、波形鋼板20、22と同様に一体的に接合された波形鋼板40、42とを架構18の構面に対向配置して構成されている。そして、波形鋼板20の山部28と、波形鋼板40の谷部46とを突き合わせ、山頂28Aと谷底46Aとを溶接することで、波形鋼板20、22、40、及び42が一体的に接合されている。なお、波形鋼板40、42は、波形鋼板20、22と同一形状の波形とされている。
図4(A)、(B)は、対向配置された波形鋼板20と波形鋼板22との接合場所を上下方向にずらして接合した第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例である。図2に示す構成では、山部28と山部32、谷部30と谷部34とを、山部28の山頂28A又は谷部34の谷部34Aの中央部において接合したが、図4(A)に示す構成では、山部28と山部32を山頂28Aの下部で接合し、谷部30と谷部34とを谷底34Aの上部で接合することで、空間36を広く確保している。なお、山部28と山部32、谷部30と谷部34との接合位置を、更に上下方向にずらして空間38を無くし、空間36を広げても良い。
図4(B)は、空間36に、長ナット48を配置した例である。長ナット48には、波形鋼板20の面外方向から山頂28Aに形成された貫通孔を通じてボルト50がねじ込まれる共に、波形鋼板22の面外方向から谷底34Aに形成された貫通孔を通じてボルト50がねじ込まれ、山部28と谷部34とが一体的に連結されている。なお、長ナット48は、波形鋼板20と波形鋼板22とを接合する前に、波形鋼板22の谷底34Aに溶接等で固定しておく。
以上の実施形態では、波形鋼板20と波形鋼板22との接合において、山部28、32の山頂同士28A、32A及び谷部30、34の谷底同士30A、34Aを溶接接合したがこれに限られず、溶接に替えて、例えばリベット、ボルト及びナット等で接合しても良い。また、山部同士28、32及び谷部同士30、34を全て接合する必要はなく、波形鋼板耐震壁24の設計強度に応じて適宜選択して接合すれば良い。長ナット48についても同様に、全ての空間36に配置する必要はなく、適宜選択して山部28と谷部34とを連結すれば良い。
更に、本実施形態では、同一形状の波形に加工された波形鋼板20、22を架構18の構面に配置したがこれに限られず、図5(A)に示すように、異なる波形形状をした2枚の波形鋼板52、54を架構18の構面に対向配置しても良い。波形鋼板52、54の波形形状を比較すると、山部56の山頂56A(h)、谷部62の谷底62A(i)、山部60の山頂60A(j)、谷部58の谷底58A(k)の順に、鉛直方向の長さが長くなっている。このように、異なる形状の波形であっても、山頂56Aと山頂60A及び谷底58Aと谷底62Aを突き合わせることができれば、波形鋼板52、54を接合することができる。また、山部56と山部60との間、谷部58と谷部62との間に空間64、66が形成されるが、図5(B)に示すように、空間64に長ナット48を配置し、波形鋼板52の面外方向から山頂56Aを貫通するボルト50をねじ込んで締め付けると共に、波形鋼板54の面外方向から谷底62Aを貫通するボルト50をねじ込んで締め付け、山部56と谷部62とを一体的に連結しても良い。
次に、波形鋼板20、22と架構18との接合方法の例について説明する。なお、第1の実施形態における接合方法について説明するが、本接合方法は、全ての実施形態に適用可能である。
図6に示すように、接合用フレーム枠26には、水平力伝達要素としてのスタッド68が溶接等によって取り付けられている。そして、架構18の施工時に、柱10、12及び梁14、16の内部にスタッド68を埋め込むことで、波形鋼板20、22と架構18とが一体的に接合される。このため、波形鋼板20、22に作用する水平力(地震力)がスタッド68を介して、架構18に伝達される。
なお、本実施形態では、接合用フレーム枠26にスタッド68を取り付け、このスタッド68を左右の柱10、12及び上下の梁14、16の内部に埋め込んで接合したが、これに限られず、波形鋼板20、22に作用する水平力を架構18に伝達できれば良い。例えば、柱10、12及び梁14、16の内周部にスタッド68等の水平力伝達要素を備えた接合用プレートを埋め込み、接合用プレートと波形鋼板20、22に取り付けられた接合用フレーム枠26とをボルト又は溶接によって接合しても良い。更に、柱10、12及び梁14、16に水平力を伝達可能なナット等のジョイント部材を、柱10、12及び梁14、16の内周部に埋め込み、このジョイント部材に波形鋼板20、22に取り付けられた接合用フレーム枠26を貫通するボルト等をねじ込んで定着させても良い。更に、波形鋼板20、22は、必ずしも柱10、12及び梁14、16の全てに接合する必要はなく、設計強度に応じて柱10、12又は梁14、16と接合しても良い。
次に、本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の作用及び効果について説明する。
架構18の構面に、2枚の波形鋼板20、22を配置することで、1枚当たりの波形鋼板が負担する耐力が小さくなるため、波形鋼板20、22の板厚を薄く抑えることができる。このように、波形鋼板の板厚を薄く抑えると、波形の加工がし易く、また、一枚一枚の波形鋼板が軽量となるため、波形鋼板の運搬や、現場での設置作業が容易となり、経済的に好ましい。更に、板厚が薄肉であれば、ルーフデッキ等のような規格化された汎用品をも流用することができるため、更に経済性が向上する。
一方、波形鋼板20、22の板厚を薄くしても、山部28と山部32又は谷部30と谷部34とを接合することで、せん断座屈を効果的に抑制することができる。即ち、図7(A)、(B)に示すように、地震等によって波形鋼板20、22に水平力(矢印B)が作用すると、波形鋼板20、22は、変形(せん断変形)を伴いながらせん断力を架構18に伝達する。このような場合、波形鋼板20、22が面外方向(矢印C)にはらみ出し、せん断座屈(弾性全体座屈)する恐れがあるが、波形鋼板20、22を接合して一体化することで、波形鋼板耐震壁24の断面2次モーメントが飛躍的に大きくなるため、上記した面外方向の変形に対する剛性(曲げ剛性)、即ち、上記した弾性全体座屈に対する座屈強度(弾性全体座屈強度)が向上し、せん断座屈が抑制される。
上記した弾性全体座屈強度と断面2次モーメントとの関係を図8(A)、(B)に示す1枚の波形鋼板70の断片70Aを例に説明すると、断片70Aの弾性全体座屈強度は、式(1)で与えられる。
Figure 0005291331
ここで、τ cr,all:弾性全体座屈強度、r:波形鋼板の波形形状端部の回転拘束による係数、D:=η×E×t/12、η:長さ効率(η=(a+c)/(a+b))、a:折り目長さ、b:折り目長さ、c:折り目の投影長さ、t:板厚、E:鋼板のヤング係数、D:=E×I、I:X軸回り(図8(B)のX軸方向回り)の断面2次モーメント、hi:図12に示す補剛リブ104等を取り付けた場合の取り付け間隔である。なお、X軸は、波形鋼板70の折り筋と直交する方向の軸であり、Y軸は、波形鋼板70の折り筋と平行な方向の軸である。このように、D(=E×I)が断面2次モーメントIに比例するため、波形鋼板70の断片70Aの断面2次モーメントIを大きくすると、弾性全体座屈強度τ cr,allが大きくなることがわかる。
波形鋼板耐震壁24について見ると、波形鋼板20、22の山部同士28、32及び谷部同士30、34を接合し、また、山部28と谷部34とを長ナット48で連結するため、断面2次モーメントが飛躍的に大きくなる。従って、弾性全体座屈強度τ cr,allが向上し、更に、波形鋼板耐震壁24のせん断座屈耐力は、弾性全体座屈強度τ cr,allに比例にするため、せん断座屈耐力が向上する。従って、波形鋼板耐震壁24のせん断座屈が抑制される。
加えて、山部28と山部32、谷部30と谷部34を嵌め合わせることで、波形鋼板耐震壁24の厚さを最小限に抑えることができ、架構18への設置幅を、1枚の波形鋼板の設置幅と同程度に小さく抑えることができる。更に、山部同士28、32、谷部30、34同士の大きさが異なるため、波形鋼板20、22の波形の加工誤差を吸収できるため、波形鋼板20、22の生産性が向上する。
なお、せん断座屈を防止する手段としては、山部と谷部とを同じ大きさにした複数の波形鋼板を重ね合わせ、ボルト接合によって一体的に接合する方法も考えられる。しかし、波形鋼板に加工誤差があると、対向する山部同士、谷部同士を嵌め合わせることができない場合がある。また、ボルト接合のみで所定の接合強度を得るためには、多くのボルトが必要となるためボルト孔の数が増え、せん断剛性・耐力の低下を招く。この点、本実施形態は、溶接又はリベット接合を基本として、必要な箇所にのみボルト接合を使用するため、せん断剛性・耐力の低下を最小限に抑えることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図9、10の示すように、架構18の構面には、鋼板を波形に加工した2枚の波形鋼板72、74が、折り筋の向きを水平方向として対向配置され、波形鋼板耐震壁76が構成されている。波形鋼板72、74の外周部には、接合用フレーム枠26が溶接され、接合用フレーム枠26を介して波形鋼板72、74が架構18を構成する柱10、12及び梁14、16と接合されている。波形鋼板72は、山部78と谷部80とが交互に連続する波形とされ、波形鋼板74は、山部82と谷部84とが交互に連続する波形とされている。また、波形鋼板72と波形鋼板74とは、同一形状の波形に加工されており、即ち、波形鋼板74を、鉛直方向を軸として左右に反転させて波形鋼板72の上に重ねると、山部78と谷部84、谷部80と山部82の形状がそれぞれ一致する。一方、各波形鋼板72、74について見ると、山部78と谷部80、山部82と谷部84とがそれぞれ異なる大きさにされ、具体的には、山頂78Aの鉛直方向の長さが谷底80Aよりも長く、谷底84Aの鉛直方向の長さが山頂82Aよりも長くされている。
波形鋼板72、74は、対向する谷底80Aと山頂82Aを突き合わせて溶接接合されると共に、山頂78Aと谷底84Aとの間に形成された空間86に長ナット48が配置されている。長ナット48には、波形鋼板72の面外方向から山頂78Aに形成された貫通孔を通じてボルト50がねじ込まれると共に、波形鋼板74の面外方向から谷底84Aに形成された貫通孔を通じてボルト50がねじ込まれ、山部78と谷部84とが一体的に連結されている。なお、長ナット48は、波形鋼板72と波形鋼板74とを接合する前に、波形鋼板74の谷底84Aに溶接等で固定しておく。なお、第1の実施形態と同様に、波形鋼板耐震壁76を正面(矢印A)から見た時に前側に凸の部分を山部78、82とし、後側に凹の部分を谷部80、84としている。
また、本実施形態では、谷底80Aと山頂82Aを溶接によって接合したが、これに限られず、溶接に替えて例えばリベット、ボルト及びナット等で接合しても良い。また、全ての谷底80Aと山頂82Aを接合する必要はなく、波形鋼板耐震壁76の設計強度に応じて適宜選択して接合すれば良い。長ナット48についても同様に、適宜選択して空間86に配置し、山部78と谷部84とを連結すれば良い。更に、本実施形態では、同一形状の波形に加工された波形鋼板72、74を対向配置して波形鋼板耐震壁76を構成したがこれに限られず、波形の形状は、本実施形態が適用可能な範囲で適宜設計変更をすれば良い。
次に、本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態と同様に、架構18の構面に2枚の波形鋼板72、74を配置することで、一枚当りの波形鋼板が負担する耐力が小さくなるため、波形鋼板72、74の板厚を薄く抑えることができる。また、谷底80Aと山頂82Aとを突き合わせて接合すると共に、山部78と谷部84とを長ナット48で連結して、2枚の波形鋼板72、74を一体化することで、第1の実施形態と同様に、波形鋼板耐震壁76の断面2次モーメントが飛躍的に大きくなる。従って、せん断座屈を抑制することができる。
なお、上記全ての実施形態では、柱10、12及び梁14、16から構成された架構18の構面に各種の波形鋼板20、22、72、74等を配置した場合の例について説明したがこれに限られず、例えば、梁14、16に替えてコンクリートスラブ又は小梁等であっても良い。更に、鉄筋コンクリート造に限られず、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレストレスコンクリート造、更には、現場打ち工法であっても、プレキャスト工法によるものであっても良い。
また、各種の波形鋼板20、22、72、74等は、図11(A)〜(D)に示すような断面形状をした波形鋼板を用いても良く、また、JIS G 3352:2003に規定されるデッキプレート等を用いても良い。更に、各種の波形鋼板20、22、72、74等は、その折り筋の向きが水平方向となるように架構18に配置したがこれに限られず、折り筋の向きを鉛直方向となるように架構18に配置しても良い。このように配置しても波形鋼板に特有の変形性能に影響はなく、優れた耐震性能は確保される。
以上、本発明の第1、第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、第1、第2の実施形態を組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す、正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す、図1の1−1線断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す、図1の1−1線断面図である。 (A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す、図1の1−1線断面の拡大図である。 (A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す、図1の1−1線断面の拡大図である。 波形鋼板耐震壁の断片を示し、本発明の全ての実施形態に係る波形鋼板耐震壁の取付構造を示す説明図である。 (A)は、本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の平面図であり、(B)は、(A)の7−7線断面を示す斜視図である。 (A)は、1枚の波形鋼板の断片を示す斜視図であり、(B)は、波形鋼板の断面形状を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す、平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す、図9の9−9線断面図である。 本発明の全ての実施形態に係る波形鋼板の断面形状を示す断面図である。 従来の波形鋼板耐震壁を示す正面図である。 従来技術を示す斜視図である。
符号の説明
10 柱(周辺部材)
12 柱(周辺部材)
14 梁(周辺部材)
16 梁(周辺部材)
18 架構
20 波形鋼板
22 波形鋼板
24 波形鋼板耐震壁
28 山部
30 谷部
32 山部
34 谷部
40 波形鋼板耐震壁
48 長ナット
50 ボルト
52 波形鋼板
54 波形鋼板
56 山部
58 谷部
60 山部
62 谷部
72 波形鋼板
74 波形鋼板
76 波形鋼板耐震壁
78 山部
80 谷部
82 山部
84 谷部
86 空間

Claims (5)

  1. 架構を構成する周辺部材に複数の波形鋼板を取り付け、対向する前記波形鋼板を正面視したとき、前側に凸の部分を山部とし後側に凹の部分を谷部として構成された波形鋼板耐震壁において、
    対向する前記波形鋼板の大きさの異なる前記山部同士及び大きさの異なる前記谷部同士の少なくとも一方、若しくは大きさの同じ前記山部と前記谷部とを接合手段により接合したことを特徴とする波形鋼板耐震壁。
  2. 一方の前記波形鋼板の前記山部に、該山部と大きさの異なる他方の前記波形鋼板の前記山部とを突き合わせると共に、一方の前記波形鋼板の前記谷部に、該谷部と大きさの異なる他方の前記波形鋼板の前記谷部とを突き合わせ、前記山部同士及び前記谷部同士の少なくとも一方を前記接合手段により接合したことを特徴とする請求項1に記載の波形鋼板耐震壁。
  3. 一方の前記波形鋼板の前記谷部に、他方の前記波形鋼板の前記山部を突き合わせて前記接合手段で接合し、一方の前記波形鋼板の前記山部と、該山部と対向する他方の前記波形鋼板の前記谷部との間に形成される空間に配置された長ナットに、面外方向からボルトをねじ込んで該山部と該谷部とを連結したことを特徴とする請求項1に記載の波形鋼板耐震壁。
  4. 前記接合手段は、溶接又はリベットであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
  5. 前記波形鋼板が、デッキプレートであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
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