LSIや超LSI等の半導体の製造或いは液晶表示板等の製造においては、半導体ウエハー或いは液晶用原板に光を照射してパターンを作製することが行われる。この場合に用いる露光原板(リソグラフィ用マスク)にゴミが付着していると、このゴミが光を吸収したり光を曲げるために、転写したパターンが変形したり、エッジががさついたものとなるほか、白地が黒く汚れたりして、寸法、品質、外観、及び完成後のデバイスの機能等が損なわれるという問題があった。
このような問題を解決するために、上記のパターンを作製する作業は、通常クリーンルームで行われているが、このクリーンルーム内においても露光原板を常に清浄に保つ事は困難であるので、露光原板の表面にゴミを付着させないように、露光用の光をよく通過させる膜を有するペリクルを貼着することが行われている(例えば、特許文献1,2)。このようにすることによって、ゴミは、露光原版の表面上に直接付着せずペリクル膜上に付着するため、露光時の焦点を露光原版のパターン上に合わせておけば、ペリクル膜上のゴミがパターンの作製に悪影響を与えることはない。
ペリクルは、フォトマスク(レチクル)上に直接貼り付けて使用するものであるために、ペリクル膜には異物が付着していない高度に清浄な膜であることが要求され、その表面には微細なごみの付着も許されない。ペリクル膜上に許容される異物のサイズは、KrF用のペリクルで0.5〜1.0μm、ArF用のペリクルで0.3〜0.5μm程度である。
一般に半導体リソグラフィに用いられるペリクルのサイズは150×125程度であり、膜面の異物検査には、暗室内で高輝度のハロゲンランプ等を用いた暗視野法による検査が行われたり、He-NeレーザーやArレーザーを用いたレーザー散乱法による検査が行われたりしている。この場合、ペリクル膜の全面を目視によって検査することは、多数の検査を行う場合の安定性や人の集中力に依存する測定結果のばらつきなどの問題が有るために、基本的にはレーザー等の散乱光をホトマルチプライヤー(以下ホトマルと呼ぶ)やCCDラインセンサーなどの半導体検出器を用いて検出する方法が採用されている。
これらの検出手段を用いる方法は、検出感度の安定性に優れるだけでなく、人による目視に比べて信頼性が高いものであるが、ホトマルや半導体検出器の検出感度も、使用時間に応じて変化が生じ、例えば、ホトマルを連続使用した場合には、経時的に感度が低下して数年で検出能力が十分に得られない場合が生じる。そこで、ペリクル膜面を検査する装置の使用時には必ず感度検定を行い、ペリクル膜上の異物を、所定の検出感度で検出できるかどうかを確認する必要がある。
ペリクル膜上の異物の検出感度を検定するためには、一般にペリクル膜表面に1,000個〜2,000個程度の標準粒子を均一に散布したペリクルを用意し、これを測定して得られたパルス信号を波高値に応じて分級し、波高値に応じたヒストグラムを得ることによって、特定のサイズの標準粒子に対する検出感度を検定する。検出感度が下がるとこのヒストグラムのピーク位置がずれてくるため正常な検出感度が得られているかどうか確認する事が可能である。
ペリクルの基本的な構成は図1及び図2に示した通りであり、ペリクル膜2がペリクル枠1の上部に張られている。ペリクル膜2は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フッ素系ポリマー等の、露光に用いる光を良く透過させる透明な膜である。前記ペリクル枠1の素材としては、例えば、黒色アルマイト処理を施したA7075、A6061、A5052等のアルミニウム合金、ステンレス、ポリエチレン、アルミニウム等の金属に塗装やコーティングを施した素材等が挙げられる。
ペリクル枠1にペリクル膜2を張るためには、ペリクル枠1の上部にペリクル膜2に対する良溶媒を塗布した後ペリクル膜を載せ、風乾して接着するか、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はフッ素樹脂等の接着剤を用いて接着される。また、ペリクル枠の下部には露光原版(レチクル)が装着されるように、ポリブテン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂又はシリコーン樹脂等からなる粘着層3が設けられ、該粘着層3の保護を目的とした粘着剤保護用ライナー4が、更に貼着されている。
本発明においては、先ず複数枚のペリクルを用意する。本発明で使用するペリクルは感度検定用として用いる物であるから、通常使用するペリクルと全く同じ構成を取る必要はないが、ペリクル用の膜面異物検査装置の校正用であるから、通常のペリクルと同様の構成と構造を有することが好ましい。この場合、これらペリクル構成部材の大きさは、通常のペリクル、例えば半導体リソグラフィ用ペリクル、大型液晶表示板製造リソグラフィ工程用ペリクル等と同様であり、またその材質も、前記したような公知の材質とする事が出来る。
本発明で使用するペリクル膜の種類については特に制限はなく、例えば、従来からエキシマレーザー用に使用されている、非晶質フッ素ポリマー、セルロース等が用いられる。非晶質フッ素ポリマーの例としては、サイトップ(旭硝子(株)製の商品名)、テフロン(登録商標)AF(デュポン(株)製の商品名)等があげられる。これらのポリマーは、ペリクル膜作製時に必要に応じて溶媒に溶解して使用しても良く、例えば、フッ素系溶媒等で適宜溶解しても良い。
本発明において使用される、ペリクルフレームの母材としては、従来使用されているアルミ合金材、好ましくは、JIS A7075、JIS A6061、JIS A5052材等が用いられるが、アルミ合金材以外の樹脂やガラス等であっても、ペリクルフレームとしての強度が確保される限り特に制限されることはない。
本発明で使用するペリクルにおける4つのペリクルフレーム側面の何れかには、通気口を形成しても良い。該通気口のサイズ及びその形状については、特に制限はないが、該通気口に設置するフィルターのメッシュサイズ、濾過面積又はこれらから求められる通気量によって、そのサイズ及び形状を設計すればよい。
ペリクル膜接着用の接着剤としては、従来から使用されている物を適宜選択して使用することができる。このような接着剤としては、例えばアクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤、含フッ素シリコーン接着剤等を挙げることが出来る。
一方、マスク(レチクル)用の粘着剤としては、シリコーン樹脂粘着剤、アクリル系粘着剤、SEBS(スチレンーエチレンーブチレンースチレン)を始めとするホットメルト系粘着剤等を挙げることが出来るが、適当な接着強度が得られる限り、特に制限されることはない。
本発明においては、これらの粘着剤層の表面を、フレームの一端面に塗布した後に平坦に成形加工しても良い。例えば、吐出ノズルから粘着剤又はその溶液を吐出させてノズル先端にビードを形成させ、該ビードをフレーム端面と接触させ、その後ノズルをフレームに沿って移動させる。このようにしてフレーム全周に渡って均一に粘着剤を塗布した後、熱硬化型粘着剤であれば、加熱処理した半硬化時に粘着剤表面を加圧して平坦化処理をする。またホットメルト型粘着剤であれば、塗布硬化後に再加熱しながら加圧して平坦にすれば良い。
本発明で使用するペリクルは、通常の方法でペリクル枠1の上端面にペリクル膜接着用接着剤層を介してペリクル膜2を張設した後、通常は更に、下端面にレチクル貼り付け用粘着剤層3を形成し、このレチクル貼り付け用粘着剤層の下端面に離型層となるライナー4を剥離可能に貼り付けすることによって製造することが出来る。
また、ペリクルフレーム1の上端面に形成されるペリクル膜2の貼り付け用接着剤層(図示せず)は、必要により溶媒で希釈してペリクルフレーム上端面に塗布し、加熱して乾燥し、硬化させることによって形成することが出来る。この場合の接着剤の塗布方法としては、刷毛塗り、スプレー塗り、自動ディスペンサーによる塗布等の方法が採用される。
本発明に使用するレチクル粘着剤保護用ライナーの材質は、特に制限されるものではない。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、塩ビ、PP(ポリプロピレン)等がライナーとして使用される。これらのライナーは、検査機による検査感度検定時の検査を妨げる形状でないことが必要である。具体的には、フレームと同サイズか、ややフレームより大きく仕上げられたものであることが好ましい。
次に、上記の様にして準備したペリクルに標準粒子を付着させる方法について説明する。まず、ペリクル膜面に粒子の付着していないペリクルを用意し、標準粒子のエアロゾルを散布できるエアロゾル発生器(例えばAEROMASTER-V:JSR株式会社製商品名)を用いて、ペリクル膜上に、所望の粒径を持った標準粒子を数百個散布する(工程(1))。次いで図3の工程図に示すような手順で標準粒子の転写操作を行う。
まず、標準粒子を散布したペリクルと同じサイズのペリクルの膜側を、標準粒子を散布したペリクル側に対向させてゆっくりと密着させる(工程(2))。密着させる速度に特に制限はないが、貼り合わせ後の膜の間に気泡が残ることを防止するために出来るだけゆっくり貼り合わせることが好ましく、特に毎秒10cm以下の速度で貼り合わせると良い。次いで、ペリクル膜間に気泡が入らないように膜と膜を密着させる。
密着させる方法としては、清浄なものを用いて押圧したり、クリーンエアガンによって風圧を与えたりする方法等がある。そのまま密着すれば特別な操作を施す必要はない。膜が密着したら、次に2枚のペリクルをゆっくりと剥離する(工程(3))。剥離する速度に特に制限はないが、余り早く剥離すると他の異物を捲き込んだり、膜に皺が入ったりすることがあるため、貼り合わせ速度と同じく毎秒10cm以下の速度で剥離することが好ましい。
剥離後のペリクル膜上を検査し転写側の膜に所望の粒子数の標準粒子が所望の位置に転写されれば感度検定用のペリクルが完成する。もし粒子数が多い場合には、新たなペリクルを用いて、前記(3)の工程で転写されたペリクルを新たな標準粒子付着ペリクルとして、前記(2)及び(3)の工程を繰り返す。図4には、2回の転写を行った場合を示した。これによっても、所望の感度検定用のペリクルが得られない場合には、必要な粒子数となるまで前記(2)及び(3)の操作を繰り返せばよい。通常、数回の操作によって所望する標準粒子付き感度検定用ペリクルを得ることができる。
以下に、実施例によって本発明を更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
ペリクルフレームとして、フレーム外寸が、縦149mm×横122mm×高さ5.8mmで、フレーム厚さ2mm、両端面のC面サイズをC0.2とした、材質がA7075−T651のアルミニウム合金製のものを用意した。このフレームの一側面の中央1ヶ所に、直径0.5mmの通気孔を設けた。
上記フレームの表面を洗浄した後、ガラスビーズを使用する、吐出圧1.5Kg/cm2のサンドブラスト装置により1分間表面処理し、表面を粗面化した。次いで、粗面化したフレームをNaOH処理浴中で10秒間処理して洗浄した後、化成電圧10V(1.3A)を印可し、液温18℃の14%硫酸水溶液中で陽極酸化を行った。次いで、黒色染料を用い、封孔処理して表面に黒色の酸化被膜を形成させた。この後5分間、超純水を用い、超音波洗浄装置で洗浄した。
次ぎにこのフレームの内側面に、スプレーコーティング装置を用いてアクリル系粘着剤を、厚みが10μmとなるようにコーティングし、次いで前記した通気口に、材質がPTFEで、塵埃濾過サイズが0.1μm〜3.0μmの場合に99.9999%ろ過できる、巾8mm高さ2.5mm、厚さ300μmのフィルターを設置した。
次いで、テフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製の商品名)をフッ素系溶剤・フロリナートFC−75(米国スリーエム社製の商品名)に溶解させて、濃度8質量%の溶液を調製した。この溶液を、直径250mmで厚さ600μmの鏡面研磨したシリコン基板の表面に流し、スピンコーターを用いて膜の厚みが0.83μmの透明膜を形成させた。
次に、この膜に外寸が縦200mm×横200mm×高さ5mm、厚さ5mmの枠を、エポキシ系接着剤アラルダイトラピッド(昭和高分子(株)製の商品名)を用いて接着し、シリコン基板から剥離した。
更に、前記のようにして準備した、アルミニウム合金製ペリクルフレームの一端面に、レチクル接着剤としてアクリル系粘着剤を塗布した。
上記の、アルミニウム合金製ペリクルフレームの一端面に塗布したアクリル系粘着剤を、130℃で30分間加熱し、硬化させた。
また、このアルミニウム合金製ペリクルフレームにおける別の一端面上に、フッ素系溶媒CTソルブ180(旭硝子(株)製の商品名)に溶解させたフッ素系高分子ポリマーCTX(旭硝子(株)製の商品名)を塗布し、100℃で10分間加熱して乾燥硬化させた。PET製のライナーを用意し、CCDカメラによる画像処理位置決め機構を有するライナー貼り付け装置によって、前記ライナーを前記レチクル粘着剤に貼り合わせた。
次に、ライナーを貼着させた端面と反対側のフレーム端面を、既に用意したテフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製商品名)の膜表面に密着させた後、赤外線ランプによってフレームを加熱し、フレームに上記のテフロン(登録商標)膜を融着させた。二つのフレームを、ペリクルフレームの接着面を上向きにして固定用の治具に取り付け、相対的に互いの位置がずれないように固定した。次いで、ペリクルフレームの外側の枠を引き上げて固定し、ペリクルフレームの外側の膜に0.5g/cmの張力を加えた。
次いで、スカラーロボットに取り付けたカッターに、チューブ式ディスペンサを用いて、フロリナートFC75(デュポン社製の商品名)を毎分10マイクロリットル滴下しながら、前記ペリクルフレームの接着剤部分の周辺部に沿ってカッターを移動させ、ペリクルフレーム外側の不要な膜を切断し除去した。
この様にして作製したペリクルを5枚用意した。次いで完成した1枚のペリクル膜の全面に、エアロゾル発生器を用いて0.3μmの標準粒子を約500個散布した。この標準粒子を散布したペリクルに、粒子の付着していないペリクルを毎秒1cmの速度で貼り合わせ、膜面に風圧を加えて膜間の気泡を完全に除去した。
次いで、標準粒子を散布したペリクルを固定具に固定し、貼り合わせた側のペリクルを毎秒1mmの速度で剥離した。剥離後の膜面の標準粒子数は20個であり、ペリクル面内にまばらに分散して転写されていることを確認し、標準粒子付きの検定用ペリクルを得た。
フレーム外寸が縦149mm×横122mm×高さ5.8mm、フレーム厚さ2mm、両端面のC面サイズをC0.2とした、材質がA7075−T651のアルミニウム合金製のものを用意した。このフレームの一側面の中央1ヶ所に、直径0.5mmの通気孔を設けた。
このフレームの表面を洗浄した後、ガラスビーズを使用する吐出圧1.5Kg/cm2のサンドブラスト装置によって、1分間表面処理して表面を粗面化した。次いで、このフレームをNaOH処理浴中にて10秒間処理し洗浄した後、化成電圧10V(1.3A)を印可し、液温18℃の14%硫酸水溶液中で陽極酸化を行った。次いで、黒色染料を用いて封孔処理し、表面に黒色の酸化被膜を形成させた。この後5分間、超純水を用い、超音波洗浄装置で洗浄した。
次に、このフレームの内面にスプレーコーティング装置を用いて、アクリル系粘着剤を10μmの厚みとなるようにコーティングし、次いで前記した通気口に、材質がPTFEで、塵埃濾過サイズが0.1μm〜3.0μmの場合に99.9999%がろ過される、巾8mm、高さ2.5mm、厚さ300μmのフィルターを設置した。
テフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製の商品名)をフッ素系溶剤・フロリナートFC−75(米国スリーエム社製の商品名)に溶解させて濃度が8質量%の溶液を調整した。次に、この溶液を、直径250mm、厚さ600μmの鏡面研磨したシリコン基板の表面に流し、スピンコーターを用いて、膜の厚みが0.83μmの透明膜を形成させた。
次に、この膜に外寸が縦200mm×横200mm×高さ5mm、厚さ5mmの枠を、エポキシ系接着剤アラルダイトラピッド(昭和高分子(株)製の商品名)を用いて接着し、シリコン基板から剥離した。
次に、前記のようにして準備したアルミニウム合金製ペリクルフレームの一端面に、レチクル貼着用のアクリル系粘着剤を塗布した。
上記のアクリル系粘着剤を130℃で30分間加熱して硬化させた。
また、このアルミニウム合金製ペリクルフレームにおける別の一端面上に、フッ素系溶媒CTソルブ180(旭硝子製商品名)に溶解したフッ素系高分子ポリマーCTX(旭硝子製商品名)を塗布し、100℃で10分間加熱して乾燥硬化させた。PET製ライナーを用意し、CCDカメラによる画像処理位置決め機構を有するライナー貼り付け装置によって、レチクル接着剤に貼り合わせた。
次に、上記ペリクルフレームのライナーを貼りあわせた側と反対側の端面を、既に用意したテフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製商品名)の膜表面に密着させた後、赤外線ランプによってフレームを加熱し、該フレームにテフロン(登録商標)膜を融着させた。二つのフレームを、ペリクルフレームの接着面を上向きにして固定用の治具に取り付け、相対的に互いの位置がずれないように固定した。次いで、ペリクルフレームの外側の枠を引き上げて固定し、ペリクルフレームの外側の膜に0.5g/cmの張力を加えた。
次いで、スカラーロボットに取り付けたカッターに、チューブ式ディスペンサを用いてフロリナートFC75(デュポン社製商品名)を毎分10マイクロリットル滴下しながら、前記ペリクルフレームの接着剤部分の周辺部に沿ってカッターを移動させ、ペリクルフレームの外側の、膜の不要部分を切断して除去した。この様にして作製したペリクルを5枚用意した。次いで5枚の内の一枚のペリクルのペリクル膜の全面に、エアロゾル発生器を用いて1.0μmの標準粒子を約100個散布した。この標準粒子を散布したペリクルに、粒子の付着していないペリクルを毎秒1cmの速度で貼り合わせ、膜面にエアブローによる風圧を加え、膜間の気泡を完全に除去した。
次いで、標準粒子を散布したペリクルを固定具に固定し、貼り合わせた側のペリクルを毎秒1mmの速度で剥離した。剥離後の膜面に付着した標準粒子の数は10個であり、ペリクル膜面内に、まばらに分散して転写されていることを確認し、標準粒子付きの検定用ペリクルを得た。
[比較例1]
フレーム外寸が縦149mm×横122mm×高さ5.8mm、フレーム厚さ2mm、両端面のC面サイズをC0.2とした、材質がA7075−T651のアルミニウム合金製のものを用意した。このフレームの一側面の中央1ヶ所に、直径0.5mmの通気孔を設けた。
このフレームの表面を洗浄した後、ガラスビーズを使用する吐出圧1.5Kg/cm2のサンドブラスト装置を用いて1分間表面処理し、表面を粗面化した。次いでこのフレームをNaOH処理浴中で10秒間処理して洗浄した後、化成電圧10V(1.3A)を印可し、液温が18℃の14%硫酸水溶液中で陽極酸化した。次いで、黒色染料を用いて封孔処理し、表面に黒色の酸化被膜を形成させた。この後5分間、超純水を用い、超音波洗浄装置で洗浄した。
このフレームの内面にスプレーコーティング装置を用いて、アクリル系粘着剤を、厚みが10μmとなるようにコーティングし、次いで前記した通気口に、材質がPTFEで、塵埃濾過サイズが0.1μm〜3.0μmである場合に99.9999%がろ過される、巾8mm高さ2.5mm、厚さ300μmのフィルターを設置した。
次いで、テフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製商品名)をフッ素系溶剤・フロリナートFC−75(米国スリーエム社商品名)に溶解させて、濃度が8質量%の溶液を調製した。この溶液を、直径250mmで厚さ600μmの鏡面研磨したシリコン基板の表面の流し、スピンコーターを用いて、膜の厚みが0.83μmの透明膜を得た。
次に、この膜に外寸が縦200mm×横200mm×高さ5mm、厚さ5mmの枠を、エポキシ系接着剤アラルダイトラピッド(昭和高分子(株)製の商品名)を用いて接着し、シリコン基板から剥離した。
次に、前記のようにして準備したアルミニウム合金製ペリクルフレームの一端面に、レチクル貼着用のアクリル系粘着剤を塗布した。このアクリル系粘着剤を130℃で30分間加熱して硬化させた。
また、このアルミニウム合金製ペリクルフレームの、別の一端面上にフッ素系溶媒CTソルブ180(旭硝子(株)製の商品名)に溶解したフッ素系高分子ポリマーCTX(旭硝子(株)製の商品名)を塗布し、100℃で10分加熱して乾燥硬化させた。PET製ライナーを用意し、CCDカメラによる画像処理位置決め機構を有するライナー貼り付け装置によって、このライナーを前記レチクル粘着剤に貼り合わせた。
次に、既に用意した前記テフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製商品名)の膜表面に、上記フレームのライナーを貼りあわせた端面とは反対側の端面を密着させた後、赤外線ランプによってフレームを加熱し、フレームに膜を融着させた。二つのフレームを、ペリクルフレームの接着面を上向きにして固定用の治具に取り付け、相対的に互いの位置がずれないように固定した。次いで、ペリクルフレームの外側の枠を引き上げて固定し、ペリクルフレームの外側の膜に0.5g/cmの張力を加えた。
次いで、スカラーロボットに取り付けたカッターに、チューブ式ディスペンサを用いてフロリナートFC75(デュポン社製の商品名)を毎分10マイクロリットル滴下しながら、前記ペリクルフレームの接着剤部分の周辺部に沿ってカッターを移動させ、ペリクルフレームの外側の、不要な膜部分を切断して除去した。この様にして作製したペリクルを5枚用意した。次いで、完成した一つのペリクルのペリクル膜全面に、エアロゾル発生器を用いて0.3μmの標準粒子を、散布密度が低くなるように設定して散布したが、付着した粒子数は203個と多く、所望する検定用ペリクルは得られなかった。
[比較例2]
ペリクルフレームとして、フレーム外寸149mm×122mm×5.8mm、フレーム厚さ2mm、両端面のC面サイズをC0.2としたA7075−T651のアルミニウム合金製フレームを用意した。このフレームの一側面中央1ヶ所に直径0.5mmの通気孔を設けた。
このフレームの表面を洗浄した後、ガラスビーズを使用する吐出圧1.5Kg/cm2のサンドブラスト装置を用いて1分間表面処理し、表面を粗面化した。次いで、このフレームをNaOH処理浴中にて10秒間処理し、洗浄した後、化成電圧10V(1.3A)を印可し、液温18℃の14%硫酸水溶液中で陽極酸化した。次いで、黒色染料を用いて封孔処理し、表面に黒色の酸化被膜を形成した。この後5分間、超純水を用い、超音波洗浄装置で洗浄した。
次いで、このフレームの内面に、スプレーコーティング装置を用いて、アクリル系粘着剤を、厚さが10μmとなるようにコーティングした。次いで前記の通気口に、材質がPTFEで、塵埃濾過サイズが0.1μm〜3.0μmの場合に99.9999%がろ過される、巾8mm高さ2.5mm、厚さ300μmのフィルターを設置した。
次に、 テフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製の商品名)をフッ素系溶剤・フロリナートFC−75(米国スリーエム社の商品名)に溶解させて、濃度が8質量%の溶液を調整した。この溶液を、直径250mm、厚さ600μmの鏡面研磨したシリコン基板の表面に流し、スピンコーターを用いて膜の厚みが0.83μmの透明膜を形成させた。
次に、この膜に外寸が縦200mm×横200mm×高さ5mm、厚さ5mmの枠を、エポキシ系接着剤アラルダイトラピッド(昭和高分子(株)製の商品名)を用いて接着し、シリコン基板から剥離した。
次に、前記のようにして準備したアルミニウム合金製ペリクルフレームの一端面に、レチクル貼着用のアクリル系粘着剤を塗布した。
塗布したアクリル系粘着剤を130℃で30分間加熱し硬化させた。
また、このアルミニウム合金製ペリクルフレームの別の一端面上に、フッ素系溶媒CTソルブ180(旭硝子(株)製の商品名)に溶解したフッ素系高分子ポリマーCTX(旭硝子(株)製の商品名)を塗布し、100℃で10分間加熱して乾燥硬化させた。一方、PET製ライナーを用意し、CCDカメラによる画像処理位置決め機構を有するライナー貼り付け装置によって、用意したライナーをレチクル粘着剤に貼り合わせた。
次に用意したテフロン(登録商標)AF1600(米国デュポン社製商品名)の膜表面に、上記ペリクルフレームのライナーを貼りあわせた端面とは反対側の端面を密着させた後、赤外線ランプにてフレームを加熱し、フレームに膜を融着させた。二つのフレームを、ペリクルフレームの接着面を上向きにして固定用の治具に取り付け、相対的に互いの位置がずれないように固定した。次いで、ペリクルフレームの外側の枠を引き上げて固定し、ペリクルフレームの外側の膜に0.5g/cmの張力を加えた。
次いで、スカラーロボットに取り付けたカッターに、チューブ式ディスペンサを用いてフロリナートFC75(デュポン社製商品名)を毎分10マイクロリットル滴下しながら、前記ペリクルフレームの接着剤部分の周辺部に沿ってカッターを移動させ、ペリクルフレーム外側の、不要となった膜部分を切断して除去した。この様にして作製したペリクルを5枚用意した。次いで、完成した一枚のペリクルのペリクル膜全面に、エアロゾル発生器を用いて、0.3μmの標準粒子を散布密度が低くなるように設定して散布したところ、ペリクル膜面には粒子が付着しなかった。
以下同様に実施した試験結果を表1に示した。表1の結果から、本発明の有効性が実証された。