JP5290656B2 - ホウ素ドープダイヤモンドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電極等に適用できるホウ素ドープダイヤモンドの製造方法関する。
ホウ素をドープしたダイヤモンド(以下、ホウ素ドープダイヤモンドとする)は、導電性があり、工業電解や電気化学センサー等の電極に利用できる。また、ホウ素ドープダイヤモンドは、絶縁体のダイヤモンドよりも電子放出しやすく、電界電子放出デバイスへの応用も検討されている。特に、粉体(粒子状)のホウ素ドープダイヤモンドは、成形し易く大表面積となることから、応用範囲が広くなる。粉体のホウ素ドープダイヤモンドを製造する方法として、以下の方法が考えられる。
(1)ダイヤモンド砥粒の製造方法と同じように、高温高圧法によって作製したダイヤモンドの塊を粉砕して導電性ダイヤモンド粒子を得る方法(特許文献1〜3参照)。具体的には、ホウ素を0.5wt%以上15wt%以下含む黒鉛と、ダイヤモンド転換金属触媒とを、1200℃以上の温度及び4.5GPa以上の圧力の高温高圧下で共存させ、黒鉛をダイヤモンドに変換すると、20〜30μmの微粒子が集合した7mm径のダイヤモンド集合体が得られる。そのダイヤモンド集合体を乳鉢で擦りつぶしてダイヤモンド粒子を製造する。
(2)マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、粒子状材料の表面に直接ダイヤモンドを成膜する方法。流動層を用いたバッチ式(特許文献4〜5参照)や、回転反応容器の回転と勾配を利用した方式(特許文献6参照)が開示されている。具体的には、タングステンやモリブデン等の耐熱金属の粉末や、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、ダイヤモンド等のセラミックスの粉末をダイヤモンド析出材料として、プラズマ発生室に入れる。流動法、振動床法、移動床法等の粉体流動手段によって、該ダイヤモンド析出材料を流動状態に保ち、流動層中にプラズマを励起することで、ダイヤモンド析出材料の表面に導電性ダイヤモンドを析出させて成る粉体を得る。
(3)核付け処理したシリコンウェハにダイヤモンドを成膜し、次に、フッ化水素酸等によってシリコンを溶解し、自立ダイヤモンドを得た後、乳鉢等による粉砕を行って、導電性ダイヤモンド粒子を製造する方法。
特許第3398759号公報 特開2005−290403号公報 WO2005/065809号公報 特公昭60−57568号公報 特開昭63−270394号公報 特許第2697559号公報
上記(1)の方法では、得られた導電性ダイヤモンド粒子中に、金属触媒である鉄やコバルト等の不純物が混在するため、王水等の強酸による洗浄が後処理として必要となり、粉体の導電性ダイヤモンドを製造するための工程が煩雑となる。
また、導電性ダイヤモンド粒子を得るためには、7mm径のダイヤモンド集合体を粉砕しなければならないが、高硬度のダイヤモンドの粉砕には大変な労力が必要となり、粉砕できたとしても、大きさが様々なダイヤモンド粒子の混合物となるため、所定の粒径を有するダイヤモンド粒子を得るためには、煩雑な精製作業が必要となる。
上記(2)の方法では、プラズマ発生室の基板ホルダー上に置かれたダイヤモンド析出材料の上面からプラズマが照射されるため、そのままでは、ダイヤモンド析出材料の表面全面に導電性のダイヤモンド層を析出させることは困難である。これを解決する方法として、ダイヤモンド析出材料の流動層を用いる方法や、ダイヤモンド析出材料の粉体を連続供給する機構を盛り込んだ方法が考案されているが、粒径が数μm以下の粒子は凝集しやすく、均一にダイヤモンドを成膜することが難しい。さらに、反応容器を回転させたりすると、プラズマを安定に保持することが困難になり、また、プラズマに曝されるダイヤモンド析出材料の粉体が同一平面に位置するように調整する必要が生じる等、製造条件を整えることが困難になってしまう。
上記(3)の方法では、基板となるシリコンを再生することができず、また、シリコンを溶解する操作に多大な時間を要する。さらに、シリコンの溶解にはフッ素系の強酸を使うので、環境負荷が大きくなってしまう。
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、ホウ素ドープダイヤモンド粒子の製造を容易化することができる、ホウ素ドープダイヤモンドの製造方法提供することを目的とする。
(1)請求項1の発明は、
CVD法を用い、ホウ素ドープダイヤモンドを、タングステン又はその酸化物が少なくとも表面の一部に露出した基板上に成長させるウ素ドープダイヤモンドの製造方法であって、
前記基板の表面粗さが0.5μm以下であり、
前記基板の表面において、タングステン又はその酸化物から成る領域と、タングステンを含まない領域とが混在し、
前記ホウ素ドープダイヤモンドを前記基板上で成長させた後、前記ホウ素ドープダイヤモンド及び前記基板の温度を、前記成長のときよりも下げる冷却工程を有し、
前記冷却工程のとき、又は前記冷却工程の後、前記基板のうち、前記ホウ素ドープダイヤモンドを成長させた面を水平方向に対し傾斜させることを特徴とするホウ素ドープダイヤモンドの製造方法を要旨とする。
本発明では、基板の表面に、タングステン又はその酸化物が露出しているので、少なくともその部分において、ホウ素ドープダイヤモンドを成長させることができる。例えば、図2(a)に示すように、タングステンから成る基板101の表面に薄片状のホウ素ドープダイヤモンド103を成長させることができる。
この薄片状のホウ素ドープダイヤモンド103は、例えば、基板101を室温に冷却することで、基板101から容易に剥離させることができる。そして、薄片状のホウ素ドープダイヤモンド103は、それを容易に粉砕し、粒径の揃った粉体とすることができる。よって、本発明を用いれば、ホウ素ドープダイヤモンドの粉体を容易に製造することができる
本発明では、基板の表面粗さ(Ra)が0.5μm以下であるので、基板上で成長したホウ素ドープダイヤモンドを基板から容易に剥離させることができる。そのため、ホウ素ドープダイヤモンド、及びその粉体の製造が一層容易になる。
基板の表面粗さ(Ra)の下限は、ホウ素ドープダイヤモンドの剥離し易さの点では、特に制限はない。基板の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上であれば、基板の表面を仕上げることが容易になる
本発明によれば、ホウ素ドープダイヤモンドの粉体を易に製造することができる。すなわち、図2(b)に示すように、タングステン又はその酸化物から成る領域と、タングステンを含まない領域とが混在する基板201(例えば、タングステンとチタンとの焼結体)上でホウ素ドープダイヤモンドを成長させると、主として、タングステン又はその酸化物から成る領域において、その領域の大きさに対応した、粒子状のホウ素ドープダイヤモンド203が局所的に成長する。粒子状のホウ素ドープダイヤモンド203は、基板を冷却することにより、基板201から剥離させることができる。
よって、本発明によれば、ホウ素ドープダイヤモンドを粉砕する工程を省略するか、その工程を簡易化して、粒子状のホウ素ドープダイヤモンドを製造することができる。
前記タングステンを含まない領域を構成する物質としては、タングステン又はその酸化物に比べてホウ素ドープダイヤモンドの成長が生じ難い材質であれば広く用いることができ、例えば、銅、カーボン、チタン等が挙げられる
本発明では、冷却工程のとき、基板とホウ素ドープダイヤモンドとが剥離すると、冷却工程のとき、又は冷却工程の後において、基板が水平方向に対し傾斜しているため、ホウ素ドープダイヤモンドが基板から滑り落ちる。
そのため、ホウ素ドープダイヤモンドの成長工程が終わるたびに、CVDチャンバーを開放し、基板からホウ素ドープダイヤモンドを取り外す工程が不要となり、連続してホウ素ドープダイヤモンドの合成を行うことができる。結果として、ホウ素ドープダイヤモンドの生産性が向上する。
前記冷却工程は、基板を室温にて放置する自然冷却であってもよいし、基板を公知の冷却手段を用いて冷却するものであってもよい。
前記基板は、常時傾斜していてもよいし、冷却工程のとき、又は冷却工程の後でのみ傾斜させてもよい
本発明の実施形態を説明する。
(1)ホウ素ドープダイヤモンドの製造
マイクロ波プラズマCVD法を用い、表1に示す条件A〜Rにて、ホウ素ドープダイヤモンドを、基板上に成長させた。
マイクロ波プラズマCVD法において、炭素源及びホウ素源は、アセトンとメタノールとの混合溶媒に酸化ホウ素を溶解させた溶液(ホウ素溶液)を水素ガスでバブリングすることにより発生したガスを用いた。このホウ素溶液におけるB(ホウ素)/C(炭素)比は、10,000ppmとした。また、マイクロ波プラズマCVD法におけるその他の成膜条件は、以下のようにした。
マイクロ波の周波数:2.45GHz
マイクロ波プラズマ出力:8kW
圧力:120Torr
水素ガス:500sccm
基板温度:900℃
各条件において、基板は、上記表1における「基板」に記載された材質のものを用いた。表1における「表面粗さ」は基板の表面粗さ(Ra)であり、測定装置としてキーエンス社のレーザー顕微鏡を用い、非接触で面粗1を測定したものである。表1の「表面処理」における「酸素プラズマ」とは、タングステン基板の表面に酸素プラズマ照射を行い、酸化タングステン層を形成する処理である。
各条件において、ホウ素ドープダイヤモンドの成長は、6〜12時間行い、各条件におけるホウ素ドープダイヤモンドの膜厚を数μmから数十μmとした。ホウ素ドープダイヤモンドを成長させる工程の終了後、CVD装置を自然冷却した。その後、ホウ素ドープダイヤモンドの薄片を、基板から取り外した。
(2)ホウ素ドープダイヤモンドの評価
得られた試料について、走査型電子顕微鏡による表面観察、ラマン分光測定、X線回折測定、四端子法による電気抵抗率測定を用いて、ホウ素ドープダイヤモンドが成長したか否かを確認した。ホウ素ドープダイヤモンドが成長した場合は◎と評価し、成長しなかった場合は×と評価した。
また、ホウ素ドープダイヤモンドと基板との剥離性を以下の基準で評価した。
◎:CVD装置の冷却終了時に、ホウ素ドープダイヤモンドと基板とが完全剥離
○:CVD装置の冷却終了時に、ホウ素ドープダイヤモンドと基板とがほぼ剥離
△:CVD装置の冷却終了時に、ホウ素ドープダイヤモンドと基板とが一部剥離
×:CVD装置の冷却終了時に、ホウ素ドープダイヤモンドと基板とが未剥離
評価結果を上記表1に示す。表1から明らかなように、基板がタングステンから成る場合、ホウ素ドープダイヤモンドの成長が見られた。また、基板の表面粗さが0.5μm以下のタングステン基板を用いた場合、ホウ素ドープダイヤモンドと基板との剥離性が良好であった。
また、基板に酸素プラズマ処理をした場合と、その処理をしていない場合とで、ホウ素ドープダイヤモンドの成長、及び剥離性において差は見られなかった。このことから、例えば、ホウ素ドープダイヤモンドを基板から除去するために、加熱処理や酸素プラズマ照射等の酸化処理を用い、それに伴って基板が酸化されても、基板を再利用することが可能であることが確認できた。
基本的には前記実施例1の条件と同様にして、ホウ素ドープダイヤモンドを製造した。ただし、本実施例2では、基板として、以下のものを用いた。
鏡面仕上げを施した多角錐(ピラミッド型)のカーボン材料の表面に、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用い、タングステン層を形成させたものを基板とした。タングステン層の形成条件は、以下のものとした。
ターゲット:純度99.9999%
雰囲気:アルゴンガス
真空度:0.6Pa
出力:70W
成膜時間:1時間
タングステン層の膜厚:5μm
この基板は、ホウ素ドープダイヤモンドを成長させる面が、水平面に対し傾斜している。この基板を用いて前記実施例1の条件と同様にホウ素ドープダイヤモンドを合成したところ、CVD合成中は良好にホウ素ドープダイヤモンドが成長し、CVD合成終了後に基板が自然冷却されると同時に、ホウ素ドープダイヤモンド層が完全に基板から剥離し、多角錐の傾斜に沿って基板から流れ落ち、基板下端で回収することができた。
そのため、ホウ素ドープダイヤモンドの成長工程が終わるたびに、CVDチャンバーを開放し、基板からホウ素ドープダイヤモンドを取り外す工程が不要となり、連続してホウ素ドープダイヤモンドの合成を行うことができる。結果として、ホウ素ドープダイヤモンドの生産性が向上する。
基本的には前記実施例1の条件と同様にして、ホウ素ドープダイヤモンドを製造した。ただし、本実施例3では、基板として、タングステンとチタンとの焼結体を用いた。この焼結体から成る基板は、以下のようにして製造した。
タングステン粉末とカーボン粉末とを混合した後、炭化、粉砕し、タングステンカーバイドを得た。これにチタンカーバイドを混合、造粒し、プレスした後に焼結を行い、整形加工したものをラッピングして、焼結体から成る基板を得た。
この基板の表面を走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置(SEM-EDX)とを用いて評価した。図1はホウ素ドープダイヤモンドを成膜する前における基板表面のEDXマッピング図である。10μmから20μm程度の大きさのタングステンの領域(図1において白く見える領域)が、チタンの領域(図1において黒く見える領域)の中で分散していることが確認できた。
上述した基板を用い、前記実施例1の条件と同様にして、2時間ホウ素ドープダイヤモンドを成長させたところ、終了後にチャンバー内の基板を見ても全く変化は見られず、基板上にホウ素ドープダイヤモンドの膜が存在しなかった。ところが、基板周辺にはホウ素ドープダイヤモンドの粒子が多数散乱していることが確認された。これは、図2(b)に示すように、基板201のうち、タングステンの領域のみにホウ素ドープダイヤモンド203が形成され、CVD合成後に基板201が自然冷却されると同時に、粒子状のホウ素ドープダイヤモンド203が基板201から剥離し、飛散したためであると考えられる。よって、上述した方法によれば、粉砕工程を行わなくても、ホウ素ドープダイヤモンドの粉体を得ることができる。
また、上述した基板を用い、前記実施例1の条件と同様にして、10時間ホウ素ドープダイヤモンドを成長させたところ、CVD終了後に、完全剥離した自立ダイヤモンド薄膜を回収することができた。おそらく、成長時間が長いと、タングステンの領域に形成されたホウ素ドープダイヤモンドが水平方向にも成長したため膜状となり、最終的に自立ダイヤモンド薄膜として回収されたと推察される。
(1)導電性ダイヤモンド粒子の製造
前記実施例1〜3で得られたホウ素ドープダイヤモンドの薄片をメノー乳鉢で3時間粉砕し、ホウ素ドープダイヤモンドの粒子(導電性ダイヤモンドの粒子)を製造した。ホウ素ドープダイヤモンドの薄片の厚みは数μmから数十μm程度であるから、粉砕は容易であった。なお、粉砕には、遊星ボールミル等の粉砕機を用いてもよい。
(2)導電性ダイヤモンド粒子の評価(その1)
前記実施例1の条件で製造された、膜厚が10μmのホウ素ドープダイヤモンドを粉砕して得られた導電性ダイヤモンド粒子(以下、導電性ダイヤモンド粒子αとする)の形態を走査型電子顕微鏡で観察した。図3は導電性ダイヤモンド粒子αの形態を表す走査型電子顕微鏡写真である。導電性ダイヤモンド粒子αの粒径は、最大でも30μm×30μm×10μmであり、粒径は一様に揃っていた。このように、本実施例で製造した導電性ダイヤモンド粒子αは、微粒子化されており、均一な粒径を有することが分かった。
また、レファレンスとして、厚みが0.8mmのダイヤモンド板を、メノー乳鉢を用いて同様に粉砕して得られた粒子(以下、ダイヤモンド粒子βとする)の形態を走査型電子顕微鏡で観察した。図4は導電性ダイヤモンド粒子βの形態を表す走査型電子顕微鏡写真である。その結果、ダイヤモンド粒子βには、0.3mm大の粒子塊が存在し、また、大小様々な粒径の存在が確認された。
(3)導電性ダイヤモンド粒子の評価(その2)
図5に示すような測定治具を用いて、導電性ダイヤモンド粒子α、及びダイヤモンド粒子βの電気抵抗率を測定した。測定方法は以下のとおりとした。
治具1の中心にある3mmφ×2mmの隙間3にダイヤモンド粒子を充填し、上下のSUS板5、7の間に10MPaの圧力をかけて押し固める。圧縮されてできた隙間3に再度、追加のダイヤモンド粒子を充填し、20MPaにて押し固める。最後に再び、圧縮されてできた隙間3にダイヤモンド粒子を充填し、30MPaで押し固め、上下のSUS板5、7間の電気抵抗をテスターにて測定する。なお、SUS板5、7は、ダイヤモンド粒子を充填した部分以外では、絶縁材9で隔てられている。
このようにして測定した電気抵抗は、導電性ダイヤモンド粒子αでは4.5kΩであり、ダイヤモンド粒子βでは60kΩであった。つまり、導電性ダイヤモンド粒子αは、良好な導電性を示していた。
(4)電極の製造
導電性ダイヤモンド粒子αを用いて電極を製造した。電極の製造は以下のように行った。
20%ナフィオン原液(アルドリッチ製)を精製水で0.1%に希釈し、0.1%ナフィオン溶液を調製した。この0.1%ナフィオン溶液1.2mLに、8mgの導電性ダイヤモンド粒子αを混合した後、超音波により十分に攪拌し、粒子懸濁液を調製した。
10mm×10mmの大きさのグラッシーカーボンを鏡面研磨し、その表面を酸素プラズマ処理によって親水化させた。なお、酸素プラズマ処理は、グラッシーカーボン表面を粗にするのではなく、酸素原子を導入して親水化させるに十分な条件で行えばよく、例えば、出力70Wで1分間程度行えば十分であった。
表面を親水化したグラッシーカーボンに、上述した粒子懸濁液を80μL塗布し、室温で一晩乾燥させた後、80℃にて1時間加熱処理して乾固させ、電極αを完成した。
また、導電性ダイヤモンド粒子αの代わりに、同量のダイヤモンド粒子βを用い、上記と同様の方法で、電極βを製造した。
また、導電性ダイヤモンド粒子αの代わりに、同量のカーボンブラック(ホルベイン工業製)を用い、上記と同様の方法で、電極γを製造した。
(5)電極の評価
電極α、β、γを、通常の三極式ガラスセルに組み込んで、それぞれ、電気化学特性の試験を行った。試験はサイクリックボルタンメトリーで行い、鉄シアノ錯体に対する応答を調べた。酸化還元種の濃度を1mMとし、0.1Mの塩化カリウムに溶解した試験液を用いて、走査速度を100mV/sに設定して測定を行った。なお、電流密度は、BET比表面積にて算出した各々のカーボン粒子の表面積に対する実効表面積で換算した。
電極αに関する測定結果を図6中の実線で示し、ブランク溶液である0.1M塩化カリウムの結果を破線で示す。電極αは、低い残余電流を示し、鉄シアノ錯体に対する電気化学応答が観察された。また、鉄シアノ錯体の酸化と還元に対応するピークが鋭く明瞭に観察されており、電極αは優れた電気化学特性を有することが分かった。
電極βに関する測定結果を図7中の実線で示し、ブランク溶液である0.1M塩化カリウムの結果を破線で示す。電極βは、電気抵抗率の結果からも明らかなように、粒子間の接触面積が小さく、高い電気抵抗を示していた。そのため、鉄シアノ錯体に対する応答が遅く、電極としての特性も劣っていることが分かった。
電極γに関する測定結果を図8中の実線で示し、ブランク溶液である0.1M塩化カリウムの結果を破線で示す。電極βは、残余電流が大きく、鉄シアノ錯体の反応が全く観察されなかった。
(1)燃料電池用電極の製造
導電性ダイヤモンド粒子αを用いて燃料電池用電極α2を製造した。燃料電池用電極α2は、高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)に用いることができるものである。
燃料電池用電極α2の製造は以下のように行った。まず、濃度を50mMに調整した塩化白金酸水溶液1.93mLに対し、導電性ダイヤモンド粒子αを30mg分散させ、そこに水素化ホウ素ナトリウム0.2mgを添加し、そのまま12時間攪拌し、白金を還元させて導電性ダイヤモンド粒子αの表面に固定化した。この結果、導電性ダイヤモンド粒子αに貴金属触媒である白金が担持された白金担持ダイヤモンド粉体が製造された。
次に、20%ナフィオン原液(アルドリッチ製)を精製水で0.1%に希釈し、0.1%ナフィオン溶液を調製した。この0.1%ナフィオン溶液1.2mLに、先に製造した白金担持ダイヤモンド粉体8mgを混合した後、超音波により十分に攪拌し、粒子懸濁液を調製した。
10mm×10mmの大きさのグラッシーカーボンを鏡面研磨し、その表面を酸素プラズマ処理によって親水化させた。なお、酸素プラズマ処理は、グラッシーカーボン表面を粗にするのではなく、酸素原子を導入して親水化させるに十分な条件で行えばよく、例えば、出力70Wで1分間程度行えば十分であった。
表面を親水化したグラッシーカーボンに、上述した粒子懸濁液を80μL塗布し、室温で一晩乾燥させた後、80℃にて1時間加熱処理して乾固させ、燃料電池用電極α2を完成した。
また、導電性ダイヤモンド粒子αの代わりに、同量のダイヤモンド粒子βを用い、上記と同様の方法で、燃料電池用電極β2を製造した。
また、導電性ダイヤモンド粒子αの代わりに、同量のカーボンブラック(ホルベイン工業製)を用い、上記と同様の方法で、燃料電池用電極γ2を製造した。
(2)燃料電池用電極の評価
メタノールを水素に改質せずに直接セルに供給して反応させることができるダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を想定して以下の評価を行った。
燃料電池用電極α2、β2、γ2を、通常の三極式ガラスセルに組み込んで、それぞれ電気化学特性の試験を行った。なお、電流密度は、製造した燃料電池用電極を硫酸中で電気化学測定したときの水素の吸脱着ピーク面積から算出し、白金の単位面積あたりに換算して表記した。
図9は、メタノール濃度が1Mとなるように0.5M硫酸で調整した試験液を用いて測定したサイクリックボルタモグラムである。図9における太実線は燃料電池用電極α2の測定結果であり、太破線は燃料電池用電極β2の測定結果であり、細実線は燃料電池用電極γ2の測定結果である。
燃料電池用電極α2の測定結果と、燃料電池用電極γ2の測定結果とを比べると、反応電流は、一見、ほぼ同等に見えるが、燃料電池用電極γ2では残余電流が大きいことを考慮すれば、燃料電池用電極α2の方が反応電流が大きい。
また、燃料電池用電極α2を用いると、メタノールに対する酸化電位が80mV低く抑えられるという優れた結果を示した。これは、燃料電池として大きな起電力を生み出すことを意味する。
また、燃料電池用電極β2を用いた場合、メタノールに対する反応電流が小さい結果となった。
以上より、燃料電池用電極α2は、ダイヤモンドを担体にしているため担体の腐食の心配がなく、耐食性があり残余電流が小さいため、触媒担持電極に好適で、燃料電池用電極や工業電解用電極に適することが実証できた。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
ホウ素ドープダイヤモンドを成膜する前におけるタングステンとチタンとの焼結体から成る基板表面のEDXマッピング図である。 ホウ素ドープダイヤモンドの粉体を製造する方法を表す説明図であって、(a)はタングステンのみから成る基板を用いる場合であり、(b)はタングステンとチタンとの焼結体から成る基板を用いる場合である。 導電性ダイヤモンド粒子αの形態を表す走査型電子顕微鏡写真である。 導電性ダイヤモンド粒子βの形態を表す走査型電子顕微鏡写真である。 電気抵抗率を測定するために用いる測定治具の構成を表す説明図である。 電極αに関する電気化学特性の測定結果を表すグラフである。 電極βに関する電気化学特性の測定結果を表すグラフである。 電極γに関する電気化学特性の測定結果を表すグラフである。 燃料電池用電極α2、β2、γ2に関するサイクリックボルタモグラムである。
符号の説明
1・・・治具、3・・・隙間、5、7・・・SUS板、9・・・絶縁材、
101、201・・・基板、103、203・・・ホウ素ドープダイヤモンド、
105・・・粉体

Claims (1)

  1. CVD法を用い、ホウ素ドープダイヤモンドを、タングステン又はその酸化物が少なくとも表面の一部に露出した基板上に成長させるウ素ドープダイヤモンドの製造方法であって、
    前記基板の表面粗さが0.5μm以下であり、
    前記基板の表面において、タングステン又はその酸化物から成る領域と、タングステンを含まない領域とが混在し、
    前記ホウ素ドープダイヤモンドを前記基板上で成長させた後、前記ホウ素ドープダイヤモンド及び前記基板の温度を、前記成長のときよりも下げる冷却工程を有し、
    前記冷却工程のとき、又は前記冷却工程の後、前記基板のうち、前記ホウ素ドープダイヤモンドを成長させた面を水平方向に対し傾斜させることを特徴とするホウ素ドープダイヤモンドの製造方法。
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