以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
[組合せ秤の基本構成]
図1は、本実施の形態に係る組合せ秤の構成を模式的に示す図であり、図2は、図1に示す組合せ秤が備える制御系統の概略構成を示すブロック図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る組合せ秤は、被計量物を供給する供給装置11、供給装置11から供給された被計量物を振り分けて下流へと供給するトップコーン12、トップコーン12を振動させるメインフィーダ13、トップコーン12から被計量物を受け取って下流へと供給する複数のリニアフィーダパン14、リニアフィーダパン14を振動させる複数のリニアフィーダ15、リニアフィーダパン14から供給された被計量物を纏めて所定のタイミングで供給する複数の供給ホッパ16、供給ホッパ16から供給された被計量物を収容して計量する複数の計量ホッパ17、計量ホッパ17から被計量物を受け取って集合させ、下流へと供給する複数の集合シュート18、および、集合シュート18から供給される被計量物を集めて図示されない包装機へと排出する排出シュート19を備えている。
また図2に示すように、本実施の形態に係る組合せ秤は、制御系統として、制御部20と、供給装置11からトップコーン12に供給された被計量物の量を検出するレベル検出器21と、計量ホッパ17に収容された被計量物の重量を検出する重量センサ22と、操作設定表示部23と、を備えている。
なお、本実施の形態に係る組合せ秤は、リニアフィーダパン14、リニアフィーダ15、供給ホッパ16、計量ホッパ17、および重量センサ22の各構成要素を1組のヘッド10として備えている。そして図示されないが、複数のヘッド10はトップコーン12を中心として環状に複数配置されている。図1は、本実施の形態に係る組合せ秤の断面の構成を模式的に示しているので、供給装置11、トップコーン12およびメインフィーダ13を挟んで対向する2組のヘッド10を示す。また、図2は、制御系統を説明する便宜上、ヘッド10は1組のみ示す。
供給装置11には、例えば、無端のベルトに複数の容器が列状に配設されたベルトコンベアや、振動装置を取り付けたトラフなどが用いられる。供給ホッパ16および計量ホッパ17は、制御部20の制御により選択的に開閉するゲートを備え、ゲートを開くことにより下流側へ被計量物を供給する。メインフィーダ13およびリニアフィーダ15は、例えば、振動部として電磁石を備え、この電磁石のON−OFFにより振動する。
レベル検出器21としては、例えば光センサが用いられる。重量センサ22としては、例えばロードセルが用いられる。また、制御装置20の構成は後述する。
操作設定表示部23は、表示器としてカラー液晶表示パネルを備え、操作器として、このカラー液晶表示パネルと一体化されたタッチパネルを備えている。タッチパネルとしては、例えば抵抗膜方式のものが挙げられ、カラー液晶表示パネルの表面に貼り付けることにより一体化される。本発明では、表示器としては、液晶表示パネル以外の表示装置を用いることができるが、少なくともカラー表示できる表示画面を有する表示装置であることが好ましい。
なお、操作設定表示部23とは別に、キーボードやマウス等、パーソナルコンピュータの入力器として用いられる入力装置を操作器として備えてもよい。同様に、公知のプリンタ等の出力装置を備えてもよい。このように本実施の形態では、操作器および表示器を一体化した操作設定表示部23を備えているが、本発明で用いられる操作器及び表示器の構成はこれに限定されない。
[組合せ秤の制御構成]
次に、制御部20の構成について説明する。図3は、前記制御部20の具体的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部20は、演算部20a、記憶部20b、I/O回路20c、A/D変換回路20d、ゲート駆動回路20e、リニアフィーダ振動制御回路20f、メインフィーダ振動制御回路20g、および供給装置制御回路20hを有している。
演算部20a、記憶部20b、及びI/O回路20cは、例えば、それぞれ、マイクロコンピュータのCPU、内部メモリ、及びI/O入出力回路で構成される。演算部20aは、記憶部20bとI/O回路20cとに接続されている。また、演算部20aには、A/D変換回路20d、ゲート駆動回路20e、リニアフィーダ振動制御回路20f、メインフィーダ振動制御回路20g、および供給装置制御回路20hがそれぞれ接続されている。さらに、演算部20aは操作設定表示部23にも接続されている。
I/O回路20cはレベル検出器21に接続され、レベル検出器21からの検出信号を演算部20aに入力する。A/D変換回路20dは重量センサ22に接続されており、重量センサ22からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
ゲート駆動回路20eは、供給ホッパ16および計量ホッパ17のゲートに接続され、供給ホッパ16および計量ホッパ17のゲートを駆動する。
リニアフィーダ振動制御回路20fは、リニアフィーダ15に接続され、リニアフィーダ15の動作を制御する。メインフィーダ振動制御回路20gは、メインフィーダ13に接続されており、メインフィーダ13の動作を制御する。供給装置制御回路20hは、供給装置11に接続されており、供給装置11の動作を制御する。なお、図中の矢印は信号が伝達される方向を示す。
次に、図3を参照しながら、制御部20の動作について説明する。演算部20aに対し、操作設定表示部23から、各種の操作を行う指令や、後述する自動フィーダ制御(AFC)の制御タイプを設定または変更するための条件等の操作情報が入力される。
演算部20aは、入力された操作情報を記憶部20bに記憶させる。記憶された操作情報は、演算部20aによって読み出され、必要に応じて操作設定表示部23に出力され、表示画面上に表示される。なお、記憶部20bには、組合せ演算を行うためのプログラム等も記憶されている。
レベル検出器21からの検出信号は、I/O回路20cを介して演算部20aへ出力される。重量センサ22からの検出信号は、A/D変換回路20dにより検出値へと変換されて、演算部20aへ出力される。演算部20aは、記憶部20bに記憶されたプログラムを用いて、入力された検出信号等を処理する。さらに演算部20aは、処理結果に基づいて、ゲート駆動回路20e、リニアフィーダ振動制御回路20f、メインフィーダ振動制御回路20g、供給装置制御回路20hに制御信号を出力する。これにより、演算部20aは供給装置11、メインフィーダ13、リニアフィーダ15、供給ホッパ16、および計量ホッパ17の動作を制御する。
供給ホッパ16のゲートの開閉は、演算部20aからの制御信号によりゲート駆動回路20eを介して制御され、これにより、計量ホッパ17への被計量物の供給動作が制御される。計量ホッパ17のゲートの開閉も、演算部20aからの制御信号によりゲート駆動回路20eを介して制御され、これにより、組合せ計量が制御される。
メインフィーダ13の動作は演算部20aからの制御信号に基づいて制御され、これによりトップコーン12での被計量物の分散量が調整される。リニアフィーダ15の動作も演算部20aからの制御信号に基づいて制御され、これによりリニアフィーダパン14での被計量物の搬送量が調整される。
演算部20aは、必要に応じて、処理結果を操作設定表示部23に出力する。演算部20aは、所定の処理結果が生じた場合に記憶部20bに記憶する。
このように、制御部20は、供給装置11、メインフィーダ13、リニアフィーダ15、供給ホッパ16、および計量ホッパ17の動作を制御することで、被計量物の供給量および排出量を調整し、組合せ秤を運転する。
なお、本実施の形態では、組合せ秤が備える制御部20および演算部20aの数は1個を例示する。しかしながら、制御部20および演算部20aの構成はこれに限定されず、複数の演算装置や制御装置を備えていてもよい。すなわち、本実施の形態における制御部20とは、単独の制御装置と制御装置群との双方を意味し、演算部20aおよび制御部20による制御は、集中制御であっても分散制御であってもよい。記憶部20bについても、単一である必要はなく、複数の記憶装置(例えば、内部メモリと外付け型のハードディスクドライブ)を備えていてもよい。
また、本実施の形態に係る組合せ秤は、図示されない包装機と組み合わせて使用される。そして、包装機による被計量物の包装のタイミングに合わせて、排出信号が前記包装機から出力される。図3では示さないが、演算部20aは、この排出信号を受け取れるように、前記包装機とも通信可能に接続されている。
[組合せ秤の動作]
次に、本実施の形態に係る組合せ秤において、組合せ計量の動作の概略について図1および図2を参照して説明する。
被計量物は、供給装置11からトップコーン12に供給される。ここで、レベル検出器21によりトップコーン12上に供給されている被計量物の層厚が検出され、検出結果が制御部20に出力される。制御部20は、得られた検出値に基づいて供給装置11による供給動作を制御し、トップコーン12に供給される被計量物の量を調整する。
また制御部20は、所定の時間および強度でメインフィーダ13を振動させる。これにより、トップコーン12上の被計量物は分散され、周囲に配置されるリニアフィーダパン14に供給される。なお、トップコーン12およびメインフィーダ13は、供給された被計量物を周囲のヘッド10に分散する分散部でもある。さらに制御部20は、所定の時間および強度でリニアフィーダ15を振動させる。リニアフィーダ15の振動動作によりリニアフィーダパン14上の被計量物が搬送され、これにより、被計量物が供給ホッパ16に供給される。
次に制御部20は、重量センサ22からの信号に基づき、計量ホッパ17が空であるか否かを判断する。空である場合には、対応する供給ホッパ16のゲートを開き、被計量物を計量ホッパ17に供給する。計量ホッパ17に被計量物が供給されると、その計量ホッパ17に対応するように備えられた重量センサ22により、計量ホッパ17で計量された被計量物の重量が検出される。重量の検出結果は制御部20に出力される。制御部20は、前記検出結果に基づいて、各計量ホッパ17に収容された被計量物の重量(計量値)を演算して記憶する。
次に、制御部20は、得られた計量値を用いて組合せ演算を行い、予め設定された組合せ目標重量(設定重量)に基づいて、最適組合せの選定を行う。最適組合せの選定条件は特に限定されず、公知の条件を用いることができる。本実施の形態では、例えば、被計量物の合計重量と組合せ目標重量とを比較し、合計重量が組合せ目標重量以上であって最も組合せ目標重量に近くなる組合せが最適組合せとして選定される。なお、本実施の形態では、制御部20によって行われる前記制御を組合せ計量制御と称する。
その後、制御部20は、最適組合せに参加する計量ホッパ17に対応するゲートに対しゲートを開くよう指令し、被計量物を排出させる。排出された被計量物は、集合シュート18により集合させられ、排出シュート19から図示しない包装機に排出される。
そして、前述した動作を繰り返すことにより、所定の条件を満たす量の被計量物が包装機へと排出される。供給ホッパ16からの被計量物の供給に始まり、排出シュート19からの排出に至る一連の動作を一回の計量サイクルと称する。
[表示画面の構成]
次に、本実施の形態に係る組合せ秤において、操作設定表示部23での表示機能について説明する。図4は、本実施の形態に係る組合せ秤が備える操作設定表示部23の表示画面の一例を示す模式図である。
本実施の形態では、前記のとおり、操作設定表示部23は、タッチパネルと一体化されたカラー液晶表示パネルを備えている。したがって、オペレータは、表示画面上の特定の表示領域に触れることで、組合せ秤の操作や情報の入力を行うことができる。
図4に示すように、操作設定表示部23の表示画面には、品名表示エリア31、総合ヘッド情報表示エリア32、計量情報表示エリア33、AFC状態表示エリア34の各表示領域が表示される。図4の例では、表示画面の左上に品名表示エリア31が表示され、表示画面の左下に総合ヘッド情報表示エリア32が表示され、表示画面の右上に計量情報表示エリア33が表示され、表示画面の右下にAFC状態表示エリア34が表示される。また、表示画面の下方には、左から順に、開始/停止キー35、グラフ表示キー36、復帰キー37が表示されている。
[品名表示エリアの構成]
品名表示エリア31は、組合せ秤によって計量される被計量物の種類を表示する表示領域である。図4に示す例では、被計量物の品種として「キャンディ」を表示するとともに、組合せ目標重量である「100g」も表示している。この表示領域では、少なくとも、被計量物がどのようなものであるかについて、オペレータに表示できるようになっていればよいが、運転上の重要情報である組合せ目標重量も表示するようになっていることが好ましい。また、品種番号等の付加情報も表示してもよい。図4では、「品種 No.1 キャンディ 100g」と表示している。なお、品名表示エリア31の具体的な表示構成は前記構成のみに限定されない。
[総合ヘッド情報表示エリアの構成]
総合ヘッド情報表示エリア32は、組合せ秤の運転において分散部およびヘッド10から得られる情報を少なくとも表示する表示領域であり、複数の下位の表示領域を含む。本実施の形態では、図4に示すように、ヘッド10の実際の配置位置に対応するように、同心円状に複数の円形の表示領域を含んでいる。
具体的には、下位の表示領域として、中央の小さい円形領域として配置される分散部情報表示エリア32aと、その周囲に配置される個別ヘッド情報表示エリア32bとを含んでいる。これら表示領域は、組合せ秤が備えるヘッド10の実際の配置に対応して表示され、中央部のトップコーン12(分散部)に対応する位置には、分散部情報表示エリア32aが表示され、その周囲に放射状に位置するヘッド10に対応する位置には、扇状の個別ヘッド情報表示エリア32bが表示される。
分散部情報表示エリア32aではトップコーン12による分散動作に関する情報が表示される。トップコーン12はメインフィーダ13の振動により分散機能を発揮するので、分散部情報表示エリア32aで表示される情報は、メインフィーダ13の動作情報でもある。具体的には、メインフィーダ13による分散動作の重量レベルが表示され、図4では、「重量レベル1 20」と表示している。
分散部情報表示エリア32aの周囲に配置される複数の個別ヘッド情報表示エリア32bは、単一の扇型領域であってもよいが、複数の領域に分けられていてもよい。図4では、個別ヘッド情報表示エリア32bは中心側から外周側に向かって第1〜第3エリア32b−1〜32b−3の3つに分けられている。この構成では、円形の表示領域全体としてみれば、分散部情報表示エリア32aを中心として第1〜第3エリア32b−1〜32b−3がそれぞれ同心円状となるよう表示される。
分散部情報表示エリア32aに隣接する第1エリア32b−1では、ヘッド10の管理番号(ヘッド番号)が表示される。つまり第1エリア32b−1は「ヘッド番号表示エリア」となる。図4では、各ヘッド番号表示エリア32b−1でそれぞれ「1〜10」のヘッド番号が表示されている。つまり、本実施の形態に係る組合せ秤は10組のヘッド10を備えている。
ヘッド番号表示エリア32b−1の外周側に隣接する第2エリア32b−2では、リニアフィーダ15の振動強度が表示される。つまり第2エリア32−bは「振動強度表示エリア」となる。振動強度表示エリア32b−2に隣接し、最も外周側となる第3エリア32b−3では、計量ホッパ17で計量された被計量物の平均重量が表示される。つまり第3エリア32b−3は「平均重量表示エリア」となる。振動強度表示エリア32b−2および平均重量表示エリア32b−3で表示される情報は連携している。例えば、ヘッド番号1のヘッド10(ヘッド10−1)の個別ヘッド情報表示エリア32bは、総合ヘッド情報表示エリア32の左半円の最も下側に位置するが、ここでは、振動強度表示エリア32b−2で「45」、平均重量表示エリア32b−3で「23.6」が表示される。したがって、運転中の組合せ秤では、ヘッド10−1のリニアフィーダ15−1は振動強度45で駆動され、このとき計量ホッパ17−1で計量される被計量物(キャンディ)の平均重量は23.6gであることがわかる。
本実施の形態では、総合ヘッド情報表示エリア32には、下位の表示領域として、さらに複数のヘッド情報表示切替キー32cを含んでいる。図4に示す表示画面では、総合ヘッド情報表示エリア32全体は正方形状の表示領域であり、その中央に円形の表示領域(分散部情報表示エリア32aおよび個別ヘッド情報表示エリア32b)が配置される。そして、総合ヘッド情報表示エリア32の外周となる正方形の辺と円形の表示領域との間の周辺領域に独立した別の表示領域が配置される。この表示領域が複数のヘッド情報表示切替キー32cとなる。
このヘッド情報表示切替キー32cを操作することによって、個別ヘッド情報表示エリア32bで表示される情報の種類を切り替えることができる。なお、表示される情報の種類の切り替えについては後述する。
図4では、ヘッド情報表示切替キー32cとして、駆動時間表示キー、振動強度表示キー、平均重量表示キー、組合せ参加率表示キー、組合せ表示キー、および有効ホッパ表示キーが表示される。図4では、周縁領域は、分散部表示エリア32aを中心として放射状に8分割されており、そのうち、表示画面の右横上方、右上、左上、左横上方、左横下方、および左下の各領域には、上記各ヘッド情報表示切替キー32cが配当される。残りの右下および右横下方にはヘッド情報表示切替キー32cは配当されず、空白として表示される。したがって、組合せ秤の用途や種類に応じて、空白部分に他の種類の、ヘッド情報表示切替キー32cを設定することができる。
駆動時間表示キーは、個別ヘッド情報表示エリア32bに、各ヘッド10に含まれるリニアフィーダ15の駆動時間を表示させる。振動強度表示キーは、リニアフィーダ15の振動強度を表示させる。平均重量表示キーは、各ヘッド10に含まれる計量ホッパ17で計量される被計量物の平均重量(ホッパ平均重量)を表示させる。組合せ参加率表示キーは、計量ホッパ17の組合せ計量への参加率を表示させる。組合せ表示キーは、計量ホッパ17の組合せ参加状態を表示させる。有効ホッパ表示キーは、計量ホッパ17のうち組合せ計量への参加に有効な重量を計量しているか否か(計量ホッパ17が有効であるか否か)を表示させる。
なお、図4では、ヘッド10−4の個別ヘッド情報表示エリア32bにおいて、振動強度表示エリア32b−2および平均重量表示エリア32b−3での表示が反転表示となっている。この反転表示は、ヘッド10−4において、リニアフィーダ15の振動強度が61と大きいのに対して、計量ホッパ17の平均重量が18.0gと小さいことから、被計量物の搬送率が他のヘッド10と比較して低いことを警告する表示であることを意味している。この警告表示については後述する。
また、前記総合ヘッド情報表示エリア32の具体的な表示構成は前記構成のみに限定されない。図4に示す例では、実際のヘッド10の配置に対応した円形の表示領域を含む構成となっているが、円形でなく表形式の構成や、その他の構成であってもよい。
[計量情報表示エリアの構成]
計量情報表示エリア33は、組合せ計量を行った結果に関する情報、すなわち組合せ秤の運転結果についての情報を表示する表示領域である。本実施の形態では、図4に示すように、表示画面の上から、「組合せ重量」、「速度」、「平均組合せ重量」および「標準偏差」の各運転結果情報を表示するよう構成される。
「組合せ重量」とは、制御部20により行われる組合せ計量制御で生成される、選択された複数の計量ホッパ17の組合せの合計重量である。本実施の形態では、組合せ目標重量が100.0gであり、図4に示す例では、生成した組合せ重量として、組合せ目標重量と同じ値である「100.0g」が表示される。仮に、組合せ計量制御の結果、生成した組合せ重量が100.1gであれば、この数値が表示される。
「速度」とは、組合せ重量の計量速度を指し、前記組合せ計量制御において、組合せ計量の開始から前記組合せ重量を生成するまでに要する速度である。計量速度をどのような数値として設定するかについては特に限定されないが、本実施の形態では、所定の単位時間内で、包装機で包装された被計量物のパッケージの数を採用する。例えば、図4に示す例では、1分間当たり81パッケージが包装されたことが「81.0p/m」として表示される。この表示における「p」はパッケージの略であり、「m」は時間単位としての「分」の略である。組合せ計量制御の上で、全ての計量ホッパ17に被計量物が投入されてから組合せ重量が生成されるまでの時間を測定することも可能である。しかしながら、本実施の形態に係る組合せ秤が、前記のとおり包装機に組み合わせて用いられることを考慮すれば、単位時間当たり包装されるパッケージ数を計量速度とすることで、組合せ計量の効率と包装効率との双方を評価できるため、好ましい。
「平均組合せ重量」とは、生成された複数の組合せ重量の平均値である。平均値を算出するための母数の設定についても特に限定されないが、例えば、最新10回の生成を母数とすることができる。これは、組合せ重量の生成について過去に遡り過ぎた場合、母数が多くなるため、最新の組合せ重量の重要性が低下するためである。図4に示す例では、組合せ目標重量と同じ「100.0g」が表示される。
「標準偏差」とは、生成された複数の組合せ重量の標準偏差である。組合せ重量の標準偏差を算出することで、組合せ重量の散布度(ばらつきの程度)を評価する。標準偏差を算出するための平均値としては、前記平均組合せ重量が用いられる。すなわち、平均組合せ重量が最新10回の組合せ重量の平均値であれば、その標準偏差も最新10回の組合せ重量のばらつきの程度となる。図4に示す例では、標準偏差として「0.4g」が表示される。
前記各運転結果情報の具体的な表示構成は特に限定されない。図4に示す例では、計量情報表示エリア33は、下位の表示領域として、「組合せ重量」、「速度」、「平均組合せ重量」および「標準偏差」の各運転結果情報を表示する長方形状の表示領域を含む表示構成であるが、他の表示構成であってもよい。
[AFC状態表示エリアの構成]
AFC状態表示エリア34は、現在実行中のAFCの制御タイプの種類を表示する表示領域である。本実施の形態では、図4に示すように、「AFC(1)」、「AFC(2)」および「AFC(3)」の3種類の制御タイプを表示する下位の表示領域を含む。そして、実行中の制御タイプについては、対応する領域の色を、他の領域の色から変化させて表示させる。図4では、AFC(1)が実行中であることを表示している。
なお、AFC状態表示エリア34の具体的な表示構成も特に限定されない。図4に示す例では、3種類の制御タイプを表示する下位の表示領域を含む表示構成となっているが、例えば、実行中の制御タイプのみを表示する表示領域のみからなる表示構成であってもよいし、制御タイプに関する情報を併せて表示する表示構成であってもよい。
[その他の表示エリアの構成]
本実施の形態では、前記各表示エリア以外の表示領域としては、開始/停止キー35、グラフ表示キー36、および復帰キー37が表示される。これら表示領域は、長方形状の枠で囲まれたキー状の表示領域となっている。後述するように、この表示領域に指先等を接触させることで、タッチパネルの機能によって、組合せ秤の特定の操作や表示切り替え等の操作指令が出力される。つまり、これら表示領域は操作器として機能する。
開始/停止キー35は、その操作により、組合せ秤の運転(組合せ計量および包装)の開始の指令または停止の指令を出力する。グラフ表示キー36および復帰キー37は、表示画面を切り替えるキーである。これらキー36・37の機能は、表示画面の変更とともに後述する。
これらキーの表示形状は特に限定されない。これらキーは単なる情報の表示だけでなく、操作器として機能するため、操作用のキーであることを明確とする表示となっていれば好ましい。なお、必要に応じて、これらキーは一つの表示領域内にまとめられてもよい。また、必要に応じて、これらキー以外の表示領域を設けることもできる。
[タッチパネル式表示画面の操作器としての機能]
次に、前記表示画面の操作器としての機能について、図3および図4を参照して説明する。
本実施の形態では、前述したように、表示画面としてタッチパネルと一体化されたカラー液晶表示パネルを用いている。それゆえ、操作設定表示部23は表示器と操作器とを兼ねている。本実施の形態では、前記のとおり、表示画面に、品名表示エリア31、総合ヘッド情報表示エリア32、計量情報表示エリア33、AFC状態表示エリア34、開始/停止キー35、グラフ表示キー36、および復帰キー37が含まれるが、これら表示領域のうち、タッチパネルによる操作器として機能する領域は、総合ヘッド情報表示エリア32のヘッド情報表示切替キー32c、AFC状態表示エリア34、開始/停止キー35、グラフ表示キー36、および復帰キー37である。さらに、ヘッド情報表示切替キー32c、グラフ表示キー36および復帰キー37は表示切替用の操作キーであるのに対して、AFC状態表示エリア34および開始/停止キー35は、組合せ秤本体の運転動作に対する操作指令を生成する運転動作用の操作キーである。
ヘッド情報表示切替キー32cは、総合ヘッド情報表示エリア32で表示する情報の切り替えを、制御部20に指令する操作キーである。
本実施の形態では、ヘッド情報表示切替キー32cは6種類表示される。したがって、総合ヘッド情報表示エリア32では、前記振動強度、前記駆動時間、前記平均重量、前記参加率、前記参加状態、および計量ホッパ17の有効性がヘッド情報として表示される。この中でも、特に振動強度、駆動時間および平均重量は、AFCの効果を確認する上で重要なヘッド情報である。
本実施の形態では、ヘッド情報表示切替キー32cは6種類表示される。したがって、総合ヘッド情報表示エリア32では、前記振動強度、前記駆動時間、前記平均重量、前記参加率、前記参加状態、および計量ホッパ17の有効性がヘッド情報として表示される。この中でも、特に振動強度、駆動時間および平均重量は、AFCの効果を確認する上で重要なヘッド情報である。
オペレータがヘッド情報の表示を切り替えようとするときは、ヘッド情報表示切替キー32cの表示領域に、オペレータの指先を接触させる。表示器にはタッチパネルが一体化されているため、指先の接触により、各ヘッド情報の表示がON(有効)またはOFF(無効)に切り替えられる。表示画面上では、ONまたはOFFが明確となるように、表示色が変化する。
例えば、図4では、振動強度表示キーおよび平均重量表示キーが有効となっているので、これら表示キーの表示領域は、無効の表示キーの表示領域とは異なった表示色となっている。具体的には、背景色を反転させる反転表示が挙げられるが、色相(色そのもの)の変更、色の濃度の変更、パターンの表示等の手法であってもよい。
前記ヘッド情報表示切替キー32cをONまたはOFFとすることで、操作設定表示部23は、制御部20に対して、表示領域を変更する操作指令を出力する(図3参照)。例えば、ヘッド情報表示切替キー32cのうち振動強度表示キーがONされれば、操作設定表示部23から制御部20に対して、振動強度を表示するよう操作指令が出力される。制御部20はこの操作指令に基づき、組合せ計量制御の実行に伴い、リニアフィーダ振動制御回路20fや記憶部20b等から必要な情報を取得し、表示情報を生成する。生成された表示情報は、振動強度が表示されていない状態から表示される状態へ表示を変更する制御信号であり、この制御信号が制御部20から操作設定表示部23に出力される。操作設定表示部23は、制御部20からの表示情報に基づいて表示画面を切り替え、個別ヘッド情報表示キー32bに、各リニアフィーダ15の振動強度を表示する。このように、ヘッド情報表示切替キー32cの操作によって、前記ヘッド情報の少なくともいずれか一つが表示される。なお、切り替えられた表示画面の具体例については、後述する。
AFC状態表示エリア34は、前記のとおり、AFC(1)、AFC(2)、およびAFC(3)の3種類のAFCの制御タイプを表示し、かつ、いずれの制御タイプが有効であるかを、表示色の変化によって表示する。ここで、本実施の形態では、図4に示すように、AFC(1)〜AFC(3)の各制御タイプの表示領域は、枠で囲まれたAFC切替キーとして表示される。
オペレータがAFCの制御タイプを切り替えようとするときは、いずれかのAFC切替キーの表示領域にオペレータの指先を接触させる。操作設定表示部23の表示面にはタッチパネルが一体化されているため、指先の接触により、AFCの制御タイプを切り替える操作指令が、操作設定表示部23から制御部20に出力される。この操作指令に基づき、制御部20はAFCの制御タイプを切り替え、新たな制御タイプでAFCを実行するとともに、AFC状態表示エリア34の表示を変更する表示情報を生成し、操作設定表示部23に出力する。操作設定表示部23では、表示情報に基づき、現在有効な制御タイプがいずれかわかるようにAFC切替キーの表示色を変更する。
開始/停止キー35は、AFC状態表示エリア34のAFC切替キーと同様に運転動作用の操作キーとして表示される。開始/停止キー35の表示領域へ指先を接触することにより、運転開始または停止の操作指令が操作設定表示部23から制御部20に出力される。制御部20は、この操作指令に基づき、組合せ計量制御(および包装機の運転動作制御)を開始または停止する。
グラフ表示キー36および復帰キー37は、前記ヘッド情報表示切替キー32cと同様に表示切替用の操作キーとして表示される。表示の切り替えに係る制御は、前記ヘッド情報表示切替キー32cの制御と同様であるので、その説明は省略する。また、具体的な表示の切り替えの例については、図6を参照して後述する。
[表示画面の切り替え]
次に、前記の表示切替用のキーの操作により、表示画面が切り替えられる状態について図4〜図6を参照して説明する。図5および図6は、図4に示す表示画面を切り替えた一例をそれぞれ示す模式図である。特に図5は、総合ヘッド情報表示エリア32に含まれるヘッド情報表示切替キー32cを切り替えた場合を例示し、図6は、グラフ表示キー36を有効とした場合を例示する。
図4に示す表示画面において、オペレータが、例えば、平均重量表示キーを無効に切り替えたとする。これにより、図5に示すように、個別ヘッド情報表示エリア32bでは、振動強度のみが表示される。つまり、個別ヘッド情報表示エリア32bは、図4に示す表示画面では第1エリア32b−1、第2エリア32b−2および第3エリア32b−3の各表示領域に三分割され、それぞれの表示領域が「ヘッド番号表示エリア」、「振動強度表示エリア」および「平均重量表示エリア」となる。そして、表示画面を切り替えることにより、図5に示すように、個別ヘッド情報表示エリア32bは、第1エリア32b−1および第2エリア32−bに二分割され、それぞれが「ヘッド番号表示エリア」および「振動強度表示エリア」となる。さらに図示しないが、図4に示す表示画面において、例えば駆動時間表示キーを有効とすれば、個別ヘッド情報表示エリア32bが四分割され、それぞれが「ヘッド番号表示エリア」、「駆動時間表示エリア」、「振動強度表示エリア」および「平均重量表示エリア」となる。
このようにヘッド情報表示切替キー32cを操作することで、個別ヘッド情報表示エリア32bで表示されるヘッド情報を切り替えて表示することができる。なお、表示画面の大きさやヘッド情報の種類等に応じて、個別ヘッド情報表示エリア32bの分割の上限を設けても良い。図4および図5に示す例では、ヘッド情報は6種類挙げられているが、仮に、6種類のヘッド情報を全て表示すれば、個別ヘッド情報表示エリア32bは、「ヘッド番号表示エリア」も含めて7分割され、各ヘッド情報を表示する下位の表示領域が小さくなり過ぎて十分に情報が表示できない可能性がある。あるいは、上限を超えてヘッド情報を表示しようとすれば、全ての情報が表示されるように、総合ヘッド情報表示エリア32の表示構成そのものが変更されてもよい。
さらに、図5および図6では、後述するAFCの制御タイプを切り替えたときに、切り替え前後における運転結果情報等の変化の程度も併せて表示する。
例えば、図5では、AFCの制御タイプを切り替えることにより、計量情報表示エリア33では、運転結果情報が切り替えの前後でどのように変化したのかを矢印により表示している。
具体的には、まず「組合せ重量」については、矢印の方向は表示画面の右上側であるので、組合せ計量における組合せ重量の精度向上したことを示す。また、「速度」については、矢印の方向は表示画面の右側であるので、組合せ重量の計量速度は変化していないことを示す。また、「平均組合せ重量」および「標準偏差」については、いずれも矢印の方向は表示画面の右上側であるので、組合せ重量の平均値がお組合せ目標重量に近づき、かつ、ばらつきも小さくなったことを示す。この結果から、AFCの制御タイプを切り替えることにより、計量速度を除き、組合せ精度は向上したことが明確となる。
さらに、図5では、総合ヘッド情報表示エリア32において、AFCの制御タイプの切り替えによる振動強度の変更の程度も表示する。まず、10組のヘッド10のうち、振動強度が変更されたヘッド10に対応する個別ヘッド情報表示エリア32bでは、「振動強度表示エリア」において、振動強度とともに振動強度の強弱の程度がプラスまたはマイナスで表示される。例えば、ヘッド10−1に対応する個別ヘッド情報表示エリア32bでは、振動強度として「45」が表示され、その下方には何も表示されていないので、AFCの制御タイプを切り替えても振動強度は変更されていないことがわかる。次に、ヘッド10−2に対応する個別ヘッド情報表示エリア32bでは、振動強度として「42」が表示され、その下方には「−1」が表示されている。それゆえ、ヘッド10−2では、AFCの制御タイプの切り替えにより、振動強度が−1弱くなったことがわかる。
同様に、図5に示す例では、ヘッド10−3および10−4では、いずれも振動強度が低下している(−1)のに対して、ヘッド10−5、10−9および10−10はいずれも振動強度が向上している(+1)。加えて、振動強度が変化したヘッド10に対応する個別ヘッド情報表示エリア32bでは、対応する領域の色を、他の領域の色から変化させて表示させる(例えば反転表示、色相の変更、色の濃度の変更等)。これにより、AFCの制御タイプの切り替えによる振動強度の変更がより明確となるので、オペレータはAFCの効果をより一層明確に把握することができる。
前記の表示においては、制御部20は、ヘッド情報の変化や運転結果情報の変化を記憶部20bに記憶させ、操作設定表示部23に対して、各情報の変化の増減を、表示色の変化や図像情報として表示画面に表示させる。本実施の形態では、図像情報として、変化の増減を表示画面上の方向で示す矢印を表示するが、これに限定されず、矢印に類似するキャラクタであってもよい。また、次に説明するように、図像情報として、変化の増減を経時変化で示すグラフを表示することもできる。
具体的には、図4および図5に示す表示画面において、オペレータがグラフ表示キー36を有効とする操作を行ったとする。これにより、図6に示すように、総合ヘッド情報表示エリア32の表示が停止され、計量情報グラフ表示エリア38が表示される。図6では、表示されるグラフは折れ線グラフ(ライングラフ)であるが、表示の目的等に応じて棒グラフ(ヒストグラム)で表示してもよい。
図6に示す例では、AFCの制御タイプとともに、「平均組合せ重量」、「速度」および「標準偏差」の値が経時的な変化として表示される。このように、AFCの制御タイプを切り替えたときの運転結果情報の推移を見る場合には、折れ線グラフが適している。図6では、AFC(2)からAFC(1)に切り替えたときに、前記運転結果情報の変化を経時的に表示している。なお、図6では図示しないが、AFCの制御タイプ別に折れ線グラフの背景色を変更すれば、制御タイプ別のAFCの効果がより明確となる。
なお、図6では、計量情報グラフ表示エリア38の表示開始に伴い、総合ヘッド情報表示エリア32の表示が停止されるだけでなく、計量情報表示エリア33およびAFC状態表示エリア34が、表示画面の右側から左側に移動されて表示されている。これは、AFCの表示タイプと運転結果情報との対比をより明確なものとする便宜である。したがって、グラフ表示キー36の操作による表示画面の変更は図6の例に限定されない。
また、計量情報グラフ表示エリア38の表示を停止し、総合ヘッド情報表示エリア32の表示を再開したいときには、復帰キー37を操作すればよい。
[自動フィーダ制御の概要]
次に、本実施の形態に係る組合せ秤において実行されるAFCについて説明する。
AFCは、制御部20で行われる組合せ計量制御において、計量ホッパ17で計量される被計量物の重量を調整することにより、複数の計量ホッパ17の組合せを選択する際に、合計重量が組合せ目標重量に等しいか、より近い組合せを得やすくする制御である。
前述したとおり、リニアフィーダ15は、その振動強度を大きくするか、駆動時間を長くすることにより、被計量物の搬送量を増加させる。したがって、AFCでは、基本的に、各リニアフィーダ15の振動強度および駆動時間の少なくとも一方を変更する。これにより各計量ホッパ17への被計量物の搬送量が変化するため、各計量ホッパ17への被計量物の投入量が調整される。
AFCの具体的な手法はさまざまであるが、代表的には、(1)リニアフィーダ15の振動強度を一斉に変更するAFC−T(Auto Feeder Control Total)、(2)リニアフィーダ15の振動強度を個別に変更するAFC−I(Auto Feeder Control Individual)、および(3)リニアフィーダ15の駆動時間をランダムに変更するAFC−R(Auto Feeder Control Random)の3種類の制御タイプを挙げることができる。本実施の形態では、AFC−Tを実行した場合について説明する。
[AFC−T]
AFC−Tは、組合せ計量に参加する計量ホッパ17の数を監視することで、リニアフィーダ15の振動強度を一斉に変更する制御タイプである。この制御タイプについて、図7を参照して説明する。図7は、全計量ホッパ17で計量される被計量物の重量分布を示すグラフである。
組合せ計量が理想的に行われるとすれば、分散部に供給される被計量物の供給量は均一であり、リニアフィーダ15から計量ホッパ17への被計量物の供給量も均一であり、組合せ計量に参加する計量ホッパ17の数(参加ホッパ数)は常に目標値となる。この理想状態において、計量ホッパ17で計量される被計量物の重量分布をグラフにより示せば、図7の実線L0で示すように、1個の計量ホッパ17で計量される重量の目標値(目標ホッパ重量)を単一の極大とする正規分布となる。
ここで、参加ホッパ数が多すぎるのであれば、個々の計量ホッパ17への供給量が少ないことになる。例えば、ヘッド10を10組備える組合せ秤において、各計量ホッパ17で均等に被計量物が計量されると仮定する。そして、組合せ目標重量が100.0gであり、参加ホッパ数の目標値が5個であるとすれば、全ての計量ホッパ17で計量される重量はいずれも目標ホッパ重量の20.0gとなる。
しかしながら、参加ホッパ数が例えば8個であれば、各計量ホッパ17で計量される重量は12.5gとなる。このような参加ホッパ数過多状態の重量分布は、図7の破線L1で示すように、理想状態の重量分布(実線L0)から軽くなる側に偏る。逆に、参加ホッパ数が少なすぎるのであれば、個々の計量ホッパ17への供給量が多すぎることになる。このような参加ホッパ数過少状態の重量分布は、図7の破線L2で示すように、理想状態の重量分布から重くなる側に偏る。
そこで、AFC−Tでは、全リニアフィーダ15の振動強度を同時に増減することにより、計量ホッパ17に投入される被計量物の重量分布を全体として移動させる制御を行う。図7に示すように、参加ホッパ数過多状態の重量分布L1または過少状態の重量分布L2を理想状態の重量分布L0に移動させれば、参加ホッパ数も望ましい数に近づく。
また、組合せ精度を向上するには、参加ホッパ数が多いことが好ましい。したがって、単に重量分布を移動させるようにリニアフィーダ15の振動強度を調整するだけでなく、参加ホッパ数も被計量物の種類等に応じた望ましい値に変更できるようにしておくことが好ましい。そこで、AFC−Tでは、変更可能なパラメータとして、目標ホッパ数、ホッパリミット数、およびリセット間隔が用いられる。
目標ホッパ数とは、参加ホッパ数の望ましい平均値を表し、組合せ計量の演算時に選択されるべき計量ホッパ17の最適な数(参加ホッパ数の理想値)である。ホッパリミット数とは、実際の参加ホッパ数の平均値(参加ホッパ平均数)と目標ホッパ数との偏差の平均値に対する許容範囲を表す。リセット間隔とは、前記参加ホッパ平均数を算出するためにサンプリングされる組合せ計量の回数を表す。
AFC−Tでは、制御部20が、前記参加ホッパ平均数を前記目標ホッパ数と比較し、前記リセット間隔に達するまで、その偏差を累積して平均値を算出し、この平均値が前記ホッパリミット数を超えるか下回った場合には、全てのリニアフィーダ15に対して振動強度の調整を実行させる。前記リセット間隔に達したときには、振動強度の調整が実行されれば、偏差の累積値はリセットされる。
[AFC−Tの具体例]
以下、図3および図8に基づいてAFC−Tについて説明する。図8は、本実施の形態に係る組合せ秤で実行されるAFC−Tの具体例を示すフローチャートである。
まず、制御部20により公知の組合せ計量制御が行われる(ステップS101)。
組合せ計量制御では、制御部20は、ゲート駆動回路20eを介して計量ホッパ17のゲートの開閉を制御する。そこで、このゲートの開閉情報に基づき、演算部20aは、組合せに選択された計量ホッパ17の数(選択ホッパ数Hc)を取得し、例えばコンパレータにより目標ホッパ数(Hd)と比較し、その差分(Dh=|Hd−Hc|)を演算部20aのアキュムレータに累算する(ステップS102)。
次に、演算部20aは、アキュムレータに累算される組合せ計量の回数を、参加ホッパ平均数を算出するためのサンプリング回数(Ns)として、演算部20aのカウンタで計数する(ステップS103)。このとき、選択ホッパ数が目標ホッパ数と同一(Hc=Hd)であれば、その差分は0となる(Dh=0)ので、アキュムレータへの累算値は増加しない。したがって、選択ホッパ数と目標ホッパ数とが同じ場合には、サンプリングは行われない。言い換えれば、組合せ計量のうち、選択ホッパ数が目標ホッパ数よりも大きいか小さい場合(Hc≠Hd)のみ、サンプリングが行われたとして、演算部20aはカウンタでサンプリング回数(Ns)を計数する。
次に、演算部20aは、サンプリング回数がリセット間隔(Nr)に達したか(Ns=Nr)を判定する(ステップS104)。リセット間隔は、振動強度の不要な調整を避けるために設定される。リセット間隔に達している場合(図中YES)には、ステップS105に進むが、リセット間隔に達していない場合(図中NO)には、演算部20aは、ステップS101に戻り、AFC−Tを最初から繰り返す。
次に、演算部20aは、選択ホッパ数から参加ホッパ平均数(Ha)を算出する(ステップS105)。演算部20aのアキュムレータでは、選択ホッパ数と目標ホッパ数との差分が0でないとき(Dh≠0)、差分を累算していく。したがって、アキュムレータには、サンプリング回数の第1回からリセット間隔まで(Ns:1〜Nr)の各サンプリングでの差分の累算値(Dp={Dh(1)+…+Dh(Nr)})が記憶されている。この累算値に基づき、演算部20aは、選択ホッパ数の総和(Ht)を算出し、この総和をリセット間隔で除算することによって、参加ホッパ平均数を算出する(Ha=Ht/Nr)。
次に、演算部20aは、算出された参加ホッパ平均数と目標ホッパ数とを比較する(ステップS106)。このステップでは、単にこれら数値を比較するのではなく、参加ホッパ平均数と目標ホッパ数との差分の絶対値(Da=|Ha−Hd|)を、許容範囲として設定される前記ホッパリミット数(Lh)と比較し、差分の絶対値がホッパリミット数以下であるか(許容範囲内であるか)を判定する(Da<Lh)。許容範囲内であれば(図中YES)、ステップS110に進む。許容範囲内でなければ(図中NO)、ステップS106に進む。
ステップS106でNOであれば、各組合せ計量で選択される選択ホッパ数が多すぎるか少なすぎるかのいずれかである。そこで、演算部20aは、例えばコンパレータにより参加ホッパ平均数が目標ホッパ数よりも大きいか(Ha>Hd)判定する(ステップS107)。参加ホッパ平均数が目標ホッパ数よりも大きければ(図中YES)、ステップS108に進み、参加ホッパ平均数が目標ホッパ数よりも小さければ(図中NO)、ステップS109に進む。
ステップS107でYESであれば、選択ホッパ数が多すぎることを意味する。そこで、演算部20aは、各計量ホッパ17に投入される被計量物の重量を増加させるために、リニアフィーダ振動制御回路20fに対して、全リニアフィーダ15の振動強度を+1にノッチさせるよう指令する(ステップS108)。これにより、全てのヘッド10において、リニアフィーダパン14から供給ホッパ16に供給される被計量物の重量が増加するため、供給ホッパ16から計量ホッパ17に投入される被計量物の重量も増加する。つまり、全ての計量ホッパ17に投入される被計量物の重量分布は全体として重くなる側に移動する。その結果、選択ホッパ数を減らして目標ホッパ数に近づけることができる。
一方、ステップS107でNOであれば、選択ホッパ数が少なすぎることを意味する。そこで、演算部20aは、各計量ホッパ17に投入される被計量物の重量を減少させるために、リニアフィーダ振動制御回路20fに対して、全リニアフィーダ15の振動強度を−1にノッチさせるよう指令する(ステップS109)。これにより、全てのヘッド10において、リニアフィーダパン14から供給ホッパ16に供給される被計量物の重量が減少するため、供給ホッパ16から計量ホッパ17に投入される被計量物の重量も減少する。つまり、全ての計量ホッパ17に投入される被計量物の重量分布は全体として軽くなる側に移動する。その結果、選択ホッパ数を多くして目標ホッパ数に近づけることができる。
ステップS108およびステップS109のいずれにおいてリニアフィーダ15に対する振動強度の調整が実施されたとき、または、ステップS106においてYESの場合には、演算部20aは、AFC−Tが完了または不要であると判定し、アキュムレータの累算値(Dp)およびサンプリング回数(Ns)をリセットする(ステップS110)。ステップS110が完了すれば、演算部20aはステップS101に戻り、AFC−Tを最初から繰り返す。なお、ステップS108およびステップS109では、振動強度ではなく駆動時間を調整してもよいし、振動強度および駆動時間の双方を調整してもよい。
このようにAFC−Tでは、制御部20は、組合せに参加する計量ホッパ17の参加数について、その目標値を少なくとも設定し、組合せ計量制御の実行とともに組合せに参加した計量ホッパ17の前記参加数を取得し、この参加数が目標値に近づくように、リニアフィーダ15について振動強度等を変更させるよう制御する。このとき、目標値を基準とした許容範囲を設定することもでき、これら目標値や許容範囲は、操作設定表示部23から制御部20への操作指令により変更することができる。
この制御タイプでは、参加ホッパ数の過多状態または過少状態を修正することにより、適正な参加ホッパ数を実現することができる。その結果、組合せ精度および計量速度を向上することができる。ただし、被計量物の種類によっては、AFC−Tを後述する他の制御タイプに切り替えたり、目標ホッパ数やホッパリミット数等のパラメータを変更したりすべき場合がある。これは、被計量物とAFCの制御タイプとの間には「相性」があることによる。
ここで、本発明では、例えば、図5に示すように、制御部20(演算部20a)によってAFCが行われているときに、操作設定表示部23は、制御部20の制御により、表示画面の総合ヘッド情報表示エリア32において、各リニアフィーダ15の振動強度を表示し、かつ、振動強度の変更の対象となったリニアフィーダ15については、対応する表示画面上の領域の色を、他のリニアフィーダ15に対応する領域の色とは異なるように表示する。このような表示方法をとることよって、表示画面上、複数のリニアフィーダ15の駆動状態が一目瞭然となる。
さらに、図5に示すように、計量情報表示エリア33では、組合せ計量の全体像を運転結果情報として表示する。これにより、各リニアフィーダ15に関する情報に加えて、組合せ計量全体に関する情報もオペレータに提供される。しかも、図5に示す表示方法では、運転結果情報が切り替えの前後でどのように変化したのかを矢印により表示する。それゆえ、表示画面でAFCの効果が明確に表示される。
加えて、AFC状態表示エリア34では、現在実行中のAFCの制御タイプを表示する。それゆえ、表示画面では、AFCの効果に相当する前記リニアフィーダ15の駆動状態および運転結果情報と、実行中のAFCの制御タイプという情報がオペレータに提示される。それゆえ、オペレータは、これら情報に基づき、操作設定表示部23からの入力により、前記目標ホッパ数、ホッパリミット数、リセット間隔等のパラメータを変更し、より好ましい効果が得られるようにAFCの設定を試みることができる。つまり、オペレータは、これら情報に基づいてAFCの制御タイプと被計量物との「相性」をさらに一層明確に把握することができるため、AFCをより一層適切に調整することができる。また、パラメータの変更でも好ましい結果が得られない場合には、AFCの制御タイプの変更も検討することができる。
また、本発明では、例えば、図4に示すように、制御部20(演算部20a)によってAFCが行われているときに、操作設定表示部23は、表示画面の総合ヘッド情報表示エリア32のうち、ヘッド10−4に対応する個別ヘッド情報表示エリア32bにおいて、振動強度表示エリア32b−2および平均重量表示エリア32b−3での表示を反転表示とし、オペレータに対して警告することができる。
図4に示す例では、AFCが実行されており、他のヘッド10では好ましい振動強度および平均重量が得られているにも関わらず、ヘッド10−4の振動強度および平均重量は他のヘッド10と比較して明らかに低い。この場合には、ヘッド10−4になんらかの異常が発生していることが考えられる。そこで、異常が発生しているおそれのあるヘッド10−4に対応する個別ヘッド情報表示エリア32bにおいて警告の表示をすることにより、オペレータは、ヘッド10−4を点検すべきであることが一目瞭然となる。
このように、本発明によれば、表示画面上でAFCの効果が一目瞭然にわかるようになるだけでなく、AFCで被計量物の供給を増やしても、平均重量が向上しない計量ホッパ17を識別することができる。それゆえ、特定のヘッドに異常や調整不良が発生したときにも報知することができる。
なお、ヘッド10に異常が発生しているか否かの判断方法は特に限定されないが、本実施の形態では、制御部20が、振動強度または駆動時間を基準として被計量物の搬送率を生成し、予め設定した搬送率の許容範囲から外れるヘッド10またはリニアフィーダ15を特定し、表示画面で警告表示させるよう構成すればよい。搬送率の許容範囲は、適宜設定すればよく、AFCのパラメータと同様に、被計量物の種類等に応じて、操作設定表示部23で設定できるようにすればよい。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、AFCの制御タイプとして、リニアフィーダ15の振動強度を一斉に変更するAFC−Tを実行した場合について本発明を説明したが、本実施の形態では、リニアフィーダ15の振動強度を個別に変更するAFC−Iを実行した場合について説明する。
[AFC−I]
AFC−Iは、各計量ホッパ17で計量される被計量物の重量を監視することで、リニアフィーダ15の振動強度を個別に変更する制御タイプである。この制御タイプについて、図9を参照して説明する。図9は、全計量ホッパ17で計量される被計量物の重量分布を示すグラフであり、2箇所の極大が生じるように偏りが生じた状態と、正規分布の状態との対比を示す。
前記実施の形態1で説明したように、組合せ計量が理想的に行われるとすれば、計量ホッパ17で計量される被計量物の重量分布は、理想重量をピークとする正規分布となる(図7の実線L0参照)。しかしながら、現実の組合せ秤では、前記のような理想的な状態が生じることはあまりない。これは、供給装置11のトップコーン12に対する位置に起因する被計量物の供給のばらつき、リニアフィーダ15の個体差に起因する被計量物の搬送のばらつき等により、重量分布には偏りが生じやすい。
したがって、実際の組合せ秤では、その重量分布において、目標ホッパ重量近傍が極大とならずに極小となり、目標ホッパ重量よりも大きい重量値や小さい重量値に極大が生じることがある。例えば、組合せ目標重量が100.0gであり、参加ホッパ数の目標値が4であるとすれば、目標ホッパ重量は25.0gとなる。ところが、前記のばらつき等により、重量分布の極大が2箇所生じるような偏りが発生することがある。具体的には、図9の実線L3で示すように、目標ホッパ重量である重量値25g近傍において極小となり、重量値15〜20gおよび重量値35〜40gの2箇所において極大となる例が挙げられる。
そこで、AFC−Iでは、リニアフィーダ15の振動強度を個別に増減することにより、目標ホッパ重量近傍の分布を増加させるとともに、2箇所の極大近傍の分布を減少させ(図中いずれも矢印で示す。)、図9の一点鎖線L0に示す正規分布に近づける制御を行う。ただし、AFC−Iでは、目標ホッパ重量は全ての計量ホッパ17に共通する単一の値として設定し、個別の計量ホッパ17それぞれについて設定しない。すなわち、AFC−Iでは、変更可能なパラメータとして、AFC目標重量、AFCリミット重量、およびリセット間隔が用いられる。
AFC目標重量とは、各計量ホッパ17に対して制御上で維持しようとする目標重量を表し、前記目標ホッパ重量とは異なる。通常、AFC目標重量の適正値は、目標ホッパ重量の1/5〜1/3の範囲内として設定される。AFCリミット重量とは、各計量ホッパ17に供給される被計量物の重量がAFC目標重量から上下に偏ることのできる許容範囲を表す。通常、AFCリミット重量の適正範囲は、前記目標ホッパ重量を参加ホッパ数の目標値の除算値として設定される。リセット間隔とは、後述する平均偏差重量を算出するためにサンプリングされる組合せ計量の回数を表す。
AFC−Iでは、制御部20が、各計量ホッパ17に供給される被計量物の重量を監視してAFC目標重量と比較し、前記リセット間隔に達するまで、計量ホッパ17毎にその偏差を累積して平均値を算出し、この平均値が前記AFCリミット数を超えるか下回った計量ホッパ17については、対応するリニアフィーダ15に対して振動強度の調整を実行させる。
[AFC−Iの具体例]
以下、図3および図10に基づいてAFC−Iについて説明する。図10は、本実施の形態に係る組合せ秤で実行されるAFC−Iの具体例を示すフローチャートである。
まず、制御部20により公知の組合せ計量制御が行われる(ステップS201)。
次に、制御部20は、全計量ホッパ17のうち第i番目の計量ホッパ17(第iホッパ)を制御対象として選択する(ステップS202)。基本的には、i=1、すなわち第1番目の計量ホッパ17(第1ホッパ)から選択を開始する。このときの計量ホッパ17の管理番号iは、前述したヘッド10の管理番号(ヘッド番号)を用いればよい。
次に、制御部20は、選択した第iホッパが組合せ計量に参加したかを判定する(ステップS203)。組合せ計量制御では、制御部20は、ゲート駆動回路20eを介して計量ホッパ17のゲートの開閉を制御する。そこで、このゲートの開閉情報に基づき、演算部20aは、第iホッパが組合せに選択された否かを判定する。参加した場合(図中YES)には、ステップS204に進み、参加していない場合(図中NO)には、演算部20aは、ステップS213に進む。
ステップS203でYESであれば、制御部20は、第iホッパで計量された被計量物の重量(計量重量Wi)をAFC目標重量(W0)と毎回比較し、その差分を累算する(ステップS204)。すなわち、組合せ計量制御では、各計量ホッパ17で計量された被計量物の重量は重量センサ22で検出され、制御部20のA/D変換回路20dを介して演算部20aに出力される。演算部20aは、取得した前記重量を記憶部20bに記憶させるとともに、組合せを選択するために記憶部20bから前記重量を再び取得して合計重量を算出する。そこで、演算部20aは、記憶部20bから第iホッパ17の計量重量を取得し、例えばコンパレータによりAFC目標重量と比較し、その差分(Dw=|Wi−W0|)を演算部20aのアキュムレータに累算する。
次に、演算部20aは、アキュムレータに累算される、第iホッパが組合せ計量に参加した回数Sを、サンプリング回数(Ns)として、演算部20aのカウンタで計数する(ステップS205)。このとき、計量重量がAFC目標重量と同一(Wi=W0)であれば、その差分は0となる(Dw=0)ので、アキュムレータへの累算値が増加しない。したがって、計量重量とAFC目標重量とが同じ場合には、サンプリングは行われない。言い換えれば、第iホッパにおいて、計量重量がAFC目標重量よりも大きいか小さい場合(Wi≠W0)のみ、サンプリングが行われたとして、演算部20aはカウンタでサンプリング回数(Ns)を計数する。
次に、演算部20aは、サンプリング回数がリセット間隔(Nr)に達したか(Ns=Nr)を判定する(ステップS206)。リセット間隔は、振動強度の不要な調整を避けるために設定される。リセット間隔に達している場合(図中YES)は、ステップS207に進むが、リセット間隔に達していない場合(図中NO)には、演算部20aは、ステップS213に進む。
次に、演算部20aは、第iホッパにおけるサンプリングされた計量重量(Wi)の偏差の平均である平均偏差重量(Wa)を算出する(ステップS207)。演算部20aのアキュムレータでは、計量重量(Wi)とAFC目標重量(W0)との差分が0でないとき(Dw≠0)、差分を累算していく。したがって、アキュムレータには、サンプリング回数からリセット間隔まで(Ns:1〜Nr)の各サンプリングでの差分の累算値(Dq={Dw(1)+…+Dw(Nr)})が記憶されている。この累算値に基づき、演算部20aは、第iホッパにおけるサンプリングされた計量重量Wiの差分の総和(Wt)を算出し、この総和をリセット間隔で除算することによって、平均偏差重量を算出する(Wa=Wt/Nr)
次に、演算部20aは、算出された平均偏差重量とAFC目標重量とを比較する(ステップS208)。このステップでは、単にこれら数値を比較するのではなく、平均偏差重量とAFC目標重量との差分の絶対値(Di=|Wa−W0|)を、許容範囲として設定される前記AFCリミット重量(Lw)と比較し、差分の絶対値がAFCリミット重量以下であるか(許容範囲内であるか)を判定する(Di<Lw)。許容範囲内であれば(図中YES)、ステップS212に進む。許容範囲内でなければ(図中NO)、ステップS209に進む。
ステップS208でNOであれば、第iホッパで毎回計量される被計量物の計量重量が多すぎるか少なすぎるかのいずれかである。そこで、演算部20aは、例えばコンパレータにより平均偏差重量がAFC目標重量よりも小さいか(Wa<W0)判定する(ステップS209)。平均偏差重量がAFC目標重量よりも小さければ(図中YES)、ステップS210に進み、平均偏差重量がAFC目標重量よりも大きければ(図中NO)、ステップS211に進む。
ステップS208でYESであれば、第iホッパで毎回計量される計量重量が少なすぎることを意味する。そこで、演算部20aは、第iホッパに投入される被計量物の重量を増加させるために、リニアフィーダ振動制御回路20fに対して、第iホッパに対応する第i番目のリニアフィーダ15の振動強度を+1にノッチさせるよう指令する(ステップS210)。これにより、第iホッパを含むヘッド10−iにおいて、リニアフィーダパン14から供給ホッパ16に供給される被計量物の重量が増加するため、供給ホッパ16から第iホッパに投入される被計量物の重量も増加する。つまり、第iホッパの計量重量を目標ホッパ重量に近づけることになる。
一方、ステップS208でNOであれば、第iホッパで毎回計量される計量重量が多すぎることを意味する。そこで、演算部20aは、第iホッパに投入される被計量物の重量を減少させるために、リニアフィーダ振動制御回路20fに対して、第iホッパに対応する第i番目のリニアフィーダ15の振動強度を−1にノッチさせるよう指令する(ステップS211)。これにより、第iホッパを含むヘッド10−iにおいて、リニアフィーダパン14から供給ホッパ16に供給される被計量物の重量が減少するため、供給ホッパ16から第iホッパに投入される被計量物の重量も減少する。つまり、第iホッパの計量重量を目標ホッパ重量に近づけることになる。
ステップS210およびステップS211のいずれにおいても第i番目のリニアフィーダ15に対する振動強度の調整が実施されたとき、または、ステップS206においてNOの場合には、演算部20aは、AFC−Iが完了または不要であると判定し、アキュムレータの累算値(Dq)およびサンプリング回数(Ns)をリセットする(ステップS212)。
ステップS212の次のステップ、または、ステップS203においてNOであるか、もしくはステップS206においてNOである場合の次のステップとして、演算部20aは、次の計量ホッパ17、すなわち第i+1番目の計量ホッパ17(第i+1ホッパ)を、次の制御対象として選択する(ステップS213)。このときの選択は、計量ホッパ17の管理番号に基づいて行えばよく、例えば、演算部20aでi+1をiとする処理を行えば、次の管理番号の計量ホッパ17を選択することができる。
ここで、全ての計量ホッパ17の選択が完了したか否か判定する(ステップS214)。例えば、全ての計量ホッパ17の数をnとすれば、演算部20aは、計量ホッパ17の管理番号iがn+1を超えているか否かを判定すればよい(i>n+1)。完了していなければ(図中NO)、制御対象の計量ホッパ17が残っているので、ステップS203に戻る。完了していれば(図中YES)、演算部20aはステップS201に戻り、AFC−Iを最初から繰り返す。なお、ステップS210およびステップS211では、振動強度ではなく駆動時間を調整してもよいし、振動強度および駆動時間の双方を調整してもよい。
このようにAFC−Iでは、制御部20は、計量ホッパ17の計量重量について、その目標値を少なくとも設定し、組合せ計量制御の実行とともに各計量ホッパ17に対応する重量センサ22から前記重量を取得し、計量重量が前記目標値に近づくように、リニアフィーダ15について振動強度等を変更させるよう制御する。このとき、目標値を基準とした許容範囲を設定することもでき、これら目標値や許容範囲は、操作設定表示部23から制御部20への操作指令により変更することができる。
この制御タイプでは、各計量ホッパ17の計量重量の値が目標ホッパ重量の値と乖離している状態を修正することにより、計量ホッパ17それぞれにおいて適正な計量重量を実現することができる。それゆえ、被計量物の重量分布に複数の極大が生じるような偏りが生じても、当該重量分布を理想的な正規分布に近づけることができる。その結果、組合せ精度および計量速度を向上することができる。ここで、前述したとおり、被計量物とAFCの制御タイプとの相性から、制御タイプそのものを変更したり、パラメータ(AFC目標重量やAFCリミット重量等)を変更したりすべき場合がある。
本発明では、例えば、図6に示すように、制御部20(演算部20a)によってAFCが実行されているときに、操作設定表示部23は、表示画面の計量情報グラフ表示エリア38で、AFCの制御タイプとともに、「平均組合せ重量」、「速度」および「標準偏差」の値を経時的な変化として表示する。そこで、オペレータは、この情報を参考にしてAFCの制御タイプをAFC−Iに切り替えたり、パラメータを変更したりすることを検討することができる。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、AFCの制御タイプとして、リニアフィーダ15の振動強度を一斉に変更するAFC−Tを実行した場合について本発明を説明し、前記実施の形態2では、リニアフィーダ15の振動強度を個別に変更するAFC−Iを実行した場合について本発明を説明したが、本実施の形態では、リニアフィーダ15の振動強度をランダムに変更するAFC−Rを実行した場合について説明する。
[AFC−R]
AFC−Rは、被計量物の搬送量が均一過ぎるために、組合せ目標重量を得るための計量ホッパ17の組合せを見つけにくい場合に適する制御タイプである。
組合せ計量が理想的に行われるとすれば、前述したとおり、計量ホッパ17で計量される被計量物の重量分布は、目標ホッパ重量を極大とする正規分布となる。ここで、組合せ秤では、複数の計量ホッパ17で計量された被計量物を組み合わせることで、組合せ目標重量に近づけるため、各計量ホッパ17での計量重量にばらつきがなさ過ぎると、どのような組合せを選択しても組合せ目標重量に近づけることができなくなる。
例えば、供給状態が他の被計量物と比較して均一であり、かつ、単位重量がほとんど同じである被計量物(例えば、飴、特にチョコレートボール)を計量するときには、目標ホッパ重量あるいは目標ホッパ数を設定すると、目標ホッパ重量に近いプラス側だけの重量の被計量物が計量ホッパ17に投入されてしまうことがある。
例えば目標ホッパ重量が25.0gの場合、各計量ホッパ17の計量重量が25.1g、25.2g、25.0g……等となり、25.0gよりも軽い重量を計量した計量ホッパ17が得られず、その結果、組合せ精度が低下してしまう。また、目標ホッパ重量の上限値の設定を小さくして適量範囲を狭くすると、許容範囲の合計重量となる計量ホッパ17の組合せができないこともある。
そこで、AFC−Rでは、個々のリニアフィーダの駆動時間(動作時間)をランダムに変化させることで、計量ホッパ17に対する被計量物の投入量に強制的にばらつきを発生させ、計量ホッパ17の適当な組合せを作り易くする。AFC−Rで変更可能なパラメータは、リニアフィーダ基準駆動時間およびAFC偏差時間およびである。つまり、AFC−Rは、前述したAFC−TまたはAFC−Iとは制御の方法が異なり、計量ホッパ17に関するパラメータを用いない。
リニアフィーダ基準駆動時間とは、リニアフィーダの駆動時間をランダムに変化させるために設定される、基準となる駆動時間である。AFC偏差時間とは、リニアフィーダの駆動時間をランダムに変化させるために設定される、意図的な駆動時間の偏りである。リニアフィーダ基準駆動時間に対してAFC偏差時間を加減算することにより、ランダムな駆動時間の変化が生成する。
[AFC−Rの具体例]
以下、図3、図11および図12に基づいてAFC−Rについて説明する。図11は、本実施の形態に係る組合せ秤で実行されるAFC−Rの具体例を示すフローチャートである。図12は、本実施の形態に係る組合せ秤で実行されるAFC−Rにおいて生成される駆動時間のばらつきを説明するグラフである。
まず、制御部20により公知の組合せ計量制御が行われる(ステップS301)。
次に、制御部20は、全リニアフィーダ15のうち第i番目のリニアフィーダ15(第iリニアフィーダ)を制御対象として選択する(ステップS302)。基本的には、i=1、すなわち第1番目のリニアフィーダ15(第1リニアフィーダ)から選択を開始する。このときのリニアフィーダ15の管理番号iは、前述したヘッド10の管理番号(ヘッド番号)を用いればよい。
次に、制御部20は、第iリニアフィーダにおいて、例えばレベル0からレベル4までの5段階の駆動時間レベルを生成し、第iリニアフィーダを駆動する(ステップS303)。このとき、制御部20は、1段階の駆動時間レベルで第iリニアフィーダを駆動する期間を1サイクルとし、第iリニアフィーダに対応するカウンタで何サイクル駆動したかを計数する。
すなわち、操作設定表示部23からリニアフィーダ駆動時間(Tr)およびAFC偏差時間(Td)を入力し、演算部20aはこれら時間を記憶部20bに記憶させる。そして、演算部20aは、リニアフィーダ駆動時間(Tr)を基準時間とし、この基準時間からAFC偏差時間またはその倍の時間(2×AFC偏差時間)を加算または減算することにより、5段階の駆動時間レベル(Tl)を生成する。
本実施の形態では、駆動時間レベル0(Tl(0))が、リニアフィーダ駆動時間から2×AFC偏差時間を減算した時間(Tl(0)=Tr−Td×2)であり、駆動時間レベル1(Tl(1))が、リニアフィーダ駆動時間からAFC偏差時間を減算した時間(Tl(1)=Tr−Td)であり、駆動時間レベル2(Tl(2))が、リニアフィーダ駆動時間そのもの(Tl(2)=Tr)であり、駆動時間レベル3(Tl(3))が、リニアフィーダ駆動時間にAFC偏差時間を加算した時間(Tl(3)=Tr+Td)であり、駆動時間レベル4(Tl(4))が、リニアフィーダ駆動時間に2×AFC偏差時間を加算した時間(Tl(4)=Tr+Td×2)である。
そして演算部20aは、図12に示すように、駆動時間レベル0から駆動時間レベル4までをそれぞれ第1から第5サイクルと設定し、リニアフィーダ振動制御回路20fに駆動時間レベル0で第iリニアフィーダを駆動する。このとき、演算部20aは、第1サイクルの駆動を実行させることをカウンタに計数させる。カウンタは、各サイクルの実行に伴い計数番号を1増加する。
次に、制御部20は、第iリニアフィーダに対応するカウンタの計数番号をさらに1増加させ、第iリニアフィーダに対して次のサイクルの駆動を実行させる(ステップS304)。
次に、制御部20は、第iリニアフィーダに対応するカウンタの計数番号が5に達したかを判定する(ステップS305)。計数番号が5に達していれば(図中YES)、ステップS306に進む。計数番号が5に達していなければ、ステップS307に進む。
ステップS305でYESであれば、第iリニアフィーダについて、5段階の駆動時間レベルすべての駆動が終了したため、カウンタの計数番号を5から0に戻す(ステップS306)。
ステップS306の次のステップ、または、ステップS305においてNOである場合の次のステップとして、制御部20は、次のリニアフィーダ15、すなわち第i+1番目のリニアフィーダ15(第i+1リニアフィーダ)を、次の制御対象として選択する(ステップS307)。このときの選択は、リニアフィーダ15の管理番号に基づいて行えばよく、例えば、演算部20aでi+1をiとする処理を行えば、次の管理番号のリニアフィーダ15を選択することができる。
ここで、全てのリニアフィーダ15の選択が完了したか否か判定する(ステップS308)。例えば、全てのリニアフィーダ15の数をnとすれば、演算部20aは、リニアフィーダ15の管理番号iがn+1を超えているか否かを判定すればよい(i>n+1)。完了していなければ(図中NO)、制御対象のリニアフィーダ15が残っているので、ステップS303に戻る。完了していれば(図中YES)、演算部20aはステップS301に戻り、AFC−Rを最初から繰り返す。
このようにAFC−Rでは、制御部20は、リニアフィーダ15の駆動時間の基準値と、この駆動時間よりも短い時間となる偏差時間とを設定し、前記基準値に対する偏差時間の加減算により、組合せ計量制御の実行時に、リニアフィーダ15について駆動時間に意図的なばらつきを生じさせるよう制御する。これら基準値や偏差時間は、操作設定表示部23から制御部20への操作指令により変更することができる。
この制御タイプでは、AFC偏差時間を変更することによって、長さの異なる駆動時間レベルを例えば5段階設定し、この駆動時間レベルに基づいてリニアフィーダ15を駆動することで、計量ホッパ17に対する被計量物の投入量に強制的にばらつきを発生させ、計量ホッパ17の適当な組合せを作り易くする。ここで、前述したとおり、被計量物とAFCの制御タイプとの相性から、制御タイプそのものを変更したり、パラメータ(リニアフィーダ基準駆動時間やAFC偏差時間)を変更したりすべき場合がある。
本発明では、例えば、図6に示すように、制御部20(演算部20a)によってAFCが実行されているときに、操作設定表示部23は、表示画面の計量情報グラフ表示エリア38で、AFCの制御タイプとともに、「平均組合せ重量」、「速度」および「標準偏差」の値を経時的な変化として表示する。そこで、オペレータは、この情報を参考にしてAFCの制御タイプをAFC−Rに切り替えたり、パラメータを変更したりすることを検討することができる。
なお、AFC−T、AFC−IおよびAFC−Rの各制御タイプを切り替える明確な基準を設定することは難しい。例えば、AFC−TをAFC−Iへの切り替えは、被計量物の分散部への供給状態に基づいて行うべきであるが、その供給状態の相違を明確に判定することは困難である。そこで、オペレータは、運転中にAFCを切り替えることにより、運転結果情報である組合せ重量、計量速度、平均組合せ重量、標準偏差を採取し、どのAFCが適合しているのかを判断することになる。本発明では、このようなAFCの切り替えに非常に有効である。
また、本発明は上記の実施形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。