JP5286912B2 - 書き換え型相変化光記録媒体 - Google Patents

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Description

この発明は、次世代DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)と称される光記録媒体、特に相変化材料からなる2層以上の情報層を有する書き換え型相変化光記録媒体に関する。
次世代DVDとして、例えばブルーレイ(商標)ディスク(以下BD)と称される、記録再生レーザー波長が405nm(青色)、対物レンズの開口数NA=0.85(λ/NA≦500nm)の光学系を利用するものが提案されている。
BDなどの光ディスクドライブでは、シングルモード発振半導体レーザーを使用しており、信号再生時のレーザーノイズを低減するために、数百MHzの周波数で再生時のレーザー光(再生光)の高周波重畳を行う。高周波重畳の条件は一般的に、周波数:300〜500MHz、Ratio:3〜8、パルス幅:200〜400psecである。ここで、Ratioとは、レーザーパワーのピーク値と平均値の比とする。
BDでは、片面に2層以上の情報層を有する書き換え型光記録媒体が提案されている。このような多層型の光記録媒体では、光入射面側から最も遠い情報層(L0層)以外の情報層は、L0層への記録再生光を透過させるために、レーザー光の波長に対して半透明な半透過情報層である必要がある。例えば2層光記録媒体では、L0層の光入射面側にあるL1層は、半透過情報層であるためにL1層での反射率が低くなり、またL0層はL1層を介してレーザー光が入射・反射するためにL0層での反射率も低くなる。よって、2層光記録媒体では、1層光記録媒体と比較して反射率が低いために再生時のレーザーパワー(再生パワー)を高めてピックアップへの戻り光量を確保する必要がある。
また、BDではDVDと比較して短波長のレーザー光を用い、更に高いNAの対物レンズを用いてスポットサイズを小さくしているために、レーザースポットにおけるエネルギー密度が非常に高い。
さらに、前述のように、2層光記録媒体のL1層は半透過情報層にする必要があるために、金属反射膜を薄くしなければならない。そのため、L1層の記録膜へ照射されたレーザー光により発した熱が反射膜で十分に放熱できず、L1層はL0層と比較して冷却速度が劣る徐冷構造となってしまう。
また、高速記録を行うために記録の線速度を高めてディスクの回転数が速くなると、ピックアップがディスクの溝であるグルーブに追従しにくくなり、サーボが不安定になるため、高速記録時には再生パワーを高めてサーボを安定にする必要がある。
従って、高い再生パワー、エネルギー密度の高いレーザースポット、徐冷構造である半透過情報層、高速記録、という4つの大きな理由により、2層以上の次世代DVDの半透過情報層では、記録した信号が再生光により劣化し、再生耐久性が著しく低下してしまうという問題が生じる。
さらに、再生光には高周波重畳が行われており、そのRatioが高いほど再生光のピークパワーが高くなってしまい、再生光照射部分の記録膜の温度上昇が顕著となる。従って、高パワーの再生光に加え、高Ratioの高周波重畳により、BDではDVDと比べて再生耐久性を確保することが困難である。
特に、書換え型相変化光記録媒体では、記録信号であるアモルファス(非晶質)マークは、高い再生パワーのレーザー光照射によって結晶化して記録信号が消失し易く、再生劣化が大きいという問題点がある。
これらの問題点を解決するために、特許文献1に示されるような相変化記録材料としてSb‐Ge‐In系合金を用いた情報記録用媒体、特許文献2に示されるような相変化記録材料としてSb‐Te系合金を用いた相変化型光情報記録媒体がある。
特開2004−306595号公報 特開2006−315242号公報
この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、多層化及び/又は高速化しても、再生劣化の少ない、高い再生耐久性を有する次世代DVDなどの書き換え型相変化光記録媒体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特許文献1及び2の記録媒体は4倍速以上の高速書き換え時の記録特性(高速書き換え特性)と、高い再生パワーにおける再生安定性を両立させることが困難であることを見出した。例えば、特許文献2では、相変化記録膜材料をMSbTe(MはV、Nb、Ta、Ti、Ge、もしくはGeとV、Nb、Ta、Tiのいずれかとの混合)とすることで、2倍速以上の書き換え特性・再生安定性・保存安定性に優れた相変化型光情報記録媒体が可能になるとされているが、2層書き換え型情報記録媒体の半透過情報層の相変化記録膜にMSbTe(MはGeとVの混合、即ち、GeVSbTe)を用いても、4倍速以上の高速書き換え特性と、再生安定性を両立させることが困難であることが判明した。
即ち、2層書き換え型情報記録媒体の半透過情報層においては、半透過構造とするために、金属層である記録膜と反射膜の膜厚を薄くしなければならないが、記録膜を薄くすると結晶化速度が低下し書き換えが困難となり、また、反射膜が薄くなると徐冷構造となり、レーザー照射により発熱した記録膜の熱が速やかに放熱されないため記録特性・再生安定性が大きく悪化してしまう。
更には、2層以上の多層記録媒体では、各層の反射率が低いために再生パワーを高くして各層からの反射光量を確保しなければならないが、再生パワーを高めると再生安定性が大きく損なわれてしまう。
以上より、2層書き換え型情報記録媒体の半透過情報層においては、1層書き換え型情報記録媒体と比較して、高速書き換え特性(消去特性)と高い再生パワーにおける再生安定性を両立させることが非常に困難であったが、本発明者らは、書き換え型相変化光記録媒体を繰り返し再生した場合の、再生劣化による変調度変化を5%以内となるようにすることで、書き換え型相変化光記録媒体の再生耐久性を高くすることができることを見出した。このようにすることで、4倍速以上の高速書き換え特性と高い再生パワーにおける再生安定性に優れた2層書き換え型情報記録媒体の半透過情報層を提供することが可能となる。
即ち、以下の実施例により上記課題を解決することができる。
(1)基板と、この基板におけるレーザー光の光入射面側に設けられた第1の情報層と、この第1の情報層よりも更に光入射面側に設けられた少なくとも1層の半透過情報層を有しており、前記半透過情報層は記録膜を含んで構成され、前記記録膜は、対物レンズの開口数をNA、レーザー光の波長をλとしたときλ/NA≦500nmの光学系により結晶質と非晶質との相変化を用いて書き換え可能である書き換え型相変化光記録媒体であって、再生時の前記レーザー光の高周波重畳条件を、周波数が350MHz以上、Ratio>6、パルス幅が250psec以上としたとき、前記記録膜は、主成分がSbであって、記録された情報を繰り返し再生した場合、再生回数が10万回から40万回までにおける変調度変化が5%以内である材料から形成されていて、前記記録膜にはアモルファスマークが形成されており、繰り返し再生後のアモルファスマーク形状は、前記レーザー光の走査方向と平行な一対の細帯状マークから構成され、この一対の細帯状マークの、前記走査方向と直交する幅方向の中間部が結晶化されていることを特徴とする書き換え型相変化記録媒体。
)前記記録膜の副成分として、V又はV及びInを含むことを特徴とする()に記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)V含有量が2at%以上9at%以下であることを特徴とする()に記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)前記半透過情報層は、前記記録膜のレーザー光の光入射面側と反対側に反射膜を含んで構成され、前記反射膜の膜厚が8nm以上16nm以下であることを特徴とする(1)乃至()のいずれかに記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)前記半透過情報層は、前記記録膜のレーザー光の光入射面側に接する界面層を含んで構成され、前記界面層が少なくともCrとOを含有することを特徴とする(1)乃至()のいずれかに記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)前記半透過情報層は、レーザー光の光入射面側より、放熱層、誘電体層、界面層、記録膜の順に含んで構成され、前記放熱層がAlNまたはSiNからなることを特徴とする(1)乃至()のいずれかに記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)前記界面層は、少なくともZrOとCrを含有するZrO−Cr膜からなり、該ZrO−Cr膜の膜厚が2nm以上10nm以下であることを特徴とする()に記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)前記ZrO−Cr膜のZrO含有量が20mol%以上90mol%以下であり、かつ、Cr含有量が10mol%以上80mol%以下であることを特徴とする()に記載の書き換え型相変化光記録媒体。
)前記ZrOはYを含む安定化ZrOであり、該安定化ZrO中のZrOとYの組成比を、ZrO:Y=(100−x):x(mol%)としたときに、2≦x≦10であることを特徴とする()又は()に記載の書き換え型相変化光記録媒体。
この発明においては、繰り返し再生した場合の再生劣化による変調低下がある値で飽和するようにすることで、多層化及び高速化しても、高い再生パワーでの再生耐久性に優れた書き換え型相変化光記録媒体を提供することが可能となった。
最良の形態に係る書き換え型相変化光記録媒体は、基板と、この基板におけるレーザー光の光入射面側に設けられた第1の情報層と、この第1の情報層よりも更に光入射面側に設けられた少なくとも1層の半透過情報層を有しており、前記半透過情報層は記録膜を含んで構成され、前記記録膜は、結晶質と非晶質との相変化を用いて書き換え可能である相変化記録膜材料の主成分がSbであり、副成分としてV又はV及びInを含み、対物レンズの開口数をNA、レーザー光の波長をλとしたときλ/NA≦500nmの光学系を用い、高周波重畳条件が、周波数が350MHz以上、Ratio>6、パルス幅が250psec以上である再生光として照射されると、記録膜に形成されているアモルファスマークの結晶化が、レーザー光の走査方向と直交する、アモルファスマークの幅方向の中間部のみで起こることで、繰り返し再生した場合の再生劣化による変調低下がある値で飽和するようにされている。
半透過情報層の構成例としては、第1誘電体層、反射層、保護層、記録膜、保護層、第2誘電体層、放熱層を順次積層したものが挙げられる。
第1誘電体層は、反射層の保護及び光透過率調整のために設けられ、材料は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Hf、Ta、Si、Al、Mg、Y、Ce、Zn、In、Cr、Nb等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、あるいはこれらの複合物等が用いられる。最良の実施形態では酸化ジルコニウム(ZrO)を主成分として含む材料または酸化チタン(TiO)によって構成され、好ましくは、ZrOとCrとAlまたはTiOから構成される。ここでの主成分とは、全体に占めるモル比が50%以上のことである。第1誘電体層の膜厚D1は、5nm≦D1≦60nmが好ましい。5nm未満では反射層の保護が不十分であり、60nmより厚いと光透過率が好ましい範囲を外れる。また、第1誘電体層は、2つ以上の複数の誘電体層を積層しても良い。この場合、基板側には低屈折率、反射膜側には高屈折率の誘電体材料を用いるのが好ましい。例えば、低屈折率のものとしては、ZrOを主成分としたもの、高屈折率のものとしては、TiOを用いることができる。
反射層は、放熱と光干渉効果のために設けられ、材料として好ましくはAg合金が用いられる。情報層を半透過構造とするための反射層の厚さTrは、0nm<Tr<30nmであり、最適な反射・光透過率を得るためには、8nm≦Tr≦16nmが好ましい。反射層の厚さTrが0nmでは放熱効果が得られず、30nm以上では透過率が低下しL0層への記録が困難となってしまう。
保護層は、記録膜の保護及び結晶化速度の制御及び反射膜への放熱制御を行なう。保護層の材料は、少なくともCrとOを含むようにされており、好ましくは、少なくともCrとZrとOによって構成され、より好ましくは、少なくともCrとZrOから構成される。Crは結晶化速度を高め、ZrOは膜応力を低下させる。なお、Crの比率が高いと結晶化速度を高めやすくなるが、比率が高すぎると光透過率が低下してしまう。光入射面側の保護層を構成する好ましいCrの比率は10mol%以上80mol%以下であり、ZrOの比率は20mol%以上90mol%以下である。反射層側の保護層を構成する好ましいCrの比率は5mol%以上70mol%以下であり、ZrOは30mol%以上95mol%以下である。記録膜に接した光入射面側の保護層は反射層側の保護層よりもCrの比率が高い方が好ましい。保護層の好ましい膜厚は3nm以上10nm以下である。ZrOは、好ましくは希土類酸化物を数mol%含んだ安定化ZrOを用いる。希土類酸化物としてはYが好ましく、安定化ZrO100mol%のうち、Yの比率は2mol%以上10mol%以下である。
記録膜の好ましい膜厚Trecは、3nm≦Trec≦8nmである。膜厚Trecが3nm未満では結晶化速度が低下してしまい、アモルファスマークの消去(結晶化)が困難となってしまう。膜厚Trecが8nmより大きい場合は透過率が低下しL0層への記録が困難となってしまう。また、記録膜の膜厚が厚くなると、記録時に記録膜自身に過剰な熱が蓄積され、記録特性が悪化してしまう。
以上の各層及び記録膜により、半透過情報層全体の記録波長における光透過率が30%以上80%以下となるようにされている。半透過情報層の光透過率が30%未満であると、レーザー光の光入射面から最も遠い情報層への記録が困難となり、80%を越えると半透過情報層への記録が困難となるためである。これは、半透過情報層として要求される一般的な条件である。
記録膜は、少なくともSbを主成分として含む。ここでの主成分とは、40at%以上のことである。さらに、Ge、In、Te、V、Mg、Al、Si、Mn、Zn、Ga、Sn、Bi等から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含んでいてもよい。好ましくは、Ge、In、Te、Vを含み、これらの好ましい組成範囲は、65≦Sb≦80、8≦Ge≦18、4≦In≦15、3≦Te≦10、0.5≦V≦10(at%)である。
Sbが少ないと結晶化速度が低下し、書き換えが困難となり、Sbが多いと結晶化速度は速くなるがアモルファスマークの熱安定性が低下する。Geが少ないとアモルファスマークの熱安定性が低下し、Geが多いと結晶化速度が低下して書き換えが困難となる。Inが少ないと再生耐久性が低下し、Inが多いと結晶化速度が低下して書き換えが困難となる。Teが少ないと再生耐久性が低下し、Teが多いと結晶化速度が低下して書き換えが困難となる。
また、前述したように、好ましい記録膜の膜厚は3nm以上8nm以下であり、更に2層媒体のL1層の記録膜としての好ましい膜厚は4nm以上6nm以下である。膜厚が薄いと結晶化速度が低下して書き換えが困難であり、また記録前後の反射率差が低下する。また膜厚が厚いと透過率が低下してしまい、光入射面側から最も遠い層への記録が困難となる。
第2誘電体層は、光学特性の調整及び記録膜から放熱層への放熱性の制御を行なう。材
料は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Hf、Ta、Si、Al、Mg、Y、Ce、Zn、In、Cr、Nb等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、あるいはこれらの複合物等が用いられる。好ましくは、ZnSとSiOの混合物によって形成される。好ましいZnSとSiOのモル比は、50:50から95:5である。この範囲を外れると、ZnSとSiOの混合物の屈折率が変化し、光学特性の調整が困難となる。第2誘電体層の膜厚Dは、5nm≦D≦50nmが好ましい。5nmより薄いと記録膜の保護及び光学特性の調整が困難となり、50nmより厚いと記録膜から放熱層への放熱性が低下する。
放熱層は、記録膜からの放熱を制御し、記録膜の冷却効果を高めて正確にアモルファスマークを形成し易くするためのものである。材料は特に限定されないが、第2誘電体層の材料よりも熱伝導率の高い材料が好ましく、AlN、SiN、BN、Al、TiO等が好ましい。最良の実施形態では、AlN又はSiNによって形成される。放熱層の好ましい膜厚は、反射率、再生耐久性により決定される。例えば、2層光記録媒体では、反射率は3%以上7%以下にすることが好ましい。反射率は、誘電体層、記録膜、反射層、放熱層などの膜厚により調整される。放熱層の好ましい膜厚Theatは、15nm≦Theat<150nmであり、更に好ましくは20nm≦Theat<120nmである。放熱層の膜厚Theatが15nm未満であると、記録膜からの放熱効果が小さくなり、又、放熱層の膜厚Theatが150nm以上になると成膜に要する時間が長くなり生産性の低下を引き起こす。
なお、第1、第2誘電体層は、単層でも2層以上の複数の誘電体層から構成されてもよい。
また、前述したように、片面に2層以上の情報層を有する多層光記録媒体は、各層の反射率が低いために、記録信号を読み出すためのレーザーの再生パワーを高くする必要がある。また、高速記録を行うために記録の線速度を高めてディスクの回転数が速くなると、ピックアップがディスクの溝であるグルーブに追従しにくくなり、サーボが不安定になる。そのため、高速記録時には再生パワーを高めてサーボを安定にする必要がある。
また、光ディスクドライブの光ピックアップは、戻り光による半導体レーザーのノイズを低減するために高周波重畳を行っている。
よって、再生パワーは0.6mw以上、好ましくは0.7mw以上であり、周波数:300〜500MHz、Ratio:3〜8、パルス幅:200〜400psecの条件で高周波重畳を行うようにされている。より好ましくは、周波数が350MHz以上、Ratio>6、パルス幅が250psec以上の条件で高周波重畳を行うようにされている。
以下図1を参照して、本発明の実施例1に係る光記録媒体10について詳細に説明する。
この光記録媒体10は、基板12と、この基板12におけるレーザー光の光入射面側(図1において上側)に設けられた第1の情報層14と、この第1の情報層14よりも更に光入射面側に設けられた半透過情報層である第2の情報層16と、を有してなり、第2の情報層16は、記録膜18及びこの記録膜18の両側に隣接して設けられた保護層20A、20Bを含んで構成されている。
第1の情報層14と第2の情報層16との間にはスペーサ層22が設けられ、また、第2の情報層16の光入射面側にはカバー層24が設けられている。
第2の情報層16は、スペーサ層22側から、膜厚5nmのZrO‐Cr‐Al(65:10:25mol%)膜からなる第1誘電体層26と、膜厚12nmのAgCu膜からなる反射層28と、膜厚4nmのZrO‐Cr(50:50mol%)膜からなる保護層20Aと、膜厚6nmのSbを主成分とするSb共晶系の相変化材料からなる記録膜18と、膜厚5nmのZrO‐Cr(50:50mol%)膜からなる保護層20Bと、膜厚13nmのZnS‐SiO(80:20mol%)膜からなる第2誘電体層32と、膜厚45nmのAlN膜からなる放熱層34をこの順でスパッタリングにより形成して構成されている。
また、基板12は厚さ1.1mmのポリカーボネートからなり、スペーサ層22は厚さが25μmとされ、カバー層24は、紫外線硬化型樹脂を用いてスピンコート法により75μmの厚さで形成されている。このカバー層24は、第2の情報層16を初期化機により全面結晶化させた後に形成される。
上記のような構成の光記録媒体10のサンプル1〜4、6〜8を、記録膜18を構成する記録膜材料として、表1に示す組成のスパッタリングターゲットを用いて作成した。なお、サンプル5及び9は比較例である。
Figure 0005286912
表1中の数値は、それぞれの元素の組成割合(at%)を示す値である。また、記録膜18の膜厚は、サンプル1〜4は6nm、サンプル5〜8は7nm、サンプル9は8nmである。
これらのサンプルについて説明する。サンプル1〜8はSbを主成分とし、サンプル9はGeTeを主成分とする。サンプル3及び4は副成分としてGe、V、In、Teを含む。サンプル1及び2は副成分としてGe、In、Teを含み、Vは含まない。サンプル6〜8は副成分としてGe、V、Teを含み、Inは含まない。サンプル5は副成分としてGe、Teを含み、V、Inは含まない。サンプル9は副成分としてBiを含み、Sb、V、Inは含まない。
これらのサンプル1〜9に混合信号を記録して、1倍速の線速度でジッタ値を測定し、次に再生パワーPrを0.9mW、1.1mW、1.3mW、1.5mWと変えながら2倍速の線速度で1万回再生を行い、その後1倍速の線速度でジッタ値を測定して、1万回再生前後でのジッタ値の劣化量(%)を求めた。
結果を表2に示す。
Figure 0005286912
表2中の数値は、ジッタ値の劣化量(%)を示し、1万回再生後のジッタ値が測定できなかった場合をNGとした。表2から分かるように、サンプル4、6〜8はPr=1.5mWで1万回再生した場合であっても、ジッタ値はほとんど劣化しなかった。また、サンプル2はPr=1.5mWではジッタ値の劣化量はNGとならず、Pr=1.3mWではジッタ値の劣化量はさらに小さかった。サンプル3はPr=1.5mWではNGとなったが、Pr=1.3mWで1万回再生した後のジッタ値の劣化量はNGとならなかった。これに対して、サンプル1、5、9は、Pr=1.3mW及びPr=1.5mWではNGとなった。
ここで、表1に示される記録膜18の組成から、サンプル1、5、9に共通することはVを含まないことであることが分かる。
従って、Vを含んだサンプルは高い再生パワーで繰り返し再生してもジッタ値がほとんど劣化しないことが分かった。また、サンプル3及び4から、Vに加えてInを含んだサンプルもジッタ値の劣化量が少ないことが分かった。さらに、サンプル2から、Vに代えてInを含んだサンプルもジッタ値の劣化量が少ないことが分かった。
次に、P=0.99mWかつ2倍速の線速でサンプル1及びサンプル9の繰り返し再生を行ない、再生耐久性の評価を行なった。図2はサンプル1の、図3はサンプル9の、再生回数に対する信号の変調度変化を示すグラフである。ここで、変調度変化とは、マーク部分の初期反射率をRiniとし、再生劣化後のマーク部分の反射率をRafterとした時、変調度変化=Rini/Rafterで表される値を言う。再生劣化が起こると、アモルファスマークが結晶化して小さくなり、マーク部分の反射率はマーク部分より反射率が高い結晶部分の反射率に近づき変調度が低下する。
図3から分かるように、GeTeを主成分とするサンプル9は、再生回数に応じて変調度が低下し続け、30万回の時点で変調度は0.70となった。これに対して、図2から分かるように、Sbを主成分とするサンプル1は、変調度が0.80となるまでは再生回数に応じて変調度が低下するものの、再生回数をそれ以上増やしても変調度は低下しなかった。
サンプル1及びサンプル9の再生回数10万回から40万回までの変調度変化は、サンプル1が2%、サンプル9が10%であった。サンプル2〜8についても再生パワーを変えながら再生耐久性評価を行ったところ、変調度変化は図2に示されるサンプル1と同様であった。以上より、Sbを主成分とする相変化記録膜材料とGeTeを主成分とする相変化記録膜材料では、再生劣化による変調度低下の過程が大きく異なることが分かった。
又、繰り返し再生を行なった後に、サンプル1及びサンプル9の記録膜に形成されたアモルファスマークの結晶化の様子をTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)を用いて観察した。図4はサンプル1の、図5はサンプル9の、アモルファスマークの結晶化の様子を示す模式図である。図4及び図5においては、アモルファスの部分を斜線で示す。図5から分かるように、GeTeを主成分とするサンプル9の、繰り返し再生後のアモルファスマーク形状は、マーク外縁部から内側に向かって結晶化され、レーザー光の走査方向には短く、且つ、これと直交する幅方向には細い形状に変化している。
これに対して、サンプル1の繰り返し再生後のアモルファスマーク形状は、レーザー光の走査方向と平行な一対の細帯状マークMA及びMBから構成され、レーザー光の走査方向のトラック中心部である中間部Imが結晶化されている。なお、細帯状マークMA及びMBの幅方向の大きさは同じでなくとも良く、レーザー光の走査により認識される程度の大きさであればよい。
レーザースポット内のビーム強度はガウス分布であり、マーク外縁部と比較してマーク中心部のレーザー光照射時の到達温度は高く、アモルファスの結晶化が起こりやすい。そのため、サンプル9のような再生劣化現象では、アモルファスマークの結晶化はマークが完全に消失するまで進行するが、サンプル1のような再生劣化現象では、レーザー光の走査方向のトラック中心部である中間部Imが結晶化され、レーザースポットの端部に位置する細帯状マークMA及びMBは、レーザー照射時の到達温度が低く、そのためそれ以上に結晶化されることがないため、再生劣化による記録信号の変調度低下が起きない。
Sbを主成分とする相変化記録膜材料においては、再生回数が数万回までは変調度は低下するが、これはアモルファスマークの、レーザー光の走査方向のトラック中心部である中間部Imが結晶化していく過程である。中間部Imの結晶化が完了してしまうと、その後再生回数を増やしてもアモルファスマークの結晶化が起きないために変調度の低下がこれ以上起きず、信号品質が維持される。更に、Sbを主成分とし、Vを含む相変化記録膜材料では再生耐久性を著しく高めることが可能となる。
図6及び表3に、サンプル1、3及び4の再生パワー1.3mWでの再生回数に対するジッタ値の劣化量(%)を示す。
Figure 0005286912
表3においては、V含有率が0at%のサンプル1は再生回数が1000回を超えると再生劣化が著しいため、2000回以降のジッタ値の劣化量については「―」で示した。V含有率が1at%のサンプル3は、再生回数が1000回のときにジッタ値の劣化量がほぼ10%となった。
これらに対して、V含有率が2at%のサンプル4は、再生回数が10000回となってもジッタ値の劣化量は7.5%のままであった。
以上より、Vの含有率が1at%未満のときは再生劣化が著しいが、Vの含有率が少なくとも2at%以上のとき、再生耐久性が大幅に改善することが分かった。
以下図7を参照して、本発明の実施例2に係る光記録媒体30について説明する。この光記録媒体30は、実施例1の光記録媒体10と比較して、記録膜18の保護層20Bの代わりに界面層36が設けられている。他の構成は同じであるので、光記録媒体10と同じ符号を用いて、説明を省略する。
界面層は、記録膜の結晶化速度及び再生耐久性の制御を行う。界面層の材料は、少なくともZrとCrとOを含むようにされており、好ましくは、ZrOとCrによって構成される。Crは結晶化速度と再生耐久性を高め、ZrOは膜の透明性を高める。Crの比率が高すぎると膜の透明性が低下し、半透過情報層の透過率が低下する。ZrOの比率が高すぎると結晶化速度、再生耐久性が低下する。界面層のZrOの好ましい比率は20mol%以上90mol%以下であり、Crの好ましい比率は10mol%以上80mol%以下である。界面層の好ましい厚さは2nm以上10nm以下である。2nm未満では結晶化速度、再生耐久性が低下し、10nmより厚いと生産性が低下してしまう。
光記録媒体30のサンプル11、15、16及び比較例のサンプル10、12乃至14、17乃至21を作製した。具体的には、それぞれのサンプルについて、PC基板上に第1の情報層を形成し、その上に厚さ25μmのスペーサ層、第2の情報層、厚さ75μmのカバー層を順次設けた。第1情報層及び第2情報層はスパッタにより、スペーサ層とカバー層はスピンコート法により設けた。このとき、第2情報層は表4の順で設けた。なお、記録膜については「―」で示し、表5において詳細に示す。
Figure 0005286912
ここで、第1誘電体層、保護層、界面層のZrOは、3mol%のYを含んだZrO:Y=97:3(mol%)の安定化ZrOである。また、サンプル12、17及び21については、界面層を設けなかった。これらのサンプルは、第2誘電体層の厚さを18nmとした。サンプル18、20及び21については、放熱層を設けなかった。これらのサンプルは第2誘電体層の厚さを45nmとした。サンプル14及び19については、界面層も放熱層も設けなかった。これらのサンプルは、第2誘電体層の厚さを50nmとした。
表4において「―」で示した記録膜の材料・組成・膜厚を表5に示す。
Figure 0005286912
本実施例では、表1に示される組成のうち、実施例1のサンプル2、4、5、6及び比較例のサンプル9の記録膜材料と同じ組成を用いた。従って、表5においては、これらのサンプル名で組成を示した。
各サンプルを初期化後に評価を行った。記録線速度はBD2倍速(線速度9.84m/s)、BD4倍速(線速度19.68m/s)とした。記録ストラテジは、2倍速、4倍速ともに(n/2)Tストラテジを用いた。ここで、(n/2)Tストラテジとは、2T、3Tマークはパルス1本、4T、5Tマークはパルス2本、6T、7Tマークはパルス3本、8Tマークはパルス4本で記録する記録ストラテジである。
評価は、消去率の測定、ジッタ測定、再生劣化の度合い、変調度変化について行った。
消去率の測定は、2倍速または4倍速にて8T単一信号を記録後、2倍速及び4倍速の線速度にてそれぞれDC消去1回行い、スペクトラムアナライザにて8T信号のキャリアレベルの低下量を測定した。消去率が25dB以上あれば消去可能となる。
ジッタ測定は、2倍速または4倍速において混合信号を10回記録した後、1倍速で再生パワー0.7mWで再生した時のジッタ値を測定した。ジッタ値8.5%以下が実用水準である。
再生劣化の度合いは、2倍速または4倍速で混合信号を10回記録した後、2倍速では再生パワー0.7mWで、4倍速では再生パワー1.3mWでそれぞれ記録信号を1万回再生した。その後、1倍速でジッタ値測定した時のジッタ劣化量(ジッタ値の)を測定した。ジッタ劣化量1%以内が実用水準である。
評価結果を表6に示す。
Figure 0005286912
消去率については、25dB以上であれば○、25dB未満であれば×とした。ジッタ値については、8.5%以下であれば○、8.5%より大きければ×とした。再生劣化の度合いについては、1%未満であれば○、1%以上であれば×とした。変調度変化については、5%以下であれば○、5%より大きければ×とした。評価不可である場合は、「―」とした。総合判定は、2倍速記録及び4倍速記録それぞれの、消去率、ジッタ値及び再生劣化の度合い、及び変調度変化が全て○の場合は○、いずれかが×の場合は×とした。
表6より、Vを含んだ記録膜を用いても、界面層及び放熱層も設けないサンプル19は、2倍速での再生劣化は良好だがジッタ値が悪く、また4倍速での消去率とジッタ値が不十分であり、高速書き換え特性(消去特性)と再生安定性を両立させることが不可能であることがわかった。
また、界面層を設けないサンプル17は4倍速での消去が、放熱層を設けないサンプル18は4倍速でのジッタ値が、Vを含まない記録膜材料を用いたサンプル13では再生劣化が×判定となることがわかった。
化合物系の相変化記録膜材料であるGeBiTe記録膜サンプルを用いたサンプル20では、2倍速特性は良好であったが、4倍速での消去率が不十分であり、高速書き換えに対応できないことがわかった。また、界面層を設けないサンプル21は、結晶化速度が大幅に低下して2倍速での消去率が不十分となり書き換え不可能となってしまった。このことより、半透過情報層の相変化記録膜に化合物系材料を用いると、界面層を付加しても4倍速以上の高速書き換えに対応できないことが明らかである。また、Sbを含まない記録膜材料を用いたこれらのサンプル20及び21は、変調度変化が大きすぎることが分かった。
以上より、多層記録媒体の半透過情報層において、2倍速から4倍速の高速書き換え特性と再生安定性を両立させるには、記録膜材料がSbを主成分とし、V又はV及びInを含み、少なくともZrOとCrを含有する界面層とAlNまたはSiN放熱層が必要であることが明らかである。
次に、サンプル15の2倍速記録と4倍速記録の消去率マージンを表7及び図8に、記録パワーマージンを表8及び図9に示す。消去率マージンは、8T単一信号を記録後、2倍速または4倍速の線速度で消去パワーPeを変えながらDC消去1回行った時の消去率を測定した。
Figure 0005286912
記録パワーマージンは、2倍速記録での記録パワーPwと消去パワーPeの比率Pe/Pwは0.33、4倍速記録でのPe/Pwは0.40とした。
Figure 0005286912
表7及び図8より、2倍速、また更に高速の4倍速においても、繰り返し書き換え可能な消去率の目安である25dB以上を有していることが確認できる。また、表8及び図9より、2倍速、4倍速記録ともにジッタ値の目安8.5%を下回る良好な記録パワーマージンを有していることが確認できる。なお、表8において測定していない記録パワーと記録速度の組合せについては「―」で示した。
次に、サンプル15において反射膜の膜厚を変化させたサンプル22乃至26を作製し、それぞれについて4倍速記録のジッタ値及び結晶部の透過率を測定した。透過率は分光光度計にて波長405nmでの透過率を測定した。結果を表9に示す。
Figure 0005286912
表9においては、4倍速記録のジッタ値については8.5%以上であれば○、8.5%未満であれば×とした。結晶部の透過率については、40%以上であれば○、40%未満であれば×とした。総合判定は、4倍速記録のジッタ値及び結晶部の透過率が共に○の場合は○、いずれかが×の場合は×とした。
表9より、反射膜の膜厚が薄い(4nm)サンプル22は、放熱効果が低下するために、ジッタ値が悪化してしまうこと、また、膜厚が厚い(20nm)サンプル26は、透過率が低下してしまい、光入射面から最も遠い情報層の記録特性が悪化してしまうことが分かった。よって、好ましい反射膜の膜厚範囲は8nm以上16nm以下であることが分かった。
次に、サンプル15において、界面層の膜厚を変化させたサンプル27乃至31を作製し、それぞれについて4倍速での消去率を測定した。結果を表10に示す。
Figure 0005286912
表10においては、4倍速での消去率については25dB以上であれば○、25dB未満であれば×とした。総合判定は、4倍速での消去率が○の場合は○、4倍速での消去率が×の場合は×とした。
表10より、界面層がない(0nm)サンプル27及び界面層の膜厚が薄い(1nm)サンプル28は、結晶化速度が低下するため、4倍速での消去率が低下してしまうこと、また、膜厚が10nm以上では消去率は変化せず、結晶化速度向上の効果を考慮すると膜厚10nmで十分であることが分かった。よって、界面層の好ましい膜厚は2nm以上10nm以下であることが分かった。
次に、サンプル15において、界面層ZrO−Crの組成比を変化させたサンプル32乃至35を作製し、それぞれについて4倍速での消去率を測定した。結果を表11に示す。
Figure 0005286912
表11においては、4倍速での消去率については25dB以上であれば○、25dB未満であれば×とした。
Crを含まないZrO界面層を有するサンプル32は、結晶化速度が低下してしまうために、4倍速消去率が低下した。また、ZrOを含まないCr界面層を有するサンプル35は、Cr膜に欠陥が多数発生してしまい、界面層として用いることができなかった。従って、表11の4倍速消去率の欄には「膜欠陥大」と記載した。総合判定は、4倍速での消去率が○の場合は○、4倍速での消去率が×又は膜欠陥大の場合は×とした。
以上より、界面層の好ましい組成比は、少なくともZrOとCrを含有し、ZrO含有量が20mol%以上90mol%以下、Cr含有量が10mol%以上80mol%以下であることが分かった。
次に、サンプル5、6、7、8及び36の線速度、再生耐久性を測定し、比較した。線速度は、8T単一信号を記録した後、線速度を変化させながらDC消去1回を行った時の消去率を測定し、書き換え可能となる消去率25dB以上となる最大の線速度を求めた。
4倍速で書き換え可能となるには、4倍速の線速度19.68m/s以上での消去率25dB以上が求められる。また、再生耐久性は、2倍速の線速度で再生パワー1.3mWで1万回再生を行い、ジッタ値の変化量を測定した。結果を表12及び図10に示す。
Figure 0005286912
表12においては、4倍速での消去可能となる線速度が19.68m/s以上であれば○、19.68m/s未満であれば×とした。また、再生耐久性については、ジッタ値の変化量が1%未満であれば○、1%以上であれば×とした。総合判定は、線速度及び再生耐久性が共に○の場合は○、いずれかが×の場合は×とした。
表12及び図10より、実施例1にもあるようにV量が少ないサンプル5は、再生劣化が著しく起きてしまうが、少なくともサンプル6のように2.6at%含んでいれば問題ないことが分かった。また、サンプル36のようにV量が10at%を超え10.6at%と多くなると線速度が低下してしまい、4倍速での書き換えが困難となってしまうことが分かった。
以上より、図10も参照して、4倍速での繰り返し書き換え特性と再生耐久性が両立可能となるVの好ましい組成範囲は2at%以上9at%以下であることが分かった。
実施例1、2及び比較例より、書き換え型相変化光記録媒体の半透過情報層に含まれる記録膜が、主成分としてSb、副成分としてV又はV及びInを含むようにすることにより、レーザー光が繰返し照射されることによるアモルファスマークの結晶化が、レーザー光の走査方向と直交する、アモルファスマークの幅方向の中心部のみで起こるようにすることができること、又、このため、再生耐久性試験において、それ以上変調度が低下しないようにすることができることが分かった。
なお、図4に示されるアモルファスマークはレーザー光の走査方向と平行な一対の細帯状マークMA、MBから構成されているが、一対ではなく、単一の細帯状マークから構成されるようにしてもよい。この場合、例えば、アモルファスマークを形成した後に、レーザー光の走査方向と直交する、アモルファスマークの幅方向に若干ずらした消去パワーのレーザー光を照射することにより単一の細帯状マークを形成してもよいし、上記のように平行な一対の細帯状のアモルファスマークを形成してから、消去パワーのレーザー光を一方の細帯状のアモルファスマークのみに照射し、もう一方の細帯状のアモルファスマークのみを残すようにしてもよい。
本発明は書き換え型の相変化光記録媒体についてのものであるが、予め記録条件等の情報を記録するようにされていてもよい。
又、上記実施例は、情報層が2層の書き換え型相変化光記録媒体についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、情報層が3層以上の書き換え型相変化光記録媒体についても適用されるものである。
本発明の実施例1に係る光記録媒体を模式的に示す断面図 本発明の実施例1に係る光記録媒体の再生回数に対する変調度変化を示すグラフ 本発明の比較例に係る光記録媒体の再生回数に対する変調度変化を示すグラフ 本発明の実施例1に係る光記録媒体の記録膜に形成されたアモルファスマークの繰り返し再生前後の結晶化の様子を示す模式図 本発明の比較例に係る光記録媒体の記録膜に形成されたアモルファスマークの繰り返し再生前後の結晶化の様子を示す模式図 本発明の実施例1に係る光記録媒体の再生回数に対するジッタ値を示すグラフ 本発明の実施例2に係る光記録媒体を模式的に示す断面図 本発明の実施例2に係る光記録媒体の消去パワーと消去率の関係を示すグラフ 本発明の実施例2に係る光記録媒体の記録パワーとジッタ値の関係を示すグラフ 本発明の実施例1及び2に係る光記録媒体の線速度及び再生耐久性を示すグラフ
符号の説明
10、30…光記録媒体
12…基板
14…第1の情報層
16…第2の情報層
18…記録膜
20A、20B…保護層
22…スペーサ層
24…カバー層
26…第1誘電体層
28…反射層
32…第2誘電体層
34…放射層
36…界面層
A、MB…細帯状マーク

Claims (9)

  1. 基板と、この基板におけるレーザー光の光入射面側に設けられた第1の情報層と、この第1の情報層よりも更に光入射面側に設けられた少なくとも1層の半透過情報層を有しており、
    前記半透過情報層は記録膜を含んで構成され、前記記録膜は、対物レンズの開口数をNA、レーザー光の波長をλとしたとき、λ/NA≦500nmの光学系により結晶質と非晶質との相変化を用いて書き換え可能である書き換え型相変化光記録媒体であって、
    再生時の前記レーザー光の高周波重畳条件を、周波数が350MHz以上、Ratio>6、パルス幅が250psec以上としたとき、前記記録膜は、主成分がSbであって、記録された情報を繰り返し再生した場合、再生回数が10万回から40万回までにおける変調度変化が5%以内である材料から形成されていて、
    前記記録膜にはアモルファスマークが形成されており、繰り返し再生後のアモルファスマーク形状は、前記レーザー光の走査方向と平行な一対の細帯状マークから構成され、この一対の細帯状マークの、前記走査方向と直交する幅方向の中間部が結晶化されていることを特徴とする書き換え型相変化記録媒体。
  2. 請求項において、
    前記記録膜の副成分として、V又はV及びInを含むことを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  3. 請求項において、
    V含有量が2at%以上9at%以下であることを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  4. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記半透過情報層は、前記記録膜のレーザー光の光入射面側と反対側に反射膜を含んで構成され、前記反射膜の膜厚が8nm以上16nm以下であることを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  5. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記半透過情報層は、前記記録膜のレーザー光の光入射面側に接する界面層を含んで構成され、前記界面層が少なくともCrとOを含有することを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  6. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記半透過情報層は、レーザー光の光入射面側より、放熱層、誘電体層、界面層、記録膜の順に含んで構成され、前記放熱層がAlNまたはSiNからなることを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  7. 請求項において、
    前記界面層は、少なくともZrOとCrを含有するZrO−Cr膜からなり、該ZrO−Cr膜の膜厚が2nm以上10nm以下であることを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  8. 請求項において、
    前記ZrO−Cr膜のZrO含有量が20mol%以上90mol%以下であり、かつ、Cr含有量が10mol%以上80mol%以下であることを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
  9. 請求項又はにおいて、
    前記ZrOはYを含む安定化ZrOであり、該安定化ZrO中のZrOとYの組成比を、ZrO:Y=(100−x):x(mol%)としたときに、
    2≦x≦10
    であることを特徴とする書き換え型相変化光記録媒体。
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