JP5285982B2 - 真空脱ガス精錬処理中の停電対応方法 - Google Patents
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Description
本発明は、例えば、RH精錬装置において、取鍋内の溶鋼の真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生した時の真空脱ガス精錬処理中の停電対応方法に関するものである。
従来より、溶鋼を還流させることで当該溶鋼の脱ガスを行うものとしてRH精錬装置ががあり、このRH精錬装置は、取鍋内の溶鋼に浸漬させる浸漬管を有する真空脱ガス槽を備えたものである。
このようなRH精錬装置では、真空脱ガス精錬処理を行う際に、真空脱ガス槽を真空引きすることによって当該真空脱ガス槽を数torr程度の真空にすることになるが、真空引きをする設備等の不具合によって、真空脱ガス槽内の真空度の異常が発生することがある。このように、真空脱ガス槽内の真空度の異常を検知するものとして特許文献1に示すものがある。
このようなRH精錬装置では、真空脱ガス精錬処理を行う際に、真空脱ガス槽を真空引きすることによって当該真空脱ガス槽を数torr程度の真空にすることになるが、真空引きをする設備等の不具合によって、真空脱ガス槽内の真空度の異常が発生することがある。このように、真空脱ガス槽内の真空度の異常を検知するものとして特許文献1に示すものがある。
特許文献1は、真空脱ガス処理設備において、真空発生装置系とそれに続くダストセパレーター系及び合金添加装置系に、それぞれ真空度計を設置し、真空脱ガス処理の操業パターンに応じ、それぞれ特定された真空度計の計測値を相互に比較し、その値が予め定められた値を超えたときに、比較した真空度計間の排気系の何れかの箇所に、大気との間にリークが発生していると判断する技術である。
特開平8−170116号公報
特許文献1では、真空脱ガス精錬処理中に真空度計間の排気系の何れかの箇所に大気との間にリークが発生していることが判断して、RH精錬装置への無駄なエネルギーの投入や目標真空度への到達遅れを解消することができる。
このように、特許文献1の技術では、真空脱ガス精錬処理中に真空引きをする設備等の不具合が発生した場合は対応は行えるものの、真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生することを想定していないことから、不具合時の対応は行えても停電発生時の対応をすることは困難であった。
このように、特許文献1の技術では、真空脱ガス精錬処理中に真空引きをする設備等の不具合が発生した場合は対応は行えるものの、真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生することを想定していないことから、不具合時の対応は行えても停電発生時の対応をすることは困難であった。
そこで、本発明は、真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生したときに、他にトラブルを発生することなく容易にスタンバイの状態に復帰させることができる真空脱ガス精錬処理中の停電対応方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、取鍋内の溶鋼に浸漬させる浸漬管を有する真空脱ガス槽を備えたRH装置を用いて、前記取鍋内の溶鋼の真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生した時の対応方法であって、停電後に前記真空脱ガス槽内の真空度を電力不要で動作する真空計で測定し、この真空計で測定した真空度が、650torr以上大気圧以下の範囲に達した際に、前記真空脱ガス槽の浸漬管を取鍋から引き抜く点にある。
発明者は、真空脱ガス精錬処理中の停電の対応方法について様々な角度から検証を行った。
発明者は、真空脱ガス精錬処理中の停電の対応方法について様々な角度から検証を行った。
真空脱ガス精錬処理中に、何らかの原因によって突然、停電が発生することがある。通常、停電が発生した際には、真空脱ガス精錬処理を速やかに中止し、RH精錬装置の周囲の安全性を確保するという理由から、真空脱ガス槽と取鍋とを分離する、即ち、真空脱ガス槽の浸漬管を溶鋼から引き抜いて、スタンバイの状態に復帰させる必要がある。
停電した直後は、真空脱ガス槽内も真空に近い状態であるため、このような真空に近い状態で取鍋と真空脱ガス槽との切り離しを行うと、溶鋼が真空によって真空脱ガス槽内に引き込まれる恐れがあり、かえって非常に危険である。そこで、停電後に、例えば、不活性ガスなどの吹き込みにより真空脱ガス槽内が昇圧されるのを待ち、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しを行うことも考えられるが、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しのタイミングが遅ければ、取鍋内の溶鋼が外部へと吹きこぼれる恐れがあるので、これも危険である。
停電した直後は、真空脱ガス槽内も真空に近い状態であるため、このような真空に近い状態で取鍋と真空脱ガス槽との切り離しを行うと、溶鋼が真空によって真空脱ガス槽内に引き込まれる恐れがあり、かえって非常に危険である。そこで、停電後に、例えば、不活性ガスなどの吹き込みにより真空脱ガス槽内が昇圧されるのを待ち、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しを行うことも考えられるが、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しのタイミングが遅ければ、取鍋内の溶鋼が外部へと吹きこぼれる恐れがあるので、これも危険である。
ここで、停電が発生してからの経過時間を基に、真空脱ガス槽内の真空度(真空脱ガス槽内の圧力)を予測して、この真空度(真空脱ガス槽内の圧力)が大気圧に近い状態となったときに、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しを行うことが考えられるが、経過時間では真空脱ガス槽内の圧力を正確に把握することができず、この方法を用いることは安全性が確実だとは言えない。
そこで、発明者は、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しの際の安全な真空度(真空脱ガス槽内)を実験等により調査した上で、停電後に前記真空脱ガス槽内の真空度を電力不要で動作する真空計で測定し、この真空計で測定した真空度が、650torr以上大気圧以下の範囲に達した際に、真空脱ガス槽の浸漬管を取鍋から引き抜くことを見出した。
そこで、発明者は、取鍋と真空脱ガス槽との切り離しの際の安全な真空度(真空脱ガス槽内)を実験等により調査した上で、停電後に前記真空脱ガス槽内の真空度を電力不要で動作する真空計で測定し、この真空計で測定した真空度が、650torr以上大気圧以下の範囲に達した際に、真空脱ガス槽の浸漬管を取鍋から引き抜くことを見出した。
なお、真空脱ガス槽の真空度とは、理想的な真空(圧力ゼロの状態)にどの程度接近しているかを示す目安であり、具体的には、真空脱ガス槽内の気体の圧力で表す。真空度が高いということは、真空脱ガス槽内の圧力が低いことを意味していて、真空度の定義は、岩波 理化学辞典 第4版 1987年 P626に記載されている内容と同じである。
ただし、以下の説明では、説明の便宜上、真空度を真空脱ガス槽の圧力と同じように表現することがある。
ただし、以下の説明では、説明の便宜上、真空度を真空脱ガス槽の圧力と同じように表現することがある。
本発明によれば、真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生したときに、他にトラブルを発生することなく容易にスタンバイの状態に復帰させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、RH精錬装置の全体構成図を示している。
RH精錬装置(真空脱ガス装置)1は、溶鋼2を還流させることで当該溶鋼2の真空脱ガス精錬処理を行うものであって、溶鋼2が装入された取鍋3と、真空脱ガス精錬時に真空状態となって溶鋼2内の脱ガスを行う真空脱ガス槽4と、ガスを冷却するガスクーラ5と、ダストセパレータ6とを備えている。また、RH精錬装置1は、真空脱ガス槽4を真空にするための真空ポンプ37を備えている。
図1は、RH精錬装置の全体構成図を示している。
RH精錬装置(真空脱ガス装置)1は、溶鋼2を還流させることで当該溶鋼2の真空脱ガス精錬処理を行うものであって、溶鋼2が装入された取鍋3と、真空脱ガス精錬時に真空状態となって溶鋼2内の脱ガスを行う真空脱ガス槽4と、ガスを冷却するガスクーラ5と、ダストセパレータ6とを備えている。また、RH精錬装置1は、真空脱ガス槽4を真空にするための真空ポンプ37を備えている。
RH精錬装置1の取鍋3は、転炉又は電気炉から出鋼された溶鋼2が装入されるもので、真空脱ガス槽4の直下に配置されている。取鍋3の下方には、当該取鍋3を真空脱ガス槽4の下側の位置にて昇降させる昇降装置7が設けられている。この昇降装置7は、取鍋3を載置するテーブル8と、このテーブル8を作動油によって動作して昇降させる昇降駆動部9で構成されている。
なお、この昇降装置7は、取鍋3を転炉から真空脱ガス槽4の直下に搬送する台車に具備させてもよいし、この台車とは別に真空脱ガス槽4の直下のフロアに直接設けた形態であってもよい。
なお、この昇降装置7は、取鍋3を転炉から真空脱ガス槽4の直下に搬送する台車に具備させてもよいし、この台車とは別に真空脱ガス槽4の直下のフロアに直接設けた形態であってもよい。
昇降駆動部9には、当該昇降駆動部9に作動油を供給するための油圧配管11が接続され、この油圧配管11の経路には昇降駆動部9への作動油の量等を制御するための制御弁10が設けられている。この制御弁10には、当該制御弁10及び昇降駆動部9に作動油を供給するための油圧ポンプ12が接続されている。油圧ポンプ12から昇降駆動部9までの油圧経路(油圧配管11)には、当該油圧経路の作動油を排出するための排出弁13が設けられている。この排出弁13は通常は閉鎖状態となっていて、手動で開くことにより、油圧経路内の作動油、即ち、昇降駆動部9の作動油を外部に排出するものとなっている。油圧経路内の作動油を排出することによって、昇降駆動部9は、テーブル8が下降するように動作するものとなっており、電力無しでテーブル8を下降させることができる。
真空脱ガス槽4の下部には、取鍋3内の溶鋼2に浸漬させる2本の浸漬管14が設けられており、この浸漬管14の一方にはArガス等の不活性ガスを吹き込む吹き込み口15が設けられている。この吹き込み口15には不活性ガスを吹き込むための配管16が接続され、この配管16には第1開閉弁17が設けられている。
真空脱ガス槽4の上部には、当該真空脱ガス槽4のガスを排気する排気口18が設けられている。真空脱ガス槽4の排気口18は、ダクトや配管等の第1ガス経路19を介してガスクーラ5に連通している。第1ガス経路19には、電力により動作して真空度を計測することができる第1真空計20が設けられると共に、電力不要で動作(停電時でも動作)して真空度を計測することができる非電力式の第2真空計21が設けられている。第1真空計20は、例えば、圧力発信計や絶対圧力計(シロ産業製のWPAVG134C等)で構成され、第2真空計21は、例えば、水銀式U字形マノメータで構成されている。
真空脱ガス槽4の上部には、当該真空脱ガス槽4のガスを排気する排気口18が設けられている。真空脱ガス槽4の排気口18は、ダクトや配管等の第1ガス経路19を介してガスクーラ5に連通している。第1ガス経路19には、電力により動作して真空度を計測することができる第1真空計20が設けられると共に、電力不要で動作(停電時でも動作)して真空度を計測することができる非電力式の第2真空計21が設けられている。第1真空計20は、例えば、圧力発信計や絶対圧力計(シロ産業製のWPAVG134C等)で構成され、第2真空計21は、例えば、水銀式U字形マノメータで構成されている。
ガスクーラ5とダストセパレータ6との間には、ダクトや配管等から構成された第2ガス経路22が設けられ、当該第2ガス経路22を介してガスクーラ5とダストセパレータ6とが連通している。ダストセパレータ6の上部には外部排気口23が設けられ、この外部排気口23の周辺には当該外部排気口23を遮断可能な第2開閉弁24が設けられている。また、外部排気口23にはダクトや配管等から構成された第3ガス経路25が設けられ、当該第3ガス経路25によって外部に排気が行えるようになっている。なお、第3ガス経路25に真空引きするための真空ポンプ37が設けられている。
以下、真空脱ガス精錬処理の方法と、真空脱ガス精錬処理中に停電が発生した場合の対処方法について説明する。
RH精錬装置1において、溶鋼2の真空脱ガス精錬処理を行うには、まず、転炉から出鋼した溶鋼2が装入された取鍋3を、クレーンや台車等の搬送手段によって真空脱ガス槽4の直下に搬送する。そして、真空脱ガス槽4の直下のテーブル8に取鍋3を載置した状態で、油圧ポンプ12を起動し、制御弁10を介して昇降駆動部9に作動油を供給する。これにより、昇降駆動部9を駆動させてテーブル8を上昇させ、取鍋3の溶鋼2内に真空脱ガス槽4の浸漬管14を浸漬させる。
RH精錬装置1において、溶鋼2の真空脱ガス精錬処理を行うには、まず、転炉から出鋼した溶鋼2が装入された取鍋3を、クレーンや台車等の搬送手段によって真空脱ガス槽4の直下に搬送する。そして、真空脱ガス槽4の直下のテーブル8に取鍋3を載置した状態で、油圧ポンプ12を起動し、制御弁10を介して昇降駆動部9に作動油を供給する。これにより、昇降駆動部9を駆動させてテーブル8を上昇させ、取鍋3の溶鋼2内に真空脱ガス槽4の浸漬管14を浸漬させる。
次に、予め設定された還流量に対応して第1開閉弁17を開き、吹き込み口15から不活性ガス(例えば、Arガス)を吹き込み、これにより、溶鋼2を真空脱ガス槽4と取鍋3との間で循環させる。
また、第2開閉弁24を開状態にして外部排気口23を開放し、真空ポンプ37によって真空引きをすることで真空脱ガス槽4内の真空度を数torr程度にして、溶鋼2内に存在する水素等のガス成分を除去する。
このように、溶鋼2の真空脱ガス精錬処理では、吹き込み口15から不活性ガスを吹き込みつつ、真空引きを行うことで処理を行う。真空脱ガス精錬処理中の真空度は第1真空計20で計測して管理することになる。ここで、説明の便宜上、真空脱ガス槽4が真空状態になって真空引きを行いながら真空脱ガス精錬を行っていることを定常状態ということがある。
また、第2開閉弁24を開状態にして外部排気口23を開放し、真空ポンプ37によって真空引きをすることで真空脱ガス槽4内の真空度を数torr程度にして、溶鋼2内に存在する水素等のガス成分を除去する。
このように、溶鋼2の真空脱ガス精錬処理では、吹き込み口15から不活性ガスを吹き込みつつ、真空引きを行うことで処理を行う。真空脱ガス精錬処理中の真空度は第1真空計20で計測して管理することになる。ここで、説明の便宜上、真空脱ガス槽4が真空状態になって真空引きを行いながら真空脱ガス精錬を行っていることを定常状態ということがある。
図2に示すように、このように定常状態である真空脱ガス精錬処理中に停電が発生すると、制御弁10や油圧ポンプ12等が停止し、昇降駆動部9、油圧ポンプ12及び制御弁10は電気的に動作しなくなり、昇降駆動部9は一時的に下降不能となる(S1)。
また、停電状態になると、安全性の観点から第1開閉弁17が全開となって不活性ガスが吹き込み口15から吹き込まれると共に、第2開閉弁24が開状態から自動的に閉状態となって外部排気口23を閉鎖する(S2)。なお、第1開閉弁17は停電発生直後に自動的に開状態になるように設定されている。また、第2開閉弁24は停電直後に自動的に閉状態になるように設定されている。
また、停電状態になると、安全性の観点から第1開閉弁17が全開となって不活性ガスが吹き込み口15から吹き込まれると共に、第2開閉弁24が開状態から自動的に閉状態となって外部排気口23を閉鎖する(S2)。なお、第1開閉弁17は停電発生直後に自動的に開状態になるように設定されている。また、第2開閉弁24は停電直後に自動的に閉状態になるように設定されている。
したがって、停電すると、油圧ポンプ12及び制御弁10が電気的に動作できない状態で、不活性ガスを真空脱ガス槽4内に供給することで、徐々に真空脱ガス槽4内の真空度が高くなる、即ち、真空脱ガス槽4内の圧力が徐々に上昇する(S3)。
このような状態において、本発明では、停電後に真空脱ガス槽4内の真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)を電力不要で動作する第2真空計21で測定し、この第2真空計21で測定した真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が650torr以上大気圧以下の範囲に達した時に、真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離する。なお、大気圧は、この実施形態では、770torrとしている。
このような状態において、本発明では、停電後に真空脱ガス槽4内の真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)を電力不要で動作する第2真空計21で測定し、この第2真空計21で測定した真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が650torr以上大気圧以下の範囲に達した時に、真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離する。なお、大気圧は、この実施形態では、770torrとしている。
詳しくは、図2に示すように、停電が発生すると、真空脱ガス槽4内の真空度を第2真空計21で測定し、真空脱ガス槽4内の真空度を作業員が監視する(S4)。
第2真空計21の値が、650torr以上大気圧以下の範囲であるか否かを作業員が判定する(S5)。真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が、650torr以上大気圧以下の範囲でなければ、真空脱ガス槽4内に不活性ガスを入れ続け(第1開閉弁17の全開を維持する)、真空脱ガス槽4内の真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が650torr以上大気圧以下の範囲になるのを待つ(S6)。
第2真空計21の値が、650torr以上大気圧以下の範囲であるか否かを作業員が判定する(S5)。真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が、650torr以上大気圧以下の範囲でなければ、真空脱ガス槽4内に不活性ガスを入れ続け(第1開閉弁17の全開を維持する)、真空脱ガス槽4内の真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が650torr以上大気圧以下の範囲になるのを待つ(S6)。
そして、真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)が650torr以上大気圧以下の範囲になった時点で、作業員が閉鎖状態となっている排出弁13を開いて、油圧経路内の作動油を外部に排出し、昇降駆動部9を素早く下降させて溶鋼2に浸漬した浸漬管14を溶鋼2から引き抜く(浸漬管14を取鍋3から引き抜く)、真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離する(S7)。
真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離する際は、第1開閉弁17を手動等により閉状態にすることが好ましい。真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離することで真空脱ガス処理のスタンバイの状態(真空脱ガス処理前の状態)に復帰させる(S8)。
真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離する際は、第1開閉弁17を手動等により閉状態にすることが好ましい。真空脱ガス槽4と取鍋3とを分離することで真空脱ガス処理のスタンバイの状態(真空脱ガス処理前の状態)に復帰させる(S8)。
表1は、本発明の真空脱ガス精錬処理中の停電対応方法を行った場合の結果をまとめたものである。即ち、表1の実施例では、RH精錬装置1での真空脱ガス精錬処理中の停電が発生し、昇降駆動部9、制御弁10及び油圧ポンプ12が電気的に動作しない状態で、取鍋3を真空脱ガス槽4から分離した。なお、この実施例では、転炉で溶鋼2を出鋼した際の溶鋼2温度が1670℃で、溶鋼2中の炭素濃度([C]は0.040%)である溶鋼2をRH精錬装置1で真空脱ガス精錬処理を行った。吹き込み口15からは、Arガスを2Nm3/分で吹き込み、真空脱ガス洗練処理では、合金添加等も行った。
実施例1では、真空槽内の真空度(真空脱ガス槽4内の圧力)、即ち、第2真空計21の値が650torrとなったときに取鍋3を真空脱ガス槽4から分離しているため、真空脱ガス槽4内の溶鋼2やスラグが排気口18へと吸い込まれることもなくガスクーラ5やダストセパレータ6が溶鋼2等によって故障することもなかった(表1、評価「○」)。
実施例2及び実施例3では、第2真空計21の値が700torr又は750torrとなったときに取鍋3を真空脱ガス槽4から分離しているため、実施例1と同様に真空脱ガス槽4内の溶鋼2やスラグが排気口18へと吸い込まれることもなくトラブルが発生することもなかった(表1、評価「○」)。
実施例2及び実施例3では、第2真空計21の値が700torr又は750torrとなったときに取鍋3を真空脱ガス槽4から分離しているため、実施例1と同様に真空脱ガス槽4内の溶鋼2やスラグが排気口18へと吸い込まれることもなくトラブルが発生することもなかった(表1、評価「○」)。
実施例4では、第2真空計21の値が略大気圧である770torrとなったときに取鍋3を真空脱ガス槽4から分離しているため、実施例1と同様に真空脱ガス槽4内の溶鋼2が排気口18へと吸い込まれることもなくトラブルが発生することもなかった(表1、評価「○」)。
一方で、第2真空計21の値が650torr未満のときに、取鍋3を真空脱ガス槽4から分離すると、取鍋3と真空脱ガス槽4との分離が早かったために、真空脱ガス槽4内の溶鋼2が排気口18へと吸い込まれてしまうというトラブルが発生した。また、第2真空計21の値が770torrを超えてから取鍋3を真空脱ガス槽4から分離すると、取鍋3と真空脱ガス槽4との分離が遅かったために、真空脱ガス槽4が高まり過ぎる影響により、取鍋3から溶鋼2の吹き溢れが発生した。
一方で、第2真空計21の値が650torr未満のときに、取鍋3を真空脱ガス槽4から分離すると、取鍋3と真空脱ガス槽4との分離が早かったために、真空脱ガス槽4内の溶鋼2が排気口18へと吸い込まれてしまうというトラブルが発生した。また、第2真空計21の値が770torrを超えてから取鍋3を真空脱ガス槽4から分離すると、取鍋3と真空脱ガス槽4との分離が遅かったために、真空脱ガス槽4が高まり過ぎる影響により、取鍋3から溶鋼2の吹き溢れが発生した。
以上、本発明によれば、停電が発生して第1真空計20による真空脱ガス槽4内の真空度が分からなくなっても、第2真空計21によって真空脱ガス槽4内の真空度が分かり、真空度を監視して、タイミングよく取鍋3と真空脱ガス槽4との分離を行い、停電時の復帰をトラブルが発生させることなく、簡単に行うことができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施形態では、取鍋3を下降させることで、当該取鍋3と真空脱ガス槽4とを分離するとしているが、真空脱ガス槽4を手動で動作するクレーン等(電力不要で動作するクレーン等)により上昇させることで、取鍋3と真空脱ガス槽4とを分離するようにしてもよい。
1 RH精錬装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 真空脱ガス槽
5 ガスクーラ
6 ダストセパレータ
7 昇降装置
8 テーブル
9 昇降駆動部
14 浸漬管
21 第2真空計
2 溶鋼
3 取鍋
4 真空脱ガス槽
5 ガスクーラ
6 ダストセパレータ
7 昇降装置
8 テーブル
9 昇降駆動部
14 浸漬管
21 第2真空計
Claims (1)
- 取鍋内の溶鋼に浸漬させる浸漬管を有する真空脱ガス槽を備えたRH装置を用いて、前記取鍋内の溶鋼の真空脱ガス精錬処理を行っている際に停電が発生した時の対応方法であって、
停電後に前記真空脱ガス槽内の真空度を電力不要で動作する真空計で測定し、この真空計で測定した真空度が、650torr以上大気圧以下の範囲に達した際に、前記真空脱ガス槽の浸漬管を取鍋から引き抜くことを特徴とする真空脱ガス精錬処理中の停電対応方法。
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