JP5285006B2 - レンズ駆動装置 - Google Patents

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Description

本件発明は、圧電アクチュエーターを使用したレンズ駆動装置に関し、特に、過大トルクに対するスリップ機構を有するレンズ駆動装置に関する。
フォーカス機能やズーム機能を備えたカメラモジュールにおいては、レンズ群を光軸方向に移動させる必要があり、当該レンズ群をモーターの駆動力を用いて移動させることによりフォーカシングやズーミングを実現させている。
近年、光学機器等における高機能化、小型化に伴い、レンズ群を光軸方向に移動させる駆動機構においても小型化や高出力化が求められている。このようなニーズに対し、従来は、小型のDCギヤードモーターを使用し、この小型のモーターと複数のギアからなる減速機とを連結することで、大型モーターのようなトルクを出す構成としていた。例えば、特許文献1には、正逆駆動モーターの回転力を駆動対象へ伝達するモーター減速機構に関し、複数のギヤを回転自在に支持させ、交互に回転が伝達されるように噛み合わせたギヤにより、回転中心軸方向へギヤを連ねて減速比を稼ぎ、配設スペースのコンパクト化を図る技術が開示されている。
しかし、このような減速機構を備える駆動装置では、複数のギアが必要となることから、当該減速機を設置するにあたり、設置面積を広く確保しなければならなかった。更に、複数のギアを用いる場合には、バックラッシュの影響が大きくなるため、レンズ位置制御の精度が悪くなると共に、減速機の稼働音が大きくなるという問題があった。
また、上述の問題以外にも、従来より、オートフォーカス機能やオートズーム機能を備えるカメラモジュールにおいて、レンズ駆動機構が稼働してレンズ群が駆動している際中に、モーターからの駆動力以外の外力が負荷されることにより、当該レンズ駆動機構に係わる部品が直接影響を受けて損傷等するという問題も起きていた。例えば、オートフォーカス機能を備える一眼レフカメラにおいて、オートフォーカス機能を使用しているにも関わらず、フォーカスレンズを手動で操作することにより、レンズ駆動装置による所定の駆動力以上の外力が負荷されたり、あるいは逆方向の力が負荷されることがある。また、オートズーム機能を備えるカメラにおいて、オートズーミングを行うと、ズームレンズが被写体側に伸長するが、子供による誤った操作等により、当該ズームが前方から押し込まれるような力が負荷されることもありうる。
これらの問題を解消するため、オートフォーカス機能やズーム機能を備えたカメラモジュールにおいて、小型化及び高出力化を図り、且つ、良好な制御性及び駆動時の静粛性を図ることと、レンズ駆動装置に想定された範囲外のトルクが負荷された場合に、レンズ駆動装置の構成部品の損傷を防止することに関して対策が講じられている。
例えば、特許文献2には、レンズ群に直結しているリングの回動手段として振動モーターを使用した光学系駆動装置が開示されている。この特許文献2に開示されている光学系駆動装置は、内部に、少なくとも一部が円弧状の貫通孔を有するベース部材と、少なくとも一端側が当該ベース部材の一方の面の側に位置するように、当該ベース部材に回動自在に支持される出力軸と、当該ベース部材の一方の面に搭載されて、当該出力軸の外周面の接線方向と略平行な方向への駆動力を発生する振動子と、当該ベース部材の一方の面に搭載されて、当該振動子の駆動力取出部を当該出力軸の外周面に加圧接触させる加圧部材とを備えるものである。このような振動モーターを用いた構成を採ることにより、特許文献2の光学系駆動装置では、小型化及び高出力化を図りつつ、良好な制御性及び静粛性を向上させることとしている。
また、例えば、特許文献3には、過大な外力が働いた際に、ギアの歯欠けや破損等を起こさないように、確実に減速ギア列のトルクの伝達を遮断することが可能となるレンズ鏡筒および撮影装置が開示されている。この特許文献3に開示されているレンズ鏡筒および撮影装置は、カム筒を減速ギア列を介してモータで回転させ、当該カム筒に連設されたレンズ保持筒を光軸方向に進退させるレンズ鏡筒において、当該減速ギア列と当該カム筒に形成されたギアを含むギア間に、一方のギアと他方のギアとの間においてこれらのギアと噛み合って、当該カム筒に形成されたギア側に付勢されている不勢ギアなるものを有する構成としている。そして、当該不勢ギアが、当該一方のギアまたは当該他方のギアのいずれかのギアの回転軸周りに回転可能に支持され、当該カム筒に所定量以上の負荷が加わった際に、当該回転軸周り側のギアとの噛み合いを保ちながら当該回転軸周りに回転し、噛み合いを保っているギア以外のギアとの噛み合いを外すことで、負荷された過大トルクを遮断することとしている。
特開2002−168308号公報 特許第4182588号公報 特開2007−72386号公報
しかし、上述の特許文献2の光学系駆動装置では、振動モーターが、駆動力を発生する振動子を出力軸の外周面に加圧接触させて出力軸を回転させる構成としているが、当該出力軸に、光学系駆動装置で想定された大きさを超えた力が負荷された場合における対策が図られておらず、当該振動子と当該出力軸側との加圧接触面において摩耗が生じたり、光学系駆動力伝達経路に係わる部品の破損を招くおそれがあった。
また、上述の特許文献3のレンズ鏡筒および撮影装置では、モーターと複数のギアからなる減速機とを連結した構造を採っているため、十分な小型化を図ることができず、また、良好な制御性及び駆動時の静粛性の向上も図ることができなかった。更に、減速ギア列への過大な外力の伝達を防止するために介される不勢ギアが、当該モーターの出力軸に固定されたギアと直接的に接していないため、遮断トルク値を正確に設定することが困難になっていた。
以上のことから、本件発明は、オートフォーカス機能やズーム機能を備えたカメラモジュールにおいて、小型化及び高出力化が図られ、且つ、良好な制御性及び駆動時の静粛性が図られると共に、レンズ駆動装置に許容範囲外のトルクが負荷された場合に、レンズ駆動装置の構成部品の損傷を防止することができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下のレンズ駆動装置を採用することで上記課題を達成するに到った。
本件発明に係るレンズ駆動装置は、圧電アクチュエータを駆動源としてレンズ群を駆動させるレンズ駆動装置であって、駆動源である圧電アクチュエーターが有する突形状の出力部と当接して配置される被振動伝達部材が、当該圧電アクチュエーターの当該出力部の振動を駆動力とし、当該駆動力を回転運動に変換し、当該回転運動に変換された駆動力を、部材間に働く摩擦係合力を利用して伝達することでレンズ群を駆動させるレンズ駆動機構を備え、当該レンズ駆動機構が、当該被振動伝達部材と嵌合して当該被振動伝達部材と同期回転する内部が中空のリングホルダーと、当該リングホルダーと摩擦係合して当該リングホルダーと同期回転する回転軸と備え、且つ、当該レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路の途中に許容範囲外のトルクの伝達を遮断するためのスリップ機構を有し、また、当該リングホルダーと当該回転軸との接触領域に生じる摩擦力を制御する機構を、当該リングホルダーの中空部に組み込んだことを特徴とする。
そして、本件発明に係るレンズ駆動装置において、前記スリップ機構は、前記レンズ駆動機構を構成する部材同士の押圧力を調整して摩擦係合力を制御し、当該レンズ駆動機構に許容範囲を超えたトルクが加わったときに、当該トルクの伝達を遮断することが好ましい。
また、本件発明に係るレンズ駆動装置において、前記レンズ駆動機構は、前記被振動伝達部材として用いられるレンズ駆動力伝達用リングと、当該レンズ駆動力伝達用リングと嵌合して、当該レンズ駆動力伝達用リングと同期回転するリングホルダーと、当該リングホルダーと摩擦係合して、当該リングホルダーと同期回転する回転軸とを備え、前記スリップ機構が、当該リングホルダーと当該回転軸との接触領域に生じる摩擦力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断することが好ましい。
また、本件発明に係るレンズ駆動装置において、前記レンズ駆動機構は、前記リングホルダーが、略有底円筒形状を有し、その長さ方向途中に、前記レンズ駆動力伝達用リングの下面を受けるためにその外周から径方向に向けて延出するリング受け部と、当該レンズ駆動力伝達用リングの回転運動を前記回転軸に伝達するために当該リングホルダーに設けられる摩擦伝達部と、当該略有底円筒形状の底部に当該回転軸を貫通可能な貫通孔とを備え、当該回転軸が、その長さ方向途中に、当該リングホルダーの摩擦伝達部と摩擦係合可能な摩擦受け面を備え、前記スリップ機構が、当該回転軸に装着される弾性部材の弾性力を利用して、当該リングホルダーの摩擦伝達部と当該回転軸の摩擦受け面との間の押圧力を調整し、当該摩擦伝達部と当該摩擦受け面との間の摩擦係合力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断することが好ましい。
そして、本件発明に係るレンズ駆動装置において、前記レンズ駆動機構は、弾性部材がスプリングであることが好ましい。
このとき、本件発明に係るレンズ駆動装置において、前記レンズ駆動機構は、前記回転軸が、前記リングホルダーの貫通孔に貫通し、当該回転軸の当該リングホルダーの内部空間領域内に位置する部分に、当該リングホルダーの底部側から順に、スプリングを保持するために当該回転軸に貫装され且つ当該リングホルダーの底部と当接して配置されるスプリングホルダーと、当該回転軸に装着されるスプリングと、当該スプリングの脱落するのを防止するために当該回転軸に螺合結合されるスプリングストッパーとを配置して備え、前記リングホルダーの摩擦伝達部が当該リングホルダーの底部に設けられ、当該回転軸の摩擦受け面が、当該回転軸の長さ方向の途中にその外周から径方向に向けて延出して形成され、当該摩擦伝達部に対向する側の当該延出部分の面上に摩擦板が固定され、当該スプリングストッパーを回転させることで当該スプリングストッパーと当該スプリングホルダーとの間の距離を調整し、当該スプリングホルダーと、当該スプリングストッパーとの間に挟まれたスプリングの弾性力を変化させ、当該スプリングホルダーが当該リングホルダーの底部に対して押圧付勢させる力を調整することにより、当該リングホルダーの摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力を制御し、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構において設定される摩擦係合力より大きい場合に、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の係合状態は保たれ、当該レンズ駆動力伝達用リングから当該回転軸への駆動力の伝達を正常に行い、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構において設定される摩擦係合力より小さい場合に、スリップ機構が働き、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間に滑りが生じて、駆動力の伝達を遮断することが好ましい。
本件発明に係るレンズ駆動装置のレンズ駆動機構は、レンズ群を駆動させる駆動源として圧電アクチュエーターを用い、当該レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路の途中に、許容範囲外となるトルクの伝達を遮断するためのスリップ機構を有するものである。よって、本件発明に係るレンズ駆動装置によれば、レンズ駆動装置の小型化及び高出力化を図ることができると共に、良好な制御性及び駆動時の静粛性を図りつつ、レンズ群とレンズ群を駆動させる駆動源との間の駆動力伝達経路において、許容範囲を超える過大トルクが外部から伝達された場合に、当該過大トルクの伝達を遮断して駆動源まで伝達するのを防ぎ、当該レンズ駆動機構に係わる部品が摩耗損傷するのを防止することができる。
本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す斜視図である。 本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態におけるレンズ駆動機構を示す正面図である。 図2で示したレンズ駆動機構の分解斜視図である。 本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態におけるスリップ機構を説明するための要部断面図である。 図4で示したスリップ機構とは別の実施形態を説明するための要部断面図である。
以下、本件発明に係るレンズ駆動装置の好ましい実施の形態を説明する。
本件発明に係るレンズ駆動装置は、圧電アクチュエータを駆動源としてレンズ群を駆動させるレンズ駆動装置であって、駆動源である圧電アクチュエーターが有する突形状の出力部と当接して配置される被振動伝達部材が、当該圧電アクチュエーターの当該出力部の振動を駆動力とし、当該駆動力を回転運動に変換し、当該回転運動に変換された駆動力を、部材間に働く摩擦係合力を利用して伝達することでレンズ群を駆動させるレンズ駆動機構を備えるものである。そして、当該レンズ駆動機構が、当該被振動伝達部材と嵌合して当該被振動伝達部材と同期回転する内部が中空のリングホルダーと、当該リングホルダーと摩擦係合して当該リングホルダーと同期回転する回転軸と備え、且つ、当該レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路の途中に許容範囲外のトルクの伝達を遮断するためのスリップ機構を有し、また、当該リングホルダーと当該回転軸との接触領域に生じる摩擦力を制御する機構を、当該リングホルダーの中空部に組み込んだことを特徴とするものである。
図1は、本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示した斜視図である。図1には、基礎2の上に圧電アクチュエーター3が設置され、当該基礎2に振動を駆動力として提供する圧電アクチュエーター3の圧電素子に結合された伝達部材4が、レンズ群(不図示)を駆動させるレンズ駆動機構10に対して直接的に接した状態で設置されているのが示されている。このように、レンズ駆動装置1において、駆動源として圧電アクチュエーター3を用いることで、装置の小型化及び高出力化を図ることが可能になると共に、良好な制御性及び駆動時の静粛性を図ることが可能となる。また、当該伝達部材4の振動による駆動力は、レンズ駆動機構10を構成する被振動伝達部材により回転運動に変換され、この回転運動に変換された駆動力がレンズ群の駆動に利用される。そして、本件発明に係るレンズ駆動装置におけるレンズ駆動機構10は、圧電アクチュエーター3からの駆動力を、当該レンズ駆動機構10を構成する部材間に働く摩擦係合力を利用して伝達する。なお、ここでいう摩擦係合力とは、接触する双方の部材に滑りが生じず、一体化して挙動が一となるために必要な摩擦力をいう。
このように、本件発明のレンズ駆動機構10は、圧電アクチュエーター3より入力された駆動力が、部材同士の摩擦係合力を利用することで、レンズ群を駆動させることができる。すなわち、本件発明のレンズ駆動機構10において、レンズ駆動力を伝達する際に部材同士の摩擦係合力を利用することで、例えばギア等を用いた場合と比して、バックラッシュの影響によるレンズ位置制御の精度低下を招くこともなく、レンズ駆動時の稼働音を小さくすることが可能となる。
更に、本件発明に係るレンズ駆動装置1によれば、当該レンズ駆動機構10が稼働している際中、レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路の途中において、許容範囲外のトルクが負荷されたとしても、当該レンズ駆動機構10を構成する部品の内、一部の部品がスリップ機構としても機能し、当該トルクの伝達を遮断して、圧電アクチュエーター3まで伝達するのを防ぎ、当該駆動伝達経路の途中に存在する部品が過剰なトルク負荷を受けて摩耗損傷するのを防止することができる。すなわち、本件発明のレンズ駆動機構10は、その構成の一部において、許容範囲外のトルクの伝達を遮断する機能を備えたスリップ機構を有するものである。ここで、本件発明のレンズ駆動機構10は、上述したように、許容範囲を外れたトルクの伝達を遮断するための専用の部品を別途必要とするものではなく、また、リングホルダー15と回転軸12との接触領域に生じる摩擦力を制御する機構を、当該リングホルダー15の中空部に組み込むものであるため(図4参照のこと。)、レンズ駆動装置に用いられる場合に小型軽量化を図ることができる。
そして、本件発明に係るレンズ駆動装置は、スリップ機構が、レンズ駆動機構を構成する部材同士の押圧力を調整して摩擦係合力を制御し、当該レンズ駆動機構に許容範囲を超えたトルクが加わったときに、当該トルクの伝達を遮断することが好ましい。
図2は、本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態におけるレンズ駆動機構を示す正面図である。また、図3は、図2で示したレンズ駆動機構10の分解斜視図である。これらの図に示す、本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を例にとり、以下に、本件発明のレンズ駆動機構が有するスリップ機構について説明する。
図2及び図3には、本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態におけるレンズ駆動機構10を構成する部品が示されている。本件発明に係るレンズ駆動装置におけるスリップ機構は、設定された許容範囲のトルクに対し、レンズ駆動機構10を構成するこれら部材同士の押圧力を調整して摩擦係合力を制御し、当該レンズ駆動機構10に許容範囲を超えたトルクが加わったときに、当該トルクの伝達を遮断するものである。そのため、当該レンズ駆動機構10を構成する部品の材質に関し選択の自由度が大きく、また、後に当該材質の変更等があったとしても、常に所定の摩擦係合力に再設定することが容易となる。これは、本件発明のスリップ機構が、当該レンズ駆動機構10を構成する部品の材質が何であれ、当該部品同士の押圧力を調整することのみで、遮断トルクを所定の値に設定可能であることに起因するものである。
そして、本件発明に係るレンズ駆動装置は、レンズ駆動機構が、被振動伝達部材として用いられるレンズ駆動力伝達用リングと、当該レンズ駆動力伝達用リングと嵌合して当該レンズ駆動力伝達用リングと同期回転するリングホルダーと、当該リングホルダーと摩擦係合して、当該リングホルダーと同期回転する回転軸とを備え、前記スリップ機構が、当該リングホルダーと当該回転軸との接触領域に生じる摩擦力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断することが好ましい。
図1〜図3には、本件発明のレンズ駆動機構が備える、レンズ駆動力伝達用リング16と、リングホルダー15と、回転軸12とが示されている。本件発明のレンズ駆動機構は、上述したように、圧電アクチュエーター3より、レンズ群を駆動させるための駆動力が伝達されるものである。例えば、当該圧電アクチュエーター3を用いてレンズ群を駆動させるにあたり、圧電アクチュエーター3の圧電素子に結合された伝達部材4が、楕円運動することで起こる振動を当該レンズ駆動力伝達用リング16の外周面との接線方向と平行となる方向へ向けた力として働かせて、当該レンズ駆動力伝達用リング16を回転させる。このように、当該圧電アクチュエーター3からの駆動力は、当該レンズ駆動力伝達用リング16を回転運動させ、この回転運動が当該リングホルダー15を介して当該回転軸12を回転運動させることとなる。そして、この回転軸12の回転運動が、レンズ群を駆動させる力として伝達される。
図4は、本件発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態におけるスリップ機構を説明するためのレンズ駆動機構10の要部断面図である。図4には、図1に示す、圧電素子に結合された伝達部材4を外周側面に押圧付勢させた状態で配置された、被振動伝達部材として用いられるレンズ駆動力伝達用リング16が、リングホルダー15に回転自在に嵌合され、また、当該リングホルダー15が出力軸である回転軸12に貫装された構造が示されている。本件発明のスリップ機構は、レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路に許容範囲外のトルクが伝達された場合に、当該リングホルダー15と当該回転軸12との接触領域に生じる摩擦力を制御して当該トルクを遮断するものである。すなわち、本件発明のスリップ機構は、当該駆動力伝達経路において接触領域に生じる摩擦力よりも大きい許容範囲外のトルクが負荷された場合に、当該接触領域で滑り(スリップ)を生じさせて、当該トルクの伝達を遮断するものである。
図4において、当該リングホルダー15と当該回転軸12との接触領域28は、当該リングホルダー15の底部と、当該回転軸12に設けられる摩擦受け面25に固定される摩擦板13との接触部分に設定されている。図4では、リングホルダー15と回転軸12とが直接的に接触していないが、ここに示す当該摩擦板13は、リングホルダー15と回転軸12との間の摩擦力の制御を容易にするために補助的に用いるものであり、回転軸12の一部とみなすことができる。すなわち、図4には、回転軸12に設けられる摩擦受け面25に摩擦板13が固定された構造が示されているが、例えば当該回転軸12の摩擦受け面25とリングホルダー15の底部とを直接的に接触させる構造とすることもできる。
参考までに、図5には、図4で示したスリップ機構とは別の実施形態を説明するための要部断面図を示した。図5において、当該リングホルダー15と当該回転軸12との接触領域28は、当該リングホルダー15の貫通孔27の内周面と回転軸の軸外周面との接触部分に設定されている。このように、図5に示す位置に接触領域28を設定して摩擦力を制御し、許容範囲外のトルクの伝達を遮断することも可能である。
また、本件発明に係るレンズ駆動装置において、レンズ駆動機構は、リングホルダーが、略有底円筒形状を有し、その長さ方向途中に、レンズ駆動力伝達用リングの下面を受けるためにその外周から径方向に向けて延出するリング受け部と、当該レンズ駆動力伝達用リングの回転運動を前記回転軸に伝達するために当該リングホルダーに設けられる摩擦伝達部と、当該略有底円筒形状の底部に当該回転軸を貫通可能な貫通孔とを備え、当該回転軸が、その長さ方向途中に、当該リングホルダーの摩擦伝達部と摩擦係合可能な摩擦受け面を備え、スリップ機構が、当該回転軸に装着される弾性部材の弾性力を利用して、当該リングホルダーの摩擦伝達部と当該回転軸の摩擦受け面との間の押圧力を調整し、当該摩擦伝達部と当該摩擦受け面との間の摩擦係合力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断することが好ましい。
図3及び図4に示すように、本件発明に係るレンズ駆動装置1の一実施形態において、レンズ駆動機構10を構成するリングホルダー15は、その外周に配されるレンズ駆動力伝達リング16を介して圧電アクチュエーター3からの駆動力が伝達されるリング受け部24と、回転軸12との摩擦係合力を利用して当該回転軸12へ駆動力を伝達する摩擦伝達部26と、当該回転軸12の少なくとも一部を貫通させて配置するための貫通孔27とを備えている。また、当該回転軸12は、当該リングホルダーの摩擦伝達部26と摩擦係合可能な摩擦受け面25を備えることで、当該リングホルダー15からの駆動力の伝達が可能となる。なお、参考までに、図5に示した形態の場合、回転軸12の摩擦受け面25は、図4に示す形態とは異なり、リングホルダー15の貫通孔27の内周面と接触する回転軸の軸外周面に設けられることとなる。
そして、本件発明のスリップ機構は、当該回転軸12に装着される弾性部材の弾性力を利用して、当該リングホルダー15の摩擦伝達部26と当該回転軸12の摩擦受け面25との間の押圧力を調整し、当該摩擦伝達部26と当該摩擦受け面25との間の摩擦係合力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断するものである。すなわち、本件発明のスリップ機構は、リングホルダー15と回転軸12との接触領域28に生じさせる摩擦力を制御するために弾性部材の弾性力を利用するものである。なお、ここでいう弾性部材には、リーフスプリングやコイルスプリング等の各種スプリング部材の他にも、ゴム等の弾力性を有する各種材料から形成されたもの等、様々なものを適宜自由に用いることができる。このように、本件発明のスリップ機構は、レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路に伝達される許容範囲外のトルクを遮断すべく、当該リングホルダー15の摩擦伝達部26と当該回転軸12の摩擦受け面25との間の押圧力を調整するために弾性部材を用いることで、当該摩擦伝達部26と当該摩擦受け面25との間の摩擦係合力の制御を簡単な構造により行うことができる。また、当該摩擦伝達部26と当該摩擦受け面25との間の押圧力を、回転軸12に装着される弾性部材により調整することで、当該圧電アクチュエーター3から入力された駆動力を当該摩擦伝達部26を介して回転軸12へ無駄なく伝達させることが可能となる
図4には、当該弾性部材としてスプリング20を採用した場合の形態について示されている。図4に示す、本件発明のスリップ機構に弾性部材をスプリング20とした場合の説明は、後で詳しく述べる。また、図5には、図4とは異なる位置に弾性部材を設けた場合の形態について示されている。図5に示す、リングホルダー15と回転軸12との接触領域28に、弾性部材としてスプリング20以外のゴム等の弾力性を有する材料を採用し設けることによっても、リングホルダー15の摩擦伝達部と回転軸12の摩擦受け面との間の押圧力を調整することができる。
本件発明に係るレンズ駆動装置において、レンズ駆動機構は、弾性部材がスプリングであることが好ましい。本件発明のスリップ機構において、当該弾性部材としてスプリングを用いた場合には、遮断すべき許容範囲外トルクの値を設定をするにあたり、複雑な構造を採らなくても容易に設定することができる。更に、当該スプリングは、比較的安価な既製品を使用することができ、組み立ての際に特別な設備や技術を必要とせず、組立工数も少なくて済むため経済的にも好ましい。
本件発明に係るレンズ駆動装置において、レンズ駆動機構は、回転軸が、リングホルダーの貫通孔に貫通し、当該回転軸の当該リングホルダーの内部空間領域内に位置する部分に、当該リングホルダーの底部側から順に、スプリングを保持するために当該回転軸に貫装され且つ当該リングホルダーの底部と当接して配置されるスプリングホルダーと、当該回転軸に装着されるスプリングと、当該スプリングの脱落するのを防止するために当該回転軸に螺合結合されるスプリングストッパーとを配置して備えるものである。そして、当該リングホルダーの摩擦伝達部が当該リングホルダーの底部に設けられ、当該回転軸の摩擦受け面が、当該回転軸の長さ方向の途中にその外周から径方向に向けて延出して形成され、当該摩擦伝達部に対向する側の当該延出部分の面上に摩擦板が固定されるものである。
そして、本件発明のスリップ機構は、当該スプリングストッパーを回転させることで当該スプリングストッパーと当該スプリングホルダーとの間の距離を調整し、当該スプリングホルダーと、当該スプリングストッパーとの間に挟まれたスプリングの弾性力を変化させ、当該スプリングホルダーが当該リングホルダーの底部に対して押圧付勢させる力を調整することにより、当該リングホルダーの摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力を制御するものである。そして、このとき当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構において設定される摩擦係合力より大きい場合に、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の係合状態は保たれ、当該レンズ駆動力伝達用リングから当該回転軸への駆動力の伝達が正常に行われる。また、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構において設定される摩擦係合力より小さい場合に、スリップ機構が働き、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間に滑りが生じて、駆動力の伝達が遮断されるものである。
以下に、本件発明に係るレンズ駆動装置において、弾性部材がスプリングの場合のレンズ駆動機構の一実施形態について、図2〜図4を用いて詳しく述べる。
図4に示すように、リング受け部24には、レンズ駆動力伝達用リング16が、第1ベアリング22と第2ベアリング11とに挟み込まれ、且つ圧接された状態で配置されている。当該回転軸12には、この回転軸と一体的に構成されて当該摩擦伝達部26と当接する摩擦受け面25が備えられ、当該貫通孔27を通して貫入された当該回転軸12には、弾性部材としてスプリング20が装着されている。更に、図4に示すように、レンズ駆動機構10を構成する第1ベアリング22が、ベース5に固定され、第2ベアリング11が、基礎2に固定されている。ここで、これらベアリング22,11がレンズ駆動力伝達用リング16を挟んで図4における上方側と下方側とに配置し、当該レンズ駆動力伝達用リング16に直接レンズ駆動力を伝達する構造とすることで、当該回転軸12が安定して回転し、圧電アクチュエーター3からレンズ群まで安定して一定の駆動力を伝達させることが可能となる。
すなわち、当該圧電アクチュエーター3より伝達される駆動力により、レンズ駆動力伝達用リング16が回転することで、当該レンズ駆動力伝達用リング16と摩擦係合されているリング受け部24を介してリングホルダー15も同期回転する。そして、当該リングホルダー15が回転することで当該リングホルダー15の摩擦伝達部26と圧接されている当該摩擦板13を介して、この摩擦板13が固定されている摩擦受け面25を備えた当該回転軸12が回転することとなる。
なお、このとき、第1ベアリング22とレンズ駆動力伝達用リング16との間には、スペーサー18とウェーブワッシャー17とが配置され、第2ベアリング11と当該レンズ駆動力伝達用リング16との間には、スペーサー14が配置されることで、ベアリング22,11間に当該レンズ駆動力伝達用リング16を安定した状態で挟み込みんで配置させることができ、この結果、当該レンズ駆動力伝達用リング16の回転がよりスムーズに行える。
そして、本件発明のレンズ駆動力機構10は、レンズ駆動力伝達用リング16が回転することで、摩擦力によって係合されるリングホルダー15のリング受け部24と共にリングホルダー15も同期回転し、また、当該リングホルダー15が回転することで、摩擦力によって係合される当該摩擦板13と共に回転軸12も同期回転することとなる。そして、レンズ駆動機構10におけるウェーブワッシャー17は、レンズ駆動力伝達用リング16と圧接し、第1ベアリング22により回転軸12下方に向けて所定の力で押圧付勢される。この結果、当該レンズ駆動力伝達用リング16とリングホルダー15との間には、レンズ駆動力である当該レンズ駆動力伝達用リング16の回転力を、当該回転軸12へ伝達させるのに必要な摩擦係合力を生じさせることができる。なお、リングホルダー15とレンズ駆動力伝達用リング16とは、接着剤等を用いて固着する等、高精度にレンズの駆動制御を行うことができれば他の方法によって結合することも可能である。
また、レンズ駆動機構10により伝達された駆動力は、レンズ群を駆動させるために、回転軸を通じて本件発明のレンズ駆動伝達機構外へ出力される。例えば、当該回転軸12の回転力を、リング群を係止しているレンズホルダーを駆動させるための駆動力として出力させる際に、当該回転軸からの駆動力を伝達させための伝達ギア23を一端側に固定し、当該伝達ギア23と噛み合う相手ギアの回転力をレンズ群を係止している部品まで伝達させることでレンズ群を光軸に沿って前後方向に駆動させ、フォーカス調整等を行うことが可能となる。
本件発明に係るレンズ駆動装置において、レンズ駆動機構10は、回転軸12のリングホルダー15の内部空間領域内に位置する部分には、スプリングホルダー19が当該リングホルダー15の底部と当接した状態で貫装して配置され、当該スプリングホルダー19に当該回転軸12に装着されたスプリング20が係止され、また、スプリングストッパー21が当該スプリングを挟圧させた状態で当該回転軸12と螺合結合して配置される。そして、当該回転軸12の摩擦受け面25に摩擦板13が固定され、当該摩擦板13はリングホルダー15底面の摩擦伝達部26と当接した状態で配置される。また、このとき、当該スプリングストッパー21と当該スプリングホルダー19との間の距離を調整して当該スプリングホルダー19と当該スプリングストッパー21との間に挟まれたスプリング20の弾性力を変化させ、当該リングホルダー15の底部に対して押圧付勢させる力を調整することにより、当該リングホルダーの摩擦伝達部26と当該摩擦板13との間の摩擦係合力を制御することが好ましい。
ここで、当該スプリングストッパー21を当該スプリングホルダー19に近づける方向に回転させながら移動させると、当該スプリング20が更に収縮し、当該摩擦伝達部26の当該摩擦板13に対して押圧付勢させる力は強くなる。このように、スプリング20の弾性力を利用することで、当該リングホルダー15底面の摩擦板13に対して押圧付勢させる力の強弱の調整が可能となり、双方の部材同士の摩擦力によって係合される力を調整することが可能となる。すなわち、本件発明のレンズ駆動機構10の一実施形態は、当該スプリング20によって当該摩擦伝達部26と当該摩擦受け面25との間の押圧力を調整することで、当該レンズ駆動機構10を構成する部材同士の摩擦係合力を制御するものである。
そして、このとき、当該摩擦伝達部26と当該摩擦板13との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構10において設定される摩擦係合力より大きい場合に、当該摩擦伝達部26と当該摩擦板13との間の係合状態は保たれ、当該レンズ駆動力伝達用リング16から当該回転軸12までの駆動力の伝達を正常に行うことができる。一方、当該摩擦伝達部26と当該摩擦板13との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構10において設定される摩擦係合力より小さい場合に、スリップ機構が働き、当該摩擦伝達部26と当該摩擦板13との間に滑り(スリップ)が生じて、駆動力の伝達を遮断することができる。このように、本件発明のレンズ駆動機構によれば、適切に駆動力伝達経路における当該駆動力の伝達と遮断との切り替えを行うことができる。
以上、本件発明に係るレンズ駆動装置1のスリップ機構によれば、外部から伝達される許容範囲外のトルクを当該レンズ駆動力伝達用リング16まで伝達させることがない。従って、当該レンズ駆動力伝達用リング16と当接される圧電素子に係合された伝達部材4に、当該許容範囲外のトルクが伝達されることによって、駆動伝達経路の途中にある部品の損傷するのを防止することが可能となる。なお、外部から伝達されるトルクが許容範囲内に戻ると、当該滑り(スリップ)の発生はなくなり、再び、当該摩擦板13と当該摩擦伝達部26との間で駆動力の伝達が正常に行われることとなる。
このように、本件発明のスリップ機構は、圧電アクチュエーター3の駆動力の伝達が正常に行え、且つ、許容範囲外のトルクが負荷された場合に当該摩擦伝達部26と摩擦板13との間で滑り(スリップ)を生じさせることが可能である限り、用いる部品の材質は問わず、部材を選択する際の自由度を大きくすることが可能となる。なお、上述したように、本件発明の一実施形態におけるレンズ駆動機構では、リングホルダー15の摩擦伝達部26と当接させる部材として摩擦機能を有する摩擦板13を使用しているが、当該回転軸12の摩擦受け面25が、当該摩擦伝達部26に対して所望の摩擦係合力を生じ、且つ所望の硬度を有する材質のものであれば、必ずしも摩擦板13を用いる必要はない。
以上のことから、本件発明のレンズ駆動力装置は、圧電アクチュエーター3からレンズ群を係止する部品までの駆動力伝達経路の途中にスリップ機構を設けることで、外力の影響を受けずに正常にレンズ駆動機構が稼働してレンズ群が駆動している際中は、当該駆動力伝達経路の途中で駆動力を遮断させずに、圧電アクチュエーター3の振動により発生する駆動力をレンズ群まで伝達できるようにするものである。また、レンズ駆動機構が稼働してレンズ群が駆動している際中に、手動操作により無理にレンズ群の駆動を行おうとしたとき等は、過大なトルクの伝達を当該動力伝達経路の途中で遮断するスリップ機構が働く。このように、圧電素子に結合された伝達部材4とレンズ駆動力伝達用リング16との間の異常な圧接を防ぐことで、駆動力伝達経路に係わる部品の破損が防止される。以上のことから、本件発明のレンズ駆動力装置によれば、当該スリップ機構の存在により、仮に、手動操作による場合でも、駆動力がレンズ群のみに伝達され、レンズ駆動を安全に行うことができる。
以上、本件発明のレンズ駆動装置によれば、レンズ駆動機構がスリップ機構を有することで、オートフォーカス機能やズーミング機能の駆動時に、手動等で無理矢理レンズ群を駆動させる等することにより、過剰負荷が加えられ、レンズ駆動力伝達用リングの外周面と当接される圧電素子に結合された伝達部材が擦られて摩耗したり、レンズ群を駆動させる部品に損傷が発生したりするのを防止することができる。
更に、本件発明のレンズ駆動装置は、スリップ機構が、レンズ駆動機構を構成する部品の内、一部の部品を兼用して構成され、且つ、簡易な構成で形成されるため、スリップ機構を備えた撮像装置として小型化を図ることが可能となる。また、本件発明のレンズ駆動装置は、簡易な構成ゆえ組み立てが容易であるため、例え動作上不具合が発生したとしても、保守点検が容易であり、修理交換作業が短時間で行え、製造コストの低減化も図ることができることとなる。
1 レンズ駆動装置
2 基礎
3 圧電アクチュエーター
4 圧電素子に結合された伝達部材
10 レンズ駆動機構
11 第2ベアリング
12 回転軸
13 摩擦板
14 スペーサー(第2ベアリング側)
15 リングホルダー
16 レンズ駆動力伝達用リング
17 ウェーブワッシャー
18 スペーサー(第1ベアリング側)
19 スプリングホルダー
20 スプリング
21 スプリングストッパー
22 第1ベアリング
23 伝達ギア
24 リング受け部
25 摩擦受け面
26 摩擦伝達部
27 貫通孔
28 接触領域

Claims (6)

  1. 圧電アクチュエータを駆動源としてレンズ群を駆動させるレンズ駆動装置であって、
    駆動源である圧電アクチュエーターが有する突形状の出力部と当接して配置される被振動伝達部材が、当該圧電アクチュエーターの当該出力部の振動を駆動力とし、当該駆動力を回転運動に変換し、当該回転運動に変換された駆動力を、部材間に働く摩擦係合力を利用して伝達することでレンズ群を駆動させるレンズ駆動機構を備え、
    当該レンズ駆動機構が、当該被振動伝達部材と嵌合して当該被振動伝達部材と同期回転する内部が中空のリングホルダーと、当該リングホルダーと摩擦係合して当該リングホルダーと同期回転する回転軸と備え、且つ、当該レンズ群を駆動させる駆動力伝達経路の途中に許容範囲外のトルクの伝達を遮断するためのスリップ機構を有し、
    また、当該リングホルダーと当該回転軸との接触領域に生じる摩擦力を制御する機構を、当該リングホルダーの中空部に組み込んだことを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 前記スリップ機構は、前記レンズ駆動機構を構成する部材同士の押圧力を調整して摩擦係合力を制御し、当該レンズ駆動機構に許容範囲を超えたトルクが加わったときに、当該トルクの伝達を遮断するものである請求項1に記載のレンズ駆動装置。
  3. 前記レンズ駆動機構は、前記被振動伝達部材として用いられるレンズ駆動力伝達用リングと、
    当該レンズ駆動力伝達用リングと嵌合して、当該レンズ駆動力伝達用リングと同期回転するリングホルダーと、
    当該リングホルダーと摩擦係合して、当該リングホルダーと同期回転する回転軸とを備え、
    前記スリップ機構が、当該リングホルダーと当該回転軸との接触領域に生じる摩擦力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断するものである請求項1または請求項2に記載のレンズ駆動装置。
  4. 前記レンズ駆動機構は、前記リングホルダーが、略有底円筒形状を有し、その長さ方向途中に、前記レンズ駆動力伝達用リングの下面を受けるためにその外周から径方向に向けて延出するリング受け部と、
    当該レンズ駆動力伝達用リングの回転運動を前記回転軸に伝達するために当該リングホルダーに設けられる摩擦伝達部と、
    当該略有底円筒形状の底部に当該回転軸を貫通可能な貫通孔とを備え、
    当該回転軸が、その長さ方向途中に、当該リングホルダーの摩擦伝達部と摩擦係合可能な摩擦受け面を備え、
    前記スリップ機構が、当該回転軸に装着される弾性部材の弾性力を利用して、当該リングホルダーの摩擦伝達部と当該回転軸の摩擦受け面との間の押圧力を調整し、当該摩擦伝達部と当該摩擦受け面との間の摩擦係合力を制御して許容範囲外のトルクの伝達を遮断するものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
  5. 前記レンズ駆動機構は、弾性部材がスプリングである請求項4に記載のレンズ駆動装置。
  6. 前記レンズ駆動機構は、前記回転軸が、前記リングホルダーの貫通孔に貫通し、当該回転軸の当該リングホルダーの内部空間領域内に位置する部分に、当該リングホルダーの底部側から順に、スプリングを保持するために当該回転軸に貫装され且つ当該リングホルダーの底部と当接して配置されるスプリングホルダーと、当該回転軸に装着されるスプリングと、当該スプリングの脱落するのを防止するために当該回転軸に螺合結合されるスプリングストッパーとを配置して備え、
    前記リングホルダーの摩擦伝達部が当該リングホルダーの底部に設けられ、
    当該回転軸の摩擦受け面が、当該回転軸の長さ方向の途中にその外周から径方向に向けて延出して形成され、当該摩擦伝達部に対向する側の当該延出部分の面上に摩擦板が固定され、
    当該スプリングストッパーを回転させることで当該スプリングストッパーと当該スプリングホルダーとの間の距離を調整し、当該スプリングホルダーと、当該スプリングストッパーとの間に挟まれたスプリングの弾性力を変化させ、
    当該スプリングホルダーが当該リングホルダーの底部に対して押圧付勢させる力を調整することにより、当該リングホルダーの摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力を制御し、
    当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構において設定される摩擦係合力より大きい場合に、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の係合状態は保たれ、当該レンズ駆動力伝達用リングから当該回転軸への駆動力の伝達を正常に行い、
    当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間の摩擦係合力が、当該レンズ駆動機構において設定される摩擦係合力より小さい場合に、スリップ機構が働き、当該摩擦伝達部と当該摩擦板との間に滑りが生じて、駆動力の伝達を遮断するものである請求項5に記載のレンズ駆動装置。
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