JP5284895B2 - 巻線界磁式同期機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インバータ等の電力変換器を用いて巻線界磁式同期機を安定して制御するための制御装置に関する。
例えば、電動アシストターボチャージャは、エンジンがアイドリングの1万ないし2万rpm付近から、全負荷時の超高速回転(例えば、10万rpm)までの非常に広い回転範囲を短時間(例えば、1秒)で一気に立ち上げる制御性能が要求される。したがって、ターボチャージャの回転軸をアシストする同期機についても、10万rpm以上の超高速回転を安定して駆動制御することが要求される。このような10万rpm以上の超高速回転は、従来の同期機の10倍〜100倍に相当する仕様条件である。
このように、電動アシストターボチャージャに使用される同期機には、短時間で高い応答性が要求されることから、非常に大きな出力トルクを発生させるために、同期機に非常に大きな電力が要求される。すなわち、例えば排気量2000ccクラスのエンジンにおいて、上記の性能を満足させるためには、同期機に1.5kW〜5.6kWの大きな電力を要するとの報告がある(例えば、下記の特許文献1参照)。
ところで、永久磁石を界磁極として使用する永久磁石式同期機に比べて、界磁巻線を界磁極として使用する巻線界磁式同期機は、高価な永久磁石を使用せず、また、永久磁石の固定機構を格別に設ける必要がないなどの利点を有する。このような巻線界磁式同期機において、従来技術では、負荷急変時等の過渡時にトルク変動や脱調などを防止し、安定して高い応答性を確保するようにした技術が提案されている(例えば、下記の特許文献2参照)。
すなわち、この特許文献2記載の従来技術では、トルク電流指令もしくはトルク電流検出値、磁束指令もしくは磁束検出値の少なくとも一つから、界磁電流指令もしくは電機子側の励磁電流指令へのフィードフォーワード補償を付加し、これらの補償ゲインを所定の値に設定することにより安定性と高応答性を実現している。
特開2005−42684号公報 特開2000−197398号公報
しかし、特許文献2では、磁束オブザーバや多くの三角関数を必要とするため、制御系を実現するためのマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)、もしくはCPU(Central Processing Unit)の演算量が多くなり、制御装置が高価になるという課題がある。
また、10万rpmなどの超高速回転に対応するためには、マイコンもしくはCPUの演算周期を10万rpmに適応した値にする必要がある。つまり、10万rpm(モータ周波数換算で約6.67kHzとなる)を実現するための演算周期は、7.5μsec〜75μsecが必要となる。その演算周期を実現するためには、簡略された安定な制御系を実現する上で、高速で演算を行える高価なマイコンが必要である。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、安価なマイコンを使用しても実現できる簡単な制御系でありながらも、10万rpm以上の超高速回転に対して十分な応答性を確保できるとともに、トルク振動等の発生を抑えて安定的に駆動制御することが可能な巻線界磁式同期機の制御装置を得ることを目的としている。
本発明に係る界磁巻線式同期機の制御装置は、直流電力を交流電力に変換して上記巻線界磁式同期機の電機子巻線に供給する電力変換器と、上記巻線界磁式同期機の界磁巻線に電圧を印加する界磁用電力変換器と、制御目標となる周波数指令に基づいて上記界磁用電力変換器からの出力電圧を制御する界磁用制御手段と、上記巻線界磁式同期機の電機子巻線に流れる少なくとも2相の電流を検出する電流検出手段と、この電流検出手段で検出された電流を上記巻線界磁式同期機に印加する電圧ベクトルに対して平行な電流成分とこれに直交する電流成分との2軸電流成分に分離する座標変換手段と、この座標変換手段で得られる上記電圧ベクトルに対して平行な電流成分、および上記巻線界磁式同期機の界磁巻線に流れる界磁電流に基づいて周波数補正量を演算し、この周波数補正量でもって上記周波数指令を補正する周波数補正手段と、この周波数補正手段で補正された後の周波数指令に基づいて上記巻線界磁式同期機の端子電圧を制御する電圧制御手段と、を備えている。
本発明によれば、巻線界磁式同期機ではトルク振動の振動周波数は界磁巻線に流れる界磁電流に依存するので、この界磁電流を検出する一方、トルク脈動成分を示す電圧ベクトルに対して平行な電流成分を抽出し、この抽出した電流成分の周波数に基づいて周波数補正量を算出し、この周波数補正量で制御目標となる周波数指令を補正するが、その際、上記周波数補正量を得るための制御定数を、検出した界磁電流の大きさによって変更するので、簡単な制御構成でもってトルク脈動の発生と継続を抑えることが可能になる。したがって、10万rpm以上の超高速回転においても十分な応答性をもち、トルク振動等の発生を抑えて安定的に巻線界磁式同期機を駆動することができるという、従来にない顕著な効果を奏する。
本発明の原理説明に供する2つの回転座標系の説明図である。 本発明の実施の形態1における巻線界磁式同期機の制御装置の構成を示すブロック図である。 同制御装置を構成する電圧指令手段の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態2における巻線界磁式同期機の制御装置の構成を示すブロック図である。 同制御装置を構成する界磁用制御手段の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態3における巻線界磁式同期機の制御装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
ここでは、まず、本発明の制御装置によって、界磁巻線と電機子巻線とを有する巻線界磁式同期機(以下、単に同期機という)を制御する場合の原理について説明する。
回転子に界磁巻線を有する同期機では、図1に示すように、鎖交磁束と平行な磁極軸をd軸とし、逆起電力が発生する方向をq軸とした直交座標のdq座標を定義する。しかし、本発明が実施するV/f一定制御の下において、回転子の位置を検出する位置センサは本例では設けていないので、磁極位置が不明である。このため、dq座標とは別に、直交座標のγδ座標を用意し、電力変換器の出力電圧ベクトルvの方向をδ軸、このδ軸よりπ/2遅れた軸をγ軸と定義する。直交座標のdq座標とγδ座標の両座標は、負荷角δを保ち、共に反時計方向に周波数fで回転しているものとする。
同期機に印加する電力変換器の出力電圧ベクトルvに平行な電流成分iδは、同期機の出力トルクに寄与する有効電流成分に対応している。したがって、同期機の運転が不安定となり、同期機の出力トルクが変動すると、上述した電力変換器の出力電圧ベクトルvに平行な電流成分iδも変動する。従って、この電流成分iδの変動を抑制するように制御することにより、トルク変動が抑えられて同期機の安定性が増すと考えられる。
ところで、この同期機の場合、回転子に界磁巻線を有するが、この界磁巻線に流れる界磁電流はd軸にあり、回転子は同期速度で回転している。従って、dq軸上で表現される同期機の電圧方程式は、突極性を考慮すると次の式になる。
Figure 0005284895
Figure 0005284895
Figure 0005284895
ここに、Vd:d軸出力電圧ベクトル、vq:q軸出力電圧ベクトル、P:微分演算子、R:電機子抵抗、Ld:d軸電機子インダクタンス、Lq:q軸電機子インダクタンス、ω:回転電気角周波数、if:界磁電流、Md:d軸電機子反作用リアクタンス、p:極対数、T:トルク、φd:d軸電機子鎖交磁束、φq:q軸電機子鎖交磁束、L:電機子インダクタンスである。
説明を簡単にするため、ここでは、同期機は、d軸電機子インダクタンスとq軸電機子インダクタンスとが等しい(すなわち、Ld=Lq)ものとし、界磁電流ifは一定とすると、上記(1)式は、次の(4)式のように簡略化することができる。
Figure 0005284895
(4)式をγδ座標上に変換すると、次の(5)式が得られる。また、トルクの関係式は(3)式が(6)式となり、さらに、回転電気角周波数ωとトルクTとの関係は、制動係数やバネ定数などを無視して簡単な運動方程式で表わすと、次の(7)式となる。
Figure 0005284895
Figure 0005284895
Figure 0005284895
ただし、ω:電力変換器の出力電気角周波数、T:負荷トルク、J:慣性モーメント、δ:γδ座標とdq座標とのずれ角(図1参照)である。
γδ座標とdq座標の回転速度は、定常的には同一であるが、過渡的に回転角速度が変化することにより、2つの座標軸にずれが生じる。この両軸間のずれ角δの微分は、電力変換器の出力電気角周波数ωと同期機の回転電気角周波数ωとの差に等しいため、γδ座標とdq座標とのずれ角δは、次の(8)式のように表わすことができる。
Figure 0005284895
ただし、P:微分演算子、ω:電力変換器の出力電気角周波数、ω:同期機の実際の回転電気角周波数である。
なお、図1のγδ座標の定義より、電力変換器の出力電圧ベクトルvがδ軸上に印加され、電動機の逆起電力eはq軸上に発生する。従って、δ軸とq軸の間にずれ角δは負荷角と一致する。
上述の(5)、(6)式は非線形であるから、(5)、(6)式を定常状態近傍で線形近似を行ってからこれらを(7)、(8)式に代入して状態方程式を求めると、次の(9)式となる。
Figure 0005284895
ただし、Pは微分演算子、A、B中のサフィックスの“0”は動作点の値を示す。
(9)式は4次の状態方程式となるが、安定性や応答性を、制動係数ζと固有角周波数ωnにより簡単に議論するため、機械系の時定数が電気系の時定数よりも十分に大きいとして、2次系に近似すると、次の(10)式で表すことができる。
Figure 0005284895
(10)式の状態変移行列Aより、簡略化のため、ωL>>R、d軸電流は零であるとし、制御系の特性方程式を求め、制動係数ζと固有角周波数ωnを求めると、次の(11)、(12)式が得られる。
Figure 0005284895
Figure 0005284895
この(11)、(12)式より、単なる制御方式では、制動係数ζ=0となり、この場合には固有角周波数ωnの持続振動が発生して不安定になることを示している。また、(12)式より、極対数p、d軸電機子反作用リアクタンスMd、慣性モーメントJ、電機子インダクタンスLは、それぞれ事前に知り得る一定の定数である。そして、(12)式から分かるように、この固有角周波数ωnは、界磁巻線を流れる界磁電流ifによって変化するので、トルク振動が持続するなどの不安定現象を抑制するためには(つまり、安定的に同期機を駆動するためには)、界磁電流ifに応じて適切な制御定数を設定する必要があることを示している。
次に、安定して同期機を電力変換器で駆動するための原理について説明する。
安定的に同期機を駆動する上では、本来、前述の(10)式の同期機の回転電気角周波数ωや負荷角δといった状態量をフィードバックすることが望ましいが、位置センサがないシステムでは、これらの状態量ω,δを直接推定することは制御系を更に複雑にするとともに、高価・高性能なマイコンなどが必要となるため、余分な費用が掛かることになる。
そこで、この実施の形態1では、前述したように、同期機に印加する電力変換器の出力電圧ベクトルvに平行な電流成分iδは、同期機の出力トルクに寄与する有効電流成分に対応しているので、この有効電流iδに着目する。このとき、δ軸とq軸間のずれ角は、前述したようには負荷角δとみなすことができるから、負荷角δの振動はトルクの振動を発生させる。したがって、有効電流iδのフィードバック制御を行うことで、近似的にトルク振動の発生を抑えた制御系を実現することができる。
いま、フィードバックゲインをK、同期機の印加電圧の制御目標となる周波数指令をω*とし、ハイパスフィルタのカットオフ周波数が制御系の固有周波数より十分遅くなるように設定して無視できるとすれば、周波数指令ωfは、新たに次の(13)式のようになる。
Figure 0005284895
有効電流iδのフィードバックを含めた特性方程式を(9)式より求め、同様に2次近似を行って制動係数ζと固有角周波数ωnを算出すると、次の(14)、(15)式となる。
Figure 0005284895
Figure 0005284895
(14)式では、制動係数ζはフィードバックゲインKの関数となり、制動係数ζは(11)式に示したようにζ=0にはならず、かつ、制御定数に関連するフィードバックゲインKを界磁電流ifの大きさに応じて変化させることで、トルク振動が持続するのを抑えることができ、制御系を安定化することができる。また、(15)式にはフィードバックゲインKを含まず、固有角周波数ωnは、(12)式と同一であることから、有効電流iδをフィードバックしても応答性は変化しない。よって、速度センサレス制御であるV/f一定制御を安定化するには、有効電流iδのフィードバックが効果的であると言える。
本発明は、これらの点に着目してなされたもので、この実施の形態1では、電力変換器の出力電圧ベクトルvに平行な電流成分iδからトルク変動の周波数成分の信号を抽出し、これを電力変換器に与える制御目標である周波数指令ω*にフィードバックして補正することでトルク変動を抑えるとともに、トルク変動が継続しないように、制御定数に関連するフィードバックゲインKを界磁電流ifに応じて変更するようにして、制御の安定性を確保するようにしたものである。
図2は、上述した考え方に基づき、本発明が適用される実施の形態1に係る同期機の制御装置の構成を示すブロック図である。
この実施の形態1において、制御対象となる同期機1は、界磁巻線1aと電機子巻線(図示せず)とを有する巻線界磁式のものである。そして、この同期機1を駆動制御する制御装置2は、電力変換器3、界磁用電力変換器5、界磁用制御手段6、電流検出手段7a〜7c、界磁電流検出手段8、三相/二相座標変換手段9、周波数補正手段20、および電圧制御手段30を主体に構成されている。
電力変換器3は、直流電源11の直流電力を交流電力に変換して同期機1の電機子巻線に供給するものである。界磁用電力変換器5は、同期機1の界磁巻線1aに電圧を印加する。界磁用制御手段6は、制御目標となる周波数指令ω*に基づいて同期機1の界磁巻線1aに電力を供給する界磁用電力変換器5を制御するものである。界磁電流検出手段8は、界磁巻線1aに流れる界磁電流ifを検出するものである。
電流検出手段7a〜7cは、同期機1の電機子巻線に流れる三相分の各相電流iu、iv、iwを検出する。ここでは、電流検出手段7a〜7cは、電力変換器3と同期機1との間を接続する結線を流れる電流をCT等により検出する構成としているが、他の公知の手法を用いて、母線電流など電力変換器3の内部に流れる電流を用いて相電流を検出してもよい。
なお、iu+iv+iw=0の関係が成立するので、u、v2相分の検出電流からw相の電流を求めることもできるため、w相の電流検出手段4cを省略してもよい。また、u相、w相の2相分の検出電流からv相の電流を求めてもよいのは勿論である。
三相/二相座標変換手段9は、特許請求の範囲における座標変換手段に対応するもので、電流検出手段7a〜7cで検出された相電流iu、iv、iwを同期機1に印加する電圧ベクトルvに対して平行な電流成分iδと、これと直交する電流成分iγとの2軸電流成分に座標変換して出力するものである。その際、公知のように、三相電流を回転直交二軸へ座標変換をする際に、制御座標軸が必要となるが、この制御座標軸の位相をθとすると、この位相θは、後述するように、補正後の周波数指令ωfを積分手段31で積分した値として得られる。そして、この三相/二相座標変換手段9により座標変換された電圧ベクトルvに対して平行な電流成分iδは、次段の周波数補正手段20に入力される。
周波数補正手段20は、ハイパスフィルタ21、比例増幅手段22、および減算器23を備えており、電圧ベクトルに対して平行な電流成分iδに基づいて周波数補正量Kiδを生成し、この生成した周波数補正量Kiδによって、電力変換器3に対して与えるべき同期機1の印加電圧の目標となるべき周波数指令ω*を補正する。
ここに、ハイパスフィルタ21は、前述の電流成分iδから同期機1のトルクの脈動成分に応じた周波数成分の電流を通過させるものである。また、比例増幅手段22は、ハイパスフィルタ21を通過した脈動成分をもつ信号を所定のフィードバックゲインKだけ増幅する。
周波数補正手段20は、電流成分iδを周波数指令ω*にフィードバックすることから、電流成分iδがそのまま流れると電力変換器3が供給する角周波数が角周波数指令ω*と一致しなくなる。そこで、ハイパスフィルタ21は、(15)式に示した周波数成分ωnを抽出して定常的な速度偏差を防止している。すなわち、(15)式に示したように、制御系の固有角周波数ωnは、界磁電流ifに依存しているので、ハイパスフィルタ21(HPF)は、固有角周波数ωnを抽出する上で、この固有角周波数ωnより低い周波数成分の信号をカットオフする特性を持つように、次の(16)式に示すように、界磁電流検出手段8により検出された界磁電流ifに基づいてカットオフ周波数が変更される構成にしている。
Figure 0005284895
次に、比例増幅手段22は、ハイパスフィルタ21の出力信号HPFにフィードバックゲインKを掛けることにより、周波数指令ω*を補正するのに最適な値となるように調整する。また、このフィードバックゲインKについても界磁電流検出手段8により検出された界磁電流ifによってその値を変更することにより、最適な値に補正する。すなわち、このフィードバックゲインKは、界磁電流ifの関数K(if)となる。
したがって、周波数補正手段20からの出力信号をKiδとすると、Kiδは、次の(17)式で表すことができる。
Figure 0005284895
なお、(17)式中のHPFは、ハイパスフィルタ21を通過した周波数成分の信号である。
比例増幅手段22の出力信号Kifは、引き続いて減算器23によって次の(18)式により周波数指令ω*を減算する。これは前述した(13)式に基づくものである。
Figure 0005284895
電圧制御手段30は、周波数補正手段20で補正された後の周波数指令ωfに基づいて同期機1の端子電圧を制御するものであって、積分手段31、電圧指令手段32、および二相/三相座標変換手段33を備えている。
先の(18)式に基づいて補正された周波数指令ωfは、電圧制御手段30を構成する積分手段31と電圧指令手段32とにそれぞれ入力される。積分手段31は、補正された周波数指令ωfを積分して位相θを算出する。この位相θの情報は、上述した三相/二相座標変換手段9や二相/三相座標変換手段33に入力されて、制御座標軸の位相となり、三相/二相変換手段9における三相から二相への座標変換や、二相/三相変換手段33における二相から三相への座標変換を行う際に使用される。
また、電圧指令手段32は、例えば図3に示すような構成を有しており、2軸の電圧指令の内、一方の電圧指令Vγ*=0として出力するとともに、他方の電圧指令Vδ*は、補正後の周波数指令ωfに基づいて電圧指令発生テーブル321で決定されて出力されるように構成されている。
すなわち、電圧指令発生テーブル321は、横軸をωf、縦軸をVδ*として両者の関係をテーブル化したものである。ここでは、ωfに応じてVδ*が比例して増加するが、ωfがωf1以上のときにはVδ*が一定になるようにしている。これは、原理上、電力変換器3が直流電源11の電圧Vdcより高い電圧を出力することができないため、直流電源11の電圧Vdcでリミットをかけるように設定したものである。すなわち、高速域では、直流電源11の電圧Vdcの電圧利用率最大の1パルス制御をすることになる。
なお、この実施の形態1では、図3に示したように、電圧指令Vδ*をテーブル化して設定する例を挙げたが、電圧指令Vδ*をωfの関数として数式で与えてもよく、ゲイン手段、掛算器、リミッタ手段などを組み合わせて構成してもよい。
電圧指令手段32で演算された電圧指令Vγ*、Vδ*は、次段の二相/三相座標変換手段33に入力されて、積分手段31から与えられる位相θに基づいて電力変換器3を制御するための三相電圧指令に変換される。そして、この三相電圧指令に基づいて電力変換器3が同期機1を駆動する。
以上のように、この実施の形態1によれば、周波数補正手段20をハイパスフィルタ21と比例増幅手段22とで構成し、この周波数補正手段20で、電圧ベクトルに対して平行な電流成分iδに基づいて周波数指令ω*を補正する際に、制御定数を界磁電流ifの大きさによって変更する、すなわちハイパスフィルタ21のフィルタ特性と、比例増幅手段22のフィードバックゲインKとを界磁電流ifの大きさによって変更することでトルク脈動の発生と継続を抑えることが可能になる。したがって、従来技術のように、トルク変動を防止して高速応答性を確保する上で、三角関数を高速演算可能な高価なマイコンを使用する必要がなく、簡単な制御構成で10万rpm以上の超高速回転にもおいても十分な応答性を確保できるとともに、トルク脈動の影響を抑えて安定に駆動することができるなど、従来にない顕著な効果を奏することができる。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2における同期機の制御装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一符号を付して、ここでは詳しい説明を省略し、実施の形態1の構成と異なる部分についてのみ説明する。
この実施の形態2の特徴は、実施の形態1と界磁用制御手段6の構成が異なっていることである。すなわち、この実施の形態2の界磁用制御手段6は、図5に示すように、界磁電圧指令設定テーブル61、電力演算手段62、減算器63、比例増幅手段64、および低位優先手段65を備えており、電力演算手段62は、掛算器621と比例増幅手段622を有している。
ここで、界磁電圧指令設定テーブル61は、周波数指令ω*を入力し、これに対応した界磁電圧指令Vf1*を出力するものである。この場合、周波数指令ω*が0からωf1までは界磁電圧指令Vf1*は一定とし、周波数指令ω*がωf1以上になると一次遅れで界磁電圧指令Vf1*が次第に小さくなるように設定されている。
その理由は、実施の形態1で説明したように、電圧指令手段32において、周波数指令ω*がωf1以上は、同期機1に印加される電圧指令Vδ*が直流電源11の電圧Vdcを越えないように制御しているので、これに合わせて、この実施の形態2では、界磁電圧が同期機1の定格電力(もしくは最大許容電力)を超えないように界磁電圧指令Vδ*を設定するようにしている。
すなわち、周波数指令ω*がωf1以上になっても、界磁電圧指令Vδ*を0からωf1までの範囲と同様に一定値に維持すると、界磁電流が0からωr1までの場合と同様の一定値が流れるので、同期機1の回転周波数が増加するのに伴って同期機1の電力が上がっていき、定格電力(もしくは最大許容電力)を超えて同期機1が発熱して故障する可能性がある。これを防ぐため、界磁電圧指令設定テーブル61によって周波数指令ω*がωf1以上では界磁電圧指令Vf1*を次第に小さくして、界磁電流を小さくする弱め界磁を行うようにしている。
一方、電力演算手段62は、界磁電流検出手段8で得られる界磁電流ifと、三相/二相座標変換手段9から出力される電流iδとを共に入力して同期機1の電力Pを演算する。その電力Pを演算する原理は、(6)式の関係から、以下の(19)式で演算される。
Figure 0005284895
しかし、(19)式は、cos,sinなどの演算が必要となるので、安価なマイコンで実現することは困難である。そこで、(19)式の負荷角δは小さな値であることから、負荷角δ≒0とすることで、(19)式を次の(20)式のように近似する。これによって電力演算を簡単化することができる。
Figure 0005284895
この(20)式に基づき、電力演算手段62は、掛算器621で両電流if、iδを掛け算し、次いで比例増幅手段622によりp・Mdを掛ける処理を行う。これにより、電力Pが演算される。
次いで、減算器63で電力指令P*からその演算した電力Pを減算して減算値ΔPを求める。なお、電力指令P*は、同期機1の定格電力もしくは最大許容電力を設定するものである。
続いて、この減算値ΔPに対して、比例増幅手段64によってゲインpgを掛けて界磁電圧指令Vf2*とする。そのことにより、比例制御を実現することができ、電力Pが電力指令P*になるように界磁電圧指令Vf2*を決めることができる。なお、比例制御を実現する比例増幅手段64を設けるだけなく、積分手段も追加して比例積分制御を実現してもよい。
次いで、低位優先手段65は、界磁電圧指令Vf1*とVf2*の小さい方を選択し、これを界磁用電力変換器5に対して界磁電圧指令Vf*として出力する。すなわち、界磁電圧指令設定テーブル61によって周波数指令ω*がωf1以上では界磁電圧指令を次第に小さくして、界磁電流を小さくする弱め界磁を行うようにしているが、その場合でも、同期機1の定格電力もしくは最大許容電力を超える恐れがあるときには、これを超えないようにするため、低位優先手段65は、界磁電圧指令Vf1*とVf2*の小さい方を選択する。これにより、同期機1の性能範囲内で超高速回転を実現することが可能となる。
以上のように、この実施の形態2によれば、簡単な制御構成で超高速回転においてもトルク変動を抑制して安定して同期機を駆動できるという実施の形態1の効果に加えて、さらに、同期機1の定格電力もしくは最大許容電力を超えないように定出力運転を実現することができる。また、同期機1の異常な発熱を抑制することができるといった効果が得られる。
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3における同期機の制御装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一符号を付して、ここでは詳しい説明を省略し、実施の形態1の構成と異なる部分についてのみ説明する。
この実施の形態3の制御装置2は、実施の形態1の構成と比較すると、界磁電流検出手段8が省略されており、その代わりに、界磁電流演算手段12が設けられている点が異なっている。そして、この界磁電流演算手段12は、界磁電圧指令Vf*に基づいて、次の(21)式から界磁電流ifを演算するように構成している。
Figure 0005284895
ここに、Rf:界磁抵抗、Lf:界磁インダクタンスである。なお、Rf,Lfの値は事前に測定で設定できる定数である。
なお、Rf>>Lfである場合は、Lfの項が無視できるので、(21)式は、次の(22)式のように近似してもよい。
Figure 0005284895
このようにして、界磁電流ifを演算することにより、界磁電流ifを検出する界磁電流検出手段8を省略することができる。
以上のように、この実施の形態3によれば、簡単な制御構成で超高速回転においてもトルク変動を抑制して安定して同期機1を駆動できるという実施の形態1の効果に加えて、さらに、界磁電圧指令Vf*から界磁電流ifを演算で求めることができるため、界磁電流検出手段8を省略することができるので、さらなる製作・部品コストを低減することが可能となる。
なお、上記の説明では、実施の形態2、3を別個に設けた構成について説明したが、実施の形態2、3の構成を組み合わることも可能である。
1 巻線界磁式同期機、1a 界磁巻線、2 制御装置、3 電力変換器、
5 界磁用電力変換器、6 界磁用制御手段、7a〜7c 電流検出手段、
8 界磁電流検出手段、9 三相/二相座標変換手段、11 直流電源、
12 界磁電流演算手段、20 周波数補正手段、21 ハイパスフィルタ、
22 比例増幅手段、23 減算器、30 電圧制御手段。

Claims (5)

  1. 界磁巻線と電機子巻線とを有する巻線界磁式同期機の駆動制御を行うものであって、
    直流電力を交流電力に変換して上記巻線界磁式同期機の電機子巻線に供給する電力変換器と、
    上記巻線界磁式同期機の界磁巻線に電圧を印加する界磁用電力変換器と、
    制御目標となる周波数指令に基づいて上記界磁用電力変換器からの出力電圧を制御する界磁用制御手段と、
    上記巻線界磁式同期機の電機子巻線に流れる少なくとも2相の電流を検出する電流検出手段と、
    この電流検出手段で検出された電流を上記巻線界磁式同期機に印加する電圧ベクトルに対して平行な電流成分とこれに直交する電流成分との2軸電流成分に分離する座標変換手段と、
    この座標変換手段で得られる上記電圧ベクトルに対して平行な電流成分、および上記巻線界磁式同期機の界磁巻線に流れる界磁電流に基づいて周波数補正量を演算し、この周波数補正量でもって上記周波数指令を補正する周波数補正手段と、
    この周波数補正手段で補正された後の周波数指令に基づいて上記巻線界磁式同期機の端子電圧を制御する電圧制御手段と、
    を備えた巻線界磁式同期機の制御装置。
  2. 上記周波数補正手段は、上記電圧ベクトルに対して平行な電流成分から上記巻線界磁式同期機のトルク脈動成分に対応した所定の周波数成分を抽出するハイパスフィルタと、このハイパスフィルタで抽出された周波数成分を増幅する比例増幅手段とを備え、かつ、上記ハイパスフィルタのフィルタ特性、および上記比例増幅手段の比例定数は、上記界磁電流に応じて変更されるものである請求項1に記載の巻線界磁式同期機の制御装置。
  3. 上記界磁用制御手段は、上記周波数指令、上記界磁電流、および上記巻線界磁式同期機に印加する電圧ベクトルに対して平行な電流成分に基づいて、上記界磁用電力変換器を制御するものである請求項1または請求項2に記載の巻線界磁式同期機の制御装置。
  4. 上記巻線界磁式同期機の界磁巻線に流れる上記界磁電流を検出する界磁電流検出手段を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の巻線界磁式同期機の制御装置。
  5. 上記界磁用制御手段から界磁用電力変換器に対して出力される界磁電圧指令に基づいて上記界磁電流を算出して上記周波数補正手段に与える界磁電流演算手段を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の巻線界磁式同期機の制御装置。
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