JP5284134B2 - 加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法 - Google Patents

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本発明は、加圧超流動ヘリウムを用いて超電導磁石装置等を冷却するための加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法に関する。
近年、NMR装置等に用いられる超電導磁石装置では、発生する磁場を高くすることが求められている。
一般的に高磁場化するためには、超電導線に流す電流密度を増やすこと、つまり、一定磁場の下で、超電導マグネットを構成する超電導線の臨界電流値を大きくする必要がある。
しかし、これまでに商用化された超電導線は、おおよそNbTiおよびNbSnの2種に留まっており、材料開発による手法では、これ以上の臨界電流値の増大を望めない状況にある。
そこで、超電導線をより低温に冷却して、臨界電流値を大きくする手法がとられるようになってきている。
そのための冷却方法の一つが加圧超流動ヘリウムを用いた冷却方法であり、特許文献1及び特許文献2などに開示されている。
特許文献1及び特許文献2に記載の冷却方法は、液体ヘリウムを貯留する液体ヘリウム槽(以下、「第1槽」という)と、前記第1槽内に連通路を介して連通し、加圧超流動ヘリウムを貯留する超流動ヘリウム槽(以下、「第2槽」という)と、前記連通路を開閉する弁と、前記第2槽内の液体ヘリウムを冷却するための主熱交換器と、前記第1槽内の液体ヘリウムを前記主熱交換器にジュールトムソン弁を介して絞り膨張させて流通させる冷却機構と、を備えるクライオスタットを用いて、前記第2槽内に冷却対象である超電導マグネットを浸漬するものである。
このような冷却方法のメリットを以下に示す。
液体ヘリウムは、大気圧下では2.163K(ラムダ点)以下で超流動転移を起こす。液体ヘリウムは、超流動転移を起こすと、ラムダ点よりも高い温度のときに比べて、1000万倍の有効熱伝導率をもつようになる。このような超流動ヘリウムの熱伝導特性により、超電導マグネットを急速に冷却することが可能である。
加えて、大気圧下にある超流動ヘリウム(加圧超流動ヘリウム)は、約4.2Kまで沸騰しないため、沸騰に至るまでに温度余裕が生まれる。そのため、超電導マグネットの一部がなんらかの原因で過度に発熱したとしても、沸騰しにくく、冷却効率が落ちることはない。これにより、飽和超流動ヘリウム(気液共存曲線上にある液体ヘリウム)中に超電導マグネットを浸漬した場合に比べ、大きな冷却能力を発揮することができる。
特開2008−109035号公報 特許第3417797号公報
しかしながら、こうした構成の装置を実際に稼動させてみると、時折、前記第1槽内の圧力がクライオスタット外部の圧力に比べて陰圧になることが本願発明者により観測されていた。
第1槽内の圧力が外部の圧力に比べて陰圧になる原因は、本願発明者の検証により以下のように推測される。
図6に従来のクライオスタット100および当該クライオスタット100内の液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を模式的に示す。
図6に示すように、第2槽112に設けられた主熱交換器115による冷却により第2槽112内の液体ヘリウムは一定温度(約1.6K)に保たれている。
一方、連通路113と弁体114との僅かな隙間を介して第1槽111から第2槽112への熱流が生じるため、第1槽111内において、下部から上部に向けて徐々に温度が上昇するような温度勾配が発生する。尚、上述のように、ラムダ点以下の温度では、液体ヘリウムの熱伝導率が非常に高いため、第1槽111内における底近傍の領域では、温度勾配はほとんど生じず、ラムダ点温度で一定となる。
また、図6に示すように、初期の状態(第1槽111内の冷却が進んでいない状態)では、第1槽111内における液面から所定の深さまでの液体ヘリウムは飽和状態にあり、温度は約4.2Kでほぼ一定である。そのため、液面近傍において高さ方向における温度勾配はほとんど存在していない。
しかしながら、この状態で放置すると、第2槽112からの冷却により、最終的には、図7に示すように、第1槽111内の液体ヘリウムの液面の直下にまで、温度勾配が到達することになる。
この場合、液面における蒸発速度が、図6に示す状態に比べて減少するため、結果として液面では気相のヘリウムガスが液化再凝縮する現象が発生し、第1槽111内の圧力がクライオスタット100の外部の圧力に対し陰圧となってしまう。
第1槽111内が陰圧になると、主熱交換器115に第1槽111内の液体ヘリウムを流通させるための弁機構117の両端の圧力差が小さくなり、当該弁機構117の開度が同じ場合でも流通速度が小さくなってしまうという問題を生じてしまう。
更に、第1槽111内の圧力が低下することで、これに連通する第2槽112内の圧力が低下し、本来の冷却能力が発揮できなくなるという問題を生じてしまう。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、第1槽内の圧力低下を防ぐことが可能な加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第1の特徴は、液体ヘリウムを貯留する第1槽と、前記第1槽内に連通路を介して連通し、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽と、前記連通路を開閉する弁と、前記第1槽内の液体ヘリウムを絞り膨張させてその絞り膨張により発生する冷熱により前記第2槽内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段と、前記第1槽内に設けられ、当該第1槽内の液体ヘリウムを加熱可能な加熱手段と、を備えたことである。
本願発明者は、第1槽内に気体として存在するヘリウムが、冷却されて液化することにより、第1槽内の圧力が低下することを知見した。
そして、当該ヘリウムの液化量は、第1槽内に貯留された液体ヘリウムの高さ方向における温度勾配に関連付けられることを知見した。即ち、液体ヘリウムの液面近傍の当該温度勾配が、急激であるほど、液化が促進され、第1槽内の圧力が低下しやすいことを知見した。
上記第1の特徴を有する構成によると、加熱手段により第1槽内の液体ヘリウムを加熱することで、液面近傍の温度勾配を緩やかにすることができ、第1槽内の圧力の低下を防ぐことができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第2の特徴は、前記第1槽内に設けられ、当該第1槽内の高さ方向における温度分布を検知可能な温度分布検知手段を備えることである。
この構成によると、温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、液面近傍の温度勾配が急な場合は、加熱手段により第1槽内の液体ヘリウムを加熱することで、第1槽内の圧力の低下を防ぐことができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第3の特徴は、前記温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、前記第1槽内の液体ヘリウムの超流動転移温度点位置を高さ方向における所定の位置に保持するように、前記加熱手段を制御する制御手段を更に備えることである。
「超流動転移温度点位置」とは、超流動状態の液体ヘリウムと非超流動状態の液体ヘリウムとの境界の位置である。即ち、ラムダ点にある液体ヘリウムと、ラムダ点よりも高い温度の液体ヘリウムと、の境界の位置である。
上記第3の特徴を有する構成によると、制御手段により、超流動転移温度点位置よりも上部の温度勾配の変動を抑制することができる。これにより、第1槽内の気体のヘリウムが過度に液化することが防止される。結果として、第1槽内が陰圧になることを防ぐことができる。
また、上述のような制御手段により自動的に加熱手段が制御されるため、加熱手段を手動で操作する手間を省くことができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第4の特徴は、前記第1槽内の液体ヘリウムの液面の高さを検知する液面検知手段を備え、前記温度分布検知手段は、高さ方向において異なる位置にそれぞれ固定された複数の温度計を有することである。
この構成によると、液面検知手段で液面の高さを検知することで、液面よりも下に配置された温度計を抽出し、液体ヘリウム内の高さ方向における温度分布を知ることができる。
これにより、第1槽内の液体ヘリウムの液面が低下し、一部の温度計が液体ヘリウムの外に出た場合でも、液体ヘリウム内に位置する他の温度計のみの検知結果に基づいて、当該液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。この場合、液体ヘリウム内における液面近傍の温度勾配をより正確に知ることができ、当該温度勾配に基づいて加熱手段を制御できるので、第1槽内の圧力低下をより確実に抑制することができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第5の特徴は、前記液面検知手段により検知された液面の高さに基づいて、前記液面の高さよりも低い位置にある前記温度計を抽出し、抽出された前記温度計で検知された温度分布に基づいて、高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、前記加熱手段を制御する制御手段を備えることである。
この構成によると、制御手段により、第1槽内の液体ヘリウムの高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、自動的に加熱手段が制御され、第1槽内の圧力の低下が防止される。これにより、加熱手段を手動で操作する手間を省くことができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第6の特徴は、前記温度分布検知手段は、前記第1槽内の前記液体ヘリウムの液面の高さに応じて上下に移動することである。
この構成によると、第1槽内の液体ヘリウムの液面の高さが変動した場合でも、温度分布検知手段の液面に対する位置が変化しない。
これにより、液面の位置を判断することなく、簡単に、第1槽内の液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。この場合、液体ヘリウム内における液面近傍の温度勾配をより正確に知ることができ、当該温度勾配に基づいて加熱手段を制御できるので、第1槽内の圧力低下をより確実に抑制することができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第7の特徴は、前記第1槽内の圧力を検知する圧力検知手段を備えることである。
この構成によると、第1槽内の圧力が所定の圧力よりも低下した場合は、加熱手段により第1槽内の液体ヘリウムを加熱し、簡単に、第1槽内の圧力を所定の圧力まで上昇させることができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第8の特徴は、前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて、当該圧力が所定の圧力になるように、前記加熱手段を制御する制御手段を備えることである。
この構成によると、第1槽内の圧力が所定の圧力よりも低下した場合は、制御手段により、自動的に加熱手段が制御され、第1槽内の圧力が所定の圧力まで上昇する。これにより、加熱手段を手動で操作する手間を省くことができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットにおける第9の特徴は、前記加熱手段は、周囲の液体ヘリウムの温度がラムダ点以下の温度となる位置に設けられていることである。
「ラムダ点」とは、液体ヘリウムが超流動転移を起こす温度である。
この構成によると、加熱手段による加熱により第1槽内の液体ヘリウムが沸騰することをより確実に防ぐことができる。
即ち、加熱手段がラムダ点よりも高い温度となる位置に設けられると、当該加熱手段の周囲の液体ヘリウムが非超流動状態であることにより、局所的な温度上昇が起こりやすく、周囲で沸騰が発生しやすくなる。
一方、加熱手段の周囲の液体ヘリウムがラムダ点以下の温度であれば、当該液体ヘリウムは加圧超流動状態にあるため局所的な温度上昇が起こりにくく、結果として沸騰が起こりにくい。
本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法における第1の特徴は、前記温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、前記第1槽内の液体ヘリウムの超流動転移温度点位置を高さ方向における所定の位置に保持するように、前記加熱手段を制御することである。
この構成によると、超流動転移温度点位置よりも上部の温度勾配の変動を抑制することができる。これにより、第1槽内の気体のヘリウムが過度に液化することが防止される。結果として、第1槽内が陰圧になることを防ぐことができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法における第2の特徴は、前記液面検知手段により検知された液面の高さに基づいて、前記液面の高さよりも低い位置にある前記温度計を抽出し、抽出された前記温度計で検知された温度分布に基づいて、高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、前記加熱手段を制御することである。
この構成によると、第1槽内の液体ヘリウムの温度勾配を、当該第1槽内のヘリウムの過剰な液化が生じない所定の温度勾配とすることで、液化過多による第1槽内の圧力の低下を防止することができる。
また、本発明に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法における第3の特徴は、前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて、当該圧力が所定の圧力になるように、前記加熱手段を制御することである。
この構成によると、簡単に、第1槽内の圧力を所定の圧力まで上昇させることができる。
本発明によれば、加熱手段により第1槽内の液体ヘリウムを加熱することで、第1槽内の圧力の低下を防ぐことができる。
本発明の第1実施形態に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットを示す概略図。 図1に示すクライオスタット内部の圧力と電熱ヒータの出力との関係を示す図。 本発明の第2実施形態に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットを示す概略図。 本発明の第3実施形態に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットを示す概略図。 本発明の第4実施形態に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタットを示す概略図。 従来の加圧超流動ヘリウムクライオスタットを示す概略図。 従来の加圧超流動ヘリウムクライオスタットを示す概略図。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタット(以下、クライオスタット1という)を示す概略図である。
クライオスタット1は、液体ヘリウムを貯留する第1槽11と、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽12と、第1槽11と第2槽12とを連通する連通路13と、連通路13を開閉する弁体14と、第2槽12内に設けられた主熱交換器15と、第1槽11内の液体ヘリウムを主熱交換器15に送るための供給導管16と、供給導管16に介設されたジュールトムソン弁17と、主熱交換器15に送られた液体ヘリウムが排出される排出導管18と、排出導管18に設けられたポンプ19と、を備えている。
尚、上記主熱交換器15と、供給導管16と、ジュールトムソン弁17と、排出導管18と、ポンプ19とにより、第2槽12内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段が構成される。
更に、第1槽11内には、当該第1槽11内の液体ヘリウムを加熱可能な電熱ヒータ21(加熱手段)と、6つの温度計22a〜22f(温度分布検知手段)とが設けられている。
<各部の構成>
第1槽11には、約4.2K(沸点)以下の温度の液体ヘリウムが貯留されている。当該第1槽11には、その上部に、外部と連通する排気管路11aが設けられている。
排気管路11aには、第1槽11内から外部への流体の流れを許容し、その逆の流れを遮断する逆止弁11bが設けられている。これにより、第1槽11内で蒸発したヘリウムを外部に排出することができ、第1槽11内の圧力が大気圧に比べて過度に高くなることを防止できる。
また、外部から第1槽11内に連通する注液管路11cが第1槽11に接続されており、当該注液管路11cを介して液体ヘリウムを第1槽11内に供給することができる。
尚、当該注液管路11cには、開閉弁11dが設けられており、液体ヘリウムを第1槽11内に供給するとき以外は、開閉弁11dは閉状態とされる。
第2槽12は、連通路13を介して、第1槽11の下方に設けられている。当該第2槽12には、約1.6Kの温度まで冷却された液体ヘリウムが貯留され、この第2槽12に、冷却対象となる超電導磁石30が設けられている。
連通路13は、下方に向かうにつれ開口面積が小さくなるテーパ状に形成されている。この連通路13内には、これとほぼ同形状の弁体14が設けられている。
第2槽12内の液体ヘリウムの圧力が増加すると、弁体14が第1槽11側に押し上げられて、連通路13が開く。これにより、第2槽12内の圧力が過度に高くなることを防ぐことができる。
尚、通常状態では、弁体14の外周面と連通路13の内周面との微小隙間を通じて、第1槽11内の液体ヘリウムが第2槽12内に流入可能となっている。そのため、第1槽11内とともに第2槽12内が大気圧と略同等の圧力に保たれる。
電熱ヒータ21は、第1槽11内において、周囲の液体ヘリウムの温度が2.163K(ラムダ点)以下となる位置に設けられている。本実施形態においては、供給導管16の入り口とほぼ同じ高さとなる位置に設けられている。
温度計22a〜22fとしては、例えば、薄膜抵抗センサーを用いることができる。6つの温度計22a〜22fは、第1槽11内の高さ方向にほぼ一直線上に、等間隔で並んで設けられている。
尚、これらの温度計22a〜22fは、第1槽11に対する相対位置が変化しないように、固定されている。
また、温度計22a〜22fは、少なくとも最下部に位置する温度計がラムダ点以下の液体ヘリウム内に位置するように設けられている。
そして、これら6つの温度計22a〜22fで測定された温度データから、第1槽11内の高さ方向における温度分布を確認することができる。
<クライオスタット1の作動>
クライオスタット1は以下のように作動する。
第1槽11及び第2槽12内に液体ヘリウムが収容されている状態で、ポンプ19が作動すると、主熱交換器15側が減圧され、第1槽11内の液体ヘリウムが、供給導管16及びジュールトムソン弁17を通って主熱交換器15に流れ込み、当該主熱交換器15から排出導管18を通って排出される。
このとき、第1槽11からの液体ヘリウムは、ジュールトムソン弁17での絞り膨張によるジュール−トムソン効果によって低温化されて主熱交換器15に流れ込む。第2槽12内の液体ヘリウムは、主熱交換器15で、ラムダ点(超流動転移温度)以下の温度(約1.6K)まで冷却され、超流動状態に転移する。すなわち、第2槽12内に、飽和蒸気圧よりも高い圧力の加圧超流動ヘリウムが発生する。
尚、第1槽11内の液体ヘリウムが所定量減少した場合は、注液管路11cを通じて第1槽11内に液体ヘリウムが補充される。
<クライオスタット1の制御方法>
上記のように作動するクライオスタット1は以下のように制御される。
まず、温度計22a〜22fで測定された温度分布に基づいて、超流動転移温度点位置αが判断される。
尚、超流動転移温度点位置αとは、第1槽11における超流動状態の液体ヘリウムと非超流動状態の液体ヘリウムとの境界の位置である。即ち、第1槽11においてラムダ点にある液体ヘリウムと、ラムダ点よりも高い温度の液体ヘリウムと、の境界の位置(図1において破線αで示す位置)である。
そして、当該超流動転移温度点位置αが、第1槽11の高さ方向における所定の位置にあるか否かが判断される。
前記所定の位置は、例えば、第1槽11の底に最も近い位置にある温度計22fと、2番目に近い位置にある温度計22eと、の間の位置とすることができる。
尚、この場合に限らず、前記所定の位置は、超流動転移温度点位置αが当該所定の位置にあるときに、液面近傍の液体ヘリウムの温度勾配が所定の温度勾配よりも緩やかになるように設定することができる。つまり、前記所定の位置は、第1槽11における液体ヘリウムの液面にて、液化過多にならぬように設定される。
そして、高さ方向の温度分布から特定された超流動転移温度点位置αが、前記所定の位置よりも上方にある場合は、電熱ヒータ21を作動させ、第1槽11内の液体ヘリウムを加熱する。これにより、超流動転移温度点位置αは下方に移動する。
一方、当該超流動転移温度点位置αが前記所定の位置よりも下方にある場合は、電熱ヒータ21の作動を停止する。
上記のように電熱ヒータ21を制御することにより、第1槽11内における超流動転移温度点位置αを高さ方向における所定の位置に保持することができる。
尚、温度計22a〜22fで測定される高さ方向の温度分布から超流動転移温度点位置αを特定する場合に限らず、単に、温度計22eで測定される温度がラムダ点以下の場合は、電熱ヒータ21を作動させ、温度計22eで測定される温度がラムダ点よりも高い場合は、電熱ヒータ21の作動を停止するように、電熱ヒータ21を制御してもよい。
これにより、超流動転移温度点位置αを温度計22eの近傍に保持することができる。
また、電熱ヒータ21をON/OFFする場合に限らず、電熱ヒータ21による発熱量を連続的に調整しながら、超流動転移温度点位置αを調整してもよい。
例えば、超流動転移温度点位置αが、より高い位置にあるときほど電熱ヒータ21の発熱量が大きくなるように、電熱ヒータ21を調整してもよい。この場合、速やかに、超流動転移温度点位置αを所定の位置に戻すことができる。
また、電熱ヒータ21及び6つの温度計22a〜22fが、図示しない制御手段に対して電気的に接続された構成としてもよい。当該制御手段は、例えば、コンピュータやPCL(プログラマブルコントローラ)等からなり、6つの温度計22a〜22fからの出力に基づいて、超流動転移温度点位置αが所定の位置になるように、電熱ヒータ21の発熱量を制御するように構成される。
具体的には、制御手段は、上述した方法と同様に、超流動転移温度点位置αが、所定の位置よりも上方にある場合に、電熱ヒータ21をONとするように構成される。
この構成によれば、自動的に電熱ヒータ21が制御されるため、電熱ヒータ21を操作する手間を省くことができる。
<実験結果>
図2は、クライオスタット1を連続的に作動させる実験を行ったときの、クライオスタット1内部の圧力と、電熱ヒータ21の出力との関係を示す図である。
横軸は実験開始からの期間(週)を示しており、この実験においては、2週間毎に第1槽11に液体ヘリウムを補充した。
また、実験開始から24週間は、電熱ヒータ21を使用せず、24週間後から上述した制御方法に基づいて(即ち、超流動転移温度点位置αを所定の位置に保持するように)、電熱ヒータ21を作動させた。尚、電熱ヒータ21の発熱量は適宜調整した。
また、図1に示すように、第1槽11の上部に第1圧力計23を設置するとともに、第2槽12内に第2圧力計24を設置して各槽の圧力測定を行った。
図2で実線P1で示す圧力は、第1圧力計23で検知された圧力であり、破線P2で示す圧力は、第2圧力計24で検知された圧力である。
また、図2で実線Hで示す出力は、電熱ヒータ21の出力である。
図2に示すように、実験開始から24週間は、第1槽11及び第2槽12内の圧力の低下が2週間毎に観測された。一方、電熱ヒータ21の作動を開始した26週目以降は、第1槽11及び第2槽12内の圧力の低下は少なくなっている。
尚、圧力の低下の様子が、実験開始から14週目までと、14週目から24週目までとで異なるのは、第1槽11内に外部から侵入する熱量が外部の状況等により変化したためと考えられる。
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、第1実施形態に係るクライオスタット1は、液体ヘリウムを貯留する第1槽11と、第1槽11内に連通路を介して連通し、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽12と、連通路13を開閉する弁体14と、第1槽11内の液体ヘリウムを絞り膨張させてその絞り膨張により発生する冷熱により第2槽12内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段(上記主熱交換器15、供給導管16、ジュールトムソン弁17、排出導管18、及びポンプ19)と、第1槽11内に設けられ、当該第1槽11内の液体ヘリウムを加熱可能な電熱ヒータ21と、を備えている。
この構成によると、電熱ヒータ21により第1槽11内の液体ヘリウムを加熱することで、超流動転移温度点位置αが過度に液面に近づくことを防止できる。そのため、液面近傍の温度勾配を緩やかにすることができる。結果として、第1槽11内の圧力の低下を防ぐことができる。
また、クライオスタット1は、第1槽11内に設けられ、当該第1槽11内の高さ方向における温度分布を測定可能な温度計22a〜22fを備えている。
そして、温度計22a〜22fで測定された温度分布に基づいて、第1槽11内における超流動転移温度点位置αを高さ方向における所定の位置に保持するように、電熱ヒータ21の発熱量を調整することで、超流動転移温度点位置αよりも上部の温度勾配をほぼ一定に保つことができる。これにより、第1槽11内の気体のヘリウムが過度に液化することが防止される。結果として、第1槽11内の圧力の低下を防ぐことができる。
また、クライオスタット1において、電熱ヒータ21は、超流動転移温度点位置αよりも下方に(即ち、周囲の液体ヘリウムの温度がラムダ点以下の温度となる位置に)、設けられている。
この構成によると、電熱ヒータ21による加熱で第1槽11内の液体ヘリウムが沸騰することを、より確実に防ぐことができる。
即ち、電熱ヒータ21がラムダ点よりも高い温度となる位置に設けられると、当該電熱ヒータ21の周囲の液体ヘリウムが非超流動状態であることにより、局所的な温度上昇が起こりやすく、周囲で沸騰が発生しやすくなる。
一方、電熱ヒータ21の周囲の液体ヘリウムがラムダ点以下の温度であれば、当該液体ヘリウムは加圧超流動状態にあるため局所的な温度上昇が起こりにくく、結果として沸騰が起こりにくい。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るクライオスタット1Aについて説明する。
図3は、第2実施形態に係るクライオスタット1Aを示す図である。
図3に示すように、クライオスタット1Aは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面の高さを検知する液面検知センサ25(液面検知手段)を備える点で、第1実施形態に係るクライオスタット1と異なっている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
ここで、液面検知センサ25としては、例えば、液体ヘリウムに浸された部分の電気抵抗が略0になる超電導線を利用したものを用いることができる。当該超電導線を利用した液面検知センサ25は、一端側のみが液体ヘリウム内に浸るように設けられた超電導線を備え、当該超電導線の電気抵抗に基づいて液面の高さを導出する。
<クライオスタット1Aの制御方法>
クライオスタット1Aは、以下のように制御することができる。
液面検知センサ25により検知された液面の高さに基づいて、温度計22a〜22fのうち、液面よりも下方に位置するものを抽出することができる。また、液面よりも下方に位置する温度計のうち、液面近傍にある温度計を抽出することもできる。
図3に示す状態においては、温度計22a〜22fは全て液面よりも下方に位置するため、温度計22a〜22fで検知される温度分布に基づいて、電熱ヒータ21の作動の要否が決定される。
本実施形態においては、液面よりも下方に位置する温度計22a〜22fのうち液面に最も近い位置にある温度計22aにより検知された温度と、2番目に近い位置にある温度計22bにより検知された温度との差(液面近傍の温度勾配)に基づいて、電熱ヒータ21の作動の要否が決定される。
つまり、第1槽11内の液体ヘリウムが排出導管18から排出されることで、第1槽11内の液体ヘリウムの量が減少して、液面が低下した場合には、当該低下した液面の下方にある温度計の中から、液面に最も近い位置にある温度計と2番目に近い位置にある温度計とが抽出され、当該2つの温度計で検知された温度に基づいて電熱ヒータの作動の要否が決定される。
具体的には、当該液面近傍の温度勾配が、所定の温度勾配よりも大きい場合は、電熱ヒータ21により液体ヘリウムが加熱される。一方、当該液面近傍の温度勾配が、所定の温度勾配よりも小さい場合は、電熱ヒータ21の作動は停止される。
尚、前記所定の温度勾配は、当該所定の温度勾配および液体ヘリウムの熱伝導率から推定される熱流束が、ある設定値以下となるように設定される。つまり、前記所定の温度勾配は、第1槽11における液体ヘリウムの液面近傍部が当該所定の温度勾配を有している場合でも、液化過多にならないように設定される。
ここで、図3に示す状態においては、温度計22a及び温度計22bの検知温度は略等しく、当該液面近傍の温度勾配はほとんどないため、電熱ヒータ21は作動させない。
一方、クライオスタット1Aの作動時間が経過するにつれて、第1槽11内が冷却され、当該液面近傍の温度勾配が、所定の温度勾配よりも大きくなった場合(例えば、図7に示すように液面近傍に温度勾配が生じた場合)は、電熱ヒータ21による加熱を行う。
尚、液面検知センサ25、温度計22a〜22f及び電熱ヒータ21をコンピュータ等の制御手段に対して通信可能に接続し、当該制御手段が、液面検知センサ25の検知結果から液面近傍の温度計を抽出し、抽出した温度計の検知結果に基づいて、液面近傍の温度勾配が所定の温度勾配よりも大きくなったときに電熱ヒータ21を作動し、液面近傍の温度勾配が所定の温度勾配よりも小さくなったときに電熱ヒータ21の作動を停止するように構成してもよい。この場合、自動的に電熱ヒータ21が制御されるので、電熱ヒータ21を操作する手間を省くことができる。
また、温度勾配を液面近傍の2つの温度計により検知された温度から求める場合に限らず、温度勾配を求めるために、液面近傍の3つ以上の温度計を利用してもよい。
また、液面近傍の温度計(例えば、液面に最も近い温度計22a)で検知される温度が大気圧下での沸点(約4.2K)よりも低くなった場合に、電熱ヒータ21を作動させる構成とすることもできる。この場合、簡易な構成で実現できる。
<第2実施形態の効果>
以上説明したように、第2実施形態に係るクライオスタット1Aは、第1槽11内に設けられ、当該第1槽11内の高さ方向における温度分布を測定可能な温度計22a〜22fを備えている。
この構成によると、温度計22a〜22fで測定された温度分布に基づいて、液面近傍の温度勾配が急な場合は、電熱ヒータ21により第1槽11内の液体ヘリウムを加熱することで、第1槽11内の圧力の低下を防ぐことができる。
また、クライオスタット1Aは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面の高さを検知する液面検知センサ25を備えている。また、温度計22a〜22fは、高さ方向において異なる位置にそれぞれ固定されている。
この構成によると、液面検知センサ25で液面の高さを検知することで、温度計22a〜22fの中から、液面よりも下に配置された温度計を抽出し、液体ヘリウム内における液面近傍の温度分布を知ることができる。
そして、長時間の運転により、第1槽11内の液体ヘリウムの液面が低下し、一部の温度計が液体ヘリウムの外に出た場合でも、液体ヘリウム内に位置する他の温度計のみの検知結果に基づいて、当該液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。これにより、液体ヘリウム内における液面近傍の温度分布をより正確に知ることができる。
そして、当該温度分布に基づいて電熱ヒータ21の発熱量を調整し、第1槽11内の液体ヘリウムの液面近傍の温度勾配を、穏やかにすることで、液化過多による第1槽11内の圧力の低下を防止することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係るクライオスタット1Bについて説明する。
図4は、第3実施形態に係るクライオスタット1Bを示す図である。
図4に示すように、クライオスタット1Bは、フロート式の温度分布検知手段を備える点で、第1実施形態に係るクライオスタット1と異なっている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
クライオスタット1Bは、液面上に浮かぶ浮き部26と、当該浮き部26から吊り下げられて高さ方向に等間隔で並ぶ6つの温度計27a〜27fとを備えている。第3実施形態の温度分布検知手段は、当該浮き部26と、温度計27a〜27fとを有して構成される。
クライオスタット1Bにおいては、第1槽11の液体ヘリウムの液面が低下するのに伴って、浮き部26及び温度計27a〜27fも第1槽11の底に近づくように移動する。これにより、液面の高さが変動しても、温度計27a〜27fと液面との間隔は一定に保たれる。
<クライオスタット1Bの制御方法>
クライオスタット1Bは、以下の(1)または(2)に示すように制御することができる。
(1)
クライオスタット1Bにおいては、第1実施形態として記載した制御方法と同様に、例えば、温度計27eと温度計27fとの間の位置に、超流動転移温度点位置αが位置するように電熱ヒータ21の発熱量を調整することができる。
このように電熱ヒータ21の発熱量を調整すれば、液面の位置が上下に変動しても、当該液面から超流動転移温度点位置αまでの間隔が過度に変動することを防止できる。これにより、より確実に第1槽11内の圧力低下を防ぐことができる。
(2)
クライオスタット1Bにおいては、第2実施形態として記載した制御方法と同様に、例えば、液体ヘリウム内にある液面近傍の温度計27aと温度計27bとが検知した温度の温度差(温度勾配)に基づいて、当該温度差が所定の温度差よりも大きい場合に、電熱ヒータ21で液体ヘリウムを加熱するように制御することができる。尚、温度勾配を求めるために液面近傍の3つ以上の温度計を利用してもよい。
クライオスタット1Bにおいては、液面の変動に伴って温度計27a〜27fが上下に移動するため、液面の位置が上下に変動しても、液面に最も近い位置にある温度計及び2番目に近い位置にある温度計は、必ず、温度計27a及び温度計27bとなり、変化することはない。
これにより、液面検知センサ25を設置しなくても、液面近傍の温度勾配を確実に検知することができる。
尚、温度計27a〜27f及び電熱ヒータ21をコンピュータ等の制御手段に対して通信可能に接続し、当該制御手段が、温度計27a〜27fの検知結果に基づいて、電熱ヒータ21を上述の制御方法と同様に制御する構成としてもよい。この場合、自動的に電熱ヒータ21が制御されるので、電熱ヒータ21を操作する手間を省くことができる。
<第3実施形態の効果>
以上説明したように、第2実施形態に係るクライオスタット1Bにおいては、第1槽11内に高さ方向に等間隔で並んで設けられた温度計27a〜27fは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面に浮かぶ浮き部26から吊り下げられている。そのため、当該温度計27a〜27fは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面の高さに応じて上下に移動する。
この構成によると、第1槽11内の液体ヘリウムの液面の高さが変動した場合でも、温度計27a〜27fは液体ヘリウム内に位置するとともに、温度計27a〜27fの液面に対する位置が変化しない。
これにより、液面の位置を判断することなく、簡単に、液体ヘリウム内に位置する温度計のみの検知結果に基づいて、当該液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。
この場合、液体ヘリウム内における液面近傍の温度分布をより正確に知ることができ、当該温度分布に基づいて電熱ヒータ21の制御ができるので、第1槽11内の圧力低下をより確実に抑制することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係るクライオスタット1Cについて説明する。
図5は、第4実施形態に係るクライオスタット1Cを示す図である。
図5に示すように、クライオスタット1Cは、温度計22a〜22fを備えておらず、第1槽11の上部(ヘリウムガスで満たされた部分)の圧力を検知する圧力計28(圧力検知手段)を備えている点で、第1実施形態に係るクライオスタット1と異なっている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
<クライオスタット1Cの制御方法>
クライオスタット1Cは、以下のように制御することができる。
圧力計28で検知された圧力が所定の圧力よりも小さい場合は、電熱ヒータ21を作動させ、液体ヘリウムを加熱する。そして、第1槽11内の圧力が所定の圧力以上になった後、電熱ヒータ21の作動を停止する。
当該所定の圧力は、例えば、大気圧に相当する圧力とすることができる。これにより、第1槽11内の圧力が大気圧よりも低くなっても、速やかに、第1槽11内の圧力を上昇させることができるため、過度に第1槽11内の圧力が低下することを防止できる。
尚、圧力計28及び電熱ヒータ21をコンピュータ等の制御手段に対して通信可能に接続し、当該制御手段が、圧力計28の検知結果に基づいて、電熱ヒータ21を上述の制御方法と同様に制御する構成としてもよい。この場合、自動的に電熱ヒータ21が制御されるので、電熱ヒータ21を操作する手間を省くことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
<変形例>
温度計または圧力計で計測された温度または圧力に基づいて電熱ヒータ21の作動を制御する場合に限らず、温度計及び圧力計の双方の測定値に基づいて電熱ヒータ21の作動を制御してもよい。即ち、第1実施形態に示す制御方法において、第1槽内の圧力が大気圧よりも小さくなったときにも、電熱ヒータ21を作動する制御方法であってもよい。
本発明は、加圧超流動ヘリウムを用いて超電導磁石装置等を冷却するために利用される。
1、1A、1B、1C クライオスタット
11 第1槽
12 第2槽
13 連通路
14 弁体
15 主熱交換器(超流動ヘリウム冷却手段)
21 電熱ヒータ(加熱手段)
22a〜22f 温度計(温度分布検知手段)
25 液面検知センサ(液面検知手段)
26 浮き部
27a〜27f 温度計(温度分布検知手段)
28 圧力計(圧力検知手段)

Claims (11)

  1. 液体ヘリウムを貯留する第1槽と、
    前記第1槽内に連通路を介して連通し、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽と、
    前記連通路を開閉する弁と、
    前記第1槽内の液体ヘリウムを絞り膨張させてその絞り膨張により発生する冷熱により前記第2槽内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段と、
    前記第1槽内に設けられ、当該第1槽内の液体ヘリウムを加熱可能な加熱手段と、
    前記第1槽内に設けられ、当該第1槽内の高さ方向における温度分布を検知可能な温度分布検知手段と、
    を備えた加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  2. 前記温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、前記第1槽内の液体ヘリウムの超流動転移温度点位置を高さ方向における所定の位置に保持するように、前記加熱手段を制御する制御手段を更に備える
    請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  3. 前記第1槽内の液体ヘリウムの液面の高さを検知する液面検知手段を備え、
    前記温度分布検知手段は、高さ方向において異なる位置にそれぞれ固定された複数の温度計を有する
    請求項又は請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  4. 前記液面検知手段により検知された液面の高さに基づいて、前記液面の高さよりも低い位置にある前記温度計を抽出し、抽出された前記温度計で検知された温度分布に基づいて、高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、前記加熱手段を制御する制御手段を備える請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  5. 前記温度分布検知手段は、前記第1槽内の前記液体ヘリウムの液面の高さに応じて上下に移動する請求項又は請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  6. 前記第1槽内の圧力を検知する圧力検知手段を備える
    請求項1〜のいずれか一項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  7. 前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて、当該圧力が所定の圧力になるように、前記加熱手段を制御する制御手段を備える
    請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  8. 前記加熱手段は、周囲の液体ヘリウムの温度がラムダ点以下の温度となる位置に設けられている
    請求項1〜のいずれか一項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
  9. 前記温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、前記第1槽内の液体ヘリウムの超流動転移温度点位置を高さ方向における所定の位置に保持するように、前記加熱手段を制御する請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法。
  10. 前記液面検知手段により検知された液面の高さに基づいて、前記液面の高さよりも低い位置にある前記温度計を抽出し、抽出された前記温度計で検知された温度分布に基づいて、高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、前記加熱手段を制御する請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法。
  11. 前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて、当該圧力が所定の圧力になるように、前記加熱手段を制御する請求項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法。
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