JP5284134B2 - 加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法 - Google Patents
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一般的に高磁場化するためには、超電導線に流す電流密度を増やすこと、つまり、一定磁場の下で、超電導マグネットを構成する超電導線の臨界電流値を大きくする必要がある。
しかし、これまでに商用化された超電導線は、おおよそNbTiおよびNb3Snの2種に留まっており、材料開発による手法では、これ以上の臨界電流値の増大を望めない状況にある。
そこで、超電導線をより低温に冷却して、臨界電流値を大きくする手法がとられるようになってきている。
そのための冷却方法の一つが加圧超流動ヘリウムを用いた冷却方法であり、特許文献1及び特許文献2などに開示されている。
液体ヘリウムは、大気圧下では2.163K(ラムダ点)以下で超流動転移を起こす。液体ヘリウムは、超流動転移を起こすと、ラムダ点よりも高い温度のときに比べて、1000万倍の有効熱伝導率をもつようになる。このような超流動ヘリウムの熱伝導特性により、超電導マグネットを急速に冷却することが可能である。
加えて、大気圧下にある超流動ヘリウム(加圧超流動ヘリウム)は、約4.2Kまで沸騰しないため、沸騰に至るまでに温度余裕が生まれる。そのため、超電導マグネットの一部がなんらかの原因で過度に発熱したとしても、沸騰しにくく、冷却効率が落ちることはない。これにより、飽和超流動ヘリウム(気液共存曲線上にある液体ヘリウム)中に超電導マグネットを浸漬した場合に比べ、大きな冷却能力を発揮することができる。
図6に従来のクライオスタット100および当該クライオスタット100内の液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を模式的に示す。
図6に示すように、第2槽112に設けられた主熱交換器115による冷却により第2槽112内の液体ヘリウムは一定温度(約1.6K)に保たれている。
一方、連通路113と弁体114との僅かな隙間を介して第1槽111から第2槽112への熱流が生じるため、第1槽111内において、下部から上部に向けて徐々に温度が上昇するような温度勾配が発生する。尚、上述のように、ラムダ点以下の温度では、液体ヘリウムの熱伝導率が非常に高いため、第1槽111内における底近傍の領域では、温度勾配はほとんど生じず、ラムダ点温度で一定となる。
また、図6に示すように、初期の状態(第1槽111内の冷却が進んでいない状態)では、第1槽111内における液面から所定の深さまでの液体ヘリウムは飽和状態にあり、温度は約4.2Kでほぼ一定である。そのため、液面近傍において高さ方向における温度勾配はほとんど存在していない。
しかしながら、この状態で放置すると、第2槽112からの冷却により、最終的には、図7に示すように、第1槽111内の液体ヘリウムの液面の直下にまで、温度勾配が到達することになる。
この場合、液面における蒸発速度が、図6に示す状態に比べて減少するため、結果として液面では気相のヘリウムガスが液化再凝縮する現象が発生し、第1槽111内の圧力がクライオスタット100の外部の圧力に対し陰圧となってしまう。
更に、第1槽111内の圧力が低下することで、これに連通する第2槽112内の圧力が低下し、本来の冷却能力が発揮できなくなるという問題を生じてしまう。
そして、当該ヘリウムの液化量は、第1槽内に貯留された液体ヘリウムの高さ方向における温度勾配に関連付けられることを知見した。即ち、液体ヘリウムの液面近傍の当該温度勾配が、急激であるほど、液化が促進され、第1槽内の圧力が低下しやすいことを知見した。
上記第1の特徴を有する構成によると、加熱手段により第1槽内の液体ヘリウムを加熱することで、液面近傍の温度勾配を緩やかにすることができ、第1槽内の圧力の低下を防ぐことができる。
上記第3の特徴を有する構成によると、制御手段により、超流動転移温度点位置よりも上部の温度勾配の変動を抑制することができる。これにより、第1槽内の気体のヘリウムが過度に液化することが防止される。結果として、第1槽内が陰圧になることを防ぐことができる。
また、上述のような制御手段により自動的に加熱手段が制御されるため、加熱手段を手動で操作する手間を省くことができる。
これにより、第1槽内の液体ヘリウムの液面が低下し、一部の温度計が液体ヘリウムの外に出た場合でも、液体ヘリウム内に位置する他の温度計のみの検知結果に基づいて、当該液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。この場合、液体ヘリウム内における液面近傍の温度勾配をより正確に知ることができ、当該温度勾配に基づいて加熱手段を制御できるので、第1槽内の圧力低下をより確実に抑制することができる。
これにより、液面の位置を判断することなく、簡単に、第1槽内の液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。この場合、液体ヘリウム内における液面近傍の温度勾配をより正確に知ることができ、当該温度勾配に基づいて加熱手段を制御できるので、第1槽内の圧力低下をより確実に抑制することができる。
この構成によると、加熱手段による加熱により第1槽内の液体ヘリウムが沸騰することをより確実に防ぐことができる。
即ち、加熱手段がラムダ点よりも高い温度となる位置に設けられると、当該加熱手段の周囲の液体ヘリウムが非超流動状態であることにより、局所的な温度上昇が起こりやすく、周囲で沸騰が発生しやすくなる。
一方、加熱手段の周囲の液体ヘリウムがラムダ点以下の温度であれば、当該液体ヘリウムは加圧超流動状態にあるため局所的な温度上昇が起こりにくく、結果として沸騰が起こりにくい。
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る加圧超流動ヘリウムクライオスタット(以下、クライオスタット1という)を示す概略図である。
クライオスタット1は、液体ヘリウムを貯留する第1槽11と、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽12と、第1槽11と第2槽12とを連通する連通路13と、連通路13を開閉する弁体14と、第2槽12内に設けられた主熱交換器15と、第1槽11内の液体ヘリウムを主熱交換器15に送るための供給導管16と、供給導管16に介設されたジュールトムソン弁17と、主熱交換器15に送られた液体ヘリウムが排出される排出導管18と、排出導管18に設けられたポンプ19と、を備えている。
尚、上記主熱交換器15と、供給導管16と、ジュールトムソン弁17と、排出導管18と、ポンプ19とにより、第2槽12内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段が構成される。
更に、第1槽11内には、当該第1槽11内の液体ヘリウムを加熱可能な電熱ヒータ21(加熱手段)と、6つの温度計22a〜22f(温度分布検知手段)とが設けられている。
第1槽11には、約4.2K(沸点)以下の温度の液体ヘリウムが貯留されている。当該第1槽11には、その上部に、外部と連通する排気管路11aが設けられている。
尚、当該注液管路11cには、開閉弁11dが設けられており、液体ヘリウムを第1槽11内に供給するとき以外は、開閉弁11dは閉状態とされる。
第2槽12内の液体ヘリウムの圧力が増加すると、弁体14が第1槽11側に押し上げられて、連通路13が開く。これにより、第2槽12内の圧力が過度に高くなることを防ぐことができる。
尚、これらの温度計22a〜22fは、第1槽11に対する相対位置が変化しないように、固定されている。
また、温度計22a〜22fは、少なくとも最下部に位置する温度計がラムダ点以下の液体ヘリウム内に位置するように設けられている。
そして、これら6つの温度計22a〜22fで測定された温度データから、第1槽11内の高さ方向における温度分布を確認することができる。
クライオスタット1は以下のように作動する。
第1槽11及び第2槽12内に液体ヘリウムが収容されている状態で、ポンプ19が作動すると、主熱交換器15側が減圧され、第1槽11内の液体ヘリウムが、供給導管16及びジュールトムソン弁17を通って主熱交換器15に流れ込み、当該主熱交換器15から排出導管18を通って排出される。
このとき、第1槽11からの液体ヘリウムは、ジュールトムソン弁17での絞り膨張によるジュール−トムソン効果によって低温化されて主熱交換器15に流れ込む。第2槽12内の液体ヘリウムは、主熱交換器15で、ラムダ点(超流動転移温度)以下の温度(約1.6K)まで冷却され、超流動状態に転移する。すなわち、第2槽12内に、飽和蒸気圧よりも高い圧力の加圧超流動ヘリウムが発生する。
上記のように作動するクライオスタット1は以下のように制御される。
まず、温度計22a〜22fで測定された温度分布に基づいて、超流動転移温度点位置αが判断される。
尚、超流動転移温度点位置αとは、第1槽11における超流動状態の液体ヘリウムと非超流動状態の液体ヘリウムとの境界の位置である。即ち、第1槽11においてラムダ点にある液体ヘリウムと、ラムダ点よりも高い温度の液体ヘリウムと、の境界の位置(図1において破線αで示す位置)である。
前記所定の位置は、例えば、第1槽11の底に最も近い位置にある温度計22fと、2番目に近い位置にある温度計22eと、の間の位置とすることができる。
尚、この場合に限らず、前記所定の位置は、超流動転移温度点位置αが当該所定の位置にあるときに、液面近傍の液体ヘリウムの温度勾配が所定の温度勾配よりも緩やかになるように設定することができる。つまり、前記所定の位置は、第1槽11における液体ヘリウムの液面にて、液化過多にならぬように設定される。
一方、当該超流動転移温度点位置αが前記所定の位置よりも下方にある場合は、電熱ヒータ21の作動を停止する。
これにより、超流動転移温度点位置αを温度計22eの近傍に保持することができる。
例えば、超流動転移温度点位置αが、より高い位置にあるときほど電熱ヒータ21の発熱量が大きくなるように、電熱ヒータ21を調整してもよい。この場合、速やかに、超流動転移温度点位置αを所定の位置に戻すことができる。
具体的には、制御手段は、上述した方法と同様に、超流動転移温度点位置αが、所定の位置よりも上方にある場合に、電熱ヒータ21をONとするように構成される。
この構成によれば、自動的に電熱ヒータ21が制御されるため、電熱ヒータ21を操作する手間を省くことができる。
図2は、クライオスタット1を連続的に作動させる実験を行ったときの、クライオスタット1内部の圧力と、電熱ヒータ21の出力との関係を示す図である。
横軸は実験開始からの期間(週)を示しており、この実験においては、2週間毎に第1槽11に液体ヘリウムを補充した。
また、実験開始から24週間は、電熱ヒータ21を使用せず、24週間後から上述した制御方法に基づいて(即ち、超流動転移温度点位置αを所定の位置に保持するように)、電熱ヒータ21を作動させた。尚、電熱ヒータ21の発熱量は適宜調整した。
また、図1に示すように、第1槽11の上部に第1圧力計23を設置するとともに、第2槽12内に第2圧力計24を設置して各槽の圧力測定を行った。
図2で実線P1で示す圧力は、第1圧力計23で検知された圧力であり、破線P2で示す圧力は、第2圧力計24で検知された圧力である。
また、図2で実線Hで示す出力は、電熱ヒータ21の出力である。
尚、圧力の低下の様子が、実験開始から14週目までと、14週目から24週目までとで異なるのは、第1槽11内に外部から侵入する熱量が外部の状況等により変化したためと考えられる。
以上説明したように、第1実施形態に係るクライオスタット1は、液体ヘリウムを貯留する第1槽11と、第1槽11内に連通路を介して連通し、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽12と、連通路13を開閉する弁体14と、第1槽11内の液体ヘリウムを絞り膨張させてその絞り膨張により発生する冷熱により第2槽12内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段(上記主熱交換器15、供給導管16、ジュールトムソン弁17、排出導管18、及びポンプ19)と、第1槽11内に設けられ、当該第1槽11内の液体ヘリウムを加熱可能な電熱ヒータ21と、を備えている。
そして、温度計22a〜22fで測定された温度分布に基づいて、第1槽11内における超流動転移温度点位置αを高さ方向における所定の位置に保持するように、電熱ヒータ21の発熱量を調整することで、超流動転移温度点位置αよりも上部の温度勾配をほぼ一定に保つことができる。これにより、第1槽11内の気体のヘリウムが過度に液化することが防止される。結果として、第1槽11内の圧力の低下を防ぐことができる。
即ち、電熱ヒータ21がラムダ点よりも高い温度となる位置に設けられると、当該電熱ヒータ21の周囲の液体ヘリウムが非超流動状態であることにより、局所的な温度上昇が起こりやすく、周囲で沸騰が発生しやすくなる。
一方、電熱ヒータ21の周囲の液体ヘリウムがラムダ点以下の温度であれば、当該液体ヘリウムは加圧超流動状態にあるため局所的な温度上昇が起こりにくく、結果として沸騰が起こりにくい。
第2実施形態に係るクライオスタット1Aについて説明する。
図3は、第2実施形態に係るクライオスタット1Aを示す図である。
図3に示すように、クライオスタット1Aは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面の高さを検知する液面検知センサ25(液面検知手段)を備える点で、第1実施形態に係るクライオスタット1と異なっている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
クライオスタット1Aは、以下のように制御することができる。
液面検知センサ25により検知された液面の高さに基づいて、温度計22a〜22fのうち、液面よりも下方に位置するものを抽出することができる。また、液面よりも下方に位置する温度計のうち、液面近傍にある温度計を抽出することもできる。
図3に示す状態においては、温度計22a〜22fは全て液面よりも下方に位置するため、温度計22a〜22fで検知される温度分布に基づいて、電熱ヒータ21の作動の要否が決定される。
つまり、第1槽11内の液体ヘリウムが排出導管18から排出されることで、第1槽11内の液体ヘリウムの量が減少して、液面が低下した場合には、当該低下した液面の下方にある温度計の中から、液面に最も近い位置にある温度計と2番目に近い位置にある温度計とが抽出され、当該2つの温度計で検知された温度に基づいて電熱ヒータの作動の要否が決定される。
尚、前記所定の温度勾配は、当該所定の温度勾配および液体ヘリウムの熱伝導率から推定される熱流束が、ある設定値以下となるように設定される。つまり、前記所定の温度勾配は、第1槽11における液体ヘリウムの液面近傍部が当該所定の温度勾配を有している場合でも、液化過多にならないように設定される。
一方、クライオスタット1Aの作動時間が経過するにつれて、第1槽11内が冷却され、当該液面近傍の温度勾配が、所定の温度勾配よりも大きくなった場合(例えば、図7に示すように液面近傍に温度勾配が生じた場合)は、電熱ヒータ21による加熱を行う。
以上説明したように、第2実施形態に係るクライオスタット1Aは、第1槽11内に設けられ、当該第1槽11内の高さ方向における温度分布を測定可能な温度計22a〜22fを備えている。
そして、長時間の運転により、第1槽11内の液体ヘリウムの液面が低下し、一部の温度計が液体ヘリウムの外に出た場合でも、液体ヘリウム内に位置する他の温度計のみの検知結果に基づいて、当該液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。これにより、液体ヘリウム内における液面近傍の温度分布をより正確に知ることができる。
そして、当該温度分布に基づいて電熱ヒータ21の発熱量を調整し、第1槽11内の液体ヘリウムの液面近傍の温度勾配を、穏やかにすることで、液化過多による第1槽11内の圧力の低下を防止することができる。
第3実施形態に係るクライオスタット1Bについて説明する。
図4は、第3実施形態に係るクライオスタット1Bを示す図である。
図4に示すように、クライオスタット1Bは、フロート式の温度分布検知手段を備える点で、第1実施形態に係るクライオスタット1と異なっている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
クライオスタット1Bは、以下の(1)または(2)に示すように制御することができる。
クライオスタット1Bにおいては、第1実施形態として記載した制御方法と同様に、例えば、温度計27eと温度計27fとの間の位置に、超流動転移温度点位置αが位置するように電熱ヒータ21の発熱量を調整することができる。
このように電熱ヒータ21の発熱量を調整すれば、液面の位置が上下に変動しても、当該液面から超流動転移温度点位置αまでの間隔が過度に変動することを防止できる。これにより、より確実に第1槽11内の圧力低下を防ぐことができる。
クライオスタット1Bにおいては、第2実施形態として記載した制御方法と同様に、例えば、液体ヘリウム内にある液面近傍の温度計27aと温度計27bとが検知した温度の温度差(温度勾配)に基づいて、当該温度差が所定の温度差よりも大きい場合に、電熱ヒータ21で液体ヘリウムを加熱するように制御することができる。尚、温度勾配を求めるために液面近傍の3つ以上の温度計を利用してもよい。
これにより、液面検知センサ25を設置しなくても、液面近傍の温度勾配を確実に検知することができる。
以上説明したように、第2実施形態に係るクライオスタット1Bにおいては、第1槽11内に高さ方向に等間隔で並んで設けられた温度計27a〜27fは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面に浮かぶ浮き部26から吊り下げられている。そのため、当該温度計27a〜27fは、第1槽11内の液体ヘリウムの液面の高さに応じて上下に移動する。
これにより、液面の位置を判断することなく、簡単に、液体ヘリウム内に位置する温度計のみの検知結果に基づいて、当該液体ヘリウムの高さ方向における温度分布を検知することができる。
この場合、液体ヘリウム内における液面近傍の温度分布をより正確に知ることができ、当該温度分布に基づいて電熱ヒータ21の制御ができるので、第1槽11内の圧力低下をより確実に抑制することができる。
第4実施形態に係るクライオスタット1Cについて説明する。
図5は、第4実施形態に係るクライオスタット1Cを示す図である。
図5に示すように、クライオスタット1Cは、温度計22a〜22fを備えておらず、第1槽11の上部(ヘリウムガスで満たされた部分)の圧力を検知する圧力計28(圧力検知手段)を備えている点で、第1実施形態に係るクライオスタット1と異なっている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
クライオスタット1Cは、以下のように制御することができる。
圧力計28で検知された圧力が所定の圧力よりも小さい場合は、電熱ヒータ21を作動させ、液体ヘリウムを加熱する。そして、第1槽11内の圧力が所定の圧力以上になった後、電熱ヒータ21の作動を停止する。
当該所定の圧力は、例えば、大気圧に相当する圧力とすることができる。これにより、第1槽11内の圧力が大気圧よりも低くなっても、速やかに、第1槽11内の圧力を上昇させることができるため、過度に第1槽11内の圧力が低下することを防止できる。
温度計または圧力計で計測された温度または圧力に基づいて電熱ヒータ21の作動を制御する場合に限らず、温度計及び圧力計の双方の測定値に基づいて電熱ヒータ21の作動を制御してもよい。即ち、第1実施形態に示す制御方法において、第1槽内の圧力が大気圧よりも小さくなったときにも、電熱ヒータ21を作動する制御方法であってもよい。
11 第1槽
12 第2槽
13 連通路
14 弁体
15 主熱交換器(超流動ヘリウム冷却手段)
21 電熱ヒータ(加熱手段)
22a〜22f 温度計(温度分布検知手段)
25 液面検知センサ(液面検知手段)
26 浮き部
27a〜27f 温度計(温度分布検知手段)
28 圧力計(圧力検知手段)
Claims (11)
- 液体ヘリウムを貯留する第1槽と、
前記第1槽内に連通路を介して連通し、加圧超流動ヘリウムを貯留する第2槽と、
前記連通路を開閉する弁と、
前記第1槽内の液体ヘリウムを絞り膨張させてその絞り膨張により発生する冷熱により前記第2槽内を冷却する超流動ヘリウム冷却手段と、
前記第1槽内に設けられ、当該第1槽内の液体ヘリウムを加熱可能な加熱手段と、
前記第1槽内に設けられ、当該第1槽内の高さ方向における温度分布を検知可能な温度分布検知手段と、
を備えた加圧超流動ヘリウムクライオスタット。 - 前記温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、前記第1槽内の液体ヘリウムの超流動転移温度点位置を高さ方向における所定の位置に保持するように、前記加熱手段を制御する制御手段を更に備える
請求項1に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。 - 前記第1槽内の液体ヘリウムの液面の高さを検知する液面検知手段を備え、
前記温度分布検知手段は、高さ方向において異なる位置にそれぞれ固定された複数の温度計を有する
請求項1又は請求項2に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。 - 前記液面検知手段により検知された液面の高さに基づいて、前記液面の高さよりも低い位置にある前記温度計を抽出し、抽出された前記温度計で検知された温度分布に基づいて、高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、前記加熱手段を制御する制御手段を備える請求項3に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
- 前記温度分布検知手段は、前記第1槽内の前記液体ヘリウムの液面の高さに応じて上下に移動する請求項1又は請求項2に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。
- 前記第1槽内の圧力を検知する圧力検知手段を備える
請求項1〜5のいずれか一項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。 - 前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて、当該圧力が所定の圧力になるように、前記加熱手段を制御する制御手段を備える
請求項6に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。 - 前記加熱手段は、周囲の液体ヘリウムの温度がラムダ点以下の温度となる位置に設けられている
請求項1〜7のいずれか一項に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタット。 - 前記温度分布検知手段で検知された温度分布に基づいて、前記第1槽内の液体ヘリウムの超流動転移温度点位置を高さ方向における所定の位置に保持するように、前記加熱手段を制御する請求項1に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法。
- 前記液面検知手段により検知された液面の高さに基づいて、前記液面の高さよりも低い位置にある前記温度計を抽出し、抽出された前記温度計で検知された温度分布に基づいて、高さ方向の温度勾配が所定の温度勾配になるように、前記加熱手段を制御する請求項3に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法。
- 前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて、当該圧力が所定の圧力になるように、前記加熱手段を制御する請求項6に記載の加圧超流動ヘリウムクライオスタットの制御方法。
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