JP3934308B2 - クライオスタット - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加圧超流動ヘリウムの生成及び貯留が行われるクライオスタットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、極低温技術の発達に伴い、加圧超流動ヘリウムの利用が活発に進められている。この加圧超流動ヘリウムは、大気圧飽和液体ヘリウムに比して熱伝導率が高く、また比熱も大きくて、冷却性能が高いため、超電導マグネット等を冷却するための寒剤として注目を集めている。
【0003】
かかる加圧超流動ヘリウムの生成及び貯留を行うためのクライオスタットの一例を図9に示す。
【0004】
図示のクライオスタットは、真空容器10を備え、その内部に液体ヘリウム槽12及び超流動ヘリウム槽14がそれぞれ上下に配置されている。液体ヘリウム槽12は、大気圧飽和常流動ヘリウム(以下、単に液体ヘリウムと称する。)を貯留し、超流動ヘリウム槽14は加圧超流動ヘリウム(以下、単に超流動ヘリウムと称する。)を貯留するものであり、超流動ヘリウム槽14内には前記加圧超流動ヘリウムに浸漬される超電導マグネットが収納されている。
【0005】
液体ヘリウム槽12は、前記超流動ヘリウム槽14の直上方に配置され、この液体ヘリウム槽12の底面12aの全体と超流動ヘリウム槽14との間にセパレータ13が介在している。このセパレータ13は、図9に示すように液体ヘリウム槽12と超流動ヘリウム槽14との間に断熱真空層を形成することにより構成されたものであってもよいし、図10に示すような仕切り部材(例えばFRPのように断熱性の高い材料で形成された仕切り板)で構成されたものであってもよい。いずれの場合も、セパレータ13は液体ヘリウム槽12の底面全域に存在し、このセパレータ13の面積と液体ヘリウム槽12の底面積は略同等となる。
【0006】
このセパレータ13には、両槽12,14を連通する連通路として安全弁通路15及び供給弁通路16が設けられ、安全弁通路15には当該通路を開閉する安全弁17が、供給弁通路16にも当該通路を開閉する供給弁18が、それぞれ設けられている。
【0007】
なお、図において11は液体ヘリウム槽12内と外気とを連通する連通管である。
【0008】
液体ヘリウム槽12の下部は排気管20を介して真空容器10の外部に設けられた排気ポンプ22に接続されている。排気管20の途中には、熱交換器24が設けられ、この熱交換器24と液体ヘリウム槽12との間の位置にJT(ジュールトムソン)弁26が設けられている。前記熱交換器24は、その内部を流れるヘリウムと加圧超流動ヘリウム槽14との間で熱交換を行わせるように構成されている。
【0009】
このクライオスタットにおいて、例えば、供給弁18を開き、液体ヘリウム槽12から供給弁通路16を通じて超流動ヘリウム槽14内に液体ヘリウムを入れる。この時の液体ヘリウムの液面レベルはセパレータ13よりも十分高くする。次に、排気ポンプ22を作動させて液体ヘリウム槽12内の液体ヘリウムを引き込んでJT弁26で膨張させ、これにより発生した寒冷を熱交換器24を通じて超流動ヘリウム槽14に与える。このようにして、初期に大気圧飽和液体ヘリウムで満たされていた超流動ヘリウム槽14が前記熱交換器24によって冷却されることにより、大気圧を保持したまま同槽14内に加圧超流動ヘリウムが生成される。
【0010】
このように加圧超流動ヘリウムが生成された後の状態では、各弁17,18のシート面に残留する微小隙間内に超流動ヘリウムが満たされ、この超流動ヘリウムは図11に示すように非常に高い熱伝導率を保有する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記クライオスタットにおいて、セパレータ13の上面の温度(すなわち液体ヘリウム槽12の底面の温度)は、当該面に対する上方からの熱侵入と、当該面から下方の超流動ヘリウム槽14への熱侵入とがバランスする温度で安定する。そして、当該面への上からの熱侵入は、液体ヘリウム槽12内の液体ヘリウムの熱伝導と容器を含む構造物の熱伝導によってもたらされ、その熱侵入量は前記液体ヘリウムの液柱及び構造物の形状(具体的には断面積と上下方向の長さ)によって定まる。すなわち、前記断面積が大きいほど、また上下方向の長さが小さいほど、熱侵入量は大きくなる。
【0012】
従って、前記液体ヘリウム槽12から超流動ヘリウム槽14への熱侵入量を減らすには、セパレータ13の面積すなわち液体ヘリウム槽12の底面積を減らせばよいのであるが、液体ヘリウム槽12の必要容積は決まっているので、その底面積を減らすと、その分液体ヘリウム槽12の必要高さが著しく大きくなり、クライオスタット全体が大型化してしまう不都合がある。特に、前記液体ヘリウム槽12は超流動ヘリウム槽14の上側に配置されるものであるから、この液体ヘリウム槽12の高さ寸法を大きくすることは、クライオスタット全体の小型化や設置安定性の観点から好ましくない。
【0013】
このため従来は、液体ヘリウム槽12の底面積をある程度大きくせざるを得ず、その分、液体ヘリウム槽12から超流動ヘリウム槽14への熱侵入量が増えるために、寒冷発生用のJT弁26における液体ヘリウム消費量が大きいという課題が生じている。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑み、液体ヘリウム槽の貯留能力は大きく確保しながら、超流動ヘリウム槽への熱侵入を大幅に削減できるクライオスタットを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体ヘリウムを貯留する液体ヘリウム槽と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム槽の底面の下方に位置し、加圧超流動ヘリウムを貯留する超流動ヘリウム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面とその下方の超流動ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連通する連通路及びこの連通路を開閉する弁が設けられたセパレータとを備えたクライオスタットにおいて、前記液体ヘリウム槽は、互いに水平方向に並設され、かつ、液体ヘリウムが流通可能に連通される第1液体ヘリウム槽と第2液体ヘリウム槽とに分割され、前記第1液体ヘリウム槽の底面積は前記第2液体ヘリウム槽の底面積よりも小さく、前記第1液体ヘリウム槽の底面は前記第2液体ヘリウム槽の底面よりも低く、前記第1液体ヘリウム槽の下部に前記第2液体ヘリウム槽が液相連通管を介して連通されていてこの液相連通管の下方に前記第1液体ヘリウム槽の底面が位置しており、前記第1液体ヘリウム槽の底面の下方に前記超流動ヘリウム槽の少なくとも一部が位置してこれら第1液体ヘリウム槽と超流動ヘリウム槽との間に前記セパレータが介在していて、前記第1液体ヘリウム槽及び第2液体ヘリウム槽のうちの前記第1液体ヘリウム槽のみが前記連通路を介して前記超流動ヘリウム槽に連通されているものである。
【0016】
この構成によれば、液体ヘリウム槽が第1の液体ヘリウム槽と第2の液体ヘリウム槽とに分割され、その第1の液体ヘリウム槽の底面と超流動ヘリウム槽との間にセパレータが介在するので、液体ヘリウム槽全体の液体ヘリウム貯留能力は従来と同様に確保しながら、前記セパレータの面積(すなわち第1の液体ヘリウム槽の底面積)を、従来のセパレータ面積(すなわち液体ヘリウム槽全体の面積)よりも大幅に削減できる。その結果、前記セパレータを通じての超流動ヘリウム槽への熱侵入を有効に低減させることができる。
【0017】
また、前記セパレータが設けられる第1の液体ヘリウム槽は従来の単一型の液体ヘリウム槽に比べて小さいため、当該液体ヘリウム槽の組立及びその底部のセパレータ構成部品(例えば安全弁や供給弁)の加工が容易となり、その加工精度の向上も図ることができる。
【0018】
さらに、前記第1液体ヘリウム槽の底面積前記第2液体ヘリウム槽の底面積よりも小さいので、前記熱侵入をさらに低減させることができ、また、セパレータ構成部品の加工をより容易にでき、その加工精度をさらに向上させることが可能である。
【0019】
また、前記第1液体ヘリウム槽の底面前記第2液体ヘリウム槽の底面よりも低いので、その高低差分だけ超流動ヘリウム槽への熱侵入量をさらに削減できる。
【0020】
以上のように、本発明にかかるクライオスタットでは、第1液体ヘリウム槽の底面への上からの熱侵入量が小さく、第1液体ヘリウム槽下部の温度降下が顕著であるため、その分だけ当該下部での液体ヘリウム密度が上昇し、その結果、両液体ヘリウム槽間にへッド差が生じて、第1液体ヘリウム槽の液面高さ(液位)が降下する場合がある。この場合において、第1液体ヘリウム槽下部に常時液体ヘリウムと浸漬されるべき超電導機器が設けられている場合には、前記液面降下によって超電導機器が気相に露出するおそれが生じ、好ましくない。また、全液体ヘリウムが過冷却によって負圧になると、クライオスタット内に空気が吸い込まれやすくなり、その凝縮さらには凝固によって通路閉塞などの障害を引き起こすおそれがある。
【0021】
これに対し、前記第1液体ヘリウム槽の下部に、当該下部に貯留される液体ヘリウムを加温する加温手段が設けられている構成とし、適当な程度に加温を施せるようにすれば、前記過冷却による不都合を未然に回避することができる。
【0022】
例えば、前記第1液体ヘリウム槽の下部内で水平方向に広がるバッフルと、この伝熱部材に熱を与える入熱手段とを備えるようにすれば、第1液体ヘリウム槽の下部において均一で好適な加温を実現することができる。
【0023】
また本発明は、液体ヘリウムが貯留される液体ヘリウム槽と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム槽の底面の下方に位置し、加圧超流動ヘリウムが貯留される超流動ヘリウム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面とその下方の超流動ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連通する連通路及びこの連通路を開閉する弁が設けられたセパレータとを備えたクライオスタットにおいて、前記液体ヘリウム槽の底部の一部にのみ他の部分よりも下方に位置して局所的に下方に突出する突出部が形成され、この突出部の底面と前記超流動ヘリウム槽との間に前記セパレータが介在しているものである。
【0024】
この構成においても、液体ヘリウム槽の底部から局所的に突出する突出部と超流動ヘリウム槽との間にセパレータを介在させることにより、当該セパレータの面積を減らして超流動ヘリウム槽への熱侵入を有効に抑制することが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図1〜図8を参照しながら説明する。なお、これらの図において前記図9及び図10に示した構成要素と同等の構成要素には共通の参照符を付し、その説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるクライオスタットを示したものである。このクライオスタットでは、液体ヘリウム(大気圧飽和常流動ヘリウム)を貯留するための液体ヘリウム槽が、第1液体ヘリウム槽31と、第2液体ヘリウム槽32とに分割され、両液体ヘリウム槽31,32が超流動ヘリウム槽14の上方において水平方向に並設されている。第1液体ヘリウム槽31は、第2液体ヘリウム槽32よりも断面積(上から見た面積)が小さく、かつ、第2液体ヘリウム槽32よりも高さ寸法の大きい形状となっている。
【0027】
なお、本発明において第1液体ヘリウム槽及び第2液体ヘリウム槽の具体的な形状は問わず、直方体、円柱など、種々設定が可能である。
【0028】
この実施の形態では、両液体ヘリウム槽31,32の上面がほぼ同じ高さに揃えられており、従って第1液体ヘリウム槽31の底面が第2液体ヘリウム槽32の底面よりも低くなっている。前記第2液体ヘリウム槽32の底部と第1液体ヘリウム槽31の下部との間には液相連通管34が、両槽31,32の上端同士の間には気相連通管36がそれぞれ設けられ、第1液体ヘリウム槽31にその上端と外気とを連通する連通管30が設けられており、前記液相連通管34よりもさらに下方の位置まで第1液体ヘリウム槽31の底面が突出している。そして、この第1液体ヘリウム槽31の底面と超流動ヘリウム槽14との間にセパレータ13が介在している。
【0029】
この構成によれば、図2(b)に示す従来構造と対比して、液体ヘリウム槽全体の液体ヘリウム貯留能力は同等に維持しながら、そのセパレータ面積すなわち第1液体ヘリウム槽31の底面積Siを、従来の構造におけるセパレータ面積すなわち液体ヘリウム槽12の底面積Scよりも大幅に削減することができる。ここで、熱伝達量はその経路の断面積に比例し、長さに反比例するので、前記セパレータ13の面積削減により、超流動ヘリウム槽14への熱侵入量を有効に低減させることができる。また、同図(a)に示す上下寸法Li(第2液体ヘリウム槽32の底面と第1液体ヘリウム槽31の底面との高低差)を大きくすることにより、前記熱侵入量をさらに低減させることができる。
【0030】
図3は加圧超流動クライオスタットにおける上下方向の温度勾配をグラフに示したものである。同図から明らかなように、液体ヘリウム槽内の温度勾配に対して液体ヘリウム槽の断面積が小さい本発明構造では、ラムダ点温度であるセパレータ13の熱侵入量が小さくて当該セパレータ13の上面温度が2.2K付近で安定しているため、超流動ヘリウム槽14内の温度を前記目標温度に保つための必要寒冷量は少なくて済む。
【0031】
また、図1のように液体ヘリウム槽が第1液体ヘリウム槽31と第2液体ヘリウム槽32とに分割されていれば、その分各液体ヘリウム槽31,32が小さくなるので、その取扱いが容易となり、クライオスタットの製作やメンテナンスが楽に行える利点もある。特に、第1液体ヘリウム槽31の組立や、その底部に設けられるセパレータ構成部品(例えば各弁17,18や通路15,16)の加工が容易となり、その加工精度の向上も図ることができる。
【0032】
なお、図1には第1液体ヘリウム槽31の底面と超流動ヘリウム槽14とが完全分離されたタイプのセパレータ13を示したが、第2の実施の形態として図4に示すように、前記セパレータ13は、第1液体ヘリウム槽31の底面と超流動ヘリウム槽14との間に実際に仕切り部材が介設されるタイプのものでもよい。
【0033】
また本発明では超流動ヘリウム槽14の形状も自由に設定が可能であり、その少なくとも一部が第1液体ヘリウム槽31の下方に位置していればよい。例えば、第3の実施の形態として図5に示すように、超流動ヘリウム槽14の本体部分は両液体ヘリウム槽31,32とともに水平方向に並べて配置しながら、前記本体部分の底部から第1液体ヘリウム槽31の下方へ突出部14aを突出させ、この突出部14aと第1液体ヘリウム槽31の底面との間にセパレータ13を介在させるようにしてもよい。このようにすれば、クライオスタット全体の高さ寸法をさらに削減することが可能になる。
【0034】
次に、第4の実施の形態を図6及び図7に基づいて説明する。
【0035】
前述のように、本発明にかかるクライオスタットでは、従来に比して第1液体ヘリウム槽31の底面への上からの熱侵入量が小さいため、第1液体ヘリウム槽31の下部の温度降下が顕著であり、この温度降下分だけ当該下部での液体ヘリウムの密度が上昇する。例えば、液体ヘリウム温度が4.2Kから2.2Kまで降下するのに伴い、液体ヘリウムの密度は125kg/m3から145kg/m3まで上昇する。
【0036】
その結果、第1液体ヘリウム槽31と第2液体ヘリウム槽32との間にへッド差が生じ、そのへッド差を相殺するために第1液体ヘリウム槽31内の液面が一時的に降下し、今度は、この液位効果に伴って第1液体ヘリウム槽31内の冷却源、特に排気管20による冷却効果が減少して再び液温及び液位が上昇する現象が現れる。すなわち、図6に示すように第1液体ヘリウム槽31の液面が略一定の周期(図では2時間の周期)で上下動する現象が現れる。
【0037】
このとき、第1液体ヘリウム槽31の下部に常時液体ヘリウムと浸漬される必要のある超電導機器、例えば超電導永久電流スイッチ(以下、PCSと称する。)が設けられていると、前記液面降下現象によって前記超電導機器が気相に露出し、これに起因してクエンチが発生するおそれがある。
【0038】
また、第1液体ヘリウム槽31の底部のセパレータ13及び排気管20による冷却能力が、液体ヘリウム槽31,32への全熱侵入量を上回る状態が続くと、全液体ヘリウムが過冷却で負圧となり、液体ヘリウム槽31,32に空気を吸い込みやすい状態となる。このように吸い込まれた空気は、内部で凝縮さらには凝固して通路閉塞などの障害を引き起こすおそれがある。
【0039】
そこで、この第4の実施の形態では、図7に示すように第1液体ヘリウム槽31の下部に加温手段を設け、前記過冷却による不都合を防ぐようにしている。
【0040】
具体的に、同図において、第1液体ヘリウム槽31の下部(図では第2液体ヘリウム槽32の底面高さと近傍の高さ位置)に前記PCS38が設けられ、その直上方にバッフル40が設けられている。このバッフル40は、第1液体ヘリウム槽31の断面略全域にわたって水平方向に広がっている。このバッフル40には、入熱手段として、熱伝導体42と電気ヒータ44とが熱伝達可能に接続されている。熱伝導体42は、例えば熱伝導性の高い金属板で構成され、上下に延び、その下端が前記バッフル40に接触する一方、上端が液体ヘリウムの液面を上方に突き出て気相領域に至っている。従って、この熱伝導体42を媒体として、前記気相からバッフル40へ熱伝導による直接的な入熱が行われるようになっている。
【0041】
このような加温手段の設置により、第1液体ヘリウム槽31下部における液体ヘリウムの過冷却が防がれる。ただし、この加温手段は必要に応じて適宜設置されるもので、省略が可能である。
【0042】
第5の実施の形態を図8に示す。ここでは、従来と同様に、超流動ヘリウム槽14の上方に単一の液体ヘリウム槽12が設置されているが、同槽12の底部に局所的に下方に突出する突出部12bが形成されており、この突出部12bの下部と超流動ヘリウム槽14との間にセパレータ13が介在している。
【0043】
この構造においても、前記図9に示した従来構造に比べてセパレータ13の面積(図8では突出部12bの面積)を削減でき、その結果、超流動ヘリウム槽14への熱侵入を有効に抑制できる。勿論、前記図1等に示すように液体ヘリウム槽を分割することにより、超流動ヘリウム槽14への熱侵入をさらに削減できることはいうまでもない。
【0044】
なお、以上の実施の形態において、規模によっては安全弁17及び供給弁18のいずれか一方を省略して他方を安全弁及び供給弁として兼用することも可能である。また、安全弁及び供給弁を同軸配置する(すなわち一方の弁をリング状にしてその内側に他方の弁を配置する)ことにより、通路面積を減らして超流動ヘリウム槽14への熱侵入をさらに削減することも可能である。
【0045】
また、前記図1等には両液体ヘリウム槽31,32を液相連通管34と気相連通管36とで連通するものを示したが、気相連通管36に代えて第2液体ヘリウム槽32に外気と連通する連通管を設けるようにしてもよい。
【0046】
また、本発明において液体ヘリウム槽の数は問わず、前記第1液体ヘリウム槽31、第2液体ヘリウム槽32に加えて第3、第4の液体ヘリウム槽を追設する(換言すれば、第2液体ヘリウム槽をさらに複数の液体ヘリウム槽に分割する)ようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明は、液体ヘリウム槽を第1液体ヘリウム槽と第2の液体ヘリウム槽とに分割し、前記第2の液体ヘリウム槽の底面よりも面積が小さくて低い前記第1液体ヘリウム槽の底面と超流動ヘリウム槽との間にセパレータを介在させ、もしくは液体ヘリウム槽の底部の一部にのみに突出部を設けてこれと超流動ヘリウム槽との間にセパレータを介在させるようにしたものであるので、液体ヘリウム槽の貯留能力は大きく確保しながら、前記セパレータの面積を減らすことによって超流動ヘリウム槽への熱侵入を大幅に削減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるクライオスタットの構造図である。
【図2】(a)(b)は図1に示すクライオスタット及び従来のクライオスタットにおけるセパレータ面積を比較するための図である。
【図3】図1に示すクライオスタット及び従来のクライオスタットにおける上下方向の温度勾配を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかるクライオスタットの構造図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかるクライオスタットの構造図である。
【図6】図1に示すクライオスタットにおいて第1液体ヘリウム槽下部の液体ヘリウムが過冷却となったときの液位の変動現象を示すグラフである。
【図7】本発明の第4の実施の形態にかかるクライオスタットの構造図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態にかかるクライオスタットの構造図である。
【図9】従来のクライオスタットの一例を示す構造図である。
【図10】従来のクライオスタットの他の例を示す構造図である。
【図11】超流動ヘリウムの温度−熱伝導特性を示すグラフである。
【符号の説明】
12 液体ヘリウム槽
12b 液体ヘリウム槽の突出部
13 セパレータ
14 超流動ヘリウム槽
31 第1液体ヘリウム槽
32 第2液体ヘリウム槽
34 液相連通管
40 バッフル
42 熱伝導体(入熱手段)
44 電気ヒータ(入熱手段)

Claims (4)

  1. 液体ヘリウムを貯留する液体ヘリウム槽と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム槽の底面の下方に位置し、加圧超流動ヘリウムを貯留する超流動ヘリウム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面とその下方の超流動ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連通する連通路及びこの連通路を開閉する弁が設けられたセパレータとを備えたクライオスタットにおいて、前記液体ヘリウム槽は、互いに水平方向に並設され、かつ、液体ヘリウムが流通可能に連通される第1液体ヘリウム槽と第2液体ヘリウム槽とに分割され、前記第1液体ヘリウム槽の底面積は前記第2液体ヘリウム槽の底面積よりも小さく、前記第1液体ヘリウム槽の底面は前記第2液体ヘリウム槽の底面よりも低く、前記第1液体ヘリウム槽の下部に前記第2液体ヘリウム槽が液相連通管を介して連通されていてこの液相連通管の下方に前記第1液体ヘリウム槽の底面が位置しており、前記第1液体ヘリウム槽の底面の下方に前記超流動ヘリウム槽の少なくとも一部が位置してこれら第1液体ヘリウム槽と超流動ヘリウム槽との間に前記セパレータが介在していて、前記第1液体ヘリウム槽及び第2液体ヘリウム槽のうちの前記第1液体ヘリウム槽のみが前記連通路を介して前記超流動ヘリウム槽に連通されていることを特徴とするクライオスタット。
  2. 請求項1記載のクライオスタットにおいて、前記第1液体ヘリウム槽の下部に、当該下部に貯留される液体ヘリウムを加温する加温手段が設けられていることを特徴とするクライオスタット。
  3. 請求項記載のクライオスタットにおいて、前記加温手段は、前記第1液体ヘリウム槽の下部内で水平方向に広がるバッフルと、この伝熱部材に熱を与える入熱手段とを備えていることを特徴とするクライオスタット。
  4. 液体ヘリウムが貯留される液体ヘリウム槽と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム槽の底面の下方に位置し、加圧超流動ヘリウムが貯留される超流動ヘリウム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面とその下方の超流動ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連通する連通路及びこの連通路を開閉する弁が設けられたセパレータとを備えたクライオスタットにおいて、前記液体ヘリウム槽の底部の一部にのみ他の部分よりも下方に位置して局所的に下方に突出する突出部が形成され、この突出部の底面と前記超流動ヘリウム槽との間に前記セパレータが介在していることを特徴とするクライオスタット。
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