JP3417797B2 - 超流動ヘリウム発生装置 - Google Patents

超流動ヘリウム発生装置

Info

Publication number
JP3417797B2
JP3417797B2 JP12255497A JP12255497A JP3417797B2 JP 3417797 B2 JP3417797 B2 JP 3417797B2 JP 12255497 A JP12255497 A JP 12255497A JP 12255497 A JP12255497 A JP 12255497A JP 3417797 B2 JP3417797 B2 JP 3417797B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
helium
helium tank
flow
tank
superfluid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP12255497A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10311617A (ja
Inventor
明男 佐藤
秀雄 永井
聡 伊藤
孝史 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
National Institute for Materials Science
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd, National Institute for Materials Science filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP12255497A priority Critical patent/JP3417797B2/ja
Publication of JPH10311617A publication Critical patent/JPH10311617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3417797B2 publication Critical patent/JP3417797B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導磁石装置を
はじめとする極低温装置の冷媒として好適な非飽和超流
動ヘリウムを発生させるための装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、極低温装置を冷却するための冷
媒として液体ヘリウムがよく用いられているが、この液
体ヘリウムの中でも、特に、転移温度2.17K以下の
超流動ヘリウムは熱伝導性がきわめて良好で、上記冷媒
に非常に適したものとされている。
【0003】従来、このような超流動ヘリウムを発生さ
せる装置として、例えば図4に示すものが知られてい
る。図示の常流動ヘリウム槽10内には、転移温度2.
17Kよりも温度の高い常流動ヘリウム12が収容さ
れ、この常流動ヘリウム12内に非飽和超流動ヘリウム
槽14が浸漬されている。この非飽和超流動ヘリウム槽
14の天壁15には、下方に向かうに従って開口面積の
小さくなるテーパー状の連通路16が形成され、この連
通路16内にこれとほぼ同形状の弁体18が設けられて
おり、この弁体18から上方に弁軸20が延びて両者に
より安全弁が構成されている。そして、通常状態では、
上記弁体18の外周面と連通路16の内周面との微小す
き間を通じて常流動ヘリウム槽10内のヘリウムが非飽
和超流動ヘリウム槽14内に流入可能となっており、常
流動ヘリウム槽10内とともに非飽和超流動ヘリウム槽
14内が大気圧に保たれるようになっている。
【0004】非飽和超流動ヘリウム槽14内には、冷却
用ヘリウム槽である飽和超流動ヘリウム槽22が設置さ
れている。この飽和超流動ヘリウム槽22は、図例では
コイル状のパイプからなる熱交換器とされている。この
飽和超流動ヘリウム槽22の入口24は、非飽和超流動
ヘリウム槽14の天壁15の直上方の位置に配され、こ
の入口24と飽和超流動ヘリウム槽22の本体との間に
は、ジュール−トムソン弁(以下、JT弁と称する。)
26と、天壁15に組み込まれた熱交換器28の一次側
部分とが直列に配されている。飽和超流動ヘリウム槽2
2の出口は出口管30を通じて常流動ヘリウム槽10の
外部に導出され、この出口管30に真空ポンプ32が接
続されており、出口管30の途中には、上記熱交換器2
8の二次側部分が設けられている。
【0005】この装置において、上記常流動ヘリウム槽
10内及び非飽和超流動ヘリウム槽14内に常流動ヘリ
ウムが収容されている状態で、真空ポンプ32が作動
し、飽和超流動ヘリウム槽22内が減圧されると、常流
動ヘリウム槽10内のヘリウムが入口24から熱交換器
28及びJT弁26を通って飽和超流動ヘリウム槽22
内に吸い込まれる。このとき、当該常流動ヘリウムは、
まず熱交換器28で冷却され、次いでJT弁26での絞
り膨張によるジュール−トムソン効果によって転移温度
以下の温度まで低温化し、当該温度に対応する飽和蒸気
圧まで減圧された超流動ヘリウムである飽和超流動ヘリ
ウムとして飽和超流動ヘリウム槽22内に流れ込む。こ
れにより非飽和超流動ヘリウム槽14内の常流動ヘリウ
ムが転移温度以下に冷却されて超流動状態に転移する。
すなわち、非飽和超流動ヘリウム槽14内に、飽和蒸気
圧よりも高い圧力(図例をもつ超流動ヘリウムである非
飽和超流動ヘリウムが発生する。
【0006】また、この装置において、常流動ヘリウム
槽10内で蒸発したヘリウムガスが排気管33から適宜
排気される一方、液体ヘリウム槽34から注液管36を
通じて常流動ヘリウム槽10内に適宜液体ヘリウム(常
流動ヘリウム)が補充される。この注液は、注液管36
が十分に冷却されていない初期状態では、常流動ヘリウ
ム12の液面よりも上方の位置に注液管36の下端部を
位置させてこの注液管36から常流動ヘリウムを流下さ
せるようにして行われるが、その後、注液管36の温度
が十分に低下した時点からは注液管36が常流動ヘリウ
ム槽10内の常流動ヘリウム12内に突っ込まれ、この
常流動ヘリウム12内に直接液体ヘリウムが注入され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記装置において、常
流動ヘリウム槽10内の常流動ヘリウム12の液面近傍
温度はヘリウム沸点(4.2K)と略同等の比較的高い
温度であるが、非飽和超流動ヘリウム槽14の直上方の
領域、すなわち、飽和超流動ヘリウム槽22の入口24
が配されている領域でのヘリウム温度は、この領域が非
飽和超流動ヘリウム槽14内に微小隙間を介して連通さ
れている関係上、転移温度近傍の比較的低い温度(約
2.2K)になっている。すなわち、通常の運転状態で
は、常流動ヘリウム槽10内でかなりの温度勾配が発生
している。
【0008】このような状態で、この常流動ヘリウム槽
10内の常流動ヘリウム12に直接4.2Kの常流動ヘ
リウムが注液(補充)されると、この常流動ヘリウム1
2が攪拌されて上記温度勾配が乱れ、飽和超流動ヘリウ
ム槽22の入口24の近傍温度が上がり、ひいては、こ
の入口24から流入する常流動ヘリウム12の温度が上
昇する。これにより、飽和超流動ヘリウム槽22をはじ
めとする冷却系の冷凍能力が変動し、非飽和超流動ヘリ
ウム槽14内の非飽和超流動ヘリウム温度も変化して様
々な不都合を招くことになる。例えば、上記非飽和超流
動ヘリウム槽14内に発生磁場向上の目的で超伝導磁石
を設置し、これに永久電流スイッチを通じて電流を流し
たままにしておく核磁気共鳴装置を構成している場合に
は、上記注液に伴う非飽和超流動ヘリウム槽14内の温
度上昇によって超伝導臨界電流が低下するという重大な
問題が発生する。
【0009】本発明は、このような事情に鑑み、常流動
ヘリウム槽内への注液時にも非飽和超流動ヘリウム温度
を安定した状態に保つことができる超流動ヘリウム発生
装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は、常流動ヘリウムを収容する常
流動ヘリウム槽と、この常流動ヘリウム槽内に連通路を
介して連通され、この連通路を通じて常流動ヘリウム槽
内のヘリウムが流入可能な非飽和超流動ヘリウム槽と、
この非飽和超流動ヘリウム槽内に設置され、入口が上記
常流動ヘリウム槽内に導入され、出口が常流動ヘリウム
槽の外部に導出された冷却用ヘリウム槽とを備え、この
冷却用ヘリウム槽の入口側にジュール−トムソン弁を設
け、上記冷却用ヘリウム槽内が減圧されることにより上
記常流動ヘリウム槽内のヘリウムが上記ジュール−トム
ソン弁での絞り膨張により低温化してから上記冷却用ヘ
リウム槽内に引き込まれ、この冷却用ヘリウム槽が設け
られている上記非飽和超流動ヘリウム槽内を冷却して当
該槽内に超流動ヘリウムを発生させるように構成すると
ともに、上記常流動ヘリウム槽内に上記冷却用ヘリウム
槽の入口を上方から覆う流通抑制部材を設け、この流通
抑制部材の存在により当該流通抑制部材よりも上側の領
域と下側の領域との間の液体ヘリウムの流通が抑制され
るようにしたものである。
【0011】この装置によれば、流通抑制部材の下側に
位置する冷却用ヘリウム槽入口近傍の領域と、流通抑制
部材の上側の領域との間での常流動ヘリウムの流通が抑
制されるため、常流動ヘリウム槽内に液体ヘリウムが注
液されても冷却用ヘリウム槽入口近傍領域のヘリウムは
撹拌されにくい。このため、当該領域におけるヘリウム
温度(すなわち冷却用ヘリウム槽入口から吸い込まれる
ヘリウムの温度)は注液の影響を受けにくく、よって、
冷却用ヘリウム槽内の温度ひいては非飽和超流動ヘリウ
ム槽内の温度が安定化される。
【0012】上記流通抑制部材は、単一の板材等で構成
してもよいが、上下に間隔をおいて積層される複数枚の
板材で構成すれば、これら板材の積層領域で緩やかな温
度勾配(上方に向かうに従って温度が高くなる方向の勾
配)を形成することができ、上記入口周辺の保冷性をさ
らに高めることができる。
【0013】さらに、上記冷却用ヘリウム槽とその出口
との間に熱交換部を設けてこの熱交換部を上記常流動ヘ
リウム槽内に設置し、この熱交換部に複数枚の伝熱板を
上下に間隔をおいて積層した状態で連結して、これら伝
熱板と熱交換部内を流れる排出ヘリウムとの間で熱交換
が行われるようにすれば、当該熱交換によって伝熱板温
度を低い温度に安定させることができ、保冷性をさらに
高めることができるとともに、冷却用ヘリウム槽から排
出されるヘリウムの寒冷を利用することで装置全体の冷
却効率を高めることが可能になる。
【0014】上記非飽和超流動ヘリウム槽は、上記常流
動ヘリウム槽と独立してその外部に設置するようにして
もよいし、装置全体のコンパクト化を目的として常流動
ヘリウム槽内に収容するようにしてもよい。後者の場
合、上記非飽和超流動ヘリウム槽の上部に上記冷却用ヘ
リウム槽の入口を外側から囲む断熱枠を設け、この断熱
枠の内側に上記流通抑制部材を配すれば、この流通抑制
部材を常流動ヘリウム槽の横断面略全域に広がる大面積
の部材としなくても、有効な流通抑制ができ、低コスト
の構造で上記冷却用ヘリウム槽入口近傍領域の保冷性を
高く保持することができる。
【0015】以上の装置において、上記常流動ヘリウム
槽と非飽和超流動ヘリウム槽との連通路に、上下に作動
することにより上記連通路の通路面積を変化させる安全
弁を設ければ、万が一、非飽和超流動ヘリウム槽内でク
エンチ(超電導状態から常伝導状態への転移)が起こっ
て蒸発ヘリウムガスが発生しても、これに応じて上記安
全弁が作動して連通路の通路面積を拡大する方向に作動
するようにすることにより、非飽和超流動ヘリウム槽の
内圧が異常に上昇するのを防ぐことができる。ただし、
上記連通路の上方で流通抑制部材の存在により上下方向
の流体の流通が高い度合いで抑制されていると、上記内
圧を速やかに下げることは難しくなる。
【0016】しかし、上記安全弁に上記流通抑制部材の
一部を固定して当該部分を他の部分から分割し、上記通
路面積を拡大する方向に安全弁が作動した場合にこの安
全弁に固定されている流通抑制部材の部分が他の部分か
ら上下方向に離間して流通抑制度合を減少させるように
構成すれば、流通抑制部材の存在にかかわらず、上記内
圧を速やかに下げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1
及び図2に基づいて説明する。なお、この実施の形態に
かかる装置において、前記図4に示した従来装置と共通
する部分には同一の参照符を付し、その説明を省略す
る。
【0018】この実施の形態にかかる装置では、常流動
ヘリウム槽10内に設置されている非飽和超流動ヘリウ
ム槽14の天壁15の外周部から上方に円筒状の断熱枠
38が突設され、この断熱枠38の内側に複数枚の伝熱
板42が上下に間隔をおいて積層された状態で配されて
いる。各伝熱板42は、断熱枠38の内側の略全域にわ
たって水平方向に広がっており、これら伝熱板42の外
周面と断熱枠38の内周面との間には微小すき間41が
形成されている。
【0019】なお、各伝熱板42の材質としては、なる
べく伝熱性の高いものが好ましく、銅やアルミニウム等
が特に好適である。
【0020】また、上記断熱枠38は非飽和超流動ヘリ
ウム槽14と別の部材で構成してもよいし、非飽和超流
動ヘリウム槽14の断熱壁をそのまま上方に延長したも
のでもよい。これら断熱壁や断熱枠38は、一般的な断
熱材で構成してもよいし、ステンレス鋼等からなる金属
板によって中空状に形成したものであってもよい。
【0021】一方、上記出口管30の中間部分であっ
て、天壁15のすぐ上方に位置する部分は、コイル状の
熱交換部40とされており、この熱交換部40が天壁1
5上に固定されている。各伝熱板42は、これら伝熱板
42を上記熱交換部40が上下方向に貫通する状態でこ
の熱交換部40に固定されており、この熱交換部40内
を流れる排出ヘリウムと各伝熱板42との間で熱交換が
行われるようになっている。
【0022】また、弁体18から上方に延びる弁軸20
も各伝熱板42を上下に貫通しており、この貫通個所で
弁軸20と伝熱板42とが固定されている。各伝熱板4
2は、上記弁軸20の周辺部分42aと、それ以外の部
分とが分割されており、上記周辺部分42aが伝熱板4
2の他の部分と独立して弁軸20と一体に上下動できる
ようになっている。
【0023】この装置では、飽和超流動ヘリウム槽22
の入口24が複数枚の伝熱板42によって上方から覆わ
れ、伝熱板42よりも上側の領域と下側の領域との間の
常流動ヘリウム12の流通は、伝熱板42の周縁の微小
すき間41もしくは弁軸周辺部分42aの周縁の微小す
き間43を通じてしか行うことができない状態となって
いる。すなわち、常流動ヘリウム12の上下方向の流通
が著しく抑制された状態となっている。従って、真空ポ
ンプ32の運転中に液体ヘリウム槽34から常流動ヘリ
ウム槽10内の常流動ヘリウム12に直接液体ヘリウム
が注液され、この常流動ヘリウム12が撹拌されて常流
動ヘリウム槽10内の温度勾配が一時的に乱されても、
上記入口24の近傍のヘリウム温度はほとんど影響を受
けず、ほぼ一定値(約2.2K)に保たれる。
【0024】すなわち、この装置によれば、運転中の注
液にかかわらず飽和超流動ヘリウム槽22内の温度ひい
ては非飽和超流動ヘリウム槽14内の温度を低い温度に
保つことができ、非飽和超流動ヘリウム槽14内に設置
されている極低温装置の良好な運転を続けることができ
る。
【0025】特に、この実施の形態では、各伝熱板42
が熱交換部40に連結されてこれと熱交換することによ
り、この熱交換部40における上下方向の温度勾配に対
応した温度に各伝熱板42の温度が維持される(すなわ
ち、下から上に向かうに従って伝熱板42の温度が漸次
的に高くなる状態が保たれる)ため、上記熱交換がない
場合に比べて入口24の近傍のヘリウム温度をより安定
化させることができる。しかも、出口管30を流れる排
出ヘリウムの寒冷を利用することで装置全体の冷却効率
の向上が可能となっている。
【0026】また、万が一、非飽和超流動ヘリウム槽1
4内でクエンチが生じて蒸発ガスにより非飽和超流動ヘ
リウム槽14の内圧が急上昇した場合には、安全弁の弁
体18が上に押し上げられて連通路16の通路面積を拡
大するのに加え、当該安全弁の弁軸20に固定されてい
る伝熱板42の弁軸周辺部分42aが弁軸20と一体に
上昇して他の部分とのすき間43を急激に増大させるた
め、伝熱板42の存在にかかわらず、非常時に非飽和超
流動ヘリウム槽14の内圧を速やかに下げることができ
る。
【0027】第2の実施の形態を図3に示す。この実施
の形態では、常流動ヘリウム槽10の下方にこれと独立
して非飽和超流動ヘリウム槽14が設置されており、両
槽10,14が上下方向の連通管17を介して接続され
ている。この連通管17も、前記図1に示した連通路1
6と同様のテーパー状をなし、この連通管17の内周面
と弁体18の外周面とのすき間を通じて常流動ヘリウム
槽10から非飽和超流動ヘリウム槽14内に常流動ヘリ
ウム12が流入可能となっている。
【0028】常流動ヘリウム槽10内では、その底部に
飽和超流動ヘリウム槽22の入口24が導入され、出口
管30途中の熱交換部40は槽底上に設置されている。
この熱交換部40に固定されている各伝熱板42は、常
流動ヘリウム槽10の横断面略全域にわたって水平に広
がっており、これら伝熱板42の外周面と常流動ヘリウ
ム槽10の内周面とのすき間、あるいは弁軸周辺部分4
2aの周囲のすき間を通じてのみ常流動ヘリウム12の
上下方向の流通が許容されている。
【0029】この装置においても、飽和超流動ヘリウム
槽入口24が流通抑制部材である伝熱板42によって上
方から覆われた状態となっているため、常流動ヘリウム
槽10内に液体ヘリウムが注液された場合にも安定した
運転を続けることができる。
【0030】なお、本発明の実施形態は上記のものに限
定されず、例として次のような形態をとることも可能で
ある。
【0031】(1) 本発明における流通抑制部材は上記
積層伝熱板42に限らず、略水平方向に広がる単一の板
材等で構成してもよいし、第1の実施の形態のように常
流動ヘリウム槽10内に非飽和超流動ヘリウム槽14を
設置する場合には、その槽壁から上方にカバー部を延長
して流通抑制部材とし、当該カバー部で飽和超流動ヘリ
ウム槽入口24を上から覆うようにしてもよい。
【0032】(2) 前記第1の実施の形態においても、
第2の実施の形態と同様、常流動ヘリウム槽10の横断
面略全域にわたって伝熱板42等の流通抑制部材を配す
るようにしてもよい。ただし、図1及び図2に示したよ
うな断熱枠38を設け、その内側に伝熱板42を配する
ようにすれば、伝熱板42の面積を減らしてコストの削
減を図りながら、入口24周辺の保冷性を高く維持する
ことが可能になる。
【0033】(3) 前記実施形態では、伝熱板42の周
辺のすき間41や、弁軸周辺部分42aの周辺のすき間
43でのみ常流動ヘリウム12の流通を許容するように
しているが、例えば、伝熱板42の適当な個所に小面積
の貫通孔を穿設して流通抑制度合いを自在に調節するこ
とも可能である。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明は、非飽和超流動ヘ
リウム槽内に設けた冷却用ヘリウム槽の入口を常流動ヘ
リウム槽内に配し、この入口から引き込んだ常流動ヘリ
ウムを絞り膨張させて低温化してから上記冷却用ヘリウ
ム槽内に導入することにより非飽和超流動ヘリウム槽内
を冷却して非飽和超流動ヘリウムを発生させるようにし
た装置において、上記常流動ヘリウム槽内に上記冷却用
ヘリウム槽の入口を上方から覆う流通抑制部材を設け、
この流通抑制部材の存在により当該流通抑制部材よりも
上側の領域と下側の領域との間の液体ヘリウムの流通が
抑制されるようにしたものであるので、常流動ヘリウム
内へのヘリウム注液にかかわらず、上記入口近傍の温度
ひいては当該入口から冷却用ヘリウム槽内に引き込まれ
るヘリウム温度を低い温度に保つことができ、これによ
り、非飽和超流動ヘリウムの温度を安定させることがで
きる効果がある。
【0035】上記流通抑制部材を、上下に間隔をおいて
積層される複数枚の板材で構成したものによれば、その
積層領域で緩やかな温度勾配を形成することにより、上
記入口周辺の保冷性をさらに高めることができる効果が
得られる。
【0036】さらに、上記冷却用ヘリウム槽とその出口
との間に熱交換部を設けてこの熱交換部を上記常流動ヘ
リウム槽内に設置し、この熱交換部に複数枚の伝熱板を
上下に間隔をおいて積層した状態で連結して、これら伝
熱板と熱交換部内を流れる排出ヘリウムとの間で熱交換
が行われるようにすれば、当該熱交換で伝熱板を冷却す
ることにより上記保冷性をさらに高めることができると
ともに、装置全体の冷却効率を高めることができる効果
が得られる。
【0037】上記非飽和超流動ヘリウム槽を常流動ヘリ
ウム槽内に収容する場合、上記常流動ヘリウム槽の上部
に上記冷却用ヘリウム槽の入口を外側から囲む断熱枠を
設け、この断熱枠の内側に上記流通抑制部材を配するこ
とにより、この流通抑制部材の面積を小さく抑えてコス
トの削減を図りながら、上記保冷性を高く維持できる効
果が得られる。
【0038】また、上記常流動ヘリウム槽と非飽和超流
動ヘリウム槽との連通路に、上下に作動することにより
上記連通路の通路面積を変化させる安全弁を設けるとと
もに、この安全弁に上記流通抑制部材の一部を固定して
当該部分を他の部分から分割し、上記通路面積を拡大す
る方向に安全弁が作動した場合にこの安全弁に固定され
ている流通抑制部材の部分が他の部分から上下方向に離
間して流通抑制度合を減少させるように構成すれば、流
通抑制部材の存在にかかわらず、クエンチが発生した時
の非飽和超流動ヘリウム槽の内圧を速やかに下げて高い
安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる超流動ヘリ
ウム発生装置の断面正面図である。
【図2】図1の超流動ヘリウム発生装置における非飽和
超流動ヘリウム槽を示す一部断面平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる超流動ヘリ
ウム発生装置の断面正面図である。
【図4】従来の超流動ヘリウム発生装置の断面正面図で
ある。
【符号の説明】
10 常流動ヘリウム槽 12 常流動ヘリウム 14 非飽和超流動ヘリウム槽 16 連通路 17 連通管 18 弁体(安全弁を構成) 20 弁軸(安全弁を構成) 22 飽和超流動ヘリウム槽(冷却用ヘリウム槽) 24 飽和超流動ヘリウム槽入口 26 JT弁 30 出口管 32 真空ポンプ 38 断熱枠 40 熱交換部 42 伝熱板 42a 伝熱板の弁軸周辺部分
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 聡 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式 会社神戸製鋼所 神戸総合技術研究所内 (72)発明者 三木 孝史 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式 会社神戸製鋼所 神戸総合技術研究所内 (56)参考文献 特公 平1−48477(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 9/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常流動ヘリウムを収容する常流動ヘリウ
    ム槽と、この常流動ヘリウム槽内に連通路を介して連通
    され、この連通路を通じて常流動ヘリウム槽内のヘリウ
    ムが流入可能な非飽和超流動ヘリウム槽と、この非飽和
    超流動ヘリウム槽内に設置され、入口が上記常流動ヘリ
    ウム槽内に導入され、出口が常流動ヘリウム槽の外部に
    導出された冷却用ヘリウム槽とを備え、この冷却用ヘリ
    ウム槽の入口側にジュール−トムソン弁を設け、上記冷
    却用ヘリウム槽内が減圧されることにより上記常流動ヘ
    リウム槽内のヘリウムが上記ジュール−トムソン弁での
    絞り膨張により低温化してから上記冷却用ヘリウム槽内
    に引き込まれ、この冷却用ヘリウム槽が設けられている
    上記非飽和超流動ヘリウム槽内を冷却して当該槽内に超
    流動ヘリウムを発生させるように構成するとともに、上
    記常流動ヘリウム槽内に上記冷却用ヘリウム槽の入口を
    上方から覆う流通抑制部材を設け、この流通抑制部材の
    存在により当該流通抑制部材よりも上側の領域と下側の
    領域との間の液体ヘリウムの流通が抑制されるようにし
    たことを特徴とする超流動ヘリウム発生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超流動ヘリウム発生装置
    において、上記流通抑制部材を、上下に間隔をおいて積
    層される複数枚の板材で構成したことを特徴とする超流
    動ヘリウム発生装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の超流動ヘリウム発生装置
    において、上記冷却用ヘリウム槽とその出口との間に熱
    交換部を設けてこの熱交換部を上記常流動ヘリウム槽内
    に設置し、この熱交換部に複数枚の伝熱板を上下に間隔
    をおいて積層した状態で連結して、これら伝熱板と熱交
    換部内を流れる排出ヘリウムとの間で熱交換が行われる
    ようにしたことを特徴とする超流動ヘリウム発生装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の超流動
    ヘリウム発生装置において、上記非飽和超流動ヘリウム
    槽を上記常流動ヘリウム槽内に収容するとともに、この
    非飽和超流動ヘリウム槽の上部に上記冷却用ヘリウム槽
    の入口を外側から囲む断熱枠を設け、この断熱枠の内側
    に上記流通抑制部材を配したことを特徴とする超流動ヘ
    リウム発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の超流動
    ヘリウム発生装置において、上記常流動ヘリウム槽と非
    飽和超流動ヘリウム槽との連通路に、上下に作動するこ
    とにより当該連通路の通路面積を変化させる安全弁を設
    けるとともに、この安全弁に上記流通抑制部材の一部を
    固定して当該部分を他の部分から分割し、上記通路面積
    を拡大する方向に安全弁が作動した場合にこの安全弁に
    固定されている流通抑制部材の部分が他の部分から上下
    方向に離間して流通抑制度合を減少させるように構成し
    たことを特徴とする超流動ヘリウム発生装置。
JP12255497A 1997-05-13 1997-05-13 超流動ヘリウム発生装置 Expired - Lifetime JP3417797B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12255497A JP3417797B2 (ja) 1997-05-13 1997-05-13 超流動ヘリウム発生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12255497A JP3417797B2 (ja) 1997-05-13 1997-05-13 超流動ヘリウム発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10311617A JPH10311617A (ja) 1998-11-24
JP3417797B2 true JP3417797B2 (ja) 2003-06-16

Family

ID=14838765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12255497A Expired - Lifetime JP3417797B2 (ja) 1997-05-13 1997-05-13 超流動ヘリウム発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3417797B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185641A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Kobe Steel Ltd 加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185641A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Kobe Steel Ltd 加圧超流動ヘリウムクライオスタット及びその制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10311617A (ja) 1998-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1739446B1 (en) A MRI superconductive magnet
JP2002168547A (ja) 熱サイホンによるcpu冷却装置
KR101046323B1 (ko) 고온 초전도체 장치용 극저온 냉각 방법 및 장치
JP2008025858A (ja) サブクール低温装置
JPS607396B2 (ja) 超電導装置
JPS6210414A (ja) 内燃機関の沸騰冷却装置
JP3417797B2 (ja) 超流動ヘリウム発生装置
KR20070006590A (ko) 과냉각된 수평 저온유지장치
US20110120147A1 (en) Pressurized Superfluid Helium Cryostat
JP5191800B2 (ja) 冷却容器および超電導装置
JP3934308B2 (ja) クライオスタット
JP2009168272A (ja) クライオスタット
JP4799757B2 (ja) 超電導磁石
CN109128066B (zh) 一种复合冷凝的蒸发冷却电磁搅拌器
JP2004222494A (ja) 真空保持方法及び真空保持を伴う超伝導機械
KR102616056B1 (ko) 초전도 한류기의 냉각 제어장치
JPH06163251A (ja) 極低温容器
JP2003303713A (ja) 極低温装置
JPH09129938A (ja) 超電導装置
JPH0713923B2 (ja) 超電導マグネツト
JPH04116907A (ja) 超電導冷却装置
JP2006292319A (ja) クライオスタット
JP7348410B1 (ja) サイクロトロン用の超電導マグネットシステム及びそれを有するサイクロトロン
JP2982310B2 (ja) 熱シールド板冷却システム
KR102618454B1 (ko) 응축면을 포함하는 초전도 한류기의 냉각 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030304

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080411

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090411

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100411

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100411

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110411

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120411

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130411

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130411

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140411

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term