JP2001330328A - クライオスタット - Google Patents

クライオスタット

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JP2001330328A JP2000152607A JP2000152607A JP2001330328A JP 2001330328 A JP2001330328 A JP 2001330328A JP 2000152607 A JP2000152607 A JP 2000152607A JP 2000152607 A JP2000152607 A JP 2000152607A JP 2001330328 A JP2001330328 A JP 2001330328A
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衛 濱田
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征治 林
Takashi Miki
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体ヘリウム槽の貯留能力は大きく確保しな
がら、超流動ヘリウム槽への熱侵入を大幅に削減する。 【解決手段】 液体ヘリウムを貯留する液体ヘリウム槽
と加圧超流動ヘリウムを貯留する超流動ヘリウム槽14
とが上下に配置され、その間にセパレータ13が介在す
るクライオスタット。液体ヘリウム槽を第1液体ヘリウ
ム槽31と第2液体ヘリウム槽32とに分割し、第1液
体ヘリウム槽31の底面と超流動ヘリウム槽14との間
にセパレータ13を介在させる。もしくは、液体ヘリウ
ム槽の底面に局所的に突出する突出部を設け、この突出
部と超流動ヘリウム槽14との間にセパレータ13を介
在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧超流動ヘリウムの
生成及び貯留が行われるクライオスタットに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、極低温技術の発達に伴い、加圧超
流動ヘリウムの利用が活発に進められている。この加圧
超流動ヘリウムは、大気圧飽和液体ヘリウムに比して熱
伝導率が高く、また比熱も大きくて、冷却性能が高いた
め、超電導マグネット等を冷却するための寒剤として注
目を集めている。
【0003】かかる加圧超流動ヘリウムの生成及び貯留
を行うためのクライオスタットの一例を図9に示す。
【0004】図示のクライオスタットは、真空容器10
を備え、その内部に液体ヘリウム槽12及び超流動ヘリ
ウム槽14がそれぞれ上下に配置されている。液体ヘリ
ウム槽12は、大気圧飽和常流動ヘリウム(以下、単に
液体ヘリウムと称する。)を貯留し、超流動ヘリウム槽
14は加圧超流動ヘリウム(以下、単に超流動ヘリウム
と称する。)を貯留するものであり、超流動ヘリウム槽
14内には前記加圧超流動ヘリウムに浸漬される超電導
マグネットが収納されている。
【0005】液体ヘリウム槽12は、前記超流動ヘリウ
ム槽14の直上方に配置され、この液体ヘリウム槽12
の底面12aの全体と超流動ヘリウム槽14との間にセ
パレータ13が介在している。このセパレータ13は、
図9に示すように液体ヘリウム槽12と超流動ヘリウム
槽14との間に断熱真空層を形成することにより構成さ
れたものであってもよいし、図10に示すような仕切り
部材(例えばFRPのように断熱性の高い材料で形成さ
れた仕切り板)で構成されたものであってもよい。いず
れの場合も、セパレータ13は液体ヘリウム槽12の底
面全域に存在し、このセパレータ13の面積と液体ヘリ
ウム槽12の底面積は略同等となる。
【0006】このセパレータ13には、両槽12,14
を連通する連通路として安全弁通路15及び供給弁通路
16が設けられ、安全弁通路15には当該通路を開閉す
る安全弁17が、供給弁通路16にも当該通路を開閉す
る供給弁18が、それぞれ設けられている。
【0007】なお、図において11は液体ヘリウム槽1
2内と外気とを連通する連通管である。
【0008】液体ヘリウム槽12の下部は排気管20を
介して真空容器10の外部に設けられた排気ポンプ22
に接続されている。排気管20の途中には、熱交換器2
4が設けられ、この熱交換器24と液体ヘリウム槽12
との間の位置にJT(ジュールトムソン)弁26が設け
られている。前記熱交換器24は、その内部を流れるヘ
リウムと加圧超流動ヘリウム槽14との間で熱交換を行
わせるように構成されている。
【0009】このクライオスタットにおいて、例えば、
供給弁18を開き、液体ヘリウム槽12から供給弁通路
16を通じて超流動ヘリウム槽14内に液体ヘリウムを
入れる。この時の液体ヘリウムの液面レベルはセパレー
タ13よりも十分高くする。次に、排気ポンプ22を作
動させて液体ヘリウム槽12内の液体ヘリウムを引き込
んでJT弁26で膨張させ、これにより発生した寒冷を
熱交換器24を通じて超流動ヘリウム槽14に与える。
このようにして、初期に大気圧飽和液体ヘリウムで満た
されていた超流動ヘリウム槽14が前記熱交換器24に
よって冷却されることにより、大気圧を保持したまま同
槽14内に加圧超流動ヘリウムが生成される。
【0010】このように加圧超流動ヘリウムが生成され
た後の状態では、各弁17,18のシート面に残留する
微小隙間内に超流動ヘリウムが満たされ、この超流動ヘ
リウムは図11に示すように非常に高い熱伝導率を保有
する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記クライオスタット
において、セパレータ13の上面の温度(すなわち液体
ヘリウム槽12の底面の温度)は、当該面に対する上方
からの熱侵入と、当該面から下方の超流動ヘリウム槽1
4への熱侵入とがバランスする温度で安定する。そし
て、当該面への上からの熱侵入は、液体ヘリウム槽12
内の液体ヘリウムの熱伝導と容器を含む構造物の熱伝導
によってもたらされ、その熱侵入量は前記液体ヘリウム
の液柱及び構造物の形状(具体的には断面積と上下方向
の長さ)によって定まる。すなわち、前記断面積が大き
いほど、また上下方向の長さが小さいほど、熱侵入量は
大きくなる。
【0012】従って、前記液体ヘリウム槽12から超流
動ヘリウム槽14への熱侵入量を減らすには、セパレー
タ13の面積すなわち液体ヘリウム槽12の底面積を減
らせばよいのであるが、液体ヘリウム槽12の必要容積
は決まっているので、その底面積を減らすと、その分液
体ヘリウム槽12の必要高さが著しく大きくなり、クラ
イオスタット全体が大型化してしまう不都合がある。特
に、前記液体ヘリウム槽12は超流動ヘリウム槽14の
上側に配置されるものであるから、この液体ヘリウム槽
12の高さ寸法を大きくすることは、クライオスタット
全体の小型化や設置安定性の観点から好ましくない。
【0013】このため従来は、液体ヘリウム槽12の底
面積をある程度大きくせざるを得ず、その分、液体ヘリ
ウム槽12から超流動ヘリウム槽14への熱侵入量が増
えるために、寒冷発生用のJT弁26における液体ヘリ
ウム消費量が大きいという課題が生じている。
【0014】本発明は、このような事情に鑑み、液体ヘ
リウム槽の貯留能力は大きく確保しながら、超流動ヘリ
ウム槽への熱侵入を大幅に削減できるクライオスタット
を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体ヘリウム
を貯留する液体ヘリウム槽と、少なくとも一部が前記液
体ヘリウム槽の底面の下方に位置し、加圧超流動ヘリウ
ムを貯留する超流動ヘリウム槽と、前記液体ヘリウム槽
の底面とその下方の超流動ヘリウム槽との間に介在し、
両槽を連通する連通路及びこの連通路を開閉する弁が設
けられたセパレータとを備えたクライオスタットにおい
て、前記液体ヘリウム槽は、互いに水平方向に並設さ
れ、かつ、液体ヘリウムが流通可能に連通される第1液
体ヘリウム槽と第2液体ヘリウム槽とに分割され、前記
第1液体ヘリウム槽の底面の下方に前記超流動ヘリウム
槽の少なくとも一部が位置してこれら第1液体ヘリウム
槽と超流動ヘリウム槽との間に前記セパレータが介在し
てしているものである。
【0016】この構成によれば、液体ヘリウム槽が第1
の液体ヘリウム槽と第2の液体ヘリウム槽とに分割さ
れ、その第1の液体ヘリウム槽の底面と超流動ヘリウム
槽との間にセパレータが介在するので、液体ヘリウム槽
全体の液体ヘリウム貯留能力は従来と同様に確保しなが
ら、前記セパレータの面積(すなわち第1の液体ヘリウ
ム槽の底面積)を、従来のセパレータ面積(すなわち液
体ヘリウム槽全体の面積)よりも大幅に削減できる。そ
の結果、前記セパレータを通じての超流動ヘリウム槽へ
の熱侵入を有効に低減させることができる。
【0017】また、前記セパレータが設けられる第1の
液体ヘリウム槽は従来の単一型の液体ヘリウム槽に比べ
て小さいため、当該液体ヘリウム槽の組立及びその底部
のセパレータ構成部品(例えば安全弁や供給弁)の加工
が容易となり、その加工精度の向上も図ることができ
る。
【0018】さらに、前記第1液体ヘリウム槽の底面積
を前記第2液体ヘリウム槽の底面積よりも小さくすれ
ば、前記熱侵入をさらに低減させることができ、また、
セパレータ構成部品の加工をより容易にでき、その加工
精度をさらに向上させることが可能である。
【0019】また、前記第1液体ヘリウム槽の底面を前
記第2液体ヘリウム槽の底面よりも低くすれば、その高
低差分だけ超流動ヘリウム槽への熱侵入量をさらに削減
できる。
【0020】以上のように、本発明にかかるクライオス
タットでは、第1液体ヘリウム槽の底面への上からの熱
侵入量が小さく、第1液体ヘリウム槽下部の温度降下が
顕著であるため、その分だけ当該下部での液体ヘリウム
密度が上昇し、その結果、両液体ヘリウム槽間にへッド
差が生じて、第1液体ヘリウム槽の液面高さ(液位)が
降下する場合がある。この場合において、第1液体ヘリ
ウム槽下部に常時液体ヘリウムと浸漬されるべき超電導
機器が設けられている場合には、前記液面降下によって
超電導機器が気相に露出するおそれが生じ、好ましくな
い。また、全液体ヘリウムが過冷却によって負圧になる
と、クライオスタット内に空気が吸い込まれやすくな
り、その凝縮さらには凝固によって通路閉塞などの障害
を引き起こすおそれがある。
【0021】これに対し、前記第1液体ヘリウム槽の下
部に、当該下部に貯留される液体ヘリウムを加温する加
温手段が設けられている構成とし、適当な程度に加温を
施せるようにすれば、前記過冷却による不都合を未然に
回避することができる。
【0022】例えば、前記第1液体ヘリウム槽の下部内
で水平方向に広がるバッフルと、この伝熱部材に熱を与
える入熱手段とを備えるようにすれば、第1液体ヘリウ
ム槽の下部において均一で好適な加温を実現することが
できる。
【0023】また本発明は、液体ヘリウムが貯留される
液体ヘリウム槽と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム
槽の底面の下方に位置し、加圧超流動ヘリウムが貯留さ
れる超流動ヘリウム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面と
その下方の超流動ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連
通する連通路及びこの連通路を開閉する弁が設けられた
セパレータとを備えたクライオスタットにおいて、前記
液体ヘリウム槽の底部に局所的に下方に突出する突出部
が形成され、この突出部の底面と前記超流動ヘリウム槽
との間に前記セパレータが介在してしているものであ
る。
【0024】この構成においても、液体ヘリウム槽の底
部から局所的に突出する突出部と超流動ヘリウム槽との
間にセパレータを介在させることにより、当該セパレー
タの面積を減らして超流動ヘリウム槽への熱侵入を有効
に抑制することが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を図
1〜図8を参照しながら説明する。なお、これらの図に
おいて前記図9及び図10に示した構成要素と同等の構
成要素には共通の参照符を付し、その説明を省略する。
【0026】図1は、本発明の第1の実施の形態にかか
るクライオスタットを示したものである。このクライオ
スタットでは、液体ヘリウム(大気圧飽和常流動ヘリウ
ム)を貯留するための液体ヘリウム槽が、第1液体ヘリ
ウム槽31と、第2液体ヘリウム槽32とに分割され、
両液体ヘリウム槽31,32が超流動ヘリウム槽14の
上方において水平方向に並設されている。第1液体ヘリ
ウム槽31は、第2液体ヘリウム槽32よりも断面積
(上から見た面積)が小さく、かつ、第2液体ヘリウム
槽32よりも高さ寸法の大きい形状となっている。
【0027】なお、本発明において第1液体ヘリウム槽
及び第2液体ヘリウム槽の具体的な形状は問わず、直方
体、円柱など、種々設定が可能である。
【0028】この実施の形態では、両液体ヘリウム槽3
1,32の上面がほぼ同じ高さに揃えられており、従っ
て第1液体ヘリウム槽31の底面が第2液体ヘリウム槽
32の底面よりも低くなっている。前記第2液体ヘリウ
ム槽32の底部と第1液体ヘリウム槽31の下部との間
には液相連通管34が、両槽31,32の上端同士の間
には気相連通管36がそれぞれ設けられ、第1液体ヘリ
ウム槽31にその上端と外気とを連通する連通管30が
設けられており、前記液相連通管34よりもさらに下方
の位置まで第1液体ヘリウム槽31の底面が突出してい
る。そして、この第1液体ヘリウム槽31の底面と超流
動ヘリウム槽14との間にセパレータ13が介在してい
る。
【0029】この構成によれば、図2(b)に示す従来
構造と対比して、液体ヘリウム槽全体の液体ヘリウム貯
留能力は同等に維持しながら、そのセパレータ面積すな
わち第1液体ヘリウム槽31の底面積Siを、従来の構
造におけるセパレータ面積すなわち液体ヘリウム槽12
の底面積Scよりも大幅に削減することができる。ここ
で、熱伝達量はその経路の断面積に比例し、長さに反比
例するので、前記セパレータ13の面積削減により、超
流動ヘリウム槽14への熱侵入量を有効に低減させるこ
とができる。また、同図(a)に示す上下寸法Li(第
2液体ヘリウム槽32の底面と第1液体ヘリウム槽31
の底面との高低差)を大きくすることにより、前記熱侵
入量をさらに低減させることができる。
【0030】図3は加圧超流動クライオスタットにおけ
る上下方向の温度勾配をグラフに示したものである。同
図から明らかなように、液体ヘリウム槽内の温度勾配に
対して液体ヘリウム槽の断面積が小さい本発明構造で
は、ラムダ点温度であるセパレータ13の熱侵入量が小
さくて当該セパレータ13の上面温度が2.2K付近で安
定しているため、超流動ヘリウム槽14内の温度を前記
目標温度に保つための必要寒冷量は少なくて済む。
【0031】また、図1のように液体ヘリウム槽が第1
液体ヘリウム槽31と第2液体ヘリウム槽32とに分割
されていれば、その分各液体ヘリウム槽31,32が小
さくなるので、その取扱いが容易となり、クライオスタ
ットの製作やメンテナンスが楽に行える利点もある。特
に、第1液体ヘリウム槽31の組立や、その底部に設け
られるセパレータ構成部品(例えば各弁17,18や通
路15,16)の加工が容易となり、その加工精度の向
上も図ることができる。
【0032】なお、図1には第1液体ヘリウム槽31の
底面と超流動ヘリウム槽14とが完全分離されたタイプ
のセパレータ13を示したが、第2の実施の形態として
図4に示すように、前記セパレータ13は、第1液体ヘ
リウム槽31の底面と超流動ヘリウム槽14との間に実
際に仕切り部材が介設されるタイプのものでもよい。
【0033】また本発明では超流動ヘリウム槽14の形
状も自由に設定が可能であり、その少なくとも一部が第
1液体ヘリウム槽31の下方に位置していればよい。例
えば、第3の実施の形態として図5に示すように、超流
動ヘリウム槽14の本体部分は両液体ヘリウム槽31,
32とともに水平方向に並べて配置しながら、前記本体
部分の底部から第1液体ヘリウム槽31の下方へ突出部
14aを突出させ、この突出部14aと第1液体ヘリウ
ム槽31の底面との間にセパレータ13を介在させるよ
うにしてもよい。このようにすれば、クライオスタット
全体の高さ寸法をさらに削減することが可能になる。
【0034】次に、第4の実施の形態を図6及び図7に
基づいて説明する。
【0035】前述のように、本発明にかかるクライオス
タットでは、従来に比して第1液体ヘリウム槽31の底
面への上からの熱侵入量が小さいため、第1液体ヘリウ
ム槽31の下部の温度降下が顕著であり、この温度降下
分だけ当該下部での液体ヘリウムの密度が上昇する。例
えば、液体ヘリウム温度が4.2Kから2.2Kまで降下する
のに伴い、液体ヘリウムの密度は125kg/m3から145kg/m3
まで上昇する。
【0036】その結果、第1液体ヘリウム槽31と第2
液体ヘリウム槽32との間にへッド差が生じ、そのへッ
ド差を相殺するために第1液体ヘリウム槽31内の液面
が一時的に降下し、今度は、この液位効果に伴って第1
液体ヘリウム槽31内の冷却源、特に排気管20による
冷却効果が減少して再び液温及び液位が上昇する現象が
現れる。すなわち、図6に示すように第1液体ヘリウム
槽31の液面が略一定の周期(図では2時間の周期)で
上下動する現象が現れる。
【0037】このとき、第1液体ヘリウム槽31の下部
に常時液体ヘリウムと浸漬される必要のある超電導機
器、例えば超電導永久電流スイッチ(以下、PCSと称
する。)が設けられていると、前記液面降下現象によっ
て前記超電導機器が気相に露出し、これに起因してクエ
ンチが発生するおそれがある。
【0038】また、第1液体ヘリウム槽31の底部のセ
パレータ13及び排気管20による冷却能力が、液体ヘ
リウム槽31,32への全熱侵入量を上回る状態が続く
と、全液体ヘリウムが過冷却で負圧となり、液体ヘリウ
ム槽31,32に空気を吸い込みやすい状態となる。こ
のように吸い込まれた空気は、内部で凝縮さらには凝固
して通路閉塞などの障害を引き起こすおそれがある。
【0039】そこで、この第4の実施の形態では、図7
に示すように第1液体ヘリウム槽31の下部に加温手段
を設け、前記過冷却による不都合を防ぐようにしてい
る。
【0040】具体的に、同図において、第1液体ヘリウ
ム槽31の下部(図では第2液体ヘリウム槽32の底面
高さと近傍の高さ位置)に前記PCS38が設けられ、
その直上方にバッフル40が設けられている。このバッ
フル40は、第1液体ヘリウム槽31の断面略全域にわ
たって水平方向に広がっている。このバッフル40に
は、入熱手段として、熱伝導体42と電気ヒータ44と
が熱伝達可能に接続されている。熱伝導体42は、例え
ば熱伝導性の高い金属板で構成され、上下に延び、その
下端が前記バッフル40に接触する一方、上端が液体ヘ
リウムの液面を上方に突き出て気相領域に至っている。
従って、この熱伝導体42を媒体として、前記気相から
バッフル40へ熱伝導による直接的な入熱が行われるよ
うになっている。
【0041】このような加温手段の設置により、第1液
体ヘリウム槽31下部における液体ヘリウムの過冷却が
防がれる。ただし、この加温手段は必要に応じて適宜設
置されるもので、省略が可能である。
【0042】第5の実施の形態を図8に示す。ここで
は、従来と同様に、超流動ヘリウム槽14の上方に単一
の液体ヘリウム槽12が設置されているが、同槽12の
底部に局所的に下方に突出する突出部12bが形成され
ており、この突出部12bの下部と超流動ヘリウム槽1
4との間にセパレータ13が介在している。
【0043】この構造においても、前記図9に示した従
来構造に比べてセパレータ13の面積(図8では突出部
12bの面積)を削減でき、その結果、超流動ヘリウム
槽14への熱侵入を有効に抑制できる。勿論、前記図1
等に示すように液体ヘリウム槽を分割することにより、
超流動ヘリウム槽14への熱侵入をさらに削減できるこ
とはいうまでもない。
【0044】なお、以上の実施の形態において、規模に
よっては安全弁17及び供給弁18のいずれか一方を省
略して他方を安全弁及び供給弁として兼用することも可
能である。また、安全弁及び供給弁を同軸配置する(す
なわち一方の弁をリング状にしてその内側に他方の弁を
配置する)ことにより、通路面積を減らして超流動ヘリ
ウム槽14への熱侵入をさらに削減することも可能であ
る。
【0045】また、前記図1等には両液体ヘリウム槽3
1,32を液相連通管34と気相連通管36とで連通す
るものを示したが、気相連通管36に代えて第2液体ヘ
リウム槽32に外気と連通する連通管を設けるようにし
てもよい。
【0046】また、本発明において液体ヘリウム槽の数
は問わず、前記第1液体ヘリウム槽31、第2液体ヘリ
ウム槽32に加えて第3、第4の液体ヘリウム槽を追設
する(換言すれば、第2液体ヘリウム槽をさらに複数の
液体ヘリウム槽に分割する)ようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明は、液体ヘリウム槽
を第1液体ヘリウム槽と第2の液体ヘリウム槽とに分割
して第1液体ヘリウム槽の底面と超流動ヘリウム槽との
間にセパレータを介在させ、もしくは液体ヘリウム槽の
底部に突出部を設けてこれと超流動ヘリウム槽との間に
セパレータを介在させるようにしたものであるので、液
体ヘリウム槽の貯留能力は大きく確保しながら、前記セ
パレータの面積を減らすことによって超流動ヘリウム槽
への熱侵入を大幅に削減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるクライオス
タットの構造図である。
【図2】(a)(b)は図1に示すクライオスタット及
び従来のクライオスタットにおけるセパレータ面積を比
較するための図である。
【図3】図1に示すクライオスタット及び従来のクライ
オスタットにおける上下方向の温度勾配を示すグラフで
ある。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかるクライオス
タットの構造図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかるクライオス
タットの構造図である。
【図6】図1に示すクライオスタットにおいて第1液体
ヘリウム槽下部の液体ヘリウムが過冷却となったときの
液位の変動現象を示すグラフである。
【図7】本発明の第4の実施の形態にかかるクライオス
タットの構造図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態にかかるクライオス
タットの構造図である。
【図9】従来のクライオスタットの一例を示す構造図で
ある。
【図10】従来のクライオスタットの他の例を示す構造
図である。
【図11】超流動ヘリウムの温度−熱伝導特性を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
12 液体ヘリウム槽 12b 液体ヘリウム槽の突出部 13 セパレータ 14 超流動ヘリウム槽 31 第1液体ヘリウム槽 32 第2液体ヘリウム槽 34 液相連通管 40 バッフル 42 熱伝導体(入熱手段) 44 電気ヒータ(入熱手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 聡 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 吉川 正敏 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 濱田 衛 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 林 征治 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 三木 孝史 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4M114 AA02 AA17 AA19 AA25 AA31 CC03 CC13 CC17 DA02 DA04 DA05 DA07 DA12 DA28 DA35 DA53

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体ヘリウムを貯留する液体ヘリウム槽
    と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム槽の底面の下方
    に位置し、加圧超流動ヘリウムを貯留する超流動ヘリウ
    ム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面とその下方の超流動
    ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連通する連通路及び
    この連通路を開閉する弁が設けられたセパレータとを備
    えたクライオスタットにおいて、前記液体ヘリウム槽
    は、互いに水平方向に並設され、かつ、液体ヘリウムが
    流通可能に連通される第1液体ヘリウム槽と第2液体ヘ
    リウム槽とに分割され、前記第1液体ヘリウム槽の底面
    の下方に前記超流動ヘリウム槽の少なくとも一部が位置
    してこれら第1液体ヘリウム槽と超流動ヘリウム槽との
    間に前記セパレータが介在してしていることを特徴とす
    るクライオスタット。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のクライオスタットにおい
    て、前記第1液体ヘリウム槽の底面積が前記第2液体ヘ
    リウム槽の底面積よりも小さいことを特徴とするクライ
    オスタット。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のクライオスタッ
    トにおいて、前記第1液体ヘリウム槽の底面が前記第2
    液体ヘリウム槽の底面よりも低いことを特徴とするクラ
    イオスタット。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のクライ
    オスタットにおいて、前記第1液体ヘリウム槽の下部
    に、当該下部に貯留される液体ヘリウムを加温する加温
    手段が設けられていることを特徴とするクライオスタッ
    ト。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のクライオスタットにおい
    て、前記加温手段は、前記第1液体ヘリウム槽の下部内
    で水平方向に広がるバッフルと、この伝熱部材に熱を与
    える入熱手段とを備えていることを特徴とするクライオ
    スタット。
  6. 【請求項6】 液体ヘリウムが貯留される液体ヘリウム
    槽と、少なくとも一部が前記液体ヘリウム槽の底面の下
    方に位置し、加圧超流動ヘリウムが貯留される超流動ヘ
    リウム槽と、前記液体ヘリウム槽の底面とその下方の超
    流動ヘリウム槽との間に介在し、両槽を連通する連通路
    及びこの連通路を開閉する弁が設けられたセパレータと
    を備えたクライオスタットにおいて、前記液体ヘリウム
    槽の底部に局所的に下方に突出する突出部が形成され、
    この突出部の底面と前記超流動ヘリウム槽との間に前記
    セパレータが介在してしていることを特徴とするクライ
    オスタット。
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