JP5284112B2 - 核酸、メチル化状態及び核酸の突然変異体を検出するための、シグナリングペア及び疎水性ヌクレオチドを含んだオリゴヌクレオチド、ステムレスビーコン - Google Patents

核酸、メチル化状態及び核酸の突然変異体を検出するための、シグナリングペア及び疎水性ヌクレオチドを含んだオリゴヌクレオチド、ステムレスビーコン Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、存在、発現、メチル化及び/又は突然変異、特に単一の点突然変異、等の核酸配列の状態、並びに正しい標的と他の標的との間の差異がわずか1ヌクレオチドほどしか異ならない場合のある他の配列を検出する分野に関する。本発明は、シグナリングペア(例えばフルオロフォア及びクエンチャー)及び少なくとも1個の疎水性ヌクレオチドを含んだオリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドアナログに関する。本発明はまた、オリゴヌクレオチドアナログ及び容易に入手可能な器具を用いることにより配列の相違の検出と条件の最適化とを行う新たな方法に関する。特に本発明は、シグナリングペア及び少なくとも1個の疎水性ヌクレオチド、例えばインターカレーター(intercalator)を含んだヌクレオチドアナログ、を有するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを用いて、特異的に標的核酸の量を検出すること又は1ヌクレオチドほどしか異ならない場合のある他の配列に対して1個の配列を検出することに関する。
DNA及びRNA等の核酸、並びにPNA、HNA、MNA、ANA、LNA、INA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA(Rは任意の置換基)、α−L−RNA、α−D−RNA、β−D−RNA等の多数の核酸アナログは、相補的な核酸の鎖に特異的にハイブリダイズすることが出来る。この特異的な認識を診断用途等において特定の核酸配列の存在の検出に利用し得る。核酸配列間の小さな相違を検出することが可能である。また、任意の遺伝子のmRNAの存在量を測定し、それによってこの特定遺伝子の発現量を記述することも可能である。
利用可能な多くのアッセイは相補的検出が可能なプローブによる特定の核酸の検出に依存している。特定の核酸を検出するためには未結合のプローブを結合したプローブから分離することが必要な場合が多く、これには通常、数回の時間のかかる分離工程が必要である。
DNA診断は最も急速に成長しつつある研究分野の1つであり、現在、詳細な完全配列を目指して日々利用可能になりつつあるヒトゲノム地図のより詳細な地図とともに、この分野の興味はさらになお拡大すると期待される。142万個の一塩基多型(SNPs)の地図が記載されており、少なくとも60,000個のSNPsがヒトエクソンの内部に含まれると推定されている。
興味深いことに、ゲノムDNA配列は2個体のヒトの間で1000ヌクレオチドのうち平均にして約1ヌクレオチドが相違している。従って、特異的なDNA配列は個体の同一性を決定するのに有用であり得る。さらに、突然変異は病態の素因の指標となり得る。遺伝病の古典的な例としては鎌状赤血球貧血が挙げられるが、これは単一遺伝子であるベータ−グロビン遺伝子内の単一塩基の変化によって引き起こされる遺伝的欠陥である(コドン6においてGAGがGTGに変化)。1又は2核酸塩基のみが相違する配列の探索においては、高速で簡便に行うことが出来、費用効果の高い、高性能な核酸配列検出用ツールの必要性が生じている。
生物学の他の主要な分野はゲノムのメチル化である。ゲノム中の「CpG」デュプレットのメチル化はエピジェネティックな情報の主要な要素であり、インプリンティングにおいて、また精神障害、癌生物学及びウイルス感染を含む様々な臨床的症状において重要な機能を演じていることが示されている。遺伝子のメチル化状態を鋭敏な様式で検出するのに一般的に用いられるのは、ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムで処理し、全ての非メチル化シトシン「C」をデオキシリボースウラシル「dUs」に変換する手法である:この際メチル化シトシン「MeC」は非反応性である。これに続けて、増幅反応を行う。ゲノムDNAの亜硫酸水素塩処理により、前記DNAは「A−T」リッチな、基本的に3種ヌクレオチドのゲノム(メチル化「CpG」デュプレット内に存在する「MeC」を除く)に変換され、メチル化又は非メチル化「CpG」デュプレットの相違は配列の相違へと形を変える(図5参照)。次いで、該DNAはシーケンシング、制限酵素消化により、又はメチル化特異的PCR、MSPを用いた場合はゲル電気泳動後のゲル上のバンドの有無により、分析され得る。又は、DNAはMSPを用いたリアルタイムPCR及び非特異的色素により分析され得る。
前記亜硫酸水素塩処理DNAは「A−T」リッチな性質であることから、増幅アッセイのプライマー及びプローブにおいて特別な課題が生ずる。これは、「A−T」リッチなDNAは比較的親和性が低く、また単一の「C」ヌクレオチドと「T」ヌクレオチドとの間を区別することが難しいためである。
核酸配列中の突然変異を検出するための様々な手法としては、例えば一本鎖高次構造分析、変性勾配ゲル電気泳動、ヘテロデュープレックス分析、化学的ミスマッチ切断及びダイレクトシーケンシング等がある。これらの手法の総説は、非特許文献1により示されている。各種手法のうち、蛍光を基盤とした方法も利用可能である。
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の発明は迅速かつ正確な様式で発現(リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)等の遺伝子の状態を決定する方法に革命をもたらしたが、該手法は類似した標的間の識別のためにも用いられる。該手法の多くの進歩にもかかわらず、これらの手法の改良に対しては未だ満たされていない要求が存在する。
今日、最も広く用いられているプローブの一部には、分子ビーコン(Molecular beacons)、TaqMan(登録商標)プローブ(TaqManはRoche Molecular Systems, Incの登録商標である)、Scorpionプライマー及びデュアルハイブリダイゼーションFRETプローブ(最近、Aryaほかにより概説されている、(非特許文献2)がある。これらの手法はそれぞれ、互いに異なった用途と関連した利点及び欠点を有している。これらの手法全てに共通しているのは、設計が難しく、コンピューターソフトウェア又は専門家の支援と、作業のための長期の最適化とが必要なことである(ソフトウェアの例としては、Applied Biosystems(米国)(www.appliedbiosystems.com)から入手可能なPrimer Express(登録商標);Premier Biosoft(www.premierbiosoft.com)から入手可能なBeacon Designer;及びPrimer3 著作権(c)1996,1997,1998,1999,2000,2001,2004 Whitehead Institute for Biomedical Research.著作権所有(http://frodo.wi.mit.edu/cgi−bin/primer3/primer3 www.cgi);のようなプログラムが有る)。
前記TaqMan(登録商標)アッセイではフルオロフォア及びクエンチャーからなるシグナリングペアを含んだDNAを基盤としたプローブが用いられる。該手法では、可能な最大のS/N比を達成するため、好ましくはフルオロフォア及びクエンチャーを前記プローブの互いに反対側の末端に位置させる必要がある。PCR反応における増幅の過程で、該プローブは特異的にその増幅されようとしている標的配列にハイブリダイズする。TaqポリメラーゼはTaqMan(登録商標)プローブに到達するとそのエキソヌクレアーゼ活性を用いて該プローブを分解し、それによってフルオロフォアが自由にクエンチャーから離れてさらに移動するようになり、シグナルが消光されなくなる。このエキソヌクレアーゼ活性により生成した蛍光は存在する標的配列の量と相関している。前記PCR反応の効率を知ることにより、該蛍光シグナルを標的配列の出発量の計算に用いることが出来る。
前記TaqMan(登録商標)プローブでは、TaqMan(登録商標)アッセイの特異性及び感度を最適化するためのいくつかの変更点が報告されている。これらの変更点には、マイナーグルーブ(副溝)バインダー(Minor Groove Binder)、及び標的配列への親和性を増加させ、より短いプローブを用いることが出来るように用いられたロックド核酸(Locked Nucleic Acid)等のヌクレオチドアナログ(下記のさらなる記載及び文献を参照のこと)の導入が含まれる。しかし、報告されている全てのTaqMan(登録商標)アッセイにおいては、無傷のプローブのフルオロフォアの消光はランダムコイルらせん形成(random coil helix formation)に依存している。
前記分子ビーコン(「ヘアピン」又は「ステム−ループ」プローブ)は2つのステム配列(プローブの各末端に1個ずつ)を含み、これらはこの2つのステム配列を隔てる配列(ループ配列)に対し相補的にハイブリダイゼーションすることが可能な標的配列が無ければ2本鎖を形成し得る。該プローブは通常、互いに反対側の末端に連結したフルオロフォア及びクエンチャーからなるシグナリングペアを含む。ステムが形成されると、従って該フルオロフォア及びクエンチャーは近接し、シグナルが消光される。しかし、前記ループ配列が標的配列にハイブリダイズすると、前記の2つのステム配列、並びに従って該フルオロフォア及びクエンチャーは分離し、シグナルを生成させ、その読み取りが可能となる。プローブはバックグラウンドシグナルが無いか又は非常に少ないため、分子ビーコンは均一アッセイ(homogenous assay)及び生細胞における標的配列の検出に使用され得ると主張されている。
前記分子ビーコンのステム配列は前記標的配列とは関連性が無い。適切なステム形成及び安定性は前記ステムの長さ及びG:C含量、並びにそれが溶解している緩衝液の条件に依存する。標的配列もG:C含量、長さ、及びどれだけ類似した非標的配列が存在し得るかという点において様々であり得るため、該ループ配列の長さ及びG:C含量はプローブごとに異なる。従って、前記ループ配列に依存した最適化されたステム配列を用いる必要がある。また、前記分子ビーコンはアンプリコンの再アニーリングだけでなく、前記プローブの分子内アニーリングに対しても競合すると思われる。
DNA及びPNAを基盤としたステムレスビーコン(Stemless Beacons)を含む、ステムレスビーコン(リニアビーコン(Linear Beacons))に関するいくつかの従来技術が公開されている。DNAステムレスビーコン(特許文献1
、Myanard)はポリメラーゼによる5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性による消化と3’伸長活性とに影響されない状態にされている。前記プローブが結合しなかった場合の、該プローブの一方の末端に位置するフルオロフォアの、該プローブの他方の末端に位置する前記クエンチャーによる消光は、ランダムらせんコイル形成(random helix coil formation)によって制御される。Maynardは前記レポーター分子及びクエンチャー分子は最適なS/N比を達成するため好ましくは18又は20塩基によって隔てられるとしている。前記文献及びその従来技術においては、この比は前記プローブの長さに大きく依存すると述べられている。ヌクレアーゼ消化に対する耐性はこれらステムレスビーコンの内在的な部分であり、そのため前記プローブはTaqMan(登録商標)アッセイのようなヌクレアーゼ依存のアッセイに用いることは出来ない。
Gildeaほか(特許文献2)はシグナリングペアを含んだリニアビーコンを基盤としたPNAを記載しており、該ペアの2つの部分は該プローブの各末端に位置する。この発明とDNA基盤の前記リニアビーコンの発明との違いは、主鎖モノマー単位がGildeaらの例ではDNAではなくPNAの主鎖モノマー単位であるということである。彼らは、該プローブのバックグラウンドが少ないのはPNAの挙動の様式によるものであり、また同様な長さ及び標識形態の核酸とPNAプローブとの間では構造及び機能が明らかに不等価であるとしている。前記文献中に記載されているプローブは次のもののうち2つに無影響であるべきと述べられている:プローブ長、Mg2+濃度、緩衝液のイオン強度、及びフルオロフォアとクエンチャーとの間のスペクトルの重複;最初の3者に関しては通常、PNA及び少数の他のDNAアナログを基盤とするプローブのみに観察される。該文献にはプローブ中に挿入された疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログについては記載されていない。ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性も該文献により記載された前記プローブの部分であり(PNAに内在的)、そのため該プローブはTaqMan(登録商標)アッセイのようなヌクレアーゼ依存のアッセイに用いることは出来ない。
従来技術において、シグナリングペアを含んだヌクレオチド及びヌクレオチドアナログが記載されている:
Kutyavin及び共同研究者らはプローブの3’末端にMGB分子を結合させ、5’−ヌクレアーゼPCRアッセイ(非特許文献3)においてそれを用いた。また、MGBが前記プローブの5’末端に取り付けられ、ポリメラーゼのヌクレアーゼ活性を必要としない、Eclipseと呼ばれるシステムも同じ研究室が記載した(非特許文献4)。これらの両者のシステムにおいては、一致した標的とミスマッチの標的との間を最適に判別させるため、多型的な塩基(潜在的なミスマッチの箇所)は前記MGBが取り付けられたサイトから約5ヌクレオチドに位置すべきである。これは、多型的な塩基がプローブの中央に位置している場合に融解温度において最も大きな差異、従って最も高い特異性、を示すことがこれまでに示されている、通常のDNA基盤のプローブとは対照的である。該プローブが未結合の場合の蛍光の消光はランダムコイリング(random coiling)に限定されている。望まれない二次構造の形成を回避するため、プローブの設計は多くの場合高度な柔軟性を有する必要が有るため、設計の選択肢が限定的であることは不都合であり得る。
Letertreほか 2003は、ロックド核酸、LNAを5’−ヌクレアーゼPCRアッセイにおいて用いることが出来、その結果はMGB TaqMan(登録商標)プローブで得たものに匹敵することを示した(非特許文献5)。しかし、最適なLNA含有プローブを設計するのは2つの理由から難しい:まず、LNAヌクレオチドはヌクレアーゼ抵抗性であり、5’−ヌクレアーゼアッセイの際に該プローブが分解される必要がある;次に、LNAヌクレオチドは極めて高い自己親和性(self−affinity)を有しており、そのため設計を注意深く行わないと二次構造を形成する傾向がある。少数のLNAヌクレオチドのみを含んだDNA−LNAハイブリッドは非常に安定な二次構造を形成し得るため、該プローブが相補的な1本鎖DNA標的とハイブリダイズ出来ない場合があることがこれまでに示されている(非特許文献6)。
非特許文献7においてはステムレスペプチド核酸(PNA)ビーコン(Stemless Peptide Nucleic Acid(PNA) beacon)が記載されている。該PNAビーコンは標的核酸と未結合の場合、コンパクトなランダムコイル状らせんへとたたみこまれる傾向を示すが、これは望ましくないことが多い。PNA基盤の手法がDNA基盤の手法に対していくつかの面でいくつかの利点をもたらすとは言え、それらはDNA基盤の手法と比べ高価であり、DNA基盤のアッセイよりも合成および最適条件の決定において課題を与えるものである。PNAはタンパク質とオリゴヌクレオチドとの組み合わせから成るため、PNAの挙動は常に容易に予測可能な訳ではない。
特許文献3においては、フルオロフォアを結合したプローブ及び2本鎖インターカレーターである遊離した(free floating)クエンチャー分子からなる蛍光システムの存在下で増幅された試料中の蛍光の測定について記載されている。
特許文献4においては、イオン強度、マグネシウム濃度、フルオロフォアとクエンチャーとの間のスペクトルの重複、及びプローブ長に非感受性のPNA及び関連する分子を含んだ前記リニアビーコンが記載されている。疎水性分子を含んだプローブはこれらの特許において含まれていないか又は議論されていない。
特許文献5においては、前記プローブの同一末端において近接するフルオロフォア及びクエンチャーを有するプローブについて記載されている。相補的核酸へのハイブリダイゼーションの際、該フルオロフォア又は該クエンチャーは形成された2本鎖と(インターカレーション又はマイナーグルーブ(副溝)結合により)相互作用し、該フルオロフォアが消光されることなく蛍光を発することが出来る。
特許文献6においては、フルオロフォア及び任意にクエンチャーを含んだプローブが記載されている。該フルオロフォアはミスマッチが前記標的核酸中に存在しているか否かにより異なった挙動を示し、これによって一方を他方から識別することが出来る。前記プローブは融点分析(melting point analysis)に用いることも出来る。該プローブは通常、伸長を回避するため、3’末端においてブロックされる必要がある。
特許文献7においては、一方の末端にフルオロフォアを、他方の末端にクエンチャーを有するプローブであって、該プローブが該プローブの3’末端の1または複数個のホスホルチオエートの挿入によって5’から3’方向へのエキソヌクレアーゼ分解から保護されているプローブの使用について記載されている。
特許文献8においては、一方の鎖がフルオロフォアを含み、他方の鎖がクエンチャーを含むプローブ2本鎖の使用について記載されている。鎖の一方は他方よりも長く、該プローブ対の2本の鎖が互いに結合すると、該クエンチャー及びフルオロフォアは互いに近接する。しかし、完全に相補的な標的の存在下では、この長い方のプローブはそれに優先的に結合し、そのため該フルオロフォアはクエンチャーから分離され、従って蛍光を発するようになる。該プローブの消光はこのプローブシステムの前記の2つの部分の二重らせん形成により制御される。
特許文献9においては、任意にフルオロフォア及びクエンチャーによって標識することが出来るプローブであって、該プローブの末端にマイナーグルーブ(副溝)バインダー(MGB)を含むプローブが記載されている。該MGBは相補的DNAに対する親和性を増加させ、従ってより短く、より特異的なプローブを用いることが出来る。
特許文献10においては、「分子ビーコン」と呼ばれるヘアピンプローブが記載されている。該プローブはフルオロフォア及びクエンチャーをオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの各末端に1個含んでいる。該オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは複数の配列に分かれており、配列1及び3は該プローブが標的核酸に何も結合しなかった場合に前記ヘアピン構造内のステムを構成し、配列2は該標的核酸に対し相補的である。バックグラウンド蛍光は配列1及び3の二重らせん形成に依存している。
特許文献11においては、標的核酸に対する親和性を向上させ、蛍光タグとしてのヌクレアーゼ安定性を向上させ、及び/又は自己親和性を減少させるためのインターカレート偽ヌクレオチド(intercalating pseudonucleotides)を含んだヘアピンプローブについて記載されている。この発明及び記載は本発明の「ステムレスビーコン」の概念を議論していない。この文献には標的核酸の検出のための相補的プローブの使用についても記載されているが、本発明における発見とは異なり、未結合のプローブのステムレス消光については記載されていない。
特許文献12においては、短波長ハーベスター(harvester)及び長波長エミッター(emitter)並びにクエンチャーを含んだ3重標識ヘアピンプローブについて記載されている。標準的な分子ビーコンと比較して追加のフルオロフォアが存在することで蛍光強度が増加し、そのためS/N比が増加する。
特許文献13においては、ヘアピン形PNA分子ビーコンの方法、キット及び組成物について記載されている。この文献はステムレスビーコンの概念に関して記載していない。
特許文献14においては、3つのオリゴヌクレオチド成分を含み、1個がヘアピン構造を形成し、残りの2つがこの形成されたステムのそれぞれの側に相補的であるトリパータイト分子ビーコン(Tripartite molecular beacons)(TMBs)について記載されている。
本申請において引用される全ての特許及び非特許文献も本明細書において参照によりその全体が組み込まれたものとする。
米国特許第6,361,795号 米国特許出願第2005/0227247 WO1999/21881 WO2004/033726 米国特許出願公開第2002/064772、WO1999/21881、及びEP1484337 米国特許出願公開第2005/0233360 WO 01/73118 米国特許出願公開第2005/0227247 米国特許出願公開第2005/0227257 米国特許出願公開第2005/0064463 米国特許出願公開第1999/5925517及び米国特許出願公開第2000/6103476 WO03/052132 米国特許出願公開第2000/6037130 米国特許出願公開第2002/6355421 米国特許出願公開第2005/0158720 Grompe (M. Grompe(1993) Nature Genetics, 5:111−117) 2005、Rev.Mol.Diagn.5:209−219 Kutyavinほか (2000) Nucleic Acids Res.28:655−661 Afonina,I.ほか (1997) Nucleic Acids Res.25:2657−2660 Letertre,C.ほか (2003) Mol. Cell Probes 17:307−311 Filichevほか (2004) Chem−biochem. 5: 1673−1679 Seitz, O. (2000) Angew. Chem. Int. Ed. 39: 3249−3252
発明の概要
核酸の標的配列を検出し、定量し、そして同定し得ることは長い間科学者にとって関心の対象であった。この目的に対しては「分子ビーコン」(「ヘアピンプローブ」)及び「TaqMan」のようないくつかの手法が開発されたが、現在利用可能な全ての手段及び手法はいくつかの制限及び欠点を有している。該分子ビーコンはヘアピン形プローブであり、リアルタイムPCRのアニーリング温度において、アンプリコンの再アニーリングだけでなく該プローブの分子内アニーリングにも競合する必要がある。従ってプローブの最適化、ストリンジェントな条件、及びプローブの設計が必要である。また一方、分子内ステム形成とは異なり、前記TaqManプローブは未結合プローブの蛍光の消光をランダムコイルらせん構造に依存しており、また前記フルオロフォアを「活性化」するためにポリメラーゼのヌクレアーゼ活性にも依存している。
発明を解決するための手段
驚くべき事に、本発明は、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログに共有結合的に挿入された疎水性分子が未結合オリゴヌクレオチドの折りたたみを促進し、同時に該疎水性分子が標的配列とのハイブリダイゼーションをそれが存在していたときに妨げないということを開示する。本発明で示される該プローブは、疎水性分子が他の疎水性分子との相互作用によりその疎水性表面の水溶液への曝露を遮蔽又は低下させる傾向と、オリゴヌクレオチドアナログの各半分に一つの部分ずつ配置された2つの部分のシグナリングペア間の相互作用の向上とを初めて組み合わせである(図1参照)。
従って、本発明により示される未結合プローブのシグナリングペアの相互作用は単にランダムらせんコイル形成によるものではなく、また一方で未結合プローブの消光をもたらすように設計された分子内ステム構造を必要としない。これまでに開示されている「分子ビーコン」と同様に、本発明のプローブは良好なS/N比を有する。従って、本発明のプローブも本明細書において「ステムレスビーコン」と命名する。本発明のステムレスビーコンは一般的に相補的領域を有しない(即ち「ステム」が無い)ため、一般に対応する分子ビーコンよりも短い。これらは設計及び最適化が容易であり、さらに疎水基の存在により該プローブの精製が容易になり得る。上に概説したように、読み取り温度(reading temperature)よりも高く、前記標的核酸への結合と競合する温度よりも低いアニーリング温度を有しなければならない分子内自己アニーリング部分を設計する必要が無い。本発明で記載されるステムレスビーコンは疎水性分子の挿入を有しない対応する直鎖状プローブよりも良好なS/N比を有しており、ヌクレアーゼ依存及びヌクレアーゼ非依存のアッセイにおいて使用することが出来る。
前記分子プローブの主要な課題の一つは、わずか1ヌクレオチドほどしか相違しない極めて類似した標的間における識別を可能にするということである。一般的に言えばプローブが短いほど1個のミスマッチが親和性に対して大きな影響を有し、従って完全に相補的な標的とミスマッチを有するものとを区別することがより容易になる。
本発明は設計が容易で低いバックグラウンド蛍光を有する新たな種類の分子プローブについて記載する。該プローブはヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ、シグナリングペア(例えばフルオロフォア及びクエンチャー)及び少なくとも1個の追加の疎水性部分を含んでおり、該部分は該ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログが該疎水性分子を含んでいなかった場合よりも良好なS/N比を促進する。本明細書に記載するプローブは、発現、特定対立遺伝子等の標的核酸の存在、一塩基多型(SNPs)、突然変異及びメチル化状態(エピジェネティックな情報)の分析を含む多数の様々な用途に対して有用である。
従って、シグナリングペア及び少なくとも1個の疎水性分子、好ましくは本明細書で以下に記載する疎水性ヌクレオチドを含んだオリゴヌクレオチドアナログを提供することが本発明の第1の目的であり、ここで該オリゴヌクレオチドアナログのS/N比は該疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比よりも有意に高いか又は低い(1の値と異なる)。
従って、シグナリングペア及び少なくとも1個の一般構造
X−Y−Q
[式中、
Xは核酸若しくは核酸アナログ、又は核酸若しくは核酸アナログの主鎖に組み込まれ得る主鎖モノマー単位であり、
Qは本発明の疎水性分子であって特異的水素結合ともシグナリングペアの部分とも関与せず;そして
Yは前記ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを連結するリンカー部分である]
を示す疎水性ヌクレオチドを含んだオリゴヌクレオチドアナログを提供することは本発明の目的であり、ここで、前記オリゴヌクレオチドアナログのS/N比は、前記オリゴヌクレオチドアナログが標的核酸とハイブリダイズしていない(unhybridised)状態から標的核酸とハイブリダイズしている状態になる場合、また逆の場合においても、前記疎水性分子を含まず前記オリゴヌクレオチドアナログと同一のヌクレオチド配列からなる対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと前記標的核酸との間のハイブリッド(対応するハイブリッド)のS/N比と比較して著しく改善されている。
より具体的には、連続したn個のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの配列並びに少なくとも1個の疎水性ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドアナログが共有結合的にシグナリングペアに連結しており、
ここで、前記疎水性ヌクレオチドが一般構造
X−Y−Q
[式中、
Xはヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ、又は核酸若しくは核酸アナログの主鎖に組み込まれ得る主鎖モノマー単位であり、
Qはワトソン・クリック水素結合には関与しない疎水性分子であり;そして
Yは前記ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを連結するリンカー部分である]
を有し;そして
nは少なくとも4の整数であり;そして、
少なくとも1個の疎水性ヌクレオチドが一方の末端から最大で9ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの位置に有り;そして、
前記シグナリングペアが2つの部分で構成されるシステムからなっており、ここで一方の部分が5’末端から6ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ以内の位置に有り、他方の部分が3’末端から6ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ以内の位置に有り;
前記シグナリングペアの前記部分が前記疎水性ヌクレオチドと同一ではなく、
前記シグナリングペアの1個の部分が突出末端として5’末端に位置している場合、5’末端の最初のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログは疎水性ヌクレオチドではなく、前記シグナリングペアの1個の部分が突出末端として3’末端に位置している場合、3’末端の最初のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログは疎水性ヌクレオチドではない
オリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の目的である。
一部の疎水性分子が単独でまたはペアの部分として検出可能なシグナルを生成し得るとは言え、その疎水性分子は前記シグナリングペアの部分とはみなされないことに注意すべきである。従って、前記オリゴヌクレオチドアナログは疎水性分子及びシグナリングペアの2つの部分を有する。
発明者は、向上したヌクレアーゼ安定性を有するオリゴヌクレオチドアナログが、例えばエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いた増幅反応後のエンドポイント測定において有用であり得ることも見いだした。従って、向上したエキソ及び/又はエンドヌクレアーゼ安定性を有するオリゴヌクレオチドアナログ(例えば本発明の任意のオリゴヌクレオチドアナログ)を使用するための方法、並びに広範な各種標的配列の検出及び/又は同定に用いることの出来る標準的な条件を提供することは本発明の第2の目的である。これらの方法は特定のアッセイの条件を最適化するための迅速な方法としても使用され得る。
従って、
1)標的配列を含み得る核酸の混合物を提供し;そして
2)本発明のオリゴヌクレオチドアナログを提供し;そして
3)前記核酸及び前記オリゴヌクレオチドアナログをハイブリダイゼーション可能な条件下でインキュベートし;そして
4)ハイブリダイゼーションを検出する
工程を含む、本発明のオリゴヌクレオチドアナログと核酸混合物中の標的配列との間のハイブリダイゼーションを検出する方法を提供することは本発明の目的である。
本発明のオリゴヌクレオチドアナログと鋳型中の標的配列とのハイブリダイゼーションを増幅中に検出、同定及び/又は定量する方法を提供することも本発明の目的である。
a)標的配列及び/又は変異配列を検出、同定及び/又は定量するために用いるのに望ましい核酸の混合物を提供し;そして
b)増幅酵素を含んだ増幅緩衝液、1組のプライマー、及び本発明のオリゴヌクレオチドアナログを提供し、ここで前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチドアナログが前記標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズすることが出来、前記増幅酵素が鋳型を標的とした様式でプライマーを伸長することが出来、前記増幅緩衝液が増幅酵素にとってこのような伸長を行うのに必要なもの(プライマー及び鋳型以外)を含んでおり;そして
c)前記プライマーがハイブリダイゼーション可能な条件下で前記プライマー及びオリゴヌクレオチドアナログを核酸の前記混合物とともにインキュベートし;そして
d)ハイブリダイズした配列をヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログとともに前記増幅酵素による前記プライマーの3’末端の鋳型伸長(templating extension)に使用し;そして
e)前記核酸、伸長産物及びオリゴヌクレオチドアナログをハイブリダイゼーション可能な条件下でインキュベートし;そして
f)ハイブリダイゼーションを検出し;そして
任意に工程c)からf)までを反復する。
標的及び/又は変異配列の検出又は同定、並びに均一アッセイにおける最適読み取り温度範囲の迅速な決定のための普遍的な手法を提供することはさらに本発明の目的であり、該手法は上に記載されるハイブリダイゼーションを検出する方法を含み、次の工程が最終工程の後に追加される:
5)前記混合物を変性し、設定温度まで急速に冷却する(親和温度(affinity temperature)よりも高い温度から開始);そして、
6)前記シグナリングペアからのシグナルを測定し;そして、
7)工程1)から3)を反復し、温度が前記親和温度よりも低くなるまで工程1)における温度を次第に下げてゆくことによりシグナリングペアを含む前記核酸アナログの親和性を決定する。
また、
a)連続したn個のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの配列並びに少なくとも1個の疎水性ヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドアナログが共有結合的に2つの部分で構成されるシステムからなるシグナリングペアに連結しており、
ここで、前記疎水性ヌクレオチドが一般構造
X−Y−Q
[ここで、
Xはヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ、又は核酸若しくは核酸アナログの主鎖に組み込まれ得る主鎖モノマー単位であり、
Qは特定のワトソン・クリック水素結合には関与しない疎水性分子であり;そして、
Yは前記ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを連結するリンカー部分である]
を有しており;そして、
nは少なくとも6の整数であり;そして、
前記ヌクレオチドアナログが標的配列にハイブリダイズしていない場合の方が、前記ヌクレオチドアナログが標的配列にハイブリダイズしている場合よりも、前記シグナリングペアの前記の2つの部分が互いに近接している
オリゴヌクレオチドアナログを提供し;そして、
b)前記オリゴヌクレオチドアナログの標的配列を潜在的に含んだ核酸の混合物を提供し;そして、
c)前記核酸及び前記オリゴヌクレオチドアナログをハイブリダイゼーション可能な条件下でインキュベートし;そして、
d)前記シグナリングペアの前記部分同士が近接しているかどうかを決定することによりハイブリダイゼーションを決定し;
e)それによってハイブリダイゼーションを決定する
工程を含む、ハイブリダイゼーションを決定するための方法を提供することも本発明の目的である。
また、
1)標的配列及び/又は変異配列を検出、同定及び/又は定量するために用いるのに望ましい核酸の混合物を提供し;そして、
2)1組のプライマー、増幅酵素を含んだ増幅緩衝液、及びオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを提供し、ここで前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログがヌクレアーゼ抵抗性であり、及び/又は前記増幅酵素がヌクレアーゼ活性を何も含まず;そして、
3)ハイブリダイゼーション可能な条件下で前記プライマー及びオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを核酸の前記混合物とともにインキュベートし;そして、
4)ハイブリダイゼーションを検出し;そして、
5)所望の伸長温度に達するまで一定の間隔でシグナル強度を測定しながら徐々に温度を上昇させ;そして、
6)前記伸長反応を終了させ、形成されたアンプリコンを変性し、工程c)からf)を所望の増幅が生ずるまで反復する
工程を含む、増幅反応における検出、同定又は定量、及び最適読み取り温度範囲の迅速な決定のための普遍的な方法を提供することも本発明の目的である。
また、
1)任意に前記標的配列を含んだ核酸配列の混合物を提供し;そして、
2)1組のプライマー、増幅酵素を含んだ増幅緩衝液、及びオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを提供し、ここで前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは前記標的配列又はそれに相補的な配列とハイブリダイズすることが出来、前記増幅酵素がヌクレアーゼ活性を有する場合、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログはヌクレアーゼ抵抗性であり;そして、
3)ハイブリダイゼーション可能な条件下で前記プライマー及びオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを核酸の前記混合物をともにインキュベートし;そして、
4)ハイブリダイゼーションを検出し;そして、
5)所望の伸長温度に達するまで一定の間隔でハイブリダイゼーションを検出しながら徐々に温度を上昇させ;そして、
6)前記伸長反応を終了させ、形成されたアンプリコンを変性し、工程3)から6)を所望の増幅が生ずるまで反復する
工程を含む、標的配列の増幅のための方法を提供することも本発明の目的である。
さらに、本発明の少なくとも2つのステムレスビーコンの使用が一塩基多型の特徴付け及び他の極めて類似した核酸同士の識別にどのように用いられ得るのかについて開示される。従って、核酸の混合物に対し少なくとも2つの、それぞれ異なったシグナリングペアで標識された、期待される可能な遺伝子型それぞれに対し相同で相補的なステムレスビーコンを提供することが本発明の第3の目的である。
ステムレスビーコンを含んだキットを提供することが本発明の第4の目的である。
発明の詳細な説明
核酸
「核酸」という語は天然の核酸、DNA及びRNAを包含し、メチル化DNA、付加物を有するDNA及びタンパク質に共有結合的に結合したRNA等の、しかしこれらに限定される物ではないDNA及びRNAの天然の誘導体を含む。「核酸アナログ」という語は天然の核酸、DNA及びRNAの合成誘導体及びアナログを包含する。合成アナログは1又は複数個のヌクレオチドアナログを含む。
「ヌクレオチド」という語は一般的に天然のヌクレオチド、例えば天然のリボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチドの天然の誘導体を指す。「ヌクレオチドアナログ」という語は、基本的に天然のヌクレオチドと同様に、核酸主鎖に組み込まれ得る、また特異的に塩基対形成し得る(下記参照)全てのヌクレオチドアナログを含む。「疎水性ヌクレオチド」という語は詳細を下に記す疎水性ヌクレオチドを指す。疎水性ヌクレオチドは一般的に天然のものではない。
「オリゴヌクレオチド」という語はヌクレオチドのオリゴマーを指す。「オリゴヌクレオチドアナログ」という語は少なくとも1個の疎水性ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ及び/又は偽ヌクレオチド並びに任意に天然のヌクレオチドを含んだオリゴヌクレオチドを指す。
従って、「核酸」又は「核酸アナログ」という語は基本的に複数のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ及び/又は疎水性ヌクレオチドからなるあらゆる分子を表す。疎水性ヌクレオチドについては以下に詳細に記載する。本発明の核酸又は核酸アナログは、異なる主鎖モノマー単位を有するさらなる各種ヌクレオチド及びヌクレオチドアナログを含んでいてもよい(下記参照)。
好ましくは、本発明の核酸又は核酸アナログは、実質的に相補的な1本鎖核酸及び/又は核酸アナログとハイブリダイズして2本鎖核酸又は核酸アナログを形成し得る。より好ましくは、このような2本鎖アナログは二重らせんを形成し得る。好ましくは、該二重らせんは水素結合により形成され、より好ましくは該二重らせんはA型、B型、Z型及びその中間型からなる群より選択される二重らせんである。
従って、本発明の核酸及び核酸アナログは、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、INA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA(Rは置換基)、α−L−RNA、α−D−RNA、β−D−RNA;及びその混合物;並びにそのハイブリッド;さらにホスホロチオエート類、メチルホスホレート類(methyl phospholates)、ホスホルアミジエート類(phosphoramidiates)、ホスホロジチエート類(phosphorodithiates)、ホスホロセレノエート類、ホスホトリエステル類及びホスホボラノエート類(phosphoboranoates)等の、しかしこれらに限定されないそのリン原子修飾物;から選択される核酸及び/又は核酸アナログの種類を含むがそれらに限定されない。さらに、メチルイミノメチル、ホルムアセテート(formacetate)、チオホルムアセテート(thioformacetate)及びアミド類を含む連結基等の、しかしこれらに限定されないリン非含有化合物をヌクレオチド連結のために用いてもよい。特に、核酸及び核酸アナログは1又は複数個の本発明の疎水性ヌクレオチドを含んでいてもよい。
この文脈において、「混合物」とは、異なった種類のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを含んだ核酸又は核酸アナログの鎖を包含した意味で用いられる。また、この文脈において、「ハイブリッド」とは、1又は複数種類の主鎖を有するヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを含んだ1本の鎖と、異なった種類の主鎖を有するヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを含んだ他の鎖とを含む核酸又は核酸アナログを包含した意味で用いられる。「デュープレックス」という語により、鎖が好ましくは同一種類の核酸及び/又は核酸アナログからなる、核酸及び/又は核酸アナログの2本の鎖のハイブリダイゼーション産物が意味される。
HNAとは、例えばVan Aetschotほか,1995により記載された核酸を意味する。MNAとは、Hossainほか,1998により記載された核酸を意味する。ANAはAllertほか,1999により記載された核酸を示す。LNAはWO 99/14226(Exiqon)に記載された任意のLNA分子であってよく、好ましくはLNAはWO 99/14226の要約に示された分子から選択される。より好ましくはLNAはSinghほか,1998、Koshkinほか,1998又はObikaほか,1997に記載された核酸である。PNAは例えばNielsenほか,1991に記載されたペプチド核酸を示す。INAは特許WO 03/051901に記載されたインターカレーター偽ヌクレオチドを含んだ核酸を示す。
「ヌクレオチド」という語は核酸又は核酸アナログの構成要素を表し、ヌクレオチドという語は天然のヌクレオチド及びその誘導体、並びに天然のヌクレオチド及びその誘導体と基本的に同一の機能を演じ得るヌクレオチドを包含する。しかし一般的に、そしてより好ましくは、ここで用いられる「ヌクレオチド」という語は天然のヌクレオチド及びその天然の誘導体のみを示す。天然のヌクレオチドには、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)又はシトシン(C)という4種の核酸塩基のうち1種を有するデオキシリボヌクレオチド、及びアデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)又はシトシン(C)という4種の核酸塩基のうち1種を有するリボヌクレオチドが含まれる。
ヌクレオチドアナログは核酸主鎖に組み込む事が出来、また特異的に塩基対形成し得るどのようなヌクレオチド様分子であってもよい。
本発明の非天然ヌクレオチド(ヌクレオチドアナログ)には、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、INA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA(Rは置換基)、α−L−RNA、α−D−RNA、β−D−RNAから選択されるヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない。
本発明のヌクレオチド及びヌクレオチドアナログの機能は、前記相補的ヌクレオチドの核酸塩基の水素結合により相補的ヌクレオチドと特異的に相互作用し得ること、及び核酸又は核酸アナログに組み込まれ得ることである。天然のヌクレオチド、及びヌクレオチドアナログの一部は酵素的に、例えばRNA又はDNAポリメラーゼにより、核酸又は核酸アナログに組み込まれ得る。しかし、ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログは化学的にも核酸又は核酸アナログに組み込まれ得る。
さらに、核酸又は核酸アナログは2つのより小さな核酸又は核酸アナログを他方に連結させることにより調製することが出来、例えばこれは酵素的にリガーゼによって行うことが出来、又は化学的に行うことが出来る。
ヌクレオチド及びヌクレオチドアナログは主鎖モノマー単位及び核酸塩基を有する。該核酸塩基は天然の核酸塩基若しくはその誘導体、又は基本的に同一の機能を演ずることの出来るそのアナログであり得る。核酸塩基の機能は水素結合により1又は複数種の他の核酸塩基と特異的に結合し得ることである。従って、1又は少数種の他の核酸塩基とのみ安定な水素結合を形成することが出来、通常は自身を含めた他のほとんどの核酸塩基とは安定な水素結合を形成し得ないことが核酸塩基の重要な特徴である。1個の核酸塩基の他の核酸塩基との特異的相互作用は一般的に「塩基対形成」と呼ばれる。
塩基対形成は相補的ヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションをもたらす。本発明の相補的ヌクレオチドは塩基対形成し得る核酸塩基を含んだヌクレオチドである。
天然のヌクレオチドの核酸塩基間の塩基対形成はここでワトソン・クリック水素結合とも表される。ワトソン・クリック水素結合はDNAにおいてはアデニン(A)がチミン(T)と塩基対を形成し、グアニン(G)がシトシン(C)と塩基対を形成することを伴う。RNAにおいてはチミンウラシル(U)に置き換わる。
このように、天然の核酸塩基であるアデニン(A)はチミン(T)又はウラシル(U)と対を形成する;また、グアニン(G)はシトシン(C)と対を形成する。従って、例えばAを含んだヌクレオチドはT又はUのいずれを含んだヌクレオチドに対しても相補的であり、またGを含んだヌクレオチドはCを含んだヌクレオチドに対し相補的である。
本発明のヌクレオチドはさらに付加的な分子的構成要素を含むように誘導体化され得る。該ヌクレオチドは核酸塩基上又は主鎖モノマー単位上で誘導体化され得る。該塩基上の誘導体化の好ましい部位はアデニンの8位、ウラシルの5位、シトシンの5位又は6位、及びグアニンの7位である。複素環修飾は、塩基スタッキングの強化、追加の水素結合及びこれらの組み合わせという3つの構造クラスに分類され得る。平面系(planar systems)π電子雲の拡張により塩基スタッキングを強化する修飾はピリミジンの5位及び7−デアザプリンの7位における共役の親油性修飾(conjugated, lipophilic modifications)に代表される。ピリミジンの5位における置換の修飾としては、プロピン、ヘキシン、チアゾール、又は単にメチル基等が挙げられる;また、7−デアザプリンの7位における置換基としては、ヨード、プロピニル、及びシアノ基等が挙げられる。シトシンの5位をプロピンから5員複素環及び3環結合系(tricyclic fused systems)(4位及び5位から発する)(シトシンクランプ(cytocine clamps)へと修飾することも可能である。第2の種類の複素環修飾は、GC塩基対の3つの水素結合と類似してAT塩基対において追加のアミノ基がもう1個の水素結合を提供する、2−アミノ−アデニンに代表される。効果の組み合わせを提供する複素環修飾は2−アミノ−7−デアザ−7−修飾アデニン、及びヘテロ2本鎖のエトキシアミノ官能基を有する3環系シトシンアナログに代表される。さらに、N2修飾2−アミノアデニンで修飾されたオリゴヌクレオチドが一般的な修飾の例として挙げられる。リボース又はデオキシリボース部分の誘導体化の好ましい部位は非結合炭素部位C−2’及びC−4’の修飾、結合炭素C−1’、C−3’及びC−5’の修飾、糖酸素、O−4’の置換、無水糖修飾(コンフォメーション制限(conformational restricted))、シクロ糖(cyclosugar)修飾(コンフォメーション制限)、リボフラノシルの環の大きさの変化、結合部位−糖から糖へ、(C−3’からC−5’へ/C−2’からC−5’へ)、ヘテロ原子環−修飾糖及び上記修飾の組み合わせである。しかし、核酸又は核酸アナログの全体としての塩基対形成特異性が乱されない限りは他の部位を誘導化してもよい。最後に、前記主鎖モノマー単位がリン酸基を有する場合、一部の主鎖モノマー単位のリン酸エステルを誘導体化しても良い。
偽ヌクレオチドは核酸又は核酸アナログに挿入され得るヌクレオチドアナログであるが、核酸塩基は含まない。偽ヌクレオチドはそれ自身の主鎖モノマー単位、例えば本発明の疎水性ヌクレオチドに結合した疎水性分子であってよい。偽ヌクレオチドは通常化学的にのみ挿入され、天然の酵素によって極めてまれに認識される。
ここで用いられるオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは基本的にヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ及び/又は偽ヌクレオチドの配列からなる分子である。好ましくは、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは上で定義された3−200、5−100、6−30個の個々のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ及び/又は偽ヌクレオチド及び/又は疎水性ヌクレオチドを含む。
標的核酸
標的核酸又は標的核酸アナログとは、1又は複数種のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログ、例えばプライマー又はプローブのハイブリダイゼーションのための1又は複数個のサイト/配列を含んだ核酸又は核酸アナログを表す。標的配列はRNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、cDNA、ミトコンドリアDNA、亜硫酸水素塩処理DNAを含むがこれらに限定されない任意の核酸又は核酸アナログ中に見いだされ得、例えばコーディング配列若しくはその調節配列等の野生型若しくは突然変異遺伝子配列;又は例えばPCRで増幅されたもの等の増幅された核酸配列、;又は例えばDNAの亜硫酸水素塩処理のようにDNAの化学的組成を変え得る試薬で処理した修飾DNAを含み得る。標的配列はどのような長さでもよい。記載のサイトは連続した配列であってもそうでなくともよい。例えば前記サイトは任意の数のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログによって隔てられた複数の連続部分配列からなっていてもよい。しかし、好ましくは該標的配列は連続的である。優先的には、前記オリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログによるその特定の標的核酸又は標的核酸アナログ上の全ての部分配列からなる記載のサイトの全長は典型的には100ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ未満である。
本発明の少なくとも1個のシグナリングペア及び少なくとも1個の疎水性分子を含んだヌクレオチドアナログは標的核酸とは見なされない。
変異配列
本発明の「変異配列」という語は、特定の標的配列から少なくとも1、例えば1、例えば2、例えば3、例えば4、例えば5、例えば6、例えば7、例えば8、例えば9、例えば10、例えば10ないし20、例えば20ないし50、例えば50超などの核酸塩基の差で異なった配列を包含する。例えば本発明の変異配列は1又は複数個の突然変異を含んでいてもよい。
「突然変異」という語は、特定の標的配列と比較して1又は複数個のヌクレオチドがもう一方の1又は複数個の他のヌクレオチドに対して変化していることを包含する。さらに、「突然変異」という語は核酸内のヌクレオチドの欠失及び付加、例えば標的配列と比較した際のヌクレオチドの欠失又は付加を包含する。さらに、メチル化様式における変化も包含する。
前記標的配列は多型サイトを含んでいてもよく(下記詳細参照)、従って前記標的配列は1個の多型を含み得るが、「変異配列」は別の多型を含み得る。
一態様においては、前記標的配列は野生型配列、即ち最も頻繁に天然に存在する配列であり、一方で前記変異配列は該野生型配列と比較して1又は複数個の突然変異を有する。従って、本発明の突然変異は一態様において一塩基多型(SNP)等の多型であってよい。例えば前記多型は特定のDNAプロファイルの指標であり得る。特定のDNAプロファイルの知見は例えば個体を識別するのに用いられ得る。例えば特定のDNAプロファイルは犯罪者若しくは潜在的な犯罪者を識別すること又は死体若しくは死体の一部を識別することに用いられ得る。
別の態様においては突然変異はヌクレオチドのメチル化又は脱メチル化に関する。従って、本発明の突然変異は一態様においてはCpGデュプレットのメチル化等のヌクレオチドのメチル化状態であってよい。例えばメチル化は特定のDNAプロファイルの指標であり得、そのプロファイルに関する知見は病状の指標であり得る。メチル化状態の検出は亜硫酸水素ナトリウム等の試薬を用いて処理することにより非メチル化CpGをdUpGデュプレットに変換した後に行われることが多い。
さらに、特定のDNAプロファイルを用いて個体間の関係、例えば親子関係又はより離れた関係を決定することが出来る。関係は異なる種間又は任意の種の異なる集団間の関係であってもよい。
一態様においては前記突然変異は病態の指標であってよく、又は前記突然変異は病態のリスクの増大の指標であってもよい。
前記病態は例えば腫瘍性疾患;神経変性疾患;循環器疾患;及び糖尿病を含む代謝異常;からなる群より選択されるものであってよい。
さらに、前記突然変異は所定の薬物療法に対する特定の反応の指標であってよい。例えば、前記突然変異は個体に前記薬物療法が効果を示すか、又は個体が特定の薬物療法に対し耐え得ないかということに対する指標であってもよい。
多型サイト
本発明において、「多型サイト」という語は、核酸における目的の特定部位を包含するものである。多型サイトは例えばヌクレオチドの性質が研究者にとって重要である一塩基多型(SNP)等の公知の多型の特定部位であり得る。それは他の理由により研究者にとって重要である核酸中の特定部位でもあり得る。従って、前記多型サイトは利用者が複数のあり得る標的間を識別しようとする際に本発明のステムレスビーコンを用いてその情報を得る部位である。多型サイトはヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、核酸又は核酸アナログ中の目的のどのようなサイトであってもよい。
従って本発明によると、多型サイトは、該サイト内の1又は複数部位においていくつかの異なったヌクレオチドのうち一つを含み得、どのヌクレオチドが該サイト内に含まれるか決定することが目的であるサイトである。
前記多型サイトは少なくとも2個、例えば2ないし10個の範囲、例えば2ないし5個の範囲等の、1又は複数個よりも多いヌクレオチド/ヌクレオチドアナログを含んでいてもよい。
従って、実施例に基づき、任意の標的配列内の特定部位がA又はGであるか決定する目的の場合、この特定サイトを本発明の「多型サイト」と呼ぶ。
当業者は容易に多型サイトを同定し得る。
試料材料の説明
本発明は、特異的標的配列を含む核酸又は核酸アナログを検出する方法並びに特異的標的配列を含む核酸又は核酸アナログと変異配列を含む核酸とを識別する方法を提供する。前記標的配列は、核酸及び/又は核酸アナログを含む任意の有用な混合物中で検出することができる。
混合物は細胞内に、例えば、無傷細胞内に含まれてよい。細胞は、例えば、原核細胞又は植物細胞若しくは哺乳動物細胞などの真核細胞であってよい。そのような態様において、本発明の方法はin situハイブリダイゼーションのために使用することができる。
混合物は、例えば、検査する核酸又は検査する核酸アナログの試料であってよい。前記試料は、例えば、合成的に調製された試料であってよく、それはin vitroでさらに処理されていても又は処理されていなくてもよい。検査する核酸又は核酸アナログの試料は任意の核酸又は核酸アナログ、例えば、DNA、RNA、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリ-シクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ [3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA、α−L−RNA、α−D−RNA、β−D−RNA及びそれらの混合物及びそれらのハイブリッドを含んでよい。
哺乳動物例えばヒトなどの個体のDNA又はRNAを検査することが望ましいことがしばしばある。その場合、検査する核酸又は核酸アナログの試料は前記個体由来の試料である。試料は、体液試料例えば血液試料など、生検試料、毛髪、爪等の試料又は任意の他の試料由来であってよい。
試料は、対応する標的核酸及び/又は核酸アナログ及び/又はそれらの変異体の存在の検出に先立ってin vitroで処理することができる。例えば、試料は、核酸を試料から完全に又は部分的に精製することができる1つ又は2つ以上の精製プロセスにかけることができる。さらに、試料は、核酸量が増幅される増幅ステップ、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応又は任意の他の適当な増幅プロセスにかけてあってもよい。そのような方法は当業者に周知であり、例えば、Sambrook J ほか 2000.Molecular Cloning;A Laboratory Manual(Third Edition),Cold Spring Habor Laboratory Pressに記載されている。
本発明の一つの好ましい態様において、検査する核酸試料は、ゲノムDNA又はゲノムDNAのPCR増幅産物などのゲノムDNAの増幅産物からなる群から選択される。
この方法は検出に先立つ分離ステップを含んでよく、そのステップで、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログがハイブリダイズしなかったオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログから分離され、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのみの特異的検出を容易にすることができる。例えば、核酸の混合物を、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログとのハイブリダイゼーションに先立って固相上に固定化することができる。ハイブリダイゼーション後に、ハイブリダイズしなかったオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを洗い去り、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを検出することができる。
しかしながら、分離ステップなしで検出を実施することも、本発明の中に含まれる。したがって、核酸混合物、本発明のオリゴヌクレオチドアナログ及び他の必要な試薬の添加後に、密閉したチューブ中で検出を実施することができる。そのような方法は、本明細書中では均一法(homogeneous method)とも称する。
標的DNAは、例えば、特定の遺伝子、遺伝子断片、マイクロサテライト又は任意の他のDNA配列であってよい。特に興味深いのは、真核生物、原核生物、古細菌又はウイルス由来であってよい特定のDNAの検出である。重要なこととして、本発明は、特定の微生物に関連することが知られている特定の配列をアッセイすることにより、種々の感染性疾患の診断及び/又は遺伝子型同定に役立ち得る。標的DNAは、核酸(RNA及びDNA)及び非核酸の複雑な生物学的混合物、例えば、無傷細胞又は粗細胞抽出物で提供することができる。
標的DNAが二本鎖であるか、そうではなくとも有意な二次及び三次構造を有している場合には、ハイブダイゼーションに先立って加熱する必要があることがある。この場合、オリゴヌクレオチドアナログを含むハイブリダイゼーション媒質中に核酸を導入する前又は後に加熱することができる。場合によっては、当技術分野で既知の任意の方法により、バックグラウンドの干渉を減ずるために、ハイブリダイゼーションアッセイに先立って複雑な生物試料から核酸を抽出することが望ましいこともある。
本発明のハイブリダイゼーション及び抽出方法は、核酸(DNA及び/又はRNA)及び非核酸の複雑な生物学的混合物に適用することができる。そのような複雑な生物学的混合物は、プロトプラストを含む広範囲の真核及び原核細胞、又は標的デオキシリボ核酸を収容し得る他の生物学的材料を含む。したがって、本発明の方法は、組織培養動物細胞、動物細胞(例えば、血液、血清、血漿、網状赤血球、リンパ球、尿、骨髄組織、脳脊髄液、又は血液若しくはリンパ液から調製した任意の生成物)又は任意のタイプの生検組織(例えば、細胞溶解緩衝液中にホモゲナイズされた、筋肉生検、肝生検、腎生検、膀胱生検、骨生検、軟骨生検、皮膚生検、膵生検、腸管生検、胸腺生検、乳房生検、子宮生検、精巣生検、眼生検又は脳生検)、植物細胞又は浸透圧ショックに敏感な他の細胞及び細菌、酵母、ウイルス、マイコプラズマ、原生動物、リケッチャ、菌類の細胞及び他の小さな微生物細胞等に適用可能である。本発明のアッセイ及び分離手順は、例えば、関心のある非病原性又は病原性微生物を検出するために有用である。疎水性ヌクレオチド含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと生物試料中に存在する核酸との間の特異的なハイブリダイゼーションを検出することにより、微生物の存在を確認することができる。
本発明の1態様においては、本明細書に記載したオリゴヌクレオチドアナログを使用して、所与の時間に所与の標的核酸の量を検出することが望ましい。このことは、前記オリゴヌクレオチドアナログからのシグナルを定量化することにより、又は例えば、リアルタイムPCRにおける検出可能なシグナルを発生させるために、所与の標的核酸のどれだけの増幅が必要であるかを見極めることにより、実行することができる。しかし、他の定量手段も使用することができる。
相同な核酸
核酸、核酸アナログ、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、それらがハイブリダイズすることができるとき、それらは相同相補的(homologous complementary)であると言われる。相同相補的な核酸、核酸アナログ、又はオリゴヌクレオチドアナログは、低いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズできることが好ましく、相同相補的な核酸、核酸アナログ、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズできることがより好ましく、相同相補的な核酸、核酸アナログ、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズできることがより好ましい。
核酸ハイブリダイゼーションの当業者は、例えばホルムアミドのような変性剤の濃度、塩濃度(即ちイオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pH及びカオトロープの存在若しくは不存在を含むハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを課する又は制御するために通常使用される要因を承知している。プローブの核酸塩基配列のその標的配列へのハイブリダイゼーションのための最適ストリンジェンシーは、これらの要因又はこれらの要因の幾つかを一つ一つ変化させることにより見出されることが多い。
本明細書中で使用される高いストリンジェンシーとは、例えばSouthern E.M.,1975,J.MoI.Biol.98;503−517により記載されたサザンブロット及びハイブリダイゼーションに関して通常適用されるストリンジェンシーに比較して同程度、又は少なくとも同程度にストリンジェントなストリンジェンシーを意味するものとする。そのような目的のために、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションのステップを含むのが、通常の慣行である。通常、そのようなステップは、参照により本明細書に組み込む、“Molecular Cloning/A Laboratory Manual”,(Cold Spring Harbor)中にSambrook ほか,1989により記載されているように、6×SSPE、5%デンハート液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、100μg/ml変性サケ精巣DNAを含む溶液を使用して実施され(42℃で18時間インキュベーション)、続いて2×SSC及び0.5%SDSで洗浄され(室温及び37℃で)、0.1×SSC及び0.5%SDSで洗浄される(68℃で30分間インキュベーション)。
本明細書中で使用する中程度のストリンジェンシー条件とは、1mM EDTA、10mM NaHPOO、140mM NaClをpH 7.0で含む緩衝液、又はハイブリダイゼーションのストリンジェンシーにほぼ同じ影響を有する、これと同様な緩衝液中におけるハイブリダイゼーションを意味するものとする。およそ1.5μMの各核酸又は核酸アナログ鎖が提供されることが好ましい。あるいは、中程度のストリンジェンシーは、50mM KCl、10mM TRIS−HCl(pH 9.0)、0.1%TritonX−100、2mM MgClを含む緩衝液中におけるハイブリダイゼーションを意味してもよい。
本発明による低いストリンジェンシーとは、1M NaCl、10mM NaPOで構成されるpH7.0の緩衝液、又はハイブリダイゼーションのストリンジェンシーにほぼ同じ影響を有する、これと同様な緩衝液中におけるハイブリダイゼーションを意味するものとする。
あるいは、相同相補的核酸、核酸アナログ、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、所与の配列にわたって、例えば70%を超える相補性、例えば75%を超える相補性、例えば80%を超える相補性、例えば85%を超える相補性、例えば90%を超える相補性、例えば92%を超える相補性、例えば94%を超える相補性、例えば95%を超える相補性、例えば96%を超える相補性、例えば97%を超える相補性など、互いに実質的に相補的な核酸、核酸アナログ、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログである。
前記の所与の配列は、少なくとも4ヌクレオチドの長さ、例えば少なくとも7ヌクレオチド、例えば少なくとも10ヌクレオチド、例えば少なくとも15ヌクレオチド、例えば少なくとも20ヌクレオチド、例えば少なくとも25ヌクレオチド、例えば10ないし500ヌクレオチド、例えば4ないし100ヌクレオチドの長さ、例えば6ないし30ヌクレオチドの長さなどであることが好ましい。相同相補的オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、それらの全長にわたって実質的に相同相補的であることがより好ましい。
ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログの配列は、ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログの第1の配列の全ての核酸塩基が第2の配列の全ての核酸塩基とワトソン−クリック水素結合を形成し得るとき、もう一方のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログの配列と相補的であると言われる。
ハイブリダイゼーションの特異性
核酸及び/又は核酸アナログ及び/又はオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログのハイブリダイゼーションの特異性とは、前記のハイブリダイゼーション事象が、相同相補的ハイブリダイゼーション相手同士を、それらの配列の相違によって所与のストリンジェンシー条件下で区別する能力を意味する。しばしば、核酸及び/又は核酸アナログ及び/又はオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログの混合物中でただ一つの特定の配列(標的配列)を標的とし、他の配列とのハイブリダイゼーションは、たとえそれらが前記標的配列に強い類似性を有していても回避することが意図である。時には、ハイブリダイゼーションのために使用される配列領域中の標的及び非標的配列の間でただ1つ又は僅かのヌクレオチドが相違しているだけである。
本明細書中で使用されるハイブリダイゼーションにおける高度の特異性とは、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが相同な標的配列と、1つ又は僅かの塩基置換により前記標的配列と相違するだけの殆んど同一の任意の配列に対するよりも有意によくハイブリダイズするであろう条件、例えば高度のストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションのことを指す。
クロスハイブリダイゼーション
クロスハイブリダイゼーションという用語は、少なくとも2つの核酸及び/又は核酸アナログの間の期待されないハイブリダイゼーションを包含し、即ち、クロスハイブリダイゼーションは分子間ハイブリダイゼーションを意味することもある。したがって、クロスハイブリダイゼーションという用語は、例えば、核酸プローブ又は核酸アナログプローブ配列のその意図した標的配列以外の他の核酸配列及び/又は核酸アナログ配列へのハイブリダイゼーションを記述するために使用することができる。
クロスハイブリダイゼーションは、プローブと1つ又は2つ以上の相同相補的非標的配列との間で、たとえこれらがプローブとその相補性標的配列との間よりも低い程度の相補性を有していても、しばしば起こる。この望まれない結果は、標的に対する大過剰のプローブ及び/又は急速なアニーリング速度が原因となっている可能性がある。クロスハイブリダイゼーションは、僅かな核酸塩基対の間の、例えばPCR反応におけるプライマー間の水素結合によっても起こり、その結果としてプライマーダイマー形成及び/又は非特異的PCR産物の生成が起こる。
特に、同タイプのヌクレオチドアナログに対して高い親和性を有する1つ又は2つ以上のヌクレオチドアナログを含む核酸は、塩基対形成に基づく2量体又はより高次の複合体を形成する傾向がある。特に、限定するものではないが、DNA、RNA、2’−O−メチルRNA、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA及びそれらの混合物などのヌクレオチドアナログを含むプローブは、同タイプの主鎖モノマー単位を含む他のオリゴヌクレオチドアナログにハイブリダイズするための高い親和性を通常有している。したがって、たとえ個々のプローブ分子が低度の相補性を有するだけでも、それらはハイブリダイズする傾向がある。
自己ハイブリダイゼーション
自己ハイブリダイゼーションという用語は、核酸又は核酸アナログ分子が、自分自身に折り返されて例えばヘアピン構造のような二次構造を生ずることにより自身にアニールする過程を包含し、即ち、自己ハイブリダイゼーションは分子内ハイブリダイゼーションと定義することもできる。大抵の応用において、自己ハイブリダイゼーションを回避することは重要である。前記の二次構造の生成は、所望の核酸標的配列とのハイブリダイゼーションを阻害し得る。このことは、大部分のアッセイにおいて、例えば、核酸若しくは核酸アナログがPCR反応におけるプライマーとして、又はエキソヌクレアーゼアッセイのためのフルオロフォア/クエンチャー標識プローブとして使用されるとき、望ましくない。両方のアッセイにおいて、自己ハイブリダイゼーションは、標的核酸に対するハイブリダイゼーションを阻害する可能性があり、その結果エキソヌクレアーゼアッセイにおけるシグナル発生の程度が低下する。
特に、同タイプのヌクレオチドアナログに対して高い親和性を有する1つ又は2つ以上のヌクレオチドアナログを含む核酸は、自己ハイブリダイズする傾向がある。特に、限定するものではないが、2’−O−メチルRNA、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、2’−R−RNA、2’−OR−RNAなどのヌクレオチドアナログを含むプローブは、一般的に自己ハイブリダイズするための高い親和性を通常有している。したがって、たとえ個々のプローブ分子が低度の自己相補性を有するだけでも、それらは自己ハイブリダイズする傾向がある。
幾つかの発明において、ヘアピン構造及び他の二次構造の使用は利益がある。これは、例えば、フルオロフォア及びクエンチャーがオリゴヌクレオチドの各末端に位置して且つオリゴヌクレオチドの1端の配列の短い範囲が前記オリゴヌクレオチドの他端の短い配列に相補的である分子ビーコンの場合である。オリゴヌクレオチドの各末端における2つの配列は、標的核酸(ステムを作る2つの部分を分離する配列に対して相補的)が存在しないときに、互いにハイブリダイズして、ステム構造を作り、フルオロフォアとクエンチャーとを互いに近接位置にもたらすであろう。
分子ビーコンと同様に、疎水性分子の存在により促進され又は増強された「自己ハイブリダイゼーション」も、しばしば望ましい結果であり、例えば、プローブが結合していないときに、本明細書中に記述するステムレスビーコン中のシグナリングペアのより有効な相互作用をもたらす。したがって、オリゴヌクレオチドアナログが、前記オリゴヌクレオチドアナログの望ましい3次元構造の形成を促進し得る、1つ又は2つ以上の疎水性ヌクレオチドを含むことは本発明の中に含まれる。本発明において、疎水性分子は、結合していないプローブ中のシグナリングペア間の十分な相互作用を確実にするという、分子ビーコン中のステムの役割と同様な役割を有し得る。したがって、本発明の記載中において、望ましい疎水性自己ハイブリダイゼーション(真の自己ハイブリダイゼーションではなく、むしろ自己相互作用)と水素結合により惹起される望ましくない自己ハイブリダイゼーションとの間が区別される。ヘアピン構造は、通常、ヘアピン中のステム構造を形成する最低3つの相補的塩基対からなり、一方本発明によるステムレスビーコン中の疎水性自己ハイブリダイゼーションは、結合していないプローブのシグナリングペアの相互作用を増大させるために相補的塩基対の塩基対形成に依存していない。
仮に1又は少数の核酸塩基が自己相補的に合致しても、それでも疎水性自己ハイブリダイゼーションと見なされる。
したがって、1態様において、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、前記オリゴヌクレオチドアナログの中に、3ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの連続した配列に相補性である3ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログのもう1つの連続した配列を含まない。本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、前記オリゴヌクレオチドアナログの中に、4ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの連続した配列に相補性である4ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログのもう1つの連続した配列を含まないことが好ましい。例えば、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、前記オリゴヌクレオチドアナログの中に、6ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの連続した配列に相補性である6ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログのもう1つの連続した配列を含まない。例えば、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、前記オリゴヌクレオチドアナログの中に、8ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの連続した配列に相補性である8ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログのもう1つの連続した配列を含まない。例えば、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、前記オリゴヌクレオチドアナログの中に、10ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの連続した配列に相補性である10ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログのもう1つの連続した配列を含まない。
したがって、シグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログであって、前記オリゴヌクレオチドアナログのS/N比が、前記疎水性分子を含まない対応オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比よりも有意に高いか又は低く(1から大きく異なった値)、且つ前記オリゴヌクレオチドアナログがそれらの標的核酸に相同相補的である(標的配列に相同相補的でないステム構造を含まない)オリゴヌクレオチドアナログを提供することが本発明の好ましい態様である。
これは、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、設計が容易で、S/N比を最適化するのにステムが不要であるためそれらの対応する分子ビーコンよりも短く作ることができることを意味する。
融解温度
核酸及び核酸アナログの融解は、二本鎖核酸分子の2本の鎖の熱分離に起因する。融解温度(Tm)は、50%ずつのらせん形(ハイブリダイズしている)とコイル形(ハイブリダイズしていない)とが存在する摂氏の温度を表す。
高い融解温度は、安定な複合体を示し、したがって個々の鎖の間の高い親和性を示す。逆に低い融解温度は、個々の鎖の間の比較的低い親和性を示す。したがって2本の鎖の間の強い水素結合は、通常、高い融解温度を生ずる。それに加えて、融解温度は、周囲の物理的/化学的状態に依存する。例えば、融解温度は、通常塩濃度及びpHに依存する。
融解温度は、多くのアッセイにより測定することができ、例えば、UVスペクトルを使用してハイブリダイゼーションの形成及び解体(融解)を決定することにより、又は蛍光により測定することができる。
核酸混合物の存在下で、本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログの融解温度を測定することは、本発明の好ましい態様である。
核酸の混合物からの核酸配列の増幅反応を実施した後に、本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログの融解温度を測定することは、本発明のより好ましい態様である。
a)標的配列又は変異配列の存在を検査するために望ましい、核酸又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
b)1組のプライマー並びに本明細書に記載した少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供するステップであって、ここで前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチドアナログは前記標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズし得るステップ;及び
c)前記プライマー及びオリゴヌクレオチドアナログと核酸及び/又は核酸アナログの混合物とを、前記プライマーの前記核酸及び/又は核酸アナログに対するハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートするステップ;及び
d)前記のハイブリダイズした標的配列を、ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又はオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログとともに前記プライマーの3’末端の鋳型伸長に使用するステップ;及び
e)ステップc)からd)までを、満足な増幅に達するまで繰り返すステップ;及び
f)混合物を変性して前記プローブのその標的配列及び/又は変異配列に対するハイブリダイゼーションを可能にする温度に速やかに冷却するステップ;及び
g)シグナリングペアからのシグナルを測定しながら、その標的配列からオリゴヌクレオチドアナログの融解する温度が測定されるまで温度を上昇させるステップ;
を含む、本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログの融解温度を測定する方法を提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。
さらに、本発明により開示したように、二本鎖核酸の核酸塩基間のインターカレーターのインターカレーション又は疎水性分子のグルーブ結合による疎水性相互作用も、二本鎖核酸を安定化して、その結果より高い融解温度をもたらす。したがって、しばしば、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログとDNAとの間のハイブリッドは、一般に対応するDNA/DNAハイブリッドよりも高い融解温度を有するであろう。
したがって、シグナリングペア及び少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログであって、前記オリゴヌクレオチドアナログの融解温度が、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの融解温度よりも有意に高い、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。
親和性
核酸の親和性は、2本の一本鎖からの二本鎖核酸分子の熱的形成に関連する。
親和性は、50%ずつのらせん形(ハイブリダイズしている)とコイル形(ハイブリダイズしていない)とが存在する摂氏の温度として表示される融解温度(Tm)と類似である。完全な系では、融解温度と親和温度とは等しいか又は同等に近いが、しかし、ときには、その平衡は測定中に到達されず、他の条件又は混合物中に存在する分子がデュープレックスの形成又は変性に影響する可能性がある。
高い親和性は、安定なコンプレックス、したがって個々の鎖の間の高い親和性を示す。逆に低い親和温度は、個々の鎖の間の比較的低い親和性を示す。したがって、2本の鎖の間の強い水素結合は、通常、高い親和性をもたらす。
さらに、本発明により開示したように、二本鎖核酸の核酸塩基間のインターカレーターのインターカレーション若しくは疎水性分子のグルーブ結合による疎水性相互作用も、二本鎖核酸を安定化して、その結果より高い親和性をもたらすことが可能であり、又は疎水性分子による立体効果はより低い親和性をもたらし得る。
それに加えて、親和性は、周囲の物理的/化学的状態に依存する。例えば、親和性は、塩濃度及びpHに通常依存する。
親和性は、多くの方法により測定することができて、例えば、UVスペクトルを使用してハイブリダイゼーションの形成及び解体(融解)を測定することにより、又は2本の鎖のアニーリング又は変性による蛍光の変化により測定することができる。
本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログの、核酸を含む混合物に対する親和性を測定することは、本発明の好ましい態様である。
本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログの、核酸を含む混合物に対する親和性を、増幅反応を実施した後に測定することは、本発明のより一層好ましい態様である。
a)標的配列又は変異配列の存在を検査するために望ましい、核酸又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
b)1組のプライマー並びに本明細書に記載した少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログを供給するステップであって、前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチドアナログは前記の標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズできるセットを供給するステップ;及び
c)前記プライマー及びオリゴヌクレオチドアナログと核酸及び/又は核酸アナログの混合物とを、前記プライマーの前記核酸及び/又は核酸アナログに対するハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートするステップ;及び
d)前記のハイブリダイズした標的配列を、ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又はオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログとともに前記プライマーの3’末端の鋳型伸長に使用するステップ;及び
e)ステップc)からd)までを、満足な増幅に達するまで繰り返すステップ;及び
f)混合物を変性して、親和温度より上で開始するセット温度に速やかに冷却するステップ;及び
g)前記オリゴヌクレオチドアナログがハイブリダイズして直ぐに且つアンプリコンがリアニールする前にシグナリングペアからのシグナルを測定するステップ;及び
h)ステップf)における温度を徐々に低下させながら、温度が親和温度より下の温度に低下するまで、ステップf)からg)までを繰り返すことにより、少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含む前記核酸アナログの親和性を測定するステップ
を含む、本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログの親和性を測定する方法を提供することは、本発明の最も好ましい態様である。
上記の方法は、アンプリコンの再アニーリング及びシグナリングペアを含む前記核酸アナログの排除と関連する問題を克服する利点を有する。
ヌクレアーゼ耐性
ヌクレアーゼ耐性という用語により、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドアナログ、核酸又は核酸アナログの、ヌクレアーゼによる分解に対する耐性が意味される。ヌクレアーゼは、ヌクレオチドの鎖をより小さい単位に分解することにより核酸の加水分解を触媒する酵素に対する総称であって、エンドヌクレアーゼ(内部の結合で核酸を分解し、それにより種々のサイズの断片を生ずるヌクレアーゼ)及びエキソヌクレアーゼ(核酸の1端で開始して一時に1個のヌクレオチドを(順次)遊離させるヌクレアーゼ)の両者を包含する。
ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを細胞抽出物又は単離されたヌクレアーゼ溶液とインキュベートして、時間を経て無変化のオリゴヌクレオチドの残存する程度を、通常、ゲル電気泳動により又は分光学的に測定することにより、日常的に測定される。ヌクレアーゼ耐性を測定する例は、次のステップを含んでよい:
a)オリゴヌクレオチドアナログをゲル精製して、高速液体クロマトグラフで精製された32P−ATPで5’末端標識する。
b)次にオリゴヌクレオチドをヘビ毒ホスホジエステラーゼとインキュベートする。
c)試料を異なる時点で採取して直ちに反応を停止させる。
d)次にオリゴヌクレオチド代謝物を20%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離した後、Phosphor Imager分析により定量する。
高いヌクレアーゼ耐性は、ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログが安定であるか、又は比較し得るDNA配列の同様な条件での分解速度に比較して、ヌクレアーゼによりゆっくりと分解されるだけであることを意味し、一方低いヌクレアーゼ耐性は、ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログが、同様な条件での対応するDNAの分解と同程度の速度でヌクレアーゼにより分解されることを意味する。
本発明の幾つかの態様において、本発明によるヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコン)は、高いヌクレアーゼ耐性を有し、その結果プローブはエンドポイント読み取りに使用して(例えば、増幅反応中に存在した後)、測定後再使用することができ、又はさらなる検証及び/若しくは品質管理のために使用することができることが好ましい。
本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログであって、ヌクレアーゼ耐性が、前記の少なくとも一つの疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのヌクレアーゼ耐性よりも有意に高いオリゴヌクレオチドアナログを提供することが本発明の好ましい態様である。
オリゴヌクレオチドアナログがポリメラーゼの潜在的ヌクレアーゼ活性に対する高いヌクレアーゼ耐性を有する、本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。例えば、TaqDNAポリメラーゼのあるものが有するヌクレアーゼ活性に対するものである。
したがって、本発明の好ましい態様は、核酸の増幅に使用される条件下で比較的安定な、本発明によるシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することである。
前記オリゴヌクレオチドアナログは、増幅反応中に低い程度しか分解しない、例えば0%、例えば最大で1%、例えば最大で3%、例えば最大で5%、例えば最大で7%、例えば最大で10%、例えば最大で15%、例えば最大で25%、例えば最大で50%、例えば0%と25%の間、例えば0%と15%の間、例えば0%と10%の間、例えば0%と5%の間しか分解しないような高いヌクレアーゼ耐性を有することが好ましい。好ましくは、上述の分解は、所与のヌクレアーゼ、好ましくはエキソヌクレアーゼ、例えばTaqポリメラーゼとの、ヌクレアーゼ活性を許容する条件下でのインキュベーション後に得られる。
しばしば、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、その中に挿入された疎水性ヌクレオチドアナログの直近でヌクレアーゼ活性に耐性である。したがって、ヌクレアーゼが5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を含む場合、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、5’末端に近い少なくとも一つの疎水性ヌクレオチド、例えば、5’末端から9個以内、好ましくは6個以内、より好ましくは4個以内、例えば2個以内のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログに位置する疎水性ヌクレオチドを含むことが好ましい。同様に、ヌクレアーゼが5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を含む場合、本発明によるオリゴヌクレオチドアナログは、3’末端に近い少なくとも一つの疎水性ヌクレオチド、例えば、3’末端から9個以内、好ましくは6個以内、より好ましくは4個以内、例えば2個以内、1個以内などのヌクレオチド又はヌクレオチドアナログに位置する疎水性ヌクレオチドを含むことが好ましい。ヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼ活性を含むならば、そのときはオリゴヌクレオチドアナログが前記エンドヌクレアーゼの制限部位の直近に少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドを含むことが好ましい。
最も容易に利用できるリアルタイムPCR装置で、温度を下げながら(標準的な親和性測定をして)、シグナル強度を読み取るためにある程度の時間が必要である。経過時間は、プローブがそれらの標的配列に対し有するよりも通常高い親和温度を有するアンプリコンが再アニールして親和性測定に干渉することを可能にするほど長いことがしばしばある。しかしながら、リアルタイムPCR測定の間、測定条件は、通常、アンプリコンの再アニーリングが大規模に起こることがないようなものである。
それ故、例えば、ヌクレアーゼ耐性プローブを使用して、リアルタイム増幅反応中に、最適読み取り温度範囲を迅速に測定する方法であって、
a)標的配列及び/若しくは変異配列を含む核酸又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
b)シグナリングペアを含み、前記の標的配列及び/若しくは変異配列とハイブリダイズし得る、ヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを供給するステップ;及び
c)混合物を変性して、設定温度(親和温度より上で開始する)に急速に冷却するステップ;及び
d)シグナリングペアからのシグナルを測定するステップ;及び
e)ステップc)からe)までを繰り返し、ステップc)の温度を親和温度より下に下がるまで、徐々に下げることにより、シグナリングペアを含む前記核酸アナログの親和性を測定するステップ;及び
f)例えば前記核酸の増幅反応中の、標的核酸の見出されたアニーリング温度より低く及び/又は変異配列の見出された温度より高い、今後の測定のための温度を推定するステップ
を含む方法を提供することも、本発明の好ましい態様である。
前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログはDNAポリメラーゼのヌクレアーゼ活性に対して、例えば、Taqポリメラーゼに対して耐性であることが好ましい。標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズし得る前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、前記の標的配列及び/又は変異配列と相同相補的であることが好ましい。
シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが、少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドなどの本発明による少なくとも一つの疎水性分子も含むならば、それはより一層好ましい。前記の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドは、本明細書中の上で記載したようなヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドアナログの中に位置することが好ましい。
他の好ましい方法は、測定が親和温度より下で開始されて、温度が、ステップc)からe)までの反復中徐々に上げられるものである。
シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが、増幅反応中に存在する方法も好ましい。前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを入れた同じ容器が、増幅反応中に存在し、増幅反応とアニーリング温度測定の間に容器を開く必要なしで(密閉チューブ反応)上記の方法に使用されるとき、それはより一層好ましい態様である。
設定温度に達してからシグナルを読むまでに経過する時間は、シグナリングペアを含む比較的小さいヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログがその標的にアニールするためには十分長いが、測定を大いに妨害する可能性がある全長のアンプリコンの再アニーリングを可能にする程長くはないということも好ましい。これは、ステップc)で選択された温度に達したとき、ステップd)で測定する前に経過した時間が、1秒、例えば2秒、例えば3秒、例えば4秒、例えば5秒、例えば6秒、例えば7秒、例えば8秒、例えば9秒、例えば10秒、例えば11秒、例えば12秒、例えば13秒、例えば14秒、例えば15秒、例えば最大で1秒、例えば最大で2秒、例えば最大で3秒、例えば最大で4秒、例えば最大で5秒、例えば最大で6秒、例えば最大で7秒、例えば最大で8秒、例えば最大で9秒、例えば最大で10秒、例えば最大で11秒、例えば最大で12秒、例えば最大で13秒、例えば最大で14秒、例えば最大で15秒、例えば1秒と15秒の間、例えば3秒と20秒の間であることを意味する。
プローブの親和温度は、シグナリングペアを含む前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログからのシグナルの変化を、アニーリング温度の変化として観察することにより、当業者により容易に見出される。オリゴヌクレオチドアナログが標的配列とハイブリダイズしていないとき、シグナリングペアの2つの部分は一般に直近にあり、一方オリゴヌクレオチドアナログがその標的配列とハイブリダイズしているとき、シグナリングペアの2つの部分は一般に直近にないので、オリゴヌクレオチドアナログが標的配列とハイブリダイズしているかいないかに依存してシグナリングペアにより発せられるシグナルに相違があるであろう。
例えばリアルタイムPCR反応中の今後の測定における、シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのための測定点として使用される温度は、例えば1℃、例えば2℃、例えば3℃、例えば4℃、例えば5℃、例えば6℃、例えば7℃、例えば8℃、例えば9℃、例えば10℃でよく、例えば10℃を超えて、例えば1℃と10℃の間であり、例えば、前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの、上記の方法を使用して見出された標的配列へのアニーリング温度よりも少なくとも3℃低くてよい。
今後のアルタイムPCR反応における、シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのための測定点として使用される温度は、例えば1℃、例えば2℃、例えば3℃、例えば4℃、例えば5℃、例えば6℃、例えば7℃、例えば8℃、例えば9℃、例えば10℃、例えば10℃を超えて、例えば1℃と10℃の間でよく、例えば、上記の方法を使用して見出された変異配列へのアニーリング温度よりも少なくとも3℃高くてよい。
今後の遺伝子型特異的アルタイムPCR反応における、シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのための測定点として使用される温度は、例えば、上記の方法を使用することにより十分に相補的な標的に対して見出されたアニーリング温度より低く、且つ変異配列に対して見出されたアニーリング温度より高くてよい。
上記の方法は、プローブの標的配列へのアニーリングとそれより遅く生成されるがより安定なデュープレックスアンプリコンの先んずる形成との間の競合の問題を迂回する利点を有する。しかしながら、上記の方法は、常に好ましいとは限らない。それ故、利用可能な装置の柔軟性、ロバストネス及び温度変化速度に依存して、今後の測定における最適測定温度を決定するために融解温度を使用することが好ましいと思われる。
融解温度及び親和温度は、実験における測定温度を決定するための、標的配列の検出のために使用されるプローブの重要な特徴である。したがって、ヌクレアーゼ耐性プローブを使用して、増幅反応における最適読み取り温度範囲を迅速に決定する方法であって、
a)標的配列及び/又は変異配列を含む核酸又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
b)1組のプライマー及びシグナリングペアを含むヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドアナログ(プローブ)を提供するステップであって、ここで前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチドアナログは前記の標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズできるステップ;及び
c)前記プライマー及びプローブと核酸及び/又は核酸アナログの前記混合物とを、前記プライマーの前記核酸及び/又は核酸アナログに対するハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートするステップ;及び
d)前記のハイブリダイズした標的配列を、ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又はオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログとともに前記プライマーの3’末端の鋳型伸長に使用するステップ;及び
e)前記プローブをその標的配列にハイブリダイズさせて、シグナル強度を測定するステップ(例えば、プライマーをハイブリダイズさせたのと同じ温度で);及び
f)所望の伸長温度に達するまである一定間隔でシグナル強度を測定しながら徐々に温度を上昇させるステップ;及び
g)伸長反応を終了して形成されたアンプリコンを変性し、ステップc)からg)までを所望の増幅が起こるまで繰り返すステップ;及び
h)プローブの融解温度を測定するステップ
を含む方法を提供することも、本発明の好ましい態様である。
前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、DNAポリメラーゼのヌクレアーゼ活性に対して、例えばTaqポリメラーゼに対して、耐性であることが好ましい。標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズし得る前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログは、前記標的配列及び/又は前記変異配列と相同相補的であることが好ましい。
シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが、少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドなどの本発明による少なくとも一つの疎水性分子も含むならば、それはより一層好ましい。前記の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドは、本明細書中で上記したようにヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドアナログの中に位置することが好ましい。
プローブをハイブリダイズさせる温度に達してからシグナルを最初に読むまでに経過する時間は、シグナリングペアを含む比較的小さい前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログがその標的にアニールするためには十分長いが、アンプリコンの再アニーリングに測定を有意に妨害させる程長くはないことが好ましい。それに続く温度上昇及び測定は、アンプリコンの再アニーリングを最小化するためにできるだけ迅速に実施すべきである。
ステップe)で選択された温度に達したとき、測定する前に経過した時間は、1秒、例えば2秒、例えば3秒、例えば4秒、例えば5秒、例えば6秒、例えば7秒、例えば8秒、例えば9秒、例えば10秒、例えば11秒、12秒、例えば13秒、例えば14秒、例えば15秒、例えば最大で1秒、例えば最大で2秒、例えば最大で3秒、例えば最大で4秒、例えば最大で5秒、例えば最大で6秒、例えば最大で7秒、例えば最大で8秒、例えば最大で9秒、例えば最大で10秒、例えば最大で11秒、例えば最大で12秒、例えば最大で13秒、例えば最大で14秒、例えば最大で15秒、例えば1秒と15秒の間、例えば3秒と20秒の間であることが好ましい。
ステップf)における好ましい温度上昇は、シグナル強度の各測定に対して、例えば1℃、例えば2℃、例えば3℃、例えば4℃、例えば5℃、例えば6℃、例えば7℃、例えば8℃、例えば9℃、例えば1℃と10℃の間である。
プローブの融解温度は、温度を上昇させた結果として、前記プローブからのシグナルの変化を観察することにより、当業者により容易に見出される。
今後のリアルタイムPCR反応における、シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのための測定点として使用される温度は、例えば0.1℃、例えば0.2℃、例えば0.5℃、例えば1.0℃、例えば1.5℃、例えば2℃、例えば3℃、例えば4℃、例えば5℃、例えば6℃、例えば7℃、例えば8℃、例えば9℃、例えば0.1℃と10℃の間でよく、例えば上記の方法を使用して見出された標的配列に対する融解温度より少なくとも3℃低くてもよい。
今後のリアルタイムPCR反応における、シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのための測定点として使用される温度は、例えば1℃、例えば2℃、例えば3℃、例えば4℃、例えば5℃、例えば6℃、例えば7℃、例えば8℃、例えば9℃、例えば1℃と10℃の間でよく、例えば上記の方法を使用して見出された変異配列に対するアニーリング温度より少なくとも3℃高くてもよい。
今後の遺伝子型特異的アルタイムPCR反応における、シグナリングペアを含む前記のヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを使用する測定点として使用される温度は、例えば、上記の方法を使用することにより十分に相補的な標的に対して見出された融解温度より低く、且つ変異配列に対して見出された融解温度より高い。
ポリメラーゼがエキソヌクレアーゼ活性を有している場合、ヌクレアーゼ耐性でないオリゴヌクレオチドを用いて上記の方法を使用することは、可能ではなく又は少なくとも好ましくない。その場合、プローブは分解されて温度範囲を通してシグナル強度の変化はないか又は僅かしかないであろう。
上記の方法は、増幅反応で使用される条件下で各サイクルに対する異なった温度でデータを提供する利点を有する。それ故、当業者がプローブ及び増幅反応の挙動についての情報を引き出し、それによって設定の最適化を容易に且つ迅速に行うことが出来る。
ヌクレアーゼ耐性であるプローブ又はヌクレアーゼ活性の影響を受けなくしたアッセイの他の利点は、プローブの測定温度をアニーリング温度又は増幅反応の伸長温度と関係づける必要がないことである。さらに、増幅中に2つ以上の異なった測定温度を使用することが可能である。2つ以上の測定温度を使用することは、アッセイで2つ以上のプローブが存在するとき、特に有利である。このようにして、複数のプローブをそれらの個々の最適化された温度で読むことが可能になる。
疎水性基
本発明は、一般的構造
X−Y−Q
(式中、Qは疎水性分子)
のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドアナログに関する。
本発明による疎水性分子は疎水性であり、ワトソン−クリック水素結合に関与しない。したがって、本発明による疎水性分子は天然に生ずる核酸塩基ではない。
疎水性とは、物質の水を撥く又は水に完全には溶解し得ない性質のことである。疎水性物質はオクタノールなどの多くの無極性溶媒に易溶性であるが、極性溶媒の水には僅かに可溶であるに過ぎない。化合物の疎水性を測定する1つの方法は、分配とも称される、水への溶解度と比較した無水液体中の溶解度に関係する。有機−水分配(P)は、水相と不混和性有機相との間で水に溶解した有機混入物の平衡分布を示す。ほとんど100年間、この2相はオクタノール−水分配係数であったのであって、疎水性のこの尺度は、天然水中の有機物質の挙動を記述するのに広く使用されている。疎水性が大きいほど、その物質の疎水性有機相中へ分配される傾向は大きい。それ故、分配係数は、単純に、接触している2つの不混和性相間の平衡濃度の比であって、即ち、
P=[有機中]/[水中]
である。
この簡単な関係は、有意の溶媒相互作用がなく(溶媒は連続体である)、溶質−溶質相互作用がなく(活量係数は濃度から独立)、又は他の如何なるものの相互作用もないことを仮定している。
オクタノール/水2相系の化学物質のオクタノール相中の濃度の水相中の濃度に対する比は、Kow値としても知られている。

P=Kow=[オクタノール相中の濃度]/[水相中の濃度]

owの値は単位がなく、通常、溶質自身が分布に影響しないように、低溶質濃度で室温で測定される。
n−オクタノールは、両親媒性物質であり、疎水性及び親水性両方の部分(n−アルカン及びアルコールそれぞれの基)を有する。これは、n−オクタノールが水素結合により親水性の物質と、及びファンデルワールス力により疎水性物質と相互作用し得ることを意味する。Kow値は、10−3から10までの(−3ないし7のlogKow)範囲にあるが、測定された大部分のlogKowは5未満であり、それは、この値の上では、化合物の分配は大きすぎて水相中の濃度を測定することが困難だからである(しかし、高い側の値は測定又は計算することができる。)。
owは、2相が純粋な二元系を構成しているわけではないので、オクタノール及び水中への化学物質の溶解度の比ではない。特に、水はn−オクタノールへのかなりの溶解度があり、より親水性の新しい相を作り出す。平衡で、有機相は、2.3mol/Lの水を含み、水相は4.5×10−3mol/Lのオクタノールを含む。非極性及び僅かに極性の化合物に対するオクタノール−水分配係数を制御する主たる要因は、n−オクタノール溶解度ではなくむしろ明らかにその化合物の疎水性であり、有機相の厳密な性質は重要性がより小さい。
本発明の疎水性分子が少なくとも1であるKowを有することは、一般的に好ましい。
分配を調べるのに使用される他の系は、[水]/[シクロヘキサン]、[水]/[クロロホルム]その他を含む。
分配係数は追加の構造特性であり、即ち、所与の分子に対して、それは、その構成部分の追加機能と見なされ得る。これは、−CH3基を一つの環境から移動させるエネルギー収支が、化合物が変わっても比較的一定であるという事実に基づく。これは、コンピューターに基づく分配予測をすることを可能にしている。
無極性部分は水分子と殆んど全く相互作用できず、そのため無極性部分近傍の水分子は互いの水素結合を最大化するようにそれら自身を再配向する。このことは、水分子の配列を生じさせて系のエントロピーを減少させるが、以下に述べるように、これが役割を演ずる唯一の力であるとは限らない。2つの無極性部分又は表面が互いに接近したとき、これらの束縛された水分子は、絞り出されてバルクの水相中に遊離する。したがって、疎水性相互作用は水相からの排除及びエントロピー最大化の過程と見ることができる。ファンデルワールス相互作用は、無極性表面間の相互作用に寄与するとも提唱されている。無極性分子の双極子モーメントの平均がゼロになることはあるが、任意の瞬間には、電子及び陽子の瞬間的位置が理由で有限の双極子モーメントは存在する。この双極子は、近傍の中性分子中に双極子モーメントを誘起し得る。その結果2つの双極子は互いに引き合うことができる。
分配は次の手順により測定することができる:
問題の化学物質を、容積比がKowの期待値にしたがって調節されたオクタノールと水の混合物に加える。
1.系中の溶質の濃度は、どの単独相中でも0.01mol/L未満であるべきである。
2.非常に純度の高いオクタノール及び水を使用しなければならない。
3.系は、通常分液ロート又は同様な器具中で、平衡に達するまで(0.5時間ないし3日間)穏やかに振り混ぜる。次に系を遠心して2相を分離し、乳濁があればこわす。
4.次に、2相を適当な技法で分析して、溶質濃度を分析する。可能であれば、両相を分析して物質収支をとる。
他の技法も使用され、例えば、HPLCにおける溶質の保持時間は疎水性に関連付けることができる(例えば、Sahu & Pandit(2003),Journal of Liq.Chrom & Rel.Technol.26:135−146)。適切に計画された実験であれば、保持時間の対数はKowの対数に対して直線関係になる。さらに、コンピューターのアルゴリズムが、化合物の期待値を計算するために使用される(例えば、ALOGPS 2.1 http://146.107.217.178/lab/alogps/start.html(下記も見よ))。
疎水性効果は、非極性分子が水溶液の存在下で自己会合し易いという性質である。最も極端な場合、油は一緒になって溜まり、水と混合し得ないであろうし、また界面活性剤が形成するミセル及び二重層(石鹸の泡のような)は疎水性効果のもう一つの劇的な結果である。この効果は、通常、タンパク質折りたたみ、タンパク質−タンパク質相互作用、核酸構造、及びタンパク質−低分子相互作用に関連しても記述される。タンパク質折りたたみの場合、それは、集合して一緒になったアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン及びメチオニンなどの疎水性アミノ酸からなる、中心の疎水性軸の周りの二重コイル形状の疎水性コアを、なぜ多くのタンパク質が有するかを説明するために使用される。疎水性相互作用は、溶媒に露出した非極性(疎水性)表面の面積を最小化するタンパク質折りたたみの主要な推進力である。この表面は、折りたたみで約3〜4倍減少する。
疎水性効果は、液体の水の特別の性質、最もあり得るのは水の強い水素結合と小さいサイズの組合せの結果であるということは明らかで道理にかなっている。疎水性効果は、エントロピー効果だけではなくて、温度で劇的に変化するエントロピー及びエンタルピー両方の寄与がある。疎水性相互作用の根底にある基礎は、極性の水分子と非極性分子の間には強い有利な相互作用が欠けていることである。これが、非極性分子間の相互作用を効果的に増大させることになる。
疎水性相互作用のエンタルピー寄与は、20℃付近即ち室温で約0であるが、それに対してエントロピー寄与は140℃付近で0になる。室温よりもずっと上の温度では、非極性基周囲の水分子の配列の減少が進む。温度が低下するにつれて、疎水性相互作用の強度は減少する。これは、低温ほど強くなる水素結合の効果と反対の効果である。
疎水性効果は、溶液の温度を0度付近に下げることによりある程度まで無効にすることができて、そのような温度で、水は配列した構造になることを「好み」、疎水性部分により生ずる配列はエネルギー的にもはや不利ではない。これは、室温より低い温度での水中におけるベンゼンの増大した溶解度によりきれいに示される。通常、疎水性は対象となる基の水溶液から非極性溶媒、しばしばオクタノールへの移動の自由エネルギー(Gtransfer)によって測定される。一般に、Gtransfer値と他の疎水性の尺度との間で良好な相関が見出される。
ΔGtransfer=−RTlnP
0を超えるlnPの値は、化合物が水相中よりも有機相中により濃縮されていることを示す。
本発明において、好ましい疎水性分子は、主鎖モノマー単位又はリンカーを考慮せず、しかし前記リンカー又は主鎖モノマー単位への結合の位置にあるメチル基を考慮に入れて、実験的に測定するか又はコンピュータープログラム、Virtual Computational Chemistry LaboratoryによるALOGPS 2.1(オンラインでhttp://146.107.217.178/lab/alogps/start.htmlで、又はスタンドアローン版としてhttp://146.107.217.178/forms/downprog_form.htmlでダウンロードして入手することができる)(AlogPs 2.1はTetko and Tanchuk(2002),J.Chem.Inf.Comput.Sci.,42:1136−1145及びTetko and Tanchuk(2001),J.Chem.Inf.Comput.Sci,41:1407−1421による記載)を使用して計算することによるかのいずれかで、0を超えるlogPを有する疎水性分子である。本発明のlogP値を如何に計算するかのさらなる情報については本明細書に含まれる実施例も見られたい。
したがって、前記logPは、リンカ−の代わりにメチル基を含む疎水性分子について測定される。したがって、構造X−Y−Qの任意の所与の疎水性ヌクレオチドに対して、logP値は主鎖モノマー単位(X)及びリンカ−(Y)をメチル基で置換し、それからlogP値を測定することにより測定される。
本発明において、主鎖のモノマーユニット又はリンカーを考慮せず、しかしオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログへの結合の位置にあるメチル基を考慮に入れて計算した、疎水性分子にとって好ましいlogPの値は、例えば0より上、例えば0.5より上、例えば0.75より上、例えば1より上、例えば1.25より上、例えば1.5より上、例えば1.75より上、例えば2より上、例えば2.5より上、例えば3より上、例えば4より上、例えば5より上である。
本発明の疎水性分子は、ワトソン−クリック水素結合には関与しないことが好ましい。1態様において、疎水性分子は他の核酸塩基への特定の水素結合に関与しないなど、実質的に関与しない。さらに、疎水性分子はシグナリングペアの部分でないことが好ましい。
疎水性効果が上記のような広い温度範囲で存在するということは、本発明にとって大なる利点である。それは、水溶液中における通常のアッセイの間、任意の所与の温度で、例えば20℃ないし95℃などの範囲の温度で、結合していないプローブのバックグラウンドシグナルが改善されることを意味する。
従って、20℃と95℃との間の任意の温度において前記疎水性基を含まない対応する核酸と比べ改善されたバックグラウンドシグナルを有する、本発明の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチド等の疎水性分子とシグナリングペアとを含んだオリゴヌクレオチドアナログ(例えばステムレスビーコン)を提供することは、本発明の好ましい態様である。
本発明の疎水性分子は、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ又はそれ自身の主鎖モノマー単位に、場合によりリンカ−を通して、共有結合で結合している。一般に、疎水性分子は、主鎖モノマー単位に共有結合で結合したリンカ−に共有結合で結合させることができる。本発明の疎水性分子を含むヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ中の任意の位置に挿入することができる。本発明のヌクレオチドは、他のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ中に挿入すべきである。前記疎水性分子を含むヌクレオチドアナログは、ハイブリダイゼーションのための核酸塩基をさらに含んでも含まなくてもよい。
本発明の好ましい1態様において、疎水性分子は、天然に生ずる核酸塩基を含むヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに直接には共有結合で結合していない。したがって、この態様においては、リンカ−Yは核酸塩基を含まないことが好ましく、また主鎖モノマー単位も核酸塩基を含まない。
本発明の疎水性分子は、それらを含むオリゴヌクレオチドアナログ(例えばステムレスプローブ)中に、改善されたS/N比を、及び任意選択で1つ又は2つ以上の次の特徴を導入すべきである:即ち、改善されたヌクレアーゼ耐性及び/又は増大した親和性などであるが、配列認識、ヌクレアーゼ感受性、緩衝溶液のイオン強度及び/若しくはMg2+依存性などの他の特徴は、オリゴヌクレオチドアナログを構成する他の(非疎水性)ヌクレオチド(例えばステムレスビーコン)により決定することができる。
本発明の第一の目的は、前記疎水性分子を含まない対応する直線状プローブよりも優れたS/N比を有する、疎水性分子を含む直線状プローブ(ステムレスビーコン)を提供することである。疎水性分子は、前記プローブが標的配列に結合していないとき、プローブの両側部分のより密接な相互作用を助長し、それによりシグナリングペアの2つの部分のより密接な相互作用を助長すべきである。シグナリングペアの両方の部分が、結合していないプローブで強く相互作用する(測定温度で)ことは、本発明で使用される全てのシグナリングペアのシグナル強度が、前記ペアの2つの部分間の距離に依存するので、重要である。プローブが標的核酸に結合しているとき、それは折りたたまれていなくて、プローブの2つの末端は分離しているが、それが標的核酸に結合していないとき、プローブはランダムコイルらせんを形成し、そこでシグナリングペアの2つの部分は互いに密接に近づくことができる。例えばFRETの有効性は、分子内での離れ方の6乗に反比例し、良好なS/N比を得るために、結合していないプローブ中のシグナリングペアの2つの部分の密な接近が重要であることを例示する。疎水性分子の存在は、結合していないプローブの両側部分の相互作用を増強する。
本発明の好ましい疎水性基は、シグナリングペアの2つの部分間により強い相互作用をもたらし、それによりプローブのより良いS/N比をもたらし得る疎水性基である。例えば、シグナリングペアがフルオロフォアとクエンチャーとで構成されていれば、S/N比は、結合していないプローブのバックグラウンドシグナルを低下させることにより、向上する。特定の学説に拘束されず、その疎水性分子が結合していないプローブ中のシグナリングペアの2つの部分の相互作用を増大させ得る主たる理由は、親水性溶媒に過度に露出する表面を有することから互いを保護しようとしてそれによりシグナリングペアの2つの部分が互いに密に接近する確率を増大させる、本発明のプローブの他端の疎水性分子間の疎水性相互作用であると信じられる。したがって、プローブは、ランダムコイルらせんに依存するだけでなく、折り返しを助長する追加の強い力を有する。
シグナルが前記シグナリングペアの2つの部分間の距離に依存するシグナリングペアを含むプローブが、標的配列を検出、同定又は定量するために使用されるとき、偽陽性及び偽陰性の判定を避けるために、S/N比が、できるだけ1から離れていることが重要である。多重反応におけるバックグラウンドシグナルが高過ぎないことも、これはフルオロフォア間の混線を生じ得るので、重要である。
したがって、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、プローブが結合していないときに、シグナリングペアの2つの部分間の相互作用が、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログに比較して増大するように、少なくとも一つの前記の疎水性分子が、前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの片側半分に位置して、前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのもう一方の半分に位置する前記シグナリングペアの部分と疎水性相互作用し得る、オリゴヌクレオチドアナログを提供することは好ましい態様である。
本発明の別のより好ましい態様は、シグナリングペアとオリゴヌクレオチドアナログの各半分に少なくとも1つずつある疎水性分子とを含み、前記疎水性分子が互いに疎水性相互作用できて、その結果、プローブが結合していないとき、前記シグナリングペアの2つの部分間の相互作用が、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと比較して増大するオリゴヌクレオチドアナログを提供することである。
シグナリングペアの2つの部分の増大した相互作用は、前記インターカレーターを含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと比較して、シグナル強度における増大又は減少のいずれかをもたらし得る。シグナリングペアがフルオロフォアとクエンチャーからなれば、2つの部分の間の増大した相互作用は、好ましくは、蛍光の減少という結果になる。
少なくとも一つの疎水性分子、好ましくは疎水性ヌクレオチド、フルオロフォア及びクエンチャーを含み、前記のオリゴヌクレオチドアナログ/プローブが標的配列に結合していないときに、前記の疎水性ヌクレオチドなどの疎水性分子を含まない対応する直線状プローブよりも低いバックグラウンドシグナルを有するオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。上記のことは、特に、前記オリゴヌクレオチドアナログが密閉チューブ中(均一)のアッセイで使用される場合に好ましい。
少なくとも一つの疎水性分子及び、シグナリングペアの2つの部分が、密に接近したときに、エキシマー、エキシプレックス、FRET錯体又は電荷移動錯体を形成し得るシグナリングペアを含み、前記のオリゴヌクレオチドアナログ/プローブが標的配列に結合していないときに、前記疎水性ヌクレオチドを含まない対応する直線状プローブよりも高いバックグラウンドシグナルを有するオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の他の態様である。前記のオリゴヌクレオチドアナログが密閉チューブ(均一)アッセイで使用される場合、特に上記のようであることが好ましい。
本発明の好ましい態様において、ステムレスビーコンなどのオリゴヌクレオチドアナログは、DNAヌクレオチド、シグナリングペア及び疎水性ヌクレオチドから構成されている。
本発明の、疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログは、プローブがエキソヌクレアーゼ依存性のアッセイ又はエキソヌクレアーゼ非依存性アッセイで使用されるかどうかに関わらず、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログに優る利点になる特徴を含むことができる。
したがって、前記疎水性分子を含まない対応する直線状プローブよりも良いS/N比を有する、少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログ(プローブ)を提供し、前記プローブがヌクレアーゼ依存性アッセイで使用されることは本発明の好ましい態様である。前記アッセイがポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性に依存すれば、それはより好ましい。
本発明の幾つかの応用にとって、ステムレスビーコンが、ヌクレアーゼ活性、例えばDNAポリメラーゼの活性により分解されない、又は少なくとも何らかの有意な程度までは分解されないことが必要である。
したがって、本発明の幾つかの態様において、少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、ヌクレアーゼ安定性が、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのヌクレアーゼ安定性よりも高いオリゴヌクレオチドアナログを提供することは好ましい。
分子プローブの主要な課題の一つは、僅か1ヌクレオチドのように少しだけ変化している非常に類似した標的の間を識別することができることである。一般的にいえば、プローブが短いほど、1つのミスマッチが親和性に大きい影響を有するであろうし、したがって、ミスマッチのものに対して完全に相補的な標的を狙うことが容易になるであろう。高親和性DNAアナログ、(副溝)バインダー即ちMGB及びインターカレーターが、対応するDNAベースのプローブよりも短くされ得る蛍光性プローブを生成するために、これまでに使用されている。
したがって、疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、前記オリゴヌクレオチドアナログと標的配列(DNA配列など)とのハイブリッドの融解温度が、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと標的配列(DNA配列など)とのハイブリッドの融解温度と同じか又はそれより高い、オリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。
原理的には、疎水性ヌクレオチドなどの前記疎水性分子を含まない対応する直線状プローブよりも有意に望ましいS/N比(1から離れた値)をプローブに導入することができる疎水性ヌクレオチドなどの任意の疎水性分子は、本発明で使用することができる。それは、1態様において、疎水性分子は、インターカレーター、マイナーグルーブ(副溝)バインダー、及びプローブと前に会合したことのある他の分子でよいことを意味する。しかしながら、前記疎水性分子を含まない対応する直線状プローブよりも有意に望ましいS/N比(1から離れた値)を与えられない疎水性分子は、本発明の好ましい疎水性分子ではない。
脂肪酸、ステロイド、マイナーグルーブ(副溝)バインダー及びインターカレーターは全て、上記のlogP値を有する脂肪酸、ステロイド、マイナーグルーブ(副溝)バインダー及びインターカレーターは特に、本発明に有用な疎水性分子である。しかしながら、本発明の好ましい疎水性分子は、本発明のオリゴヌクレオチドアナログがその標的配列にハイブリダイズしたときに形成されるデュープレックスと、前記疎水性分子が前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ中に存在しない場合に比較して、前記デュープレックスを不安定化せずに、相互作用し得る疎水性基である。本発明の好ましい疎水性分子は、少なくとも一つの、5又は6員環構造などの環系を含む。前記環構造は、芳香族性又は非芳香族性のいずれであってもよい。前記環系は、C、S、N及び/又はOで構成されていることが好ましく、環系のメンバーの大部分がCであることが好ましい。環系は各位置で独立に置換されていてよい。本発明のより好ましい疎水性基は、インターカレーター及びマイナーグルーブ(副溝)バインダーである。本発明の最も好ましい疎水性基は、インターカレーターである。
インターカレーター
本発明に記載の用語インターカレーターは、核酸の核酸塩基と共スタックし得る、少なくとも一つの本質的に平らな共役系を含む任意の分子部分を包含する。本発明のインターカレーターは、核酸又は核酸類似物の核酸塩基と共スタックし得る、少なくとも一つの本質的に平らな共役系からなることが好ましい。
インターカレーターは、本発明によりπ電子系を含む他の分子と相互作用し得る少なくとも一つのπ(パイ)電子系を含む。これらの相互作用は、前記インターカレーターの疎水性相互作用に対して正又は負の様式で寄与し得る。Hunter and Sanders(1990),J.Am.Chem.Soc.112:5525−5534は2つのπ電子系が互いに正に相互作用し得る異なった配向及び条件の範囲を提唱した。
インターカレーターは、多環芳香族(polyaromates)及び複素多環芳香族(heteropolyaromates)からなる群から選択された化学基を含むことが好ましく、インターカレーターは、本質的に多環芳香族又は複素多環芳香族からなることがより一層好ましい。インターカレーターは、多環芳香族及び複素多環芳香族からなる群から選択されることが、最も好ましい。
本発明の多環芳香族又は複素多環芳香族は、例えば1、例えば2、例えば3、例えば4、例えば5、例えば6、例えば7、例えば8、例えば9以上の任意の適当な数の環から構成されていてよい。さらに、多環芳香族又は複素多環芳香族は、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプト、チオ、シアノ、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコイル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、カルボニル及びアミドからなる群から選択された1つ又は2つ以上で置換されていてよい。
本発明のオリゴヌクレオチドが相補的な標的にハイブリダイズしたとき、シグナリングペアの2つの部分、例えば、フルオロフォアとクエンチャーは空間的距離で分離されていて、フルオロフォアが蛍光を発することが可能である。本発明のオリゴヌクレオチドは、平らな(複素)芳香族インターカレーターなどの疎水性分子を含む少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドを含み、それらは相補的デュープレックス中の塩基対の間にインターカレートし得ないときには、相互に又はシグナリングペアのどちらかの部分と疎水性相互作用を有する。このようにして、それらは疎水性分子の疎水性部分とシグナリングペアとの間の相互作用を助長して、緩衝液中の水との接触を最小化することができる。したがって、混合物中に相補的な標的が、ないか又は、本発明のステムレスビーコンなどのオリゴヌクレオチドアナログよりも少なければ、結合していないオリゴヌクレオチドアナログ(プローブ)の疎水性分子例えばインターカレーターは、プローブの2つの末端が互いに密に接近することを助長し、それにより結合していないオリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコンなど)のフルオロフォアの消光を強化するであろう。この折り返しの機構は、配列とは独立で、したがって、従来のDNAを基材とする分子ビーコンと異なり、分子の適切な消光を得るために、自己相補的なステム構造を設計することは必要でない。
2つの芳香族系の間の相互作用の強度は、上記の疎水性相互作用並びに共役系の電子分布、密度、配向、距離及びサイズにより決定される。
したがって、本発明の疎水性分子は、好ましくは、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、ナフテン、フェナントレン、ピセン、クリセン、ナフタセン、アクリドン類、ベンズアントラセン類、スチルベン類、オキサロピリドカルバゾール類、アジドベンゼン類、ポルフィリン類、ソラーレン類からなる群から選択されたインターカレーター、並びにヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプト、チオ、シアノ、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコイル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル及び/若しくはアミドからなる群から選択された1つ又は2つ以上で置換された上記のインターカレーターの任意のものであってよい。
インターカレーターは、好ましくは、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、ナフテン、フェナントレン、ピセン、クリセン、ナフタセン、アクリドン類、ベンズアントラセン類、スチルベン類、オキサロピリドカルバゾール類、アジドベンゼン類、ポルフィリン類及びソラーレン類からなる群から選択される。
インターカレーターは、より好ましくは、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、ナフテン、フェナントレン、ピセン、クリセン、ナフタセン、アクリドン類、ベンズアントラセン類、スチルベン類、オキサロピリドカルバゾール類、アジドベンゼン類、ポルフィリン類及びソラーレン類からなる群から選択される。
好ましい態様において、インターカレーターは、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ナフタセン、ベンズアントラセン類、スチルベン類、及びポルフィリン類からなる群から選択される。
他の好ましい態様において、疎水性基は、ピレン又はピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(1H)−オン又は7,9−ジメチル-ピリド[3’,2’,4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンを含む。疎水性基は、ピレン又はピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(1H)−オン又は7,9−ジメチル−ピリド[3’,2’,4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンからなってもよい。
より好ましくは、インターカレーターは、本明細書中の下に示す構造の1つを含むインターカレーターの群から選択することができる:
Figure 0005284112
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及び、任意選択で、ただしそれほど好ましくはないこれらの誘導体。
より一層好ましくは、インターカレーターは、上でV、XII、XIV、XV、XVII、XXIII、XXVI、XXVIII、XLVII、LI及びLIIと番号付けしたインターカレーター構造並びにそれらの誘導体からなるインターカレーターの群から、好ましくは、上でV、XII、XIV、XV、XVII、XXII1、XXVI、XXVIII、XLVII、LI及びLIIと番号付けしたインターカレーター構造からなるインターカレーターの群から選択することができる。
最も好ましくは、インターカレーターは、上でXII、XIV、XVII、XXII1、LIと番号付けしたインターカレーター構造並びにそれらの誘導体からなる群から、好ましくは、上でXII、XIV、XVII、XXIII及びLIと番号付けしたインターカレーター構造の群から選択される。
例の上記のリストは決して限定するものと解釈されるべきではなく、インターカレーターを含む疎水性分子の可能な構造の例を提供するためのものである。それに加えて、改変された構造を得るための、各インターカレーターにおける1つ又は2つ以上の化学基の置換も、本発明に含まれる。
本発明の1態様において、インターカレーターは、国際特許出願WO03/052132において、46頁10行目ないし54頁13行目の「インターカレーター」の項目中に記載されたインターカレーターのいずれであってもよい。
マイナーグルーブ(副溝)バインダー
特定の1態様において、疎水性分子は、マイナールグルーブ(副溝)バインダーであってよいが、本発明の他の態様においては、疎水性分子は、マイナールグルーブ(副溝)バインダーではないことが好ましい。マイナールグルーブ(副溝)バインダーは疎水性で、本明細書中で先に示したlogP値を有することが好ましい。
マイナールグルーブ(副溝)バインダーは、デュープレックスDNAに副溝中で結合するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ改変剤の効力のあるクラスである。マイナールグルーブ(副溝)バインダーとは、副溝と呼ばれる、二重螺旋中の2つのリン酸−糖主鎖間に形成される深く狭い空間中にぴったり合う、「三日月形」を取り得る、長い平らな分子であり、水分子と入れ替わり、副溝中で密接な原子的接触を形成する。それらは、水素結合及び/又は疎水性相互作用により副溝中で安定化される。
上の先行技術の項で、Kutyavin及び共同研究者らが、如何にしてMGB分子をプローブの3’末端に結合し、それを、MGBがプローブの5’末端に結合している、5’−PCRアッセイ及びヌクレアーゼ非依存性アッセイで使用したかを簡単に説明した。これらの公開文書のいずれも、結合していないプローブにおける疎水性相互作用によるバックグラウンドシグナルの低下を論じていない。したがって、たとえMGBが当技術分野において周知であっても、適切に組み合わされてオリゴヌクレオチドアナログ中に位置する前記MGBの疎水性が、シグナリングペアの2つの部分の間の相互作用を増大させることにより、S/N比を改善するために使用できるということは、本発明に先んじて知られてはいなかった。
したがって、少なくとも一つのマイナールグルーブ(副溝)バインダー及びシグナリングペアを含み、前記マイナールグルーブ(副溝)バインダーが前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの片側半分に位置して、標的配列に結合していないときは、前記のオリゴヌクレオチドアナログのもう一方の半分の部分と疎水性相互作用を有する、オリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。特に、マイナールグルーブ(副溝)バインダーを含む疎水性ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドアナログの5’末端又は3’末端における1つ目のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログとして位置せず、むしろ内部にあることが好ましい。
シグナリングペア、並びにオリゴヌクレオチドアナログの一方の半分に位置する少なくとも1つのマイナールグルーブ(副溝)バインダーを、及び前記オリゴヌクレオチドアナログの他方の半分に本発明の他の疎水性分子を含み、その結果、前記オリゴヌクレオチドアナログが標的配列に結合していないとき、前記マイナールグルーブ(副溝)バインダー及び前記疎水性分子が、互いに疎水性相互作用を有して、前記シグナリングペア中の2つの部分のより有効な相互作用を生じさせる、オリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。
主鎖モノマー単位
本発明のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログの主鎖モノマー単位は、核酸又は核酸アナログの主鎖中への組込みに含まれるヌクレオチドの部分である。主鎖モノマー単位(X)は、疎水性分子に共有結合で結合したリンカ−(Y)に共有結合で結合していることが好ましい。任意の適当な主鎖モノマー単位を、疎水性ヌクレオチドを本発明のオリゴヌクレオチドアナログ中に組み込むために利用することができる。前記主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを結合する任意の種類のリンカ−も利用することができる。それに加えて、主鎖モノマー単位は、前記主鎖モノマー単位を含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの合成中又は合成後に、任意の方法で除去し又は変化させることができる、1つ又は2つ以上の離脱基、保護基及び/又は反応性基を含んでいてよい。
主鎖モノマー単位は、任意の適当な主鎖モノマー単位であってよい。本発明の1態様において、主鎖モノマー単位は、例えば、DNA、RNA、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、α−L−RNA又はα−D−RNA、β−D−RNA及びそれらの混合物及びそれらのハイブリッド並びに限定はされないが、ホスホロチオエート類、メチルホスホレート類、ホスホルアミジエート類、ホスホロジチエート類、ホスホロセレノエート類、ホスホトリエステル類、及びホスホボラノエート類などのそれらのリン原子改変の主鎖モノマー単位からなる群から選択することができる。それに加えて、リンを含まない化合物、例えば、限定はされないが、メチルイミノメチル、ホルムアセテート、チオホルムアセテート、及びアミドを含む結合基などを、ヌクレオチドへの結合のために使用することができる。特に、核酸及び核酸アナログは、本発明の1つ又は2つ以上疎水性ヌクレオチドを含むことができる。
本発明に有用なヌクレオチド及びヌクレオチドアナログの種々の異なった主鎖モノマー単位、並びに如何にそれらが主鎖モノマー単位の1つ又は2つの位置に結合されたリンカ−により核酸塩基に接続されるかを下に描く:
Figure 0005284112
Figure 0005284112
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Figure 0005284112
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上に示した主鎖モノマー単位の幾つかは、本発明の疎水性分子にすでに結合されているが、他のものはヌクレオチドに結合された疎水性分子を有することができる。疎水性分子は、核酸塩基、主鎖、又は存在していれば前記核酸塩基及び主鎖を結合しているリンカ−の原子などの任意の利用し得る原子に接続することができる。疎水性分子は、核酸塩基を置き換えることもでき、又は任意の種類のそれ自身の主鎖モノマー単位に結合することもできる。
好ましい態様において、主鎖モノマー単位は、天然に生ずる核酸塩基などの核酸塩基を含まない。リンカ−が天然に生ずる核酸塩基などの核酸塩基を含まないことも好ましい。
主鎖モノマー単位がリボース基を含むとき、1態様においては、疎水性分子がリンカ−により前記リボ−ス基に共有結合で結合していることが好ましい。したがって、この態様において、疎水性分子は、リンカ−(Y)により主鎖のリン酸基に共有結合で結合していないことが好ましい。
LNA(ロックド核酸)の主鎖モノマー単位は、立体的に束縛されたDNA主鎖モノマー単位であり、それはDNA主鎖モノマー単位の通常の立体配座の自由度を制限する分子間橋を含む。LNAは、WO99/14226(Exiqon)に記載されたような任意のLNA分子であってよく、LNAはWO99/14226の要旨に描かれた分子から選択されることが好ましい。本発明の好ましいLNAは、2’−O位を4’−C位に接続するメチルリンカ−を含むが、2’オキシ原子が窒素又はイオウ原子のいずれかにより置き換えられたLNAなどの他のLNAも、本発明の内に含まれる。
本発明の疎水性分子を含むヌクレオチドの好ましい主鎖モノマー単位は、前記疎水性分子がその標的核酸と相互作用することを可能にする主鎖モノマー単位である。
本発明の好ましい1態様において、主鎖モノマー単位は、非環状主鎖モノマー単位からなる群から選択される。非環状の意味は、環構造を含まない任意の主鎖モノマー単位、例えば、リボース又はデオキシリボース基を好ましくは含まない主鎖モノマー単位を包含する。
したがって、本発明の疎水性ヌクレオチドの主鎖モノマー単位は、五価のリン原子などの三価及び五価のリン原子からなる群から選択される少なくとも一つの化学基を含む主鎖モノマー単位からなる群から選択することができる好ましい。本発明の主鎖モノマー単位のリン酸原子は、ホスホエステル、ホスホジエステル、ホスホルアミジエート及びホスホルアミダイト基からなる群から選択される少なくとも一つの化学基を含む主鎖モノマー単位からなる群から選択することができることが、より好ましい。
特に、本発明の疎水性ヌクレオチドの主鎖モノマー単位は、リン酸エステル、ホスホエステル、ホスホジエステル、ホスホルアミジエート及びホスホルアミダイト基からなる群から選択される少なくとも一つの化学基を含む非環状主鎖モノマー単位からなる群から選択されることが好ましい。
好ましくは、主鎖モノマー単位は、最大で5個、例えば最大で4個の原子が主鎖モノマー単位のリン原子と最も近いリン原子とを隔て、より好ましくは5個、最大で4個などの原子が(両方の場合ともそれら自身はリン原子を含まない)、主鎖モノマー単位のリン原子と最も近いリン原子とを隔てるように、核酸又は核酸アナログのリン酸エステル主鎖に組み込まれることが可能である。
本発明の特に好ましい態様において、疎水性ヌクレオチドは、ホスホルアミダイトを含む主鎖モノマー単位を含み、より好ましくは、主鎖モノマー単位は三価ホスホルアミダイト又は五価を含む。
適当な三価ホスホルアミダイトは、核酸及び/又は核酸アナログの主鎖中に組み込むことができる三価又は五価のホスホルアミダイトである。通常、アミダイト基自身は核酸の主鎖中に組み込むことができなくて、むしろアミダイト基又はアミダイト基の一部が脱離基及び/又は保護基として役立ち得る。しかしながら、主鎖モノマー単位は、ホスホルアミダイト基を含むことが好ましく、それはそのような基が主鎖モノマー単位を核酸の主鎖中に組み込み易くするからである。
本発明の1態様において、主鎖モノマー単位は、国際特許出願WO03/052132中の24頁27行目ないし43頁14行目の「主鎖モノマー単位」の項に記載されている主鎖モノマー単位のいずれであってもよい。
リンカ−
本発明の疎水性ヌクレオチドのリンカ−は、疎水性分子と前記疎水性ヌクレオチドの主鎖モノマーとを、好ましくは、前記疎水性分子と主鎖モノマー単位とを共有結合で結合して接続する部分である。リンカ−は、1つ又は2つ以上の原子又は原子間の結合を含むことができる。
本明細書中で上に定義した主鎖及び疎水性分子の定義により、リンカ−は、主鎖と疎水性分子とを結合する最短経路である。疎水性分子が主鎖に直接結合していれば、リンカ−は、1つの結合である。
リンカ−は、通常、原子鎖又は分岐した原子鎖からなる。鎖は飽和並びに不飽和であってよい。リンカ−は、共役系を含むか又は含まない環構造であってもよい。
例えば、リンカ−は、C、O、S、N、P、Se、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から、好ましくは、C、O、S、NおよびPからなる群から選択されるm個の原子の鎖を含むことができ、より一層好ましくは、それらはCであり、鎖の1つの末端は疎水性分子に接続し、鎖の他の末端は主鎖モノマー単位に接続している。
幾つかの態様において、本発明のリンカ−及び疎水性ヌクレオチドの全長は、好ましくは、8Åと13Åの間である(本明細書中で下を見られたい)。したがって、mは、特定の疎水性ヌクレオチドの疎水性分子のサイズに依存して選択されるべきである。
即ち、インターカレーターが小さいとき、mは比較的大きくあるべきで、インターカレーターが大きいとき、mは比較的小さくあるべきである。しかし、大部分の目的に対して、mは1ないし7、1ないし6など、1ないし5など、1ないし4などの整数であろう。上記のように、リンカ−は、不飽和鎖又は共役した結合を含む他の系であってもよい。例えば、リンカ−は、環状共役構造を含んでいてもよい。リンカ−が飽和鎖であるとき、mは1ないし4であることが好ましい。
疎水性分子がピレンであるとき、mは好ましくは、1ないし7、1ないし6など、1ないし5など、1ないし4など、より好ましくは1ないし4、より一層好ましくは1ないし3、最も好ましくは2又は3の整数である。
インターカレーターが、
Figure 0005284112
の構造を有するとき、mは好ましくは2ないし6、より好ましくは2である。
1態様において、リンカ−は、アザアルキル、オキサアルキル、チアアルキル又はアルキル鎖である。例えば、リンカ−は、C、H、O、S、N、P、Se、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される、好ましくは、C、H、O、S、NおよびPからなる群から選択される1つ又は2つ以上で置換されたアルキル鎖であってよい。好ましい態様において、リンカ−は、分岐していないアルキル基鎖からなり、その鎖の1つの末端は疎水性分子に接続し、鎖の他の末端は主鎖モノマー単位に接続し、且つ各Cは2個のHで置換されている。より好ましくは、前記の分岐していないアルキル鎖は、1ないし5原子の長さ、1ないし4原子などの長さ、1ないし3原子などの長さ、2ないし3原子などの長さである。
他の態様において、リンカ−は、1ないし6個のC原子、次の原子即ちO、S、Nの各々0ないし3個からなる。より好ましくは、リンカ−は、1ないし6個のC原子、及びO、S、Nの各々0ないし1個の原子からなる。
好ましい態様において、リンカ−は、場合により置換されているC、O、S及びNの原子の鎖からなる。好ましくは、前記の鎖は、最大で3原子からなるべきで、したがって、場合により置換されているC、O、S及びNから個々に選択される0ないし3原子を含む。
好ましい態様において、リンカ−は、C、O、S及びNの原子の鎖からなり、鎖の1つの末端はインターカレーターに接続し、鎖の他の末端は主鎖モノマー単位に接続している。
好ましくは、そのような鎖は、下に示すリンカ−の1つを含み、最も好ましくは、リンカ−は下に示す分子の1つからなる:
Figure 0005284112
好ましい態様において、鎖は、下に示すリンカ−の1つを含み、より好ましくは、リンカ−は、下に示す分子の1つからなる:
Figure 0005284112
より好ましい態様において、鎖は、下に示すリンカ−の1つを含み、より好ましくは、リンカ−は、下に示す分子の1つからなる:
Figure 0005284112
リンカ−は、先に定義した疎水性ヌクレオチドX−Y−Qに対する式中のYを構成し、したがって、X及びQはリンカ−の部分ではない。
本発明の1態様において、リンカ−は、WO03/052132中54頁15行目ないし58頁7行目の「リンカ−」の項に記載されたリンカ−のいずれでもよい。
標識
本明細書の文中で、用語「標識」は、例えば、それ自身により又は一連の検出の一部としてのいずれかで検出される基を意味する。レポーター基の機能部の例は、ビオチン、ジゴキシゲニン、蛍光性基(電磁放射線、例えば、ある波長の光又はX線を吸収することができ、その結果吸収されたエネルギーをより長い波長の放射線として再放出する基;例示となる例は、ダンシル(5−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル)、DOXYL(N−オキシル−4,4−ジメチルオキサゾリジン)、PROXYL(N−オキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン)、TEMPO(N−オキシル−2,2,6,6−テトラ−メチルピペリジン)、ジニトロフェニル、アクリジン、クマリン、Cy3及びCy5(Biological Detection Systems,Inc.の商標)、エリトロシン、クマル酸、ウンベリフェロン、テキサスレッド、ローダミン、テトラメチルローダミン、Rox、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1−ジアゾール(NBD)、ピレン、フルオレセイン、「量子ドット」、ヨーロピウム、ルテニウム、サマリウム、及び他の希土類金属、放射性同位体標識、化学発光標識、(化学反応中の発光により検出され得る標識)、スピン標識(フリーラジカル(例えば置換された有機ニトロキシド)又は電子スピン共鳴分光法の使用により検出される生体分子に結合された他の常磁性プローブ(例えば、Cu2+、Mg2+))、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びグルコースオキシダーゼなど)、抗原、抗体、ハプテン類(抗体と複合できるが、それ自身により免疫反応を惹起できない基、ペプチド類及びステロイドホルモン類など)、細胞膜浸透のための担体系:例えば、脂肪酸残基、ステロイドのコレステリル部分、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、特定の受容体のためのペプチド、エンドサイトーシスを媒介する基、上皮増殖因子(EGF)、ブラディキニン、及び血小板誘導増殖因子(PDGF)などである。特に、興味ある例は、ビオチン、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ルテニウム、ヨーロピウム、Cy5、Cy3等である。
シグナリングペア
本発明のシグナリングペアは、組合されて、相互の物理的距離、配向及び/又は相互作用に依存して、測定可能な変化をすることができる2つの部分と定義される。好ましくは、シグナリングペアは、組み合わされて、検出可能なシグナルを生じ得る2つの部分の系からなり、ペアの部分間の物理的距離に依存して前記の検出可能なシグナルが変化する。
本発明によれば、シグナリングペアの部分は、オリゴヌクレオチドアナログの疎水性ヌクレオチドと同一ではない。したがって、シグナリングペアの部分は、本発明のオリゴヌクレオチドアナログ中に挿入されたときも、疎水性ヌクレオチドと同一の構造の部分ではないことが好ましい。
本発明の好ましい態様において、国際特許出願WO03/052132中の199頁の実施例24に記載されたインターカレーター擬ヌクレオチドY又は184頁の実施例14に記載されたインターカレーター擬ヌクレオチドYと、シグナリングペアの少なくとも一つの部分が同一であるか、より好ましくは、シグナリングペアのどの部分も同一でないことが好ましい。シグナリングペアの部分が、オリゴヌクレオチドアナログに挿入されたとき、国際特許出願WO03/052132中の199頁の実施例24に記載されたインターカレーター擬ヌクレオチドY又は184頁の実施例14に記載されたインターカレーター擬ヌクレオチドYと同一の構造の部分ではないことも好ましい。
発生されたシグナルは、如何なる性質のものでもよく、例えば、シグナルは、系の蛍光又は電気抵抗の変化であってよい。好ましい態様において、シグナリングペアは、ペアの部分間の距離に依存して蛍光を変化させ得る。本発明のシグナリングペアは、前記シグナリングペアが結合しているプローブが標的配列にハイブリダイズしているかいないかに依存して、シグナルを変化させるであろう。したがって、シグナリングペアは、シグナリングペアの部分間の距離が、オリゴヌクレオチドアナログの標的配列へのハイブリダイゼーションで増大するような様式で、オリゴヌクレオチドアナログの中に位置することが好ましい。
本発明のシグナリングペアは、本発明のオリゴヌクレオチドアナログの反対の半分に位置する2つの部分からなることが好ましい。
シグナリングペアの部分の少なくとも1つが、本発明のオリゴヌクレオチドアナログの1つの末端に位置し、一方他の部分が前記オリゴヌクレオチドアナログの他の半分に位置することが、本発明のより好ましい態様である。
本発明におけるシグナリングペアの2つの部分が本発明のオリゴヌクレオチドアナログの反対の末端に又はその近くに位置すれば、それはより一層好ましい。
シグナリングペアの1つの部分は、5’末端から6以内、例えば5以内、例えば4以内、例えば3以内、例えば2以内、例えば1つ目のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログに位置することが好ましい。好ましい態様において、シグナリングペアの部分は5’末端の突出末端として位置する。シグナリングペアの前記部分がオリゴヌクレオチドアナログの5’側の半分の中に位置することは、さらに好ましい。シグナリングペアの前記部分が、オリゴヌクレオチドアナログの5’側3分の1以内に位置することはより好ましい。シグナリングペアの前記部分が、オリゴヌクレオチドアナログの5’側4分の1以内に位置することはより好ましい。したがって、5’末端からの好ましい最大距離はオリゴヌクレオチドアナログの長さに依存し得る。
シグナリングペアのもう一方の部分は、3’末端から6以内、例えば5以内、例えば4以内、例えば3以内、例えば2以内、例えば1つ目のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログに位置することが好ましい。好ましい態様において、シグナリングペアの前記部分は3’末端の突出末端として位置する。シグナリングペアの前記部分がオリゴヌクレオチドアナログの3’側の半分の中に位置することは、さらに好ましい。シグナリングペアの前記部分が、オリゴヌクレオチドアナログの3’側3分の1以内に位置することはより好ましい。シグナリングペアの前記部分が、オリゴヌクレオチドアナログの3’側4分の1以内に位置することはより好ましい。したがって、3’末端からの好ましい最大距離はオリゴヌクレオチドアナログの長さに依存し得る。
好ましくは、シグナリングペアの両方の部分は、上に示したように位置する。
蛍光などの分光学的性質は、ハイブリダイゼーションの検出のために、例えば、定量PCR法のリアルタイム検出を実施するときに、好ましい。このように、シグナリングペアは、ペアの部分間の距離に依存して蛍光特性などの分光学的性質の変化を生じさ得ることが好ましい。
蛍光性基は、蛍光を発し得る任意の基であってよく、例えば(限定するものではないが)、蛍光性基は、フルオレセイン、FITC、ローダミン、リサミンローダミン、ローダミン123、クマリン、CY−2、CY−3、CY3.5、CY−5、CY5.5、FAM、VIC、LIZ、NED、PET、アレクサ色素、GFP、YFP、BFP、YO−YO、HEX、JOE、ナノオレンジ、ナイルレッド、オリグリーン、オレゴングリーン、ピコグリーン、ラジアントレッド、リボグリーン、ROX、R−フィコエリスリン、SYPROオレンジ、SYPROレッド、SYPROルビー、TAMRA、テキサスレッド、XRITC、ヨウ化プロピジウム、アクリジンオレンジ、エチジウムブロマイド、SYBRゴールド、SYBRグリーンI、及びSYBRグリーンGreenIIからなる群から選択することができる。
本発明の好ましい態様において、シグナリングペアは、さらに少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログに共有結合で結合された2つの部分を含み、その部分で前記シグナリングペアは、分子内エキシマー及び/又は分子内エキシプレックス及び/又は分子内FRET錯体及び/又は分子内電荷移動錯体を形成することができる。
特に、それらが密に接近しているときに、それらは、分子内エキシマー及び/又は分子内エキシプレックス及び/又は分子内FRET錯体及び/又は分子内電荷移動錯体を形成することができる。シグナリングペアの部分は、それらが、最大で100Å離れ、好ましくは最大で75Å、より好ましくは最大で50Å、より一層好ましくは最大で20Å離れ、例えば最大で10Å離れているとき、密に接近している。
如何なる特定の学説にも捉われず、オリゴヌクレオチドアナログの立体配座は動的で、したがって、上記の距離は平均と見なすことができると予想される。同様な考慮は、本明細書中で言及される他の距離にも関する。
2つの分子が、それらが互いに相互作用し得るような関係で、相互間の位置を占めている場合のみ、分子の部分が、エキシマー、エキシプレックス、FRET錯体又は電荷移動錯体を形成することが可能である。したがって、シグナリングペアは、2つの部分を分離する分子部分があれば、エキシマー、エキシプレックス、FRET錯体又は電荷移動錯体を形成することができない。
さらに、オリゴヌクレオチドアナログが少なくとも一つのクエンチャー分子を含み得ることも、本発明の内に含まれる。本発明のクエンチャー分子は、その近隣にある蛍光性基の蛍光を消光することができる任意の分子である。クエンチャーは、蛍光性基からエネルギーを吸収して、エネルギーを例えば熱として散逸させることができる。したがって、蛍光性基からのシグナルは、低下するか又はなくなるであろう。したがって、蛍光性基と適当なクエンチャー分子が互いに密に接近して配置されれば、蛍光性基の蛍光は消光されるであろう。
クエンチャーは、それらが、最大で100Å、好ましくは最大で75Å、より好ましくは最大で50Å、より一層好ましくは最大で20Å、例えば最大で10Å離れているとき、蛍光性基に密に接近しているといわれる。
本発明中で、FRETという用語は、フルオロフォアとクエンチャーとからなるペアも含む。したがって、本発明においてFRETという用語は、エネルギーがフルオロフォアからクエンチャーへ移動して、熱及び/又は振動エネルギーのような不可視エネルギーとして放出されるフルオロフォア−クエンチャーペアと、エネルギーが1つの部分から他の部分へ移動して、1つの部分から他の部分へ移動したエネルギーよりも低いエネルギーの光(より長波長)として放出される古典的FRETペアとの2つのクラスのシグナリングペアを包含する。
クエンチャー分子の例には、DABCYL、DABSYL、TAMRA、メチルレッド、ブラックホールクエンチャー−1、ブラックホールクエンチャー−2、エルクエンチャー及びQSY−7が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、クエンチャー分子は、通常、蛍光性基に応じて選択されなければならない。
本発明のオリゴヌクレオチドアナログは、1態様において、シグナリングペアに加えて、1つ又は2つ以上の直接的又は間接的に検出可能な標識を含むことができる。シグナリングペアの1つの部分は、2つ以上の部分で構成されてもよいが、シグナリングペアの1つの部分は1つの部分のみを含むことが好ましい。蛍光クエンチャーシグナリングペアは、例えば、3つの部分で構成することができ、そこで2つの部分は、前記部分が組み合わされてシグナリングペアの1つの部分を構成し、第3の部分が他の部分を構成するように、相互に依存している。フルオロフォア部分は、例えば、米国特許出願2000/6037130号に記載された短波長捕集部と長波長捕集部とで構成することができ、他の例は、WO2005/019812に記載された、クエンチャー部分が表面探索基と固体表面の複合体である、表面増強ラマン分光法(SERS)により検出可能な標識ペアであるが、他の組合せも使用することができる。
シグナリングペアの部分は、通常、オリゴヌクレオチドアナログに共有結合で結合されている。シグナリングペアの部分は、主鎖モノマー単位、ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの、例えば主鎖モノマー単位又は核酸塩基を含む任意の部分に、個別に共有結合で結合することができる。好ましくは、シグナリングペアの部分は、ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ、例えば、ヌクレオチドに個別に共有結合で結合される。したがって、シグナリングペアの部分は、主鎖モノマー単位のリボース部分に、主鎖モノマー単位のリン酸エステルに又は核酸塩基に、個別に結合することができる。シグナリングペアの部分は、オリゴヌクレオチドアナログの化学的若しくは酵素的合成に先立って、合成中に、又は合成後に前記ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ中に組み込むことができる。それらは、本明細書中で先に言及した任意のリンカ−などの適当なリンカ−を使用して結合することができる。シグナリングペアの部分は、本発明のオリゴヌクレオチドアナログ中に好ましくは共有結合で挿入される。適当な方法は、当業者に利用可能であろう。
蛍光:エキシマー、エキシプレックス、FRET及び電荷移動
エキシマーは、電子の励起状態では会合し、基底状態では解離性である、化合物の2量体である。単離された化合物が励起されたとき、それはその励起を解くことができるか又は同種の(励起されていない)他の化合物と会合することができて、それによりエキシマーが形成される。エキシマーは、モノマーの蛍光発光と異なった波長で蛍光を発する。エキシマーがその励起を解くとき、会合は最早有利ではなく、2つの種は解離するであろう。エキシプレックスは、エキシマーと似た2量体であるが、この場合は2つの化合物が異なっている。
分子内エキシマーは、1つの分子中に含まれる2つの部分、例えば、同一分子内の2つの多環芳香族基により形成される。同様な分子内エキシプレックスは、同一分子内に含まれる2つの部分により、例えば2つの異なる多環芳香族基により形成される。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、2つの色素分子の電子励起状態間の距離依存性相互作用であり、光子の放出なしに、励起が供与体分子から受容体分子に移動する。FRETは、分子間距離にその6乗に反比例して依存し、生体高分子の大きさと比較し得る距離の範囲で有用になる。FRETが起こるためには、供与体と受容体とは必ず密に接近していることが好ましい。(典型的には、10ないし100Åの間、例えば10ないし75Åの間、例えば10ないし50Åの間、例えば10ないし20Åの間)。さらに、受容体の吸収スペクトルは、供与体の蛍光発光スペクトルと重なっていなければならない。供与体と受容体との遷移双極配向は必ずほぼ平行であることが、さらに好ましい。
本発明の方法の幾つかにおいて、発光された第1の色素の蛍光は第2の色素により吸収され、第2の色素は赤外領域にのみ発光するFRETペアが使用される。これはフルオロフォアクエンチャー対と呼ばれる。
非FRETフルオロフォアクエンチャー対も記載されていて(米国特許出願2000/6150097号)、それは、クエンチャーによる消光の程度を説明するのに十分大きいスペクトルの重なりをクエンチャーが有しない、クエンチャーによるフルオロフォアの消光を含む。そのような非FRET消光機構及びペアも、本発明中に組み込まれる。
電荷移動錯体は、電子供与体及び受容体と呼ばれる2つの分子内又は分子間の部分間の電荷移動を伴う弱い配位がある化学的錯体である。そのような2つの部分は遷移の間、観測可能な電荷移動吸収帯を示し得る。一例は、フェノール及びキノンの分子が正規の化学結合によっては一緒に保たれていないが、化合物の芳香族環系間の電荷移動により会合しているフェノキノンである。
FRET
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、核酸をアッセイするための最も一般的な手段の一つになっている。それは、FRETが、大量高速処理自動化に向いていて、十分感度がよく、配列及び一塩基多型(SNP)分析のための最適な方法になるからである。それに加えて、それは、DNA及びRNAの構造、動力学及び分子間相互作用を探査するために高度に有用である。
FRETは、励起が1つの部分(供与体分子)から他の部分(受容体分子)へ光子の放出なしに移動する、2つの色素の電子励起状態間の距離依存性相互作用である。FRETの効率は、分子間の隔たりの6乗に反比例して依存し、供与体分子と受容体分子との間の距離が非常に重要になる。したがって、FRETは、分子の近接に変化を生じさせる種々の生物学的現象を研究するための重要な技法である。
エネルギー移動の効率は、さらに、供与体及び受容体分子の配向、供与体の蛍光の量子収率、受容体の消光係数及び供与体の発光と受容体の吸収との間のスペクトルの重なりに依存する。
本発明の好ましいフルオロフォア−クエンチャーシグナリングペアは、次のものを含むが、これらに限定されない:
蛍光性基 クエンチャー
FAM TAMRA
TET TAMRA
ローダミン TAMRA
クマリン DABCYL
EDANS DABCYL
フルオレセイン DABCYL
ルシファーイエロー DABCYL
エオシン DABCYL
TAMRA DABCYL
Cy3 ブラックベリークエンチャー650
TAMRA ブラックベリークエンチャー650
テキサスレッド ブラックベリークエンチャー650
Cy5 ブラックベリークエンチャー650
Cy5.5 ブラックベリークエンチャー650
ROX ブラックベリークエンチャー650
Alexa Fluor350 QSY35
Alexa Fluor488 QSY35
Alexa Fluor546 QSY35
Alexa Fluor350 Dabcyl
Alexa Fluor488 Dabcyl
Alexa Fluor546 Dabcyl
Alexa Fluor546 QSY7及びQSY9
Alexa Fluor488 QSY7及びQSY9
Alexa Fluor555 QSY7及びQSY9
Alexa Fluor568 QSY7及びQSY9
Alexa Fluor568 QSY21
Alexa Fluor594 QSY21
Alexa Fluor647 QSY21
Alexa Fluor350 BHQ−0
パシフィックブルー BHQ−0
マリーナブルー BHQ−0
アクリジン BHQ−0
Edans BHQ−1
クマリン BHQ−1
Cy2 BHQ−1
ダンシル BHQ−1
Alexa488 BHQ−1
FAM BHQ−1
オレゴングリーン BHQ−1
ローダミングリーン−X BHQ−1
TET BHQ−1
Alexa532 BHQ−1
VIC BHQ−1
HEX BHQ−1
CALflourオレンジ560 BHQ−1
Alexa546 BHQ−2
TAMRA BHQ−2
ローダミンレッド−X BHQ−2
CALflourレッド590 BHQ−2
Cy3.5 BHQ−2
ROX BHQ−2
Alexa568 BHQ−2
CALflourレッド610 BHQ−2
Alexa594 BHQ−2
CALflourレッド635 BHQ−2
Pulsar650 BHQ−2
Alexa647 BHQ−2
Quasar670 BHQ−2
Cy5 BHQ−3
Cy5.5 BHQ−3
本発明の古典的FRETシグナリングペアの好ましいペアは、次のものを含むが、これらに限定されない。
供与体 受容体
フルオレセイン テトラメチルローダミン
IAEDANS フルオレセイン
EDANS DABCYL
フルオレセイン フルオレセイン
BODIPY FL BODIPY FL
フルオレセイン QSY7色素
フルオレセイン QSY9色素
Alexa Fluor350 Alexa Fluor488
Alexa Fluor488 Alexa Fluor546
Alexa Fluor488 Alexa Fluor555
Alexa Fluor488 Alexa Fluor568
Alexa Fluor488 Alexa Fluor594
Alexa Fluor488 Alexa Fluor647
Alexa Fluor546 Alexa Fluor568
Alexa Fluor546 Alexa Fluor594
Alexa Fluor546 Alexa Fluor647
Alexa Fluor555 Alexa Fluor594
Alexa Fluor555 Alexa Fluor647
Alexa Fluor568 Alexa Fluor647
Alexa Fluor594 Alexa Fluor647
「ブラックホールクエンチャー」、「BHQ」、「パルサー」「クエーサー」、「CALflourオレンジ」、「CALflourレッド」は、Biosearch Technologies,Inc.の商標であり、オレゴングリーンはMolecular Probes,Inc.の商標であり、「ブラックベリー」はBerry & Associates,Inc.の商標であり、「Cy2」、「Cy3.5」、「Cy5」及び「Cy5.5」は、Amersham Biosciences Limited.の商標であり、「テキサスレッド」はMolecular Probesの登録商標であり、「ROX」はApplied Biosystems,Inc.の商標である。
特に、本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログは、FRETペアを含むことができる。供与体基は、5’末端に、3’末端に又は両末端に突出末端として付けることができる。少なくとも一つの受容体分子が突出末端として結合されることも好ましい。受容体分子は、5’末端に、3’末端に又は両末端に突出末端として付けることができる。好ましくは、1つの供与体基又は1つの受容体基が、オリゴヌクレオチドアナログの5’末端に突出末端として付けられることが好ましい。さらに、1つの供与体基が5’末端に突出末端として付けられれば、好ましくは、受容体基は内部に、又は3’末端に入れられる。逆に、1つの受容体基がオリゴヌクレオチドアナログの5’末端に突出末端として付けられれば、供与体分子は内部に、又は3’末端に入れられる。
したがって、供与体基及び受容体分子は、2つの部分を分離する配列がハイブリダイズしていないときに、受容体分子が、供与体基の励起又は励起の一部を受容し得るが、2つの部分を分離する配列が標的核酸にハイブリダイズしているときは、供与体基の励起を受容できないように、相互に関連して(互いに相互作用して)位置する。
疎水性分子を含まない対応するプローブに比較して、プローブの改善されたS/N比を得やすくするであろう、シグナリングペア及び少なくとも一つの疎水性分子を含むプローブを提供することは、本発明の好ましい態様である。
したがって、シグナリングペアと疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも一つの疎水性分子とを含み、ハイブリダイゼーション条件下で十分相補的な標的にかけられない限り、自己ハイブリダイズするであろう(少なくとも一部は疎水性相互作用により)オリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコン)を提供することは、本発明の好ましい態様である。
フルオロフォア、対応するクエンチャー及び疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも一つの疎水性分子を含み、プローブが結合していないときに、前記疎水性分子を含まない対応するプローブのバックグラウンドシグナルよりも望ましい、前記クエンチャー分子による前記蛍光性基の消光(より低いバックグラウンド)を得やすくするであろうオリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコン)を提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。
フルオロフォア、対応するクエンチャー及び疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも2つの疎水性分子を含み、プローブが結合していないときに、前記疎水性基を含まない対応するプローブのバックグラウンドシグナルよりも望ましい、前記クエンチャー分子による前記蛍光性基の消光(より低いバックグラウンド)を得やすくするであろうオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のさらに最も好ましい態様である。
上記の特性は、例えば、前記疎水性ヌクレオチドのための適当な位置を選択することにより得ることができる(より詳細は本明細書中以下で参照されたい)。
したがって、疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも2つの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、前記シグナリングペアのスペクトル特性が、標的核酸へのハイブリダイゼーションで又は標的核酸増幅の結果として変化するオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。好ましい態様において、スペクトルシグナルは、標的核酸がないか又は量が少ないときに低く、より多くの量の標的核酸が存在するときに高い。例えばPCRによる標的配列の増幅反応中に使用されるとき、スペクトルシグナルは前記標的核酸配列の増加に対応して増大することが好ましい。
したがって、第3の配列により隔てられた第1の配列と第2の配列を含み、第1及び第3の配列は各々本発明の疎水性ヌクレオチドなどの少なくとも一つの疎水性分子を含み、スペクトルシグナルは、前記第1の配列が第2の配列に自己ハイブリダイズしているときに低く、それらがハイブリダイズしていないきに高いオリゴヌクレオチドアナログを提供することは好ましい。
第1の配列が例えばFRET、エキシマー若しくはエキシプレックスに対する供与体を含み、第2の配列が例えばFRET、エキシマー若しくはエキシプレックスに対する受容体を含んでもよく、又はその逆でもよいことも本発明に含まれる。好ましくは、前記供与体及び前記受容体は、第1の配列が第2の配列に自己ハイブリダイズしたときにFRETが起こり得るように位置し、その結果第1の配列が第2の配列にハイブリダイズしたときだけ、FRET蛍光が検出され得る。
さらに、二本鎖核酸及び/又は核酸アナログ例えばDNAを構成するヌクレオチド又はヌクレオチドアナログの伸長生成物のハイブリダイゼーション又は形成も、オリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログと、及び場合により伸長を開始させるために使用されたオリゴヌクレオチドと、直接には会合していない標識を使用して検出することができる。
1態様において、そのような標識は、ヨウ化プロピジウム、アクリジンオレンジ、エチジウムブロマイド、LCグリーン、SYBRゴールド、SYBRグリーンI、及びSYBRグリーンIIからなる群から選択されるが、これらに限定されない。蛍光性基の蛍光特性は、緩衝条件及び物理的要因により変調され得る。例えば、温度、イオン強度及びpHは、特定のフルオロフォアから得られる蛍光シグナルの強度に影響し得るパラメーターである。ピレンのエキシマーの蛍光に影響することも知られている物質の種々の化学基の例は、米国特許第5,466,578号に開示された親油性界面活性剤分子である。その著者らは、例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような、炭素鎖が結合した第4級アンモニウム塩を含む界面活性剤のカチオン基の部分が、ピレンエキシマーで末端標識されたオリゴヌクレオチドからのシグナルを大きく増大させるために使用され得ることを教示している。
ピレンの特に2量体(又はそれを超える多量体)錯体の蛍光強度に対する界面活性剤の正の効果は、界面活性剤分子が2量体から水分子を押しのけて蛍光を消光するように作用することに基づく可能性があるので、他の親油性分子が蛍光強度に同様の効果を有する可能性がある。インターカレーター2量体から水を押しのけ得る親油性基及び他の分子は、標準的アッセイ緩衝液中にしばしば使用される。蛍光強度に影響することが示されているそのような分子の例は、トリトンX−100、ドデシル硫酸ナトリウム、グリセロール及びDMSOである。
シグナル対ノイズ
本発明のS/N比は、本発明の全ての又は本質的に全てのオリゴヌクレオチドアナログが、相同相補的標的核酸にハイブリダイズしたときのシグナル強度(陽性シグナル)を、同量の前記オリゴヌクレオチドアナログがハイブリダイズしていないときのシグナル強度(十分相補的な標的核酸に、バックグラウンドシグナル)で除したものとして定義される。
Figure 0005284112
シグナル対ノイズ=陽性シグナル/バックグラウンドシグナル
したがって、バックグラウンドシグナルは、例えば、標的核酸が存在しないとき、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含むヌクレオチドアナログが自己ハイブリダイズしているとき、又は本発明の2つのヌクレオチドアナログが相互にハイブリダイズしているがそれらの標的核酸にはハイブリダイズしていないときである。
幾つかのシグナリングペアは、それらが強く相互作用するときに(結合していないプローブで)低いシグナルを、それらがそれほど強く相互作用しないときに(ハイブリダイズしたプローブで)高いシグナルを有するが、一方他のシグナリングペアは、シグナリングペアの2つの部分が強く相互作用するときに高いシグナルを、強く相互作用しないときに低いシグナルを有する。したがって、プローブで使用されるシグナリングペアに依存して、陽性シグナルは、バックグラウンドシグナルより有意に高いか又は低いかのいずれかであリ得ることは明らかである。1というS/N比は、プローブがハイブリダイズしているかいないかに関わらずシグナルが同じであることを示すので、S/N比はできるだけ1から離れていることが好ましい。「S/N比は、少なくとも一つの疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比より有意に高いか又は有意に低いかのいずれかである」ということは、少なくとも一つの疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比が1より高ければ、本発明のシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログは、より一層高いS/N比を有し、また、少なくとも一つの疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比が1より低ければ、本発明のシグナリングペアと少なくとも一つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログは、より一層低いS/N比を有することを意味する。より高い又はより低いS/N比は、「S/N比の値が1からさらに離れている」又は「値が1とはより大きく異なる」又は「改善された」とも記述される。
シグナリングペアの2つの部分は、オリゴヌクレオチドアナログ(例えばステムレスビーコン)が標的配列に結合していないときに互いに消光するならば(例えば、シグナリングペアがフルオロフォアとクエンチャーとから構成されていれば)、S/N比は、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログに比較して、本発明の前記ステムレスビーコンにおいて高くなるはずである。
シグナリングペアの2つの部分のシグナルが、ステムレスビーコンが標的配列に結合していないときに上昇するならば(例えば、シグナリングペアが2つのフルオロフォアの古典的FRETペアからなれば)、S/N比は、本発明の前記ステムレスビーコンにおいて、少なくとも一つの疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログに比較して、低くなるべきである。
したがって、本発明のシグナリングペア及び少なくとも一つの疎水性分子を含み、S/N比が、前記の少なくとも一つの疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比よりも値1から有意に離れているオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。
本発明のシグナリングペア及び少なくとも2つの疎水性分子を含み、S/N比が、前記の少なくとも2つの疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのS/N比よりも値1から有意に離れているオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、より一層好ましい本発明の好ましい態様である。
1態様において、S/N比は、本発明のオリゴヌクレオチドアナログと標的核酸との低温及び高温におけるインキュベーション後のシグナルを測定して、低温で得られたシグナルを高温で得られたシグナルで除することにより測定される。低温は、オリゴヌクレオチドアナログとその標的配列との間のハイブリッドの融解温度より低い温度、例えば、15℃ないし80℃の範囲内、例えば15℃ないし50℃の範囲内、例えば50℃ないし80℃の範囲内、例えば25℃ないし70℃の範囲内、好ましくは15℃ないし40℃の範囲内、例えば25℃ないし35℃の範囲内の温度であるべきである。高温は、オリゴヌクレオチドアナログとその標的配列との間のハイブリッドの融解温度より高い温度、例えば50℃ないし95℃の範囲内、例えば60℃ないし95℃の範囲内、例えば65℃ないし90℃の範囲内の温度であるべきである。
S/N比がこのようにして測定され、シグナルがバックグラウンドシグナルより高いとき、S/N比は、好ましくは少なくとも4.5、例えば少なくとも5.0、例えば少なくとも5.5、例えば少なくとも5.8である。
好ましい態様において、S/N比は、本明細書中、下の実施例2に、又は実施例10に記載したようにして測定される。
シグナルがバックグラウンドシグナルより低い態様において、S/N比は、例えば0.75未満、例えば0.5未満、例えば0.25未満である。
固相支持体
本発明のステムレスビーコンを固相支持体に結合すること、又は別の方法として、固相支持体に結合された核酸若しくは核酸アナログを検出するために前記ステムレスビーコンを使用することは、好ましい態様である。その際、混合物からの核酸又は核酸アナログとハイブリダイズした前記ステムレスビーコンの分離は、混合物から前記固相支持体を分離することにより、又は結合していない物質を洗浄除去することにより実施することができる。
所望の成果に依存して、異なる多くの種類の固相支持体が、本発明の方法に適している。
1態様において、固相支持体は活性化された表面である。活性化された表面は、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの固相支持体への結合を容易にする。
固相支持体は、例えば、磁性ビーズ、アルミニウムビーズ、アガロースビーズ、セファロースビーズ、ガラス、プラスチック表面、重金属及びチップ表面からなる群から選択することができる。
磁性ビーズは、磁石を使用して懸濁液からビーズを分離することを可能にする磁性材料を含むビーズを含む。アルミニウムビーズは、ビーズを認識することを可能にするバーコード化ビーズを含む。しかし、コード化された及びコード化されていない他のビーズも、本発明で使用することができる。
アガロースビーズ及びセファロースビーズは、懸濁液から、例えば、遠心分離又は濾過により分離することができる。
プラスチック表面は、例えば、マイクロタイタープレート又は例えば診断に対して適当であり得る他のプラスチックデバイスを含む。
チップ表面は、任意の適当な材料、例えば、ガラス、樹脂、金属、ポリマーコートで被覆されたガラス、金属コートで被覆されたガラス、及び金属コートで被覆された樹脂で構成することができる。SPR(表面プラズモン共鳴)センサープレートも利用可能であり、それは日本特許公開平11−332595に記載されている。CCDも、Nucleic Acids Research,1994,Vol.22,No.11,2124−2125に記載されているように利用可能である。
チップ表面は、ガラスプレート上のセルロース及び小ポリアクリルアミドゲルを含み、それにオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを、ポリアクリルアミドとオリゴヌクレオチドとの間の共有結合又は非共有結合を形成させることにより、固定化することができる(Yershov,G.,ほか(1996) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4913)。
チップ表面は、Sosnowski,R.G.,ほか(1997) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:1119−1123により記載されたシリカチップでもよい。そのようなチップは、シリカチップ上に微小電極のアレイを置くステップ、微小電極上にストレプトアビジン含有アガロース層を形成させるステップ、及びアガロース層を正に荷電させることにより、ビオチン修飾DNAフラグメントをアガロース層に結合させるステップを含むプロセスにより調製される。
さらに、チップ表面は、Schena,M.,ほか(1996) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:10614−10619に記載されたようにして調製することが出来、そのプロセスは、SSC(即ち標準的塩化ナトリウム−クエン酸緩衝溶液)中でアミノ基修飾PCR産物の懸濁液を調製するステップ、その懸濁液をスライドガラス上にスポットするステップ、スポットされたガラススライドをインキュベートするステップ、インキュベートされたスライドガラスを水素化ホウ素ナトリウムで処理するステップ、及びそのように処理されたスライドガラスを加熱するステップを含む。
さらに、固体材料を含むカラムを使用することができる。
疎水性分子又は疎水性ヌクレオチドを含むヌクレオチド
本発明の疎水性分子は、ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの任意の部分に、及び/又はそれ自身の主鎖モノマー単位に共有結合で結合することができる。疎水性分子は、プローブの化学的又は酵素的合成に先立って、合成中に、又は合成後に、前記ヌクレオチド及び/若しくはヌクレオチドアナログ並びに/又は主鎖モノマー単位中に組み込むことができる。疎水性分子は、任意の適当なリンカ−を使用することにより、ヌクレオチド及び/若しくはヌクレオチドアナログ並びに/又は主鎖モノマー単位中に直接結合することができる。
しかし、上記のように、疎水性分子は主鎖モノマー単位に、場合によりリンカ−により、結合されることが好ましく、そこでは主鎖モノマー単位もリンカ−も核酸塩基を含まない。
次の一般構造の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドアナログを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の1局面である。
X−Y−Q
(式中、
Xは、核酸又は核酸アナログの主鎖中に組み込まれ得るヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位であり、
Qは本発明の疎水性分子であり;及び
Yは、前記ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを結合させるリンカ−部分である。)
「核酸又は核酸アナログの主鎖中に組み込まれる」という用語は、疎水性ヌクレオチドが核酸及び/又は核酸アナログの配列中に挿入され得ることを意味する。
少なくとも一つの疎水性分子を含む前記オリゴヌクレオチドアナログを化学的に合成することができれば、それは本発明のより好ましい局面である。少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドアナログを含む前記オリゴヌクレオチドアナログを、当業者に公知の化学反応を使用する自動DNA合成機で合成することができれば、それはより一層好ましい。
本発明の多くの態様において、
X−Y−Q
(式中、
Xは、核酸又は核酸アナログの主鎖中に組み込まれ得るヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位であり、
Qは本発明の疎水性分子であり;及び
Yは、前記ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを結合させるリンカ−部分である)
の一般構造の、少なくとも2つの疎水性ヌクレオチドアナログを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することは好ましい。
本発明のオリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコンなど)中に挿入された疎水性ヌクレオチドは、標的核酸への結合を有意に減少させることがないことは、本発明の好ましい態様である。多くのそのような改変が当業者に公知である。本発明の疎水性ヌクレオチドアナログが、次のものの1つの疎水性ヌクレオチド構造から構成されていることは、より一層好ましい:本明細書で先に示した、ヌクレオチドのリボース環の2’位における改変は、標的核酸(Yamana ほか(1991) Tetrahedron lett.6347−6350)及び/又はそれら自身の主鎖モノマー単位に結合されたインターカレーター(Christensen ほか(2004) Nucleosides,nucleotides & nucleic acids 23:207−225)に対する親和性を増大させることが既に示されている。
主鎖モノマー単位Xがオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ中でホスホジエステル又はホスホジエステルアナログ結合を形成し得ることは好ましい態様である。
本発明の1態様において、疎水性ヌクレオチドは、例えば、国際特許公開WO03/052132中の64頁ないし115頁に記載されている構造1ないし347のインターカレーター擬ヌクレオチドのいずれであってもよい。
疎水性ヌクレオチドの性質に依存して、異なる製造方法が当業者には利用可能である。疎水性ヌクレオチドは、例えば、国際特許公開WO03/052132中の115頁14行目ないし121頁30行目の「インターカレーター擬ヌクレオチドの調製」の項に記載されたインターカレーター擬ヌクレオチドの調製と同様な方法で調製することができる。当業者は疎水性分子がインターカレーターでない場合にプロトコルに適当な修正をすることができるであろう。
疎水性基を含むオリゴヌクレオチドアナログ
少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログであって、前記オリゴヌクレオチドアナログが標的核酸にハイブリダイズしていない状態から標的核酸にハイブリダイズしている状態へ移るとき又はその逆のときの、前記オリゴヌクレオチドアナログのシグナルにおける変化が、前記オリゴヌクレオチドアナログと同じ配列からなり、前記疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと前記標的核酸との間のハイブリッド(対応するハイブリッド)のシグナルにおける変化よりも有意に高い、オリゴヌクレオチドアナログを提供することは本発明の目的である。
好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチドアナログは、nが少なくとも4の整数である、n個のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログを含む。nが少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、より一層好ましくは少なくとも7であることが好ましい。例えば、nは4ないし100の範囲内、例えば5ないし90の範囲内、例えば7ないし100の範囲内、例えば7ないし80の範囲内、例えば7ないし60の範囲内、例えば7ないし40の範囲内、例えば7ないし30の範囲内、例えば7ないし20の範囲内、例えば15ないし50の範囲内の整数であってよい。1態様において、オリゴヌクレオチドアナログは、1個と100個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログ、例えば5個と40個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログ、例えば5個と30個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログ、例えば5個と25個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログ、例えば5個と20個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログを含むことができる。本発明のオリゴヌクレオチドアナログが、例えば6個と25個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログ並びに少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含むことはより好ましい。
本発明のオリゴヌクレオチドアナログが、例えば6個と25個の間の核酸塩基又は核酸塩基アナログ並びに2個と6個の間の疎水性分子及び1つのシグナリングペアを含むことはより一層好ましい態様である。
疎水性分子は、所与のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ中の任意の所望の位置に入れることができる。例えば、疎水性分子は、オリゴヌクレオチドアナログの末端に付けることができ、又は疎水性分子は、オリゴヌクレオチドアナログ中の内部の位置に入れることができる。
疎水性ヌクレオチドは、1つの末端から最大で9、例えば最大で8、例えば最大で7、例えば最大で6ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの位置にあることが好ましい。
シグナリングペアの各々の部分は、疎水性ヌクレオチドよりもそれぞれ5’末端及び3’末端に近く位置することが好ましい。このように、疎水性分子は、シグナリングペアのいずれの部分よりも内部の位置を占めることが好ましい。
シグナリングペアの任意の部分は、任意の疎水性ヌクレオチドに対して、少なくとも1個、例えば2個、例えば3個、例えば4個、例えば5個、例えば5個を超える、例えば1ないし10個の範囲内、好ましくは1ないし8個の範囲内、例えば1ないし6個の範囲内、例えば2ないし6個の範囲内のヌクレオチド/ヌクレオチドアナログが、シグナリングペアの任意の部分と任意の疎水性ヌクレオチドとを分離しているように位置することが好ましい。
好ましい態様において、オリゴヌクレオチドアナログは、1個と5個の間、例えば5個と10個の間、例えば10個と15個の間、例えば15個と20個の間の疎水性ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドアナログが、少なくとも2個、例えば2個と5個の間の疎水性ヌクレオチドを含むことは非常に好ましい。
オリゴヌクレオチドアナログ中の疎水性分子は、互いに対して任意の位置に入れることができる。例えば、それらは、互いに隣り合って入れられてもよく、又はそれらは、1個、例えば2個、例えば3個、例えば4個、例えば5個、例えば5個を超えるヌクレオチドが、これらの疎水性分子を分離しているように、位置することができる。しかし、全ての疎水性ヌクレオチドは、疎水性ヌクレオチドではない少なくとも一つのヌクレオチド又はヌクレオチドアナログにより分離されていることが好ましい。
オリゴヌクレオチドアナログが、少なくとも2つの疎水性ヌクレオチドを含む態様において、それらは、前記オリゴヌクレオチドアナログの反対側の半分に位置することが好ましい。したがって、1つの疎水性ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドアナログの5’側の半分に位置し、他の疎水性ヌクレオチドはオリゴヌクレオチドアナログの3’側の半分に位置することが好ましい。
少なくとも2つの、好ましくはすべての疎水性ヌクレオチドは、1つの末端から最大で9個、例えば最大で8個、例えば最大で7個、例えば最大で6個のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの位置にあることが好ましい。
より好ましくは、少なくとも2つの疎水性ヌクレオチドは、それらそれぞれに最も近い末端から、最大で9個、例えば最大で8個、例えば最大で7個、例えば最大で6個のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログの位置で反対側の半分にある。したがって、末端からの好ましい最大距離は、オリゴヌクレオチドアナログの長さに依存し得る。
シグナリングペアのいずれの部分も、少なくとも一つの、より好ましくは少なくとも2つの、例えば全ての疎水性ヌクレオチドよりも、5’末端及び3’末端の近くに位置することはさらに好ましい。したがって、少なくとも1個、好ましくは2個、例えば全ての疎水性ヌクレオチドが、シグナリングペアのいずれの部分よりも内部の位置を占めることは好ましい。
本発明の非常に好ましい態様において、オリゴヌクレオチドアナログは、少なくとも2つの疎水性ヌクレオチドを含み、前記2つの疎水性ヌクレオチドは前記オリゴヌクレオチドアナログ中で対称的に位置する。したがって、前記の少なくとも2つの疎水性ヌクレオチドは、シグナリングペアのそれぞれの部分からおよそ同じ距離に、より好ましくは同じ距離に位置することが好ましい。
他の態様において、前記の少なくとも2つの疎水性ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドアナログの中央からおよそ同じ距離に、より好ましくは同じ距離に位置することが好ましい。
本明細書の文中で「およそ同じ距離」は、同数のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ+/−1ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログだけ離れていることを意味する。
オリゴヌクレオチドアナログが、3個を超える疎水性ヌクレオチドを含む態様において、疎水性ヌクレオチドの各対は、シグナリングペアのそれぞれの部分からおよそ同じ距離、より好ましくは同じ距離、又はオリゴヌクレオチドアナログの中央からおよそ同じ距離、より好ましくは同じ距離のいずれかに位置することが好ましい。
オリゴヌクレオチドアナログが2つ以上の疎水性分子を含むとき、少なくとも1つの前記疎水性分子の位置が、前記オリゴヌクレオチドアナログが標的核酸にハイブリダイズしていない状態から標的核酸にハイブリダイズしている状態へ移るとき又は逆のときに、前記オリゴヌクレオチドアナログのシグナルの変化が、前記疎水性分子を含まない対応するハイブリッドのシグナルの変化よりも有意に高いことを確実にするような位置であることは、本発明の好ましい局面である。
前記オリゴヌクレオチドアナログの各半分に位置する少なくとも一つの前記疎水性ヌクレオチドアナログがあれば、それはより好ましい。一つの好ましい態様において、3’及び5’末端にそれぞれ1つの部分が位置する2つの部分で構成されるシグナリングペアを有するオリゴヌクレオチドアナログ中の第1の疎水性分子が3’近くに位置し、第2の疎水性分子は5’末端近くに位置し、即ち、それらの疎水性分子は、オリゴヌクレオチドアナログのそれらそれぞれの末端の任意の位置に入れることができ、場合により任意の位置に入れられた第3、第4、第5又はそれより多くの疎水性分子が含まれてよい。前記疎水性ヌクレオチドアナログは、シグナリングペアの1つの部分に隣接して、例えば、前記疎水性ヌクレオチドとシグナリングペアの最も近い部分とを分離する、1ヌクレオチド、例えば2ヌクレオチド、例えば3ヌクレオチド、例えば4ヌクレオチド、例えば5ヌクレオチド、例えば6ヌクレオチド、例えば7ヌクレオチド、例えば8ヌクレオチド、例えば9ヌクレオチド、例えば10ヌクレオチド、例えば0個と10個の間のヌクレオチドがあって、独立に位置することができる。
疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログのシグナルの変化が、前記オリゴヌクレオチドアナログが標的核酸にハイブリダイズしていない状態から標的核酸にハイブリダイズしている状態へ移るとき又はその逆のとき、前記疎水性分子を含まない対応するハイブリッドのシグナルの変化よりも有意に高くなるように、全ての疎水性分子が位置することはより好ましい。
したがって、疎水性分子を、同じオリゴヌクレオチドアナログに含まれる他の疎水性分子及びシグナリングペアの部分との関係で配置することは本発明の1局面である。したがって、本発明の、各部分が前記オリゴヌクレオチドアナログの各末端に位置する2つの部分を有するシグナリングペアと、一つの疎水性分子が前記オリゴヌクレオチドアナログの各半分に、シグナリングペアの最も近い部分に対して、前記シグナリングペアの他の部分への他の疎水性分子の距離と等しいか又はほぼ等しい距離で位置している2つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。
各部分が前記オリゴヌクレオチドアナログの各末端に位置する2つの部分を有するシグナリングペアと、プローブが結合していないとき全ての疎水性分子が少なくとも一つの他の疎水性分子と疎水性相互作用を有して、この相互作用が前記のシグナリングペアの2つの部分を密に近接させるように、全ての疎水性分子が相互に関係して位置する、本発明の少なくとも2つの疎水性分子とを含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。
上記の性質は、例えば、上述の疎水性ヌクレオチドの配置により達成することができる。
本発明の幾つかの態様においては、疎水性ヌクレオチドアナログを、同じオリゴヌクレオチドアナログ配列の全ての他の疎水性ヌクレオチドアナログから分離している少なくとも一つのヌクレオチド又はヌクレオチドアナログが存在することが好ましい。これは、オリゴヌクレオチドの小領域中に高すぎる濃度の疎水性分子が存在すれば、標的配列に対する親和性を低下させる傾向があるという事実に基づく。
幾つかの疎水性分子、特に共役π電子を有するものであるが、他のものもまた、FRET類似の機構又はFRET類似でない衝突機構のいずれかにより、フルオロフォアからの蛍光を消光することができるので、前記疎水性ヌクレオチドを全ての他の疎水性ヌクレオチドから及びシグナリングペアのどの部分からも分離している、少なくとも1個、例えば2個、例えば3個のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログがあることはより一層好ましい。このようにして、疎水性分子による消光及び親和性の減少は最小化される。
オリゴヌクレオチドアナログは、任意の種類のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ、例えば本明細書中で先に記載したヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログなどを含んでよい。したがって、オリゴヌクレオチドアナログは、DNA、RNA、PNA、ホモ−DNA、b−D−アルトロピラノシル−NA、b−D−グルコピラノシル−NA、b−D−アロピラノシル−NA、HNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA、α−L−RNA、α−D−RNA、β−D−RNAのサブユニット及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含んでよい。
疎水性分子は水に容易に溶解せず、しかも本発明のハイブリダイゼーション及び/又は測定は水溶液中で起こることになるので、ステムレスビーコンに含まれ得る疎水性分子の数には上限がある。
したがって、アッセイで使用される緩衝水溶液中に容易に溶解する、本発明の少なくとも一つの疎水性基を含むオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明の好ましい態様である。
核酸塩基の数に比較して最大50%の本発明の疎水性ヌクレオチドがあるオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより好ましい態様である。それは、オリゴヌクレオチドアナログ中に存在する2個の核酸塩基ごとに前記オリゴヌクレオチドアナログ中に存在する本発明の疎水性ヌクレオチドが最大1個存在し得ることを意味する。
前記オリゴヌクレオチドアナログの核酸塩基の数に比較して、最大で例えば5%と50%の間、例えば5%と45%の間、例えば10%よ45%の間、例えば12%と45%の間の本発明の疎水性基がある、オリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。
水中の溶解度は、疎水性分子の疎水性に依存するであろう。疎水性分子がピレンであれば、オリゴヌクレオチドアナログは3ヌクレオチド/ヌクレオチドアナログ当たり最大で1個の疎水性ヌクレオチドを含むことが好ましい。疎水性分子がピレンよりも疎水性であれば(即ち、より高いlogPを有すれば)、オリゴヌクレオチドアナログは4ヌクレオチド/ヌクレオチドアナログ当たり最大で1個の疎水性ヌクレオチドを含むことが好ましい。疎水性分子がピレンよりも疎水性でなければ(即ち、より低いlogPを有すれば)、オリゴヌクレオチドアナログは2ヌクレオチド/ヌクレオチドアナログ当たり最大で1個の疎水性ヌクレオチドを含むことが好ましい。
しかしながら、本発明者らは疎水性分子を導入しており、本発明のステムレスビーコンが水溶液に可溶性であることは重要なので、主鎖モノマー単位が、ステムレスビーコンのオリゴヌクレオチドアナログ中に挿入後荷電していれば、それが好ましい。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドアナログの主鎖モノマー単位が、DNA、RNA、HNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、α−L−RNA又はα−D−RNA、β−D−RNA及びそれらの混合物及びそれらのハイブリッド並びにそれらのリン原子改変物、特に荷電した主鎖を残す改変物から選択されることはより一層好ましい態様である。
本発明のステムレスビーコンは、均一系アッセイとも言われる密閉チューブアッセイにおける標的核酸の検出、同定及び定量に、特によく適している。これはまた、非対称性且つ競争的PCRアッセイ、並びにPCRオープナー(PCR openers)、ブロッカー、及び多くの他の改変PCRアッセイを含むアッセイも含む。さらに、本明細書で提示したステムレスビーコンの幾つかは、ヌクレアーゼ耐性なので、それらは、生きていてもいなくても、細胞、組織又は生物中の標的配列の検出、同定及び定量にも特によく適している。さらに他の態様において、本発明は、関心のある標的配列を検出、同定及び定量するために適した、支持体に結合した2つ以上のステムレスビーコンを含むアレイも目的とする。ステムレスビーコンは、それらが、第2の検出系を使用しないで、関心のある多数の試料を、迅速に調べる手段を提供するので、便利である。
合成核酸の標的核酸に対する高い親和性は、検出アッセイを大いに容易にし、さらに標的核酸に対する親和性の高い合成核酸は、遺伝子ターゲティング及び核酸の精製などの多くの他の目的に有用であり得る。疎水性基を含むオリゴヌクレオチドアナログは、幾つかの場合に、相同相補的核酸に対する親和性を向上させることが示されている。
少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログと本質的に相補的なDNAとからなるハイブリッド(DNAハイブリッド)の融解温度が、前記の本質的に相補的なDNAとそれに相補的なDNAとのハイブリッドからなるデュープレックスの融解温度より有意に高くなり得ることは、本発明のオリゴヌクレオチドアナログのあるものの利点である。
したがって、本発明のオリゴヌクレオチドアナログは、天然に生ずる核酸よりも高い親和性でDNAとのハイブリッドを形成することができる。融解温度は、好ましくは、1ないし30℃、例えば5ないし20℃、例えば10ないし15℃、例えば2℃ないし5℃、例えば5℃ないし10℃、例えば15℃ないし20℃、例えば20℃ないし25℃、例えば25℃ないし30℃、例えば30℃を超えて高く上昇する。
本発明の他の態様において、本発明の1つ又は2つ以上の疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログは、相同相補的核酸若しくは核酸アナログ又はオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログに対するフーグスティーン型又は逆フーグスティーン型いずれかの塩基対形成により結合された前記オリゴヌクレオチドアナログからなる三重鎖構造(トリプレックス構造)を形成することができる。
本発明の他の好ましい態様において、前記オリゴヌクレオチドアナログは、前記トリプレックス構造中の前記フーグスティーン型塩基対の融解温度を上昇させることができる。
本発明のさらに他のより一層好ましい態様において、前記オリゴヌクレオチドアナログは、前記トリプレックス構造中のフーグスティーン型塩基対の融解温度を、プリンに富む・ピリミジンに富む核酸又は核酸アナログデュープレックス標的配列のような特定の配列制約の存在に依存しない様式で、上昇させることができる。したがって、前記トリプレックス構造中の前記フーグスティーン型塩基対は、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが疎水性分子を有しなければ、前記デュープレックス標的に対する前記フーグスティーン型塩基対の融解温度よりも有意に高い融解温度を有する。
したがって、本発明のオリゴヌクレオチドアナログは、天然に生ずる核酸よりも高い親和性で相同相補的な核酸若しくは核酸アナログ又はオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログとトリプレックス構造を形成することができる。融解温度は、2ないし50℃、例えば2ないし40℃、例えば2ないし30℃、例えば5ないし20℃、例えば10℃ないし15℃、例えば2℃ないし5℃、例えば5℃ないし10℃、例えば10℃ないし15℃、例えば15℃ないし20℃、例えば20℃ないし25℃、例えば25℃ないし30℃、例えば30℃ないし35℃、例えば35℃超、好ましくは上昇する。
トリプレックス形成は、フーグスティーン型塩基対を形成した第3の鎖が標的デュープレックスに侵入して、同一の鎖の一部又は全体を置き換え、相補的な鎖とワトソン−クリック塩基対を形成する、鎖侵入というプロセスに進行することもあり、又は進行しないこともある。これは、幾つかの目的のために活用することができる。
オリゴヌクレオチドアナログが多形サイトの検出に使用されるためのものであれば、多形サイトは、オリゴヌクレオチドアナログの中央に位置し、好ましくは、オリゴヌクレオチドアナログの、最も中央に位置する10個以内、例えば8個以内、例えば6個以内、例えば4個以内のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログに位置することが好ましい。
多重化
標的配列を検出、同定又は定量するときに、陽性シグナルを受けることは、しばしば有利である。研究者は、しばしば、単に「試料中に遺伝子型Aは存在するか?」と尋ねるのではなく、「試料中にどの遺伝子型が存在するのか?」という質問をする方がよい。したがって、適当な対照が実験に含まれることは大切である。定量化反応のための対照は、例えば、1つ又は2つ以上のハウスキーピング遺伝子を定量化するためであってもよい。同様に、突然変異に特異的なプローブのための対照は、野生型に対して特異的なプローブであってよい。アッセイにおいて、対照が同じ反応容器に添加されてよければ、対照及びアッセイの条件(の少なくとも大部分)が同じであることが保証され、したがって、このことは、並行実験を行うよりもしばしば有利である。2つ以上の実験がアッセイに含まれるとき、それは多重化アッセイであるといわれる。
プローブの特異性も、ミスマッチの性質に非常に依存する。SantaLuciaは、「G・C」>「A・T」>「G・G」>「G・T」≧「G・A」>「T・T」≧「A・A」>「T・C」≧「A・C」≧「C・C」の順に安定性が減少する明確な傾向があることを示し、「G」は、それが最強の塩基対及び最強のミスマッチを形成するので、最も乱交雑(promiscuous)の塩基対であるとした(SantaLucia & Hicks(2004) Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.33:415−440)。それに反して、「C」は、それが最強の対と最弱の3つのミスマッチとを形成するので、最もよく識別する核酸塩基であり、「A」がそれに続く。したがって、単独のヌクレオチドの特異性の順は、次のようである:「C」>「A」>「T」>「G」。上記のように、DNAのメチル化状態は、亜硫酸水素塩で変換された一つの鎖のDNAにおける「C」/「T」ミスマッチに、及び逆に、前記の変換されたDNAのPCR増幅後の相補的な鎖における「G」/「A」ミスマッチに翻訳されて、多くの突然変異も「C」の「T」へのトランジションである。したがって、1つのプローブが(例えば、メチル化されたDNAに特異的な)、多型サイトに高度に選択性の「C」塩基を含み、他のプローブが(メチル化されていないDNAに特異的な)多型サイトに「A」を含むならば、それは最高に識別性である。これは最も効率的であるが、一方それは、2つのプローブが互いに高度に相同的であるであろうということを意味する。本発明の適当にデザインされたオリゴヌクレオチドアナログは、それらの完全に相補的なDNA標的に、他の遺伝的変異のための完全に相補性でないプローブに対するよりも強く結合する。1つのプローブ中に、他のプローブの疎水性分子に密に近接して位置するように位置した疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログの対は、前記相同相補的(しかし完全に相補的でない)プローブがハイブリダイズするものであった場合、この用途に極めてよく適している(図5を参照されたい)。
したがって、それぞれ本発明の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドなどの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、異なる標的配列に対して個々に相補的である、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドアナログを同一アッセイ容器に供給することは本発明の1態様である。前記標的配列は標的配列又はその変異配列であってよい。
本発明の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドなどの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、標的核酸又は標的核酸アナログと少なくとも一つの既知のその変異体の配列とを識別できる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドアナログを提供することは本発明のより一層好ましい態様である。標的配列と既知の変異配列との間の変化は、突然変異、メチル化状態、欠失、挿入又は同様な小変化であってよい。
複数のステムレスビーコンの標識対からのシグナルが、同一容器中で使用された場合に、互いから識別され得ることは、本発明の1局面であるが、一方他の態様においては、融解温度又は物理的スポッティングのような他の物理的相違が、オリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコンなど)間を識別するために使用され得る。
プライマーの通常の1セットを使用して、1つのチューブ中で2つ以上のオリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコンなど)を多重化することは、本発明の他の局面である。より高度の複雑な多重化は、多くのより新しいリアルタイムPCR装置で可能であり、5又は6種までのフルオロフォアを同時に測定することができる。本発明のオリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコンなど)での多重化は、第一に、通常の分子ビーコンに比較して、「ステム」領域がないので、本発明のオリゴヌクレオチドアナログ(ステムレスビーコンなど)のより短い長さが、非特異的ハイブリダイゼーションのリスクを減少させるという理由で、さらに、配列中の内部に付け加えられた疎水性分子が、その配列が擬似的なプライマーの伸長を可能にする非特異的な鋳型として働くリスクを減少させるであろうという理由で、大部分の他の技法より容易であろう。
したがって、全て、本発明の少なくとも一つの疎水性ヌクレオチドなどの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、単一多型サイトを含む配列間を識別できる、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドアナログを提供することも、本発明の好ましい態様である。増幅反応は好ましくは「密閉チューブ」中で起こる。
双方とも本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、標的配列と前記標的配列の単一点突然変異との間を識別でき、且つ増幅反応中に存在して、前記の増幅された配列のそれらそれぞれの鎖に相同相補的である2つのオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより一層好ましい態様である。増幅反応は、好ましくは、「密閉チューブ」中で起こる。前記変異が、メチル化の相違、「C」から「T」、「T」から「C」、「A」から「G」又は「G」から「A」へのトランジションである場合、一つのステムレスビーコンが高度に選択的な塩基「C」を多型サイトに含み、且つ他のプローブが「A」を多型サイトに含めば、それが最も好ましい。
その他の方法及びアッセイ条件
ハイブリダイゼーションによる存在の検出、同定及び定量
本発明による、標的配列及び/又は変異配列の存在、同定並びに定量は、ハイブリダイゼーションに特異的なシグナルの強度、存在又は不存在により測定することができる。
ハイブリダイゼーションの程度の測定は、当技術分野に周知の任意の方法により実施することができる。検出可能なハイブリダイゼーションがなければ、ハイブリダイゼーションの程度は0であるといわれる。本発明のオリゴヌクレオチドアナログは、疎水性部分及びシグナリングペアを含み、ハイブリダイゼーションを直接検出するために使用することができる。
存在の検出、同定及び/又は定量のためのプローブとして使用することができるオリゴヌクレオチドアナログは、それらの標的核酸及び/又は核酸アナログと特異的相互作用をすることができなくてはならない。標的配列と変異配列との間を識別するときに、融解又は親和温度における相違は、一般的に使用することができるパラメーターである。この戦略を使用するとき、本発明の少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログは、効率的な識別のための手段を提供する。前記オリゴヌクレオチドアナログ中の少なくとも一つのヌクレオチドがハイブリダイズしていないとき、そのハイブリッドの融解温度は、全てのヌクレオチドがハイブリダイズしているときの比較し得るハイブリッドの融解温度よりも低いであろう。
本発明の対応する標的核酸及び/又は核酸アナログ又はオリゴヌクレオチドアナログは、ハイブリダイズしているオリゴヌクレオチドアナログの存在を検出するために使用される幾つかの方法のいずれによっても標識することができる。本発明のオリゴヌクレオチドアナログの、2つ以上のシグナリングペアを含むものを使用するか又は含まないものを使用するかの選択は、必要とされる感度、特異性並びに他の要因に依存し得る。標識の選択は、感度、プローブとの結合の容易さ、安定性の要求、及び利用可能な装置に依存する。
検出プローブがDNA又はRNAを含む状況を構想することができる。そのようなプローブは、標識の選択に依存して種々の方法で標識することができる。放射性プローブは、通常、所望の放射性同位体を含む市販のヌクレオチドを使用して作製することができる。放射性ヌクレオチドは、二本鎖プローブのニックトランスレーションにより;DNAポリメラーゼのKlenowフラグメントを有する特異的インサートを有する一本鎖M13プラスミドを放射性dNTPの存在下でコピーすることにより;逆転写酵素を使用して放射性dNTPの存在下でRNAテンプレートからcDNAを転写することにより;SP6又はT7 RNAポリメラーゼを使用して、放射性NTPの存在下でSP6プロモーター又はT7プロモーターを含むベクターからRNAを転写することにより;放射性dNTPを含む通常のPCRにより;ターミナルトランスフェラーゼを使用して放射性ヌクレオチドをプローブの3’末端につなぐことにより;又は[32P]−ATP及びポリヌクレオチドキナーゼを使用してプローブの5’末端をリン酸化することによりなど幾つかの手段によりプローブ中に組み込むことができる。
非放射性プローブは、しばしば間接的手段で標識される。一般に、1つ又は2つ以上のリガンド分子がプローブに共有結合で結合される。次にリガンドが、本来検出可能であるか又は検出可能な酵素、蛍光性化合物若しくは化学発光性化合物などのシグナル系に共有結合で結合されているかのいずれかである抗リガンド分子に結合する。リガンド及び抗リガンドは広く様々であってよい。リガンドに天然の抗リガンド、例えば、ビオチン、チロキシン及びコルチゾールなどが存在する場合、それは、標識された、天然に生ずる抗リガンドとともに使用することができる。あるいは、任意のハプテン又は抗原性化合物を抗体と組み合わせて使用することができる。
上記のように本発明のオリゴヌクレオチドアナログは、シグナル発生化合物に、例えば酵素又はフルオロフォアとの結合により、直接結合することもできる。標識として興味ある酵素は、主として加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼ、又は酸化還元酵素、特にペルオキシダーゼであろう。蛍光性化合物には、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンその他が含まれるが、これらに限定されない。化学発光性化合物には、ルシフェリン、AMPPD([3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシ)−フェニル−1,2−ジオキセタン])及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン類例えばルミノールが含まれる。
ハイブリダイゼーション媒質又は抽出溶液中に存在する標識プローブの量は、広く変化してよい。一般に、標的核酸の化学量論量を上回る実質的過剰のプローブが、標的DNAへのプローブの結合速度を増大させるために使用されるであろう。本発明のオリゴヌクレオチドアナログの、特定の核酸に対する高親和性アニーリング特性及び/又は疎水性相互作用を探究することにより、実質的過剰のプローブを使用することは必要でなくすることができる。反応容器を市販の超音波処理器中に浸漬することによる超音波での処理は、ハイブリダイゼーション速度をしばしば加速することができる。
本発明の幾つかの態様において、非標識種又は過剰の標識剤は、検出が実施される前に除去される。除去は、後洗浄が容易に行える固相支持体(本明細書で先に記載した)に、プローブ又は標的のいずれかを固定化することにより行われることが多い。使用される特定のハイブリダイゼーション溶液に対して適当な温度及び時間でのハイブリダイゼーションの後、捕捉用プローブ(本発明のオリゴヌクレオチドアナログ)と対応する標的DNAとのハイブリダイゼーション複合体が結合している支持体を、ハイブリダイゼーション溶液中に供給されたものと通常同様な試薬(例えば、塩化ナトリウム、緩衝剤、有機溶媒及び界面活性剤)を含む洗浄溶液中に導入する。これらの試薬は、ハイブリダイゼーション媒質と同様な濃度であってよいが、それらは、よりストリンジェントな洗浄条件が望まれるときには、より低い濃度であることが多い。支持体が洗浄溶液中に保たれる時間は、数秒から数時間以上と様々であってよい。ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質いずれもストリンジェントであってよい。適当なストリンジェントな洗浄の後、正しいハイブリダイゼーション複合体を、標識の性質に合わせていよいよ検出することができる。
ステムレスビーコンは標識と直接結合される。例えば、標識が蛍光性である場合、ハイブリダイゼーション複合体基質と会合したステムレスビーコンは、特定波長の光での最初の照射により検出される。試料はこの光を吸収し、次に異なる波長の光を発し、それが検出器により受け取られる(Physical Biochemistry,Freifelder,D.,W.H.Freeman & Co.(1982),pp.537−542)。標識が放射性である場合、試料は、X線フィルム又はホスホイメージャースクリーンその他に露光される。標識が酵素である場合、試料は、酵素にとって適当な基質でのインキュベーションにより検出される。生ずるシグナルは、着色した沈澱、着色した若しくは蛍光性の可溶性物質、又は生物発光若しくは化学発光による光子であってよい。
標識が酵素であるとき、酵素は、陽性の読みを示す着色した沈澱の生成を触媒することができることが好ましく、本発明の好ましい酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、コウシ腸アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼからなる群から選択することができる。例えば、アルカリホスファターゼは、インドキシルホスフェートを脱リン酸化して、次にそれが還元反応に関与して、テトラゾリウム塩を転化して強く着色した不溶性のホルマザンにする。
ハイブリダイゼーション複合体の検出は、対応する標識とオリゴヌクレオチドアナログとのハイブリッドへのシグナル発生複合体の結合を必要とすることがある。通常、そのような結合は、リガンド結合プローブとシグナルに結合した抗リガンドとの間などのリガンドと抗リガンドとの相互作用によって起こる。シグナル発生複合体の結合は、超音波エネルギーに曝すことによっても、加速され易い。
標識は、ハイブリダイゼーション複合体の間接的検出も可能にすることができる。例えば、標識がハプテン又は抗原である場合、抗体を使用して、試料を検出することができる。これらの系においては、抗体に結合している蛍光性若しくは酵素分子又は放射性標識がシグナルを発生する(Tijssen,P.“Practice and Theory of Enzyme Immunoassays,”Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Burdon,R.H.,van Knippenberg,P.H.,Eds.,Elsevier(1985),pp.9−20)。
エキシマー、エキシプレックス、FRET錯体及び電荷移動錯体を含む数種類の蛍光を検出のために使用することができる。
幾つかの興味あるアッセイは、固相支持体に固定化された、疎水性分子を含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログのプローブの関与する、ハイブリダイゼーション及び蛍光に基づく検出アッセイである。これらの場合には、固定化されたプローブが、対応する標的核酸又は対応する標的核酸アナログにハイブリダイズして、それによりシグナルが発せられる。その後、過剰又は結合していない核酸又は核酸アナログの鎖が、ストリンジェントな洗浄により除去され、残留した標識が検出される。この方法は、点突然変異の遺伝子型解析及び発現プロファイルのために非常に適している。
標的核酸、標的核酸アナログ、及び変異配列間の融解温度による検出及び鑑別
本発明は、少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログに関する。
本発明の1態様において、前記のオリゴヌクレオチドアナログは、混合物中に存在する如何なる他の核酸配列よりもその標的核酸に対して有意に高い親和性を有する。
本発明の好ましい態様において、検出手順は温度に依存し、前記オリゴヌクレオチドアナログに対して、標的核酸又は標的核酸アナログが有するよりも、低い親和性を有する核酸又は核酸アナログを除去するために、洗浄手順が使用されるアッセイを含む。
本発明の他の好ましい態様において、高い融解温度は混合物中における標的核酸の存在を示す。
より一層好ましい態様において、ハイブリダイゼーションの検出は、ストリンジェントな洗浄手順後に実施され、陽性シグナルは、混合物中における標的核酸の存在を示す。
ハイブリダイゼーションの程度の測定は、当技術分野において周知の任意の方法により実施することができる。本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログは、ハイブリダイゼーションを直接検出するために使用することができる。
本発明の1態様において、疎水性分子及び本発明のシグナリングペアを含む、幾つかの同一でないオリゴヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログは、混合物中の異なる標的核酸又は核酸アナログを対象として同時に使用することができて、その結果、前記オリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドアナログの数に対応する数の核酸又は核酸アナログの検出を容易にする。
分光学的性質を使用する標的核酸、標的核酸アナログ、及び変異配列間の検出、定量及び/又は鑑別
本発明は、少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含み、前記シグナリングペアはモノマー蛍光及び/又は分子内エキシマー、及び/又は分子内エキシプレックス及び/又は分子内FRET錯体及び/又は分子内電荷移動錯体を含む、オリゴヌクレオチドアナログに関する。
好ましい態様において、オリゴヌクレオチドアナログは、一つの部分が前記オリゴヌクレオチドアナログの1つの末端に又はそれに近接して位置し、他の部分は前記オリゴヌクレオチドアナログの他の末端に又はそれに近接して位置するシグナリングペアを含む。さらに、前記オリゴヌクレオチドアナログは、少なくとも2つの疎水性分子を、前記オリゴヌクレオチドアナログの各半分に1つずつ含み、前記疎水性分子は、標的核酸に結合していないときに、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと同じヌクレオチド配列からなり前記疎水性基を欠くオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログ中のシグナリングペアの相互作用よりも有意に望ましい前記のシグナリングペアの相互作用を助長することができる。したがって、少なくとも2つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログは、疎水性分子を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログよりも高いシグナル又は低いバックグラウンドシグナルを有するであろう。
対応する標的核酸及び/又は標的核酸アナログ及びそれらの変異体の存在を検出する方法
少なくとも一つの核酸塩基により如何なる他の配列とも異なっている可能性のある特定の標的配列を含む核酸又は核酸アナログを検出する方法であって、次のステップを含む方法を提供することは、本発明の一つの目的である:
a)突然変異があるか試験するために望ましい、核酸及び/又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
b)前記の特定配列とハイブリダイズできる、少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログを供給するステップ;及び
c)前記オリゴヌクレオチドアナログと核酸又は核酸アナログを含む混合物とをハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートするステップ;及び
d)前記オリゴヌクレオチドアナログに対して標的配列よりも弱い親和性を有する配列を洗浄し去るステップ;及び
e)標的配列の存在又は不存在を決定するステップ。
さらに、本発明は、特定の標的配列を含む核酸又は核酸アナログと変異配列を含む核酸との間を鑑別する方法を提供する。
好ましくは、ハイブリダイゼーション、測定又は分離のいずれも、高ストリンジェント条件で実施される。例えば、溶液中の分離は、例えば、電気泳動又はクロマトグラフィにより実施することができる。
高ストリンジェント条件化でハイブリダイゼーションを実施したときに、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと対応する標的核酸及び/又は核酸アナログとの間のハイブリダイゼーションのみがあることがより好ましい。
さらに他の好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログは、標的核酸及び/又は標的核酸アナログに相補的である。
さらに他の好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログは、標的核酸及び/又は標的核酸アナログの変異体に相補的である。
さらに好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドアナログは、標的配列及びその少なくとも一つの既知の変異配列に個別に相補的である。
より好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含むより多くのオリゴヌクレオチドアナログが、標的核酸及び/又は標的核酸アナログと僅か1つの位置で変化している全ての他の既知の核酸との間を鑑別するために使用される。標的核酸と見かけの近い核酸との間の変化は、例えば、突然変異、メチル化状態、欠失、挿入又は同様な小変化であってよい。最も好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含むより多くのオリゴヌクレオチドアナログは、標的核酸及び/又は標的核酸アナログと既知のタイプのそれらの単一点突然変異との間を鑑別するために使用される。
好ましい態様において、標的核酸及び/又は標的核酸アナログとその変異体との間の鑑別は、分子間のエキシマー、エキシプレックス、FRET錯体及び/又は電荷移動錯体の使用により実施される。
対応する標的核酸及び/又は標的核酸アナログ及びそれらの変異体の存在を、融解温度を使用して検出する方法
少なくとも1核酸塩基だけ任意の他の配列と異なっている可能性がある特定の標的配列を含む核酸又は核酸アナログを検出する方法であって、
a)変異があるか試験するために望ましい、核酸及び/又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
b)少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含む、前記特定の標的とハイブリダイズし得るステムレスビーコンを供給するステップ;及び
c)前記ステムレスビーコンと核酸又は核酸アナログを含んだ混合物とを、融解及び/又は親和温度の決定を可能にする条件下でインキュベートするステップ;及び
d)標的配列の有無を決定するステップ
を含む方法を提供することは、本発明の一つの目的である。
他の好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを各々含む、1つは標的核酸に特異的、1つは変異体核酸に対して特異的な、2つのステムレスビーコンが使用さる。
より好ましい態様において、前記の2つのステムレスビーコンは、互いに区別され得るシグナルを生ずる。
より一層好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含む標的核酸特異的オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの高い融解及び/又は親和温度は、標的核酸が存在することを意味し、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含む変異体核酸特異的オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの高い融解及び/又は親和温度は、変異体核酸が存在することを意味する。
酵素的ステップを含む検出方法
本発明の、標的配列及び/又は変異配列の存在、同定又は定量は、酵素的ステップを含む方法により実施することができる。
したがって、1態様において、本発明は、標的配列及び/又は変異配列を検出、同定及び/又は定量する方法に関する。
本発明のより好ましい態様は、標的配列及び/又は変異配列を検出、同定及び/又は定量する方法であって、
g)標的配列又は変異配列を検出、同定及び/又は定量するために使用するのに望ましい、核酸及び/又は核酸アナログの混合物を供給するステップ;及び
h)前記標的配列及び/又は変異配列とハイブリダイズし得る本発明の1組のプライマー及びオリゴヌクレオチドアナログを供給するステップ;及び
i)前記プライマー及びオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと核酸及び/又は核酸アナログの前記混合物とを、前記プライマーの前記核酸及び/又は核酸アナログへのハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートするステップ;及び
j)前記のハイブリダイズした標的配列を、ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又はオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログとともに前記プライマーの3’末端の鋳型伸長に使用するステップ;及び
k)少なくとも一つの疎水性分子を含む前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログをハイブリダイズさせて前記シグナリングペアのシグナル強度を測定するステップ;及び
l)任意選択でステップc)ないしe)を繰り返すステップ
を含む方法に関する。
ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェント条件下に実施することが好ましい。
ハイブリダイゼーションを高ストリンジェント条件下で実施したときに、本発明の少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログと対応する標的核酸及び/又は標的核酸アナログとの間のハイブリダイゼーションのみがあることがより好ましい。
他の局面は、シグナリングペアのシグナル強度は、当業者により、前記標的及び/又は変異配列の存在、同定及び/又は定量に関連付けられ得ることである。
1態様において、本発明の方法は、標的配列及び/又は、標的配列と少なくとも1核酸塩基だけ異なる、好ましくは、標的配列と1ないし5核酸塩基の範囲だけ異なる変異配列を検出する。
より一層好ましい態様において、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを各々含む、1つは標的核酸に特異的、1つは変異体核酸に対して特異的な、2つのオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが使用される。
本発明の他の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドアナログ又は核酸及び/又は核酸アナログは、固相支持体に固定化することができる。次に、分離は、通常、高ストリンジェント条件下で1回又は2回以上の洗浄ステップにより実施される。
増幅のために使用される幾つかの酵素は、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを、それが標的核酸の増幅中にハイブリダイズしていれば、分解することができる。そのような分解は、標的核酸の存在の検出のために使用することができる。
したがって、増幅のために使用される酵素によるヌクレアーゼ活性を受け易い本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを提供することは好ましい態様である。
しかしながら、酵素的分解は、エンドポイント融解及び/又は親和性測定をするための可能性を、それ故そのような測定による結果を検証する能力を失わせるか又は低下させることもする。
したがって、本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログであって、前記の少なくとも一つの疎水性分子が、使用された酵素による前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの酵素的分解を大きく阻害するように位置するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより好ましい態様である。
本発明の少なくとも一つの疎水性分子及びシグナリングペアを含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログであって、前記の少なくとも一つの疎水性分子が、使用された酵素による前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログの酵素的分解を大きく阻害するように、且つS/N比が、前記疎水性基を含まない対応するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログに比較して増大するように位置するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログを提供することは、本発明のより好ましい態様である。
前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドアナログが前記酵素工程によっても適度に不変であり、且つさらなる検証に使用され、又は測定のために再使用され得るならば、それは、本発明のより一層好ましい態様である。
標的核酸の量及び多型サイトにおける変異の有無の決定
本発明の1態様において、標的及び変異配列の量は、少なくとも一つの疎水性分子とシグナリングペアとを含むオリゴヌクレオチドアナログを含むアッセイの分光学的特性により、ハイブリダイゼーション後に測定される。
検出は、前記オリゴヌクレオチドアナログに結合された標識対を検出するか、又は他の標識を検出することにより間接的に、のいずれかで行うことができる。
本発明による変異の有無は、多くの異なるアッセイを使用して決定することができる。好ましくは、アッセイは融解温度を測定するか又は分光学的特性を測定するか又は両者の併用のいずれも包含する。
したがって、本発明の1態様において、変異の有無は、少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログの分光学的特性を、ハイブリダイゼーション後に測定することにより、決定される。
分光学的特性は蛍光特性であってよく、例えば、分光学的特性は、モノマー蛍光、エキシマー蛍光、エキシプレックス蛍光、FRET及び電荷移動錯体のUV吸収帯からなる群から選択することができる。
2つ以上の分光学的特性を測定することも可能であり、例えば、分光学的特性は、モノマー蛍光、エキシマー蛍光、エキシプレックス蛍光、FRET及び電荷移動錯体蛍光からなる群から選択される2種以上であってよく、特に、分光学的特性は、モノマー蛍光及びエキシマー若しくはエキシプレックス若しくはFRET若しくは電荷移動錯体蛍光であってよい。
本明細書において上で論じたように、少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログ中のシグナリングペアの少なくとも2つの部分が、互いの関係で、それらが分子内エキシマー、分子内エキシプレックス、FRET又は電荷移動錯体を形成し得るように位置するとき、次にこれら2つの部分を分離している核酸塩基対が塩基対をなすと、それは、前記部分が相互作用できず、その結果分子内エキシマー、分子内エキシプレックス、FRET又は電荷移動錯体を形成し得ない結果を好ましくは生ずるであろう。疎水性分子は、標的配列とハイブリダイズしていないオリゴヌクレオチドアナログ中のシグナリングペアの部分の有意により有効な相互作用を保証して、分子内エキシマー、分子内エキシプレックス、FRET又は電荷移動錯体を、疎水性分子が存在しないときよりも強くし、その結果、シグナリングペアの前記の2つの部分を分離している核酸塩基が塩基対をなすとき、分子内エキシマー、分子内エキシプレックス、FRET又は電荷移動錯体における変化は、疎水性分子が存在しない場合よりも有意に大きくなるはずである。
したがって、少なくとも一つの疎水性分子を含むオリゴヌクレオチドアナログ中のシグナリングペア中の部分が互いの関係で、それらが分子内エキシマー、分子内エキシプレックス、FRET又は電荷移動錯体を形成できるように位置するとき、エキシマーの蛍光、エキシプレックスの蛍光、FRET又は電荷移動錯体のUV発光帯が低いか又は本質的にないことは標的核酸の不在を示すとしてよく、高いエキシマーの蛍光、エキシプレックスの蛍光、FRET又は電荷移動錯体のUV発光帯は標的核酸の存在を示すとしてよく、逆もまた成り立つ。
実施例
次の実施例は本発明の選択された態様を例証するものであり、本発明を限定するものと見なされるべきではない。
実施例中、次の略語が用いられる:
ODN:オリゴデオキシヌクレオチド
この実施例においては、どのように分子が描かれ、上記のプログラムALOGPS 2.1 http://146.107.217.178/lab/alogps/start.html を用いてそのSMILES記法及びALOGPs値が計算されるかを示す。
前記分子はACD/Labs 8.00リリースを用いて可視化される:製品バージョン8.17、ビルド04、2005年5月。
疎水性分子ALOGPs値はメチル基の結合により計算される。ここで、該分子は該分子が疎水性ヌクレオチド等のヌクレオチドアナログ中に含まれている場合、通常、リンカー又は主鎖モノマー単位に結合される。ここで示される結合部分はどのようにも限定的な意味を有するものではない。メチル基を結合する理由は、リンカー又は主鎖モノマー単位がN−H結合のように完全に置換されていない場合、高度に双極性な基に結合することが多いということからである。そして、これは例えば該N−H結合がヌクレオチド又は前記疎水性分子を含んだ偽ヌクレオチド中に存在していない場合、疎水性に関する誤った結果をもたらす。
前記主鎖モノマー単位への通常の結合部位にメチル基を加えた天然ヌクレオチドのALOGPs値:
Figure 0005284112
上記構造は左から右に、メチル化核酸塩基:アデニン、シトシン、グアニン、チミン及びウラシルである。上記から明らかなように全核酸塩基は0を下回るALOGPs値を有しており、従って本発明の疎水性分子ではない。
リンカー又は主鎖モノマー単位への通常の結合部位にメチル基を加えた疎水性芳香族インターカレーターのALOGPs値。該メチル基の位置はここで示す例においては重要ではない。これらのいずれも本発明の疎水性分子であってよい:
Figure 0005284112
上記から明らかなように、共役系が大きいほどALOGPs値が高くなる。
リンカー又は主鎖モノマー単位への通常の結合部位にメチル基を加えた疎水性複素環式芳香族インターカレーターのALOGPs値。これらのいずれも本発明の疎水性分子であってよい。
Figure 0005284112
疎水性アルカン類及びアルケン類のALOGPs値。
Figure 0005284112
ここで明らかなように、アルカン類及びアルケン類の長さの増加に伴いALOGPs値が増加する。
一部のブラックホールクエンチャー、BHQの疎水性部分のALOGPs値及びSMILES記法:
Figure 0005284112
Figure 0005284112
上に例示されたクエンチャーは疎水性であり、示された全例が2を超えるALOGPs値を有することが分かる。これが、本発明の疎水性分子が前記フルオロフォアと同じ側半分に位置することでステムレスビーコンの各末端に有るフルオロフォア及び疎水性クエンチャーの相互作用を増加させ得る理由である。該クエンチャーと該疎水性分子との間の疎水性相互作用は該フルオロフォア及びクエンチャーを互いに近接させ得る−このためバックグラウンド蛍光が減少する。
いくつかのフルオロフォアのシグナル生成部位のALOGPs値及びSMILES記法:
Figure 0005284112
上に例示したフルオロフォアのいくつかは本発明によると0を上回るALOGPs値を有し、疎水性であることが分かる。本発明の疎水性分子はクエンチャーと同じ側半分に位置することでステムレスビーコンの各末端に有る疎水性フルオロフォアとクエンチャーとの相互作用を増加させ得る。該フルオロフォアと疎水性分子との間の疎水性相互作用はバックグラウンド蛍光を低下させる。
低バックグラウンド蛍光
測定は融解温度実験として、96穴プレート内でStratageneリアルタイムPCR機器Mx3000上にて行った。この測定は通常のリアルタイムPCR反応で用いられる緩衝液を反映した緩衝液内において行った。該緩衝液は4mM MgCl、50mM KCl、10mM TRIS−HCl,pH=8.0、1μLのステムレスビーコン(5pmol/μL)及び2μLの前記DNA標的配列(5pmol/μL)並びに22μLの上記緩衝液を含んだ。まず、該混合液を95℃で1分間加熱し、二次構造を変性させた後、35℃で2本鎖をアニールさせ、温度を95℃まで、その変化ごとにシグナルを測定しながら上昇させた。結果を図2に示し、ステムレスビーコンの配列等の他の詳細をこの図の説明文に示した。
図2から明らかなように、両プローブが同一の最大蛍光を有する(35℃)場合において、前記ステムレスビーコンは前記ステムレスDNAプローブと比較して著しく低いバックグラウンド蛍光(非結合プローブの蛍光)を有する。また、疎水性分子を有する前記ステムレスビーコンのバックグラウンド蛍光(又はノイズ)は全温度範囲にわたって低く、一方でDNA基盤の前記プローブのバックグラウンド蛍光は低い温度でより高いことが明らかである。これはより低い温度において該プローブの動きが減少し、フルオロフォア及びクエンチャーの「衝突」頻度がより低くなったためと考えられる。
この実施例における2つのプローブは亜硫酸水素塩処理したDNA試料のメチル化及び非メチル化標的を区別するように設計されている。RT−PCR実施中のこのプローブの好ましい読み取り温度は、完全に一致する標的(67℃)及びミスマッチの標的(56℃)に対するプローブの融解温度の中間であり、この場合62℃となる。従って重要なのは、該プローブが読み取り温度において良好なSN非を有することである。S/N比は次のように計算される:
Figure 0005284112
図1に示す例において、62℃におけるS/N比は:
Figure 0005284112
いくつかのステムレスビーコンの高い親和性及び特異性
上記実施例2に記載されたように測定を行った。結果及び配列情報を図3及びこの図の説明文に示す。結果は温度に対するシグナルの一次導関数として示す。
図3は、インターカレート疎水性分子の挿入を有するステムレスビーコンがそのDNA同等物よりも高い特異性を達成するように設計され得ることを示す。示した例においてステムレスビーコン、SBは63.7℃及び49.9℃という13.8℃異なった温度でそれと一致した、及びミスマッチの標的にそれぞれハイブリダイズするが、前記DNAは64.9℃及び57.1℃という7.8℃しか異ならない温度でそれと一致した、及びミスマッチの標的にそれぞれハイブリダイズする。特異性は従ってこのステムレスビーコンのほうが標的配列に対して同一の親和性を有するステムレスDNAプローブよりも77%高い(一致した標的に対する親和性対ミスマッチの標的に対する親和性の差として測定)。
PCRアッセイ中のプライマー及びプローブの試験及び最適化
この実施例に記載したプロトコルは2つの遺伝子型A及びBを複数の読み取り(1サイクル中で4回超の読み取り)を行うことが可能なリアルタイムPCR機器を用いて区別するためのものである。この種の機器の例としてはStratageneのリアルタイムPCR機器Mx3000Pが上げられ、これを本研究に用いた。
下記の方法を用いることにより、選択したアニーリング温度において前記プライマーが前記鋳型に対して機能するかを、両プローブに対する読み取り温度も個別に最適化しつつ試験することが可能である。測定自体を密接に関連した遺伝子型間の識別に用いることが出来る。
1.光学PCRチューブ(optical PCR−tube)に10μLの2xPCRマスターミックス、1μLのフォワード側プライマー(10pmol/μL)、1μLのリバース側プライマー(10pmol/μL)、1μLの遺伝子型A特異的ステムレスビーコン(5pmol/μL)、1μLの遺伝子型B特異的ステムレスビーコン(5pmol/μL)、5μLのHO及び1μLのDNA(100pG−20nG/μl)を加える。
2.可能なら上記のように目的の標的それぞれに対し2つのチューブを準備し、1個が遺伝子型A、及び1個が遺伝子型Bのものとする。もしこれらのコントロールが入手出来なければ、単に未知の試料を加えたチューブを準備する。
3.(ほとんどのモデルがそうであるように蛍光を蓋を通して測定するリアルタイムPCR機器を用いる場合は)光学蓋(optical lid)で、又はチューブの側面若しくは底面を通して読み取りを行う機械を用いる場合は単に標準的な蓋で前記チューブを密閉する。
4.前記チューブを前記リアルタイムPCR機器に設置し、次のプログラムを実施する(図6に説明):
a.ホットスタートポリメラーゼを用いる場合、製品説明書に従ってこれを活性化するか、又は単に95℃で1分間加熱し、二次構造を除去する;そして、
b.次に、下記の工程を45サイクル行う:
i.95℃にて30秒間変性する;そして、
ii.前記プライマー及びプローブを(例えば50℃にて)1:00分間アニールし、エンドポイント又は連続蛍光測定;そして、
iii.温度を2℃ずつ上昇させ、エンドポイント蛍光測定を行う。可能な限り短い時間間隔を用いる(試料の数と位置とに依存);そして、
iv.工程iiを約70℃に達するまで反復する;そして、
v.72℃において30秒間伸長する;そして、
5.データを分析する−この標的の将来的なリアルタイムPCR実験における使用のためのこのプローブの最適な蛍光読み取り温度は、前記ステムレスビーコンが完全に相補的な標的のみにハイブリダイズし、可能な限り高いシグナルを示す温度である。両プローブに対して個別の読み取り温度が見いだされる。
異なる温度段階における蛍光の相違の例及びこのプロトコルがどのように将来的なその特定の標的のRT−PCRの実施を最適化するのに用いられるかを図8に示す。この例では1本の密閉されたチューブ内で2種のステムレスビーコンを用いて多重化することについても説明している。
プライマー及びプローブの試験及び最適化、エンドポイント測定
この節ではエンドポイント親和性測定を本発明のステムレスビーコンを最適化するために、また2つの遺伝子型AとBとの間を識別するために、どのように用いることが出来るかを記載する。この方法は特に、例えばCorbett Research’s Rotorgene(登録商標)3000、Applied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System、及び毎秒3℃以上の温度変化(冷却)速度を有する他の高温度変化速度リアルタイムPCR機器、等の高い温度変化速度を有するリアルタイムPCR機器に適しているが、標準的なリアルタイムPCR機器においても実施することが出来る。この実施例のこの方法に基づく測定はCorbett Research’s Rotorgene(登録商標)3000上で行った。
1.光学PCRチューブに10μLの2xPCRマスターミックス、1μLのフォワード側プライマー(10pmol/μL)、1μLのリバース側プライマー(10pmol/μL)、1μLの遺伝子型A特異的ステムレスビーコン(5pmol/μL)、1μLの遺伝子型B特異的ステムレスビーコン(5pmol/μL)、5μLのHO及び1μLのDNA(100pG−20nG/μl)を加える;そして、
2.可能なら上記のように目的の標的それぞれに対し2個のチューブを準備し、1個に遺伝子型Aを含んだDNA、及び1個に遺伝子型Bを含んだDNAを入れる。もしこれらのコントロールが入手出来なければ、単に未知の試料を加えたチューブを準備する;そして、
3.(ほとんどのモデルがそうするように蛍光を蓋を通して測定するリアルタイムPCR機器を用いる場合は)光学蓋で、又はRotorgene(登録商標)(Corbett Research株式会社,オーストラリア)がそうであるようにチューブの側面を通して読み取りを行う機械を用いる場合は単に標準的な蓋を用いて前記チューブを密閉する;そして、
4.前記チューブを前記リアルタイムPCR機器に設置し、次のプログラムを実施する(図7に説明):
a.ホットスタートポリメラーゼを用いる場合、製品説明書に従ってこれを活性化するか、又は単に95℃で1分間加熱し、二次構造を除去する;そして、
b.次に、下記の工程を用いて増幅を45サイクル行う(注釈8を参照):
i.95℃にて10秒間変性する;そして、
ii.前記プライマー及びプローブを(例えば50℃にて)15秒間アニールし、エンドポイント蛍光を読み取る;そして、
iii.任意にさらなる1又は2種類の温度において蛍光を読み取る;そして、
iv.72℃において20秒間伸長する;そして、
b.エンドポイント親和性試験を次の方法で行う:
i.95℃にて15秒間変性する;そして、
ii.72℃から開始し、前回のアニーリングよりも1℃低い温度で15秒間アニーリングする。エンドポイント蛍光を読み取る;そして
iii.上記2つの工程を27回反復する(72℃から45℃);そして、
5.データを分析する−この標的の将来的なリアルタイムPCR実験における使用のための最適な蛍光読み取り温度は、完全に相補的な標的にハイブリダイズした前記ステムレスビーコンの蛍光が「テイクオフ(take off)」し始める温度とミスマッチの標的にハイブリダイズした前記ステムレスビーコンの蛍光が「テイクオフ」し始める温度との中間である。見いだされた温度は同様な設定を用いた将来的な測定における読み取りポイントとして用いることが出来る。ここに記載されたもののような親和性測定は類似した標的間を識別するための極めて鋭敏な方法である。
前記エンドポイント、親和性測定が将来的な同一の標的のためのRT−PCRの実施を最適化するのにどのように用いられ得るか、また該親和性測定が2つの極めて類似した標的を区別するのにどのように非常に有力であるかの例を図9にす。
HOXB5における単一のCpGのメチル化状態の検出
試験はHOXB5遺伝子内の単一のCpGサイトのメチル化、非メチル化、及び「ヘテロ接合体」を識別することが可能かどうか調べるために設定された。この実施例における測定はCorbett Research’s Rotorgene(登録商標)3000上で行った。
標的、プライマー及びプローブ
[配列番号10]
フォワード側プライマー:5’−1TTTGTTTAGAGGTTAAAGTTAATTTTT
[配列番号11]
リバース側プライマー:5’−1TCAAAAAATAATTCATACTCTATAATTAC
[配列番号12]
非メチル化特異的プローブ:HEX−TT1AAAAAC1CATTC1AAT1A−BHQ1
[配列番号13]
メチル化特異的プローブ:FAM−TT1GAATG1GTTT1T−BHQ1
前記標的配列はHeLa又はBL13のいずれかからあらかじめ増幅した亜硫酸水素塩処理DNA(外側プライマー:5’−1GGGAGTTAGTAGGGAGGTAGT[配列番号14]及び5’−1TAAAAAATCACRTACTTTTATTAACC[配列番号15])中に含まれた。シーケンスデータにより、これまでにHeLaは目的の多型サイトにおいてメチル化されていることが示されており、一方BL13はメチル化されていないことが示されている。標的DNAを含んだ36試料が、純粋なHeLa;純粋なBL13;又はHeLa及びBL13の亜硫酸水素塩処理DNAの1:1混合物;のそれぞれ12ずつから調製された。該標的を各3つずつ、4つの異なった希釈(10、100、1,000、又は100,000倍)で用いた。1という表示は挿入された偽ヌクレオチド、即ち疎水性のインターカレート分子のピレンを含んだ疎水性ヌクレオチド((S)−1−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチルオキシ)−3−ピレンメチルオキシ−2−プロパノールのホスホルアミダイト)を意味する。FAM及びHexはフルオロフォア、及びBHQ1はクエンチャーである。
QPCRの設定
フォワード側プライマー 1μL(10.0pmol/μL)
リバース側プライマー 1μL(10.0pmol/μL)
プローブ(FAM) 1μL(12.5pmol/μL)
プローブ(Hex) 1μL(12.5pmol/μL)
O 5μL
2xマスターミックス、Promega 10μL
DNA鋳型 1μL(希釈情報については上記参照)
リアルタイムPCRプロファイル
用いたリアルタイムPCRプロファイルを図14Aに示す。
結果
前記リアルタイムPCR中の蛍光測定のいずれを用いても、1個を除いた全ての試料を正確に決定することが出来た。全試料が前記親和性分析により正確に決定された。1試料については増幅しなかった。
ヒトアンドレノーゲン受容体のヌクレオチド2074におけるSNPの検出
用いたプローブの組み合わせが野生型とAからGへのトランジション変異とを区別し得るか確かめるため、試験を設定した。この実施例における測定はCorbett ResearchのリアルタイムPCR機器Rotorgene(登録商標)3000上において行った。
標的、プライマー及びプローブ
[配列番号16]
フォワード側プライマー:5’−TCCCACATCCTGCTCAAG
[配列番号17]
リバース側プライマー:5’−ATCTCTGCCATCATTTCCG
[配列番号18]
Wt特異的プローブ:FAM−T1CAAA1AGGA1ACTG1AT−BHQ1
[配列番号19]
Mut.特異的プローブ:HEX−2TCAAA2AGGA2ACTG2AT−BHQ1
この実験においてはmut.特異的プローブをwt.特異的プローブとともに均一アッセイに加えた。1という表示は挿入された偽ヌクレオチドまたは疎水性のインターカレート分子のピレン(上記からの番号XII)を含んだ疎水性ヌクレオチド((S)−1−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチルオキシ)−3−ピレンメチルオキシ−2−プロパノールのホスホルアミダイト)を意味する。2という表示は挿入された偽ヌクレオチド又は疎水性ヌクレオチド(3−(1−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2−O−(2−シアノエチルジイソプロピルアミドホスファイト)−1,2−ブタンジオール)−4−N−(7,9−ジメチル−3H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン)のホスホルアミダイト)(上記の番号XXVIのインターカレート疎水基を含む)を意味する。FAM及びHexはフルオロフォア、及びBHQ1はクエンチャーである。
前記鋳型:それぞれLNCap(突然変異体)及び/又はTHP(wt)から抽出されたcDNAを含んだ2試料(全体で6試料)。
QPCRの設定
フォワード側プライマー 1μL(10.0pmol/μL)
リバース側プライマー 1μL(10.0pmol/μL)
プローブ(FAM) 1μL(12.5pmol/μL)
プローブ(Hex) 1μL(12.5pmol/μL)
O 5μL
2xマスターミックス、Promega 10μL
DNA鋳型 1μL
リアルタイムPCRプロファイル
用いたリアルタイムPCRプロファイルを図14Bに示す。
結果
55℃において、wt特異的プローブは前記野生型標的及び前記突然変異体の両者に結合したが、前記mut.特異的プローブは特異的にその標的にハイブリダイズした。
61℃においては、野生型ではwtプローブからの特異的なシグナルのみが得られるように基準値を調整することが出来、またmut.特異的プローブはうまく機能した。
65℃においては、前記wt.特異的プローブはその特異的標的にのみ結合し、一方前記突然変異型特異的プローブはもはや結合しなかった。
FAMチャンネルにおけるエンドポイント親和性測定においては、前記wt特異的プローブが前記THPcDNAのみにハイブリダイズし、前記LNCapにはハイブリダイズしない約5度の範囲(window)(61℃から66℃)があることが示された。
HEXチャンネルにおけるエンドポイント親和性測定においては、前記mut.特異的プローブを用いて、前記の完全に相補的な標的への結合を単一ヌクレオチドミスマッチの標的への結合と区別することが、55℃超の温度における少なくとも10℃の範囲で極めて容易であることが示された。
結論
組み合わせで用いたプローブではヒトアンドレノーゲン受容体のヌクレオチド2074に見いだされるAからGへのトランジション変異を検出することが出来た。前記FAM標識プローブは61℃から66℃の範囲において特異的であり、一方前記HEX標識プローブは55℃及び63℃の間の温度において特異的であった。
ここに記載されたエンドポイント親和性解析が核酸の極めて小さな変化の特異的検出に用られ得るということがこの場合も示された。この方法は、増幅を最適な条件下において行い、続いて親和性測定を行うことが出来る均一な(homogenous)ものである。
リアルタイムPCR及び疎水性ヌクレオチドのポジショニング
序論
この実施例は疎水性ヌクレオチドのポジショニングと関連した蛍光シグナル強度について説明する。
材料
Figure 0005284112
標的配列のプローブ、プライマー
[配列番号20]
Bgalprob_01:5’−Fam 1AC CGA CCC AGC GCC C1 BHQ1−3’
[配列番号21]
Bgalprob_02:5’−Fam A1C CGA CCC AGC GCC 1C BHQ1−3’
[配列番号22]
Bgalprob_03:5’−Fam AC1 CGA CCC AGC GC1 CC BHQ1−3’
1=構造X−Y−Qの疎水性ヌクレオチドであり、ここでXは前記オリゴにホスホルジエステル結合により結合した主鎖モノマー単位であって構造−O−CH−CH−O−を有し、Yは−CH−O−CH−リンカーであり、Qは1’−ピレンである。
プライマー
[配列番号23]
Bgal_SNP01_F:5’−CGG TTA CGA TGC GCC CAT CTA CAC−3’
[配列番号24]
Bgal_SNP01_R:5’−CAG CAC CAT CAC CGC GAG GC−3’
結果/結論
図10から明らかなように、前記シグナリングペアの近傍へのIPNsのポジショニングによって蛍光シグナルが著しく減少する。しかし、前記シグナリングペアと第1の疎水性ヌクレオチドとの間に1個のヌクレオチドを有するだけでシグナルが著しく向上し、2つのヌクレオチドを間に有するとさらに高いシグナルが産生される。従って、疎水性ヌクレオチドを前記(フルオロフォア部位)シグナリングペアの最近傍の隣に(as next nearest neighbours)有しないようにすることは本発明の好ましい態様である。
エンドポイント添加及び標的の検出
序論
この実施例では標的核酸へのプローブの添加を前記標的核酸の存在の検出にどのように用い得るかを説明する。
材料及び方法
まず、特定のプライマー及びマスターミックスを用い:
Figure 0005284112
この混合物を下記の増幅プロファイルにかけ:
Figure 0005284112
標的核酸を増幅した。
その後、2.00μlの次のプローブをそれぞれの増幅反応に加えた(下表の11番はプローブ添加無し)。
[配列番号25]
Bgalprob_02 5’−Fam A1C CGA CCC AGC GCC 1C BHQ1−3’
[配列番号26]
Bgalprob_03:5’−Fam AC1 CGA CCC AGC GC1 CC BHQ1−3’
[配列番号27]
Bgalprob_05:5’−Fam ACC G1A CCC AGC 1GC CC BHQ1−3’
[配列番号28]
Bgalprob_ref:5’−Fam ACC GAC CCA GCG CCC BHQ1−3’
1=構造X−Y−Qの疎水性ヌクレオチドであり、ここでXは前記オリゴにホスホルジエステル結合により結合した主鎖モノマー単位であって構造−O−CH−CH−O−を有し、Yは−CH−O−CH−リンカーであり、Qは1’−ピレンである。
そして最後に、図11の下部に示したプロファイルを用いて親和性測定を行った。
結果及び結論
図11から、示した親和性測定プロファイルを用いた標的核酸のエンドポイント検出に対して、示した全てのプローブが使用出来ることが明らかである。疎水性ヌクレオチドを含んだ前記ステムレスビーコンは、前記のDNA基盤のプローブと比べ、標的核酸に対する高い親和性及び高い蛍光シグナル強度を有することも明らかである。
追加
次のプローブを同様な反応において比較することにより:
[配列番号29]
Bgalprob_01:5’−Fam 1AC CGA CCC AGC GCC C1 BHQ1−3’
[配列番号30]
Bgalprob_05:5’−Fam ACC G1A CCC AGC 1GC CC BHQ1−3’
[配列番号31]
Bgalprob_ref:5’−Fam ACC GAC CCA GCG CCC BHQ1−3’
1=構造X−Y−Qの疎水性ヌクレオチドであり、ここでXは前記オリゴにホスホルジエステル結合により結合した主鎖モノマー単位であって構造−O−CH−CH−O−を有し、Yは−CH−O−CH−リンカーであり、Qは1’−ピレンである。
図12から明らかなように、前記シグナリングペアの近傍への疎水性ヌクレオチドのポジショニングはこの種類の測定においても蛍光シグナルを著しく減少させる。
ステムレスプローブの1本鎖オリゴ標的への親和性
序論
この実施例は、構造:X−Y−QにおいてXが前記オリゴにホスホルジエステル結合により結合した主鎖モノマー単位であって構造−O−CH−CH−O−を有し、Yが−CH−O−CH−リンカーであり、Qが1’−ピレンである構造:X−Y−Qの疎水性修飾を有するステムレスビーコンが、完全に相補的な標的配列に対して、前記疎水性修飾を含まないプローブよりも高い親和性をどのように有するか説明したものである。
材料及び方法
次のプローブを試験した:
[配列番号32]
Bgalprob_1:5’−Fam 1AC CGA CCC AGC GCC C1 BHQ1−3’
[配列番号33]
Bgalprob_2:5’−Fam A1C CGA CCC AGC GCC 1C BHQ1−3’
[配列番号34]
Bgalprob_5:5’−Fam ACC G1A CCC AGC 1GC CC BHQ1−3’
[配列番号35]
Bgalprob_6:5’−Fam ACC GA1 CCC AG1 CGC CC BHQ1−3’
[配列番号36]
Bgalprob_7:5’−Fam ACC GAC 1CC A1G CGC CC BHQ1−3’
[配列番号37]
Bgalprob_ref:5’−Fam ACC GAC CCA GCG CCC BHQ1−3’
オリゴ標的配列:
Bgal_WT_tar:5’−AAC GGG CGC TGG GTC GGT TAC−3’
プロファイル
Figure 0005284112
混合液
Figure 0005284112
結果及び結論
図13から、全ステムレスビーコンは前記の相補的なオリゴヌクレオチド標的に対し、対応するDNAとの比較において同等の又はより高い親和性を有していることが明らかである。さらに、この実施例に示した全てのステムレスビーコン(プローブ_1を除く)は疎水性修飾を有しない前記DNAプローブと比較して同等の又はより高いS/N比を有していることが計算され得る(25度におけるシグナルを90度におけるシグナルで割ったもの)。
S/N比
Figure 0005284112
A)相補的標的が存在しない場合、前記ステムレスビーコンの前記疎水性分子は互いに相互作用しようとし、フルオロフォア(点を打ったボール)及びクエンチャー(黒い四角形)を互いに近接させる。そのため、該フルオロフォアは消光される。B)相補的標的が例えば増幅反応中に添加され又は形成された場合、該ステムレスビーコンは広がってそれに結合する。C)該ステムレスビーコンがその相補的標的に結合している際、前記フルオロフォア及びクエンチャーはもはや互いに近接しておらず、従ってフルオロフォアは蛍光を発する。 ステムレスDNA(TaqMan(登録商標)様)配列(黒い記号、FAM−AAAAATCCCGCGAACTCC−BHQ1)[配列番号1]と、下記からの疎水基XXVIを含んだ疎水性分子(2と表される;3−(3,4−ジヒドロキシブチル)−7,9−ジメチルピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンのホスホルジエステルの挿入)を有する4つの偽ヌクレオチドの挿入を含む対応するステムレスビーコン(白い記号、FAM−A2AAA2ATCCCG2CGA2ACT−BHQ1)[配列番号2]とを、それらの一致した(ダイヤモンド、GCGGGAGTTCGCGGGATTTTTTAG)[配列番号39]及びミスマッチの(四角形、GTGGGAGTTTGTGGGATTTTTTAG)[配列番号40]DNA標的に対してそれぞれハイブリダイズさせた際の解離曲線。ステムレスビーコン、SBのバックグラウンド蛍光は前記DNAプローブからのものよりもずっと低いことが明らかである。前記標的オリゴヌクレオチドには、前記DNAのみ、又は前記SB及びDNAプローブの両方が前記領域にハイブリダイズする場合に1本又は2本線のアンダーラインがそれぞれ付されている。ハイブリダイゼーション領域におけるミスマッチは灰色で強調されている。「2」という表示は下記の番号XXVIのインターカレート疎水基(intercalating hydrophobic group)を含んだ挿入偽ヌクレオチド(3−(1−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2−O−(2−シアノエチルジイソプロピルアミドホスファイト)−1,2−ブタンジオール)−4−N−(7,9−ジメチル−3H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンのホスホルアミダイト)を意味する。 一致した標的(ダイヤモンド、CCGCAAAAAAACGCCCTAAAATCCC)[配列番号5]及びミスマッチの標的(四角形、CCGCAAAAAAACACCCTAAAATCCC)[配列番号6]とアニールした、ステムレスビーコン(SB、白い記号、FAM−T2AGG2GCGT2TTTT2T−BHQ1)[配列番号3]の解離曲線に対する負の導関数(negative derivative)を、ステムレスDNA、TaqMan(登録商標)様プローブ(黒い記号、FAM−ATTTTAGGGCGTTTTTTTG−BHQ1)[配列番号4]と比較したもの。前記DNA内には6つ分多くの相補的核酸塩基が存在しているが、前記SBは相補的な標的に対し同様に強く結合し、この結合はより特異的である。前記SBは一致した及びミスマッチの標的に対しそれぞれ63.7℃及び49.9℃でハイブリダイズし、13.8℃の差異を生じているが、前記DNAは一致した及びミスマッチの標的に対しそれぞれ64.9℃及び57.1℃でハイブリダイズし、7.8℃の差異しか生じていない。前記標的オリゴヌクレオチドには、前記DNAのみ、又は前記SB及びDNAプローブの両方が前記領域にハイブリダイズする場合に1本又は2本線のアンダーラインがそれぞれ付されている。ハイブリダイゼーション領域におけるミスマッチは灰色で強調されている。SBのシグナルがより強いのはそれらのバックグラウンド蛍光がより低いためである。「2」という表示は下記の番号XXVIのインターカレート疎水基を含んだ挿入偽ヌクレオチド(3−(1−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2−O−(2−シアノエチルジイソプロピルアミドホスファイト)−1,2−ブタンジオール)−4−N−(7,9−ジメチル−3H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン)のホスホルアミダイト)を意味する。 A)相補的DNA標的が存在しないか、又は少ししか無い場合の部分的に相補的なステムレスビーコン、SB。この2つのプローブは互いに結合し及び/又はそれら自身で折りたたまれ、それにより蛍光が消光される。メチル化検出部位(多型サイト)及び該プローブ間のミスマッチの部位を淡い灰色のバーで強調する。B)相補的DNA標的が増幅工程中に添加又は形成された場合、前記SBはそれに対して他のSBに対する結合よりも優先的に結合する。C)その結果として前記標的に相補的な前記SBは蛍光を発することが出来、従って検出出来るが、他のSBはそれ自身で折りたたまれ、自身の蛍光を消光する。 この図は、全ての非メチル化デオキシシトシン(dC)をデオキシウラシル(dU)に変換し、メチル化されたdCはdCとして変化させない、ゲノムDNAの亜硫酸水素塩処理について説明したものである。A)亜硫酸水素ナトリウムのdCとの化学反応、B)ゲノムDNA、C)亜硫酸水素塩処理した非メチル化DNA、及びD)単一のメチル化CpGデュプレットを有する亜硫酸水素塩処理DNA。中央の太いバーは該CpGデュプレットを強調しており、他の全てのバーはゲノムDNA内のdCの位置及びdUへの変化を強調している。 各工程において蛍光を測定しながら徐々に温度を上昇させた際の増幅プロファイル。まず、前記DNAポリメラーゼを製品アドバイスに従い活性化させる。次に、45サイクルの増幅を行う。該サイクルはアニーリング及び最初の測定(例えば50℃)を含み、その後温度を例えば2度のステップで次第に上昇させ、各段階で蛍光を測定する。通常の伸長温度、例えば72℃に達するまでこれを反復する。各測定段階の時間は可能な限り短くする必要がある。中に「終了」と書かれた虫眼鏡及びその縁の「1」は、その段階の終わりに蛍光が1回測定されたことを表す。 エンドポイント親和性読み取り(endpoint affinity readings)を用いた増幅プロファイル。まず、前記DNAポリメラーゼを製品説明書に従い活性化する。次に前記DNA領域を、最適アニーリング温度(例えば50℃)及び任意に追加の読み取りポイント(reading point)(例えば55℃及び60℃)を用いて増幅する。これを十分な増幅が生ずるまで反復する。その後、エンドポイント親和性測定を行うが、ここでは2本の鎖をオルタナティブに(alternatively)(95℃までにおいて)変性し、次いで冷却(例えば最初の工程において72℃まで)を、冷却を行うたびに徐々に(例えば1工程当たり1℃)温度を下げながら行う。この与えられた工程において前記混合物が選択された温度にまで冷却されるごとにシグナルを測定し、前記プローブがその標的にアニールできるよう短時間そのまま維持する。これを、両プローブが少なくともそれらの相補的な標的に結合する水準の所望の温度(例えば45℃)に達するまで反復する。中に「終了」と書かれた虫眼鏡及びその縁の「1」は、その段階の終わりに蛍光が1回測定されたことを表す。 この図は、図6に示したプロトコルを用いてどのように完全に相補的な標的(メチル化DNA)及びミスマッチの標的(非メチル化DNA)からの蛍光を識別出来るかを示す。45℃及び59℃までにおいてはメチル化プローブ(FAM−A2AAA2ATCCCG2CGA2ACT−BHQ1)[配列番号7]は前記のミスマッチの標的にも少量結合するが、61℃及び71℃までにおいては該プローブの結合は完全に相補的な標的に対して特異的である。将来的な測定においては61℃の読み取りポイントをこのプローブに対して用いることが出来る可能性がある。多型的なサイトを灰色で強調した。「2」という表示は下記の番号XXVIのインターカレート疎水基を含んだ挿入偽ヌクレオチド(3−(1−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2−O−(2−シアノエチルジイソプロピルアミドホスファイト)−1,2−ブタンジオール)−4−N−(7,9−ジメチル−3H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン)のホスホルアミダイト)を意味する。 図7に示したプロトコル、及びFAM標識(FAM−TT1GAATCG1GTTT1T−BHQ1[配列番号8]又はHEX標識(HEX−TT1AAAAAC1CAATTC1AAT1A−BHQ1)[配列番号9]されたプローブのいずれかを用いて、どのように完全に相補的な標的(この例ではメチル化DNA)及びミスマッチの非標的(この例では非メチル化DNA)からの蛍光シグナルを区別できるかを示した例。両プローブは45℃及び50℃の間で特異的にアニールする。将来的な測定においては両プローブにおいて46℃の読み取りポイントを用いることが望ましいと思われる。記載されたプロトコルを用いれば2つの関連した標的を、この例ではメチル化DNAを非メチル化DNAから、区別することが容易であることが様々なプロファイルから明らかである。各プローブの多型的なサイトを灰色で強調した。「1」という表示は疎水性のインターカレート分子であるピレンを含んだ挿入偽ヌクレオチド((S)−1−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチルオキシ)−3−ピレンメチルオキシ−2−プロパノールのホスホルアミダイト)を意味する。 図10においては、上部のパネルに実施例8に記載された実験中に用いられたPCRサイクルプロファイルを示す。中央のパネル及び下部のパネルに蛍光の生データを示し、下部のパネルに実施例8に記載の通り得られた定量データを示す。 図11においては、上部パネルに実施例9に記載の通り得られた結果を示す。下部パネルに測定プロファイルを示す。 図12に実施例9に記載の通り得られた結果を示す。 図13に実施例10に記載の通り得られた結果を示す。曲線は次のプローブを用いた結果を表す:−プローブ_01−プローブ_02−プローブ_05−プローブ_06−プローブ_07−プローブ_ref 図14A及びBは本発明の方法に対して有用であり得るリアルタイムPCRプロファイルを示す。

Claims (17)

  1. n個のヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの連続した配列と、少なくとも2個の疎水性ヌクレオチド含むオリゴヌクレオチドアナログであって当該オリゴヌクレオチドアナログが共有結合的にシグナリングペアに連結しており前記疎水性ヌクレオチド一般構造が:
    X−Y−Q
    であり、ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ、又は核酸若しくは核酸アナログの主鎖に組み込まれ得る主鎖モノマー単位であり、Qワトソン・クリック水素結合には関与しない疎水性分子である、疎水性のインターカレート分子のピレン:
    Figure 0005284112

    を含む、疎水性ヌクレオチド((S)−1−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチルオキシ)−3−ピレンメチルオキシ−2−プロパノールのホスホルアミダイト、又はインターカレート疎水基:
    Figure 0005284112

    を含む、3−(1−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2−O−(2−シアノエチルジイソプロピルアミドホスファイト)−1,2−ブタンジオール)−4−N−(7,9−ジメチル−3H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンであり、前記ヌクレオチド若しくはヌクレオチドアナログ又は主鎖モノマー単位と前記疎水性分子とを連結するリンカー部分であり;
    が4以上の整数であり
    2以上の前記疎水性ヌクレオチドが3’末端又は5’末端の各々から最大で9ヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログの位置に均等に配置され;
    前記2以上の疎水性ヌクレオチドが前記シグナリングペアの各部分からおよそ同一の距離に位置しており
    前記シグナリングペアが2部分システムからなり、一方の部分が突出末端として5’末端に位置し、他方の部分が突出末端として3’末端に位置し
    前記シグナリングペアの2の部分が前記疎水性ヌクレオチドと同一ではなく
    前記疎水性ヌクレオチドが任意の前記シグナリングペアの部分の隣に配置されず;
    5’末端の最初のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ疎水性ヌクレオチドではなく3’末端の最初のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ疎水性ヌクレオチドではない
    ことを特徴とするオリゴヌクレオチドアナログ。
  2. 前記シグナリングペアがこのペアの部分間の物理的距離に応じて検出可能なシグナルを変化させ得ることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログ。
  3. 前記シグナリングペアの一方の部分がフルオロフォアであり、前記シグナリングペアのもう一方の部分がクエンチャーであり、前記フルオロフォア及び前記クエンチャーが分子内FRET複合体を形成し得ることを特徴とする、請求項に記載のオリゴヌクレオチドアナログ。
  4. 少なくとも2個の前記疎水性ヌクレオチドが前記オリゴヌクレオチドアナログの3’末端方向及び5’末端方向に均等に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログ。
  5. 前記疎水性ヌクレオチドの前記疎水性分子が互いに疎水性相互作用が可能であり、それによって前記シグナリングペアの2つの部分を近接させ得ることを特徴とする、請求項に記載のオリゴヌクレオチドアナログ。
  6. 前記シグナリングペアの一方の部分よりも5’末端に近く位置している疎水性ヌクレオチドが無く、前記シグナリングペアのもう一方の部分よりも3’末端に近く位置している疎水性ヌクレオチドが無いことを特徴とする、請求項に記載のオリゴヌクレオチドヌクレオチドアナログ。
  7. 前記オリゴヌクレオチドが固相に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログ。
  8. ハイブリダイゼーションを決定する方法であって:
    a)請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログを提供するステップと;
    b)前記オリゴヌクレオチドアナログの標的配列を潜在的に含んだ核酸の混合物を提供するステップと;
    c)前記核酸及び前記オリゴヌクレオチドアナログをハイブリダイゼーション可能な条件下でインキュベートするステップと;
    d)前記シグナリングペアの前記部分が近接しているかどうかを決定することによりハイブリダイゼーションを検出するステップと;
    e)それによってハイブリダイゼーションを決定するステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  9. 請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログと標的配列とのハイブリダイゼーションを増幅中に検出及び/又は定量する方法であって、前記方法が
    a)標的配列を潜在的に含む核酸の混合物を提供するステップと;
    b)増幅酵素を含んだ増幅緩衝液、1組のプライマー、及び請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログを提供し前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチドアナログ前記標的配列又はそれに相補的な配列とハイブリダイズすることができ、前記増幅酵素が鋳型を標的とした様式でプライマーを伸長することができ、前記増幅緩衝液が前記増幅酵素に対してこのような伸長をプライマー及び鋳型の存在下で行うための条件を提供するステップと;
    c)前記プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で前記プライマー及びオリゴヌクレオチドアナログを核酸の前記混合物とともにインキュベートするステップと;
    d)前記標的配列を鋳型に用い、前記増幅酵素を使用して前記のハイブリダイズしたプライマーの3’末端を伸長するステップと;
    e)前記核酸、伸長産物及び前記オリゴヌクレオチドアナログをハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートするステップと;
    f)ハイブリダイゼーションを検出し、また任意にハイブリダイゼーションを定量するステップと;
    g)任意にステップc)からf)までを反復するステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  10. ハイブリダイゼーションの検出が融解温度及び/又は親和温度測定するステップを含むことを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
  11. ヌクレアーゼ活性が前記シグナリングペアの最も5’の部分を除去することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  12. 前記オリゴヌクレオチドアナログが前記標的配列に相補的であり、前記の少なくとも1個の多型サイトが前記オリゴヌクレオチドアナログの中央部分内に位置している請求項に記載の方法。
  13. 請求項1に記載の少なくとも2種のオリゴヌクレオチドアナログが提供され、前記オリゴヌクレオチドアナログの1種が前記標的配列の1個の遺伝子型に相補的であり、前記オリゴヌクレオチドアナログの他のものが前記標的配列の他の遺伝子型に相補的であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  14. 一方のオリゴヌクレオチドアナログが「C」−核酸塩基を前記多型サイトに含み、他方のオリゴヌクレオチドアナログが「A」−核酸塩基を前記多型サイトに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. オリゴヌクレオチドアナログの標的配列への親和温度を測定する方法であって、前記方法が請求項又はに記載の方法を実施するステップ具え、最後のステップの後に
    a)前記混合物を変性し、前記親和温度を超える第一の所定の温度まで急速に冷却するステップと;
    b)前記シグナリングペアからの検出可能なシグナルを測定することによりハイブリダイゼーションを検出し前記シグナリングペアは前記ペアの前記部分間の物理的距離に応じて前記の検出可能なシグナルを変化可能にするステップと;
    c)前記混合物を変性し、第二の所定の温度まで急速に冷却し前記の第二の所定の温度は前記の第一の所定の温度よりも低くするステップと;
    d)前記の検出可能なシグナルを測定することによりハイブリダイゼーションを検出するステップと;
    e)3)及び4)のステップを反復し前記の所定の温度は徐々に前記親和温度未満にまで下げるステップと;
    f)前記核酸アナログの前記標的配列に対する前記親和温度を測定するステップと;
    を実施することを特徴とする方法。
  16. 請求項1に記載のオリゴヌクレオチドアナログを用いて標的配列増幅する方法であって、前記方法が
    a)前記標的配列を任意に含んだ核酸の混合物を提供するステップと;
    b)1組のプライマー、増幅酵素を含んだ増幅緩衝液、及び前記オリゴヌクレオチドアナログを提供し前記プライマー及び前記オリゴヌクレオチドアナログは前記標的配列又はそれに相補的な配列とハイブリダイズすることができ、前記増幅酵素がヌクレアーゼ活性を有する場合は前記オリゴヌクレオチドアナログがヌクレアーゼ抵抗性となるステップと;
    c)前記プライマー及びオリゴヌクレオチドアナログを核酸の前記混合物とハイブリダイゼーション可能な条件下でインキュベートするステップと;
    d)ハイブリダイゼーションを検出するステップと;
    e)前記の所望の伸長温度に達するまで特定の間隔でハイブリダイゼーションを検出しながら徐々に温度を上昇させるステップと;
    f)伸長反応を終了させ、生成したアンプリコンを変性し、所望の増幅が生ずるまでステップc)からf)を反復するステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  17. 複数前記オリゴヌクレオチドアナログが同一の密閉されたチューブ内で用いられることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
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