以下、本発明の実施の形態に係るレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ(以下、D−SLRと称す)について、図を参照しながら説明する。なお、本実施の形態に係るD−SLRは、カメラ本体(撮像装置)と、該カメラ本体に着脱可能に装着されるレンズ装置とを有している。
図1は本実施の形態に係るD−SLR100の内部構成を示す概略図、図2はD−SLR100の撮像部10及び光学素子11の概略構成を説明するための側方断面図である。
図3は光学素子11の表面に付着した塵埃を除去する除去手段30の概略構成を説明するための側方断面図であり、図4は除去手段30の前方斜視図並びに後方斜視図である。図5は除去手段30に付着した塵埃を清掃する清掃手段40の概略構成を説明するための側方断面図及び前方斜視図であり、図6は除去手段30の有する除去部31の詳細構成を説明するための正面図である。
図7は本実施の形態に係る除去手段30の除去機能に関係するグラディエント力の説明図、図8は除去手段30と光学素子11との関係を説明するための正面図である。図9は除去手段30及び清掃手段40の動作を説明するための側方断面図、図10はD−SLR100のカメラシステムの電気的構成を示すブロック図である。
まず、D−SLR100の構成について詳述する。図1で示すD−SLR100は、CCDあるいはCMOSセンサ等の撮像素子を用いた単板式のデジタルカラーカメラであり、撮像素子を連続的又は単発的に駆動して動画像又は静止画像を表わす画像信号を得る。本実施の形態において撮像素子は、露光した光を画素毎に電気信号に変換して受光量に応じた電荷を蓄積し、蓄積された電荷を読み出すタイプのエリアセンサである。
101はD−SLR100に対して取り外し可能なレンズ装置102を接続するマウント機構であって、このマウント機構101を介してレンズ装置102がD−SLR100に電気的、機械的に接続される。そして、焦点距離の異なるレンズ装置102をD−SLR100に装着することによって、様々な画角の撮影画面を得ることが可能である。
レンズ装置102が備える撮影光学系103から固体撮像部15に至る光路L1中には、赤外カットフィルタや光学素子11が設けられている。光学素子11は、固体撮像部15上に物体像(光学像)の必要以上に高い空間周波数成分が伝達されないように撮影光学系103のカットオフ周波数を制限するもので、水晶等の位相板が積層されたものである。
固体撮像部15から読み出された信号は、後述する所定の処理が施された後、画像データとしてディスプレイユニット107上に表示される。ディスプレイユニット107はD−SLR100の背面に取り付けられており、使用者はディスプレイユニット107での表示を直接観察できるようになっている。
ディスプレイユニット107は、有機EL空間変調素子や液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子等で構成することが好適である。これら素子で構成することで、消費電力を小さくでき、かつディスプレイユニット107の薄型化を図ることができる。これにより、D−SLR100の省電力化及び小型化を図ることができる。
固体撮像部15は、詳細は後述するがその内部に固体撮像素子15bを有する。この固体撮像素子15bは、具体的には、増幅型固体撮像素子の1種であるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(以降CMOSセンサと略す)である。CMOSセンサの特長の1つに、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像部駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できる点がある。そのため、マスク枚数、プロセス工程がCCDと比較して大幅に削減できる。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能といった特長も有し、ディスプレイ用に間引いた読み出しが容易であって、ディスプレイユニット107において高い表示レートでリアルタイム表示が行える。
固体撮像部15は、上述した後者の特長を利用し、ディスプレイ画像出力動作(固体撮像部15の受光領域のうち一部を間引いた領域での読み出し)及び高精彩画像出力動作(全受光領域での読み出し)を行うことができる。
111は可動型のハーフミラーであり、撮影光学系103からの光束のうち一部を反射させると共に、残りを透過させる。ハーフミラー111の屈折率は本実施形態においては、およそ1.5であり、厚さが0.5mmである。
105は撮影光学系によって形成される物体像の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーンであり、112はペンタプリズムである。109−1、109−2及び109−3はフォーカシングスクリーン上に結像された物体像を観察するためのファインダレンズユニット109を構成するレンズである。フォーカシングスクリーン105、ペンタプリズム112及び上記ファインダレンズユニット109は、ファインダ光学系を構成する。
なお、163はアイピースシャッタであり、セルフタイマー撮影時にファインダ光学系を通った逆入光が固体撮像部15に入射してゴーストとなるのを防ぐためのものである。
ハーフミラー111の背後(像面側)には可動型のサブミラー122が設けられ、ハーフミラー111を透過した光束のうち光軸L1に近い光束を反射させて、D−SLR100の内部に配された焦点検出ユニット121に導いている。サブミラー122はハーフミラー111の不図示の保持部材に設けられた回転軸を中心として回転し、ハーフミラー111の動きに連動して動作するように構成されている。
また、ハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系は、ファインダ光学系に光を導くための第1の光路分割状態と、不図示の結像レンズからの光束をダイレクトに固体撮像部15に導くために撮影光路から退避した第2の光路分割状態(図1の破線で示した位置:111´及び122´)との間を動くことができる。なお、焦点検出ユニット121は、サブミラー122からの光束を受光して位相差検出方式による焦点検出を行う。
焦点検出ユニット121は、光束の取り込み窓となるコンデンサーレンズ164と、反射ミラー165と、再結像レンズ166と、焦点検出用センサ167とを有して構成される。
撮影光学系103から射出し、上記第1の光路分割状態においてサブミラー122で反射した光束は、サブミラー122の略下方に位置するコンデンサーレンズ164に入射した後、反射ミラー165で偏向される。そして、再結像レンズ166の作用によって焦点検出用センサ167上に物体の2次像が形成される。
なお、焦点検出用センサ167には少なくとも2つの画素列が備えられており、2つの画素列の出力信号波形の間には、焦点検出視野上に撮影光学系103によって形成された物体像の結像状態に応じて、相対的に横シフトした状態が観測される。前ピン、後ピンでは出力信号波形のシフト方向が逆になり、相関演算等の手法を用いてこの位相差(シフト量)を、方向を含めて検出するのが焦点検出の原理である。
114は可動式の閃光発光ユニットであり、D−SLR100に収納される収納位置とD−SLR100から突出した発光位置との間で移動可能である。
50は像面に入射する光量を調節するフォーカルプレンシャッタである。また、119はD−SLR100を起動させるためのメインスイッチであり、D−SLR100の筐体の外面に露出するようにして設けられる。
120は2段階で押圧操作されるレリーズボタンであり、半押し操作(SW1のON)で撮影準備動作(測光動作や焦点調節動作等)が開始され、全押し操作(SW2のON)で撮影動作が開始される。撮影動作とは固体撮像部15から読み出された画像データの記録媒体への記録をいう。なお、レリーズボタン120もD−SLR100の筐体の外面に露出するようにして設けられる。
123はD−SLR100の筐体の外面に設けられた、D−SLR100の光学素子11の表面に付着した塵埃を除去するためにD−SLR100を被写体の撮像を行う撮像モードからクリーニングモードにするためのモード切り換えスイッチである。
180はフォーカシングスクリーン105上に特定の情報を表示させるための光学ファインダ内情報表示ユニットである。
次に、撮像部10及び光学素子11について説明する。図2はD−SLR100の撮像部10及び光学素子11の概略構成を説明するための側方断面図である。
図2において、12は光学素子11を保持する保持部材であり、13は光学素子11の両側方側の表面と当接した状態で光学素子11と保持部材12とを一体化させている支持板である。
15bは前述した固体撮像素子であり、15aは固体撮像素子15bを保護するためのカバーガラスである。カバーガラス15aと固体撮像素子15bとで固体撮像部15が構成される。16は固体撮像部15のカバーガラス15aと光学素子11との間を密封するためのシール部材であり、保持部材12を囲うように形成される。17は固体撮像部15の接続端子15cが接続されると共に、D−SLR100の動作を制御する制御回路を構成する電気素子が搭載されている基板である。18は固体撮像部15を一体化して不図示のD−SLR100のシャーシに不図示のビスによって固定するための保持板である。以上のような主要な構成部材を有して撮像部10は構成される。
また、30は光学素子11の表面に付着した塵埃を除去するための除去手段である。詳細は後述するが、駆動部材(モータ39、図4参照)により、図2に示す30aの位置から固体撮像素子15bに対向する位置30bを通過して30cの位置まで移動が可能になっている。つまり、除去手段30は光学素子11の入光面の略全域に対して移動可能になっているので、光学素子11の入光面の略全域に付着した塵埃の除去が可能である。
また、40は光学素子11の表面から除去した塵埃のうち、除去手段30の後述する除去部31に付着した塵埃を清掃するための清掃手段である。なお、清掃手段40は、除去手段30が光学素子11の表面を通過した位置、即ち、除去手段30の移動経路上であって、除去手段30が光学素子11から退避した位置の近傍に配設されている。
49は、除去手段30にて光学素子11の表面から除去された塵埃及び清掃手段40によって除去部31から除去された塵埃を収集するための吸着部(塵埃捕獲手段)であって、不図示のD−SLR100の筐体内部に設けられている。本実施形態において、吸着部49は具体的には粘着テープ等であるが限定されるものではない。また、吸着部49は、除去手段30の移動経路上であって、除去手段30が光学素子11から退避した位置の近傍に配設される。即ち、吸着部49は清掃手段40により除去部31から除去された塵埃の落下方向に位置して効率良く塵埃を捕獲する。
以下、図3及び図4を参照して光学素子11の表面に付着した塵埃を除去する除去手段30について説明する。除去手段30は以下に説明する構成部材を有する。
31は光学素子11の表面に接触して塵埃を除去する植毛紙31fを備えた除去部である。32は回転軸33を回転中心として回動可能で、かつ左右一対のバネ35(図4(b)参照)により図3の矢印A方向に付勢されている一対のレバーである。34はレバー32の回転を制御するストッパであり、保持部36と一体で形成される。以上のような構成部材を有して除去手段30は構成される。なお、詳細は後述するが、レバー32は清掃手段40の可動部45と当接して清掃手段40の姿勢を制御する。
また、保持部36は、不図示のD−SLR100の筐体に保持されているガイドバー37及びモータ39と一体化されたリードスクリュー38によって上下方向に移動可能である。これにより、前述したように、除去手段30は位置30aから位置30cの間をモータ39により移動して、光学素子11の表面に付着した塵埃の除去動作を行う。
図5(a)及び(b)を用いて清掃手段40について説明する。清掃手段40は以下に説明する構成部材を有する。
45は回転軸41を中心として回動可能な可動部であり、ブラシ42が設けられる。46は可動部45を回転軸41を中心として回動可能な状態で保持する保持部である。なお、可動部45は一対のバネ47(図5(b)では片側しか見えていない)により図5(a)中矢印B方向に付勢されており、保持部46に設けられたストッパ43によりその回転を規制されている。なお、保持部46は、不図示のD−SLR100の筐体内部において固定されている。
次に、図6を用いて、除去手段30の除去部31の機能について詳述する。31a〜31eは光学素子11の表面と非接触の状態でその表面に付着した塵埃を除去するための電極(第2除去機能部)である。図示のように電極31a〜31eは並置されており、電極31b及び31dの形状を例えば波状の形状とすることで隣り合う電極の間隔が不均一となっている。また、31fは光学素子11の表面に接触した状態でその表面に付着した塵埃を除去するための植毛紙(第1除去機能部)である。
即ち、除去部31は電極31a〜31eと植毛紙31fとで異なる除去作用を有して構成されている。なお、詳細は後述するが、図6に示すように、電極31a〜31eと植毛紙31fの同図中横手方向の長さを比べると、植毛紙31fの方が短くなっている。
なお、光学素子11との対向面側に設けられた電極31a、31c及び31eは不図示部にて接合して同電位となり、また電極31b及び31dも同じく不図示部にて接合して同電位となる。このように構成して、電極31a、31c、31e及び電極31b、31d間に所定の電位差が生じるように電圧が印加される。これにより、電極31a、31c、31e及び電極31b、31d間にはグラディエント力が発生する。このグラディエント力が発生する原理について、以下図7を参照しながら説明する。
図7(a)に示すように、対向する平面電極間に、プラスに帯電した粒子(図中、上段)、マイナスに帯電した粒子(図中、中段)及び帯電していない粒子(図中、下段)を挿入する場合を考える。
上記3種類の粒子を均一電界部に挿入すると、以下のような状態となる。
(1)プラス帯電粒子はクーロン力で負極に移動。
(2)マイナス帯電粒子はクーロン力で正極に移動。
(3)非帯電粒子は分極により内部電荷が発生するが、クーロン力が釣り合うので移動しない。
そして、上記(3)の粒子が電極下端の不平等電界部(図中、下側)に移動すると、電気力線の曲がりに応じてクーロン力に上方向の分力が発生する。この分力がグラディエント力である。なお、(1)及び(2)の帯電粒子にも分極によりグラディエント力が発生する。即ち、帯粒電子が分極すると、それぞれの電荷により電界がゆがむため、不平等電界が発生することになる。この場合、作用力はクーロン力とグラディエント力の合力となる。
上記内容を、図7(b)及び(c)に示すような平面状に並置された対の電極で考える。電極間隔(ギャップ長)が均一な電極(図7(b))と不均一な電極(図7(c))とを比較すると、後者は平面方向にも不平等電界が生ずる。つまり、電界の不均一性をより大きくできるので、電極の平面方向だけではなく、電極の厚み方向にもグラディエント力が一層働くことになる。
ここで、本実施の形態の不均一の電極を有する除去部31に直流印加して不平等電界を生じさせることで、図7(d)に示されるような以下で説明する状態とすることができる。
(1)プラス帯電粒子はクーロン力及びグラディエント力で負極に吸引。
(2)マイナス帯電粒子はクーロン力及びグラディエント力で正極に吸引。
(3)非帯電粒子はグラディエント力で両極の中間に吸引。
即ち、静電吸引とグラディエント力吸引の両効果をより一層得ることができる。つまり、電極31a〜31eと対向する光学素子11の表面に付着した塵埃にはクーロン力である垂直方向の力が作用するだけではなく、グラディエント力によるせん断方向(クーロン力に対する直行方向)の力も作用することになる。この場合、塵埃が帯電していても帯電していなくても、つまり絶縁材料であっても導電性であっても光学素子11の表面から除去することが可能になる。
図8は、除去手段30と光学素子11の関係を説明するための正面図である。実際の構成においては、除去手段30の除去部31は光学素子11の表面と対向しているが、両者の関係が分かるように、模式的に除去手段30の正面図(除去部31が見える側)と光学素子11の正面図を並べている。
同図において、光学素子11の支持板13の長辺側の開口端13aは光学素子11の外形よりも内側である。即ち、光学素子11の長辺側は支持板13に当接しており段差が生じた状態となる。また、支持板13の短辺側の開口端13bは光学素子11の外形よりも外側である。即ち、光学素子11の短辺側は支持板13に当接せず、段差がない状態となる。従来、本実施の形態のように植毛紙31f等を用いて光学素子の表面の塵埃を除去する構成のものにおいて、光学素子11と支持板13との境に段差が生じる場合には植毛紙31fをその段差部分の奥部に十分に当てることができなかった。そのため、段差に溜まった塵埃を除去しきれない場合があった。そこで、本実施の形態では光学素子11と支持板13の境に段差が生じないように構成している。
また、除去部31の植毛紙31fの長手方向の長さL1は、支持板13の長辺方向の開口の長さL2(即ち、開口端13aの相互間の距離)よりも短い。また、除去部31の電極31a〜31eの長手方向の長さL3は、支持板13の長辺方向の開口の長さL2よりも長くなっている。
これは、光学素子11の表面に付着した塵埃を除去するために除去手段30がその表面上を走査した際、除去部31の植毛紙31fが支持板13の開口の内側に入って確実に光学素子11の表面に接触するためである。これによって、植毛紙31fではその長手方向の長さL1で走査する範囲内(図中、一点鎖線で示した領域E)の塵埃を確実に除去することができる。
また、その範囲外に付着した塵埃は、除去部31の電極31a〜31eに電圧を印加して発生するクーロン力及びグラディエント力によって除去する。これにより、植毛紙31f等の接触式では除去できない光学素子11と支持板13との段差(開口13aにできる段差)やその近傍に付着している塵埃を、非接触の状態で除去することができる。
さらには、電極31a〜31eは植毛紙31fよりも下部に配置されるため、植毛紙31fで塵埃を除去する前に電極31a〜31eにて光学素子11の表面に付着した塵埃を吸引する。そのため、植毛紙31fが光学素子11の表面に当接する前に金属製の塵埃等を除去することができる。これにより、従来問題になっていた植毛紙31fが光学素子11の表面を擦ることで、その表面に傷を付けてしまうおそれを防止する。
図9は、除去手段30及び清掃手段40の動作を説明するための側方断面図である。同図を用いて、除去手段30及び清掃手段40の動作を説明する。
図9(a)に示す状態は、図2に示した除去手段30の位置30bと位置30cの中間辺り位置する除去手段30及び清掃手段40の状態であり、除去手段30と清掃手段40とは当接していない状態を示す。
図9(b)に示す状態は、図9(a)の状態から除去手段30が位置30c方向へ移動して、除去手段30のレバー32が清掃手段40の可動部45に当接した状態である。レバー32はストッパ34によってその回動を規制されているので、可動部45がバネ47の付勢力に抗して回転軸41を中心として同図中矢印C方向に回転する。
図9(c)に示す状態は、図9(b)の状態からさらに除去手段30が位置30c方向へ移動した状態であり、除去手段30のレバー32によって可動部45はさらに回転し、レバー32の端面32aと可動部45の上面45aが当接した状態である。つまり、レバー32の端面32aが可動部45の上面45aに当接しながら、除去手段30は位置30c方向へ移動することとなる。
図9(d)に示す状態は、図9(c)の状態からさらに除去手段30が移動して位置30cに到達した状態である。本状態では、除去手段30のレバー32の端面32aと清掃手段40の可動部45の上面45aとが当接しなくなるので、清掃手段40の可動部45はバネ47の付勢力によって回転軸41を中心として同図中矢印D方向に回転する。
ここで上記の一連の動作について整理すると、除去手段30が位置30bから30cに移動する時には、清掃手段40の可動部45に設けられたブラシ42は、除去手段30の除去部31に設けた植毛紙31fには接触しないようにしている。
除去手段30が位置30aから位置30bを介して位置30cに移動する時に植毛紙31fとブラシ42が接触するようにした場合には、植毛紙31fに付着した塵埃を除去してしまい、ブラシ42が塵埃を跳ね上げてしまう。つまり、植毛紙31fに付着していた塵埃を光学素子11の表面に戻してしまうという問題が発生する。
そこで、本実施の形態では上記問題を防止するために、除去手段30が位置30bから30cに移動する時には、清掃手段40の可動部45に設けられたブラシ42は、除去手段30の除去部31に設けた植毛紙31fには接触しないように構成にしている。
次に、図9(e)に示す状態は、図9(d)に示した位置30cに除去手段30がある状態から位置30bへ戻っている状態である。本状態において、除去手段30の除去部31に設けた植毛紙31fと可動部45に設けたブラシ42が接触して、ブラシ42が植毛紙31fに付着した塵埃を除去する。即ち、ブラシ42は光学素子11側とは反対側の方向に向けて除去部31に付着した塵埃を払拭して清掃する。なお、この時、植毛紙31fからブラシ42により除去した塵埃は、図2に示した吸着部49に捕獲されるので、光学素子11の表面に塵埃が再付着することが防止されている。
図9(f)に示す状態は、図9(e)の状態からさらに除去手段30が位置30bの方向へ移動した状態である。本状態においては、可動部45に設けたブラシ42と植毛紙31fの接触状態が解除されると共に、除去手段30のレバー32の上面と清掃手段40の可動部45の下面とが当接する。
図9(g)に示す状態は、図9(f)の状態からさらに除去手段30が位置30b方向へ移動した状態である。本状態において、可動部45はストッパ43によってその回動を規制されているので、レバー32がバネ35の付勢力に抗して同図中矢印E方向に、回転軸33を回転中心として回動する。
そして、図9(h)に示す状態は、図9(g)に示した状態から除去手段30が位置30b方向へさらに移動して、レバー32と可動部45との当接状態が解除された状態である。本状態は、上述当接状態が解除されて、レバー32がバネ35の付勢力によって同図中矢印F方向に回転軸33を回転中心として回動した状態である。つまり、図9(a)に示した状態に戻って、除去手段30は位置30bを介して位置30aへと移動することになる。
以上の図9(a)〜(h)までの動作について整理すると、まず、除去手段30が位置30aから位置30bを介して位置30cに移動する時には植毛紙31fとブラシ42は接触することが無い。また、また除去手段30が位置30cから位置30bを介して位置30aに移動する時には植毛紙31fとブラシ42が接触するので、光学素子11の表面から除去した塵埃の再付着を防止しながら植毛紙31fから塵埃を除去できることになる。そればかりではなく、植毛紙31fが清掃された状態で除去手段30は位置30cから位置30aへと戻るので、光学素子11の表面を傷付けるといったおそれもない。
図10は、本実施の形態におけるD−SLR100のカメラシステムの電気的構成を示すブロック図である。ここで、図1で説明した部材と同じ部材については同一符号を用いる。以下、図1も参照しながらカメラシステムの電気的構成について説明する。
まず、物体像の撮像、記録に関するカメラシステムについて説明する。カメラシステムは、撮像系、画像処理系、記録再生系及び制御系を有する。
概略の構成において、撮像系は、撮影光学系103及び固体撮像部15を有し、画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131及びYC処理回路132を有する。また、記録再生系は、記録処理回路133及び再生処理回路134を有し、制御系は、カメラシステム制御回路(制御手段)135、操作検出回路136及び撮像部駆動回路137を有する。また、138は、外部のコンピュータ等に接続され、データの送受信を行うために規格化された接続端子である。上述した各電気回路は、不図示の小型燃料電池からの電力供給を受けて駆動する。以下、各系について詳述する。
撮像系は、物体からの光を、撮影光学系103を介して固体撮像部15の撮像面に結像させる光学処理系である。撮影光学系103内に設けられた絞り104の駆動を制御すると共に、必要に応じてフォーカルプレンシャッタ50の駆動をシャッタ制御回路145を介して行うことによって、適切な光量の物体光を固体撮像部15で受光させることができる。
なお、本実施の形態においては、固体撮像部15として、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられ、合計約1000万個の画素数を有する撮像素子が用いられている。そして、各画素にR(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルタが交互に配置され、4画素が一組となるいわゆるベイヤー配列を構成している。
ベイヤー配列では、観察者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置することで、総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子を用いる画像処理では、輝度信号は主にGから生成し、色信号はR、G、Bから生成する。
固体撮像部15から読み出された信号は、A/D変換器130を介して画像処理系に供給される。この画像処理系での画像処理によって画像データが生成される。
なお、本実施の形態においてA/D変換器130は、固体撮像部15の各画素から読み出された信号の振幅に応じて、例えば固体撮像部15の出力信号を10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路である。そのため、これ以降の画像処理はデジタル処理にて実行される。
画像処理系は、R、G、Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を得る信号処理回路であり、R、G、Bの色信号を輝度信号Y及び色差信号(R−Y)、(B−Y)にて表わされるYC信号等に変換する。
RGB画像処理回路131は、A/D変換器130の出力信号を処理する信号処理回路であり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。
YC処理回路132は、輝度信号Y及び色差信号R−Y、B−Yを生成する信号処理回路である。このYC処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路及び、色差信号R−Y、B−Yを生成する色差信号発生回路を有している。輝度信号Yは、高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
記録再生系は、不図示のメモリへの画像信号の出力と、ディスプレイユニット107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録処理回路133はメモリへの画像信号の書き込み処理及び読み出し処理を行い、再生処理回路134はメモリから読み出した画像信号を再生して、ディスプレイユニット107に出力する。
また、記録処理回路133は、静止画データ及び動画データを表わすYC信号を所定の圧縮形式にて圧縮すると共に、圧縮されたデータを伸張させる圧縮伸張回路を内部に有する。圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリ等を有しており、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号をフレーム毎に蓄積し、複数のブロックのうち各ブロックから蓄積された信号を読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化及びハフマン符号化することにより行われる。
再生処理回路134は、輝度信号Y及び色差信号R−Y、B−Yをマトリクス変換して、例えばRGB信号に変換する回路である。再生処理回路134によって変換された信号はディスプレイユニット107に出力され、可視画像として表示(再生)される。再生処理回路134及びディスプレイユニット107は、Bluetooth等の無線通信を介して接続されていてもよく、このように構成すれば、このカメラで撮像された画像を離れたところからモニタすることができる。
一方、制御系における操作検出回路136は、メインスイッチ119、レリーズボタン120、モード切り換えスイッチ123等(他のスイッチは不図示)の操作を検出して、この検出結果をカメラシステム制御回路135に出力する。
カメラシステム制御回路135は、操作検出回路136からの検出信号を受けることで、検出結果に応じた動作を行う。また、カメラシステム制御回路135は、撮像動作を行う際のタイミング信号を生成して、撮像装置駆動回路137に出力する。
撮像装置駆動回路137は、カメラシステム制御回路135からの制御信号を受けることで固体撮像部15を駆動させるための駆動信号を生成する。情報表示回路142は、カメラシステム制御回路135からの制御信号を受けて光学ファインダ内情報表示ユニット180の駆動を制御する。
制御系は、D−SLR100に設けられた各種スイッチの操作に応じて撮像系、画像処理系及び記録再生系での駆動を制御する。例えば、レリーズボタン120の操作によってSW2がONとなった場合、制御系(カメラシステム制御回路135)は、固体撮像部15の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理等を制御する。さらに、制御系は、情報表示回路142を介して光学ファインダ内情報表示ユニット180の駆動を制御することによって、光学ファインダ内での表示(表示セグメントの状態)を変更する。
次に、撮影光学系103の焦点調節動作に関して説明する。カメラシステム制御回路135はAF制御回路140と接続している。また、レンズ装置101をD−SLR100に装着することで、カメラシステム制御回路135は、マウント接点100a及び101aを介してレンズ装置101内のレンズシステム制御回路141と接続される。そして、AF制御回路140及びレンズシステム制御回路141と、カメラシステム制御回路135とは、特定の処理の際に必要となるデータを相互に通信する。
焦点検出ユニット121(焦点検出センサ167)は、撮影画面内の所定位置に設けられた焦点検出領域での検出信号をAF制御回路140に出力する。AF制御回路140は、焦点検出ユニット121からの出力信号に基づいて焦点検出信号を生成し、撮影光学系103の焦点調節状態(デフォーカス量)を検出する。そして、AF制御回路140は、検出したデフォーカス量を撮影光学系103の一部の要素であるフォーカスレンズの駆動量に変換し、フォーカスレンズの駆動量に関する情報を、カメラシステム制御回路135を介してレンズシステム制御回路141に送信する。
ここで、移動する物体に対して焦点調節を行う場合、AF制御回路140は、レリーズボタン120が全押し操作されてから実際の撮像制御が開始されるまでのタイムラグを勘案して、フォーカスレンズの適切な停止位置を予測する。そして、予測した停止位置へのフォーカスレンズの駆動量に関する情報をレンズシステム制御回路141に送信する。
一方、カメラシステム制御回路135が、固体撮像部15の出力信号に基づいて物体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られないと判定したときには、閃光発光ユニット114又は、D−SLR100に設けられた不図示の白色LEDや蛍光管を駆動する。そして物体を照明する。
レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135からフォーカスレンズの駆動量に関する情報を受信すると、レンズ装置101内に配置されたAFモータ147の駆動を制御する。これにより、不図示の駆動機構を介してフォーカスレンズを上記駆動量の分だけ光軸L1方向に移動させる。この場合、撮影光学系103が合焦状態となる。なお、上述したようにフォーカスレンズが液体レンズ等で構成されている場合には、界面形状を変化させることになる。
また、レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135から露出値(絞り値)に関する情報を受信すると、レンズ装置101内の絞り駆動アクチュエータ143の駆動を制御する。これにより、上記絞り値に応じた絞り開口径となるように絞り104を動作させる。
また、シャッタ制御回路145は、カメラシステム制御回路135からのシャッタ速度に関する情報を受信すると、フォーカルプレンシャッタ50の駆動源51の駆動を制御する。これにより、上記シャッタ速度になるようにフォーカルプレンシャッタ50を動作させる。このフォーカルプレンシャッタ50と絞り104の動作により、適切な光量の物体光を像面側に向かわせることができる。
また、AF制御回路140において物体にピントが合ったことが検出されると、この情報はカメラシステム制御回路135に送信される。このとき、レリーズボタン120の全押し操作によってSW2がON状態になれば、上述したように撮像系、画像処理系及び記録再生系によって撮影動作が行われる。また、59は電極31a〜31eに所定の電圧を印加するための電圧制御部である。
以下、図11のフローチャートを用いて、クリーニングモード時における、除去手段30等の各部材の動作について説明する。
まず、ステップS100では、D−SLR100のモード切り換えスイッチ123が操作されてクリーニングモードにあるかどうかの検出がカメラシステム制御回路135において行われる。この時、モード切り換えスイッチ123の操作をカメラシステム制御回路135が検出してクリーニングモードに移行することが検知されたら、ステップS101へと進む。
ステップS101では、クリーニングモードに移行する前のD−SLR100が設定していたシャッタ速度、絞り値等の撮影条件をカメラシステム制御回路135中にある不図示のメモリ部に記憶してステップS102へと進む。
ステップS102では、電極31a〜31eに電圧を印加する。すると、電極31a〜31eの表面及び厚み方向にグラディエント力等が発生するので、これにより光学素子11の表面に付着した塵埃が電極31a〜31e側に吸引される状態となる。そして、電極31a〜31eに通電したまま、ステップS103へと進む。
ステップS103では、カメラシステム制御回路135によりモータ39の駆動が開始される。これにより除去手段30が位置30aから位置30b方向へ移動する。すると、除去手段30の除去部31に設けた電極31a〜31eにて光学素子11の表面に付着した塵埃が電極31a〜31eに吸引される。即ち、グラディエント力等によって、塵埃は引き寄せられて、電極31a〜31eの表面に留まり続ける。さらに万が一、電極31a〜31eにて吸引されなかった塵埃があったとしても、除去手段30に設けた植毛紙31fにて光学素子11の表面に残っていた塵埃が除去される。
ステップS103とほぼ同時に、ステップS104ではカメラシステム制御回路135により、モータ39が所定量駆動して除去手段30が位置30aから位置30bを介して位置30cへ移動したかどうかの検出が行われる。具体的には、モータ39の駆動時間であったり、もしくは不図示の位置センサにて除去手段30が位置30cに来たかどうかの検出をしたりすることによって、所定量の駆動量を検出する。ステップS104にて除去手段30が位置30cに移動したことが確認されるとステップS105へと進む。
ステップS105では、モータ39の駆動が停止されると共に、電極31a〜31eへの電圧印加が停止する。これにより塵埃を吸引したグラディエント力が消滅するので、グラディエント力等で電極31a〜31eの表面に留まり続けた塵埃は重力によりその表面から落下して図2に示した吸着部49に捕獲される。よって、光学素子11の表面から除去した塵埃は、D−SLR100のボディ内で漂うようなことはなくなるので、光学素子11の表面に再付着するおそれもなくなる。
次に、ステップS106では、カメラシステム制御回路135が有する不図示のタイマ部にて、所定秒時のカウントが行われる。これは、ステップS105にて電極31a〜31eの表面から離れた塵埃が、吸着部49に捕獲される前に除去手段30が移動することによって、フォーカルプレンシャッタ50の周囲で塵埃が漂流して光学素子11の表面に再付着することを防止するためである。そして所定秒時経過後ステップS107へ進む。
ステップS107では、ステップS103とは逆方向にモータ39を駆動する。これにより、除去手段30は位置30cから位置30bを介して位置30aへと戻る。なお、この際には、前述のブラシ42による植毛紙31fの清掃(植毛紙31fに付着していた塵埃の除去)が行われるので、植毛紙31fに付着した塵埃が光学素子11の表面に再付着するおそれが無い。
ステップS108では、ステップS104と同様に、カメラシステム制御回路135により、モータ39が所定量駆動して除去手段30が位置30cから位置30bを介して位置30aへ移動したかどうかの検出が行われる。具体的には、モータ39の駆動時間であったり、もしくは不図示の位置センサにて除去手段30が位置30aに来たかどうかの検出をしたりすることによって、所定量の駆動量を検出する。そしてステップS108にて除去手段30が位置30aに移動したことが確認されるとステップS109へと進む。
ステップS109では、モータ39の駆動が停止されて、ステップS110へと進む。
ステップS110では、ステップS109でのモータ39の駆動が停止されるのを待って、クリーニングモードを解除する。さらに、ステップS111では、ディスプレイユニット107にクリーニングモードが解除された(もしくはクリーニング動作が完了した)旨のメッセージを表示する。
その後、ステップS112では、ステップS101にて記憶した撮影条件等にD−SLR100を復帰させて、一連のシーケンスを終了する。
次に、グラディエント力の効果を確認するために用いた2種類の電極の正面図を図12に示す。
図12(a)は図7(b)に示したものと同一の電極部材をプラス、マイナス1対づつ用いて、それぞれの電極間隔(ギャップ長さ)を変えることによりグラディエント力が発生するようにしたものである(上から、+、−、+、−の順に配置)。図12(b)は図7(c)に示したものと同類のもの(本実施形態に採用しているもの;電極31a〜e、図6参照)であって、マイナス電極を波状にして、電極間隔を不均一なものとし、グラディエント力が発生するようにしたものである。この2種類の電極部材を用いて下記方法にてグラディエント力の効果を確認した。以下、その確認試験について説明する。
本確認試験は光学素子の表面に塵埃に見立てた約300個のポリスチレン粒子(平均粒径50μm)を散布して、その個数をカウントすることで行った。即ち、各電極部材に所定電圧を印加した状態で光学素子の表面上を走査して、残留したポリスチレン粒子の個数をカウントする。その差が電極部材に吸引したポリスチレン粒子の個数になるので、それを初期の散布数で除したものを除去率と定義した。その結果を図13に示す。
図13に示すように、図12(b)に示した電極部材(緻密な波状にしたもの、即ち緻密波パターン)の方が図12(a)に示した電極部材(真直パターン)に比べて除去率が10%程度大きい結果が得られた。これにより、グラディエント力がより大きいものの方が、光学素子11の表面に付着した塵埃をより除去することが確認できた。
以上の構成によれば、光学素子11の表面に付着した塵埃を、その表面を傷付けること無く除去可能な光学機器を実現することができる。
また、光学素子11の表面に付着した塵埃を、光学機器をクリーニングモードに設定するだけで除去可能なので、簡単な操作で塵埃除去が可能な光学機器を実現することができる。
さらには、光学素子11の表面に付着した塵埃を除去した後に、再び光学素子11の表面へ再付着することを防止して除去可能な光学機器を実現することができる。
なお、本実施の形態において、ブラシ42にて植毛紙31fに付着した塵埃を除去する旨を説明したが、これに限定することは無く、ブラシ42が電極31a〜31eの表面も払拭する構成にしても良い。この場合、図11にて説明したステップS105にて電極31a〜31eの表面から重力によって落下しなかった塵埃があったとしても、ステップS107及びS108での除去手段30の移動動作によりブラシ42で電極31a〜31eの表面を払拭できる。そのため、確実に塵埃をその表面から除去して吸着部49に捕獲することができるようになる。よって、光学素子11の表面への塵埃の再付着をさらに防止することが可能になる。
また、光学素子11の表面に付着した塵埃をその表面に接触しながら除去する手段は、毛体等で形成された植毛紙31f等に限定されるものではない。
例えば図14(a)に示すように、除去手段30の除去部31の植毛紙31fの代わりに不織布等の繊維にて構成されたクリーニングクロス31g(例えばテクノス(株)製「ザヴィーナミニマックス」を短冊状に加工したもの)を設けてもよい。それ以外の構成は上記実施の形態で述べたものと同様である。
この構成によれば、除去部31に設けた電極31a〜31eによって光学素子11の表面とは非接触状態で、またクリーニングクロス31gによって光学素子11の表面とは接触状態で光学素子11の表面に付着した塵埃を除去することが可能になる。
また、クリーニングクロス31gで塵埃を除去する前に電極31a〜31eにて光学素子11の表面に付着した塵埃を吸引するので、クリーニングクロス31gが光学素子11の表面に当接する前に金属製の塵埃が除去できている。即ち、従来問題になっていたクリーニングクロス31gが光学素子11の表面に傷を付けるおそれが無い。
さらには、ブラシ42によりクリーニングクロス31gに付着した塵埃を除去することが可能なので、上記実施形態同様に光学素子11の表面を傷付けるおそれがない。
又は、図14(b)に示すように、除去手段30の除去部31の植毛紙31fの代わりにゴムブレード31hを設けてもよい。それ以外の構成は上記実施の形態で述べたものと同様である。
この構成によれば、除去部31に設けた電極31a〜31eによって光学素子11の表面とは非接触状態で、またゴムブレード31hによって光学素子11の表面とは接触状態で光学素子11の表面に付着した塵埃を除去することが可能になる。
また、ゴムブレード31hで塵埃を除去する前に電極31a〜31eにて光学素子11の表面に付着した塵埃を吸引するので、ゴムブレード31hが光学素子11の表面に当接する前に金属製の塵埃が除去できている。即ち、従来問題になっていたゴムブレード31hが光学素子11の表面に傷を付けるおそれが無い。
さらには、ゴムブレード31hによって光学素子11の表面に付着した塵埃が掻き落されることになるので、上記実施の形態に説明したようなブラシ42を用いなくても、光学素子11の表面から除去した塵埃を吸着部49に捕獲することができる。これにより、上記実施の形態に比べて部品点数を削減することが可能になる。
つまり、手段(植毛紙31f、ゴムブレード31h等)によらず、作用の異なる接触式と非接触式の組合せによって、光学素子11の表面に付着した塵埃を除去することが可能と言える。
以上の構成によれば、光学素子11の表面に付着した塵埃を、その表面を傷付けること無く除去可能な光学機器を実現することができる。
また、光学素子11の表面に付着した塵埃を、光学機器をクリーニングモードに設定するだけで除去可能なので、簡単な操作で塵埃除去が可能な光学機器を実現することができる。
さらには、光学素子11の表面に付着した塵埃を除去した後に、再び光学素子11の表面へ再付着することを防止して除去可能な光学機器を実現することができる。
なお、本発明においては、接触式及び非接触式の除去手段が1ヶ所ずつ設けて除去部31を構成したが、これに限定されることは無く、接触式が2つあってもよいし、2種有ってもよい。また、接触式で除去した後にさらに非接触式で塵埃を吸引するように構成して除去することにより、光学素子11の表面から塵埃を除去する信頼性を向上させるようにしてもよい。
また、本発明においては光学素子11の表面に付着した塵埃の除去方法について説明してきたが、これに限定されることはない。例えば、フォーカルプレンシャッタ50と固体撮像部15のカバーガラス15aとが近接しているようなデジタルカラーカメラは(図15参照)にも適用できる。この場合、フォーカルプレンシャッタ50と固定撮像部15との間に除去手段30及び清掃手段40を上記実施形態と同様に配設してもよい。この構成においても、固体撮像部15のカバーガラス15aの表面に付着した塵埃を、その表面を傷付けること無く除去可能であることは言うまでもない。また、赤外線カットフィルタ等が入光の最外面に位置する場合においては、赤外線カットフィルタに除去手段30を配設してもよい。
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。