JP5282923B2 - 重炭酸透析剤 - Google Patents

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Description

本発明は、血液透析等の透析治療に使用する透析液を調製するための重炭酸透析剤に関する。
透析療法は、腎不全患者の治療法として確立されており、血中電解質成分濃度の調節、尿毒症性物質の除去、酸塩基平衡の是正等を目的として実施されている。この透析治療に用いられる透析液には複数の成分が含まれているが、治療の目的に合致し、かつ生体に対する負担の少ない成分が適切な濃度で配合されるべきである。
近年、透析液には酸塩基平衡の是正のために炭酸水素ナトリウムを用いることが必須となっており、透析液を中性にするために酸を配合することも必須となっている。また、これらが同容器に存在すると炭酸ガスを発生して非常に不安定であるため、A剤、B剤という2剤に分けて製造し、使用時に混合することが一般的となっている。
通常、A剤には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、pH調節剤(酸および任意成分としてのバッファー成分)およびブドウ糖が、B剤には炭酸水素ナトリウムが含まれている。また、不溶性塩の析出を防ぐため、B剤には塩化カルシウムや塩化マグネシウムを配合しないのも常識となっている。
従来、これらA剤およびB剤はポリエチレン容器に充填された液体として使用されていたが、輸送コストや病院内での作業性の悪さ(重量、保管スペ−ス、ポリエチレン容器の廃棄方法など)が問題となり、透析剤の粉末化が考えられるようになってきた。
粉末透析剤においては、当初は電解質およびpH調節剤を含むA−1剤と、ブドウ糖のみからなるA−2剤、炭酸水素ナトリウムからなるB剤の3剤で構成されていたが、現在ではA−1剤とA−2剤が組み合わされ、A剤およびB剤からなる2剤型が主流となっている。
現状、臨床において使用されている重炭酸透析剤は、透析液として使用する際に以下のような組成並びに濃度となるものである。
Figure 0005282923
透析液は透析治療時に、液体型のA液、若しくは粉末型のA剤を溶解して得られるA液、若しくは粉末型のA−1剤およびA−2剤を溶解して得られるA液と、液体型のB液若しくは粉末型のB剤を溶解して得られるB液を、希釈、混合して用いるのであるが、前述したように酸および炭酸水素ナトリウムの共存によって、時間の経過とともに炭酸ガスが発生し、同時にpHも上昇して不溶性の炭酸カルシウム等を生成してしまう特徴がある。この現象によって治療に有効なカルシウム濃度が減少する点、透析装置の配管やホースに結晶が付着する点などは問題となっている。
一方、pH調節剤としては酢酸が長期に渡って使用されてきたが、近年になって酢酸の末梢血管拡張作用や心機能抑制作用、炎症性サイトカインの誘発、酢酸不耐症の患者への負担の大きさが問題視されていた。
すなわち、酢酸は、短時間で代謝されるために生体への蓄積はないが、心機能抑制、末梢血管拡張効果があり、結果的に低血圧を招く。透析治療は体内の水分を除去するための治療でもあるため、透析中並びに透析後は水分除去による血圧低下が必然的に起こってしまう。それを防止するために除水コントロールや昇圧剤の投与等の対処療法が併用されることが多々ある。このような環境下でさらに血圧低下作用のある酢酸を透析液成分として用いることは好ましくないのは明らかである。したがって、無酢酸(アセテートフリー)透析という方法が提唱されるようになった。
なお、酢酸は、刺激臭がある点において環境への影響が大きい。臨床における透析液調製は一般に臨床工学技士が行うこととなるが、刺激臭に伴う不快感が生じるという点で問題がある。また、液体、粉末に関わらず、透析剤の製造においても作業者に与える影響は同様であり、氷酢酸そのものも液体であるがゆえに危険が伴い扱い難いという点でも問題があった。
このような状況下、無酢酸透析のための透析剤として、酢酸の代わりにクエン酸をpH調節剤として配合されたものが市販され、臨床使用されるようになってきている(例えば、特許文献1〜4)。しかしながら、クエン酸は強いキレート作用を持つために透析液中のカルシウムの一部分をキレートし、イオン化カルシウム濃度を下げてしまうこと、酢酸よりも強酸であるために濃厚液であるA液のpHが低くなり、溶解装置や透析装置の部品腐食の恐れがあること、逆にA液のpHを高くするために有機酸塩を多く配合すると、クエン酸カルシウムの結晶が析出して組成に影響を及ぼすなどの問題点を有している。
すなわち、クエン酸は、アルカリ土類金属とキレートしやすいので、透析液成分中のカルシウムやマグネシウムとキレートする。この作用は特にカルシウムに対して強いのであるが、透析治療においてはカルシウム量の調節が非常に重要であるので、キレートによるイオン化カルシウム濃度の減少は患者のカルシウム収支に大きく影響する。例えばクエン酸とカルシウムが透析液中でほぼ同濃度(イオン当量比)で含まれていた場合、20〜30%程度のカルシウムがキレートされ、その分だけ透析液中のイオン化カルシウム濃度が減少し、結果的に血中カルシウム濃度のコントロールが困難になってしまう。一般に血中イオン化カルシウム濃度が1.0mmol/L付近まで低下すると、下肢痙攣などの副作用の頻度が増える。このため透析液のイオン化カルシウム濃度は1.25mmol/L以上であることが望ましい。また、クエン酸も透析により体内に入るため、血中でクエン酸とカルシウムが結合した結果、難溶性のクエン酸カルシウムが生成し、血管内に沈着する恐れも懸念されている。さらに、クエン酸によるイオン化カルシウム濃度の低下は心筋や血管平滑筋の弛緩を促し、低血圧を招く点、クエン酸の抗凝固作用により出血傾向の患者には使いにくい点でも問題である。
また、クエン酸は固体であるために通常の取り扱いにおいては扱いやすいが、濃厚液は強酸性であるため、粉末状態で保管していても部分的な吸湿があった場合には溶解装置等の部分的な金属腐食や樹脂劣化等を生じさせることもある。
例えば、特許文献1は、クエン酸を用いることにより不溶性化合物の生成防止や炭酸カルシウムの沈殿抑制、ブドウ糖の分解を防止できる無酢酸の粉末型透析剤について記載しているが、これはクエン酸の使用量をpH2.2〜2.9という限定された範囲で用いることによって達成されるものである。この限定されたpH範囲では溶解装置や透析装置の腐食の恐れがある点が問題であり、また、クエン酸の強いキレート作用によりイオン化カルシウム濃度が下がって上記のように治療効果に影響を与える恐れもある。
したがって、酢酸およびクエン酸を含有しない透析剤が求められている。
一方、腹膜透析液の製造方法として、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、4−ヒドロキシ酪酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサル酢酸、グルタル酸、2−オキソグルタル酸、シトロネン酸、イソシトロネン酸、およびグルコン酸の群から選択されるカルボン酸のエステルを、100℃以上で加熱処理してカルボン酸とアルコールに分解することを特徴とする方法が知られている(特許文献5)。
また、グルコース含有透析液を調製するための濃縮物において、グルコン酸を600mmol/L以上(透析液とした場合、4mEq/L以上)配合することにより、貯蔵中に酸濃度が低下しない濃縮物を得ることができることが知られている(特許文献6)。
特開2003−104869 WO2005/094918 特開平10−087478 WO2010/112570 特開平10−77228 WO99/17762
本発明の目的は、酢酸およびクエン酸を含まず、安全で、製造時および使用時に取り扱いが容易であり、保存時並びに濃厚液調製時および透析液調製時の安定性に優れた重炭酸透析剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意研究を重ねた結果、グルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンと、グルコン酸塩とをpH調節剤として用いることによって、上記課題が解決された重炭酸透析剤が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下のものを包含する。
[1] グルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンと、グルコン酸塩とを含み、酢酸、クエン酸および炭酸水素ナトリウムを含まないA剤と、炭酸水素ナトリウムを含むB剤を含む重炭酸透析剤。
[2] さらに電解質を含む、上記[1]に記載の重炭酸透析剤。
[3] 電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[2]に記載の重炭酸透析剤。
[4] さらにブドウ糖を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
[5] A剤が固形製剤である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
[6] A剤が固形製剤であり、かつ、塩化ナトリウムを核とし、その他の電解質がグルコン酸塩とともにコーティングされた粒子および/またはその粒子が複数以上結合した造粒物を含む、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
[7] A剤が水溶液の形態である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
[8] A剤の固形物濃度が、20〜36%(w/v)である、上記[7]に記載の重炭酸透析剤。
[9] グルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンが、透析液としたときに1mEq/L以上4mEq/L未満の濃度となる量で含まれる、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
[10] グルコン酸塩が、透析液としたときに0.5〜5mEq/Lの濃度となる量で含まれる、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
[11] 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸塩、グルコノデルタラクトン、炭酸水素ナトリウムおよびブドウ糖を含み、酢酸およびクエン酸を含まない固形重炭酸透析剤。
[12] グルコノデルタラクトンが、透析液としたときにグルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンとして1mEq/L以上4mEq/L未満の濃度となる量で含まれる、上記[11]に記載の固形重炭酸透析剤。
[13] グルコン酸塩が、透析液としたときに0.5〜5mEq/Lの濃度となる量で含まれる、上記[11]または[12]に記載の固形重炭酸透析剤。
[14] 上記[1]〜[13]のいずれかに記載の重炭酸透析剤と、水とを含む、重炭酸透析液。
本発明によれば、酢酸および酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、クエン酸およびクエン酸塩(クエン酸ナトリウム等)の代わりに、グルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンと、グルコン酸塩とを用いることによって、生体にとって安全であり、溶解装置や透析装置を腐食することがなく、製造時および使用時に取り扱いが容易であり、かつ、保存時、濃厚液調製時および透析液調製時の安定性に優れた透析剤を提供することができる。
グルコン酸含有透析剤、酢酸含有透析剤およびクエン酸含有透析剤の濃厚液のpHの経時変化を比較したグラフである。 グルコン酸含有透析剤の濃厚液のpHの経時変化を比較したグラフである。 グルコン酸含有透析液、酢酸含有透析液およびクエン酸含有透析液のpHの経時変化を比較したグラフである。 グルコン酸含有透析液、酢酸含有透析液およびクエン酸含有透析液のイオン化カルシウム値の経時変化を比較したグラフである。 グルコン酸含有透析液のpHの経時変化を比較したグラフである。 コーティング前(塩化ナトリウムの結晶、核)およびコーティング後(造粒物)の表面の二次電子像(SEM像)である。 実施例27の造粒物の表面の二次電子像(SEM像の拡大像)である。 実施例27の造粒物の断面の二次電子像(SEM像)および反射電子像(組成像)である。反射電子像の、核となる塩化ナトリウムの部分は白色で示されており、コーティング層は薄い灰色で示されている。 5−ヒドロキシメチルフルフラール類(5−HMF)量(ppm)と波長284nm(5−HMFの吸収波長)における吸光度の関係を示す。
本発明の透析剤は、電解質、pH調節剤、炭酸水素ナトリウムおよび任意成分(ブドウ糖等)を含む重炭酸透析液を調製するために使用する重炭酸透析剤に関するものであって、特に、炭酸水素ナトリウムを含まず、pH調節剤としてグルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンと、グルコン酸塩とを含み、かつ、酢酸およびクエン酸を含まないA剤と、炭酸水素ナトリウムを含むB剤とを含むことを特徴とする、重炭酸透析剤に関するものである。
グルコン酸およびグルコノデルタラクトンは、水溶液(酸性の溶液)中では、平衡混合物として存在する。すなわち、グルコン酸は、容易に脱水して環状エステルであるグルコノデルタラクトンへと変化し、一方、グルコノデルタラクトンは、容易に加水分解されてグルコン酸に変化する(下式(1)参照)。
Figure 0005282923
したがって、透析液調製の為の前駆体である濃厚液(いわゆる「A液」)および透析液中ではグルコン酸とグルコノデルタラクトンが平衡混合物として存在する。
グルコン酸は、グルコースの代謝経路であるペントースリン酸経路の一物質である6−ホスホグルコン酸のリン酸が脱離した構造であるため、同経路において容易に代謝される安全な有機酸である。また、グルコン酸もキレート作用を有しているが透析液中におけるカルシウムキレート作用はクエン酸に比べて顕著に弱い。例えばカルシウム3mEq/Lの透析液の場合、透析液中の総グルコン酸濃度が9mEq/L以下であれば、イオン化カルシウム濃度1.25mmol/L以上を担保でき、透析治療における血中カルシウム濃度のコントロールにはほとんど影響せず、筋痙攣等の副作用を引き起こすこともない。
グルコノデルタラクトンは、グルコン酸が分子内で脱水することにより形成されるラクトンであり、常温で固体の白色結晶であり、酸ではないために安全に使用できるとともに粉末剤中におけるブドウ糖の安定性向上にも寄与する。
また、血中でもグルコン酸とグルコノデルタラクトンは平衡状態を保っているが、どちらの構造をとっても生体にとっては安全である。
ただし、グルコン酸は固体単体では不安定であるため、固形透析剤とする場合、グルコノデルタラクトンを用いることが好ましい。
前述のように、従来、A剤における酸(pH調節剤)としては、酢酸やクエン酸が使用されてきた。A剤においてpH調節剤として酢酸やクエン酸等を用いた場合、A剤とB剤を水に溶解して調製した透析液は、これらの酸と炭酸水素ナトリウムとの中和反応によりpH7.4付近となる。しかしながら、調製後も経時的に反応は進行し、炭酸ガスの発生、pHの上昇並びに二酸化炭素分圧の低下等が生じていた。
これに対して、グルコノデルタラクトンをA剤に用いた場合、A剤を水に溶解したA液調製時は高めのpHとなるが、時間の経過とともに上式(1)の平衡式のようにグルコノデルタラクトンの一部はグルコン酸へと加水分解されるため、pHは徐々に低下する。そして、このA液と炭酸水素ナトリウムを溶解したB液を希釈混合すると、グルコン酸と炭酸水素ナトリウムとの中和反応(下式(2)参照)も徐々に進行することにより炭酸ガスの放出が抑えられpHの上昇等を遅延させることができる。これらのことによって、透析液の安定性(特にpHや重炭酸濃度の安定性)を長期化することができる。
Figure 0005282923
したがって、上式(1)におけるグルコン酸の生成速度、すなわち、グルコノデルタラクトンからグルコン酸への平衡の移動に時間を要すること、さらに、グルコン酸とグルコノデルタラクトンが平衡状態で存在し、グルコン酸が炭酸水素ナトリウムとの反応により消費された時に、グルコノデルタラクトンがグルコン酸に変化して補充されることから、長時間、透析液のpHを安定に維持することができるのである。
本発明の透析剤においては、さらにグルコン酸ナトリウムのようなグルコン酸塩が含まれているため、グルコン酸およびグルコン酸塩によるバッファー効果も得られるので、透析液の安定性をより向上させることができる。このためのグルコン酸塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸鉄等が挙げられるが、溶解度が高い点および透析液中もっとも高濃度で含まれる元素に対しては組成の自由度が大きい点から、グルコン酸ナトリウムが最も好ましい。
本発明の透析剤において、グルコン酸およびグルコノデルタラクトンの配合量は、透析液としたときの濃度が合計で1mEq/L以上4mEq/L未満、好ましくは1.5〜3.5mEq/L、さらに好ましくは2〜3mEq/Lとなる量である。また炭酸水素ナトリウムの配合量が20〜40mEq/Lである場合、グルコン酸およびグルコノデルタラクトンの配合量は4mEq/L未満であり、それ以上とする必要はない。
グルコン酸塩の配合量は、透析液としたときの濃度が0.5〜5mEq/L、好ましくは0.5〜4mEq/L、さらに好ましくは1〜3mEq/Lとなる量である。グルコン酸塩(総グルコン酸)は多すぎるとイオン化カルシウム値を低下させるが、特に粉末型のA剤においてはグルコン酸塩が多いほどブドウ糖の安定性を向上させることから、これらのことを考慮しつつ上記範囲から適切な濃度を選択することが好ましい。
さらに、他のpH調節剤として、塩酸を除く、コハク酸等の他の酸を併用することも可能である。もちろん、上記バッファー効果を得るために、上記グルコン酸塩(例えば、グルコン酸ナトリウム)に加えて、コハク酸等の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など)を使用することも可能である。
本発明の透析剤に含まれる電解質としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸鉄、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
本発明の透析剤は、さらに、ブドウ糖等が含まれていてもよい。
また、本発明の透析剤において、上記pH調節剤、電解質およびブドウ糖等の各成分の配合量は、透析液としたときの各々の濃度が以下の範囲内の濃度となる量である。
Figure 0005282923

ここで、本発明の透析剤を「透析液としたとき」とは、本発明の透析剤を、透析用水(例えば、蒸留水、RO水、精製水等)を用いて、本発明の透析剤が固形製剤の場合、固形物濃度が例えば0.7〜1.3%(w/v)になるように溶解したときのことであり、本発明の透析A剤が水溶液(濃厚液)の場合は、例えば、これを35倍に希釈したときのことである。
本発明の透析剤において、重炭酸透析液に使用される成分のうち、炭酸水素ナトリウム以外の成分(pH調節剤、電解質、ブドウ糖等)は、個別に、特定の組合せで、または一緒に、A剤およびB剤とは別個の剤に配合されていてもよく、A剤およびB剤のいずれかに配合してもよいが、一緒にA剤に配合されることが好ましい。
本発明の透析剤において、A剤は、固形製剤でもよく、水溶液(特に濃厚液)の形態でもよいが、作業性、保存安定性、輸送コスト、保管スペース等の点から固形製剤が好ましく、溶解性、作業性等の点から、顆粒製剤、粉末製剤がより好ましく、粉末製剤が特に好ましい。
また、A剤が濃厚液の場合、固形物(電解質、pH調節剤、ブドウ糖等の任意成分)濃度は、通常20〜36%(w/v)であり、好ましくは24〜34%(w/v)である。
本発明の透析剤において、B剤は、固形製剤でもよく、水溶液の形態(濃厚液)でもよいが、作業性、保存安定性、輸送コスト、保管スペース等の点から固形製剤が好ましく、溶解性、作業性等の点から粉末製剤がより好ましい。
本発明の透析剤のA剤が固形製剤である場合、pH調節剤としてグルコノデルタラクトンのみを配合することによって、実質的な酸としての作用を避けることができ、その結果、保存中にガス状の酸が発生しないものが得られる。よって実質的には粉末製剤としてのA剤と、B剤である炭酸水素ナトリウムを1つの容器内に収納することも可能となる。
上記固形製剤は、各成分を単に混合するだけで得られるが、粉末ないし顆粒とする場合、例えば、各電解質化合物を混合・粉砕して造粒する乾式造粒法および各電解質化合物をスラリーとして造粒・乾燥する湿式造粒法により得ることができる。
また、固形製剤としては、安定性の向上の点から、塩化ナトリウムを核とし、その他の電解質がグルコン酸塩とともにコーティングされた粒子および/またはその粒子が複数以上結合した造粒物を含むものが好ましい。
このような固形製剤は、例えば、特開平9−40562に記載された方法を参考に、次の手順により製造することができる。
撹拌混合機内で塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを混合し、50〜100℃の加温下、後に加える塩化カルシウムの重量の5〜100重量%の水を加えた後、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびグルコン酸塩(例えばグルコン酸ナトリウム)を加えて造粒を行う。得られた造粒物を整粒し、70〜140℃で乾燥を行う。得られた乾燥物にグルコノデルタラクトン並びに任意成分としてブドウ糖を加えて混合することによって、目的とするグルコン酸含有透析剤のA剤を得ることができる。
この製法においては、グルコン酸塩の一部または全部を乾燥後に混合してもよい。
なお、本剤の製法は上記に限定されるものではなく、例えば転動流動層造粒機を用いて製造することもできる。すなわち、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの流動下、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびグルコン酸塩の濃厚水溶液をスプレーしながら、排気温度が40〜90℃になるよう乾燥を行う。得られた乾燥物にグルコノデルタラクトン並びに任意成分としてブドウ糖を加えて混合することによって、目的とするグルコン酸含有透析剤のA剤を得ることができる。本製法においては、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムに加え、任意成分のブドウ糖の一部または全部の流動下に塩化カルシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸塩等の濃厚水溶液をスプレーすることもできる。
これらの製法によって塩化ナトリウムおよび塩化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分として含む核層と、グルコン酸塩と塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムの反応により生成した複塩、他の電解質組成物およびpH調節剤を含む複塩層との二層構造を有する固形透析用剤を得ることができる。
本発明の透析剤のA剤が濃厚液である場合、濃厚液は、長期間保存しても沈殿を生じない。これは、クエン酸含有透析剤の濃厚液では、難溶性のクエン酸カルシウムを生じやすいが、グルコン酸含有透析剤の濃厚液では難溶性の沈殿物を生じにくい。この点で本発明の透析剤は、従来のクエン酸を含む透析剤に比べて有利である。
なお、濃厚液は、例えば、固形製剤の各成分を水に溶解させることで得られる。
また、本発明は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸塩、グルコノデルタラクトン、炭酸水素ナトリウムおよびブドウ糖を含み、酢酸およびクエン酸を含まない、1剤型の固形重炭酸透析剤を提供する。
上記固形重炭酸透析剤において、グルコノデルタラクトンの配合量は、透析液としたときの濃度が1mEq/L以上4mEq/L未満、好ましくは1.5〜3.5mEq/L、さらに好ましくは2〜3mEq/Lとなる量である。
上記固形重炭酸透析剤において、グルコン酸塩の配合量は、透析液としたときの濃度が0.5〜5mEq/L、好ましくは0.5〜4mEq/L、さらに好ましくは1〜3mEq/Lとなる量である。
上記固形重炭酸透析剤としては、溶解性、作業性等の点から、顆粒製剤、粉末製剤が好ましく、粉末製剤がより好ましい。
本発明の透析剤は、透析用水(原水をろ過、イオン交換、吸着、逆浸透等の方法を用いて処理した水)で至適濃度に希釈することで、血液透析等の透析治療に使用する重炭酸透析液として使用可能である。ここでいう「至適濃度に希釈する」とは、上述した透析液としたときに各成分が取り得る範囲の濃度に希釈することを意味する。
以下、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1
(1a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.237kg、塩化カルシウム水和物0.351kg、塩化マグネシウム水和物0.162kg、グルコン酸ナトリウム0.174kg、グルコノデルタラクトン0.709kgおよびブドウ糖1.592kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(1b)濃厚液(A剤)
上記(1a)で得られた固形製剤145.4gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度29%(w/v)の濃厚液を得た。
(1c)透析液
上記(1b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例2
(2a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.245kg、塩化カルシウム水和物0.363kg、塩化マグネシウム水和物0.167kg、グルコン酸ナトリウム1.436kg、グルコノデルタラクトン0.733kgおよびブドウ糖1.645kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(2b)濃厚液(A剤)
上記(2a)で得られた固形製剤155.2gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度31%(w/v)の濃厚液を得た。
(2c)透析液
上記(2b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例3
(3a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.238kg、塩化カルシウム水和物0.353kg、塩化マグネシウム水和物0.163kg、グルコン酸ナトリウム0.349kg、グルコノデルタラクトン0.712kgおよびブドウ糖1.599kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(3b)濃厚液(A剤)
上記(3a)で得られた固形製剤146.8gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度29%(w/v)の濃厚液を得た。
(3c)透析液
上記(3b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例4
(4a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.243kg、塩化カルシウム水和物0.359kg、塩化マグネシウム水和物0.166kg、グルコン酸ナトリウム1.066kg、グルコノデルタラクトン0.726kgおよびブドウ糖1.630kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(4b)濃厚液(A剤)
上記(4a)で得られた固形製剤152.4gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度30%(w/v)の濃厚液を得た。
(4c)透析液
上記(4b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
比較例1
(1a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム104.3g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、酢酸ナトリウム8.6g、酢酸2.1gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度28%(w/v)の濃厚液を得た。
(1b)透析液
上記(1a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
比較例2
(2a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム110.0g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、クエン酸ナトリウム水和物0.7g、クエン酸1.8gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度28%(w/v)の濃厚液を得た。
(2b)透析液
上記(2a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例1c〜4c並びに比較例1bおよび2bで得られた透析液の各成分濃度を、以下の表1に示す。
Figure 0005282923
実施例5
(5a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.214kg、塩化カルシウム水和物0.316kg、塩化マグネシウム水和物0.146kg、グルコン酸ナトリウム0.156kg、グルコノデルタラクトン0.128kgおよびブドウ糖1.432kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(5b)濃厚液(A剤)
上記(5a)で得られた固形製剤151.4gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度30%(w/v)の濃厚液を得た。
(5c)透析液
上記(5b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.59gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例6
(6a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.214kg、塩化カルシウム水和物0.316kg、塩化マグネシウム水和物0.146kg、グルコン酸ナトリウム0.156kg、グルコノデルタラクトン0.255kgおよびブドウ糖1.432kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(6b)濃厚液(A剤)
上記(6a)で得られた固形製剤153.0gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度31%(w/v)の濃厚液を得た。
(6c)透析液
上記(6b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.59gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例7
(7a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.214kg、塩化カルシウム水和物0.316kg、塩化マグネシウム水和物0.146kg、グルコン酸ナトリウム0.156kg、グルコノデルタラクトン0.383kgおよびブドウ糖1.432kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(7b)濃厚液(A剤)
上記(7a)で得られた固形製剤154.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度31%(w/v)の濃厚液を得た。
(7c)透析液
上記(7b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.59gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例8
(8a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.256kg、塩化カルシウム水和物0.379kg、塩化マグネシウム水和物0.175kg、グルコン酸ナトリウム0.188kg、グルコノデルタラクトン1.195kgおよびブドウ糖1.720kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(8b)濃厚液(A剤)
上記(8a)で得られた固形製剤141.6gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度28%(w/v)の濃厚液を得た。
(8c)透析液
上記(8b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)1.18gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例9
(9a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.256kg、塩化カルシウム水和物0.379kg、塩化マグネシウム水和物0.175kg、グルコン酸ナトリウム0.188kg、グルコノデルタラクトン1.532kgおよびブドウ糖1.720kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(9b)濃厚液(A剤)
上記(9a)で得られた固形製剤145.0gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度29%(w/v)の濃厚液を得た。
(9c)透析液
上記(9b)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)1.18gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例5c〜9cで得られた透析液の各成分濃度を、以下の表2に示す。
Figure 0005282923
実施例10
(10a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.236kg、塩化カルシウム水和物0.349kg、塩化マグネシウム水和物0.161kgを混合し、0.064kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物7.52kgにグルコノデルタラクトン0.435kgおよびブドウ糖1.664kgを常温混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(10b)濃厚液(A剤)
上記(10a)で得られた固形製剤を40℃/75%RHの条件下で1ヶ月間保存した固形製剤151.8gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度30%(w/v)の濃厚液を得た。
実施例11
(11a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.237kg、塩化カルシウム水和物0.351kg、塩化マグネシウム水和物0.162kg、グルコン酸ナトリウム0.174kgを混合し、0.065kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物7.65kgに、グルコノデルタラクトン0.437kgおよびブドウ糖1.672kgを常温混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(11b)濃厚液(A剤)
上記(11a)で得られた固形製剤を40℃/75%RHの条件下で1ヶ月間保存した固形製剤153.2gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度31%(w/v)の濃厚液を得た。
実施例12
(12a)固形製剤(A剤)
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.245kg、塩化カルシウム水和物0.363kg、塩化マグネシウム水和物0.167kg、グルコン酸ナトリウム1.436kgを混合し、0.067kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物8.55kgに、グルコノデルタラクトン0.452kgおよびブドウ糖1.728kgを常温混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(12b)濃厚液(A剤)
上記(12a)で得られた固形製剤を40℃/75%RHの条件下で1ヶ月間保存した固形製剤163.0gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度33%(w/v)の濃厚液を得た。
実施例13
(13a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム110.5g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコノデルタラクトン7.8gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度29%(w/v)の濃厚液(液体製剤)を得た。
(13b)透析液
上記(13a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例14
(14a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム109.9g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコン酸ナトリウム1.9g、グルコノデルタラクトン7.8gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度29%(w/v)の濃厚液(液体製剤)を得た。
(14b)透析液
上記(14a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例15
(15a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム105.3g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコン酸ナトリウム19.1g、グルコノデルタラクトン7.8gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度32%(w/v)の濃厚液(液体製剤)を得た。
(15b)透析液
上記(15a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例16
(16a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム122.2g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコン酸ナトリウム1.9g、グルコノデルタラクトン3.1gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度31%(w/v)の濃厚液(液体製剤)を得た。
(16b)透析液
上記(16a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)0.59gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例17
(17a)濃厚液(A剤)
塩化ナトリウム101.8g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコン酸ナトリウム1.9g、グルコノデルタラクトン12.2gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとして固形物濃度28%(w/v)の濃厚液(液体製剤)を得た。
(17b)透析液
上記(17a)で得られた濃厚液(A剤)を、調製後30分以内に正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム(B剤)1.18gを加え、水を加えて正確に350mLとして透析液とした。
実施例13b〜17bで得られた透析液の各成分濃度を、以下の表3に示す。
Figure 0005282923
実施例18:透析液
塩化ナトリウム105.3g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコン酸ナトリウム19.1g、グルコノデルタラクトン12.2gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとした。その液を正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして、透析液とした。
実施例19:透析液
塩化ナトリウム102.3g、塩化カリウム2.6g、塩化カルシウム水和物3.9g、塩化マグネシウム水和物1.8g、グルコン酸ナトリウム30.5g、グルコノデルタラクトン12.5gおよびブドウ糖17.5gを水に溶かし、500mLとした。その液を正確に10mL量り、水を加えて約300mLとし、ここに炭酸水素ナトリウム0.94gを加え、水を加えて正確に350mLとして、透析液とした。
実施例18および19の透析液の各成分濃度を以下の表4に示す。
Figure 0005282923
実施例20
(20a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.236kg、塩化カルシウム水和物0.349kg、および塩化マグネシウム水和物0.161kgを混合し、0.064kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物8.06kgに、グルコノデルタラクトン0.530kg、ブドウ糖1.188kgおよび炭酸水素ナトリウム3.195kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(20b)透析液
上記(20a)で得られた固形製剤3.82gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例21
(21a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.237kg、塩化カルシウム水和物0.351kg、塩化マグネシウム水和物0.162kg、グルコン酸ナトリウム0.174kgを混合し、0.065kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物8.19kgに、グルコノデルタラクトン0.532kg、ブドウ糖1.194kgおよび炭酸水素ナトリウム3.209kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(21b)透析液
上記(21a)で得られた固形製剤3.85gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例22
(22a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.238kg、塩化カルシウム水和物0.353kg、塩化マグネシウム水和物0.163kg、グルコン酸ナトリウム0.349kgを混合し、0.065kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物8.33kgに、グルコノデルタラクトン0.534kg、ブドウ糖1.199kgおよび炭酸水素ナトリウム3.224kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(22b)透析液
上記(22a)で得られた固形製剤3.88gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例23
(23a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.243kg、塩化カルシウム水和物0.359kg、塩化マグネシウム水和物0.166kg、グルコン酸ナトリウム1.066kgを混合し、0.066kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物8.88kgに、グルコノデルタラクトン0.545kg、ブドウ糖1.223kgおよび炭酸水素ナトリウム3.286kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(23b)透析液
上記(23a)で得られた固形製剤3.99gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例24
(24a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.248kg、塩化カルシウム水和物0.366kg、塩化マグネシウム水和物0.169kg、グルコン酸ナトリウム1.812kgを混合し、0.068kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物9.45kgに、グルコノデルタラクトン0.555kg、ブドウ糖1.246kgおよび炭酸水素ナトリウム3.350kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(24b)透析液
上記(24a)で得られた固形製剤4.10gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例25
(25a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.220kg、塩化カルシウム水和物0.325kg、塩化マグネシウム水和物0.150kg、グルコン酸ナトリウム1.287kgを混合し、0.060kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物8.99kgに、グルコノデルタラクトン0.197kg、ブドウ糖1.106kgおよび炭酸水素ナトリウム1.859kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(25b)透析液
上記(25a)で得られた固形製剤3.84gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例26
(26a)固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.266kg、塩化カルシウム水和物0.393kg、塩化マグネシウム水和物0.181kg、グルコン酸ナトリウム1.555kgを混合し、0.072kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物9.30kgに、グルコノデルタラクトン0.929kg、ブドウ糖1.337kgおよび炭酸水素ナトリウム4.492kgを攪拌混合し、粉末(固形製剤)を得た。
(26b)透析液
上記(26a)で得られた固形製剤4.20gに水を加えて正確に350mLとし、透析液とした。
実施例20b〜26bで得られた透析液の各成分濃度を、以下の表5に示す。
Figure 0005282923
実施例27:固形製剤
塩化ナトリウム10kg、塩化カリウム0.245kg、塩化カルシウム水和物0.363kg、塩化マグネシウム水和物0.167kg、グルコン酸ナトリウム1.436kgを混合し、0.167kgの水を加え、65〜85℃で造粒を行った。その後、100℃3時間乾燥し、造粒物を得た。造粒物9.16kg、グルコノデルタラクトン0.484kgおよびブドウ糖1.851kgを常温混合し、製剤(固形製剤)を得た。
コーティング前(塩化ナトリウムの結晶、核)およびコーティング後(造粒物)の表面の二次電子像(SEM像)を図6に、得られた造粒物の表面の二次電子像(SEM像の拡大像)を図7に、該造粒物の断面の二次電子像(SEM像)および反射電子像(組成像)を図8に示す。
試験例1 濃厚液のpHの測定
(a)実施例1b〜4b並びに比較例1aおよび2aで得られた濃厚液について、調製直後および1、2、4、6、8、24時間室温保管後のpHを測定した。その結果を表6および図1に示す。
Figure 0005282923
酢酸含有透析剤(比較例1a)はpHが4.7と高く安定しているが、クエン酸含有透析剤(比較例2a)の濃厚液は、溶解直後からpH3以下と明らかに低く、溶解装置等の腐食の恐れがある。グルコン酸含有透析剤(実施例1b〜4b)の濃厚液のpHは、調製直後は高く、時間経過とともに徐々に下がるのが特徴である。粉末型透析剤の場合、自動溶解装置等で適時溶解して短時間で使用すれば、pH3以上で使用することができ、溶解装置や透析液供給装置が低pHに晒される時間を低減できる。
(b)実施例5b〜9bで得られた濃厚液について、上記と同様に、調製直後および1、2、4、6、8、24時間室温保管後のpHを測定した。その結果を表7および図2に示す。
Figure 0005282923
上記(a)の結果と同様に、グルコン酸含有透析剤(実施例5b〜9b)の濃厚液のpHは、調製直後は高く、時間経過とともに徐々に下がる。粉末型透析剤の場合、自動溶解装置等で適時溶解して短時間で使用すれば、pH3以上で使用することができ、溶解装置や透析液供給装置が低pHに晒される時間を低減できる。
試験例2 透析液のpHおよびイオン化カルシウム値の測定
上記実施例1c〜4c並びに比較例1bおよび2bで得られた透析液の調製直後、10分後、1、2、3、4、6、8時間後の室温保存下でのpH並びにイオン化カルシウム値を測定した。pHはpHメーターにて測定し、イオン化カルシウム値は汎用血液ガス分析装置cobas b 121にて測定した。
pHの測定結果を表8および図3に示し、イオン化カルシウム値の測定結果を表9および図4に示す。
Figure 0005282923
グルコン酸含有透析液は、調製直後はpHが高めであるが、調製後10分経過すれば至適pH(7.3〜7.5)となり、調製後約4時間まで至適pHを保つことができるが、酢酸含有透析剤では2時間以内で至適pHを越え、クエン酸含有透析液では調製直後から至適pHより高めのpHであった。生体に悪影響を与えないためには至適pHである7.3〜7.5を保つ時間が長い方がより安全な透析剤である。
Figure 0005282923
グルコン酸含有濃度が高くなるほどキレート作用が強まるが、グルコン酸含有透析液はクエン酸含有透析液に比べてキレート作用は顕著に弱く、より安全とされるイオン化カルシウム濃度1.25mmol/L以上を保つことができた。
試験例3 透析液のpHの測定
上記実施例5c〜9cで得られた透析液の調製直後、10分後、1、2、3、4、6、8時間後の室温保存下でのpHをpHメーターにて測定した。
pHの測定結果を表10および図5に示す。
Figure 0005282923
実施例5cでは透析液調製直後から480分後まで透析液pHが高い状態が続いており、透析液として使用するのは難しいと判断された。
実施例6c、7c、8c(グルコノデルタラクトンの配合量が1〜3.9mEq/Lの透析液)では透析液pHが至適範囲内となるため、透析液として適していると判断できた。
実施例9c(グルコノデルタラクトンの配合量が5mEq/Lの透析液)では透析液pHが7.2以下と低くなりすぎるため、グルコノデルタラクトンの至適配合量は1〜3.9mEq/Lと判断できた。
試験例4 固形製剤の安定性試験
実施例10a〜12aで得られた固形製剤について、40℃/75%RHの条件下で1ヶ月間保存し、外観およびブドウ糖の分解物である5−ヒドロキシメチルフルフラール類(5−HMF)量を測定した。外観を観察し、そして実施例10b〜12bと同様に濃厚液を調製し、これらを0.2μmフィルターでろ過した液について、5−HMF量をHPLC法(UV検出器)にて測定した。5−HMF量の結果を表11に示す。
Figure 0005282923
外観についてはいずれも白色であり、固化もなく、さらさらした状態であった。5−HMFについては、グルコン酸ナトリウムを配合しなかった実施例10aに対し、配合した実施例11aおよび12aは、その産生を明らかに抑制し、しかもグルコン酸ナトリウムが多いほど強い抑制効果を示した。これらの結果からグルコン酸ナトリウムを多く含む方が製剤として安定であると判断された。
試験例5 濃厚液の安定性試験
実施例13a〜17aで得られた濃厚液を、調製から1日後(pHが安定した試料:開始時)、40℃/75%RHの条件下で1ヶ月間保存後(加速試験1ヶ月後)、および同条件下で2ヶ月間保存後(加速試験2ヶ月後)に、沈殿の有無を目視で観察し、pHを測定し、ブドウ糖の分解物である5−HMF量を測定した。pHはpHメーターにて測定し、5−HMF量は各濃厚液を0.2μmフィルターでろ過した液についてHPLC法(UV検出器)にて測定した。pHの結果を表12に示し、5−HMF量の結果を表13に示す。また、5−HMF量(ppm)と波長284nm(5−HMFの吸収波長)における吸光度を測定した。結果ならびにその関係を表14および図9に示す。
Figure 0005282923
Figure 0005282923
Figure 0005282923
外観については40℃75%RHの条件下で1ヶ月間保存しても、2ヶ月間保存してもいずれも透明で濁りや着色はなかった。また、pHは開始時と加速試験1ヶ月後、加速試験2ヶ月後で差はなかった。
5−HMFの増加量は、加速2ヶ月時点で多くても1.1ppm程度であった。一般に透析剤中の5−HMF量を測定するためには波長284nmにおける吸光度が用いられ、その吸光度は0.8以下が許容範囲とされている。表14および図9の相関関係より透析剤としての5−HMF量は6.7ppm以下であれば問題ないと考えられることから実施例13から実施例17は製剤として問題がないレベルであったと考えられた。
以上の結果より、水溶液(濃厚液)の形態であるA剤でも安定性に問題はなかった。
試験例6 透析液のイオン化カルシウム値の測定
上記実施例18および19のイオン化カルシウム値を、汎用血液ガス分析装置cobas b 121にて測定した。表15に結果を示す。
Figure 0005282923
以上の結果より、透析液中の総グルコン酸濃度が9mEq/L未満であれば、より安全とされるイオン化カルシウム濃度1.25mmol/L以上を担保できることがわかる。
試験例7 固形製剤の安定性試験
実施例20a〜26aで得られた固形製剤を、作製直後(開始時)、40℃/75%RHの条件下で1ヶ月間保存後(加速試験1ヶ月後)、および同条件下で2ヶ月間保存後(加速試験2ヶ月後)に、着色の有無を観察し、透析液を調製してから60分後にpHを測定し、ブドウ糖の分解物である5−HMF量を測定した。着色の有無は目視で観察し、pHはpHメーターにて測定し、5−HMF量は各試料から透析液を調製し、0.2μmフィルターでろ過した液についてHPLC法(UV検出器)にて測定した。pHの結果を表16に示す。
Figure 0005282923
各固形製剤を40℃75%RHの条件下で1ヶ月間保存しても、各試料から調製した透析液のいずれも透明でにごりや着色はなかった。2ヶ月間保存したところ、実施例20aの試料から調製した透析液濁りがみられたが、その他の試料から調製した透析液は透明でにごりや着色はなかった。また、pHは開始時と加速試験1ヶ月後、加速試験2ヶ月後で差はなかった。
また、5−HMFは、いずれの試料からも検出することができなかった。

Claims (12)

  1. グルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンと、グルコン酸塩とを含み、酢酸、クエン酸および炭酸水素ナトリウムを含まないA剤と、炭酸水素ナトリウムを含むB剤を含む重炭酸透析剤であって、
    グルコン酸および/またはグルコノデルタラクトンが、透析液としたときに1mEq/L以上4mEq/L未満の濃度となる量で含まれる、重炭酸透析剤
  2. さらに電解質を含む、請求項1に記載の重炭酸透析剤。
  3. 電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の重炭酸透析剤。
  4. さらにブドウ糖を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
  5. A剤が固形製剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
  6. A剤が固形製剤であり、かつ、塩化ナトリウムを核とし、その他の電解質がグルコン酸塩とともにコーティングされた粒子および/またはその粒子が複数以上結合した造粒物を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
  7. A剤が水溶液の形態である、請求項1〜4のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
  8. A剤の固形物濃度が、20〜36%(w/v)である、請求項7に記載の重炭酸透析剤。
  9. グルコン酸塩が、透析液としたときに0.5〜5mEq/Lの濃度となる量で含まれる、請求項1〜のいずれかに記載の重炭酸透析剤。
  10. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸塩、グルコノデルタラクトン、炭酸水素ナトリウムおよびブドウ糖を含み、酢酸およびクエン酸を含まない固形重炭酸透析剤であって、
    グルコノデルタラクトンが、透析液としたときに1mEq/L以上4mEq/L未満の濃度となる量で含まれる、固形重炭酸透析剤
  11. グルコン酸塩が、透析液としたときに0.5〜5mEq/Lの濃度となる量で含まれる、請求項10に記載の固形重炭酸透析剤。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の重炭酸透析剤と、水とを含む、重炭酸透析液。
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