JP5281326B2 - バルブ - Google Patents

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本発明は、バルブの改良に関する。
従来、この種のバルブにあっては、たとえば、車両用の緩衝器のピストン部等に具現化され、緩衝器内に二つの圧力室を隔成するピストンと、当該ピストンに設けたポートの外周に配置される環状弁座に着座する環状のリーフバルブとを備え、このリーフバルブでポートを開閉するものが知られている。
そして、リーフバルブの外周側を撓ませることによりポートを開閉するバルブでは、ピストン速度が低い場合には、作動液体は、リーフバルブの外周に設けた切欠によって形成されるオリフィスを通過して、圧縮される圧力室から拡張される圧力室へ移動する。
したがって、このようなバルブでは、ピストン速度が低い場合に、オリフィス特有の自乗特性となる減衰特性(ピストン速度に対する減衰力変化)にて減衰力が発揮され、ピストン速度が低速領域にあるときのピストン速度変化に対して減衰力変化が大きく、また、ピストン速度が低速領域を脱して中速となるとリーフバルブが環状弁座から離座するので中速領域における減衰特性が低速領域における減衰特性と大きく異なり、減衰特性が急激に変化してしまう。
そこで、低速領域においてピストン速度に対して減衰力をリニアに変化させるべく、弁座に着座するリーフバルブと、リーフバルブに積層されるサブリーフバルブの一部に切欠を設けるとともに、最上部に積層されるサブリーフバルブで切欠の大部分を閉塞してチョーク通路を構成するバルブの提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。また、ピストンにポートとは別にピストンを上下に貫くチョーク通路を形成するバルブの提案もある(たとえば、特許文献2参照)。
特開2001−165224号公報 特開2007−132389号公報
しかしながら、上述のように構成されたバルブにおいては、特に問題がある訳ではないが、以下の不具合があると指摘される可能性がある。
リーフバルブとサブリーフバルブでチョーク通路を形成する場合、リーフバルブおよびサブリーフバルブに切欠を設ける加工が必要であるだけでなく、リーフバルブとサブリーフバルブの切欠の位置を合わせておく必要があり、バルブの製造作業が煩雑となり、コストも高くなる。また、リーフバルブおよびサブリーフバルブに切欠を設けるので、リーフバルブおよびサブリーフバルブの耐久性の低下を招く虞もある。
また、ピストンにチョーク通路を形成する場合には、ピストンに孔開け加工を施さなくてはならず、リーフバルブの耐久性の低下を招くことは回避できるがコストが高くなってしまう問題は解消されない。
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、緩衝器の低速領域における減衰力をピストン速度に対して比例的に変化させることができるだけでなく安価に製造することができるバルブを提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明における課題解決手段の一つは、ポートとポートの開口端を囲む弁座とを備えたバルブディスクと、バルブディスクに積層されて弁座に離着座しポートを開閉するリーフバルブとを備えたバルブにおいて、上記ポートの開口端を平面凸形状の独立窓に形成し、上記弁座を環状部と環状部に連なって独立窓を囲む包囲部とを備えて花弁型に形成し、ポート外からポート内に通じてリーフバルブが弁座に着座する状態でチョーク通路を形成するチョーク溝を上記包囲部の両側に径方向に沿って形成したことを特徴とする。
同じく、他の手段は、ポートとポートの開口端を囲む弁座とを備えたバルブディスクと、バルブディスクに積層されて弁座に離着座しポートを開閉するリーフバルブとを備えたバルブにおいて、上記各ポートを連通する環状窓を設け、上記弁座を環状窓の内周に配置される内周部と、環状窓の外周に配置される外周部とて構成し、外周部の任意の箇所から内周側へ向けて臍部を突出させ、ポート外からポート内に通じてリーフバルブが弁座に着座する状態でチョーク通路を形成するチョーク溝を臍部に当該臍部を横断して形成したことを特徴とする。
本発明の緩衝器のバルブによれば、チョーク通路が弁座に設けたチョーク溝と、切欠を設ける加工を要しないリーフバルブとで形成されるので、緩衝器の低速領域における減衰力をピストン速度に対して比例的に変化させることができるとともに、バルブディスクを焼結や鋳造によって製造する型でチョーク溝を形成することができ、チョーク通路の形成に際してバルブディスクやリーフバルブに特別な加工を施す必要が無く、バルブの製造コストを安価にすることができる。
さらに、リーフバルブには切欠を設けずに済むので、チョーク通路の形成に当たって、リーフバルブを構成する複数の環状板を周方向へ位置合わせする手間もなく、組立作業も容易となる。
以下、本発明のバルブ構造を図に基づいて説明する。図1は、一実施の形態におけるバルブが具現化されたバルブディスクたるピストンの平面図である。図2は、緩衝器に適用した一実施の形態におけるバルブのAA断面図である。図3は、他の実施の形態におけるバルブが具現化されたバルブディスクたるピストンの平面図である。
一実施の形態におけるバルブは、図1および図2に示すように、緩衝器のピストン部の圧側の減衰バルブに具現化されており、シリンダ40内に伸側室41と圧側室42とを隔成するとともに圧側室42と伸側室41とを連通する複数のポート2と、ポート2の開口端を囲む弁座4とを備えたバルブディスクたるピストン1と、ピストン1の中心部から立ち上がる軸たるピストンロッド6の先端7と、内周側がピストンロッド6の先端7に固定されてピストン1の伸側室41側の端面に積層され弁座4に離着座してポート2を開閉する環状のリーフバルブ8と、各弁座4に設けたチョーク溝10とを備えて構成されている。
他方、本発明のバルブが具現化される緩衝器は、周知であるので詳細には図示して説明しないが、具体的にたとえば、シリンダ40と、シリンダ40の上端を封止するヘッド部材(図示せず)と、ヘッド部材(図示せず)を摺動自在に貫通するピストンロッド6と、ピストンロッド6の先端7が挿通されて上記先端7に固定されるバルブディスクたるピストン1と、シリンダ40内にピストン1で隔成される図1中上方側の伸側室41と下方側の圧側室42と、シリンダ40の下端を封止する封止部材(図示せず)と、シリンダ40から出没するピストンロッド6の体積分のシリンダ内容積変化を補償する図示しないリザーバあるいはエア室とを備えて構成され、シリンダ40内には流体、具体的には作動油が充填されている。
また、上記バルブにあっては、シリンダ40に対してピストン1が図2中下方に移動して、作動油がポート2を通過して圧側室42から伸側室41へ移動する際に、その作動油の流れに対しリーフバルブ8で抵抗を与えて所定の圧力損失を生じせしめて緩衝器に所定の圧側減衰力を発生させるようになっている。
また、ピストン1には、上述したポート2とは別に、伸側室41と圧側室42とを連通する複数のポート3が設けられ、このポート3は、内周側がピストンロッド6の先端7に固定されてピストン1の圧側室42側の端面に積層される環状のリーフバルブ9によって開閉されるようになっており、シリンダ40に対してピストン1が図2中上方に移動して、作動油がポート3を通過して伸側室41から圧側室42へ移動する際に、その作動油の流れに対しリーフバルブ9で抵抗を与えて所定の圧力損失を生じせしめて緩衝器に所定の伸側減衰力を発生させるようになっている。
以下、このバルブについて詳しく説明すると、バルブディスクたるピストン1は、図1に示すように、環状に形成されて、作動油が圧側室42から伸側室41へ通過することを許容するポート2と、逆に作動油が伸側室41から圧側室42へ通過することを許容するポート3とを備えている。
また、ポート2とポート3は、ピストン1にそれぞれ複数、具体的に図示するところでは四つずつ設けらており、同一円周上に等間隔を持って交互に配置されている。
さらに、ピストン1は、その伸側室41側に、環状部4aと環状部4aに連なってポート2の開口端である独立窓11を囲む包囲部4bからなるとともに伸側室41側へ突出する花弁型の弁座4を備えており、環状部4aおよび包囲部4bは面一とされて、環状部4aにリーフバルブ8の内周部を着座させるとともに包囲部4bにリーフバルブ8の外周部を着座させるようにして、この花弁型の弁座4にリーフバルブ8を積層させている。
この場合、図1に示すように、ポート2の開口端を平面から見て凸形状の独立窓11に形成している。
また、弁座4を環状部4aと環状部4aに連なって独立窓11を囲む包囲部4bとを備えて花弁型に形成し、ポート外からポート内に通じてリーフバルブが弁座に着座する状態でチョーク通路を形成するチョーク溝を上記包囲部4bの両側に径方向に沿って形成している。
このように、リーフバルブ8をピストン1の図2中上端へ突出するように設けた花弁型の弁座4に着座させることで、リーフバルブ8でポート2のみを閉塞してポート3の伸側室41への連通が確保されるようになっている。
上記のように、独立窓11は、平面凸形状に形成されており、肩部11aからピストン1の径方向へ向けて包囲部4bを横断してポート2外となる伸側室41に通じるチョーク溝10が包囲部4bにそれぞれ二つずつ形成されている。したがって、ポート2は、弁座4にリーフバルブ8が着座して閉塞された状態におかれても当該チョーク溝10を介して伸側室41に通じるようになっている。このように、独立窓11を凸型とすることで、チョーク溝10がチョークとして機能できるようその長さが確保されている。
さらに、ピストン1は、その圧側室42側にもポート3の開口端を囲む花弁型の弁座5を備えており、当該弁座5にリーフバルブ9を着座させてある。
そして、ピストン1の内周側には緩衝器のピストンロッド6の先端7が挿通され、ピストンロッド6の先端7はピストン1の図2中下方側に突出させてある。また、ピストンロッド6における先端7の外径は、ピストンロッド6の当該先端7より図2中上方側の外径より小径に設定され、上方側と先端7との外径が異なる部分に段部12が形成され、さらに、先端7の図2中最下方の外周には螺子溝13が形成されている。
また、ピストン1の図1中上下に積層されるリーフバルブ8,9は、図2に示すように、複数の環状板を積層して構成され、ピストン1とともに、ピストンロッド6の先端7に組み付けられ、上記先端7に設けた螺子溝13に螺着されるナット14とピストンロッド6の段部12とで挟持されてピストンロッド6の先端7に固定されている。
このようにリーフバルブ8,9は、それぞれ内周がピストンロッド6に固定されて弁座4,5に着座しポート2,3を閉塞しており、緩衝器の伸縮時にそれぞれポート2,3側から作用する圧力によって外周側を撓ませることによってポート2,3を開放することができるようになっている。なお、リーフバルブ8,9における環状板の枚数は、任意であり、緩衝器に要求される減衰力によって適宜の枚数に設定すればよい。
そして、リーフバルブ8が弁座4に着座した状態で、弁座4の包囲部4bに設けたチョーク溝10と協働して、ポート2を伸側室41へ連通するチョーク通路を形成している。
つづいて、上述のように構成されたバルブの作用について説明する。まず、ピストン1がシリンダ40に対して図1中下方側に移動すると、圧側室42内の圧力が高まり、圧側室42内の作動油はポート2を通過して伸側室41内に移動しようとする。
そして、ピストン速度が低速領域にある場合にはリーフバルブ8は、ポート2を介して作用する圧側室42内の圧力が小さく弁座4から離座することがなく、ポート2を閉塞したままとなる。
したがって、このピストン速度が低速領域にある場合、作動油は、チョーク溝10とリーフバルブ8とで形成されるチョーク通路を介して圧側室42から伸側室41へ移動することとなり、ピストン速度が中速領域に達してリーフバルブ8が撓んで包囲部4bから離座するまでは、緩衝器が発生する減衰特性はチョーク特有の特性となって、減衰力はピストン速度に対して比例的に変化する。
そして、ピストン速度が中速領域に達すると、リーフバルブ8は、包囲部4bから離座してポート2を開放するようになり、このバルブが具現化した緩衝器が発生する伸側の減衰特性は、低速領域と中速領域との境で減衰特性が急激に変化するような事が無い。
他方、ピストン1がシリンダ40に対して図1中上方に移動する場合には、伸側室41内の圧力が高まり、伸側室41内の作動油はポート3を通過して圧側室42内に移動しようとするがリーフバルブ9によってポート3が閉塞されているので、上述のチョーク通路とポート2とを介して作動油が圧側室42へ移動する。したがって、この場合も、ピストン速度が中速領域に達してリーフバルブ9が撓んで弁座5から離座するまでは、緩衝器が発生する減衰特性はチョーク特有の特性となって、減衰力はピストン速度に対して比例的に変化する。上述のように、チョーク通路は伸圧両効きとなるので、伸側あるいは圧側のバルブの一方に設けておけばよいが、両方に設けるようにしてもよい。
そして、このバルブにあっては、チョーク通路が弁座4に設けたチョーク溝10と、切欠を設ける加工を要しないリーフバルブ8とで形成されるので、バルブディスクたるピストン1を焼結や鋳造によって製造する型でチョーク溝10を形成することができ、チョーク通路の形成に際してバルブディスクたるピストン1やリーフバルブ8に特別な加工を施す必要が無く、バルブの製造コストを安価にすることができる。
さらに、リーフバルブ8には切欠を設けずに済むので、チョーク通路の形成に当たって、リーフバルブ8を構成する複数の環状板を周方向へ位置合わせする手間も無く、組立作業も容易となる。
なお、弁座4に設けるチョーク溝10の数は、任意であり、緩衝器に発生させたい減衰特性に適する数だけ設ければよい。
また、上記したところでは、弁座4を花弁型として各ポート2を互いに独立させていたが、図3に示した他の実施の形態におけるバルブのようにしても良い。
これは、 各ポート17を連通する環状窓19を設け、弁座15を環状窓19の内周に配置される内周部15aと、環状窓15aの外周に配置される外周部15bとて構成し、外周部15bの任意の箇所から内周側へ向けて臍部15cを突出させ、ポート17外からポート17内に通じてリーフバルブが弁座15に着座する状態でチョーク通路を形成するチョーク溝16を臍部15に当該臍部15cを横断して形成したものである。
詳しく述べると、ピストン18に環状窓19を設けて、この環状窓19を通じて各ポート17を連通するようにし、弁座15を環状窓19の内周に配置される内周部15aと外周に配置される円弧状の外周部15bとで形成する場合には、外周部15bの任意の箇所から内周側へ向けて突出してチョーク溝16が形成されると共に外周部15bより肉厚に形成した突出部たる臍部15cを設けるようにしてもよい。臍部15cは、この場合、外周部15bと面一とされて四つ周方向に等間隔を持って設けられ、径方向幅は臍部15cに設けられるチョーク溝16がチョークとして機能できるような長さに設定されている。そして、チョーク溝16は、弁座15における臍部15cを径方向に横断してポート17外とポート17が連通された環状窓19へ通じている。なお、臍部15cの設置数は、チョーク溝16を設置する数に応じて任意に設定することができる。
この他の実施の形態におけるバルブにあっても、リーフバルブ8を弁座15に着座させることで、臍部15cに設けたチョーク溝16とリーフバルブ8とでチョーク通路が形成され、当該チョーク通路にてポート17を伸側室41へ連通させることができる。
そして、焼結や鋳造によってチョーク溝16を後加工無しにピストン18に形成することができるので、上記した一実施の形態におけるバルブと同様に、低速領域における減衰力をピストン速度に対して比例的に変化させることができるだけでなくバルブを安価に製造することができる。
なお、上記したところでは、緩衝器のピストン部の圧側の減衰バルブに具現化した例を用いて本発明のバルブ構造を説明しているが、伸側のみ、あるいは、伸圧両側の減衰バルブに具現化することも可能で、さらには、ベースバルブ部に具現化することも可能であり、およそ減衰力を発生する減衰力発生要素として機能する緩衝器のバルブに適用することが可能なことは勿論である。
また、上記した実施の形態では、軸をピストンロッド6の先端7としているが、これに代えて、バルブディスクと一体あるいは別体な軸をバルブディスクの中心部に設けるようにしてもよい。
以上で緩衝器のバルブ構造の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
一実施の形態におけるバルブが具現化されたバルブディスクたるピストンの平面図である。 緩衝器に適用した一実施の形態におけるバルブのAA断面図である。 他の実施の形態におけるバルブが具現化されたバルブディスクたるピストンの平面図である。
符号の説明
1,18 バルブディスクたるピストン
2,3 ポート
4,5,15 弁座
4a 弁座における環状部
4b 弁座における包囲部
6 ピストンロッド
7 ピストンロッドの先端
8,9 リーフバルブ
10,16 チョーク溝
11 独立窓
11a 独立窓における肩部
12 ピストンロッドにおける段部
13 ピストンロッドにおける螺子溝
14 ナット
15a 弁座における内周部
15b 弁座における外周部
15c 弁座における臍部
17 ポート
19 環状窓
40 シリンダ
41 伸側室
42 圧側室

Claims (2)

  1. ポートとポートの開口端を囲む弁座とを備えたバルブディスクと、バルブディスクに積層されて弁座に離着座しポートを開閉するリーフバルブとを備えたバルブにおいて、上記ポートの開口端を平面凸形状の独立窓に形成し、上記弁座を環状部と環状部に連なって独立窓を囲む包囲部とを備えて花弁型に形成し、ポート外からポート内に通じてリーフバルブが弁座に着座する状態でチョーク通路を形成するチョーク溝を上記包囲部の両側に径方向に沿って形成したことを特徴とするバルブ。
  2. ポートとポートの開口端を囲む弁座とを備えたバルブディスクと、バルブディスクに積層されて弁座に離着座しポートを開閉するリーフバルブとを備えたバルブにおいて、上記各ポートを連通する環状窓を設け、上記弁座を環状窓の内周に配置される内周部と、環状窓の外周に配置される外周部とて構成し、外周部の任意の箇所から内周側へ向けて臍部を突出させ、ポート外からポート内に通じてリーフバルブが弁座に着座する状態でチョーク通路を形成するチョーク溝を臍部に当該臍部を横断して形成したことを特徴とするバルブ。
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