JP5280683B2 - ペプチド系化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規ペプチド系化合物並びに光学イメージング診断法又は疾患治療におけるそれらの使用に関する。さらに具体的には、本発明は、血管新生に関連する受容体に結合するターゲティングベクターとしての上記ペプチド系化合物の使用に関する。本化合物は血管新生関連疾患の診断又はその治療における造影剤として使用し得る。
一般に、新しい血管は脈管形成と血管新生という2つの異なる機序で形成される。血管新生は既存の血管からの枝分れによる新しい血管の形成である。このプロセスに対する主な刺激として、組織内の細胞への栄養及び酸素の不十分な供給(低酸素)がある。細胞は血管新生因子の分泌によって応答することがある。血管新生因子は多数存在するが、しばしば言及されるその一例は血管内皮増殖因子(VEGF)である。これらの因子は、基底膜のタンパク質を分解するタンパク分解酵素の分泌だけでなく、かかる潜在的に有害な酵素の作用を制限する阻害剤の分泌も惹起する。血管新生因子のもう一つの顕著な作用は内皮細胞を遊走させ分裂させることである。血管の反管腔側に連続層をなす基底膜に付着した内皮細胞は有糸分裂を起こさない。付着の喪失と血管新生因子受容体からのシグナルとの複合作用によって、内皮細胞の移動、増殖及び再配列が起こり、最終的には新血管周囲に基底膜が合成される。
血管新生は創傷治癒及び炎症過程を始めとする組織の増殖及びリモデリングに重要である。血管新生の阻害は抗腫瘍療法の有望な方策であると考えられる。血管新生に伴う形質転換も診断に極めて有望であり、明らかな例は悪性疾患であるが、この方策は、炎症及びアテローム性動脈硬化症を始めとする様々な炎症関連疾患にも極めて有望である。初期アテローム性動脈硬化病変のマクロファージは血管新生因子の潜在的発生源である。これらの因子は心筋梗塞の血管再生にも関与しており、狭窄が短時間で解放された場合にみられる。
新脈管形成又は血管新生、つまり新血管の発生又は増殖に関連した望ましくない病態を以下に示す。これに関しては国際公開第98/47541号も参照できる。
血管新生に関連した疾患及び適応症は例えば様々な形態の癌及び転移、例えば乳癌、皮膚癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌又は卵巣癌である。
その他の疾患及び適応症は、炎症(例えば慢性)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ及び歯肉炎である。
血管新生に関連したさらに別の疾患及び適応症は、動静脈奇形、星細胞腫、絨毛癌、グリア芽細胞種、神経膠腫、血管腫(小児性、毛細血管性)、肝細胞腫、過形成性子宮内膜症、虚血性心筋症、子宮内膜症、カポジ肉腫、黄斑変性症、黒色腫、神経芽細胞腫、閉塞性末梢動脈疾患、骨関節炎、乾癬、網膜症(糖尿病性、増殖性)、強皮症、精巣上皮腫及び潰瘍性大腸炎である。
血管新生には、内皮細胞及び周囲組織に特有の受容体が関与する。これらのマーカーとしては、VEGFのような増殖因子受容体及びインテグリンファミリーの受容体がある。免疫組織化学的研究によって、様々なインテグリン(最も重要なのはおそらくαクラス)が血管の頂端面で発現され[Conforti, G., et al.(1992) Blood 80: 37−446]、循環リガンドによるターゲティングに利用できる[Pasqualini, R., et al. (1997) Nature Biotechnology 15: 542−546]ことが示されている。α5β1も、フィブロネクチンマトリックスの構築を促進し、フィブロネクチンへの細胞付着を起こす重要なインテグリンである。α5β1は細胞遊走にも重要な役割を果たす。
インテグリンαvβ3は血管新生との関連が知られている受容体の一つである。αvβ3インテグリン受容体/リガンド相互作用の拮抗剤がアポトーシスを惹起して血管増殖を阻害するので、血管新生プロセスの臨界期における刺激を受けた内皮細胞の生存はこの受容体に依存していると考えられている。
インテグリンはヘテロ二量体分子であり、αサブユニットとβサブユニットが細胞膜脂質二重層を貫通している。αサブユニットはその細胞外鎖に4つのCa2+結合ドメインを有し、βサブユニットはシステインリッチな細胞外ドメインを多数有している。
細胞接着に関与するリガンド(例えばフィブロネクチン)の多くはアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)のトリペプチド配列を含んでいる。RGD配列は、この配列を提示するリガンドと細胞表面の受容体との間の一次認識部位として作用すると考えられている。リガンドと受容体の二次的相互作用は上記相互作用の特異性を高めると一般に考えられている。こうした二次的相互作用は、リガンドと受容体のRGD配列に直接隣接した部分でも、RGD配列から離れた部位でも起こり得る。
RGDペプチドは様々なインテグリン受容体に結合することが知られており、臨床に重要な用途をもつ数多くの細胞内事象を調節できる可能性がある。最も広く研究されたRGDペプチドとその模倣体の作用は抗血栓剤としての使用に関するものであり、これらは血小板インテグリンGpIIbIIIaをターゲットとする。
αvβ3又はαvβ5拮抗剤の投与による組織内での血管新生の阻害は例えば国際公開第97/06791号及び同第95/25543号に記載されており、抗体又はRGD含有ペプチドが用いられている。欧州特許出願公開第578083号には、一群の単環式RGD含有ペプチドが記載されている。複数の架橋を含む環状RGD含有ペプチドも、国際公開第98/54347号及び同第95/14714号に記載されている。
RGD含有ペプチド系化合物のその他の例は、国際公開第01/77145号、同第02/26776号及び同第03/006491号にみられる。国際公開第01/77145号には、レポーター部分と結合した二環式RGD系ペプチドが開示されている。国際公開第05/003466号には、光学イメージングのためにフルオレセインと結合したRGD系ペプチドが開示されている。
国際公開第98/47541号パンフレット 国際公開第97/06791号パンフレット 国際公開第95/25543号パンフレット 欧州特許出願公開第578083号明細書 国際公開第98/54347号パンフレット 国際公開第95/14714号パンフレット 国際公開第01/77145号パンフレット 国際公開第02/26776号パンフレット 国際公開第03/006491号パンフレット 国際公開第05/003466号パンフレット Conforti, G., et al. (1992) Blood 80: 37−446 Pasqualini, R., et al. (1997) Nature Biotechnology 15: 542−546
血管新生関連疾患及びその治療のための一段と特異的な非侵襲性イメージング技術を開発する臨床上のニーズが存在する。かかるイメージング技術は、新しい抗血管新生治療の評価に中心的役割を果たすであろう。血管新生の実際のレベルを評価することができれば、血管新生関連疾患の初期段階での診断に臨床上有益である。血管新生のレベルの評価に光学イメージングを用いることができ、本発明はこの目的のための光学イメージング用造影剤として有用な新規化合物を提供する。
当技術分野のニーズに鑑みて、本発明は、光学イメージングにおける造影剤として或いは治療に用いられるシアニン色素で標識したペプチド系化合物を提供する。血管新生に関連するインテグリン受容体のインビボでの効率的ターゲティング及びイメージングには、化学的に頑強かつ安定で選択的かつ親和性の高いRGD系ベクターが要求される。さらに、バックグラウンドノイズに伴う問題を軽減するための造影剤の設計に際しては、排泄経路が重要な要因である。これらの厳しい条件は、本明細書に記載したシアニン色素標識ペプチド化合物によって満足される。
本発明は、その一態様では、特許請求の範囲に記載した新規ペプチド系化合物を提供する。これらの化合物はインテグリン受容体に対する親和性(例えばインテグリンαvβ3に対する親和性)を有しており、シアニン色素リポーターで標識されている。
本化合物又はその生理学的に許容される塩はペプチドベクターと1以上のシアニン色素を含んでおり、ペプチドベクターはアミノ酸配列X−G−Dを含んでいて、ペプチドベクターと1以上のシアニン色素は好ましくは共有結合で連結されている。Xはアルギニン、N−メチルアルギニン又はアルギニン模倣体を表し、Gはグリシンを表し、Dはアスパラギン酸を表す。ペプチドベクターは、αvβ3受容体のようなインテグリン受容体に対して親和性を有する。
以下、シアニン色素(CyDye(商標))を文字Zで表す。シアニン色素は、交互に並んだ炭素−炭素単結合と炭素−炭素多重結合(好ましくは二重結合)で奇数個の炭素原子が結合してなるポリエン鎖として定義される化合物であり、いずれかの末端はアミノ基を末端とし、その1つは四級化されている。シアニン及び類似のアリール−リンカー−アリール発色団は適宜側鎖置換基又は縮合環置換基を有していてもよい。シアニン色素及びその合成についての概説は、米国特許第6048982号及び同第5268486号に記載されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。シアニン色素は、広範なスペクトル特性及び様々な構造のものが利用できるため、特に有用である。幅広いシアニン色素が周知であり試験されているが、それらは毒性が低く、市販されている(GE Healthcare社(以前の社名はAmersham Biosciences)。シアニン色素は極めて強い色素の一群であり、良好な水溶性を有する。これらはpH3〜10でpH非感受性であり、非特異的結合も低く、フルオレセインよりも光安定性が高い。
本発明の好ましい実施形態では、シアニン色素をペプチドベクターと結合させることができ、その結果血液プール貯留性が低減する。本発明のこの実施形態では、シアニン色素がスルホン酸基を2又は1個しか或いは全く含まない化合物を提供する。スルホン酸基数の低減した色素は、RGDペプチドのようなペプチドと結合させると、血漿結合性が低減し、背景組織との非特異的結合も低減する。スルホン酸基は色素にある程度の親水性を付与するが、これはインビボイメージングに必要な特徴である。シアニン色素は従来はインビトロで用いられてきたが、それには色素の水溶性を非常に高くするため色素のポリスルホン化が重要であった。今回、色素からスルホン酸基を取り除くと、化合物の体内分布が至適化されるという予想外の知見が得られた。
本発明のこの実施形態では、ペプチド系化合物の血漿結合及び非特異的結合を低減するため、スルホン酸基を2又は1個しか或いは全く含まないシアニン色素を使用するのが好ましい。驚くべきことに、この化合物は水溶性となるのに十分な親水性をもつことが判明した。
シアニン色素は、好ましくは以下の一般式で示されるカルバシアニン、オキサシアニン、チアシアニン及びアザシアニンからなる群から選択される。
これらの構造において、R1基は同一又は異なるもので、置換又は非置換アルキル基、好ましくはC1〜C6アルキルであり、エーテル又は−N−CO−N−基を含んでいてもよい。アルキル基は適宜、カルボキシ、スルホン酸、アミン、アンモニウム又はエステル基で置換されていてもよい。R1基はポリエン鎖のいずれかの炭素原子と、例えば−N−CO−N−基又はエーテル基で、架橋を形成していてもよい。R2基も同一又は異なるもので、置換又は非置換アルキル基である。アルキル基は適宜、カルボキシ又はスルホン酸基で置換されていてもよいが、好ましくはR2基はC1〜C6アルキルのような低級アルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。任意要素としての芳香族基は点線で示してあり、縮合ベンゾ環及び縮合ナフト環を含む構造を包含する。環は置換又は非置換である。環は、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルキル(スルホアルキル)アミノ基、ビス(スルホアルキル)アミノ基、スルホアルコキシ基、スルホアルキルスルホニル基、アルキル基、置換アルキル基又はスルホアルキルアミノ基で置換されていてもよい。アルキル基は好ましくは低級アルキル(例えば炭素原子数1〜6のもの)である。Yは水素、ハライド基、アミン基又はスルホニルから選択され、好ましくは水素である。シアニン色素のポリエン鎖も、ポリエン鎖の2以上の炭素原子間で架橋を形成する1以上の環状基をふくんでいてもよく、例えばスクアライン色素のように鎖の2つの炭素原子の間に−CO−基を含んでいても、或いはアルキル架橋を含んでいてもよい。これらの架橋は色素の化学的又は光安定性を高める作用をもつことがある。
式I〜IVにおいて、lは1、2、3又は4の正数であり、炭素原子数3の炭素架橋を有するトリメチンシアニン、ペンタメチン、ヘプタメチン又はノナメチンシアニン色素を与える。好ましくは、シアニン色素はそれぞれ炭素原子数5及び7のペンタメチン又はヘプタメチン色素である。
式I〜IVに関して好ましい色素はすべてインドール環又はベンズインドール環に結合したスルホン酸基を2、1又は0個しか含まない。
好ましい色素はカルバシアニンの群から選択される。さらに一段と好ましいのは、インドール型のカルバシアニン色素である。この型の好ましい色素は次の式Vで表される。
式中、Xはスルホン酸基であるか、或いは存在せず、R1基は同一又は異なるもので置換又は非置換低級アルキル基、例えばC1〜C6アルキル基であり、適宜置換されていてもよい。アルキル基は、例えばカルボキシ、スルホン酸、アミン、アンモニウム、又はヘテロ環式エステル基(例えばNHSエステル)のようなエステル基で置換される。R2基は、C1〜C6アルキル、好ましくはメチル基のような低級アルキル基であり、例えばカルボキシ又はスルホン酸基などで適宜置換されていてもよい。lは1、2又は3である。
R1、R2及びXは、色素をペプチドベクターに結合するための潜在的連結部位であるが、R1基及びX基が好ましい。好ましい態様では、1つのR1基がペプチドベクターと結合し、残りのR1基は低級アルキル基で適宜置換される。
最も好ましい色素は、以下に示すCy5モノNHSエステルビスSO及びCy7モノNHSエステルビスSOである。
本発明の化合物での使用に適したシアニン色素は、可視域及び赤外域、好ましくは500〜900nm域、さらに好ましくは650〜850nm域に発光スペクトルを有するものである。
本発明の化合物は、インテグリン受容体に対する親和性を有するアミノ酸配列X−G−Dを含む。本化合物は好ましくは追加のアミノ酸、適宜他の部分を含み、X−G−D配列はインテグリン型受容体に結合するベクターとして機能するペプチドベクターの結合座である。
本発明の化合物は、例えばペプチドベクター部における1以上の環化架橋の形成によって束縛させることができる。単環式ペプチド化合物は、アミノ酸間のジスルフィド結合又はチオエーテル結合の形成によって得ることができる。1つの環化架橋を含むペプチド系化合物は、直鎖ペプチドよりもαvβ3に対する特異的が高く、一段と好ましい。本発明の化合物は、好ましくはその異なるアミノ酸間又はアミノ酸と他の部分との間に2つの環化架橋を含む。「環化架橋」という用語は、架橋を導入し得る官能基を有するアミノ酸同士の組合せ又はアミノ酸と−(CH−若しくは−(CH−C−基との組合せをいう。nは1〜10の正の整数を表す。幾つかの好ましい例は、ジスルフィド、−(CH−カルバ橋のようなジスルフィド模倣体、チオアセタール、チオエーテル架橋(シスタチオン又はランチオニン)並びにエステル及びエーテルを含む架橋である。好ましくは、1つの架橋がジスルフィド結合を形成し、第二の架橋はチオエーテル(スルフィド)結合を含む。
もう一つの実施形態では、本発明の化合物は次の式(VIa)で表され、2つの環化架橋を含む。
A−Z (VIa)
式中、Aは次の式(VIb)で表され、
−C(=O)−X−X−X−G−D−X−X−X−X (VIb)
ZはAのX、X又はXの1個以上と適宜スペーサー基を介して結合した1以上のシアニン色素を表す。
、G及びDは既に定義した通りである。
は、X、X又はXのいずれかと結合した架橋の一部をなす−(CH−基又は−(CH−C−基を表し、nは1〜10の正の整数を表す。
は結合又は1、2、3、4若しくは5個のアミノ酸残基を表し、1個以上のアミノ酸残基は適宜スペーサー部分で官能化され、好ましくは、該アミノ酸残基は酸又はアミン基のような官能性側鎖を有していて、好ましくはアスパラギン酸、グルタミン酸、ホモリシン、リシン又はジアミノプロピオン酸のようなジアミノアルキル酸から選択される。
及びXは各々独立に環化架橋を形成し得るアミノ酸残基、例えばジスルフィド又はチオエーテル結合を形成するシステインやホモシステイン残基、その他アスパラギン酸やリシンのように環化架橋を形成し得るアミノ酸残基を表す。好ましくは、X及びXはシステイン又はホモシステインの残基を表し、好ましくはX及びXは互いに又はR若しくはXと環化架橋を形成する。
は疎水性アミノ酸又はその誘導体を表し、好ましくはチロシン、フェニルアラニン、3−ヨード−チロシン又はナフチルアラニン残基、さらに好ましくはフェニルアラニン又は3−ヨード−チロシン残基を表す。
は環化架橋を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはチオール含有アミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基を表し、好ましくはXはR、X又はXと環化架橋を形成する。
はスペーサー又はバイオモディファイヤー部分であるか存在せず、好ましくは単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位を1〜10単位含むものであり、バイオモディファイヤーは薬剤の薬物動態及び血液クリアランス速度を変化させる機能を有する。また、Xは1〜10個のアミノ酸残基を表すものでもよく、好ましくはグリシン、リシン、アスパラギン酸又はセリンを含む。また、Xはアミノ酸残基とPEG様構造を共に含むスペーサー又はバイオモディファイアー、好ましくはビスアミノエチルエチレングリコールグリシンの組合せであってもよい。好ましい実施形態では、Xは単分散PEG様構造の式(X)の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸からなる単位を表す。
式中、mは1〜10の整数であり、C末端はアミド又は酸部分である。バイオモディファイヤーXが化合物の薬物動態及び血液クリアランス速度を変化させることが判明した。バイオモディファイアーは化合物の組織(筋肉、肝臓など)への取り込みを低減し、バックグラウンド干渉が低減するので診断画像が向上する。分泌は主に腎臓を経由するが、これはバイオモディファイヤーの追加の利点である。
ペプチド系化合物は、式VIbのX、X、X、G、D、X、X及びXで形成されるアミノ配列によって規定されるペプチドベクターを含み、このペプチドは血管新生に関連するインテグリン受容体に対して親和性をもつターゲティングベクターをなす。
環化架橋の配置に応じて、本化合物は「離散」、「ネステッド」又は「交差」立体配置を含む。好ましくは、各化合物における2つの架橋は以下の通りである。
とXの間及びXとXの間(ネステッド立体配置を形成)、
とXの間及びXとXの間(離散立体配置)、
とXの間及びXとXの間(交差立体配置を形成)。
好ましい実施形態では、1つの架橋がチオエーテル結合を形成し、2番目の架橋がジスルフィド結合を形成する。
別の実施形態では、本発明の化合物は以下のいずれかの式で規定される。
式中、R、X、G、D、X及びXは、式VIbで定義した通りのものである。
X′は、酸又はアミン基のような官能性側鎖を有するアミノ酸残基を表し、該アミノ酸は好ましくはアスパラギン酸、グルタミン酸、ホモリシン又はリシン若しくはジアミノプロピオン酸のようなジアミノアルキル酸から選択され、さらに好ましくはアスパラギン酸又はリシンである。
X′、X′及びX′はシステイン又はホモシステインのようにジスルフィド又はチオエーテル結合を形成するアミノ酸残基を表すが、ここではジスルフィド及びチオエーテル結合を示す。
はスペーサー部分であるか存在せず、好ましくはグルタル酸及び/又はコハク酸及び/又はポリエチレングリコール系単位から誘導されるもので、シアニン色素レポーターをペプチドに連結する。その他の代表的なスペーサー(W)要素としては、構造型の多糖類、貯蔵型の多糖類、ポリアミノ酸及びそのメチル及びエチルエステル、ポリペプチド、オリゴ糖及びオリゴヌクレオチドが挙げられ、酵素切断部位を含んでいても含んでいなくてもよい。スペーサー部分Wの役割は、ペプチド成分の受容体結合ドメインから比較的嵩高い色素を離隔することである。
hは1又は2の正の整数である。
また、シアニン色素を表すZ基が少なくとも1つ存在する。
化合物は、好ましくはZ基を1個しか含まない。
Zで表されるシアニン色素は、例えばアミド結合、スルホンアミド結合又はチオエーテル結合の形成によってペプチドベクターのX′、W、X又はXと結合する。アミド結合は、例えばアミンとカルボキシル基との反応で形成され、スルホンアミド結合は、例えばアミンと活性化スルホン酸との反応で形成され、チオエーテル結合は、例えばチオールとハロゲン化物との反応で形成される。官能性側鎖を有する1以上のアミノ酸を含むペプチドベクターのX′がシアニン色素の好ましい結合部位をなす。NHSエステルのようなシアニン色素の活性エステルは、ペプチドベクターとアミド結合を形成する化合物の合成に際して特に有用であると考えられる。
好ましい態様では、式VII〜IXの化合物又はその生理学的に許容される塩は以下に挙げる特徴を有する。
は好ましくは−(CH)−を表す。
さらに、X′は酸又はアミノ基のような官能性側鎖を有するアミノ酸残基を表し、該アミノ酸は、好ましくはアスパラギン酸、グルタミン酸、ホモリシン又はリシン若しくはジアミノプロピオン酸のようなジアミノアルキル酸、さらに好ましくはアスパラギン酸又はリシンから選択される。
X′、X′及びX′は好ましくは各々独立にシステイン又はホモシステイン残基を表す。
は好ましくはアルギニンを表す。
は好ましくはチロシン、フェニルアラニン、3−ヨード−チロシン又はナフチルアラニン、さらに好ましくはフェニルアラニン又は3−ヨード−チロシンを表す。
及びWは式VIbで定義した通りである。好ましくは、Xは1〜10単位の単分散PEG構成単位を含むか、或いは存在せず、Wは好ましくは存在しない。
Zはシアニン色素を表すか或いは存在しないが、化合物が1以上のシアニン色素を含むようにする。
好ましい態様では、化合物は式VII(ネステッド)のもの又はその生理学的に許容される塩であり、さらに好ましくは上述の好ましい態様で挙げた特徴を有する。
式VIbに規定するアミノ酸はいずれも好ましくは天然に存在するアミノ酸を表す。多くの事例では、ペプチドベクターのアミノ酸はすべてL型であるのが好ましい。ただし、実施形態によっては、ペプチドの1、2又は3個以上のアミノ酸がD型であるのが好ましいこともある。かかるD型アミノ酸を含んでいると、化合物の血清安定性の向上に多大な影響をもつことがある。
本発明の化合物の幾つかは高親和性RGD系ベクターである。本明細書で用いる「高親和性RGD系ベクター」という用語は、αvβ3インテグリンの競合結合アッセイで既知の高親和性リガンドであるエキスタチンとの競合によってKi値を求めたときに<10nM、好ましくは<5nMのKiを有する化合物をいう。かかる競合アッセイの実施方法は当技術分野で周知である。
本発明で規定する化合物は、生体内だけでなく、シアニン色素での標識の際に用いられる条件下で驚異的な安定性を有する。
以下、本発明の化合物の例を幾つか例示する。化合物A、B及びCは、スルホン酸基をそれぞれ1、2又は4個有するペンタメチンカルバシアニンをRGD含有ペプチド(Lys−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cysに結合したものである。化合物A及びBはCy5色素を含み、化合物CはCy5.5色素を含む。
化合物D:
本化合物はRGD型ペプチド(Lys−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys)を2つのシアニン色素基(Cy5)に結合したものである。
化合物E:
本化合物はペプチドLys−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cysをインドシアニングリーン(ICG)に結合したものである。
化合物F:
本化合物はペプチドLys−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−CysをCy3Bに結合したものである。
化合物G:
本化合物はペプチドLys−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−CysをCy5に結合したものである。ただし、R1はアンモニウム基で置換されたアルキル基である。
化合物H:
以下に示すペプチドAsp−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cysを含むペプチド化合物は、アミノ官能化シアニン色素とアスパラギン酸(X)との結合又はシアニン色素NHSエステルとXに位置するアミノ−PEGとの反応によって、シアニン色素に結合させることができる。
化合物I:
本化合物はペプチドLys−Asp−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys−GlyをCy5に結合したものである。
化合物J: c[−Asp−D−Phe−Lys(Cy5.5)−Arg−Gly−]
本発明の新規化合物は、光学イメージング用造影剤として又は疾患治療用に使用し得る。本発明の好ましい実施形態は、光学イメージング、好ましくは血管新生関連疾患の診断のための光学イメージングに用いられる上記化合物である。
本発明の化合物は、ヒト及び動物における血管新生の検出のための造影剤として有用である。本生成物は前臨床動物モデルにも有用であり、製薬研究、例えば腫瘍学での新薬の治療効果のモニタリングが可能となる。
本発明は、本発明の化合物又はその塩の有効量(例えばインビボイメージングで画像コントラストの強調に有効な量)を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる医薬組成物も提供する。
本発明は、さらに、本発明の化合物又はその塩の有効量を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる疾患治療用の医薬組成物も提供する。本組成物は、例えば光線力学療法などによる血管新生関連疾患の治療に使用し得る。
別の態様では、本発明は、造影剤をヒト又は動物の身体に投与して身体の少なくとも一部分の画像を生成させる診断法に用いられる光学イメージング用造影剤の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
そこで、ヒト又は動物の身体の治療組成物(医薬品)の製造並びに治療又は予防的治療法、好ましくは血管新生関連疾患の治療法における上記化合物の使用は、本発明の別の態様をなす。
また別の態様では、本発明は、造影剤をヒト又は動物の身体(例えば血管系)に投与して造影剤が分配された身体の少なくとも一部分の画像を生成させる光学イメージングによるヒト又は動物の身体の画像生成方法であって、上記化合物を造影剤として用いる方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、上記化合物を含む造影剤組成物を予め投与しておいたヒト又は動物の身体の強調画像を光学イメージングで生成させる方法であって、身体の少なくとも一部分の画像を生成させることを含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、血管新生に関連した病態に対処するための薬剤によるヒト又は動物の身体の治療効果をモニタリングする方法であって、上述の化合物を身体に投与し、細胞受容体(好ましくは内皮細胞受容体、特にαvβ3受容体)による上記薬剤の取り込みを検出し、任意ではあるが好ましくは、投与と検出を、例えば薬剤による治療の前後途中のいずれかに繰り返すことを含む方法を提供する。上記検出は光学イメージング技術による。
本発明の造影剤は、光学イメージング法での使用を目的とする。光学イメージングという用語には、紫外乃至近赤外域の電磁波スペクトルの光との相互作用に基づく、疾患の診断、疾患発症の追跡調査又は疾患治療の追跡調査のためのあらゆる画像生成法が包含される。光学イメージング法には、機器の使用を伴わない直接的可視化から、各種スコープ、カテーテル及び光学イメージング装置(例えば断層撮影用コンピュータハードウェア)の使用を伴うものまで、あらゆる方法が包含される。本造影剤は、特に限定されないが、発光イメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光干渉断層撮影、透過イメージング、時間分解透過イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡、光音響イメージング、音響光学イメージング、分光法、反射分光法、干渉分光法、コヒーレンス干渉法、拡散光トモグラフィー及び蛍光媒介拡散光トモグラフィー(連続波、時間領域及び周波数領域システム)、並びに光散乱、吸収、偏光、発光、蛍光寿命、量子収率及び消光の測定を始めとする光学イメージングモダリティ及び測定技術に有用である。蛍光の同定又は測定に基づく光学イメージング診断法が好ましい。
本発明の化合物のペプチドベクターは、公知の化学合成法で合成できるが、特に有用な方法は自動ペプチド合成装置を用いたMerrifieldの固相法である(J. Am. Chem. Soc. 85:2149(1964))。さらに、シアニン色素活性エステルのようなシアニン色素のカップリングも、自動ペプチド合成装置を用いてペプチドとシアニン色素基とのアミド結合を生じさせることによって、自動化法で実施することができる。チオエーテル結合又はスルホンアミド結合のようなシアニン色素とペプチドのその他の結合も自動化法で得ることができるし、或いは色素とペプチドとの反応を通常の手作業による化学合成で実施してもよい。固相法によるペプチドの合成は、適宜リンカー基を介して固相担体と結合した保護アミノ酸を順次付加していくものである。一般に用いられる一つの方法では、α−アミノ基を酸不安定又は塩基不安定性保護基で適切に保護する。最初のアミノ酸残基の付加とカップリングの後、α−アミノ保護基を取り外す。さらに保護アミノ酸誘導体又はペプチド断片及び/又は適切に誘導体化・保護されたシアニン色素誘導体の逐次付加によって鎖が延長される。こうして、本発明の色素標識ペプチド化合物は、アミノ酸又はシアニン色素誘導体の逐次付加によって構築し得る。
複数の架橋を含むペプチドベクターは、ベクターの最終的な折り畳み構造が不明確とならないように、異なるシステイン保護基を用いて合成される。チオエーテル及びジスルフィド架橋を含むペプチドの形成について記載された国際公開第03/006491号に記載の合成法を使用し得る。チオエーテル環化は例えば以下の通り実施できる。Cys(t−Bu)保護ペプチドを水/アセトニトリルに溶解する(1mg/ml)。希アンモニア溶液で混合物のpHを8に調節し、混合物を一晩攪拌する。ジスルフィド架橋は、次のようにDMSO/THF酸化によって形成させることができる。ペプチドを5%DMSO/THFに溶解し(1mg/ml)、混合物を30分間攪拌する。
シアニン色素は、GE Healthcare社(以前の社名はAmersham Biosciences)から例えばCy5 NHSエステル(1mg、PA15101)として市販されている。
ペプチドベクター及びペプチド化合物は、インビトロスクリーニングで試験する前に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製し、質量分析及び分析用HPLCで特性決定してもよい。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
略語
TSTU:O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩
TFA:トリフルオロ酢酸
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
NMM:N−メチルモルホリン
実施例1:Cys2−6;c[CH CO−Lys(Cy5モノ−SO )−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys]−(PEG)n−NH (n=1)の合成
上記ペプチドは、標準的な固相ペプチド合成法を用いて構築した。クロロアセチル化ペプチドを固体担体から切断し、溶液中で環化させて最初にチオエーテル架橋を形成し、次いでジスルフィド架橋を形成した。DMF(2ml)中でTSTU(2.1mg、0.0076mmol)及びNMM(0.009ml、0.08mmol)で1時間処理して、Cy5モノ酸モノ−SOのNHSエステル(4.5mg、0.008mmol)を形成した。溶液をペプチド(20mg、0.016mmol)に添加し、遮光下で一晩反応を進行させた。DMFを減圧蒸発させ、粗製物を分取用逆相クロマトグラフィー(Vydac C18カラム,218TP1022;溶媒:A=水/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA;勾配:60分間で20〜40%B;流速10ml/分;254nmで検出)で精製して、4.9mg(34%)の精製標品を得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA;勾配:20分間で25〜45%B;流速1.0ml/分;保持時間15.2分;214nm及び254nmで検出)。質量分析法でさらに性質決定したところ、m/z値902.1[MH2+]であった。
実施例2:Cys2−6;c[CH CO−Lys(Cy5ビス−SO )−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys]−(PEG)n−NH (n=1)の合成
上記ペプチドは、標準的な固相ペプチド合成法を用いて構築した。クロロアセチル化ペプチドを固体担体から切断し、溶液中で環化させて最初にチオエーテル架橋を形成し、次いでジスルフィド架橋を形成した。DMF(2ml)中のCy5モノNHSエステルビス−SO(7.5mg、0.01mmol)の溶液に、二環式ペプチド(24mg、0.02mmol)を固体として添加し、次いでNMM(0.01ml、0.09mmol)を添加した。遮光下で一晩反応を進行させた。DMFを減圧蒸発させ、粗製物を分取用逆相クロマトグラフィー(Vydac C18カラム,218TP1022;溶媒:A=水/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA;勾配:60分間で10〜30%B;流速10ml/分;254nmで検出)で精製して、6.6mg(37%)の精製標品を得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA;勾配:20分間で15〜35%B;流速1.0ml/分;保持時間19.5分;214nm及び254nmで検出)。質量分析法でさらに性質決定したところ、m/z値949.1[MH2+]であった。
実施例3:Cys2−6;c[CH CO−Lys(Cy7ビス−SO )−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys]−(PEG)n−NH (n=1)の合成
上記コンジュゲートは、標準的な固相合成法を用いて構築した。クロロアセチル化ペプチドを固体担体から切断し、溶液中で環化させて最初にチオエーテル架橋を形成し、次いでジスルフィド架橋を形成した。Cy7(5.4mg、1eq)を、DMF(2ml)中のTSTU(2.1mg、0.95eq)及びNMM(5eq)で1時間処理して、Cy7モノ酸ビス−SOのNHSエステルを形成した。次いで、溶液をペプチド(18.9mg、0.015mmol、2eq)のDMF(2ml)溶液に添加し、暗所で典型的には一晩反応を進行させた。DMFを減圧蒸発させ、粗製物を分取用逆相クロマトグラフィー(Vydac C18カラム,218TP1022;溶媒:A=水/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA;勾配:60分間で15〜35%B;流速10ml/分;254nmで検出)で精製して、5.2mg(36%)の精製標品を得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水/0.1%TFA/B=CHCN/0.1%TFA;勾配:20分間で20〜40%B;流速1.0ml/分;保持時間16.6分;214nm及び254nmで検出)。質量分析法でさらに性質決定したところ、m/z値961.9[MH2+]であった。
実施例4:Cys2−6;c[CH CO−Lys(Cy7モノ−SO )−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys]−(PEG)n−NH (n=1)の合成
上記ペプチドは、標準的な固相合成法を用いて構築した。クロロアセチル化ペプチドを固体担体から切断し、溶液中で環化させて最初にチオエーテル架橋を形成し、次いでジスルフィド架橋を形成した。Cy7(6mg、1eq)を、DMF(1ml)中のTSTU(3mg、0.95eq)及びNMM(5eq)で1時間処理して、Cy7モノ酸ビス−SOのNHSエステルを形成した。次いで、溶液をペプチド(14.7mg、0.012mmol、1.2eq)のDMF(2ml)溶液に添加し、暗所で一晩反応を進行させた。DMFを減圧蒸発させ、粗製物を分取用逆相クロマトグラフィー(Vydac C18カラム,218TP1022;溶媒:A=水/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA;勾配:60分間で25〜35%B;流速10ml/分;254nmで検出)で精製して、7.0mg(38%)の精製標品を得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水/0.1%TFA/B=CHCN/0.1%TFA;勾配:20分間で30〜40%B;流速1.0ml/分;保持時間17.4分;214nm及び254nmで検出)。質量分析法でさらに性質決定したところ、m/z値922.1[MH2+]であった。
実施例5: 1、2及び4個のスルホン酸基を含有する色素コンジュゲートのタンパク結合分析
“Protein−Ligand Interactions: Hydrodynamics and calorimetry”, edited by Stephen E. Harding and Babur Z. Chowdhry, Oxford University Press, published 2001, chapter 2 by Bent Honore, Department of Medical Biochemisty, University of Aarhusに記載の平衡透析及び速度透析によって、色素コンジュゲートのタンパク結合分析を実施した。
本例は、スルホン酸基の数の低減したシアニン色素をRGDペプチドと結合すると、血漿結合性が減少し、背景組織との非特異的結合も減少することを示している。

Claims (5)

  1. ペプチドベクターと1以上のシアニン色素を含む化合物又はその生理学的に許容される塩であって、ペプチドベクターがアミノ酸配列X3−G−D(式中、X3はアルギニン又はN−メチルアルギニン表し、Gはグリシンを表し、Dはアスパラギン酸を表す。)を含んでいて、ペプチドベクターとシアニン色素が連結しており、上記1以上のシアニン色素が各々スルホン酸基を2又は1個しか或いは全く含まない、化合物又はその生理学的に許容される塩。
  2. 当該化合物が2つの環化架橋を含んでいて次の式(VIa)で表される、請求項1記載の化合物。
    A−Z (VIa)
    Aは次の式(VIb)で表され、
    a−C(=O)−X1−X2−X3−G−D−X4−X5−X6−X7 (VIb)
    ZはAのX1、X6又はX7の1個以上と結合した1以上のシアニン色素を表し、
    3、G及びDは前記で定義した通りであり、
    aは、X2、X4又はX6のいずれかと結合した架橋の一部をなす−(CH2n−基又は−(CH2n−C64−基を表し、nは1〜10の正の整数を表し、
    1は結合又は1、2、3、4若しくは5個のアミノ酸残基を表し、1個以上のアミノ酸残基スペーサー部分で官能化されていてもよいし、或いはアミノ酸残基は官能性側鎖を有していてもよく
    2及びX4は各々独立に環化架橋を形成し得るアミノ酸残基を表し、
    5は疎水性アミノ酸表し、
    6は環化架橋を形成し得るアミノ酸残基を表し、
    7はスペーサーあるか、或いは存在しない。
  3. 以下のいずれかの式から選択される、請求項2記載の化合物。
    式中、Ra、X3、G、D、X5及びX7は請求項5で定義した通りのものであり、
    X′1能性側鎖を有するアミノ酸残基を表し、
    X′2、X′4及びX′6は、ジスルフィド結合又はチオエーテル結合を形成するアミノ酸残基を表し、
    1はスペーサー部分であるか、或いは存在せず、
    hは1又は2の正の整数であり、
    シアニン色素を表すZ基が少なくとも1つ存在する。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の化合物の有効量を、1種以上の薬学的に許容される補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる医薬組成物。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の化合物を含んでなる光学イメージング用造影剤。
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