JP5280217B2 - 金属−炭素複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素元素よりなる極微小円筒状繊維(以下、カーボンナノチューブと称す)や金属内包フラーレン等の微小炭素材料の製造に好適に用いられる金属−炭素複合材料に関するものである。
微小炭素材料であるカーボンナノチューブは、一層で構成された単層カーボンナノチューブ(SWNT)と、二層以上で構成された多層カーボンナノチューブ(MWNT)とに大別される。上記SWNTは、STM探針、分子ワイヤー、量子細線としてナノスケールの新規な電子デバイスの可能性が示唆される一方、上記MWNTは繊維強化素材や導電性素材としての利用が示唆され一部実用化されている。
ここで、上記カーボンナノチューブの合成方法としては、アーク合成法、レーザーアブレーション法、CVD法などが知られていが、これら合成方法の中でも、アーク放電法は、レーザーアブレーション法に比較してカーボンナノチューブを多量に合成でき、且つ、CVD法に比較して品質に優れるという特徴があるので、カーボンナノチューブの合成方法として有望視されている。
上記アーク放電法による合成は、真空容器内を200〜500Torr程度のヘリウムガスあるいは水素などで満たし、その中で対向する炭素電極間にアーク放電を起させて炭素と金属を蒸発させることにより行なわるものであり、上記炭素電極としては、金属を含まない純炭素電極、又は、金属を含む金属−炭素複合電極が用いられている。そして、上記純炭素電極を用いると煤中にMWNTが多く生成する傾向にあり、上記金属−炭素複合電極を用いると煤中にMWNTとともに、SWNTが多く生成する傾向があるということが一般的に知られている。
上記金属−炭素複合電極を用いる場合には、当該電極中に、Fe、Ni、Coなどの鉄族金属を数mol%分散しておくと、それらの金属を触媒としてカーボンナノチューブが生成するといわれている(下記非特許文献1参照)。また、金属−炭素複合電極中に鉄族元素以外の金属(白金族元素や希土類元素)を分散し、カーボンナノチューブの生成触媒として利用できることも報告されている(下記非特許文献2参照)。
更に、金属−炭素複合電極としては、黒鉛電極棒に穴をあけて任意の金属粉末とカーボン粉末との混合物を充填したもの、または、金属触媒のより効率的な利用を考慮すべく、金属を炭素原料と混合した後、その混合物を成形、焼成したものが提案されている(下記特許文献1参照)。
ここで、上記金属−炭素複合電極を用いてカーボンナノチューブを生成させる際の詳細は未だに不明な点が多いが、簡単に説明すると以下のような過程を経ると考えられている。尚、レーザーアブレーション法においてはプルームが、アーク放電法のアークに相当すると考えられるので、アーク放電法を例にとって以下に説明する。
まず、アーク放電時には炭素電極は自らのジュール熱により1000℃〜2000℃程度の高温になり、さらに、アークプラズマに直接接する部分は3000℃以上の高温になるといわれている。3000℃以上の高温に曝されることにより、炭素および金属は昇華あるいは蒸発してアークプラズマの内部へ侵入し、その後、アークプラズマの外部へ飛散するという一連の過程において、炭素と金属との相互作用の結末としてカーボンナノチューブが生成すると考えられている。この際、金属は何らかの触媒として重要な役割を担うことが報告されている(下記非特許文献3参照)。
特開平5−282938号公報
C. Journet, Nature, Vol388, 756 (1997) 斎藤弥八、カーボンナノチューブの基礎、26頁、コロナ社 M. Yudasaka, Appl. Phys. A, Vol74, 733 (2002)
ところで、アーク放電の開始後、炭素電極がジュール熱による発熱や、アークプラズマによる加熱を被る際、金属元素が炭素元素より低温で蒸発する傾向があることから、金属−炭素複合電極中の金属がプラズマ外で多量に蒸発してしまうことがある。このため、アークプラズマに接する金属−炭素複合電極の端面近傍において、金属の濃度が著しく低下し、アークプラズマ内における触媒金属または内包金属が不足するため、カーボンナノチューブまたは金属内包フラーレンの収率が低下すると共に、プラズマ外で蒸発した余分な金属が煤中に混入するため、カーボンナノチューブまたは金属内包フラーレンの純度が低下するという課題を有していた。
そこで、本発明は、炭素に先立って金属が蒸発するのを抑制することによって、カーボンナノチューブまたは金属内包フラーレンの収率向上とカーボンナノチューブまたは金属内包フラーレンの純度向上とを図ることができる金属−炭素複合材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、炭素材料とこの炭素材料に分散された金属粒子とを備えた金属−炭素複合材料であって、上記炭素材料は第1炭素材料とこの第1炭素材料より黒鉛化度が低い第2炭素材料とから成り、且つ、上記第1炭素材料と上記金属粒子とを含み内部に開気孔を備えた基部と、この基部の開気孔内に設けられ上記第2炭素材料から成る充填部と、から構成されることを特徴とする。
内部に開気孔を備えた基部においては、金属粒子の表面は第1炭素材料に覆われている部分もあるが、開気孔内に露出している部分もある。このように、金属粒子の表面が露出状態にあると、ジュール熱による発熱やアークプラズマによる加熱を被る際に、金属粒子の蒸発が加速される。
しかしながら、上記構成の如く、基部の開気孔内に第2炭素材料から成る充填部が配されていれば、開気孔に露出する金属粒子の表面が第2炭素材料により覆われることになる。したがって、ジュール熱による発熱やアークプラズマによる加熱を被る場合であっても、金属粒子の蒸発を抑制できる。
上記充填部がピッチ含浸法により形成されていることが望ましい。
ピッチ含浸法は、炭素材料(具体的には、第1炭素材料より黒鉛化度が低い第2炭素材料)を開気孔内に含浸した後、焼成するという簡単な方法であるので、充填部を簡単に作製することができる。
上記開気孔の容積が50mm/g以下であることが望ましい。
一般に、上記基部の開気孔の容積は100mm/g以上であるので、金属−炭素複合材料全体としての開気孔の容積を50mm/g以下に規制しておけば、開気孔内の大部分が第2炭素材料により充填されることになる。したがって、開気孔に露出する金属粒子の表面の大部分が、第2炭素材料により覆われることになるので、上記作用効果が十分に発揮される。
上記第1炭素材料に対する上記第2炭素材料の重量比率が5〜40重量%の範囲にあることが好ましく、10〜30重量%の範囲にあることがより望ましい。
第1炭素材料に対する第2炭素材料の重量比率が5重量%未満であると、第2炭素材料の量が少なくなって、開気孔に露出する金属粒子の表面を第2炭素材料で覆うことができない場合がある。また、第1炭素材料に対する第2炭素材料の重量比率を10重量%以上にすることにより、開気孔に露出する金属粒子の表面を第2炭素材料でより確実に覆う効果を高めることができ好ましい。
一方、第1炭素材料に対する第2炭素材料の重量比率が40重量%を超えると、金属−炭素複合材料における黒鉛化度の高く真比重の大きな炭素(第1炭素材料)の量が低くなるため、特にアーク放電における炭素の蒸発量が減少し、生成する微小炭素材料の量が減少するという不都合が生じる場合がある。さらに、含浸法により第2炭素材料の前駆体を第1炭素材料に充填、焼成して、前記前駆体を第2炭素材料にすることにより金属−炭素複合材料を好ましく製造するが、含浸後の焼成において前駆体から発生する揮発成分を金属−炭素複合材料外へ速やかに排出することが困難となり、割れ等が発生する可能性がある。また、第1炭素材料に対する第2炭素材料の重量比率を30重量%以下にすることにより、蒸発する炭素量を十分確保して生成する微小炭素材料の生成量を高めることができ、製造時に前駆体から発生する揮発成分を抑制するとともに揮発成分を排出しやすくできるため、より割れのない金属−炭素複合材料とすることができる。
上記金属−炭素複合材料は、アーク放電法又はレーザーアブレーション法によるカーボンナノチューブまたは金属内包フラーレン製造用炭素材料、特に単層カーボンナノチューブ製造用炭素材料として用いることが望ましい。
本発明によれば、金属−炭素複合材料における金属がアークプラズマ外で蒸発するのを抑制でき、アークプラズマ内における触媒金属または内包金属の不足を防止できるので、カーボンナノチューブ、金属内包フラーレン等の微小炭素材料の収率が飛躍的に向上すると共に、プラズマ外で蒸発した余分な金属が混入するのを抑制できるので、カーボンナノチューブ、金属内包フラーレン等の微小炭素材料の純度も向上する。
焼成ブロックの内部状態を示す説明図である。 焼成ブロックにピッチ含浸を施した場合の内部状態を示す説明図である。 焼成ブロックの内部状態を示す写真である。 焼成ブロックにピッチ含浸を施した場合の内部状態を示す写真である。 アーク放電装置の概略説明図である。 本発明材料A及び比較材料Zにおける陽極先端からの距離と灰分量との関係を示すグラフである。 本発明材料A及び比較材料Zにおける加熱後の金属濃度の変化量を示すグラフである。 本発明材料Aのラマン分光分析結果を示すグラフである。 比較材料Zのラマン分光分析結果を示すグラフである。 本発明材料AのXRDによる結晶構造解析を示すグラフである。 比較材料ZのXRDによる結晶構造解析を示すグラフである。 本発明材料A及び比較材料ZにおけるCNT煤中の灰分濃度を示すグラフである。 本発明材料B及び比較材料Yにおける陽極先端からの距離と灰分量との関係を示すグラフである。
以下、金属−炭素複合材料の製造方法を具体的に説明するが、金属−炭素複合材料の製造方法は下記内容によって制限されるものではない。
先ず、炭素骨材としての人造黒鉛(第1炭素材料)100重量部と、金属微粒子としてのニッケル微粒子と酸化イットリウム微粒子との混合物(各微粒子の平均粒径は共に5μmであり、ニッケル元素とイットリウム元素との混合比はモル比で4.2:1.0となっている)39.5重量部と、バインダとしてのフェノール樹脂50重量部とを、Z型ミキサーで混合した後、混練し、更に熱ロール(約100℃)で混練を完結させた。次に、この混練物を平均粒径が数十μmに成るように粉砕した後、この粉砕物を400kgf/cmの圧力で室温にて金型成形を行なった。その後、この成形体をアルゴンガス雰囲気中5Torr、温度1100℃で焼成することにより、焼成ブロック(基部)を作製した。
しかる後、上記焼成ブロックに低融点ピッチ(第2炭素材料の前駆体)を加圧含浸(真空中に配置した焼成ブロックに低融点ピッチを流し込んだ後に加圧して含浸する方法)した後、この含浸ブロックを還元雰囲気下で焼成するという含浸、焼成工程を2回繰り返し行うことにより、金属−炭素複合材料を作製した。このような含浸、焼成工程を経ることにより、上記焼成ブロックの開気孔内に低融点ピッチの炭素化物が配置されることとなる。具体的には、焼成ブロックの状態では図1及び図3に示すように、炭素骨材1間には開気孔4が存在し、この開気孔4に露出する金属微粒子2が存在する。しかしながら、含浸、焼成工程終了後には、図2及び図4に示すように、炭素骨材1間に存在していた開気孔4内にピッチ3が充填されるため、金属微粒子2が露出するのを抑制できる。
(その他の事項)
(1)図2に示すように、ピッチ3が開気孔4内に完全に充填された状態である必要はなく、金属微粒子2を覆う程度にピッチ3が開気孔4内に存在すれば良い。
(2)開気孔4内に存在する第2炭素材料の前駆体としては、上記ピッチに限定するものではなく、タール、フェノール樹脂、フルフリルアルコール、フラン樹脂、イミド系樹脂ワニス等、含浸が可能であって含浸後の焼成により炭素化する材料であって、炭素化後に第1炭素材料より黒鉛化度が低いものであればその種類は問わない。また、アルコールなどの適当な有機溶媒を含んでいても構わない。
(3)炭素骨材となる炭素材料(第1炭素材料)としては、人造黒鉛に限定するものではなく、第2炭素材よりも黒鉛化度が高いものであれば、天然黒鉛やキッシュ黒鉛などの黒鉛質、あるいはコークス、ガラス状炭素、カーボンブラックなどの炭素質等を用いることも可能である。また、炭素骨材となる炭素材料は粉末状であることが望ましく、その平均粒径は100μm以下のであることが好ましい。特に、1μm以上100μm以下であることが好ましく、その中でも5μm以上50μm以下であることが望ましい。これは、1μmを下回る炭素材料はカーボンブラックを除いては入手が困難であり、5μmを下回ると凝集により金属との均一な分散が困難となり、更に100μmを上回ると放電時に粒子離脱を生じて好ましくないという理由によるものである。
(4)金属元素としては、上記ニッケルやイットリウムに限定するものではなく、カーボンナノチューブ又はフラーレンの生成の触媒となる金属あるいは金属内包フラーレンとして内包される金属であれば、その種類は問わない。例えば、Cu、Ag、Au、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Si、Al、鉄族元素であるFe、Co、白金族元素であるPh、Pd、Pt、希土類元素であるSc、Eu、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luのうち一つ以上から選ぶことができる。上記Cu、Ag、Au、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Y、鉄族元素であるFe、Co、Ni、白金族元素であるPh、Pd、Ptなどは、アーク放電法やレーザーアブレーション法による微粒子生成が期待される金属元素であり、特に、Y、Fe、Co、Niは触媒効果が高く、SWNTをより選択的に製造することができ好ましい。また、希土類元素であるY、Sc、Eu、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luは、金属内包フラーレンに内包される金属として挙げることができる。さらに、Cr、Mo、W、Si、Alは、イオンスパッタリングによる炭素膜の成膜における添加効果が期待される。
また、上記金属−炭素複合材料においては、金属元素の沸点の高低によらず、その蒸発を抑制することができる。
また、金属は粉末状であることが望ましく、平均粒径が1μm以上100μm以下であることが好ましく、特に5μm以上50μm以下であることが望ましい。これは、平均粒径が1μmを下回る金属は入手が困難かコスト高となる一方、平均粒径が5μmを下回ると凝集を生じてしまい炭素原料との均一な分散が困難となり、更に平均粒径が100μmを上回る塊状の場合は電極中への金属の均一な分散が困難となるからである。
更に、上記金属粒子は、上記金属元素の純金属からなっていても、上記金属元素を含む化合物からなっていてもよい。この金属元素を含む化合物としては、例えば、酸化物、炭化物、有機酸との塩等が挙げられる。金属−炭素複合材においては、一般的に製造の際に焼成工程を有し、高温に曝されるため、焼成前に添加した金属粒子が化学反応を起こし、純金属、炭化物等に変化する場合があるが、金属元素が含まれていれば化学変化を起こしたとしても特に問題はない。
加えて、触媒となる金属Xの添加量は、炭素原子Cに対して、X:C=1:5から1:300までの範囲内であることが望ましい。
(5)上記金属−炭素複合材料は、金属粒子の蒸気圧が10−2Torr以上となるような高温に曝される用途、つまり、金属が炭素と独立して蒸発するような雰囲気で有効に用いられる。具体的には、アーク放電法又はレーザーアブレーション法によるナノチューブやフラーレン製造用炭素材料(電極)として有効に用いられる。
(6)上記金属−炭素複合材料は、10%硝酸に96時間浸漬した場合、金属−炭素複合材料に残留する金属粒子が、50重量%以上であることが好ましい。
前記10%硝酸に96時間浸漬した場合とは、金属−炭素複合材料において露出している金属粒子が溶出してしまった場合であると考えられる。上記金属−炭素複合材料では、金属粒子が被覆されているため、金属の流出を抑制することができ、ひいてはアーク放電等の高温にさらされた場合において金属の蒸発を防止することができると考えられる。
(第1実施例)
〔実施例〕
実施例としては、上記発明を実施するための最良の形態で示した方法と同様の方法で金属−炭素複合材料を作製した。
このようにして作製した金属−炭素複合材料を、以下、本発明材料Aと称する。
〔比較例〕
含浸、焼成工程を経ない(即ち、焼成ブロックを金属−炭素複合材料として用いた)他は、上記実施例と同様にして金属−炭素複合材料を作製した。
このようにして作製した金属−炭素複合材料を、以下、比較材料Zと称する。
〔実験1〕
上記本発明材料A及び比較材料Zを陽極とした直流アーク放電装置(図5に示す)を用い、下記条件でアーク放電し、本発明材料A及び比較材料Zにおける先端部(陰極に最も近い部位が先端となっている)からの距離と灰分濃度(陽極中の金属濃度)との関係を調べたので、その結果を図6及び表1に示す。尚、実験は、放電後の陽極を切断し、大気中にて900度で12時間加熱し灰化することにより行なった。また、図5において、10は陽極、10aは先端部、11は陰極、12はプラズマ、13は上煤、14はチャンバー煤、15は陰極堆積物である。
・実験条件
雰囲気ガスと圧力:200TorrのHeガス中
放電電流:450A
Figure 0005280217
図6及び表1から明らかなように、比較材料Zでは先端部及びその近傍において灰分の低下が顕著であるのに対して、本発明材料Aでは先端部及びその近傍において灰分の低下が抑制されていることが認められる。
これは、本発明材料Aでは、焼成ブロック作製後にピッチ含浸、焼成工程を経ているため、焼成ブロックの開気孔内にピッチが充填される。したがって、金属微粒子(ニッケル微粒子とイットリウム微粒子)が露出するのを抑制できるので、金属微粒子がプラズマ外で蒸発するのを抑制できる。これに対して、比較材料Zでは、焼成ブロックをそのまま用いているため、焼成ブロックの開気孔内にピッチが充填されることはない。したがって、金属微粒子(ニッケル微粒子とイットリウム微粒子)が開気孔に露出するのを抑制できず、金属微粒子がプラズマ外で多量に蒸発する、ということに起因するものと考えられる。
〔実験2〕
上記本発明材料A及び比較材料Z(各試料の大きさは、10mm×10mm×20mmの直方体状を成している)を真空状態の高周波誘導加熱炉内で加熱し、加熱後の金属微粒子の減少率を調べたので、その結果を図7及び表2に示す。
・実験条件
圧力:1×10−1Torr
温度:1800℃
加熱時間:15分
Figure 0005280217
図7及び表2から明らかなように、本発明材料Aは比較材料Zに比べて、金属微粒子の減少(濃度低下)が抑制されていることが認められる。
これは、上記実験1で示したように、本発明材料Aでは金属微粒子が露出するのを抑制できるので、高温時でも金属微粒子が蒸発するのを抑制できるのに対して、比較材料Zでは金属微粒子が露出するのを抑制できず、高温時に金属微粒子が多量に蒸発するということに起因するものと考えられる。
〔実験3〕
上記本発明材料A及び比較材料Z(各試料の大きさは、4mm×10mm×40mmの直方体状を成している)を10%の硝酸水溶液中に96時間浸漬し、浸漬前後における灰分の割合を調べ、その結果から灰分の減少量と灰分の減少率とを算出したので、その結果を表3に示す。
Figure 0005280217
表3から明らかなように、本発明材料Aは比較材料Zに比べて、灰分の減少率が格段に小さくなっていることが認められる。
これは、上記実験1で示したように、本発明材料Aでは金属微粒子が露出するのを抑制できるので、金属微粒子が酸中に溶出するのを抑制できるのに対して、比較材料Zでは金属微粒子が露出するのを抑制できず、金属微粒子が酸中に多量に溶出するということに起因するものと考えられる。
〔実験4〕
上記本発明材料A及び比較材料Zのかさ密度、累積細孔容積、硬さ、固有抵抗、曲げ強さ、及び、圧縮強さについて調べたので、その結果を表4に示す。
Figure 0005280217
表4から明らかなように、本発明材料Aは比較材料Zに比べて、累積細孔容積が小さくなっている。このことから、ピッチ含浸、焼成工程を経ことによって、焼成ブロックの開気孔内にピッチが充填されることがわかる。また、累積細孔容積が小さくなることにより、比較材料Zに比べて本発明材料Aはかさ密度が大きくなっていることが認められる。
また、これらのことに起因して、本発明材料Aは比較材料Zに比べて、硬さ、曲げ強さ、及び、圧縮強さが大きくなり、また、固有抵抗が小さくなっていることが認められる。
〔実験5〕
上記本発明材料A及び比較材料Zにより作製されたCNT(カーボンナノチューブ)煤のラマン分光分析を行なったので、その結果を、それぞれ図8及び図9に示す。
図8及び図9から明らかなように、波長が170cm−1付近に現れるRBM分布が同等であるということから、各材料により作製されたCNTの直径分布が同じであるということがわかる。また、波長が1600cm−1付近に現れるG−Bandのピークは、本発明材料Aにより作製されたCNTの方が比較材料Zにより作製されたCNTより大きくなっていることから、本発明材料Aにより作製されたCNT煤は比較材料Zにより作製されたCNT煤よりSWNTの含有量が増加していることがわかる。
〔実験6〕
上記本発明材料A及び比較材料Zにより作製されたCNT(カーボンナノチューブ)煤のX線回折(CuKα線)を行なったので、その結果を、それぞれ図10及び図11に示す。
図10及び図11から明らかなように、SWNTバンドルが現れる回折線の角度において、本発明材料Aにより作製されたCNT煤のピークは比較材料Zにより作製されたCNT煤のピークよりも大きくなっていることが認められ、この結果、本発明材料Aを陽極に用いた方が比較材料Zを陽極に用いるより、CNT煤中のSWNTの含有量が多くなることがわかる。
また、図10及び図11の右上にある拡大図より、ニッケル微粒子におけるXRDスペクトルの半値幅(FWHM)は、本発明材料Aにより作製されたCNT煤中では0.975であり、比較材料Zにより作製されたCNT煤中では0.785である。そして、これらの値をシェラーの式に代入してNi粒子径を計算したところ、前者では11.4nm、後者では14.2nmであることがわかった。後者でNi粒子径が大きくなった理由は、プラズマ外でも金属が蒸発し、金属成分の多い蒸気が発生した事に起因すると考えられる。
〔実験7〕
上記本発明材料A及び比較材料Zにより作製されたCNT(カーボンナノチューブ)煤の触媒金属濃度について調べたので、その結果を図12に示す。尚、図12において、上煤とは図5における符号13であり、チャンバー煤とは図5における符号14であり、陰極堆積物とは図5における符号15である。
図12から明らかなように、CNTが主として生成する上煤において、本発明材料Aにより作製された上煤は比較材料Zにより作製された上煤に比べて、煤中の触媒金属の濃度が低くなっていることが認められる。したがって、本発明材料Aを陽極に用いると、煤中の触媒金属の濃度が低いにも関わらず、上述した実験から明らかなようにCNTの生成量が多くなるということから、本発明材料Aを陽極に用いると、触媒金属がCNTの生成に効率的に作用していることがわかる。
(第2実施例)
〔実施例〕
金属微粒子として、ニッケル微粒子と酸化イットリウム微粒子との混合物に代えて、酸化ユーロピウム微粒子を用いた他は、上記第1実施例の実施例と同様にして金属−炭素複合材料を作製した。
このようにして作製した金属−炭素複合材料を、以下、本発明材料Bと称する。
〔比較例〕
金属微粒子として、ニッケル微粒子と酸化イットリウム微粒子との混合物に代えて、酸化ユーロピウム微粒子を用いた他は、上記第1実施例の比較例と同様にして金属−炭素複合材料を作製した。
このようにして作製した金属−炭素複合材料を、以下、比較材料Yと称する。
〔実験1〕
上記本発明材料B及び比較材料Yを陽極とした直流アーク放電装置(図5に示す)を用いてアーク放電し、本発明材料B及び比較材料Yにおける先端部からの距離と灰分濃度(陽極中の金属濃度)との関係を調べたので、その結果を図13及び表5に示す。尚、実験方法及び実験条件は、上記第1実施例の実験1と同様である。
Figure 0005280217
図13及び表5から明らかなように、比較材料Yでは先端部及びその近傍において灰分の低下が顕著であるのに対して、本発明材料Bでは先端部及びその近傍において灰分の低下が抑制されていることが認められる。
これは、上記第1実施例の実験1で示した理由と同様の理由によるものと考えられる。
〔実験2〕
上記本発明材料B及び比較材料Yの細孔容積について調べた。
その結果、比較材料Yの累積細孔容積は78mmであるのに対して、本発明材料Bの累積細孔容積は44mmであって、本発明材料Bは比較材料Yに比べて、累積細孔容積が小さくなっていることが認められる。このことから、ピッチ含浸、焼成工程を経ことによって、焼成ブロックの開気孔内にピッチが充填されることがわかる。
〔本発明材料A、Bの製造について〕
上記本発明材料A〜Bの製造時、1回目及び2回目のピッチ含浸、焼成工程における含浸率やかさ密度について調べたので、その結果を表6に示す。
また、かさ密度および金属の灰分を除く炭素成分の重量から算出した、本発明材Aにおける第一炭素材料に対する第二炭素材料の割合は20.2重量%であり、本発明材Bにおける第一炭素材料に対する第二炭素材料の割合は11.0重量%であった。
Figure 0005280217
表6から明らかなように、2回目のピッチ含浸、焼成工程は1回目のピッチ含浸、焼成工程に比べて、含浸率が低下していることが認められる。これは、1回目のピッチ含浸、焼成工程において、焼成ブロックの開気孔内にピッチが存在することになるので、2回目のピッチ含浸、焼成工程を実施する際には、焼成ブロックの開気孔が小さくなっているという理由によるものと考えられる。
但し、2回目のピッチ含浸、焼成工程を終えたときのかさ密度は、1回目のピッチ含浸、焼成工程を終えたときのかさ密度に比べて、大きくなっていることが認められる。このように、かさ密度が大きくなるということは、焼成ブロックの開気孔内のピッチ量が多くなるということから、金属微粒子の露出を一層抑制することができる。以上のことから、ピッチ含浸、焼成工程は複数回行うことが望ましい。
本発明の金属−炭素複合材料は、アーク放電法又はレーザーアブレーション法によるナノチューブ製造用炭素材料として用いることができる。
1:炭素骨材
2:金属微粒子
3:ピッチ
4:開気孔

Claims (5)

  1. 炭素材料とこの炭素材料に分散された金属粒子とを備えた金属−炭素複合材料であって、
    上記炭素材料は第1炭素材料とこの第1炭素材料より黒鉛化度が低い第2炭素材料とから成り、且つ、上記第1炭素材料と上記金属粒子とを含み内部に開気孔を備えた基部と、この基部の開気孔内に設けられ上記第2炭素材料から成る充填部と、から構成されることを特徴とする金属−炭素複合材料。
  2. 上記充填部がピッチ含浸法により形成されている、請求項1に記載の金属−炭素複合材料。
  3. 上記開気孔の容積が50mm/g以下である、請求項1又は2に記載の金属−炭素複合材料。
  4. 上記第1炭素材料に対する上記第2炭素材料の重量比率が5〜40重量%の範囲にある、請求項1〜3の何れか1項に記載の金属−炭素複合材料。
  5. アーク放電法又はレーザーアブレーション法によるナノチューブ製造用炭素材料として用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の金属−炭素複合材料。
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