JP5279280B2 - 形状測定装置 - Google Patents

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本発明は、例えば、所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板の形状を測定する形状測定装置に関するものである。
近年、半導体製造分野では、デザインルールの短縮に伴い、製造プロセスの複雑さや、欠陥サイズの縮小が進み、歩留まり向上が課題となっている。このため、今後は、デバイスの不良原因解析時間の短縮、ならびに欠陥とパタン線幅、位置検出を高速に処理することが要求される。
特に、次世代半導体(線幅32[nm])、それに続く線幅が22[nm]の半導体では、3[nm]以下のパタン線幅制御性(Critical Dimension:CD)が求められ、現行の深紫外光(Deep Ultraviolet:DUV)によるCD評価では、DUVの波長が200[nm]近辺であるため、解像性能が70[nm]ほどしか得られず、より短波長での評価が必要となる。
このような必要性に鑑み、本願の発明者は、観察波長が13.5[nm]である極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)を用いた欠陥観察のための極端紫外線顕微鏡の開発を進め、平成17年には、初めて位相欠陥の可視化に成功している(非特許文献1)。
この方法によれば、理論的には線幅が10[nm]のパタン寸法、欠陥、及び、位相欠陥部位の観察が可能であるが、解像度を上げると観察面積(Field of view:FOV)が小さくなり、検査に莫大な時間を有する。例えば、FOVを25[μm]角とした場合、6インチ角のマスクの評価に約1週間もの時間を要する。市場での要求値は6インチ角のマスクで3−5時間ほどであるため、EUVを用いたマスク全面の高速評価技術の開発が必須となってくる。
また、回折光を利用したマスクパタンを測定する測定装置として、スキャトロメトリー法を用いた装置が開発されている。この装置では、半導体のマスクパタンに多い繰り返しパタンに対して、可視のレーザ光あるいは可視の白色光を照射する。
可視のレーザ光を用いた装置では、図4に示すように、レーザ光源101により照射する入射角度θをパラメータとして、ある入射角度θで検出器103により検出される回折光の角度θと強度を基にRCWA(Rigorous Coupled−Wave Analysis)法の演算処理を行い、回折格子パタン102の形状を求めている。
また、白色光を用いた装置では、図5(A)に示すように、光源301から放射された光を偏光板302aを介して回折格子305に照射して、偏光板302b及びプリズム303を介して検出素子304により検出することにより、図5(B)に示すように、分散された光の角度と強度から同様なRCWA法により求める。
上述した形状測定方法では、計算機処理が煩雑であり、照射角度を変えるたびに、焦点位置の調整が必要など機構も複雑化する。さらには、将来の多層膜を基板としたEUVリソグラフィマスクでは、従来のガラスマスクの2値パタンが透過光の強度を用いるのに対し、EUVリソグラフィーでは多層膜の反射を用いるために、可視光に対する回折パタンも変化するなど、従来の測定器での評価が使えないなどの問題がある。
C. J. Raymond, M.R. Murnare, S. L. Prins, S. Sohail, H. Naqvi, J. R. McNeil, and J.W. Hosch, "Miltiparameter grating metrology using optical scatterometry,"J.Vac.Sci.Technol.B15(2) 361-368, 1997
上述したように、所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された半導体マスク基板などのパタン計測を光学顕微鏡を用いて高精度に実現するには、光学顕微鏡そのものに高精度なものが要求され、さらには高速に評価を実現するには、FOVの拡大、画像取り込み速度の高速化を図る必要がある。
また、解像度を上げるためには、FOV当たりの記憶密度を大きくせねばならず、画像処理に多大な時間を要する。
しかしながら、上述した形状測定方法では、試料ステージの回転や光源の角度変更などによる位置合わせが複雑になってしまった。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板の形状を、高精度かつ高速度で測定する形状測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための手段として、本発明に係る形状測定装置は、所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板の形状を測定する形状測定装置において、ピンホールとアパーチャを介して得られる空間領域及び時間領でのコヒーレントな光を、基板の表面に照射する照射手段と、照射手段により照射された基板の表面による回折光を受光する受光手段と、受光手段による受光結果として得られる0次回折光に対する数次回折光の強度比の分布から、基板の表面の形状を測定する測定手段とを備える。
本発明は、周期的な特徴をもつ基板に対して、ピンホールとアパーチャを介して得られる空間領域及び時間領域域でのコヒーレントな光を照射して、上記基板の表面による回折光を受光する受光手段による受光結果として得られる0次回折光に対する数次回折光の強度比の分布を用いることにより、結像光学系などを介さずに基板の形状に関する情報が得られ、さらには回折像を用いて形状測定を行うため記憶密度の大幅な圧縮が可能となり、結果として、基板の形状を高精度かつ高速度で測定することができる。
本発明が適用された形状測定装置は、例えば半導体マスク基板などの、所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板の形状を測定する装置である。以下では、図1に示すような形状測定装置1を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
形状測定装置1は、図1に示すように、所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板2の形状を測定するため、次のような構成を備えている。
すなわち、形状測定装置1は、コヒーレントな極端紫外光を基板2に照射するための照射部10と、基板2を固定するステージ14と、ステージ14に固定された基板2の表面による回折光を受光して電気信号に変換する撮像素子15と、撮像素子15により電気信号に変換された受光結果から基板2の形状を測定する測定処理部16と、測定処理部16による測定結果をユーザに視認可能に表示する表示部17とを備える。
基板2は、上述した形状測定装置1による測定対象であって、例えば、波長が11[nm]乃至15[nm]程度の極端紫外光によって、所定の繰り返しパタンとなるようにマスク処理が施された半導体基板である。なお、形状測定装置1は、上述した半導体基板に限定されず磁性材料や生体試料を試料として用いるようにしてもよい。
照射部10は、極端紫外光を発光する光源11と、光源11から発光された極端紫外光をコヒーレントな光にするための光学部12とからなる。
光源11は、波長が11[nm]乃至15[nm]程度の極端紫外光を発光する光源である。具体的には、シンクロトロン放射光やレーザプラズマ光源、放電型のピンチプラズマ光源などであるが、極端紫外光を発光するものであれば、いかなる光源を用いるようにしてもよい。
光学部12は、光源11から発光された極端紫外光をコヒーレントな光にするためのピンホール12aと、照射領域を調整するためのアパーチャ12bとからなる。
ピンホール12aは、光源11とステージ14との間に設けられており、光源11が発光した極端紫外光を空間的に制限して通過させることにより、空間領域及び/又は時間領域でのコヒーレントな極端紫外光にしてステージ14側に出射する。
アパーチャ12bは、ピンホール12aとステージ14との間に設けられており、ステージ14上に照射される照射領域と、基板2の観察面積(Field Of View:FOV)領域とが一致するように、ピンホール12aから照射されるコヒーレントな極端紫外光を空間的に制限して基板2側に通過させる。
ステージ14は、アパーチャ12bから通過された極端紫外光が照射される位置に設けられている。ステージ14に固定された基板2は、そのFOV領域に、上述した光源11、ピンホール12a、及びアパーチャ12bからなる照射手段によりコヒーレントな極端紫外光が照射される。このようにして、コヒーレントな極端紫外光が照射された基板2のFOV領域は、マスク処理された繰り返しパタンに応じた回折光を放射する。特に、基板2の表面を反射率の高くすることによって、マスク処理された繰り返しパタンに応じた回折光を反射光として検出することができる。
撮像素子15は、例えばX線用のCCD検出素子であって、基板2から反射される光を受光する。すなわち、撮像素子15は、この回折光を0次回折光から数次回折光に亘って検出する。FOV領域から放出される光が、このFOV領域のマスクパタンに応じた回折の複素振幅を示すので、撮像素子15は、FOV領域に対応する回折像の強度分布が得られ、この受光結果を測定処理部16に供給する。
例えば、図2(A)に示すようなライン幅が約120[nm]のマスクパタンの場合、撮像素子15は、このマスクパタンに対応する回折光を受光することによって、図2(B)に示すような回折パタンを示す画像を検出する。
測定処理部16は、撮像素子15による受光結果に応じて、基板2のFOV領域の形状を測定して、測定結果を表示部17に出力する。
具体的に、測定処理部16は、撮像素子15により得られたFOV領域の回折像における0次回折光に対する数次回折光の強度比を算出する。また、測定処理部16は、0次回折光に対する数次回折光の角度を算出する。そして、測定処理部16は、算出した強度比と角度とから、FOV領域のマスクパタンを同定する。
例えば、測定処理部16は、図2(B)に示すような撮像素子15によって得られた検出結果に対して、上述した測定処理を施すことによって、図2(C)に示すようなマスクパタンを示す画像を再生することができる。
更に、測定処理部16は、図2(C)に示すような再生像を用いてFOV領域におけるパタン幅の平均値を算出する処理を、FOV領域が合計18×18個からなるマスク全体に対して行い、各パタン幅の平均値をプロットすることによって、図3に示すようなマスクパタン全体のウエハ上におけるパタン幅の等幅線を示す画像を生成する。このようにして、測定処理部16は、マスクパタン全体の状態をユーザにとって容易に解析可能な測定結果を生成することができる。
なお、図2に示されているマスクパタンのライン幅である120[nm]に対して、ウエハ上のパタン幅が1/4の値の30[nm]近辺になるため、図3では、29.88[nm]−33.18[nm]を7段階に分割したパタン幅の等幅線を示している。
また、測定処理部16は、基板2のマスクパタンに関する情報が予め記録された基板情報記録部16aを設けており、この基板情報記録部16aと、上述した同定結果とを、例えば次のようにして比較することにより、基板2の形状を測定して、測定結果を表示部17に出力する。
この基板情報記録部16aには、基板2に処理されたマスクパタンに対応する設計データとして、このマスクパタンの画像をフーリエ変換などの周波数領域に変換したデータが予め記録している。
測定処理部16は、基板情報記録部16aからFOV領域に対応する周波数領域に変換されたデータを読み出し、この読み出したデータと、上述した回折光の強度比の分布、すなわち、撮像素子15から得られる周波数領域の情報とを比較する。測定処理部16は、この比較結果により、FOV領域の形状が設計された所定のマスクパタンと差異があるか、すなわち、マスクパタンのCD値や測定した基板2における欠陥の有無を検出することができる。
表示部17は、測定処理部16による測定結果、すなわち、図2(C)、図3に示した画像を含め、FOV領域の形状や設計用のマスクパタンのCD値や欠陥の有無をユーザに視認可能に表示する。
このようにして、形状測定装置1は、所定の繰り返しパタンとなるように設計された基板2にコヒーレントな極端紫外光を照射して、基板2から反射される回折光を撮像素子15により受光して、この受光結果から測定処理部16が、マスクパタンの欠陥、パタン配置の誤差、パタン線幅を評価する。
具体的に、形状測定装置1は、露光光での像形成と同じ位相情報を含めたマスクパタンに関する評価をすることができ、特にパタン線幅の測定、及び位相誤差の検出が可能であり、三次元的な位相欠陥情報である深さ方向の欠陥を容易に得ることができる。すなわち、形状測定装置1では、2次元又は3次元の複雑なマスクパタンに対応する回折像に基づいて上述した評価をすることができるので、従来に比べて大幅に処理量を削減しつつ、マスクパタンなどの所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板2の形状を評価することができる。
また、形状測定装置1では、周波数領域に変換された画像データを用いて、設計データと受光結果からの同定データとを比較するので、周波数領域に変換されていない画像データによる比較処理に比べて、処理量を削減して容易に比較を行うことができる。
また、形状測定装置1は、高精度な結像光学系や、焦点検出系が不要なため装置を簡素化することができ、かつ上述した光学系に起因する波面収差などの影響もないので、回折限界の性能を確保することができる。すなわち、形状測定装置1では、光学顕微鏡を用いることなく、光学的なずれのない理想的な状態でのマスクパタンに関する情報を容易に得ることができる。
以上のようにして、形状測定装置1では、コヒーレントな極端紫外光を被検出対象の基板2に照射して得られる回折像を用いることにより、マスクパタンに係る評価において、検査領域の拡大、及び撮像処理に係る所要時間の短縮を図ることができる。すなわち、形状測定装置1は、基板2の形状を高精度かつ高速度で測定することができる。
なお、本発明は、以上の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明が適用された形状測定装置の構成を示した図である。 図2(A)は、マスクパタンの具体例を示す図であり、図2(B)は、このマスクパタンから撮像素子によって得られる検出結果を示す図であり、図2(C)は、この検出画像に対して測定処理を施して得られるマスクパタンを示す図である。 マスクパタン全体に亘る計測結果を示す図である。 可視レーザ光を用いたキャトロメトリー法による形状測定処理を説明するための図である。 白色レーザ光を用いたキャトロメトリー法による形状測定処理を説明するための図である。
符号の説明
1 形状測定装置、2 基板、10 照射部、11 光源、12 光学部、12a ピンホール、12b アパーチャ、14 ステージ、15 撮像素子、16 測定処理部、16a 基板情報記録部、17 表示部

Claims (2)

  1. 所定の繰り返しパタンとなるように表面が設計された基板の形状を測定する形状測定装置において、
    ピンホールとアパーチャを介して得られる空間領域及び時間領域でのコヒーレントな光を、上記基板の表面に照射する照射手段と、
    上記照射手段により照射された上記基板の表面による回折光を受光する受光手段と、
    上記受光手段による受光結果として得られる0次回折光に対する数次回折光の強度比の分布から、上記基板の表面の形状を測定する測定手段とを備える形状測定装置。
  2. 上記照射手段は、波長が11[nm]乃至15[nm]程度の極端紫外光を発光する光源と、該光源から発光された極端紫外光を、上記ピンホールとアパーチャを通過させることにより上記空間領域及び時間領域でのコヒーレントな光にして該基板の表面に照射する光学手段とからなることを特徴とする請求項1記載の形状測定装置。
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