JP4007043B2 - グレーティング検査装置及び検査方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的手段を用いた検査装置及び方法において、回折限界以下の周期構造を持つ微小なグレーティングの計測及び検査技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体製造プロセスにおける、光学式結像手段を持つ微細パターン検査手段として、光学式顕微鏡が良く知られている。光学式顕微鏡における、限界解像力「D」については、光源波長を「λ」、対物レンズの開口数を「NA」、光学定数を「K1」と記すとき、「D=K1・λ/NA」の関係式が成り立つ。
【0003】
従って、限界解像力Dの向上には、下記に示すアプローチが考えられる。
【0004】
(I)光学定数K1を小さくすること
(II)光源波長λを短くすること
(III)開口数NAを大きくすること。
【0005】
ここで、(I)の光学定数K1については、一般の光学式顕微鏡では結像を行う為に必要な、1次回折光の集光限界である、0.5乃至0.6程度が限界とされている。尚、半導体に代表されるリソグラフプロセスにおいては、超解像技術と称して、マスク透過光に位相差を設け、像面上のコントラストを向上させる手法等を使って、K1を0.35程度にまで小さくする事に成功し、物理限界であるK1=0.25にせまりつつある。この技術は、光学式結像手段を持つ微細パターン検査装置への応用も可能であるが、例えば、位相シフト法では測定するサンプル条件毎に最適化が必要であり、特定のパターンに対してのみ有効である。この為、汎用性を求められる検査装置への実用化は困難である。
【0006】
従って、限界解像力を向上させるには、一般に、光源波長λの短波長化、対物レンズの大NA化が広く行われている。
【0007】
即ち、上記(II)の光源波長に関しては、エキシマレーザー、水銀ランプ、固体レーザーの波長変換技術等を駆使して、193〜266nm(ナノメートル)の深紫外領域での検査装置が普及しており、光学式顕微鏡における対物レンズの開口数NAが0.95程度のものまで実用化されてきている。また、上記(III)については、屈折液を利用した液浸等の技術によりNAを1.0以上に高める事は可能であるが、検査装置の実用化に関する障害は大きい。
【0008】
ところで、近年、これら高解像力化の流れが進む速さ以上に、半導体回路パターンの微細化が急速に進み、光学式による微細パターン検査が限界を迎えようとしている。このことは、特に、次世代半導体プロセスにおいて最先端デザインルールを担う、等倍マスクを用いた、低電圧電子線露光装置マスク検査等の分野において、より顕著であり、要求される解像力は、現状で実現し得る光学式顕微鏡の解像力を大きく超えている。この為、電子線を用いた透過型電子顕微鏡を利用した微小グレーティングマスクパターン検査装置の導入が進められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、透過型電子顕微鏡(透過型電子線走査型顕微鏡)を用いた計測では、製造コスト等に関して下記の問題がある。
【0010】
即ち、この計測方法では、サンプルを透過した電子ビームを拡大するために、電子対物レンズ、電子投写レンズが必要であり、また、蛍光可視化の為に高感度高速減衰型シンチレータ等が必要となるので、非常に高価である。さらに、解像力の面では光学式を凌駕しているが、レジストサンプルに対するダメージ、コンタミネーション汚染、真空中での観察が必要な為に、処理速度が遅い等の問題を抱えている。
【0011】
そこで、本発明は、透過型電子顕微鏡を用いることなく、簡易な検査装置及び方法を用いて、グレーティングを含む被検査物について迅速に検査を行えるようにすることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るグレーティング検査装置は、上記した課題を解決するために、
単一波長を有する光源と、被検査物に係る観察面に光源からの光を照射するための照明光学系と、光源からの光のうち被検査物を透過した光又は当該被検査物で反射した光を検出する検出光学系とを備え、被検査物のグレーティングによる回折光のうち、直接光である0次回折光に係る透過率又は反射率として計測される情報を取得するとともに、当該情報を、グレーティングに係る解析結果と比較することによりグレーティングの形状について定量化するための計測処理手段を設け、被検査物のうち、有限領域を有するグレーティング部分について、有限領域のエッジ部での回折像や、導波路モード光の影響を取り除いた、純粋にグレーティングのみのカップリング効率に係る情報を抽出する手段を、計測処理手段が備え、計測処理手段が検出光学系によって得られる画像信号をフーリエ変換した後、有限領域のエッジ部にて発生する回折像に応じた周波数応答成分及びグレーティングの導波路モード光成分に応じた周波数応答成分を瞳空間にてデコンボリューションにより除去することで修正された計測結果を得るとともに、当該計測結果をこれに対応する解析結果と比較するものである。
【0013】
また、本発明に係るグレーティング検査方法は、単一波長を有する光源からの光を、被検査物に係る観察面に照射し、被検査物を透過した光又は当該被検査物で反射した光を検出光学系によって画像信号として検出するとともに、被検査物のグレーティングによる回折光のうち、直接光である0次回折光に係る透過率又は反射率としてカップリング効率を計測する工程と、その計測結果を、グレーティングに係る解析結果と比較するために当該計測結果又は解析結果について演算処理を行うとともに、両結果の比較によって当該グレーティングの形状について定量化する工程を備え、光源波長及び光学定数、グレーティング材料の物性や特性を既知として、グレーティングデューティーを変数として定まる、グレーティングにおける任意次数での回折光についてカップリング効率を解析によって求める工程と、上記の解析から得られる、グレーティングの検出光学系側の界面における複素振幅分布から、当該検出光学系と等価な伝達関数を用いた演算手法により、当該検出光学系で得られる画像信号と等価な強度分布を求める工程と、強度分布の結果と、検出光学系による計測結果とを比較する工程を備え、グレーティングを無限周期として任意次数での回折光についてカップリング効率を解析によって求める工程を備え、上記解析結果と、有限領域を持つグレーティング部分に係る計測結果を比較する為に、当該グレーティング部分から、グレーティングのみによるカップリング効率の情報を抽出する工程として、画像信号をフーリエ変換した後、有限領域のエッジ部にて発生する回折像に応じた周波数応答成分及びグレーティングの導波路モード光成分に応じた周波数応答成分を瞳空間にてデコンボリューションにより除去した後、逆フーリエ変換するものである。
【0014】
本発明では、光学式の微細パターン検査装置及び方法として、結像を用いた空間分離による顕微観察では無く、検査対象を、微細な繰り返しパターン又は周期性の構造(微小グレーティング構造)に限定して、そのグレーティング部を光導波路とみたて、当該光導波路における照明光のカップリング効率、即ち透過率や反射率を知ることにより、グレーティングの形状に関する情報を得ることができる。
【0015】
そして、本発明によれば、光学式顕微鏡で議論される、限界解像力という概念から解放され、微細構造観察で必要とされていた、短波長光源、高開口対物レンズ、高感度撮像装置を必須要件とせずに、微小グレーティング構造を観察するための装置を、比較的入手のし易い光学素子のみで構成することが可能となり、透過型電子線走査型顕微鏡を用いることなく、計測や検査を行うことができる。また、有限領域をもつグレーティング部分について、有限領域のエッジ部での回折像や導波路モード光の影響を排除することにより、計測結果と解析結果との比較を容易に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、微細な繰り返しパターン構造又は周期性の構造をもったグレーティング(回折格子)を含む被検査物について、当該グレーティングの形状を光学的に検査するための検査装置及び検査方法に関するものであり、例えば、EB(電子線)露光装置用マスクの検査に適用することができる。
【0017】
つまり、EB露光装置用マスク製造工程においては、これまで簡易な検査手法が無い為、非常に高価な、透過型電子線走査型顕微鏡を頻繁に使用する必要があり、よって、EB露光装置用マスク製造のコストに占める、検査費用の割合が高いことが問題となっている。従って、検査工程においては、簡易な測定装置を導入し、不良個所を速やかに検出することで、不良品が次工程へ流されてしまうのを防ぎ、EB露光装置用マスク製造コストを引き下げる事が求められており、本発明を用いることによって、問題の根本的な解決が可能となる。
【0018】
尚、本発明をEB露光装置用マスク検査装置に適用する場合において、その測定原理については、検査装置の光学定数、マスク物性、マスク構造並びに微小グレーティング形状によって、一意に定まる量(微小グレーティングでのカップリング効率)を測定することで、微小グレーティングの形状、特に微小グレーティング部のデューティー、孤立線の線幅、ピンホール径の測定、欠陥の検査を行うことが可能となり、これによって、簡易な検査装置を提供することができる。
【0019】
本発明は、グレーティングを含む各種対象物(被検査物)の光学的検査に広く使用することが可能であるが、以下では、EB露光装置用マスクを対象にして、その検査に用いる装置の構成形態について説明する。
【0020】
本発明に係る装置や方法を説明する前に、「カップリング効率」として導入される概念について説明する。
【0021】
この「カップリング効率」とは、対象物に照明光を照射した場合の光学的結合状態について定量化するための透過効率や反射効率を含むものである。具体的には、透過率や反射率を意味するが、一般に、これらの用語は、例えば、回折現象において、0次光の他、1次以上の高次光を含めて定義されることが多いので、本明細書では、0次光のみの場合における透過率や反射率を包含する表現として、「カップリング効率」という用語を使用している。尚、後述するように、本発明では、観察対象物の0次光(直接光)に係る透過率又は反射率として計測されるカップリング効率の情報を用い、1次以上の高次光についての結像現象を測定上では利用していない。従って、本明細書の説明において、カップリング効率に関して次数を示す必要がある場合(特に、0次回折光の場合)には、特定の次数を明示している。
【0022】
図1は、本発明を適用した光学式測定装置として、グレーティング検査装置1の構成例について概要を示したものである。
【0023】
このグレーティング検査装置1は、被検査物100(本例では、EB露光用マスク)を観察対象とし、EB露光用マスク上の微小グレーティングの一面にレーザー光を照射し、当該微小グレーティングの背面側に導波した直接光の光量を測定する事で、観察対象上に存在する微小グレーティングの各種情報を検査し、計測するための検査装置である。
【0024】
グレーティング検査装置1は、下記に示す構成要素を備えている。
・単一波長を有する光源
・照明光学系
・検出光学系。
【0025】
尚、光源LSについては、単色性を有するレーザー光源、又は放電灯(水銀ランプ等)のスペクトル輝線を、ダイクロイックミラー、干渉フィルター等の光学的手段で波長半値全幅10ナノメートル程度に狭搾化した光源が挙げられ、本例では、所定の光量及びビーム径の平行光ビームを出射するレーザー光源1Lを用いている(短波長レーザーとして、ArFエキシマレーザーやYAG4倍波レーザー等が挙げられる。)。
【0026】
また、照明光学系LOは、被検査物100に係る観察面に光源LSからの光を照射するための光学系であり、検出光学系DOは、光源LSからの光のうち被検査物100を透過した光又は当該被検査物で反射した光を検出するための光学系である。
【0027】
先ず、照明光学系LOについて説明すると、レーザー光源1Lから出射された光は、ビームスプリッター2で2つに分岐し、その一方の光がシャッターユニット3を通ってスキャン(走査)ミラー4、リレー光学系5を経てスキャンミラー6に到達する。尚、スキャンミラー4、6は、レーザー光源1Lから出射した平行ビームを被検査物(EB露光装置用マスク)100の下面(以下、図1の上方を装置の上方と定義する。)において、その観察領域の任意位置にてコヒーレント照明を行う為にビーム走査を行うものである。また、リレー光学系5や後述のリレー光学系7は、スキャンミラー4、6の表面を結像共役状態に保つためのアフォーカルリレー光学系である。
【0028】
スキャンミラー6とミラーRFとの間には、リレー光学系7が配置されており、ミラーRFで光路変更を受けた光は、λ/2波長板(2分の1波長板)調整ユニット8、ビームスプリッター9、λ/2波長板調整ユニット10、さらには、λ/4波長板(4分の1波長板)調整ユニット11を経て、集光レンズ13を透過して被検査物100に照射される。つまり、集光レンズ13は、EB露光装置用マスクの下面上への結像用に設けられる。
【0029】
尚、瞳12は、集光レンズ13の入射瞳であり、また、λ/2波長板調整ユニット8は、直線偏光状態で出射されたレーザー光の偏光状態を任意に回転させるために、λ/2波長板(2分の1波長板)及びこれを光軸回りに回転させる機構を備えている。
【0030】
ビームスプリッター9で分かれた光のうち、その一方は、結像レンズ21を透過してファインダー用の撮像装置22に到達し、他方の光がλ/2波長板調整ユニット10、λ/4波長板調整ユニット11を通り、集光レンズ13によって結像される。つまり、ビームスプリッター9、結像レンズ21、撮像装置22は、ファインダー用顕微鏡を構成している。
【0031】
λ/2波長板調整ユニット10、λ/4波長板調整ユニット11については、レーザー光源1Lから出射したレーザー光を、任意の偏光状態で、EB露光装置用マスク上の、微小グレーティングにカップリング(光学的結合)させる為に設けられたものである。尚、各調整ユニットは、それぞれの波長板と、それらを光軸回りに回転させる機構を備えている。
【0032】
次に、検出光学系DOについて説明すると、被検査物100の直ぐ上方にピックアップレンズ14が配置されている。即ち、EB露光装置用マスクの下面において微小グレーティングとのカップリングの後、EB露光装置用マスクの上面へと導波された、レーザー光を検出するためにピックアップレンズ14が設けられていて、当該レンズ14を透過した光が、λ/4波長板調整ユニット16、λ/2波長板調整ユニット17、さらには、ビームスプリッター18、結像レンズ19を経て撮像装置20に到達して検出される(本例では、被検査物の透過光を検出する構成形態を採用している。)。
【0033】
尚、瞳15はピックアップレンズ14の出射瞳であり、また、λ/4波長板調整ユニット16や、λ/2波長板調整ユニット17は、ピックアップレンズ14を透過した光の偏光状態を調整する為に設けられており、これらは上記のλ/2波長板調整ユニット10や、λ/4波長板調整ユニット11と同様の構成を備えている。
【0034】
被検査物(EB露光装置用マスク)を上面から、落射照明にて顕微観察するための照明光学系については、ビームスプリッター2で分かれた光の一方が、シャッターユニット23、光路変更用のミラー24、24を経てから、スペックル雑音除去用の回転拡散板25、ケーラー照明光学系26及び開口絞り27と視野絞り28、さらには、λ/2波長板調整ユニット29を経てビームスプリッター18に到達する。尚、λ/2波長板調整ユニット29は、直線偏光状態で出射されたレーザー光の偏光状態を任意に回転させる役目をもち、λ/2波長板及びその回転機構を備えている。
【0035】
また、図1に示したグレーティング検査装置1では図示を省略しているが、レーザー光源を用いてコヒーレント照明を行う手段と共に、インコヒーレント照明及び部分コヒーレント照明を行う手段を排他的に使用することができる構成とされている。
【0036】
グレーティング検査装置1では、EB露光装置用マスクへのカップリング光の伝播に、コヒーレント照明手段を用いており、上記したように、コヒーレント照明光のスキャニング機構として、スキャンミラー4、6を用いているが、これに限らず各種のスキャニング機構(例えば、音響光学素子や、ポリゴンミラー、ニッポウディスク等)を用いることができる。
【0037】
尚、インコヒーレント照明もしくは部分コヒーレント照明では、ある領域を一括して照明することになる為、後述するカップリング効率の検出を行う際に、周辺パターンからの回折光との干渉の影響を受けるので、視野による制限を加える必要がある。視野を微小なグレーティング領域に合せ込む事で、周辺パターンとの干渉を防ぐ機構を、視野絞りに持たせる等の対策を施せば、カップリング光伝播手段として、インコヒーレント照明もしくは部分コヒーレント照明手段を用いても構わない。
【0038】
上記検出光学系DOの撮像装置20によって検出される画像情報については、計測処理手段30に送られて処理される。この計測処理手段30は、コンピュータ等の情報処理手段を用いて画像処理や光学計測、解析の処理を行うものであり、被検査物100のグレーティングによる回折光のうち、直接光である0次回折光についての情報から当該グレーティング形状の検査に必要な処理を行う。具体的には、0次回折光に係る透過率又は反射率として計測されるカップリング効率の情報を取得するとともに、当該情報をグレーティングに係る解析結果と比較することにより、グレーティング形状について定量化するための処理を行い(測定原理や処理については後で詳述する)、その結果を出力処理部40に送出して、検査結果についての判定表示等を行うが、その前に、被検査物である、EB露光装置用マスクについて、図2に示す概略図を用いて説明する。
【0039】
EB露光装置用マスクには、有限領域を持つ微小なグレーティング部分(あるいはグレーティング領域)101が形成されているが、図2の右側に分けて示すように、純粋なグレーティング201と、当該グレーティングの存在する矩形領域202、そして、個々のグレーティングを構成する導波路203(つまり、当該導波路203が光の通路であって、図には、その1つを抽出して示しているが、多数の導波路が所定の間隔をもって配置された集まりによって、グレーティング201が形成されている。)に分けて考える必要がある。
【0040】
その理由は、グレーティング部分101を導波するように、マスクに対して照射された照明光が、ピックアップレンズ14にて集光された後、撮像装置20により検出されるが、その際、撮像装置20で得られる画像信号については、グレーティングの存在する矩形領域202(以下、単に「領域202」という。)で発生する回折像及び導波路203にて発生するモード光の影響を受けるからである。
【0041】
領域202で発生する回折像の影響は、特に、照明光学系の形態、即ち、集光レンズのNAや、臨界照明であるかケーラー照明であるかといった、照明のコヒーレンスファクターによって異なる。
【0042】
このように、実際のグレーティング部分(101)が有限領域内に形成されること及び有限領域のエッジ部(縁)における回折像の影響が存在し、さらには、個々のグレーティングについて、その形状や、照明光学系の開口数、微小グレーティングの分光特性や膜厚等により定まる決定方程式に従った、導波路モード光を併せて観察することになる(これらの影響が、上記撮像装置20によって取得される画像情報に反映される。)。
【0043】
図3は、マスクのうち、上記グレーティング部分101を主にして、集光レンズ13及びピックアップレンズ14を模式的に示した概略図であり、図中に示すZ方向が光軸方向を示し、これに直交するX方向がグレーティングの形成方向を示している(図示は省略するが、Y方向が図の紙面に垂直であって、かつX、Zの各方向に対して直交する方向である。)。
【0044】
集光レンズ13を透過したレーザー光は、グレーティング部分101の下面でビームウエスト位置となるように照明され、当該位置における波面が平行波の状態でグレーティング部分101へ伝播される。
【0045】
このような微小グレーティングをもつマスクパターン面に対して、任意波長を持つ単色光を照射すると、当該グレーティングによって回折される、各次数における回折角については、グレーティングピッチおよび光源波長の一次式で容易に求める事が出来るが、任意次数における回折効率、即ち、カップリング効率は、マクスウェル方程式を解く事で与えられる。
【0046】
伝播光としてFar Field(遠方距離)にて観察可能な回折光は、前方及び後方(図1では撮像装置20に向かう方向を前方と定義する。)へ伝播光として観察される。一方、グレーティング内においては、エバネッセント波が発生しており、エバネッセント波はNear Field(近距離)のみでしか観察されない。従って、グレーティングのカップリング効率を正しく計算するには、エバネッセント光も含めて、マクスウェル方程式を解く必要がある。
【0047】
図4及び図5は、グレーティング部分101に対して平行波を照射した場合の概念的な説明図である。
【0048】
図4は、グレーティングピッチ「d」が光源波長λよりも大きい場合(d>λ)を示し、0次回折光(直接光)の他、+1次、−1次等の回折光が現れる。
【0049】
これに対して、図5は、dがλよりも小さい場合(d<λ)を示しており、0次光と、グレーティング内を伝播するエバネッセント波(図には、左右方向をそれぞれ向いた矢印で示す。)が発生する。
【0050】
ところで、本発明に係るグレーティング検査装置では、主な観察対象として、光学的な結像限界以下の周期構造を持つサンプル、即ち、一次以上の回折光が伝播光として発生しない様な微小グレーティングを対象としている訳であるから、観察される回折光は0次回折光(即ち、透過又は反射の直接光)である。
【0051】
後述するように、カップリング効率については、光源波長、照射NA、集光NA、サンプル物質の誘電率ε、透磁率μといった物性、グレーティングピッチ、グレーティングデューティー、膜厚や階層構造といったサンプル構造等から一意に定まる。よって、このカップリング効率を測定するとともに、さらに、サンプルに関する既知の情報からマクスウェル方程式を解き、得られた値と観察結果(上記撮像装置20により得られる画像情報)を比較する事が可能となる。即ち、0次回折光に関して、観察値(あるいは観測値)とサンプルに関する既知の情報から得られるマクスウェル方程式の解析結果とを比較することによって、光学的な結像限界を超えた、即ち、空間分離が不可能な周期構造をもつ微細パターンの計測及び検査を実現することが可能となる。
【0052】
以下では、上記したグレーティング検査装置1の測定原理について詳細に説明する。
【0053】
先ず、レーザー光源1Lについては、検出光学系DOの解像力を考慮すると、例えば、266ナノメートルの波長を持つYAG4倍波レーザーや、244ナノメートルの波長をもつアルゴンイオンレーザー2倍波等が挙げられるが、レーザー光源に求められる光源波長については、観察対象、つまり、EB露光装置用マスクの材料物性によって決定されるべきである。即ち、EB露光装置用マスク上の微小グレーティングにてカップリングされるカップリング効率、並びにEB露光装置用マスク中を導波するカップリング効率については、集光レンズ13の開口数、照明のコヒーレンスファクター、EB露光装置用マスク上の微小グレーティングの形状のみならず、当該マスクの材料物性、特に、材料の分光特性(誘電率ε、透磁率μ)に大きく左右されるからである。
【0054】
グレーティング検査装置1においては、レーザー光源1Lの光源波長、微小グレーティングマスクの材質及び厚みによって決定されるEB露光装置用マスクの非グレーティング部(隣り合う導波路203同士の間に存在する部分)の透過率が、グレーティング部分の光検出(カップリング効率の検出)にとって、ノイズになるのを避ける為に、マスク材料としては、半導体製造プロセスからの流用が可能であるシリコン(Si)を想定している。よって、図6で示される通り、垂直入射の際にレーザー光源1Lの光源波長が所定厚のEB露光装置用マスクを透過しない波長領域、即ち、光源波長400ナノメートル以下のレーザー光源が好ましい。
【0055】
図6は、上記非グレーティング部に対して、垂直に入射した光線の透過率に関する波長依存性を例示したものであり、横軸に波長(単位:nm)をとり、縦軸に透過率(百分率)をとっている。
【0056】
グラフに示すように、波長400nm付近から透過率が次第に上昇していくことが分かる。
【0057】
尚、一般に、微細パターンの観察を行うには、短波長光源の方が好ましいとされるが、EB露光装置用マスク材料として、今後広く用いられることが予想されているシリコンを想定して、図7に示すシミュレーションを行った結果からは、光源波長193ナノメートルのArFエキシマレーザーよりも光源波長266ナノメートルのYAG4倍波レーザーの方が、より多くの0次回折光を導波する事が分かっている。
【0058】
上記グレーティング検査装置1では、透過光量計測を行うので、微小グレーティングのマスクサンプルにおける非グレーティング部の透過率が高い場合(即ちサンプル自体が光源波長の光に対して透磁率が低い物質である場合)に、グレーティング部の導波光との変調が取り難く、測定精度の確保が困難であるため、光源波長として、サンプルの非グレーティング部が光源光を遮蔽するか、又は透過率の低い範囲の光源波長を用いている。
【0059】
図7は、無限周期の微小グレーティングについて、ある条件下における光源波長毎の透過率(即ち、前方に出射される0次回折光の透過率)を示しており、横軸には、グレーティングピッチ(単位:μm)をとり、縦軸にはカップリング効率(この場合には、0次回折光の透過率であり、百分率で示す。)をとって光源波長の違いによる影響を示している。
【0060】
尚、グラフ曲線「g(λ)」は、波長λ(nm)の場合の特性を表しており、λ=193、248、266、355nmについて例示している。
【0061】
例えば、λ=193nmの場合には、グレーティングピッチ(間隔)が小さい範囲でカップリング効率が低く、0.09μm付近から透過率が上昇するのに対して、λ=266nmの場合には、広範囲に亘ってカップリング効率が比較的高いことが分かる(尚、λ=248nm、355nmでは、λ=266nmの場合に比べて、カップリング効率が少し低い。)。
【0062】
この様に、求められる光源波長については、観察対象の物性、開口径や厚さ等の微小グレーティング形状に応じて決定することが望ましい。具体的には、本例に示すグレーティング検査装置1で、EB露光装置用マスクの材料としてシリコンを想定した場合に、図6及び図7に示す結果から最適であることが示された266ナノメートルのYAG4倍波レーザーを用いている。また、本例では、EB露光装置用マスクの非グレーティング部がレーザー光源1Lの波長に対して非透明である波長を選択しているが、これは、検出感度を高める為である。従って、EB露光装置用マスクの非グレーティング部が、レーザー光源1Lの波長に対して透過性があっても構わない。さらには、400ナノメートル以下の紫外線光源として、検出感度の差はあるが、他の光源波長を用いることも可能である。
【0063】
図8は、無限周期の微小グレーティングについて、グレーティング厚、グレーティングピッチ、光源波長、照明条件を固定し、グレーティングデューティーを変数にした際の透過光、即ち、前方0次回折光のカップリング効率を示す解析結果を示すものである。尚、この図では、横軸にグレーティングデューティー(百分率)をとり、縦軸には透過カップリング効率(0次回折光の透過率であり、百分率で示す。)をとって、両者の関係を表している。
【0064】
図中に示すグラフ曲線「gg(λ)」(λ=193、248、266、355nm)は、光源波長の違いをそれぞれ示しており、波長の選定については、図7の場合と同じである。また、「グレーティングデューティー」については、1ピッチ内でグレーティングが占める幅の割合を百分率で表したものに相当し、例えば、グレーティングの縞模様を、コントラストの高低(あるいは明暗)で表す場合において、コントラストの高い透過部分の幅を1周期分の幅で割った値を100倍して百分率で表したものである。
【0065】
図8から明らかな通り、グレーティング厚、グレーティングピッチ、光源波長、照明条件を固定した場合、グレーティングデューティーは、一意に定まる事が分かる。一般に、半導体露光マスクに代表される微小グレーティング形状において、グレーティングピッチの不均一性(ムラ)、グレーティング厚の変動は製造プロセス上、グレーティングデューティーの不均一性(ムラ)に比べると、十分に小さい事が良く知られており、同一プロセス内において、グレーティング厚、グレーティングピッチは一定と近似して良い。この特徴を利用する事により、本発明に係るグレーティング検査装置1では、光学的な検出手段を用いながら、光学解像力以下の繰り返しパターンや周期性を持つ微小グレーティングについてグレーティングデューティーの定量化を可能としている。
【0066】
尚、各グラフ曲線gg(λ)については、いずれもグレーティングデューティーの増加に伴ってカップリング効率が増加する傾向をもっているが、中でも曲線gg(266nm)の場合に、カップリング効率が高いことが分かる。
【0067】
また、本発明の対象となる微小グレーティングについては、繰り返しパターンに限定されることなく、例えば、孤立線、コンタクトホール等に関しても、周辺パターンとの間隔において、周期性が存在していれば、カップリング効率を導く事が可能である。従って、露光装置用マスクパターンに限らず、実配線パターン等を検査対象としても構わない。
【0068】
次に、上記グレーティング検査装置1において、EB露光装置用マスク上のグレーティング部分101に照射されたレーザー光が、どの様にピックアップレンズ14へとカップリングするかについて説明する。
【0069】
レーザー光源1Lから出射されたレーザー光は、上記のように、グレーティング部分101の下面で収束され集光される。当該部分101におけるカップリング効率を求める為には、図2に示したように、有限領域内のグレーティング201、矩形領域202、個々の導波路203による影響を考慮する必要があり、やや複雑である。
【0070】
そこで、先ずは、無限周期構造のグレーティングにおける、カップリング効率の解析方法について説明する。
【0071】
無限周期構造のグレーティングに収束されて集光されたレーザー光は、ガウス分布の光場特性を持つ。この光について入射角毎に平面波展開を行い、角度スペクトル分布を求める。平面波展開する事で、微小グレーティングへのカップリングについて、平面波として取り扱う事ができ、グレーティングにおけるカップリング効率に関して、RCW法を用いた電磁場解析手法を使用することができる。この方法は、マクスウェル(Maxwell)方程式を厳密に解く手法の一つであって、「Rigorous Coupled-Wave Analysis」法を指し、グレーティングに入射した平面波の任意次数の回折効率を厳密に求める解析手法の一つである。尚、本発明に用いる解析法については、RCW法に限定されるものではなく、実用上問題の無い近似手法を用いても構わない。
【0072】
入射開口内で、各平面波毎に微小グレーティングへカップリングされるカップリング効率、即ち、複素振幅透過率及び複素振幅反射率を求め、全平面波成分を足し合わせる計算を行えば良い。
【0073】
近年、グレーティング理論は、RCW法の発達等によってその近似収束性が急速に高まってきており、無限周期におけるグレーティングの電磁場解析手法は、ほぼ確立されてきている。RCW法によれば、電磁場をTEモードとTMモードそれぞれに分割し、それぞれに任意次数における前方への複素透過率Tと後方への複素反射率Rを解く。尚、TE波、TM波がそれぞれ相関のある状態、即ち円偏光等の状態では、位相項を加えて解けば良い。また、相間の位相整合状態については、波数ベクトルのうち、グレーティング方向の波数ベクトル成分を各次数にて整合させる。
【0074】
電磁場解析により求めた、無限周期グレーティングにおけるカップリング効率の解析結果は、無限周期グレーティングの上面の複素振幅分布として表現でき、この複素振幅分布を、ピックアップレンズ14の開口に対応したローパスフィルターを通した後でフーリエ変換し、即ち、瞳面上でのフラウンホーファー回折像の強度分布を求め、それから逆フーリエ変換する事で、グレーティング部に関して、撮像装置20上の像強度と等価な像強度が得られることになる。
【0075】
本発明における検査方法について、基本的な処理手順を箇条書きにしてまとめると下記のようになる。
(1) 微小グレーティングにおける任意次数の回折光についてカップリング効率を解析によって求める工程
(2) (1)の解析結果を、計測結果と比較するための演算処理を行う工程
(3) (2)で得られた結果と、計測結果とを比較する工程。
【0076】
先ず、(1)では、図8で説明したように、光源波長、光学定数、グレーティング材料の物性や形状特性、グレーティング周期、グレーティング領域、グレーティング厚を既知とおいた場合、0次回折光のカップリング効率が、グレーティングデユーティー毎に一意に定まることを利用する。つまり、微小グレーティングにおける任意次数の回折光カップリング効率をRCW法もしくはFDTD(Finite Difference Time Domain)法等の解析手法、又はスカラー解析による近似解析により求める。
【0077】
(2)では、この解析より得られたグレーティングの上記検出光学系DO側の界面における複素振幅分布に基いて、当該検出光学系と等価な伝達関数を用いた演算手法により、検出光学系DOで得られる画像信号と等価な強度分布を求める。
【0078】
(3)では、(2)の結果と、グレーティング検査装置1における計測値とを比較する事で、被検査物に係るグレーティングデューティーの定量化を行う。
【0079】
ところで、上記グレーティング検査装置1において、被検査物であるEB露光装置用マスクについては、上記したように有限領域を持つパターンである。
【0080】
従って、カップリング効率の厳密解を求めるには、前述の通り、マクスウェル方程式を厳密に解く必要があり、その為には非常に多くの計算量を要する。特に有限領域を持つグレーティング解析においては、現時点で知られている手法によると莫大な計算量を要する(但し、グレーティング部分101の解析を有限構造にて行える場合には、後述するような、有限領域のエッジ部による回折像や導波路モード光成分に応じた周波数応答成分に係る、U2およびU3の算出は不要である。)。
【0081】
そこで、本発明に係る上記グレーティング検査装置1では、EB露光装置用マスク上のグレーティング部分101に関して、図2に示すように、グレーティング201と、矩形領域202と導波路203の各要素(構成領域)に分け、それぞれの領域毎に解析より求めたグレーティング界面の複素振幅分布から、検出光学系における周波数応答を求め、瞳面上にてコンボリューションを求める処理を行い、これによって、解析結果を検査結果とを単純に比較することができるように工夫している。
【0082】
尚、有限領域を持つグレーティング部分101について、撮像装置20により得られる画像信号は、これを画像表示した場合に、図9に示すように、不明瞭ではあるが横筋が認められ、濃淡のある分布を示す(カップリング効率としての透過率のムラを表している。)。これは、上記したように、領域202で発生する回折像及び導波路203にて発生するモード光の影響を受けることに依る。
【0083】
領域202で発生する回折像の影響は、特に、照明のコヒーレンスファクターによって異なり、また、導波路203で発生するモード光の影響に関しては、特に導波路203の形状、分光特性、光源波長、導波路開口数、導波路内の表面ラフネスによって異なる。一般に、導波路解析には、処理速度及び近似値の妥当性からFDTD法が広く用いられており、本例でも同手法を用いている。
【0084】
グレーティング検査装置1では、以下に示す処理によって、グレーティング部分101に関して、領域202で発生する回折像の影響及び導波路203にて発生するモード光の影響を除去し、グレーティング201の部分のみに係るカップリング効率の算出を行っている。
【0085】
(1)グレーティング201による、ピックアップレンズ14のフーリエ面でのフラウンホーファー像を求めること
(2)領域202による、ピックアップレンズ14のフーリエ面でのフラウンホーファー像を求めること
(3)導波路203にて発生するモード光の、瞳面でのフラウンホーファー像強度分布を求めること
(4)解析結果と、撮像装置20による計測結果とを比較することができるように処理すること。
【0086】
先ず、(1)では、グレーティング201におけるカップリング効率を求めるため、前述の電磁場解析手法を用いて各平面波毎に、任意回折次数での複素透過率及び複素反射率を求め、これからグレーティング201の集光光学系側界面(本例では、集光レンズ14による光が図1の下方から照射されるので、マスク上面に相当する。)における複素振幅分布を求める。この集光光学系側界面における複素振幅分布から、ピックアップレンズ14のフーリエ面でのフラウンホーファー像を求め、これを「U1」とする。
【0087】
次に、(2)では、領域202によるピックアップレンズ14のフーリエ面でのフラウンホーファー像を求め、これを「U2」とする。尚、このU2を求める際には、偏光依存性を考慮すれば、電磁場解析が適しているが、近似的には、スカラー解析手法を用いても構わない。
【0088】
上記(3)では、導波路203にて発生するモード光の瞳面でのフラウンホーファー像強度分布を求め、これを「U3」とする。上述のように、このU3に関しては、FDTD法による解析法が広く知られており、本例でもFDTD法による近似を用いている。
【0089】
図10は、グレーティング部分101の各要素について、フーリエ面上での像のイメージを示す概念図である。尚、太い矢印で示す方向が照射光の方向を示しており、「Sf」がフーリエ面(ピックアップレンズ14)を、「So」が逆フーリエ面(撮像装置20での観察像面)をそれぞれ表している。
【0090】
また、「f(X)」(X=101,201,202,203)は、要素毎の裏面における複素振幅分布を表し、「F(X)」(X=101,201,202,203)は、要素毎のフーリエ変換について表している。例えば、Xの値が各要素の符号を示し、F(201)が上記U1に、F(202)が上記U2に、F(203)が上記U3にそれぞれ相当し、記号「*」によってコンボリューション(畳み込み演算)を表記するとき、「F(101)=F(201)*F(202)*F(203)」の関係が成立する。つまり、符号201乃至203に示す各要素(領域)の影響が合わさって、F(101)に反映されることになる。
【0091】
また、「F-1(101)」はグレーティング部分101についての、逆フーリエ変換を表しており、逆フーリエ面上の観察画像が撮像装置20において得られる(画像表示例については、図9を参照されたい。)。
【0092】
尚、逆フーリエ面上の観察画像について、そのままの形では(1)乃至(3)で得られる解析結果と比較することができないので、上記(4)では、両者の比較を行えるように処理する必要がある。
【0093】
そのためには、例えば、観察画像に対して必要な演算処理を施して得られる結果を、解析結果と比較する構成形態が挙げられる。
【0094】
撮像装置20で観察される画像について、その画像信号(検査結果)を、フーリエ変換し、ピックアップレンズ14のフーリエ面での強度分布を求め、前述したU2、U3にてデコンボリューションにより領域202で発生する回折像の影響や導波路203によるモード光の影響を取り除いた後、逆フーリエ変換を行う事で、修正された検査結果(以下、「修正検査結果」という。)を得て、グレーティング部分101におけるグレーティング201のみのカップリング効率の算出を行い、その結果と解析結果(無限周期構造の解析解)との間で単純比較を行うことが可能である。
【0095】
図11は、上記計測処理手段30における処理形態の説明図であり、実際にはソフトウェア処理で行う部分を、説明の便宜上、ブロック要素として概略的に示したものである。
【0096】
撮像装置20によって取得される画像信号「G」が、フーリエ変換処理部31に送られた後、デコンボリューション処理部32に送出される。
【0097】
解析部(あるいはモデル解析処理部)33は、上記(1)乃至(3)の処理を担当するものであり、グレーティング部の設計仕様に基く解析に必要な情報については、入力/操作部34から入力したり、設定又は選択することができるようになっている。解析部33は、上記U1、U2、U3の算出処理を行い、U2、U3に係るデータについてはデコンボリューション処理部32に送出し、また、U1に係るデータについては比較部35に送出する。
【0098】
デコンボリューション処理部32では、解析部33からのU2、U3に係るデータに基いて、有限領域202のエッジにて発生する回折像に応じた周波数応答成分、上記導波路モード光成分に応じた周波数応答成分を瞳空間にてデコンボリューションにより除去し、その結果を比較部35に送出する。
【0099】
比較部35では、デコンボリューション処理部32及び解析部33からそれぞれ送られる結果をそのままで又はフーリエ変換を経た上で比較し、両者の相違が許容範囲内であるか否かを判定する。そして、判定結果を、図示しない表示装置に表示させ又は警報等を発したり、あるいは、被検査物を次工程に移送させる場合の許否や、使用停止等について制御する。例えば、設計通りにグレーティングが製造されているならば、検査結果と解析結果との差異は許容誤差の範囲内であると判定され、その旨(検査合格)や誤差が表示等で通知されるが、検査結果と解析結果との差異が顕著である場合には、その旨(検査不合格)や誤差が表示等で通知される。
【0100】
このように、解析結果と、有限領域を持つ微小グレーティングにおける検査結果とを単純比較する為には、有限領域を持つ微小グレーティングから、グレーティング(201)のみのカップリング効率の情報を抽出する必要がある。フーリエ変換処理部31やデコンボリューション処理部32は、そのための抽出手段36を構成しており、これによって画像信号Gに基いて、グレーティングのみのカップリング効率を抽出することが可能となる。
【0101】
尚、上記(1)乃至(3)については、上記(4)までに求めておけば良いので、それらの順序の如何は問わない。
【0102】
以上に説明した処理例では、修正検査結果、つまり、計測結果に加工を施してその結果をこれに対応する解析結果と比較したが、この方法に限らず、例えば、解析結果を修正した結果を、計測結果と比較する形態が挙げられる。即ち、解析結果より求めた瞳面での像強度分布に、上記U2、U3をコンボリューションにより畳込んだ後、フーリエ変換を行うことで、修正された解析結果(修正解析結果)を得て、これを計測結果(検査結果)と単純比較できるようにする方法を用いても構わない。
【0103】
そのための処理手順を箇条書きにまとめると、下記の通りである。
【0104】
(1) 解析結果のフーリエ変換像に対して、有限領域を持つグレーティング部分101に応じた周波数応答成分(U2)及びグレーティングの導波路モード光成分に応じた周波数応答成分(U3)を瞳空間にてコンボリューションにより付加する。
(2) (1)で得た結果を、逆フーリエ変換する(これは、撮像装置20による画像が、(1)の結果に対するフーリエ変換の関係に対応するため。)ことにより、計測結果との比較が可能な状態、つまり、両者が対等の関係をもつように変換する。
(3) (2)で得た修正解析結果を、計測結果と比較する。
【0105】
また、このようにして得られる修正解析結果や、撮像装置による画像情報については、図9に示したように、そのままの状態では人間の視覚で判断し難いので、解析結果を利用した加工処理によって、純粋にグレーティングに依存する成分だけを抽出して画像表示装置に映し出して映像化し、解析結果と計測結果を対比させながら視覚的に確認したり、グレーティングデューティー等を表示するといった、各種形態での実施が可能である。
【0106】
尚、グレーティング検査において、電磁場解析による参照手法の整合性を確認するとともに、実際のデータとの補間を行う為には、透過型電子顕微鏡を補助的に使用することが好ましい。これは、より解像力の高いTEM(Transmission Electron Microscope)の測定値を参照値として、サンプル条件毎にルックアップテーブル(参照テーブル)を作成したり、データの比較及び参照を行うためであり、よって、透過型電子顕微鏡の使用を前提として本発明が成り立つ訳ではないが、測定の高精度化のために付加的な機能を検査装置に設けることについては、何ら問題ない。
【0107】
また、上記に説明した処理は、計測処理手段30における信号処理(あるいは情報処理)として行われたが、その一部を光学的な手段によって実現しても構わない。例えば、上記した、ピックアップレンズ14、結像レンズ19を、フーリエ変換レンズとする事で、フーリエ面の情報、即ち、周波数スペクトルを観察し、その中からDC(直流)成分のみを抽出する光学的フィルタ又は電気的フィルター(ローパスフィルタやバンドパスフィルタ)を用いる。これにより、上記領域202にて発生する周波数応答成分及び各導波路203にて発生する周波数応答成分を除去する事ができる。即ち、上記に詳しく説明した処理では、要するに、グレーティング部分101に係る周波数応答像の直流成分だけを抽出している訳であるから、フーリエ変換レンズを検出光学系に設け、直流成分を光学的に又は電気的に抜き出すためのフィルターを用いることは、処理の高速化や、画像情報の処理負担の軽減等にとって有効である。
【0108】
さらに、上記導波路モード光については、例えば、複数の単色波長光源又は縦マルチモードレーザー光源又は白色光源を用い、相互の波長による導波路モード光を相殺させるようにすると、当該導波路モード光の影響を排除できる(当該モード光が発生しない。)。但し、この場合、上記した解析手法による計算処理では、光源の波長全域について解析を行って、結果を足し合わせることが必要となる。
【0109】
あるいは、集光レンズ13の開口数を「NA1」とし、ピックアップレンズ14の開口数を「NA2」として、これらと光源波長「λ」及び導波路モード光のモード間の間隔L(周期)との間で、「λ/(NA1+NA2)>L」の条件が成立する様に、開口数の組み合わせを選択する事で、モード光の発生する基本波情報を除去することができる(上記導波路モード光の解像を回避できる)。そして、電磁場解析等の処理にかかる時間を短縮することが可能である。
【0110】
ところで、上記グレーティング検査装置1では、グレーティング部101に入射するレーザー光の偏光状態について、直線偏光状態での任意偏光角度の調整や、円偏光状態及び任意の楕円偏光状態の調整を行うことができるように構成している。これは、グレーティング方向と直交する偏光成分の透過効率(あるいは透過率)が、グレーティング方向の偏光成分の透過効率よりも高いと言う電磁波の特性を用いるためである。本例では、上記グレーティング部101を観察する際に、λ/2波長板調整ユニット10と、λ/4波長板調整ユニット11で、各波長板を所定角度回転させる事で、入射する直線偏光状態の光について、その偏光方向を、グレーティング部101のグレーティング方向に対して、0度乃至90度の範囲内で回転させ、さらには、円偏光入射状態で計測する事ができるように配慮しており、測定精度の向上を図っている。このように、照明光学系での偏光状態を調整するための偏光光学素子(2分の1波長板、4分の1波長板等を含む。)及びその調整機構を設けることによって、最適な照明条件(偏光状態)を実現することができる。
【0111】
さらに、上記検出光学系DOにおいて、撮像装置20によって得られる画像信号には、光学系固有の波面収差、複屈折等の光学系の位相及び偏光誤差の影響が含まれることになるので、それらを含めて解析するためには、瞳空間に、光学系の収差、複屈折に相当する位相フィルター関数及び偏光フィルター関数を有する瞳フィルター関数を設定して、当該関数を用いて解析処理を行うことが好ましい。
【0112】
即ち、検出光学系の透過波面収差、複屈折量を、それぞれ単体にて計測し、ピックアップレンズ14の瞳面において、測定したピックアップレンズ14の透過波面収差を位相誤差関数及び偏光誤差関数として持たせ、これによって撮像装置20で検出された画像情報に含まれる、光学系の誤差を除去することができる。
【0113】
尚、上記瞳フィルター関数については、光学的なフィルター手段として設ける形態と、電気的なフィルター手段として設ける形態、あるいは、コンピュータ上でのソフトウェア処理で実現する形態等が挙げられる(複雑化の度合いや処理時間、コスト等を考慮して選択すべきである。)。
【0114】
以上に示した方法については、グレーティング部分101の周期に関して特に制限が無いので、検出光学系DOにおいて直接光である0次回折光のみを検出する様に構成する事で、すべてのグレーティングへの応用が可能であることは明らかである。
【0115】
上記グレーティング検査装置1を用いた観察と、従来型の光学式顕微鏡を用いた解像限界内の微細寸法観察とを比較した場合に、前者では、装置パラメーター、即ち、レーザー光源1Lの光源波長、集光レンズ13及びピックアップレンズ14の開口数、照明のコヒレーンスファクター、サンプルである微小グレーティングに関する既知の物性情報、グレーティング領域やグレーティングピッチの情報、グレーティング厚さの情報を用いるとともに、検出光学系DOにおいて観察した直接光のカップリング効率から、グレーティングデューティーに係る形状等を定量化できることが、明らかな相違点である(つまり、これまでは、1次以上の回折光に関する結像現象に固執した装置構成から離れられないため、解像力という観点からのアプローチだけでは、自ずと限界に直面してしまう結果となる。)。
【0116】
上記に説明した方法を用いれば、スキャニングステッパーに代表される光学式半導体露光用のマスク検査や、軟X線を用いた半導体露光用反射マスク等への各種応用が可能であり、例えば、下記に示す適用形態が挙げられる。
【0117】
・半導体露光用マスク製造プロセスに用いる、エッチング工程において、上記グレーティング検査装置1を、エッチング条件のインラインモニターとして用いる為に、エッチング装置内に設置し又は付加的に配置する形態。
・オゾンにより半導体露光用マスク表面を酸化させ、その後、強酸にてエッチングする事によりマスクに付着した異物等の洗浄を行うマスク洗浄工程において、洗浄による、グレーティングの高さ、および幅方向の変形状態をモニターするために、グレーティング検査装置1を用いる形態。
・半導体露光装置内にグレーティング検査装置1を設置し又は付加的に配置し、露光用マスクの搬入時に微小グレーティング形状をモニターする形態。
【0118】
以上、詳細に説明した様に、上記グレーティング部分101におけるカップリング効率に関して、EB露光装置用マスクの物性や、集光レンズ13、ピックアップレンズ14の光学定数は既知であり、また、グレーティング部分101に係るグレーティング周期、パターン長さ、パターン幅については、設計データから引用する事で知る事ができる。従って、膜構造(厚み方向における構造)を、他のプロセス等にて測定することができれば、カップリング効率を決定するのに必要なパラメータは、グレーティング部分101のデューティーのみとなる。計測結果と解析結果の一方又は両方について修正を施して両者を対等のレベルで比較できるようにした上で、その比較結果から、グレーティング部分101の形状について定量化又は検査(合否判断等)を行うことができる。例えば、解析結果や測定によって、図8に示す特性が得られているのであれば、光源波長毎に、グレーティングデューティーを変数としたカップリング効率(この場合には0次回折光の透過率)のデータをテーブル化しておき(参照用テーブルを事前に作成しておく。)、その後において、検出光学系DOにより得られる画像情報からカップリング効率の計測データを得た場合に、当該データを、テーブル化しておいたデータを参照して容易に比較することができる。つまり、グレーティング部分101のグレーティングデューティーについては設計値として与えられるので、その値を指定することで参照されるテーブルデータ(比較基準値を示す。)と、上記カップリング効率の計測データとの差が、許容範囲内である場合には検査合格と判定し、許容範囲から逸脱している場合には、検査不合格と判定すれば良い。勿論、複数回の検査に基づく多数決決定等の論理に従って判定することも可能であり、また、上記許容範囲内については、許容上限又は下限を予め設定しておく形態と、条件等に応じて上下限を動的に変更する形態等、各種の実施態様が可能である。
【0119】
尚、上記の説明では、理解し易いように、透過カップリング効率、即ち、直接光の透過率を検出する場合の構成形態及び方法を例にして詳述したが、これに限らず、反射回折光を上記した測定の為に用いても構わないことは勿論であり、基本的な原理において何ら変わりはない。
【0120】
しかして、EB露光装置用マスク製造工程において、これまで簡易な検査手法が無いために、非常に高価な、透過型電子線走査型顕微鏡を頻繁に使用する必要があり、その結果、EB露光装置用マスクの製造コストに占める、検査費用が問題となっていたが、上記グレーティング検査装置1を、簡易な測定装置として導入することができ、これによって、マスクの不良個所等を速やかに検出するとともに、EB露光装置用マスクの製造コストを引き下げることができる。
【0121】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1や請求項に係る発明によれば、被検査物(のグレーティング)による回折光のうち、直接光である0次回折光に係る透過率又は反射率の情報を計測して、グレーティングの解析結果との比較に基いてグレーティングの形状を定量化することができるとともに、結像による空間分離の観察に伴う解像力限界という制約を受けない。そして、透過型電子顕微鏡を用いることなく、簡易な検査手法を用いて、グレーティングを含む被検査物について計測及び形状検査を迅速に行うことができる。また、有限領域をもつグレーティング部分について、有限領域のエッジ部での回折像や導波路モード光の影響を排除することにより、計測結果と解析結果との比較を容易に行うことができる。
【0123】
請求項に係る発明によれば、フーリエ変換について光学的フィルターを用い、直流成分の抽出については光学的又は電気的フィルターを用いることによって、計測処理の負担を軽減し、また、処理時間を短縮することができる。
【0130】
請求項に係る発明によれば、計算処理を部分的に簡略化することによって、処理負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るグレーティング検査装置の構成例を示す図である。
【図2】被検査物であるEB露光装置用マスクの概略図である。
【図3】被検査物のグレーティング部分と、集光レンズ及びピックアップレンズを示す概略図である。
【図4】グレーティングピッチが光源波長よりも長い場合の回折光についての説明図である。
【図5】グレーティングピッチが光源波長よりも短い場合の0次回折光及びエバネッセント波についての説明図である。
【図6】非グレーティング部に垂直入射した光線について透過率の波長依存性を一例として示すグラフ図である。
【図7】グレーティング部分に係るカップリング効率を、光源波長毎に比較したグラフ図である。
【図8】グレーティングデューティーをパラメータとした場合の、0次回折光のカップリング効率を例示したグラフ図である。
【図9】検出光学系を構成する撮像装置によって検出される画像例を示す図である。
【図10】グレーティング部分を構成する各要素と、各像との関係について説明するための概念図である。
【図11】計測処理手段における処理形態の説明図である。
【符号の説明】
1…グレーティング検査装置、LS…光源、LO…照明光学系、DO…検出光学系、13…集光レンズ、14…ピックアップレンズ、30…計測処理手段、100…被検査物、101…グレーティング部分

Claims (4)

  1. 微細な繰り返しのパターン構造又は周期性の構造をもったグレーティングを含む被検査物について、当該グレーティングの形状を光学的に検査するために、単一波長を有する光源と、被検査物に係る観察面に光源からの光を照射するための照明光学系と、光源からの光のうち被検査物を透過した光又は当該被検査物で反射した光を検出する検出光学系とを備え
    上記被検査物のグレーティングによる回折光のうち、直接光である0次回折光に係る透過率又は反射率として計測される情報を取得するとともに、当該情報を、上記グレーティングに係る解析結果と比較することによりグレーティングの形状について定量化するための計測処理手段を設けたグレーティング検査装置において、
    上記被検査物のうち、有限領域を有するグレーティング部分について、有限領域のエッジ部での回折像や、導波路モード光の影響を取り除いた、純粋にグレーティングのみのカップリング効率に係る情報を抽出する手段を、上記計測処理手段が備え、
    上記計測処理手段が、上記検出光学系によって得られる画像信号をフーリエ変換した後、有限領域のエッジ部にて発生する回折像に応じた周波数応答成分及びグレーティングの導波路モード光成分に応じた周波数応答成分を瞳空間にてデコンボリューションにより除去することで修正された計測結果を得るとともに、当該計測結果をこれに対応する解析結果と比較する
    ことを特徴とするグレーティング検査装置。
  2. 請求項1に記載したグレーティング検査装置において、
    上記グレーティング部分に係る周波数応答像の直流成分だけを抽出するために、フーリエ変換レンズを上記検出光学系に設けるとともに、当該検出光学系によって得られる画像信号について直流成分のみを透過させる光学的又は電気的なフィルタを設けた
    ことを特徴とするグレーティング検査装置。
  3. 微細な繰り返しのパターン構造又は周期性の構造をもったグレーティングを含む被検査物について、当該グレーティングの形状を光学的に検査するために、単一波長を有する光源からの光を、被検査物に係る観察面に照射し、被検査物を透過した光又は当該被検査物で反射した光を検出光学系によって画像信号として検出し、
    上記被検査物のグレーティングによる回折光のうち、直接光である0次回折光に係る透過率又は反射率としてカップリング効率を計測する工程と、
    上記工程による計測結果を、上記グレーティングに係る解析結果と比較するために計測結果又は解析結果について演算処理を行うとともに、両結果の比較によって当該グレーティングの形状について定量化する工程を備えたグレーティング検査方法において、
    光源波長及び光学定数、グレーティング材料の物性や特性を既知として、グレーティングデューティーを変数として定まる、上記グレーティングにおける任意次数での回折光についてカップリング効率を解析によって求める工程と、
    上記の解析から得られる、グレーティングの上記検出光学系側の界面における複素振幅分布から、当該検出光学系と等価な伝達関数を用いた演算手法により、当該検出光学系で得られる上記画像信号と等価な強度分布を求める工程と、
    上記強度分布の結果と、上記検出光学系による計測結果とを比較する工程を備え、
    上記グレーティングを無限周期として任意次数での回折光についてカップリング効率を解析によって求める工程を備え、
    上記解析結果と、有限領域を持つグレーティング部分に係る計測結果を比較する為に、当該グレーティング部分から、グレーティングのみによるカップリング効率の情報を抽出する工程として、上記画像信号をフーリエ変換した後、有限領域のエッジ部にて発生する回折像に応じた周波数応答成分及びグレーティングの導波路モード光成分に応じた周波数応答成分を瞳空間にてデコンボリューションにより除去した後、逆フーリエ変換する
    ことを特徴とするグレーティング検査方法。
  4. 請求項3に記載したグレーティング検査方法において、
    上記解析結果のフーリエ変換像に対して、上記有限領域を持つグレーティング部分に応じた周波数応答成分及びグレーティングの導波路モード光成分に応じた周波数応答成分を瞳空間にてコンボリューションにより付加した後、逆フーリエ変換する工程を備えている
    ことを特徴とするグレーティング検査方法。
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