JP2007033187A - インライン計測型の偏光解析装置および偏光解析方法 - Google Patents

インライン計測型の偏光解析装置および偏光解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 その場計測における計測利便性とほぼ同等、かつその場計測よりも高い計測精度のインライン計測による偏光解析を実現する。
【解決手段】
試料を処理するプロセスチャンバにつながるプレチャンバ206の内部に、前記プレチャンバ206に移動した試料201へ光を入射する光源部202と、前記試料201からの反射光を受光する受光部203とを有し、前記受光部203からの反射光の情報を処理する処理部204を有し、前記試料201の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析装置により解決することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、インライン計測型の偏光解析装置および偏光解析方法に関し、例えば、フォトニック結晶アレイを利用して、真空内にある試料の物性値を測定するエリプソメータに応用することができる。
薄膜の膜質や膜厚を分析する代表的な方法として、古くから知られている手法であり、偏光解析の一種であるエリプソメトリが挙げられる。エリプソメトリとは薄膜試料に特定の偏光状態の光を入射し、試料から反射される光のうち電界が入射面に平行な成分(p偏波)の反射率Rと、電界が入射面に垂直な成分(s偏波)の反射率Rとの比ρを測定することにより、試料の屈折率(n)、消衰係数(k)又は膜厚(d)などを求める手法である。
ここで、ρは一般には複素数であり、ρ=R/R=tan(Ψ)×exp(jΔ)と表すことができる。ΨとΔは測定する光(反射光)の偏光状態を表すパラメータで、エリプソメトリ角と呼ばれる。このρは薄膜試料の屈折率(n)、消衰係数(k)および、厚さ(d)によって決まる値であることから、エリプソメータを用いて反射光の偏光状態(Ψ、Δ)を求めることができれば、逆に試料の屈折率、消衰係数、膜厚を算出することが可能となる。
エリプソメータでは、試料からの反射光の偏光解析を行ってΨとΔを求める方法として、応用物理ハンドブック(下記非特許文献1、2を参照)などの文献に示されている消光法や回転検光子法などが用いられてきた。
消光法とは、試料からの反射光(一般には楕円偏波)を1/4波長板、偏光子の順に通して受光器で受光し、1/4波長板と偏光子をそれぞれ独立に回転させて、光強度が最小となる回転角度を読むことによりΨとΔを求めるものである。しかしながら、この方法では2変数で最小値を探すため、1回の測定を行うだけでも比較的長い時間を必要とする欠点がある。
一方の回転検光子法とは、1/4波長板を使わずに検光子だけを用いて偏光解析を行う方法である。回転検光子法では偏光子を1回転させときの受光強度の変化を測定し、受光強度を角度の関数として得られれば、計算によりΨとΔを求めることができるが、位相差についてΔと(2π―Δ)の区別、すなわち右周りの楕円偏波か左周りの楕円偏波かの区別が付かないという不都合がある。これを回避するためには、1/4波長板を挿脱するなどして1点の計測に対して2回以上の測定を行う必要があることから、測定が煩雑であり計測に要する時間が多大であることは先の消光法とあまり変わらない。
近年、半導体技術の著しい進歩により、各種デバイスの高性能化や小型化が進むなか、CVDやスパッタ等の薄膜プロセスに要求される精度は非常に厳しくなってきており、例えば、数nmの厚さの膜を0.1nmの精度で作製することも求められている。現在、このような高精度な製膜(または製膜装置)を実現するために、プロセスチャンバ中の試料の膜厚および膜質をその場(in situ:インサイチュ)で計測(製膜を行いつつ時々刻々に膜質・膜厚を計測)できるような、精度の高い膜厚・膜質モニタが熱望されている。
例えば、上記回転検光子法を原理としたエリプソメータにより、プロセスチャンバ中にある試料を測定するためには、プロセスチャンバの外部(本明細書では、「チャンバの外部」とは、真空でない大気圧環境という意味の外部だけでなく、幾何学形状的にはチャンバ全体の主な輪郭よりも外側をも意味する場合がある。)に各光学系統を有するシステムを構築することが通常行われている(下記特許文献1を参照)。プロセスチャンバの外部に構築する理由としては、1つには当該測定原理が、駆動装置を必要とし、高真空チャンバの内部(本明細書では、「チャンバの内部」とは、真空環境という意味の内部だけでなく、幾何学形状的にはチャンバ全体の主な輪郭よりも内側をも意味する場合がある。)に駆動装置を設置することが困難であるからであり、さらには従来のエリプソメータが大型でプロセスチャンバ内部に収納することが実際的でないことによる。
しかしながら、このようなプロセスチャンバの外部に各光学系統を有するシステムでは、プロセスチャンバの外部からガラス窓を介して、内部の試料へ光を入射、及び反射光の検出を行っているため、ガラス窓における光の散乱、吸収などにより、計測精度が低下したり、光路が長くなるため試料の位置や傾きにより光路変動が大きくなり光学系の調整が難しくなったりするという問題があった。
そこで、駆動部のない偏光解析装置として、測定する光ビームを4つに分岐した後、それぞれ偏光子もしくは波長板と偏光子を通過させ、4つの異なる偏光成分の光強度を計測することにより偏波状態を解析する手法が提案されている(下記特許文献2を参照)。このような偏光測定装置は、簡便でかつ高速な偏光解析に適しており、その測定原理は結晶光学(下記非特許文献3を参照)等の文献に紹介されているように古くから良く知られているものである。しかしながら、このような偏光解析装置の実現には、結局、ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ、および、1/4波長板や偏光子、さらには受光素子といった光学素子が多数必要となり、上記回転検光子法の場合と同様に、装置の小型化が難しい。また、各部品を精度良くアセンブリすることが非常に難しいことから、結果として測定精度が悪くなってしまうため、薄膜の光学定数や厚さを高精度に測定する要求のあるエリプソメータには適していない。
これに対し、下記詳細に説明する「フォトニック結晶」を用いて受光部を小型化・非駆動化し、プロセスチャンバ内で設置が可能となったエリプソメータが提案されている(下記特許文献3,4を参照)。このエリプソメータによれば、工場・実験室の室内で用いられる他、プロセスチャンバの中でも用いることができ、製膜やエッチング等の制御性が飛躍的に高まることが期待される。
しかしながら、プロセスチャンバは、現実的には、製膜・エッチングプロセス用の電極やシャッタなどがチャンバ内の空間を優先的に占有するようにして設計されており、電極やシャッタに遮られてエリプソメータの光路を設定することが難しい。したがって、エリプソメータの光路を優先する場合には、プロセスチャンバの設計を変更する必要がある場合が多く、既存の真空処理装置へ取り付けることは容易ではない。また、プロセスチャンバ内の反応性ガス、反応生成物がエリプソメータの発光部や受光部に付着したり、製膜・エッチング反応のための高温環境の問題、プラズマなどの放電による電磁雑音が計測を妨害したりするなどのおそれがある。
また、一般的に、複数の波長の光を用いて計測精度を向上させることも考えられるが、複数波長に対応した受光部の肥大化は、上述する限られたプロセスチャンバ内では、解決が難しい。さらに、プロセスチャンバでは、上記電極やシャッタなどの影響から、エリプソメータの光源部及び受光部をチャンバ内における別々の位置に設ける可能性が高いため、アライメントが難しかったり、真空引き前後でチャンバが撓むことによる光路のズレなどが発生するおそれがあったりして、作業性を低下させる原因となっていた。
特開平10−48050号公報 特開平5−113371号公報 特開平10−335758号公報 国際公開番号WO2005/029050A1 応用物理ハンドブック,応用物理学会編(丸善),pp.20−22,1990年. R. M. A. Azzam and N. M. Bashara: Ellipsometry and Polarized Light, North Holland (1987) 結晶光学,応用物理学会光学懇話会編,(森北出版),pp.139140,1990年.
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その場計測における計測利便性とほぼ同等、かつその場計測よりも高い計測精度のインライン計測により、下記いずれかの課題を解決する発明である。(1)チャンバ外部からガラス窓を介して計測することによる光の散乱、吸収などに基づく計測精度の低下を解決する。(2)チャンバ外部からガラス窓を介して計測することにより光路が長くなることによる光学系の調整の困難さを解決する。(3)チャンバ内に装置を設置する場合の空間的な自由度の低さを解決する。(4)チャンバ内に装置を設置する場合の反応性ガス、反応生成物などの付着問題、高温環境の問題、電磁雑音の問題を解決する。(5)既存の真空処理装置へ取り付けることが困難であるという問題を解決する。(6)装置における光学系光路のアライメント作業が困難であるという問題を解決する。
本発明は、基本的には、製膜やエッチングなどを行う真空処理装置において、プロセスチャンバを用いたインサイチュ計測ではなく、インライン計測が可能なチャンバ、例えば、ロードロックチャンバやトランスファーチャンバなどの内部に偏光解析装置の少なくとも受光部(更には光源部)を設置することにより、上述する問題を解決するようにしたインライン計測型の偏光解析装置である。すなわち、プロセスチャンバ内に解析装置を設置することにより生じる、設置空間の狭さ、反応性ガス等の付着、高温環境、電磁雑音などの問題や、既存の真空処理装置への取り付け(後付け)の問題、アライメント作業の問題について、偏光解析装置の設置場所をインライン計測が可能なチャンバに設けることで、解決することができるという知見に基づく発明である。
また、本発明は、インライン計測が可能なチャンバにおいて、真空環境という意味の内部だけでなく、圧力的には大気部であって幾何学形状的にはチャンバ全体の主な輪郭よりも内側(例えば、チャンバの内側にへこんだ凹部)に受光部などを設けることにより、各光学系統のアライメント補正などのわずらわしさをなくしたり、既存の真空処理装置へ後付けが可能となったりするという知見に基づく発明である。本発明の解析装置は、小型であること、製膜プロセスと独立なプレチャンバに用いることの両面から、すでに製造され供用されている莫大な数の(モニタなしの)真空装置に後付けが可能となる。毎年製造される真空製膜装置に適用するだけでなく、その数十倍の規模の数量がある既存装置への取り付けができるので、本発明を適用可能な市場が大きく、産業効果が明らかな発明である。
また、具体例を用いて本発明の基本概念を説明すると、本発明は、偏光解析装置の受光部として、例えば、光軸方向が互いに異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、光軸方向もしくはリターデーション(位相差)が互いに異なる複数の領域を有する波長板アレイ、および受光素子アレイを組み合わせることによって構成される受光部を用いることにより、駆動部がなく、小型の偏光解析装置またはエリプソメータとすることができるという知見に基づく発明である。更に、偏光子アレイおよび波長板アレイとして、フォトニック結晶と呼ばれる多次元周期構造からなる人工光学材料を採用することにより、十分に小型で信頼性の高い装置を実現することが可能となるという知見に基づく発明である。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
試料を処理するプロセスチャンバにつながるプレチャンバの内部に、前記プレチャンバに移動した試料へ光を入射する光源部と、前記試料からの反射光を受光する受光部とを有し、
前記受光部からの反射光の情報を処理する処理部を有し、
前記試料の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
プロセスチャンバに受光部等を設けて行うその場計測では、リアルタイムで膜の物性値を計測しながら処理を進めることができるが、上述する様々な問題がある。そこで、試料を処理するプロセスチャンバではなく、試料をプロセスチャンバに導入したり、一時的に待機させたりするためのプレチャンバ(前室)に少なくとも受光部、更には光源部を設けるようにした。ここで、プレチャンバの内部とは、チャンバ壁の内側の真空環境という意味の内部だけでなく、幾何学形状的にはチャンバ全体の主な輪郭よりも内側(例えば、チャンバ壁に形成された凹部の内側)をも意味する。
なお、「インサイチュ」とは、プロセスチャンバ内で製膜等の処理を行いながらリアルタイムで処理状態を計測する方法であり、リアルタイムのフィードバックが可能だが、上述する様々な問題により現実的には難しい方法である。一方、「インライン」とは、製膜等の処理を一度中止・中断して別工程として処理状態を計測する方法であり、例えば、プロセスチャンバで処理した試料を、ロードロックチャンバやトランスファーチャンバなどのプロセスチャンバ以外に移動して、別工程として処理状態を計測する。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記試料の処理は、被製膜部材上への製膜または製膜された膜のエッチングである、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
試料の処理としては、様々な処理があるが、特に製膜処理又はエッチング処理の際には、プレチャンバにおいて適正な製膜、エッチングがされたかどうか判断することにより、膜の処理度合いを適切に制御することができる。プロセスチャンバにおいてリアルタイムで膜厚等を計測するためには、受光部等の影により製膜やエッチングが不均一とならないように、計測対象から比較的離れた位置に光源部や受光部を設置する必要がある。その結果、受光部等の汚染の問題に加えて、計測精度の低下、アライメントの困難性などの問題を生じる。これに対して、プレチャンバの内部は、比較的自由度が高く、汚染物等の影響がないため、精度の高い計測が可能であり、膜の処理度合いを適切に制御することができる。なお、上述する膜とは、単層膜であってもよいし、多層膜であってもよい。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記プレチャンバは、ロードロックチャンバ又はトランスファーチャンバである、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記物性値は、前記試料の屈折率(n)、消衰係数(k)又は膜厚(d)の少なくとも1つである、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
なお、上述する膜とは、単層膜であってもよいし、多層膜であってもよい。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記プレチャンバは、前記移動した試料に臨むように形状的に内側に入り込む凹部を有し、
前記光源部及び前記受光部は、前記凹部の内側に設けられ、
前記光源部は前記凹部の内側に設けられた透明窓から前記試料へ光を入射し、前記受光部は前記凹部の内側に設けられた透明窓から前記試料からの反射光を受光することにより、前記試料の物性値を計測する、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記凹部は前記プレチャンバの内側に向かって伸縮自在に構成され、前記光源部及び前記受光部と前記試料との距離が調整可能となっている、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
従来、チャンバ内の試料を光学的に計測する際には、例えばドーム状のチャンバの外部に光源部や受光部等を設けて、チャンバ壁に形成されたガラス窓から内部の試料へ光を入射及び反射光を受光することによりチャンバ内部の試料の物性計測を行っていた。この場合、試料までの光路が長くなってしまう結果、上述する問題が生じる。一方、例えばチャンバの壁面に穴部、くぼみ部等の凹部があり、凹部の内部に従来の光源部や受光部等を設置できれば、試料までの光路を短縮することもできるが、従来の解析装置は大型であったため、このような対策も不可能であった。しかしながら、例えば、下記詳細に説明するフォトニック結晶を用いた受光部を用いることにより、このような凹部の内部を設置場所とすることができるため、真空内部への設置でなくとも、試料との光路を短縮して、測定精度を向上させたり、アライメントの困難性を解消したりすることができる。
なお、「凹部」とは、既存のチャンバに後付けで設けた穴部やくぼみ部等でもよいが、一般に、チャンバには、外部機器との接続や拡張性などを考慮して様々な箇所にフランジ部が設けられており、このフランジ部を利用してもよい。既に設けられている適当なフランジ部を利用することにより、設計変更することなく既存のチャンバに本発明を適用することができる。
1つの具体例について説明する。光源部及び受光部を設置可能な大きさを有するフランジ部に対して、当該フランジ部に挿入可能な、底部が密閉された筒状部材を別途用意する。筒状部材は、その底部に光源部及び受光部が設置されていると共に、この光源部からの光がチャンバ内の試料に入射できるような透明窓及び試料からの反射光がこの受光部に入力できるような透明窓が設けられている。そして、この筒状部材を、その底部を先頭にして、フランジの内部に挿入した構成とする。フランジ部の内周面と筒状部材の外周面とは真空グリースなどを介して摺動可能なようになっており、チャンバ内部の真空度が保たれるとともに、筒状部材の底部はチャンバの内側に向かって伸縮自在に構成され、光源部及び受光部と試料との距離が調整可能となっている。このように構成することにより、チャンバ内の試料との光路を短縮したり、チャンバ内での試料の位置変更に容易に対応することができる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記受光部は、フォトニック結晶により構成された波長板およびフォトニック結晶により構成された偏光子の少なくとも1つを有する、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記受光部は、
透過光に与える位相差は一様で光軸方向が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、
透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、
前記波長板の特定の領域とそれと重なる前記偏光子の特定の領域を通過した光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
各アレイの配置例としては、波長板アレイを前面、偏光子アレイを後面として重なるように配置し、波長板と偏光子の重ね合わせによって得られるそれぞれの領域を通過した光を個別に受光することのできるような受光素子アレイを2次元的に配置すればよい。ここで、波長板アレイと偏光子アレイおよび受光素子アレイは直接貼り合わせて一体化することも可能であるが、各アレイ間にリレーレンズを配置して、それぞれのアレイ透過後の像を次のアレイへと結像させてもよい。また、全偏波状態にわたって高精度な偏波解析を実現するためには、波長板アレイの各領域の位相差は1/4波長(π/2ラジアン)であり、波長板アレイの光軸方向および偏光子アレイの光軸方向は少なくとも0°から180°の範囲を網羅していることが望ましい。さらに、偏光子アレイおよび波長板アレイの領域の分割数が多いほど測定精度は高くなる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記受光部は、
透過光に与える位相差は一様で光軸方向が個々に異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する波長板アレイと、
透過する偏波の方向が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する偏光子アレイと、
前記波長板アレイと前記偏光子アレイとが前記ストライプを互いに交差させるように配置されて形成される各交差領域を通過する光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
各アレイの配置例としては、波長板アレイを前面、偏光子アレイを後面として各々のストライプが交差するように配置し、各交差領域を通過する光を個別に受光することのできるような受光素子アレイを配置すればよい。上記と同様に、波長板アレイと偏光子アレイおよび受光素子アレイは直接貼り合わせて一体化することも可能であるが、各アレイ間にリレーレンズを配置して、それぞれのアレイ透過後の像を次のアレイへと結像させてもよい。また、全偏波状態にわたって高精度な偏波解析を実現するためには、波長板アレイの各領域の位相差は1/4波長(π/2ラジアン)であり、波長板アレイの光軸方向および偏光子アレイの光軸方向は少なくとも0°から180°の範囲を網羅していることが望ましい。さらに、偏光子アレイおよび波長板アレイのストライプ状の領域の数は多いほど測定精度が高くなる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる面内の一方向に繰り返される周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなる、
上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記受光部は、
光軸方向は一様で透過光に与える位相差が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、
透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、
前記波長板の特定の領域とそれと重なる前記偏光子の特定の領域を通過した光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
各アレイの配置例としては、波長板アレイを前面、偏光子アレイを後面としてそれぞれ重なるように配置し、波長板と偏光子の重ね合わせによって得られるそれぞれの領域を通過した光を個別に受光することのできるように光素子アレイを配置すればよい。ここで、波長板アレイと偏光子アレイおよび受光素子アレイは直接貼り合わせて一体化することも可能であるが、各アレイ間にリレーレンズを配置して、それぞれのアレイ透過後の像を次のアレイへと結像させてもよい。また、全偏波状態にわたって高精度な偏波解析を実現するためには、波長板アレイの各領域の位相差は0°から360°の範囲を網羅しており、偏光子アレイの主軸角度は0°から180°の範囲を網羅していることが望ましい。さらに、偏光子アレイおよび波長板アレイの領域の分割数が多いほど測定精度は高くなる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記受光部は、
光軸方向は一様で透過光に与える位相差が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する波長板アレイと、
透過する偏波の方向が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する偏光子アレイと、
前記波長板アレイと前記偏光子アレイとが前記ストライプを互いに交差させるように配置されて形成される各交差領域を通過する光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
各アレイの配置例としては、波長板アレイを前面、偏光子アレイを後面として各々のストライプが交差するように配置し、各交差部分を通過する光を個別に受光することのできるように光素子アレイを配置すればよい。上記の場合と同じく、波長板アレイと偏光子アレイおよび受光素子アレイは直接貼り合わせて一体化することも可能であるが、各アレイ間にリレーレンズを配置して、それぞれのアレイ透過後の像を次のアレイへと結像させてもよい。また、全偏波状態にわたって高精度な偏波解析を実現するためには、波長板アレイの各領域の位相差は0°から360°の範囲を網羅しており、偏光子アレイの主軸角度は0°から180°の範囲を網羅していることが望ましい。さらに、偏光子アレイおよび波長板アレイの領域の分割数が多いほど測定精度は高くなる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記波長板アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる繰返し周期をもち共通の一方向に周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなり、
前記偏光子アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる面内の一方向に繰り返される周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなる、
上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
上記インライン計測型の偏光解析装置を複数有し、計測する光ビームをそれぞれのインライン計測型の偏光解析装置に入射する、インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記波長板アレイと前記偏光子アレイと前記受光素子アレイとの間における少なくとも1箇所に光吸収性の層を設けるか、
または、前記波長板アレイ、前記偏光子アレイおよび前記受光素子アレイの少なくとも1つに対して前記アレイにおける各領域の境界に透明部分または不透明部分を形成することによって、
不要な多重反射光を減衰させる、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイの周辺部分に入射偏光に対して等方的な透明部分を設けるか、
または、前記波長板アレイと前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分の少なくとも一部に入射偏光に対して等方的な透明部分を設けることにより、
前記波長板の特定の領域と前記偏光子の特定の領域とを通過した光の強度分布と同時に、入射光の強度分布および前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイの透過損失分布を計測し、測定結果を補正する、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
すなわち、本来測定したい波長板と偏光子を通過した後の光強度分布とともに、入射光の強度分布や偏光子アレイおよび波長板アレイの透過損失分布を同時に測定し、測定結果を補正するようにしてある。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分に遮光部分を設けるか、
または、前記波長板アレイと前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分に対応した前記受光素子アレイの領域を遮光することによって、
前記の境界部分における光の回折や散乱の影響を抑圧する、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
波長板アレイおよび偏光子アレイの各領域の境界部分に遮光領域を設けるか、あるいは波長板アレイおよび偏光子アレイの境界部分に対応した受光素子アレイの領域を遮光することにより、波長板アレイおよび偏光子アレイの各領域の境界部分からの回折光および散乱光の影響を抑圧するようにしてある。当然ながら、波長板アレイおよび偏光子アレイの境界部分の遮光と、受光素子アレイの対応する領域の遮光の両方を同時に行っても良い。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
上記インライン計測型の偏光解析装置の受光部をある平面内に複数配置することにより、入射光ビームの位置変動による測定エラーを回避する、インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記偏光解析装置は、エリプソメータであり、
前記光源部は、前記試料に対して偏光した光を所定角度で入射させ、
前記受光部は、前記試料からの反射光を受光し、
前記処理部は、前記受光部から得られた光強度分布から、P偏光成分およびS偏光成分の振幅反射率比を求める、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
測定試料に対して特定波長の偏光した光を所定角度で入射させ、測定試料からの反射光を、上記インライン計測型の偏光解析装置に導入し、受光素子アレイで得られた光強度分布から、処理部によりP偏光成分およびS偏光成分の振幅反射率比を求めるエリプソメータである。この場合、試料からの反射光以外の光を除去して測定精度を向上させるために、偏光解析装置の前に入射光の波長に対応した光波長フィルタを挿入することも可能である。
また、上記偏光解析装置を利用した膜処理制御装置としては、例えば、
上記インライン計測型の偏光解析装置と、
前記エリプソメータによって得られた前記試料の膜厚および膜質情報がフィードバックされ、前記プロセスチャンバにおける製膜条件又はエッチング条件を制御する処理条件制御装置とを有する、
膜処理制御装置が挙げられる。
また、上記偏光解析装置を利用した膜処理制御装置としては、例えば、
少なくとも2つ以上の上記インライン計測型の偏光解析装置と、
前記試料の異なる位置の膜厚および膜質を各位置ごとに計測して得られた膜厚分布又は膜質分布に関する情報がフィードバックされ、前記プロセスチャンバにおける製膜条件又はエッチング条件を制御する処理条件制御装置とを有する、
膜処理制御装置が挙げられる。
具体的な偏光解析装置としては、例えば、
前記受光素子アレイがフォトディテクタ、CCD、C−MOS又は撮像管のいずれかである、上記インライン計測型の偏光解析装置が挙げられる。
また、上記偏光解析装置を利用した真空処理装置としては、例えば、
試料を処理するプロセスチャンバと、
当該プロセスチャンバにつながるプレチャンバと、
上記インライン計測型の偏光解析装置と、
を具備する真空処理装置が挙げられる。
本発明によれば、下記いずれかの問題を解決することができる。すなわち、その場計測における計測利便性とほぼ同等、かつその場計測よりも高い計測精度のインライン計測(プレチャンバ内での計測)により、(1)チャンバ外部からガラス窓を介して計測することによる光の散乱、吸収などに基づく計測精度の低下を解決することができる。(2)チャンバ外部からガラス窓を介して計測することにより光路が長くなることによる光学系の調整の困難さを解決することができる。(3)チャンバ内に装置を設置する場合の空間的な自由度の低さを解決することができる。(4)チャンバ内に装置を設置する場合の反応性ガス、反応生成物などの付着問題、高温環境の問題、電磁雑音の問題を解決することができる。(5)既存の真空処理装置へ取り付けることが困難であるという問題を解決することができる。(6)装置における光学系光路のアライメント作業が困難であるという問題を解決することができる。
より具体的には、製膜やエッチングなどの処理を行なう処理装置内につながる真空のプレチャンバの内部にて試料の物性値の計測が可能となり、試料の作製工程などをインライン計測で制御できるようになる。この結果、きめ細やかなプロセスの実施が可能となり、歩留まりを向上させたり、多品種かつ少量生産に対応したりすることが可能となる。また、一般的なプロセスチャンバ内に受光部などを設置することは困難であるが、このような系においてもロードロックチャンバあるいはトランスファーチャンバは上記小型エリプソメータを収納するスペースを十分有し、かつ付着物等の問題、高温環境の問題、電磁雑音の問題を考慮する必要がないチャンバである。したがって、真空のプレチャンバ内で物性計測することにより、試料を大気に曝さずに計測でき、引き続く製膜プロセスにおける、追加製膜あるいは追加エッチングなどの追加処理の要不要を知ることができるので、効果的に生産性を向上させることができる。
特に、フォトニック結晶を用いるエリプソメータは、受光部の心臓チップ(CCDセンサにフォトニック結晶アレイを一体化したもの)が例えば数mm角ときわめて小さいため、それの出力をデジタル化して外部に取り出すためのインターフェイスLSIと一体化して筐体に収納したものも一例として2cm×3cm×6cmと、従来のエリプソメータの受光部と較べて例えば素子体積を100分の1程度に小型化することができる。光源部は、従来の技術を用いても、受光部と同等ないしそれより小さくすることが出来るので、光源部と共に受光部もロードロックチャンバやトランスファーチャンバなどのプレチャンバの内部に容易に収納することができる。この結果、プレチャンバの内部にある試料の物性値を計測する際に、高い精度で計測が可能となる。
また、プレチャンバの部材にあらかじめ光源モジュール及び受光モジュールをアライメント補正して設置しておくことができるので、各光学系統のアライメント補正などのわずらわしさをなくした偏光解析装置とすることができる。
<第1の実施形態>
図1は、真空処理装置の一例に係る概略構成図である。図1には、ロードロックチャンバを有するプロセスチャンバの概略構成図を示してある。図2は、真空のプレチャンバ中のインライン計測型の膜厚/膜質モニタの概念図である。図2には、図1におけるロードロックチャンバ内に設置された本実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置を図示してある。
図1に示すように、本実施形態に係る真空処理装置100は、基板101上の試料を処理するプロセスチャンバ102と、当該プロセスチャンバ102につながるプレチャンバであるロードロックチャンバ103と、図2により詳細に説明する、プレチャンバの内部に設置されたインライン計測型の偏光解析装置とを具備する真空処理装置100である。プロセスチャンバ102は試料を処理するための電極104を有し、ロードロックチャンバ103は基板101を出し入れするサンプル投入口である開閉とびら105を有する。また、搬送治具106は、基板101上の試料を処理する場合に、基板101をプロセスチャンバ102へ移動させると共に、基板101上の処理された試料を外部へ取り出したり、物性測定したり、一時保管したりするなどの場合に、基板101をロードロックチャンバ103へ移動させる装置である。なお、図1では、基板101はプレチャンバに移動している状態を図示してある。
プロセスチャンバ102には、例えば粗引き排気用及び高真空排気用の真空ポンプが連結され、チャンバ内が所定の真空度まで排気される。また、プロセスチャンバ102に基板(試料)101を出し入れするたびにチャンバ内を大気圧へ解除したり、真空状態にする煩雑な作業をなくすため(チャンバ102内を通常は真空状態に維持するため)、プロセスチャンバ102にはロードロックチャンバ103などのプレチャンバが設けられる。また、ロードロックチャンバ103とプロセスチャンバ102との間はゲートバルブにより各チャンバが遮断されるようになっている。
プロセスチャンバ102へ基板101を導入する方法としては、まずチャンバ間のゲートバルブを閉じた状態でロードロックチャンバ103に試料を導入し、真空ポンプによりロードロックチャンバ103をプロセスチャンバ102の真空度と同等レベルにまで排気する。プロセスチャンバ102は、通常、真空状態に維持されているので、次に、各チャンバ間を遮断するゲートバルブを開けて、プレチャンバ内の試料を搬送治具106によりプロセスチャンバ内へ移動する。これによりプロセスチャンバ102内に基板101が導入される。基板101を取り出す際には、上記作業とは逆の工程により取り出すことができる。
また、図2に示すように、本実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置は、基板201上の試料を処理するプロセスチャンバにつながるロードロックチャンバ(プレチャンバ)206の内部に、前記プレチャンバ206に移動した試料へ光を入射する光源部である光源モジュール202と、前記試料からの反射光を受光する受光部である受光モジュール203とを有し、そして、前記受光モジュール203からの反射光の情報を処理する処理部である情報処理システム204を有し、前記試料の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析装置である。基板201を載せる試料台207は搬送治具205に連結されており、基板201がチャンバ間を移動できるようになっている。
以上の図1及び図2に示す構成により、ロードロックチャンバなどのプレチャンバにおいて、インライン方式による試料の物性計測が可能となり、プロセスチャンバ内においてインサイチュ方式で計測する場合の光路設定の問題、電磁波や付着物の問題など種々の問題を解決することができる。
図2に示すインライン計測型の偏光解析装置の一つの態様として、エリプソメータとした場合の測定原理について説明する。図2では、例えば、波長板アレイと偏光子アレイ(下記詳細に説明する。)を組み合わせた受光モジュール203と光源モジュール202が配置された装置の中央に、基板201が配置されている。光源モジュールに含まれるレーザからの出射光の偏光状態は予め既知であるとする。基板201上の測定対象である薄膜試料に対して、レーザ光を薄膜試料上で集光させると同時に、反射光が平行ビームとなって受光モジュール203に達するように、例えばレンズなどにより調整する。薄膜試料からの反射光を、受光モジュール203で検出し、情報処理システム204によって測定される強度分布から反射光の偏光状態を算出する。エリプソメータでは、光の偏光状態をP波とS波の振幅強度比(Ψ)と位相差(Δ)で表すのが一般的である。通常は入射光として45゜の直線偏波光(Ψ=1、Δ=0)を用いられ、このときの反射光のΨ´およびΔ´を測定することになる。測定結果より、サンプルにおけるP波、S波のフレネル反射率(Rp、Rs)、つまりは薄膜の屈折率(n)、消衰係数(k)、膜厚(d)を求めることができる。さらに、モニタした膜厚や膜質の情報をプロセスチャンバに設けられた膜処理制御装置へフィードバックし、当該制御装置により製膜条件やエッチング条件等の処理条件をコントロールすることにより、厳密な製膜管理を行うことも可能となる。
なお、情報処理システム204は、当該システムにおける入力部・出力部から各種信号を入力・出力し、システムに備えられたCPUなどの演算手段により、メインメモリ中の制御プログラムから受けた指令、メモリなどの記憶手段から読み出された記憶情報などに基づいて、上記種々の解析を行うように構成されている。
本実施形態は、プレチャンバ内におけるインライン計測であるため、プロセスチャンバ内における試料の処理は特に限定されない。例えば、被製膜部材上への製膜(スパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長法:CVDなど)または製膜された膜のエッチングなどの処理が挙げられる。したがって、図1における電極104などのプロセスチャンバ内に設置された処理デバイスは、そのチャンバ内の処理に応じて、種々変化する。
また、搬送治具106としては、手動制御又はコンピュータなどによる自動制御で、各チャンバ間を基板を移動させる機構を有するものが挙げられる。手動制御の搬送治具としては、例えば、小歯車とラックによるいわゆるラックアンドピニオン機構が挙げられる。当該機構では、ステアリングホイールに結合しているステアリングシャフトの先端に小さな歯車(ピニオン)を設け、歯をきざんだ丸棒(ラック)にこのピニオンをかみ合わせることにより、ステアリングをまわしてラックに設置した試料台(基板)をチャンバからチャンバへ移動させる。自動制御では、例えば、モータによる回転駆動をステアリングシャフトに伝えるようにし、このモータの駆動制御をコンピュータで行うようにすればよい。
<第2の実施形態>
プレチャンバの一例としては、ロードロックチャンバ又はトランスファーチャンバなどが挙げられる。プレチャンバとはプロセスチャンバの「前室」であるが、この「前」とはプロセスチャンバの直ぐ「前」という意味だけでなく、数段階「前」という意味も含み、図3に示すような、プロセスチャンバとの間にトランスファーチャンバが介在して設置されたロードロックチャンバ(プロセスチャンバから2段階前のチャンバ)も含まれる。図1では、図2のインライン計測型の偏光解析装置をロードロックチャンバに適用した場合について説明したが、図3を用いてトランスファーチャンバに適用した場合について説明する。
図3は、真空処理装置の他の例に係る概略構成図である。図3には、ロードロックチャンバ303に加えて、トランスファーチャンバ307を有する複数のプロセスチャンバ302a〜302cの概略構成図を示してある。図3に示すように、実施形態に係る真空処理装置300は、基板301上の試料を処理するプロセスチャンバ302a〜302cと、当該プロセスチャンバ302a〜302cを仲介するチャンバであるトランスファーチャンバ307(プレチャンバ)と、当該トランスファーチャンバ307につながるロードロックチャンバ303(プレチャンバ)と、図2により詳細に説明したプレチャンバの内部に設置されたインライン計測型の偏光解析装置とを具備する真空処理装置300である。なお、図3では、基板301はプレチャンバに移動している状態を図示してある。
トランスファーチャンバは、複数のプロセスチャンバ302a〜302cを仲介するチャンバであり、複数の処理工程を行う場合などに、あるプロセスチャンバから他のプロセスチャンバへ基板試料を移動させるためのチャンバである。
プロセスチャンバ302a〜302c及びトランスファーチャンバ307には、例えば粗引き排気用及び高真空排気用の真空ポンプが連結され、これらのチャンバ内が所定の真空度まで排気される。また、プロセスチャンバ302a〜302c及びトランスファーチャンバ307に基板(試料)301を出し入れするたびにこれらのチャンバ内を大気圧へ解除したり、真空状態にする煩雑な作業をなくすため(チャンバ302a〜302c、307内を通常は真空状態に維持するため)、プロセスチャンバ302a〜302cにはトランスファーチャンバ307を介してロードロックチャンバ303が設けられる。また、プロセスチャンバ302a〜302cとトランスファーチャンバ307との間、トランスファーチャンバ307とロードロックチャンバ303との間はゲートバルブにより各チャンバが遮断されるようになっている。
プロセスチャンバ302a〜302cへ基板301を導入する方法としては、まずチャンバ間のゲートバルブを閉じた状態でロードロックチャンバ303に試料を導入し、真空ポンプによりロードロックチャンバ303をプロセスチャンバ302a〜302c及びトランスファーチャンバ307の真空度と同等レベルにまで排気する。プロセスチャンバ302a〜302c及びトランスファーチャンバ307は、通常、真空状態に維持されているので、次に、トランスファーチャンバ307とロードロックチャンバ303とを遮断するゲートバルブを開けて、ロードロックチャンバ303内の試料を搬送治具306によりトランスファーチャンバ307内へ移動する。そして、処理目的に合わせたプロセスチャンバとの間のゲートバルブを開けて、トランスファーチャンバ307からプロセスチャンバ内へ移動させる。これによりプロセスチャンバ102内に基板101が導入される。基板101を取り出す際には、上記作業とは逆の工程により取り出すことができる。また、トランスファーチャンバ307を介した各プロセスチャンバ間の基板の移動は、各チャンバ間を遮断するゲートバルブを開閉して、処理目的に合わせたプロセスチャンバへ導入すればよい。
インライン計測型の偏光解析装置の設置の仕方については、ロードロックチャンバであってもトランスファーチャンバであっても特に異ならない。図3に示すようなトランスファーチャンバにインライン計測型の偏光解析装置を設置した場合には、各プロセスチャンバにおける処理ごとに計測が可能である。また、インサイチュ方式では各プロセスチャンバの全てに偏光解析装置を設けることになるが、インライン方式ではトランスファーチャンバ(又はロードロックチャンバ)1つだけに設ければよいため、コストを大幅に低減させることができる。
<第3の実施形態>
また、光源モジュール202及び受光モジュール203の数については、図2に示すような1つずつの形態に限定されず、それぞれ複数個設けた形態としてもよい。例えば各モジュールを複数設けて、試料上の複数箇所における物性値を測定することにより、試料が均一に処理されたか否か、処理状況の分布を知ることができる。
図4は、真空のプレチャンバ中のインライン計測型の膜厚/膜質および分布モニタの概念図である。図4に示すように、本実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置は、基板401上の試料を処理するプロセスチャンバにつながるロードロックチャンバ(プレチャンバ)406の内部に、前記プレチャンバ406に移動した試料へ光を入射する光源部である複数の光源モジュール402と、前記試料からの反射光を受光する受光部である複数の受光モジュール403とを有し、そして、前記複数の受光モジュール403からの反射光の情報を処理する処理部である情報処理システム404を有し、前記試料の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析装置である。基板401を載せる試料台407は搬送治具405に連結されており、基板401がチャンバ間を移動できるようになっている。
複数の光源モジュール402から出射される光は、光ファイバ408を介してレーザ光源409により供給され、同一波長の光を複数出射できたり、複数波長の光を出射できたりするようになっている。複数の光源モジュール402から出射された光は、基板401上に試料において異なる位置に入射され、異なる位置から反射された反射光がそれぞれ別の受光モジュール403に入射する。
例えば、それぞれ波長の違う光を光源モジュール402から照射し、それぞれの波長に対応した受光モジュール403を用いてそれぞれの波長の反射光を検出する。それぞれの受光モジュール403によって検出された偏光状態を情報処理システム404で解析するわけであるが、複数の波長を用いることにより試料の膜厚、膜質がより正確に評価できる。このような分光エリプソメータを従来技術で実現した場合、精度の高い回転機構や駆動部分が複数セット必要となり、装置が大型になるだけでなく、測定時間も長くなってしまう欠点あった。これに対して、例えば、下記詳細に説明するフォトニック結晶を利用することにより、小型の受光モジュールを実現できるため、複数の光学系を一つの装置内に収めることが容易になるだけでなく、駆動部分がないため信頼性の高いデバイスが実現できる。さらに、受光モジュールで得られた結果から瞬時に偏光状態が判別できるため、測定時間も非常に短くできる。
また、図4に示すような構成により、基板上の場所の違いによる膜厚/膜質の分布もモニタリングできる。更に、情報処理システム404で算出された分布情報をプロセスチャンバに設けられた膜処理制御装置へフィードバックし、膜の組成や製膜レートの分布を制御できれば、より均一な膜を形成することが可能となる。
<第4の実施形態>
プロセスチャンバ内における処理の一つとして、複数の基板を同時に処理する方法がある。この方法では、例えば、プロセスチャンバの内部における中央に、縦方向を回転軸とした円筒形の回転式ドラムが設けられ、当該ドラムの外周面には複数の基板が取り付けられている。処理中は、回転式ドラムが所定の速度で回転しながら、ドラムの周囲から製膜等の処理が行われる。上述する実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置は、このような回転式ドラムを用いた場合にも適用することができる。
図5は、真空のプレチャンバ中のインライン計測型の膜厚/膜質および分布モニタの概念図である。図5に示すように、本実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置は、複数の基板501上の試料を処理するプロセスチャンバにつながるロードロックチャンバ(プレチャンバ)506の内部に、前記プレチャンバ506に移動した試料へ光を入射する光源部である複数の光源モジュール502と、前記試料からの反射光を受光する受光部である複数の受光モジュール503とを有し、そして、前記複数の受光モジュール503からの反射光の情報を処理する処理部である情報処理システム504を有し、前記試料の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析装置である。複数の基板501を載せる回転式ドラム507は図示しない搬送治具に連結されており、基板501がチャンバ間を移動できるようになっている。
複数の光源モジュール502から出射される光は、光ファイバ508を介してレーザ光源509により供給され、同一波長の光を複数出射できたり、複数波長の光を出射できたりするようになっている。複数の光源モジュール502から出射された光は、それぞれ異なる基板501上に試料に入射され、異なる基板501から反射された反射光がそれぞれ別の受光モジュール503に入射する。この結果、回転式ドラムの周囲における縦の列に並んだ複数の基板501の計測が可能となる。さらに、回転式ドラムは、プレチャンバ内においても回転できるようになっており、回転式ドラムの周方向に並んだ基板501に対しても計測することができる。結果として、回転式ドラム507の周囲に並んだ全ての基板501上の試料をモニタすることができる。
<第5の実施形態>
図6は、第5の実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置の概略構成図である。図6に示すように、本実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置600は、光源モジュール602及び受光モジュール603が一体的に設置されたユニットとなっており、ロードロックチャンバ606に設けられたあるフランジ部604に、当該ユニットが挿入されている。ユニットがフランジ部604に挿入されることにより、光源モジュール602及び受光モジュール603は真空部に入り込み、基板601に臨むようになり、試料への入射及び反射光の受光を行う。
図2,4,5に示した偏光解析装置は、光源モジュール及び受光モジュールがそれぞれ別個にプレチャンバに設置された形態であった。この場合、基板上の試料に対するアライメントに加えて各モジュール間のアライメント作業が必要であり、既存の装置に設置する場合には、設置作業に時間がかかるおそれがある。また、上述するように、チャンバは真空度により壁面の歪み度合いが異なるため、チャンバの壁面に各モジュールを設置した場合には、真空度を考慮したアライメント作業を必要とする(例えば、アライメント作業はチャンバ内を大気開放状態として行うが、この際に、チャンバ内が真空状態になったときの歪みを考慮して、アライメント作業を行う。)。
これに対して、図6に示す実施形態では、あらかじめ各モジュールがアライメントされたユニットとして存在し、かつ、各モジュールがチャンバの壁面に直接設置されていないので、真空度による歪みの影響を考慮しなくてもよい。一般的に、チャンバは種々のフランジ部を有しているため、本実施形態のように、ある程度の大きさ(各モジュールが入ることができる程度)のフランジ部に挿入することができるユニットとしておけば、既存の処理装置に対して後付けでインライン計測型の偏光解析装置を設置することができる。
試料を計測する際には、この調整されたモジュールつきのユニットを処理装置のプレチャンバに取り付けるだけでよく、計測ごとに、または試料の交換ごとにアライメント作業を行う必要がなくなる。なお、ユニットをプレチャンバに取り付けるだけで、すべての調整作業が完結することが好ましいが、調整されたモジュールつきのユニットとプレチャンバの内部の試料との位置関係を、ユニットの高さ位置を変更することにより、調整できるようにしてもよい。
<第6の実施形態>
図7は、第6の実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置の概略構成図である。
本実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置700は、光源モジュール702(ファイバコリメータ702a及びミラー702bとから構成されている。)及び受光モジュール703が一体的に設置されたユニットとなっており、ロードロックチャンバ706に設けられたあるフランジ部704に、当該ユニットが挿入されている。ユニットの形状は、フランジ部704に挿入可能な底部が密閉された筒形状であり、その底部に光源モジュール702及び受光モジュール703が設置されていると共に、この光源モジュール702からの光がチャンバ内の試料に入射できるようなガラス窓705a及び試料からの反射光がこの受光モジュール703に入力できるようなガラス窓705bが設けられている。
すなわち、各モジュールは大気圧部に設けられているが、筒形状のユニットがフランジ部704に挿入されることにより、光源モジュール702及び受光モジュール703は大気圧部であって、かつチャンバの内部(幾何学形状的にチャンバ全体の主な輪郭よりも内側という意味での「内部」)に入り込み、基板701に臨むようになり、短い光路で試料への入射及び反射光の受光を行うことができる。なお、図7において、チャンバ全体の主な輪郭を点線で示した。この点線よりも内側がチャンバ内部であり、外側がチャンバ外部である。
フランジ部704の内周面と筒形状のユニットの外周面とは真空グリースなどを介して摺動可能なようになっており、チャンバ内部の真空度が保たれるとともに、ユニットの底部はチャンバ706の内側に向かってガイド707により伸縮自在に構成され、光源モジュール702及び受光モジュール703と試料基板701との距離が調整可能となっている。このように筒形状のユニットを伸縮自在に構成することにより、チャンバ内の試料との光路を短縮したり、チャンバ内での試料の位置変更に容易に対応することができる。ガイド707は、手動制御、モータ制御や油圧制御による上下駆動装置が挙げられ、場合によって位置が上下する基板に追従可能なように、コンピュータなどによる自動制御を行うことが好ましい。本実施形態においては、光源モジュールおよび受光モジュールが大気中におかれるので、部材の真空中へのガス放出などによる信頼性劣化の原因を排除することができる。
以下、上述する実施形態で適用することができる、各構成素子、装置などについて説明する。
<フォトニック結晶>
図8は、フォトニック結晶からなる偏光子あるいは波長板の概念図である。まず、フォトニック結晶からなる偏光子および波長板について説明する。図8のような周期的な溝列を形成した透明材料基板801上に、透明で高屈折率の媒質802と低屈折率の媒質803とを界面の形状を保存しながら、交互に積層する。各層はx方向に周期性を持つが、y方向には一様であってもよいしx軸方向より大きい長さの周期的または非周期的な構造を有していてもよい。このような微細な周期構造(フォトニック結晶)は、自己クローニング技術と呼ばれる方式(特開平10−335758号公報を参照)を用いることにより、再現性良く且つ高い均一性で作製することができる。
こうして作成された周期構造体にxy面に垂直あるいは斜め方向から無偏波光または楕円偏光を入射すると、溝列と平行な偏波即ちy偏波と、それに直交するx偏波とに対して、それぞれTEモードとTMモードの光が周期構造体の内部に励起される。TEモードとTMモードの伝搬定数は、周期構造を構成する材料の屈折率、xy面の周期、積層周期によって広い範囲で選ぶことができる。
図9は、図8に示すフォトニック結晶の伝搬特性を表すバンド図である。同図には、高屈折率材料としてSi、低屈折率材料としてSiOを用いた場合の2次元周期構造の分散曲線の例を示してある。縦軸は波長λの逆数を積層周期Lzで規格化した値、横軸は1周期を伝搬したときの位相変化量k(kはz方向の伝播定数)をπで規格化した値である。白丸がTE波、黒丸がTM波を示す。Lは面内方向の周期を表し、ここではL/L=1としてある。
入射する光の周波数が、バンドギャップの中にあれば、そのモードは周期構造体の中で伝搬することができず、入射光は反射または回折される。一方、光の周波数がエネルギーバンド内にあれば、周期構造体の中を光は透過することができる。周波数領域901では、TE波はバンドギャップとなり反射され、TM波は伝搬域であるため透過され、従って偏光分離素子(特開2001−83321号公報を参照)として動作する。周波数領域902では、TE波が透過し、TM波が反射される偏光子として動作する。一方、周波数領域903では、TE波とTM波ともに伝搬域となり透過する。しかしこの場合、2つの曲線がずれていることからそれぞれの伝搬定数が異なり、2つのモードに位相差を与える波長板として動作することになる。
基板のパターンや製膜に使用する材料、および積層周期や積層数を適当に設計することにより、任意の位相差を与える波長板を設計可能であり、例えば位相差がπ/2となるようにすれば、1/4波長板として動作させることができる。さらに、溝の周期や方向は1枚の基板内の領域毎に独立に変えることができるため、フォトニック結晶の特性を領域毎に変えることができる。これをマルチパターンフォトニック結晶と呼ぶ。例えば、偏光子であれば領域毎に光軸方向を変えることができ、また波長板であれば、光軸方向や位相差を変えることができる。
フォトニック結晶を構成する低屈折率媒質としては、SiOを主成分とする材料が最も一般的であり、透明波長領域が広く、化学的、熱的、機械的にも安定であり、製膜も容易に行うことができる。また、低屈折率媒質としてはその他の光学ガラス、例えばMgFのようなより屈折率の低い材料を用いてもよい。高屈折率材料としては、Si、Geなどの半導体や、Ta、TiO、Nb、HfO、Siなどの酸化物や窒化物を用いることができる。半導体材料は屈折率が大きいため、大きなバンドキャップが得られるという利点があるが、利用波長域は近赤外に限定される。一方、酸化物や窒化物は透明波長範囲が広いことから、可視光領域でも使用することが可能となる。
自己クローニング法によりフォトニック結晶偏光子あるいは波長板を作製する場合、まず基板上に電子ビームリソグラフィとドライエッチングにより、先の図8の基板801に示したような周期的な溝を作製する。溝パターンの形成には、その他のフォトリソグラフィや干渉露光、金型によるスタンピング技術を用いても良い。また、図8では溝の断面形状は矩形であるが、三角形など他の形でも良い。基板としてはSiや石英ガラス、その他の光学ガラスなどが使用できる。凹凸のピッチは入射する光の波長の半分程度、例えば0.8μmの光では0.4μm程度、溝の深さは0.2μm程度である。この基板801上に、TaおよびSiO等のターゲットを用い、スパッタデポジションとバイアススパッタリングを組み合わせて交互多層膜を積層する。このとき、各層のx軸方向に周期的な凹凸形状が保存されるように、バイアス条件を適切に設定することが肝要である。
作製条件の一例は次の通りであった。Ta層の製膜では、ガス圧0.27Pa(2mTorr)、ターゲット印加高周波電力300W、SiO層の製膜では、ガス圧0.80Pa(6mTorr)、ターゲット印加高周波電力300W、スパッタエッチングはSiO層製膜後に行ない、ガス圧0.27Pa(2mTorr)、基板印加高周波電力90Wであった。
<受光モジュール>
次に、実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置に適用することができる受光モジュール(受光部)について説明する。図10に示す受光モジュールは、波長板アレイおよび偏光子アレイを用いた駆動部のない受光モジュールの代表例である。
波長板アレイ1001は光軸の向きが異なる複数の領域をM列配列したものであり、それぞれの領域のリターデーション量は一定(理想的には1/4波長板)となるように設計されている。また、偏光子アレイ1002は透過する光の偏光方向が異なる複数の領域をN列配列したものであり、それぞれの領域の偏波消光比は十分に高くなるように設計されている。このような波長板アレイと偏光子アレイを互いに直交するように貼り合わせ、その後方に、波長板アレイと偏光子アレイの重ね合わせによって作られるM×N個の領域を通過した光をそれぞれ個別に受光することができるような受光素子アレイ1003を配置することによって受光モジュールを実現することができる。偏光子アレイおよび波長板アレイとしては、前述のフォトニック結晶偏光子を利用することができ、これによりモジュールの小型化・高精度化が可能である。
上記のような受光モジュールに光が入射した場合、入射光は波長板アレイによってそれぞれの領域ごとに偏波状態が変換された後、偏光子アレイのそれぞれの領域の軸の方向で定まる特定の偏波成分だけが透過することになる。したがって、受光素子アレイの一つ一つの受光素子は、それぞれ違った角度の波長板と偏光子を透過した光、つまりそれぞれ違った偏波成分の光強度を検出することになる。このため、各受光素子が検出する光の強度を解析することにより、入射光の偏光状態を2次元的に把握することが可能となる。
図11は、図10の受光モジュールを用いた場合に観測される光の強度分布の例である。図11には、例として、上記のような受光モジュールにおいて、波長板アレイの位相差をπ/2(1/4波長)、波長板アレイおよび偏光子アレイの分割数を16とした場合に、256素子の検出器アレイが感じる光の強度分布のシミュレーション結果を示す。ここでは1/4波長板アレイの各領域の主軸角度を0゜から180゜まで12゜ずつ変化させて縦軸方向に配列し、偏光子アレイの各領域の主軸角度(透過する偏波の角度)も同じく、0゜から180゜まで12゜ずつ変化させて横軸方向に配列した場合のシミュレーション結果を示した。結果からもわかるように、受光素子で観測される光の強度分布形状は入射光の偏光状態に応じて変化することから、この強度分布パターンを解析することにより、逆に入射光の偏光状態をもとめることができる。
ここで、上述する受光モジュールで観測される強度分布パターンについて、理論的(数学的)な検討を行う。受光モジュールに入射する光の偏光状態をエリプソメトリ角であるΨとΔで表すなら、波長板と偏光子を通過後の光のジョーンズベクトルは、下記式1で表すことができる。
この式において、θは波長板の主軸角度、αは波長板のリターデーション(位相差)を表し、またφは偏光子の主軸角度を表す。図12は、光の偏光状態を表現する方法を示した概念図である。図12に示すように、入射光の偏光状態はエリプソメトリ角で表現するよりも、楕円偏波の楕円率(ε)と傾き(γ)で表すほうが、偏光状態のイメージを掴み易い。これを利用することにより、入射光の偏光状態は、下記式2のように置き換えることができる。
したがって、受光素子アレイに到達する光の偏波状態は結局、下記式3で表現することができ、
観測される光強度は、下記式4によって求めることができる。
つまり、受光素子アレイで観測される強度分布は、入射偏波状態(ε、γ)および波長板の角度(θ)と偏光子の角度(φ)との関数として表現されることになる。θとφとは装置に依存した既知の値であるため、観測される光強度分布の形状を解析することにより、入射光の偏光状態を正確に求められることが、理論的な見地からも明らかとなる。
強度分布パターンの解析方法として最も単純なものは、測定されるパターンの最小値の位置を検出する方法である。これは、先に述べた従来のエリプソメータにおける消光法に対応するものである。消光法では、波長板の角度と偏光子を回転させ、入射光が完全に消光されるときの波長板および偏光子の角度から入射偏光の楕円率や傾きを直接求めることができる。
一方、上述する波長板アレイと偏光子アレイを用いる受光モジュールの場合も全く同じ原理により、2次元の強度分布パターンに生じる暗点(最小値、ゼロ点)の位置、つまりは波長板と偏光子の主軸角度を特定することにより、入射光の偏光状態を瞬時に求められることになる。しかしながら、この方法は測定される2次元の情報の大半を利用しておらず、上述する受光モジュールの利点を十分に生かしているとは言い難い。また、例えば波長板の位相差が厳密に1/4波長でない場合は、暗点が理想的な位置からずれるため、精度の高い偏波解析が不可能となってしまうなどの不都合がある。
そこで、より多くのデータ点を用いてパターンの形状を解析し、さらには波長板のずれについても補正ができるようなパターン解析方法として、2次元パターンのフーリエ解析法と暗点付近の形状フィッティング法を提案する。フーリエ解析法では、受光モジュールで観測される強度分布パターンが簡単な周波数成分で表されることを利用して、パターン形状をフーリエ変換することにより求められる各周波数成分の振幅と位相の値から入射偏光状態を判定する。一方の暗点付近の形状フィッティング法では、光強度の最小値付近のパターン形状を近似計算によって求めることにより、正確な暗点位置を算出する。これら2つの解析方法を併用することにより、高速で雑音に強くしかも精度の高い偏光解析が可能となる。
以上のような受光モジュールまたはそれを利用したインライン計測型のエリプソメータは、例としてフォトニック結晶(マルチパターンフォトニック結晶)を利用することにより、非常に精度良く作製することが可能である。また、受光素子アレイとしてはCCDなどの従来からあるイメージセンサを用いることができる。従って、受光モジュールを利用したエリプソメータは従来の製品と比較して、非常に小型で安価なモジュールを実現できるだけでなく、モジュールの信頼性も極めて高い。このため、真空のプレチャンバの内部に導入して膜厚・膜質のインライン計測型のモニタとして利用するなど、従来のエリプソメータではほとんど不可能であったような新しい利用方法も期待される。
さらに具体的に、自己クローニング型フォトニック結晶からなる偏光子アレイと、同じく自己クローニング型フォトニック結晶からなる波長板アレイ、および受光素子アレイの組み合わせによって構成される受光モジュールについて説明する。既に述べたように、フォトニック結晶偏光子、およびフォトニック結晶波長板は図8の構成からなり、2次元の溝パターンを形成した基板801上に2つの無機材料802および803を自己クローニング成長させることによって作成される。このとき、基板801上に作成する溝の周期、製膜に用いる材料、各層の周期などを制御することにより、光の屈折率やフォトニックバンドギャップ(PBG)の帯域などの諸特性を自在に設計できる。この特徴を利用して、設計パラメータを適当に選ぶことにより、ある特定波長の光に対して、一方の偏波(TM:基板パターンに垂直な偏波)は透過させ、もう一方の偏波(TE:基板パターンに平行な偏波)は遮断するような偏光子(偏光分離素子)を作成することができるだけでなく、2つの偏波間に任意の位相差を与えるような波長板を作成することも可能である。
図10は、フォトニック結晶を用いて構成される「角度変化型」受光モジュールである。同図には、フォトニック結晶を用いた『波長板角度変化型』の受光モジュールを実現する構成例を示してある。波長板アレイ1001、および偏光子アレイ1002は自己クローニング型フォトニック結晶を用いて構成されており、図10のような複雑な構造をそれぞれ一度のプロセスで製作することができる。フォトニック結晶波長板アレイ1001は、溝の方向(波長板の光軸の向き)を少しずつ変化させた領域がM個配列されたものであり、それぞれの領域のリターデーション量(TM光とTE光の位相差)は一定となるように設計されている。同様にフォトニック結晶偏光子アレイ1002も溝の方向(遮断される偏波の方向)を少しずつ変化させた領域がN個配列されたものであり、それぞれの領域の偏波消光比は十分に高くなるように設計されている。
図10ではx軸方向を水平方向、y軸方向を垂直方向とし、波長板と偏光子の軸の角度はx軸を基準として0°から180°まで徐々に変化させたが、基準軸の取り方や角度の範囲は任意である。また、図10では結晶軸の異なる領域を、波長板アレイ1001についてはx方向(横方向)に、偏光子アレイ1002についてはy方向(縦方向)にそれぞれ角度が徐々に変化するように配列したが、波長板と偏光子の配列方向が交差するようにすれば、配列方向や配列順は任意である。
このような波長板アレイと偏光子アレイを互いに直交するように貼り合わせ、その後方に受光素子アレイ1003を配置し、波長板アレイと偏光子アレイのそれぞれの重ねあわせによって作られるM×N個の領域を透過した光の強度をそれぞれ個別に計測する。受光器アレイとしては、CCDなどの既存の部品を用いることができ、十分に小型のデバイスが実現できる。
入射光は図10に示す受光モジュールより十分に大きなスポットサイズで入射されるものとする。入射光は波長板アレイによってそれぞれの領域ごとに偏波状態が変換された後、偏光子アレイのそれぞれの領域の軸の方向で定まる特定の偏波成分だけが透過することになる。したがって、受光素子アレイの一つ一つの受光素子は、それぞれ違った角度の波長板、偏光子を透過した光を検出することになり、それぞれの受光素子が検出する光の強度を解析することにより、入射光の偏光状態を2次元的に把握することが可能となる。
図11は、図10の受光モジュールを用いた場合に観測される光の強度分布の例である。図11は、このような波長板角度変化型の受光モジュールにおいて、波長板アレイの位相差をπ/2(1/4波長)とし、波長板アレイおよび偏光子アレイの分割数を16とした場合に、256素子の検出器アレイが感じる光の強度分布のシミュレーション結果の例を示している。ここでは1/4波長板アレイの各領域の主軸角度を0゜から180゜まで12゜ずつ変化させて縦軸方向に配列し、偏光子アレイの各領域の主軸角度(透過する偏波の角度)も同じく、0゜から180゜まで12゜ずつ変化させて横軸方向に配列した場合のシミュレーション結果を示した。
結果からもわかるように、入射光の偏光状態に応じて検出器で検出される光の強度分布形状が変化することから、得られる強度分布パターンを解析することにより、入射光の偏光状態を判別することができる。これは、従来の回転1/4波長板や回転偏光子を用いた消光型のエリプソメータと比較して、装置の小型化や測定時間の短縮、および測定精度の向上に大きな効果が期待できる。
図13は、フォトニック結晶を用いて構成される「位相差変化型」受光モジュールである。同図には、フォトニック結晶を用いた『波長板位相差変化型』の受光モジュールを実現する構成例を示してある。波長板アレイ1301および偏光子アレイ1302は、自己クローニング型フォトニック結晶によって形成されており、図13のような複雑な構造を容易に実現することができる。偏光子アレイ1302は既に述べた図10と同じものであり、溝の方向(遮断される偏波の方向)を少しずつ変化させた領域がN個配列されており、それぞれの領域の偏波消光比は十分に高くなるように設計されている。一方、波長板アレイ1301については全ての領域で溝の向き(光軸の向き)が同じであり、それぞれの領域のリターデーション量をM通りに変化させたものである。
図13では、波長板アレイの光軸はx軸(水平方向)に対して45゜となるようにしたが、0゜や90゜など任意の角度に設定してよい。また、波長板角度変化型(図10)の場合と同じように、基準軸の取り方や、アレイの配列方向、配列順、偏光子アレイの主軸の角度範囲および波長板アレイの位相差の範囲は任意である。このような波長板アレイと偏光子アレイを互いに直交するように貼り合わせ、その後方に受光素子アレイ1303を配置し、波長板アレイと偏光子アレイのそれぞれの重ねあわせによって作られるM×N個の領域を透過した光の強度をそれぞれ個別に計測する。この波長板位相差変化型の受光モジュールの場合も、上述の波長板角度変化型の場合と同様に、受光素子アレイのそれぞれの受光素子が受光する光の強度を解析することにより、入射光の偏光状態を2次元的に把握することが可能である。
図14は、図13の受光モジュールを用いた場合に観測される光の強度分布の例である。図14には、位相差変化型の受光モジュールにおいて、波長板アレイおよび偏光子アレイの分割数をそれぞれ16とし、偏光子アレイの主軸は0°から180°まで12°ずつ変化させ、波長板アレイのリターデーション量は0°から360°まで24°ずつ変化させた場合の、受光素子アレイが感じる光の強度分布の一例を示してある。
先ほどの図11の場合と同様に、横軸に偏光子の主軸角度(透過する偏波の向き)、縦軸に波長板のリターデーション量を取り、256素子の受光器が感じる光強度をシミュレーションによって求めた。この場合においても入射光の偏光状態に応じて検出器で検出される光の強度分布が変化することから、得られる強度分布パターンを解析することにより、入射光の偏光状態を判別することができる。これは、従来の位相変調器を用いた回転検光子型のエリプソメータと比較して、装置の小型化や測定時間の短縮、および測定精度の向上に大きな効果が期待できる。
<偏光解析手法>
次に、これらの波長板角度変化型、および波長板位相差変化型の受光モジュールを用いた場合の偏光解析手法について説明する。なお、受光モジュールから得られた情報を元に、処理部である情報処理システムがこの偏光解析を行う。既に述べたように、上述する受光モジュールにおいて観測される強度分布パターンの形状は、入射光の偏光状態に依存する。従って、観測される強度分布パターンを解析することにより、逆に入射光の偏光状態を判定できることになる。このパターン解析手法として最も単純な方法である、強度分布パターンの最大値(明点)もしくは最小値(暗点、ゼロ点)を検出する方法について以下に簡単に解説する。
波長板角度変化型、波長板位相差変化型の場合どちらの受光モジュールについても、波長板アレイおよび偏光子アレイの角度範囲を適切に選べば、観測される強度分布パターンには必ず明点と暗点が存在し、その位置は入射偏波に依存する。したがって、この明点位置もしくは暗点位置を検出することができれば、偏光状態が特定できることになる。実際には入射光の強度が時間的に変動する場合や、入射光のビームプロファイルがアレイの全範囲にわたって均一でない場合も考えられることから、明点を検出するよりも暗点を検出するほうが容易であることは自明なため、以下では暗点検出法の場合について述べるが、明点検出の場合についても全く同様の理論が成り立つ。
理想的に波長板アレイおよび偏光子アレイの分割数を無限に大きくできれば、観測される強度分布パターンの暗点位置を正確に知ることができるが、実際のアレイでは分割数が有限であるため、得られる暗点位置にはアレイの分割数に対応した誤差が存在する。
図15は、波長板と偏光子の分割数による強度分布パターンの違いの例である。図15には、例として、波長板角度変化型の受光モジュールにおいて、波長板アレイと偏光子アレイの主軸角度を0°から180°まで12°ずつ変化させたとき(16分割)と、1°ずつ変化させたとき(181分割)2通りについて、水平方向の直線偏波が入射した場合の強度分布のシミュレーション結果を示してある。この図からわかるように、181分割の場合は2つの暗点(白点および矢印で示した)が±1°の精度で求まるが、16分割の場合は分割が荒いため、暗点位置を正確に知ることが難しくなる。暗点位置の分解能を高めるためにはアレイの分割数が多ければ多いほど良いことになるが、実際の製造やコストを考慮すると、できるだけ少ない分割数で実現できたほうが望ましい。
少ない分割数でできるだけ精度良くに暗点位置を求めるためには、観測されるとびとびの強度分布を補間し、計算によって連続な強度分布を求める方法が有効である。例として、波長板位相差変化型の受光モジュールにおいて、波長板アレイは主軸角度を水平方向に対して45°とし、位相差を0°から360°まで24°ずつ変化させ(16分割)、偏光子アレイは主軸角度を0°から180°まで12°ずつ変化させた(16分割)場合について考える。
図16は、測定される強度分布パターンと補間後の強度分布の関係の例である。図16には、この受光モジュールに右回り円偏波が入射した場合の、観測される強度分布、および得られる結果をスプライン補間した連続的な強度分布のシミュレーション結果を示してある。図からも明らかなように、強度分布を補間することによって、アレイの分割数を増やした場合と比較しても遜色なく、連続的な強度分布が得られることがわかる。この補間後のデータを元に、強度が最小となる点(白点で示した)を近似計算により求めることができるため、少ない分割数でも正確な偏波状態を判定することが可能となる。補間によって求める暗点の位置精度はアレイの分割数と相関があるため、装置に要求される精度をもとに、アレイの分割数を決定すればよい。
<偏波解析方法>
以上のように、暗点検出法では受光素子アレイによって検出される光の相対的な強度分布をもとに瞬時に偏光状態が判別できるため、光強度の絶対値についての情報を必要としない。例えば、入射光に強度分布がある場合や、光の強度変動がある場合などにおいても、比較的精度良く偏光解析が行えることが特徴である。しかしながら、この暗点検出法は万能ではなく、先にも述べたように、例えば波長板のリターデーション量が厳密に1/4波長でない場合においては、暗点位置が理想的な位置からずれるために、測定精度が悪くなってしまう。この不都合を解決するために、偏波解析方法として、「フーリエ解析法」と「パターン形状フィッティング法」の2つの方法を提供する。
それぞれのパターン形状解析手法について説明する前に、受光素子アレイで観測されるパターン形状の特徴について簡単に解説する。上述する実施形態で使用する受光モジュールで観測される光強度分布は図12を説明する式3および式4でも示したように、入射光の楕円率(ε)と楕円の傾き(γ)の関数として表すことができる。ここで、楕円の傾き(γ)はある軸方向(この場合は水平方向)を基準として定義されたものであるが、基準軸の方向は任意である。従って、楕円の傾き(γ)を変化させることは、基準軸の取り方、即ち波長板アレイと偏光子アレイの各領域の配列順を変えることに相当する。
図17は、入射偏波の傾きと観測される強度分布パターンの関係を示す概念図である。例えば、図17に示したように、入射偏光の楕円率が一定(εの値は任意)の場合、楕円の傾きが0°の場合に受光モジュール1701を水平に配置した場合に得られる強度分布と、楕円の傾きが45度の場合に同じ受光モジュール1702を45°で配置した場合とでは、観測される結果は全く同じになる。受光モジュール1702で得られる測定結果と受光モジュール1703で得られる測定結果は同じものであり、これは受光モジュール1701の波長板アレイと偏光子アレイの配列順を代えた場合に相当する。以上より、入射光の偏波の傾きを変化させた場合、観測される強度分布パターンは面内を水平移動することになり、パターン凹凸形状そのものは変化しないことがわかる。図18は、観測される強度分布パターンの例(入射偏波の楕円率との関係)である。図18には、例として、入射光の楕円率を一定(ε=0.5)とし、楕円の角度(γ)を0°、45°、90°と変化させた場合に観測される光強度分布を示してある。
一方、入射光の楕円率を変化させた場合にパターン形状が変化することは、容易に想像できる。図19は、観測される強度分布パターンの例(入射偏波の傾きとの関係)である。図19には、例として、入射光の傾きはγ=0°で一定とし、楕円率εを0(直線偏光)、0.2、0.5、1(右回り円偏光)と変化させた場合に、観測される光強度分布を示してある。入射光が直線偏光であった場合は、パターンは「船底型」の周期的な形状になるのに対し、楕円率が増すに連れてパターン形状が引き伸ばされ、円偏光の場合は楕円が無限に引き伸ばされた極限としての直線的な周期形状となる。以上より、受光素子アレイで観測される光強度分布パターンの凹凸形状から入射偏光の楕円率(ε)が求めることができ、パターンの平面内での相対的な位置(座標)から入射偏光の傾き(γ)を求めることができることがわかる。
<偏光解析システムによる偏光解析>
図20は、強度分布パターンを解析する偏光解析システムの構成例である。上述する偏光解析方法または偏光解析システムを実施するための装置の構成例を図20に示す。波長板アレイおよび偏光子アレイを用いた受光モジュール2001によって観測される光強度分布2002を情報処理システム2003で受信し、その2次元パターン形状を解析する。以下では、それぞれの偏光解析方法について解説する。
はじめに、位相差が一定で光軸方向が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイを重ね合わせ(例えば、波長板アレイを前面とし、偏光子アレイを後面となるようにして重ね合わせる。)、波長板のある領域と偏光子のある領域を通過した光を個別に受光することのできるような受光素子アレイを2次元的に配置した受光モジュールにおいて、前記受光素子アレイによって観測される2次元強度分布パターンがDC成分と多くても3つの周波数成分のみによって表される特徴を利用することによって、入射光の偏光状態を求める例について、説明する。また、ここで、受光素子アレイによって観測される強度分布パターンの最大点もしくは最小点近傍のパターン形状の特徴を利用してサンプル値をフィッティングまたは内挿することにより、エリプソメトリの消光点または光量の最小点を求め、入射光の偏光状態を求めることについても説明する。すなわち、光強度分布のフィッティングによる偏波解析法の例として、観測される強度分布パターンの等高線形状を解析する偏光解析アルゴリズムについて説明する。
強度分布の等高線形状は、観測される強度分布データから強度が等しくなる点を抜き出すことにより簡単に求めることができる。このとき、波長板アレイおよび偏光子アレイの分割数が少ない場合は、より正確な等高線形状を得るために、観測されるとびとびの値をフィッティング計算により補間して滑らかな強度分布を求めた後に等高線形状を算出する方法が有効である。等高線は図18および図19で示したように、観測される強度分布パターンの全域について求めても良いが、パターンの特徴が最も良く現れる明点付近や暗点付近のみについて求めても構わない。このようして求めた等高線の形状と位置を分析できれば、前述のように入射光の偏光状態を求めることができる。ここでは、等高線の形状解析手法の例として、パターン暗点(最小値)付近の等高線形状の傾きおよび位置を解析する方法と、予め用意しておいたパターンのデータベースとの比較を行う方法について簡単に説明する。
まず、等高線の傾きおよび位置を検出する方法について説明する。図21は、観測される強度分布パターンの暗点付近の等高線形状を示す図である。図21には、例として、先に図11および図18で示した、入射光が直線偏光(ε=0)の場合と右回り円偏光の場合(ε=1)、および右回り楕円偏光(ε=0.5)の場合について、観測される強度分布パターンの暗点付近のみの等高線を描いた結果をまとめて示してある。
一般的に波長板アレイおよび偏光子アレイの主軸角度範囲が0°から180°の場合、暗点は面内に2箇所存在するが、図21では混乱を避けるため、代表的な暗点付近の等高線のみを表示した。この図からもわかるが、暗点付近の等高線形状はほぼ楕円形となり、その形状は下記式5のように表現することができる。
ただし、ここでA、B、CおよびDは定数である。この暗点の位置は入射偏波の楕円率(ε)が一定の場合は、楕円率によって決まる特定の直線上に存在することがわかる。例えば、直線偏光(ε=1)の光の場合は直線P−p上、右回りの円偏光の場合は直線Q−q上またはQ′−q′上に暗点が存在し、ε=0.5の楕円偏光の場合の暗点位置は直線R−r上またはR′−r′上に存在する。また図では表示しなかったが、左回りの円偏光が入射した場合の暗点位置は右回りのときと対称に直線S−sまたはS′−s′上に存在する。入射偏光の傾き(γ)が変化した場合、暗点位置は楕円率(ε)で決まる上記の直線上を移動することがわかる。
さらに、暗点付近の等高線として得られる楕円の傾きは入射光の楕円率によって変化することもわかる。円偏光の場合の等高線は楕円が無限に細長くなった極限としての直線形状となるが、最小値の軌跡の傾きは1であり、楕円率か小さくなるにつれて等高線の楕円の傾きが小さくなる。このことを利用して、入射光の偏光状態を求めることもできる。いずれにせよ、受光モジュールによって観測される強度分布パターンの等高線形状を先ほどの式5によってフィッティングできれば、その傾きや位置を正確に求めることが可能であるため、入射光の偏光状態(εおよびγ)を正確に求めることが可能となる。
図22は、パターン形状をデータベースと比較する偏光解析方法を示す概念図である。図22には、等高線の形状解析手法のもう一つの例として、求めたパターン形状をデータベースと比較する手法を示してある。この場合は、予め様々な偏波状態に対応したパターン形状をデータベース化しておき、受光モジュール2201によって観測された強度分布パターン2202を、図示しない情報処理システムによって等高線データ2203へ変換し、データベース2204に蓄積されたパターン形状との比較を行い、一致するデータを検索することにより入射光の偏光状態を求める。もちろん、既に述べた等高線の位置および傾き検出の手法とデータベースとの比較の手法とを同時に行って、より正確な偏光解析を行うことも可能である。
次に、位相差が一定で光軸方向が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイを重ね合わせ(例えば、波長板アレイを前面とし、偏光子アレイを後面となるようにして重ね合わせる。)、波長板のある領域と偏光子のある領域を通過した光を個別に受光することのできるような受光素子アレイを2次元的に配置した受光モジュールにおいて、前記受光素子アレイによって観測される2次元強度分布パターンがDC成分と多くても3つの周波数成分のみによって表される特徴を利用することによって、入射光の偏光状態を求める例において、観測される強度分布パターンの形状解析方法として、フーリエ変換を採用したことを特徴とするものについて説明する。すなわち、観測される強度分布パターンをフーリエ変換して、その周波数成分を求める偏光解析アルゴリズム(フーリエ解析法)について説明する。
ここで使用する受光モジュールにより観測される光強度分布の式(上記式3、上記式4)をもう一度記述すると、下記式6および下記式7である。
この式を変形して入射光強度で規格化すると、下記式8が得られる。
ここで、簡単のために2φ=Φ(ラージファイ)、2θ=Θ(ラージシータ)と置き換えた。式8は観測される2次元の強度分布がΦ、2Θ―Φ、Θ―Φの3つの周波数成分からなることを示している。それぞれの周波数成分を式8に示したように、X、Y、Zとおいた場合、入射光が直線偏光(ε=0)の場合はZ=0となり、直線偏光(ε=1)の場合はX=Y=0となることがわかる。また、入射偏光の傾き(γ)はXおよびYの位相として表れることから、γが変化した場合も各周波数成分の振幅、つまり強度分布の形状は変化しないことが分り、これは先に述べた結果と一致する。
式8より、受光モジュールで観測される強度分布をフーリエ変換することで、そのスペクトルを計算し、各周波数成分の振幅と位相を求めることができれば、入射光の偏光状態を正確に求められることがわかる。つまり各周波数成分X、Y、Zの値が分った場合、入射偏光の傾き(γ)は、下記式9で示したように、XもしくはYの位相の値の1/2として求めることができる。
そして、入射光の楕円率(ε)はZの振幅の値から、下記式10のように求めることができる。
図24は、強度分布パターンのフーリエ解析のシミュレーション結果(その1)である。また、図25は、強度分布パターンのフーリエ解析のシミュレーション結果(その2)である。図24、25には、フーリエ変換による偏光解析の例として、入射偏波の楕円率が変化した場合と傾きが変化した場合(図18、図19)について、受光素子アレイによって観測される強度分布と、その強度分布をフーリエ変換した結果、およびフーリエ変換により求められた各周波数成分から入射偏光状態を逆算した結果を示してある。
図の結果は受光モジュールの波長板アレイおよび偏光子アレイは64分割とし、主軸角度を0°から180°まで(正確には177.1875°まで)を2.8125°ずつ変化させた場合の強度分布について解析したものである。また、フーリエ変換により求めた各周波数成分は入射光強度によって規格化されている。結果からも明らかなように、得られる各周波数成分の値から逆算した偏光状態は、入射偏光と一致することがわかる。
しかしながら実際の受光モジュールでは、外部からの迷光の影響のほか、さまざまな電気的なノイズが原因となって、観測される強度分布に雑音が重畳される。また、受光素子アレイの光応答に非線形性がある場合には、正しい強度分布が得られないことになる。従って、上記のフィッティング計算やフーリエ解析だけでは求められる偏光状態の誤差が大きい場合があり得る。
このような場合においても、上記等高線解析法と上記フーリエ解析法の両方を併用することにより、より高精度な偏光解析を実現することが可能となる。例えば、雑音の含まれる強度分布パターンのフーリエ解析の結果から、パターンの暗点付近のパターン形状についての1次近似値を求め、その近似値を用いてサンプル値をフィッティングすることで、正確な等高線形状求めることができれば、入射光の偏光状態を高精度に求めることができる。
また、受光モジュールの雑音対策としては、等高線解析やフーリエ解析法による偏光解析方法と、従来からの偏光解析法であるパターンの最小値(暗点)の位置を検出する方法(消光法)を併用して用いる方法も有効である。図26は、フーリエ解析と暗点検出法を併用するパターン解析アルゴリズムの例である。既に説明したように、消光法は非常にシンプルな偏波解析方法であり、強度分布パターンの内の1点(例えば最小点)の座標情報から瞬時に入射偏光の状態を求めることがきる。これを利用して例えば図26の(c)および(d)に示したように、観測された強度分布パターン全体をフーリエ解析することによって得られる暗点の1次近似的な位置および暗点付近の強度分布2次曲線の形状の情報を利用して、暗点付近の強度分布パターンを観測されたサンプル値と正確にフィッティングし、暗点の位置に関する第2次の近似値を精度良く求めることができれば、(b)のように何の情報も持たずにサンプル点のフィッティングを行う場合と比較して、非常に高精度な偏光解析が可能となる(実際には測定データは2次元の情報であるが、図26では簡単のため1次元の場合を示した。)。
さらに、パターン全体の形状を解析する場合は、最大値においても受光素子アレイが飽和しないよう考慮して光強度および測定時間(ゲート時間)を決定し、最小値(暗点)に注目するときは最大値の飽和を気にする必要がないため、比較的長い時間をかけてS/Nの高いデータを取得することも可能となる。このような手法によって、暗点付近の形状について、より精度の高いフィッティングが可能となり、入射偏波状態の解析精度を向上させることができる。
<受光モジュールの更に詳細な具体例>
次に、(1)透過光に与える位相差は一様で光軸方向が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、前記波長板の特定の領域とそれと重なる前記偏光子の特定の領域を通過した光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する受光モジュール、(2)透過光に与える位相差は一様で光軸方向が個々に異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する波長板アレイと、透過する偏波の方向が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する偏光子アレイと、前記波長板アレイと前記偏光子アレイとが前記ストライプを互いに交差させるように配置されて形成される各交差領域を通過する光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する受光モジュール、そして(3)前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる面内の一方向に繰り返される周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなる受光モジュール、また(4)光軸方向は一様で透過光に与える位相差が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、前記波長板の特定の領域とそれと重なる前記偏光子の特定の領域を通過した光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する受光モジュール、(5)光軸方向は一様で透過光に与える位相差が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する波長板アレイと、透過する偏波の方向が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する偏光子アレイと、前記波長板アレイと前記偏光子アレイとが前記ストライプを互いに交差させるように配置されて形成される各交差領域を通過する光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する受光モジュール、そして(6)前記波長板アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる繰返し周期をもち共通の一方向に周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなり、前記偏光子アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる面内の一方向に繰り返される周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなる受光モジュール、について説明する。
<受光モジュールの更に詳細な具体例1>
図27は、波長板アレイと偏光子アレイを一体化する方法を示す概念図である。同図には、上記(1)から(6)の受光モジュールにおいて、波長板アレイと偏光子アレイを一体化させた例を示してある。基板2704上に溝パターンを形成し、多層膜2703を積層させことにより偏光子アレイを作成する。この偏光子アレイ層の最終層2702をやや厚く積層させ、同時にスパッタエッチングを強くかけると、自己クローニングによって形成された凹凸が消滅し、平らな表面が出来上がる。表面を平滑化するのに機械的な研磨を用いても特に問題ない。その後、再びリソクラフィーで波長板用のライン&スペースパターンを新たに形成し、自己クローニングにより多層膜2701を積層させて波長板アレイを作成する。偏光子アレイと波長板アレイのパターンの位置あわせには、あらかじめ基板の一部に位置決め用のマーカーをつけて置けば良い。このようにして、偏光子アレイと波長板アレイを一体形成することができれば、受光素子アレイ2705と組み合わせることにより、より小型の受光モジュールを実現できる。
<受光モジュールの更に詳細な具体例2>
図28は、波長板アレイと偏光子アレイを一体化する第2の方法を示す概念図である。同図には、上記(1)から(6)の受光モジュールにおいて、波長板アレイと偏光子アレイを一体化させるもう一つの例を示してある。この場合、基板2802の表裏にそれぞれ溝パターンを形成し、波長板アレイ層2801と偏光子アレイ2803層を自己クローニングによって形成することにより一体化を実現している。パターンの位置合わせのためには、基板2802に、SiOなどの透明基板を用い、位置合わせ用のマーカーを付けておけばよい。この一体化波長板/偏光子アレイと受光素子アレイ2804と組み合わせることによって、小型の受光モジュールを実現できる。
<受光モジュールの更に詳細な具体例3>
図11および図14からも明らかであるが、波長板角度変化型および波長板位相差変化型のいずれの受光モジュールについても、ある特定の偏波が入射した場合に強度がゼロとなる位置が点とはならずに線となって現れる。例えば、角度変化型(図11)の場合は、右回り、左回りの円偏波の光が入射した場合、位相差変化型(図14)の場合は、波長板の主軸角度と同じ方向、もしくは直交する方向の直線偏波光が入射した場合に、強度分布が線状になる。偏波解析アルゴリズムとして暗点検出法を採用する場合、これらの特異点とその近傍の偏光状態については、ボトム位置(もしくはピーク位置)が一点に定まらなくなるため、偏光状態の判定が難しくなる。
そこで、具体例3として、波長板角度変化型の受光モジュールと波長板位相差変化型の受光モジュールを組み合わせて相補的に用いる方法を説明する。図29は、図10と図13の受光モジュールを一体化させた受光モジュールを表す概念図である。同図に示すように、主軸角度変化型の1/4波長板アレイ2901とリターデーション量(位相差)変化型の波長板アレイ2902を同一基板上に形成し、偏光子アレイ2903と組み合わせ、光検出器アレイ2904によって光の強度分布を計測する。
自己クローニング型フォトニック結晶ではさまざまなパターンを同一プロセスで作り込むことが可能であるため、図29のような複雑なパターンについても容易に製作可能である。図29ではそれぞれの領域をy軸方向に並べたが、それぞれの領域を配置する位置や順序については任意である。この場合、一方の領域において強度分布が線状になり偏光状態の判別が難しくなった場合においても、もう一方の領域ではゼロ点位置を正確に求めることが可能であるため、すべての偏波状態の判定が問題なく行えることになる。このような複雑な構成についても、フォトニック結晶を用いることにより十分に小型で、しかも簡単なプロセスによって実現できることが本具体例の利点である。
<受光モジュールの更に詳細な具体例4>
上述する具体例1から具体例3の受光モジュールは偏光子アレイと波長板アレイおよび受光素子アレイの3つの平面デバイスの組み合わせによって構成されるものであるため、偏光子と波長板および受光素子の間における光の多重反射が問題となる可能性がある。この多重反射の影響を避ける方法として、前記波長板アレイと前記偏光子アレイと前記受光素子アレイとの間における少なくとも1箇所に光吸収性の層を設けるか、または、前記波長板アレイ、前記偏光子アレイおよび前記受光素子アレイの少なくとも1つに対して前記アレイにおける各領域の境界に透明部分または不透明部分を形成することによって、不要な多重反射光を減衰させる、具体例の一つについて説明する。図30は、受光モジュールにおける光の多重反射を抑圧する方法を示す概念図である。
図30では、波長板アレイ3001と偏光子アレイ3002および受光素子アレイ3005の断面を示した。この場合、波長板アレイ3001には、溝パターン域3003が一定の間隔ごとに形成されており、波長板として機能する領域は溝パターンの存在する領域だけである。溝のないその他の領域は単なる多層膜となり光に対して透明もしくは不透明となる。同様に偏光子アレイ基板3002についても、偏光子パターン3004が形成されているのは一部分のみであり、その他の領域では光に対して透明もしくは不透明となる。このような2枚の波長板アレイと偏光子アレイを受光素子アレイと組み合わせて、光の入射方向に対して傾けて配置する。図30のように、溝パターンのピッチや2つのアレイの間隔および挿入角度を適当に選ぶことにより、偏光子アレイによって反射された光のうち、各面間を多重反射したのち受光素子で検出される成分を大幅に低減することが可能である。
<受光モジュールの更に詳細な具体例5>
具体例4で説明した波長板アレイと偏光子アレイおよび受光素子アレイの間での光の多重反射の影響を低減する方法について、もう一つの具体例について説明する。図31は、受光モジュールにおける光の多重反射を抑圧する第2の方法を示す概念図である。これは光の吸収をもつ基板3101および3102を波長板アレイ3103と偏光子アレイ3104の間、あるいは波長板アレイ3104と受光素子アレイ3105の間に配置した構造である。これらの素子を貼り合わせたり、1枚の基板上に製膜して作製するなどの方法により一体化させたりした場合も同様である。このような構成では、光の透過強度そのものが弱くなってしまうが、通常入射光の強度は光検出器の感度と比較して十分に強いと考えられるため、実用上の問題はない。偏光子アレイ3104や受光素子アレイ3105などで反射された光は、吸収層3101および3102内を伝播するうちに吸収され次第に弱くなるため、再び反射されて検出器で検出される成分を十分に小さくすることができる。
<受光モジュールの更に詳細な具体例6>
次に、前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイの周辺部分に入射偏光に対して等方的な透明部分を設けるか、または、前記波長板アレイと前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分の少なくとも一部(全部であってもよいし、一部であってもよい)に入射偏光に対して等方的な透明部分を設けることにより、前記波長板の特定の領域と前記偏光子の特定の領域とを通過した光の強度分布と同時に、入射光の強度分布および前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイの透過損失分布を計測し、測定結果を補正する具体例の一つについて説明する。図32は、入射光強度分布や損失分布を補正する受光モジュールの構成例(その1)である。図32には、一例として、波長板アレイおよび偏光子アレイの各領域の間に透明領域を設け、入射光強度分布や波長板アレイおよび偏光子アレイの損失分布を測定する構成例を示してある。
図32に示すように、波長板アレイ3201の各領域を互いに離して配列し、同様に偏光子アレイ3202の各領域を互いに離して配列する。偏光子アレイもしくは波長板アレイのパターンのない領域は光に対して透明となるように設計しておく。フォトニック結晶を利用する場合、図32のような複雑な構造も1度のプロセスで簡単に作成できる。
この波長板アレイと偏光子アレイを受光素子アレイ3203と組み合わせた場合、それぞれの受光素子は波長板と偏光子の両方を通過した光成分を測定する領域3204と、波長板のみを通過した光を測定する領域3205と、偏光子のみを通過した光を測定する領域3206と、波長板と偏光子のどちらも通らない光(透明領域を通過する光)を測定する領域3207とに分類することが可能である。領域3207で測定される光強度分布によって入射光の強度分布情報を知ることができる。同様に領域3205で測定される強度分布から波長板アレイの損失分布が、領域3206で測定される強度分布より偏光子アレイの損失分布が評価できる。これらのデータを用いて、測定領域3204で測定される強度分布を補正することが可能であり、精度の高い偏波解析が可能となる。
<受光モジュールの更に詳細な具体例7>
具体例7で説明した他の例として、波長板アレイおよび偏光子アレイの周辺部に透明領域を設ける例について説明する。図33は、入射光強度分布や損失分布を補正する受光モジュールの構成例(その2)である。図33に示すように、波長板アレイ基板3301のうち波長板として機能する部分は中央付近の周期パターンのある領域だけで、その他の周辺領域は透明領域となっている。同様に偏光子アレイ基板3302のうち偏光子として機能するのは中央付近だけで、周辺部分は透明領域となっている。このような複雑なパターンも、フォトニック結晶技術を用いることで簡単に形成できる。
偏光子アレイおよび波長板アレイはそれぞれ長方形の形状となっており、2つのアレイを重ねた場合にパターンの端が重ならず、どちらか片方のみを通過する光も受光素子へ到達する。このような場合、受光素子アレイ3303の領域3304が波長板と偏光子の両方を通過した光の強度分布を測定することになる。領域3305では波長板のみを通過した光を、領域3306では偏光子のみを通過した光をそれぞれ受光することになり、領域3307では偏光子と波長板のどちらも通過しなかった光強度を測定する。領域3305での測定結果から波長板アレイの損失分布がわかり、領域3306の測定より偏光子アレイの損失分布がわかる。また、入射光は通常はガウスビームであると考えられるため、領域3307の測定結果から入射光のビームプロファイルも評価することができる。得られた損失分布および入射光の強度分布を用いることにより、測定データの高精度な補正が可能となる。
<受光モジュールの更に詳細な具体例8>
上述した様々な受光モジュールにおいて使用する波長板アレイおよび偏光子アレイの各領域の境界付近では、構造上光の散乱や回折が避けられないため、光の像が乱れる。このようなアレイの境界付近の光を除去し、より明確な強度分布パターンを得るために、前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分に遮光部分を設けるか、または、前記波長板アレイと前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分に対応した前記受光素子アレイの領域を遮光することによって、前記の境界部分における光の回折や散乱の影響を抑圧する、具体例の一つについて説明する。
図34は、遮光領域によって散乱/回折光の影響を回避する受光モジュールの構成例である。波長板アレイ3401と偏光子アレイ3402の各領域の境界部分には黒線で示した遮光領域3403が配置されており、この部分に入射した光は受光素子に到達することができない。あるいは、受光素子アレイ3404のうち波長板アレイおよび偏光子アレイの境界部分からの光が入射する領域に遮光領域3405を設けることで散乱光および回折光を除去することも可能である。
<受光モジュールの更に詳細な具体例9>
次に、上述する様々な受光モジュールをある平面内に複数配置することにより、入射光ビームの位置変動による測定エラーを回避する、具体例の一つについて説明する。図35は、入射光の位置変動の影響を回避するための受光モジュールの構成例である。同図には、上述する受光モジュールを4つ平面内に配置し、入射ビームの位置変動による測定エラーを回避する方法の例を示してある。本具体例ではフォトニック結晶を利用することにより、十分に小型の受光モジュールが実現できるため、複数の受光モジュールを小さな領域に配置することや、複数の受光モジュールを一体化して1つのモジュールにまとめることも容易である。受光モジュール3501から3504を平面内に並べて配置することにより、入射光ビームが変動した場合も4つのうちのいずれかの領域に光が照射されることになる。入射光ビームのビーム径を適切に設計することにより、どの位置にビームが照射されても、上述する受光モジュール1台分から得られる強度分布と同等以上の情報を得るようにすることが可能である。例えば図35のように、4つの受光モジュールの中央領域3505に光が入射した場合は、それぞれの領域から1/4ずつの強度分布情報が得られるため、これらの情報を合成して偏光解析を行うことができる。面内に配置する受光モジュールの数をさらに増やせば、より大きなビーム変動にも対応が可能となる。
<波長板アレイの位相差ズレを補正する方法1>
上述する波長板アレイおよび偏光子アレイを用いた受光モジュールは、駆動部がないため信頼性が高く、また従来のモジュールと比較して測定時間の飛躍的な短縮が可能であるなどの利点を有している。また、フォトニック結晶を利用することにより、十分に小型のデバイスを実現できるだけでなく、各アレイの主軸方向については非常に高精度な制御も可能となる。しかしながら、波長板アレイの位相差(リターデーション)については、詳細なプロセス制御を行った場合も、理想的な値である1/4波長(π/2ラジアン)と厳密に一致させることは難しい。フォトニック結晶の構造および作成方法を考慮すると、プロセスに分布がなければ、波長板アレイの各波長板領域の位相差は、設計値からのズレがある場合も全ての領域で一定の値となることが予想される。
このような波長板アレイの位相差ズレを補正する方法として、前記受光素子アレイによって観測される強度分布パターンの形状を解析することにより、前記受光モジュールに使用されている前記波長板アレイの位相差の値を検出し、前記波長板アレイ作成時における位相差の誤差を補正する、具体例の一つについて説明する。
図36は、波長板アレイの位相差ズレを補正する方法の第1の実施例を示す図である。これは、受光モジュールにある特定の偏波状態の光を入射したときに観測される強度分布情報から波長板の位相差を求め、そのズレを補正するものである。例として、グラントムソンプリズムなどの消光比の高い偏光子3601を用いて、受光モジュール3602に直線偏波光を入射する場合について考える。(このとき偏波の傾き角度は任意である。)このとき、受光モジュール内の波長板アレイの位相差が70°の場合と90°の場合、および110°の場合に観測される光強度分布を示した。
既に何度も述べたように、直線偏波光が入射した場合の強度分布パターンは「船底型」の形状となるが、図からもわかるように、船底の楕円形状(楕円率)は波長板アレイの位相差によって変化する。従って、受光モジュールに直線偏波の光を入射した場合に得られる強度分布パターンの形状を解析することにより、波長板アレイの位相差ズレを正確に評価できることになる。ここで、直線偏波光を入射した場合に観測されるパターンを解析する手法としては、先に述べた等高線解析法やフーリエ解析法を用いることができる。
<波長板アレイの位相差ズレを補正する方法2>
波長板アレイの位相差ズレを補正する方法として、他の具体例について説明する。図37は、波長板アレイの位相差ズレを補正する方法の第2の実施例を示す図である。受光モジュール3701に任意の偏光状態の光を入射し、観測される光強度分布を情報処理システム3702によりフーリエ変換する。このとき、フーリエ変換で得られる各周波数成分は既に述べたように式8で表される。各周波数成分をX、Y、Zとおいた場合、波長板アレイの各波長板領域の位相差(α)は、下記式11によって求めることができる。
つまり、強度分布形状の解析にフーリエ変換を採用する場合は、フーリエ変換によって求められる各周波数成分の値から、既に述べたように入射光の楕円率(ε)および偏波の傾き(γ)だけでなく、波長板の位相差(α)の値も同時に求められることになる。
以上のように、上述する偏光解析方法では、波長板アレイの位相差はアレイの全領域にわたって一定(均一)でさえあれば、位相差の大きさは問題とならない。たとえ、位相差の値がどのような値をとった場合でも(α=0°の場合を除く)、測定される強度分布パターンを解析することにより、位相差のズレを正確に評価することができ、正しい入射偏光の値を求めることができる。これは、従来の単一の波長板や偏光子を用いるエリプソメータと比較して非常に有利な点である。たとえば、従来のエリプソメータで採用されている消光法では、使用する波長板の位相差が1/4波長から少しでもずれた場合、偏光子や波長板を回転させた場合に消光する点が本来の位置からずれるため、正確な偏波の解析が不可能になってしまう。
<散乱光や回折光の影響を取り除く手法>
上述する受光モジュールにおける波長板アレイおよび偏光子アレイは、異なる領域を複数個配列したものであるため、それぞれの領域の境界部分は不連続となり、光の散乱や回折が発生する。散乱光および回折光は信号処理の上では雑音となって現れ、偏光解析の精度を劣化させる要因となる。このため、精度の高い装置を実現するために受光モジュールに使用する波長板アレイや偏光子アレイまたは受光素子アレイに遮光領域を配置し、散乱光や回折光が受光されないようにするような手法もあるが、そのような遮光構造を用いることなく散乱光や回折光の影響を取り除く手法として、波長板アレイまたは偏光子アレイの各領域の境界部分からの散乱光および回折光の影響を取り除くため、受光素子アレイから出力される信号のうち、前記の散乱光および回折光を受光する領域からの信号を除去する信号処理方法について、説明する。
図23は、アレイの境界部分による影響を除去する信号処理方式を示す図である。波長板アレイ2301および偏光子アレイ2302を通過した光が受光素子アレイ2303に入射される。受光素子アレイとして、一般的なCCDを用いると仮定した場合、単一の受光素子のサイズは数μm程度であり波長板アレイおよび偏光子アレイの各領域のサイズと比較して十分小さい。従って、波長板アレイと偏光子アレイの交差によって作られる各領域を通過した光を受光する受光素子領域には、それぞれ複数の受光素子が存在することになる。これらの受光素子から出力される電気信号のうち、波長板アレイおよび偏光子アレイの境界部分からの散乱光や回折光を含む光を受光する領域2304から出力される信号を用いず、散乱光や回折光の影響のない光を受光する領域2305から出力される信号だけを合計または平均することによって各領域の光強度を求めれば、高い精度での偏光解析が実現されることとなる。図23では、信号を使用しない領域2304を各領域の上下に受光素子1列分取ったが、領域の取り方や大きさは任意であり、受光モジュールの構造によって変わる。このような信号処理方法は情報処理システムにより、非常に簡単にかつ高速に計算できるため、偏光測定精度の向上に非常に有効な手法である。
本発明により実現されるインライン計測型の偏光解析装置およびそれを利用したエリプソメータは、薄膜製造の制御あるいは品質管理用などに利用することができる。
図1は、真空処理装置の一例に係る概略構成図である。 図2は、真空のプレチャンバ中のインライン計測型の膜厚/膜質モニタの概念図である。 図3は、真空処理装置の他の例に係る概略構成図である。 図4は、真空のプレチャンバ中のインライン計測型の膜厚/膜質および分布モニタの概念図である。 図5は、真空のプレチャンバ中のインライン計測型の膜厚/膜質および分布モニタの概念図である。 図6は、実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置の概略構成図である。 図7は、実施形態に係るインライン計測型の偏光解析装置の概略構成図である。 図8は、フォトニック結晶からなる偏光子あるいは波長板の概念図である。 図9は、図8に示すフォトニック結晶の伝搬特性を表すバンド図である。 図10は、フォトニック結晶を用いて構成される「角度変化型」受光モジュールである。 図11は、図10の受光モジュールを用いた場合に観測される光の強度分布の例である。 図12は、光の偏光状態を表現する方法を示した概念図である。 図13は、フォトニック結晶を用いて構成される「位相差変化型」受光モジュールである。 図14は、図13の受光モジュールを用いた場合に観測される光の強度分布の例である。 図15は、波長板と偏光子の分割数による強度分布パターンの違いの例である。 図16は、測定される強度分布パターンと補間後の強度分布の関係の例である。 図17は、入射偏波の傾きと観測される強度分布パターンの関係を示す概念図である。 図18は、観測される強度分布パターンの例(入射偏波の楕円率との関係)である。 図19は、観測される強度分布パターンの例(入射偏波の傾きとの関係)である。 図20は、強度分布パターンを解析する偏光解析システムの構成例である。 図21は、観測される強度分布パターンの暗点付近の等高線形状を示す図である。 図22は、パターン形状をデータベースと比較する偏光解析方法を示す概念図である。 図23は、アレイの境界部分による影響を除去する信号処理方式を示す図である。 図24は、強度分布パターンのフーリエ解析のシミュレーション結果(その1)である。 図25は、強度分布パターンのフーリエ解析のシミュレーション結果(その2)である。 図26は、フーリエ解析と暗点検出法を併用するパターン解析アルゴリズムの例である。 図27は、波長板アレイと偏光子アレイを一体化する方法を示す概念図である。 図28は、波長板アレイと偏光子アレイを一体化する第2の方法を示す概念図である。 図29は、図10と図13の受光モジュールを一体化させた受光モジュールを表す概念図である。 図30は、受光モジュールにおける光の多重反射を抑圧する方法を示す概念図である。 図31は、受光モジュールにおける光の多重反射を抑圧する第2の方法を示す概念図である。 図32は、入射光強度分布や損失分布を補正する受光モジュールの構成例(その1)である。 図33は、入射光強度分布や損失分布を補正する受光モジュールの構成例(その2)である。 図34は、遮光領域によって散乱/回折光の影響を回避する受光モジュールの構成例である。 図35は、入射光の位置変動の影響を回避するための受光モジュールの構成例である。 図36は、波長板アレイの位相差ズレを補正する方法の第1の実施例を示す図である。 図37は、波長板アレイの位相差ズレを補正する方法の第2の実施例を示す図である。
符号の説明
100 真空処理装置
101 基板
102 プロセスチャンバ
103 ロードロックチャンバ
104 電極
105 開閉とびら
106 搬送治具
201 基板
202 光源モジュール
203 受光モジュール
204 情報処理システム
205 搬送治具
206 ロードロックチャンバ(プレチャンバ)
207 試料台
300 真空処理装置
301 基板
302a〜302c プロセスチャンバ
303 ロードロックチャンバ(プレチャンバ)
304 電極
305 開閉とびら
306 搬送治具
307 トランスファーチャンバ(プレチャンバ)
401 基板
402 光源モジュール
403 受光モジュール
404 情報処理システム
405 搬送治具
407 試料台
406 ロードロックチャンバ(プレチャンバ)
408 光ファイバ
409 レーザ光源
501 基板
502 光源モジュール
503 受光モジュール
504 情報処理システム
506 ロードロックチャンバ(プレチャンバ)
507 回転式ドラム
508 光ファイバ
509 レーザ光源
600 インライン計測型の偏光解析装置
601 基板
602 光源モジュール
603 受光モジュール
604 フランジ部
606 ロードロックチャンバ
700 インライン計測型の偏光解析装置
701 基板
702 光源モジュール
702a ファイバコリメータ
702b ミラー
703 受光モジュール
704 フランジ部
705a,705b ガラス窓
706 ロードロックチャンバ
707 ガイド

Claims (27)

  1. 試料を処理するプロセスチャンバにつながるプレチャンバの内部に、前記プレチャンバに移動した試料へ光を入射する光源部と、前記試料からの反射光を受光する受光部とを有し、
    前記受光部からの反射光の情報を処理する処理部を有し、
    前記試料の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析装置。
  2. 前記試料の処理は、被製膜部材上への製膜または製膜された膜のエッチングである、請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  3. 前記プレチャンバは、ロードロックチャンバ又はトランスファーチャンバである、請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  4. 前記物性値は、前記試料の屈折率(n)、消衰係数(k)又は膜厚(d)の少なくとも1つである、請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  5. 前記プレチャンバは、前記移動した試料に臨むように形状的に内側に入り込む凹部を有し、
    前記光源部及び前記受光部は、前記凹部の内側に設けられ、
    前記光源部は前記凹部の内側に設けられた透明窓から前記試料へ光を入射し、前記受光部は前記凹部の内側に設けられた透明窓から前記試料からの反射光を受光することにより、前記試料の物性値を計測する、請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  6. 前記凹部は前記プレチャンバの内側に向かって伸縮自在に構成され、前記光源部及び前記受光部と前記試料との距離が調整可能となっている、請求項5に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  7. 前記受光部は、フォトニック結晶により構成された波長板およびフォトニック結晶により構成された偏光子の少なくとも1つを有する、請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  8. 前記受光部は、
    透過光に与える位相差は一様で光軸方向が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、
    透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、
    前記波長板の特定の領域とそれと重なる前記偏光子の特定の領域を通過した光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
    請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  9. 前記受光部は、
    透過光に与える位相差は一様で光軸方向が個々に異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する波長板アレイと、
    透過する偏波の方向が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する偏光子アレイと、
    前記波長板アレイと前記偏光子アレイとが前記ストライプを互いに交差させるように配置されて形成される各交差領域を通過する光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
    請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  10. 前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる面内の一方向に繰り返される周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなる、
    請求項8または請求項9に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  11. 前記受光部は、
    光軸方向は一様で透過光に与える位相差が異なる複数の領域を有する波長板アレイと、
    透過する偏波の方向が異なる複数の領域を有する偏光子アレイと、
    前記波長板の特定の領域とそれと重なる前記偏光子の特定の領域を通過した光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
    請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  12. 前記受光部は、
    光軸方向は一様で透過光に与える位相差が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する波長板アレイと、
    透過する偏波の方向が異なる少なくとも2つ以上のストライプ状の領域を有する偏光子アレイと、
    前記波長板アレイと前記偏光子アレイとが前記ストライプを互いに交差させるように配置されて形成される各交差領域を通過する光を個別に受光することができる受光素子アレイとを有する、
    請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  13. 前記波長板アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる繰返し周期をもち共通の一方向に周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなり、
    前記偏光子アレイは、積層方向には各層の形状が周期的であり、かつ各層の形状が前記領域毎に決まる面内の一方向に繰り返される周期的な凹凸形状を有する誘電体多層膜からなる、
    請求項11または請求項12に記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  14. 請求項8から請求項9のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置と、請求項10から請求項13のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置とを有し、計測する光ビームをそれぞれのインライン計測型の偏光解析装置の受光部に入射する、インライン計測型の偏光解析装置。
  15. 前記波長板アレイと前記偏光子アレイと前記受光素子アレイとの間における少なくとも1箇所に光吸収性の層を設けるか、
    または、前記波長板アレイ、前記偏光子アレイおよび前記受光素子アレイの少なくとも1つに対して前記アレイにおける各領域の境界に透明部分または不透明部分を形成することによって、
    不要な多重反射光を減衰させる、請求項8から請求項14のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  16. 前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイの周辺部分に入射偏光に対して等方的な透明部分を設けるか、
    または、前記波長板アレイと前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分の少なくとも一部に入射偏光に対して等方的な透明部分を設けることにより、
    前記波長板の特定の領域と前記偏光子の特定の領域とを通過した光の強度分布と同時に、入射光の強度分布および前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイの透過損失分布を計測し、測定結果を補正する、請求項8から請求項15のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  17. 前記波長板アレイおよび前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分に遮光部分を設けるか、
    または、前記波長板アレイと前記偏光子アレイにおける前記各領域の境界部分に対応した前記受光素子アレイの領域を遮光することによって、
    前記の境界部分における光の回折や散乱の影響を抑圧する、請求項8から請求項16のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  18. 請求項1から請求項17のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置の受光部をある平面内に複数配置することにより、入射光ビームの位置変動による測定エラーを回避する、インライン計測型の偏光解析装置。
  19. 前記偏光解析装置は、エリプソメータであり、
    前記光源部は、前記試料に対して偏光した光を所定角度で入射させ、
    前記受光部は、前記試料からの反射光を受光し、
    前記処理部は、前記受光部から得られた光強度分布から、P偏光成分およびS偏光成分の振幅反射率比を求める、請求項8から請求項18のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  20. 請求項19に記載するインライン計測型の偏光解析装置と、
    前記エリプソメータによって得られた前記試料の膜厚および膜質情報がフィードバックされ、前記プロセスチャンバにおける製膜条件又はエッチング条件を制御する処理条件制御装置とを有する、
    膜処理制御装置。
  21. 少なくとも2つ以上の請求項19に記載するインライン計測型の偏光解析装置と、
    前記試料の異なる位置の膜厚および膜質を各位置ごとに計測して得られた膜厚分布又は膜質分布に関する情報がフィードバックされ、前記プロセスチャンバにおける製膜条件又はエッチング条件を制御する処理条件制御装置とを有する、
    膜処理制御装置。
  22. 前記受光素子アレイがフォトディテクタ、CCD、C−MOS又は撮像管のいずれかである、請求項8から請求項18のいずれかに記載するインライン計測型の偏光解析装置。
  23. 試料を処理するプロセスチャンバと、
    当該プロセスチャンバにつながるプレチャンバと、
    請求項1に記載するインライン計測型の偏光解析装置と、
    を具備する真空処理装置。
  24. 試料を処理するプロセスチャンバにつながるプレチャンバの内部において、前記プレチャンバに移動した試料へ光を入射する工程と、前記プレチャンバの内部に設けた受光部により前記試料からの反射光を受光する工程と、処理部により前記受光部からの反射光の情報を処理する工程とを有し、前記試料の物性値を計測する、インライン計測型の偏光解析方法。
  25. 前記試料の処理は、被製膜部材上への製膜または製膜された膜のエッチングである、請求項24に記載するインライン計測型の偏光解析方法。
  26. 前記プレチャンバは、ロードロックチャンバ又はトランスファーチャンバである、請求項24に記載するインライン計測型の偏光解析方法。
  27. 前記受光部は、フォトニック結晶により構成された波長板およびフォトニック結晶により構成された偏光子の少なくとも1つを有する、請求項24に記載するインライン計測型の偏光解析方法。
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