JP5278725B2 - 接続端子の製造方法とその接続端子を用いた半導体チップ搭載用基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接続端子の製造方法とその接続端子を用いた半導体チップ搭載用基板の製造方法に関する。
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器ではパソコン、携帯電話などの小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められ、産業用機器としては無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータなどのネットワーク関連機器など、大型、小型を問わず、同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあり、高速処理および高速伝送技術の開発が進められている。実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリなどのLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。
このために、半導体チップ搭載基板やマザーボードも、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになってきた。電子機器メーカ各社は、製品の小型・薄型・軽量化を実現するために競って高密度実装に取り組み、パッケージの多ピン狭ピッチ化の急速な技術進歩がなされ、プリント配線板への実装は従来のQFP(Quad Flat Package)からエリア表面実装のBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip Size Package)実装へと進化した。
ところで、半導体チップと半導体実装基板との接続方法は金ワイヤボンディングが一般的であり、配線板側の端子には金ワイヤの接着層である金めっきが必要である。通常、銅配線上にニッケルめっきを施した後、金めっきが行われる。従来、銅配線上に金属めっき皮膜を形成する方法としては電気めっきが適用されていたが、近年、半導体チップの高速化、高集積化に伴い基板の配線が微細化し、めっき電力供給用の引き出し線の形成が困難となっている。そのため、引き出し線が不用である無電解めっき方法に対する必要性が強まっている。
一方、電気・電子機器に対する特定有害物質の使用制限に関するEUの指令として、RoHS(ローズ)指令(Restriction of the use of certainHazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment:電子・電気機器における特定有害物質の使用制限)があり、日本の企業は輸出する製品にも指令が適用されるため、現在、各社が対応を進めている。RoHS指令は、生産から廃棄・処分にいたる製品のライフサイクルにおいて、人の健康や環境負荷を最小限に抑えることを目的としている。対象物質は(1)鉛、(2)水銀、(3)カドミウム、(4)六価クロム、(5)ポリ臭化ビフェニール、(6)ポリ臭化ジフェニルエーテルの6種類である。この指令は2006年7月1日から施行され、それ以降にEUで上市される家電製品やパソコン、テレビなどは6物質の使用が制限される。鉛について取り上げると、RoHS規則案では最大許容濃度は均一物質あたりで0.1質量%(1000ppm)である。今後は規制が更に厳しくなり、最終的には非含有であることが最終目標となることが予測される。
無電解めっき方法に関しては、半導体チップ接続端子やはんだボールの接続端子など銅の表面に、無電解ニッケルめっき皮膜、無電解金めっき皮膜をこの順に形成(銅/ニッケル/金の順に形成)するのが一般的な方法である。例えば、銅配線上に無電解ニッケルめっきを行う場合、無電解ニッケルめっきの前処理工程として銅配線上に金属パラジウムを析出させる活性化処理を行った後、無電解ニッケルめっきを施すのが一般的である。しかしながら、かかる活性化処理を経た銅配線に無電解ニッケルめっきを施した場合、銅の配線部のみならず、その周辺の樹脂などの絶縁部にも無電解ニッケルめっきが析出してしまうことがある。このような現象は「ブリッジ」と呼ばれ、配線のショート不良の原因となる。
そこで、上述の「ブリッジ」を防止するために、無電解ニッケルめっきの前処理工程の直前に、銅パターンを形成した基材を、チオ硫酸塩を含む溶液に浸漬する前処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、無電解ニッケルめっきについては、通常、無電解ニッケルめっき液の中に安定剤として1ppm程度の鉛を含有させることにより液の安定化を図っている(例えば、非特許文献1を参照。)。なお、本研究者らの検討によると、めっき液中に1ppm程度に鉛を含有させた場合、得られる無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量は0.03質量%(300ppmm)となることが判明しており、このことは特定有害物質の使用を制限する観点から望ましくない。しかし最近では、鉛を含まない無電解ニッケルめっき液が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。このようなめっき液によれば、今後さらに厳しくなる環境規制への対応が期待できる。
特許第3387507号公報 特開2005−82883号公報 「無電解めっき基礎と応用」、電気鍍金研究会編、p.31、(1994)
近時、セミアディティブ法などの配線形成方法の利用によって、例えば、配線幅/配線間隔(以下、「L/S」という。)=35μm/35μmレベルの微細配線を有する製品が量産化されている。
ところが、このような微細配線上に無電解ニッケルめっき液を用いて無電解ニッケルめっきを施す場合、配線間の絶縁信頼性を十分確保することが困難であることが本発明者らの検討により判明した。すなわち、上記特許文献1に記載の前処理方法を適用しても、配線間の絶縁部上に無電解ニッケルめっきが析出し十分なブリッジ抑制効果が得られないことが判明した。また、「スキップ」と呼ばれる、無電解ニッケルめっきが析出しない端子が発生する、未析出の問題も同時に発生することが判明した。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善するためになされたものであり、ブリッジとスキップの両方が発生していない接続端子の製造方法、およびその接続端子を用いた半導体チップ搭載用基板の製造方法を提供することである。例えば、無電解ニッケルめっきの場合、鉛が含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であってもブリッジの発生を十分防止でき、なおかつスキップの発生を抑制する、無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法、無電解ニッケルめっき方法、並びに、半導体チップ搭載用基板の製造方法を提供することにある。
上述では、無電解ニッケルめっきについて説明したが、銅、銀、金、パラジウム、コバルト、スズ、タングステン、亜鉛、ロジウム、ルテニウム、白金から選択される金属または前記金属を含む合金の無電解めっきの場合であっても、無電解ニッケルめっきと同様のブリッジ、スキップの現象が発生するため、本発明は無電解めっき全般が含まれる。
本発明は、以下に関する。
1. 基材と、該基材上に形成された接続端子(導体)と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液(無電解めっき用前処理液)に接触させる第1工程と、前記第1工程の後にドライエッチングプロセスにより前記接続端子(導体)上面の硫黄有機物を一部除去する第2工程とを有する、接続端子の製造方法。
2. さらに、第2工程の後に接続端子(導体)上に無電解めっき皮膜を形成させるための触媒を施す第3工程、または、第2工程の後、前記第3工程のに無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第4工程を有する、項1に記載の接続端子の製造方法。
3. 第1工程で用いる硫黄有機物が、チオール類、スルフィド化合物、チオシアン塩類、チオ尿素誘導体、スルファミン酸またはその塩であることを特徴とする項1または2に記載の接続端子の製造方法。
4. 第1工程で用いる硫黄有機物が、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物であることを特徴とする項1または2に記載の接続端子の製造方法。
5. 無電解めっき用前処理液において、第1工程で用いる分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリンからなる群より選択される1種類以上の複素環式化合物であり、有機溶剤を含み、複素環式化合物の濃度が無電解めっき用前処理液の全容量基準で0.01g/L〜50g/Lであり、前記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解めっき用前処理液の全容量基準で1000Mml/L以下であることを特徴とする項に記載の接続端子の製造方法。
6. 無電解めっき用前処理液において、第1工程で用いる脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物が、下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物であり、有機溶剤を含み、無電解めっき用前処理液中の硫黄化合物の合計含有量が0.01〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が20000以下のものであり、なおかつ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物に含まれる式(5)で表される、メチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以下であることを特徴とする項4に記載の接続端子の製造方法。
HS−(CH−COOH …(1)
(式(1)中、aは1以上のいずれかの整数を示す。)
HS−(CH−OH …(2)
(式(2)中、bは5以上のいずれかの整数を示す。)
HS−(CH−NH …(3)
(式(3)中、cは5以上のいずれかの整数を示す。)
−(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)(式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4以上のいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
Figure 0005278725
(式(5)中、Sは第k番目の硫黄化合物のモル濃度(mol/L)を示し、Cは第k番目の硫黄化合物が有するメチレン基の数を示す。なお、kは1〜zの整数を示し、第k番目の硫黄化合物とは、z種類の硫黄化合物を1番目からz番目まで任意に順番をつけたときのk番目に対応する硫黄化合物を指す。)
7. 第4工程で用いる無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液が、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物と有機溶剤とを含有する無電解ニッケルめっき用前処理液であり、前記複素環式化合物は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0005〜3g/Lであり、前記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解めっき用前処理液の全容量基準で50×M〜5000×MmL/Lであることを特徴とする項2〜6いずれかに記載の接続端子の製造方法。
8. 第4工程で用いる無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液(前処理液)が、一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤と、を含み、前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の前記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であり、なおかつ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれる式(5)で表される、メチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500より上であることを特徴とする請求項2〜6いずれかに記載の接続端子の製造方法。
HS−(CH−COOH …(1)
(式(1)中、aは1以上のいずれかの整数を示す。)
HS−(CH−OH …(2)
(式(2)中、bは5以上のいずれかの整数を示す。)
HS−(CH−NH …(3)
(式(3)中、cは5以上のいずれかの整数を示す。)
−(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)(式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4以上のいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
Figure 0005278725
(式(5)中、Sは第k番目の硫黄化合物のモル濃度(mol/L)を示し、Cは第k番目の硫黄化合物が有するメチレン基の数を示す。なお、kは1〜zの整数を示し、第k番目の硫黄化合物とは、z種類の硫黄化合物を1番目からz番目まで任意に順番をつけたときのk番目に対応する硫黄化合物を指す。)
9. さらに、無電解めっき皮膜を形成する工程を含み、かつ前記無電解めっき皮膜が、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、コバルト、スズ、タングステン、亜鉛、ロジウム、ルテニウム、白金から選択される金属または前記金属を含む合金であることを特徴とする項2〜8いずれかに記載の接続端子の製造方法。
10. ニッケルの上部に、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成したことを特徴とする項9に記載の接続端子の製造方法。
11. ニッケルの上部に、パラジウムの純度が99重量%以上の置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成したことを特徴とする項9に記載の接続端子の製造方法。
12. ニッケルの上部に、パラジウムの純度が99重量%以上の置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、パラジウムの純度が90重量%以上〜99重量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成したことを特徴とする項9に記載の接続端子の製造方法。
13. ドライエッチングプロセスが、異方性エッチングプロセスであることを特徴とする項1〜12いずれかに記載の接続端子の製造方法。
14.基材と、該基材上に形成された導体と、を備える半導体チップ搭載用基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程の後にドライエッチングプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去する第2工程と、必要に応じて、前記第2工程の後に前記導体上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成させるための置換パラジウムめっき処理を施す第3工程と、あるいはさらに、前記第2工程と第3工程の間に無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第4工程を有することを特徴とする半導体チップ搭載用基板の製造方法。
本発明によれば、例えば無電解ニッケルの場合、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であってもブリッジを十分抑制しつつなおかつスキップが発生しない無電解ニッケルめっきの前処理方法、無電解ニッケルめっき方法、並びに、半導体チップ搭載用基板の製造方法を提供することができる。これにより、パターン間の間隔が50μmを下回るような超微細パターンを有する導体上に、導体間のブリッジを十分抑制しつつなおかつスキップが発生しない無電解ニッケルめっき皮膜を形成することが可能となるとともに、無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量を十分低減できる。
また、導体の上面および側面に絶縁樹脂層が形成されており、前記絶縁樹脂層の一部が除去されて導体が露出しており、絶縁樹脂層の際で露出している導体と導体の距離が100μm以下の構造の場合、絶縁樹脂層の際の導体と導体の間に無電解めっきが這うように析出し短絡不良が発生しやすい傾向があり、本発明の処理方法で処理を行えば、導体と導体の間のみならず、絶縁樹脂層の際の導体と導体の間に無電解めっきのブリッジも抑制する効果が得られる。
本発明の接続端子の製造方法においては、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去し、無電解めっき皮膜を作製する方法、あるいは、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去し、さらに、無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、無電解めっき皮膜を作製することで、ブリッジとスキップのない接続端子を形成することができる。
例えば、無電解ニッケルの場合、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去し、無電解ニッケルめっき皮膜を作製する方法、あるいは、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去し、さらに、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、無電解ニッケルめっき皮膜を作製することで、無電解ニッケルめっきの析出抑制効果のある硫黄有機物を、導体間のエッチング残渣や樹脂部に吸着させてブリッジの基となる析出核の発生を抑えるとともに、導体の上面よりも導体の側面に選択的に多く吸着させて、導体の側面のみの無電解ニッケルめっきの析出性を選択的に抑制し、導体と導体の間における無電解めっき反応の活性を抑えることにより、導体と導体のブリッジの発生を十分防止できる。なおかつ、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物が一部除去されているために、導体の上面の析出性は抑制されることなくスキップが発生しないことを見出し、本発明の完成に至った。
ブリッジとスキップの発生を抑制する効果が得られる要因については必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推察する。具体例として無電解ニッケルめっきの場合について説明する。
先ず、ブリッジの発生の原因として、銅配線間のエッチング残渣、無電解銅めっきによるセミアディディグ法で形成した際に配線間に残る無電解銅めっき用のPd触媒残渣、無電解ニッケルめっき処理前の置換Pdめっき処理によるPd触媒残渣、還元剤として一般的に使用されている次亜リン酸の酸化により発生する水素ガスの4種類を考えている。微細配線化が進むと、配線と配線の間の水素ガス濃度が高くなることにより、配線と配線の間の無電解ニッケルめっき反応の活性が高くなり、エッチング残渣や無電解銅めっき用のPd触媒残渣さらには無電解ニッケルめっき処理前の置換Pdめっき処理によるPd触媒残渣へ無電解ニッケルめっきが析出し、ブリッジはこれらの複合的な原因で発生すると考えられる。さらに、エッチング残渣やPd触媒残渣がない場合であっても、配線と配線の間の水素ガス濃度が高くなることにより、ニッケルが還元されて、配線と配線の間の基材表面上に、ダイレクトに無電解ニッケルめっき合金皮膜が析出し、ブリッジが発生すると考えられる。
上記従来の前処理液では、無電解ニッケルめっき処理後のブリッジの発生を抑制できずになおかつスキップが発生する要因として、本発明者らは次のように考えている。ブリッジの発生を抑制できない理由についてまず説明する。上記従来の前処理液は、配線間にめっき皮膜が形成されることを防止するために配線間に残留するエッチング残渣や無電解銅めっき用のPd触媒残渣などを不活性化するものであると考えられる。ところが、ブリッジが発生する原因として、無電解ニッケルめっき処理前の置換Pdめっき処理によるPd触媒残渣、還元剤の酸化により発生する水素ガスもあり、上記従来の前処理液では、無電解ニッケルめっき処理前の置換Pdめっき処理によるPd触媒残渣の不活性化作用、配線間の樹脂表面に吸着することによる配線間樹脂上への無電解ニッケルめっきのダイレクトな析出を抑制する十分な効果が無いため、ブリッジの発生を抑制できないと考える。次に、スキップが同時に発生する理由について説明する。エッチング残渣や無電解銅めっき用のPd触媒残渣などを不活性化するとともに、銅配線への析出も阻害するようになり、ブリッジの発生をある程度抑制できるが、本来析出させなければならない銅配線そのものへの析出を阻害してしまうものと考えられる。
本発明では、無電解めっきの析出抑制効果にある硫黄有機物を含んだ溶液で処理し、さらに、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより、導体の表面の硫黄有機物が一部除去されているのに対して、導体の側面の硫黄有機物はほとんど除去されずに残る。このため、従来は、導体の側面の反応が抑制されることが無いため、導体と導体間の基材表面近傍の、還元剤の酸化に伴う水素ガスの濃度が高いために、無電解ニッケルめっき反応の活性が上がるため、ブリッジが発生しやすいのに対し、本発明では、導体の側面に硫黄有機物を吸着させることで、置換Pdめっき工程での置換Pdめっき量を抑制させることで、導体の側面の無電解ニッケルめっき皮膜の析出が抑制されるため、導体と導体の間の基材表面近傍の、還元剤の酸化に伴う水素ガスの濃度を低く抑えることができるため、無電解ニッケルめっき反応の活性がそれほど上がることがなく、ブリッジを抑制することが可能となる。また、導体間の基材表面上に硫黄有機物が吸着することによって、導体間樹脂上への無電解ニッケルめっきのダイレクトな析出をも抑制していると考えられる。また、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物が一部除去されているために、導体の上面の析出性は抑制されることなくスキップが発生しないことを見出し、本発明の完成に至った。
最終的な構造として、本発明の接続端子は、導体の上面と導体の側面に無電解めっきの厚みがほぼ同じか、または、導体の側面の一部の無電解めっき皮膜の厚みが薄い、または、導体の上面全てが前記無電解めっき皮膜に覆われており、導体の側面の一部が部分的に無電解めっき皮膜に覆われているかもしくは前記導体の側面の全面が無電解めっき皮膜で覆われていない構造を有していることが好ましい。
かかる構造の接続端子は、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板を、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去し、無電解めっき皮膜を作製する方法、あるいは、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去し、さらに、無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させた後に、無電解めっき皮膜を作製する方法で形成することが可能である。
導体上に形成する無電解めっき皮膜としては、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、コバルト、スズ、タングステン、亜鉛、ロジウム、ルテニウム、白金、から選択される金属または前記金属を含む合金であればよく、特に限定はしない。
導体が銅、タングステン、モリブデン、アルミニウム等の金属からなればよく、電気を通すものであれば特に限定はしない。また、導体は何層かに形成されたものであってもよく、単一の金属である必要はなく、特に限定はしない。
導体の接続端子がはんだ接続用端子あるいはさらにワイヤボンディング用端子などの接続端子であり、他の接続方法でもよく、接続用の端子に用いるものであれば特に限定はしない。
導体の上部にニッケルが形成され、さらにニッケルの上部にパラジウムの純度が99重量%以上の置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成した接続端子であってもよい。
導体の上部にニッケルが形成され、さらにニッケルの上部にパラジウムの純度が99重量%以上の置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、パラジウムの純度が90重量%以上〜99重量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成した接続端子であってもよい。
前記導体の上面および側面に絶縁樹脂層が形成されており、前記絶縁樹脂層の一部が除去されて導体が露出しており、絶縁樹脂層の際で露出している導体と導体の距離が100μm以下の構造の接続端子であってもよく、特に限定はしない。
本発明で用いる、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える基板の表面に硫黄有機物を形成させた後、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより一部除去される硫黄有機物としては、硫黄原子と炭素原子を含むものであれば、特に限定されず、ブリッジの発生を十分に抑制するものであればよく、同時にスキップを発生させるものであっても良い。
硫黄原子と炭素原子を含む硫黄有機物としては、チオール類、スルフィド化合物、チオシアン塩類、スルファミン酸またはその塩類、チオ尿素誘導体が挙げられる。特に、メルカプト基またはチオシアン基を有するものがよく、さらには、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物のいずれかを含んだ溶液がよい。
上記硫黄有機物の合計の含有量は、0.01〜100g/Lの範囲が好ましく、0.05〜75g/Lの範囲がより好ましく、0.1〜50g/Lの範囲であることが特に好ましい。硫黄有機物の合計の含有量が0.01g/L未満であると、導体の側面および導体間の基材表面上に吸着した硫黄有機物の量が少ないために、導体側部の無電解ニッケル合金めっき反応を抑制することができずに、ブリッジが発生してしまう。硫黄有機物の合計の含有量が100g/Lを超えると、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより導体の硫黄有機物の除去を行っても、導体の上面の硫黄有機物が除去しきれずに、スキップの問題が発生してしまう。
ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより導体の上面の硫黄有機物の一部を除去するが、導体の側面の硫黄有機物と導体と導体の間の樹脂上の硫黄有機物が極力除去されないプロセスが好ましい。最も好ましくは、物理的研磨によるプロセスあるいはドライエッチングプロセスによる異方性エッチングプロセスである。
ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより導体上面の硫黄有機物の一部を除去した後に接触させる、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液としては、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物のいずれかと有機溶剤を含んだ溶液であることを特徴とする。
本発明にかかる接続端子は、基材と、該基材上に形成された導体と、を備える半導体チップ搭載用基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程の後にドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去する第2工程と、必要に応じて、前記第2工程の後に前記導体上に無電解めっき皮膜を形成させるための触媒を施す第3工程と、を有する製造方法により製造されていることを特徴とし、あるいはさらに、前記第2工程と第3工程の間に無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第4工程を有する製造方法によって製造されていることが好ましい。
本発明の接続端子の製造方法においては、上記基材が電気絶縁性の樹脂を含んで構成されるものであり、第1工程の前に、少なくとも導体配線間に露出する基材の表面を除去する工程を更に有することが好ましい。
なお、基材の形状および厚みについては特に限定されず、基材が基板のコア基板であってもよく、多層配線板におけるビルドアップ層であってもよい。
上記の工程を有することにより、導体間の基材上に残存するエッチング残渣およびその他の異物を除去することができ、ブリッジの発生量を更に低減することが可能となる。
また、基材の表面を除去する上記工程は、導体間に露出する基材の表面をドライプロセス、ウェットプロセス、あるいはそれらを組み合わせたプロセスにより厚さ方向に0.005μm〜5μm除去するものであることが好ましい。
除去する量が、0.005μm未満であると、ブリッジの発生量を更に低減する効果が得られにくくなり、一方、5μmを超えると、導体の下部まで除去される傾向にあり、導体の剥離が生じやすくなる。
本発明の無電解めっき方法によれば、例えば、無電解ニッケルめっきの場合、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であっても、微細パターンを有する導体配線上に、導体配線間の短絡を十分抑制しつつ無電解ニッケルめっき皮膜を形成することが可能となる。そして、かかる方法によれば、無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量を十分低減でき、対環境規制に優れた接続端子、あるいはさらに半導体パッケージ基板の製造が可能となる。
本発明の接続端子、あるいはさらに半導体パッケージ基板の製造方法は、基材と該基材上に形成された導体とを備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程の後にドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去する第2工程と、必要に応じて、前記第2工程の後に前記導体上に無電解めっき皮膜を形成させるための触媒を施す第3工程と、あるいはさらに、前記第2工程と第3工程の間に無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第4工程、を有することを特徴とする。かかる方法によれば、微細パターンを有する導体間のブリッジを十分抑制しつつなおかつスキップが発生しない接続端子を形成することができる。
以下、図1を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は無電解ニッケルめっき方法の場合における、好適な実施形態のフローチャートである。本発明の好適な無電解ニッケルめっき方法は、基材と基材上に形成された銅配線を備える基板を準備する基板準備工程S1と、この基板に対して前処理を施す前処理工程S2と、前処理を施した基板の銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す置換パラジウムめっき処理工程S3と、置換パラジウムめっき処理を施した導体配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する無電解ニッケルめっき処理工程S4とを有するものである。なお、本実施形態のめっき方法は、前処理工程S2の途中に基材上にソルダーレジストを形成するソルダーレジスト形成工程S15を備えているが、ソルダーレジストを形成しない場合であってもよい。
本実施形態の無電解ニッケルめっき方法においては、前処理工程S2が、導体配線間の基材の表面を除去する基材表面除去工程S21、第1の脱脂処理工程S22と、第2の脱脂処理工程S23と、基板の表面に硫黄有機物を含んだ溶液を接触させる前処理工程S24と、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスによる導体上面の硫黄有機物を一部除去する前処理工程S25と、ソフトエッチング処理工程S27とを含む。あるいはさらに、工程S25と工程S27の間に、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液により処理する工程S26を含むことができる。更に各工程間には、前の工程で用いて基板上に残存した余分な液を除去するために、基板を流水等により洗浄する水洗浄工程S5が行われる。また、工程S24の後は、水洗浄を行った後に乾燥を行うことも可能で、特に、ドライエッチングを行う場合は、工程S24で処理を行いさらに水洗浄工程S5を行った後、乾燥を行う必要がある。また、必要に応じて、基材表面除去工程S21と第1の脱脂処理工程S22との間にソルダーレジスト形成工程S15が行われる。
図2〜5は、図1の工程における硫黄有機物の導体断面図での分布状態を示している。図2は、第2の脱脂処理S23が終わった状態を示しており、図3は、基板の表面に硫黄有機物を含んだ溶液を接触させる前処理工程S24を行った後、導体と導体配線間に露出する基材の表面に有機硫黄物が吸着した状態を表している。図4は、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスによる導体上面の硫黄有機物を一部除去する前処理工程S25により、導体の上面の硫黄有機物が除去された状態を表している。図5は、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液により処理する工程S26により、導体と導体配線間に露出する基材の表面への吸着、導体全体への吸着が起こった状態を表している。
本実施形態の無電解ニッケルめっき方法において、無電解ニッケルめっきとは、Ni−P、Ni−P−Cu、Ni−B、Ni−P−B−Wなどのニッケル合金や純Niを無電解方法でめっきすることであり、ニッケルを含んでいればよく、合金の種類は特に限定しない。
以下、上述の各工程について詳述する。
<基板準備工程S1>
基板準備工程S1では、基材上に形成された銅配線を備える基板が準備される。かかる基板を得る方法としては、例えば、基材としてのコア基板表面またはビルドアップ層上に金属層として銅箔を形成し、金属層の不要な箇所をエッチングで除去することにより銅配線を形成する方法(サブトラクト法)、コア基板表面またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみ銅めっきにより銅配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成し、その後、電解銅めっきで必要な配線を形成した後、薄い金属層をエッチングで除去することにより銅配線を形成する方法(セミアディティブ法)等が挙げられる。
基材としてのコア基板およびビルドアップ層は、有機絶縁材料や無機絶縁材料などの絶縁材料からなり、有機絶縁材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂などの電気絶縁性の樹脂、無機絶縁材料としては、セラミック、ガラスなどが使用できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。コア基板としては、例えば、ガラスクロス等の繊維シートにエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸したものを用いるのが好ましい。また、ビルドアップ層は熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。
セラミックとしては、安定化または部分安定化ジルコニア、窒化珪素、酸化アルミニウム等が挙げられる。
ガラスとしては、SiO、SiN、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストを単独あるいは組み合わせてしようすることができる。より具体的には、高歪点ガラス、ソーダガラス(NaO・CaO・SiO)、ガラス(NaO・B・SiO)、フェルステライト(2MgO・SiO)、鉛ガラス(NaO・PbO・SiO)を挙げることができる。形成法としては、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが使用できる。また、前記セラミック等とガラスを混合した無機絶縁材料を使用することも可能である。
絶縁材料には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
上記サブトラクト法においてコア基板表面またはビルドアップ層上に金属層を形成する方法、および、上記セミアディティブ法においてコア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成する方法としては、蒸着またはめっきによる方法、および、金属箔を貼り合わせる方法などが挙げられる。
(蒸着またはめっきによる方法)
コア基板表面またはビルドアップ層上に蒸着によって金属層又はシード層を形成する方法としては、スパッタリングによる方法が挙げられる。例えば、スパッタリングにより金属層又はシード層として下地金属と薄膜銅層とを形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングして金属層又はシード層を形成できる。また、めっきによる方法としては、コア基板表面またはビルドアップ層上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成する方法が挙げられる。
(金属箔を貼り合わせる方法)
コア基板またはビルドアップ層に接着機能がある場合は、銅箔などの金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることにより上記の金属層又はシード層を形成することができる。
なお、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、必要に応じて、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などを用いることができる。前者の方法としては、例えば、キャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔を用い、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去する方法が挙げられ、後者の方法としては、例えば、アルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などを使用することにより、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付けた後、かかる銅箔を厚み5μm以下となるようにエッチングにより均一に薄くしてシード層を形成してもかまわない。
(エッチングによる配線形成)
上記サブトラクティブ法においては、例えば、金属層(本実施形態においては銅箔)の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属層(本実施形態においては銅箔)をエッチング除去することにより配線を形成することができる。
本実施形態のように金属層として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の基板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用して形成できる。例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成できる。また、エッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成することができる。
化学エッチング液としては、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液など、通常の基板に用いる化学エッチング液を用いることができる。
上記セミアディティブ法においては、上述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成した後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層を上述のエッチング等により除去することで配線を形成することができる。
(めっきによる配線形成)
上記アディティブ法において、コア基板表面またはビルドアップ層上に銅めっきにより銅配線を形成する方法としては、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。例えば、コア基板に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない箇所にのみ無電解めっきを行い、配線を形成することができる。
また、本実施形態においては、基材上に、銅若しくは銅化合物を含有した導電ペーストを印刷法やフォトリソグラフィー法等によりパターニング施工し、熱硬化処理若しくは焼成処理によって銅配線を形成した基板を用いることもできる。
<前処理工程(第2工程)S2>
(基材表面除去工程S21)
基材表面除去工程S21では、上述のようにして準備した基板の銅配線間に存在する残渣を除去するために、銅配線間の基材(例えば、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層)に対して表面処理を行う。かかる表面処理方法としては、ドライプロセス、ウェットプロセス、物理的研磨等の方法が挙げられるが、ドライプロセスの異方性エッチングによる方法が好ましい。また、ドライプロセス、ウェットプロセス等の方法を組み合わせて処理を行うことも可能である。ドライプロセス、ウェットプロセス等の方法によって除去する銅配線間の基材表面の深さは、0.005μm〜5μmの範囲が好ましく、0.01μm〜4μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜2μmの範囲であることが特に好ましい。かかる深さが、0.005μmよりも小さいと、配線間の基材上の金属残渣を取り除くことが困難となり、ブリッジが発生しやすくなる。一方、5μmよりも深いと、銅配線の下部までエッチングされる場合があり、配線の剥離が起こりやすくなる。
<ドライプロセスによる銅配線間の基材表面の除去>
銅配線間の基材表面の除去に用いるドライプロセスとしては、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法であればよい。プラズマエッチング法に用いる装置としては、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンエッチング(RIE)法に用いる装置としては、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンビームエッチング(RIBE)法に用いる装置としては、ECR型、カウフマン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。いずれもエッチングガスを適宜選択することが可能で、無機ガス、有機化合物蒸気あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。無機ガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、NO、NO、CO、CO、NH、SO、Cl、フレオンガス(CF、CH、C、C、CHF、CHFなど)、あるいはこれらの混合ガス、およびこれらのガスへOあるいはOを混入した混合ガス等が挙げられる。なかでもArは安定した樹脂表面を得ることができるので、より好ましいガスである。また、有機化合物蒸気は特に限定されるものではないが、例えば、該Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましく用いられる。有機化合物蒸気として、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒などが挙げられるが、本実施形態に用いられる有機化合物はこれらのものに限定されるものではない。ドライプロセスにより銅配線間の基材表面の除去を行った場合、後処理として水または有機溶媒、さらにはそれらの混合溶液による超音波洗浄もしくは、アルカリ性溶液による洗浄を行うことがより好ましい。
<ウェットプロセスによる銅配線間の基材表面の除去>
銅配線間の基材表面を除去するウェットプロセスとして、アルカリ性の溶液あるいは酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液さらにはそれらを組み合わせた溶液により処理する方法があげられるが、銅配線間の基材を0.002μm以上エッチングする溶液による処理であればよく、特に限定はしない。アルカリ性の溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液であることが好ましい。酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液としては、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩を少なくとも一種以上含んだ溶液として用いることが可能である。また市販品としては、2−アミノエタノールを含むRESIST STRIPPER 9296(富士化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
<物理的研磨による銅配線間の基材表面の除去>
銅配線間の基材表面を除去する物理的研磨方法としては、例えば、ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)などが挙げられる。
(ソルダーレジスト形成工程S15)
本実施形態においては、基材表面除去工程S21の後に絶縁層形成工程S15が行われる。この工程では、無電解めっきが施される銅配線以外の配線を保護するための永久レジストとして、基板上に所定の開口部を有する絶縁樹脂層を形成する。
絶縁樹脂層としてはソルダーレジストがよく、例えば、公知の感光性樹脂組成物を塗布し、所定の露光・現像を実施することにより形成することができる。
(第1の脱脂処理工程S22)
第1の脱脂処理工程S22では、基材表面除去工程S21を経て得られる基板上を清浄化するため、基板を水酸化カリウム溶液などのアルカリ性溶液に浸漬する。水酸化カリウム溶液以外に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液を用いることができる。
(第2の脱脂処理工程S23)
第2の脱脂処理工程S23では、第1の脱脂処理工程S22を経て得られる基板を、脱脂液に浸漬して、主に銅配線表面の清浄化を行う。
脱脂液としては特に限定されず、例えば、溶剤、酸性の水溶液、あるいは市販の脱脂液を用いることができる。
(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)
硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24で用いる硫黄有機物としては、硫黄原子と炭素原子を含むものであればよく、チオール類、スルフィド化合物、チオシアン塩類、チオ尿素誘導体、スルファミン酸またはその塩類が挙げられる。特に、メルカプト基を有するものがよく、さらには、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物のいずれかを含んだ溶液がよい。
チオシアン塩類としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等が挙げられ特に限定はしない。
チオ尿素誘導体としては、チオ尿素、チオアセトアミド、1−(3−アセチルフェニル)−2−チオ尿素、1−(4−アセチルフェニル)−2−チオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−フェニル−2−チオ尿素、テトラメチルチオ尿素、アミジノチオ尿素、1−ベンゾイル−2−チオ尿素、1−ベンジル−2−−チオ尿素等が挙げられ特に限定はしない。
スルファミン酸またはその塩類としては、スルファミン酸、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられ特に限定はしない。
上記硫黄有機物の合計の含有量は、0.01〜100g/Lの範囲が好ましく、0.05〜75g/Lの範囲がより好ましく、0.1〜50g/Lの範囲であることが特に好ましい。
<分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物>
分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物としては、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどを使用することができる。これらの中では、メルカプト基を有する複素環式化合物が好ましい。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物は単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明における分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物の濃度範囲は、前処理液の全容量基準で0.01g/L〜50g/Lがより好ましく、0.05g/L〜50g/Lがさらに好ましく、0.1g/L〜50g/Lが特に好ましい。有機溶剤の濃度範囲は、分子内に硫黄原子を含んだ複素環化合物の濃度をM(g/L)とした場合、前処理液の全容量基準で1000M ml/L以下であることが好ましいが、めっきのブリッジを抑制する観点から、かかる比が500M ml/L以下であることがより好ましく、300M ml/L以下であることが特に好ましい。
<脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物>
前記、脂肪族チオールとしては、下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤とを含み、前処理液中の硫黄化合物の合計含有量が0.01〜10g/Lがより好ましく、0.05g/L〜10g/Lがさらに好ましく、0.1g/L〜10g/Lが特に好ましく、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が20000以下のものであって、なおかつ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以下である。
HS−(CH−COOH …(1)
式(1)中、aは1以上のいずれかの整数を示す。
HS−(CH−OH …(2)
式(2)中、bは5以上のいずれかの整数を示す。
HS−(CH−NH …(3)
式(3)中、cは5以上のいずれかの整数を示す。
−(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4以上のいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
また、前記、脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物としては、前処理液中の上記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が20000以下であることが好ましいが、めっきのブリッジを抑制する観点から、かかる比が5000以下であることがより好ましく、1000以下であることが特に好ましい。
さらに、前記、脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物としては、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以下がより好ましく、5000以下がさらに好ましく、2000以下が特に好ましい。
このような条件を満たすことにより、通常では無電解ニッケルめっきのスキップが発生してしまうが、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスで導体表面に吸着した硫黄有機物の一部を除去するため、導体上面の置換パラジウムめっき反応が硫黄有機物により阻害されることがないために、導体上面に置換パラジウムが十分に析出し、導体上面で無電解ニッケルめっき反応が進行し、スキップは起こらず、一方で、導体側面さらには導体と導体の樹脂部に硫黄有機物が吸着しているためにブリッジの発生を抑制することが可能である。
<有機溶剤>
硫黄有機物を含んだ溶液に含まれる有機溶剤の種類は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等のアミド系溶剤、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができる。これらの溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることが可能である。また、上記溶剤は水と混合して使用することが好ましい。更に、本実施形態においては、容易に入手可能であるという観点から、上記溶剤のうち、エタノール及びアセトンを用いることが好ましい。
また、硫黄有機物を含んだ溶液は、錯化剤、pH調整剤及び界面活性剤から選択される1種以上の化合物を更に含むことが好ましい。
錯化剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム(1−,2−,3−及び4−ナトリウム)塩、エチレンジアミントリ酢酸、ニトロテトラ酢酸及びそのアルカリ塩、グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、トリエタノールアミングルコノ(γ)−ラクトン等が挙げられるが、錯化剤として機能するものであればよく、これらに限定されない。また、これらの錯化剤を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることも可能である。
酸性のpH調製剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液が挙げられる。また、アルカリ性のpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を一種以上含んだ溶液が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれかまたはそれらの混合物を用いることが可能である。
本発明に係る硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24では、硫黄有機物を含んだ溶液を接触させるが、その接触時間については、特に限定されず、溶液に含まれる硫黄化合物の種類および濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。また、前処理液の温度については、10℃〜50℃の範囲が好ましく、15℃〜40℃の範囲がより好ましく、20℃〜30℃の範囲であることが特に好ましい。
(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
<ドライプロセスによる導体上面の硫黄有機物の除去>
導体上面の硫黄有機物の除去に用いるドライプロセスとしては、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法であればよい。プラズマエッチング法に用いる装置としては、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンエッチング(RIE)法に用いる装置としては、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンビームエッチング(RIBE)法に用いる装置としては、ECR型、カウフマン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。いずれもエッチングガスを適宜選択することが可能で、無機ガス、有機化合物蒸気あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。無機ガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、NO、NO、CO、CO、NH、SO、Cl、フレオンガス(CF、CH、C、C、CHF、CHFなど)、あるいはこれらの混合ガス、およびこれらのガスへOあるいはOを混入した混合ガス等が挙げられる。なかでもArは導体上面の硫黄有機物の除去を均一に行うことができるので、より好ましいガスである。また、有機化合物蒸気は特に限定されるものではないが、例えば、該Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましく用いられる。有機化合物蒸気として、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒などが挙げられるが、本実施形態に用いられる有機化合物はこれらのものに限定されるものではない。特に好ましくは、異方性エッチングがよく、導体側面の硫黄有機物が極力残存する方法が良い。また、エッチングガスの種類や時間は適宜選定することにより、導体側面の硫黄有機物が極力残存するようにするのが良い。導体上面の硫黄有機物が一部除去される度合としては、無電解ニッケルめっきを行った際にスキップが発生しないレベルであればよい。ドライプロセスにより導体上面の硫黄有機物の除去を行った場合、後処理として水または有機溶媒、さらにはそれらの混合溶液による超音波洗浄もしくは、アルカリ性溶液による洗浄を行うことがより好ましい。
<ウェットプロセスによる導体上面の硫黄有機物の除去>
導体上面の硫黄有機物を除去するウェットプロセスとして、導体がエッチング除去されるものであればよく、特に限定はしない。ウェットプロセスとして、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素などから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を少なくとも1種類以上含んだ溶液により処理を行うことを特徴としている。また、市販のエッチング液を用いることも可能で、さらにアルコールなどの有機溶剤を加えることも可能である。また、エッチング液種類や時間は適宜選定することにより、導体上面の硫黄有機物が一部除去され、導体側面の硫黄有機物が極力残存するようにするのが良い。導体上面の硫黄有機物が一部除去される度合としては、無電解ニッケルめっきを行った際にスキップが発生しないレベルであればよい。
<物理的研磨による導体上面の硫黄有機物の除去>
導体上面の硫黄有機物を除去する物理的研磨方法としては、特に限定はしないが、例えば、ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)などが挙げられる。特に限定はしないが、ジェットスクラブで用いる研磨剤の種類としては、アルミナ、樹脂、炭化珪素、ガラス、ジルコ二ア、ステンレス、もしくはそれらを組み合わせたものでもよい。研磨剤の大きさとしては、導体と導体の距離と研磨剤の大きさが近似している場合、導体と導体の間に詰まる場合があるため、導体と導体の距離に応じて用いる研磨剤の大きさを選定する必要がある。具体的には、研磨剤の平均粒径が導体と導体の間よりも大きいものがよく、導体側面の導体と導体の間の詰まりを防止するとともに、導体上面のみの硫黄有機物の一部が除去され、導体の側面と、導体と導体の樹脂上に吸着した硫黄有機物がほとんど除去されることがないために、ブリッジ防止効果が高い。
(無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26)
無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液としては、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィ度化合物のいずれかと有機溶剤を含んだ溶液であることを特徴とする。
<分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物>
分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物としては、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどを使用することができる。これらの中では、メルカプト基を有する複素環式化合物が好ましい。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物は単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物の濃度範囲は、通常、前処理液の全容量基準で0.0005g/L〜3g/Lである。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物を含む溶液の濃度が0.0005g/L未満では、ブリッジ抑制効果が十分でなく、微細配線間の十分な絶縁信頼性を得ることができない。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物を含む溶液の濃度が3g/Lを超えると、前処理液が銅回路表面に多く残存するために、置換パラジウム反応による銅へのパラジウムの置換が抑制される。その結果として、スキップの問題が生じる。
本発明における分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物の濃度範囲は、前処理液の全容量基準で0.0008g/L〜0.2g/Lがより好ましく、0.001g/L〜0.05g/Lがさらに好ましく、0.003g/L〜0.05g/Lが特に好ましい。このような濃度範囲にすることで、無電解ニッケルめっきのブリッジを、より確実に防止することができる。また、有機溶剤は、水と混合して用いることが好ましい。上記濃度範囲の有機溶剤を水と混合して用いることによって、広い濃度範囲でブリッジの発生を抑制することが可能となる。
有機溶剤の濃度範囲は、分子内に硫黄原子を含んだ複素環化合物の濃度をM(g/L)とした場合、好ましくは、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で50×M ml/L〜5000×M ml/Lである。有機溶剤の濃度が50×M ml/L未満では、スキップの発生頻度が高くなる傾向があり、5000×M ml/Lを超えると、ブリッジを抑制する効果が弱くなる傾向がある。
ブリッジをより確実に防止する観点からは、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリンである場合は、有機溶剤の濃度は8×M ml/L〜5000×M ml/Lが好ましい。
一方、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールである場合は、有機溶剤の濃度は、前処理液の全容量基準で50×M ml/L〜5000×M ml/Lとすることが好ましい。有機溶剤の濃度範囲は、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で100×M ml/L〜1500×M ml/Lがより好ましく、200×M ml/L〜1000×M ml/Lが特に好ましい。このような濃度範囲にすることによって、無電解ニッケルめっきのブリッジを防止に加えて、スキップの問題をも十分なレベルまで低減することができる。
<脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物>
前記、脂肪族チオールとしては、下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤とを含み、前処理液中の硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であって、なおかつ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500より上である、前処理液であることを特徴としている。
HS−(CH−COOH …(1)
式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH−OH …(2)
式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH−NH …(3)
式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。
−(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
前記、脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物としては、前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであることが好ましいが、かかる含有量が0.0008g/L〜3g/Lであることがより好ましく、0.001g/L〜0.05g/Lであることが特に好ましい。上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005g/L未満であると、めっきのブリッジの抑制効果が弱くなり、微細配線間の絶縁信頼性を十分確保しにくくなる。上記硫黄化合物の合計含有量が10g/Lを超えると、有機溶剤の含有量によっては銅配線表面に残存する硫黄化合物の量が多くなるために、後述の置換パラジウム反応による銅へのパラジウムの置換が抑制され、結果として、スキップの問題が発生しやすくなる。
さらに、前記、脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物としては、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500より上であることが好ましい。このような条件を満たすことにより、ブリッジの発生を十分防止しつつスキップをより確実に防止することが可能となる。これにより、基板の接続端子(無電解ニッケルめっきが施される銅配線)の接続信頼性をより高水準なレベルへと高めることができる。
また、めっきのブリッジとスキップの双方を高水準で抑制する観点から、上記の比(X/M)を9600〜1600000の範囲内にすることがより好ましく、9600〜500000の範囲内にすることが更により好ましい。
<上記一般式(1)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(1)中、aが1から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、aが4から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(1)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(1)中のaが、23を超える化合物を用いた場合、部分的に無電解ニッケルめっきの析出が起こらないスキップが発生しやすくなる傾向がある。
<上記一般式(2)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(2)中、bが5から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、bが8から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(2)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(2)中のbが4未満の化合物では、ブリッジを抑制する効果が十分に得られないとともに、硫黄化合物の臭気が強くまた揮発性も高くなり作業環境上好ましくない。一方、式中のbが23を超える化合物を用いた場合、スキップが発生しやすくなる傾向がある。
<上記一般式(3)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(3)中、cが5から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、cが8から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(3)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(3)中のcが5未満の化合物では、ブリッジを抑制する効果が十分に得られないとともに、硫黄化合物の臭気が強くまた揮発性も高くなり作業環境上好ましくない。一方、式中のcが23を超える化合物を用いた場合、スキップが発生しやすくなる傾向がある。
<上記一般式(4)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(4)中、n及びmがそれぞれ独立に4から15までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、n及びmがそれぞれ独立に8から13までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(4)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(4)中のn又はmが4未満の化合物では、ブリッジを抑制する効果が十分に得られないとともに、硫黄化合物の臭気が強くまた揮発性も高くなり作業環境上好ましくない。一方、式中のn又はmが15を超える化合物を用いた場合、スキップが発生しやすくなる傾向がある。
上記一般式(4)中のpまたはqが1である場合、RまたはRは、−CH(OH)−、−CH(COOH)−、−C2tCH(OH)−若しくは−C2uCH(COOH)−であることが好ましい。ここで、tおよびuは、4から15までの整数を示す。
上記一般式(4)で表される化合物は、容易に入手可能であるという点で、pおよびqが0であるものが好ましい。すなわち、下記一般式(6)で表される硫黄化合物であることが好ましい。
−(CH−S−S−(CH−R …(6)
式(6)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、r及びsはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示す。また、式(6)中、r及びsがそれぞれ独立に8から13までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。
また、本発明で用いる無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ前処理液は、上記一般式(1)〜(4)で表される化合物のうちの1種を単独で、又は2種以上を含むものであってもよい。
本発明の、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液としては、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物のいずれかと有機溶剤を含んだ溶液であることを特徴としており、上記一般式(1)〜(4)で表される硫黄化合物以外に、分子内に硫黄を含む複素環式化合物を含有させることができる。これにより、上記一般式(1)〜(4)で表される硫黄化合物が長鎖の炭化水素基を含むものである場合には、その凝集を抑制しつつ前処理液中の有機溶剤の含有量を低減させることができ、前処理の作業性を向上させることができる。
<有機溶剤>
無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に含まれる有機溶剤の種類は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等のアミド系溶剤、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができる。これらの溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることが可能である。また、上記溶剤は水と混合して使用することが好ましい。更に、本実施形態においては、容易に入手可能であるという観点から、上記溶剤のうち、エタノール及びアセトンを用いることが好ましい。
また、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液は、錯化剤、pH調整剤及び界面活性剤から選択される1種以上の化合物を更に含むことが好ましい。
錯化剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム(1−,2−,3−及び4−ナトリウム)塩、エチレンジアミントリ酢酸、ニトロテトラ酢酸及びそのアルカリ塩、グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、トリエタノールアミングルコノ(γ)−ラクトン等が挙げられるが、錯化剤として機能するものであればよく、これらに限定されない。また、これらの錯化剤を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることも可能である。
酸性のpH調製剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液が挙げられる。また、アルカリ性のpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を一種以上含んだ溶液が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれかまたはそれらの混合物を用いることが可能である。
本発明に係る無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26では、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセス工程S25を経て得られる導体の表面に、上述の無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液を接触させるが、その接触時間については、特に限定されず、溶液に含まれる硫黄化合物の種類および濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。また、前処理液の温度については、10℃〜50℃の範囲が好ましく、15℃〜40℃の範囲がより好ましく、20℃〜30℃の範囲であることが特に好ましい。
(ソフトエッチング処理工程S27)
ソフトエッチング処理工程S25では、基板上の銅配線表面を平滑にするために、基板をエッチング液に浸漬してソフトエッチングを行う。
エッチング液としては、通常のソフトエッチング処理に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、硫酸−過酸化水素水溶液、あるいは市販のソフトエッチング液を用いることができる。
ソフトエッチング処理工程S25では、上記ソフトエッチングに続いて、銅配線上に形成された酸化膜を除去するために、基板を希酸に比較的短時間浸漬して酸洗浄を行う。
希酸としては、特に限定されず、例えば、希硫酸、希塩酸、希硝酸などを用いることができる。
<置換パラジウムめっき処理工程S3>
必要に応じて、置換パラジウムめっき処理工程S3では、上述の本発明に係る前処理工程S24を含む前処理工程S2を経て得られる基板をパラジウム化合物含有水溶液に浸漬して、銅配線表面上に、触媒となる金属パラジウム(Pd)を選択的に形成させる。
パラジウム化合物含有水溶液としては、銅配線表面上の銅をPdと置換できるものであれば特に限定されず、従来のNiめっきの前処理に用いられるものであってもよい。パラジウム化合物としては、パラジウムイオン(Pd2+)を含むものであればよく、例えば、フッ化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、硫化パラジウム等が挙げられる。
<無電解ニッケルめっき処理S4>
無電解ニッケルめっき処理S4では、置換パラジウムめっき処理工程S3を経て得られる基板を無電解ニッケルめっき液に浸漬して、銅配線上にのみ選択的に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する。
無電解ニッケルめっき液は、従来から用いられているものを用いることができる。例えば、塩化ニッケル若しくは硫酸ニッケル等のニッケルイオン源及び次亜リン酸塩若しくはアミンホウ素化合物、ヒドラジン等の還元剤に加えて、クエン酸、マロン酸若しくは酒石酸等の有機酸あるいはその塩等の錯化剤、又はその他のpH調整剤等の通常用いる各種添加剤を適量含んでもよい。
基板浸漬時の無電解ニッケルめっき液の温度及びめっき液への基板の浸漬時間は、所望の膜厚のニッケルめっき皮膜を得ることができるよう適宜設定することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の無電解ニッケルめっき方法において、前処理工程S2は、少なくとも、硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24とドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を含んでいればよく、その他の各処理工程(基材表面除去工程S21、第1の脱脂処理工程S22、第2の脱脂処理工程S23、無電解ニッケルめっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26、ソフトエッチング処理工程S27)については省略したりするなどの変更が可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお以下、特に断りが無い限り濃度は質量%である。
図6は、実施例の工程を説明するために参照する完成したプリント配線板の一例を示す概略図である。図6に示される半導体チップ搭載用基板10は、基板上に、金ワイヤボンディング用接続端子1と、金ワイヤボンディング用接続端子1が露出する開口部2を有するように設けられたソルダーレジストとを備えて構成されている。この半導体チップ搭載用基板10の金ワイヤボンディング用接続端子1に対して無電解めっきを施すまでの工程を行い、形成されためっきの状態について評価した。
(実施例1)
(工程a)(基板準備工程S1)
銅張り積層板である「MCL−E−679F」(日立化成工業株式会社製、商品名)にエッチングレジストを形成し、不要な銅を塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングして得た基板の一部に、金ワイヤボンディング用接続端子1として図7に示される形状を有する銅配線パターンを形成した。なお、形成された接続端子は、端子幅:25μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:25μm、端子の導体厚み:20μmであった。
(工程b)(ソルダーレジスト形成工程S15)
次に、銅配線が設けられた基板上に、金ワイヤボンディング用接続端子1が露出するように開口部2のあるソルダーレジストを以下の手順で形成した。すなわち、感光性のソルダーレジスト「PSR−4000 AUS5」(太陽インキ製造株式会社製、商品名)をロールコータで塗布し、硬化後の厚みが40μmとなるようにした。続いて、露光・現像をすることにより所望の場所に開口部2を有するソルダーレジストを形成した。
(工程c)(第1の脱脂処理工程S22)
上記の絶縁樹脂層が設けられた基板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、1分間湯洗した後、5分間水洗した。
(工程d)(第2の脱脂処理工程S23)
次に、基板を、脱脂液「Z−200」(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、2分間水洗した。
(工程e)(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)
次に、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が10g/Lとなるように調整したエタノール溶液に、基板を25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。
(工程f)(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
(ドライプロセスA)
反応性イオンエッチング(RIE)法により、導体上面の硫黄有機物の除去を以下に示した条件で行った。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製 SPC−100B)
パワー:300 W
ガスおよび流量:Ar 5 SCCM
処理時間:20 sec
(工程g)(ソフトエッチング処理工程S27)
次に、基板を、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、基板を10%の硫酸に1分間浸漬し、2分間水洗した。
(工程h)(置換パラジウムめっき処理工程S3)
次に、基板を、めっき活性化処理液である「SA−100」(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で5分間浸漬処理し、2分間水洗した。
(工程i)(無電解ニッケルめっき処理S4)
次に、基板を、下記に示す組成を有する鉛を含まない無電解ニッケルめっき液に85℃で8分間浸漬処理することにより、接続端子上に厚み約2μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第1の基板を得た。また、一方で、工程hを経て得られた基板を、同様の無電解ニッケルめっき液に85℃で16分間浸漬処理することにより接続端子上に厚み約4μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第2の基板を得た。さらに、一方で、工程hを経て得られた基板を、同様の無電解ニッケルめっき液に85℃で24分間浸漬処理することにより接続端子上に厚み約6μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第3の基板を得た。
硫酸ニッケル・6水和物 22.5g/L
次亜リン酸ナトリウム 20.0g/L
リンゴ酸 10.0g/L
コハク酸 10.0g/L
グリシン 0.5g/L
チオジグリコール酸 5mg/L
ヘキサアンミンクロム(II)クロリド 50mg/L
pH:4.6(水酸化ナトリウムで調整)
上記で得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、下記の基準によりめっきのブリッジを評価した。更に、接続端子(端子幅:25μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:25μm)が350箇所形成された基板に対して、第1の基板、第2の基板および第3の基板と同様の処理方法で無電解ニッケルめっきを施し、それぞれの基板について下記の基準によりスキップの発生について評価した。結果を表8に示す。また、表8中には、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。更に、実施例1で使用した硫黄化合物の化合物名、その化学式及び分子量、並びに、硫黄化合物に含まれるメチレン基数を表16に示す。なお、前処理液が上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物を含まない場合には、該当する値がないものとして「−」を記した。
第1および第2の基板においてブリッジおよびスキップともにAのものを合格とした。
<ニッケルめっきのブリッジの評価>
A:ブリッジなく接続端子上にめっき皮膜が良好に形成されている。(図8を参照)
B:接続端子の外周に部分的にめっきがはみ出して析出している。(図9を参照)
C:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出している。(図10を参照)
D:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、部分的に短絡している。(図11を参照)
E:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、完全に短絡している。(図12を参照)
<スキップの評価>
A:350箇所の接続端子のすべてにめっき皮膜が良好に形成されている。
B:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が1箇所以上3個所以内ある。
C:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が4箇所以上34個所以内ある。
D:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が35箇所以上ある。
(実施例2〜41)
(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)
実施例1の工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表1に示される硫黄化合物及び溶媒を表1に示される含有量で含む前処理液をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜41の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた実施例2〜41の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(実施例42)
(工程a’)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のドライプロセス1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例42の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(ドライプロセス1)
反応性イオンエッチング(RIE)法により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で行い、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC−100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:3min
(実施例43)
(工程a’)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例43の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(ウェットプロセス1)
工程aを経た基板を、「エチレンジアミン1水和物」(関東化学株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例44)
(工程a’)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス2を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例44の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(ウェットプロセス2)
工程aを経た基板を、「40%メチルアミン水溶液」(関東化学株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例45)
(工程a’)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス3を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例45の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(ウェットプロセス3)
工程aを経た基板を、「RESIST STRIPPER 9296」(富士化学工業株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に90℃で3分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例46)
(工程a’)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス4を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例46の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(ウェットプロセス4)
工程aを経た基板に対して、酸化力の大きな酸化剤として過マンガン酸塩を含有する溶液による銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理を行った。処理には、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB,シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いて行った。具体的には、基板を、膨潤処理としてサーキュポジットMLBコンディショナ211およびサーキュポジットZの混合水溶液(水:70体積%、コンディショナ211:20体積%、サーキュポジットZ:10体積%)に70℃で3分間浸漬処理した。次に、基板を、除去処理としてサーキュポジットMLBプロモータ213AおよびサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75体積%、プロモータ213A:10体積%、プロモータ213B:15体積%)に70℃で3分間浸漬処理した。次に、基板を、中和処理としてサーキュポジットMLBニュートラライザ216−4(水:80体積%、ニュートラライザ216−4:20体積%)に40℃で5分間浸漬処理し、更に3分間水洗した。これらの処理により、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例47)
(工程a’)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記の物理的研磨1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例47の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
(物理的研磨1)
ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で行い、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:PFE−3000T(マコー株式会社製)
圧力:0.2MPa
微粒子:アルミナ♯2000(中心粒径:約6.7μm)
搬送速度:0.5m/min
(実施例48)
(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
(ドライプロセスB)
実施例1における工程fに代えて、下記に示した酸素プラズマ法により、導体上面の硫黄有機物の除去を行った。この処理以外は実施例1と同様にして、実施例48の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板ついて、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表8に示す。
装置名:プラズマ処理装置(日電アネルバ株式会社 DEA506)
パワー:500 W
ガスおよび流量:O 50 SCCM
処理時間:1 min
(実施例49)
(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
(ウェットプロセスA)
実施例1における工程fに代えて、下記に示したウェットエッチングプロセスにより、導体上面の硫黄有機物の除去を行い、水洗を1分間行った。この処理以外は実施例1と同様にして、実施例49の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
<組成>:硫酸 10g/L
過酸化水素 5g/L
ベンゾトリアゾール 0.2g/L
<液温>:40℃
<処理時間>:30sec
(実施例50)
(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
(ウェットプロセスB)
実施例1における工程fに代えて、下記に示したウェットエッチングプロセスにより、導体上面の硫黄有機物の除去を行い、水洗を1分間行った。この処理以外は実施例1と同様にして、実施例50の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
<組成>: NaOH 5g/L
<液温>:40℃
<処理時間>: 30sec
(実施例51)
(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
(物理的研磨A)
実施例1における工程fに代えて、下記に示したウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)により、導体上面の硫黄有機物の除去を行った。この処理以外は実施例1と同様にして、実施例51の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表9に示す。
装置名:PFE−3000T(マコー株式会社製)
圧力:0.2MPa
微粒子:アルミナ♯2000(中心粒径:約6.7μm)
搬送速度:3m/min
(実施例52)
(無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26の追加)
実施例1における工程fと工程gの間に、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.01g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液に、基板を25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。この処理以外は実施例1と同様にして、実施例52の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表10に示す。
(実施例53〜74)
(無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26の追加)
実施例52の脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.01g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液による処理に代えて、表3に示される硫黄化合物及び溶媒を表3に示される含有量で含む無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液をそれぞれ使用したこと以外は実施例52と同様にして、実施例53〜74の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた実施例53〜74の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表10に示す。
(実施例75)
(工程a)(基板準備工程S1)
銅張り積層板である「MCL−E−679F」(日立化成工業株式会社製、商品名)にエッチングレジストを形成し、不要な銅を塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングし、銅配線の一部に、金ワイヤボンディング用接続端子1として図3に示される形状を有する銅配線パターンを形成した。なお、形成された接続端子は、端子幅:25μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:25μm、端子の導体厚み:20μmであった。
(工程b)(ソルダーレジスト形成工程S15)
次に、銅配線が設けられた基板上に、金ワイヤボンディング用接続端子1が露出するように開口部2のあるソルダーレジストを以下の手順で形成した。すなわち、感光性のソルダーレジスト「PSR−4000 AUS5」(太陽インキ製造株式会社製、商品名)をロールコータで塗布し、硬化後の厚みが40μmとなるようにした。続いて、露光・現像をすることにより所望の場所に開口部2を有するソルダーレジストを形成した。
(工程c)(第1の脱脂処理工程S22)
上記の絶縁樹脂層が設けられた基板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、1分間湯洗した後、5分間水洗した。
(工程d)(第2の脱脂処理工程S23)
次に、基板を、脱脂液「Z−200」(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、2分間水洗した。
(工程e)(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)
次に、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が10g/Lとなるように調整したエタノール溶液に、基板を25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。
(工程f)(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)
(ドライプロセスA)
反応性イオンエッチング(RIE)法により、導体上面の硫黄有機物の除去を以下に示した条件で行った。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製 SPC−100B)
パワー:300 W
ガスおよび流量:Ar 5 SCCM
処理時間:15 sec
(工程g)(ソフトエッチング処理工程S27)
次に、基板を、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、基板を10%の硫酸に1分間浸漬し、2分間水洗した。
(工程h)(置換金めっき処理工程S3)
次に、置換金めっきであるHGS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に85℃で10分間浸漬処理した。
(工程i)(無電解金めっき処理S4)
次に、無電解金めっき液であるHGS−5400(日立化成工業株式会社製、商品名)に70℃で25分間浸漬処理し、金めっき皮膜を0.3μm形成した。これを1分間水洗し、接続端子上に無電解金めっきが施された第1の基板を得た。また、一方で、工程hを経て得られた基板を、同様の無電解ニッケル金めっき液に70℃で50分間浸漬処理することにより接続端子上に厚み約0.6μmの無電解金めっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解金めっきが施された第2の基板を得た。さらに、一方で、工程hを経て得られた基板を、同様の無電解金めっき液に70℃で75分間浸漬処理することにより接続端子上に厚み約0.9μmの無電解ニッケル金めっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解金めっきが施された第3の基板を得た。
上記で得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、下記の基準によりめっきのブリッジの発生を評価した。更に、接続端子(端子幅:25μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:25μm)が350箇所形成された基板に対して、同様の処理方法で無電解金めっきを施し、それぞれの基板について下記の基準によりスキップの発生について評価した。結果を表11に示す。
第1の配線および第2の配線ともにAu−Aのものを合格とした。
<金めっきのブリッジの評価>
Au−A:ブリッジなく接続端子上にめっき皮膜が良好に形成されている。(図8を参照)
Au−B:接続端子の外周に部分的にめっきがはみ出して析出している。(図9を参照)
Au−C:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出している。(図10を参照)
Au−D:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、部分的に短絡している。(図11を参照)
Au−E:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、完全に短絡している。(図12を参照)
また、上記基準でAu−B以上を合格とした。
<金めっきのスキップの評価>
Au−A:350箇所の接続端子のすべてにめっき皮膜が良好に形成されている。
Au−B:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が1箇所以上3個所以内ある。
Au−C:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が4箇所以上34個所以内ある。
Au−D:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が35箇所以上ある。
また、上記基準でAu−Aを合格とした。
(実施例76〜83)
(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)
実施例75の工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)における無電解めっき用前処理液に代えて、表4に示される硫黄化合物及び溶媒を表4に示される含有量で含む無電解ニッケルめっき用前処理液をそれぞれ使用したこと以外は実施例75と同様にして、実施例76〜83の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた実施例76〜83の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例64と同様にしてブリッジとスキップの発生についてそれぞれ評価した。結果を表11に示す。
(実施例84)
(無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26の追加)
実施例75における工程fと工程gの間に、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.01g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液に、基板を25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。この処理以外は実施例64と同様にして、実施例84の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた実施例84の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例75と同様にしてブリッジとスキップの発生についてそれぞれ評価した。結果を表11に示す。
(実施例85〜98)
(無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S26の追加)
実施例75の脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.01g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液による処理に代えて、表4に示される硫黄化合物及び溶媒を表4に示される含有量で含む無電解めっき反応をそれほど抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液をそれぞれ使用したこと以外は実施例75と同様にして、実施例85〜98の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた実施例85〜98の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例75と同様にしてブリッジとスキップの発生についてそれぞれ評価した。結果を表11に示す。
(比較例1)
実施例1に示した工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)および工程f(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例1の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表12に示す。
(比較例2)
実施例1に示した工程f(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例2の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてブリッジとスキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表12に示す。
(比較例3〜23)
実施例1の工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表5に示される硫黄化合物及び溶媒を表5に示される含有量で含む処理液をそれぞれ使用し、実施例1に示した工程f(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例3〜23の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてブリッジとスキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表12に示す。
(比較例24〜28)
実施例1の工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表6に示される硫黄化合物及び溶媒を表6に示される含有量で含む処理液をそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例24〜28の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてブリッジとスキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(比較例29〜37)
実施例52の脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.01g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液による処理に代えて、表6に示される硫黄化合物及び溶媒を表6に示される含有量で含む溶液をそれぞれ使用したこと以外は実施例52と同様にして、比較例29〜37の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた比較例29〜37の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてめっきのブリッジをそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(比較例38〜60)
実施例1の工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)における処理液に代えて、表7に示される硫黄化合物及び溶媒を表7に示される含有量で含む処理液をそれぞれ使用し、実施例1に示した工程f(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例38〜60の第1の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例1と同様にしてブリッジとスキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表14に示す。
(比較例61)
実施例75に示した工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)および工程f(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を行わなかったこと以外は、実施例75と同様の工程を行い、比較例61の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた比較例61の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例64と同様にしてブリッジとスキップの発生についてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例62)
実施例75に示した工程f(ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは物理的研磨によるプロセスS25)を行わなかったこと以外は、実施例75と同様の工程を行い、比較例62の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた比較例62の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例64と同様にしてブリッジとスキップの発生についてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例63〜67)
実施例75に示した工程e(硫黄有機物を含んだ溶液による処理工程S24)の、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が10g/Lとなるように調整したエタノール溶液に代えて、表8に示される硫黄化合物及び溶媒を表8に示される含有量で含む処理液により処理し、さらに実施例75に示した工程fを行わなかったこと以外は、実施例75と同様の工程を行い、比較例63〜67の第1の基板、第2の基板および第3の基板を得た。得られた比較例63〜67の第1の基板、第2の基板および第3の基板について、実施例75と同様にしてブリッジとスキップの発生についてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
また、表9〜15中には、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。なお、前処理液が上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物を含まない場合には、該当する値がないものとして「−」を記した。
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本発明の無電解ニッケルめっき方法の好適な実施形態のフローチャートである。 工程s23を行った後の基板上に形成された導体の断面の模式図である。 工程s24を行った後の基板上に形成された導体の断面の模式図である。 工程s25を行った後の基板上に形成された導体の断面の模式図である。 工程s26を行った後の基板上に形成された導体の断面の模式図である。 半導体チップ搭載用基板の一例を示す模式図である。 無電解めっきが施される接続端子の形状を示す模式図である。 めっきの異常析出が発生せず、無電解めっきが良好に形成された接続端子を示す模式図である。 接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の一例を示す模式図である。 接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の他の例を示す模式図である。 接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の他の例を示す模式図である。 接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の他の例を示す模式図である。
符号の説明
1…接続端子、2…開口部、3…絶縁樹脂層、4…無電解めっきが良好に形成された接続端子、5…基板、6…接続端子の周囲に析出しためっき、7…端子間の基板上に析出しためっき、10…半導体チップ搭載用基板、12…パッド、14…リード線、15…導体、16…基材、17…工程s24の処理で表面に吸着した硫黄有機物、18…工程s26の処理で表面に吸着した硫黄有機物

Claims (14)

  1. 基材と、該基材上に形成された接続端子(導体)と、を備える基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液(無電解めっき用前処理液)に接触させる第1工程と、前記第1工程の後にドライエッチングプロセスにより前記接続端子(導体)上面の硫黄有機物を一部除去する第2工程とを有する、接続端子の製造方法。
  2. さらに、第2工程の後に接続端子(導体)上に無電解めっき皮膜を形成させるための触媒を施す第3工程、または、第2工程の後、前記第3工程の前に無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第4工程を有する、請求項1に記載の接続端子の製造方法。
  3. 第1工程で用いる硫黄有機物が、チオール類、スルフィド化合物、チオシアン塩類、チオ尿素誘導体、スルファミン酸またはその塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の接続端子の製造方法。
  4. 第1工程で用いる硫黄有機物が、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物または脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の接続端子の製造方法。
  5. 無電解めっき用前処理液において、第1工程で用いる分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリンからなる群より選択される1種類以上の複素環式化合物であり、有機溶剤を含み、複素環式化合物の濃度が無電解めっき用前処理液の全容量基準で0.01g/L〜50g/Lであり、前記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解めっき用前処理液の全容量基準で1000Mml/L以下であることを特徴とする請求項4に記載の接続端子の製造方法。
  6. 無電解めっき用前処理液において、第1工程で用いる脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物が、下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物であり、有機溶剤を含み、無電解めっき用前処理液中の硫黄化合物の合計含有量が0.01〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が20000以下のものであり、なおかつ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の脂肪族チオールまたはジスルフィド化合物に含まれる式(5)で表される、メチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以下であることを特徴とする請求項4に記載の接続端子の製造方法。
    HS−(CH−COOH …(1)
    (式(1)中、aは1以上のいずれかの整数を示す。)
    HS−(CH−OH …(2)
    (式(2)中、bは5以上のいずれかの整数を示す。)
    HS−(CH−NH …(3)
    (式(3)中、cは5以上のいずれかの整数を示す。)
    −(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)
    (式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4以上のいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
    Figure 0005278725
    (式(5)中、Sは第k番目の硫黄化合物のモル濃度(mol/L)を示し、Cは第k番目の硫黄化合物が有するメチレン基の数を示す。なお、kは1〜zの整数を示し、第k番目の硫黄化合物とは、z種類の硫黄化合物を1番目からz番目まで任意に順番をつけたときのk番目に対応する硫黄化合物を指す。)
  7. 第4工程で用いる無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液が、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物と有機溶剤とを含有する無電解ニッケルめっき用前処理液であり、前記複素環式化合物は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0005〜3g/Lであり、前記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解めっき用前処理液の全容量基準で50×M〜5000×MmL/Lであることを特徴とする請求項2〜6いずれかに記載の接続端子の製造方法。
  8. 第4工程で用いる無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液(前処理液)が、一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤と、を含み、前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の前記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であり、なおかつ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれる式(5)で表される、メチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500より上であることを特徴とする請求項2〜6いずれかに記載の接続端子の製造方法。
    HS−(CH−COOH …(1)
    (式(1)中、aは1以上のいずれかの整数を示す。)
    HS−(CH−OH …(2)
    (式(2)中、bは5以上のいずれかの整数を示す。)
    HS−(CH−NH …(3)
    (式(3)中、cは5以上のいずれかの整数を示す。)
    −(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)
    (式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4以上のいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
    Figure 0005278725
    (式(5)中、Sは第k番目の硫黄化合物のモル濃度(mol/L)を示し、Cは第k番目の硫黄化合物が有するメチレン基の数を示す。なお、kは1〜zの整数を示し、第k番目の硫黄化合物とは、z種類の硫黄化合物を1番目からz番目まで任意に順番をつけたときのk番目に対応する硫黄化合物を指す。)
  9. さらに、無電解めっき皮膜を形成する工程を含み、かつ前記無電解めっき皮膜が、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、コバルト、スズ、タングステン、亜鉛、ロジウム、ルテニウム、白金から選択される金属または前記金属を含む合金であることを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載の接続端子の製造方法。
  10. ニッケルの上部に、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成したことを特徴とする請求項9に記載の接続端子の製造方法。
  11. ニッケルの上部に、パラジウムの純度が99重量%以上の置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成したことを特徴とする請求項9に記載の接続端子の製造方法。
  12. ニッケルの上部に、パラジウムの純度が99重量%以上の置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、パラジウムの純度が90重量%以上〜99重量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成したことを特徴とする請求項9に記載の接続端子の製造方法。
  13. ドライエッチングプロセスが、異方性エッチングプロセスであることを特徴とする請求項1〜12いずれかに記載の接続端子の製造方法。
  14. 基材と、該基材上に形成された導体と、を備える半導体チップ搭載用基板の表面に、硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程の後にドライエッチングプロセスにより前記導体上面の硫黄有機物を一部除去する第2工程と、必要に応じて、前記第2工程の後に前記導体上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成させるための置換パラジウムめっき処理を施す第3工程と、あるいはさらに、前記第2工程と第3工程の間に無電解めっき反応を抑制することのない硫黄有機物を含んだ溶液に接触させる第4工程を有することを特徴とする半導体チップ搭載用基板の製造方法。
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