しかしながら、上記のようにトナーの付着力を低下させたり、定着ローラの径を小さくしたりしても、薄紙などの曲げ剛性(コシ)の小さい記録用紙を使用すると、記録用紙を巻き付かせるのに要する曲げ力F2が小さくなるため、定着ローラへの巻き付きが発生することがある。
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、記録媒体の曲げ剛性を向上させることにより、記録媒体の分離性を向上させることが可能な定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、内部に加熱源を有する円筒状の定着ローラと、当該定着ローラに圧接して配設された加圧ローラを備え、前記定着ローラと前記加圧ローラが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させることにより、当該記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置において、前記定着ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記加圧ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記定着ローラの前記クラウン部と前記加圧ローラの前記逆クラウン部を対応させると共に、前記定着ローラの前記逆クラウン部と前記加圧ローラの前記クラウン部を対応させて、前記定着ローラと前記加圧ローラを互いに圧接させた定着装置であって、前記定着ローラにおいて前記クラウン部を前記逆クラウン部よりも厚くなるように形成し、前記加熱源は、前記定着ローラの軸方向に渡って部分的に発熱部を有する第1加熱手段及び第2加熱手段を有し、前記第1加熱手段の発熱部を前記定着ローラの前記クラウン部に対応させて配設すると共に、前記第2加熱手段の発熱部を前記定着ローラの前記逆クラウン部に対応させて配設し、前記第1加熱手段及び前記第2加熱手段をそれぞれ独立して制御可能に構成したものである。
請求項1の発明によれば、定着ローラのクラウン部と加圧ローラの逆クラウン部を対応させると共に、定着ローラの逆クラウン部と加圧ローラのクラウン部を対応させて、定着ローラと加圧ローラを圧接させているため、定着ニップは湾曲して形成される。画像の定着を行う際、湾曲した定着ニップに記録媒体が侵入することによって、記録媒体も湾曲した状態となる。このように、記録媒体を湾曲させることにより、記録媒体の見かけ上の剛性を向上させて定着ニップから搬出することができ、記録媒体を定着ニップから搬出する際に、記録媒体が定着ローラに巻き付くことを抑制することが可能となる。
また、クラウン部と逆クラウン部を対応させて定着ローラと加圧ローラを圧接することによって、定着ニップにおける接触圧のばらつきを抑制することができる。これにより、定着した画像に光沢度ムラが発生するなどの不具合を抑制することができ、良好な画像形成を実現することができる。
また、第1加熱手段と第2加熱手段をそれぞれ独立して制御することにより、クラウン部と逆クラウン部における発熱量や発熱時間等を異ならせることが可能である。これにより、クラウン部と逆クラウン部のそれぞれにおける表面温度のばらつきを抑制することができ、定着した画像に光沢度ムラが発生するなどの不具合を抑制することができる。
請求項2の発明は、内部に加熱源を有する円筒状の定着ローラと、無端状の加圧ベルトと、当該加圧ベルトの内周面を押圧して加圧ベルトを前記定着ローラに圧接させる押圧部材を備え、前記定着ローラと前記加圧ベルトが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させることにより、当該記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置において、前記定着ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記押圧部材の前記加圧ベルトを押圧する押圧面に、凸状に形成した凸面部と、凹状に形成した凹面部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記定着ローラの前記クラウン部と前記押圧部材の前記凹面部を対応させて配設すると共に、前記定着ローラの前記逆クラウン部と前記押圧部材の前記凸面部を対応させて配設して、前記押圧部材によって前記加圧ベルトを押圧し、前記定着ローラと前記加圧ベルトを互いに圧接させた定着装置であって、前記定着ローラにおいて前記クラウン部を前記逆クラウン部よりも厚くなるように形成し、前記加熱源は、前記定着ローラの前記クラウン部に対応して発熱部を配設した第1加熱手段と、前記定着ローラの前記逆クラウン部に対応して発熱部を配設した第2加熱手段を有し、前記第1加熱手段と前記第2加熱手段をそれぞれ独立して制御可能な制御手段を備えたものである。
請求項2の発明は、定着ローラのクラウン部と押圧部材の凹面部を対応させて配設すると共に、定着ローラの逆クラウン部と押圧部材の凸面部を対応させて配設して、定着ローラと加圧ベルトを互いに圧接させているため、定着ニップは湾曲して形成される。この場合も、上記請求項1の発明と同様に、記録媒体を定着ニップに侵入させることによって、記録媒体を湾曲させることができ、記録媒体の見かけ上の剛性を向上させて定着ニップから搬出することができる。これにより、記録媒体を定着ニップから搬出させる際に、記録媒体が定着ローラに巻き付くことを抑制することができる。
また、請求項2の発明は、クラウン部と凹面部を対応させ、逆クラウン部と凸面部を対応させて、定着ローラと加圧ベルトを圧接させるため、請求項1の発明と同様に、定着ニップにおける接触圧のばらつきを抑制することが可能である。これにより、定着した画像に光沢度ムラが発生するなどの不具合を抑制することができ、良好な画像形成を実現することができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明と同様に、第1加熱手段と第2加熱手段をそれぞれ独立して制御することにより、クラウン部と逆クラウン部における発熱量や発熱時間等を異ならせることが可能である。これにより、クラウン部と逆クラウン部のそれぞれにおける表面温度のばらつきを抑制することができ、定着した画像に光沢度ムラが発生するなどの不具合を抑制することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の定着装置において、前記第1加熱手段の発熱部を、前記定着ローラの前記クラウン部の頂部に対応させて配設すると共に、前記第2加熱手段の発熱部を、前記定着ローラの前記逆クラウン部の底部に対応させて配設したものである。
第1加熱手段と第2加熱手段の各発熱部を、表面温度差が最も大きくなるクラウン部の頂部と逆クラウン部の底部に対応させて配設しているため、効果的に定着ローラの表面温度のばらつきを抑制することができる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置において、前記第1加熱手段の発熱部の発熱量を、前記第2加熱手段の発熱部の発熱量よりも大きくしたものである。
第1加熱手段の発熱部の発熱量を、第2加熱手段の発熱部の発熱量よりも大きくすることによって、熱の伝達されにくいクラウン部の温度を効果的に上昇させることができる。これにより、定着ローラの表面温度を軸方向に渡って均一な温度に設定することができる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の定着装置において、前記定着ローラの前記クラウン部及び前記逆クラウン部にそれぞれ対応して温度検知装置を配設し、各温度検知装置によって検知した前記定着ローラの表面温度に基づいて、前記制御手段が前記第1加熱手段及び第2加熱手段を制御するように構成したものである。
定着ローラのクラウン部及び逆クラウン部にそれぞれ対応して温度検知装置を配設したことにより、定着ローラの表面温度のばらつきを検知することができる。そして、検知した定着ローラの表面温度に基づいて、第1加熱手段と第2加熱手段を制御することにより、クラウン部と逆クラウン部との表面温度のばらつきを確実に抑制することができる。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の定着装置において、前記定着ローラの軸方向中央部側の前記クラウン部及び前記逆クラウン部にそれぞれ対応して温度検知装置を配設すると共に、前記定着ローラの軸方向端部側の前記クラウン部及び前記逆クラウン部にそれぞれ対応して温度検知装置を配設し、各温度検知装置によって検知した前記定着ローラの表面温度に基づいて、前記制御手段が前記第1加熱手段及び第2加熱手段を制御するように構成したものである。
定着ローラの軸方向中央側と軸方向端部側におけるクラウン部と逆クラウン部に対応して温度検知装置を配設したことにより、記録媒体の通過によって温度が上がりにくい中央部のクラウン部と逆クラウン部、反対に温度の上がり易い端部のクラウン部と逆クラウン部それぞれの温度を検知しながら、温度制御をすることが可能になり、定着ローラの軸方向に渡る表面温度のばらつきをより効果的に抑制することが可能となる。
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の定着装置において、前記各温度検知手段を、互いに隣設する前記クラウン部の頂部と前記逆クラウン部の底部にそれぞれ対応させて配設したものである。
複数の温度検知装置を、表面温度差が最も大きくなるクラウン部の頂部と逆クラウン部の底部に対応させて配設したことにより、定着ローラの軸方向に渡る温度差を精度良く検知することができる。また、各温度検知手段を互いに隣設するクラウン部と逆クラウン部に配設することで、それら温度検知手段の近傍の温度を精度良く検知することができる。そして、検知した温度に基づいて、クラウン部頂部・逆クラウン部底部に対応した位置に発熱部を有する前記第1加熱手段及び第2加熱手段をそれぞれ制御することで、表面温度のばらつきを効果的に抑制することが可能である。
請求項8の発明は、請求項6に記載の定着装置において、前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの軸方向の同じ側の端部を、軸方向に位置決めすると共に、前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの前記位置決めされた端部と反対側の端部を軸方向に変位可能に構成し、前記温度検知装置を配設した前記定着ローラの軸方向端部側を、位置決めした端部側としたものである。
また、温度検知装置を配設した定着ローラの軸方向端部側を、位置決めされた端部側としたことにより、定着ローラが熱等によって軸方向に伸縮しても、各温度検知装置の測定位置がずれるのを抑制することができる。これによって、より正確に定着ローラの表面温度のばらつきを検知することが可能となる。
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置である。
本発明に係る定着装置を画像形成装置に搭載可能である。
本発明によれば、記録媒体を定着装置から搬出する際に、記録媒体の見かけ上の剛性を向上させて記録媒体が定着ローラに巻き付くことを抑制することができる。これにより、記録媒体がジャム化する等の不具合の発生を抑制することができ、信頼性の高い定着装置及び画像形成装置を提供することができる。また、本発明は、定着ニップにおける接触圧のばらつきを抑制することができる。これにより、定着した画像に光沢度ムラ等が発生するのを抑制することができ、良好な画像形成を維持することが可能である。
また、本発明の構成によれば、定着ローラの表面温度が軸方向に渡ってばらつくのを抑制することができるため、定着ニップにおける定着温度を均一に維持することができる。これにより、定着した画像に光沢度ムラ等が発生するのを抑制することができ、良好な画像形成を実現することが可能である。
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す本発明の画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置1の本体の上方にあるボトル収容部2には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル2Y、2M、2C、2Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。ボトル収容部2の下方には中間転写ユニット3が配設されている。その中間転写ユニット3の中間転写ベルト30に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部6、現像部7、クリーニング部8、除電部(図示省略)等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、図示しない駆動モータによって図1中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部6の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5
Kの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部9から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像部7との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程)。その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト30及び第1転写バイアスローラ31Y、31M、31C、31Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト30上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部8との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部8のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、図示しない除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト30上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト30上にカラー画像が形成される。ここで、中間転写ユニット3は、中間転写ベルト30、4つの1次転写バイアスローラ31Y、31M、31C、31K、2次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33、テンションローラ34、中間転写クリーニング部35等で構成される。中間転写ベルト30は、3つのローラ32〜34によって張架・支持されると共に、1つのローラ32の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写バイアスローラ31Y、31M、31C、31Kは、それぞれ、中間転写ベルト30を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ31Y、31M、31C、31Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト30は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ31Y、31M、31C、31Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト30上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト30は、2次転写ローラ36との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ32が、2次転写ローラ36との間に中間転写ベルト30を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト30上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体としての記録用紙P上に転写される。このとき、中間転写ベルト30には、記録用紙Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト30は、中間転写クリーニング部35の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト30上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト30上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録用紙Pは、画像形成装置1の本体の下方に配設された給紙部10から、給紙ローラ11やレジストローラ対12等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部10には、記録用紙Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ11が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録用紙Pがレジストローラ対12のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対12に搬送された記録用紙Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対12のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト30上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対12が回転駆動されて、記録用紙Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録用紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置27の位置に搬送される。定着装置27は、例えば定着ローラ61と加圧ローラ62を有しており、定着ローラ61と加圧ローラ62が圧接した定着ニップに記録用紙Pが搬入されることによって、表面に転写されたカラー画像が記録用紙P上に定着される。その後、記録用紙Pは、排紙ローラ対13のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対13によって装置外に排出された記録用紙Pは、出力画像として、スタック部14上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
以下、図2〜図7に基づいて、本発明の実施例1に係る上記定着装置27の構成を説明する。図2は、定着装置27の側面断面図である。図2に示すように、定着装置27は、定着ローラ61と、その定着ローラ61に圧接して配設された加圧ローラ62を備える。定着ローラ61と加圧ローラ62が互いに圧接された箇所には定着ニップNが形成されている。また、定着ローラ61は、その内部に加熱源を有する。この加熱源は、第1加熱手段としての第1ヒータランプ63と、第2加熱手段としての第2ヒータランプ64から成る。第1ヒータランプ63と第2ヒータランプ64は、定着ローラ61の軸方向に渡って配設されており、これらヒータランプ63,64を発熱させることにより、定着ローラ61が加熱されるようになっている。
図3は、定着装置27の正面断面図である。図3に示すように、定着ローラ61の外周には、定着ローラ61の表面温度を検知する温度検知手段として、4つの温度検知装置65〜68が配設されている。この実施例では、温度検知装置65〜68として、定着ローラ61の表面に接触する接触式サーミスタを適用しているが、非接触式サーミスタを適用することも可能である。これら温度検知装置65〜68によって検知した定着ローラ61の表面温度に基づいて、図示しない制御手段が各ヒータランプ63,64を独立して制御するようになっている。
定着ローラ61は、円筒状に形成された金属製の芯材611と、その芯材611の外周面を被覆する弾性層612と、その弾性層612の外周面を被覆する離型層613によって構成されている。また、加圧ローラ62も、同様に、円筒状に形成された金属製の芯材621と、その芯材621の外周面を被覆する弾性層622と、その弾性層622の外周面を被覆する離型層623によって構成されている。
図4(A)は、定着ローラ61を軸方向に切断した断面図である。なお、図4(A)において、図2及び図3に示す符号と同一の符号は、同一の部材又は同一の部分を示す。図4(A)に示すように、定着ローラ61は、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部61aと、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部61bを、それぞれ少なくとも1つずつ有している。この場合、定着ローラ61には、複数のクラウン部61aと複数の逆クラウン部61bが軸方向に交互に連続して配設されており、定着ローラ61の外周面は、全体として軸方向に波打つように形成されている。なお、上記「クラウン状」とは軸方向の両端へ向かってローラの径が小さくなる形状のことをいい、上記「逆クラウン状」とは軸方向の両端へ向かってローラの径が大きくなる形状のことをいう。
また、図4(A)に示すように、定着ローラ61の芯材611及び離型層613は、それぞれ軸方向に均一な厚さに形成されている。一方、弾性層612の厚さは軸方向に渡って変化するように形成されている。このように、弾性層612の厚さを軸方向に渡って変化させることによって、定着ローラ61にクラウン部61aと逆クラウン部61bを構成している。また、図4(A)に示す実施例と異なり、芯材611の厚さを軸方向に渡って変化させる、あるいは芯材611及び弾性層612の両方の厚さを軸方向に渡って変化させて、クラウン部61aと逆クラウン部61bを構成することも可能である。
図4(B)は、加圧ローラ62を軸方向に切断した断面図である。なお、図4(B)において、図2及び図3に示す符号と同一の符号は、同一の部材又は同一の部分を示す。図4(B)に示すように、加圧ローラ62は、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部62aと、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部62bを、それぞれ少なくとも1つずつ有している。また、加圧ローラ62においても、複数のクラウン部62aと複数の逆クラウン部62bは軸方向に交互に連続して配設されており、加圧ローラ62の外周面は、全体として軸方向に波打つように形成されている。なお、ここでいう「クラウン状」及び「逆クラウン状」は、上記と同様のことをいう。
また、図4(B)に示すように、加圧ローラ62の芯材621及び離型層623は、それぞれ軸方向に均一な厚さに形成されている。一方、弾性層622の厚さは軸方向に渡って変化するように形成されている。このように、弾性層622の厚さを軸方向に渡って変化させることによって、加圧ローラ62にクラウン部62aと逆クラウン部62bを構成している。また、加圧ローラ62も、上記定着ローラ61と同様に、芯材621の厚さを軸方向に渡って変化させる、あるいは芯材621及び弾性層622の両方の厚さを軸方向に渡って変化させて、クラウン部62aと逆クラウン部62bを構成することも可能である。
また、図4(A)(B)に示すように、定着ローラ61及び加圧ローラ62において、クラウン部61a,62a及び逆クラウン部61b,62bは、定着ローラ61及び加圧ローラ62の少なくとも記録媒体(記録用紙)の最大通過幅Wの全体に対応する部分に渡って配設されている。ただし、クラウン部61a,62a及び逆クラウン部61b,62bは、必ずしも記録媒体の最大通過幅Wの全体に渡って配設されていなくてもよい。クラウン部61a,62a及び逆クラウン部61b,62bを、記録媒体の最大通過幅Wの一部に対応する部分にのみ配設することも可能である。
図3に示すように、定着ローラ61と加圧ローラ62を圧接させた状態では、定着ローラ61のクラウン部61aと加圧ローラ62の逆クラウン部62bを対応させると共に、定着ローラ61の逆クラウン部61bと加圧ローラ62のクラウン部62aを対応させている。このように、定着ローラ61と加圧ローラ62を圧接させた状態で、全てのクラウン部61a,62aに対して全ての逆クラウン部61b,62bを対応させている。なお、定着ローラ61と加圧ローラ62が有するクラウン部61a,62a及び逆クラウン部61b,62bの個数は、それぞれ1つ以上であれば特に限定しないが、全てのクラウン部61a,62a及び逆クラウン部61b、62bが対応できるように、それぞれの個数を合わせている。
この場合、定着ローラ61と加圧ローラ62のクラウン部61a,62aと逆クラウン部61b,62bは、それぞれ軸方向にsin曲線を描くように形成されている。ただし、クラウン部61a,62a及び逆クラウン部61b,62bを、sin曲線以外の曲線によって形成してもよい。また、対応するクラウン部61a,62aと逆クラウン部61b,62bのそれぞれの形状は、互いに一致する形状に形成されている。つまり、定着ローラ61と加圧ローラ62に圧力を作用させない無負荷状態で互いに接触させた場合に、対応するクラウン部61a,62aと逆クラウン部61b,62bとの間に隙間が生じないように構成されている。
図5は、定着ローラ61又は加圧ローラ62のクラウン部61a,62aと逆クラウン部61b,62bを拡大した図である。図5において、符号S1はクラウン部61a,62aの頂部Qにおける高さ(振幅)を示し、符号S2は逆クラウン部61b,62bの底部Uにおける高さ(振幅)を示す。また、同図における符号Hは、クラウン部61a,62aの頂部Qと逆クラウン部61b,62bの底部Uとの高低差を示している。
本発明では、定着ローラ61と加圧ローラ62を互いに圧接させた負荷状態において、各ローラ61,62の上記高低差Hは、0.16mm以上であって0.8mm以下に設定されることが望ましい。なお、負荷状態においては、各ローラ61,62の弾性層が圧縮されるため、各ローラ61,62を圧接させない無負荷状態に比べて、上記高低差は小さくなる。一般に、定着ローラ61と加圧ローラ62において、弾性層の圧縮率が20%を越えると弾性層に塑性変形が生じ、これが画像ノイズや異音の発生原因となるため、弾性層の圧縮率は通常20%以下となるように設定している。従って、本発明の実施例では、弾性層の圧縮率を20%と設定しているため、各ローラ61,62を圧接した状態での上記高低差Hは、無負荷状態での高低差Hの80%となる。
一方、圧接しない無負荷状態における高低差Hは、圧接する負荷状態における高低差Hよりも大きく設定されている。具体的には、弾性層の圧縮率を20%に設定した本発明において、無負荷状態での高低差は負荷状態の高低差(0.16mm〜0.8mm)の1.25倍になるため、0.2mm以上であって1mm以下の範囲内で設定される。また、この実施例では、定着ローラ61と加圧ローラ62における、クラウン部61a,62aの高さ(振幅)S1と、逆クラウン部61b,62bの高さ(振幅)S2は、同じ値に設定されているため、無負荷状態における各高さS1,S2は、上記無負荷状態における高低差H(0.2mm〜1mm)の2分の1の範囲内に設定される。従って、無負荷状態における各高さS1,S2は、それぞれ0.1mm以上であって0.5mm以下の範囲内で設定されている。
また、図3に示すように、定着ローラ61と加圧ローラ62は、画像形成装置内に所定間隔をあけて配設された図示しない2つの側板の間に、ボールベアリング等の複数の軸受71を介して回転可能に取り付けられている。また、各軸受71は上記側板に対して固定されている。
図3において、定着ローラ61の図の左端部に配設された軸受71は、定着ローラ61の外周に形成された段部72と抜け止め輪73によって挟まれて取り付けられている。すなわち、定着ローラ61の図の左端部は、軸方向に移動しないように位置決めされている。一方、定着ローラ61の図の右端部に配設された軸受71は、定着ローラ61に対して軸方向に移動可能に取り付けられている。従って、定着ローラ61の図の右端部は、軸方向に変位可能となっている。
加圧ローラ62の図の左端部に配設された軸受71は、加圧ローラ62の外周に形成された段部74と抜け止め輪75によって挟まれて取り付けられている。すなわち、加圧ローラ62の図の左端部は、上記定着ローラ61と同様に、軸方向に移動しないように位置決めされている。一方、加圧ローラ62の図の右端部に配設された軸受71は、加圧ローラ62に対して軸方向に移動可能に取り付けられている。従って、加圧ローラ62の図の右端部も、上記定着ローラ61と同様に、軸方向に変位可能に構成されている。
このように、定着ローラ61と加圧ローラ62は、それぞれの軸方向の同じ側の端部を、軸方向に位置決めし、その位置決めした端部と反対側の端部を軸方向に変位可能となるように構成されている。なお、位置決めする端部又は変位可能に構成する端部は、定着ローラ61と加圧ローラ62の同じ側の端部であれば、どちらの端部であってもよい。
図6は、上記第1ヒータランプ63と第2ヒータランプ64の基本構成を説明するための概略図である。各ヒータランプ63,64は、石英ガラス等の光透過性材料から成る発光管41を有する。発光管41内には不活性ガスが封入されている。また、発光管41内には、タングステン素線から成る発熱部材42が配設されている。この発熱部材42は、タングステン素線を部分的に巻回して形成された発熱部としてのフィラメント420を複数有する。また、発熱部材42は、複数の支持体43によって支持されており、これにより発熱部材42が発光管41の内面に接触しないようになっている。発光管41の両端の封止部41L,41Rには、モリブデン等から成る金属箔44が配設されている。各金属箔44の一端は発熱部材42と接続され、金属箔44の他端はモリブデンやタングステン等から成る電極棒45と接続されている。各電極棒45は図示しない外部リード線と電気的に接続されており、各電極棒45の間に電圧を印加させることによって、発熱部材42に通電しフィラメント42を発熱させるようになっている。
図3において、各ヒータランプ63,64のフィラメントを配設した発熱部63a,64aを、便宜的に黒く塗りつぶして示している。このように、各ヒータランプ63,64を定着ローラ61内に配設した状態において、第1ヒータランプ63の発熱部63aと第2ヒータランプ64の発熱部64aは、互いに定着ローラ61の軸方向に異なる位置に配設されている。詳しくは、第1ヒータランプ63の発熱部63aは、定着ローラ61のクラウン部61aに対応させて配設している。一方、第2ヒータランプ64の発熱部64aは、定着ローラ61の逆クラウン部61bに対応させて配設されている。
さらに、図7に示すように、第1ヒータランプ63の発熱部63aを、クラウン部61aの頂部Qに対応させ、第2ヒータランプ64の発熱部64aを、逆クラウン部61bの底部Uに対応させて配設することが好ましい。
第1ヒータランプ63の発熱部63aの発熱量は、第2ヒータランプ64の発熱部64a発熱量よりも大きく設定されている。具体的には、第1ヒータランプ63のフィラメントの巻き径を第2ヒータランプ64より大きくする、あるいは、第1ヒータランプ63のフィラメントの単位長さ当たりの巻き数(ピッチ)を第2ヒータランプ64より多くして、第1ヒータランプ63の発熱部63aの発熱量を、第2ヒータランプ64の発熱部64a発熱量よりも大きくしている。
図3において、上記4つの温度検知装置65〜68のうち、2つの温度検知装置65,66は、定着ローラ61の軸方向端部側に配設され、別の2つの温度検知装置67,68は、定着ローラ61の軸方向中央側に配設されている。軸方向端部側に配設された2つの温度検知装置65,66のうち、一方の温度検知装置66は、定着ローラ61のクラウン部61aの頂部に対応して配設され、他方の温度検知装置65は、定着ローラ61の逆クラウン部61bの底部に対応して配設されている。また、軸方向中央側に配設された2つの温度検知装置67,68のうち、一方の温度検知装置67は、定着ローラ61のクラウン部61aの頂部に対応して配設され、他方の温度検知装置68は、定着ローラ61の逆クラウン部61bの底部に対応して配設されている。また、軸方向端部側に配設した一対の温度検知装置65,66同士、及び軸方向中央部側に配設した一対の温度検知装置67,68同士は、互いに隣設したクラウン部61aと逆クラウン部61bに配設することが望ましい。また、定着ローラ61の温度検知装置65,66を配設した端部側は、位置決めされた端部側(図の左側)としている。
以下、本発明の実施例2に係る定着装置の構成について説明する。図8又は図9に示すように、実施例2に係る定着装置27は、定着ローラ61と、加圧ベルト69と、その加圧ベルト69の内周面を押圧して加圧ベルト69を定着ローラ61に圧接させる押圧部材70を備える。また、定着ローラ61と加圧ベルト69が互いに圧接された箇所には定着ニップNが形成されている。
実施例2に係る定着ローラ61、定着ローラ61内に配設された第1ヒータランプ63及び第2ヒータランプ64、定着ローラ61の外周に配設された複数の温度検知装置65〜68は、上記本発明の実施例1と同様に構成されている。図8及び図9において、図2及び図3と同一の符号は同一の部材又は同一の部分を示す。
加圧ベルト69はポリイミドフィルム等から成る無端状のベルト部材によって構成されている。加圧ベルト69は、押圧部材70に張力を作用させない状態で掛け渡され、定着ローラ61に従動回転するように構成されている。押圧部材70は、シリコンゴム等によって構成された弾性層701と、その弾性層701を保持するホルダ702を有する。ホルダ702は、図示しないバネ等の付勢手段によって定着ローラ61側へ付勢されている。
図9に示すように、押圧部材70は、加圧ベルト69を押圧する押圧面700に、凸状に形成した凸面部70aと、凹状に形成した凹面部70bを、それぞれ少なくとも1つずつ有している。この場合、押圧面700には、複数の凸面部70aと複数の凹面部70bが長手方向に交互に連続して配設されており、押圧面700は、全体として長手方向に波打つように形成されている。
また、押圧部材70は、ホルダ702の厚さを長手方向に変化させて、押圧部材70の押圧面700に凸面部70aと凹面部70bを構成している。これ以外に、弾性層701の厚さを長手方向に変化させて、あるいは、弾性層701とホルダ702の両方の厚さを長手方向に変化させて、凸面部70aと凹面部70bを構成することも可能である。また、凸面部70aと凹面部70bは、押圧部材70の少なくとも記録媒体の最大通過幅Wの全体に対応する部分に渡って配設されているが、凸面部70aと凹面部70bを、記録媒体の最大通過幅Wの一部に対応する部分にのみ配設してもよい。
図9に示すように、押圧部材70によって加圧ベルト69を定着ローラ61へ圧接させた状態で、定着ローラ61のクラウン部61aと押圧部材70の凹面部70bを対応させて配設すると共に、定着ローラ61の逆クラウン部61bと押圧部材70の凸面部70aを対応させて配設している。また、対応するクラウン部61aと凹面部70b、逆クラウン部61bと凸面部70aは、互いに一致する形状に形成されている。このように配設された定着ローラ61及び押圧部材70によって加圧ベルト69が挟まれることにより、その挟まれた箇所において、加圧ベルト69は波打つように形成される。ただし、加圧ベルト69が定着ローラ61と押圧部材70との挟持から解放された箇所においては、加圧ベルト69は平坦面状となっている。
定着ローラ61が有するクラウン部61a及び逆クラウン部61bの個数、押圧部材70が有する凸面部70a及び凹面部70bの個数は、それぞれ1つ以上であれば特に限定しない。ただし、押圧部材70によって加圧ベルト69を定着ローラ61へ圧接させた状態で、全てのクラウン部61a及び逆クラウン部61bに対して全ての凸面部70a及び凹面部70bを対応させることができるように、それぞれの個数を合わせている。
また、本発明の実施例7において、定着ローラ61のクラウン部61a及び逆クラウン部61b、押圧部材70の凸面部70a及び凹面部70bのそれぞれの形状は、sin曲線状や、一部に直線部を有する形状などに形成することが可能である。
また、定着ローラ61と押圧部材70を互いに圧接させない無負荷時において、押圧部材70の凸面部70aの頂部と凹面部70bの底部との高低差は、図5において説明したクラウン部61a,62aの頂部Qと逆クラウン部61b,62bの底部Uとの高低差Hと同様に、0.2mm以上であって1mm以下となるように設定することが好ましい。また、凸面部70aと凹面部70bがsin曲線状に形成されている場合は、凸面部70aと凹面部70bのそれぞれの高さ(振幅)は、前記無負荷状態において、0.1mm以上であって0.5mm以下となるようにすることが望ましい。
この場合も、上記実施例と同様に、押圧部材70と定着ローラを圧接した負荷状態において弾性層の圧縮率を20%と設定しているため、負荷状態の高低差は、無負荷状態の高低差の80%となる。具体的には、負荷状態での高低差は、0.16mm以上であって0.8mm以下と設定することが望ましい。
以下、本発明の各実施例の作用・効果を説明する。
本発明の実施例1に係る定着装置は、図2に示すように、定着ローラ61と加圧ローラ62を有する。この定着装置によって画像の定着を行う場合は、まず、各ヒータランプ63,64を発熱させて定着ローラ61を加熱する。図示しない制御手段が各温度検知装置63,64の検知温度に基づいて各ヒータランプ63,64を制御し、定着ローラ61の表面温度が所定の温度となるようにする。そして、矢印X方向に回転する定着ローラ61と、矢印Y方向に回転する加圧ローラ62との間に、未定着のトナー画像Tが形成された記録用紙Pを矢印A方向に侵入させる。記録用紙Pを定着ローラ61と加圧ローラ62の間に侵入させることによって、定着ニップNにおいて記録用紙Pが加熱及び加圧され、記録用紙P上の未定着トナー画像Tが記録用紙Pに定着される。
本発明の実施例1は、クラウン部と逆クラウン部を対応させて定着ローラ61と加圧ローラ62を圧接させているため、定着ニップNは波打つように湾曲して形成されている(図3参照)。その湾曲した定着ニップNに記録用紙Pが侵入することによって、記録用紙Pは湾曲する。このように記録用紙Pを湾曲させることにより、記録用紙Pの見かけ上の剛性を向上させて定着ニップNから搬出することができる。これにより、本発明の定着装置は、記録用紙Pを定着ニップNから搬出する際に、記録用紙Pが定着ローラ61に巻き付くことを抑制することができ、記録用紙Pを良好に搬出することが可能となる。
また、図8に示す本発明の実施例2に係る定着装置によって画像の定着を行う場合は、上記と同様に、定着ローラ61を所定の表面温度となるように加熱する。そして、矢印X方向に回転する定着ローラ61と、矢印Y方向に従動回転する加圧ベルト69との間に、未定着のトナー画像Tが形成された記録用紙Pを矢印A方向に侵入させ、定着ニップNにおいて記録用紙Pを加熱及び加圧して、記録用紙P上の未定着トナー画像Tを記録用紙Pに定着させる。
本発明の実施例2では、定着ローラ61のクラウン部61aと押圧部材70の凹面部70bを対応させて配設すると共に、定着ローラ61の逆クラウン部61bと押圧部材70の凸面部70aを対応させて配設して、定着ローラ61と加圧ベルト69を互いに圧接させているため、定着ニップNは波打つように湾曲して形成される(図9参照)。従って、この場合も上記と同様に、記録用紙Pを定着ニップNに侵入させることによって、記録用紙Pを湾曲させることができ、記録用紙Pの見かけ上の剛性を向上させて定着ニップNから搬出することができる。これにより、記録用紙Pを定着ニップNから搬出させる際に、記録用紙Pが定着ローラ61に巻き付くことを抑制することができる。
以上のように、本発明の構成によれば、従来と異なり定着ニップを湾曲させることにより、記録用紙の見かけ上の剛性を大きくして搬出することができ、記録用紙の分離性を向上させることが可能である。また、本発明者は、定着ニップの湾曲数と、定着ニップから搬出される記録用紙の見かけ上の剛性との関係を調べる試験をした。以下、その試験について詳しく説明する。
試験に使用する定着装置として、クラウン部及び逆クラウン部を有する定着ローラと加圧ローラを備えた本発明の定着装置と、クラウン部及び逆クラウン部を有しない定着ローラと加圧ローラを備えた従来の定着装置を適用した。また、本発明の試験装置は、クラウン部と逆クラウン部をそれぞれ3個ずつ有するタイプと、それぞれ7個ずつ有するタイプの2タイプを用意し、本発明の各タイプの試験装置においてクラウン部及び逆クラウン部の振幅(高さ)を0.2mmとした。また、試験に使用する全ての定着装置において、定着ローラの弾性層と加圧ローラの弾性層のそれぞれの厚さを1.7mmに設定した。そして、各定着装置において、坪量(単位面積当たりの重量)が64g/m2、69g/m2、90g/m2である各種用紙を搬出したときの各種用紙の見かけ上の剛性を測定した。
前記各種用紙の見かけ上の剛性の測定方法について簡単に説明する。まず、図10に示すように、記録用紙Pを定着ローラ61と加圧ローラ62の間の定着ニップNを通過させ、記録用紙Pの前方の端部に変位測定装置76からのレーザ光Lが照射されたら記録用紙Pの搬送を停止する。停止した記録用紙Pの振動が無くなってから、撓んだ記録用紙Pに変位測定装置76からレーザ光Lを照射し、その記録用紙Pの変位を測定する。その後、記録用紙Pを所定距離だけ進行させて、再び記録用紙Pにレーザ光Lを照射し、その変位を測定する。そして、得られた記録用紙Pの変位から記録用紙Pの見かけ上の剛性を算出する。
図11に、定着ニップの湾曲数と各種用紙の見かけ上の剛性との関係を示すグラフを図示する。図11において、縦軸は記録用紙の見かけ上の剛性を表し、横軸は定着ニップの湾曲数を表している。ここでは、定着ニップの湾曲数を、クラウン部と逆クラウン部の個数で表している。具体的には、クラウン部及び逆クラウン部が無い場合は定着ニップの湾曲数は0、クラウン部と逆クラウン部を3個ずつ有する場合は定着ニップの湾曲数は3と表している。また、同図において、▲でプロットしたのは坪量が90g/m2の記録用紙の測定値、■でプロットしたのは坪量が69g/m2の記録用紙の測定値、●でプロットしたのは坪量が64g/m2の記録用紙の測定値である。
図11のグラフを見れば、定着ニップの湾曲が0である従来の定着装置を使用した場合に比べて、定着ニップの湾曲数が3又は7である本発明の定着装置を使用した場合は、各種用紙の見かけ上の剛性が大きくなっていることが分かる。さらに、定着ニップの湾曲数が3の場合より7の場合の方が記録用紙の見かけ上の剛性が大きいことから、定着ニップの湾曲数が多いほど各種用紙の見かけ上の剛性を大きくする効果があると推察される。なお、図11に示す試験結果は、本発明の一実施例における記録用紙の見かけ上の剛性の向上効果を示すものであるが、それ以外の本発明の実施例においても同様の効果を得られる。
上述したように、クラウン部(又は凸面部)の頂部と、逆クラウン部(又は凹面部)の底部との高低差は、負荷状態において、0.16mm以上であって0.8mm以下となるように設定することが好ましい。この高低差を0.16mm以上とするのが好ましいのは、高低差が0.16mm未満となると、定着ニップにおいて記録用紙の湾曲量が少なくなり、記録用紙を良好に分離させるために必要な記録用紙の見かけ上の剛性が得られなくなるからである。また、高低差を0.8mm以下とするのが好ましいのは、高低差が0.8mmを越えると、クラウン部と逆クラウン部(又は凸面部と凹面部)における回転速度差が大きくなり記録用紙にシワが発生する虞があるからである。従って、クラウン部(又は凸面部)と逆クラウン部(又は凹面部)との高低差を上記の範囲に設定することによって、記録用紙の見かけ上の剛性を十分に確保して記録用紙の定着ローラへの巻き付きを確実に抑制することができると共に、記録用紙にシワを発生させずに搬出することができ、良好な画像形成を行うことが可能となる。
また、記録用紙にシワを発生させることなく、記録用紙の分離性を確保するには、定着ローラ61と加圧ローラ62のそれぞれのクラウン部と逆クラウン部を軸方向に連続して形成することが好ましい。クラウン部と逆クラウン部とが互いに離れた位置に配設した場合など、クラウン部と逆クラウン部を連続して形成していない場合は、記録用紙を搬送する際にシワが発生する虞がある。なお、同様の理由で、加圧ベルトを用いた定着装置の実施例においても、定着ローラ61のクラウン部と逆クラウン部を軸方向に連続して配設すると共に、押圧部材70の凸面部と凹面部を長手方向に連続して配設することが好ましい。
また、本発明者は、定着ローラ及び加圧ローラが、クラウン部と逆クラウン部をいずれか1つのみ有する場合と、クラウン部と逆クラウン部をそれぞれ1つずつ有する場合において、記録用紙の分離性を比較する試験を行った。その結果を図12に示す。
図12において、(A)はクラウン部と逆クラウン部をいずれか1つのみ有する場合の試験結果を示し、(B)はクラウン部と逆クラウン部をそれぞれ1つずつ有する場合の試験結果を示す。また、図12(A)(B)において、縦軸は記録用紙の見かけ上の剛性を表し、横軸はクラウン部及び逆クラウン部の振幅(高さ)を表している。また、同図の(A)(B)において、一点鎖線αは、記録用紙を定着ローラに対して良好に分離することができる場合とできない場合を分ける記録用紙の見かけ上の剛性の境界線を示し、一点鎖線βは、記録用紙にシワが発生する虞がある場合とその虞がない場合を分けるクラウン部と逆クラウン部の振幅の境界線を示す。詳しくは、記録用紙の見かけ上の剛性が境界線αより大きい場合、記録用紙は良好に分離することができ、反対に見かけ上の剛性が境界線αより小さい場合は、記録用紙を良好に分離することができない。また、クラウン部及び逆クラウン部の振幅が境界線βより大きい場合は、記録用紙にシワが発生し、反対に振幅が境界線βより小さい場合は、記録用紙にシワが発生しない。
図12(A)に示すように、クラウン部と逆クラウン部をいずれか1つのみ有する場合は、記録用紙の見かけ上の剛性を境界線αより大きくして記録用紙を良好に分離するためには、クラウン部等の振幅を約1mmより大きく設定しなければならず、記録用紙にシワが発生することが危惧される。これに対し、図12(B)に示すクラウン部と逆クラウン部をそれぞれ1つずつ有する場合は、図12(A)と同じ振幅の値であっても、記録用紙の見かけ上の剛性が大幅に向上していることが分かる。そのため、クラウン部と逆クラウン部をそれぞれ1つずつ有する場合は、図12(B)に示すように、記録用紙の見かけ上の剛性を境界線αより大きく設定しつつ、かつ、クラウン部と逆クラウン部の振幅を記録用紙にシワの発生しない約0.45mm〜約0.5mmの範囲内で設定することが可能となる。従って、クラウン部と逆クラウン部をそれぞれ1つずつ有する場合は、記録用紙の良好な分離性と、記録用紙にシワを発生させない良好な画像形成の両方を実現することができる。
以上のように、クラウン部と逆クラウン部をそれぞれ1つずつ有する場合は、クラウン部と逆クラウン部をいずれか1つのみ有する場合に比べて、記録用紙の見かけ上の剛性を向上させる効果が著しく大きくなる。そのため、本発明は、定着ローラ及び加圧ローラが、クラウン部と逆クラウン部をそれぞれ少なくとも1つずつ有していることを特徴としている。また、上述したように、クラウン部と逆クラウン部の個数を増やすことにより、記録用紙の見かけ上の剛性を一層高めることができ、分離性をさらに向上させることが可能である。
なお、図12に示す試験結果は、本発明の一実施例における記録用紙の見かけ上の剛性の向上効果を示すものであるが、それ以外の本発明の実施例においても同様の効果を奏することが可能である。
ところで、既に開示されている特開2005−352297号公報、特公平7−104636号公報、特許3119405号公報、特許3267416号公報等に記載された定着ローラと加圧ローラは、一方がクラウン部又は逆クラウン部を有するローラで構成され、他方はストレート状のローラで構成されている。この場合、定着ローラと加圧ローラを圧接させると、ストレート状の面に、クラウン形状又は逆クラウン形状の曲面が圧接されるため、定着ニップにおいて接触圧の高い部分と低い部分が生じ、軸方向に渡って接触圧のばらつきが大きくなる。このように定着ニップにおいて接触圧のばらつきが大きいと、画像を定着する際、接触圧が大きい箇所を通過した画像部分は光沢度が高くなり、接触圧が小さい箇所を通過した画像部分は光沢度が低くなる傾向にあるため、画像の光沢度ムラが生じ良好な画像形成ができなくなる不具合が生じる。
これに対し、本発明の実施例1に係る定着装置は、クラウン部と逆クラウン部を対応させて、定着ローラと加圧ローラを配設している。また、本発明の実施例2に係る定着装置は、クラウン部と凹面部を対応させると共に逆クラウン部と凸面部を対応させて、定着ローラと押圧部材を配設している。このように、本発明は、クラウン部又は凸面部から成る凸形状と、逆クラウン部又は凹面部から成る凹形状を、対応させて定着ニップを形成しているため、定着ニップにおける接触圧のばらつきを抑制して、接触圧を均一にすることが可能である。これにより、画像の光沢度ムラを抑制して良好な画像形成を実現することが可能である。
しかしながら、本発明において、定着ローラ61と加圧ローラ62を無負荷状態で互いに接触させた場合に、対応するクラウン部と逆クラウン部との間に隙間が生じていると、定着ローラ61と加圧ローラ62を圧接して負荷状態とした際に、軸方向に渡って定着ニップNに圧力ムラが生じ、画像ノイズの発生する虞がある。そこで、本発明では、上述のように、定着ローラ61と加圧ローラ62を無負荷状態で互いに接触させた場合に、対応するクラウン部と逆クラウン部との間に隙間が生じないように構成している。これにより、画像ノイズを発生させることなく、記録用紙の分離性を確保することが可能である。また、このことは、図8及び図9に記載の加圧ベルトを用いた定着装置の実施例においても同様である。従って、この実施例においても、定着ローラ61と押圧部材70を無負荷状態で互いに接触させた場合に、対応するクラウン部と凹面部との間、対応する逆クラウン部と凸面部との間に隙間が生じないように構成することが好ましい。
また、定着ローラ61と加圧ローラ62の凸と凹を対応させて配設した状態で、軸方向の任意の位置におけるそれぞれの弾性層の厚みの和は、一定となるように設定することが望ましい。これら弾性層の厚みの和が一定でない場合は、各ローラ61,62の回転方向における圧力ピーク値が軸方向に渡って異なるため、定着ニップにおいて圧力ムラが生じ、画像ノイズの発生原因となるからである。なお、同様の理由で、加圧ベルトを用いた定着装置の実施例においても、定着ローラ61と押圧部材70の凸と凹とを対応させて配設した状態で、軸方向の任意の位置におけるそれぞれの弾性層の厚みの和は、一定となるように設定することが望ましい。
また、本発明の実施例1に係る定着装置において、定着ローラを定着温度まで上昇させると、定着ローラは熱膨張によって軸方向に伸長する。この定着ローラの伸長によって互いに対応して配設したクラウン部と逆クラウン部が位置ずれすると、定着ニップにおいて接触圧のばらつきが大きくなる虞がある。その虞を解消するため、本発明は、定着ローラと加圧ローラのそれぞれの同じ側の端部を軸方向に位置決めすると共に、それぞれの位置決めされた端部と反対側の端部を軸方向に変位可能に構成している(図3参照)。これにより、定着ローラに熱膨張による伸長が生じても、定着ローラと加圧ローラを軸方向の同じ端部側に伸長(変位)させて、クラウン部と逆クラウン部との間の位置ずれを抑制することができ、定着ニップにおける接触圧にばらつきが生じるのを抑制することが可能である。
また、同様に、図8及び図9に示す本発明の実施例2に係る定着装置においても、定着ローラと押圧部材のそれぞれの同じ側の端部を位置決めすると共に、それと反対側の端部を変位可能に構成することによって、定着ローラの熱膨張による定着ニップの接触圧のばらつきを抑制することが可能である。
以上、定着ニップにおける接触圧のばらつきを抑制することにより、良好な画像形成を行うことについて説明したが、光沢度ムラ等の無い良好な画像形成を行うには、定着ニップにおいて接触圧を均一にする以外に、温度を均一にすることも重要である。しかしながら、本発明の定着装置が備える定着ローラ61は、クラウン部61aと逆クラウン部61bを有していることにより、長手方向に渡って厚さが異なっているため、定着ローラ61の表面温度に軸方向に渡ってばらつきが生じる虞がある。
例えば、図13に示すように、厚さが均一な芯金611に厚さの異なる弾性層612を被覆して構成した定着ローラ61の内周面を、加熱源としての1本のヒータランプ60によって軸方向に渡って均一な温度に加熱した場合、そのときのクラウン部61aの最大厚さ(G1)の部分と逆クラウン部61bの最小厚さ(G2)の部分において、温度が変化する様子を図14に示す。図14において、実線はクラウン部61aの温度を示し、一点鎖線は逆クラウン部61bの温度を示す。
定着ローラ61の内周面を軸方向に渡って均一な温度に加熱した場合、図14に示すように、クラウン部61aの内周面の温度T1と、逆クラウン部61bの内周面の温度T2は、同様の値となっている。しかしながら、クラウン部61aは逆クラウン部61bに比べて、弾性層612が厚く形成されているため(G1>G2)、熱が表面にまで伝達されるまでの温度低下量が大きく、クラウン部61aの表面における温度T10は、逆クラウン部61bの表面における温度T20よりも低くなる。
また、図15に、1本のヒータランプ60によって加熱された定着ローラ61の表面温度変化と、その定着ローラ61を使用した場合の画像の光沢度を示す。図15(A)のグラフは、記録用紙が定着ニップを通過した直後の定着ローラ61の表面温度を示す。記録用紙が定着ニップを通過した際、記録用紙によって定着ローラ61の熱が奪われる。このとき、図15(A)に示すように、逆クラウン部61bの表面温度はクラウン部61aの表面温度よりも目標温度T0に対して大きく低下する。その後、定着ローラ61の低下した表面温度を目標温度T0まで上昇させるために、1本のヒータランプ60を発熱させると、図15(B)に示すように、あまり温度低下しなかったクラウン部61aの表面温度が過剰に上昇するため、定着ローラ61の軸方向に渡って表面温度のばらつきが発生する。このように、クラウン部61aと逆クラウン部61bにおいて、表面温度のばらつきが生じると、図15(C)に示すように、定着された画像に光沢度ムラが生じ画像品質が低下するといった問題が起こる。また、定着ローラ61の表面温度のばらつきは、芯金611の厚さが異なる場合も起こりうるが、ゴム等から成る弾性層612の厚さが異なる場合の方がばらつきは顕著となる傾向にある。
そこで、本発明は、図16に示すように、定着ローラ61内に、部分的に発熱部63a,64aを有する第1ヒータランプ63及び第2ヒータランプ64を配設し、各ヒータランプ63,64をそれぞれ独立して制御するように構成している。本発明の定着装置において、記録用紙が定着ニップを通過した後、図16(A)に示す如く逆クラウン部61bの表面温度がクラウン部61aの表面温度に比べ大きく低下した場合は、主として第2ヒータランプ64の発熱部64aを発熱させる。これにより、逆クラウン部61bの表面温度を大きく上昇させ、図16(B)に示すように、定着ローラ61の軸方向に渡る表面温度のばらつきを抑制することができる。このように、本発明の構成によれば、定着ローラ61の表面温度が軸方向に渡ってばらつくのを抑制することができるため、図16(C)に示すように、画像の光沢度ムラを抑制することが可能である。
また、本発明のように2本のヒータランプによって温度制御をする以外に、定着ローラ61内に1本のヒータランプを配設した場合であっても、そのヒータランプのクラウン部61aと逆クラウン部61bとにおける発熱量を異ならせることにより、定着ローラ61における表面温度のばらつきを抑制することも可能である。しかしながら、1本のヒータランプでは定着ローラの61の一部に対応した部分のみを点灯させることは困難である。これに対し、本発明は、少なくとも2本のヒータランプを設け、各ヒータランプの点灯を独立して制御可能としていることにより、クラウン部61aと逆クラウン部61bにおける各ヒータランプ63,64の発熱量や発熱時間等を異ならせることができ、定着ローラ61の軸方向に渡って表面温度の細かな調整を行うことが可能である。
また、定着ローラ61を所定の目標温度に加熱するウォームアップ動作時などにおいても、第1ヒータランプ63による発熱量を第2ヒータランプ64による発熱量よりも大きくすることによって、熱の伝達されにくいクラウン部61aの温度を効果的に上昇させることができる。これにより、定着ローラ61の表面温度を軸方向に渡って均一な目標温度に設定することが可能である。
また、各ヒータランプ63,64の発熱部63a,64aは、表面温度差が最も大きくなるクラウン部61aの頂部と逆クラウン部61bの底部に対応させて配設されることが望ましい。これにより、定着ローラ61の表面温度のばらつきを効果的に抑制することが可能である。
また、本発明は、複数の温度検知装置65〜68を、表面温度差が最も大きくなるクラウン部61aの頂部と逆クラウン部61bの底部に対応させて配設している。これにより、定着ローラ61の軸方向に渡る温度差を精度良く検知することができる。また、各温度検知装置65〜68を互いに隣設するクラウン部61aと逆クラウン部61bに配設することで、それら温度検知装置65〜68の近傍の温度を精度良く検知することができる。そして、検知した温度に基づいて、クラウン部61aの頂部・逆クラウン部61bの底部に対応した位置に配設した発熱部63a,64aをそれぞれ制御することで、定着ローラ61の表面温度のばらつきを効果的に抑制することが可能である。
また、温度検知装置65〜68を定着ローラ61の軸方向中央側と軸方向端部側に配設しているため、記録用紙の通過によって温度が上がりにくい中央部のクラウン部61aと逆クラウン部61b、反対に温度の上がり易い端部のクラウン部61aと逆クラウン部61bそれぞれの温度を検知しながら、温度制御をすることが可能になり、定着ローラ61の表面温度のばらつきをより効果的に抑制することができる。
また、定着ローラ61の温度検知装置65,66を配設した端部側を、位置決めされた端部側(図の左側)としているので、定着ローラ61が熱等によって軸方向に伸縮したとしても、各温度検知装置65,66の測定位置がずれるのを抑制することができる。これによって、より正確に定着ローラの表面温度のばらつきを検知することが可能となる。
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明の定着装置を、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等にも搭載することが可能である。