JP5277727B2 - 電池 - Google Patents

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Description

本発明は電池の端子部を締め付ける場合の回転を防止するための電池蓋部の構造に関するものである。
電池には、外部に電流を取り出すための正極端子と負極端子が必要である。電池ケースや電池蓋が金属製の場合、電池の端子構造には主に次の2種類が採用されている。
携帯電話用リチウムイオン電池などの小型電池では、主に、電池ケースおよび電池蓋が一方の端子を兼ね、他方の端子は絶縁体を介して電池蓋から取り出されている構造が採用されている。
一方、産業用などの容量が約5Ahを越える大型電池の場合には、主に、正極端子と負極端子がともに絶縁体(パッキン)を介して電池蓋から取り出されている構造が採用されている。
大型電池の場合、電池の端子と他の電子機器の端子との接続には接続板を用い、電池の端子をボルト状とし、接続体をナットで締めつけて接続している。また、多数の電池を直列や並列に接続して組電池にする際も、隣接する電池端子間の接続も同様の方法が採用されている。
図5は、電池の端子と、他の電子機器の端子または隣接する電池端子とを、接続板を用いて接続する場合の、従来例を示す外観斜視図である。図において、1は電池ケース、2は電池蓋、3は電池蓋の平面部、4は電池蓋の立ち上がり部、5は端子、6はパッキン、7は接続板、8はナットである。
電池ケース1の最上部と電池蓋の立ち上がり部4の最上部とはレーザー溶接などで溶接されている。端子5の上部には雄ネジが設けられ、接続板7とナット8によって電気的接続が保たれている。接続板7の端子5の反対側の端は、図示していないが、他の電子機器の端子または隣接する電池端子に接続されている。
端子5は、電池内部でリベットかしめされ、電池蓋2とは絶縁性材料からなるパッキン6によって絶縁されている。パッキン6は端子5によって電池蓋2に押し付けられることにより、端子部の気密が保たれている。
なお、図では一方の電池の端子(例えば正極端子)についてのみ説明したが、他方の端子(例えば負極端子)も同じような接続構造としてもよい。
本発明は、正極端子と負極端子がともに絶縁体を介して電池蓋から取り出されている構造の電池の、端子部を締め付ける場合の回転を防止するための構造に関するものである。
従来の端子部の構造では、図1に示したようにボルト形状の電池端子に接続板をナットで締めつける場合、端子部分に大きなトルクが加わり、端子が回転することがある。その結果、パッキンも同時に回転し、端子と電池蓋間の絶縁不良や気密不良が発生するという問題があった。
この問題を解決するために、すでに次のような技術が開示されている。
特許文献1には、出力端子が端子本体とその基部に形成された端子基体部からなり、パッキンに、端子基体部の形状とほぼ同形状で、端子基体部と嵌合する凹部を設けることにより、端子の空転を防止する技術が開示されている。
特許文献2には、電池蓋の端子取付孔に、絶縁パッキングを介して嵌合された出力端子を有し、出力端子の下側と蓋の上側に突起を設け、パッキングのフランジ部への出力端子頭部の押圧力で、突起をパッキングのフランジ部に食い込ませることにより、端子とパッキングの回転を防止する技術が開示されている。
しかし、特許文献1に開示の技術では、パッキンの凹部に端子基体部を嵌合させているだけであるため、端子に強いトルクが加わった場合、端子とパッキンが同時に回転してしまうという問題があった。また、特許文献2に開示の技術では、出力端子の下側と蓋の上側に突起をパッキングのフランジ部に食い込ませることで、端子とパッキングの回転を防止するものであるが、突起を食い込ませるためには、パッキングのフランジ部を、出力端子頭部と電池蓋との間で強く締め付ける必要があった。
そこで本発明の目的は、これら従来の技術の問題点を解決し、端子に強いトルクを加えた場合でも、端子とパッキングの回転を確実に防止するための電池蓋部の構造を提供することにある。
特開2001−357833号公報 特開2005−056649号公報
請求項1の発明は、電池蓋が平面部とその周囲に立ち上がり部を備え、前記電池蓋の平面部にパッキンを介して絶縁状態で取り付けられた出力端子を備えた電池において、前記電池蓋の立ち上がり部と前記パッキンとの間に前記パッキンの回転を防止するための充填物を設けたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、電池蓋の立ち上がり部とパッキンとの空間に充填物が設けられているため、端子に強いトルクを加えた場合でも、パッキングは回転することができないため、端子とパッキングの回転を確実に防止することができる。その結果、端子と電池蓋間の絶縁不良や気密不良のない電池を得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の電池の第一実施形態の電池蓋部分の構造の外観を示す斜視図である。図1における記号1〜8は図5と同じものを示し、9は充填物である。
本発明の電池の第一実施形態の構造では、充填物9は、パッキン9の周囲の電池蓋の立ち上がり部4とパッキン6の空間すべてに充填されている。なお、図1では充填物9を電池蓋の立ち上がり部4とパッキン6の空間すべてに充填されているが、電池蓋の立ち上がり部4とパッキン6の空間の一部に設けても良い。
また、図2は本発明の電池の第二実施形態の電池蓋部分の構造の外観を示す斜視図であり、図2における記号1〜9は図1と同じものを示す。本発明の電池の第二実施形態の構造では、充填物9は、電池蓋の立ち上がり部4とパッキン6の空間の一部に充填されている。なお、図2では、充填物9は3箇所に設けたが、充填物9を設ける場所の数は2箇所以上ならいくら設けてもよい。
図3および図4は、図1に示した実施形態のA−A'断面の例を示す断面図で、いずれも電池蓋から上の部分を示す。図3および図4において、記号3〜6、9は図1と同じものを示す。
充填物9は、図3に示したように、電池蓋の平面部に接するように充填してもよいし、図4に示したように、電池蓋の平面部に接しない状態で充填してもよい。
電池蓋、端子本体5および端子基体部の材質は金属、また、パッキンの材質は絶縁体である。なお、端子本体の上部は、他の電子機器や電池との接続が容易なように、ボルト形状としておくことが好ましい。
充填物9の材質は特に限定されないが、力が加わったときに変形しない、例えば、樹脂、金属、セラミックスなどの硬質な材料を用いることができる。樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、紫外線硬化性樹脂などの、液体状で充填し、その後で硬化させる樹脂を用いると、充填工程が簡単となる。金属やセラミックスの場合には、その形状を、あらかじめ電池蓋の立ち上がり部とパッキンとの間の空間の形状に合わせておく必要がある。
このように、本発明の電池蓋部の構造とすることにより、充填物で電池蓋の立ち上がり部とパッキンとの間の空間が埋められているため、接続に際し、端子に強いトルクを加えた場合でも、端子とパッキングの回転を確実に防止することができる。その結果、端子と電池蓋間の絶縁不良や気密不良のない電池を得ることができる。
本発明について、以下の実施例では非水電解質二次電池について述べるが、本発明の端子構造は非水電解質二次電池以外の電池にも適用可能である。
[実施例1]
電池としては、角型電池ケースに長円筒巻回型発電要素を収納した非水電解質二次電池を用い、正極活物質にコバルト酸リチウム、負極活物質にグラファイト、電解液にエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネートの体積比1:1混合溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解した有機電解液を用いたものを使用した。
帯状正極板は、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)86重量%と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)6重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)8重量%とを混合し、この混合物にN−メチルピロリドン(NMP)を加えて正極合剤ペーストとし、この正極合剤ペーストを厚さ20μmの帯状アルミニウム集電体の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレスで圧縮成型したものである。
帯状負極板は、負極活物質としてのグラファイト95重量%と結着剤としてのPVdF5重量%とを混合し、この混合物にNMPを加えて負極合剤ペーストとし、この負極合剤ペーストを厚さ15μmの帯状銅集電体の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレスで圧縮成型したものである。
セパレータには厚さ25μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを用いた。
長円筒巻回型発電要素は、巻芯の周囲に帯状正極板と帯状負極板とをセパレータを介して、必要な回数だけ巻回することによって作製した。
巻回する場合、正極板と負極板とをそれぞれ上下にずらして巻回することにより、巻回型発電要素の下端部から正極合剤層未塗布部のみを突出させ、上端部から負極合剤層未塗布部のみを突出させた。セパレータは、正極合剤層と負極合剤層が対向する部分の間に存在し、正極合剤層未塗布部および負極合剤層未塗布部は覆わないようにようにして巻回した。
正極の集電は、発電要素の下端部から突出した正極合剤層未塗布部でおこない、負極の集電は、発電要素の上端部から突出した負極合剤層未塗布部でおこなった。
得られた長円筒巻回型発電要素を角型アルミニウム合金製の電池ケースに収納し、電解液を注入した後、電池ケースと電池蓋とを溶接することにより、設計容量10Ahの長円筒型非水電解質二次電池とした。単セルの寸法は、幅120mm、高さ80mm、厚さ20mmであり、重量は0.5kgであった。なお、電池蓋の材質もアルミニウム合金製である。
この非水電解質二次電池の正極端子および負極端子は、いずれもパッキンを介して電池蓋に取り付けられており、正極端子の材質は端子本体および端子基体部ともアルミニウム、負極端子の材質は端子本体および端子基体部とも銅とした。
正極端子および負極端子の構造の外観は図1に示したのと同じであり、断面は図2に示したのと同じであり、端子本体5部分は直径8mm、高さ15mmとし、上部には雄ねじが設けられ、ボルト状となっており、下部には直径15mmの端子基体部が設けられている。
パッキン6の材質はポリフェニレンサルファイド(PPS)で、大きさは18mm×40mm、高さは3mmとした。
電池組み立て後、図1に示したように、電池蓋の立ち上がり部4とパッキン6との空間にエポキシ樹脂を充填し、硬化させて充填物とした。なお、エポキシ樹脂は図3に示したように、電池蓋の平面部に接するように充填した。
[実施例2]
エポキシ樹脂を充填する場所を、図2に示したように、3箇所としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質二次電池を作製した。なお、エポキシ樹脂は図3に示したように、電池蓋の平面部に接するように充填した。
[実施例3]
充填物として、エポキシ樹脂に代えてアルリル樹脂製のブロックを用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3の非水電解質二次電池を作製した。なお、アルリル樹脂製のブロックは図4に示したように、電池蓋の平面部に接しない状態で充填した。
[実施例4]
充填物として、アルリル樹脂製のブロックに代えて、アルミニウム製のブロックを用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4の非水電解質二次電池を作製した。なお、アルミニウム製のブロックは図4に示したように、電池蓋の平面部に接しない状態で充填した。
[比較例1]
エポキシ樹脂を充填しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質二次電池を作製した。
[試験結果]
実施例1〜4および比較例1の非水電解質二次電池各20個について、端子板を用いて電気機器の端子と接続した。端子板をナットで端子本体のボルト部に取り付ける場合の、ナット締め付けトルクを5kgf・cmとし、締め付けた後の、パッキンの状態および端子と電池蓋間の絶縁状態を測定した。測定結果を表1にまとめた。なお、表1の数値は電池の個数を示す。
表1の結果から、電池蓋の立ち上がり部とパッキンとの間に充填物を設けた実施例1〜4の非水電解質二次電池では、端子板をナットで端子本体のボルト部に取り付けた後でも、パッキンの状態に全くゆがみが認められず、端子と電池蓋間の絶縁状態は良好に保たれていたのに対し、充填物を設けなかった比較例1の電池では、パッキンの状態にゆがみが発生し、端子と電池蓋間の絶縁状態が不良になる場合が生じることがわかった。
本発明の構造の外観の第一実施形態を示す斜視図。 本発明の構造の外観の第二実施形態を示す斜視図。 図1に示した構造のA−A'断面の一例を示す図。 図1に示した構造のA−A'断面の他の例を示す図。 電池の端子の接続部分の従来例を示す外観斜視図
符号の説明
1 電池ケース
2 電池蓋
3 電池蓋の平面部
4 電池蓋の立ち上がり部
5 端子
6 パッキン
7 接続板
8 ナット
9 充填物

Claims (1)

  1. 電池蓋が平面部とその周囲に立ち上がり部を備え、前記電池蓋の平面部にパッキンを介して絶縁状態で取り付けられた出力端子を備えた電池において、前記電池蓋の立ち上がり部と前記パッキンとの間に前記パッキンの回転を防止するための充填物を設けたことを特徴とする電池。
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