JP5275058B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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この発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板等(以下、単に「基板」という)に対して処理を行う技術に関する。
周知のように、半導体や液晶ディスプレイなどの製品は、上記基板に対して洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、層間絶縁膜の形成、熱処理、ダイシングなどの一連の諸処理を施すことにより製造されている。これらの諸処理のうち、基板にレジスト塗布処理を行ってその基板を露光ユニットに渡すとともに、該露光ユニットから露光後の基板を受け取って現像処理を行う装置がいわゆるコータ&デベロッパとして広く使用されている。
このような基板処理装置においては、複数の処理部(レジスト膜等の各種塗布膜の形成を行う処理部、現像処理を行う処理部、熱処理を行う熱処理部等)と、処理部間で基板を搬送する複数の搬送機構とがそれぞれ所定位置に配置される。制御部は、基板に対する処理の手順および処理の条件が記述された処理レシピ(以下、単に「レシピ」という)にしたがって装置の各部を制御する。
レシピには、一般に、一連の処理プロセス(プロセスシーケンス)を示す情報(フローレシピ)と、各処理工程における処理条件、より具体的には、制御パラメータ(温度、圧力、薬液の種類・流量、ガスの種類・流量、処理時間等の制御目標値)を示す情報(ライブラリレシピ)とが記述される。制御部は、各搬送機構にレシピに記述された順序で所定の処理部に基板を搬送させるとともに、各処理部にレシピに記述された処理条件で基板に対する処理を実行させる。これによって、レシピに記述された一連の処理プロセスが基板に施される。
このような基板処理装置においては、搬送スケジュールの組み方によって装置の稼働率が変わってくる。そこで、搬送スケジュールの作成方法を工夫することによって装置の稼働率を向上させる技術が各種提案されている。例えば特許文献1,2には、施すべき処理工程が互いに異なる複数個のロットを基板処理装置にて連続して処理する場合に、ロットの処理順序を工夫することによって装置の稼働率を向上させることを可能としている。
特開2002−341923号公報 特開2005−94010号公報
このような基板処理装置においては、搬送機構は所定のサイクルタイムで複数の処理部間における一連の循環動作(サイクル動作)を行うように制御されることが多い。搬送機構が1サイクルタイム毎にサイクル動作を反復して行うことによって、各処理部において所定の処理を施された被処理基板が1サイクルタイム毎に1枚得られることになる。換言すると、搬送機構のサイクルタイムは、1枚の被処理基板が得られる時間間隔となる。
ところで、基板処理装置における単位時間当たりの処理枚数を増やすためには、搬送機構のサイクルタイムをなるべく短く設定することが望ましい。このため、通常は、搬送機構のサイクルタイムはレシピから規定されるレシピサイクルタイムに設定される。レシピサイクルタイムとは、当該レシピに係る1枚の被処理基板が得られる時間間隔の最小値としてレシピから規定される値であり、レシピに記述されているプロセスシーケンスや処理条件等から規定される。
例えば、レシピサイクルタイムが「24秒」のレシピAに係る基板を処理する場合、搬送機構のサイクルタイムは「24秒」に設定され、搬送機構は所定のサイクル動作を24秒サイクルで反復して行う。この場合、レシピAに係る被処理基板が24秒に1枚ずつ得られていくことになる。
ところで、例えば互いに異なる2つのレシピを連続して処理する場合等においては、搬送機構が行うサイクル動作の中に、あるレシピに係る基板を搬送する動作と、これとは異なる別のレシピに係る基板を搬送する動作とが含まれる状態(併存状態)が発生することがある。
従来の一般的な制御態様においては、併存状態が発生すると、搬送機構のサイクルタイムは、レシピサイクルタイムが長い方のレシピのレシピサイクルタイムに切り換えられる。ところが、このような制御態様の下では、他方のレシピ(レシピサイクルタイムが短い方のレシピ)に係る基板に不当に長い待ち時間が発生する可能性が高い。
例えば、レシピサイクルタイムが「24秒」のレシピAとレシピサイクルタイムが「81秒」のレシピBとのそれぞれに係る基板が併存状態になる場合を考える。この場合、従来の一般的な制御態様においては、搬送機構のサイクルタイムは「81秒」に切り換えられる。すると、レシピAに係る基板とレシピBに係る基板との両方が81秒に1枚ずつ得られていく。この状況においては、本来であれば24秒に1枚ずつ得ることができるレシピAに係る被処理基板が、81秒に1枚ずつしか得られていないことになる。つまり、レシピAに係る基板には、57秒(=81秒−24秒)もの無駄な待ち時間が発生していることになる。
このように、従来の一般的な制御態様では、複数の処理レシピのそれぞれに係る基板が併存状態におかれた場合、いずれか一方のレシピのレシピサイクルタイムで両方のレシピに係る基板が処理されるために、他方のレシピに係る基板に不当に長い待ち時間が発生する可能性が高かった。待ち時間の増加はプロセスリスクの発生に直結する深刻な問題であり、このような事態を回避するための技術が求められていた。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の処理レシピに係る基板が併存状態になる場合であっても、基板に不当に長い待ち時間が発生することを回避して、プロセスリスクの発生を未然に防止することができる技術を提供することを目的としている。
請求項1の発明は、処理レシピに記述された一連の処理工程を基板に施す基板処理装置であって、所定の被制御区画内に配置され、それぞれが基板に所定の処理を施す複数の処理部と、1サイクルタイムで、前記複数の処理部間における一連の循環動作を行う搬送機構と、前記搬送機構の搬送動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記被制御区画内に複数の処理レシピのそれぞれに係る基板が併存する併存状態となった場合に、前記搬送機構のサイクルタイムを、所定のベースサイクルタイムに切り換えるサイクルタイム切り換え手段と、前記サイクルタイムが前記ベースサイクルタイムに切り換えられた場合に、前記搬送機構が前記ベースサイクルタイムに従って前記一連の循環動作をn回(ただし、nは、前記複数の処理レシピのそれぞれについて固有に規定された自然数値)行ううちの1回の動作においてのみ、前記複数の処理レシピのそれぞれに係る基板を搬送するように、前記搬送機構を制御する搬送頻度調整手段と、を備える。
請求項2の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記制御手段が、前記ベースサイクルタイムを算出するベースサイクルタイム算出手段、を備え、前記ベースサイクルタイム算出手段が、複数個のベースサイクルタイム候補値を取得するベースサイクルタイム候補値取得手段と、前記複数個のベースサイクルタイム候補値のそれぞれについて、当該ベースサイクルタイム候補値をベースサイクルタイムとして採用した場合に前記処理レシピに係る1枚の被処理基板が得られる時間間隔であるサイクルタイムと、当該処理レシピに係る1枚の被処理基板が得られる時間間隔の最小値として前記処理レシピから規定されるレシピサイクルタイムとの差を、当該処理レシピの仮の待ち時間増加量として取得し、さらに、前記複数の処理レシピのそれぞれについて取得された前記仮の待ち時間増加量を総和して、仮のトータル待ち時間増加量として取得する仮のトータル待ち時間増加量取得手段と、前記複数個のベースサイクルタイム候補値のうちで、前記仮のトータル待ち時間増加量が最も小さいベースサイクルタイム候補値を、前記ベースサイクルタイムに決定するベースサイクルタイム決定手段と、を備える。
請求項3の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記ベースサイクルタイム候補値取得手段が、前記複数の処理レシピのそれぞれのレシピサイクルタイムを自然数で割った値を、前記ベースサイクルタイム候補値として取得する。
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の基板処理装置であって、前記ベースサイクルタイム候補値取得手段が、前記搬送機構が取りうる最小のサイクルタイムを、前記ベースサイクルタイム候補値として取得する。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記併存状態において、後続するレシピに係る基板が先行するレシピに係る基板を追い越す状況が発生すると予測される場合に、前記後続するレシピに係る基板を外部から前記基板処理装置へ受け入れるタイミングを所定時間遅らせるタイミング調整手段、を備える。
請求項1の発明によると、被制御区画内に複数の処理レシピのそれぞれに係る基板が併存する併存状態となった場合に、搬送機構のサイクルタイムをベースサイクルタイムに切り換えるとともに、複数の処理レシピのそれぞれに係る基板を搬送する頻度を調整する。具体的には、搬送機構が一連の循環動作をn回(ただし、nは、複数の処理レシピのそれぞれについて固有に規定された自然数値)行ううちの1回の動作においてのみ、当該処理レシピに係る基板を搬送するように、搬送機構を制御する。この構成によると、併存状態にある複数の処理レシピのそれぞれに係る基板を、互いに異なるサイクルタイムで処理することが可能となる。これにより、併存状態が発生した場合に、いずれかのレシピに係る基板に不当に長い待ち時間が発生することを回避することができる。したがって、プロセスリスクの発生を未然に防止することができる。また、生産性の低下を防止することができる。
請求項2の発明によると、複数個のベースサイクルタイム候補値のうち、仮のトータル待ち時間増加量が最も小さいベースサイクルタイム候補値をベースサイクルタイムに決定するので、併存状態におけるトータル待ち時間増加量を小さく抑えることができる。
請求項3の発明によると、複数の処理レシピのそれぞれのレシピサイクルタイムを整数で割った値を、ベースサイクルタイム候補値として取得するので、簡易な処理でベースサイクルタイム候補値を取得することができる。
請求項4の発明によると、搬送機構が取りうる最小のサイクルタイムをベースサイクルタイム候補値として取得する。ベースサイクルタイムの値はなるべく小さい方が好ましいところ、この構成によると、搬送機構が取りうる最小のサイクルタイムをベースサイクルタイムとして採用することができる場合がある。
請求項5の発明によると、併存状態において、後続するレシピに係る基板が先行するレシピに係る基板を追い越す状況が発生すると予測される場合に、後続するレシピに係る基板を外部から受け入れるタイミングを所定時間遅らせるので、追い越しが発生する状況を未然に防ぐことができる。したがって、追い越しに伴って基板に不当に長い待ち時間が生じるといった事態を未然に回避することができる。
本発明に係る熱処理装置を組み込んだ基板処理装置の平面図である。 図1の基板処理装置の液処理部の正面図である。 図1の基板処理装置の熱処理部の正面図である。 図1の基板処理装置の搬送ロボットおよび基板載置部の配置構成を示す図である。 基板処理装置の制御機構を示すブロック図である。 レシピの構成例を示す図である。 従来の制御態様を説明するための図である。 本願発明に係る制御態様を説明するための図である。 併存状態対応部の機能構成を示すブロック図である。 ベースサイクルタイムを算出する処理の流れを示す図である。 ベースサイクルタイムの算出例を示す図である。 併存状態が生じた場合の具体的な処理の流れを示す図である。 変形例に係る基板処理装置の制御機構を示すブロック図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈1.全体構成〉
まず、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は基板処理装置1の液処理部の正面図であり、図3は熱処理部の正面図であり、図4は搬送ロボットおよび基板載置部の配置構成を示す図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。
本実施形態の基板処理装置1は、半導体ウェハ等の基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の基板Wに現像処理を行う装置(いわゆるコータ&デベロッパ)である。なお、本発明に係る基板処理装置1の処理対象となる基板Wは半導体ウェハに限定されるものではなく、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等であってもよい。
本実施形態の基板処理装置1は、インデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40およびインターフェイスブロック50の5つの処理ブロックを一方向(X方向)に連設して構成されている。インターフェイスブロック50には基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニット(ステッパ)EXPが接続配置されている。露光ユニットEXPは、ホストコンピュータ100とLAN回線(図示省略)を経由して基板処理装置1と接続されている。
インデクサブロック10は、装置外から受け取った未処理基板を装置内に搬入するとともに、現像処理の終了した処理済み基板を装置外に搬出するための処理ブロックである。インデクサブロック10は、複数のキャリアC(本実施形態では4個)を並べて載置する載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納するインデクサロボットIRと、を備えている。
インデクサロボットIRは、載置台11に沿って(Y軸方向に沿って)水平移動可能であるとともに昇降(Z軸方向)移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である可動台12を備えている。可動台12には、基板Wを水平姿勢で保持する2つの保持アーム13a,13bが搭載されている。保持アーム13a,13bは相互に独立して前後にスライド移動可能とされている。よって、保持アーム13a,13bのそれぞれは、Y軸方向に沿った水平移動、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、インデクサロボットIRは、保持アーム13a,13bを個別に各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であってもよい。
インデクサブロック10に隣接してバークブロック20が設けられている。インデクサブロック10とバークブロック20との間には、雰囲気遮断用の隔壁15が設けられている。この隔壁15にインデクサブロック10とバークブロック20との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層して設けられている。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック10からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は3本の支持ピンを備えており、インデクサブロック10のインデクサロボットIRはキャリアCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを後述するバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック20からインデクサブロック10へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS2も3本の支持ピンを備えており、バークブロック20の搬送ロボットTR1は処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板WをインデクサロボットIRが受け取ってキャリアCに収納する。なお、後述する基板載置部PASS3〜PASS10の構成も基板載置部PASS1,PASS2と同じである。
基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁15の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、インデクサロボットIRや搬送ロボットTR1が基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
次に、バークブロック20について説明する。バークブロック20は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成するための処理ブロックである。バークブロック20は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成するための下地塗布処理部21と、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー22,23と、下地塗布処理部21および熱処理タワー22,23に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR1とを備える。
バークブロック20においては、搬送ロボットTR1を挟んで下地塗布処理部21と熱処理タワー22,23とが対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部21が装置正面側((−Y)側)に、2つの熱処理タワー22,23が装置背面側((+Y)側)に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー22,23の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。下地塗布処理部21と熱処理タワー22,23とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー22,23から下地塗布処理部21に熱的影響を与えることを回避しているのである。
図2に示すように、下地塗布処理部21は同様の構成を備えた4つの塗布処理ユニットBRC1〜BRC4を上下に積層配置して構成されている。塗布処理ユニットBRC1〜BRC4のそれぞれは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック26、このスピンチャック26上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を吐出する塗布ノズル27、スピンチャック26を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック26上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー22には、基板Wを所定の温度にまで加熱する2個の加熱ユニットHP221,HP222、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持する2個の冷却ユニットCP221,CP222およびレジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気中で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理ユニットAHL221〜AHL223が上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー23にも2個の加熱ユニットHP231,HP232および2個の冷却ユニットCP231,CP232が上下に積層配置されている。なお、図3において「×」印で示した箇所には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている(後述する他の熱処理タワーについても同じ)。
図4に示すように、搬送ロボットTR1は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム24a,24bを上下2段に近接させて備えている。搬送アーム24a,24bのそれぞれは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。搬送アーム24a,24bは搬送ヘッド28に搭載されている。搬送ヘッド28は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド28は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム24a,24bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム24a,24bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR1は、2個の搬送アーム24a,24bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、熱処理タワー22,23に設けられた熱処理ユニット(加熱ユニットHP221,HP222,HP231,HP232、冷却ユニットCP221,CP222,CP231,CP232および密着強化処理ユニットAHL221〜AHL223)、下地塗布処理部21に設けられた4つの塗布処理ユニットBRC1〜BRC4および後述する基板載置部PASS3,PASS4に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、レジスト塗布ブロック30について説明する。バークブロック20と現像処理ブロック40との間に挟み込まれるようにしてレジスト塗布ブロック30が設けられている。このレジスト塗布ブロック30とバークブロック20との間にも、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。この隔壁25にバークブロック20とレジスト塗布ブロック30との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック20からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック20の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック30からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁25の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR1,TR2が基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。基板載置部PASS3,PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁25を貫通して上下に設けられていてもよい。
レジスト塗布ブロック30は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にレジストを塗布してレジスト膜を形成するための処理ブロックである。なお、本実施形態では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト塗布ブロック30は、下地塗布された反射防止膜の上にレジストを塗布するレジスト塗布処理部31と、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー32,33と、レジスト塗布処理部31および熱処理タワー32,33に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR2とを備える。
レジスト塗布ブロック30においては、搬送ロボットTR2を挟んでレジスト塗布処理部31と熱処理タワー32,33とが対向して配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部31が装置正面側に、2つの熱処理タワー32,33が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー32,33の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。レジスト塗布処理部31と熱処理タワー32,33とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー32,33からレジスト塗布処理部31に熱的影響を与えることを回避しているのである。
図2に示すように、レジスト塗布処理部31は同様の構成を備えた4つの塗布処理ユニットSC1〜SC4を上下に積層配置して構成されている。塗布処理ユニットSC1〜SC4のそれぞれは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック36、このスピンチャック36上に保持された基板W上にフォトレジストの塗布液を吐出する塗布ノズル37、スピンチャック36を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック36上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー32には、基板Wを所定の温度にまで加熱する3個の加熱ユニットHP321,HP322,HP323および加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持する2個の冷却ユニットCP321,CP322が上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー33にも3個の加熱ユニットHP331,HP332,HP333および2個の冷却ユニットCP331,CP332が上下に積層配置されている。
図4に示すように、搬送ロボットTR2は、搬送ロボットTR1と同様の構成を備えており、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム34a,34bを上下2段に近接させて備えている。搬送アーム34a,34bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム34a,34bは搬送ヘッド38に搭載されている。搬送ヘッド38は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド38は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム34a,34bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム34a,34bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR2は、2個の搬送アーム34a,34bをそれぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、熱処理タワー32,33に設けられた熱処理ユニット、レジスト塗布処理部31に設けられた4つの塗布処理ユニットSC1〜SC4および後述する基板載置部PASS5,PASS6に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、現像処理ブロック40について説明する。レジスト塗布ブロック30とインターフェイスブロック50との間に挟み込まれるようにして現像処理ブロック40が設けられている。この現像処理ブロック40とレジスト塗布ブロック30との間にも、雰囲気遮断用の隔壁35が設けられている。この隔壁35にレジスト塗布ブロック30と現像処理ブロック40との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック30から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS5に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS6は、現像処理ブロック40からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁35の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR2,TR3が基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。基板載置部PASS5,PASS6の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁35を貫通して上下に設けられてもよい。
現像処理ブロック40は、露光処理後の基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックである。現像処理ブロック40は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部41と、現像処理後の熱処理を行う熱処理タワー42と、露光直後の基板Wに熱処理を行う熱処理タワー43と、現像処理部41および熱処理タワー42に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR3とを備える。
図2に示すように、現像処理部41は、同様の構成を備えた5つの現像処理ユニットSD1〜SD5を上下に積層配置して構成されている。現像処理ユニットSD1〜SD5のそれぞれは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック46、このスピンチャック46上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル47、スピンチャック46を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック46上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー42には、基板Wを所定の温度にまで加熱する2個の加熱ユニットHP421,HP422および加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持する2個の冷却ユニットCP421,CP422が上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー43には6個の加熱ユニットHP431〜HP436および2個の冷却ユニットCP431,CP432が上下に積層配置されている。熱処理タワー43の加熱ユニットHP431〜HP436は露光直後の基板Wに対して露光後加熱処理(Post Exposure Bake)を行う。熱処理タワー43の加熱ユニットHP431〜HP436および冷却ユニットCP431,CP432に対してはインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板Wの搬出入を行う。
また、熱処理タワー43には、現像処理ブロック40とインターフェイスブロック50との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して組み込まれている。上側の基板載置部PASS7は、現像処理ブロック40からインターフェイスブロック50へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS7に載置した基板Wをインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS8は、インターフェイスブロック50から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板載置部PASS8に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。なお、基板載置部PASS7,PASS8は、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3およびインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4の両側に対して開口している。
搬送ロボットTR3は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム44a,44bを上下に近接させて備えている。搬送アーム44a,44bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム44a,44bは搬送ヘッド48に搭載されている。搬送ヘッド48は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド48は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム44a,44bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム44a,44bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR3は、2個の搬送アーム44a,44bをそれぞれ個別に基板載置部PASS5,PASS6、熱処理タワー42に設けられた熱処理ユニット、現像処理部41に設けられた5つの現像処理ユニットSD1〜SD5および熱処理タワー43の基板載置部PASS7,PASS8に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、インターフェイスブロック50について説明する。インターフェイスブロック50は、現像処理ブロック40に隣接して配置され、レジスト膜が塗布形成された未露光の基板Wを基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニットEXPに渡すとともに、露光済みの基板Wを露光ユニットEXPから受け取って現像処理ブロック40に渡す処理ブロックである。インターフェイスブロック50は、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構IFRの他に、レジスト膜が形成された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光ユニットEEWと、現像処理ブロック40の熱処理タワー43およびエッジ露光ユニットEEWに対して基板Wを受け渡しする搬送ロボットTR4とを備える。
エッジ露光ユニットEEWは、図2に示すように、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック56およびスピンチャック56に保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器57などを備えている。2つのエッジ露光ユニットEEWは、インターフェイスブロック50の中央部に上下に積層配置されている。また、エッジ露光ユニットEEWの下側には、2つの基板載置部PASS9,PASS10、基板戻し用のリターンバッファRBFおよび基板送り用のセンドバッファSBFが上下に積層配置されている。上側の基板載置部PASS9は搬送ロボットTR4から搬送機構IFRに基板Wを渡すために使用するものであり、下側の基板載置部PASS10は搬送機構IFRから搬送ロボットTR4に基板Wを渡すために使用するものである。
リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像処理ブロック40が露光済みの基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロック40の熱処理タワー43で露光後加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。一方、センドバッファSBFは、露光ユニットEXPが未露光の基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するものである。リターンバッファRBFおよびセンドバッファSBFはいずれも複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。なお、リターンバッファRBFに対しては搬送ロボットTR4がアクセスを行い、センドバッファSBFに対しては搬送機構IFRがアクセスを行う。
現像処理ブロック40の露光後ベーク処理部43に隣接して配置されている搬送ロボットTR4は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム54a,54bを上下に近接させて備えており、その構成および動作機構は搬送ロボットTR1〜TR3と全く同じである。また、搬送機構IFRは、Y軸方向の水平移動、昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能な可動台52を備え、その可動台52に基板Wを水平姿勢で保持する2つの保持アーム53a,53bを搭載している。保持アーム53a,53bは相互に独立して前後にスライド移動可能とされている。よって、保持アーム53a,53bのそれぞれは、Y軸方向に沿った水平移動、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。
露光ユニットEXPは、基板処理装置1にてレジスト塗布された露光前の基板Wを搬送機構IFRから受け取って露光処理を行う。露光ユニットEXPにて露光処理の行われた基板Wは搬送機構IFRによって受け取られる。なお、露光ユニットEXPは、投影光学系と基板Wとの間に屈折率の大きな液体(例えば、屈折率n=1.44の純水)を満たした状態で露光処理を行う、いわゆる「液浸露光処理」に対応したものであってもよい。
以上のインデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40およびインターフェイスブロック50には常に清浄空気がダウンフローとして供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれ、外部環境からのパーティクルや汚染物質の進入などを防いでいる。
また、上述したインデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40およびインターフェイスブロック50は、基板処理装置1を機構的に分割した単位である。各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置1が構成されている。
〈2.制御機構〉
基板処理装置1の制御機構について説明する。はじめに、「セル」について説明する。この実施の形態では、基板搬送に係る搬送制御単位(被制御区画)を、機械的に分割した「ブロック」とは別に構成しており、本明細書では、このような基板搬送に係る搬送制御単位を「セル」と称する。1つのセルは、基板搬送を担当する搬送ロボットと、その搬送ロボットによって基板が搬送されうる搬送対象部とを含んで構成されている。そして、上述した各基板載置部が、セル内に基板Wを受け入れるための入口基板載置部またはセルから基板Wを払い出すための出口基板載置部として機能する。すなわち、セル間の基板Wの受け渡しも基板載置部を介して行われる。なお、セルを構成する搬送ロボットとしては、インデクサブロック10のインデクサロボットIRやインターフェイスブロック50の搬送機構IFRも含まれる。
基板処理装置1には、インデクサセルC1、バークセルC2、レジスト塗布セルC3、現像処理セルC4、露光後ベークセルC5およびインターフェイスセルC6の6つのセルが含まれている。インデクサセルC1は、載置台11とインデクサロボットIRとを含み、機械的に分割した単位であるインデクサブロック10と結果的に同じ構成となっている。また、バークセルC2は、下地塗布処理部21と2つの熱処理タワー22,23と搬送ロボットTR1とを含む。このバークセルC2も、機械的に分割した単位であるバークブロック20と結果として同じ構成になっている。さらに、レジスト塗布セルC3は、レジスト塗布処理部31と2つの熱処理タワー32,33と搬送ロボットTR2とを含む。このレジスト塗布セルC3も、機械的に分割した単位であるレジスト塗布ブロック30と結果として同じ構成になっている。
一方、現像処理セルC4は、現像処理部41と熱処理タワー42と搬送ロボットTR3とを含む。上述したように、搬送ロボットTR3は熱処理タワー43の加熱ユニットHP431〜HP436および冷却ユニットCP431,CP432に対してアクセスすることができず、現像処理セルC4に熱処理タワー43は含まれない。この点において、現像処理セルC4は機械的に分割した単位である現像処理ブロック40と異なる。
また、露光後ベークセルC5は、現像処理ブロック40に位置する熱処理タワー43と、インターフェイスブロック50に位置するエッジ露光ユニットEEWと搬送ロボットTR4とを含む。すなわち、露光後ベークセルC5は、機械的に分割した単位である現像処理ブロック40とインターフェイスブロック50とにまたがるものである。このように露光後加熱処理を行う加熱ユニットHP431〜HP436と搬送ロボットTR4とを含んで1つのセルを構成しているので、露光後の基板Wを速やかに加熱ユニットHP431〜HP436のいずれかに搬入して熱処理を行うことができる。このような構成は、パターンの露光を行った後なるべく速やかに加熱処理を行う必要のある化学増幅型レジストを使用した場合に好適である。
なお、熱処理タワー43に含まれる基板載置部PASS7,PASS8は現像処理セルC4の搬送ロボットTR3と露光後ベークセルC5の搬送ロボットTR4との間の基板Wの受け渡しのために介在する。
インターフェイスセルC6は、外部装置である露光ユニットEXPに対して基板Wの受け渡しを行う搬送機構IFRを含んで構成されている。このインターフェイスセルC6は、搬送ロボットTR4やエッジ露光ユニットEEWを含まない点で、機械的に分割した単位であるインターフェイスブロック50とは異なる構成となっている。なお、エッジ露光ユニットEEWの下方に設けられた基板載置部PASS9,PASS10は露光後ベークセルの搬送ロボットTR4とインターフェイスセルC6の搬送機構IFRとの間の基板Wの受け渡しのために介在する。
次に、基板処理装置1の制御機構について図5を参照しながら具体的に説明する。図5は、制御機構の概略を示すブロック図である。同図に示すように、この実施の形態の基板処理装置1は、メインコントローラMC、セルコントローラCC、ユニットコントローラの3階層からなる制御階層を備えている。メインコントローラMC、セルコントローラCC、ユニットコントローラのハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、各コントローラは、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。
第1階層のメインコントローラMCは、基板処理装置全体に1つ設けられており、装置全体の管理、メインパネルMPの管理およびセルコントローラCCの管理を主に担当する。メインパネルMPは、メインコントローラMCのディスプレイとして機能するものである。また、メインコントローラMCに対してはキーボードKBから種々のコマンドを入力することができる。なお、メインパネルMPをタッチパネルにて構成し、メインパネルMPからメインコントローラMCに入力作業を行うようにしてもよい。
第2階層のセルコントローラCCは、6つのセル(インデクサセルC1、バークセルC2、レジスト塗布セルC3、現像処理セルC3、露光後ベークセルC5およびインターフェイスセルC6)のそれぞれに対して個別に設けられている。各セルコントローラCCは、対応するセル内の基板搬送管理およびユニット管理を主に担当する。具体的には、各セルのセルコントローラCCは、所定の基板載置部に基板Wを置いたという情報を、隣のセルのセルコントローラCCに送り、その基板Wを受け取ったセルのセルコントローラCCは、当該基板載置部から基板Wを受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラCCに返すという情報の送受信を行う。このような情報の送受信はメインコントローラMCを介して行われる。そして、各セルコントローラCCはセル内に基板Wが搬入された旨の情報を搬送ロボットコントローラTCに与え、該搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットを制御してセル内で基板Wを所定の手順にしたがって循環搬送させる。なお、搬送ロボットコントローラTCは、セルコントローラCC上で所定のアプリケーションが動作することによって実現される制御部である。
また、第3階層のユニットコントローラとしては、例えばスピンコントローラやベークコントローラが設けられている。スピンコントローラは、セルコントローラCCの指示にしたがってセル内に配置されたスピンユニット(塗布処理ユニットBRC1〜BRC4,SC1〜SC4および現像処理ユニットSD1〜SD5)を直接制御するものである。具体的には、スピンコントローラは、例えばスピンユニットのスピンモータを制御して基板Wの回転数を調整する。また、ベークコントローラは、セルコントローラCCの指示にしたがってセル内に配置された熱処理ユニット(ホットプレート、クールプレート、加熱部等)を直接制御するものである。上述した現像処理ブロック40の加熱ユニットHP431〜HP436は露光後ベークセルC5のベークコントローラによって制御されている。
また、基板処理装置に設けられた3階層からなる制御階層のさらに上位の制御機構として、基板処理装置とLAN回線を介して接続されたホストコンピュータ100が位置している(図1参照)。ホストコンピュータ100は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えており、一般的なコンピュータと同様の構成を有している。また、表示部および操作部を備えており、オペレータは操作部から種々のコマンドを入力することができる。ホストコンピュータ100には、この実施の形態に係る基板処理装置1が通常複数台接続されている。ホストコンピュータ100は、接続されたそれぞれの基板処理装置1に処理手順および処理条件を記述したレシピを渡す。ホストコンピュータ100から渡されたレシピは各基板処理装置1のメインコントローラMCの記憶部(例えばメモリ)に記憶される。
なお、露光ユニットEXPには、上記の基板処理装置の制御機構から独立した別個の制御部が設けられている。すなわち、露光ユニットEXPは、基板処理装置のメインコントローラMCの制御下で動作しているものではなく、単体で独自の動作制御を行っているものである。もっとも、このような露光ユニットEXPもホストコンピュータ100から受け取ったレシピにしたがって動作制御を行っており、露光ユニットEXPにおける露光処理と同期した処理を基板処理装置が行うこととなる。
〈3.処理動作〉
上述した通り、基板処理装置1において実行される処理動作は、ホストコンピュータ100から受け取ったレシピの記述内容にしたがって図5に示す制御機構が各部を制御することにより実行される。
図6には、レシピの構成例が示されている。ここに例示されるように、レシピには、フローレシピとライブラリレシピとが含まれる。
フローレシピとは、プロセスシーケンスを示す情報である。図6に例示されるレシピにおいては、フローレシピとして、処理工程step1〜処理工程step14が記述されている。なお、図6に例示されるレシピにおいて、「CP」は冷却処理を、「BRC」は反射防止膜の塗布形成処理を、「HP」は加熱処理を、「SC」はレジスト膜の塗布形成処理を、「EEW」はエッジ露光処理を、「SD」は現像処理を、それぞれ表している。また、「ID」は、インデクサブロック10に対する基板Wの搬送工程を、「IFB」は露光ユニットEXPに対する基板Wの搬送工程を、それぞれ表している。
ライブラリレシピとは、各処理工程における制御パラメータ(温度、圧力、薬液の種類・流量、ガスの種類・流量、処理時間等の制御目標値)を示す情報である。図6に例示されるレシピにおいては、例えば、反射防止膜の塗布形成処理後の熱処理(処理工程step4)のライブラリレシピとして「215c60s」と記述されている。これは、当該処理工程で、目標温度が215度であり、処理時間が60秒の加熱処理を実行すべきことを表している。
また、レシピには、各処理工程の「並行数」が記述されている。ただし、「並行数」とは、並行処理(同一処理工程における同一条件の処理を複数の処理部で並行して実行する処理)を行う処理部(並行処理ユニット)の台数である。上述した通り、この実施の形態に係る基板処理装置1には、各種の処理工程について並行処理を実行可能とすべく複数台の並行処理部が設けられており、例えばレジスト膜の塗布形成処理を行う処理部は4台(塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3,SC4)設けられている。一方、図6に例示されるレシピには、例えばレジスト膜の塗布形成処理(処理工程step6)を、3台の処理ユニットで並行して実行するように規定されている。すなわち、処理工程step6の並行数は「3」と記述されている。並行数が多くなると処理効率が向上するので、一連のプロセスの中でも特にスループットを律速する処理工程(処理に時間がかかる工程)の並行数は、多く設定することが望ましい。
また、レシピには、各処理工程を実行する処理ユニットが指定されている。図6に例示されるレシピにおいては、例えば、レジスト膜の塗布形成処理(処理工程step6)を、装置に搭載された4個の塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3,SC4のうち、「塗布処理ユニットSC1」、「塗布処理ユニットSC2」および「塗布処理ユニットSC3」を用いて実行するように指定されている。
次に、上記の基板処理装置1における基板処理の手順について簡単に説明する。以下においては、図6に例示されるレシピが与えられた場合に実行される処理の流れを説明する。
まず、装置外部から未処理の基板WがキャリアCに収納された状態でAGV等によってインデクサブロック10に搬入される。続いて、インデクサブロック10から未処理の基板Wの払い出しが行われる(処理工程step1)。具体的には、インデクサロボットIRが所定のキャリアCから未処理の基板Wを取り出し、上側の基板載置部PASS1に載置する。基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークブロック20の搬送ロボットTR1がその基板Wを受け取って熱処理タワー22,23の冷却ユニットCP221,CP231のいずれかに搬送する。冷却ユニットCP221,CP231のそれぞれでは、基板Wに対する冷却処理(目標温度22度、処理時間40秒)が行われる(処理工程step2)。この処理工程step2は、2台の冷却ユニットCP221,CP231で並行処理される。すなわち、処理工程step2の並行数は「2」である。
冷却された基板Wは搬送ロボットTR1によって冷却ユニットから下地塗布処理部21の塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のいずれかに搬送される。塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のそれぞれでは、基板Wの表面に反射防止膜の塗布液が供給されて回転塗布される(処理工程step3)。この処理工程step3は、3台の塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3で並行処理される。すなわち、処理工程step3の並行数は「3」である。
塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR1によって熱処理タワー22,23の加熱ユニットHP221,HP222,HP231のいずれかに搬送される。加熱ユニットHP221,HP222,HP231のそれぞれでは、基板Wに対する加熱処理(目標温度215度、処理時間60秒)が行われる(処理工程step4)。この加熱処理によって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が焼成される。この処理工程step4は、3台の加熱ユニットHP221,HP222,HP231で並行処理される。すなわち、処理工程step4の並行数は「3」である。
その後、搬送ロボットTR1によって加熱ユニットから取り出された基板Wは熱処理タワー22,23の冷却ユニットCP222,CP232のいずれかに搬送される。冷却ユニットCP222,CP232では、基板Wに対する冷却処理(目標温度22度、処理時間40秒)が行われる(処理工程step5)。この処理工程step5は、2台の冷却ユニットCP222,CP232で並行処理される。すなわち、処理工程step5の並行数は「2」である。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって基板載置部PASS3に載置される。
次に、反射防止膜が形成された基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2がその基板Wを受け取ってレジスト塗布処理部31の塗布処理ユニットSC1〜SC3のいずれかに搬送する。塗布処理ユニットSC1〜SC3のそれぞれでは、基板Wにレジスト膜の塗布液が回転塗布される(処理工程step6)。本実施形態においては、レジストとして化学増幅型レジストが使用される。この処理工程step6は、3台の塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3で並行処理される。すなわち、処理工程step6の並行数は「3」である。
レジスト塗布処理が終了した後、塗布処理ユニットから搬出された基板Wは搬送ロボットTR2によって熱処理タワー32,33の加熱ユニットHP321〜HP323,HP331〜HP333のいずれかに搬送される。加熱ユニットHP321〜HP323,HP331〜HP333のそれぞれでは、基板Wに対する加熱処理(目標温度140度、処理時間90秒)が行われる(処理工程step7)。この加熱処理(Post Applied Bake)によって、塗布液が乾燥されて基板W上にレジスト膜が形成される。この処理工程step7は、6台の加熱ユニットHP321〜HP323,HP331〜HP333で並行処理される。すなわち、処理工程step7の並行数は「6」である。
その後、搬送ロボットTR2によって加熱ユニットから取り出された基板Wは熱処理タワー32,33の冷却ユニットCP321,CP331のいずれかに搬送される。冷却ユニットCP321,CP331のそれぞれでは、基板Wに対する冷却処理(目標温度22度、処理時間が40秒)が行われる(処理工程step8)。この処理工程step8は、2台の冷却ユニットCP321,CP331で並行処理される。すなわち、処理工程step8の並行数は「2」である。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR2によって基板載置部PASS5に載置される。
レジスト膜が形成された基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってそのまま基板載置部PASS7に載置する。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wはインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4によって受け取られ、上下いずれかのエッジ露光ユニットEEWに搬入される(処理工程step9)。エッジ露光ユニットEEWにおいては、基板Wの端縁部の露光処理(エッジ露光処理)が行われる。エッジ露光処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によって基板載置部PASS9に載置される。そして、基板載置部PASS9に載置された基板Wは搬送機構IFRによって受け取られ、露光ユニットEXPに搬入され、パターン露光処理に供される(処理工程step10)。本実施形態では化学増幅型レジストを使用しているため、基板W上に形成されたレジスト膜のうち露光された部分では光化学反応によって酸が生成する。
パターン露光処理が終了した露光済みの基板Wは露光ユニットEXPから再びインターフェイスブロック50に戻され、搬送機構IFRによって基板載置部PASS10に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS10に載置されると、搬送ロボットTR4がその基板Wを受け取って現像処理ブロック40の熱処理タワー43の加熱ユニットHP431〜HP436のいずれかに搬送する。加熱ユニットHP431〜HP436のそれぞれでは、基板Wに対する加熱処理(目標温度105度、処理時間が90秒)が行われる(処理工程step11)。この加熱処理によって、露光時の光化学反応によって生じた生成物を酸触媒としてレジストの樹脂の架橋・重合等の反応を進行させ、現像液に対する溶解度を露光部分のみ局所的に変化させるための露光後加熱処理(Post Exposure Bake)が行われる。この処理工程step11は、6台の加熱ユニットHP431〜HP436で並行処理される。すなわち、処理工程step11の並行数は「6」である。
露光後加熱処理が終了した基板Wは、加熱ユニット内部の機構によって冷却されることにより上記化学反応が停止する。続いて基板Wは、搬送ロボットTR4によって熱処理タワー43の加熱ユニットから取り出され、基板載置部PASS8に載置される。
基板載置部PASS8に基板Wが載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取って熱処理タワー42の冷却ユニットCP421,CP422のいずれかに搬送する。冷却ユニットCP421,CP422のそれぞれでは、基板Wに対する冷却処理(目標温度22度、処理時間40秒)が行われる(処理工程step12)。この冷却処理によって、露光後加熱処理が終了した基板Wがさらに冷却され、所定温度に正確に温調される。この処理工程step12は、2台の冷却ユニットCP421,CP422で並行処理される。すなわち、処理工程step12の並行数は「2」である。
その後、搬送ロボットTR3は、冷却ユニットから基板Wを取り出して現像処理部41の現像処理ユニットSD1〜SD5のいずれかに搬送する。現像処理ユニットSD1〜SD5のそれぞれでは、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる(処理工程step13)。この処理工程step13は、5台の現像処理ユニットSD1,SD2,SD3,SD4,SD5で並行処理される。すなわち、処理工程step13の並行数は「5」である。
やがて現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR3によって基板載置部PASS6に載置される。基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2によってそのまま基板載置部PASS4に載置される。さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークブロック20の搬送ロボットTR1によってそのまま基板載置部PASS2に載置されることにより、インデクサブロック10に格納される。基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板WはインデクサロボットIRによって所定のキャリアCに収納される(処理工程step14)。その後、所定枚数の処理済み基板Wが収納されたキャリアCが装置外部に搬出されて一連のフォトリソグラフィー処理が完了する。
〈4.セル内の搬送制御〉
〈4−1.原理説明〉
上述した通り、基板処理装置1においては、セルコントローラCCが、対応するセル内における基板の搬送を管理する。具体的には、セルコントローラCCの管理の下で、搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットを制御してセル内での一連の循環動作(サイクル動作)を反復して実行させる。ところで、各セル内の搬送ロボットは、サイクル動作を所定のサイクルタイムで反復して行うように制御される。以下において、搬送ロボットがサイクル動作を1回行う時間(サイクルタイム)を「装置サイクルタイムMC」という。
〈従来の搬送制御〉
一般に、セル内に1つのレシピに係る基板Wだけが存在する状態(以下において「単独状態」という)においては、当該セルのセルコントローラは、装置サイクルタイムMCを、当該レシピのレシピサイクルタイムに設定する。ただし、上述した通り、レシピサイクルタイムとは、当該レシピに係る1枚の被処理基板が得られる時間間隔の最小値としてレシピから規定される値であり、レシピに記述されているプロセスシーケンスや処理条件等から規定される。
例えば、レシピサイクルタイムT(A)が「24秒」のレシピ(レシピA)に係る基板Wが単独状態で処理される場合を考える。従来のセルコントローラはこの場合、図7(a)に示すように、装置サイクルタイムMCを24秒に設定する。すると、当該セルの搬送ロボットは、24秒サイクルで処理部間におけるサイクル動作を行う。この状態においては、セル内のある処理部別の処理部へ24秒に1枚ずつ基板Wが移動されていく。すなわち、各処理部においては、レシピAに係る基板W(A1,A2,・・)が24秒に1枚ずつ処理されていく。
ところで、レシピサイクルタイムが異なる2つのレシピを連続して処理する場合には、セル内にレシピサイクルタイムが異なる2つのレシピのそれぞれに係る基板Wが併存する状態(換言すると、搬送ロボットが行うサイクル動作の中に、あるレシピに係る基板を搬送する動作と、別のレシピに係る基板を搬送する動作とが含まれる状態であり、以下において「併存状態」という)が発生することがある。併存状態が発生した場合、従来のセルコントローラは、装置サイクルタイムMCを、併存状態に係る2つのレシピのうち、レシピサイクルタイムが長い方のレシピのレシピサイクルタイムに設定する。
例えば、レシピサイクルタイムT(A)が「24秒」のレシピAに係る基板Wが単独状態で処理される状態から、レシピAに係る基板Wに引き続いてレシピサイクルタイムT(B)が「81秒」のレシピ(レシピB)に係る基板Wがセル内に搬入され、併存状態が発生した場合を考える。従来のセルコントローラはこの場合、図7(b)に示すように、装置サイクルタイムMCを、24秒から81秒に切り換える。すなわち、レシピサイクルタイムが長い方のレシピのレシピサイクルタイムに切り換える。すると、当該セルの搬送ロボットは、81秒サイクルで処理部間におけるサイクル動作を行う。この状態においては、セル内のある処理部から別の処理部へ81秒に1枚ずつ基板Wが移動されていく。すなわち、各処理部においては、81秒に1枚ずつ基板W(レシピAに係る基板W(・・,A24,25)、および、レシピBに係る基板W(B1,B2,・・))が処理されていく。
ここで、図7(b)に示される併存状態における「トータル待ち時間増加量」を考える。ただし、「トータル待ち時間増加量」とは、併存状態に係る複数のレシピのそれぞれについての「待ち時間増加量」を総和した値である。ただし、レシピに係る基板Wの「待ち時間増加量」とは、当該レシピの「実サイクルタイム」と当該レシピのレシピサイクルタイムとの差である。「実サイクルタイム」とは、当該レシピに係る1枚の被処理基板が実際に得られる時間間隔であり、基板Wを処理する際の搬送ロボットの装置サイクルタイムMCと搬送ロボットが当該基板Wを搬送する頻度から規定される。例えば、搬送ロボットが全てのサイクル動作において基板Wを搬送するように制御されている場合、実サイクルタイムは装置サイクルタイムMCと一致する。また、搬送ロボットがn回のサイクル動作のうちの1回においてのみ基板Wを搬送するように制御されている場合、実サイクルタイムは装置サイクルタイムMCのn倍になる。
例えば、2つのレシピA,Bが併存状態にある場合、レシピAに係る基板Wの待ち時間増加量(待ち時間増加量ΔQ(A))は、レシピAの実サイクルタイム(実サイクルタイムD(A))と、レシピAのレシピサイクルタイムT(A)との差によって与えられる(ΔQ(A)=D(A)−T(A))。レシピBに係る基板Wの待ち時間増加量(待ち時間増加量ΔQ(B))も同様に得ることができる(ΔQ(B)=D(B)−T(B))。そして、トータル待ち時間増加量(トータル待ち時間増加量ΔQ(A+B))は、レシピAに係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(A)と、レシピBに係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(B)との和によって与えられる(ΔQ(A+B)=ΔQ(A)+ΔQ(B))。
図7(b)に例示される併存状態の場合、装置サイクルタイムMCは「81秒」である。したがって、レシピA,Bそれぞれの実サイクルタイムD(A),D(B)はいずれも「81秒」となる。ここで、レシピAのレシピサイクルタイムT(A)は「24秒」であるので、レシピAに係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(A)は「57秒(81秒−24秒)」となる。一方、レシピBのレシピサイクルタイムT(B)は「81秒」であるので、レシピBに係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(B)は「0秒(81秒−81秒)」となる。したがって、トータル待ち時間増加量ΔQ(A+B)は、「57秒(57秒+0秒)」となる。つまり、併存状態においては、レシピA,Bに係る基板Wについて、トータルで57秒もの余分な待ち時間が発生しており、プロセスリスクの発生の可能性が極めて高いことがわかる。
〈この発明の実施の形態に係る搬送制御〉
あるレシピに係る基板Wが単独状態で処理される場合、この発明の実施の形態に係る基板処理装置1が備えるセルコントローラCCは、従来と同様、装置サイクルタイムMCを当該レシピのレシピサイクルタイムに設定する。一方、併存状態が発生すると、セルコントローラCCは、装置サイクルタイムMCを、予め算出されている「ベースサイクルタイムBC」に設定する。「ベースサイクルタイムBC」の具体的な算出方法については後に詳述する。
例えば、レシピサイクルタイムT(A)が「24秒」のレシピAに係る基板Wが単独状態で処理される状態(図7(a)に示される状態)から、レシピAに係る基板Wに引き続いてレシピサイクルタイムT(B)が「81秒」のレシピBに係る基板Wがセル内に搬入され、併存状態が発生した場合を考える。この発明の実施の形態に係るセルコントローラCCはこの場合、図8に示すように、装置サイクルタイムMCを、24秒から所定のベースサイクルタイムBC(ここでは「27秒」)に切り換える。すると、当該セルの搬送ロボットは、27秒サイクルで処理部間におけるサイクル動作を行う。
ただし、セルコントローラCCは、レシピAに係る基板Wについては、搬送ロボットが行う全てのサイクル動作において当該基板Wを搬送するように制御する一方で、レシピBに係る基板Wについては、搬送ロボットが3回のサイクル動作を行ううちの1回においてのみ、当該基板Wを搬送するように制御する。つまり、搬送ロボットは、レシピBに係る基板Wを実際に搬送しながらのサイクル動作を1回行った後は、レシピBに係る基板Wを保持せずに搬送動作のみを行うサイクル動作(空搬送動作)を2回行うことになる。
この状態においては、レシピAに係る基板W(・・,A24,A25)については、セル内のある処理部から別の処理部へ27秒に1枚ずつ基板Wが移動されていく。すなわち、各処理部においては、27秒に1枚ずつレシピAに係る基板W(・・,A24,25)が処理されていく。一方、レシピBに係る基板W(B1,B2,・・)については、3回に1回しか処理部間で基板Wは移動されないので、セル内のある処理部から別の処理部へ81秒(27秒×3)に1枚ずつ基板Wが移動されていく。すなわち、各処理部においては、81秒に1枚ずつレシピBに係る基板W(B1,B2,・・)が処理されていく。
図8に示される併存状態におけるトータル待ち時間増加量ΔQ(A+B)を考える。この場合、装置サイクルタイムMCは「27秒」である。また、レシピAに係る基板Wは搬送ロボットが行う全てのサイクル動作において当該基板Wを搬送するように制御され、レシピBに係る基板Wは搬送ロボットが3回のサイクル動作を行ううちの1回においてのみ、当該基板Wを搬送するように制御されている。したがって、レシピAの実サイクルタイムD(A)は「27秒」となり、レシピBの実サイクルタイムD(B)は「81秒(=27秒×3)」となる。ここで、レシピAのレシピサイクルタイムT(A)は「24秒」であるので、レシピAに係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(A)は「3秒(27秒−24秒)」となる。一方、レシピBのレシピサイクルタイムT(B)は「81秒」であるので、レシピBに係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(B)は「0秒(81秒−81秒)」となる。したがって、トータル待ち時間増加量ΔQ(A+B)は、「3秒(3秒+0秒)」となる。つまり、従来の搬送制御では、57秒もの長時間にわたっていた余分な待ち時間が、3秒まで短縮されており、プロセスリスクの発生の可能性が大きく低減されていることがわかる。
以下において、このような搬送制御を実現するセルコントローラCCの機能構成について具体的に説明する。
〈4−2.機能構成〉
この実施の形態に係る基板処理装置1は、各セルコントローラCCにおいて、併存状態が発生した場合のセル内の搬送制御に関する機能部(併存状態対応部90)を備える。併存状態対応部90の構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、セルコントローラCCにて実現される併存状態対応部90の機能構成を示すブロック図である。なお、併存状態対応部90は、セルコントローラCCのそれぞれにおいて、記憶媒体等に記憶されている所定のプログラムが実行されることにより実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
併存状態対応部90は、ベースサイクルタイム算出部91と、サイクルタイム切り換え部92と、搬送頻度調整部93とを備える。
〈ベースサイクルタイム算出部91〉
ベースサイクルタイム算出部91は、併存状態にある2つの処理レシピ(以下において「対象レシピR(A)」「対象レシピR(B)」と示す)のそれぞれのレシピサイクルタイムT(A),T(B)に基づいて、ベースサイクルタイムBCを算出する。
ベースサイクルタイム算出部91は、ベースサイクルタイム候補値取得部911と、仮の実サイクルタイム算出部912と、仮のトータル待ち時間増加分算出部913と、ベースサイクルタイム決定部914とを備える。
〈ベースサイクルタイム候補値取得部911〉
ベースサイクルタイム候補値取得部911は、ベースサイクルタイムBCの候補となる複数個の値(ベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・))を取得する。ベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)として取得されるのは、第1に、一方の対象レシピR(A)のレシピサイクルタイムT(A)を、「1」から所定の最大整数値(最大整数値a(max))までの各整数で割って得られる値(T(A)/1,T(A)/2,・・T(A)/a(max))である。また、第2に、他方の対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)を、「1」から所定の最大整数値(最大整数値b(max))までの各整数で割って得られる値(T(B)/1,T(B)/2,・・T(B)/b(max))である。また、第3に、装置サイクルタイムMCとして設定可能な最小の値(搬送律速値Tr)である。
ただし、レシピサイクルタイムT(A),T(B)のそれぞれを割る整数値として取りうる最大の値(最大整数値a(max),b(max))は、レシピサイクルタイムT(A),T(B)、および、搬送律速Trに基づいて、下記(式1)(式2)から求められる。
a(max)=[T(A)/Tr] ・・・(式1)
b(max)=[T(B)/Tr] ・・・(式2)
ただし、[X]は、Xを超えない最大の整数を表す(すなわち、小数点を切り下げた値を表す)。
〈仮の実サイクルタイム算出部912〉
仮の実サイクルタイム算出部912は、ベースサイクルタイム候補値取得部911が取得したベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のそれぞれについて、当該ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の対象レシピR(A),R(B)それぞれの実サイクルタイム(以下において「仮の実サイクルタイムD'i(A),D'i(B)」という)を算出する。
ただし、実サイクルタイムD(A),B(B)は、ベースサイクルタイムBCに所定の整数値を乗じた値で規定される。すなわち、実サイクルタイムD(A),D(B)の値は、ベースサイクルタイムBCと、そこに乗じられる所定の自然数値により規定される(以下において、この自然数値を「倍数値N」と示し、特に、対象レシピR(A)の実サイクルタイムD(A)を規定する倍数値を「倍数値N(A)」と、対象レシピR(B)の実サイクルタイムD(B)を規定する倍数値を「倍数値N(B)」と示す)。すなわち、実サイクルタイムD(A),D(B)は、下記(式3)(式4)で与えられる。
D(A)=BC*N(A) ・・・(式3)
D(B)=BC*N(B) ・・・(式4)
ただし、この倍数値N(A),N(B)は、下記(式5)(式6)によって与えられる。
N(A)={TA/BC} ・・・(式5)
N(B)={TB/BC} ・・・(式6)
ただし、{X}は、X以上の最小の整数を表す(すなわち、小数点を切り上げた値を表す)。
仮の実サイクルタイムD'i(A),D'i(B)は、ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の対象レシピR(A),R(B)それぞれの実サイクルタイムであるので、上記式中のベースサイクルタイムBCの値をベースサイクルタイム候補値BCiに置き換えて得ることができる。すなわち、仮の実サイクルタイムD'i(A),D'i(B)は、ベースサイクルタイム候補値BCiに仮の倍数値(仮の倍数値N'i(A),N'i(B))をそれぞれ乗じた値で規定される(下記(式3')(式4'))。
D'i(A)=BCi*N'i(A) ・・・(式3')
D'i(B)=BCi*N'i(B) ・・・(式4')
ただし、仮の倍数値N'i(A),N'i(B)は、下記(式5')(式6')によって与えられる。
N'i(A)={TA/BCi} ・・・(式5')
N'i(B)={TB/BCi} ・・・(式6')
ただし、{X}は、X以上の最小の整数を表す(すなわち、小数点を切り上げた値を表す)。
〈仮のトータル待ち時間増加量算出部913〉
仮のトータル待ち時間増加量算出部913は、ベースサイクルタイム候補値取得部911が取得したベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のそれぞれについて、当該ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合のトータル待ち時間増加量(以下において「仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)」という)を算出する。
上述した通り、トータル待ち時間増加量ΔQ(A+B)は、対象レシピR(A)に係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(A)と、対象レシピR(B)に係る基板Wの待ち時間増加量ΔQ(B)との和によって与えられる(ΔQ(A+B)=ΔQ(A)+ΔQ(B))。
また、対象レシピR(A),R(B)それぞれの待ち時間増加量ΔQ(A),ΔQ(B)は、対象レシピR(A),R(B)それぞれの実サイクルタイムD(A),D(B)とレシピサイクルタイムT(A),T(B)とを用いて、下記(式7)(式8)で与えられる。
ΔQ(A)=D(A)−T(A) ・・・(式7)
ΔQ(B)=D(B)−T(B) ・・・(式8)
仮のトータル待ち時間増加分ΔQ'i(A+B)は、ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合のトータル待ち時間増加量であるので、ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の対象レシピR(A),R(B)それぞれの仮の待ち時間増加量(以下において「仮の待ち時間増加量ΔQ'i(A),Q'(B)」という)の和によって与えられる(ΔQ'(A+B)=ΔQ'(A)+ΔQ'(B))。
ただし、仮の待ち時間増加量ΔQ'i(A),Q'(B)は、仮の実サイクルタイム算出部912が算出した仮の実サイクルタイムD'i(A),D'i(B)を用いて、下記(式7')(式8')で与えられる。
ΔQ'i(A)=D'i(A)−T(A) ・・・(式7')
ΔQ'i(B)=D'i(B)−T(B) ・・・(式8')
〈ベースサイクルタイム決定部914〉
ベースサイクルタイム決定部914は、ベースサイクルタイム候補値取得部911が取得したベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のうちから、1つの値を選択して、ベースサイクルタイムBCに決定する。
具体的には、ベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のそれぞれについて仮のトータル待ち時間増加量算出部913が算出した仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)(i=1,2,・・)を比較して、最も小さい値の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)を与えるベースサイクルタイム候補値BCiを、ベースサイクルタイムBCに決定する。
ただし、最も小さい値の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)を与えるベースサイクルタイム候補値BCiが複数個ある場合は、そのようなベースサイクルタイム候補値BCiのうちで最小の値のものを、ベースサイクルタイムBCに決定する。ベースサイクルタイムBCの値はなるべく小さい方が望ましいからである。
ベースサイクルタイム決定部914がベースサイクルタイムBCを決定すると、当該ベースサイクルタイムBCについて算出されていた仮の実サイクルタイムD'i(A),D'i(B)が、それぞれ、対象レシピR(A)の実サイクルタイムD(A)、対象レシピR(B)の実サイクルタイムD(B)となる。同様に、当該ベースサイクルタイムBCについて算出されていた仮の倍数値N'i(A),N'i(B)が、それぞれ、対象レシピR(A)の倍数値N(A)、対象レシピR(B)の倍数値N(B)となる。
〈サイクルタイム切り換え部92〉
サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCの切り換えを行う。具体的には、セル内で併存状態が生じている間は、搬送ロボットの装置サイクルタイムMCが、ベースサイクルタイム算出部91が算出したベースサイクルタイムBCとなるように、装置サイクルタイムMCを切り換える。
〈搬送頻度調整部93〉
搬送頻度調整部93は、装置サイクルタイムMCがベースサイクルタイムBCに切り換えられた場合に、搬送ロボットが各処理レシピに係る基板Wを搬送する頻度を調整する。ただし、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送する頻度は対象レシピR(A)の倍数値N(A)により規定され、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送する頻度は対象レシピR(B)の倍数値N(B)により規定される。すなわち、搬送頻度調整部93は、倍数値N(A)をnとした場合、n回のサイクル動作のうちの1回の動作においてのみ、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送させるように、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送する頻度を調整する。同様に、倍数値N(B)をmとした場合、m回のサイクル動作のうちの1回の動作においてのみ、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させるように、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送する頻度を調整する。
〈4−3.処理の流れ〉
次に、併存状態対応部90が行う処理の流れについて説明する。
〈ベースサイクルタイムを算出する処理の流れ〉
はじめに、ベースサイクルタイム算出部91が、ベースサイクルタイムBCを算出する処理について、図10を参照しながら説明する。
まず、ベースサイクルタイム候補値取得部911が、ベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)を取得する(ステップS11)。具体的には、まず、一方の対象レシピR(A)のレシピサイクルタイムT(A)を「1」〜「最大整数値a(max)」の各整数値で割って得られる値を、ベースサイクルタイム候補値BCiとして取得する(ステップS111)。また、他方の対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)を「1」〜「最大整数値b(max)」の各整数値で割って得られる値を、ベースサイクルタイム候補値BCiとして取得する(ステップS112)。さらに、搬送律速値Trを、ベースサイクルタイム候補値BCiとして取得する(ステップS113)。
続いて、仮の実サイクルタイム算出部912が、ステップS11で取得されたベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のそれぞれについて、当該ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮の実サイクルタイムDi(A),Di(B)を算出する(ステップS12)。
続いて、仮のトータル待ち時間増加量算出部913が、ステップS11で取得されたベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のそれぞれについて、当該ベースサイクルタイム候補値BCiをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮のトータル待ち時間増加量ΔQi(A+B)を算出する(ステップS13)。
続いて、ベースサイクルタイム決定部914が、ステップS11で取得されたベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のうちから、1つの値を選択して、ベースサイクルタイムBCに決定する(ステップS14)。具体的には、ステップS13で取得された仮のトータル待ち時間増加量ΔQi(A+B)(i=1,2,・・)を比較して、最も小さい値の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)を与えるベースサイクルタイム候補値BCiを、ベースサイクルタイムBCに決定する。最も小さい仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'(A+B)を与えるベースサイクルタイム候補値BCiが複数個ある場合は、そのようなベースサイクルタイム候補値BCiのうちで最小の値のものを、ベースサイクルタイムBCに決定する。
以上の処理によって、ベースサイクルタイムBCが特定される。
ここで、図11を参照しながら、上述した処理の流れを具体例に沿って説明する。いま、対象レシピR(A)のレシピサイクルタイムT(A)が「24秒」、対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)が「81秒」、搬送律速Trが「24」で与えられたとする。
まず、ベースサイクルタイム候補値取得部911が、ベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)を取得する(ステップS11)。
具体的には、まず、一方の対象レシピR(A)のレシピサイクルタイムT(A)「24」を整数「1」(レシピサイクルタイムT(A)を割る整数値として取りうる最大の値m(max)は、「1(=[24/24])」であるので、レシピサイクルタイムT(A)を割る整数値は「1」となる。)で割って得られる値「24」を、第1のベースサイクルタイム候補値BC1として取得する(ステップS111)。
また、他方の対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)「81」を整数「1」「2」「3」(レシピサイクルタイムT(B)を割る整数値として取りうる最大の値m(max)は、「3(=[81/24])」であるので、レシピサイクルタイムT(A)を割る整数値は「1」「2」「3」となる。)で割って得られる値「81」「40.5」「27」を、第2のベースサイクルタイム候補値BC2、第3のベースサイクルタイム候補値BC3、第4のベースサイクルタイム候補値BC3としてそれぞれ取得する(ステップS112)。
さらに、搬送律速値Tr「24」を、第5のベースサイクルタイム候補値BC4として取得する(ステップS113)。
続いて、仮の実サイクルタイム算出部912が、ステップS11で取得されたベースサイクルタイム候補値BCi(i=1〜5)のそれぞれをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮の実サイクルタイムD'i(A),D'i(B)(i=1〜5)を算出する(ステップS12)。
ベースサイクルタイム候補値BC1「24」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合を考える。この場合、対象レシピR(A)の仮の倍数値N'1(A)は、(式5')より「1(={24/24})」となる。したがって、仮の実サイクルタイムD'1(A)は、(式3')より「24(=24*1)」となる。また、対象レシピR(B)の仮の倍数値N'1(B)は、(式6')より「4(={81/24})」となる。したがって、仮の実サイクルタイムD'1(B)は、(式4')より「96(=24*4)」となる。
同様に、ベースサイクルタイム候補値BC2「81」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮の倍数値N'2(A),N'2(B)はそれぞれ「1」「1」となり、仮の実サイクルタイムD'2(A),D'2(B)はそれぞれ「81」「81」となる。
また、ベースサイクルタイム候補値BC3「40.5」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮の倍数値N'3(A),N'3(B)はそれぞれ「1」「2」となり、仮の実サイクルタイムD'3(A),D'3(B)はそれぞれ「40.5」「81」となる。
また、ベースサイクルタイム候補値BC4「27」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮の倍数値N'4(A),N'4(B)はそれぞれ「1」「3」となり、仮の実サイクルタイムD'4(A),D'4(B)はそれぞれ「27」「81」となる。
また、ベースサイクルタイム候補値BC5「24」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮の倍数値N'5(A),N'5(B)はそれぞれ「1」「4」となり、仮の実サイクルタイムD'5(A),D'5(B)はそれぞれ「24」「96」となる。
続いて、仮のトータル待ち時間増加量算出部913が、ステップS11で取得されたベースサイクルタイム候補値BCi(i=1〜5)のそれぞれをベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)(i=1〜5)を算出する(ステップS13)。
ベースサイクルタイム候補値BC1「24」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合を考える。この場合、対象レシピR(A)の仮の実サイクルタイムD'1(A)は「24」であるので、仮の待ち時間増加量ΔQ'1(A)は、(式7')より「0(=24−24)」となる。また、対象レシピR(B)の仮の実サイクルタイムD'1(B)は「96」であるので、仮の待ち時間増加量ΔQ'1(B)は、(式8')より「15(=96−81)」となる。したがって、仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'1(A+B)は、「15(=0+15)」となる。
同様に、ベースサイクルタイム候補値BC2「81」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'2(A+B)は「57」となる。また、ベースサイクルタイム候補値BC3「40.5」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'3(A+B)は「16.5」となる。また、ベースサイクルタイム候補値BC4「27」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'4(A+B)は「3」となる。また、ベースサイクルタイム候補値BC5「24」をベースサイクルタイムBCとして採用した場合の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'5(A+B)は「15」となる。
続いて、ベースサイクルタイム決定部914が、ステップS13で取得された仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)(i=1〜5)を比較して、最も小さい値を与えるベースサイクルタイム候補値BCiを、ベースサイクルタイムBCに決定する。すなわち、仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'4(A+B)「3」を与えるベースサイクルタイム候補値BC4「27」を、ベースサイクルタイムBCに決定する。
この場合、当該ベースサイクルタイムBCについて算出されていた仮の実サイクルタイムD'4(A)「27」,D'4(B)「81」が、それぞれ、対象レシピR(A)の実サイクルタイムD(A)、対象レシピR(B)の実サイクルタイムD(B)となる。また、当該ベースサイクルタイムBCについて算出されていた仮の倍数値N'4(A)「1」,N'4(B)「3」が、それぞれ、対象レシピR(A)の倍数値N(A)、対象レシピR(B)の倍数値N(B)となる。
〈併存状態が生じた場合の処理動作〉
続いて、サイクルタイム切り換え部92、搬送頻度調整部93が、併存状態が生じた場合に行う処理について、図12を参照しながら説明する。
あるレシピに係る基板Wが単独状態で処理されている場合、サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCを当該レシピ(単独レシピ)のレシピサイクルタイムに設定している(ステップS21)。
例えば、レシピサイクルタイムT(A)が「24秒」のレシピAに係る基板Wが単独状態で処理されている場合、サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCを「24」に設定している。
ここで、セルコントローラCCより併存状態がはじまる旨の通知を受け取ると(ステップS22でYES)、サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCを、所定のベースサイクルタイムBC(予めベースサイクルタイム算出部91が算出していたベースサイクルタイムBC)に切り換える(ステップS23)。
例えば、レシピサイクルタイムT(A)が「24秒」のレシピAに係る基板Wに引き続いて、レシピサイクルタイムT(B)が「81秒」のレシピBに係る基板Wが処理される場合、併存状態がはじまるまでに、ベースサイクルタイム算出部91が、これら2つのレシピA,Bを対象レシピとしてベースサイクルタイムBC「27」を算出している(図10、図11参照)。したがって、この場合、セルコントローラCCよりレシピA,Bのそれぞれに係る基板Wの併存状態がはじまる旨の通知を受け取ると、サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCを「24秒」から「27秒」に切り換える。
装置サイクルタイムMCがベースサイクルタイムBCに切り換えられると、搬送頻度調整部93が、対象レシピR(A),R(B)のそれぞれに係る基板Wを搬送する頻度を、各対象レシピR(A),R(B)の倍数値N(A),N(B)に基づいて調整する(ステップS24)。具体的には、倍数値N(A)をnとした場合、n回のサイクル動作のうちの1回の動作においてのみ、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送させるように、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送する頻度を調整する。同様に、倍数値N(B)をmとした場合、m回のサイクル動作のうちの1回の動作においてのみ、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させるように、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送する頻度を調整する。
上記の例の場合、対象レシピR(A)の倍数値N(A)は「1」と、対象レシピR(B)の倍数値N(B)は「3」と、それぞれ決定されている(図10、図11参照)。したがって、この場合、装置サイクルタイムMCがベースサイクルタイムBC「27」に切り換えられると、搬送頻度調整部93は、毎回のサイクル動作において対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送させるように、対象レシピR(A)に係る基板Wを搬送する頻度を調整する。また、3回のサイクル動作のうちの1回の動作においてのみ対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させるように、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送する頻度を調整する。
セルコントローラCCより併存状態が終了する旨の通知を受け取ると(ステップS25でYES)、サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCを、単独レシピのレシピサイクルタイムに切り換える(ステップS26)。
上記の例の場合、セルコントローラCCより併存状態が終了する旨の通知を受け取ると、サイクルタイム切り換え部92は、装置サイクルタイムMCを、単独レシピとなるレシピBのレシピサイクルタイムT(B)「81」に切り換える。
装置サイクルタイムMCが単独レシピのレシピサイクルタイムに切り換られると、搬送頻度調整部93が、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送する頻度を再調整して、毎回のサイクル動作において、対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させる(ステップS27)。
上記の例の場合、搬送ロボットに対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させる頻度を再調整する。すなわち、3回のサイクル動作のうちの1回の動作においてのみ対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させるように対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送する頻度を調整していたところを、毎回のサイクル動作において対象レシピR(B)に係る基板Wを搬送させるように再調整する。
〈5.効果〉
上記の実施の形態によると、セルに対象レシピR(A),R(B)のそれぞれに係る基板が併存する併存状態となった場合に、装置サイクルタイムMCをベースサイクルタイムBCに切り換えるとともに、対象レシピR(A),R(B)のそれぞれに係る基板を搬送する頻度を調整する。具体的には、対象レシピR(A)に係る基板については、搬送ロボットがサイクル動作をn回(ただし、n=倍数値N(A))行ううちの1回の動作においてのみ搬送させるように、搬送ロボットが対象レシピR(A)に係る基板を搬送する頻度を調整する。また、対象レシピR(B)に係る基板については、搬送ロボットがサイクル動作をn回(ただし、n=倍数値N(B))行ううちの1回の動作においてのみ搬送させるように、搬送ロボットが対象レシピR(B)に係る基板を搬送する頻度を調整する。
この構成によると、対象レシピR(A)に係る被処理基板を「D(A)=BC*N(A)」により規定される実サイクルタイムD(A)につき1枚得ることができ、対象レシピR(B)に係る被処理基板を「D(B)=BC*N(B)」により規定される実サイクルタイムD(B)につき1枚得ることができる。つまり、ベースサイクルタイムBCに任意の自然数値を乗じた値により規定される時間を、各対象レシピに係る基板Wを処理する際の実サイクルタイムとすることができる。すなわち、併存状態にある複数の対象レシピのそれぞれに係る基板を、互いに異なる実サイクルタイムで処理することが可能となる。これにより、併存状態が発生した場合にいずれかのレシピに係る基板Wに不当に長い待ち時間が発生することを回避することができる。待ち時間が短縮されることによってプロセスリスクの発生が未然に防止される。また、生産性も向上する。
また、上記の実施の形態によると、複数個のベースサイクルタイム候補値BCi(i=1,2,・・)のうち、最小の仮のトータル待ち時間増加量ΔQ'i(A+B)を与えるものをベースサイクルタイムBCに決定するので、併存状態におけるトータル待ち時間増加量ΔQ(A+B)を小さく抑えることができる。
また、上記の実施の形態によると、対象レシピR(A),R(B)のそれぞれのレシピサイクルタイムT(A),T(B)を整数で割った値を、ベースサイクルタイム候補値として取得するので、簡易な処理でベースサイクルタイム候補値を取得することができる。
また、上記の実施の形態によると、搬送律速値Trをベースサイクルタイム候補値として取得する。ベースサイクルタイムBCの値はなるべく小さい方が好ましいところ、この構成によると、搬送ロボットが取りうる最小のサイクルタイムをベースサイクルタイムBCとして採用することができる場合がある。
〈6.変形例〉
〈追い越し回避の制御〉
併存状態の発生が予想される場合において、先行するレシピの実サイクルタイムが、後続するレシピの実サイクルタイムよりも大きい場合、基板Wの追い越しという問題が発生する可能性がある。
例えば、レシピサイクルタイムT(A)が「24秒」の対象レシピR(A)、レシピサイクルタイムT(B)が「81秒」の対象レシピR(B)を、搬送律速Trが「24」との条件下で連続して処理する場合を考える。この場合、上述した通り、サイクルタイム切り換え部92は、併存状態における装置サイクルタイムMCを、ベースサイクルタイムBC「27秒」に設定し(図11参照)、搬送頻度調整部93は、対象レシピR(A)に係る基板Wについては、搬送ロボットが行う全てのサイクル動作において当該基板Wを搬送するように制御する一方で、対象レシピR(B)に係る基板Wについては、搬送ロボットが3回のサイクル動作を行ううちの1回においてのみ、当該基板Wを搬送するように制御する。したがって、対象レシピR(A)の実サイクルタイムD(A)は「27秒」となり、対象レシピR(B)の実サイクルタイムD(B)は「81秒」となる。
対象レシピR(A)が先行し、対象レシピR(B)が後続する場合は、対象レシピR(B)に係る基板Wは3回に1回しか実際に搬送されないので、対象レシピR(B)に係る基板Wが対象レシピR(A)に係る基板Wを追い越すことはない。これに対し、対象レシピR(B)が先行し、対象レシピR(A)が後続する場合は、対象レシピR(A)に係る基板Wが対象レシピR(B)に係る基板Wを追い越す可能性が出てくる。このような追い越しが発生する状況においては、後続する対象レシピR(A)に係る基板Wを搬入すべき処理ユニットが先行する対象レシピR(B)に係る基板Wの処理に用いられており、対象レシピR(A)に係る基板Wを対象レシピR(B)に係る基板Wの処理が終了するまで待機させないといけない状態が生じる。これでは、対象レシピR(A)に係る基板Wの待ち時間が長くなり、プロセスリスクの発生の危険がある。
そこで、上記の実施の形態に係る併存状態対応部90に、このような基板Wの追い越しの発生を回避すべく、基板Wの装置内への搬入(すなわち、キャリアCからの払い出し)を所定時間停止する制御を行う機能部(払い出し調整部94)をさらに備えさせる構成としてもよい(図13)。
払い出し調整部94は、具体的には、併存状態の発生が予想される場合において、先行するレシピの実サイクルタイムが後続するレシピの実サイクルタイムよりも大きく、基板Wの追い越しが発生する可能性があると判断した場合に、後続するレシピに係る基板Wを装置内に払い出すタイミングを所定時間だけ遅らせる旨の要求をメインコントローラMCに通知する。当該要求を受けたメインコントローラMCは、インデクサセルC1のセルコントローラCCに対して、当該レシピに係る基板Wの装置内への払い出しを所定時間遅らせるように指示する。インデクサセルC1のセルコントローラCCは、当該指示に応じて、所定時間が経過するまで当該レシピに係る基板Wの装置内への払い出しを行わない。これによって、当該レシピに係る基板Wが装置内に払い出される時間を所定時間だけ遅らせることができる。
払い出し調整部94を備える構成によると、追い越しが発生する状況を未然に防ぐことが可能となり、追い越しに伴って基板に不当に長い待ち時間が生じるといった事態を未然に回避することができる。その結果、プロセスリスクの発生を未然に回避することができる。
なお、払い出し調整部94が上記の制御を行った場合、上記の効果を得ることができる半面、装置の生産能力が低下するという不都合も生じてしまう。そこで、払い出し調整部94を設ける構成とした場合、その機能を能動化させるか否かをオペレータに選択させる構成とすることが好ましい。すなわち、オペレータからの指示に応じて、払い出し調整部94を能動化/非能動化させる機能部(能動化指示部941)を備えることが好ましい。
〈ベースサイクルタイムBCの算出方法の変形例〉
ベースサイクルタイムBCの算出方法は、上記に説明した方法に限られず、各種の方法でも算出することができる。例えば、次の方法によってベースサイクルタイムBCを算出してもよい。
まず、与えられた2つのレシピのうちで、レシピサイクルタイムが長い方のレシピ(例えば、対象レシピR(A))のレシピサイクルタイムT(A)と、他方の対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)との比K(K=T(A)/T(B))が、ある係数α(例えば、α=1.5)よりも大きいか否かを判断する。
比Kが係数α以下の場合(すなわち、「T(A)≦T(B)*α」の場合)は、2つのレシピサイクルの差があまり大きくないので、ベースサイクルタイムBCの値として、対象レシピR(A)のレシピサイクルタイムT(A)(すなわち、2つの対象レシピのうちで、レシピサイクルタイムが長い方のレシピのレシピサイクルタイム)を採用する。
一方、比Kが係数αよりも大きい場合(すなわち、「T(A)>T(B)*α」の場合)は、ベースサイクルタイムBCの値として、対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)(すなわち、2つの対象レシピのうちで、レシピサイクルタイムが短い方のレシピのレシピサイクルタイム)に所定の値βを加算した値(T(B)+β)を採用する。ただし、値βは、ベースサイクルタイムBCとして「T(B)+β」を採用した場合に、トータル待ち時間増加量ΔQ(A+B)が最小となるような値が選ばれる。
〈3以上のレシピを同時に流す場合の変形例〉
上記の実施の形態においては、2つのレシピのそれぞれに係る基板Wがセル内に併存する状態の搬送制御の態様について説明したが、これを、3以上のレシピのそれぞれに係る基板Wがセル内に併存する場合に適用することができる。
例えば、3つの対象レシピ(対象レシピR(A),対象レシピR(B),対象レシピR(C))が併存状態におかれる場合の、ベースサイクルタイムBC値は次の態様で特定することができる。
まず、2つの対象レシピ(例えば、対象レシピR(A)および対象レシピR(B))が併存状態におかれる場合のベースサイクルタイムBC(ベースサイクルタイムBC(A+B))を、対象レシピR(A)のレシピサイクルタイムT(A)、対象レシピR(B)のレシピサイクルタイムT(B)および搬送律速Trから、上述した態様によって特定する。
続いて、取得されたベースサイクルタイムBC(A+B)をレシピサイクルタイムとして持つレシピを仮想的に想定する(仮想レシピR(A+B))。そして、この仮想レシピR(A+B)と、対象レシピR(C)とのそれぞれに係る基板Wが併存状態におかれる場合のベースサイクルタイムBC(ベースサイクルタイムBC(A+B+C))を、仮想レシピR(A+B)のレシピサイクルタイム(すなわち、ベースサイクルタイムBC(A+B))、対象レシピR(C)のレシピサイクルタイムT(C)および搬送律速Trから、上述した態様によって特定する。ここで得られたベースサイクルタイムBC(A+B+C)が、3つの対象レシピR(A),対象レシピR(B),対象レシピR(C)が併存状態におかれる場合の、ベースサイクルタイムBCとなる。
ベースサイクルタイムBCが決定されると、上述した通り、各対象レシピR(A),R(B)の実サイクルタイムD(A),D(B),D(C)、および、倍数値N(A),N(B)、N(C)も一意に決定される。
〈その他の変形例〉
この発明に係る基板処理装置の構成は図1から図4に示したような形態に限定されるものではなく、種々の配置構成を採用することが可能である。
1 基板処理装置
10 インデクサブロック
20 バークブロック
30 レジスト塗布ブロック
40 現像処理ブロック
50 インターフェイスブロック
BRC1〜BRC4,SC1〜SC4 塗布処理ユニット
IFR 搬送機構
IR インデクサロボット
PASS1〜PASS10 基板載置部
SD1〜SD5 現像処理ユニット
TR1,TR2,TR3,TR4 搬送ロボット
90 併存状態対応部
91 ベースサイクルタイム算出部
92 サイクルタイム切り換え部
93 搬送頻度調整部
911 ベースサイクルタイム候補値取得部
912 仮の実サイクルタイム算出部
913 仮のトータル待ち時間増加量算出部
914 ベースサイクルタイム決定部
W 基板

Claims (5)

  1. 処理レシピに記述された一連の処理工程を基板に施す基板処理装置であって、
    所定の被制御区画内に配置され、それぞれが基板に所定の処理を施す複数の処理部と、
    1サイクルタイムで、前記複数の処理部間における一連の循環動作を行う搬送機構と、
    前記搬送機構の搬送動作を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段が、
    前記被制御区画内に複数の処理レシピのそれぞれに係る基板が併存する併存状態となった場合に、前記搬送機構のサイクルタイムを、所定のベースサイクルタイムに切り換えるサイクルタイム切り換え手段と、
    前記サイクルタイムが前記ベースサイクルタイムに切り換えられた場合に、前記搬送機構が前記ベースサイクルタイムに従って前記一連の循環動作をn回(ただし、nは、前記複数の処理レシピのそれぞれについて固有に規定された自然数値)行ううちの1回の動作においてのみ、前記複数の処理レシピのそれぞれに係る基板を搬送するように、前記搬送機構を制御する搬送頻度調整手段と、
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記制御手段が、
    前記ベースサイクルタイムを算出するベースサイクルタイム算出手段、
    を備え、
    前記ベースサイクルタイム算出手段が、
    複数個のベースサイクルタイム候補値を取得するベースサイクルタイム候補値取得手段と、
    前記複数個のベースサイクルタイム候補値のそれぞれについて、当該ベースサイクルタイム候補値をベースサイクルタイムとして採用した場合に前記処理レシピに係る1枚の被処理基板が得られる時間間隔であるサイクルタイムと、当該処理レシピに係る1枚の被処理基板が得られる時間間隔の最小値として前記処理レシピから規定されるレシピサイクルタイムとの差を、当該処理レシピの仮の待ち時間増加量として取得し、
    さらに、前記複数の処理レシピのそれぞれについて取得された前記仮の待ち時間増加量を総和して、仮のトータル待ち時間増加量として取得する仮のトータル待ち時間増加量取得手段と、
    前記複数個のベースサイクルタイム候補値のうちで、前記仮のトータル待ち時間増加量が最も小さいベースサイクルタイム候補値を、前記ベースサイクルタイムに決定するベースサイクルタイム決定手段と、
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記ベースサイクルタイム候補値取得手段が、
    前記複数の処理レシピのそれぞれのレシピサイクルタイムを自然数で割った値を、前記ベースサイクルタイム候補値として取得することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項2または3に記載の基板処理装置であって、
    前記ベースサイクルタイム候補値取得手段が、
    前記搬送機構が取りうる最小のサイクルタイムを、前記ベースサイクルタイム候補値として取得することを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記併存状態において、後続するレシピに係る基板が先行するレシピに係る基板を追い越す状況が発生すると予測される場合に、前記後続するレシピに係る基板を外部から前記基板処理装置へ受け入れるタイミングを所定時間遅らせるタイミング調整手段、
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
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