JP5274946B2 - 収穫機 - Google Patents
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Description
前記特許文献1に記載の収穫機は、前記選別ファンからの選別風に乗って前記揺動選別機構から後上方へ搬送される排塵等の小さな廃棄物を前記吸引ファンによって積極的に機外に排出させることができると共に、排稈等の大きな廃棄物を前記排稈処理部材によって細かく処理した状態で機外に排出させることができる点で有用である。
このような吸引ファンの目詰まりが生じると、前記選別ファンから前記揺動選別機構を通って後上方へ流れる選別風の流れが阻害され、結果として、前記選別部による選別性能が悪化する。
前記特許文献2に記載の収穫機は、排稈等の大きな廃棄物の排出経路と排塵等の小さな廃棄物の排出経路とを区別することで、排稈等の大きな廃棄物を前記排稈処理部材によって細かく処理した状態で機外に排出させつつ前記選別ファンからの選別風の流れを良好に維持しようとしている。
即ち、前記選別ファンから後上方へ送出された選別風は、前記揺動選別機構内において前記脱穀部からの脱穀物と衝突して速度が緩められた状態で、前記揺動選別機構から後上方へ流れ出る。従って、前記排風路を設けているにも拘らず、前記揺動選別機構を通過した選別風が前記排稈路へ流れ込む事態が生じ得る。
排稈等の大きな廃棄物の量が多い場合にこのような事態が生じると、前記排稈路に流れ込んだ選別風が前記排稈処理部材に反射して、前記揺動選別機構へ向かって逆流する流れを引き起こし、結果として、前記選別部による選別性能が悪化する。
また、前記特許文献2に記載の収穫機においては、前記排風路の上壁は、前記脱穀部の扱室の後端壁の下端から後方へ水平に延びており、前記揺動選別機構から後上方へ流れ出る選別風が前記上壁に反射して前記排稈路へ向かい易いという問題もある。
前記廃棄物排出部は、上流側開口が前記脱穀部における扱室の後端下方に設けられた排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排稈路と、前記排稈路内において機体幅方向に沿った回転軸回りに回転駆動可能に配設された排稈処理部材と、前記排稈路より後方に配設された排風路であって、上流側開口が排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排風路と、前記排風路内に配設された吸引ファンとを有している。
斯かる構成によれば、大きな廃棄物による前記吸引ファンの目詰まりを防止しつつ、前記選別ファンから供給され且つ前記揺動選別機構に作用した選別風を前記吸引ファンによってスムースに機外に排出することができる。
従って、前記選別ファンからの選別風の流れを良好に維持して前記収穫機の内部空間の圧力が選別風によって不当に上昇することを防止でき、これにより、前記選別部における選別性能の向上を図ることができる。さらに、前記選別物集約部が一番樋及び二番樋を有する場合においては前記二番樋に集約される二番物への屑混入の減少を図ることができる。
図1及び図2は、それぞれ、本発明の第1実施形態に係る収穫機1の側面図及び伝動模式図である。
本実施の形態においては、本発明に係る収穫機1として刈り取った穀稈全体を脱穀部にて脱穀処理する普通型コンバインを例示して説明する。
前記収穫機1は、図1及び図2に示すように、走行機体2と、前記走行機体2に支持された駆動源としてのエンジン3と、前記走行機体2に連結された左右一対の走行装置(本実施形態においては、クローラ式走行装置)4と、前記走行機体2の前方において該走行機体2に支持された刈取部30と、前記刈取部30によって刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部40と、前記刈取部30と前記脱穀部40との間に配設された搬送部20と、前記脱穀部40の下方に配設された選別部50と、前記選別部50によって選別された選別物を集約するように、前記選別部50の下方に配設された選別物集約部60と、前記脱穀部40及び前記選別部50からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部70と、前記走行機体2の右前方部分に配設された運転席5と、前記選別物集約部60によって集約された穀粒を収容するグレンタンク6であって、前記運転席5の後方に配設されたグレンタンク6と、前記グレンタンク6の後部から延出され、グレンタンク6内の穀粒を外部に排出する排出オーガ7とを備えている。
本実施の形態においては、前記刈取部30は、機体幅方向に沿った回転軸線回りに回転する刈取リールを有している。
また、前記搬送部20は、前記刈取部30の後端部と前記脱穀部40の前端開口とを連通するフィーダハウス21と、前記フィーダハウス21内に配設された搬送コンベア22とを有している。
前記脱穀部40は、前記走行機体2の機体幅方向一方側(左側)に配設されており、図2及び図3に示すように、脱穀機枠41によって画される扱室42と、前記扱室42内において前記エンジン3からの回転動力によって作動的に駆動される扱胴43とを有している。
本実施の形態において、前記扱胴43は、車輌前後方向に沿った回転軸44と、当該回転軸44回りに相対回転不能に支持された扱胴本体と、前記扱胴本体に前記回転軸44回りに螺旋状に配設された扱歯とを有している。前記回転軸44は、前記脱穀機枠41(前記扱室42の前端壁48及び後端壁47)によって支持される。
さらに、前記脱穀部40には、前記扱胴43の下方に脱穀物を漏下可能な受網45が設けられている。
また、前記扱室42の後端下方には、排稈口46が設けられている。
詳しくは、前記排稈口46は、前記受網45の後端部と前記扱室42の前記後端壁47との間に設けられた下方開口とされている。
本実施の形態において、前記揺動選別機構51は、揺動軸53(図2参照)の回転に伴って揺動することにより、前記脱穀部40において脱穀された脱穀物に対して比重選別を行うように構成されている。
前記揺動選別機構51は、図3に示すように、左右一対の揺動側板511と、前記脱穀部40から流下される脱穀物を受け止めるように前記左右一対の揺動側板511の間に配設されたフィードパン512と、前記脱穀部40から流下する脱穀物及び前記フィードパン512から送られてくる脱穀物を受け、該脱穀物から穀粒を揺動選別するように前記左右一対の揺動側板511の間に配設されたチャフシーブ機構513と、前記チャフシーブ機構513の後方において前記左右一対の揺動側板511の間に配設された再選別機構514とを有している。前記揺動選別機構51は、上下方向に関し前記脱穀部40と前記選別物集約部60との間に配置され且つ機体前後方向に一体的に揺動される。
具体的には、前記フィードパン512は上面が波状に形成された板体とされている。
本実施の形態においては、前記再選別機構514は、後述する一番流穀板611に後続するストローラック機構514aと前記ストローラック機構514aに後続する第2チャフシーブ機構514bを有している。
なお、前記複数の板状部材は、それぞれ、上面が波状に形成されており、これにより、排藁等の大きな不要物の後方への搬送を促進させている。
前記第2チャフシーブ機構514bは、前記ストローラック機構514aから送られてくる脱穀物に対して比重選別を行い、該脱穀物の一部を下方に位置する前記二番樋62に二番物として落下させるようになっている。
前記一番樋61は、図3に示すように、前記選別部50によって選別処理された一番物を集約し得るように前記揺動選別機構51の下方に配設された側面視凹状とされている。
詳しくは、前記一番樋61は、一番樋本体610と、該一番樋本体610とは別体とされた一番流穀板611とを備えている。
具体的には、前記一番樋本体610は、側面視において後方へ行くに従って下方に位置するように傾斜された一番前方側傾斜板612と、前記一番前方側傾斜板612より後方側に位置し且つ側面視において後方へ行くに従って上方に位置するように傾斜された一番後方側傾斜板613とを一体的に有しており、前記一番前方側傾斜板612及び前記一番後方側傾斜板613によって画される側面視凹状の一番集約空間61Sに一番物を集約させ得るように構成されている。
なお、前記一番集約空間61Sには、図2に示すように、機体幅方向に沿って一番コンベア614が配設されており、前記一番集約空間61Sに集約された一番物を前記一番コンベア614により前記グレンタンク6へ搬送する。
詳しくは、前記二番樋62は、二番樋本体620と、該二番樋本体620とは別体とされた二番流穀板621とを備えている。
具体的には、前記二番樋本体620は、側面視において後方へ行くに従って下方に位置するように傾斜された二番前方側傾斜板622と、前記二番前方側傾斜板622より後方側に位置し且つ側面視において後方へ行くに従って上方に位置するように傾斜された二番後方側傾斜板623とを一体的に有しており、前記二番前方側傾斜板622及び前記二番後方側傾斜板623によって画される側面視凹状の二番集約空間62Sに二番物を集約させ得るように構成されている。
なお、前記二番集約空間62Sには、図2に示すように、機体幅方向に沿って二番コンベア624が配設される。前記二番コンベア624の搬送方向下流端部には、還元筒625(図1参照)に内挿された状態で作動連結された二番還元コンベア626及び前記二番還元コンベア626に作動連結された二番上コンベア627が配設されている。
前記二番樋62に集約された二番物は、前記二番コンベア624、前記二番還元コンベア626及び前記二番上コンベア627を通じて前記脱穀部40の前記扱室42へ搬送され、再脱穀される。
本実施の形態において、前記選別ファン52は、図2及び図3に示すように、前記揺動選別機構51に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する唐箕ファン521を含んでいる。
具体的には、前記唐箕ファン521は、前記脱穀機枠41の両側板と、後方が開口とされた唐箕ファンケース5212とによって画される空間内に配設されており、後方且つ上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
より詳しくは、前記唐箕ファンケース5212は、図3に示すように、前記唐箕ファン521を囲繞する唐箕ファンケース本体5213と、前端部が前記唐箕ファンケース本体5213に流体接続され且つ後端部が斜め後方へ向けて開口された中空の風路ケース5214とを有している。
なお、前記脱穀機枠41の側板には、前記唐箕ファン521へ吸気させる吸入口が設けられている。
前記選別部50は、図3に示すように、前記セカンドファン522からの主選別風が、前記二番流穀板621とともに前記再選別機構514へ当たるように、前記セカンドファン522、前記再選別機構514、前記二番後方側傾斜板623及び前記二番流穀板621が配置されている。
前記セカンドファン522は、機体幅方向に沿ったセカンドファン用回転軸5221によって回転駆動されるように構成されている。
具体的には、前記セカンドファン522は、前記脱穀機枠41の両側板と、前記一番後方側傾斜板613及び前記二番前方側傾斜板622の間が開口とされたセカンドファンケース5222とによって画される空間内に配設されており、後上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
なお、前記脱穀機枠41の側板には、前記セカンドファン522へ吸気させる吸入口が設けられている。
具体的には、前記補助送風ファン523は、前記脱穀機枠41の両側板と、前記フィードパン512及び前記唐箕ファンケース5212の間が開口とされた補助送風ファンケース5232とによって画される空間内に配設されており、後上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
図4に、図3に示す収穫機1の部分内部側面図における廃棄物排出部近傍の部分拡大側面図を示す。
また、図5に、図1から図4に示す収穫機1の廃棄物排出部近傍の部分透過平面図を示す。
前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、上流側開口71aが前記排稈口46及び前記揺動選別機構51の後端の双方に連通され且つ下流側開口71bが機外に開放された排稈路71と、前記排稈路71より後方に配設された排風路72であって、上流側開口72aが前記排稈口46及び前記揺動選別機構51の後端の双方に連通され且つ下流側開口72bが機外に開放された排風路72とを有している。
前記廃棄物排出部70は、前記排稈路71内において機体幅方向に沿った回転軸741回りに回転駆動可能に配設された排稈処理部材74と、前記排風路72内に配設された吸引ファン73とを有している。
これにより、大きな廃棄物による前記吸引ファン73の目詰まりを防止しつつ、前記選別ファン52から供給され且つ前記揺動選別機構51に作用した選別風を前記吸引ファン73によってスムースに機外に排出することができる。
このため、排稈を機外に排出する前記排稈路71とは別に前記排稈路71の後方に前記排風路72を配設し、前記選別ファンからの選別風を前記吸引ファン73が収容された前記排風路72を介して機外へ送り出す本実施の形態は、普通型コンバインに好適に適用される。即ち、前記構成によれば、排稈量が比較的多くとも前記吸引ファン73の目詰まりを防止しつつ、前記選別ファン52から供給され且つ前記揺動選別機構51に作用した選別風を前記吸引ファン73によってスムースに機外に排出することができる。
さらに、前記排稈処理部材74は、少なくとも前方側の一部が平面視において前記排稈口46とオーバーラップするように配置されている。
上記構成によれば、前記篩い部材75が前記排風路72における前記吸引ファン73の上流側に位置する前記導通空間S1内に備えられているため、排稈等の大きな廃棄物が前記吸引ファン73に吸い込まれることを有効に防止することができ、これにより、前記吸引ファン73の吸引性能を良好に維持することができる。
しかも、前記篩い部材75によって止められた排稈等の大きな廃棄物は、下方に落下し、前記篩い部材75の下方に位置する前記排稈処理部材74で確実に処理される。
従って、排稈等の大きな廃棄物が前記篩い部材75の前面に吸い付くことを防止することができ、これにより、前記排風路72の風の流れを良好に維持することができる。
これにより、前記揺動選別機構51から流れ出る選別風を前記水平壁7221及び前記傾斜壁7222を通じて後上方へスムースに流すことができるため、前記選別風が前記上方壁722に反射して前記排稈路71へ向かうことを防止することができる。
さらに、前記篩い部材75は、前記水平壁7221に支持されている。
本実施の形態において、前記収穫機1は、図3から図5に示すように、前記排稈路71を形成する排稈ケーシング710を備えている。
本実施の形態において、前記排稈ケーシング710は、前記下流側開口71bを形成する後端開口が斜め後下方を向いている。
前記前方壁711は、前方側の上面が平面視において前記排稈口46とオーバーラップする状態で前記二番樋62(の前記二番後方傾斜板623)の後端部に連設されており、後方へ行くに従って下方に位置するように傾斜されている。
さらに、前記排稈ケーシング710の前記左右の側壁713は、前記前方壁711及び前記後方壁712の機体幅方向端部を連結している。
本実施の形態において、前記排稈処理部材74は、図3から図5に示すように、前記排稈ケーシング710に支持されている。
前記排稈処理部材74は、排稈等を細かく切断するために前記回転軸741に複数の切断刃742が植設されたチョッパー式のスプレッダとされる。
なお、前記排稈処理部材74は、前記チョッパー式のスプレッダに限られず、排稈を切断せずに拡散させつつ機外へ放出するスプレッダ等、種々の態様が適用され得る。
前記排稈処理部材74の前記回転軸741は、前記複数の切断刃742が前記回転軸741より上方において後方から前方へ移動する方向へ軸線回りに駆動される。
前記排稈処理部材74は、前記左右の側壁713間において機体幅方向全域にわたって配設されている。
さらに、前記吸引ファン73の前記回転軸731及び前記排稈処理部材74の前記回転軸741には、それぞれ軸線回り回転不能に支持された一対のプーリ734,744が設けられ、前記一対のプーリ734,744に伝動ベルト743が巻回されている。
この構成により、前記吸引ファン73の回転軸731は、前記排稈処理部材74の回転軸741の回転駆動により軸線回りに回転する。
本実施の形態において、前記収穫機1は、図3から図5に示すように、前記排風路72を形成する排風ケーシング720を備えている。
詳しくは、前記排風ケーシング720は、下方壁721、上方壁722及び左右の側壁723を有している。なお、図3及び図4においては、左側の前記側壁は図示を省略している。
さらに、前記排風ケーシング720は、前記排稈ケーシング710と機体幅方向に関し、略同じ長さを有している。即ち、前記排風ケーシング720の前記左右の側壁723と、前記排稈ケーシング710の前記左右の側壁713とは、左右それぞれにおいて略同じ平面を形成している。
また、前記上方壁722は、前記排稈口46の後端を画する前記扱室42の前記後端壁47の下端部に連結されている。
これにより、前記排稈口46から排出される排稈等の大きな廃棄物が前記吸引ファン73に吸引されることを防止しつつ、前記吸引ファン73の前下方に位置する前記選別ファン52からの選別風を効率よく前記吸引ファン73に引き込むことができる。
詳しくは、前記吸引ファン73は、前記ファン軸731と、前記ファン軸731の両端側に設けられた一対の支持板733と、前記ファン軸731を基準にして周方向に配列されるように前記一対の支持板733に支持された前記複数のフィン732とを有している。
前記吸引ファン73は、図5に示すように、前記左右の側壁723間において機体幅方向全域にわたって配設されている。
即ち、前記排稈処理部材74の排稈処理領域と前記吸引ファン73の吸引領域(後述)とは機体幅方向に関して略同じ長さを有している。
吸引ファンにおいては、吸引ファンの吸引領域の回転方向上流側端部近傍が前記吸引ファンの吸引領域のうち最も吸引力が大きい部分となる。
従って、本実施の形態におけるように、前記排稈路71より後方に配設された前記排風路72内に収容された前記吸引ファン73のファン軸731を前記フィン732が前記ファン軸731より上方において後方から前方へ移動する方向へ軸線回りに駆動させることで、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1の回転方向上流側端部を前記排風路72の後側に位置させている。
即ち、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1のうち最も吸引力が大きい部分(吸引力最大領域X1)が前記排稈路71から離間した位置となる。
従って、上記構成を備えることにより、前記選別ファン52からの選別風の多くは、前記排稈路71より後方に配設された前記排風路72において前記吸引ファン73の上方に位置する前記吸引上方空間S2を通じて前記排稈路71から離間した位置にある前記吸引ファン73の前記吸引力最大領域X1に送られる。
このように、前記選別ファン52で送出された選別風の多くが前記排稈路71から離間した位置で前記吸引ファン73に吸引されるため、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73の吸引力によって前記排風路72に吸い込まれることを有効に防止することができる。
従って、前記吸引ファン73の目詰まりを防止して該吸引ファン73の吸引性能を良好に維持し、前記選別部50における選別性能を向上させることができる。
本実施の形態においては、前記前側近接点A3は、前記吸引ファン73における前記吸引領域A1の回転方向下流側の端部を画している。
なお、前記前側近接点A3は、前記吸引ファン73における前記吐出領域A2の回転方向上流側の端部を画しているとも言える。
本実施の形態においては、前記後側近接点A6は、前記吸引ファン73における前記吸引領域A1の回転方向上流側の端部を画している。
即ち、前記排風路72内における前記後側近接点A6の上流側近傍が前記吸引力最大領域X1となる。
なお、前記後側近接点A6は、前記吸引ファン73における前記吐出領域A2の回転方向下流側の端部を画しているとも言える。
即ち、前記吸引ファン73において、前記第1及び第2境界面B1,B2より前記排風路72の上流側が前記吸引領域A1となり、前記第1及び第2境界面B1,B2より前記排風路72の下流側が前記吐出領域A2となる。
なお、本実施の形態においては、前記第1境界面B1及び前記第2境界面B2は略同一平面とされている。
これにより、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1のうち最も吸引力が大きくなる回転方向上流側端部近傍(前記吸引力最大領域X1)を前記上流側開口72aに対して奥まった位置に位置させることができる。従って、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71からより離間させることができ、これにより、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73によって吸引されて排風路72に流れ込むことをより有効に防止して、前記吸引ファン73の目詰まりを防止することができる。
本実施の形態において、前記吐出湾曲領域A5は、前記前側近接点A3から後端部に向かうに従って、前記ファン軸731より離間するように湾曲されている。これにより、前記吸引ファン73の吐出効率をより向上させることができる。
より詳しくは、前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、前記排稈路71と前記排風路72とを仕切る仕切り部材80を有している。前記仕切り部材80は、一端側が前記排稈ケーシング710の後方壁712に連結され、他端側が前記排風ケーシング720の下方壁721に連結されており、中間部が上方に凸となる側面視三角形状を有している。前記中間部の頂部は、前記排稈処理部材74の回転軌跡の上端より上方に位置し、前記吸引ファン73の回転軌跡の上端より下方に位置している。
このように、前記排稈路71と前記排風路72とを仕切る前記仕切り部材80において、中間部が上方に凸となる側面視三角形状を有し、しかも前記中間部の頂部が前記排稈処理部材74の回転軌跡の上端より上方且つ前記吸引ファン73の回転軌跡の上端より下方に位置しているため、前記排稈路71内に導入された排稈等の大きな廃棄物が前記排稈処理部材74の回転等により前記排風路72へ向かうことを防止することができる。
なお、前記仕切り部材80は、前記排稈ケーシング710の後方壁712に一体的に形成されてもよいし、前記排風ケーシング720の下方壁721に一体的に形成されてもよいし、前記後方壁712及び前記下方壁721とは別体として形成されてもよい。あるいは、前記後方壁712及び前記下方壁721が前記仕切り部材80を介して一体的に形成されてもよい。
本実施の形態において、前記上方壁722は、前記左右の側壁723及び前記排稈処理部材74の回転軌跡とともに前記導通空間S1を画している。前記導通空間S1は、前記排稈処理部材74の上方に位置している。
さらに、前記上方壁722は、前記左右の側壁723及び前記吸引ファン73とともに前記吸引上方空間S2を画している。
前記吸引上方空間S2は、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1に接している。
上記構成を有することにより、前記排風路72に流れ込んだ風が前記吸引ファン73の前方から吸引されることを有効に防止することができる。即ち、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71から離間させることができる。従って、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73によって吸引されて前記排風路72に流れ込むことをより有効に防止することができ、これにより、前記吸引ファン73の目詰まりを防止することができる。
上記構成を有することにより、前記排風路72に流れ込んだ風を前記吸引ファン73の後方から吸引することができる。従って、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71からより離間させることができ、これにより、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73によって吸引されて排風路72に流れ込むことをより有効に防止して、前記吸引ファン73の目詰まりを防止することができる。
より具体的には、前記上方壁722の前記上側吸引ガイド領域A7は、前記扱室42の後端壁47の下端から後方へ水平に延びる前記水平壁7221と、前記水平壁7221の後端から後上方へ延びる前記傾斜壁7222と、前記傾斜壁7222の後端から前記ファン軸731を越えて後方へ水平に延びる吸引上方壁7223とを有している。
より具体的には、前記上方壁722の前記後側吸引ガイド領域A8は、前記吸引上方壁7223の後端部から後下方へ延びる後方連通壁7224と、前記後方連通壁7224の後端部から下方へ延び、下端部が前記ファン軸731より上方に位置する吸引後方壁7225と、前記吸引後方壁7225の下端部から前下方へ延び、下端部が前記吸引ファン73に近接することにより前記後側近接点A6となる吸引下方壁7226とを有している。
これにより、前記吸引ファン73の吸引領域A1のうち最も吸引力の大きい部分である前記吸引ファン73の吸引領域A1の回転方向上流側端部近傍(前記吸引力最大領域X1)に前記排風路72内の風の流れを効率よく導くことができるため、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71から離間させることができる。
また、前記吐出空間S3は、前記吸引ファン73の前記吐出領域A2に接している。
前記共通の上流側開口の後下方には、前記排稈処理部材74が配置され、前記共通の上流側開口の後方には、前記吸引ファン73が配置される。
即ち、例えば、前記排風ケーシング720は、前記排風路72の上流側開口72aが前記排稈路71の上流側開口71aとは独立して設けられるように形成されてもよい。
本実施の形態において、前記篩い部材75の上端部(基端部)は、図4に示すように、前記排風ケーシング720の前記上方壁722の前記水平壁7221に支持されている。
これにより、前記篩い部材75に固着した排稈等の大きな廃棄物が前記排稈処理部材74によって脱離され易くなる。
詳しくは、前記排風ケーシング720の前記左右の側壁723に機体幅方向に沿って延びる規制部材76が支持されている。
上記構成によれば、前記規制部材76により前記篩い部材75が前高後低状に位置されるため、前記排稈口46から排出される排稈等の大きな廃棄物を効率よく前記排稈路71に導くことができる。
さらに、前記篩い部材75が揺動しても前記規制部材76により前記篩い部材75の自由端部が基端部より前方へ位置することが防止されるため、前記排稈口46から排出される排稈等の大きな廃棄物を前記二番樋62に集約される二番物へ混入させることを有効に防止することができる。
図6に示す例における篩い部材75Bは、篩い部材本体750aと、前記篩い部材本体750aを揺動させる揺動操作部材750bとで構成されている。
前記篩い部材本体750aは、前記水平壁7221に支持された揺動軸751に相対回転不能に支持された背面視門形の基部752と、前記基部752の上面に取り付けられたくし状の篩い板753と、前記基部752の下方において前記基部752より後方に延設されたアーム部754とを有している。前記アーム部754には、側面視略U字状のガイド部材754aが固設されている。
従って、このような簡単な構成を用いて前記篩い部材75Bを積極的に揺動させることができ、大きな廃棄物が前記排風路72に進入するのを有効に防止しつつ、前記篩い部材75Bに排稈が引っ掛かる等して前記排風路72への選別風の流れが遮られることを有効に防止することができる。
前記廃棄物排出部70は、前記吸引ファン73の吸引量が調整可能とされ得る。
上記構成によれば、前記選別ファン52から供給され前記揺動選別機構51に作用した後の選別風を前記吸引ファン73によって吸引して機外に排出するという風の流れを脱穀量や選別量に応じて良好に維持することができ、これにより、脱穀量や選別量の変動に拘わらず選別性能を向上させることができる。
また、排稈に含まれる水分が多い場合には、前記吸引ファン73の吸引量を大きくし、排稈が乾いている場合には、前記吸引ファン73の吸引量を小さくする。
さらに、前記吸引ファン73の吸引量は、脱穀される穀稈の品種によっても調整することが好ましい。例えば、稲に比べて比重が軽い蕎麦に対しては前記吸引ファン73の吸引量を稲の場合と比べて小さくする。
本実施の形態においては、図7に示すように、前記排風路72を形成する排風ケーシング720Bのうち前記吸引ファン73より上流側に位置する部分には開口77が設けられ、前記開口77の開口度が開口調整部材78によって調整可能とされている。
即ち、前記開口調整部材78により前記開口77の開口度を大きくすることで、前記吸引ファン73の吸引量を小さくし、前記開口調整部材78により前記開口77の開口度を小さくすることで、前記吸引ファン73の吸引量を大きくすることができる。
上記構成によれば、前記吸引ファン73より上流側に設けられた前記開口77の開口度を調整することにより、前記吸引ファン73の吸引量を容易に調整することができる。
上記構成によれば、前記開口77が前記吸引ファン73の吸引領域A1のうち最も吸引力の大きい部分である前記吸引ファン73の吸引領域A1の回転方向上流側端部近傍(前記吸引力最大領域X1近傍)に設けられることになる。
従って、前記開口調整部材78により前記開口77の開口度を調整することによる前記吸引ファン73の吸引量の変化量を大きくすることができる。
なお、開口調整部材78は、前記開口77の開口度が調整可能な開閉弁構造を有する限り上記構成に限られない。
図8に、図7に示す収穫機1Bの伝動模式図を示す。
本実施の形態においては、図8に示すように、前記収穫機1Bの前記エンジン3から前記吸引ファン73へ至る伝動経路には、吸引ファン変速機構79が設けられ、前記吸引ファン変速機構79によって前記吸引ファン73の回転数が変更可能とされている。
そして、前記吸引ファン変速機構79は、前記第1及び第2伝動ベルト743a,743bの何れかにテンションを選択的に付加することにより、前記吸引ファン73の前記ファン軸731の回転数を変更するように構成されている。
上記構成によれば、前記吸引ファン変速機構79によって前記吸引ファン73の回転数を変更することにより、前記吸引ファン73の吸引量を直接的に調整することができる。
40 脱穀部
42 扱室
46 排稈口
47 扱室の後端壁
50 選別部
51 揺動選別機構
52 選別ファン
60 選別物集約部
70 廃棄物排出部
71 排稈路
71a 排稈路の上流側開口
71b 排稈路の下流側開口
72 排風路
72a 排風路の上流側開口
72b 排風路の下流側開口
73 吸引ファン
74 穀稈処理部材
75,75B 篩い部材
7221 水平壁
7222 傾斜壁
S1 導通空間
S2 吸引上方空間
Claims (3)
- 刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部の下方に受網を介して配設された揺動選別機構及び前記揺動選別機構に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する選別ファンを含む選別部と、前記選別部によって選別された選別物を集約するように前記揺動選別機構の下方に配設された選別物集約部と、前記脱穀部及び前記選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部とを備え、
前記廃棄物排出部は、上流側開口が前記脱穀部における扱室の後端下方に設けられた排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排稈路と、前記排稈路内において機体幅方向に沿った回転軸回りに回転駆動可能に配設された排稈処理部材と、前記排稈路より後方に配設された排風路であって、上流側開口が前記排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排風路と、前記排風路内に配設された吸引ファンとを有し、
前記排稈処理部材は、少なくとも前方側の一部が平面視において前記排稈口とオーバーラップするように配置されており、
前記排風路は、前記上流側開口に後続する導通空間であって、前記受網の機体後方側への延長線上で且つ前記排稈処理部材の上方に位置する導通空間と、前記導通空間に後続し且つ前記吸引ファンの上方に位置する吸引上方空間とを有し、
前記導通空間には篩い部材が備えられていることを特徴とする収穫機。 - 前記導通空間の上端を画する上壁は、前記扱室の後端壁の下端から後方へ水平に延びる水平壁と、前記水平壁の後端から後上方へ延びる傾斜壁とを含み、
前記篩い部材は、前記水平壁に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の収穫機。 - 前記篩い部材は、上端部が機体幅方向に沿った軸線回り揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収穫機。
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