JP5274185B2 - ヒートポンプ式乾燥機 - Google Patents
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Description
また、前記冷媒は二酸化炭素冷媒である構成としても良い。この構成によれば、圧縮比を上記した2.3以上3未満とした場合であっても、放熱器で加熱されて収容室内に供給される空気温度を乾燥可能な最低温度以上に保つことができ、省エネ乾燥運転時の乾燥機能を損なうことはない。
図1は本発明を適用した乾燥機の一実施の形態を示している。図1において、1はヒートポンプ式乾燥機であり、2は周壁に多数の透孔を形成した円筒形の回転ドラムであり、このドラム2内の収容室2Aにおいて衣類(被乾燥物)の乾燥が行われる。このドラム2は図示しないドラムモータによって回転される。
圧縮機5は、冷凍サイクルの高圧側で冷媒を超臨界圧力まで圧縮できる内部中間圧型多段圧縮式のロータリコンプレッサであり、図示しない密閉容器内に電動要素と、この電動要素にて駆動される第1の回転圧縮要素(1段目)及び第2の回転圧縮要素(2段目)が設けられる。冷媒導入管16から圧縮機5の第1の回転圧縮要素に低圧冷媒が導入され、第2の回転圧縮要素で圧縮された高温高圧の冷媒が圧縮機5から冷媒吐出管17に吐出される。
この冷媒吐出管17にはガスクーラ9の入口に接続され、このガスクーラ9の出口はキャピラリチューブ10を有する配管12を介して蒸発器11の入口に接続されている。この蒸発器11の出口は、冷媒導入管16を介して圧縮機5の吸込側に接続されている。
また、圧縮機5の運転は運転モード設定手段21などを備えた制御装置(運転制御手段)20により制御されている。この制御装置20はドラム2の収容室2A内に収容された被乾燥物が変色及び損傷しないように吐出冷媒圧力やドラム2の空気出口温度等に基づいて圧縮機5の運転周波数を制御する。
空気循環経路18には、ドラム2に流入する空気入口温度を検出する入口温度センサ13と、ドラム2から流出する空気出口温度を検出する出口温度センサ14と、ヒートポンプ式乾燥機1が設置された空間の雰囲気温度を検出する室温センサ15とを備える。これら各センサ13〜15は制御装置20に接続されて温度検出手段として機能する。
図2は、通常乾燥運転モードにおける冷媒圧力Pとエンタルピhとの関係を示すP−h線図であり、図3は、省エネ乾燥運転モードにおける冷媒圧力Pとエンタルピhとの関係を示すP−h線図である。
これら図2及び図3において、A1〜G1、A2〜G2は、各乾燥運転における運転開始からそれぞれ10分後(A1,A2)、20分後(B1,B2)、30分後(C1,C2)、40分後(D1,D2)、60分後(E1,E2)、90分後(F1,F2)、120分後(G1,G2)の冷凍サイクルを示している。
具体的には、運転開始10分後の圧縮比は、図2に示すように、冷凍サイクルA1における高圧HA1と低圧LA1との比であり、
HA1/LA1=11.4/2.7=4.2
となり、このときの冷媒吐出温度は90℃を超えている。
また、運転開始20分後の冷凍サイクルB1での圧縮比は、
HB1/LB1=11.9/3.2=3.7
となり、このときの冷媒吐出温度は約110℃に至っている。
さらに、運転開始120分後の冷凍サイクルG1での圧縮比は、
HG1/LG1=12.0/4.0=3.0
となり、このときの冷媒吐出温度は約110℃を保っている。
本実施形態では、通常乾燥運転モードにおける圧縮機の運転周波数は、冷凍サイクルの状態から許容され得る最大の値に設定されている。これによれば、圧縮機5を最大能力で運転することにより、より高温の空気をドラム2内に供給することができるため、乾燥時間の短縮を図ることができる。
冷凍サイクルの成績係数は、一般的に圧縮機への投入電力量Aと蒸発器における吸熱量Bとの比(B/A:冷却COP)、あるいは、当該投入電力量Aと放熱器Cにおける放熱量Cとの比(C/A:加熱COP)で算出され、この値が大きいほど運転効率が良い、すなわち省エネルギ化に寄与することとなる。このため、上記した観点に立てば、圧縮比は小さいほど望ましい。
一方、省エネ乾燥運転モードにおいても、所定時間内に衣類を乾燥させることを要求されるため、冷媒吐出温度をある程度まで上昇させる必要がある。圧縮比が2.3を下回ると、ドラム2の収容室2A内に供給される空気温度は約40℃まで上昇するが、この程度の空気温度では、衣類が乾燥するまでに長時間かかるため乾燥機能が損なわれる。
この図3では、運転開始10分後の圧縮比は、
HA2/LA2=8.1/3.1=2.6
となり、運転開始20分後の冷凍サイクルB2での圧縮比は、
HB2/LB2=8.6/3.3=2.6
となり、運転開始120分後の冷凍サイクルG2での圧縮比は、
HG2/LG2=10.2/3.9=2.6
と、ほぼ2.6となるように圧縮機5の運転周波数が制御されている。
この冷凍サイクルでは、通常乾燥運転モードでのサイクルに比べて、成績係数を大きく取ることができるため、省エネルギ化を図ることができるともに、圧縮機5の冷媒吐出温度を運転開始から20分後に70℃以上にまで高めることができる。このため、ガスクーラ9にてこの温度の吐出冷媒と熱交換することにより、ドラム2に流入する空気温度を約60℃まで高めることができ、乾燥機能を十分に確保することができる。従って、圧縮比を2.6で運転することにより、乾燥時間と省エネとの両立を図ることができ、最適な条件での省エネ乾燥運転を実現することができる。
このため、循環する空気温度が一定温度以上になるまでは、蒸発器を流れる冷媒の温度が0℃以下となることもあり、蒸発器で発生した結露水が当該蒸発器において凍結して、風路を塞いでしまう可能性がある。その結果、収容室及び風路内の空気を循環させることができなくなり、乾燥効率が悪くなるという問題がある。
本実施形態では、省エネ乾燥モードの運転中に、圧縮機5の運転周波数を上昇させさせることにより、空気循環経路18内の熱こもりを発生させて蒸発器への着霜を回避するようになっている。
図4は、着霜を回避する運転の動作を示すフローチャートである。
ヒートポンプ式乾燥機1が省エネ乾燥運転モードで運転されている場合、制御装置20は、圧縮機5の運転周波数を省エネ乾燥運転モードに適した省エネ運転周波数(本実施形態では40Hz)で運転する。
まず、省エネ乾燥運転モードの開始時又は運転中に、制御装置20は、入口温度センサ13によってドラム2入口の空気入口温度を検出する(ステップS1)。続いて、制御装置20は、検出した空気入口温度が所定の着霜基準温度(例えば10℃)以上であるか否かを判別する(ステップS2)。この着霜基準温度は、この温度環境下でヒートポンプ装置3を運転した際に、蒸発器11に着霜が生じるおそれのある温度をいう。
この判別において、空気入口温度が所定の着霜基準温度以上であれば(ステップS2;Yes)、蒸発器11へ着霜するおそれは少ないため、制御装置20は、圧縮機5の運転周波数をそのまま維持した運転を行い(ステップS3)、処理を終了する。
このため、圧縮機5の運転周波数を70Hzに上昇させると、上述のように、圧縮機5の冷媒吐出温度が上昇するとともに、当該圧縮機5を駆動する電気エネルギが熱エネルギに変化して空気循環経路18内の空気に与えられることにより、当該空気循環経路18内に熱こもりが促進される。これによれば、図6に破線で示すように、(1)の工程でドラム2の空気入口温度を約80℃まで上昇させることができ、空気循環経路18内の空気温度を上昇させることができるため、この空気温度の上昇に伴って、蒸発器11へ流入する空気の温度が上昇し、霜の融解を促進するとともに、蒸発器11を流れる冷媒の蒸発温度も上昇し、省エネ乾燥運転時における蒸発器11への着霜が回避される。
この判別において、圧縮機5の運転周波数を乾燥運転周波数に上昇させてから所定時間が経過していない場合(ステップS5;No)には、この所定時間が経過するまで待機する。一方、圧縮機5の運転周波数を乾燥運転周波数に上昇させてから所定時間が経過した場合(ステップS5;Yes)には、制御装置20は、図5に破線で示すように、圧縮機5の運転周波数を元の値(40Hz)に戻し(ステップS6)、上記(1)の工程を終了してそのまま(2)の工程に移行して処理を終了する。
さらに、本実施形態では、冷媒回路4を循環する冷媒として二酸化炭素を用いているため、圧縮比を上記した2.3以上3未満とした場合であっても、ガスクーラ9で加熱されて収容室2A内に供給される空気温度を乾燥可能な最低温度以上に保つことができ、省エネ乾燥運転時の乾燥機能を損なうことはない。
また、本実施形態では、膨張手段としてキャピラリチューブ10を備える構成について説明したが、これに限るものではなく、電子膨張弁を備える構成であっても良い。この場合、電子膨張弁の開度調整を行うことにより、上記した圧縮比に制御する構成としても良い。また、本実施形態では、ヒートポンプ装置3を用いたヒートポンプ式乾燥機を説明したが、ヒートポンプ式洗濯乾燥機や図示しない洗浄液循環路を設けたドライクリーナにも適用が可能である。
2 回転ドラム
2A 収容室
3 ヒートポンプ装置
4 冷媒回路
5 圧縮機
9 ガスクーラ
11 蒸発器
13 入口温度センサ
14 出口温度センサ
15 室温センサ
16 冷媒導入管
17 冷媒吐出管
18 空気循環経路
20 制御装置(運転制御手段)
21 運転モード設定手段
28 ファン
Claims (2)
- 被乾燥物を収容する収容室と、圧縮機、放熱器、膨張手段及び蒸発器等から冷媒回路が構成されたヒートポンプとを備え、前記圧縮機から吐出された二酸化炭素冷媒を放熱器、膨張手段、蒸発器へと流すと共に、前記放熱器から収容室内を経て蒸発器に風路を通じて空気を循環させることにより、前記収容室内で前記被乾燥物を乾燥させるヒートポンプ式乾燥機において、
前記圧縮機の圧縮比が3以上となる範囲で乾燥運転を行い、前記収容室内に80℃以上の空気を連続して供給する第1の乾燥運転モードと、当該圧縮比が2.3以上3未満となる範囲で乾燥運転を行い、前記第1の乾燥運転モードよりも消費電力を低減しつつ前記収容室内に60℃以上の空気を連続して供給する第2の乾燥運転モードとを備えるとともに、これら各乾燥運転モードを切り換え可能に前記圧縮機の運転周波数を制御する運転制御手段を備えることを特徴とするヒートポンプ式乾燥機。 - 前記第1の乾燥運転モードでは、前記圧縮機の運転周波数を、冷凍サイクルの状態から許容され得る最大の値に設定することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式乾燥機。
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