JP5273372B2 - γ−オリザノールを光安定化し繊維に付着させる方法およびこれを処理した繊維製品 - Google Patents

Description

本発明は、γ−オリザノールにビタミンＥ類を併用し、油剤に溶解させ、繊維に加工することにより、光による分解を抑制することが出来、肌着やシャツ等の衣料分野に利用できる。

γ−オリザノールは米胚芽に含まれているオイルに溶ける性質の生理活性成分であり、血液の循環促進、加齢による皮膚の機能低下を防ぐ効果が知られ、スキンケア加工等に注目されている薬剤であるが、そのままでは光により分解してしまい生理活性効果が持続しないという問題がある。

特許２９６８２９７号では、γ−オリザノールを繊維に固着し、肌荒れを防止するが試みがある。しかしながら、洗濯耐久性を得る事ができても、日光下で暴露させると光で分解してしまう欠点がある。

特開２００７−２５８１６５では、γ−オリザノールを水溶性抗酸化剤と併用して、水溶液中で安定化しているが、これでは繊維に加工した場合、水洗により水溶性抗酸化剤が脱落してしまい、生理活性効果を得る事が困難である。

本発明は、γ−オリザノールを繊維に付着せしめ、生理活性効果を持続させる事を目的とするものである。

本発明は、γ−オリザノールをビタミンＥ類と共に油剤に溶解しエマルジョン化して繊維に付着せしめることに基づくものであり、このことにより前記課題を解決する事が判明した。

本発明は、繊維に、γ−オリザノールと酢酸α−トコフェロールを油剤に溶解させ繊維に付着させることにより、優れた光安定性を与えることが出来る効果がある。

発明を実施する為の最良の形態

本発明に用いる繊維とは、綿、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、ポリノジック、アセテート等の再生繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維で、これらを１種または２種以上を混紡したものであってもよい。

上記γ−オリザノールを水に乳化させる界面活性剤は、非イオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤を用いることが好ましいが、特に制限されるものではない。

本発明の機能性繊維の製造方法としては、まずγ−オリザノールおよび酢酸α−トコフェロールを油剤に溶解させ、次に界面活性剤を配合し、８０℃に加熱し溶解させた後、同じく８０℃の水を加え乳化液を作成し、繊維を浸漬、乾燥処理すればよい。

また、油剤の濃度は特に限定されないが、γ−オリザノールおよび酢酸α−トコフェロールと同量またはそれ以上が好ましい。

洗濯耐久性を向上させる為には各種併用バインダー、例えばポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂等を使用すればよい。

本発明で得られた機能性繊維に付着したγ−オリザノールは、酢酸α−トコフェロールを使用しないときに比べて飛躍的に光安定性があがり、繊維加工後、２ヶ月間、暴露試験を行なっても、残存が認められる。

以下の実施例により本発明を具体的に報告する。尚、γ−オリザノールの生理活性効果の測定方法としては、各加工試料をアセトンで３回抽出した後、エバポレーターで濃縮し、ＤＰＰＨラジカル消去法にて紫色の退色により確認した。

（実施例１）γ−オリザノール（１５部）および酢酸α−トコフェロール（１５部）を流動パラフィン（１７０部）に溶解させ、ノニオン系界面活性剤（１００部）（ＮＩＫＫＯＬ（日光ケミカルズ））、グリセリン（５０部）を混合し、８０℃で加熱溶解し、同じく８０℃の水（６５０部）を加えていき、乳化液（１０００部）を得た。

（実施例２）実施例１の酢酸α−トコフェロールの量を１．５部に変えた他は実施例１と同じ方法で乳化物を得た。

（実施例３）実施例１の酢酸α−トコフェロールをα−トコフェロールに変えた他は実施例１と同じ方法で乳化物を得た。

（比較例１）実施例１から酢酸α−トコフェノールを抜いた他は実施例１と同じ方法で乳化物を得た。

（比較例２）実施例１からγ−オリザノールを抜いた他は、実施例１と同じ方法で乳化物を得た。

（比較例３）実施例１からγ−オリザノール、酢酸α−トコフェノールを抜いた他は、実施例１と同じ方法で乳化物を得た。

各配合割合を表１に示した。

綿ニットを表１に示す乳化物の１０％水溶液に浸漬し、絞り率９０％で較った後、１１０℃で１０分間熱処理し、各試料を得た。

各試料を屋外で暴露し、ＤＰＰＨラジカル消去能力を測定した。

各試験結果を表２に示した。

表２よりγ−オリザノールに酢酸α−トコフェロールを加えて乳化させた試料は抗酸化効果が認められ、長期間の光安定性が向上したことは明らかである。

本発明は、γ−オリザノールを光安定化させ、繊維に付着させる事が出来るので、持続性のある生理活性効果を付与した繊維製品を提供することが可能である。

Claims (5)

1. γ−オリザノールにビタミンＥ類を併用することで、γ−オリザノールの光による分解を抑制する繊維処理方法。
2. γ−オリザノールとビタミンＥ類の割合が１０：１〜１：１０であり、油剤に溶解後、エマルジョン化して、繊維に処理する方法。
3. 常温で液体であって、請求項１に示すγ−オリザノールとビタミンＥ類を溶解させる炭化水素、エステル油、植物油を請求項２の油剤として使用する繊維処理方法。
4. 酢酸α−トコフェロール、α−トコフェロール、α−トコトリエノールから選ばれる少なくとも１種の薬剤を請求項１のビタミンＥ類として使用する繊維処理方法。
5. 請求項１〜４いずれかにより処理された繊維および繊維製品。