(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる燃料供給システムの異常判定装置を、ディーゼルエンジンの燃料供給システムに適用した第1の実施形態について、図1〜5を参照して説明する。尚、図1はこの発明にかかる燃料供給システムの概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように本実施形態にかかる燃料供給システムは、ディーゼルエンジンの各気筒に対して1つずつ、合計4つの燃料噴射弁20a,20b,20c,20dを備えている。各燃料噴射弁20a〜20dは、それぞれ分岐通路31a〜31dを介してコモンレール30に接続されている。すなわち、第1気筒に設けられた燃料噴射弁20aは図1に示されるように分岐通路31aを介してコモンレール30に接続されており、第2気筒に設けられた燃料噴射弁20bは分岐通路31bを介してコモンレール30に接続されている。そして、第3気筒に設けられた燃料噴射弁20cは分岐通路31cを介してコモンレール30に接続されており、第4気筒に設けられた燃料噴射弁20dは分岐通路31dを介してコモンレール30に接続されている。
コモンレール30は、供給通路32を介して燃料タンク33に接続されており、供給通路32の途中には燃料ポンプ34が設けられている。これにより、この燃料ポンプ34によって圧送された燃料が、コモンレール30内に蓄えられ、コモンレール30及び分岐通路31a〜31dを介して各燃料噴射弁20a〜20dに供給されるようになっている。
また、各燃料噴射弁20a〜20dには、リターン通路35が接続されている。リターン通路35は燃料タンク33に接続されており、噴射されなかった燃料の一部がこのリターン通路35を通じて燃料噴射弁20a〜20dから燃料タンク33に戻されるようになっている。
このように構成された本実施形態にかかる燃料供給システムは、ディーゼルエンジンを統括的に制御する電子制御ユニット40によって制御される。電子制御ユニット40には、機関冷却水温THWを検出する水温センサ41、機関回転速度NEを検出する回転速度センサ42、吸入空気量GAを検出する吸気量センサ43、車速SPDを検出する車速センサ44、アクセル操作量ACCPを検出するアクセルセンサ45、燃料温度THFを検出する燃料温度センサ46等が接続されている。
また、図1に示されるように各燃料噴射弁20a〜20dには、供給されている燃料の圧力である燃料圧力PQを検出する圧力センサ47がそれぞれ設けられており、電子制御ユニット40にはこの圧力センサ47もそれぞれ接続されている。
電子制御ユニット40は、これら各種センサ41〜47から出力される信号を取り込み、その信号に基づいて各種演算を行う。そして、その演算結果に応じて燃料噴射制御を実行する。
例えば、吸入空気量GAや機関回転速度NE、燃料圧力PQ、アクセル操作量ACCP等に基づいて、噴射パターンを選択し、同噴射パターンに即した噴射時期及び噴射量となるように各燃料噴射弁20a〜20dの開閉時期の目標値をそれぞれ算出する。そして、これらの目標値に対応するように各燃料噴射弁20a〜20dに噴射指令として開弁指令及び閉弁指令を出力し、各燃料噴射弁20a〜20dを各別に開閉駆動する。これにより、そのときどきの機関運転状態に適した噴射パターンで同機関運転状態に見合う量の燃料が各燃料噴射弁20a〜20dから噴射されるようになる。
尚、本実施形態にかかる燃料供給システムにあっては、メイン噴射やパイロット噴射、アフター噴射等を組み合わせた複数の噴射パターンが予め設定されて電子制御ユニット40に記憶されており、燃料噴射制御に際して、予め記憶されたこれらの噴射パターンの中からそのときどきの機関運転状態に適した噴射パターンが選択されるようになっている。
次に本実施形態にかかる燃料噴射弁20aの断面図である図2を参照して燃料噴射弁20aの内部構造及び圧力センサ47の取り付け位置について説明する。尚、各燃料噴射弁20a〜20dの構造は同じであるため、以下では燃料噴射弁20aの構造のみを詳しく説明し、燃料噴射弁20b〜20dの構造についてはその説明を割愛する。
図2の下方に示されるように、燃料噴射弁20aのハウジング21の内部には、ニードル弁22を収容する収容空間21aが形成されている。また、ハウジング21の先端部には、ハウジング21を貫通して外部に連通する噴孔21bが設けられている。
収容空間21aには、ニードル弁22がその軸方向、すなわち図2における上下方向に摺動可能に収容されている。また、収容空間21aには、分岐通路31aと連通している導入通路21cが接続されており、分岐通路31aを通じてコモンレール30側から供給される燃料がこの導入通路21cを通じて収容空間21aに導入される。図2の上方に示されるように、圧力センサ47は燃料噴射弁20aの上部に設けられており、この導入通路21c内の燃料の圧力を燃料圧力PQとして検出する。
尚、図2に示されるようにニードル弁22は、スプリング23によって図2の下方に向かって常に付勢されている。そして、図2に示されるようにニードル弁22の先端部がハウジング21の先端側の内周面に着座しているときには、収容空間21a側から噴孔21b側への燃料の導入が停止され、燃料の噴射が停止されるようになっている。
ハウジング21内におけるニードル弁22の後端側の部分には、背圧室21dが形成されている。この背圧室21dは図2に示されるように制御室21eを介して収容空間21aに連通されている。
制御室21eには、リターン通路35に接続された排出通路21gに連通する排出孔21fが設けられており、制御室21eにはこの排出孔21fを閉塞する制御弁24が収容されている。尚、制御弁24はスプリング25によって排出孔21fを閉塞する方向に常に付勢されている。
ハウジング21内における排出孔21fを挟んで制御弁24と対向する位置には、圧電効果によって伸縮するピエゾ素子を積層したピエゾ素子アクチュエータ26が配設されている。そして、このピエゾ素子アクチュエータ26の先端部26aが、排出孔21fの内部で制御弁24に当接している。ピエゾ素子アクチュエータ26は、図示しない駆動回路に電荷が充電されることによって伸長する一方、駆動回路に蓄えた電荷が放電されることによって収縮するアクチュエータであり、電子制御ユニット40によって操作される駆動電流に応じて伸縮する。
駆動回路に電荷が蓄えられていないときには、ピエゾ素子アクチュエータ26は収縮しており、図2に示されるように制御弁24がスプリング25の付勢力によって排出孔21fを閉塞する位置に保持されている。これにより、導入通路21cを通じて導入された燃料は収容空間21a、制御室21e、背圧室21dに充填されるようになり、ニードル弁22の収容空間21a側の部分に作用する燃料の圧力と、背圧室21d側の部分に作用する燃料の圧力がともに高い状態に保持される。
このとき、ニードル弁22の収容空間21a側の部分に作用する燃料の圧力と、ニードル弁22の背圧室21d側の部分に作用する燃料の圧力との間には大きな差は生じないため、ニードル弁22はスプリング23の付勢力によってハウジング21に着座した状態に保持される。
各燃料噴射弁20a〜20dから燃料を噴射するときには、電子制御ユニット40は開弁指令としてピエゾ素子アクチュエータ26の駆動回路に電荷を充電するように駆動電流を操作する。その結果、ピエゾ素子アクチュエータ26が伸長し、ピエゾ素子アクチュエータ26の先端部26aによって制御弁24が図2における下方に向かって押圧されるようになる。その結果、押圧された制御弁24がスプリング25の付勢力に抗して開弁側に変位し、制御室21eと排出通路21gとが排出孔21fを介して連通されるようになる。こうして制御室21eと排出通路21gとが連通されると、制御室21eと連通している背圧室21dの燃料が制御室21eの燃料とともに排出通路21gを通じてリターン通路35に排出され、背圧室21dの燃料の圧力が低下する。背圧室21dの燃料の圧力が低下すると、ニードル弁22に作用している燃料の圧力のバランスが崩れて、ニードル弁22がスプリング23の付勢力に抗して背圧室21dの容積を減少させる方向、すなわち図2における上方に変位するようになる。こうしてニードル弁22が変位することにより、ハウジング21の先端側の内周面とニードル弁22の先端との間に生じた隙間を通じて収容空間21a側の燃料が噴孔21b側に流れ込み、噴孔21bを通じて燃料が噴射されるようになる。
一方、燃料の噴射を停止するときには、電子制御ユニット40は閉弁指令としてピエゾ素子アクチュエータ26の駆動回路から電荷を放電するように駆動電流を操作する。その結果、ピエゾ素子アクチュエータ26が収縮し、ピエゾ素子アクチュエータ26の先端部26aによって押圧されていた制御弁24がスプリング25の付勢力によって図2における上方、すなわち閉弁側に変位するようになる。こうして制御弁24が閉弁側に変位し、排出孔21fが制御弁24によって閉塞されると、制御室21e及び背圧室21dからの燃料の排出が停止され、背圧室21dの燃料の圧力が上昇する。その結果、ニードル弁22が背圧室21dの容積を増大させる方向、すなわち図2における下方に変位し、ニードル弁22の先端部がハウジング21の先端側の内周面に着座した状態になる。ニードル弁22の先端部がハウジング21の先端側の内周面に着座することにより、収容空間21a側から噴孔21b側への燃料の導入が停止され、燃料の噴射が停止されるようになる。
本実施形態の燃料供給システムにあっては、上記のように各燃料噴射弁20a〜20dにそれぞれ圧力センサ47を設け、導入通路21c内の燃料圧力PQを検出するようにしている。そのため、従来のようにコモンレール30や供給通路32に圧力センサを設ける場合と比較して、燃料噴射の実行に伴う燃料供給経路内の燃料の圧力の変化をより迅速に、且つ高い精度で検出することができる。
次に、圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化態様と、燃料漏れ発生部位との関係について、図3を参照して説明する。尚、図3(a)は燃料漏れが発生していないときに燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変動波形を示すタイムチャートであり、図3(b)は燃料漏れが発生しているときに同圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変動波形を示すタイムチャートである。
燃料噴射制御を通じて燃料噴射弁20aに噴射指令がなされ、駆動電流が充電側に操作されると、これに伴ってニードル弁22が開弁側に駆動され、燃料噴射弁20aが開弁される。燃料噴射弁20aが開弁されると、同燃料噴射弁20aから燃料が噴射され、同燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQは、図3(a)及び図3(b)に示されるように噴射された燃料の分だけ低下する(時刻t1〜t2)。
そして、駆動電流が放電側に操作されると、これに伴ってニードル弁22が閉弁側に駆動され、燃料噴射弁20aが閉弁される。燃料噴射弁20aが閉弁されると、燃料の噴射が停止されるため、燃料圧力PQの低下が停止し、コモンレール30側からの燃料の供給に伴って燃料圧力PQが上昇して元の状態に近い水準まで回復するようになる(時刻t2〜t3)。
燃料噴射に伴うこうした燃料圧力PQの変動の影響により、燃料噴射弁20aの導入通路21c内には、圧力波が生じるようになる。そして、導入通路21cと接続されている分岐通路31a及びコモンレール30、更にコモンレール30に接続されている他の分岐通路31b〜31dや燃料噴射弁20b〜20dの導入通路21c、供給通路32等からなる燃料供給経路には、この圧力波が伝播するようになる。
燃料供給経路内を伝播する圧力波は、各燃料噴射弁20b〜20d及び燃料ポンプ34において反射し、その反射波が燃料供給経路内を伝播して燃料噴射弁20aに再び戻ってくる。
そのため、燃料噴射を行った直後に燃料噴射弁20aの圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQには、図3(a)及び図3(b)に示されるようにこの反射波の影響による脈動が生じることとなる。
尚、燃料供給経路上における燃料噴射弁20aに近い部位で反射した反射波は、同燃料噴射弁20aに到達するまでに伝播する経路の長さが短いため、同燃料噴射弁20aから遠い部位で反射した反射波よりも先に同燃料噴射弁20aに到達する。そのため、燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47にあっては、図3(a)に示されるように、矢印Aで示される同燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化が検出された後、まず矢印Bで示される燃料噴射弁20bからの反射波による圧力変化が検出される。そして、それに続いて燃料噴射弁20cからの反射波による圧力変化(矢印C)、燃料噴射弁20dからの反射波による圧力変化(矢印D)、燃料ポンプ34からの反射波による圧力変化(矢印E)が順に検出される。
すなわち、圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化履歴である図3(a)及び図3(b)に示されるような変動波形にあっては、燃料噴射弁20aに近い部位から反射してくる反射波による圧力変化ほど、同燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化(矢印A)に近い部分に現れる。
また、燃料漏れが発生している場合には、燃料供給経路内を伝播する圧力波が燃料漏れの生じている部位で減衰するようになる。そのため、燃料漏れが発生している場合には、燃料漏れが発生している部位からの反射波が減衰するようになる。
本実施形態にあっては、この関係を利用して、燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化態様に基づいて燃料供給経路における燃料漏れの発生を判定するとともに、燃料漏れの発生部位を判定する異常判定処理を実行する。
具体的には、圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化履歴から反射波の影響による圧力変化を含んだ圧力変動波形を取得し、取得された圧力変動波形と、燃料漏れが発生していないときに予め取得しておいた基準変動波形とを比較してこれら変動波形の相違点に基づいて燃料漏れの発生部位を判定する。
すなわち、燃料噴射弁20cにおいて燃料漏れが発生している場合には、燃料噴射弁20cからの反射波が減衰するため、圧力変動波形にあっては図3(b)に実線で示されるようにこの反射波による圧力変化(矢印C)に対応する振幅が破線で示される基準変動波形における振幅に対して減衰することとなる。
本実施形態の異常判定処理では、このように圧力変動波形において、予め設定しておいた基準部位からの反射波による圧力変化に対応する部分における振幅が、基準変動波形に対して減衰していることが判定されたときに、その基準部位において燃料漏れが発生していると判定する。
尚、本実施形態では、燃料噴射弁20b,20c,20d、及び燃料ポンプ34をそれぞれ基準部位として設定している。そして、図3(a)に示されるように、燃料漏れが発生していないときに燃料噴射弁20bからの反射波による圧力変化(矢印B)が検出されることが想定される期間を第1判定期間Taとし、燃料噴射弁20cからの反射波による圧力変化(矢印C)が検出されることが想定される期間を第2判定期間Tbとしている。また、燃料噴射弁20dからの反射波による圧力変化(矢印D)が検出されることが想定される期間を第3判定期間Tcとし、燃料ポンプ34からの反射波による圧力変化(矢印E)が検出されることが想定される期間を第4判定期間Tdとしている。
そして、各判定期間Ta〜Tdにおいて圧力変動波形の振幅が基準変動波形における振幅に対して減衰しているか否かを判定することにより、各基準部位において燃料漏れが発生しているか否かを判定する。
以下、図4及び図5を参照して本実施形態にかかる異常判定処理の流れについて具体的に説明する。尚、図4は異常判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートであり、図5は異常判定処理に伴って実行される漏れ位置判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態にかかる異常判定処理は、基準変動波形を取得したときと同じ噴射条件で燃料噴射弁20aから燃料が噴射されるたびに、電子制御ユニット40によって繰り返し実行される。すなわち基準変動波形をアイドリング運転時の噴射条件で取得している場合には、アイドリング運転中に燃料噴射弁20aから燃料が噴射されるたびに、この異常判定処理が実行される。
尚、電子制御ユニット40は、燃料噴射実行後にその燃料噴射に伴う燃料圧力PQの変化態様を参照し、次回の燃料噴射時に各目標値を補正することができるように機関運転に伴って各圧力センサ47から出力される燃料圧力PQの値をメモリに逐次記憶している。本実施形態にかかる異常判定処理にあっては、メモリに記憶されている燃料圧力PQの変化履歴から圧力変動波形を取得し、この圧力変動波形に基づいて燃料漏れが発生しているか否かを判定する。
具体的には、電子制御ユニット40は異常判定処理を実行すると、まずステップS100において、燃料噴射弁20aの圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変化履歴から燃料噴射弁20aの開閉にかかる圧力変化とその圧力変化による各基準部位からの反射波の影響を含む圧力変動波形を取得する。そして、この圧力変動波形を読み込むとともに、予め取得しておいた基準変動波形を読み込む。
そして、ステップS200へと進み、燃料温度センサ46によって検出された燃料温度THFを読み込み、ステップS300において、読み込んだ燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する。
燃料温度THFが低いときほど、燃料供給経路内における圧力波の伝播速度は速くなる。そのため、燃料温度THFが低いときほど、圧力変動波形における各基準部位での反射波による圧力変化は、圧力変動波形における燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近い位置に現れるようになる。
そこで、ステップS300では、こうした燃料温度THFの変化による圧力波の伝播速度の変化に対応させるべく、燃料温度THFが低いときほど、基準変動波形上の各反射波に対応する圧力変化を、燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近づけるように、燃料温度THFに基づいて基準変動波形を加工し、調整する。
そして、ステップS400において、調整された基準変動波形と圧力変動波形とを比較し、基準変動波形に対して圧力変動波形が変化しているか否かを判定する。
ここで、基準変動波形に対して圧力変動波形が変化している旨の判定がなされた場合(ステップS400:YES)には、燃料供給経路内で燃料漏れが発生していることを判定してステップS500へと進み、漏れ位置判定処理を実行する。
一方、ステップS400において、基準変動波形に対して圧力変動波形が変化していない旨の判定がなされた場合(ステップS400:NO)には、ステップS600へと進み、燃料漏れが発生していない旨の正常判定を行ってこの処理を一旦終了する。
尚、ステップS600の正常判定に伴い、電子制御ユニット40は、燃料漏れが発生していない旨の判定結果が得られたことを示す正常判定値をメモリに記憶する。
次に、図5を参照しながら漏れ位置判定処理の流れを説明する。この漏れ位置判定処理は、上述したように異常判定処理のステップS400において圧力変動波形が変化している旨の判定がなされた場合(ステップS400:YES)に実行される。
この漏れ位置判定処理が開始されると、電子制御ユニット40はまずステップS510において、圧力変動波形の第1判定期間Taにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第1判定期間Taを、ステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料噴射弁20bからの反射波による圧力変化が検出されている期間と同じ期間に設定している。
このステップS510では、調整された基準変動波形の第1判定期間Taにおける振幅と、圧力変動波形の第1判定期間Taにおける振幅とを比較し、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第1判定期間Taにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していることを判定する。一方で、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第1判定期間Taにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していないことを判定する。
ステップS510において、第1判定期間Taにおける振幅が減衰していることが判定された場合(ステップS510:YES)には、ステップS520へと進み、燃料噴射弁20bにおいて燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS520において燃料噴射弁20bにおいて燃料漏れが発生している旨を判定すると、ステップS530へと進む。
一方、ステップS510において、第1判定期間Taにおける振幅が減衰していないことが判定された場合(ステップS510:NO)には、ステップS520をスキップし、そのままステップS530へと進む。
ステップS530では、圧力変動波形の第2判定期間Tbにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第2判定期間Tbを、ステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料噴射弁20cからの反射波による圧力変動が検出されている期間と同じ期間に設定している。
このステップS530では、調整された基準変動波形の第2判定期間Tbにおける振幅と、圧力変動波形の第2判定期間Tbにおける振幅とを比較し、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第2判定期間Tbにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していることを判定する。一方で、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第2判定期間Tbにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していないことを判定する。
ステップS530において、第2判定期間Tbにおける振幅が減衰していることが判定された場合(ステップS530:YES)には、ステップS540へと進み、燃料噴射弁20cにおいて燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS540において燃料噴射弁20cにおいて燃料漏れが発生している旨を判定すると、ステップS550へと進む。
一方、ステップS530において、第2判定期間Tbにおける振幅が減衰していないことが判定された場合(ステップS530:NO)には、ステップS540をスキップし、そのままステップS550へと進む。
ステップS550では、圧力変動波形の第3判定期間Tcにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第3判定期間Tcを、ステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料噴射弁20dからの反射波による圧力変化が検出されている期間と同じ期間に設定している。
このステップS550では、調整された基準変動波形の第3判定期間Tcにおける振幅と、圧力変動波形の第3判定期間Tcにおける振幅とを比較し、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第3判定期間Tcにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していることを判定する。一方で、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第3判定期間Tcにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していないことを判定する。
ステップS550において、第3判定期間Tcにおける振幅が減衰していることが判定された場合(ステップS550:YES)には、ステップS560へと進み、燃料噴射弁20dにおいて燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS560において燃料噴射弁20dにおいて燃料漏れが発生している旨を判定すると、ステップS570へと進む。
一方、ステップS550において、第3判定期間Tcにおける振幅が減衰していないことが判定された場合(ステップS550:NO)には、ステップS560をスキップし、そのままステップS570へと進む。
ステップS570では、圧力変動波形の第4判定期間Tdにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第4判定期間Tdを、ステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料ポンプ34からの反射波による圧力変化が検出されている期間と同じ期間に設定している。
このステップS570では、調整された基準変動波形の第4判定期間Tdにおける振幅と、圧力変動波形の第4判定期間Tdにおける振幅とを比較し、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第4判定期間Tdにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していることを判定する。一方で、圧力変動波形の振幅が基準変動波形の振幅よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第4判定期間Tdにおける振幅が、基準変動波形の振幅に対して減衰していないことを判定する。
ステップS570において、第4判定期間Tdにおける振幅が減衰していることが判定された場合(ステップS570:YES)には、ステップS580へと進み、燃料ポンプ34、より正確には燃料ポンプ34とコモンレール30側の供給通路32との接続部分近傍において燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS580において燃料ポンプ34において燃料漏れが発生している旨を判定すると、電子制御ユニット40はこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS570において、第4判定期間Tdにおける振幅が減衰していないことが判定された場合(ステップS570:NO)には、ステップS580をスキップし、電子制御ユニット40はこの処理を一旦終了する。
このように本実施形態にかかる異常判定処理にあっては、漏れ位置判定処理を通じて各判定期間Ta〜Tdのそれぞれにおいて振幅が減衰しているか否かを判定することにより、各基準部位において燃料漏れが発生しているか否かを判定するようにしている。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)燃料漏れが生じている場合には、燃料供給経路内を伝播する圧力波が、燃料漏れの生じている部位で減衰するようになる。そのため、圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変動履歴から取得される圧力変動波形には、燃料漏れの発生部位に応じた変化が生じるようになる。
上記第1の実施形態にあっては、燃料噴射弁20aに圧力センサ47を設け、同圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化履歴から、燃料供給経路内を伝播する圧力波(反射波)の影響を含んだ圧力変動波形を取得するようにしている。そして、取得された圧力変動波形を、燃料漏れが生じていないときに予め取得しておいた基準変動波形と比較するようにしている。そのため、圧力変動波形と基準変動波形との相違点に基づいて、燃料漏れが発生している部位を判定することができる。
また、圧力センサ47を燃料噴射弁20aに設けるようにしているため、燃料噴射弁20aから離れたコモンレール30に圧力センサを設ける構成等と比較して、燃料噴射に伴う燃料の圧力の変化を高い精度で、且つ速やかに検出することができる。
すなわち、上記第1の実施形態によれば、燃料供給システムにおける燃料漏れの発生を迅速に判定するとともに、燃料漏れの発生部位を判定することができる。
(2)上記第1の実施形態にあっては、燃料噴射弁20b,20c,20d及び燃料ポンプ34を基準部位として設定している。そして、基準変動波形において各基準部位での反射波による圧力変化が検出されている期間を各判定期間Ta〜Tdとして設定することにより、これら各基準部位と、各基準部位での反射波による圧力変化に対応する部分とをそれぞれ関連付けている。そして、漏れ位置判定処理を通じて各判定期間Ta〜Tdのそれぞれにおいて振幅が減衰しているか否かを判定することにより、基準変動波形における反射波による圧力変化に対応する部分の振幅に対して圧力変動波形における同じ部分の振幅が減衰しているか否かを判定するようにしている。
そのため、漏れ位置判定処理を通じて各基準部位と関連づけられた部分の振幅が減衰しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて各基準部位において燃料漏れが発生しているか否かを速やかに判定することができる。
(3)燃料温度THFが低いときほど、基準変動波形上の各反射波に対応する圧力変化を、燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近づけるように基準変動波形を調整して、燃料温度THFが低いときほど、各判定期間Ta,Tb,Tc,Tdを、燃料噴射弁20aの開閉時期に近づけるようにしている。
そのため、燃料温度THFの違いによる圧力波の伝播速度の変化を考慮して、より正確に燃料漏れの発生部位を判定することができる。
(4)コモンレールに複数の燃料噴射弁が接続された燃料供給システムにあっては、特に各燃料噴射弁の接続部位や各燃料噴射弁の噴孔部分において燃料漏れが発生しやすい。また、燃料供給経路内を伝播する圧力波は各燃料噴射弁で反射して燃料を噴射した燃料噴射弁に戻ってくる。そのため、本実施形態にあっては、基準部位としてコモンレール30に接続された各燃料噴射弁20b,20c,20d及び燃料ポンプ34を設定し、燃料供給経路上に設ける複数の基準部位に、少なくとも各燃料噴射弁20b,20c,20dが含まれるようにしている。そのため、特に燃料漏れが発生しやすい燃料噴射弁20b,20c,20dにおいて燃料漏れが発生しているか否かを判定することができる。
(第2の実施形態)
以下、この発明にかかる燃料供給システムの異常判定装置を、ディーゼルエンジンの燃料供給システムに適用した第2の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。尚、本実施形態は、上記第1の実施形態と異常判定処理における漏れ位置判定処理の内容のみが異なるものであり、その他の構成については第1の実施形態と同一である。そのため、以下では第1の実施形態と同様の部分についてはその説明を割愛し、漏れ位置判定処理の内容を詳しく説明する。
上述したように燃料噴射に伴って開閉された燃料噴射弁20aに近い部位で反射した反射波は、同燃料噴射弁20aに到達するまでに伝播する経路の長さが短いため、同燃料噴射弁20aから遠い部位で反射した反射波よりも先に同燃料噴射弁20aに到達する。
また、伝播経路が短いほど、短い周期で反射が繰り返されるため、燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料の圧力の変化履歴から取得される圧力変動波形にあっては、同燃料噴射弁20aに近い部位で反射した反射波による圧力変化ほど、その周波数が高くなる。
また、燃料供給経路上に燃料漏れが発生している場合には、上述したように燃料漏れが発生している部位で圧力波が減衰するようになる。そのため、燃料漏れが発生している場合には、燃料漏れが発生している部位よりも遠い部位からの反射波は、燃料漏れが発生している部位を通る間に減衰してしまう。
したがって、燃料漏れが発生している場合には、燃料漏れが発生している部位よりも遠い部位からの反射波による圧力変化が出されにくくなり、圧力変動波形における低周波数側の強度が低下するようになる。
そこで、本実施形態にかかる漏れ位置判定処理にあっては、この関係を利用して、燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化履歴から取得される圧力変動波形を周波数解析し、その強度分布に基づいて燃料漏れの発生部位を判定するようにしている。
具体的には、図6(a)に示されるように、圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化履歴から各基準部位での反射波の影響による圧力変化を含んだ圧力変動波形を取得する。そして、この圧力変動波形を高速フーリエ変換することによって図6(b)や、図6(c)に示されるような圧力変動波形の強度分布を得る。尚、図6(b)は燃料漏れが発生していないときの圧力変動波形の強度分布であり、図6(c)は燃料漏れが発生しているときの圧力変動波形の強度分布である。
上述したように燃料供給経路上に燃料漏れが発生している場合には、燃料漏れが発生している部位よりも遠い部位からの反射波が減衰するため、図6(c)に実線で示されるように低周波数側の強度が低下する。
また、強度が低下する周波数域の広さは、燃料漏れの発生部位によって変化し、燃料噴射弁20aに近い部位において燃料漏れが発生しているときほど、より広い範囲に亘って高周波数側まで強度が低下するようになる。したがって、強度が低下している周波数域と強度が低下していない周波数域との境目の周波数、すなわち図6(c)において「X」で示される周波数は、圧力センサ47と燃料漏れが発生している部位との距離に応じて変化する。
そこで、本実施形態の漏れ位置判定処理では、基準変動波形における燃料噴射弁20bからの反射波による圧力変化が属している周波数域を第1判定周波数域Aとしている。そして、燃料噴射弁20cからの反射波による圧力変化が属している周波数域を第2判定周波数域Bとするとともに、燃料噴射弁20dからの反射波による圧力変化が属している周波数域を第3判定周波数域Cとしている。尚、各判定周波数域A,B,Cの中では、第1判定周波数域Aが最も高周波数側の周波数域であり、第2判定周波数域B、第3判定周波数域Cの順に低周波数側の周波数域になっていく。
そして、第1判定周波数域Aからから低周波数側の判定周波数域に向かって順に基準変動波形における強度と、取得した圧力変動波形における強度を比較し、どの判定周波数域において圧力変動波形における強度が低下している旨の判定がなされるかを監視することにより、燃料漏れの発生部位を判定する。
例えば、第1判定周波数域A及び第2判定周波数域Bでは強度が低下していない旨の判定がなされたのに対し、第3判定周波数域Cにおいて強度が低下している旨の判定がなされた場合には、燃料供給経路における燃料噴射弁20cから燃料噴射弁20dまでの間で燃料漏れが発生していることを判定する。尚、このような判定を行うのは、第1判定周波数域A及び第2判定周波数域Bにおいて強度が低下していない旨の判定がなされていることに基づいて、燃料噴射弁20aから燃料噴射弁20cまでの間には燃料漏れが発生していないことが推定されるためである。
以下、図7を参照して本実施形態にかかる漏れ位置判定処理の流れについて具体的に説明する。尚、図7は漏れ位置判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態にかかる漏れ位置判定処理は、第1の実施形態における漏れ位置判定処理と同様に、異常判定処理のステップS400において圧力変動波形が変化している旨の判定がなされた場合(ステップS400:YES)に実行される。
この漏れ位置判定処理が開始されると、電子制御ユニット40はまずステップS515において、燃料噴射弁20aの圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変化履歴から取得した圧力変動波形を高速フーリエ変換することにより、同圧力変動波形の周波数解析を実行する。
そして、ステップS525へと進み、周波数解析を通じて得られた圧力変動波形の強度分布に基づいて、圧力変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度が、基準変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度に対して低下しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第1判定周波数域Aを、異常判定処理のステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料噴射弁20bからの反射波による圧力変化が属している周波数域と同じ周波数域に設定している。
このステップS525では、調整された基準変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度と、圧力変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度とを比較し、圧力変動波形の強度が基準変動波形の強度よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度が、基準変動波形の強度に対して低下していることを判定する。一方で、圧力変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度が基準変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第1判定周波数域Aにおける強度が、基準変動波形の強度に対して低下していないことを判定する。
ステップS525において、第1判定周波数域Aにおける強度が低下していることが判定された場合(ステップS525:YES)には、ステップS535へと進み、燃料供給経路における燃料噴射弁20aから燃料噴射弁20bまでの間で燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS535において燃料噴射弁20aから燃料噴射弁20bまでの間で燃料漏れが発生している旨を判定すると、電子制御ユニット40は、この処理を一旦終了する。
一方、ステップS525において第1判定周波数域Aにおける強度が低下していないことが判定された場合(ステップS525:NO)には、ステップS545へと進み、圧力変動波形の強度分布に基づいて、圧力変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度が、基準変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度に対して低下しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第2判定周波数域Bを、異常判定処理のステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料噴射弁20cからの反射波による圧力変化が属している周波数域と同じ周波数域に設定している。
このステップS545では、調整された基準変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度と、圧力変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度とを比較し、圧力変動波形の強度が基準変動波形の強度よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度が、基準変動波形の強度に対して低下していることを判定する。一方で、圧力変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度が基準変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第2判定周波数域Bにおける強度が、基準変動波形の強度に対して低下していないことを判定する。
ステップS545において、第2判定周波数域Bにおける強度が低下していることが判定された場合(ステップS545:YES)には、ステップS555へと進み、燃料供給経路における燃料噴射弁20bから燃料噴射弁20cまでの間で燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS555において燃料噴射弁20bから燃料噴射弁20cまでの間で燃料漏れが発生している旨を判定すると、電子制御ユニット40は、この処理を一旦終了する。
一方、ステップS545において第2判定周波数域Bにおける強度が低下していないことが判定された場合(ステップS545:NO)には、ステップS565へと進み、圧力変動波形の強度分布に基づいて、圧力変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度が、基準変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度に対して低下しているか否かを判定する。
尚、本実施形態の漏れ位置判定処理にあっては、第3判定周波数域Cを、異常判定処理のステップS300を通じて調整された基準変動波形において燃料噴射弁20dからの反射波による圧力変化が属している周波数域と同じ周波数域に設定している。
このステップS565では、調整された基準変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度と、圧力変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度とを比較し、圧力変動波形の強度が基準変動波形の強度よりも所定量以上小さいときに、圧力変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度が、基準変動波形の強度に対して低下していることを判定する。一方で、圧力変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度が基準変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度よりも所定量以上小さくなっていないときには、圧力変動波形の第3判定周波数域Cにおける強度が、基準変動波形の強度に対して低下していないことを判定する。
ステップS565において、第3判定周波数域Cにおける強度が低下していることが判定された場合(ステップS565:YES)には、ステップS575へと進み、燃料供給経路における燃料噴射弁20cから燃料噴射弁20dまでの間で燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS575において燃料噴射弁20cから燃料噴射弁20dまでの間で燃料漏れが発生している旨を判定すると、電子制御ユニット40は、この処理を一旦終了する。
一方、ステップS565において、第3判定周波数域Cにおける強度が低下していないことが判定された場合(ステップS565:NO)には、ステップS585へと進み、燃料供給経路における燃料噴射弁20dから燃料ポンプ34までの間で燃料漏れが発生している旨を判定する。そして、電子制御ユニット40はこの判定結果に対応する異常判定値をメモリに記憶する。こうしてステップS585において燃料噴射弁20dから燃料ポンプ34までの間で燃料漏れが発生している旨を判定すると、電子制御ユニット40は、この処理を一旦終了する。
このように本実施形態にかかる漏れ位置判定処理にあっては、第1判定周波数域Aからから第2判定周波数域B、第3判定周波数域Cへと順に基準変動波形における強度と、圧力変動波形における強度を比較し、どの判定周波数域において強度が低下している旨の判定がなされるかを監視することにより、燃料漏れの発生部位を判定するようにしている。
以上説明した第2の実施形態の燃料供給システムによれば、上記第1の実施形態における(1)及び(4)の効果に加えて以下の効果が得られるようになる。
(5)上述したように開閉された燃料噴射弁20aに近い部位で反射した反射波は、同燃料噴射弁20aに到達するまでに伝播する経路の長さが短いため、同燃料噴射弁20aから遠い部位で反射した反射波よりも先に同燃料噴射弁20aに到達する。また、伝播経路が短いほど、短い周期で反射を繰り返すため、燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの変化履歴から取得される圧力変動波形にあっては、同燃料噴射弁20aに近い部位で反射した反射波による圧力変化ほど、周波数が高くなっている。
また、燃料供給システムにおいて燃料漏れが発生している場合には、上述したように燃料漏れが発生している部位で圧力波が減衰するようになる。そのため、燃料漏れが発生している場合には、燃料漏れが発生している部位よりも遠い部位からの反射波が検出されにくくなり、圧力変動波形における低周波数側の強度が低下するようになる。
これに対して上記第2の実施形態にあっては、圧力変動波形を周波数解析し、周波数解析を通じて得られる同圧力変動波形の強度分布に基づいて、基準変動波形に対して強度が低下している周波数域を判定するようにしている。そして、高周波数側から強度が低下しているときほど、燃料供給経路における燃料噴射弁20aに近い部位で燃料漏れが発生していることを判定するようにしている。
そのため、強度がより高周波数側から低下しており、強度が低下している周波数域が広いときほど、燃料漏れが発生している部位が、この圧力変化を検出している圧力センサ47の設けられた燃料噴射弁20aに近いことを判定することができる。要するに、基準変動波形に対して強度が低下している周波数域の広さに基づき、燃料漏れの発生している部位を判定することができる。
(6)上記第2の実施形態にあっては、燃料噴射弁20b,燃料噴射弁20c,燃料噴射弁20dを基準部位として設定し、各基準部位での反射波による圧力変化が属する周波数域を判定周波数域A,B,Cとして設定することにより、各基準部位と、各基準部位での反射波による圧力変化が属する周波数域とをそれぞれ関連付けている。
そして、各判定周波数域A,B,Cにおける基準変動波形における強度に対して圧力変動波形における同じ判定周波数域の強度が低下していることが判定されたことに基づいて、同判定周波数域に関連付けられている基準部位よりも燃料噴射弁20aに近い部位において燃料漏れが発生していることを判定するようにしている。
そのため、各判定周波数域A,B,Cにおける強度が低下しているか否かを判定することにより、各基準位置よりも燃料噴射弁20aに近い部位において燃料漏れが発生しているか否かを速やかに判定することができる。
(7)上述したように燃料漏れが発生している場合には、燃料漏れが発生している部位よりも遠い部位からの反射波が検出されにくくなるため、圧力変動波形における低周波数側の強度が低下するようになる。そのため、いずれかの判定周波数域において圧力変動波形における強度が基準変動波形における強度よりも低下していることが判定された場合には、その判定周波数域よりも低周波数側の強度が全て低下していることが推定される。
そこで、上記第2の実施形態にあっては、各判定周波数域A,B,Cにおける圧力変動波形の強度が低下しているか否かを判定する際に、最も高周波数側の判定周波数域Aから低周波数側の判定周波数域に向かって順に基準変動波形における強度と圧力変動波形における強度とを比較するようにしている。
こうした構成によれば、いずれかの判定周波数域において強度が低下していることが判定された時点で、その判定周波数域よりも低周波数側の判定周波数域でも強度が低下していることを推定することができる。そのため、各判定周波数域A,B、Cの全てにおいて実際に強度を比較しなくても、いずれかの判定周波数域において強度が低下していることが判定された時点で、各判定周波数域A、B,Cにおける強度が基準変動波形の強度に対して低下しているか否かを判定することができ、燃料漏れの発生部位を判定することができる。
具体的には、いずれかの判定周波数域において強度が低下していることが判定された時点で、その判定周波数域よりも高周波数側の判定周波数域ではいずれも強度が低下しておらず、その判定周波数域よりも低周波数側の判定周波数域ではいずれも強度が低下していることが推定される。そのため、いずれかの判定周波数域において圧力変動波形における強度が基準変動波形における強度よりも低下していることが判定された時点で、その判定周波数域に関連付けられている基準部位と、その判定周波数域よりも1つ高周波数側の判定周波数域に関連付けられている基準部位との間において燃料漏れが発生していることを判定することができる。
(8)燃料温度THFが低いときほど、燃料供給経路内における圧力波の伝播速度は速くなる。そのため、燃料温度THFが低いときほど、各基準部位での反射波による圧力変化が短い周期で検出されるようになり、各基準部位での反射波による圧力変化が属する周波数域は高周波数側にずれるようになる。
そこで、第2の実施形態では、燃料温度THFが低いときほど、基準変動波形上の各反射波に対応する圧力変化を、燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近づけるように、同基準変動波形を調整して、燃料温度THFが低いときほど基準変動波形に基づいて設定される各判定周波数域A,B,Cを高周波数側にずらすようにしている。
そのため、燃料温度THFの違いによる圧力波の伝播速度の変化を考慮して、より正確に燃料漏れの発生部位を判定することができる。
尚、上記第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第2の実施形態にあっては、燃料温度THFが低いときほど、基準変動波形上の各反射波に対応する圧力変化を、燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近づけるように、同基準変動波形を調整することにより、基準変動波形に基づいて設定される各判定周波数域A,B,Cを高周波数側にずらすようにしている。これに対して、燃料温度THFの違いによる圧力波の伝播速度の変化に対応させるべく、燃料温度THFが低いときほど各判定周波数域A,B,Cを高周波数側にずらす方法は適宜変更することができる。
例えば、予め基準変動波形に基づいて各判定周波数域A,B,Cを設定しておき、予め設定されている各判定周波数域A,B,Cを燃料温度THFに応じてずらすようにしてもよい。
・各判定周波数域A,B,Cのうち、最も高周波数側の判定周波数域Aから低周波数側に向かって順に圧力変動波形における強度が低下しているか否かを判定する構成を示したが、低周波数側の判定周波数域から高周波数側の判定周波数域に向かって順に強度を比較する構成を採用するようにしてもよい。
このように低周波数側から高周波数側に向かって順に強度を比較する構成を採用した場合には、いずれかの判定周波数域において強度が低下していないことが判定された時点で、その判定周波数域よりも高周波数側の判定周波数域でも強度が低下していないことを推定することができる。そのため、上記第2の実施形態と同様に、各判定周波数域A,B、Cの全てにおいて実際に強度を比較しなくても、いずれかの判定周波数域において強度が低下していることが判定された時点で、各判定周波数域A、B,Cにおける強度が基準変動波形の強度に対して低下しているか否かを判定することができ、燃料漏れの発生部位を判定することができる。
尚、こうした構成を採用した場合には、いずれかの判定周波数域において強度が低下していないことが判定された時点で、その判定周波数域よりも低周波数側の判定周波数域では強度が低下しており、その判定周波数域よりも高周波数側の判定周波数域では強度が低下していないことが推定される。
そのため、いずれかの判定周波数域において圧力変動波形における強度が低下していないことが判定された時点で、その判定周波数域に関連付けられている基準部位と、同判定周波数域よりも1つ低周波数側の判定周波数域に関連付けられている基準部位との間において燃料漏れが発生していることを判定することができる。
・また、上記のように各判定周波数域A,B、Cにおける強度が低下しているか否かを高周波数側または低周波数側から順に判定することにより、燃料漏れの発生部位を判定する方法以外の方法を採用することもできる。例えば、判定を行う順序に拘わらず各判定周波数域A,B,Cにおける強度が低下しているか否かを一通り判定した後に、それらの判定結果を参照して燃料漏れの発生部位を判定する方法等を採用することもできる。
その他、上記各実施形態に共通して変更可能は要素としては次のようなものがある。
・上記各実施形態にあっては、燃料漏れが発生していないときに予め取得しておいた圧力変動波形を、基準変動波形として利用する方法を例示したが、基準変動波形はコンピュータによるシミュレーションや予め行う実験等の結果に基づいて導出することもできる。また、燃料を噴射する条件(噴射指令等)に基づいて基準変動波形をその都度算出するようにしてもよい。すなわち、基準変動波形は、燃料漏れが発生していないときに取得されることが想定される圧力変動波形のモデルであるため、燃料漏れが発生していないときに取得されることが予測される圧力変動波形を、事前に得ることができる方法であれば、その取得方法は適宜変更することができる。
・上記各実施形態にあっては、燃料温度センサ46を設け、燃料温度センサ46によって燃料温度THFを検出する構成を示したが、燃料温度THFを取得することができれば、その方法は適宜変更することができる。例えば、燃料温度センサ46を省略し、機関冷却水温THW等に基づいて燃料温度THFを推定するようにしてもよい。
・上記各実施形態にあっては、燃料温度THFの違いによる圧力波の伝播速度の変化に対応すべく、燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する構成を示した。これに対して、燃料供給経路を伝播する圧力波の伝播速度は、燃料温度THFのみならず、燃料供給経路内の燃料の圧力によっても変化する。具体的には、燃料の圧力が高いときほど、燃料供給経路内における圧力波の伝播速度は速くなる。そのため、燃料供給経路内の燃料の圧力が高いときほど、圧力変動波形における各基準部位での反射波による圧力変化は、燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近い位置に現れるようになる。
こうした燃料の圧力の違いによる圧力波の伝播速度の変化を考慮した上で、燃料漏れの発生部位を判定するためには、燃料供給経路内の燃料の圧力が高いときほど、各基準部位での反射波による圧力変化に対応する部分を燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近づけるように、基準変動波形を調整することが望ましい。
そこで、ステップS300において、燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する構成に替えて、または燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する構成に加えて、燃料の圧力に基づいて基準変動波形を調整する構成を採用してもよい。そして、こうして調整された基準変動波形に基づいて判定期間や判定周波数域を設定することが望ましい。
このように燃料の圧力に基づいて基準変動波形を調整する構成を採用すれば、燃料の圧力の違いによる圧力波の伝播速度の変化を考慮して、より正確に燃料漏れの発生部位を判定することができるようになる。尚、燃料供給経路内の燃料の圧力は、各燃料噴射弁20a〜20dに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQ等に基づいて推定することができる。
・また、燃料の密度が高いときほど、燃料供給経路内における圧力波の伝播速度は速くなる。そのため、燃料の密度が高いときほど、圧力変動波形における各基準部位での反射波による圧力変化は、燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近い位置に現れるようになる。
こうした燃料の密度の違いによる圧力波の伝播速度の変化を考慮した上で、燃料漏れの発生部位を判定するためには、燃料の密度が高いときほど、各基準部位での前記圧力波の反射波による圧力変化に対応する部分を燃料噴射弁20aの開閉に伴う圧力変化に対応する部分に近づけるように、燃料性状に基づいて基準変動波形を調整することが望ましい。
そこで、ステップS300において、燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する構成に替えて、または燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する構成に加えて、燃料の密度に基づいて基準変動波形を調整する構成を採用してもよい。そして、こうして調整された基準変動波形に基づいて判定期間や判定周波数域を設定することが望ましい。
このように燃料の密度に基づいて基準変動波形を調整する構成を採用すれば、燃料の密度の違いによる圧力波の伝播速度の変化を考慮して、より正確に燃料漏れの発生部位を判定することができるようになる。尚、燃料密度は、所定量の燃料を噴射したときに得られる出力を、燃料噴射量と機関回転速度NEの変化とに基づいて算出すること等によって推定することができる。
・尚、上記各実施形態にあっては、図4を参照して説明した異常判定処理において、基準変動波形を読み込んでから、燃料温度THFに基づいて基準変動波形を調整する構成を示した(ステップS100〜S300)。これに対して、燃料温度THFや燃料の圧力、燃料の密度等をパラメータとして入力することにより、そのときの条件に適した基準変動波形を読み出すことのできる演算マップを予め作成しておく構成を採用することもできる。すなわち、ステップS200及びステップS300を通じて基準変動波形を調整する構成に替えて、異常判定処理のステップS100において、この演算マップを参照することによって燃料温度THFや燃料の圧力、燃料の密度等の違いによる反射波の伝播速度の変化に対応した基準変動波形を読み込むようにしてもよい。
・上記各実施形態にあっては、燃料噴射弁20aに設けられた圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変化履歴に基づいて圧力変動波形を取得し、取得された圧力変動波形に基づいて燃料漏れの発生部位を判定する構成を示した。これに対して、他の燃料噴射弁20b〜20dに設けられた圧力センサ47によって検出された燃料圧力PQの変動履歴から取得された圧力変動波形に基づいて、燃料漏れの発生部位を判定する構成を採用することもできる。
・また、各燃料噴射弁20a〜20dに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQに基づく燃料漏れ発生部位の判定結果を、それぞれ組み合わせて燃料漏れ発生部位を判定する構成を採用することもできる。
尚、燃料噴射弁20bにあっては、燃料供給経路上において隣接する燃料噴射弁20aまでの距離と、燃料噴射弁20cまでの距離とが略等しくなっている。そのため、燃料噴射弁20bに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの圧力変動波形にあっては、燃料噴射弁20aからの反射波による圧力変化と、燃料噴射弁20cからの反射波による圧力変化とが重なってしまい、この圧力変動波形からどちらの燃料噴射弁において燃料漏れが発生しているのかを判定することが難しい。
また、燃料噴射弁20cにあっても、同様に燃料供給経路上において隣接する燃料噴射弁20bまでの距離と、燃料噴射弁20dまでの距離とが略等しくなっている。そのため、燃料噴射弁20cに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQの圧力変動波形にあっては、燃料噴射弁20bからの反射波による圧力変化と、燃料噴射弁20dからの反射波による圧力変動とが重なってしまい、この圧力変動波形からどちらの燃料噴射弁において燃料漏れが発生しているのかを判定することも難しい。
そのため、特に、このように複数の基準部位からの反射波による圧力変動が重なってしまう場合には、各燃料噴射弁20a〜20dに設けられた圧力センサ47によって検出される燃料圧力PQに基づく燃料漏れ発生部位の判定結果を、それぞれ組み合わせることによって燃料漏れ発生部位を判定する構成を採用することが望ましい。
・基準部位の設定態様は適宜変更することができる。例えば、燃料噴射弁20a〜20dや燃料ポンプ34以外の部分を基準部位とする構成や、各燃料噴射弁20a〜20d以外に基準部位を設定せずに、各燃料噴射弁20a〜20dのみを基準部位として設定する構成等を採用することもできる。
・また、圧力センサ47から離れた部位からの反射波は圧力センサ47に到達するまでに減衰するため、圧力センサ47から離れた部位からの反射波による圧力変化は、検出されにくい場合がある。そのため、的確に検出することのできる範囲までの圧力変動波形に基づいてその範囲における燃料漏れの発生を判定するようにしてもよい。例えば、燃料噴射弁20aに最も近い燃料噴射弁20bと、その次に燃料噴射弁20aに近い燃料噴射弁20cのみを基準部位として設定し、圧力変動波形に基づいて、燃料噴射弁20aから燃料噴射弁20cまでの範囲に燃料漏れが発生しているか否かを判定するようにしてもよい。
・また、こうした構成を採用する場合には、各圧力センサ47で的確に圧力変化を検出することのできる範囲までの燃料漏れをそれぞれ判定し、それらの判定結果を総合的に判断して、どの部位に燃料漏れが発生しているのかを判定するようにすることが望ましい。こうした構成を採用すれば、各圧力センサ47によって判定を行うことのできる範囲が狭い場合であっても、それぞれの判定結果を組み合わせることにより広い範囲を網羅して燃料漏れの発生部位を判定することができるようになる。
・上記各実施形態にあっては、異常判定処理を通じて燃料漏れが発生していることが判定された場合に、その判定結果を異常判定値としてメモリに記憶する構成を示した。これに対して燃料漏れが発生していることが判定されたときに警告灯を点灯させる等して燃料漏れの発生を報知する構成を採用することもできる。
・上記各実施形態にあっては、各燃料噴射弁20a〜20dの上部に圧力センサ47を設ける構成を例示したが、各燃料噴射弁20a〜20dに供給されている燃料の圧力を個別に検出することのできる構成であれば、圧力センサ47の配設位置は適宜変更することができる。
・また、4つの燃料噴射弁20a,20b,20c,20dの全てに圧力センサ47を設ける構成を示したが、必ずしも全ての燃料噴射弁に圧力センサ47を設ける必要はない。
・上記各実施形態にあっては、ピエゾ素子アクチュエータ26を備えるピエゾ式の燃料噴射弁20a〜20dを採用している燃料供給システムにおいて、燃料漏れの発生部位を判定する構成を例示した。これに対して、本発明はピエゾ式の燃料噴射弁に限定されるものではないため、ピエゾ式の燃料噴射弁20a〜20dに替えて、ソレノイドコイルにより駆動されるソレノイド式の燃料噴射弁を採用している燃料供給システムに本発明を適用することもできる。
・上記各実施形態にあっては、電子制御ユニット40によって異常判定処理を実行する構成を採用し、電子制御ユニット40に本発明にかかる異常判定装置としての機能を持たせる構成を例示した。これに対して、電子制御ユニット40とは別に異常判定処理を実行するための電子制御装置を新たに設け、燃料供給システムとは別に、この電子制御装置と圧力センサ47とによって本発明にかかる燃料供給システムの異常判定装置を構成するようにしてもよい。
・4つの気筒を有するディーゼルエンジンに限らず、2つの気筒を有するディーゼルエンジン、3つの気筒を有するディーゼルエンジン、あるいは5つ以上の気筒を有するディーゼルエンジンにも、本発明にかかる燃料供給システムの異常判定装置を適用することができる。
・上記各実施形態にあっては、本発明にかかる燃料供給システムの異常判定装置をディーゼルエンジンの燃料供給システムに適用した例を示したが、本発明にかかる燃料供給システムの異常判定装置は、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンや天然ガスエンジンの燃料供給システムにも適用することができる。