JP5272569B2 - びびりシミュレーション装置、および、びびりシミュレーション方法 - Google Patents

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研削加工において、工作物のびびり現象をシミュレーションするびびりシミュレーション装置、および、びびりシミュレーション方法に関するものである。
研削加工は、例えば、高速に回転する砥石と、回転する工作物とを接触させて行われる。このような研削加工おいては、研削加工中にびびり現象が生じることが多い。研削加工中、びびり現象が起こると、研削加工後の工作物に周期性のある平行なすじ等(以下、「びびり」と称する)が残ってしまう。その結果、製品の品質が低下してしまう問題があった。
従来、この問題に対して、作業者の経験や勘等により、研削加工条件を変更して解消を図っていた。つまり、研削加工を実施した後、その加工面状態を確認し、そこでびびりが有ることを発見した場合、研削加工条件を変更し、再度研削加工を行い、加工面状態を確認する。このため、多大な作業量および作業時間が必要であった。
そこで、特開平8−174379号公報(特許文献1)に記載されたびびり振動抑制方法では、びびり現象の抑制作業を自動的に行うことができることとなっている。これによれば、びびり抑制作業の自動化を行うことができる。
特開平8−174379号公報
しかしながら、上記方法では、工作機械の振動を、研削加工中に実際に測定しながら研削加工を行わなければならない。つまり、実際に研削加工を行わなければ、びびりを検知することができず、測定不良等が発生すると、研削加工中の工作物の製品品質を著しく低下させる虞がある。
また、上記方法では、研削加工中に起きた実際のびびりに対する対応であるため、びびりに対する研削加工が後手に回り、生産効率の面でも問題がある。そこで、研削加工において、びびり現象をシミュレーションしたいという要望がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、研削加工におけるびびり現象をより正確にシミュレーションできるびびりシミュレーション装置、および、びびりシミュレーション方法を提供することを目的とする。
本発明のびびりシミュレーション装置は、回転駆動される工作物に、回転駆動される砥石を接触させて、工作物を研削する研削加工において、工作物のびびり現象をシミュレーションするびびりシミュレーション装置であって、工作物形状記憶部と、砥石形状記憶部と、指令値記憶部と、相対位置算出部と、除去量算出部と、工作物形状変更部と、研削抵抗算出部と、変位量算出部と、変位量補正部と、びびり判定部とを備えることを特徴とする。
工作物形状記憶部は、工作物の形状を記憶する。砥石形状記憶部は、砥石の形状を記憶する。指令値記憶部は、研削加工における研削盤に対する指令値を記憶する。相対位置算出部は、指令値に基づいて、前記砥石が前記工作物に対して相対移動する方向である砥石移動方向における工作物と砥石との所定時間毎の相対位置を順に算出する。砥石移動方向は、通常、X軸方向またはZ軸方向である。
除去量算出部は、相対位置が算出される毎に、工作物形状記憶部に記憶されている工作物の形状、砥石形状記憶部に記憶されている砥石の形状、および、相対位置に基づいて、砥石による工作物の除去量を算出する。工作物形状変更部は、除去量が算出される毎に、工作物形状記憶部に記憶されている工作物の形状を除去量に基づいて変更する。
研削抵抗算出部は、除去量が算出される毎に、研削加工における砥石移動方向の研削抵抗を除去量に基づいて算出する。変位量算出部は、研削抵抗が算出される毎に、研削抵抗に起因して砥石と工作物とが砥石移動方向に相対変位する変位量を算出する。変位量補正部は、変位量が算出される毎に、相対位置算出部において次回算出される砥石移動方向の相対位置を変位量に基づいて補正する。びびり判定部は、工作物形状記憶部に記憶されている、工作物形状変更部により2回以上変更された工作物の形状に基づいて、びびりの有無を判定する。
すなわち、本発明のびびりシミュレーション装置では、研削抵抗がびびり現象の主要因であると考えている。つまり、研削抵抗に起因する砥石と工作物との相対変位量を算出して、この相対変位量を考慮した工作物形状をシミュレーションし、それを基にびびりの有無を判定している。従って、より正確にびびり現象をシミュレーションできる。びびりの有無は、工作物の研削加工面の面粗さによって判定できる。
仮に、研削抵抗が大きいとしても、工作物剛性および砥石剛性が大きい場合には、研削抵抗に起因する相対変位量はほとんどゼロとなる。つまり、相対変位量は、工作物剛性および砥石剛性によって異なる。ここで、工作物剛性とは、研削盤に支持された状態の工作物に対して砥石移動方向の力を与えた場合における工作物の砥石移動方向の変位量に応じたものである。例えば、工作物剛性は、当該工作物の砥石移動方向の変位量の逆数などである。砥石剛性とは、研削盤に支持された状態の砥石に対して砥石移動方向の力を与えた場合における砥石の砥石移動方向の変位量に応じたものである。例えば、砥石剛性は、当該砥石の砥石移動方向の変位量の逆数などである。
一般に、工作物剛性は砥石剛性よりも低いため、相対変位量は、工作物剛性が主として影響を及ぼす。そこで、本発明のびびりシミュレーション装置は、さらに、研削盤に支持された状態の工作物に対して砥石移動方向の力を与えた場合における工作物の砥石移動方向の変位量に応じた工作物剛性を記憶する剛性記憶部を備え、変位量算出部は、その工作物剛性に基づいて変位量を算出することが好ましい。これにより、より高精度な変位量を算出することができる。
ここで、工作物剛性は、研削盤のレストにより支持された状態の工作物に対して砥石移動方向の力を与えた場合における工作物の砥石移動方向の変位量に応じたものであってもよい。これにより、レスト(振れ止め)により工作物が支持されている場合であっても、その状態に応じた工作物剛性に基づいて変位量を算出するので、高精度な変位量を算出できる。
また、本発明のびびりシミュレーション装置において、剛性記憶部は、さらに、研削盤に支持された状態の砥石に対して砥石移動方向の力を与えた場合における砥石の砥石移動方向の変位量に応じた砥石剛性を記憶し、変位量算出部は、さらに、砥石剛性に基づいて変位量を算出することが好ましい。つまり、剛性記憶部が工作物剛性に加えて砥石剛性も記憶し、変位量算出部が工作物剛性に加えて砥石剛性に基づいて変位量を算出する。これにより、さらに高精度な変位量を算出することができる。
ここで、本発明のびびりシミュレーション装置は、さらに、びびり判定部にてびびりが有ると判定された場合に、指令値の算出元となる研削加工条件を変更する加工条件変更部を備えることが好ましい。研削加工条件には、砥石回転数、工作物回転数、および、砥石の送り量などが含まれている。そして、指令値は、設定された研削加工条件に基づいて算出される値である。
つまり、びびり判定部が「びびり有り」と判定した場合、加工条件変更部が研削加工条件を変更することで、指令値は変更される。そして、変更された指令値に基づいて、びびり現象がシミュレーションされる。これにより、工作物にびびりが生じない研削加工条件を自動的に算出することができる。
ここで、加工条件変更部は、研削抵抗が閾値以上となる場合における研削加工条件を変更することが好ましい。びびりは、研削抵抗が大きい場合に発生する。そこで、研削抵抗が大きい場合の研削加工条件を変更して、研削抵抗を低減することで、びびりの発生を抑制できる。
ここで、本発明のびびりシミュレーション装置において、びびり判定部は、びびりがある場合にびびり量を算出し、加工条件変更部は、びびり量が閾値以上の場合に、研削加工条件を変更することが好ましい。びびり量は、工作物の研削加工面の面粗さから算出できる。つまり、許容できるびびり量を設定できるため、製品に応じた研削加工条件を自動的に算出することができる。
ここで、本発明のびびりシミュレーション装置は、さらに、研削抵抗が算出される毎に、研削抵抗に基づいて砥石の変形量を算出し砥石形状記憶部に記憶されている砥石の形状を砥石の変形量に基づいて変更する砥石変形量算出部を備えることが好ましい。砥石の変形量とは、砥石が工作物を研削加工する際に砥石が摩耗して変形した量を意味する。砥石が変形した場合には、除去量に影響がある。そこで、砥石の変形量を考慮して除去量を算出することで、より正確な除去量を算出できる。
なお、本発明のびびりシミュレーション装置が行うシミュレーション結果から、機械剛性を変更したり、サーボ特性を変更したりして、工作物剛性や砥石剛性を高めることで、びびりが発生しないように設計変更することも可能である。
また、例えば、びびりが有ると判定された場合、機械が設計変更されたと仮定して、剛性記憶部の工作物剛性や砥石剛性を変更し、再度シミュレーションを行うこともできる。つまり、剛性記憶部に記憶された工作物剛性や砥石剛性を変更する剛性変更部を備えてもよい。なお、加工条件変更部が上記剛性を変更するようにもできる。これにより、機械剛性やサーボ特性をどの程度変更すればよいかが分かる。
ここで、砥石移動方向は、X軸方向であってもよい。この場合、工作物形状記憶部は、工作物の周面形状を記憶する。砥石形状記憶部は、砥石の周面形状を記憶する。相対位置算出部は、工作物の軸心と砥石の軸心とのX軸方向の離間距離を算出する。除去量算出部は、工作物形状記憶部に記憶される工作物の周面形状、砥石形状記憶部に記憶される砥石の周面形状、および、X軸方向の離間距離に基づいて、砥石による工作物の除去量を算出する。工作物形状変更部は、除去量に基づいて工作物形状記憶部に記憶される工作物の周面形状を変更する。これにより、本発明は、工作物の周面のびびり現象をシミュレーションできる。
ここで、工作物の軸直交方向断面が非真円形状である場合、または、工作物の軸心が工作物の回転中心から偏心した偏心形状である場合を考える。また、X軸方向に直交し且つ工作物の軸心(Z軸方向)に直交する方向をY軸方向と定義しておく。
この場合、研削抵抗算出部は、除去量、指令値、工作物の周面形状、および、砥石の周面形状に基づいて、X軸方向およびY軸方向の研削抵抗を算出する。変位量算出部は、さらに、Y軸方向の研削抵抗に基づいてY軸方向の変位量を算出する。さらに、びびりシミュレーション装置は、変位量が算出される毎に、Y軸方向の変位量に基づいて工作物の軸心と砥石の軸心とのY軸方向の離間距離を算出するY軸離間距離算出部を備える。除去量算出部は、X軸方向およびY軸方向の離間距離に基づいて除去量を算出する。
これにより、本発明は、Y軸方向への変位が考慮され、より高精度にびびり現象をシミュレーションできる。
ここで、除去量の計算は以下のようにしてもよい。工作物形状記憶部は、工作物を分割した周縁上の分割点と工作物の軸心とを結ぶ複数の線分群を、工作物の周面形状として記憶し、除去量算出部は、線分と砥石の外縁線との交点に基づいて除去量を算出し、工作物形状変更部は、交点を線分端点とし、工作物形状記憶部に記憶される工作物の周面形状を変更する。これにより、容易に除去量を算出できる。ここで、上記分割点は、等角に分割されたものが好ましい。これにより、バランスよく、高精度に除去量を算出できる。
一方、砥石移動方向は、Z軸方向であってもよい。この場合、工作物形状記憶部は、工作物の端面形状を記憶する。砥石形状記憶部は、砥石の端面形状を記憶する。相対位置算出部は、工作物と砥石の端面とのZ軸方向の相対位置を算出する。除去量算出部は、工作物形状記憶部に記憶される工作物の端面形状、砥石形状記憶部に記憶される砥石の端面形状、指令値に基づく砥石のX軸方向の位置、および、Z軸方向の相対位置に基づいて、砥石による工作物の除去量を算出する。工作物形状変更部は、除去量に基づいて工作物形状記憶部に記憶される工作物の端面形状を変更する。これにより、本発明は、工作物の端面のびびり現象をシミュレーションできる。
また、砥石移動方向は、X軸方向およびZ軸方向であってもよい。この場合、工作物形状記憶部は、工作物の端面形状を記憶する。砥石形状記憶部は、砥石の端面形状を記憶する。相対位置算出部は、工作物の軸心と砥石の軸心とのX軸方向の離間距離、および、工作物と砥石の端面とのZ軸方向の相対位置を算出する。除去量算出部は、工作物形状記憶部に記憶される工作物の端面形状、砥石形状記憶部に記憶される砥石の端面形状、X軸方向の離間距離、および、Z軸方向の相対位置に基づいて、砥石による工作物の除去量を算出する。工作物形状変更部は、除去量に基づいて工作物形状記憶部に記憶される工作物の端面形状を変更する。研削抵抗算出部は、除去量に基づいてX軸方向の研削抵抗およびZ軸方向の研削抵抗を算出する。変位量算出部は、X軸方向の研削抵抗に起因して砥石と工作物とがX軸方向に相対変位する変位量を算出し、Z軸方向の研削抵抗に起因して砥石と工作物とがZ軸方向に相対変位する変位量を算出する。変位量補正部は、相対位置算出部において次回算出されるX軸方向の離間距離をX軸方向の変位量に基づいて補正し、相対位置算出部において次回算出されるZ軸方向の相対位置をZ軸方向の変位量に基づいて補正する。これにより、本発明は、砥石移動方向がX軸方向およびZ軸方向である端面研削加工において、工作物の端面のびびり現象をシミュレーションできる。
除去量の計算は、以下のようにしてもよい。工作物形状記憶部は、工作物のZ軸方向における基準面をメッシュ状に分割し、そのメッシュの交点からZ軸方向に伸ばした複数の線分群を、工作物の端面形状として記憶する。除去量算出部は、線分と砥石の端面との交点に基づいて除去量を算出する。工作物形状変更部は、交点を線分端点とし、工作物形状記憶部に記憶される工作物の端面形状を変更する。
ところで、本発明のびびりシミュレーション装置は、以下のびびりシミュレーション方法を行っているともいえる。すなわち、本発明のびびりシミュレーション方法は、研削加工における研削盤制御装置に対する指令値を入力する指令値入力工程と、指令値に基づいて、砥石が工作物に対して相対移動する方向である砥石移動方向における工作物と砥石との所定時間毎の相対位置を順に算出する相対位置算出工程と、相対位置が算出される毎に、工作物形状記憶部に記憶されている工作物の形状、砥石形状記憶部に記憶されている砥石の形状、および、砥石移動方向の相対位置に基づいて、砥石による工作物の除去量を算出する除去量算出工程と、除去量が算出される毎に、工作物形状記憶部に記憶されている工作物の形状を除去量に基づいて変更する工作物形状変更工程と、除去量が算出される毎に、研削加工における砥石移動方向の研削抵抗を除去量に基づいて算出する研削抵抗算出工程と、研削抵抗が算出される毎に、研削抵抗に起因して砥石と工作物とが砥石移動方向に相対変位する変位量を算出する変位量算出工程と、変位量が算出される毎に、相対位置算出工程において次回算出され砥石移動方向の相対位置を変位量に基づいて補正する変位量補正工程と、工作物形状記憶部に記憶されている、工作物形状変更工程で2回以上変更された工作物の形状に基づいて、びびりの有無を判定するびびり判定工程とを備えることを特徴とする。
なお、相対位置算出部は、指令値以外にも、砥石および工作物の偏心等によるX軸変位も考慮して、工作物の軸心と砥石の軸心とのX軸離間距離を算出してもよい。例えば、工作物が長尺状である場合、工作物の剛性や遠心力等により、研削点において主軸の回転中心から偏心してしまうことがある。また、工作物(砥石)が主軸(砥石軸)の両支持部分から遠い位置(中央)に設置された場合も同様である。これらの場合、偏心する分を加減算してX軸離間距離を算出する。
また、研削抵抗は、研削能率と研削特性から算出できるが、砥石をドレッシングしたと仮定して、研削特性を変更するようにしてもよい。研削特性は、工作物の材料および砥石の周面の状態に基づいて決定される。
本発明のびびりシミュレーション装置、および、びびりシミュレーション方法によれば、研削加工におけるびびり現象をより正確にシミュレーションできる。
<第一実施形態:円柱状の工作物の周面研削加工>
第一実施形態のびびりシミュレーション装置100について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、研削盤2とびびりシミュレーション装置100を示す模式図である。図2は、びびりシミュレーション装置100を示すブロック図である。図3は、砥石21と工作物3を示す模式図である。なお、本実施形態では、工作物が円柱状である場合を例に説明する。
まず、研削盤2の概略について説明する。図1に示すように、研削盤2は、砥石21と、砥石台22と、主軸台23と、制御部24とを備えている。砥石21は、大量の砥粒により円盤状に形成され、砥石台22に砥石軸回りに回転可能に軸支されている。砥石台22は、制御部24からの指令により、砥石21を砥石軸回りに回転させる。砥石台22は、制御部24からの指令により、砥石21をZ軸方向(砥石軸方向)、および、X軸方向(図1の左右方向)に移動させる。
主軸台23は、工作物3を主軸回りに回転可能に軸支し、制御部24からの指令により工作物3を主軸回りに回転させる。制御部24は、砥石台22および主軸台23に指令し、砥石21と工作物3との相対位置、および、砥石21および工作物3それぞれの回転速度を制御する。なお、工作物3がカム形状や偏心形状の場合には、制御部24は、工作物3の回転角制御も行う。
つまり、研削盤2は、主軸台23により回転駆動される工作物3の周面または端面に、砥石台22により回転駆動される砥石21の周面または端面を接触させて、工作物3の周面または端面を研削する研削加工を行う装置である。なお、図示しないが、研削盤2には、研削点周辺をクーラントにより冷却する冷却装置が備えられている。
次に、びびりシミュレーション装置100について説明する。図1に示すように、本実施形態において、びびりシミュレーション装置100は、研削盤2とは別個の装置となっている。ただし、びびりシミュレーション装置100は、図1の点線で示すように、制御部24と通信可能に接続されていてもよい。また、びびりシミュレーション装置100は、制御部24に内蔵されていてもよい。
図2に示すように、びびりシミュレーション装置100は、工作物形状記憶部101と、砥石形状記憶部102と、指令値記憶部103と、X軸離間距離算出部104(本発明の「相対位置算出部」に相当する)と、除去量算出部105と、工作物形状変更部106と、研削抵抗算出部107と、剛性記憶部108と、変位量算出部109と、変位量補正部110と、砥石変形量算出部111と、びびり判定部112と、加工条件変更部113と、加工条件記憶部114と、剛性変更部115とを備えている。なお、ここではまず、工作物3の周面を砥石21の周面で研削加工する際(砥石移動方向がX軸方向)のびびりシミュレーションについて説明する。また、本実施形態においては、円柱状の工作物、すなわち、軸直交断面形状が円形断面の工作物の軸心が、回転中心に一致するとしている。
工作物形状記憶部101には、工作物3の周面形状が記憶されている。つまり、シミュレーション開始直前にあっては、研削加工されていない状態の工作物形状、例えば、工作物径から分かる円形状が記憶されている。砥石形状記憶部102には、砥石21の周面形状が記憶されている。例えば、研削加工開始直前の砥石径から分かる円形状が記憶されている。
指令値記憶部103には、研削加工における研削盤2に対する指令値が記憶されている。指令値とは、図1に示すように、ある時間における工作物3の回転中心(軸心)と砥石21の回転中心とのX軸方向の離間距離を指令する値であるX軸値と、ある時間における工作物3の回転角を指令する値であるC軸値(C=ωt)である。指令値は、工作物回転数、砥石回転数、および、砥石の送り量(送り速度)等の研削加工条件に基づいて算出されている。なお、ωは、工作物3の角速度である。
X軸離間距離算出部104は、指令値に基づいて、工作物3の回転中心と砥石21の回転中心とのX軸方向の離間距離を算出する。つまり、X軸離間距離は、式(1)に示すように算出される。
Figure 0005272569
は加工開始位置におけるX軸値であり、Vは砥石送り速度であり、Aは偏心などに起因する振動片振幅であり、Nは考慮する最大次数であり、fは振動周波数である。
式(1)において、第3項を除いた値は、時間tにおける指令値(X軸値)に相当する。そして、式(1)の第3項は、砥石21または工作物3の偏心等による周期的な振動を考慮するために加えられている。後述するが、X軸離間距離算出部104は、変位量補正部110によって式(1)にさらに変位量Znが加減算され、X軸離間距離を算出する。
除去量算出部105は、工作物形状記憶部101に記憶されている工作物3の周面形状、砥石形状記憶部102に記憶されている砥石21の周面形状、および、X軸離間距離算出部104で算出されたX軸離間距離に基づいて、砥石21による工作物3の除去量を算出する。
除去量は、図3に示すように、砥石21と工作物3とが干渉する部分(図3の斜線部分)の体積である。除去量算出部105は、当該除去量を、工作物3および砥石21の周面形状と、X軸離間距離から、演算処理によって幾何学的に算出している。ここで、後述するように工作物3の周面形状および砥石21の周面形状は逐次変化する。つまり、除去量は、逐次変化する工作物3および砥石1の周面形状とX軸離間距離とに基づいて、両者が干渉する部分となる。
工作物形状変更部106は、除去量算出部105で算出された除去量に基づいて、工作物形状記憶部101に記憶されている工作物3の周面形状を変更する。つまり、工作物形状記憶部101に記憶されている工作物3の周面形状を、除去後の形状に更新する。すなわち、工作物形状変更部106は、除去量算出部105で算出された除去量の部分が全て研削加工により削り取られたと仮定して、削り取られた後の工作物3の形状を更新している。
この工作物形状の更新は、次の除去量算出に反映される。つまり、図3の斜線部分には、研削加工開始直後(t1)の除去量が模式的に示されているが、次の瞬間t1+Δtにおける除去量は、除去後(斜線部分を除いた)の工作物形状に基づいて算出される。
研削抵抗算出部107は、除去量算出部105で算出された除去量に基づいて、研削加工におけるX軸方向の研削抵抗Fnを算出する。まず、研削抵抗算出部107は、算出された除去量に基づいて単位時間当たりの除去量Zを算出する。そして、単位時間当たりの除去量Zと、工作物の材料および砥石の周面の状態に基づいて決定されるX軸方向の研削特性kとを乗算して、X軸方向の研削抵抗Fnを算出する(Fn=k×Z)。ここで、X軸方向の研削特性kは、実験や解析などにより予め記憶しておく。なお、単位時間当たりの除去量Zは、研削能率ともいわれる。研削特性kは、単位時間当たりの除去量Zが大きくなるほどX軸方向の研削抵抗Fnが大きくなるような、ほぼ線形の関係を有する。そして、この研削特性kは、例えば、砥石21が摩耗した場合には、両者の関係が変化する。具体的には、砥石21が摩耗した場合には、単位時間当たりの除去量Zに対して、X軸方向の研削抵抗Fnが大きくなるように変化する。
剛性記憶部108は、工作物剛性および砥石剛性を記憶している。工作物剛性は、研削盤2の主軸台23に支持された状態の工作物3に対して、X軸方向の力を与えた場合における工作物3のX軸方向の変位量に応じたものである。例えば、工作物剛性は、当該工作物3のX軸方向の変位量の逆数である。この工作物剛性は、実測によって予め算出される。例えば、工作物3を主軸台23に取り付け、工作物3のX軸方向の一方側に測定器(加速度計)を配置し、X軸方向の他方側から工作物3をハンマリングすることにより工作物剛性を求めることができる。
そして、実測を基に、工作物剛性を伝達関数f1として表現することができる。つまり、剛性記憶部108は、工作物剛性を伝達関数f1として記憶している。なお、研削盤2にレスト(ワークレスト)が備わっている場合、上記実測は、工作物3がさらにレストにより支持された状態で行うとよい。工作物3がレストにより支持されている場合には、工作物3に対してX軸方向の力を与えた場合における工作物3のX軸方向の変位量は小さくなる。つまり、工作物3がレストにより支持されている場合には、工作物剛性が大きくなる。
また、砥石剛性は、研削盤2の砥石台22に支持された状態の砥石21に対して、X軸方向の力を与えた場合における砥石21のX軸方向の変位量に応じたものである。例えば、砥石剛性は、当該砥石21のX軸方向の変位量の逆数である。砥石剛性は、上記同様の実測に基づいて、伝達関数f2として表現される。従って、剛性記憶部108は、砥石剛性を伝達関数f2として記憶している。なお、砥石剛性の実測において、砥石剛性は、砥石21を砥石台22から外した状態で、砥石台22の砥石軸をハンマリングすることにより求めてもよい。これにより、砥石21の周面を損傷させることなく、砥石剛性として近似できる。
変位量算出部109は、研削抵抗Fnに起因して砥石21と工作物3とがX軸方向に相対変位する変位量Znを、剛性記憶部108に記憶された工作物剛性および砥石剛性に基づいて算出する。変位は、剛性と抵抗から求めることができる。従って、変位量Znは、研削抵抗Fnと、工作物剛性(伝達関数f1)と、砥石剛性(伝達関数f2)とから算出することができる。例えば、工作物変位量Z1は、Z1=Fn/f1で求まり、砥石変位量Z2は、Z2=Fn/f2で求まる。なお、一般に、砥石剛性は工作物剛性に比べて非常に高いため、砥石剛性を考慮せずに変位量Znを求めてもよい。ただし、上記のように、砥石剛性を考慮した方が、より高精度に変位量Znを算出できる。
変位量補正部110は、算出された変位量Znに基づいて、X軸離間距離算出部104におけるX軸離間距離を補正する。つまり、変位量算出部110は、式(1)にさらに変位量Znを加える。そして、X軸離間距離算出部104は、変位量算出部110により変位量Znが加えられた式(1)を用いて、次の瞬間t1+ΔtにおけるX軸離間距離を算出する。X軸離間距離は、式(1)だけでは研削抵抗Fnに起因する変位量Znが考慮されていないが、変位量補正部110が式(1)に変位量Znを加えることにより、変位量Znを考慮した値に補正される。
砥石変形量算出部111は、研削抵抗Fnに基づいて砥石21の変形量を算出し、砥石21の変形量に基づいて砥石形状記憶部102に記憶されている砥石21の周面形状を変更する。砥石21の変形量とは、砥石21が工作物3を研削加工する際に砥石21が摩耗して変形した量を意味する。砥石21の磨耗の程度は、砥石21の材料や研削抵抗Fnの大小によって求めることができる。
本実施形態において、砥石変形量算出部111は、研削抵抗Fnの大きさと砥石21の変形量の関係から計算された、砥石21の変形量の経年変化の特性を予め記憶している。そして、砥石変形量算出部111は、研削抵抗算出部107で算出された研削抵抗Fnを逐次記憶し、上記経年変化特性を用いて、砥石21周面の回転角毎に、砥石21の変形量を算出する。そして、算出した砥石21の変形量に基づいて砥石形状記憶部102に記憶された砥石21の周面形状を更新する。
びびり判定部112は、工作物形状記憶部101に記憶されている変更後の工作物3の周面形状に基づいて、びびりの有無を判定する。びびり判定部112には、研削加工により得ようとする工作物3の周面形状、すなわち、作業者等が意図する理想の工作物3の周面形状(本実施形態では円形状)が記憶されている。工作物形状記憶部101に記憶された工作物3の形状(以下、「加工形状」とも称する)と上記理想形状とを比較することで、加工形状における研削加工面の面粗さが分かる。
びびり判定部112は、加工形状と理想形状とが一致しない場合、びびりが有ると判定する。判定は、工作物3の1回転(1周期)毎に行ってもよく、加工途中のあるタイミング、あるいは、最終形状(研削加工後の形状)で行ってもよい。
びびり判定部112は、びびりが有ると判定した場合、さらに、びびり量を算出する。びびり量は、加工形状における研削加工面の面粗さから算出できる。びびり量は、周面全体におけるびびりの数、または、びびりの突出長(径方向外方への突出量)で表すことができる。本実施形態では、びびりの最高突出長(μm)をびびり量として算出している。
加工条件変更部113は、びびり判定部112にてびびりが有ると判定された場合であって、びびり量が予め設定された閾値以上である場合、指令値の算出元となる研削加工条件を変更する。
加工条件変更部113には、予めびびり量に関する閾値(μm)が設定されている。そして、びびり判定部112で算出されたびびり量と閾値とを比較する。そして、びびり量≧閾値となった場合、工作物回転数、砥石回転数、および、砥石送り速度などの研削加工条件を変更する。
研削加工条件は、加工条件記憶部114に記憶されている。そして、指令値記憶部103は、加工条件記憶部114に記憶されている研削加工条件から算出された値(X軸値、C軸値)を記憶している。つまり、加工条件変更部113が、加工条件記憶部114の研削加工条件を変更することにより、指令値記憶部103に記憶された指令値は変更される。
また、加工条件変更部113は、研削抵抗Fnが閾値以上となる場合における研削加工条件を変更することもできる。つまり、加工条件変更部113は、研削抵抗算出部107で算出された研削抵抗Fnが予め設定された閾値以上となった場合、加工条件記憶部114に記憶された研削加工条件を変更する。すなわち、加工条件変更部113には、びびり量に対する閾値と、研削抵抗に対する閾値とが設定されている。加工条件変更部113は、びびり量のみに基づいて研削加工条件を変更してもよいし、研削抵抗Fnのみに基づいて研削加工条件を変更してもよいし、両者に基づいて研削加工条件を変更してもよい。これらは、適宜選択できる。
剛性変更部115は、加工条件変更部115同様、びびり判定部112にてびびりが有ると判定された場合であって、びびり量が予め設定された閾値以上である場合、剛性記憶部108に記憶された工作物剛性および砥石剛性のうち少なくとも一方を変更する。つまり、機械的に設計変更(チューニング)されたと仮定して、シミュレーション上で工作物剛性や砥石剛性を変更する。
ここで、加工条件変更部113と剛性変更部115とは、1つの条件変更部としてもよい。また、両者のうち何れか一方の機能を稼動させ、他方を停止させてシミュレーションしてもよい。つまり、機械的な設計変更をせずに、びびり現象を発生しない研削加工条件を算出したい場合、加工条件変更部113のみを稼動状態とし、剛性変更部115を停止状態とすればよい。また、両方稼動させた状態で、優先度を設定しておき、優先度の高い方の条件(研削加工条件または剛性)を変更するようにしてもよい。もちろん、剛性変更部115のみを稼働状態とし、加工条件変更部113を停止状態としてもよい。これらは、適宜選択できる。
次に、シミュレーション装置100を用いたびびり現象のシミュレーション例について図4〜図6を参照して説明する。図4は、シミュレーション例における各種条件を示す図である。図5は、シミュレーション例における切り込み残り量と時間との関係を示す図である。図6は、シミュレーション例における工作物3の周面形状の周波数特性を示す図である。なお、説明するシミュレーション例は、図4に示す条件の下で行われ、加工条件変更部113や剛性変更部115による条件変更は行われていないものとする。
図4に示すように、このシミュレーション例において、研削方式は1速円筒プランジ研削である。研削能率は1(mm/(mm・s))である。砥石21については、仕様がCBN120M200VBAGR302であり、径が160(mm)、周速度が119(m/s)である。工作物3については、種類がSCr420浸炭焼入れ材HRc64であり、径が32mmであり、周速度が0.50(m/s)であり、切込み量がφ0.3(mm)である。なお、クーラント(図示なし)の仕様はエマルションタイプ水溶性クーラントであり、その流量は30(L/min)である。
図5には、図4に示す条件で実際に研削加工を行ったときの実験値と、同条件でシミュレーション装置100でシミュレーションした解析値とが表されている。なお、縦軸が切り込み残り量(mm)であり、横軸が時間(s)である。解析値は、工作物形状記憶部101に記憶される工作物3の周面形状の時間変化から求めることができる。
図5に示すように、実験値において、切り込み残り量は、時間に比例して減少している。そして、解析値において、切り込み残り量は、実験値とほぼ同様に、時間に比例して減少している。つまり、シミュレーション装置100による解析値は、実験値とほぼ同値になることが分かる。
図6には、図5同様、実験値と解析値が表されている。図6は、縦軸が振幅(μm)であり、横軸が周波数(Hz)である。図6における解析値は、工作物形状記憶部101に記憶された工作物3の最終周面形状(切り込み残り量が0mm)から求められた周波数特性である。実験値は、実際の研削加工後の周面形状(切り込み残り量が0mm)から求められた周波数特性である。
図6に示すように、実験値および解析値の何れもにおいて、周波数230(Hz)付近、460(Hz)付近、700(Hz)付近、950(Hz)付近で、振幅が大きくなっている。そのなかでも、周波数700(Hz)付近では、実験値および解析値の何れもにおいて、振幅が特に大きくなっている。そして、その他の周波数において、解析値は、実験値とほぼ同様、振幅が小さい値となっている。
上記シミュレーション例から分かるように、びびりシミュレーション装置100によれば、実際の研削加工と整合のとれた高精度なびびり現象のシミュレーションが可能となる。
ところで、びびりシミュレーション装置100は、例えば、以下のような使用例がある。なお、びびりシミュレーション装置100の使用は下記の例に限られるものではない。
まず、1つ目の使用例は、びびりが発生しない研削加工条件を自動的に求める使用である。つまり、加工条件変更部113(剛性変更部115を含む)を稼動状態とし、びびりが有ると判定された場合、加工条件変更部113に研削加工条件を変更させる。そして、びびりが無いと判定されるまで研削加工条件を変更させることで、びびりが発生しない研削加工条件を自動的に求める。これにより、びびりが発生しない研削加工条件を自動的に求めることができる。
2つ目の使用例は、研削盤2を稼動させ、実際に工作物3を研削加工しながら、びびり現象をシミュレーションする使用である。この場合、研削盤2の制御部24とびびりシミュレーション装置100とが通信可能に接続されている。
つまり、シミュレーションしながら研削加工する。これにより、実際の研削加工中に、びびりシミュレーション装置100で「びびり有り」または「びびりの発生可能性大」ということが分かる。そして、シミュレーションに基づいて、実際の研削加工を中断したり、研削加工の途中で研削加工条件を変更したりすることができる。つまり、実際に稼動している研削加工条件を、「加工条件変更部113で算出されたびびりが発生しない研削加工条件」に逐次変更されるようにできる。この研削加工条件の変更は、加工条件変更部113が制御盤24と通信することにより自動的に行わせることが可能である。
3つ目の使用例は、加工条件変更部113(剛性変更部115を含む)を停止状態とし、作業者等が入力した研削加工条件から、びびりの有無およびびびり量をシミュレーションする使用である。つまり、入力した研削加工条件で、どのようなびびり現象が発生するのかをシミュレーションする。これによれば、作業者は、例えば、複数パターンの研削加工条件を入力し、それらのシミュレーション結果の中から適切な研削加工条件を選択することができる。
以上、びびりシミュレーション装置100によれば、研削加工におけるびびり現象をより正確にシミュレーションできる。
なお、上記実施形態において、工作物剛性および砥石剛性は、説明の容易化のため、いわゆる、ばね定数に相当する部分のみを考慮した。この他に、減衰係数を考慮し、さらに、工作物3および砥石21の固有値、および、X軸変位量Znの算出時における研削抵抗Fnの変化量を考慮して、減衰振動の運動方程式(微分方程式)を解くことで、X軸変位量Znを算出するようにしてもよい。例えば、X軸変位量Znの算出直前における研削抵抗Fnにより工作物3がX軸方向へ変位していることや、研削抵抗Fnの時間変化が周期的なものの場合には工作物3の周波数特性に応じてX軸変位量Znが変化することなどを考慮することにより、より高精度なX軸変位量Znを算出できる。
<除去量演算>
ここで、除去量の演算の具体例について、図7を参照して説明する。図7は、線分で表された工作物3と砥石21の外縁線とを示す図である。
まず、図7に示すように、工作物形状記憶部101は、工作物3の回転中心(軸心)を原点Oとした極座標上において、工作物3を複数の線分群で形状認識している。つまり、工作物形状記憶部101は、工作物3を等角(α)分割した周縁上の分割点と工作物3の回転中心(原点O)とを結ぶ複数の線分群を、工作物3の周面形状として記憶している。
そして、除去量算出部105は、X軸離間距離と砥石1の周面形状から、工作物3の線分と砥石21の外縁線との交点を決定する。
除去量算出部105は、交点を除去後の線分の端点として認識する。そして、除去量算出部105は、除去前の端点のうち隣り合う端点a、aと原点Oとからなる三角形△Oaの面積から、端点a、aをもつ線分の除去後の端点b、bと原点Oとからなる三角形△Obの面積を引く。そして、除去量算出部105は、当該面積の差分を各線分で積算し、その積算値に工作物3の厚みをかけて、除去量を算出する。上記演算は、三角形の面積(辺×辺×sinα)を利用することで負荷を小さく高速に行うことができる。そして角度αを小さくすることでより正確に計算することができる。ただし、四角形aを直接求めてもよい。
<第二実施形態:カム形状の工作物の周面研削加工>
第二実施形態のびびりシミュレーション装置200について、図8および図9を参照して説明する。図8は、びびりシミュレーション装置200を示すブロック図である。図9は、工作物3がカム形状の場合を示す図である。ここで、第二実施形態のびびりシミュレーション装置200において、第一実施形態のびびりシミュレーション装置100と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
まず、工作物3の軸直交方向断面が非真円形状(ここではカム形状)の周面研削加工について、図9を用いて説明する。工作物3がカム形状の場合、工作物3の回転中心(軸心)が定義中心となる。カム形状の工作物周面を加工する際、砥石21と工作物3が接触する研削点(加工点)は、砥石21の回転中心と工作物3の回転中心を通る直線上にない場合がある。換言すると、砥石21の回転中心を通るX軸線上に研削点がない場合がある。研削抵抗は、研削点を通る工作物3(または砥石21)の接線に垂直な方向に作用する。従って、この場合、砥石21に作用する研削抵抗および工作物3に作用する研削抵抗は、X軸方向のみではなく、Y軸方向にも発生する。
上記のY軸方向の研削抵抗が生じることを考慮したびびりシミュレーション装置200は、図8に示すように、工作物形状記憶部101と、砥石形状記憶部102と、指令値記憶部103と、X軸離間距離算出部104(本発明の「相対位置算出部」に相当する)と、除去量算出部205と、工作物形状変更部106と、研削抵抗算出部207と、剛性記憶部208と、変位量算出部209と、変位量補正部110と、砥石変形量算出部111と、びびり判定部112と、加工条件変更部113と、加工条件記憶部114と、剛性変更部115と、Y軸離間距離算出部216とを備えている。
除去量算出部205は、工作物形状記憶部101に記憶されている工作物3の周面形状、砥石形状記憶部102に記憶されている砥石21の周面形状、X軸離間距離算出部104で算出されたX軸離間距離に加えて、後述するY軸離間距離算出部216で算出されたY軸離間距離に基づいて、砥石21による工作物3の除去量を算出する。
研削抵抗算出部207は、除去量算出部205で算出された除去量に基づいて、研削点における法線方向の研削抵抗Fnを算出する。さらに、研削抵抗算出部207は、法線方向の研削抵抗Fnを、X軸方向の研削抵抗FWnxと、X軸およびZ軸に直交するY軸方向の研削抵抗FWnyとに分解する。
これらの研削抵抗FWnx、FWnyは、例えば以下の式で求められる。X軸方向の研削抵抗FWnxは、FWnx=−Fn×cos(Ci−θi)で算出される。Y軸方向の研削抵抗FWnyは、FWny=−Fn×sin(Ci−θi)で算出される。Ciは、C軸角度である。θiは、砥石21の回転中心からみた研削点の角度である。
また、砥石21に作用する研削抵抗は、例えば以下の式で求められる。X軸方向の研削抵抗FGnxは、FGnx=−Fn×cos(θi)で算出される。Y軸方向の研削抵抗FGnyは、FGny=Fn×sin(θi)で算出される。
剛性記憶部208は、X軸方向の工作物剛性、Y軸方向の工作物剛性、および、砥石剛性を記憶している。X軸方向の工作物剛性は、研削盤2の主軸台23に支持された状態の工作物3に対して、X軸方向の力を与えた場合における工作物3のX軸方向の変位量に応じたものである。Y軸方向の工作物剛性は、研削盤2の主軸台23に支持された状態の工作物3に対して、Y軸方向の力を与えた場合における工作物3のY軸方向の変位量に応じたものである。Y軸方向の工作物剛性は、X軸方向同様、予め測定されて設定されている。砥石剛性は、第一実施形態にて説明したとおりである。
変位量算出部209は、X軸方向の研削抵抗FWnxに起因して砥石21と工作物3とがX軸方向に相対変位するX軸方向の変位量Znxを、剛性記憶部208に記憶されたX軸方向の工作物剛性および砥石剛性に基づいて算出する。さらに、変位量算出部209は、Y軸方向の研削抵抗FWnyに起因して砥石21と工作物3とがY軸方向に相対変位するY軸方向の変位量Znyを、剛性記憶部208に記憶されたY軸方向の工作物剛性および砥石剛性に基づいて算出する。
変位量補正部210は、算出されたX軸方向の変位量Znxに基づいて、X軸離間距離算出部104におけるX軸離間距離を補正する。
Y軸離間距離算出部216は、算出されたY軸方向の変位量Znyに基づいて、工作物3の軸心と砥石21の軸心とのY軸方向の離間距離を算出する。このY軸方向の離間距離は、上述したように、除去量算出部205にて除去量を算出する際に用いられる。
このように、びびりシミュレーション装置200によれば、カム形状などの非真円断面形状の工作物3に対しても、より高精度にびびりシミュレーションを行うことができる。
<第二実施形態の変形態様:偏心円柱ピンの工作物の周面研削加工>
第二実施形態においては、非真円断面形状の場合について説明した。この他に、工作物3の軸心が工作物3の回転中心から偏心している場合(ここでは偏心円柱ピン)についても、同様に適用できる。偏心円柱ピンの場合について、図10を参照して説明する。
図10に示すように、工作物3が偏心円柱ピンの場合には、非真円形状の工作物3の場合と同様に、研削抵抗がX軸方向のみとは限らない。従って、研削抵抗をX軸方向とY軸方向とに分解して算出する。偏心円柱ピンの場合、工作物3の軸心と工作物3の回転中心が異なっている。図10では、偏心円柱ピンの回転(移動)前後が表されている。ここでは、偏心円柱ピンにかかる研削抵抗から回転中心にかかる研削抵抗を求めている。カム形状同様、回転中心にかかる研削抵抗がX軸方向とY軸方向とに分解される。なお、θiは、C軸回転角度と心間距離(工作物3と砥石21)から求めることができる。
<第三実施形態:端面研削加工>
第三実施形態のびびりシミュレーション装置300は、工作物3の端面のびびり現象をシミュレーションする。つまり、びびりシミュレーション装置300は、回転駆動される工作物3の端面に、回転駆動される砥石21の端面を接触させて、工作物3の端面を研削する研削加工において、工作物3の端面のびびり現象をシミュレーションする。この場合、砥石台22は、Z軸方向に移動し(図11参照)、砥石21の端面を工作物3の端面に接触させる。図11は、研削盤2の模式平面図である。
端面研削加工のびびりシミュレーション装置300について、図12〜図16を参照して説明する。図12は、びびりシミュレーション装置300のブロック図である。図13は、工作物3のメッシュの模式図であり、吹き出し図は工作物3の1メッシュの拡大斜視図を示す。図14は、工作物3の端面側の斜め方向から見た状態における工作物3の線分を示す模式図である。図15は、工作物3を側面から見た状態における工作物3の線分を示す模式図であり、砥石21との交点を示す図である。図16は、端面研削加工における除去量算出処理を示すフローチャートである。ここで、第三実施形態のびびりシミュレーション装置300において、第一実施形態のびびりシミュレーション装置100と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、びびりシミュレーション装置300は、工作物形状記憶部301と、砥石形状記憶部302と、指令値記憶部103と、X軸離間距離算出部104と、Z軸相対位置算出部316(本発明の「相対位置算出部」に相当する)と、除去量算出部305と、工作物形状変更部306と、研削抵抗算出部307と、剛性記憶部308と、変位量算出部309と、変位量補正部310と、砥石変形量算出部311と、びびり判定部112と、加工条件変更部113と、加工条件記憶部114と、剛性変更部115とを備えている。
工作物形状記憶部301は、工作物3の端面形状を以下のように記憶している。図13〜図15に示すように、工作物3の端面形状は、工作物3のZ軸方向における基準面z1をメッシュ状に分割し、そのメッシュの交点からZ軸方向に伸ばした線分群で表されている。ここでは、基準面z1は、工作物3の仕上げ幅(最終形状における端面位置)に設定されている。従って、線分は、取代分の長さとなっている。
砥石形状記憶部302は、砥石21の端面形状を記憶している。X軸離間距離算出部104は、指令値に基づいて、工作物3の回転中心と砥石21の回転中心とのX軸方向の離間距離を算出する。ただし、第三実施形態におけるX軸離間距離算出部104は、第一実施形態におけるX軸離間距離算出部104のように補正されることはない。
Z軸相対位置算出部316は、指令値に基づいて、工作物3と砥石21の端面とのZ軸方向の相対位置を算出する。ここでは、具体的に、Z軸相対位置算出部316は、指令値に基づいて、工作物3の基準面z1(例えば、原点)と砥石21の端面とのZ軸方向の離間距離を算出する。
除去量算出部305は、工作物形状記憶部301に記憶された工作物3の端面形状、砥石形状記憶部302に記憶された砥石21の端面形状、指令値に基づく工作物3の軸心と砥石21の軸心とのX軸方向の離間距離、および、Z軸方向の上記離間距離に基づいて、砥石21による工作物3の除去量を算出する。端面加工において、砥石21のX軸方向の位置は固定された状態で、砥石21をZ軸方向に移動させて行う。
具体的に、除去量算出部305は、まず、砥石21の端面と工作物3の線分との交点を認識する。そして、図14に示すように、除去量算出部305は、1メッシュに4つの交点がある場合、その交点で形成される四角形□pの面積(1メッシュの面積に相当)を算出する。ここで、交点が1メッシュに3つの場合、上記4つの場合と同様、四角形の面積が求められる。交点が1メッシュに2つの場合、1メッシュの面積の半分の値が算出される。交点が1メッシュに1つ以下の場合、計算を行わない。このように、除去量算出部105は、各メッシュで求めた面積を積算する。そして、その積算面積に、削られた高さΔh(すなわち、基準面z1から除去前の端点までの長さと、基準面z1から交点までの長さの差分)をかけられて除去量が算出される。なお、削られた高さを各メッシュの面積にかけて、後に体積を積算してもよい。式で表すと、除去量=Σ□p×Δhとなる。
図16を参照し演算をフローで説明すると、まず、砥石21が配置される(S901)。そして、Z軸方向から見た工作物3と砥石21との干渉をチェックする(S902)。そして、干渉がある場合(S903:Yes)、工作物3の線分長を端点が交点となるように変更する(S904)。干渉がない場合(S903:No)、線分長を変更せず、S905に進む。
そして、1ブロック動作(1指令値)が完了していれば(S905:Yes)、除去量が計算される(S906)。1ブロック動作が未完了であれば(S905:No)、除去量が計算されずS901に戻る。除去量が計算された後、次のブロックがあれば同様のステップを繰り返す。
工作物形状変更部306は、除去量算出部305で算出された除去量に基づいて、工作物形状記憶部301に記憶されている工作物3の端面形状を変更する。つまり、工作物形状記憶部301に記憶されている工作物3の端面形状を、除去後の形状に更新する。すなわち、工作物形状変更部306は、除去量算出部305で算出された除去量の部分が全て研削加工により削り取られたと仮定して、削り取られた後の工作物3の形状を更新している。
研削抵抗算出部307は、除去量算出部305で算出された除去量に基づいて、研削加工におけるZ軸方向の研削抵抗Fnを算出する。このZ軸方向の研削抵抗Fnの算出方法は、第一実施形態におけるX軸方向の研削抵抗Fnの算出方法と実質的に同様である。
剛性記憶部308は、工作物剛性および砥石剛性を記憶している。工作物剛性は、研削盤2の主軸台23に支持された状態の工作物3に対して、Z軸方向の力を与えた場合における工作物3のZ軸方向の変位量に応じたものである。砥石剛性は、研削盤2の砥石台22に支持された状態の砥石21に対して、Z軸方向の力を与えた場合における砥石21のZ軸方向の変位量に応じたものである。
変位量算出部309は、Z軸方向の研削抵抗Fnに起因して砥石21と工作物3とがZ軸方向に相対変位する変位量Znを、剛性記憶部308に記憶された工作物剛性および砥石剛性に基づいて算出する。
変位量補正部310は、算出された変位量Znに基づいて、Z軸離間距離算出部316におけるZ軸離間距離を補正する。この補正は、実質的に、第一実施形態におけるX軸離間距離の補正と同様である。
砥石変形量算出部311は、Z軸方向の研削抵抗Fnに基づいて砥石21の変形量を算出し、砥石21の変形量に基づいて砥石形状記憶部302に記憶されている砥石21の端面形状を変更する。
このように、びびりシミュレーション装置300によれば、工作物3の端面研削加工に対しても、より高精度にびびりシミュレーションを行うことができる。
<第四実施形態:端面研削加工>
第四実施形態のびびりシミュレーション装置400は、第三実施形態同様、工作物3の端面のびびり現象をシミュレーションする。ただし、第四実施形態においては、図17に示すように、砥石台22は、Z軸方向およびX軸方向に移動し(図17矢印参照)、工作物3の端面を研削加工する。図17は、第四実施形態における砥石21と工作物3とを示す模式平面図である。図17の工作物3は、例えばクランクシャフトである。
びびりシミュレーション装置400について図18を参照して説明する。図18は、びびりシミュレーション装置400のブロック図である。ここで、第四実施形態のびびりシミュレーション装置400において、第一実施形態および第三実施形態のびびりシミュレーション装置100、300と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、びびりシミュレーション装置400は、工作物形状記憶部301と、砥石形状記憶部302と、指令値記憶部103と、X軸離間距離算出部104と、Z軸相対位置算出部316と、除去量算出部405と、工作物形状変更部306と、研削抵抗算出部407と、剛性記憶部408と、変位量算出部409と、X軸変位量補正部410aと、Z軸変位量補正部410bと、砥石変形量算出部411と、びびり判定部112と、加工条件変更部113と、加工条件記憶部114と、剛性変更部115とを備えている。
除去量算出部405は、工作物形状記憶部301に記憶された工作物3の端面形状、砥石形状記憶部302に記憶された砥石21の端面形状、X軸離間距離算出部104で算出されたX軸方向の離間距離、および、Z軸相対位置算出部316で算出されたZ軸方向の離間距離に基づいて、砥石21による工作物3の除去量を算出する。ここでの端面加工は、第三実施形態と異なり、砥石21をX軸方向に移動させると共に、砥石21をZ軸方向に移動させて行う。除去量の算出は、第三実施形態と同様にメッシュを用いて行う。
研削抵抗算出部407は、除去量算出部405で算出された除去量に基づいて、研削点における砥石移動方向(X軸方向およびZ軸方向)の研削抵抗Fnを算出する。さらに、研削抵抗算出部407は、研削抵抗Fnを、X軸方向の研削抵抗FWnxと、Z軸方向の研削抵抗FWnzとに分解する。研削抵抗Fnの算出方法は、第一実施形態におけるX軸方向の研削抵抗Fnの算出方法と実質的に同様である。
剛性記憶部408は、X軸方向およびZ軸方向のそれぞれに対して、工作物剛性および砥石剛性を記憶している。
変位量算出部409は、Z軸方向の研削抵抗FWnzに起因して砥石21と工作物3とがZ軸方向に相対変位する変位量Znzを、剛性記憶部408に記憶されたZ軸方向における工作物剛性および砥石剛性に基づいて算出する。さらに、変位量算出部409は、X軸方向の研削抵抗FWnxに起因して砥石21と工作物3とがX軸方向に相対変位する変位量Znxを、剛性記憶部408に記憶されたX軸方向における工作物剛性および砥石剛性に基づいて算出する。
X軸変位量補正部410aは、算出された変位量Znxに基づいて、X軸離間距離算出部104におけるX軸離間距離を補正する。Z軸変位量補正部410bは、算出された変位量Znzに基づいて、Z軸相対位置算出部316におけるZ軸離間距離を補正する。これらの補正は、実質的に、第一実施形態におけるX軸離間距離の補正と同様である。
砥石変形量算出部411は、研削抵抗FWnx、FWnzに基づいて砥石21の変形量を算出し、砥石21の変形量に基づいて砥石形状記憶部302に記憶されている砥石21の端面形状を変更する。
このように、びびりシミュレーション装置400によれば、砥石21の移動方向がX軸方向およびZ軸方向である端面研削加工に対しても、より高精度にびびりシミュレーションを行うことができる。
研削盤2とびびりシミュレーション装置100を示す模式図である。 びびりシミュレーション装置100を示すブロック図である。 砥石21と工作物3を示す模式図である。 シミュレーション例における各種条件を示す図である。 シミュレーション例における切り込み残り量と時間との関係を示す図である。 シミュレーション例における工作物3の周面形状の周波数特性を示す図である。 線分で表された工作物3と砥石21の外縁線とを示す図である。 びびりシミュレーション装置200を示すブロック図である。 工作物3がカム形状の場合を示す図である。 工作物3が偏心円柱ピンの場合を示す図である。 研削盤2の模式平面図である。 びびりシミュレーション装置300のブロック図である。 工作物3のメッシュの模式図であり、吹き出し図は工作物3の1メッシュの拡大斜視図を示す。 工作物3の端面側の斜め方向から見た状態における工作物3の線分を示す模式図である。 工作物3を側面から見た状態における工作物3の線分を示す模式図であり、砥石21との交点を示す図である。 端面研削加工における除去量算出処理を示すフローチャートである。 第四実施形態における砥石21と工作物3とを示す模式平面図である。 びびりシミュレーション装置400のブロック図である。
符号の説明
100、200、300、400:びびりシミュレーション装置、
2:研削盤、21:砥石、22:砥石台、23:主軸台、
3:工作物

Claims (17)

  1. 回転駆動される工作物に、回転駆動される砥石を接触させて、前記工作物を研削する研削加工において、前記工作物のびびり現象をシミュレーションするびびりシミュレーション装置であって、
    前記工作物の形状を記憶する工作物形状記憶部と、
    前記砥石の形状を記憶する砥石形状記憶部と、
    前記研削加工における研削盤に対する指令値を記憶する指令値記憶部と、
    前記指令値に基づいて、前記砥石が前記工作物に対して相対移動する方向である砥石移動方向における前記工作物と前記砥石との所定時間毎の相対位置を順に算出する相対位置算出部と、
    前記相対位置が算出される毎に、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の形状、前記砥石形状記憶部に記憶されている前記砥石の形状、および、前記相対位置に基づいて、前記砥石による前記工作物の除去量を算出する除去量算出部と、
    前記除去量が算出される毎に、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の形状を前記除去量に基づいて変更する工作物形状変更部と、
    前記除去量が算出される毎に、前記研削加工における前記砥石移動方向の研削抵抗を前記除去量に基づいて算出する研削抵抗算出部と、
    前記研削抵抗が算出される毎に、前記研削抵抗に起因して前記砥石と前記工作物とが前記砥石移動方向に相対変位する変位量を算出する変位量算出部と、
    前記変位量が算出される毎に、前記相対位置算出部において次回算出される前記砥石移動方向の前記相対位置を前記変位量に基づいて補正する変位量補正部と、
    前記工作物形状記憶部に記憶されている、前記工作物形状変更部により2回以上変更された前記工作物の形状に基づいて、びびりの有無を判定するびびり判定部と、
    を備えることを特徴とするびびりシミュレーション装置。
  2. 前記砥石移動方向は、X軸方向であり、
    前記工作物形状記憶部は、前記工作物の周面形状を記憶し、
    前記砥石形状記憶部は、前記砥石の周面形状を記憶し、
    前記相対位置算出部は、前記工作物の軸心と前記砥石の軸心とのX軸方向の離間距離を算出し、
    前記除去量算出部は、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の周面形状、前記砥石形状記憶部に記憶されている前記砥石の周面形状、および、X軸方向の前記離間距離に基づいて、前記砥石による前記工作物の除去量を算出し、
    前記工作物形状変更部は、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の周面形状を前記除去量に基づいて変更する請求項1に記載のびびりシミュレーション装置。
  3. 前記X軸方向に直交し且つ前記工作物の軸心に直交する方向をY軸方向と定義し、
    前記工作物の軸直交方向断面が非真円形状である場合または前記工作物の軸心が前記工作物の回転中心から偏心した偏心形状である場合、
    前記研削抵抗算出部は、前記除去量、前記指令値、前記工作物の周面形状、および、前記砥石の周面形状に基づいて、前記X軸方向および前記Y軸方向の研削抵抗を算出し、
    前記変位量算出部は、さらに、前記Y軸方向の研削抵抗に基づいて前記Y軸方向の変位量を算出し、
    前記びびりシミュレーション装置は、さらに、前記変位量が算出される毎に、前記Y軸方向の変位量に基づいて前記工作物の軸心と前記砥石の軸心とのY軸方向の離間距離を算出するY軸離間距離算出部を備え、
    前記除去量算出部は、前記X軸方向および前記Y軸方向の離間距離に基づいて前記除去量を算出する請求項2に記載のびびりシミュレーション装置。
  4. 前記工作物形状記憶部は、前記工作物を分割した周縁上の分割点と前記工作物の軸心とを結ぶ複数の線分群を、前記工作物の周面形状として記憶し、
    前記除去量算出部は、各前記線分と前記砥石の外縁線との交点に基づいて除去量を算出し、
    前記工作物形状変更部は、前記交点を線分端点とし、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の周面形状を変更する請求項2または3に記載のびびりシミュレーション装置。
  5. 前記工作物形状記憶部は、前記工作物を等角分割した周縁上の分割点と前記工作物の軸心とを結ぶ複数の線分群を、前記工作物の周面形状として記憶する請求項4に記載のびびりシミュレーション装置。
  6. 前記砥石移動方向は、Z軸方向であり、
    前記工作物形状記憶部は、前記工作物の端面形状を記憶し、
    前記砥石形状記憶部は、前記砥石の端面形状を記憶し、
    前記相対位置算出部は、前記工作物と前記砥石の端面とのZ軸方向の相対位置を算出し、
    前記除去量算出部は、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の端面形状、前記砥石形状記憶部に記憶されている前記砥石の端面形状、前記指令値に基づく前記砥石のX軸方向の位置、および、Z軸方向の前記相対位置に基づいて、前記砥石による前記工作物の除去量を算出し、
    前記工作物形状変更部は、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の端面形状を前記除去量に基づいて変更する請求項1に記載のびびりシミュレーション装置。
  7. 前記砥石移動方向は、X軸方向およびZ軸方向であり、
    前記工作物形状記憶部は、前記工作物の端面形状を記憶し、
    前記砥石形状記憶部は、前記砥石の端面形状を記憶し、
    前記相対位置算出部は、前記工作物の軸心と前記砥石の軸心とのX軸方向の離間距離、および、前記工作物と前記砥石の端面とのZ軸方向の相対位置を算出し、
    前記除去量算出部は、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の端面形状、前記砥石形状記憶部に記憶されている前記砥石の端面形状、X軸方向の前記離間距離、および、Z軸方向の前記相対位置に基づいて、前記砥石による前記工作物の除去量を算出し、
    前記工作物形状変更部は、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の端面形状を前記除去量に基づいて変更し、
    前記研削抵抗算出部は、X軸方向の研削抵抗およびZ軸方向の研削抵抗を前記除去量に基づいて算出し、
    前記変位量算出部は、前記X軸方向の研削抵抗に起因して前記砥石と前記工作物とがX軸方向に相対変位する変位量を算出し、前記Z軸方向の研削抵抗に起因して前記砥石と前記工作物とがZ軸方向に相対変位する変位量を算出し、
    前記変位量補正部は、前記相対位置算出部において次回算出されるX軸方向の前記離間距離を前記X軸方向の変位量に基づいて補正し、前記相対位置算出部において次回算出されるZ軸方向の前記相対位置を前記Z軸方向の変位量に基づいて補正する請求項1に記載のびびりシミュレーション装置。
  8. 前記工作物形状記憶部は、工作物のZ軸方向における基準面をメッシュ状に分割し、そのメッシュの交点からZ軸方向に伸ばした複数の線分群を、前記工作物の端面形状として記憶し、
    前記除去量算出部は、前記線分と前記砥石の端面との交点に基づいて除去量を算出し、
    前記工作物形状変更部は、前記交点を線分端点とし、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の端面形状を変更する請求項6または7に記載のびびりシミュレーション装置。
  9. さらに、前記研削盤に支持された状態の前記工作物に対して前記砥石移動方向の力を与えた場合における前記工作物の前記砥石移動方向の変位量に応じた工作物剛性を記憶する剛性記憶部を備え、
    前記変位量算出部は、前記工作物剛性に基づいて前記変位量を算出する請求項1に記載のびびりシミュレーション装置。
  10. 前記工作物剛性は、前記研削盤のレストにより支持された状態の前記工作物に対して前記砥石移動方向の力を与えた場合における前記工作物の前記砥石移動方向の変位量に応じたものである請求項9に記載のびびりシミュレーション装置。
  11. 前記剛性記憶部は、前記研削盤に支持された状態の前記砥石に対して前記砥石移動方向の力を与えた場合における前記砥石の前記砥石移動方向の変位量に応じた砥石剛性を記憶し、
    前記変位量算出部は、前記砥石剛性に基づいて前記変位量を算出する請求項9または10に記載のびびりシミュレーション装置。
  12. さらに、前記びびり判定部にて前記びびりが有ると判定された場合に、前記指令値の算出元となる研削加工条件を変更する加工条件変更部を備える請求項1〜11の何れか一項に記載のびびりシミュレーション装置。
  13. 前記びびり判定部は、前記びびりが有る場合にびびり量を算出し、
    前記加工条件変更部は、前記びびり量が閾値以上の場合に、前記研削加工条件を変更する請求項12に記載のびびりシミュレーション装置。
  14. 前記加工条件変更部は、前記研削抵抗が閾値以上となる場合における前記研削加工条件を変更する請求項12または13に記載のびびりシミュレーション装置。
  15. さらに、前記研削抵抗が算出される毎に、前記研削抵抗に基づいて前記砥石の変形量を算出し、前記砥石形状記憶部に記憶されている前記砥石の形状を前記砥石の変形量に基づいて変更する砥石変形量算出部を備える請求項1〜14の何れか一項に記載のびびりシミュレーション装置。
  16. さらに、前記びびり判定部にて前記びびりが有ると判定された場合に、前記剛性記憶部に記憶されている前記工作物剛性および前記砥石剛性のうち少なくとも一方を変更する剛性変更部を備える請求項9〜11の何れか一項に記載のびびりシミュレーション装置。
  17. 回転駆動される工作物に、回転駆動される砥石を接触させて、前記工作物を研削する研削加工において、前記工作物のびびり現象をシミュレーションするびびりシミュレーション方法であって、
    前記研削加工における研削盤制御装置に対する指令値を入力する指令値入力工程と、
    前記指令値に基づいて、前記砥石が前記工作物に対して相対移動する方向である砥石移動方向における前記工作物と前記砥石との所定時間毎の相対位置を順に算出する相対位置算出工程と、
    前記相対位置が算出される毎に、工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の形状、砥石形状記憶部に記憶されている前記砥石の形状、および、前記砥石移動方向の前記相対位置に基づいて、前記砥石による前記工作物の除去量を算出する除去量算出工程と、
    前記除去量が算出される毎に、前記工作物形状記憶部に記憶されている前記工作物の形状を前記除去量に基づいて変更する工作物形状変更工程と、
    前記除去量が算出される毎に、前記研削加工における前記砥石移動方向の研削抵抗を前記除去量に基づいて算出する研削抵抗算出工程と、
    前記研削抵抗が算出される毎に、前記研削抵抗に起因して前記砥石と前記工作物とが前記砥石移動方向に相対変位する変位量を算出する変位量算出工程と、
    前記変位量が算出される毎に、前記相対位置算出工程において次回算出され前記砥石移動方向の前記相対位置を前記変位量に基づいて補正する変位量補正工程と、
    前記工作物形状記憶部に記憶されている、前記工作物形状変更工程で2回以上変更された前記工作物の形状に基づいて、びびりの有無を判定するびびり判定工程と、
    を備えることを特徴とするびびりシミュレーション方法。
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