JP5272218B2 - セミフィニッシュレンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セミフィニッシュレンズの製造方法、この製造方法により製造したセミフィニッシュレンズ、セミフィニッシュレンズを原料とするプラスティックレンズの製造方法に関する。
従来、プラスティックレンズは、メガネレンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ等の光学素子等に広く用いられている。
プラスティックレンズは、一般に、注型成形または射出成形等により製造される。このような方法により製造されるレンズには、第1面、第2面ともに光学面を有しているフィニッシュレンズと、第1面のみ光学面を有し、第2面は後に所望の形状に加工されることを前提に予めレンズを厚くしてあるセミフィニッシュレンズと、がある。
特に、顧客の処方に合わせて数千種類のレンズを製造するメガネレンズにおいては、第2面の加工のみで簡易かつ短時間に所望のレンズが得られることから、セミフィニッシュレンズが用いられることが多い。
しかし、セミフィニッシュレンズは、第2面側に厚く形成されているため、フィニッシュレンズと比べ、成形時の加熱、冷却、重合収縮等による内部応力が残留しやすい。
内部応力が残留したセミフィニッシュレンズは、徐々に内部応力を開放あるいは緩和する方向へ変形し、光学面を有しているべき第1面の形状精度が低下する。
第1面の形状精度が不十分な場合、後工程で第2面を加工してもレンズとして十分な光学精度を得られない。
そこで、セミフィニッシュレンズを、そのガラス転移点(Tg)以上の温度で加熱し、残留する内部応力を開放して、形状精度の高い第1面を得るアニール処理が必須とされている。
一方、特許文献1〜3等には、屈折率(nd)1.7以上の樹脂材料を与える重合性組成物が提案されており、高屈折率で光学特性に優れたプラスティックレンズを形成するための基材組成物として注目されている。
特開2006−169190号公報(第3頁〜第8頁) 特開2006−83313号公報(第4頁〜第10頁) 特開2006−182908号公報(第4頁〜第10頁)
しかしながら、特許文献1〜3に記載の重合性組成物を重合させて得られる樹脂材料は、熱可塑の性質を備えている。このため、これらの樹脂材料で形成されたプラスティックレンズに、樹脂材料のTgを超える温度でのアニール処理を施すと、プラスティックレンズが変形し第1面および第2面の形状精度が失われるおそれがある。
特に、セミフィニッシュレンズでは成形後のアニール処理が必須であるため、特許文献1〜3に記載の重合性組成物を用いて、高屈折率で形状精度の高いセミフィニッシュレンズを得ることは、実質上不可能であった。
また、このような課題は、特許文献1〜3に記載の樹脂材料に限定されず、熱可塑性を有する樹脂材料に共通するものであった。つまり、熱可塑性の樹脂材料を用いて形状精度の高いセミフィニッシュレンズを形成することは、一般に不可能とされていた。
本発明の目的は、熱可塑性を有する樹脂材料で形成され、形状精度に優れた第1面を有するセミフィニッシュレンズの製造方法、形状精度に優れた第1面を有するセミフィニッシュレンズ、このセミフィニッシュレンズを原料とし、第2面が所望の形状に加工されたプラスティックレンズの製造方法を提供することである。
本発明のセミフィニッシュレンズの製造方法は、光学的に仕上げられた第1面と、所望の形状に後加工される第2面と、を有するセミフィニッシュレンズの製造方法であって、型の内部に基材組成物を注入した後、前記基材組成物を重合させ、片面が光学的に仕上げられた光学面とされている光学基材を得る基材形成工程と、前記基材形成工程で得られた前記光学基材から前記型を外す離型工程と、前記型から外された前記光学基材の前記光学面に、前記光学基材のガラス転移点以下の温度で硬化するコーティング材料を塗布した後、前記コーティング材料を硬化させてコーティング層を形成するコーティング層形成工程と、前記コーティング層が形成された前記光学基材を、前記光学基材のガラス転移点以上の温度で加熱するアニール工程と、を備え、TMA(Thermomechanical Analyzer)を用い、荷重50g、直径1mmの針入プローブ、初期温度25℃、昇温スピード10℃/minの条件で、前記光学基材の熱機械分析を実施した場合において、前記光学基材のガラス転移点+10℃の測定温度における前記光学基材の厚みの変化量は、前記初期温度における前記光学基材の厚みの10%以上であることを特徴とする。
この発明によれば、基材形成工程において、測定温度(Tg+10℃)における変形量が大きい材料、つまり熱可塑性を有する材料によって、光学基材が形成される。
コーティング層形成工程では、離型工程で型から外された光学基材の光学面に、光学基材のガラス転移点(Tg)以下の温度で硬化するコーティング材料を塗布し、コーティング材料を硬化させてコーティング層を形成する。
アニール工程では、コーティング層が形成された光学基材を、光学基材のTg以上の温度で加熱する。
ここで、コーティング層が、光学基材のTg以下の温度で硬化するコーティング材料により形成されるので、光学基材の光学面においてコーティング材料を硬化させる際に、光学基材がそのTg以上に加熱されることがない。したがって、コーティング層形成工程においては、熱可塑性を有する光学基材が変形する可能性が低い。
そして、硬化したコーティング層は、光学基材のTg以上に加熱されたとしても、軟化することなく、その形状を維持することができる。
すなわち、アニール工程において、光学基材は軟化するが、光学基材の光学面に設けられたコーティング層は軟化しない。
コーティング層が、Tg以上の加熱によって軟化した光学基材および光学面の変形を防ぐので、形状精度の高い第1面を有するセミフィニッシュレンズを得ることができる。
したがって、本発明のセミフィニッシュレンズの製造方法によれば、熱可塑性を有する樹脂材料で形成され、形状精度に優れた第1面を有するセミフィニッシュレンズを得ることができる。
また、本発明において、コーティング材料が「光学基材のガラス転移点以下の温度で硬化する」とは、コーティング材料を硬化させる際に、外部から加える温度が、光学基材のTg以下であることを意味する。
例えば、加熱重合によりコーティング材料を硬化させる場合には、外部から加えられる熱が光学基材のTg以下であることが必要である。
また、例えば、紫外線などのエネルギー照射によってコーティング材料を硬化させる場合にも、重合中におけるコーティング材料の温度が光学基材のTg以下となるように調整することが必要である。
本発明のセミフィニッシュレンズの製造方法では、前記基材組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
式(1)中、Mは、Sn原子、Si原子、Zr原子、Ti原子、またはGe原子である。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Xは、S原子またはO原子であり、nは0〜4の整数を示す。Yは、下記の式(1−1)、または式(1−2)、または式(1−3)のいずれかである。
一般式(1)で示される化合物は、屈折率が高く、光学特性に優れた光学基材を与える一方、熱可塑性を有するためアニール工程において変形を生じるという問題点があった。
これに対し、本発明の製造方法では、光学基材の光学面に形成されたコーティング層が、アニール工程において、光学基材および光学面の変形を防止するので、高屈折率で形状精度が高く、光学特性に優れたセミフィニッシュレンズを製造することができる。
本発明のセミフィニッシュレンズの製造方法では、前記コーティング層形成工程は、前記光学基材の前記光学面に変形防止層を形成する工程を兼ねることが好ましい。
この発明では、変形防止層であるコーティング層が、光学基材の光学面に形成されているので、アニール工程において、光学基材および光学面の形状変化を防止することができる。これにより、熱可塑性を有する樹脂材料で形成され、形状精度に優れた第1面を有するセミフィニッシュレンズを得ることができる。
本発明のセミフィニッシュレンズの製造方法において、前記コーティング層形成工程では、前記光学基材の前記光学面と対向する対向面にも前記コーティング層を形成することが好ましい。
この発明では、光学基材の光学面に加え、対向面にもコーティング層が形成されるので、より確実にアニール工程における光学基材の変形を防止することができる。
本発明のセミフィニッシュレンズは、上述のセミフィニッシュレンズの製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明のセミフィニッシュレンズは、上述の製造方法により製造されるので、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されていながら、形状精度に優れた第1面を有する。
特に、上記式(1)で表される化合物を用いたセミフィニッシュレンズは、高屈折率で形状精度が高く、光学特性に優れる。
本発明のプラスティックレンズの製造方法は、上述のセミフィニッシュレンズの製造方法によって製造されたセミフィニッシュレンズの前記第2面を研磨する研磨工程と、前記研磨工程の後、前記セミフィニッシュレンズの前記第2面側に、前記光学基材のガラス転移点以下の温度で硬化する第2コーティング材料を塗布し、前記第2コーティング材料を硬化させて第2コーティング層を形成する後コーティング層形成工程と、前記後コーティング層形成工程の後、前記セミフィニッシュレンズを前記光学基材のガラス転移点以上の温度で焼成する焼成工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、研磨工程において、上述のセミフィニッシュレンズの製造方法によって製造されたセミフィニッシュレンズの第2面を研磨し、光学的に仕上げられた所望の形状とする。
後コーティング層形成工程では、セミフィニッシュレンズの第2面側に、光学基材のTg以下の温度で硬化する第2コーティング材料を塗布し、第2コーティング材料を硬化させて第2コーティング層を形成する。
焼成工程では、セミフィニッシュレンズを光学基材のTg以上の温度で焼成する。
ここで、第2コーティング層が、光学基材のTg以下の温度で硬化する第2コーティング材料により形成されるので、セミフィニッシュレンズの第2面側において第2コーティング材料を硬化させる際に、光学基材がそのTg以上に加熱されることがない。したがって、後コーティング層形成工程においては、熱可塑性を有する光学基材が変形する可能性が低い。
そして、硬化した第2コーティング層は、光学基材のTg以上に加熱されたとしても、軟化することなく、その形状を維持することができる。
すなわち、焼成工程において、光学基材は軟化するが、セミフィニッシュレンズの第2面側に設けられた第2コーティング層は軟化しない。また、光学基材の光学面に設けられたコーティング層も軟化しない。
よって、コーティング層および第2コーティング層が、Tg以上の加熱によって軟化した光学基材の変形を防ぐので、形状精度の高い第1面および第2面を有するプラスティックレンズを得ることができる。
したがって、本発明のプラスティックレンズの製造方法によれば、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されたセミフィニッシュレンズを原料とし、第2面が所望の形状に加工された形状精度の高いプラスティックレンズを得ることができる。
本発明では、前記後コーティング層形成工程は、前記セミフィニッシュレンズの前記第2面側に変形防止層を形成する工程を兼ねることが好ましい。
この発明では、変形防止層である第2コーティング層が、セミフィニッシュレンズの第2面側に形成されているので、焼成工程において、光学基材の形状変化を防止することができる。これにより、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されたセミフィニッシュレンズを原料とし、第2面が所望の形状に加工された形状精度の高いプラスティックレンズを得ることができる。
本発明では、前記後コーティング層形成工程は、前記セミフィニッシュレンズの前記第2面にプライマ層を形成するプライマ層形成工程と、前記第2面もしくは前記プライマ層の表面にハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、前記第2面もしくは前記ハードコート層の表面もしくは前記プライマ層の表面に反射防止層を形成する反射防止層形成工程と、の少なくとも一つを兼ねることが好ましい。
この発明では、後コーティング層形成工程が、プライマ層形成工程と、ハードコート層形成工程と、反射防止層形成工程との少なくとも一つを兼ねることにより、焼成工程の後の工程が短縮する。このことから、簡略化されたプラスティックレンズの製造方法を提供することができる。
本発明のプラスティックレンズの製造方法において、前記後コーティング層形成工程では、前記セミフィニッシュレンズの前記第1面側にも前記第2コーティング層を形成することが好ましい。
この発明では、セミフィニッシュレンズの第2面側に加え、第1面側にもコーティング層が形成されるので、より確実に焼成工程における光学基材の変形を防止することができる。
本発明では、コーティング層形成工程において、熱可塑性を有する光学基材の光学面に、光学基材のTg以下の温度で硬化する材料から形成されるコーティング層を形成するので、光学基材のTg以上の温度でのアニール工程を実施した場合にも、コーティング層の存在によって光学基材の変形を防ぐことができ、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されていながら、形状精度に優れた第1面を有するセミフィニッシュレンズを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明のセミフィニッシュレンズ、プラスティックレンズ、および、これらの製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の各実施形態のセミフィニッシュレンズおよびプラスティックレンズの概略構成を示す断面図である。
図2は、セミフィニッシュレンズの製造方法を示すフローチャート図である。
図3〜5は、セミフィニッシュレンズの製造方法を示す概略図である。
図6〜9は、それぞれプラスティックレンズの製造方法の実施形態1〜4を示すフローチャート図である。
図10は、研磨工程の概略を示すフローチャート図である。
図11は、実施例に係るアニール工程を示す概略断面図である。
[セミフィニッシュレンズおよびプラスティックレンズ]
図1(A)は、本実施形態のセミフィニッシュレンズ1を示す。
本実施形態では、セミフィニッシュレンズ1はメガネレンズ用である。ただし、本発明はメガネレンズ用のセミフィニッシュレンズに限定されるものではない。
図1(A)において、セミフィニッシュレンズ1は、光学基材10と、光学基材10の光学面10Aおよび対向面10Bに形成されたコーティング層2とを備え、光学的に仕上げられた第1面1Aと、所望の形状に後加工される第2面1Bと、を有する。
図1(B)は、本実施形態のプラスティックレンズ100を示す。
本実施形態では、プラスティックレンズ100はメガネレンズである。ただし、本発明はメガネレンズに限定されるものではない。
図1(B)において、プラスティックレンズ100は、上述のセミフィニッシュレンズ1と、セミフィニッシュレンズ1の第1面1Aおよび研磨面1Cに形成された第2コーティング層3と、を備える。
ここで、研磨面1Cは、セミフィニッシュレンズ1の第2面1Bを研磨して得られた面である。
なお、第2コーティング層3の表面には、2点鎖線で示す層Pを備えていてもよい。
ここで、TMAを用い、荷重50g、直径2mmの針入プローブ、初期温度25℃、昇温スピード10℃/minの条件で、光学基材10の熱機械分析を実施した場合において、光学基材10のTg+10℃の測定温度における光学基材10の厚みの変化量は、初期温度における光学基材10の厚みの10%以上である。
つまり、光学基材10は、熱可塑性を有する。
光学基材10は、一般式(1)で示される化合物を含有する基材組成物11から形成されることが好ましい。
一般式(1)において、Mは、Sn原子、Si原子、Zr原子、Ti原子、またはGe原子である。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Xは、S原子またはO原子であり、nは0〜4の整数を示す。Yは、下記の式(1−1)、または(1−2)、または(1−3)のいずれかである。
通常、プラスティックレンズ100は、セミフィニッシュレンズ1の表面に、プライマ層、ハードコート層、および反射防止層が、内側から外側に向けて積層されているが、場合によっては、プライマ層や反射防止層が省略されることがある。
本実施形態の第2コーティング層3は、プライマ層、ハードコート層、および反射防止層の少なくとも一つである。
つまり、第2コーティング層3は、図1(B)において、一層構成に描画しているが、一層構成もしくは複数の層からなる複層構成である。
コーティング層2についても、一層構成または複層構成が可能である。コーティング層2は、プライマ層、ハードコート層、および反射防止層のいずれか、または複数の組合せであってもよい。
そして、コーティング層2および第2コーティング層3は、光学基材10の変形防止用であって、光学基材10のTg以下の温度で硬化するコーティング材料を硬化させることにより形成される。
なお、コーティング層2および第2コーティング層3は、同一のコーティング材料から形成されてもよく、異なるコーティング材料から形成されてもよい。
第2コーティング層3および層Pとしては、例えば、以下に示す構成が挙げられる。
「構成1」
第2コーティング層3は、プライマ層およびハードコート層からなる二層構成である。層Pは、反射防止層である。
「構成2」
第2コーティング層3は、ハードコート層からなる一層構成である。層Pは、反射防止層である。
「構成3」
第2コーティング層3は、プライマ層、ハードコート層および反射防止層からなる三層構成である。層Pは、形成されていない。
「構成4」
第2コーティング層3は、複数の無機層が積層された反射防止層からなる多層構成である。層Pは、形成されていない。
プライマ層は、例えば、ウレタン樹脂などで形成される。
ハードコート層は、例えば、シリコーン系材料、アクリル系材料などで形成される。
反射防止層は、一層構成もしくは複数の層からなる複層構成を備える。複層構成の反射防止層としては、例えば、SiOからなる層と、ZrOまたはTiOからなる層と、が交互に積層された構成が挙げられる。
[セミフィニッシュレンズの製造方法]
図2は、本実施形態のセミフィニッシュレンズ1の製造方法を示すフローチャート図である。
本実施形態のセミフィニッシュレンズ1の製造方法は、図2に示すように、基材形成工程S100と、離型工程S104と、コーティング層形成工程S105と、アニール工程S106と、を備える。
[基材形成工程および離型工程]
基材形成工程S100は、前記式(1)で示される化合物を含有する基材組成物を重合させ、片面が光学的に仕上げられた光学面10Aとされている光学基材10を形成する工程である。
基材形成工程S100は、図2に示すように、基材組成物を調製する原料調合工程S101と、原料調合工程S101で得られた基材組成物をガラスモールドに注入するガラスモールド注入工程S102と、ガラスモールドに注入した基材組成物を重合、硬化させる硬化工程S103と、を備える。
離型工程S104は、基材形成工程S100で得られた光学基材10からガラスモールドを外す工程である。
図3は、基材形成工程S100および離型工程S104の一例を示す概略図である。
図3(A)は、基材形成工程S100に用いる成型用ガラスモールド20の断面図である。
成型用ガラスモールド20は、隙間を介して対向配置された一対のガラスモールド21,22と、一対のガラスモールド21,22の外周面に巻きつけられた粘着テープ23と、を備え、ガラスモールド21,22と粘着テープ23により形成されたキャビティ24を有している。
キャビティ24は、度数が約−3Dの光学基材10を形作るように形成されている。
図3(B)は、ガラスモールド注入工程S102における成型用ガラスモールド20の断面図である。
ガラスモールド注入工程S102では、図3(B)に示すように、注入ノズル25を用いて、キャビティ24に、原料調合工程S101において得られた基材組成物11を注入する。
図3(C)は、硬化工程S103における成型用ガラスモールド20の断面図である。
硬化工程S103では、図3(C)に示すように、加熱や紫外線照射などの手段により、成型用ガラスモールド20内の基材組成物11を重合、硬化させ、光学基材10を形成する。
図3(D)は、離型工程S104における光学基材10の断面図である。
離型工程S104では、図3(D)に示すように、粘着テープ23を一対のガラスモールド21,22および光学基材10から取り外し、ガラスモールド21,22を光学基材10から離間させて、光学基材10を取り出す。
[コーティング層形成工程]
コーティング層形成工程S105は、光学基材10の光学面10Aおよび対向面10Bに、所定のコーティング材料を塗布した後、コーティング材料を硬化させてコーティング層2を形成する工程である。
コーティング層形成工程S105は、浸漬法などのウェットプロセスや、真空蒸着法などのドライプロセスにより実施することができる。
図4,5は、それぞれ、コーティング層形成工程S105の一例を示す概略図である。
[浸漬法によるコーティング層形成工程]
図4は、浸漬法によるコーティング層形成工程S105に用いる浸漬装置30を示す概略斜視図である。
浸漬装置30は、タンク34と昇降部31とを備える。
タンク34内には、コーティング組成物Lが収納されている。
昇降部31は、ロッド32およびロッド32に連結された把持具33を有する。昇降部31は、図4に示す矢印の方向に昇降する構造になっている。
把持具33は、光学基材10の外周面部を把持する。
コーティング層形成工程S105では、まず、把持具33が光学基材10の外周面部を把持した状態で、昇降部31を降下させ、タンク34内のコーティング組成物Lに、光学基材10を浸漬させる。
浸漬後、昇降部31を上昇させることにより、タンク34内から光学基材10を引き上る。これにより、コーティング組成物Lが光学基材10に塗布された状態となる。
続いて、光学基材10に塗布されたコーティング組成物Lを、加熱や紫外線照射などの手段により硬化させる。これにより、光学基材10の表面にコーティング層2が形成される。
なお、引き上げ速度および硬化手段、条件などについては、適宜決定することができる。
このようなコーティング層形成工程S105において、コーティング層2としてプライマ層を形成する場合、コーティング組成物Lとしては、例えば、ウレタン樹脂などからなるプライマ組成物が利用できる。
また、コーティング層2としてハードコート層を形成する場合、コーティング組成物Lとしては、例えば、シリコーン系材料やアクリル系材料などからなるハードコート組成物が利用でき、反射防止層を形成する場合、例えば、シリコーン系などの反射防止層組成物が利用できる。
[真空蒸着法によるコーティング層形成工程]
図5は、真空蒸着法によるコーティング層形成工程S105に用いる真空蒸着装置40を示す概略断面図である。
真空蒸着装置40は、いわゆる電子ビーム真空蒸着装置であり、真空容器41、排気装置42、ガス供給装置43、圧力計44を備える。
真空容器41は、蒸着材料としてコーティング組成物Lがセットされた蒸発源46,47と、蒸発源46,47の蒸着材料を加熱溶解し蒸発させるフィラメント48と、光学基材10が支持される基材支持台45と、光学基材10を加熱するためのヒータ49と、を備える。
また、真空容器41には、必要に応じて、真空容器41内に残留した水分を除去するためのコールドトラップ、酸素などのガスをイオン化し加速して光学基材10に照射する照射装置、蒸着の膜厚を管理するための管理装置などが設けられていてもよい。
例えば、コーティング層2として反射防止層を形成する場合の蒸着材料としては、無機物であるSiO、ZrO、またはTiOなどが挙げられる。
蒸発源46,47は、蒸着材料がセットされたるつぼであり、真空容器41内の下部に配置されている。
コーティング層形成工程S105では、フィラメント48が発熱することによって発生する熱電子を、電子銃により加速、偏向して、蒸発源46,47にセットされた蒸着材料に照射し蒸発させる。
ここで、電子ビームの電流値を変動させることで、蒸着速度を適宜調整することができる。
なお、蒸着材料を蒸発させる他の方法として、タングステンなどの抵抗体に通電して、蒸着材料を溶融気化する、いわゆる抵抗加熱蒸着法や、高エネルギーのレーザー光を蒸発材料に照射する方法なども利用できる。
基材支持台45は、所定数の光学基材10を支持する支持台であり、蒸発源46,47と対向した真空容器41内の上部に配置されている。
基材支持台45は、光学基材10に形成されるコーティング層2の均一性を確保し、かつ量産性を高めるために回転機構を有することが好ましい。
ヒータ49は、例えば、赤外線ランプからなり、基材支持台45の上部に配置されている。
ヒータ49は、光学基材10を加熱することにより光学基材10のガス出しあるいは水分をとばし、光学基材10の表面に形成されるコーティング層2の密着性を確保する。
なお、ヒータ49としては、赤外線ランプの他に抵抗加熱ヒータなどを用いることができるが、光学基材10の材質がプラスチックまたは樹脂の場合には、赤外線ランプを用いることが好ましい。
排気装置42は、真空容器41内を高真空に排気する装置であり、ターボ分子ポンプと、真空容器41内の圧力を一定に保つ圧力調節バルブと、を備える。
ガス供給装置43は、Ar,N,Oなどのガスを内蔵するガスシリンダと、ガスの流量を制御する流量制御装置と、を備えている。ガスシリンダに内蔵されたガスは、流量制御装置を介して真空容器41内に導入される。
圧力計44は、真空容器41内の圧力を検出する。
圧力計44によって検出された圧力値に基づき、排気装置42の圧力調節バルブが、制御部(図示せず)からの制御信号により制御されて、真空容器41内の圧力が所定の圧力値に保たれる。
圧力の調整方法としては、排気口のコンダクタンスを変化させる方法や、ガスの導入量を変化させる方法などが挙げられる。
例えば、ガス供給装置43の流量制御装置により、ガスの導入量を変動させ、真空容器41内の圧力を調整することができる。
また、特に圧力調整をせず、排気後の残圧において蒸着を実施する場合、屈折率が変化するおそれがあるので膜厚の調整が必要になる。圧力制御を行わない場合には、蒸着中に大きく圧力が変化する場合がある。
[アニール工程]
アニール工程S106は、コーティング層2が形成された光学基材10を、光学基材10のTg以上の温度で加熱する工程である。
アニール工程S106は、電気炉などの加熱装置を用いて実施することができ、アニール工程S106によってセミフィニッシュレンズ1が完成する。
[プラスティックレンズの製造方法]
図6〜図9は、本発明の第1〜第4実施形態のプラスティックレンズ100の製造方法を示すフローチャート図である。
[第1実施形態]
図6は、第1実施形態のプラスティックレンズ100の製造方法を示すフローチャート図である。
本実施形態において、プラスティックレンズ100の製造方法は、研磨工程S201と、後コーティング層形成工程S202と、焼成工程S203と、を備える。
[研磨工程]
研磨工程S201は、セミフィニッシュレンズ1の第2面1Bを研磨して、光学的に仕上げられた所望の形状とする工程である。
図10に、研磨工程S201の概略構成を示す。なお、図10に示す研磨工程S201は、一例であって、本発明はこれに限定されない。
図10に示すように、研磨工程は、レイアウト工程と、ブロッキング工程と、形状創成工程と、鏡面仕上げ工程と、デブロック工程と、洗浄工程と、検査工程と、を備える。
レイアウト工程では、セミフィニッシュレンズ1にブロック治具にセットするための位置決めマークを付する。このレイアウト工程は上下方向が決まっている多焦点レンズのトーリック加工やプリズム加工に必要であり、方向性がない単焦点レンズの場合は省略することができる。
次に、ブロッキング工程で、図10(A)に示すように、数値制御工作機械に取り付けるためのブロック治具50にセミフィニッシュレンズ1の第2面1Bを低融点金属などのブロック材60を介して接着する。このとき、セミフィニッシュレンズ1に付した位置決めマークがブロック治具50に対して所定の位置になるように配置する。
次に、形状創成工程を行う。この形状創成工程は、セミフィニッシュレンズ1の第2面1Bを削り出し加工することにより、メガネレンズの処方に基づくレンズ面形状を創成する工程である。
形状創成工程で最終光学面が得られる場合もあるが、表面の細かい凹凸が存在する場合は、形状創成工程後に表面の凹凸を滑らかにする鏡面仕上げ工程を行う。
形状創成工程は、外径加工工程と、近似加工面粗削り工程と、仕上げ削り工程と、面取り工程とを有する。
外径加工工程は、削り出し加工により不要な外周部を削って所定の外径まで縮小する工程で、粗削り工程や仕上げ工程を短時間化するための工程でもある。
近似加工面粗削り工程は、所望のレンズ面形状に近似した近似面形状を速やかに創成すると共に、かなり厚みのあるセミフィニッシュレンズ1の厚みを速やかに削って所定の厚みに仕上げる粗削り工程である。
仕上げ削り工程は、近似面形状から削り出し加工により所望のレンズ面形状を精密に創成する工程である。
面取り工程は、仕上げ削り工程後のレンズのエッジはシャープで危険であり、また、欠けやすいため、縁の面取り加工を行う工程である。
外径加工工程は、通常は近似加工面粗削り工程の前に実施するが、仕上げ削り工程の前後でもよい。なお、外径加工工程は、セミフィニッシュレンズ1の外径が処方の径と一致するときは行わない。また、面取り加工も不要となる場合がある。更に、セミフィニッシュレンズ1の形状がメガネレンズの処方データに基づくレンズ面形状にごく近い場合は、粗削り工程を省いて、直接仕上げ削り工程だけでメガネレンズの処方データに基づくレンズ面形状が得られる場合がある。
形状創成工程を行う装置としては、工程毎に専用の切削装置を用いて行うことができる。それぞれの工程の加工では、バイト(刃具)の種類とバイトの動きがそれぞれ異なることから、それぞれ専用の切削装置を用いることにより、最適なバイトを用いて最適な切削条件で切削を行うことができるため、精度良く効率的な切削加工を行うことができる。
外径加工工程では、図示しない専用の数値制御外径加工切削装置を用いることができる。
この装置のチャックにブロック治具50をセットし、外径加工データを数値制御外径加工切削装置に入力する。あるいは通信回線でホストコンピュータに外径加工データを要求し、データを伝送させ、内部の記憶装置にデータを記憶させる。
数値制御外径加工切削装置は、外径加工データに基づいてワークをY軸で回転させながらY軸方向とワークの径方向(X軸)に対するバイトの位置を制御することによって、セミフィニッシュレンズ1の側面にバイトを当てて外径を削り、図10(B)に示すように、所定の径まで削り落としたセミフィニッシュレンズ12を製造する。
近似加工面粗削り工程では、専用の数値制御工作機械を用いることができる。
この装置のチャックにブロック治具50をセットし、近似加工面粗削り加工データを数値制御切削装置に直接入力するかホストコンピュータを介して伝送してデータを記憶させる。
数値制御切削装置は、X軸方向とY軸方向のワークと刃具の相対位置を制御し、近似加工面粗削り加工データに基づいて、自由曲面、球面又はトーリック面形状の粗削り面の形状創成を行う。
近似加工面粗削り工程では、図10(C)に示すように、面粗さRmaxが100μm以下の粗削り面を有するセミフィニッシュレンズ13を得ることができる。
仕上げ削り工程では、例えば、上述した数値制御切削装置と同様の装置を用い、仕上げ用刃具を用いて仕上げ用切削条件で仕上げ削り加工データに基づいて、粗削り面から所望の最終レンズ面形状まで精密に切削加工する。
仕上げ削り工程で、図10(D)に示すように、面粗さRmaxが0.1〜10μm程度のセミフィニッシュレンズ14を得ることができる。
面取り加工工程では、図示しない専用の数値制御面取り切削装置を用いることができる。
この装置のチャックにブロック治具50をセットし、面取り加工データを面取り切削装置に入力する。あるいは通信回線でホストコンピュータに面取り加工データを要求し、データを伝送させ、内部の記憶装置にデータを記憶させる。
数値制御面取り切削装置は、面取り加工データに基づいてセミフィニッシュレンズ14を回転させながらセミフィニッシュレンズ14の端縁にバイトを当ててセミフィニッシュレンズ14の加工した面の縁の面取りを行う。
面取り加工工程で、図10(E)に示すように、面取り済みのセミフィニッシュレンズ15を得ることができる。
形状創成工程後は、必要により、表面の凹凸を滑らかにする鏡面仕上げ工程を行う。
上述した仕上げ削り加工では表面粗さRmaxが0.1〜10μm程度まで加工することができ、鏡面仕上げ工程で、表面粗さRmaxが数10nm程度の最終光学面に仕上げる。
鏡面仕上げ工程は、単焦点レンズの凹面、あるいは凸面に累進面を有する多焦点レンズの凹面の研磨の場合は、球面やトーリック面であるため、従来の加工皿を用いる研磨方法を採用することができる。
一方、内面累進多焦点レンズの内面の研磨のように複雑な曲面を研磨するときは、上述したように従来の加工皿を用いる研磨方法を採用することができない。
このような内面累進多焦点レンズのような複雑な曲面の研磨は、図10(F)に示すような倣い研磨工具70を用いることが好ましい。
この倣い研磨工具70は、半球状で柔軟性を有するゴムシート71が筐体72との間に密封空間を形成するように筐体72に取り付けられ、この密封空間に圧力気体又は液体を圧入させてゴムシートを半球状の形態に保つようにゴムシート71内部から圧力を加えることができる構造を備える。
ゴムシート71の表面に不織布等の研磨布を張り付け、筐体72に回転と揺動を与えてセミフィニッシュレンズ15に押し当てながら、研磨液をゴムシート71とセミフィニッシュレンズ15の間に供給して研磨を行う。
この倣い研磨工具70は、ゴムシート71がセミフィニッシュレンズ15の表面に均一の圧力で当接するため、セミフィニッシュレンズ15の表面が複雑な曲面であってもゴムシート71がセミフィニッシュレンズ15の表面の形状に追随して均一に研磨することができる。そのため、内面累進多焦点レンズの内面のような自由曲面の研磨に特に適している。
また、複雑な曲面の研磨には、数値制御研磨機を用いることができる。
レンズの設計形状から予め計算しておいたNC加工用データに基づき、ポリシャヘッドとワークとの相対位置決めを行い、かつワークの加工点における法線方向にポリシャヘッドの表面の任意の部位を一致させ、その方向からポリシャヘッドを強く押し当て研磨加工する。
これにより形状創成工程で創成された曲面形状を崩すことなく最終光学面に研磨することが可能である。
鏡面仕上げ工程により両面が最終光学面となったセミフィニッシュレンズ16が完成する。
その後、ブロック治具50は不要になるため、図10(G)に示すように、フィニッシュレンズ16をブロック治具50から取り外すデブロック工程を行い、更に付着している汚れを除去するため洗浄工程を行い、最後に検査を行って研磨工程S201は終了する。
このような研磨工程S201により、図1(B)に示すような研磨面1Cを有するセミフィニッシュレンズ1が形成される。
[後コーティング層形成工程]
後コーティング層形成工程S202は、セミフィニッシュレンズ1の第1面1A側および第2面1B側(すなわち、研磨面1C側)に、所定の第2コーティング材料を塗布した後、第2コーティング材料を硬化させて第2コーティング層3を形成する工程である。
本実施形態では、後コーティング層形成工程S202として、セミフィニッシュレンズ1の第1面1Aおよび研磨面1Cにプライマ層を形成するプライマ層形成工程S202Aと、形成されたプライマ層上にハードコート層を形成するハードコート層形成工程S202Bと、を実施する。
プライマ層形成工程S202Aおよびハードコート層形成工程S202Bは、上述のコーティング層形成工程S105と同様の方法で実施することができる。このため、詳細な説明は省略する。
[焼成工程]
焼成工程S203は、第2コーティング層3が形成されたセミフィニッシュレンズ1を、光学基材10のTg以上の温度で加熱する工程である。
焼成工程S203は、アニール工程S106と同様に、電気炉などの加熱装置を用いて実施することができる。
[反射防止層形成工程]
反射防止層形成工程S204は、焼成工程S203の後、ハードコート層上に反射防止層を形成する工程である。
反射防止層形成工程S204は、上述のコーティング層形成工程S105と同様の方法で実施することができる。このため、詳細な説明は省略する。
この反射防止層形成工程S204により、プラスティックレンズ100が完成する。
本実施形態の製造方法により製造したプラスティックレンズ100は、上述の「構成1」を備える。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態のプラスティックレンズ100の製造方法を示すフローチャート図である。
本実施形態は、後コーティング層形成工程S202が、プライマ層形成工程S202Aを備えない点で、上述の第1実施形態と異なる。各工程は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明を省略する。
本実施形態の製造方法により製造したプラスティックレンズ100は、上述の「構成2」を備える。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態のプラスティックレンズ100の製造方法を示すフローチャート図である。
本実施形態は、後コーティング層形成工程S202が、プライマ層形成工程S202A、ハードコート層形成工程202Bに加え、反射防止層形成工程202Cを備え、反射防止層形成工程204が実施されない点で、上述の第1実施形態と異なる。
反射防止層形成工程202Cは、上述の反射防止層形成工程204と同様であり、その他の各工程は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明を省略する。
本実施形態の製造方法により製造したプラスティックレンズ100は、上述の「構成3」を備える。
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態のプラスティックレンズ100の製造方法を示すフローチャート図である。
本実施形態は、後コーティング層形成工程S202が、プライマ層形成工程S202A、ハードコート層形成工程202Bを備えない点で、上述の第3実施形態と異なる。各工程は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明を省略する。
本実施形態の製造方法により製造したプラスティックレンズ100は、上述の「構成4」を備える。
以下に、本実施形態の実施例1〜9を用いて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
実施例1では、以下の製造方法により、セミフィニッシュレンズ1を製造した。
[原料調合工程S101]
まず、基材組成物11を以下の手順で調製する。
テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ(以下、「Sn−1」と記す。)を30g、紫外線吸収剤としてSEESORB701(シプロ化成工業製)0.3gを添加し、十分に攪拌して混合する。
さらに、重合触媒としてN,Nジメチルシクロへキシルアミン0.1gを加え、1.5kPa以下に減圧した状態で攪拌しながら15分間脱気する。
これにより、前記式(1)で示される化合物を含有する基材組成物11が得られる。
[ガラスモールド注入工程S102]
こうして得られた基材組成物11を、注入ノズル25を用いて、成型用ガラスモールド20のキャビティ24に注入する。
ここで、成型用ガラスモールド20は、凸面が設計曲率半径200mm、凹面が設計曲率半径100mmであり、中心厚5mm、直径80mmの光学基材10を与えるように構成されている。
[硬化工程S103]
次に、成型用ガラスモールド20および基材組成物11を、30℃から120℃まで20時間かけて昇温し、基材組成物11を重合硬化させることにより、光学基材10を形成する。
[離型工程S104]
粘着テープ23を一対のガラスモールド21,22および光学基材10から取り外し、ガラスモールド21,22を光学基材10から離間させて、光学基材10を取り出す。
ここで、光学基材10は、度数が約−3Dであることを確認した。
また、2枚の鏡面仕上げされたガラスフラット板を用い、基材組成物11を原料として、上述と同様の条件により厚さ2mmのプラスチック板を作成した。これを、ダイヤモンドカッタで切り出し光学基材10のサンプルとした。
TMAを用い、荷重50g、直径1mmの針入プローブ、初期温度25℃、昇温スピード10℃/minの条件で、サンプルの熱機械分析を実施したところ、Sn−1を含む基材組成物から形成した光学基材10のTgは110℃であり、光学基材10のTg+10℃(すなわち120℃)におけるサンプルの厚さの変化量は、初期温度におけるサンプルの厚さの30%以上であった。
また、アッベ屈折率計を用い気温20℃の条件で、サンプルの589.3nmのD線に対する屈折率を測定したところ、nd=1.794であった。
[コーティング層形成工程S105]
続いて、光学基材10の光学面10Aおよび対向面10Bに、コーティング層2を形成する。本実施例では、プライマ層を形成した後、ハードコート層を形成し、プライマ層およびハードコート層をコーティング層2とした。
各層の形成工程を以下に説明する(図4参照)。
[プライマ層の形成]
メチルアルコール220gに水91.8gを投入し、十分に攪拌して混合する。攪拌混合後、酸化チタン、酸化スズ、および酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形物濃度20重量%、触媒化成工業株式会社製、商品名「オプトレイク1120Z」、以下、「オプトレイク1120Z」と記す)を加え、攪拌して混合する。攪拌混合後、水性ポリエステル(伊藤光学株式会社製)77gを加え、攪拌して混合する。シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー株式会社製、商品名「L−7604」)0.1gを添加して、2時間攪拌して混合する。これにより、プライマ層を形成するためのコーティング組成物Lとして、プライマ組成物を得る。
このプライマ組成物を、図4に示す浸漬装置30を用い、引き上げ速度200mm/minの条件で、光学基材10の表面に塗布した。その後、80℃で30分間の加熱処理を施し、光学基材10の表面にプライマ層を形成した。
[ハードコート層の形成]
ブチルセロソルブ62.5gにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン67.1gを投入し、十分に攪拌して混合する。その後攪拌しながら、0.1モル/リットル塩酸30.7gを滴下し、さらに4時間攪拌する。その後、一昼夜熟成させることにより、シラン加水分解物を得る。このシラン加水分解物の中に、オプトレイク1120Zを325g、ならびにグリセロールジグリシジルエーテル(ナガセ化成株式会社製、商品名「デナコールEX−313」)12.5gを添加する。その後、鉄(III)アセチルアセトナート1.36gおよびシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー株式会社製、商品名「L−7001」、以下、「L−7001」と記す)0.15g、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.26gを添加して、4時間攪拌する。その後、一昼夜熟成させることにより、コーティング組成物Lとして、ハードコート組成物αを得る。
このハードコート組成物αを、図4に示す浸漬装置30を用い、引き上げ速度200mm/minの条件で、プライマ層形成工程後の光学基材10の表面に塗布した。その後、80℃で30分間の加熱処理を施し、光学基材10のプライマ層上にハードコート層αを形成した。
これにより、プライマ層およびハードコート層αからなるコーティング層2が形成された。
[アニール工程S106]
コーティング層2が形成された光学基材10を、光学基材10のTg(110℃)以上の温度である125℃まで加熱し、3時間保持した。このアニール工程S106により、セミフィニッシュレンズ1が完成する。
本実施例のアニール工程S106の概略を図11に示す。
本実施例のアニール工程S106においては、図11に示すように、光学基材10の対向面10Bに沿うように凸面形状を有したガラス型26の上に、対向面10B側を下にして、コーティング層2が形成された光学基材10を設置した。この状態で電気炉により光学基材10を加熱し、高温に保持した。
ガラス型26を用いることにより、光学基材10の変形を一層確実に防止することができる。
なお、アニール工程S106は、ガラス型26を用いる方法に限定されず、例えば、光学基材10の周縁と同様の形状に形成されたリング状治具の上に、コーティング層2が形成された光学基材10を配置した状態で実施してもよい。
[実施例2]
プライマ層を形成しないこととした以外は、実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
[実施例3]
以下のようにして調整したハードコート組成物βを用い、ハードコート層αに代えてハードコート層βを形成した以外は、実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
ブチルセロソルブ1000重量部にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200重量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸300重量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得る。このシラン加水分解物中にL−7001を30重量部加えて1時間撹拌した後、酸化チタンを主体とする複合微粒子ゾル(オプトレイク1120Z)を7300重量部加え2時間撹拌混合した。次いで、鉄(III)アセチルアセトナート20重量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行うことで、コーティング組成物Lとして、ハードコート組成物βを得る。
このハードコート組成物βを用いて、実施例1と同様にしてハードコート層βを得る。
[実施例4]
原料調合工程S101において、Sn−1の代わりにテトラキス(3−オキセタニルチオ)スズ(以下、『Sn−2』と記す。)を用い、N,Nジメチルシクロヘキシルアミンに加えトリフルオロメタンスルホン酸0.3gを重合触媒として配合した以外は、上述の実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
本実施例において、光学基材10のサンプルは、屈折率nd=1.754であった。また、実施例1と同様にして熱機械分析を実施したところ、光学基材10のTgは110℃であり、光学基材10のTg+10℃(すなわち120℃)におけるサンプルの厚さの変化量は、初期温度におけるサンプルの厚さの30%以上であった。
[実施例5]
実施例4と同様の原料調合工程S101を実施した以外は、実施例2と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
[実施例6]
原料調合工程S101において、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)スズ(以下、『Sn−3』と記す。)を用い、N,Nジメチルシクロヘキシルアミンに加えトリフルオロメタンスルホン酸0.015gを重合触媒として配合した以外は、上述の実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
本実施例において、光学基材10のサンプルは、屈折率nd=1.758であった。また、実施例1と同様にして熱機械分析を実施したところ、光学基材10のTgは110℃であり、光学基材10のTg+10℃(すなわち120℃)におけるサンプルの厚さの変化量は、初期温度におけるサンプルの厚さの30%以上であった。
[実施例7]
実施例6と同様の原料調合工程S101を実施した以外は、実施例2と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
[実施例8]
基材形成工程S100において、市販のPMMA(ポリメチルメタクリレート)ペレットを射出成形法によりレンズ形状に加工して光学基材10を得た以外は、実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
PMMAペレットから作成した光学基材10のサンプルに対し、実施例1と同様にして熱機械分析を実施したところ、光学基材10のTgは110℃であり、光学基材10のTg+10℃(すなわち120℃)におけるサンプルの厚さの変化量は、初期温度におけるサンプルの厚さの50%以上であった。
[実施例9]
実施例8と同様の基材形成工程S100を実施した以外は、実施例2と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
[実施例10]
基材形成工程S100において、市販のPst(ポリスチレン)ペレットを射出成形法によりレンズ形状に加工して光学基材10を得た以外は、実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
Pstペレットから作成した光学基材10のサンプルに対し、実施例1と同様にして熱機械分析を実施したところ、光学基材10のTgは95℃であり、光学基材10のTg+10℃(すなわち105℃)におけるサンプルの厚さの変化量は、初期温度におけるサンプルの厚さの50%以上であった。
[実施例11]
実施例10と同様の基材形成工程S100を実施した以外は、実施例2と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
上述の実施例1〜11において、光学基材10のTgは110℃、95℃である。
ここで、コーティング層形成工程S105における加熱処理は、80℃であるから光学基材10のTg以下である。また、アニール工程S106の温度は、125℃であるから光学基材10のTgを超えている。
[比較例1]
コーティング層形成工程S105を実施せず、コーティング層2を形成せずにアニール工程S106を実施することとした以外は、実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
[比較例2]
コーティング層形成工程S105において、ハードコート層αを形成する際に、ハードコート組成物αに鉄(III)アセチルアセトナートを配合しないこととした以外は、実施例1と同様にしてセミフィニッシュレンズ1を製造した。
[比較例3]
熱硬化性樹脂からなるプラスティックレンズ(セイコーエプソン製、商品名セイコースーパーソブリン(SSV)、屈折率1.67)をセミフィニッシュレンズ1とした。
このレンズと同様の熱硬化性樹脂からなるサンプルに、実施例1と同様にして熱機械分析を実施したところ、サンプルのTgは100℃であり、サンプルのTg+10℃(すなわち110℃)におけるサンプルの厚さの変化量は、初期温度におけるサンプルの厚さの0.01%程度であった。
[セミフィニッシュレンズの評価]
上述の実施例1〜11、ならびに比較例1〜3のセミフィニッシュレンズ1について、以下に示す評価方法により評価を行った。評価項目は、コーティング層2の硬化具合、ならびに光学基材10の変形具合とした。
以下、各評価項目についての評価方法を説明する。
[硬化具合の評価]
コーティング層形成工程S105後の光学基材10を手で触ることにより、コーティング層2の硬化具合を次の3段階に分けて評価した。
○:コーティング層2が、ベタベタしない、あるいは崩れない。
×:コーティング層2がベタベタする、あるいはコーティング層2の少なくとも一部が光学基材10から簡単に取れてしまう。
−:コーティング層2を形成していない。
[変形具合の評価]
アニール工程S106後の光学基材10の変形具合(つまり、アニール工程S106前の光学基材10の形状と比べたときの、セミフィニッシュレンズ1完成後における光学基材10の変形)を目視により観察し、次の3段階に分けて評価した。
◎:光学基材10が変形していない。
○:光学基材10がほとんど変形していない。
×:光学基材10が著しく変形している。
上述の評価結果を下記の表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の製造方法により製造した実施例1〜11のセミフィニッシュレンズ1は、変形防止用のコーティング層2の硬化具合が優れ、光学基材10のTg以上のアニール工程S106によっても、変形を生じていない。
これに対し、コーティング層2を形成しない比較例1のセミフィニッシュレンズ1では、アニール工程S106によって変形が発生した。
また、鉄(III)アセチルアセトナートを含まないハードコート組成物によりコーティング層形成工程S105を実施した比較例2のセミフィニッシュレンズ1では、コーティング層2の硬化が不十分であり、アニール工程S106による変形もみられた。
比較例3のセミフィニッシュレンズ1は、熱硬化性樹脂により形成されているので、アニール工程S106によっても、変形を生じない。しかし、実施例1〜11のセミフィニッシュレンズ1と比べ、屈折率が低く、レンズとしての光学特性に劣る。
[実施形態の作用効果]
従って、上述の各実施形態によれば、以下のような優れた作用効果を得ることができる。
コーティング層形成工程S105において、光学基材10のTg以下の温度で硬化するコーティング材料によってコーティング層2が形成されるので、コーティング材料を硬化させる際に、光学基材10がそのTg以上に加熱されることがない。したがって、コーティング層形成工程S105においては、熱可塑性を有する光学基材10が変形する可能性が低い。
そして、硬化したコーティング層2は、光学基材10のTg以上に加熱されたとしても、軟化することなく、その形状を維持することができる。
すなわち、アニール工程S106において、光学基材10は軟化するが、光学基材10の光学面10Aに設けられたコーティング層2は軟化しない。
コーティング層2が、Tg以上の加熱によって軟化した光学基材10および光学面10Aの変形を防ぐので、形状精度の高い第1面1Aを有するセミフィニッシュレンズ1を得ることができる。
したがって、本発明のセミフィニッシュレンズ1の製造方法によれば、熱可塑性を有する樹脂材料で形成され、形状精度に優れた第1面1Aを有するセミフィニッシュレンズ1を得ることができる。
また、上述の各実施形態では、前記式(1)の化合物を含む基材組成物を用いて光学基材10を形成するので、高屈折率で形状精度が高く、光学特性に優れたセミフィニッシュレンズを製造することができる。
上述の各実施形態では、コーティング層形成工程S105は、光学基材10の光学面10Aに変形防止層を形成する工程を兼ねる。すなわち、変形防止層であるコーティング層2が、光学基材10の光学面10Aに形成されているので、アニール工程S106において、光学基材10および光学面10Aの形状変化を防止することができる。これにより、熱可塑性を有する樹脂材料で形成され、形状精度に優れた第1面1Aを有するセミフィニッシュレンズ1を得ることができる。
上述の各実施形態では、コーティング層形成工程S105において、光学基材10の光学面10Aと対向する対向面10Bにもコーティング層2を形成するので、より確実にアニール工程S106における光学基材10の変形を防止することができる。
上述の各実施形態では、後コーティング層形成工程S202において、光学基材10のTg以下の温度で硬化する第2コーティング材料により、第2コーティング層3が形成されるので、第2コーティング材料を硬化させる際に、光学基材10がそのTg以上に加熱されることがない。したがって、後コーティング層形成工程S202においては、熱可塑性を有する光学基材10が変形する可能性が低い。
そして、硬化した第2コーティング層3は、光学基材10のTg以上に加熱されたとしても、軟化することなく、その形状を維持することができる。
すなわち、焼成工程S203において、光学基材10は軟化するが、セミフィニッシュレンズ1の第2面1B側に設けられた第2コーティング層3は軟化しない。また、光学基材10の光学面10Aに設けられたコーティング層2も軟化しない。
よって、コーティング層2および第2コーティング層3が、Tg以上の加熱によって軟化した光学基材10の変形を防ぐので、形状精度の高い第1面および第2面を有するプラスティックレンズ100を得ることができる。
したがって、本発明のプラスティックレンズ100の製造方法によれば、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されたセミフィニッシュレンズ1を原料とし、第2面が所望の形状に加工された形状精度の高いプラスティックレンズ100を得ることができる。
上述の各実施形態では、後コーティング層形成工程S202は、セミフィニッシュレンズ1の第2面1B側に変形防止層を形成する工程を兼ねる。すなわち、変形防止層である第2コーティング層3が、セミフィニッシュレンズ1の第2面1B側に形成されているので、焼成工程S203において、光学基材10の形状変化を防止することができる。これにより、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されたセミフィニッシュレンズ1を原料とし、第2面が所望の形状に加工された形状精度の高いプラスティックレンズ100を得ることができる。
上述の各実施形態では、後コーティング層形成工程S202が、プライマ層形成工程S202Aと、ハードコート層形成工程S202Bと、反射防止層形成工程S202Cとの少なくとも一つを兼ねることにより、焼成工程S203の後の工程が短縮する。このことから、簡略化されたプラスティックレンズ100の製造方法を提供することができる。
上述の各実施形態では、後コーティング層形成工程S202において、セミフィニッシュレンズ1の第1面1A側にも第2コーティング層3を形成する。より確実に焼成工程S203における光学基材10の変形を防止することができる。
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、上述の各実施形態では、光学基材10は、凹面および凸面を有した形状としていたが、本発明では、平面を2つ有した形状としてもよく、平面、凹面、および凸面の組み合わせにより、凹面または凸面を2つ有した形状としてもよく、凹面と平面と、凸面と平面とを有した形状としてもよい。
本発明は、セミフィニッシュレンズの製造方法、セミフィニッシュレンズ、セミフィニッシュレンズを原料とするプラスティックレンズの製造方法として利用することができる。
本発明の実施形態にかかるセミフィニッシュレンズおよびプラスティックレンズの概略構成を示す断面図。 本発明の実施形態にかかるセミフィニッシュレンズの製造方法を示すフローチャート図。 本発明の実施形態にかかる基材形成工程および離型工程を示す概略図。 本発明の実施形態にかかるコーティング層形成工程に用いる浸漬装置を示す概略斜視図。 本発明の実施形態にかかるコーティング層形成工程に用いる真空蒸着装置を示す概略断面図。 本発明の第1実施形態にかかるプラスティックレンズの製造方法を示すフローチャート図。 本発明の第2実施形態にかかるプラスティックレンズの製造方法を示すフローチャート図。 本発明の第3実施形態にかかるプラスティックレンズの製造方法を示すフローチャート図。 本発明の第4実施形態にかかるプラスティックレンズの製造方法を示すフローチャート図。 本発明の実施形態にかかる研磨工程の概略を示すフローチャート図。 本発明の実施例に係るアニール工程を示す概略断面図。
符号の説明
1…セミフィニッシュレンズ、1A…第1面、1B…第2面、2…コーティング層、3…第2コーティング層、10…光学基材、10A…光学面、10B…対向面、11…基材組成物、20…成型用ガラスモールド、21,22…ガラスモールド、23…粘着テープ、24…キャビティ、25…注入ノズル、26…ガラス型、30…浸漬装置、31…昇降部、32…ロッド、33…把持具、34…タンク、40…真空蒸着装置、41…真空容器、42…排気装置、43…ガス供給装置、44…圧力計、45…基材支持台、46,47…蒸発源、48…フィラメント、49…ヒータ、100…プラスティックレンズ、L…コーティング組成物、P…層

Claims (3)

  1. 型の内部に基材組成物を注入することと
    前記基材組成物を重合させて、片面が光学的に仕上げられた光学面とされている光学基材を得ることと、
    記光学基材から前記型を外すことと、
    前記型から外された前記光学基材の前記光学面に、前記光学基材のガラス転移点以下の温度で硬化し、かつ、前記ガラス転移点+15℃以下の温度では軟化しないコーティング材料を塗布することと
    前記コーティング材料を前記ガラス転移点以下の温度で硬化させてコーティング層を形成することと、
    前記コーティング層が形成された前記光学基材を、前記ラス転移点以上、前記ガラス転移点+15℃以下の温度で加熱することと、
    を備え、
    TMA(Thermomechanical Analyzer)を用い、荷重50g、直径1mmの針入プローブ、初期温度25℃、昇温スピード10℃/minの条件で、前記光学基材の熱機械分析を実施した場合において、前記ラス転移点+10℃の測定温度における前記光学基材の厚みの変化量は、前記初期温度における前記光学基材の厚みの10%以上である
    セミフィニッシュレンズの製造方法。
  2. 請求項1に記載のセミフィニッシュレンズの製造方法において、
    前記基材組成物は、下記式(1)で表される化合物を主原料として含有する
    セミフィニッシュレンズの製造方法。
    (式(1)中、Mは、Sn原子、Si原子、Zr原子、Ti原子、またはGe原子である。R1は、炭素数1〜4のアルキレン基であり、X1は、S原子またはO原子であり、nは0〜4の整数を示す。Yは、下記の式(1−1)、または式(1−2)、または式(1−3)のいずれかである。)
  3. 請求項1または請求項2に記載のセミフィニッシュレンズの製造方法において、
    前記コーティング層形成することは、前記光学基材の前記光学面と対向する対向面に前記コーティング層を形成することをさらに含む、
    セミフィニッシュレンズの製造方法。
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