<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である半導体集積回路の内部構成を示す回路図である。同図に示すように、実施の形態1の半導体集積回路は、ドライバセル11,12(第1及び第2のドライバセル)及びレシーバセル21,22から構成される。ドライバセル11、12及びレシーバセル21,22はそれぞれCMOS構成のインバータを有している。
ドライバセル11〜レシーバセル21間の配線(第1の配線)である出力線LO11(入力線LI21)と、ドライバセル12〜レシーバセル22間の配線(第2の配線)である出力線LO12(入力線LI22)との間とは0.42nm以下の配線間距離を隔てて隣接配置されている。
出力線LO11,LO12の配線幅は0.14nmで形成されているため、この配線幅の3倍である0.42nm以下の配線間距離を隔てて配置される。このため、出力線LO11,LO12間には配線間容量C1が存在する。
ドライバセル11は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP11及びNMOSトランジスタQN11から構成される。PMOSトランジスタQP11の基板電位を設定用のバックゲート端子BP11は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN11の基板電位を設定用のバックゲート端子BN11は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP11及びNMOSトランジスタQN11のゲート電極が共通に入力線LI11に接続され、PMOSトランジスタQP11及びNMOSトランジスタQN11のドレイン電極が共通に出力線LO11に接続される。
ドライバセル12は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP12及びNMOSトランジスタQN12から構成される。PMOSトランジスタQP12のバックゲート端子BP12は抵抗R1(第1の遅延部)を介してゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN12のバックゲート端子BN12は抵抗R2(第2の遅延部)を介してゲート電極に接続される。そして、PMOSトランジスタQP12及びNMOSトランジスタQN12のゲート電極が共通に入力線LI12に接続され、PMOSトランジスタQP12及びNMOSトランジスタQN12のドレイン電極が共通に出力線LO12に接続される。
このように、ドライバセル12は、PMOSトランジスタQP12のゲート電極とバックゲート端子BP12とを抵抗R1を介して接続し、NMOSトランジスタQN12のゲート電極とバックゲート端子BN12とを抵抗R2を介して接続している。すなわち、PMOSトランジスタQP12及びNMOSトランジスタQN12をDT(Dynamic Threshold)MOS構成とすることにより、セルの駆動能力の向上を図っている。また、抵抗R1及び抵抗R2は少なくとも100kΩ以上の高抵抗値に設定される。
レシーバセル21は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP21及びNMOSトランジスタQN21から構成される。PMOSトランジスタQP21のバックゲート端子BP21は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN21のバックゲート端子BN21は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP21及びNMOSトランジスタQN21のゲート電極が共通に入力線LI21(出力線LO11)に接続され、PMOSトランジスタQP21及びNMOSトランジスタQN21のドレイン電極が共通に出力線LO21に接続される。
レシーバセル22は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP22及びNMOSトランジスタQN22から構成される。PMOSトランジスタQP22のバックゲート端子BP22は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN22のバックゲート端子BN22は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP22及びNMOSトランジスタQN22のゲート電極が共通に入力線LI22(出力線LO12)に接続され、PMOSトランジスタQP22及びNMOSトランジスタQN22のドレイン電極が共通に出力線LO22に接続される。
図45は図1で示した実施の形態1の半導体集積回路に対応する従来の半導体集積回路(以下、「第1の比較用回路」と略記する場合あり)の構成を示す回路図である。なお、第1の比較用回路において実施の形態1の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
第1の比較用回路において、実施の形態1の半導体集積回路におけるドライバセル12に対応するドライバセル92の構成が異なる。ドライバセル92は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP92及びNMOSトランジスタQN92から構成される。PMOSトランジスタQP92のバックゲート端子BP92は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN92のバックゲート端子BN92は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP92及びNMOSトランジスタQN92のゲート電極が共通に入力線LI92に接続され、PMOSトランジスタQP92及びNMOSトランジスタQN92のドレイン電極が共通に出力線LO92(入力線LI12)に接続される。
第1の比較回路は、実施の形態1の半導体集積回路と同様、出力線LO11と出力線LO12との間とは0.42nm以下の配線間距離を隔てて隣接配置されている。このため、出力線LO11,LO12間には配線間容量C92が存在する。
図1で示した実施の形態1の構成において、出力線LO12が出力線LO11よりfallグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。すなわち、入力線LI12に付与される入力信号IN1が“L”,出力線LO12における出力信号OUT1が“H”のとき、出力線LO11の電位が“H”から“L”に変化する場合を考える。
この時、PMOSトランジスタQP12はオン状態、NMOSトランジスタQN12がオフ状態となっている。PMOSトランジスタQP12のバックゲート端子BP12には“L”電位が印加され、PMOSトランジスタQP12にフォワードバイアスがかかり駆動力が強化されている。
バックゲート端子BN12にも“L”電位が印加され、NMOSトランジスタQN12はゼロバイアスがかかり駆動力はそのままである。出力線LO11が“H”から“L”に変化すると、出力線LO12と出力線LO11との間に生じる配線間容量C1によって、出力線LO12にfallグリッチノイズが発生する。
この時、オン状態であるPMOSトランジスタQP12によって電圧維持力が働き、電圧降下した状態から“H”電位に回復する。PMOSトランジスタQP12はフォワードバイアスがかかっており、駆動力が強化されている。
一方、図45で示した第1の比較用回路の構成において、実施の形態1の場合と同様に、出力線LO92が出力線LO11よりfallグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。すなわち、入力線LI92に付与される入力信号IN9が“L”,出力線LO92における出力信号OUT9が“H”のとき、出力線LO11の電位が“H”から“L”に変化する場合を考える。
出力線LO11が“H”から“L”に変化すると、出力線LO92と出力線LO11との間に生じる配線間容量C92によって、出力線LO92にfallグリッチノイズが発生する。この時、オン状態であるPMOSトランジスタQP92はゼロバイアスであり、駆動力が強化されていない。
このように、実施の形態1の半導体集積回路は、オン状態時のPMOSトランジスタQP12の駆動力が高められているため、出力線LO12が受けるfallグリッチ量を、第1の比較用回路に比べて小さくすることができるfallグリッチ抑制効果を有する。
図2は、出力線LO11が“H”から“L”に変化する際の出力線LO12(LO92)の影響度合いを示すグラフである。同図(a) において、経時変化L11,L12及びL13は抵抗R1が10MΩ、1MΩ及び200kΩの場合の出力線LO12(victim)における出力信号OUT1の電圧変化を示しており、経時変化L14が出力線LO92の出力信号OUT9の電圧変化を示している。一方、同図(b) において、経時変化L21,L22及びL23は抵抗R1が10MΩ、1MΩ及び200kΩの場合の出力線LO11(aggressor)の電圧変化を示しており、経時変化L24が出力線LO11の電圧変化を示している。
図2(a) に示すように、出力線LO11の“H”→“L”変化時において出力線LO12(LO92)が受けるfallグリッチ量が第1の比較用回路(経時変化L14)に比べ、実施の形態1の半導体集積回路(経時変化L11〜L13)の方が小さく抑えられている。
次に、出力線LO11より出力線LO12(LO92)がriseグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。すなわち、入力信号IN1(IN9)が“H”、出力信号OUT1(OUT9)が“L”、出力線LO11が“L”から“H”に変化する場合を考える。
この時、PMOSトランジスタQP12はオフ状態、NMOSトランジスタQN12はオン状態になっている。バックゲート端子BP12には“H”電位が印加され、PMOSトランジスタQP12はゼロバイアスがかかり駆動力はそのままである。バックゲート端子BN12にも“H”電位が印加され、NMOSトランジスタQN12はフォワードバイアスがかかり駆動力は強化されている。
出力線LO11が“L”から“H”に変化すると、出力線LO12と出力線LO11間に生じる配線間容量C1によって、出力線LO12にriseグリッチノイズが発生する。この時、オン状態であるNMOSトランジスタQN12によって電圧維持力が働き、電圧上昇した状態から“L”電位に回復する。NMOSトランジスタQN12はフォワードバイアスがかかっており、駆動力が強化されている。そのため、実施の形態1の半導体集積回路は、出力線LO12が受けるriseグリッチ量を、第1の比較用回路(NMOSトランジスタQN92を有するドライバセル92)に比べて小さくすることができる。このように、実施の形態1の半導体集積回路は、出力線LO11より出力線LO12が(rise及びfall)グリッチノイズを受ける場合、従来に比べて影響を小さくすることができる効果を奏する。
次に、出力線LO12が出力線LO11にfallグリッチノイズを与える場合の動作を説明する。すなわち、出力線LO11が“H”、入力信号IN1が“L”から“H”,出力信号OUT1が“H”から“L”に変化する場合を考える。
入力信号IN1が“L”の時、PMOSトランジスタQP12はオン状態、NMOSトランジスタQN12はオフ状態になっている。バックゲート端子BP12には“L”電位が印加され、PMOSトランジスタQP12にはフォワードバイアスがかかっている。バックゲート端子BN12にも“L”電位が印加され、NMOSトランジスタQN12に対してゼロバイアスがかかっている。入力信号IN1が“L”から“H”に変化すると、出力信号OUT1が“H”から“L”に変化する。この際、配線間容量C1によって、出力線LO11にfallグリッチノイズが発生する。
入力信号IN1が“L”の時バックゲート端子BN12は“L”でゼロバイアスがかかっており、NMOSトランジスタQN12の駆動力は強化されていない。入力信号IN1が“H”になると抵抗R2を介してバックゲート端子BN12も“H”になる。ただし、前述したように、抵抗R2は高抵抗値であるため、遅延をもってバックゲート端子BN12の電位が変化する。NMOSトランジスタQN12がオン状態になる時点ではバックゲート端子BN12にフォワードバイアスがかかりきっていないため、出力線LO12が出力線LO11に与えるノイズ増分を少なくすることができる。
図3は、電源電圧Vddが0.5VのPD(Partially Depleted)−SOI構造のMOSトランジスタにおいて、ボディバックゲート端子BN12(BN92)、入力信号IN1(IN9)及び出力信号OUT1(OUT9)の波形を示すグラフである。同図(a) 〜(c) が実施の形態1にける波形であり、同図(d) が第1の比較用回路における波形を示している。さらに、(a) は抵抗R2が10MΩ、(b) が抵抗R2が1MΩ、(c) が抵抗R2が200kΩの場合を示している。
図3(a) 〜(d) に示すように、時刻10.4nsにおいて、入力信号IN1(IN9)の“H”への変化は完了している。一方、図3(c) に示すように、抵抗R2を200kΩ程度に設定すると10.4nsでは70%程度のフォワードバイアスがバックゲート端子BN12にかかっている。同図(b) に示すように、抵抗R2を1MΩ程度に設定すると、30%程度のフォワードバイアスしかバックゲート端子BN12にかからない。さらに、同図(a) に示すように、抵抗R2を10MΩ程度に設定すると、10%程度のフォワードバイアスしかバックゲート端子BN12にかからず、出力信号OUT1の波形は出力信号OUT9とほぼ同じ波形になっている。出力信号OUT1の傾きが出力線LO11のノイズ量に影響するが、抵抗R2の抵抗値を増やすことにより、出力信号OUT1の傾きを減少させ、出力線LO11に与えるノイズ増分を抑えることが可能となる。
図4は、出力線LO12(LO92)が“H”から“L”に変化する際の出力線LO11の影響度合いを示すグラフである。同図(a) において、経時変化L31,L32及びL33は実施の形態1の半導体集積回路の抵抗R2が10MΩ、1MΩ及び200kΩの場合の出力線LO12(aggressor)の電圧変化を示しており、経時変化L34が第1の比較回路の出力線LO92の電圧変化を示している。一方、同図(b) において、経時変化L41,L42及びL43は実施の形態1の半導体集積回路の抵抗R2が10MΩ、1MΩ及び200kΩの場合の出力線LO11(victim)における電圧変化を示しており、経時変化L44が第1の比較回路の出力線LO11の電圧変化を示している。
同図に示すように、実施の形態1の半導体集積回路は、抵抗R2の抵抗値を十分高く設定することにより、出力信号OUT1の“H”→“L”変化の傾きを、駆動能力向上を図っていない第1の比較用回路と同程度に緩やかにすることにより、出力線LO11に与えるグリッチ増分量を十分低く抑えることができる。
次に、出力線LO12が出力線LO11に対しriseグリッチノイズを与える場合の動作を説明する。すなわち、出力線LO11が“L”、入力信号IN1が“H”から“L”,出力線LO12が“L”から“H”に変化する場合を考える。入力信号IN1が“H”の時、PMOSトランジスタQP12はオフ状態、NMOSトランジスタQN12はオン状態になっている。バックゲート端子BP12には“H”電位が印加され、PMOSトランジスタQP12にはゼロバイアスがかかっている。バックゲート端子BN12にも“H”電位が印加され、NMOSトランジスタQN12に対してフォワードバイアスがかかっている。
入力信号IN1が“H”から“L”に変化すると、出力信号OUT1が“L”から“H”に変化する。配線間容量C1によって、出力線LO11にriseグリッチノイズが発生する。入力信号IN1が“H”の時バックゲート端子BP12は“H”でゼロバイアスがかかっており、駆動力が強化されていない。入力信号IN1が“L”になると抵抗R1を介してバックゲート端子BP12の電位も“L”になる。ただし、抵抗R1が高抵抗値であるため、遅延をもってバックゲート端子BP12の電位が変化する。PMOSトランジスタQP12がオン状態になる時点ではバックゲート端子BP12にフォワードバイアスがかかりきっていないため、出力線LO12が出力線LO11に与えるノイズ増分を少なくすることができる。
このように、実施の形態1の半導体集積回路におけるドライバセル12は、駆動対象の出力線LO12から与えるグリッチ量を増加させることなく、駆動対象の出力線LO12が受けるグリッチ量を改善することが可能となる効果を奏する。
上記効果は、出力線LO11,出力線LO12間の配線間距離が0.42nm(出力線LO11,LO12の配線幅の3倍)以下で近接配置されている場合に特に有効である。また、上記効果は、電源Vddが0.6V以下の低電源動作させてグリッチノイズの影響を受けやすい場合に特に有効である。なお、接地レベルは0Vである。
実施の形態1では、PD−SOIを用いて説明を実施した。駆動力を変化させることができる端子があれば、これに限定されることはない。FD(Fully Depleted)−SOIでも基板バイアスをかけることが可能となってきているので、適用可能である。なお、この点については、例えば、参考文献1「Tetsu Ohtou,他 "Threshold-Voltage Control of AC Performance Degradation-Free FD SOI MOSFET With Extremely Thin BOX Using Variable Body-Factor Scheme",IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 54, NO. 2, FEBRUARY 2007,p.301-307」に開示されている。
(効果)
このように、実施の形態1の半導体集積回路は、出力線LO12が受けるグリッチ量を、ドライバセル12の導通トランジスタ(PMOSトランジスタQP12またはNMOSトランジスタQN12)のボディ(バックゲート端子BP12またはバックゲート端子BN12)にフォワードバイアスを加えることにより、低減させることができる。
一方、第1の比較用回路の構成でドライバサイズを大きくする等によりドライバセル92の駆動能力を単純に高めると、出力線LO92の受けるグリッチを改善できるが、ドライバセル91が動作する時に他配線(出力線LO11)へ与えるグリッチ量が増加してしまうことになる。
しかし、実施の形態1の半導体集積回路では、ドライバセル12のバックゲート端子BP12及びBN12と、ゲート入力信号IN1との間に高抵抗値の抵抗R1及びR2を挿入することにより、入力信号IN1とボディ電位との間に遅延差を作り出している。このため、実施の形態1の半導体集積回路は、ドライバセル12の“L”/“H”遷移時にボディ電位を変化させないことにより、出力線LO12が出力線LO11に与えるグリッチ量の増加を最小限に抑えることができる効果を奏する。
<実施の形態2>
実施の形態2の半導体集積回路は、図1で示した実施の形態1の半導体集積回路における抵抗R1及び抵抗R2をボディコンタクト部において実現した回路である。したがって、回路図レベルでは実施の形態1の半導体集積回路と等価である。
図5は一般的なSRAMメモリセルを含むSRAM回路部の構成を示す回路図である。同図に示すように、CMOS構成のインバータG11及びG12の交叉接続により、SRAMメモリセル10を構成している。
インバータG11は電源線Vdd,接地レベル線Vss間に直列に接続されたPMOSトランジスタQ1及びNMOSトランジスタQ2により構成される。PMOSトランジスタQ1のゲート電極及びNMOSトランジスタQ2のゲート電極に共通に接続されるノードN11がインバータG11の入力部となり、PMOSトランジスタQ1のドレインとNMOSトランジスタQ2とのドレインとの接続ノードであるノードN12がインバータG11の出力部となる。そして、PMOSトランジスタQ1のバックゲート端子に所定の電位(書き込み時は電源電圧Vdd、読み出し時は(電源電圧Vdd−0.6V))が付与され、NMOSトランジスタQ2のバックゲート端子はワード線WLに接続される。
一方、インバータG12は電源線Vdd,接地レベル線Vss間に直列に接続されたPMOSトランジスタQ3及びNMOSトランジスタQ4により構成される。PMOSトランジスタQ3のゲート電極及びNMOSトランジスタQ4のゲート電極に共通に接続されるノードN13がインバータG12の入力部となり、PMOSトランジスタQ3のドレインとNMOSトランジスタQ4とのドレインとの接続ノードであるノードN14がインバータG12の出力部となる。そして、PMOSトランジスタQ3のバックゲート端子に上記所定の電位が付与され、NMOSトランジスタQ4のバックゲート端子がワード線WLに接続される。
インバータG11のノードN12(出力部)とインバータG12のノードN13(入力部)とが接続され、インバータG11のノードN11(入力部)とインバータG12のノードN14(出力部)とが接続されることにより、インバータG11とインバータG12とが交叉接続される。
SRAMメモリセル10のノードN12とビット線BL1との間にNMOSトランジスタQ5が介挿され、NMOSトランジスタQ5のゲート電極及びバックゲート端子がワード線WLに接続される。また、SRAMメモリセル10のノードN14とビット線BL2との間にNMOSトランジスタQ6が介挿され、NMOSトランジスタQ6のゲート電極及びバックゲート端子がワード線WLに接続される。すなわち、NMOSトランジスタQ5,Q6がDTMOSとして機能する。
図6は上記したMOSトランジスタQ1〜Q6の平面構成を示す平面図である。図7は図6のX−X断面のTEM画像を模式的に示す説明図である。図8は図6のY−Y断面のTEM画像を模式的に示す説明図である。
図6に示すように、拡散領域61〜64は完全分離領域50あるいは部分分離領域51〜53を挟んで互いに分離形成されている。なお、拡散領域61,64がP型拡散領域であり、拡散領域62,63がN型拡散領域である。
拡散領域61を図中横断してゲート電極54,55が形成される。ゲート電極54及び拡散領域61によりNMOSトランジスタQ5が構成され、ゲート電極55及び拡散領域61によりNMOSトランジスタQ2が構成される。そして、拡散領域61上において、ゲート電極54の一方側(図中上側)、ゲート電極54,55間、ゲート電極55の他方側(図中下側)にそれぞれコンタクトホール58が設けられる。
ゲート電極54に電気的に接続してボディコンタクト部60aが設けられ、図8に示すように、ボディコンタクト部60aは部分分離領域51を貫通して下方の半導体領域3Sに電気的に接続される。この半導体領域3Sはゲート電極54下のSOI層3であるボディ領域に繋がっている。したがって、ボディコンタクト部60aはNMOSトランジスタQ5のゲート電極54と共にバックゲート端子にも電気的に接続されることになる。この際、半導体領域3Sとボディコンタクト部60aとの界面におけるショトキー効果により、抵抗R1,R2に相当する高抵抗な抵抗成分を実現している。
拡散領域62を図中横断してゲート電極55が形成される。ゲート電極55及び拡散領域62よりPMOSトランジスタQ1が構成される。そして、拡散領域62上において、ゲート電極55の一方側にコンタクト部59aが設けられ、他方側にコンタクトホール58が設けられる。
拡散領域63を図中横断してゲート電極56が形成される。ゲート電極56及び拡散領域63よりPMOSトランジスタQ3が構成される。このゲート電極56はコンタクト部59aと電気的に接続される。そして、拡散領域63上において、ゲート電極53の一方側にコンタクトホール58、他方側にコンタクト部59bが設けられる。このコンタクト部59bはゲート電極55と電気的に接続される。
拡散領域64を図中横断してゲート電極57,56が形成される。ゲート電極57及び拡散領域64によりNMOSトランジスタQ6が構成され、ゲート電極56及び拡散領域64によりNMOSトランジスタQ4が構成される。そして、拡散領域64上において、ゲート電極57の他方側(図中下側)、ゲート電極57,55間、ゲート電極56の一方側(図中上側)にそれぞれコンタクトホール58が設けられる。
ゲート電極57に電気的に接続してボディコンタクト部60bが設けられ、ボディコンタクト部60aの場合と同様、ボディコンタクト部60bは部分分離領域51を貫通して下方の半導体領域3Sに電気的に接続される。この半導体領域3Sはゲート電極57下のSOI層3に繋がっている。したがって、ボディコンタクト部60bはNMOSトランジスタQ6のゲート電極57と共にバックゲート端子にも電気的に接続されることになる。この際、半導体領域3Sとボディコンタクト部60abの界面におけるショトキー効果により、抵抗R1,R2に相当する高抵抗な抵抗成分を実現している。
なお、図7及び図8において、SOI層3下に埋め込み酸化膜2が存在し、ゲート電極54の上層部にシリサイド領域54sが設けられ、ゲート電極54及びゲート電極55上及び側面を層間絶縁膜6(サイドウォールを含む)で覆っている。
このように、実施の形態2では、ドライバセル12におけるPMOSトランジスタQP12及びNMOSトランジスタQN12用の高抵抗な抵抗R1,抵抗R2を、ボディコンタクト部とボディ領域との界面におけるショットキー効果により抵抗成分を用いて実現している。なお、図5〜図8で示した構成の詳細は上記参考文献1に開示されている。上記参考文献1では、100MΩの抵抗値を生じさせているため、ドライバセル12の抵抗R1,抵抗R2の実現に必要な抵抗値を十分作成可能である。
(効果)
実施の形態2の半導体集積回路ではボディコンタクト部とボディ領域との界面におけるショットキー効果により、ボディ領域(バックゲート端子)とボディコンタクトとの間に高抵抗値な抵抗成分を実施の形態1のドライバセル12における抵抗R1,R2として作成することができる。その結果、実施の形態2の半導体集積回路は、ドライバセル12のレイアウトサイズを変えることなく、抵抗R1,R2相当の抵抗を形成することができる効果を奏する。
<実施の形態3>
図9はこの発明の実施の形態3である半導体集積回路の内部構成を示す回路図である。実施の形態3の半導体集積回路において実施の形態1の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
実施の形態3の半導体集積回路において、実施の形態1の半導体集積回路におけるドライバセル12に対応するドライバセル13の構成が異なる。ドライバセル13はCMOS構成のインバータを有している。
ドライバセル13は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP13及びNMOSトランジスタQN13から構成される。PMOSトランジスタQP13のバックゲート端子BP13は抵抗R1を介してゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN13のバックゲート端子BN13は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP13及びNMOSトランジスタQN13のゲート電極が共通に入力線LI13に接続され、PMOSトランジスタQP13及びNMOSトランジスタQN13のドレイン電極が共通に出力線LO13に接続される。
このように、ドライバセル13は、PMOSトランジスタQP13をゲート電極とバックゲート端子BP13とを抵抗R1を介して接続するDTMOS構成とすることにより、セルの駆動能力の向上を図っている。また、抵抗R1は少なくとも100kΩ以上の高抵抗値に設定される。
一方、NMOSトランジスタQN13をDTMOS構成ではなく、一般的なNMOSトランジスタと同様な構成を呈している。
(効果)
このように、実施の形態3の半導体集積回路は、出力線LO13が受けるfallグリッチ量を、ドライバセル13の導通トランジスタ(PMOSトランジスタQP13)のバックゲート端子BP13にフォワードバイアスを加えることにより、低減させることができる。
さらに、実施の形態3の半導体集積回路では、ドライバセル13のバックゲート端子BP13と、ゲート入力信号IN1との間に高抵抗値の抵抗R1を挿入することにより、入力信号IN1とボディ電位との間に遅延差を作り出し、ドライバセル13の“H”/“L”遷移時にボディ電位を変化させないことにより、出力線LO13が出力線LO11に与えるriseグリッチ量の増加を最小限に抑えることができる効果を奏する。また、NMOSトランジスタQN13のバックゲート端子BN13は接地レベルに固定させているため、ドライバセル13の“L”/“H”遷移時においても、出力線LO13が出力線LO11に与えるfallグリッチ量の増加を元々最小限に抑えることができる。
したがって、出力線LO13が受けるグリッチがfallしか懸念されない時には、実施の形態3のように、PMOSトランジスタQP13のみに抵抗R1を介したDTMOS構成の適用により、実施の形態1の半導体集積回路に比べコストダウンを実現できる。
(その他)
なお、実施の形態3の変形例として、図9で示した構成とは逆に、PMOSトランジスタQP13及びNMOSトランジスタQN13のうち、NMOSトランジスタQN13のみを高抵抗を介したDTMOS構成とすることも当然ながら可能である。
また、P型基板を前提としたバルクプロセスにおいては、NMOSトランジスタのボディ電位制御のためには、ウェル分離が必要である。それに対して、PMOSトランジスタは比較的容易である。参考文献4「M. Elgebaly, “A Sub-0.5V Dynamic Threshold PMOS (DTPMOS) Scheme for Bulk CMOS Technologies,” The 13th International Conference on Microelectronics 2001」では、DTPMOSと呼ばれる形式にて、PMOSトランジスタのみゲート電極とボディ領域(バックゲート端子)とを接続している。このDTPMOSに高抵抗を設けることにより、バルクプロセスでも本発明を適用できることは勿論である。
<実施の形態4>
(第1の態様)
図10はこの発明の実施の形態4の第1の態様である半導体集積回路の内部構成を示す回路図である。実施の形態4の第1の態様の半導体集積回路において実施の形態1の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
実施の形態4の第1の態様の半導体集積回路において、実施の形態1の半導体集積回路におけるドライバセル12に対応するドライバセル14及びレシーバセル22に対応するレシーバセル23(所定のレシーバセル)の構成が異なる。レシーバセル23はCMOS構成のインバータを有している。
ドライバセル14は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP14及びNMOSトランジスタQN14から構成される。なお、PMOSトランジスタQP14のバックゲート端子BP14は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN14のバックゲート端子BN14は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP14及びNMOSトランジスタQN14のゲート電極が共通に入力線LI14に接続され、PMOSトランジスタQP14及びNMOSトランジスタQN14のドレイン電極が共通に出力線LO14(入力線LI23)に接続される。
レシーバセル23におけるレシーバセル用入力線である入力線LI3は、第2の配線である出力線LO14そのものである。すなわち、入力線LI14は、第2のドライバセルであるドライバセル14の後段に配置され、出力線LO14の電位に関連した信号(出力線LO14の信号自体)を受ける。
レシーバセル23は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP23及びNMOSトランジスタQN23から構成される。PMOSトランジスタQP23のバックゲート端子BP23は抵抗R3を介してゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN23のバックゲート端子BN23は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP23及びNMOSトランジスタQN23のゲート電極が共通に入力線LI23(出力線LO14)に接続され、PMOSトランジスタQP23及びNMOSトランジスタQN23のドレイン電極が共通に出力線LO23に接続される。
このように、レシーバセル23は、PMOSトランジスタQP23のゲート電極とバックゲート端子BP23とを抵抗R3を介して接続するDTMOS構成とすることにより、セルの駆動能力の向上を図っている。また、抵抗R3は少なくとも100kΩ以上の高抵抗値に設定される。
一方、NMOSトランジスタQN23をDTMOS構成ではなく、一般的なNMOSトランジスタと同様な構成を呈している。
上述したように、実施の形態4の第1の態様の半導体集積回路は、レシーバセル23にのみ抵抗R3を介したDTMOS構成のPMOSトランジスタQP23を設けたことを特徴としている。
このような構成において、出力線LO14が“L”電位の時、出力線LO11よりriseグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。この時、PMOSトランジスタQP23はオン状態、NMOSトランジスタQN23はオフ状態になっている。バックゲート端子BP23には“L”電位が印加され、PMOSトランジスタQP23はフォワードバイアスがかかり駆動力が強化されている。一方、NMOSトランジスタQN23はゼロバイアスであり駆動力はそのままである。
このとき、出力線LO14に出力線LO11よりグリッチノイズが入力され、“L”から幾分(例えば数10%)“H”に瞬間的に変化すると、レシーバセル23を介してノイズが伝播することになる。すなわち、レシーバセル23の出力線LO23の電位が“H”から幾分“L”に瞬間的に変化する。このノイズ伝播量はレシーバセル23の論理閾値に関係して決まる。つまり、レシーバセル23の論理閾値が低いと伝播しやすくなり、高いとノイズが伝播しにくくなる。
PMOSトランジスタQP23はオン状態時にフォワードバイアスがかかり駆動力が強化され閾値電圧は低く設定され、NMOSトランジスタQN23の駆動力はそのままで閾値電圧に変化はない。したがって、オン状態のPMOSトランジスタQP23の閾値電圧が低くなりオフし難くなり、オフ状態のNMOSトランジスタQN23は閾値電圧は低くされておらずオンし難くなる。このように、出力線LO14が“L”から“H”に向けて変化する時、レシーバセル23の論理閾値が高くなっているため、レシーバセル23によるグリッチノイズの伝播量を軽減することができる。
一方、出力線LO14が“H”電位の時、出力線LO11よりfallグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。この時、MPMOSトランジスタQP23はオフ状態、NMOSトランジスタQN23はオン状態になっている。バックゲート端子BP23には“H”電位が印加され、PMOSトランジスタQP23はゼロバイアスがかかり駆動力がそのままである。一方、NMOSトランジスタQN23の駆動力は変化しない。つまり、出力線LO14がfallグリッチノイズを受ける場合にはグリッチノイズの伝播量の改善を図ることはない。
このように、実施の形態4の第1の態様の半導体集積回路は、レシーバセル23の入力線LI23(出力線LO14)がriseグリッチノイズを受ける場合、グリッチノイズの伝播を改善することができる効果を奏する。
一方、抵抗R3を設けない構成では、出力線LO14のriseグリッチがすぐにバックゲート端子BP23に伝達される。このため、PMOSトランジスタQP23のフォワードバイアスが弱まり、実施の形態4の第1の態様のように抵抗R3を設けた場合よりもノイズが伝播しやすくなる。
なお、実施の形態4の第1の態様では、PMOSトランジスタQP23に抵抗R3を介したDTMOS構成を適用したが、同様に、NMOSトランジスタQN23についても高抵抗を介してDTMOS構成を適用することも当然可能である。この場合、レシーバセル23の入力線LI23(出力線LO14)がfallグリッチノイズを受ける場合においても、グリッチノイズの伝播を改善することができる効果を奏する。
P型基板を前提としてバルクプロセスにおいては、NMOSトランジスタのボディに別個の電圧を印加するためにウェル分離が必要となる。一方、PMOSトランジスタは前述したDT-PMOS方式を採用すれば容易に実現可能である。
また、実施の形態3のドライバセル13と実施の形態4の第1の態様のレシーバセル23とを組み合わせることにより、実施の形態3のドライバセル13により、fallグリッチを受ける場合の改善を図り、実施の形態4の第1の態様のレシーバセル23により、riseグリッチを受ける場合の伝播量の改善を併せて図ることが可能となる。
(効果)
実施の形態4の第1の態様の半導体集積回路では、出力線LO14が“L”から“H”に変化する際、出力線LO14を入力とするレシーバセル23の論理閾値を上昇させることにより、レシーバセル23が伝播するグリッチ量を低減させることが可能となる効果を奏する。
(第2の態様)
図11はこの発明の実施の形態4の第2の態様である半導体集積回路の内部構成を示す回路図である。実施の形態4の第2の態様の半導体集積回路において第1の態様と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
実施の形態4の第2の態様の半導体集積回路において、第1の態様の半導体集積回路におけるレシーバセル23に対応するレシーバセル24,25の構成が異なる。
レシーバセル24は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP24及びNMOSトランジスタQN24から構成される。PMOSトランジスタQP24のバックゲート端子BP24は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN24のバックゲート端子BN24は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP24及びNMOSトランジスタQN24のゲート電極が共通に入力線LI24(出力線LO14)に接続され、PMOSトランジスタQP24及びNMOSトランジスタQN24のドレイン電極が共通に出力線LO24に接続される。
レシーバセル25(所定のレシーバセル)は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP25及びNMOSトランジスタQN25から構成される。PMOSトランジスタQP25のバックゲート端子BP25は抵抗R4を介してゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN25のバックゲート端子BN25は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP25及びNMOSトランジスタQN25のゲート電極が共通に入力線LI25(出力線LO24)に接続され、PMOSトランジスタQP25及びNMOSトランジスタQN25のドレイン電極が共通に出力線LO25に接続される。
レシーバセル25のレシーバセル用入力線である入力線LI25には、ドライバセル14の出力線LO14の電位がレシーバセル24によって反転された信号が得られる。すなわち、入力線LI24は、第2の配線である出力線LO14の後段に配置され、出力線LO14の電位に関連した信号を受ける。
このように、レシーバセル25は、PMOSトランジスタQP25をゲート電極とバックゲート端子BP25とを抵抗R4を介して接続するDTMOS構成とすることにより、セルの駆動能力の向上を図っている。また、抵抗R4は少なくとも100kΩ以上の高抵抗値に設定される。
一方、NMOSトランジスタQN25をDTMOS構成ではなく、一般的なNMOSトランジスタと同様な構成を呈している。
上述したように、実施の形態4の第2の態様の半導体集積回路は、レシーバセル25にのみ抵抗R4を介したDTMOS構成のPMOSトランジスタQP25を設けたことを特徴としている。
このような構成において、出力線LO14が“H”、出力線LO24が“L”の時、出力線LO11よりfallグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。この時、PMOSトランジスタQP25はオン状態、NMOSトランジスタQN25はオフ状態になっている。バックゲート端子BP25には“L”電位が印加され、PMOSトランジスタQP25はフォワードバイアスがかかり駆動力が強化されている。一方、NMOSトランジスタQN25はゼロバイアスであり駆動力はそのままである。
このとき、出力線LO14に出力線LO11よりfallグリッチノイズが入力され、“H”から幾分(例えば数10%)“L”に瞬間的に変化すると、レシーバセル24,25を介してノイズが伝播することになる。すなわち、レシーバセル25の出力線LO25の電位が“H”から幾分“L”に瞬間的に変化する。このノイズ伝播量はレシーバセル25の論理閾値に関係して決まる。つまり、レシーバセル25の論理閾値が低いと伝播しやすくなり、高いとノイズが伝播しにくくなる。
PMOSトランジスタQP25はフォワードがかかり駆動力が強化されており、NMOSトランジスタQN25の駆動力はそのままである。すなわち、PMOSトランジスタQP25は閾値電圧が低くなりオフし難くなり、NMOSトランジスタQN25は閾値電圧は低くなっておらずオンし難くなる。このように、出力線LO14が“H”から“L”に変化する時、レシーバセル25の論理閾値が高くなっているため、レシーバセル25によるグリッチノイズの伝播量を軽減することができる。
一方、出力線LO14が“L”電位の時、出力線LO11よりriseグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。この時MPMOSトランジスタQP25はオフ状態、NMOSトランジスタQN25はオン状態になっている。バックゲート端子BP25には“H”電位が印加され、PMOSトランジスタQP25はゼロバイアスがかかり駆動力がそのままである。一方、NMOSトランジスタQN25の駆動力は変化しない。つまり、出力線LO14がriseグリッチノイズを受ける場合にはグリッチノイズの伝播量の改善を図ることはない。
このように、実施の形態4の第2の態様の半導体集積回路は、レシーバセル24を介してドライバセル14に対し、後段に配置されたレシーバセル25によって、ドライバセル14の出力線LO14(入力線LI24)がfallグリッチノイズを受ける場合、グリッチノイズの伝播を改善することができる効果を奏する。
一方、抵抗R4を設けない構成では、出力線LO14のfallグリッチがレシーバセル24を介してすぐにバックゲート端子BP25に伝達される。このため、PMOSトランジスタQP25のフォワードバイアスが弱まり、第2の態様のように抵抗R4を設けた場合よりもノイズが伝播しやすくなる。
なお、実施の形態4の第2の態様では、PMOSトランジスタQP25に抵抗R4を介したDTMOS構成を適用したが、同様に、NMOSトランジスタQN25についても高抵抗を介してDTMOS構成を適用することも当然可能である。この場合、ドライバセル14の出力線LO14(入力線LI24)がriseグリッチノイズを受ける場合においてもグリッチノイズの伝播を改善することができる効果を奏する。
なお、ノイズ発生部(出力線LO14)と適用セル(レシーバセル25)の間に任意の個数のセルが入っていてもかまわない。また、第2の態様では間にインバータ構成のレシーバセル24が介在する例を示したが、伝播ノイズを抑えるのが目的であるので、NANDゲート、NORゲート、Dフリップフロップ等、任意のセルを介在させても良い。
(効果)
実施の形態4の第2の態様の半導体集積回路では、出力線LO14が“H”から“L”に変化する際、出力線LO14をレシーバセル24を介して入力とするレシーバセル25の論理閾値を上昇させることにより、レシーバセル25が伝播するグリッチ量を低減させることが可能となる効果を奏する。
上記効果は、出力線LO11,出力線LO14間の配線間距離が0.42nm(出力線LO11,LO14の配線幅の3倍)以下で近接配置されている場合に特に有効である。また、上記効果は、電源Vddが0.6V以下の低電圧動作させてグリッチノイズの影響を受けやすい場合に特に有効である。
(その他)
なお、実施の形態4の第1及び第2の態様における抵抗R3及び抵抗R4を、実施の形態2のようにボディコンタクト部において実現しても良い。
<実施の形態5>
実施の形態5では実施の形態1〜実施の形態4で示したドライバセル12、ドライバセル13、レシーバセル23(26)をクロストーク対策用の置換セルとして用いた場合の半導体集積回路の設計方法である。
図46は従来のクロストークエラー修正機能を備えた半導体集積回路の設計方法を模試的に示す説明図である。
同図を参照して、ステップS11でセルの配置・配線処理を施し、配線間容量等の配置寄生容量付きネットリストNLを生成する。
その後、ステップS12において、セルノイズライブラリLC1を参照して、ステップS11で作成したネットリストNLで規定される設計回路に対するクロストークノイズ解析を行う。なお、セルノイズライブラリLC1は寄生素子抽出情報、遅延ライブラリを有している。
そして、ステップS13において、クロストークエラーが無いと判定されると処理を終了し、クロストークエラーが有ると判定されるステップS14に移行する。なお、クロストークエラーが有ると判定された場合、クロストークエラーと判定されたエラーネット箇所を規定したクロストークエラーネットCENが得られる。
ステップS14において、クロストークエラーネットCENに基づき、クロストークエラーと判定されたエラー配線経路に対するクロストークリペア処理を行い、ステップS12に戻る。以降、ステップS12でクロストークエラー無しが判定されるまで、ステップS12〜S14が繰り返される。なお、ステップS14のクロストークリペア処理として、エラー検出セルのセル置換処理、エラー配線経路上の配線と他の配線との配線間隔を広げる処理、エラー配線経路を駆動するドライバセルのサイズをアップする処理、エラー配線経路上にバッファ挿入を行う処理、エラー配線経路上の配線をシールドする処理等がある。
なお、従来のクロストークノイズ解析として、例えば、参考文献3(特開2007−226883号公報)の図1、もしくは市販EDAツール等の解析が考えられる。
ステップS14において、配線経路を変更する配線トラックの余裕や、セルを挿入するスペースがなく、対策実施できない場合もある。また、これらの対策をとると、配線状況が大きく変化する、ドライバセルの出力信号の傾きが急峻になることにより、他の配線でクロストークエラーが発生するため、クロストークリペア処理後に何度も解クロストークノイズ解析を行い、上記リペア処理を何回も繰り返す必要があった。
図12はこの発明の実施の形態5であるクロストークリペア機能を備えた半導体集積回路の設計方法を模式的に示す説明図である。なお、実施の形態5においては、置換セルライブラリLC3及び置換セルライブラリLC3に対応する置換セルノイズライブラリLC2を新たに備えたことを特徴としている。
置換セルライブラリLC3は、実施の形態1〜実施の形態4で示したドライバセル12、ドライバセル13、レシーバセル23(26)等のクロストーク対策用のセルを複数の置換セルとして予め登録したライブラリである。これらの複数の置換セルはそれぞれ従来のセル構成から遅延部30(抵抗R1等)等を追加した構成であり、従来のセルとセルサイズ自体に大きな変化はない利点を有している。
図12を参照して、ステップS1でセルの配置・配線処理を施し、配線間容量等の配置寄生容量付きネットリストNLを生成する。
その後、ステップS2において、セルノイズライブラリLC1及び置換セルノイズライブラリLC2を参照して、ステップS1で作成したネットリストNLで規定あれる設計回路に対するクロストークノイズ解析を行う。なお、置換セルノイズライブラリLC2は置換セルライブラリLC3に登録されている複数の置換セルについてのノイズライブラリである。
そして、ステップS3において、クロストークエラーが無いと判定されると処理を終了し、クロストークエラーが有ると判定されるステップS4に移行する。なお、クロストークエラーが有ると判定された場合、クロストークエラーと判定されたエラーネット経路を規定したクロストークエラーネットCEN(解析結果)が得られる。
ステップS4において、クロストークエラーネットCENに基づき、クロストークエラーと判定されたエラーネット経路に存在するエラー検出セルを、置換セルライブラリLC3に登録された置換セルに適宜置換してステップS2に戻る。以降、ステップS2でクロストークエラー無しが判定されるまで、ステップS2〜S4が繰り返される。
(効果)
このように、実施の形態5の半導体集積回路の設計方法は、クロストークノイズエラーが検出されると、エラー検出セルをクロストーク対策用の置換セルに適宜置換している。したがって、配線状況、セルサイズを大きく変化させることなく、全ての場合でクロストークノイズ対策を講じることができる効果を奏する。
例えば、実施の形態1のドライバセル12の場合、その出力配線が受けるクロストーク対策は勿論、その出力配線における信号変化によって他の配線へ与える影響を非常に小さくすることが可能である。したがって、実施の形態5の設計方法におけるステップS4の処理によってクロストーク対策内容は悪化することはないため、ステップS4によるリペア回数を必要最小限に抑え、設計期間を短縮化することができる効果を奏する。
(その他)
なお、クロストークノイズ解析によって得られるエラー検出セルの種類が多いと想定される場合、それに対応するクロストーク対策用の置換セルを全て置換セルライブラリLC3に登録することが負担となる場合も考えられる。
しかし、その場合は、一部の種類のクロストーク対策用の置換セルのみを置換セルライブラリLC3に登録する以下の対応が考えられる。すなわち、エラー検出セルに対応するクロストーク対策用の置換セルが存在しない場合、エラー検出セルの後段に配置されたセルであって、かつクロストーク対策用の置換セルへの置換可能なセルに対して置換を施すことによって伝播ノイズを低減させることが可能である。また、従来から実施されてきた種々のクロストークリペア処理との併用も当然ながら可能である。
<実施の形態6>
図13はこの発明の実施の形態6である半導体集積回路の内部構成を示す回路図である。実施の形態6の半導体集積回路において実施の形態1の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
実施の形態6の半導体集積回路において、実施の形態1の半導体集積回路におけるドライバセル12に対応するドライバセル15の構成が異なる。ドライバセル15はCMOS構成のインバータを有している。
ドライバセル15は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP15及びNMOSトランジスタQN15から構成される。なお、PMOSトランジスタQP15のバックゲート端子BP15は遅延部30を介してゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN15のバックゲート端子BN15は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP15及びNMOSトランジスタQN15のゲート電極が共通に入力線LI15に接続され、PMOSトランジスタQP15及びNMOSトランジスタQN15のドレイン電極が共通に出力線LO15(入力線LI22)に接続される。
このように、ドライバセル15は、PMOSトランジスタQP15をゲート電極とバックゲート端子BP15とを遅延部30を介して接続するDTMOS構成とすることにより、セルの駆動能力の向上を図っている。
一方、NMOSトランジスタQN15をDTMOS構成ではなく、一般的なNMOSトランジスタと同様な構成を呈している。
出力線LO15が受けるグリッチがfallしか懸念されない時には、実施の形態6のように、PMOSトランジスタQP15のみに遅延部30を介したDTMOS構成の適用により、実施の形態1の半導体集積回路に比べコストダウンを実現できる。
なお、実施の形態6の変形例として、図13で示した構成とは逆に、PMOSトランジスタQP15及びNMOSトランジスタQN15のうち、NMOSトランジスタQN15のみを遅延部を介したDTMOS構成とすることも当然ながら可能である。
なお、実施の形態6では、ドライバセル15をインバータ構成で示したが、MOSトランジスタQP15,QN15等を用いて、後述する図24、図25に示すような直列、並列構造の回路構成を採用することにより、NANDゲート、NORゲート等、インバータ以外の論理ゲート構成でドライバセル15相当を実現することも勿論可能である。同様にして、図10、図11に示した実施の形態4のレシーバセルおよび、それ以降のセル(レシーバセル23,25相当)においても、NANDゲート、NORゲート等、インバータ以外の論理ゲート構成でレシーバセル23,25相当を実現することも勿論可能である。
(効果)
このように、実施の形態6では、ドライバセル15の入力線LI15とバックゲート端子BP15の間に遅延部30を設けて、入力線LI15の信号変化時刻とバックゲート端子BP15のボディ電位の時間差を作り出すことにより、実施の形態3と同様な効果を奏している。
なお、実施の形態6では実施の形態3の抵抗R1に置き換えて遅延部30を用いた構成を示したが、実施の形態1の抵抗R1,R2、実施の形態4の抵抗R3(R4)に置き換えて遅延部を構成する構成も同様に考えられる。
(遅延部30の具体的構成)
図14は遅延部30の第1の具体例を示す回路図である。同図に示すように、入力信号IN1(入力線LI15)を一端に受ける抵抗R11の他端にキャパシタC11の一方電極を接続し、キャパシタC11の他方電極を接地し、抵抗R11の他端にバックゲート端子BP15を接続する。このように構成することにより、抵抗R11の抵抗値、及びキャパシタC11の容量値によるRC遅延を、入力信号IN1,バックゲート端子BP15間に生じさせることができる。
図15は遅延部30の第2の具体例を示す回路図である。同図に示すように、入力に入力信号IN1を受け、出力がバックゲート端子BP15に接続される偶数段のインバータ直列接続よりなる直列接続インバータ群31を設けている。インバータチェーンをなす直列接続インバータ群31のインバータ間の信号伝搬時間によって入力信号IN1,バックゲート端子BP15間に遅延を生じさせることができる。なお、直列接続インバータ群31は偶数段のインバータの直列接続より構成されているため、その出力の論理値は入力信号IN1の論理値に一致する。
図16は遅延部30の第3の具体例を示す回路図である。同図に示すように、レシーバセル22の出力線LO22を入力線LI22rとする後続レシーバセル22rが設けられている。
レシーバセル22rは電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP22r及びNMOSトランジスタQN22rから構成される。なお、PMOSトランジスタQP22rのバックゲート端子BP22rは電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN22rのバックゲート端子BN22rは接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP22r及びNMOSトランジスタQN22rのゲート電極が共通に入力線LI22r(出力線LO22)に接続され、PMOSトランジスタQP22r及びNMOSトランジスタQN22rのドレイン電極が共通に出力線LO22rに接続される。
このようなレシーバセル22、後続レシーバセル22r間の接続線(出力線LO22,入力線LI22r)をバックゲート端子BP15に接続している。
レシーバセル22の出力線LO22の電位は、入力信号IN1がドライバセル12及びレシーバセル22を介して得られ、レシーバセル22の出力線LO22の電位は入力信号IN1と同じ論理値となる。
したがって、ドライバセル12及びレシーバセル22の信号伝搬遅延時間により、入力信号IN1,バックゲート端子BP15間に遅延を生じさせることができるため、別途遅延部を設けることなく、レシーバセル22を遅延部として兼用させることができる。
図16の例では、ドライバセル15がインバータ、レシーバセル22がインバータ、出力線LO15がノイズを受ける配線と見立てて説明した。ドライバセル15、レシーバセル22を合わせてドライバのバッファ、出力線LO22がノイズを受ける配線と想定すると、入力線LI15からの伝播ノイズを出力線LO22に伝播させにくくするので、出力線LO22のノイズを改善することも可能となる。
図17は遅延部30の第4の具体例を示す回路図である。同図に示すように、入力信号IN1,バックゲート端子BP15間に可変抵抗32を設けている。この可変抵抗32を伝搬遅延時間により、入力信号IN1,バックゲート端子BP15間に遅延を生じさせることができる。
なお、参考文献4「Zhuang,H.H.他、“Novel Colossal Magnetoresistive Thin Film Nonvolatile Random Access Memory(RRAM)",IEDM,論文番号7.5,2002年12月」において可変抵抗素子について開示がなされている。
上記参考文献4に、RRAM(Resistance RAM)に用いられる可変抵抗素子として以下の既述がなされている。すなわち、Pr1-XCaXMnO3(0<x<1、以下「PCMO」と略称する)等のマンガンを含有する酸化物からなるペロブスカイト型結晶構造を有する超巨大磁気抵抗(CMR:colossal magnetoresistance)等の材料に電圧パルスを印加することで抵抗値の変化することが詳述されている。
また、上記参考文献3では、上述した材料を用いて、パルスの印加時間を変化させることにより、抵抗値を変える制御方法が示されている。この可変抵抗材料を用いることで、製造後に抵抗値を変化させることができ、製造ばらつき及び、製造後の抵抗値調整が可能となる。当然ながらこの材料は可変抵抗の一例であり、それ以外の可変抵抗に対しても可変抵抗32として適用可能である。
図18は遅延部30の第5及び第6の具体例を示す説明図である。同図(a) に示すように、入力信号IN1を一方電極に受け、他方電極がバックゲート端子BP15に接続されるNMOSトランジスタQ7を設けている。NMOSトランジスタQ7に所定の電圧(図示せず)を印加して信号伝搬遅延時間を生じさせることにより、遅延部として利用できる。同様にして、同図(b) に示すように、入力信号IN1を一方電極に受け、他方電極がバックゲート端子BP15に接続されるPMOSトランジスタQ8を設けている。PMOSトランジスタQ8に所定の電圧(図示せず)を印加して信号伝搬遅延時間を生じさせることにより、遅延部として利用できる。
上記所定の電圧を変化させる、例えば、中間電位に設定する等により、NMOSトランジスタQ7及びPMOSトランジスタQ8の抵抗値を変化させ遅延時間を変化させることができる。すなわち、第5及び第6の具体例ではNMOSトランジスタQ7及びPMOSトランジスタQ8を可変抵抗として利用している。
図19は遅延部30の第7の具体例を示す説明図である。同図に示すように、Dフリップフロップ33を設け、D入力に入力信号IN1を付与し、Q出力にバックゲート端子BP15を接続する。このような構成において、クロック入力CLKに付与されるクロック(図示せず)によってD入力,Q出力間に信号遅延を生じさせることにより遅延部として利用できる。
図20は遅延部30の第8の具体例を示す回路図である。同図に示すように、出力線LO15上の出力信号OUT1を受けるn個(nは3以上の奇数)の直列接続のレシーバセルRC1〜RCnが存在する場合、レシーバセルRCnの出力をバックゲート端子BP15に接続する。
レシーバセルRCnの出力電位は、入力信号IN1がドライバセル12及び奇数個のレシーバセルRC1〜RCnを介して得られ、レシーバセルRCnの出力線電位は入力信号IN1と同じ論理値となる。
したがって、ドライバセル12及びレシーバセルRC1〜RCnの伝搬遅延時間により、入力信号IN1,バックゲート端子BP15間に遅延を生じさせることができるため、別途遅延部を設けることなく、レシーバセルRC1〜RCnを遅延部として兼用させることができる。
(効果)
実施の形態6の遅延部30として第1〜第8の具体例で構成することにより、実施の形態1,実施の形態3及び実施の形態4の高抵抗値の抵抗R1〜R4以外にも、入力信号IN1とバックゲート端子BP15との間に遅延時間を発生させることが可能である。
すなわち、実施の形態6の半導体集積回路は、高抵抗以外の構成の遅延部30を設けることにより、実施の形態1,実施の形態3及び実施の形態4の半導体集積回路と同等の効果を奏する。
<実施の形態7>
図21はこの発明の実施の形態7であるSRAMメモリセルを含む半導体集積回路の構成を示す回路図である。同図に示すように、CMOS構成のインバータG1及びG2の交叉接続により、SRAMメモリセル18を構成している。
インバータG1は電源線Vdd,接地レベル線Vss間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP1(第1の第1種MOSトランジスタ)及びNMOSトランジスタQN1(第1の第2種MOSトランジスタ)により構成される。PMOSトランジスタQP1のゲート電極及びNMOSトランジスタQN1のゲート電極に共通に接続されるノードN1がインバータG1の入力部となり、PMOSトランジスタQP1のドレインとNMOSトランジスタQN1とのドレインとの接続ノードであるノードN2(第1の接続ノード)がインバータG1の出力部となる。そして、PMOSトランジスタQP1のバックゲート端子BP1が遅延部DP1を介して自身のゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN1のバックゲート端子BN1が遅延部DN1を介して自身のゲート電極に接続される。
一方、インバータG2は電源線Vdd,接地レベル線Vss間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP2(第2の第1種MOSトランジスタ)及びNMOSトランジスタQN2(第2の第2種MOSトランジスタ)により構成される。PMOSトランジスタQP2のゲート電極及びNMOSトランジスタQN2のゲート電極に共通に接続されるノードN3がインバータG2の入力部となり、PMOSトランジスタQP2のドレインとNMOSトランジスタQN2とのドレインとの接続ノードであるノードN4(第2の接続ノード)がインバータG2の出力部となる。そして、PMOSトランジスタQP2のバックゲート端子BP2が遅延部DP2を介して自身のゲート電極に接続され、NMOSトランジスタQN2のバックゲート端子BN2が遅延部DN2を介して自身のゲート電極に接続される。
インバータG1のノードN2(出力部)とインバータG2のノードN3(入力部)とが接続され、インバータG1のノードN1(入力部)とインバータG2のノードN4(出力部)とが接続されることにより、インバータG1とインバータG2とが交叉接続される。
SRAMメモリセル18のノードN2とビット線BL1との間にNMOSトランジスタQN5が介挿され、NMOSトランジスタQN5のゲート電極がワード線WL1に接続される。また、SRAMメモリセル18のノードN4とビット線BL2との間にNMOSトランジスタQN6が介挿され、NMOSトランジスタQN6のゲート電極がワード線WL2に接続される。
このように、SRAMメモリセル18を構成するインバータG1のPMOSトランジスタQP1及びNMOSトランジスタQN1が遅延部DP1及びDN1を介したDTMOSとして機能する。同様に、インバータG2のPMOSトランジスタQP2及びNMOSトランジスタQN2が遅延部DP2及びDN2を介したDTMOSとして機能する。
従来のボディ固定のSRAMメモリセルの場合、PMOSトランジスタQP1及びQP2のバックゲート端子BP1及びBP2は電源Vddに固定され、NMOSトランジスタQN1及びQN2のバックゲート端子BN1及びBN2は接地レベルに固定されるのが一般的であった。
近年、トランジスタの性能ばらつきにより、データ保持耐性(ホールドマージン)の低下が問題となっている。すなわち。ワード線(WL1,WL2相当)が活性化してアクセストランジスタ(NMOSトランジスタQN5,QN6相当)が導通しているSRAMメモリセル群のうち、ビット線へのアクセスがないメモリセル群が、ビット線のノイズによりデータ破壊がおきる場合がある。
データ破壊について具体的に説明する。ノードN4の電位が“L”,ノードN2の電位が“H”を保持している。ワード線WL1及びワード線WL2が共に“H”になり、ビット線BL1,BL2以外の他のビット線にアクセスがあった場合を考える。このときビット線BL2にriseのグリッチノイズが発生したとする。riseグリッチノイズはNMOSトランジスタQN6を介してノードN4に伝播し、グリッチ量が大きければノードN2,ノードN4の電位(データ)を反転させてしまうことになりデータ破壊が生じる。
このようなデータ破壊を防ぐために、活性状態のワード線の電位を中間電位にして全開しないようにしたり、アクセストランジスタのサイズを小さくしたりする対策が考えられる。
しかし、実施の形態1で説明したように、NMOSトランジスタQN2のバックゲート端子BN2には“H”電位がかかっており、NMOSトランジスタQN2にはフォワードバイアスがかかっている。そのため、上記したデータ破壊に対する対策を施さなくとも、NMOSトランジスタQN2によるノードN4の電位の“L”固定力が大きく、従来のボディ固定メモリセルよりもノードN4の電位のriseグリッチを小さくすることができる。同様にして、NMOSトランジスタQN1の存在によりノードN2のriseグリッチを小さくすることができ、PMOSトランジスタQP1,QP2の存在によりノードN2,ノードN4の電位のfallグリッチを小さくすることができる。したがって、SRAMメモリセル18のデータ保持耐性が向上する。
このように、SRAMメモリセル18は従来のSRAMメモリセルに比べてデータ保持耐性が向上するため、ワード線を中間電位にすることなくアクセストランジスタを全開にしたり、アクセストランジスタサイズを大きくしたりすることが可能となるので、従来よりも高速なメモリセルアクセスを実現できる。
図21で示した構成では、PMOSトランジスタQP1,QP2に対し遅延部DP1,DP2を設け、NMOSトランジスタQN1,QN2に対し遅延部DN1,DN2を設けたが、遅延部DP1,DP2のみを設けたり、遅延部DN1,DN2のみ設ける構成も考えられる。すなわち、前者の場合はビット線のfallグリッチを小さくし、後者の場合はビット線のriseグリッチを小さくすることにより、SRAMメモリセル18のデータ保持統制の向上を図ることができる。
(効果)
実施の形態7の半導体集積回路は、インバータG1,G2を構成するPMOSトランジスタQP1,QP2及びNMOSトランジスタQN1,QN2を遅延部(DP1,DP2,DN1,DN2)を介したDTMOS構成とすることにより、SRAMメモリセル18の記憶ノード(ノードN2,N4)のグリッチノイズ量を改善する。
これにより、実施の形態7の半導体集積回路は、ワード線は活性化しているが、ビット線アクセスがないSRAMメモリセルに対して、ビット線のノイズによるデータ破壊を防ぎ、データ保持特性を向上させることができる。
また、実施の形態7の半導体集積回路は、アクセストランジスタのゲート電位を高めたり、アクセストランジスタのサイズ拡大をデータ保持特性を悪化させることなく行えるため、メモリアクセスの高速化が実現できる効果を奏する。
<実施の形態8>
実施の形態1,実施の形態3,実施の形態4,実施の形態6及び実施の形態7では、隣接配線間に生じる信号線のノイズに対する改善を図った半導体集積回路を示した。実施の形態8では、MT(Multi-Threshold)CMOSの仮想GNDおよび仮想電源Vdd線に対する、IRドロップ改善を図った半導体集積回路を示している。
図22はこの発明の実施の形態8である半導体集積回路の構成を示す回路図である。同図に示すように、セル40に対し、2つの電源遮断回路41,42(スイッチ部)を設けた構成を示している。
セル40は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP10及びNMOSトランジスタQN10から構成される。PMOSトランジスタQP10のバックゲート端子BP10は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN10のバックゲート端子BN10は接地用配線L40(所定の制御対象信号線)に接続される。そして、PMOSトランジスタQP10及びNMOSトランジスタQN10のゲート電極が共通に入力線LI10に接続され、PMOSトランジスタQP10及びNMOSトランジスタQN10のドレイン電極が共通に出力線LO10に接続される。出力線LO10には配線容量C10が付随し、接地用配線L40には配線容量C41が付随する。なお、配線容量とは配線と基板との間の容量、隣接配線間の配線間容量、接続されるセル等の入力負荷容量等、配線に付随する容量の総称を意味する。
電源遮断回路41はNMOSトランジスタQ41及び遅延部D41から構成される。NMOSトランジスタQ41はゲート電極に制御信号SC1を受け、バックゲート端子BN41が遅延部D41を介して自身のゲート電極に接続される。NMOSトランジスタQ41のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。
電源遮断回路42はNMOSトランジスタQ42及び遅延部D42から構成される。NMOSトランジスタQ42はゲート電極に制御信号SC2を受け、バックゲート端子BN42が遅延部D42を介して自身のゲート電極に接続される。NMOSトランジスタQ42のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。
そして、セル40のPMOSトランジスタQP10及びNMOSトランジスタQN10の閾値電圧(絶対値)よりもNMOSトランジスタQ41及びQ42の閾値電圧の方を高く設定することにより、MTCMOS構成を実現している。
図47は図22で示した実施の形態8の半導体集積回路に対応する従来の半導体集積回路(以下、「第2の比較用回路」と略記する場合あり)の構成を示す回路図である。なお、第2の比較用回路において実施の形態8の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
同図に示すように、セル40に対し、2つの電源遮断回路93,94を設けた構成を示している。
電源遮断回路93はNMOSトランジスタQ93から構成される。NMOSトランジスタQ93はゲート電極に制御信号SC1を受け、バックゲート端子BN93が接地される。NMOSトランジスタQ93のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。
電源遮断回路94はNMOSトランジスタQ94から構成される。NMOSトランジスタQ94はゲート電極に制御信号SC2を受け、バックゲート端子BN94が接地される。NMOSトランジスタQ94のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。
そして、セル40のPMOSトランジスタQP10及びNMOSトランジスタQN10の閾値電圧(絶対値)よりもNMOSトランジスタQ93及びQ94の閾値電圧の方を高く設定することにより、MTCMOS構成を実現している。
このような構成において、第2の比較用回路の電源遮断回路93,94のアクティブ時には、制御信号SC1及びSC2が“H”で、NMOSトランジスタQ93,Q94が導通し、接地用配線L40が“L”電位になる。
この状態でセル40が動作すると、配線容量C10に蓄積された電荷が接地用配線L40及びオン状態のNMOSトランジスタQ93,Q94を介して接地レベルに流出する。NMOSトランジスタQ93,Q94のオン抵抗によって、接地用配線L40の電位が浮き上がり、IRドロップノイズが発生する場合がある。なお、IRドロップとは、配線の抵抗成分による電位降下を意味する。
このため、セル40の回路規模、活性率に応じて、NMOSトランジスタQ93,Q94のトランジスタサイズ、閾値電圧が決められ、IRドロップノイズを許容範囲に抑えるように設計される。つまり、NMOSトランジスタQ93,Q94のトランジスタサイズが大きければ、接地用配線L40のノイズが減ることになる。
スリープ時には、制御信号SC1,SC2が“L”で、NMOSトランジスタQ93,Q94がオフ状態となり、接地用配線L40から接地レベルに流れるリーク電流を遮断する。その結果、スリープ時間が十分長い場合には、接地用配線L40の電位はほぼ“H”電位になっている。
十分長いスリープの後、アクティブに遷移する際、配線容量C93およびセル40(配線容量C10含む)に蓄えられた電荷がNMOSトランジスタQ93,Q94を介して、一気に接地レベルに流出し、ラッシュ電流ノイズを発生させる。つまり、NMOSトランジスタQ93,Q94のトランジスタサイズが多ければ、電源遮断回路93,94のソースを流れるラッシュ電流ノイズが大きくなる。ラッシュ電流ノイズは、電源配線にノイズを及ぼして、チップ動作に悪影響を与える。
このノイズを軽減するために、電源遮断スイッチを複数個(NMOSトランジスタQ93,Q94)設け、制御信号SC1,SC2間で“H”にするタイミングをずらして、NMOSトランジスタQ93,Q94の導通時刻をずらす手法が、対策の一つとして用いられている。
第2の比較用回路に対して、実施の形態8の半導体集積回路のIRドロップ及びラッシュ電流に関する動作を以下に説明する。
アクティブ状態において、制御信号SC1,SC2は“H”電位である。そのため、バックゲート端子BN41,BN42は“H”電位であり、NMOSトランジスタQ41,Q42はフォワードバイアスがかかっており、オン抵抗がゼロバイアス状態に比較して減少している。したがって、接地用配線L40の電位の浮き上がりによるIRドロップノイズを第2の比較用回路に比べ軽減することが可能である。
次に、スリープからアクティブ状態に変化する時を考える。スリープ時には、制御信号SC1,SC2が“L”で、NMOSトランジスタQ41,Q42がオフ状態であり、接地用配線L40から接地レベルに流れるリーク電流を遮断する。その結果、スリープ時間が十分長い場合には、接地用配線L40の電位はほぼ“H”電位になっている。
制御信号SC1,SC2が“L”から“H”に変化する時、バックゲート端子BN41,BN42はほぼ“L”電位であり、フォワードバイアスはほとんどかかっていない。そのため、第2の比較用回路とほぼ同じ動作条件となり、第2の比較用回路程度に、ラッシュ電流ノイズの増加を抑えることができる。
したがって、実施の形態8の半導体集積回路は、ラッシュ電流ノイズを増加させることなく、IRドロップノイズを削減することができる効果を奏する。
実施の形態8では、接地用配線(仮想GND配線)を対象に説明した。MTCMOS回路は、電源用配線(仮想VDD線)を設けてVDD配線で遮断する方式があるが、その方式でも適用可能である。また、セル40に対し複数(2つ)の電源遮断回路41,42を設けているが、セル40に対し一個の電源遮断回路を設ける構成も適用可能である。
(効果)
このように、実施の形態8の半導体集積回路は、電源遮断回路41,42のアクティブ状態時には、電源遮断スイッチであるNMOSトランジスタQ41,Q42にフォワードバイアスが十分かかっているため、IRドロップノイズを抑制することができる効果を奏する。
また、実施の形態8の半導体集積回路は、電源遮断回路41,42がスリープからアクティブ状態に遷移する時には、電源遮断スイッチであるNMOSトランジスタQ41,Q42にフォワードバイアスがほとんどかかっていないため、ラッシュ電流ノイズの増加を招くことはない。
<実施の形態9>
図23はこの発明の実施の形態9である半導体集積回路に用いられる電源遮断回路の構成を示す回路図である。
同図に示すように、電源遮断回路43はNMOSトランジスタQ43(所定のMOSトランジスタ)及び遅延部D43から構成される。NMOSトランジスタQ43はゲート電極に制御信号SC3を受け、バックゲート端子BN43が遅延部D43を介して自身のゲート電極に接続される。NMOSトランジスタQ43のドレインは制御対象信号線LS1に接続され、ソースは接地される。なお、遅延部D43は遅延制御信号SD1によって遅延時間が制御される。この遅延制御信号SD1は無くても良い。
このような構成において、アクティブ状態には、制御信号SC3は“H”電位である。そのため、バックゲート端子BN43は“H”電位であり、NMOSトランジスタQ43はフォワードバイアスがかかっており、オン抵抗がゼロバイアス状態に比較して減少している。したがって、制御対象信号線LS1の電位の浮き上がりによるIRドロップノイズを軽減することが可能である。すなわち、電源遮断回路43のアクティブ状態時には制御対象信号線LS1のriseグリッチノイズの削減を図ることができる。
次に、スリープからアクティブ状態に変化する時を考える。スリープ時には、制御信号SC3が“L”で、NMOSトランジスタQ43がオフ状態であり、制御対象信号線LS1から接地レベルに流れるリーク電流を遮断する。その結果、スリープ時間が十分長い場合には、制御対象信号線LS1の電位はほぼ“H”電位になっている。
制御信号SC3が“L”から“H”に変化する時、バックゲート端子BN43はほぼ“L”電位であり、フォワードバイアスはほとんどかかっていない。そのため、ラッシュ電流ノイズの増加を抑えることができる。すなわち、制御対象信号線LS1におけるfallグッチノイズの低減、NMOSトランジスタQ43のソース端子,接地レベル間の配線におけるriseグリッチノイズの低減を図ることができる。
(効果)
このように、実施の形態9の半導体集積回路は、電源遮断回路43のアクティブ状態時には、電源遮断スイッチであるNMOSトランジスタQ43にフォワードバイアスが十分にかかっているため、制御対象信号線LS1に関するIRドロップノイズ及びriseグリッチノイズを抑制することができる効果を奏する。
加えて、実施の形態9の半導体集積回路は、電源遮断回路43がスリープからアクティブ状態に遷移する時には、電源遮断スイッチであるNMOSトランジスタQ43にフォワードバイアスがほとんどかかっていないため、制御対象信号線LS1のfallグリッチノイズの低減、及びNMOSトランジスタQ43のソース端子,接地レベル間の配線のriseグリッチノイズ(ラッシュ電流)の低減化を図ることができる効果を奏する。
(第1の変形例)
図24は実施の形態9半導体集積回路の第1の変形例を示す回路図である。同図に示すように、電源遮断回路43dはNMOSトランジスタQ43,Q44及び遅延部D43から構成される。NMOSトランジスタQ43はゲート電極に制御信号SC3を受け、バックゲート端子BN43が遅延部D43を介して自身のゲート電極に接続される。NMOSトランジスタQ43のドレインは制御対象信号線LS1に接続される。NMOSトランジスタQ44のゲート電極には制御信号S44が付与され、ドレインはNMOSトランジスタQ43のソースに接続され、ソースは接地される。
このように、電源遮断回路43dは、遅延部D43を介したDTMOS構成のNMOSトランジスタQ43に対して直列にNMOSトランジスタQ44を設けている。制御信号S44として、NMOSトランジスタQ43を常時オンさせる信号、あるいは制御信号SC3と同様に変化する信号等が考えられる。
このように、NMOSトランジスタQ43に直列に接続されるNMOSトランジスタQ44を加えた第1の変形例で電源遮断回路43dを構成することにより、電源遮断回路43と同様な効果を奏する。
(第2の変形例)
図25は実施の形態9の半導体集積回路の第2の変形例を示す回路図である。同図に示すように、電源遮断回路43pはNMOSトランジスタQ43,PMOSトランジスタQ45及び遅延部D43から構成される。NMOSトランジスタQ43はゲート電極に制御信号SC3を受け、バックゲート端子BN43が遅延部D43を介して自身のゲート電極に接続される。NMOSトランジスタQ43のドレインは制御対象信号線LS1に接続され、ソースは接地される。
PMOSトランジスタQ45のゲート電極には制御信号S45が付与され、ドレインは制御対象信号線LS1に接続され、ソースは接地される。
このように、電源遮断回路43pはNMOSトランジスタQ43に対して並列にPMOSトランジスタQ45を設けている。制御信号S45として、PMOSトランジスタQ45を常時オンさせる信号、あるいは制御信号SC3の反転信号等が考えられる。
制御信号S45によってPMOSトランジスタQ45が常時オンさせた場合、スリープ時には、制御信号SC3が“L”で、NMOSトランジスタQ43がオフ状態であるが、オン状態のPMOSトランジスタQ45により制御対象信号線LS1はPMOSトランジスタQ45の閾値電圧レベルで保持される。したがって、スリーブ状態からアクティブ状態への遷移時にラッシュ電流の増加を効果的に抑制することができる。
このように、NMOSトランジスタQ43に並列に接続されるPMOSトランジスタQ45を加えた第2の変形例で電源遮断回路43pを構成することにより、電源遮断回路43と同様な効果を奏する。
上述のように、NMOSトランジスタQ43に直列あるいは並列に導電型式に関係無くMOSトランジスタを接続する変形例で実現することも可能である。
(第3の変形例)
図26はこの発明の実施の形態9である半導体集積回路に用いられる電源遮断回路の第3の変形例の構成を示す回路図である。
同図に示すように、電源遮断回路48はPMOSトランジスタQ48及び遅延部D48から構成される。PMOSトランジスタQ48はゲート電極に制御信号SC4を受け、バックゲート端子BP48が遅延部D48を介して自身のゲート電極に接続される。PMOSトランジスタQ48のドレインは制御対象信号線LS2に接続され、ソースは電源Vddに接続される。なお、遅延部D48は遅延制御信号SD2によって遅延時間が制御される。この遅延制御信号SD2は無くても良い。
このような構成において、アクティブ状態には、制御信号SC4は“L”電位である。そのため、バックゲート端子BP48は“L”電位であり、PMOSトランジスタQ48はフォワードバイアスがかかっており、オン抵抗がゼロバイアス状態に比較して減少している。したがって、制御対象信号線LS2の電位の沈み下がりによるIRドロップノイズを軽減することが可能である。すなわち、電源遮断回路48のアクティブ状態時には制御対象信号線LS2のfallグリッチノイズの削減を図ることができる。
次に、スリープからアクティブ状態に変化する時を考える。スリープ時には、制御信号SC4が“H”で、PMOSトランジスタQ48がオフ状態であり、電源Vddから制御対象信号線LS2に流れるリーク電流を遮断する。その結果、スリープ時間が十分長い場合には、制御対象信号線LS2の電位はほぼ“L”電位になっている。
制御信号SC4が“H”から“L”に変化する時、バックゲート端子BP48はほぼ“H”電位であり、フォワードバイアスはほとんどかかっていない。そのため、電源Vddから制御対象信号線LS2に流れるラッシュ電流ノイズの増加を抑えることができる。すなわち、制御対象信号線LS1のriseグリッチノイズの低減、及びPMOSトランジスタQ48のソース端子,電源Vdd間の配線におけるfallグリッチノイズの低減を図ることができる。
このように、実施の形態9の半導体集積回路の第3の変形例は、電源遮断回路48のアクティブ状態時には、電源遮断スイッチであるNMOSトランジスタQ48にフォワードバイアスが十分かかっているため、制御対象信号線LS2に関するIRドロップノイズ及びfallグリッチノイズを抑制することができる効果を奏する。
加えて、実施の形態9の半導体集積回路の第3の変形例は、電源遮断回路48がスリープからアクティブ状態に遷移する時には、電源遮断スイッチであるNMOSトランジスタQ48にフォワードバイアスがほとんどかかっていない。このため、制御対象信号線LS2のriseグリッチノイズの低減、及びNMOSトランジスタQ48のソース端子,接地レベル間の配線のfallグリッチノイズ(ラッシュ電流)の低減化を図ることができる効果を奏する。
したがって、実施の形態9の半導体集積回路における第3の変形例は、図23で示した構成と導電型式を逆にすることにより、制御対象信号線LS2を有する回路において、制御対象信号線LS2について、ラッシュ電流ノイズ(riseグリッチノイズ)を増加させることなく、IRドロップノイズ(fallグリッチノイズ)を削減することができる効果を奏する。
(遅延部D43の具体的構成)
図27は遅延部D43(遅延部D48)の第1の具体例を示す回路図である。同図に示すように、制御信号SC3(SC4)を一端に受ける抵抗R12の他端にキャパシタC12の一方電極を接続し、キャパシタC12の他方電極を接地し、抵抗R12の他端にバックゲート端子BN43(BN48)を接続する。このように構成することにより、抵抗R12の抵抗値、及びキャパシタC12の容量値によるRC遅延を、制御信号SC3,バックゲート端子BN43間に生じさせることができる。なお、以下では、遅延部D43,遅延部D48のうち、遅延部D43を代表させて具体例を説明し、遅延部D48については図面に制御信号SC4及びバックゲート端子BP48を図28〜図33で示すに留める。
図28は遅延部D43の第2の具体例を示す回路図である。同図に示すように、入力に制御信号SC3を受け、出力がバックゲート端子BN43に接続される偶数段のインバータ直列接続よりなる直列接続インバータ群45を設けている。インバータチェーンをなす直列接続インバータ群45のインバータ間の信号伝搬時間によって制御信号SC3,バックゲート端子BN43間に遅延を生じさせることができる。なお、直列接続インバータ群45は偶数段のインバータの直列接続より構成されているため、その出力の論理値は制御信号SC3の論理値に一致する。
図29は遅延部D43の第3の具体例を示す回路図である。同図に示すように、制御対象信号線LS1の後段に存在する後段信号線RLS1を入力線LI46とする後段セル46である。なお、後段信号線RLS1は制御対象信号線LS1の後段に配置された信号線を意味し、後段信号線RLS2は制御対象信号線LS2の後段に配置された信号線を意味する。
後段セル46は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP46及びNMOSトランジスタQN46から構成される。なお、PMOSトランジスタQP46のバックゲート端子BP46は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN46のバックゲート端子BN46は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP46及びNMOSトランジスタQN46のゲート電極が共通に入力線LI46(後段信号線RLS1)に接続され、PMOSトランジスタQP46及びNMOSトランジスタQN46のドレイン電極が共通に出力線LO46に接続される。
このような後段セル46の出力線LO26にバックゲート端子BN43に接続している。
なお、後段セル46の出力線LO46の電位は、制御信号SC3と論理値が一致することが前提となる。すなわち、後段信号線RLS1より得られる論理値が制御信号SC3と反対の関係を有する必要がある。なお、後段信号線RLS1の代わりに制御信号SC3と論理値が逆の外部信号を付与する構成も考えられる。
したがって、少なくとも、制御対象信号線LS1,及び後段セル46の伝搬遅延時間により、制御信号SC3,バックゲート端子BN43間に遅延を生じさせることができるため、別途遅延部を設けることなく、後段セル46を遅延部として兼用させることができる。
図30は遅延部D43の第4の具体例を示す回路図である。同図に示すように、制御信号SC3,バックゲート端子BN43間に可変抵抗49を設けている。この可変抵抗49を伝搬遅延時間により、制御信号SC3,バックゲート端子BN43間に遅延を生じさせることができる。
図31は遅延部D43の第5及び第6の具体例を示す説明図である。同図(a) に示すように、制御信号SC3を一方電極に受け、他方電極がバックゲート端子BN43に接続されるNMOSトランジスタQ9を設けている。NMOSトランジスタQ9に所定の電圧(図示せず)を印加して信号伝搬遅延時間を生じさせることにより、遅延部として利用できる。同様にして、同図(b) に示すように、制御信号SC3を一方電極に受け、他方電極がバックゲート端子BN43に接続されるPMOSトランジスタQ10を設けている。PMOSトランジスタQ10に所定の電圧(図示せず)を印加して信号伝搬遅延時間を生じさせることにより、遅延部として利用できる。
上記所定の電圧を変化させる、例えば、中間電位に設定する等により、NMOSトランジスタQ9及びPMOSトランジスタQ10の抵抗値を変化させ遅延時間を変化させることができる。すなわち、第5及び第6の具体例ではNMOSトランジスタQ9及びPMOSトランジスタQ10を可変抵抗として利用している。
図32は遅延部D43の第7の具体例を示す説明図である。同図に示すように、Dフリップフロップ47を設け、D入力に制御信号SC3を付与し、Q出力にバックゲート端子BN43を接続する。このような構成において、クロック入力CLKに付与されるクロック(図示せず)によってD入力,Q出力間に信号遅延を生じさせることにより遅延部として利用できる。
図33は遅延部D43の第8の具体例を示す回路図である。同図に示すように、後段信号線RLS1を入力とするn個(n≧2)の直列接続のレシーバセルRC1〜RCnが存在する場合、レシーバセルRCnの出力をバックゲート端子BN43に接続する。
なお、セルDCnの出力電位は、制御信号SC3と論理値が一致することが前提となる。すなわち、後段信号線RLS1より得られる論理値が制御信号SC3と反対の関係を有する場合はnは奇数となり、後段信号線RLS1より得られる論理値が制御信号SC3と一致する場合はnは偶数となる。なお、後段信号線RLS1の代わりに制御信号SC3と論理値が一致/逆の関係となる外部信号を付与する構成も考えられる。
したがって、少なくとも、後段信号線RLS1及びレシーバセルDC1〜DCnの伝搬遅延時間により、制御信号SC3,バックゲート端子BN43間に遅延を生じさせることができるため、別途遅延部を設けることなく、レシーバセルRC1〜RCnを遅延部として兼用させることができる。
(効果)
実施の形態9の遅延部D43として第1〜第8の具体例で構成することにより制御信号SC3とバックゲート端子BN43との間に遅延時間を発生させることが可能である。
(実施の形態1等への応用例)
なお、実施の形態9で述べた電源遮断回路43(43d,43p)を、例えば、図1で示した実施の形態1のドライバセル12のNMOSトランジスタQN12に置き換えて用いる構成が応用例として考えられる。
NMOSトランジスタQN12に置き換えて電源遮断回路43の構成を用いた場合、制御対象信号線LS1が出力線LO12に相当し、制御信号SC3が入力信号IN1に相当相、遅延部D43が抵抗R2に相当する。
NMOSトランジスタQN12に置き換えて電源遮断回路43dの構成を用いた場合、制御対象信号線LS1が出力線LO12に相当し、制御信号SC3及び制御信号S44の組合せが入力信号IN1に相当し、遅延部D43が抵抗R2に相当する。ただし、制御信号S44は“H”固定であっても良い。この場合、制御信号SC3のみが入力信号IN1に相当する。このように、NMOSトランジスタQN12に置き換えてNMOSトランジスタQ43及びQ44の直列接続構成を用いることもできる。
NMOSトランジスタQN12に置き換えて電源遮断回路43pの構成を用いた場合、制御対象信号線LS1が出力線LO12に相当し、制御信号SC3及び制御信号S45の組合せが入力信号IN1に相当し、遅延部D43が抵抗R2に相当する。このように、NMOSトランジスタQN12に置き換えてNMOSトランジスタQ43及びPMOSトランジスタQ45の並列接続構成を用いることもできる。
このように、実施の形態1のNMOSトランジスタQN12に置き換えて、実施の形態9で述べた電源遮断回路43(43d,43p)の構成を用いることにより、実施の形態1と同様な効果を奏する。
一方、実施の形態9で述べた電源遮断回路48を、例えば、図13で示した実施の形態6のPMOSトランジスタQP15に置き換えて用いる構成が応用例として考えられる。
PMOSトランジスタQP15に置き換えて電源遮断回路48の構成を用いた場合、制御対象信号線LS2が出力線LO15に相当し、制御信号SC4が入力信号IN1に相当し、遅延部D48が遅延部30に相当する。
このように、実施の形態6のPMOSトランジスタQP15に置き換えて、実施の形態9の電源遮断回路48の構成を用いることにより、実施の形態6と同様な効果を奏する。
同様にして、PMOSトランジスタQP12(実施の形態1(図1))、PMOSトランジスタQP13(実施の形態3(図9))、あるいはPMOSトランジスタQP23(実施の形態4(図10))に置き換えて、実施の形態9で述べた電源遮断回路48の構成を用いることにより、実施の形態1、実施の形態3あるいは実施の形態4と同様な効果を奏する。
<実施の形態10>
実施の形態10では、図22で示した実施の形態8の半導体集積回路と同様、MTCMOSの仮想GNDおよび仮想電源Vdd線に対する、IRドロップ改善を図った半導体集積回路を示している。
図34はこの発明の実施の形態10である半導体集積回路の構成を示す回路図である。同図に示すように、セル40に対し、2つの電源遮断回路41,42を設けた構成を示している。なお、図22で示した実施の形態8と同様な箇所は同一符号を付して説明を省略する。
電源遮断回路81はNMOSトランジスタQ51及び遅延部D51から構成される。NMOSトランジスタQ51は第1ゲート電極EG11及び第2ゲート電極EG12を有している。MOSトランジスタQ51は第1ゲート電極EG11に制御信号SC5を受け、第2ゲート電極EG12が遅延部D51を介して第1ゲート電極EG11に接続される。NMOSトランジスタQ51のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。
電源遮断回路82はNMOSトランジスタQ52及び遅延部D52から構成される。NMOSトランジスタQ52は第1ゲート電極EG21及び第2ゲート電極EG22を有している。MOSトランジスタQ52は第1ゲート電極EG21に制御信号SC6を受け、第2ゲート電極EG22が遅延部D52を介して第1ゲート電極EG21に接続される。NMOSトランジスタQ52のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。接地用配線L40には配線容量C51が付随する。
上記のように、電源遮断回路81,82は、4端子駆動型ダブルゲート構造のNMOSトランジスタQ51,Q52を有している。以下、4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタについて詳述する。
図35は4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタ及びその比較用のMOSトランジスタの外観を示す斜視図である。
同図(a) に示すようにシングルゲート構造のMOSトランジスタが構成される。半導体基板1上に埋め込み酸化膜2が形成され、埋め込み酸化膜2上にソース領域4S,ドレイン領域4Dが選択的に形成され、ソース領域4S,ドレイン領域4D間のチャネル領域4Cの一方側面上にゲート絶縁膜7を介してゲート電極5が設けられる。
同図(b) に示すようにフィン型ダブルゲート構造のMOSトランジスタが構成される。半導体基板1上に埋め込み酸化膜2が形成され、埋め込み酸化膜2上にソース領域4S,ドレイン領域4Dが選択的に形成され、ドレイン領域4D,ソース領域4S間のチャネル領域(図示せず)の両側面上及び上面上にゲート絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極5fが設けられる。
同図(c) に示すように、4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタが構成される。半導体基板1上に埋め込み酸化膜2が形成され、埋め込み酸化膜2上にソース領域4S,ドレイン領域4Dが選択的に形成される。チャネル領域4Cの一方側面上にゲート絶縁膜7aを介してゲート電極5G1が設けられる。さらに、チャネル領域4Cの他方側面上にゲート絶縁膜7bを介してゲート電極5G2が設けられる。
図35(c) で示す4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタは、ゲート電極5G1を第1ゲート電極、ゲート電極5G2を第2ゲート電極とし、ソース領域4S及びドレイン領域4Dを含めて4端子駆動型ダブルゲート構造を呈している。
図36〜図41は図35(c) で示した4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタの製造方法を示す断面図である。なお、図36〜図41は図35(c) のZ−Z断面に相当する。
まず、図36に示すように、半導体基板1(図示せず)、埋め込み酸化膜2及びSOI層3からなるSOI構造のSOI層3上に絶縁膜71を堆積する。埋め込み酸化膜2は300nm程度の膜厚、SOI層3は100nm程度の膜厚で形成される。また、ゲート絶縁膜71としてシリコン窒化膜(Si3N4)/NSG(Nondoped Silicate Glass )膜等の積層構造が考えられる。
次に、図37に示すように、電子ビーム露光と反応性イオンエッチング(RIE(Reactive Ion Etching))処理によって、絶縁膜71をパターニングしてフィンマスク71mを形成する。
その後、図38に示すように、酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いて、フィンマスク71mをマスクとしたSOI層3に対するエッチング処理を行い、シリコンフィン部層3fを得る。
そして、図39に示すように、シリコンフィン部層3fの両側面を酸化してゲート酸化膜72を形成した後、全面にN型の不純物をドープしたポリシリコン層73を堆積する。
そして、図40に示すように、フィンマスク71mをストッパーとしてポリシリコン層73に対しCMP(Chemical Mechanical Planarization)処理を施した後、全面にNSG膜74を堆積する。その結果、シリコンフィン部層3fの両側面において、ゲート酸化膜72(7a,7b)ゲート電極5G1及び5G2が形成される。
その後、図41に示すように、NSG膜74を選択的に貫通させ、アルミ電極75a,75bを選択的に形成し、アルミ電極75aとゲート電極5G1とを電気的に接続し、アルミ電極75bとゲート電極5G2とを電気的に接続することにより、4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタが完成する。
図42は4端子駆動型ダブルゲート構造のWゲートトランジスタQWの特性を示す説明図である。同図(b) に示すように、WゲートトランジスタQWは第1ゲート電極EG1に第1ゲート電位Vg1を受け、第2ゲート電極EG2に第2ゲート電位Vg2をそれぞれ独立に受けることができる。すなわち、WゲートトランジスタQWは通常のMOSトランジスタのバックゲート端子として、第1ゲート電極EG1とは独立して外部信号が付与可能な第2ゲート電極EG2を有していると考えることができる。
同図(a) に示すように、WゲートトランジスタQWにおいて第1ゲート電位Vg1と第2ゲート電位Vg2とを等しくして3端子駆動を行うと、第1ゲート電位Vg1に対するドレイン電流Idの特性CL1を得ることができる。特性CL1は良好な立ち上がり特性であり、短チャネル効果の抑止することができる。
一方、WゲートトランジスタQWは第1ゲート電位Vg1を第1ゲート電極EG1に、第2ゲート電位Vg2を第2ゲート電極EG2にそれぞれ独立に付与することができる。例えば、第1ゲート電位Vg1と第2ゲート電位Vg2との間に電位差1V(Vg1=Vg2−1V)を設けることができる。
この場合、同図(a) に示すように、第1ゲート電位Vg1に対するドレイン電流Idの特性CL2となる。すなわち、4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタWQWは、第1ゲート電位Vg1、第2ゲート電位Vg2によって、優れた立ち上がり特性は維持し、閾値電圧Vthをシフト制御する等の対応が可能である。なお、同図(a) では80nmのゲート長で、ドレイン電圧Vd=0.05V、閾値電圧変化ΔVth=0.28Vの例を示している。
図48は図34で示した実施の形態10の半導体集積回路に対応する従来の半導体集積回路(以下、「第3の比較用回路」と略記する場合あり)の構成を示す回路図である。なお、第3の比較用回路において実施の形態10の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
電源遮断回路83はNMOSトランジスタQ53から構成される。NMOSトランジスタQ53は第1ゲート電極EG51及び第2ゲート電極EG52を有している。MOSトランジスタQ53は第1ゲート電極EG51及びEG52に制御信号SC5を共通に受ける。すなわち、NMOSトランジスタQ53を3端子駆動している。NMOSトランジスタQ53のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。
電源遮断回路84はNMOSトランジスタQ54から構成される。NMOSトランジスタQ54は第1ゲート電極EG61及び第2ゲート電極EG62を有している。MOSトランジスタQ54は第1ゲート電極EG61及びEG62に制御信号SC6を共通に受ける。すなわち、NMOSトランジスタQ54を3端子駆動している。NMOSトランジスタQ54のドレインは接地用配線L40に接続され、ソースは接地される。接地用配線L40には配線容量C53が付随する。
上記のように、電源遮断回路83,84は、4端子駆動型ダブルゲート構造のNMOSトランジスタQ53,Q52を有している。以下、第3の比較用回路における動作について説明する。
電源遮断回路83,84のアクティブ時には、SC5及びSC6が“H”である。NMOSトランジスタQ53の第1ゲート電極EG51及び第2ゲート電極EG52が共にオン制御、NMOSトランジスタQ54の第1ゲート電極EG61及び第2ゲート電極EG62が共にオン制御し、接地用配線L40に“L”電位を供給する。NMOSトランジスタQ53,Q54ともに2つのゲート電極がオン制御しており、動作時のIRドロップノイズを低減させる。
電源遮断回路83,84のスリープ時には、SC5及びSC6が“L”である。NMOSトランジスタQ53の2つの第1ゲート電極EG51及び第2ゲート電極EG52が共にオフ制御、NMOSトランジスタQ54の2つの第1ゲート電極EG61及び第2ゲート電極EG62が共にオフ制御し、接地用配線L40からNMOSトランジスタQ53,54を介して接地レベルに流れるリーク電流を遮断する。
NMOSトランジスタQ53,Q54はともに2つのゲート電極がオフ制御しており、リーク電流を強力に遮断する。その結果、スリープ時間が十分長い場合には、接地用配線L40の電位はほぼ“H”電位になっている。十分長いスリープの後、アクティブに遷移する際、配線容量C53およびセル40(配線容量C10含む)に蓄えられた電荷がNMOSトランジスタQ53,Q54を介して、一気に接地レベルに流入し、ラッシュ電流ノイズを発生させてしまう。
ラッシュ電流ノイズを軽減するために、電源遮断スイッチを複数個(NMOSトランジスタQ53,Q54)設け、制御信号SC5,SC6間で“H”にするタイミングをずらして、NMOSトランジスタQ53,Q54の導通時刻をずらす手法を適用することも可能である。
次に、図34で示した実施の形態10の半導体集積回路による動作について説明する。
電源遮断回路81,82のアクティブ時には、制御信号SC5及びSC6が“H”である。アクティブ開始後、遅延部D51,D52の遅延時間後は、NMOSトランジスタQ51の第1ゲート電極EG11及び第2ゲート電極EG12が共にオン制御、NMOSトランジスタQ52の第1ゲート電極EG21及び第2ゲート電極EG22が共にオン制御し、接地用配線L40に“L”電位を供給する。NMOSトランジスタQ51,Q52ともに2つのゲート電極がオン制御を行っているため、第3の比較用回路と同様、IRドロップノイズを低減させることができる。
電源遮断回路81,82のスリープ時には、制御信号SC5及びSC6が“L”である。スリープ開始後、遅延部D51,D52による遅延時間後は、NMOSトランジスタQ51の第1ゲート電極EG11及び第2ゲート電極EG12がともにオフ制御、NMOSトランジスタQ52の第1ゲート電極EG21及び第2ゲート電極EG22が共にオフ制御し、接地用配線L40からNMOSトランジスタQ51,Q52を介して接地レベルに流れるリーク電流を遮断する。NMOSトランジスタQ51,Q52が共に2つのゲート電極でオフ制御しており、第3の比較用回路と同じくリーク電流を強力に遮断する。
電源遮断回路81,82のスリープの結果、スリープ時間が十分長い場合には、接地用配線L40の電位はほぼ“H”電位になっている。十分長いスリープの後、電源遮断回路81,82がアクティブに遷移する際、配線容量C51およびセル40(配線容量C10含む)に蓄えられた電荷がNMOSトランジスタQ51,Q52を介して、一気に接地レベルに流入し、ラッシュ電流ノイズを発生させることが想定される。
電源遮断回路81,82がスリープ状態からアクティブ状態に変化する時を考える。制御信号SC5及びSC6が“L”から“H”に変化する時、第1ゲート電極EG11,第1ゲート電極EG21には“H”電位がかかっており、オン制御している。一方、第2ゲート電極EG12,第2ゲート電極EG22は“L”電位である。なぜならば、遅延部D51,D52による信号遅延により、第2ゲート電極EG12及びEG22は制御信号SC5及びSC6に遅れて“L”から“H”に変化するからである。そのため、NMOSトランジスタQ51,NMOSトランジスタQ52はそれぞれ1つのゲート電極によるオン制御しか行われておらず、弱い導通となる。したがって、第3の比較用回路に比べて、ラッシュ電流ノイズを抑えることができる効果を奏する。
このように、実施の形態10の半導体集積回路は、4端子駆動型ダブルゲート構造のNMOSトランジスタQ51,52を用いた場合において、ラッシュ電流ノイズを増加させることなく、スリープ時のリーク電流の遮断、アクティブ時のIRドロップノイズを抑制を行うことができる効果を奏する。
なお、実施の形態10の半導体集積回路の構成を発展させることにより、4端子以上のマルチゲートトランジスタに対しても、遅延を用いて適用することも当然ながら可能である。
<実施の形態11>
図43はこの発明の実施の形態11である半導体集積回路の内部構成を示す回路図である。実施の形態11の半導体集積回路において実施の形態1の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
実施の形態11の半導体集積回路において、実施の形態1の半導体集積回路におけるドライバセル12に対応するドライバセル16の構成が異なる。
ドライバセル16は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP16及びNMOSトランジスタQN16から構成される。NMOSトランジスタQN16は第1ゲート電極EG31及び第2ゲート電極EG32を有する4端子駆動型ダブルゲート構造を呈している。
PMOSトランジスタQP16のバックゲート端子BP16は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN16の第2ゲート電極EG32は遅延部D16を介して第1ゲート電極EG31に接続される。そして、PMOSトランジスタQP16のゲート電極及びNMOSトランジスタQN16の第1ゲート電極EG31が共通に入力線LI16に接続され、PMOSトランジスタQP16及びNMOSトランジスタQN16のドレイン電極が共通に出力線LO16に接続される。
このように、ドライバセル16は、NMOSトランジスタQN16を第1ゲート電極EG31と第2ゲート電極EG32とを遅延部D16を介して接続する構成となっている。
図49は図43で示した実施の形態11の半導体集積回路に対応する従来の半導体集積回路(以下、「第4の比較用回路」と略記する場合あり)の構成を示す回路図である。なお、第4の比較用回路において実施の形態11の半導体集積回路と同様な部分は同一符号を付し、説明を適宜省略する。
第4の比較用回路において、実施の形態11の半導体集積回路におけるドライバセル16に対応するドライバセル96の構成が異なる。ドライバセル96は電源Vdd,接地レベル間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP96及びNMOSトランジスタQN96から構成される。NMOSトランジスタQN96は第1ゲート電極EG71及び第2ゲート電極EG72を有する4端子駆動型ダブルゲート構造を呈している。
PMOSトランジスタQP96のバックゲート端子BP96は電源Vddに接続され、NMOSトランジスタQN96の第2ゲート電極EG72は接地レベルに接続される。そして、PMOSトランジスタQP96のゲート電極及びNMOSトランジスタQN96の第1ゲート電極EG71が共通に入力線LI96に接続され、PMOSトランジスタQP96及びNMOSトランジスタQN96のドレイン電極が共通に出力線LO96に接続される。
図49で示した第4の比較用回路において、出力線LO96が出力線LO11よりriseグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。すなわち、入力信号IN1が“H”、出力線LO96が“L”、出力線LO11が“L”から“H”に変化する場合を考える。
この時、PMOSトランジスタQP96はオフ状態、NMOSトランジスタQN96はオン状態になっている。バックゲート端子BP96には“H”電位が印加される。NMOSトランジスタQN96の第1ゲート電極EG71及び第2ゲート電極EG72がともにオン制御、出力線LO96に“L”電位を供給する。NMOSトランジスタQN96は2つのゲート電極が共にオン制御を行っており、出力線LO96のriseグリッチノイズを低減させることができる。
次に、出力線LO96が出力線LO11にfallグリッチノイズを与える場合の動作を説明する。すなわち、出力線LO11が“H”、入力信号IN1が“L”から“H”,出力線LO96が“H”から“L”に変化する場合を考える。入力信号IN1が“L”の時、PMOSトランジスタQP96はオン状態、NMOSトランジスタQN96はオフ状態になっている。入力信号IN1が“L”から“H”に変化すると、第1ゲート電極EG71及び第2ゲート電極EG72に“H”がかかるようになり、出力線LO96が“H”から“L”に変化する。配線間容量C96によって、出力線LO11にfallグリッチノイズが発生する。
次に、図43で示した実施の形態11の半導体集積回路において、出力線LO16がriseグリッチノイズを受ける場合の動作を説明する。すなわち、入力信号IN1が“H”、出力線LO16が“L”、出力線LO11が“L”から“H”に変化する場合を考える。この時、PMOSトランジスタQP16はオフ状態、NMOSトランジスタQN16はオン状態になっている。バックゲート端子BP16には“L”電位が印加される。
NMOSトランジスタQN16の第1ゲート電極EG31及び第2ゲート電極EG32が共にオン制御、出力線LO16に“L”電位を供給する。NMOSトランジスタQN16は2つのゲート電極が共にオン制御行っており、第4の比較用回路と同程度に出力線LO16が受けるriseグリッチノイズを低減できる。
次に、出力線LO16が出力線LO11にfallグリッチノイズを与える場合の動作を説明する。すなわち、出力線LO11が“H”、入力信号IN1が“L”から“H”,出力線LO16が“H”から“L”に変化する場合を考える。入力信号IN1が“L”の時、PMOSトランジスタQP16はオン状態、NMOSトランジスタQN16はオフ状態になっている。入力信号IN1が“L”から“H”に変化すると、第1ゲート電極EG31には即“H”がかかるようになる。しかし第2ゲート電極EG32には遅延部D16を介する遅延時間分だけ遅れて“H”がかかるため、その間は第1ゲート電極EG31しかオン制御しておらず、出力線LO16が“H”から“L”に変化する波形の傾きがなだらかになる。その結果、配線間容量C16によって、出力線LO11に発生するfallグリッチノイズを第4の比較用回路に比べて軽減することができる。
(効果)
以上説明したように、実施の形態11の半導体集積回路は、ドライバセル16の出力線LO16が受けるグリッチノイズを第4の比較用回路と同程度に抑えながら、隣接配線に与えるノイズを第4の比較用回路以上に軽減することが可能である。すなわち、実施の形態11の半導体集積回路は、ダブルゲートトランジスタ使用のチップでも、実施の形態1と同様、クロストークノイズ改善が実施可能であるという効果を奏する。
(その他)
実施の形態11の半導体集積回路の構成を発展させることにより、4端子以上のマルチゲートトランジスタに対しても、遅延を用いて適用することも当然ながら可能である。
また、実施の形態4の半導体集積回路におけるレシーバセル23,25(図10,図11参照)に対応する構成を、実施の形態11のドライバセル16のように、4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタを用いて実現することも勿論可能である。
<実施の形態12>
図44はこの発明の実施の形態12であるSRAMメモリセルを含む半導体集積回路の構成を示す回路図である。同図に示すように、CMOS構成のインバータG3及びG5の交叉接続により、SRAMメモリセル19を構成している。
インバータG3は電源線Vdd,接地レベル線Vss間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP3(第1の第1種MOSトランジスタ)及びNMOSトランジスタQN3(第1の第2種MOSトランジスタ)により構成される。PMOSトランジスタQP3は第1ゲート電極EG31P及び第2ゲート電極EG32Pよりなる4端子駆動型ダブルゲート構造を呈しており、NMOSトランジスタQN3は第1ゲート電極EG31N及び第2ゲート電極EG32Nよりなる4端子駆動型ダブルゲート構造を呈している。
PMOSトランジスタQP3の第1ゲート電極EG31P及びNMOSトランジスタQN3の第1ゲート電極EG31Nが共通に接続されるノードN1がインバータG3の入力部となり、PMOSトランジスタQP3のドレインとNMOSトランジスタQN3とのドレインとの接続ノードであるノードN2がインバータG3の出力部となる。そして、PMOSトランジスタQP3の第2ゲート電極EG32Pが遅延部DP3を介して第1ゲート電極EG31Pに接続され、NMOSトランジスタQN3の第2ゲート電極EG32Nが遅延部DN3を介して第1ゲート電極EG31Nに接続される。
インバータG4は電源線Vdd,接地レベル線Vss間に直列に接続されたPMOSトランジスタQP4(第2の第1種MOSトランジスタ)及びNMOSトランジスタQN4(第2の第2種MOSトランジスタ)により構成される。PMOSトランジスタQP4は第1ゲート電極EG41P及び第2ゲート電極EG42Pよりなる4端子駆動型ダブルゲート構造を呈しており、NMOSトランジスタQN4は第1ゲート電極EG41N及び第2ゲート電極EG42Nよりなる4端子駆動型ダブルゲート構造を呈している。
PMOSトランジスタQP4の第1ゲート電極EG41P及びNMOSトランジスタQN4の第1ゲート電極EG41Nが共通に接続されるノードN3がインバータG4の入力部となり、PMOSトランジスタQP4のドレインとNMOSトランジスタQN4とのドレインとの接続ノードであるノードN4がインバータG4の出力部となる。そして、PMOSトランジスタQP4の第2ゲート電極EG42Pが遅延部DP4を介して第1ゲート電極EG41Pに接続され、NMOSトランジスタQN4の第2ゲート電極EG42Nが遅延部DN4を介して第1ゲート電極EG41Nに接続される。
SRAMメモリセル19のノードN2とビット線BL1との間にNMOSトランジスタQN5が介挿され、NMOSトランジスタQN5のゲート電極がワード線WL1に接続される。また、SRAMメモリセル19のノードN4とビット線BL2との間にNMOSトランジスタQN6が介挿され、NMOSトランジスタQN6のゲート電極がワード線WL2に接続される。
このように、SRAMメモリセル19を構成するインバータG3のPMOSトランジスタQP3は遅延部DP3を介して第1,第2ゲート電極EG31P,EG32P間が接続され、インバータG3のNMOSトランジスタQN3は遅延部DN3を介して第1,第2ゲート電極EG31N,EG32N間が接続される。
同様に、SRAMメモリセル19を構成するインバータG4のPMOSトランジスタQP4は遅延部DP4を介して第1,第2ゲート電極EG41P,EG42P間が接続され、インバータG4のNMOSトランジスタQN4は遅延部DN4を介して第1,第2ゲート電極EG41N,EG42N間が接続される。
従来の第2ゲート電極の電位を固定する4端子駆動型ダブルゲート構造のMOSトランジスタを用いたSRAMメモリセルの場合、PMOSトランジスタQP3及びQP4の第2ゲート電極EG32P及びEG42Pは電源Vddに固定され、NMOSトランジスタQN3及びQN4の第2ゲート電極EG32N及びEG42Nは接地レベルに固定されるのが一般的であった。
しかし、実施の形態12の半導体集積回路は、上述したように第1及び第2のゲート電極間を遅延部を介して接続している。このため、実施の形態12の半導体集積回路は、実施の形態7の半導体集積回路と同様、SRAMメモリセル19の記憶ノード(ノードN2,N4)のグリッチノイズ量を改善することができ、SRAMメモリセル19のデータ保持特性を向上させることができる。
また、実施の形態12の半導体集積回路は、実施の形態7の半導体集積回路と同様、アクセストランジスタ(QN5,QN6)のゲート電位を高めたり、アクセストランジスタのサイズ拡大をSRAMメモリセル19のデータ保持特性を悪化させることなく行えるため、メモリアクセスの高速化が実現できる効果を奏する。
11〜16 ドライバセル、21〜25 レシーバセル、30,D16,D41〜D43,D48,D51,D52,DN1〜DN4,DP1〜DP4 遅延部、40 セル、41〜43,43d,43p,48,81,82 電源遮断回路、G1〜G4 インバータ、Q41〜Q43,Q51,Q52,QN1〜QN4,QN11〜QN14,QN16,QN21〜QN24 NMOSトランジスタ、Q48,QP1〜QP4,QP11〜QP14,QP16,QP21〜QP25 PMOSトランジスタ、R1〜R4 抵抗。