JP5270412B2 - バルク弾性波装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧電体薄膜を挟んで電極膜が対向する励振部、圧電体薄膜の少なくとも一方の主面にIDT電極を設けた励振部又は圧電体薄膜の少なくとも一方の主面に主面に平行な方向に分離した電極膜を設けた構造体の電極膜の間にある励振部をキャビティによって支持基板から離隔させたバルク弾性波装置の製造方法に関する。
圧電体薄膜を挟んで電極膜が対向する励振部を備えるバルク弾性波装置は、特許文献1に示すように、支持基板の上に下部電極膜、圧電体薄膜及び上部電極膜をスパッタ蒸着、化学的気相蒸着等の付加加工により順次形成することにより製造されるのが一般的である。
しかし、特許文献1に示すバルク弾性波装置の製造方法では、圧電体薄膜を構成する圧電材料や圧電体薄膜における結晶方位は、下地となる下部電極膜の上に形成可能なものに限られる。すなわち、特許文献1に示すバルク弾性波装置の製造方法では、圧電体薄膜を構成する圧電材料や圧電体薄膜における結晶方位の選択の自由度が低く、所望の特性を有するバルク弾性波装置を製造することが困難な場合がある。
このことは、圧電体薄膜の少なくとも一方の主面にIDT電極を設けた励振部を備えるバルク弾性波装置においても同様である。すなわち、当該バルク弾性波装置においても、圧電体薄膜を構成する圧電材料や圧電体薄膜における結晶方位は、下地の上に形成可能なものに限られる。
この問題を解決するため、特許文献2は、圧電体基板を含む第1の板状構造体と支持基板を含む第2の板状構造体とを接合してから圧電体基板を除去加工することによりバルク弾性波装置を製造することを提案している。特許文献2に示すバルク弾性波装置の製造方法では、圧電体薄膜を構成する圧電材料や圧電体薄膜における結晶方位の選択の自由度が高く、所望の特性を有するバルク弾性波装置を製造することが容易である。
特開2000−69594号公報 特開2007−228319号公報
しかし、特許文献2に示すバルク弾性波装置の製造方法には、図37の断面図に示すように、除去加工のときにキャビティ906の上方にある圧電体薄膜926が湾曲し、除去加工後に圧電体薄膜926の膜厚が不均一になるという問題がある。このように圧電体薄膜の膜厚が不均一となると、励振部が複数の共振周波数で共振し、スプリアスの原因となる。
除去加工のときの圧電体薄膜の湾曲は、電極膜の膜厚が圧電体薄膜の膜厚と比較して無視できないため圧電体薄膜に大きな応力が生じること、除去加工により圧電体薄膜の膜厚が変化すると圧電体薄膜の膜厚と電極膜の膜厚との比が変化し当該応力の大きさが変化すること等の原因により生じる。圧電体薄膜の湾曲の程度は、圧電体薄膜の膜厚、電極膜の膜厚、キャビティの平面寸法等の要因によって変化するため、圧電体薄膜の膜厚の不均一の程度も、これらの要因によって変化する。
また、圧電体薄膜の湾曲は、除去加工の前に励振部に電極膜を設ける場合だけでなく、除去加工の後に電極膜を設ける場合や励振部に電極膜が設けられない場合でも起こることがある。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、圧電体薄膜の膜厚が不均一化になることを抑制することができるバルク弾性波装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、圧電体薄膜を挟んで電極膜が対向する励振部、圧電体薄膜の少なくとも一方の主面にIDT電極を設けた励振部又は圧電体薄膜の少なくとも一方の主面に主面に平行な方向に分離した電極膜を設けた構造体の電極膜の間にある励振部をキャビティによって支持基板から離隔させたバルク弾性波装置の製造方法であって、(a) 圧電体基板を含む第1の板状構造体において最終的に前記キャビティとなることが予定された3次元領域である予定領域を犠牲体で埋める工程と、(b) 前記工程(a)の後に前記第1の板状構造体と前記支持基板を含む第2の板状構造体とを接合する工程と(c) 前記第1の板状構造体と前記第2の板状構造体とを接合した状態を維持したまま前記圧電体基板を除去加工し前記圧電体薄膜にする工程と、(d) 前記圧電体基板を除去加工した後に前記犠牲体を除去する工程と、を備える。
また、請求項1の発明においては、前記工程(a)は、(a-1) バルク弾性波装置の製造の途上で前記第1の板状構造体に現れる面であって前記予定領域と接触する面の前記予定領域と接触する範囲に前記犠牲体を構成する材料で構成される犠牲体材料膜を前記予定領域が隙間なく埋まり前記予定領域と接触する面と垂直な方向にはみ出すように形成する工程と、(a-2) 前記工程(a-1)の後に前記犠牲体材料膜を形成した面に別の膜をさらに形成する工程と、(a-3) 前記予定領域の外部にはみ出して形成された前記犠牲体材料膜が除去されるまで前記犠牲体材料膜及び前記別の膜を研磨する工程と、を備える。
請求項1の発明によれば、圧電体基板を除去加工するときに犠牲体が圧電体薄膜の湾曲を抑制するので、圧電体薄膜の膜厚が不均一化になることを抑制することができる。
また、請求項1の発明によれば、内部が犠牲体で埋められた孔が露出している面を平坦にすることができる。
圧電薄膜共振子の製造方法に共通する事項を説明するフローチャートである。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第1実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第2実施形態に係る予定領域に犠牲体が形成された支持基板の作製方法を説明する断面図である。 第3実施形態に係る接合体の作製方法を説明する断面図である。 第3実施形態に係る接合体の作製方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第4実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 第5実施形態に係る圧電薄膜共振子の製造方法を説明する断面図である。 膜厚の不均一性の評価方法を説明する図である。 膜厚の不均一性の評価結果を説明する図である。 従来のバルク弾性波装置の製造方法の問題点を説明する断面図である。 第6実施形態に係るラム波装置の分解斜視図である。 第6実施形態に係るラム波装置の断面図である。 第6実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第6実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第6実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第6実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第6実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第6実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第7実施形態に係るラム波装置の断面図である。 第7実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第7実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第7実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第7実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第7実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第7実施形態に係るラム波装置の製造方法を説明する図である。 第8実施形態に係る圧電薄膜共振子の斜視図である。 第8実施形態に係る圧電薄膜共振子の断面図である。
<1 はじめに>
図1は、以下で説明する圧電薄膜共振子の製造方法に共通する事項を説明するフローチャートである。
図1に示すように、以下で説明する圧電薄膜共振子の製造方法では、圧電体基板を含む第1の板状構造体と支持基板を含む第2の板状構造体とを接合し(ステップS102)、第1の板状構造体と第2の板状構造体とを接合した状態を維持したまま圧電体基板を除去加工し圧電体薄膜にする(ステップS103)ことを経て、圧電体薄膜を挟んで電極膜が対向する励振部をキャビティによって支持基板から離隔させた圧電薄膜共振子(FBAR;Film Bulk Acoustic Resonator)を製造する。さらに、以下で説明する圧電薄膜共振子の製造方法では、圧電体基板を除去加工する前に最終的にキャビティとなることが予定された3次元領域(以下では、「予定領域」という)を犠牲体(犠牲層)で埋め(ステップS101)、圧電体基板を除去加工した後に犠牲体を除去する(ステップS104)。
「第1の板状構造体」は、圧電体基板のみから構成される場合もあるし、圧電体基板以外の構成要素を含んで構成される場合もある。「第2の板状構造体」も、支持基板のみから構成される場合もあるし、支持基板以外の構成要素を含んで構成される場合もある。
「除去加工」が研磨、研削等の場合に上述の製造方法を適用することができるのはもちろんであるが、ドライエッチング等の場合にも上述の製造方法を適用することができる。これは、圧電体薄膜が湾曲したまま圧電体薄膜をドライエッチングすると、エッチング種の飛来方向と圧電体薄膜の表面とがなす角が場所によって異なるので、エッチングレートも場所によって異なることになるからである。
なお、以下で説明する圧電薄膜共振子の構成と同様の構成及び圧電薄膜共振子の製造方法と同様の製造方法を他の種類のバルク弾性波装置、例えば、フィルタ、トラップ、デュプレクサ、トリプレクサ等において採用してもよい。ここでいう「バルク弾性波装置」とは、圧電体薄膜を挟んで電極膜が対向する単数又は複数の励振部又は圧電体薄膜の少なくとも一方の主面に主面に平行な方向に分離した電極膜を設けた構造体の電極膜の間にある励振部を備え、当該励振部において励振されたバルク弾性波が引き起こす共振現象に由来する電気的な応答を利用した装置全般を意味する。また、ここでいう「バルク弾性波装置」は、圧電体薄膜の少なくとも一方の主面にIDT電極を設けた単数又は複数の励振部を備え、当該励振部において励振されたラム波による電気的な応答を利用した装置も含む。
<2 第1実施形態>
<2−1 圧電薄膜共振子1の構成>
図2は、本発明の第1実施形態に係る圧電薄膜共振子1の構成を示す模式図である。図2は、圧電薄膜共振子1の断面図となっている。
図2に示すように、圧電薄膜共振子1は、下部電極膜108、圧電体薄膜116、上部電極膜118及びパッシベーション膜126を支持基板102で支持した構造を有している。圧電薄膜共振子1では、下部電極膜108の一部である下部励振電極110と上部電極膜118の一部である上部励振電極120とが圧電体薄膜116を挟んで対向する励振部128をキャビティ106によって支持基板102から離隔させている。圧電薄膜共振子1では、支持基板102の上面に露出する非貫通孔104の内部をキャビティ106として利用している。
{圧電体薄膜116}
圧電体薄膜116を構成する圧電材料は、特に制限されないが、水晶(SiO2)・ニオブ酸リチウム(LiNbO3)・タンタル酸リチウム(LiTaO3)・四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)・酸化亜鉛(ZnO)・ニオブ酸カリウム(KNbO3)・ランガサイト(La3Ga3SiO14)・窒化ガリウム(GaN)・窒化アルミニウム(AlN)等の粒界を含まない単結晶材料を選択することが望ましい。単結晶材料を選択すれば、圧電体薄膜116の電気機械結合係数や機械的品質係数を向上することができるからである。
圧電体薄膜116における結晶方位も、特に制限されないが、電気機械結合係数、圧電薄膜共振子1の共振周波数や反共振周波数等を考慮して決定する。
圧電体薄膜116は、概ね、キャビティ106が形成された2次元領域(以下では、「キャビティ領域」という)に形成され、その下面は下部励振電極110の上面と接し、その上面は上部励振電極120の下面と接している。「2次元領域」とは、圧電体薄膜116と平行な2次元的な広がりの中に占める領域のことを意味している。
{下部電極膜108及び上部電極膜118}
下部電極膜108及び上部電極膜118を構成する導電材料は、特に制限されないが、機械的損失を減らす観点からは、タングステン(W)・ルテニウム(Ru)・イリジウム(Ir)・モリブデン(Mo)等の音響インピーダンスが高い金属を選択することが望ましく、電気的損失を減らす観点からは、金(Au)等の電気抵抗が低い金属を選択することが望ましい。このため、下部励振電極110及び上部励振電極120の両方又は片方を前者のみで構成し、下部励振電極110及び上部励振電極120への給電経路となる下部配線電極112及び上部配線電極122の両方又は片方を前者と後者とを重ね合わせて構成することが望ましい。これにより、機械的損失及び電気的損失の両方を減らすことができるので、圧電薄膜共振子1の「Q」を向上することができる。なお、下部電極膜108及び上部電極膜118を異なる種類の導電材料で構成してもよい。
下部励振電極110は、概ね、キャビティ領域に形成され、その下面はキャビティ106によって支持基板102から離隔され、その上面は圧電体薄膜116の下面に接している。下部配線電極112は、概ね、キャビティ領域に隣接する2次元領域(以下では、「第1の配線領域」という)に形成され、その下面は支持基板102の上面と接し、その上面の少なくとも一部は露出している。上部励振電極120は、概ね、キャビティ領域に形成され、その下面は圧電体薄膜116の上面に接している。上部配線電極122は、概ね、キャビティ領域に隣接する2次元領域(以下では、「第2の配線領域」という)に形成され、その下面はパッシベーション膜126の上面に接している。図2では、上部配線電極122の上面は露出しているが、上部配線電極122の上面にさらにパッシベーション膜を形成してもよい。もちろん、第1の配線領域と第2の配線領域とは異なる2次元領域である。
{パッシベーション膜126}
パッシベーション膜126を構成する絶縁材料は、特に制限されないが、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)等を選択することが望ましい。
パッシベーション膜126は、概ね、キャビティ領域及び下部電極膜108が露出している2次元領域(以下では、「露出領域」という)以外の2次元領域に形成されている。パッシベーション膜126は、圧電薄膜共振子1を雰囲気中の水分等から保護する役割を果たしている。
{支持基板102}
支持基板102を構成する絶縁材料は、特に制限されないが、シリコン(Si)・ゲルマニウム(Ge)等のIV元素の単体、サファイア(Al2O3)・酸化マグネシウム(MgO)・酸化亜鉛(ZnO)等の単純酸化物、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等のホウ化物、タンタル酸リチウム(LiTaO3)・ニオブ酸リチウム(LiNbO3)・アルミン酸リチウム(LiAlO2)、ガリウム酸リチウム(LiGaO2)・スピネル(MgAl2O4)・アルミン酸タンタル酸ランタンストロンチウムリチウム((LaSr)(AlTa)O3)・ガリウム酸ネオジウム(NdGaO3)等の複合酸化物、シリコンゲルマニウム(SiGe)等のIV-IV族化合物、ガリウム砒素(GaAs)・窒化アルミニウム(AlN)・窒化ガリウム(GaN)・窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等のIII-IV族化合物等を選択することが望ましい。ただし、圧電薄膜共振子1では、支持基板102と下部電極膜108とが直接接触するので、支持基板102を構成する材料としてシリコンを選択する場合は、絶縁性が高い高抵抗シリコンを採用するか、絶縁膜となる酸化膜を表面に形成することが望ましい。
支持基板102の上面には、内部がキャビティ106として利用される非貫通孔104が露出している。なお、非貫通孔104に代えて、支持基板102の上面と下面とを貫通する貫通孔の内部をキャビティとして利用してもよい。貫通孔を形成するためには深堀反応性イオンエッチング(Deep RIE;Deep Reactive Ion Etching)等の深堀が可能な穿孔技術が必要となるが、貫通孔の穿孔は支持基板102の下面からも可能である。
{バイアホール138}
圧電/電歪薄膜共振子1には、外部からキャビティ106へ至るバイアホール138が形成されている。バイアホール138は、上面の側から穿孔したものであってもよいし、下面の側から穿孔したものであってもよい。もちろん、上面の側からバイアホール138を穿孔する場合は、励振される弾性波への影響が小さいキャビティ領域の端部の近傍にバイアホール138を穿孔することが望ましい。一方、下面の側からバイアホールを穿孔する場合は、深堀が必要であるものの、キャビティ領域の中央部にバイアホールを穿孔することもできる。
{バルク弾性波の励振}
圧電薄膜共振子1では、下部配線電極112及び上部配線電極122の間に励振信号が印加されると、当該励振信号に応じた電界が励振部128の圧電体薄膜116に印加され、励振部128の圧電体薄膜116にバルク弾性波が励振される。圧電薄膜共振子1において使用する振動モードは、厚み縦振動モード及び厚みすべり振動モードのいずれであってもよい。
<2−2 圧電薄膜共振子1の製造方法>
図3〜図12は、本発明の第1実施形態に係る圧電薄膜共振子1の製造方法を説明する模式図である。図3〜図12は、製造の途上の圧電薄膜共振子1の断面図となっている。以下で説明する圧電薄膜共振子1の製造方法においては、圧電体薄膜116以外の膜は、スパッタ蒸着、抵抗加熱蒸着等の周知の膜形成技術により形成することができる。
{板状構造体150の作製}
圧電薄膜共振子1の製造にあたっては、まず、図3に示すように、略平坦な上面及び下面を有する素材基板の上面をエッチングして非貫通孔104が露出する支持基板102を作製する。非貫通孔104の内部は、最終的にキャビティ106となることが予定された予定領域である。
続いて、図4に示すように、犠牲体140を構成する材料で構成される犠牲体材料膜142を非貫通孔104が露出している支持基板102の上面の全面に形成する。
犠牲体140を構成する材料は、特に制限されないが、液体又は気体の除去剤を作用させると除去される材料を選択する。例えば、フッ酸等のエッチング液やフッ素プラズマ等を含むエッチングガスを作用させると除去されるシリコン等の無機材料や水酸化テトラメチルアンモニウム等の現像液を作用させると除去されるジアゾナフトキノン/ノボラックレジスト等の有機材料を選択する。もちろん、犠牲体140を除去するときに犠牲体140以外の要素、すなわち、支持基板102、下部電極膜108、圧電体薄膜116、上部電極膜118、パッシベーション膜126等を除去したり損傷したりしてはならないので、除去剤、犠牲体140を構成する材料及び犠牲体140以外の要素を構成する材料の組み合わせには制約がある。すなわち、犠牲体140の除去剤に対する溶解性が、犠牲体140以外の要素、特に、バルク弾性波の励振に直接的に影響する下部電極膜108、圧電体薄膜116及び上部電極膜118の除去剤に対する溶解性よりも高くなるように除去剤及び材料を組み合わせる。また、材料の除去剤に対する溶解性に異方性がある場合は、方位や極性についても、犠牲体140の除去剤に対する溶解性が、犠牲体140以外の要素の除去剤に対する溶解性よりも高くなるように選択する。例えば、除去剤としてフッ酸、犠牲体140を構成する材料としてフッ酸に容易に溶解する酸化シリコンを選択した場合は、下部電極膜108及び上部電極膜118を構成する材料としてフッ酸にほとんど溶解しないタングステン・ルテニウム等、圧電体薄膜116を構成する材料としてフッ酸にほとんど溶解しないタンタル酸リチウム等、パッシベーション膜126を構成する材料としてフッ酸にほとんど溶解しない窒化シリコン等を選択する。圧電体薄膜116を構成する材料としてエッチングレートに異方性があるタンタル酸リチウムを選択する場合、例えば、主面のエッチングレートが遅い36°や47°回転Y板を薄膜化したものを使用する。「容易に溶解する」材料と「ほとんど溶解しない」材料との間には、エッチングレートで10倍以上の差があることが望ましい。
さらに続いて、図5に示すように、非貫通孔104の外部に形成された犠牲体材料膜142が除去されて支持基板102の上面が露出するまで犠牲体材料膜142を研磨する。これにより、予定領域が犠牲体140で埋められた支持基板102が作製される。
犠牲体材料膜142を形成するときには、非貫通孔104の内部が犠牲体材料膜142で隙間なく埋まるようにすることが望ましい。これにより、犠牲体材料膜142を研磨した後に犠牲体140の上面と支持基板102の上面とが略同一平面となるので、内部が犠牲体140で埋められた非貫通孔104が露出している支持基板102の上面を平坦にすることができる。このことは、後に形成する導電材料膜146と犠牲体140との間の間隙をなくし、板状構造体150の接合面を平坦にすることに寄与する。
なお、貫通孔の内部をキャビティとして利用する場合、支持基板102の下面の側から犠牲体を注入することもできるし、圧電体基板148と板状構造体150との接合の後であっても犠牲体を注入することもできる。
次に、図6に示すように、下部電極膜108を構成する材料で構成される導電材料膜146を支持基板102の上面の全面に形成する。これにより、支持基板102、犠牲体140及び導電材料膜146を含む板状構造体150が完成する。
{圧電体基板148と板状構造体150との接合}
板状構造体150を作製した後に、図7に示すように、圧電体基板148の下面と板状構造体150の上面とを接合し、接合体152を作製する。圧電体基板148及び板状構造体150の接合面はいずれも平坦であるので、接合は容易である。圧電体基板148と板状構造体150との接合は、特に制限されないが、表面活性化接合、接着剤接合、熱圧着接合、陽極接合、共晶結合等により行うことができる。
{圧電体基板148の除去加工}
圧電体基板148と板状構造体150とを接合した後に、図8に示すように、圧電体基板148と板状構造体150とを接合した状態を維持したまま圧電体基板148を除去加工し、単独で自重に耐えることができる板厚(例えば、50μm以上)を有する圧電体基板148を単独で自重に耐えることができない膜厚(例えば、10μm以下)まで薄くする。これにより、支持基板102の上面の全面を覆う圧電材料膜154が形成される。
圧電体基板148の除去加工は、切削、研削、研磨等の機械加工やエッチング等の化学加工により行う。ここで、複数の除去加工方法を組み合わせ、加工速度が速い除去加工方法から、加工対象に生じる加工変質が小さい除去加工方法へと除去加工方法を切り替えながら圧電体基板148を除去加工すれば、高い生産性を維持しながら、圧電体薄膜116の品質を向上し、圧電薄膜共振子1の特性を向上することができる。例えば、圧電体基板148を固定砥粒に接触させて削る研削及び圧電体基板148を遊離砥粒に接触させて削る研磨を順次行った後に、当該研磨によって圧電体基板148に生じた加工変質層を仕上げ研磨によって除去することが望ましい。このように予定領域を犠牲体140で埋めた後に圧電体基板148を除去加工すれば、犠牲体140が圧電材料膜154の上方及び下方への湾曲を抑制するので、圧電体薄膜116の膜厚が不均一となることを抑制することができる。
{下部電極膜108、圧電体薄膜116、上部電極膜118及びパッシベーション膜126の形成}
圧電体基板148を除去加工した後に、図9に示すように、圧電材料膜154の不要部分をドライエッチングで除去して圧電材料膜154をパターニングし、圧電体薄膜116を形成する。
続いて、図10に示すように、導電材料膜146の不要部分をエッチングで除去して導電材料膜146をパターニングし、下部電極膜108を形成する。
さらに続いて、図11に示すように、パッシベーション膜126を形成する。パッシベーション膜126は、パッシベーション膜126を形成しない領域をレジスト膜で保護し、当該レジスト膜の上に重ねて支持基板102の上面の全面を覆う絶縁材料膜を形成し、レジスト膜及びその上に重ねて形成した絶縁材料膜を除去することにより形成する。
次に、図12に示すように、上部電極膜118を形成する。上部電極膜118は、支持基板102の上面の全面を覆う導電材料膜を形成し、当該導電材料膜の不要部分をエッチングで除去して当該導電材料膜をパターニングすることにより形成する。
{犠牲体140の除去}
最後に、非貫通孔104の内部の犠牲体140を除去する。犠牲体140は、バイアホール138を穿孔し、犠牲体140の除去剤をバイアホール138から非貫通孔104の内部に導入して除去剤を犠牲体140に作用させることにより除去する。これにより、図2に示す圧電薄膜共振子1が完成する。
<3 第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に係る予定領域が犠牲体140で埋められた支持基板102(図5)に代えて採用することができる予定領域が犠牲体240で埋められた支持基板202に関する。図13は、第2実施形態に係る予定領域が犠牲体240で埋められた支持基板202の作製方法を説明する模式図である。図13は、作製の途上の圧電薄膜共振子の断面図となっている。
予定領域が犠牲体240で埋められた支持基板202の作製にあたっては、図13に示すように、略平坦な上面及び下面を有する素材基板を準備し、予定領域に存在する物質を改質して犠牲体240に転換する。ここでいう「改質」とは、組成、結晶構造、結晶状態、結晶方位、分極方向等を変化させることにより、除去剤を作用させたときの除去されやすさを改質されない部分よりも高くすることをいう。改質は、レーザ光、電子ビーム、イオンビーム等を予定領域に照射することにより行うことができる。レーザ光を照射することにより改質を行う場合、レーザ光の焦点を素材基板の上面と垂直な方向に変化させながら素材基板の上面をレーザ光で走査すれば、十分な厚さを有する犠牲体240を形成することができる。
第2実施形態に係る予定領域が犠牲体240で埋められた支持基板202は、第1実施形態に係る予定領域が犠牲体140で埋められた支持基板102と同様に圧電薄膜共振子の製造に使用することができる。
第2実施形態に係る予定領域が犠牲体240で埋められた支持基板202の作製方法によれば、少ない工程で予定領域を犠牲体240で埋めることができる。
<4 第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態に係る接合体152(図7)に代えて採用することができる接合体352に関する。図14〜図15は、第3実施形態に係る接合体352の作製方法を説明する模式図である。図14〜図15は、作製の途上の圧電薄膜共振子の断面図となっている。
接合体352の作製にあたっては、まず、図14に示すように、下部電極膜を構成する材料で構成される導電材料膜346を圧電体基板348の下面の全面に形成する。
続いて、図15に示すように、圧電体基板348及び導電材料膜346を含む板状構造体349の下面と支持基板302及び犠牲体340を含む板状構造体350の上面とを接合し、接合体352を作製する。
第3実施形態に係る接合体352は、第1実施形態に係る接合体152と同様に圧電薄膜共振子の製造に使用することができる。
第3実施形態は、圧電薄膜共振子の構成要素又はその前駆体(ここでは導電材料膜346)が、圧電体薄膜及び支持基板のいずれの側に付加されていてもよいことを意味している。
<5 第4実施形態>
<5−1 圧電薄膜共振子4の構成>
図16は、本発明の第4実施形態に係る圧電薄膜共振子4の構成を示す模式図である。図16は、圧電薄膜共振子4の断面図となっている。
図16に示すように、圧電薄膜共振子4は、下部電極膜408、圧電体薄膜416及び上部電極膜418を支持基板402及び支持膜430で支持した構造を有している。圧電薄膜共振子4では、下部電極膜408の一部である下部励振電極410と上部電極膜418の一部である上部励振電極420とが圧電体薄膜416を挟んで対向する励振部428をキャビティ406によって支持基板402から離隔させている。圧電薄膜共振子4では、支持基板402の上面及び下面は平坦になっており、支持膜430の上面と下面とを貫通する貫通孔404の内部をキャビティ406として利用している。
下部電極膜408、圧電体薄膜416、上部電極膜418及び支持基板402を構成する材料は、第1実施形態の場合と同様に選択することができ、圧電体薄膜406における結晶方位も第1実施形態の場合と同様に選択することができる。ただし、圧電薄膜共振子4では、支持基板402と下部電極膜408とが直接接触しないので、支持基板402を構成する絶縁材料に要求される絶縁性は第1実施形態に係る支持基板102の場合よりも低くなる。
圧電体薄膜416は、概ね、露出領域以外の2次元領域に形成され、その下面は下部励振電極410及び支持膜430の上面と接し、その上面は上部電極膜418の下面と接している。下部励振電極410は、概ね、キャビティ領域に形成され、その下面はキャビティ406によって支持基板402の上面から離隔され、その上面は圧電体薄膜416の下面に接している。下部励振電極410への給電経路となる下部配線電極412は、概ね、第1の配線領域に形成され、その下面は支持膜430の上面と接し、その上面の少なくとも一部は露出している。上部励振電極420は、概ね、キャビティ領域に形成され、その下面は圧電体薄膜416の上面に接している。上部励振電極420への給電経路となる上部配線電極422は、概ね、第2配線領域に形成され、その下面は圧電体薄膜416の上面に接している。図16では、上部配線電極422の上面は露出しているが、上部配線電極422の上面にさらにパッシベーション膜を形成してもよい。もちろん、第1の配線領域と第2の配線領域とは異なる2次元領域である。
支持膜430を構成する絶縁材料は、特に制限されないが、二酸化シリコンを選択することが望ましい。支持膜430は、概ね、キャビティ領域以外の2次元領域に形成され、その下面は支持基板402の上面に接し、その上面は下部電極膜408及び圧電体薄膜416の下面に接している。支持膜430は、励振部428を支持基板402から離隔させるスペーサの役割を果たしている。
圧電/電歪薄膜共振子4にも、外部からキャビティ406へ至るバイアホール438が形成されている。
圧電薄膜共振子4では、下部配線電極412及び上部配線電極422の間に励振信号が印加されると、当該励振信号に応じた電界が励振部428の圧電体薄膜416に印加され、励振部428の圧電体薄膜416にバルク弾性波が励振される。圧電薄膜共振子4において使用する振動モードは、厚み縦振動モード及び厚みすべり振動モードのいずれであってもよい。
<5−2 圧電薄膜共振子4の製造方法>
図17〜図24は、本発明の第4実施形態に係る圧電薄膜共振子4の製造方法を説明する模式図である。図17〜図24は、製造の途上の圧電薄膜共振子4の断面図となっている。以下で説明する圧電薄膜共振子4の製造方法においては、圧電体薄膜416以外の膜は、スパッタ蒸着、抵抗加熱蒸着等の周知の膜形成技術により形成することができる。
{板状構造体449の作製}
圧電薄膜共振子4の製造にあたっては、まず、図17に示すように、略平坦な上面及び下面を有する圧電体基板448の下面に下部電極膜412を形成する。下部電極膜412は、圧電体基板448の下面の全面を覆う導電材料膜を形成し、当該導電材料膜の不要部分をエッチングで除去して当該導電材料膜をパターニングすることにより形成する。
続いて、図18に示すように、犠牲体440を構成する材料で構成される犠牲体材料膜442をキャビティ406となることが予定された予定領域と接する下部電極膜412の下面の予定領域と接する範囲に形成し、予定領域を犠牲体材料膜442で隙間なく埋めるとともに、犠牲体材料膜442を下部電極膜412の下面と垂直な方向に予定領域からはみ出させる。犠牲体材料膜442は、全面を覆う膜の不要部分をエッチングで除去して当該膜をパターニングすることにより形成する。
犠牲体440を構成する材料は、第1実施形態の場合と同様に選択することができる。除去剤、犠牲体440を構成する材料及び犠牲体440以外を構成する材料の組み合わせに制約があることも第1実施形態の場合と同様である。
さらに続いて、図19に示すように、犠牲体材料膜442を形成した面の全面に支持膜430を構成する材料で構成される支持膜材料膜450をさらに形成する。
次に、図20に示すように、予定領域の外部にはみ出して形成された犠牲体材料膜406が除去されるまで犠牲体材料膜442及び支持膜材料膜450を研磨する。これにより、圧電体基板448、下部電極膜412、犠牲体440及び支持膜430を含み、予定領域が犠牲体440で埋められた板状構造体449が完成する。なお、支持材料膜450を樹脂のような流動性のある材料で構成した場合、研磨を省略してそのまま支持基板402と接合すれば足りる。
{板状構造体449と支持基板402との接合}
板状構造体449を作製した後に、図21に示すように、板状構造体449の下面と支持基板402の上面とを接合し、接合体452を作製する。板状構造体449と支持基板402との接合は、第1実施形態の場合と同様に行うことができる。
{圧電体基板448の除去加工}
板状構造体449と支持基板402とを接合した後に、図22に示すように、板状構造体449と支持基板402とを接合した状態を維持したまま圧電体基板448を除去加工する。これにより、支持基板102の上面の全面を覆う圧電材料膜454が形成される。圧電体基板448は、第1実施形態の場合と同様に除去加工することができる。このように予定領域を犠牲体440で埋めた後に圧電体基板448を除去加工すれば、犠牲体440が圧電材料膜454の上方及び下方への湾曲を抑制するので、圧電体薄膜416の膜厚が不均一となることを抑制することができる。
{圧電体薄膜416及び上部電極膜418の形成}
圧電体基板448を除去加工した後に、図23に示すように、上部電極膜418を形成する。上部電極膜148は、支持基板102の上面の全面を覆う導電材料膜を形成し、当該導電材料膜の不要部分をエッチングで除去して当該導電材料膜をパターニングすることにより形成する。
続いて、図24に示すように、圧電材料膜454の不要部分をドライエッチングで除去して圧電材料膜454をパターニングし、圧電体薄膜416を形成する。これにより、下部配線電極412が露出し、下部配線電極412への給電が可能になる。なお、圧電材料膜454にバイアホールを形成することにより、下部配線電極412への給電が可能になるようにしてもよい。
{犠牲体440の除去}
最後に、非貫通孔404の内部に形成された犠牲体440を除去する。犠牲体440は、第1実施形態の場合と同様に除去することができる。これにより、図16に示す圧電薄膜共振子4が完成する。
<6 第5実施形態>
<6−1 圧電薄膜共振子5の構成>
図25は、本発明の第5実施形態に係る圧電薄膜共振子5の構成を示す模式図である。図25は、圧電薄膜共振子5の断面図となっている。
図25に示すように、圧電薄膜共振子5は、下部電極膜508、圧電体薄膜516及び上部電極膜518を支持基板502で支持した構造を有している。圧電薄膜共振子5では、下部電極膜508の一部である下部励振電極510と上部電極膜518の一部である上部励振電極520とが圧電体薄膜516を挟んで対向する励振部528をキャビティ506によって支持基板502から離隔させている。圧電薄膜共振子5では、圧電体薄膜516の下面に露出する非貫通孔504の内部をキャビティ506として利用している。
下部電極膜508、圧電体薄膜516、上部電極膜518及び支持基板502を構成する材料は、第1実施形態の場合と同様に選択することができ、圧電体薄膜506における結晶方位も第1実施形態の場合と同様に選択することができる。
圧電体薄膜516は、概ね、支持基板102の上面の全面にわたって形成され、その下面は下部電極膜508及び支持基板502の上面と接し、その上面は上部電極膜518の下面と接している。下部励振電極510は、概ね、キャビティ領域に形成され、その下面はキャビティ506によって支持基板502の上面から離隔され、その上面は圧電体薄膜516の下面に接している。下部励振電極506への給電経路となる下部配線電極512は、概ね、第1の配線領域に形成され、その下面は支持基板502の上面と接し、その上面は圧電体薄膜516の下面と接している。上部励振電極520は、概ね、キャビティ領域に形成され、その下面は圧電体薄膜516の上面に接している。上部励振電極520への給電経路となる上部配線電極522は、概ね、第2の配線領域に形成され、その下面は圧電体薄膜516の上面に接している。図25では、上部配線電極522の上面は露出しているが、上部配線電極522の上面にさらにパッシベーション膜を形成してもよい。もちろん、第1の配線領域と第2の配線領域とは異なる2次元領域である。下部配線電極508への給電経路となる上部配線電極523は、概ね、第1の配線領域に形成され、その下面は圧電体薄膜516の上面と接し、その上面は露出している。圧電体薄膜516には、圧電体薄膜516の上面と下面とを貫通するコンタクトホール532が形成されており、コンタクトホール532の内部の導電体によって下部配線電極508と上部配線電極523とは導通している。
圧電/電歪薄膜共振子5にも、外部からキャビティ506へ至るバイアホール538が形成されている。
圧電薄膜共振子5では、上部配線電極522及び上部配線電極523の間に励振信号が印加されると、当該励振信号に応じた電界が励振部528の圧電体薄膜516に印加され、励振部528の圧電体薄膜516にバルク弾性波が励振される。圧電薄膜共振子5において使用する振動モードは、厚み縦振動モード及び厚みすべり振動モードのいずれであってもよい。
<6−2 圧電薄膜共振子5の製造方法>
図26〜図34は、本発明の第5実施形態に係る圧電薄膜共振子5の製造方法を説明する模式図である。図26〜図34は、製造の途上の圧電薄膜共振子5の断面図となっている。以下で説明する圧電薄膜共振子5の製造方法においては、圧電体薄膜516以外の膜は、スパッタ蒸着、抵抗加熱蒸着等の周知の膜形成技術により形成することができる。
{板状構造体549の作製}
圧電薄膜共振子5の製造にあたっては、まず、図26に示すように、略平坦な上面及び下面を有する素材基板の下面をエッチングし、下部電極膜508の膜厚と同じ深さの段差562を形成した圧電体基板560を作製する。
続いて、図27に示すように、圧電体基板560の下面をエッチングして非貫通孔568及び段差566が形成された圧電体基板564を作製する。
さらに続いて、図28に示すように、圧電体基板564の下面に下部電極膜512を形成する。下部電極膜512は、圧電体基板564の下面の全面を覆う導電材料膜を形成し、当該導電材料膜の不要部分をエッチングで除去して当該導電材料膜をパターニングすることにより形成する。非貫通孔504の内部は、最終的にキャビティ506となることが予定されている予定領域である。
次に、図29に示すように、犠牲体540を構成する材料で構成される犠牲体材料膜542を非貫通孔504が露出している圧電体基板564と下部電極膜512の積層体の下面の全面に形成する。犠牲体540を構成する材料は、第1実施形態の場合と同様に選択することができる。除去剤、犠牲体540を構成する材料及び犠牲体540以外を構成する材料の組み合わせに制約があることも第1実施形態の場合と同様である。
さらに続いて、図30に示すように、非貫通孔504の外部に形成された犠牲体材料膜542が除去されて圧電体基板564及び下部電極膜512の下面が露出するまで犠牲体材料膜542を研磨する。これにより、圧電体基板564、下部電極膜512及び犠牲体540を含み、予定領域が犠牲体540で埋められた板状構造体549が作製される。
{板状構造体549と支持基板502との接合}
板状構造体549を作製した後に、図31に示すように、板状構造体549の下面と支持基板502の上面とを接合し、接合体552を作製する。板状構造体549と支持基板502との接合は、第1実施形態の場合と同様に行うことができる。
{圧電体基板564の除去加工}
板状構造体549と支持基板502とを接合した後に、図32に示すように、板状構造体549と支持基板502とを接合した状態を維持したまま圧電体基板564を除去加工する。これにより、全面を覆う圧電材料膜554が形成される。圧電体基板564は、第1実施形態の場合と同様に除去加工することができる。このように予定領域を犠牲体540で埋めた後に圧電体基板549を除去加工すれば、犠牲体540が圧電材料膜554の上方及び下方への湾曲を抑制するので、圧電体薄膜516の膜厚が不均一となることを抑制することができる。
{圧電体薄膜516及び上部電極膜518の形成}
圧電体基板564を除去加工した後に、図33に示すように、上部励振電極520及び上部配線電極522を形成する。上部励振電極520及び上部配線電極522は、全面を覆う導電材料膜を形成し、当該導電材料膜の不要部分をエッチングで除去して当該導電材料膜をパターニングすることにより形成する。
続いて、図34に示すように、圧電材料膜554の不要部分をドライエッチングで除去してバイアホール532が形成された圧電体薄膜516を形成するとともに、上部配線電極523を形成する。なお、圧電材料膜554の不要部分をドライエッチングで除去してコンタクトホールを形成することにより、下部配線電極512への給電が可能になるようにしてもよい。
{犠牲体540の除去}
最後に、非貫通孔504の内部に形成された犠牲体540を除去する。犠牲体540は、第1実施形態の場合と同様に除去することができる。
これにより、図25に示す圧電薄膜共振子4が完成する。
<7 第6実施形態>
<7−1 ラム波装置602の構成>
図38及び図39は、第6実施形態のラム波装置602の模式図である。図38は、ラム波装置602の分解斜視図、図39は、ラム波装置602の断面図となっている。
図38及び図39に示すように、ラム波装置602は、積層体604を支持構造体622で支持した構造を有する。積層体604は、圧電体薄膜606と、圧電体薄膜606にラム波を励振するIDT電極608とを備える。支持構造体622は、支持基板624と、支持基板624と積層体604とを接合する支持膜626とを備える。支持膜626には、積層体604の励振部652を支持基板624から離隔させるキャビティ680が形成されている。IDT電極608は、キャビティ680が形成された領域(以下では、「キャビティ領域」という)の内部に設けられている。
{圧電体薄膜606}
圧電体薄膜606を構成する圧電材料は、特に制限されないが、水晶(SiO2)・ニオブ酸リチウム(LiNbO3)・タンタル酸リチウム(LiTaO3)・四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)・酸化亜鉛(ZnO)・ニオブ酸カリウム(KNbO3)・ランガサイト(La3Ga3SiO14)・窒化アルミニウム(AlN)・窒化ガリウム(GaN)等の単結晶から選択することが望ましい。圧電材料を単結晶から選択すれば、圧電体薄膜606の電気機械結合係数や機械的品質係数を向上することができるからである。
圧電体薄膜606は、支持基板624の全面を覆っている。
{IDT電極608}
IDT電極608を構成する導電材料は、特に制限されないが、アルミニウム(Al)・モリブデン(Mo)・タングステン(W)・金(Au)・白金(Pt)・銀(Ag)・銅(Cu)・チタン(Ti)・クロム(Cr)・ルテニウム(Ru)・バナジウム(V)・ニオブ(Nb)・タンタル(Ta)・ロジウム(Rh)・イリジウム(Ir)・ジルコニウム(Zr)・ハフニウム(Hf)・パラジウム(Pd)又はこれらを主成分とする合金から選択することが望ましく、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金から選択することが特に望ましい。
IDT電極608は、圧電体薄膜606の上面に設けられている。なお、IDT電極608を圧電体薄膜606の下面に設けてもよい。
IDT電極608は、圧電体薄膜606に電界を印加するとともに圧電体薄膜606の表面に生成した表面電荷を収集するフィンガー610とフィンガー610を接続するバスバー616とを備える。フィンガー610は、ラム波の伝播方向と垂直な方向に延在し、ラム波の伝播方向に等間隔で配列されている。バスバー616は、ラム波の伝播方向に延在している。フィンガー610には、一方の側の端部において第1のバスバー618に接続された第1のフィンガー612と他方の側の端部において第2のバスバー620に接続された第2のフィンガー614とがあり、第1のフィンガー612と第2のフィンガー614とは交互に配列されている。これにより、IDT電極608は、第1のバスバー616と第2のバスバー616との間に入力された信号に応じたラム波を送信するとともに、受信したラム波に応じた信号を第1のバスバー616と第2のバスバー616との間に出力する。
IDT電極608によって励振されたラム波は、キャビティ領域の端面で反射され、ラム波装置602は、圧電共振子として機能する。なお、IDT電極608をラム波の伝播方向の両側から反射器電極で挟んでもよい。また、ラム波装置602を複数の圧電共振子を組み合わせたフィルタ・デュプレクサ等として構成してもよいし、センサ等としてラム波装置602を構成してもよい。一般的に言って、「ラム波装置」とは、圧電体薄膜にラム波を励振し、当該ラム波による電気的な応答を利用する電子部品の全般を意味する。「ラム波」とは、伝播面内に変位成分をもつ縦波(L波:Longitudinal波)と横波(SV波:Shear Vertical波)の両者によって構成され、上面及び下面の境界条件により縦波と横波とが結合しながら伝播する波である。
{支持基板624}
支持基板624を構成する絶縁材料は、特に制限されないが、シリコン(Si)・ゲルマニウム(Ge)等のIV元素の単体、サファイア(Al2O3)・酸化マグネシウム(MgO)・酸化亜鉛(ZnO)等の単純酸化物、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等のホウ化物、タンタル酸リチウム(LiTaO3)・ニオブ酸リチウム(LiNbO3)・アルミン酸リチウム(LiAlO2)、ガリウム酸リチウム(LiGaO2)・スピネル(MgAl2O4)・アルミン酸タンタル酸ランタンストロンチウムリチウム((LaSr)(AlTa)O3)・ガリウム酸ネオジウム(NdGaO3)等の複合酸化物、シリコンゲルマニウム(SiG)等のIV-IV族化合物、ガリウム砒素GaAs)・窒化アルミニウム(AlN)・窒化ガリウム(GaN)・窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等のIII-IV族化合物等を選択することが望ましい。
{支持膜626}
支持膜626を構成する絶縁材料は、特に制限されないが、二酸化シリコンを選択することが望ましい。支持膜626は、概ね、キャビティ領域の外側に設けられ、その下面は支持基板624の上面に接し、その上面は圧電体薄膜606の下面に接している。支持膜626は、キャビティ領域において支持基板624から積層体604を離隔させるスペーサの役割を果たしている。
{バイアホール638}
ラム波装置602には、外部からキャビティ680へ至るバイアホール638が形成されている。バイアホール638は、上面の側から穿孔したものであってもよいし、下面の側から穿孔したものであってもよい。もちろん、上面の側からバイアホール638を穿孔する場合は、励振される弾性波への影響が小さいキャビティ領域の端部の近傍にバイアホール638を穿孔することが望ましい。一方、下面の側からバイアホールを穿孔する場合は、深堀が必要であるものの、キャビティ領域の中央部にバイアホールを穿孔することもできる。
<7−2 ラム波装置602の製造方法>
図40〜図45は、ラム波装置602の製造方法を説明する模式図である。図40〜図45は、製造の途上の仕掛品の断面図となっている。以下で説明するラム波装置602の製造方法においては、圧電体薄膜606以外の膜は、スパッタ蒸着、抵抗加熱蒸着等の周知の膜形成技術により形成することができる。
{板状構造体630の作製}
ラム波装置602の製造にあたっては、まず、図40に示すように、後述する犠牲体640を構成する材料で構成される犠牲体材料膜642をキャビティ680となることが予定された予定領域と接する圧電体基板632の下面の予定領域と接する範囲に形成し、予定領域を犠牲体材料膜642で隙間なく埋めるとともに、犠牲体材料膜642を圧電体基板632の下面と垂直な方向に予定領域からはみ出させる。犠牲体材料膜642は、全面を覆う膜の不要部部分をエッチングで除去して当該膜をパターニングすることにより形成する。
犠牲体640を構成する材料は、第1実施形態の場合と同様に選択することができる。除去剤、犠牲体640を構成する材料を構成する材料及び犠牲体640以外を構成する材料の組み合わせに制約があることも第1実施形態の場合と同様である。
さらに続いて、図41に示すように、犠牲体材料膜642を形成した面の全面に支持膜626を構成する材料で構成される支持膜材料膜650をさらに形成する。
次に、図42に示すように予定領域の外部にはみ出して形成された犠牲体材料膜642が除去されるまで犠牲体材料膜642及び支持材料膜650を研磨する。これにより、圧電体基板632、犠牲体640及び支持膜626を含み、予定領域が犠牲体640で埋められた板状構造体630が完成する。
{板状構造体630と支持基板624との接合}
板状構造体630を作製した後に、図43に示すように、板状構造体630の下面と支持基板624の上面とを接合する。板状構造体630と支持基板624との接合は、特に制限されないが、例えば、表面活性化接合・接着剤接合・熱圧着接合・陽極接合・共晶結合等により行う。
{圧電体基板632の除去加工}
板状構造体630と支持基板624とを接合した後に、図44に示すように、板状構造体630と支持基板624とを接合した状態を維持したまま圧電体基板632を除去加工し、単独で自重に耐えることができる板厚(例えば、50μm以上)を有する圧電体基板632を単独で自重に耐えることができない膜厚(例えば、10μm以下)まで薄くする。これにより、支持基板624の上面の全面を覆う圧電体薄膜606が形成される。
圧電体基板632は、第1実施形態の場合と同様に除去加工することができる。
{IDT電極608の形成}
圧電体基板632を除去加工した後に、図45に示すように、圧電体薄膜606の上面にIDT電極608を形成する。IDT電極608の形成は、圧電体薄膜606の上面の全面を覆う導電材料膜を形成し、当該導電材料膜の不要部分をエッチングで除去することにより行う。
{犠牲体640の除去}
最後に、非貫通孔644の内部に形成された犠牲体640を除去する。犠牲体640は、第1実施形態の場合と同様に除去することができる。これにより、図38及び図39に示すラム波装置602が完成する。
{その他}
IDT電極を圧電体薄膜606の下面に設ける場合は、犠牲体材料膜642及び支持膜626の形成に先立って圧電体基板632の下面にIDT電極を形成すればよい。
<8 第7実施形態>
<8−1 ラム波装置702の構成>
第7実施形態は、第6実施形態の支持構造体622に代えて支持構造体722で第6実施形態と同様に圧電体薄膜706及びIDT電極708を備える積層体704を支持したラム波装置702に関する。図46は、第7実施形態のラム波装置702の模式図である。図46は、ラム波装置702の断面図となっている。
図46に示すように、支持構造体722は、支持基板724を備えるが、支持膜を備えていない。支持基板724には、支持基板724から積層体704の励振部752を離隔させるキャビティ780が形成されている。ラム波装置702にも、外部からキャビティ780へ至るバイアホール738が形成されている。
<8−2 ラム波装置702の製造方法>
図47〜図52は、ラム波装置702の製造方法を説明する模式図である。図47〜図52は、製造の途上の仕掛品の断面図となっている。
{板状構造体730の作製}
ラム波装置702の製造にあたっては、まず、図47に示すように、素材基板の上面をエッチングして非貫通孔744が露出する支持基板724を作製する。非貫通孔744の内部は、最終的にキャビティ780となることが予定された予定領域である。
続いて、図48に示すように、後述する犠牲体740を構成する材料で構成される犠牲体材料膜742を非貫通孔744が露出している支持基板724の上面の全面に形成する。
犠牲体を構成する材料は、第1実施形態の場合と同様に選択することができる。除去剤、犠牲体740を構成する材料を構成する材料及び犠牲体740以外を構成する材料の組み合わせに制約があることも第1実施形態の場合と同様である。
さらに続いて、図49に示すように、非貫通孔744の外部に形成された犠牲体材料膜742が除去されて支持基板724の上面が露出するまで犠牲材料膜742を研磨する。これにより、支持基板724及び犠牲体740を含み、予定領域が犠牲体740で埋められた板状構造体730が完成する。
{圧電体基板732と板状構造体730との接合}
板状構造体730を作製した後に、図50に示すように、圧電体基板732の下面と板状構造体730の上面とを接合する。圧電体基板732と板状構造体730との接合は、第1実施形態の場合と同様に行う。
{圧電体基板732の除去加工}
圧電体基板732と板状構造体730とを接合した後に、図51に示すように、圧電体基板732と板状構造体730とを接合した状態を維持したまま圧電体基板732を除去加工し、圧電体薄膜706を得る。圧電体基板732の除去加工は、第1実施形態の場合と同様に行う。
{IDT電極708の形成}
圧電体基板732を除去加工した後に、図52に示すように、圧電体薄膜706の上面にIDT電極708を形成する。IDT電極708の形成は、第1実施形態の場合と同様に行う。
{犠牲体740の除去}
最後に、非貫通孔744の内部に形成された犠牲体740を除去する。犠牲体740は、第1実施形態の場合と同様に除去することができる。これにより、図46に示すラム波装置702が完成する。
{その他}
IDT電極を圧電体薄膜706の下面に設ける場合は、圧電体基板732と板状構造体724との接合に先立って圧電体基板732の下面にIDT電極を形成すればよい。
<9 第8実施形態>
<9−1 圧電薄膜共振子8の構成>
図53及び図54は、本発明の第8実施形態に係る圧電薄膜共振子8の構成を示す模式図である。図53は、圧電薄膜共振子8の斜視図、図54は、圧電薄膜共振子8の断面図となっている。
図53及び図54に示すように、圧電薄膜共振子8は、圧電体薄膜816及び上部電極膜818,819を支持基板802で支持した構造を有している。圧電薄膜共振子8では、又は圧電体薄膜816の上面8162に上面8162に平行な方向に分離した上部電極膜818,819を設けた構造体890の上部電極膜818,819の間にある電極のない励振部828をキャビティ806によって支持基板802から離隔させている。圧電薄膜共振子8では、支持基板802の上面に露出する非貫通孔804の内部をキャビティ806として利用している。圧電薄膜共振子8にも、外部からキャビティ806に至るバイアホール838が形成されている。なお、電極を圧電体薄膜816の下面に設けてもよい。
圧電体薄膜816、上部電極膜818,819及び支持基板802を構成する材料は、第7実施形態の場合と同様に選択することができ、圧電体薄膜806における結晶方位も第7実施形態の場合と同様に選択することができる。例えば、圧電体薄膜816は、タンタル酸リチウムの128°回転Y板を薄膜化したものである。
圧電薄膜共振子8では、上部電極膜818,819に励振信号が印加されると、当該励振信号に応じた電界が励振部828の圧電体薄膜816に主面に平行に印加され、励振部828の圧電体薄膜816にバルク弾性波が励振される。圧電薄膜共振子8において使用する振動モードは、厚みすべり振動モードである。この励振は、「平行電界励振」と呼ばれる。
圧電薄膜共振子8は、IDT電極608に代えて上部電極膜818,819を形成することを除いては、第6実施形態のラム波装置602と同様に製造される。
圧電薄膜共振子8は、励振部828の両側にある非励振部に上部電極膜818,819があり、励振部828には電極がない。したがって、圧電薄膜共振子8は、電極による振動エネルギーのロスがなく、「Q」を高くすることができる。
以下では、第4実施形態に係る圧電薄膜共振子4に関する実施例1〜4及びそれと対比される比較例1〜4について説明する。
実施例1〜4では、支持基板402及び圧電体薄膜416を構成する材料としてニオブ酸リチウム、下部電極膜408を構成する導電材料としてルテニウム、支持膜430を構成する絶縁材料として酸化シリコン、犠牲体440を構成する材料として窒化シリコンを使用して圧電薄膜共振子4を作製した。圧電薄膜共振子4の作製にあたっては、支持基板402及び圧電体基板448として、ニオブ酸リチウムの45°回転Y板を使用した。また、実施例1〜4では、圧電体薄膜415の膜厚を1μmとするとともに、キャビティ406の平面形状を正方形、キャビティ406の平面寸法を、それぞれ、40μm×40μm、60μm×60μm、80μm×80μm、100μm×100μmとした。
そして、圧電体基板448を除去加工した後の圧電材料膜454(図22)の膜厚の不均一性を評価した。ここで、膜厚の不均一性は、図35に示すように、キャビティ406の中心に位置する測定点Aにおける圧電材料膜454の膜厚TAとキャビティ406の端部から40μm離れた測定点Bにおける圧電材料膜454の膜厚TBとの差TB−TAにより評価した。その結果を図36に一覧にして示す。
一方、比較例1〜4では、それぞれ、予定領域を犠牲体440で埋めなかったことを除いては実施例1〜4の場合と同様に圧電薄膜共振子4と同様の構造を有する圧電薄膜共振子を作製し、圧電体基板を除去加工した後の圧電材料膜454の膜厚の不均一性を同様に評価した。その結果も図36に一覧にして示す。
図36に示すように、犠牲体440を用いることにより、差TB−TAは著しく小さくなっており、犠牲体440を用いることが、圧電体薄膜の膜厚が不均一化になることを抑制することがわかる。
この発明は詳細に説明されたが、上述した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。特に、第1実施形態〜第5実施形態及び第6実施形態〜第7実施形態並びに第8実施形態において説明したことを組み合わせて使用することは当然に予定されている。特に、第1実施形態〜第5実施形態の圧電薄膜共振子1〜5に関する事項を第6実施形態〜第7実施形態のラム波装置602,702又は第8実施形態の圧電薄膜共振子8に適用することは当然に予定されている。例えば、第5実施形態の圧電薄膜共振子5のように圧電体の側にキャビティを形成した構造をラム波装置又は第8実施形態の圧電薄膜共振子8において採用してもよい。この場合、電極が異なることを除いては、第5実施形態の場合と同様にしてラム波装置又は圧電薄膜共振子を製造することができる。また、第1実施形態の圧電薄膜共振子1のように支持膜にキャビティを形成した構造を第8実施形態の圧電薄膜共振子8において採用してもよい。
1,4,5 圧電薄膜共振子
102,202,302,402,502 支持基板
104,404,504,504 非貫通孔
106,406,506 キャビティ
108,408,508 下部電極膜
116,416,516 圧電体薄膜
118,418,518 上部電極膜
128,428,528 励振部
140,240,340,440,540 犠牲体
142,442,542 犠牲体材料膜
148,348,448,564 圧電体基板
150,349,350,449、549 板状構造体
450 支持膜材料膜
602,702 ラム波装置
608,708 IDT電極
624,724 支持基板
630,730 板状構造体
632,732 圧電体基板
640,740 犠牲体
642,742 犠牲体材料膜
644,744 非貫通孔
650 支持材料膜
652,752 励振部
680,780 キャビティ
8 圧電薄膜共振子
802 支持基板
806 キャビティ
816 圧電体薄膜
818,819 上部電極膜
828 励振部

Claims (1)

  1. 圧電体薄膜を挟んで電極膜が対向する励振部、圧電体薄膜の少なくとも一方の主面にIDT電極を設けた励振部又は圧電体薄膜の少なくとも一方の主面に主面に平行な方向に分離した電極膜を設けた構造体の電極膜の間にある励振部をキャビティによって支持基板から離隔させたバルク弾性波装置の製造方法であって、
    (a) 圧電体基板を含む第1の板状構造体において最終的に前記キャビティとなることが予定された3次元領域である予定領域を犠牲体で埋める工程と、
    (b) 前記工程(a)の後に前記第1の板状構造体と前記支持基板を含む第2の板状構造体とを接合する工程と
    (c) 前記第1の板状構造体と前記第2の板状構造体とを接合した状態を維持したまま前記圧電体基板を除去加工し前記圧電体薄膜にする工程と、
    (d) 前記圧電体基板を除去加工した後に前記犠牲体を除去する工程と、
    を備え
    前記工程(a)は、
    (a-1) バルク弾性波装置の製造の途上で前記第1の板状構造体に現れる面であって前記予定領域と接触する面の前記予定領域と接触する範囲に前記犠牲体を構成する材料で構成される犠牲体材料膜を前記予定領域が隙間なく埋まり前記予定領域と接触する面と垂直な方向にはみ出すように形成する工程と、
    (a-2) 前記工程(a-1)の後に前記犠牲体材料膜を形成した面に別の膜をさらに形成する工程と、
    (a-3) 前記予定領域の外部にはみ出して形成された前記犠牲体材料膜が除去されるまで前記犠牲体材料膜及び前記別の膜を研磨する工程と、
    を備えるバルク弾性波装置の製造方法。
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