JP5269631B2 - N2o排出抑制燃焼装置とn2o排出抑制方法 - Google Patents
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Description
N2Oは、窒素分を含む物質を低温で燃焼させたときに発生することが知られており、特に、窒素分を大量に含む石炭や汚泥、バイオマスなどを燃料とし、これらの燃料を低温で燃焼させる循環流動層燃焼装置では、排出されるN2O濃度が高く、その低減が課題となっていた。
このような変動を吸収するためには、N2Oの排出量に応じて、燃焼炉に供給する分解粒子の量を調整する必要があった。
このような燃焼装置は、タービンから安定した発電量を確保すべく、発生させる蒸気量は、一定量となるように制御される。
そのためには、この燃焼装置内を循環する循環粒子の量は、一定量であることが好ましく、特に、適正な燃焼状態を確保するために、燃焼炉に存在する、循環粒子を含む炉内粒子量は、一定量であることが好ましい。
分解粒子は、珪砂などの流動媒体と同様に、循環粒子として燃焼装置内を循環することになるため、この分解粒子を燃焼装置内に過剰に投入すると、循環粒子量のバランスが崩れ、安定した蒸気量を確保できなくなる。
図1は、本実施形態に係る燃焼装置の構成を示す概略図であり、図2は、本実施形態に係る燃焼装置におけるN2O排出抑制方法のフローチャートである。
この循環流動層燃焼装置は、窒素分を大量に含む石炭や汚泥を燃料とし、低温(例えば、600℃〜900℃)で燃焼することで、多くのN2Oを排出することが知られているが、排ガス中に含まれるN2O濃度を計測しつつ、N2Oを分解活性する適正量の分解粒子を燃焼炉に供給することで、効果的にN2Oの排出を抑制することができるようになっている。以下、本実施形態に係る循環流動層燃焼装置の構成について、図1を参照しつつ、説明する。
なお、図中の点線は、制御部10と各部・各装置との接続状態と、信号の流れを示している。
本実施形態の燃料としては、石炭のほか、重油、石油コークス、バイオマス、廃プラスチック、廃タイヤ、産業廃棄物、汚泥、スラッジなど様々な燃料を用いることができる。
また、脱硫剤としては、石灰石、生石灰、消石灰、ドロマイト、ライムケーキ、コンクリートスラッジ、貝殻、製紙スラッジなどのCa、Mgを含む物質を用いることができ、特にライムケーキが好ましい。
本実施形態の分解粒子としては、多孔質アルミナ、活性アルミナ、γ−アルミナ、活性ボーキサイトなどのアルミナ系粒子や、シリカゲルなどのシリカ系粒子、石灰石、ドロマイト、生コンクリートスラッジとこれらのスラッジケーキ、ライムケーキ、コンクリート等のカルシウム系粒子、活性白土、ゼオライト、セピオライト、流動接触分解(FCC)触媒等の粘土鉱物系粒子とこれらを含む廃棄物を用いることができ、また、分解粒子の粒子径は、0.001mm〜5mm程度が好ましい。
また、供給装置3bは、シュート、ゲート、ロータリーフィーダー、ロスチェーンフィーダー、ロックホッパーなどの重力式供給装置や、ベルトフィーダー、スクリューフィーダー、チェーンフィーダー、エプロンフィーダー、テーブルフィーダーなどの機械式供給装置や、バイブレーティングフィーダー、シェーキングフィーダーなどの振動式供給装置や、ブロータンク、エジェクター、エアスライドなどの流動化式供給装置を用いることができる。
また、分解粒子の貯留は、ホッパーに限られず、バンカー、サイロ、ビンなどの容器に貯留することもできる。
圧力計4aは、燃焼炉4下部の圧力を計測し、圧力計4bは、燃焼炉4上部の圧力を計測する。燃焼炉4に存在する循環粒子を含む炉内粒子量は、計測された圧力の差から算出可能な重量であるため、本実施形態では、この燃焼炉4内の差圧を、炉内粒子量として扱い、制御部10において監視する。
集塵器7は、燃焼ガスから灰を除去し、ダクト8は、排ガスを排出する。
N2O濃度計8aとしては、化学発光法、又は非分散赤外吸収法による連続測定装置を用いることが好ましい。
熱交換器6aは、外部から流入される循環水と、燃焼炉4内の空気及び炉内粒子との間で熱交換を行い、外部熱交換器6bは、外部から流入される循環水と循環粒子との間で熱交換を行う。
これらにより、循環水を加熱・沸騰させて、図示しないボイラ装置から蒸気を発生させることができる。
ここで、炉内粒子とは、ある時点において、燃焼炉4に存在する粒子をいう。燃焼炉4に存在する粒子には、循環粒子とならず、そのまま滞留している粒子も存在する。そのため、この滞留している粒子と、循環粒子のうち、この時点において燃焼炉4に存在する循環粒子とを合わせて炉内粒子というものとする。
そして、この抜出部9において、抜出される炉内粒子の量は、制御部10により制御される。
また、抜出部9は、抜出した炉内粒子から分解粒子を抽出し、抽出した分解粒子を燃焼炉4に戻す分級装置9aを備えている(抽出・再供給手段)。
分級装置9aとしては、分解粒子が分級可能な目合いを有するふるい分け分級装置、自然沈降式分級装置、サイクロンやエアセパレータなどの乾式分級装置、液体サイクロンやハイドロセパレータなどの湿式分級装置を用いることができる。
例えば、ふるい分け分級装置を用いて分解粒子を抽出する場合には、目合いの異なる2種類のふるいを用い、一つのふるいの目合いを分解粒子の最小粒子径とし、もう一つのふるいの目合いを分解粒子の最大粒子径としておき、抜出した炉内粒子を2種類のふるいにかけることで、分解粒子の最小粒子径より大きく、かつ、最大粒子径より小さい粒子を分解粒子として簡単に抽出できる。
そして、抽出されたすべて又は一部の分解粒子を、再び燃焼炉4に戻す。
このように分級装置9aを備えることで、分解粒子量を減少させることなく、炉内粒子量を減量させることができるため、炉内粒子のうちの分解粒子の割合を増加させることができ、燃焼装置内に残存する分解粒子によって、N2Oの排出を効果的に抑制できる。
なお、抽出した分解粒子を燃焼炉4に戻す場合の供給装置としては、前述の供給装置3bと同様な供給装置を用いることができる。
N2Oの排出を抑制する制御について、以下に詳述する。
制御部10は、N2O濃度(例えば、0〜500ppm)を監視し、所定の管理値(例えば、100ppm)と比較して、N2O濃度がこの管理値を超えるか否かによって、供給装置3bを制御して、供給する分解粒子量を増減させる。
例えば、N2O濃度がこの管理値を超えた場合には、制御部10は、供給する分解粒子量を増加するように供給装置3bを制御する。その結果、N2O濃度が管理値以内となったときには、供給する分解粒子量を減少させる。
このように、N2O濃度を監視しつつ、供給する分解粒子量を増減することで、過不足のない適正量の分解粒子により、N2Oの排出を効果的に抑制できる。
具体的には、N2O濃度が所定の管理値を超えているにもかかわらず、炉内粒子量が上限値(例えば、2.5kPa)を超えているときには、以下のような制御を行う。
このとき、分級装置9aの制御と並行して、または、単独で供給装置3bを制御して、分解粒子量を増加させることもできる。この場合には、供給装置3bの制御により、特に分解活性能の高い新たな分解粒子が供給されることから、効率よく炉内粒子量を減量しつつ、N2Oの排出を抑制できる。このような制御は、特に、炉内粒子量が上限値を大きく超えていると同時に、N2O濃度が管理値を大きく超えているような場合に、効果的である。
以下に示すN2O排出抑制方法は、制御部10の所定の記憶手段に記憶されたプログラムに従い、制御部10の中央演算処理装置(CPU)が、燃焼装置各部からの入力に基づき、燃焼装置各部を制御することで行われる。
まず、制御部10は、燃焼炉4内の炉内粒子量を、例えば、圧力計4aと圧力計4bとの差圧を炉内粒子量として計測し(S10)、さらに、排ガス中のN2O濃度を計測する(S11)。なお、制御部10は、この炉内粒子量とN2O濃度を常時監視しているものとする。
そして、制御部10は、炉内粒子量が上限値を超えているか否かを判定し(S12)、炉内粒子量が上限値を超えている場合には(S12−YES)、抜出部9を制御して、炉内粒子を抜出し(S13)、分級装置9aを制御して、抜出した炉内粒子の中から、分解粒子を抽出し、抽出した全ての分解粒子、又はその一部を燃焼炉4に再供給する(S14)。
そして、制御部10は、炉内粒子量が下限値になったか否かを判定し(S15)、炉内粒子量が下限値でない場合には(S15−NO)、さらに炉内粒子量を抜出して、上記の処理を繰り返す(S13)。
このように下限値になるまで、炉内粒子量が抜出されるとともに、分解粒子が抽出され、燃焼炉4に再供給されることで、燃焼状態と蒸気発生量の安定化を図りつつ、燃焼装置内に残存する分解粒子を有効に利用して、N2Oの排出を効率よく抑制することができる。
N2O濃度が管理値以内でなければ(S16−NO)、制御部10は、供給装置3bを制御して、分解活性能の高い新たな分解粒子の供給量を増加する(S17)。これにより、分解活性能の弱まった残存する分解粒子の抽出・再供給だけで、N2O濃度が管理値以内におさまらないような場合でも、新たな分解粒子を供給することで、N2Oの排出を確実に抑制できる。
その後、炉内粒子量を監視しつつ、N2O濃度が管理値以内となるまで、上記の処理を繰り返す(S12)。
一方、N2O濃度が管理値以内のときは、制御部10は、処理を終了する(S16−YES)。
これにより、分解粒子を過剰に供給することなく、計測されたN2O濃度に見合う適正量の分解粒子の供給によって、N2O濃度を管理値以内におさめることができる。
そして、本実施形態のN2O排出抑制方法によれば、炉内粒子量を監視しつつ、N2Oの排出を抑えることができるため、安定した燃焼及び蒸気発生量を確保しつつ、N2Oの排出を効率よく抑制することができる。
なお、この循環流動層燃焼装置には、燃焼炉4から炉内粒子量の一部を抜出す抜出部9などの燃焼装置内から炉内粒子量を減量させる減量手段が、少なくとも設置されていることを前提としている。
そして、炉内粒子量が上限値を超えているか否かを判定し(S22)、炉内粒子量が上限値を超えている場合には(S22−YES)、抜出部9や他の減量手段によって、炉内粒子量を減量させる(S23)。その結果、炉内粒子量が下限値になったか否かを判定し(S24)、炉内粒子量が下限値でない場合には(S24−NO)、さらに循環粒子量を減量させる、上記の処理を繰り返す(S23)。
N2O濃度が管理値以内でなければ(S25−NO)、制御部10は、供給装置3bを制御して、分解粒子の供給量を増加する(S26)。その後、炉内粒子量を監視しつつ、N2O濃度が管理値以内となるまで、上記の処理を繰り返す(S22)。そして、N2O濃度が管理値以内になったときは、処理を終了する(S25−YES)。
これにより、分解粒子を過剰に供給することなく、計測されたN2O濃度に見合う適正量の分解粒子の供給によって、N2O濃度を管理値以内におさめることができる。
そして、このようなN2O排出抑制方法によっても、炉内粒子量を監視しつつ、N2Oの排出を抑えることができるため、安定した燃焼及び蒸気発生量を確保しつつ、N2Oの排出を効率よく抑制することができる。
まず、制御部10は、燃焼炉4内の炉内粒子量を計測し(S30)、さらに、排ガス中のN2O濃度を計測する(S31)。
そして、炉内粒子量が上限値を超えているか否かを判定し(S32)、炉内粒子量が上限値を超えている場合には(S32−YES)、分解粒子の供給量を増加することができないため、処理を終了する。
一方、炉内粒子量が上限値を超えていない場合には(S32−NO)、N2O濃度が管理値以内か否かの判定を行う(S33)。
そして、N2O濃度が管理値以内でなければ(S33−NO)、制御部10は、供給装置3bを制御して、分解粒子の供給量を増加する(S34)。その後、炉内粒子量を監視しつつ、N2O濃度が管理値以内となるまで、上記の処理を繰り返す(S32)。その結果、N2O濃度が管理値以内になれば、処理を終了する(S33−YES)。
これにより、分解粒子を過剰に供給することなく、計測されたN2O濃度に見合う適正量の分解粒子の供給によって、N2O濃度を管理値以内におさめることができる。
このように減量手段が設けられない場合であっても、炉内粒子量を監視しつつ、N2Oの排出を抑えることができるため、安定した燃焼及び蒸気発生量の確保と、N2O排出抑制との両立を図ることができる。
また、分解粒子を供給する場所は、燃焼炉4に限られず、サイクロン5、熱交換器6、ループシール、フルオーシールなどの粒子循環機器、及びこれらをつなぐ配管などの燃焼ガスと分解粒子とが接触可能ないずれの場所から供給してもよい。
2 燃料供給部
3 分解粒子供給部
4 燃焼炉
5 サイクロン
6 熱交換器
7 集塵器
8 ダクト
8a N2O濃度計
9 抜出部(減量手段)
9a 分級装置(抽出手段)
10 制御部(制御手段)
Claims (6)
- 窒素分を含む所定の燃料を燃焼させたときに発生するN2Oの排出を抑制し、前記燃料と所定の流動媒体とを流動化させて燃焼するとともに、燃焼物から捕集した循環粒子を前記燃焼炉内に戻す循環流動層燃焼装置であって、
N2Oを分解する分解粒子を当該装置内に供給する供給手段と、
排ガス中に含まれるN2O濃度を計測する濃度計測手段と、
前記燃焼炉内に存在する、前記循環粒子を含む炉内粒子量を計測する粒子量計測手段と、
計測された前記N2O濃度を所定の管理値と比較し、この比較結果に基づき、前記分解粒子の供給量を調整するとともに、計測された前記炉内粒子量を所定の制限値と比較し、この比較結果に基づき、前記分解粒子の供給量を調整する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
N 2 O濃度が所定の管理値を超えている場合において、前記炉内粒子量が所定の制限値としての上限値を超えていないときに限り、前記分解粒子の供給量を増加させる
ことを特徴とするN2O排出抑制燃焼装置。 - 前記循環粒子量を減量させる減量手段を備え、
前記制御手段は、計測された前記炉内粒子量を所定の制限値と比較し、この比較結果に基づき、前記減量手段を制御して、前記循環粒子量を減量させ、
前記炉内粒子量が前記上限値を超えているときには、N 2 O濃度が所定の管理値を超えているか否かにかかわらず、前記炉内粒子量を減量させる請求項1記載のN2O排出抑制燃焼装置。 - 前記減量手段として、前記燃焼炉内から前記炉内粒子を抜出す抜出手段を備え、
前記制御手段は、計測された前記炉内粒子量を所定の制限値と比較し、この比較結果に基づき、前記抜出手段を制御して、前記炉内粒子の抜出量を調整し、
前記炉内粒子量が前記上限値を超えているときには、N 2 O濃度が所定の管理値を超えているか否かにかかわらず、前記炉内粒子を抜出させる請求項2記載のN2O排出抑制燃焼装置。 - 抜出された前記炉内粒子から前記分解粒子を抽出する抽出手段と、抽出された前記分解粒子を前記燃焼炉に再供給する再供給手段と、を備え、
前記制御手段は、前記炉内粒子量が前記上限値を超えているときには、N 2 O濃度が所定の管理値を超えているか否かにかかわらず、前記炉内粒子を抜出させるとともに、前記抽出手段及び再供給手段を制御して、抜出された炉内粒子から抽出される分解粒子を前記燃焼炉に再供給させる請求項3記載のN2O排出抑制燃焼装置。 - 前記抽出手段は、抜出された前記炉内粒子を分級して、前記分解粒子を抽出する請求項4記載のN2O排出抑制燃焼装置。
- 窒素分を含む所定の燃料を燃焼させたときにN2Oが発生し、前記燃料と所定の流動媒体とを燃焼炉内で流動化させて燃焼するとともに、燃焼物から捕集した循環粒子を燃焼炉内に戻す循環流動層燃焼装置に、N2Oを分解する分解粒子を供給して、N2Oの排出を抑制するN2O排出抑制方法であって、
排ガス中に含まれるN2O濃度を計測するステップと、
計測された前記N2O濃度を所定の管理値と比較し、この比較結果に基づき、前記分解粒子の供給量を調整するステップと、
前記燃焼炉内に存在する、前記循環粒子を含む炉内粒子量を計測するステップと、
計測された前記炉内粒子量を所定の制限値と比較し、この比較結果に基づき、前記分解粒子の供給量を調整するステップと、を含み、
前記計測された前記N 2 O濃度を所定の管理値と比較し、この比較結果に基づき、前記分解粒子の供給量を調整するステップでは、
N 2 O濃度が所定の管理値を超えている場合において、前記炉内粒子量が所定の制限値としての上限値を超えていないときに限り、前記分解粒子の供給量を増加させる
ことを特徴とするN2O排出抑制方法。
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