JPH10238713A - 加圧流動層ボイラおよびその運転方法 - Google Patents

加圧流動層ボイラおよびその運転方法

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JPH10238713A
JPH10238713A JP4057697A JP4057697A JPH10238713A JP H10238713 A JPH10238713 A JP H10238713A JP 4057697 A JP4057697 A JP 4057697A JP 4057697 A JP4057697 A JP 4057697A JP H10238713 A JPH10238713 A JP H10238713A
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fluidized
limestone
medium
furnace
fluidized bed
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JP4057697A
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Mamoru Mizumoto
守 水本
Yasuo Yoshii
泰雄 吉井
Toru Inada
徹 稲田
Tomohiko Miyamoto
知彦 宮本
Jinichi Tomuro
仁一 戸室
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Hitachi Ltd
Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低ランニングコストで、SOx漏洩濃度が上昇
することなく、かつ脱硫剤の脱硫性能を回復させること
ができる加圧流動層ボイラおよびその運転方法を提供す
る。 【解決手段】負荷の変化に応じて流動媒体を流動層火炉
11から抜き出し流動媒体貯蔵設備95へ送る系統と、
流動媒体貯蔵設備95から流動層火炉11へ流動媒体を
供給する系統とを備えた加圧流動層ボイラにおいて、前
記系統に、系統内を流通する媒体の循環方向を負荷調整
時とは逆転させた方向に運転可能とする設備を設けるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加圧流動層ボイラお
よびその運転方法に係り、特に炉内脱硫における脱硫剤
の性能低下を火炉からの硫黄酸化物(SOx)漏洩濃度
の上昇に先行して事前に検出する手段および火炉からの
SOx漏洩濃度を低減させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に採用されているこの種の加圧
流動層ボイラは、9気圧程度の圧力下で流動層を形成さ
せ、そこで石炭を燃焼させ生成した高圧の燃焼ガスを用
いてガスタービンを駆動させる高効率発電システムであ
る。
【0003】流動層の流動媒体として石灰石を使用し、
この石灰石に燃焼により生成した硫黄酸化物(SOx)
を吸収させ、石膏(CaSO4)としてこれを燃焼排ガス
中から分離除去する方法(炉内脱硫法)が採用されてい
る。この方法を採用することにより、煙道の後流側に排
煙脱硫装置を設置する必要がなく、発電プラントのコン
パクト化、低コスト化につながる。
【0004】加圧流動層ボイラの運転においては、脱硫
剤である石灰石は流動層を形成させるための流動媒体と
してあらかじめ流動層内に一定量充填される。これを以
下流動媒体石灰石と称する。運転の開始とともに、燃料
である石炭に対して一定量の割合で石灰石は炉内に供給
される。これを以下供給石灰石と称する。この時供給石
灰石の量は、石炭中に含まれる硫黄分の量に応じて変化
し、供給される石灰石と硫黄の量の比をモル比で表わし
てこれをCa/S比と称する。
【0005】流動層内での石灰石の挙動を、流動媒体石
灰石と供給石灰石に分けて追跡して見ると、図3に示す
ように流動媒体石灰石と供給石灰石はいずれも、一部が
燃焼により生成したSOxと反応して石膏を生成し、一
部は粒子間および伝熱管および炉壁との接触により摩耗
して微粉化し燃焼ガスとともに飛散する。供給された石
灰石の残部は流動層内に残り、流動媒体石灰石が摩耗に
より損耗した部分を補充する。
【0006】飛散する石灰石および石膏の量と供給石灰
石の量のバランスが崩れると炉内に残る流動媒体の量が
変化し層高が変化するため、層高が低下する時には流動
媒体石灰石を補充し、逆に層高が上昇する時には流動媒
体石灰石を抜き出す必要がある。
【0007】通常は石灰石はCa/S比が2ないし4程
度の比率で燃料中に添加され、脱硫率として90%以上
の値を達成するよう計画されている。しかし、時として
石灰石の脱硫性能の低下により炉内脱硫率が低下して火
炉出口のSOx濃度が上昇する場合がある。前述したよ
うに火炉の後流側には脱硫装置がないため、火炉から流
出するSOx濃度が上昇するとSOxを含むガスはその
まま煙突から排出される。
【0008】このような状況を避けるため脱硫率が低下
すると、一般にはCa/S比を上げるか、あるいは,例
えば特開平8−68505号公報に記載されているよう
に、流動層の温度を上げる等の対策を講じて系外に排出
されるSOx濃度を低下させる方法がとられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの方法は
SOx濃度が上昇した時点での対症療法であり、根本的
な解決にはならない。したがって一旦SOx濃度が上昇
して上記の処置を講じた場合は運転が終了するまでこれ
を継続する必要がある。Ca/S比を上昇させたまま運
転を継続することは大幅なランニングコストの上昇につ
ながる。
【0010】また流動層の温度の上昇は炉の内部の材料
の寿命を低下させる。さらに従来の方法では、火炉出口
あるいは煙突入口のSOx濃度の上昇を検知して上述の
様な対策を講じるため、対策が効果を発揮するまではS
Ox濃度の上昇は継続することになる。
【0011】本発明はこれに鑑みなされたもので、その
目的とするところは、低ランニングコストで、SOx漏
洩濃度が上昇することなく、かつ脱硫剤の脱硫性能を回
復させることができるこの種の加圧流動層ボイラおよび
その運転方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、負荷
の変化に応じて流動媒体を流動層火炉から抜き出し流動
媒体貯蔵設備へ送る系統と、流動媒体貯蔵設備から流動
層火炉へ流動媒体を供給する系統とを備えた加圧流動層
ボイラにおいて、前記系統に、系統内を流通する媒体の
循環方向を負荷調整時とは逆転させた方向に運転可能と
する設備を設けるようになし所期の目的を達成するよう
にしたものである。
【0013】また本発明は、負荷の変化に応じて流動媒
体を流動層火炉から抜き出し流動媒体貯蔵設備へ送る系
統と流動媒体貯蔵設備から流動層火炉へ流動媒体を供給
する系統を備えた加圧流動層ボイラの運転方法におい
て、流動層火炉から飛散する灰の単位時間当りの重量、
カルシウムの組成および平均粒径のいずれかの値が、運
転開始の初期値に対して一定の幅以上に変化した時に、
前記系統の流動媒体の循環方向を負荷調整時とは逆転さ
せた方向に運転し、流動層火炉内の媒体を置換するよう
にしたものである。
【0014】また、負荷の変化に応じて流動媒体を流動
層火炉から抜き出し流動媒体貯蔵設備へ送る系統と流動
媒体貯蔵設備から流動層火炉へ流動媒体を供給する系統
を備えた加圧流動層ボイラの運転方法において、流動層
火炉から飛散する灰の単位時間当りの重量、カルシウム
の組成および平均粒径いずれかの値が、運転開始の初期
値に対して一定の幅以上に変化した時に、流動層火炉の
燃焼の空気比を上昇させるようにしたものである。
【0015】すなわち、加圧流動層ボイラにおいて、石
灰石の脱硫反応は一般には次式のように石灰石とSO2
が直接反応するとされている(例えば、K.Iisa, M.Hup
a, "Sulphur Absorption by Limestone at Pressurized
Fluidized Bed Conditions",23rd Symposium (Interna
tional) Combustion, (1990), pp.943-948)。
【0016】
【化1】 CaCO3+SO2+1/2 O2⇒CaSO4+CO2 …(1) 流動層内での脱硫反応の活性は、通常は流動層火炉出口
でのSOx濃度を測定し、燃料として投入する石炭中の
イオウ分の量と、投入石炭量から計算される生成SOx
濃度の比から計算される。したがって火炉出口でSOx
濃度が0ppmである限り脱硫率は100%であること
になる。しかし脱硫剤の性能劣化は進行しており、ある
限界を越えた時点で火炉出口でのSOx濃度が0ppm
以上の値を示し、脱硫率の低化が始まる。この変化は火
炉出口でのSOx濃度の測定だけでは検知することが不
可能であり、脱硫剤そのものの変化を調べる必要があ
る。
【0017】そこで、燃焼試験中の火炉内における石灰
石の脱硫反応速度に及ぼす温度および圧力等の条件の影
響、および石灰石の作動状態およびその経時変化につい
て調べ、そのときの飛散灰の性状との相関について検討
した。
【0018】まず火炉出口におけるSOx濃度の経時変
化を調べた結果を図4にを示す。運転期間の中間を過ぎ
たあたりからSOx濃度の上昇が始まっている。この原
因を探るために、運転時間が経過して脱硫性能が低下し
た時点で、流動層内から石灰石を採取し、石灰石の断面
方向の形態変化を調べた。それによると、運転時間が経
過して脱硫性能が低下した状態での石灰石の表面には石
膏と石炭灰を含む被膜が生成していることがわかった。
【0019】図5に示すように石灰石粒子の表面に厚さ
30μm程度の厚さで、イオウ(S)とケイ素(Si)
を含む層が生成していることがわかる。イオウは石膏
に、ケイ素は石炭の灰に由来する成分で、火炉内での流
動により脱硫反応生成物と燃焼生成物が付着しているこ
とになる。
【0020】これに対して、脱硫性能が低下していない
状態での石灰石の断面の様子を図6に示す。それによる
と、この状態での石灰石の表面にはイオウあるいはケイ
素を含む被膜の厚さが薄いことがわかった。したがって
脱硫剤の活性低下の一因として、脱硫剤の表面に被膜が
形成されて気相からのSOxの拡散が阻害されることが
わかった。
【0021】燃焼により生成した石炭の灰が火炉内の流
動の過程で石灰石粒子表面に付着するのは、図7に示す
ように石灰石表面に脱硫反応により生成した石膏が多孔
質層として生成し、この状態で石炭灰と混合されると、
生成した石膏層の細孔部に石炭灰が充填され被膜を形成
するためと考えられる。石炭灰はシリカおよびアルミナ
を主成分としており、これらの化合物は高温状態で放置
されると、下地の石灰石中のCaCO3と反応し強固な皮
膜を形成する。
【0022】火炉から飛散してくる灰を、第1サイクロ
ンで捕集された灰で代表させて、量、組成および平均粒
径の経時変化を調べて見ると、灰の量は図8に示すよう
に運転時間の経過とともに次第に低下する傾向にあるこ
とがわかった。また図9に示すように捕集灰中のCa
分のうち、CaCO3とCaOの量は時間の経過とともに
低下し、灰の平均粒径は図10に示すように時間の経過
とともに低下した。
【0023】これは、流動媒体石灰石が流動により粒子
の角の部分が削られ、また灰の付着が粒子の凹部で起る
ことにより、運転時間の経過とともに石灰石粒子の形状
は次第に丸みを帯び、石灰石粒子の摩耗速度は加速度的
に低下する。石灰石粒子の摩耗が抑制されると、火炉の
後流側へ飛散する石灰石由来の灰の量は減少する。これ
に伴い、飛散する灰の絶対量は低下し、燃焼により生成
する石炭由来の灰の量は変わらないため灰中のCaCO3
の含有量は低下する。
【0024】また灰中に含まれる石灰石の摩耗により生
成するCaCO3粒子は、粒径が石炭の燃焼灰に比べて大
きく、灰中のCaCO3の含有量が低下することにより、
飛散する灰の平均粒径は低下することになる。したがっ
て火炉から飛散してくる灰の量、組成および平均粒径を
調べることで、脱硫剤である石灰石の形態変化を予想す
ることができ、さらに脱硫性能の低下を事前に検知する
ことができる。
【0025】脱硫剤の性能低下を予測できたとすると、
これを基に脱硫剤の性能回復を図ることが必要となる。
上述したように脱硫剤の性能低下の一因は脱硫剤の表面
に生成した被膜にある。第一にはこの被膜を除去するこ
とが必要になる。被膜を除去するには一つは被膜を掻き
とること、もう一つは脱硫剤粒子内部に亀裂を生成させ
て粒子を割り新たな表面を露出させることにより、被膜
を掻きとるのと同じ効果を生じさせることである。
【0026】このうち、被膜を直接掻きとるには、例え
ば、流動相内の粒子の流動速度を大幅に高めることが考
えられるが、設備容量の面から実施には困難が伴い、ま
た流動が激しくなることにより、伝熱管の摩耗が加速さ
れることになる。これに対して脱硫剤粒子内部に亀裂を
生じさせる方法は運転条件および設備の小幅な変更で達
成が可能である。
【0027】脱硫剤である石灰石粒子の内部に亀裂を生
成させる最も効果的な方法は、石灰石に脱炭酸反応
((2)式)を起させることである。脱炭酸が起ると炭
酸根の放出により体積収縮が起り、これにより粒子内に
亀裂が生成する。
【0028】
【化2】 CaCO3 ⇒ CaO + CO2 …(2) 脱炭酸の進行により生成した粒子内の亀裂が起点となっ
て粒子の割れが起こり、石灰石表面に生成した皮膜を剥
離させ、また新たな面が露出することにより表面の更新
を促進させることができる。石灰石の脱炭酸により生成
したCaOは流動相内で逐次的に脱硫反応((3)式)
を起す。
【0029】
【化3】 CaO +SO2 + 1/2 O2 ⇒ CaSO4 …(3) 脱硫反応が石灰石の脱炭酸反応を経由して進行すると、
aO自身の反応性が高いことと、および石灰石粒子内
部に生成した亀裂により新たな表面が生成し、反応活性
な表面積が広がることの双方により反応速度および反応
率が向上する。
【0030】しかし、流動層内には燃焼生成物であるC
2が存在しており、脱炭酸反応の進行を抑制する。石
灰石の脱炭酸反応((2)式)の平衡では、図11に示
すように加圧流動層の運転温度である860℃付近でC
2の分解平衡圧は0.74atm程度である。加圧流動
層の運転圧力9atmにおいてCO2濃度が15%であ
れば、CO2分圧は1.35atmとなり分解平衡圧を上
回り、脱炭酸反応は進行しない。
【0031】流動層内のCO2分圧を上回る平衡分圧を
達成するには温度を910℃以上、より望ましくは95
0℃以上に上げる必要がある。しかし流動層温度を上げ
ることは、伝熱管材料として特殊仕様の材料を使用する
必要が生じるため好ましくない。
【0032】流動層内のガスの濃度分布を詳細に見る
と、流動層内の粒子の流れは完全混合に近く、ガス流れ
は基本的にはプラグフローであり、燃焼反応の進行とと
もに火炉の下部から上部に向かってCO2分圧は次第に
上昇する。したがって効果的に脱炭酸反応を進行させる
には、炉内での高さ方向のCO2分圧の分布を利用し、
流動層の底部のCO2分圧の低い領域を利用することが
有効である。
【0033】また、火炉出口におけるSO2の濃度上昇
に先行して、脱硫剤の性能低下を予測するための指標と
して、飛散灰量、飛散灰の平均粒径および飛散灰中にお
けるCaCO3の組成を採用する。火炉から飛散する灰を
総計するには手間がかかるので、代表として第1サイク
ロンにて捕集された灰を対象とする。これは第1サイク
ロンの集塵率が95%程度であり、火炉から飛散する灰
の大部分を捕集しており、第1サイクロンにて捕集され
た灰の灰量、組成および平均粒径が、火炉から飛散する
灰の値にほぼ等しいとみなせるからである。
【0034】起動から一定時間間隔毎に第1サイクロン
に捕集された灰の重量を計測し、単位時間当りに火炉か
ら飛散する灰の重量を求める。捕集された灰を縮分し、
粒径分布およびCaCO3およびCaOの組成を分析す
る。CaCO3の分析に当っては、通常の組成分析を行っ
てもよいが、簡便には加熱による重量減少によりCa
3組成の概算を行うこともできる。
【0035】補助的な先行指標として、火炉の炉底から
抜き出した石灰石中のCaCO3の組成を使用することが
できる。炉底抜き出し石灰石の分析においても、規格通
りの分析あるいは加熱による重量減少によりCaCO3
組成を分析する。より望ましくは石灰石の断面を切り出
し、面内のCaおよびSの分布を測定することにより、
石灰石の脱硫性能の変化の様子を調べる。
【0036】測定された火炉から飛散する灰の量、平均
粒径、CaCO3組成および炉底抜き出し石灰石中のCa
CO3組成を経時的に記録しておき、これらの量がしき
い値を下回った時点で、石灰石の脱硫性能に低下の傾向
が現われたと判断し、脱硫性能回復のための操作に入
る。
【0037】火炉内において効果的に脱炭酸反応を進行
させるより望ましい方法の第一は、火炉底部においてC
2分圧の低い領域を拡大させることである。流動層の
下部にCO2分圧の低い領域が広く存在すると、この領
域内でのガスおよび粒子の滞留時間が長くなり、脱炭酸
反応の反応率が高まる。具体的には、空気比を高くする
ことで希薄燃焼状態を出現させると全体的にCO2分圧
は低くなり、低CO2分圧領域は広がる。これにより流
動層内を循環流動する流動媒体石灰石の低CO2分圧領
域での滞留時間を長くし、脱炭酸の反応率を高めること
ができる。
【0038】第二には流動層内において燃焼が開始され
る位置を高くすることである。具体的には燃料ノズルの
取り付け位置を空気分散板と伝熱管最下段の中間の位置
よりも高くして伝熱管側に近づける。この二つの手段は
それぞれ単独で適用することも可能であるが、両者をあ
わせて適用するとより効果的である。
【0039】第三には流動層の下部のCO2分圧の低い
領域に新たに流動媒体石灰石を供給し、層内の長時間滞
留した流動媒体石灰石と入れ替えることである。上述し
たように路内に長時間滞留した流動媒体石灰石の表面に
は被膜が形成され、脱硫反応を阻害している。これを一
部置換することにより流動媒体石灰石の脱硫性能を回復
させる。流動媒体の石灰石の入れ替えに当っては、被膜
を生成させないようできるだけCO2分圧の低い領域に
新しい石灰石を投入する必要がある。
【0040】通常は負荷変化時には炉の最低部から流動
媒体石灰石を抜き出し、燃料ノズルの上側から流動媒体
石灰石を投入している。この経路を利用して石灰石の投
入を行うと、CO2分圧の高い領域に新たな石灰石を供
給することになり、脱炭酸が起らないまま表面に被膜が
生成し、目的とする効果が得られない。そこで、脱硫性
能の低下が予知された時点で、通常の流動媒体石灰石の
循環とは逆の方向で流動媒体を供給し、炉の最低部で新
たに投入した流動媒体石灰石に低CO2分圧領域におい
て脱炭酸反応を起させる。
【0041】炉の最底部に流動媒体石灰石を投入するこ
とのもう一つの利点は、炉の最底部に滞留しやすい粒径
の大きい粒子に衝撃を与え、もし固着が発生していれば
これを除き、炉からの排出に有利な状況を作り出すこと
ができる。
【0042】第四には負荷変化時に使用する流動媒体石
灰石の投入口を燃料ノズルの下側に設置することもでき
る。これによりCO2分圧の低い領域に新たな石灰石を
供給することができ、脱炭酸を効果的に進めることがで
きるのである。
【0043】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。
【0044】(実施例1)本発明になる加圧流動層ボイ
ラ一の要部が図1に示されている。11が流動層であ
り、95が石灰石の貯蔵容器である。流動層11の底部
12に流動媒体石灰石の抜出口91を設け、流動媒体石
灰石の貯蔵容器95を経て燃料ノズル93の上側に流動
媒体石灰石の供給口92を設ける。通常の負荷変化では
流動媒体石灰石の循環は、図中の矢印Aの方向に移動さ
せることで、抜き出しあるいは供給が行なわれる。
【0045】本発明では、この系統内を流通する媒体の
循環方向を負荷調整時とは逆転させた方向に運転可能と
する設備を設けられる。すなわち、流動媒体石灰石の逆
転循環を行うために、流動媒体石灰石の抜出口91と流
動媒体石灰石の貯蔵容器95の間に流動媒体循環装置9
7を、流動媒体石灰石の貯蔵容器95と流動媒体石灰石
の供給口92の間に流動媒体循環装置98を設置する。
流動媒体循環装置にはスクリューフィーダあるいは弁と
高圧ガス源によって構成される加圧/減圧式供給装置を
用いることができる。
【0046】流動媒体石灰石の脱硫性能に低下の兆しが
現われた場合は、通常とは逆に矢印Bの方向に流動媒体
石灰石の抜出口91を経由して流動層へ流動媒体石灰石
を供給する。この操作により層高が上昇するので、炉内
の流動媒体石灰石を流動媒体石灰石の供給口92から流
動媒体循環装置98を経由して抜き出す。
【0047】この時火炉の運転が定負荷運転であれば、
流動媒体循環装置97および98の出力を同じにして流
動媒体石灰石の供給口92からの抜きだし量と流動媒体
石灰石の抜出口91よりの供給量を等しくする。スクリ
ューフィーダを使用する場合にはフィーダの回転を逆転
させればよい。加圧/減圧式供給装置を用いる場合には
圧力勾配を通常の運転時と逆の勾配にすればよい。
【0048】負荷上昇中であれば、流動媒体循環装置9
7出力を流動媒体循環装置98の出力よりも大きくし
て、流動媒体石灰石の供給口92からの石灰石を抜出し
量を流動媒体石灰石の抜出口91からの石灰石を供給量
よりも少なく設定する。負荷降下中であれば、流動媒体
循環装置97出力を流動媒体循環装置98の出力よりも
小さくして、流動媒体石灰石の供給口92からの石灰石
を抜出し量を流動媒体石灰石の抜出口91からの石灰石
を供給量よりも多く設定する。
【0049】(実施例2)本発明になる他の実施例を図
2に示す。流動媒体石灰石の供給口92を空気分散板1
2と最下段伝熱管15の中間の高さに設置し、燃料ノズ
ル93は流動媒体石灰石の供給口92と最下段伝熱管1
5の中間の高さに設置する。燃料ノズルよりも低い位置
では燃焼反応が起らず、この領域は吹き込み空気量にほ
ぼ近い組成となり、CO2分圧が低くなる。
【0050】これによりCO2分圧の低い領域に供給石
灰石が投入されるため、投入された石灰石は直ちに脱炭
酸反応を起し、脱硫に活性なCaOが生成する。また火
炉底部でのCO2分圧の低い領域が拡大されるために、
流動媒体石灰石がこの領域に滞留する時間も長くなり、
流動媒体石灰石の脱炭酸も促進される。
【0051】(実施例3)第1サイクロンで捕集された
灰の量を3日毎に、灰ホッパが一杯になるまでの時間を
計測し、1時間当りの捕集灰量を算出し記録する。部分
負荷運転による影響を除くために、灰の量は負荷に比例
するとして実測された灰量を補正する。捕集されたの量
が運転開始時の90%までした時点で脱硫性能の低下と
判断した。この時100%負荷で運転中であり、煙突入
口のSOx濃度は18ppmであった。
【0052】ここで流動媒体石灰石の循環を逆転運転で
実施した。流動媒体石灰石の入れ替え速度は流動層内の
石灰石量の20%を5時間で入れ替える速度とした。そ
の結果、操作1時間後には煙突入口のSOx濃度は10
ppmまで低下した。なお逆転運転の手順の詳細は実施
例1に記載のとおりである。
【0053】(実施例4)実施例3にて第1サイクロン
で捕集された灰を縮分し、その組成を3日毎に分析し、
aOとCaCO3の組成の経時変化を記録する。部分負
荷運転による影響を除くよう部分負荷運転時には実測さ
れた組成に1以上の係数を掛けて補正する。係数の値は
石灰石の粉化性および灰中のCa含有量により変化する
ため、使用する炭種および石灰石銘柄毎に定める。簡略
的には測定値のまま使用することも可能である。
【0054】灰中のCaOあるいはCaCO3のいずれか
の組成が運転開始時の80%にまで低下した時点で脱硫
性能の低下と判断した。この時100%負荷で運転中で
あり、煙突入口のSOx濃度は16ppmであった。こ
の時点で空気比を1.2から1.4まで上げて8時間運
転した。その結果、操作開始から1時間後には煙突入口
のSOx濃度は12ppmまで低下した。
【0055】(実施例5)実施例3にて第1サイクロン
で捕集された灰を縮分し、その粒径分布を測定し、ふる
い下50%重量の平均粒径を求め、その経時変化を記録
する。部分負荷運転による影響を除くよう部分負荷運転
時には実測された組成に1以上の係数を掛けて補正す
る。係数の値は石灰石の粉化性および灰中のCa含有量
により変化するため、使用する炭種および石灰石銘柄毎
に定める。平均粒径が運転開始時の値の70%まで低下
した時点で脱硫性能の低下と判断した。この時100%
負荷で運転中であり、煙突入口のSOx濃度は14pp
mであった。
【0056】ここで流動媒体石灰石の逆転循環運転を実
施した。流動媒体石灰石の入れ替え速度は流動層内の石
灰石量の20%を5時間で入れ替える速度とした。その
結果、操作開始から1時間後には煙突入口のSOx濃度
は8ppmまで低下した。なお逆転運転の詳細は実施例
1に記載のとおりである。
【0057】(実施例6)実施例3と同様にして第1サ
イクロンで捕集された灰の量の経時変化を記録し、灰の
量が運転開始時の低下から90%までした時点で脱硫性
能の低下と判断した。この時100%負荷で運転中であ
り、煙突入口のSOx濃度は22ppmであった。この
時点で空気比を1.2から1.4まで上げて10時間運転
した。その結果、操作開始から1時間後には煙突入口の
SOx濃度は12ppmまで低下させることができた。
【0058】以上説明してきたようにこのような流動層
ボイラであると、火炉出口でSOx濃度が上昇する以前
に脱硫剤の性能低下を検知するのでSOxの排出を防ぐ
ことができ、かつ脱炭酸により脱硫剤の活性を回復する
ことができるので安定した運転が可能となり、ランニン
グコストの上昇を抑えることができるのである。
【0059】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、低ランニングコストで、SOx漏洩濃度が上昇する
ことなく、かつ脱硫剤の脱硫性能を回復させることがで
きるこの種の加圧流動層ボイラおよびその運転方法を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧流動層ボイラの一実施例を示す系
統図である。
【図2】本発明の加圧流動層ボイラの他の実施例を示す
系統図である。
【図3】流動層内における石灰石の変化を示す模式図で
ある。
【図4】火炉出口におけるSOx濃度の運転時間による
変化を示す特性図である。
【図5】脱硫性能が低下した後採取した流動媒体石灰石
の断面の、走査型電子顕微鏡写真および二次X線による
元素分析結果を示す図である。
【図6】脱硫性能が低下する前に採取した流動媒体石灰
石の断面の、走査型電子顕微鏡写真および二次X線によ
る元素分析結果を示す図である。
【図7】石灰石粒子への灰の付着モデルを表わす図であ
る。
【図8】火炉から飛散する灰の量の運転時間による変化
を示す図である。
【図9】火炉から飛散する灰中のCa成分の組成の運転
時間による変化を示す特性図である。
【図10】火炉から飛散する灰の平均粒径の運転時間に
よる変化を示す特性図である。
【図11】CaCO3の脱炭酸反応の平衡CO2分圧の温
度依存性を表わす図である。
【符号の説明】
1…石灰石、5…石灰石表面の被膜、7…石炭灰、8…
石膏、11…流動層、12…空気分散板、15…最下段
伝熱管、51…捕集灰中のCaO組成、52…捕集灰中
のCaSO4組成、53…捕集灰中のCaCO3組成、91
…流動媒体石灰石の抜出口、92…流動媒体石灰石の供
給口、93…燃料ノズル、95…石灰石の貯蔵容器、9
7…流動媒体循環装置、98…流動媒体循環装置。
フロントページの続き (72)発明者 稲田 徹 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 宮本 知彦 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 戸室 仁一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負荷の変化に応じて流動媒体を流動層火
    炉から抜き出し流動媒体貯蔵設備へ送る系統と、流動媒
    体貯蔵設備から流動層火炉へ流動媒体を供給する系統と
    を備えた加圧流動層ボイラにおいて、 前記系統に、系統内を流通する媒体の循環方向を負荷調
    整時とは逆転させた方向に運転可能とする設備を設けた
    ことを特徴とする加圧流動層ボイラ。
  2. 【請求項2】 負荷の変化に応じて流動媒体を流動層火
    炉から抜き出し流動媒体貯蔵設備へ送る系統と流動媒体
    貯蔵設備から流動層火炉へ流動媒体を供給する系統を備
    えた加圧流動層ボイラの運転方法において、 流動層火炉から飛散する灰の単位時間当りの重量、カル
    シウムの組成および平均粒径のいずれかの値が、運転開
    始の初期値に対して一定の幅以上に変化した時に、前記
    系統の流動媒体の循環方向を負荷調整時とは逆転させた
    方向に運転し、流動層火炉内の媒体を置換するようにし
    たことを特徴とする加圧流動層ボイラの運転方法。
  3. 【請求項3】 負荷の変化に応じて流動媒体を流動層火
    炉から抜き出し流動媒体貯蔵設備へ送る系統と流動媒体
    貯蔵設備から流動層火炉へ流動媒体を供給する系統を備
    えた加圧流動層ボイラの運転方法において、 流動層火炉から飛散する灰の単位時間当りの重量、カル
    シウムの組成および平均粒径いずれかの値が、運転開始
    の初期値に対して一定の幅以上に変化した時に、流動層
    火炉の燃焼の空気比を上昇させるようにしたことを特徴
    とする加圧流動層ボイラの運転方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010084559A1 (ja) * 2009-01-23 2010-07-29 出光興産株式会社 N2o排出抑制燃焼装置とn2o排出抑制方法

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