以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る車内案内表示装置を詳細に説明する。なお、以下の内容により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る車内案内表示装置20と、車内案内表示装置20に接続される装置の構成の一例を示す図であり、図2は、列車内における表示器の配置例を示す図である。図1に示すように、車内案内表示装置20には、ATSシステム(自動列車停止装置)10および列車番号設定装置30を接続することが可能である。
図3は、列車種別情報である開扉情報テーブルの内容を示す図である。開扉情報テーブル200は、駅コード201、進路コード202、プラットホーム情報203、開扉方向204、プラットホーム許容両数205などの項目を有して構成されており、記憶部24に格納されている。なお、開扉情報テーブル200は、後述する列車種別情報1Dから生成する。
駅コード201は停車駅を示している。進路コード202は、列車の進行方向を示しており、たとえば上りまたは下り方面の進路だけでなく、転轍機(ポイント)で分岐する進路も示すことが可能である。プラットホーム情報203は、進路コード202に対応するプラットホームの番号を示している。開扉方向204は、開放する扉の方向(進行方向に向かって右扉か、左扉か)を示しており、進路コード202とプラットホーム情報203に対応している。プラットホーム許容両数205は、プラットホームに接することができる列車の両数を示している。なお、図2において、例えば進路コード202の右欄に“1L”などの記号を記載しているが、実際の開扉情報テーブル200には、各コードの左欄に示すような2進コードが登録されているものとする。
図1において、車内案内表示装置20は、ATSインタフェース21、列車種別情報インタフェース22、処理判断部23、記憶部24、表示情報出力部28ならびに、左扉側表示器72および右扉側表示器74を有して構成される。これらの左扉側表示器72および右扉側表示器74は、例えば、図2に示すように、各車両内の乗降扉部の上部に設置され(図2では、右側乗降扉上部に設置された右扉側表示器74を例示)、車両内の乗客に種々の案内情報を提供する。なお、図2は、案内情報を提供する表示装置の配置の一例を示したものであり、この例に限定されるものではない。例えば、車両間の連結部上方に設置してもよいし、通路上方の天井部に設置してもよい。
図1に戻り、列車番号設定装置30は、列車種別情報を設定する装置である。列車種別情報1Dの内容は、例えば、図3の開扉情報テーブルに示した駅コード201、進路コード202、プラットホーム情報203、開扉方向204、およびプラットホーム許容両数205を含み、その他、列車の走行区を示す線区コード、列車両数、列車番号、列車種別、始発駅、行き先、停車する駅、および停車駅の到着時刻、出発時刻などの情報を含んでいる。列車番号設定装置30の設置場所は鉄道会社によって異なるが、運転台の乗務員用モニタ装置に搭載するのが一般的である。列車種別情報1Dは、始業時に、例えばICカードなどの記録媒体に記録され、列車の読取装置に読み取らせて利用される。
ATS車上装置13は、地上の路線上に設置されているトランスポンダ12から、停止信号、速度制限の位置、距離等の情報2D(以下「ATS制御情報」という)を受信することが可能である。トランスポンダ12は、ATS地上装置11に制御されており、トランスポンダ12を通過する列車に無線方式で情報を送信することが可能である。なお、ATS地上装置11、トランスポンダ12、およびATS車上装置13を総称して、以下ATSシステム10と称する。なお、ATSシステム10は、この実施の形態では、速度照査パターン(制動開始から停止するまでの速度変化を表す曲線)を発生させて速度制御を行う、パターン付きATSシステム10を用いるものとする。
列車種別情報インタフェース22は、列車番号設定装置30から送信された列車種別情報1Dを取り込むことが可能である。なお、列車種別情報インタフェース22は、例えばLANやRS422、RS485等の接続口を有しており、伝送制御手順はLANであればTCP/IPを、RS422、RS485であればHDLC等を用いることが望ましいが、これに限定されるものではない。
記憶部24は、列車種別情報インタフェース22から送信された列車種別情報1Dを保存することが可能である。また、列車種別情報1Dに基づいて、駅コード201、進路コード202、プラットホーム情報203、開扉方向204、およびプラットホーム許容両数205が対応して構成されている、開扉情報テーブル200を保存することも可能である。
ATSインタフェース21は、ATS車上装置13が検出したATS制御情報2Dを取り込むことが可能である。
処理判断部23は、ATSインタフェース21からATS制御情報2Dを受信し、記憶部24に格納されている開扉情報テーブル200にATS制御情報2Dを照合し、表示情報出力部28に左扉を開放するか、右扉を開放するかを識別した信号(開扉信号)を出力する。
表示情報出力部28は、処理判断部23から左扉を開放する信号(左扉開扉信号)を受領した場合、左扉側表示器72に表示信号又は画像3Dを出力する。この処理により、左扉側表示器72には、例えば図7に示すような開扉方向を示す案内情報(開扉方向案内情報)が表示される。これとは逆に、処理判断部23から右扉を開放する信号(右扉開扉信号)を受領した場合、表示情報出力部28は、右扉側表示器74に表示信号又は画像4Dを出力する。なお、図7に示す開扉方向案内情報を表示する際、図8に示すような駅設備を示す案内情報(階段、エスカレータ、エレベータの位置:駅設備案内情報)を表示してもよい。図7に示す開扉方向案内情報と、図8に示す駅設備案内情報とを交互に切り替えて表示したり、または、隣接して設けた2台の表示器74,74にそれぞれ同時に表示することにより、降車する乗客に対する効果的な誘導が可能となる。特に、車両のダイヤが乱れて運転整理が行われている場合においては、乗客の心理状態として、開扉方向案内情報および駅設備案内情報は、最も関心のある情報であるため、車両が駅に到着する以前の段階でこれらの案内情報を提供することは、乗客の誘導を迅速かつ適切に行う上でも非常に効果的である。
上述した構成により、実施の形態1に係る車内案内表示装置20は、ATSシステム10から送信される情報を受信したとき、開扉情報テーブル200の駅コード201をキーコードにして開扉方向204を特定することが可能となる。
図4は、ATS制御情報の内容の一例を示す図である。図4の上段部において、ATS制御情報の内容300aは左から、同期フラグ301(8bit)、情報種別302(6bit)、運転方向303(2bit)、地上子番号304(4bit)、個別情報305(36bit)、CRC306(16bit)と、終結フラグ307(8bit)で構成されている。
情報種別302は、地上子であるトランスポンダ12が扱う情報の種類を示しており、例えば停止現示、注意現示などが割り当てられている。さらに、個別情報300aには、停止現示および注意現示における速度制限の種別として、分岐速度制限、曲線速度制限、勾配速度制限、臨時速度制限のうちの一つが割り当てられる。CRC306(巡回冗長符号;Cyclic Redundancy Check)は、データの誤りを検出するための符号である。
図4の中段部では、個別情報300bが分岐速度制限の場合の内容を示している。分岐速度制限における個別情報300bは、左から、空き領域308(3bit)、制限速度309(5bit)、制限区間長310(8bit)、分岐器までの距離311(10bit)、線区コード312(4bit)、および駅コード313(6bit)で構成されている。
ここで、分岐速度制限における個別情報300bには、線区コード312と駅コード313が存在するが、実施の形態1の車内案内表示装置20は、開扉情報テーブル200の進路コード202に相当するコードが必要である。
一方、分岐速度制限の個別情報300bには、3bitの空き領域308が存在する。そこに進路コードを割当てる場合、進路コードは、例えば、規模が大きく進路が多い駅も考慮すると、5bit確保する必要がある。
ここで、分岐器までの距離311には10bitが割り当てられているが、最小分解能を4m間隔として計算した場合、計4092m(4×1023パターン)までとることが可能である。一方、実際の列車の最高速度を130[km/h]と仮定した場合、その速度から非常ブレーキ(通常の制動減速度を3.5[km/hr/sec]程度とした場合)で停車するまでに必要な走行距離は約670mである。分岐器までの距離311を8bitに置き換えた場合、非常ブレーキ作動時の走行距離は、最小分解能4mとして計算すると、1024m(4×256パターン)までとることが可能である。すなわち、ATS地上装置11側において、分岐器までの距離311を8bitに置き換え、空き領域308に2bit割り当てれば、進路コードを付与することが可能である。その結果、図4の下段部に示すように、変更後の分岐速度制限の個別情報300cには、線区コード312および駅コード313に加え、5bitの進路コード314を付与することが可能である。
つぎに、連動駅(転轍機が設置されている駅)における車内案内表示装置20の動作を詳細に説明する。
図5は、連動駅の駅構内配線と速度照査パターンP1を概念的に示す図である。図5において、列車Aの乗客が降りるプラットホームとして、プラットホームH1、プラットホームH2、およびプラットホームH3を有するものとする。列車の進路は、例えば右方向から進入してきた場合は、定位進路1Lまたは反位進路2Lとし、左方向から進入してきた場合は、定位進路1Rまたは反位進路2Rとする。
プラットホームH1には、定位進路1Lから進入してきた列車Aを停車することが可能である。プラットホームH2には、反位進路2Lと反位進路2Rから進入してきた列車Aを停車することが可能である。プラットホームH3には、定位進路1Rから進入してきた列車Aを停車することが可能である。また、各プラットホームから列車Aが出発する場合の進路として、反位進路3L、定位進路4L、定位進路3R、および反位進路4Rがあるものとする。
図5において、各路線には図1に示したトランスポンダ12が複数配設されている。場内信号機401に対する盲進防護用と分岐渡りの速度超過防護用として、トランスポンダS1とS4が配設され、プラットホーム停止制御用として、トランスポンダS2、S3、S5、およびS6が配設されているものとする。
ここで、右側から走行してきた列車Aの進行方向は、本来であればプラットホームH1すなわち定位進路1Lだったが、走行中に運転整理などが行われ、反位進路2Lに変更されたと仮定する。この場合、定位進路1Lと反位進路2Lの転轍機付近に設置されている場内信号機401は、定位進路1L側が停止現示、反位進路2L側が注意現示を示している。その状態で列車AがトランスポンダS1を通過すると、車内案内表示装置20は、ATS車上装置13を介して、個別情報300c(注意現示)を含むATS制御情報2Dを受信する。
列車Aは、ATS制御情報2Dを受信したとき、図5に示すような速度照査パターンP1を作成し速度制御を行う。一方、処理判断部23は、記憶部24に格納されている開扉情報テーブル200にATS制御情報2Dを照合し、駅コード201、進路コード202、プラットホーム情報203、開扉方向204、プラットホーム許容両数205などを判断する。すなわち、プラットホームH2に到着する前に、開扉方向204を特定することが可能である。
プラットホームH2に停車する場合、列車Aの進行方向に向かって右側の扉を開けることになるので、処理判断部23は、右扉開扉信号を生成して表示情報出力部28に出力する。右扉開扉信号を受領した表示情報出力部28は、右扉側表示器74に表示信号又は画像4Dを出力する。このようにして、列車A内に設けられた右扉側表示器74に、開扉コンテンツ(図7に示した開扉方向を示す案内情報、図8に示した駅設備を示す案内情報)が表示される。
図6は、開扉方向を決定するフローチャートの一例を示す図である。車内案内表示装置20は、一定周期でATS制御情報2Dを読込む(ステップS101)。処理判断部23は、ATS制御情報2Dに線区コード312、駅コード313、および進路コード314が記録されているかを判断する(ステップ102)。
ここで、ATS制御情報2Dに、線区コード312、駅コード313、および進路コード314が記録されていない場合(ステップS102,No)、本処理フローを終了する(次回の読み込み処理の待ち状態となる)。
一方、ATS制御情報2Dに、線区コード312、駅コード313、および進路コード314が記録されている場合(ステップS102,Yes)、記憶部24に格納されている開扉情報テーブル200を呼び出し、開扉情報テーブル200の駅コード201と進路コード202に対応したプラットホーム情報203および開扉方向204に基づいて、到着ホームと開扉方向を特定する(ステップS103)。
処理判断部23は、特定した開扉方向が左の場合に(ステップS104,左)、表示するタイミングか否かを判断し(ステップ105)、表示するタイミングの場合には(ステップS105,Yes)、左扉側表示器72に表示信号又は画像4Dを出力し、左扉側表示器72は、開扉コンテンツを表示する(ステップS106)。
また、処理判断部23は、特定した開扉方向が右の場合に(ステップS104,右)、表示するタイミングか否かを判断し(ステップ107)、表示するタイミングの場合には(ステップS107,Yes)、右扉側表示器74に表示信号又は画像4Dを出力し、右扉側表示器74は、開扉コンテンツを表示する(ステップS108)。
なお、上記ステップS105,S107の各処理において、表示するタイミングではない場合(ステップS105,S107でそれぞれNo)、表示するタイミングまで処理を繰り返す待ち状態となる。
以上説明したように、実施の形態1の車内案内表示装置20によれば、信頼性の高い既存のATS地上装置11からコードが見直された個別情報300cを含むATS制御情報2Dを受信し、個別情報300cと開扉情報テーブル200を照合するようにしたので、新たな地上装置を設けることなく、更には、ドア開方向が不定となる不定駅に停車する場合であっても、開扉方向を特定するための情報を早期に入手して車両内の表示器に表示することが可能となる。
なお、本実施の形態では、車内案内表示装置がATSシステムから直接、データを入手する構成としたが、列車の各車両に搭載され、互いに連係して列車情報(列車運行情報、列車位置情報、ATS制御情報等)を管理する車両情報管理装置を経由して入手する構成としてもよい。
実施の形態2.
実施の形態2に係る車内案内表示装置は、車内案内表示装置が受信した列車種別情報1DとATS制御情報2Dを、各車両に搭載された車内案内表示装置に送信することができるように構成されている。
図9は、本発明の実施の形態2に係る車内案内表示装置20と、車内案内表示装置20に接続される装置の構成の一例を示す図である。車内案内表示装置20は、例えば先頭車両などに搭載され、先頭車両以外の各車両には車内案内表示装置20aが搭載されるように構成されている。
図9に示す車内案内表示装置20は、図1に示した実施の形態1の車内案内表示装置20に伝送部27を追加した構成である。車内案内表示装置20aは、処理判断部23a、記憶部24a、伝送部27a、および表示情報出力部28aを有しているが、車内案内表示装置20と比較し、列車種別情報インタフェース22とATSインタフェース21を省いた構成である。
伝送部27および伝送部27aは、車両間に敷設されている伝送路100に接続されている。そのため、車内案内表示装置20が取り込んだ列車種別情報1DおよびATS制御情報2Dは、処理判断部23を介して、車内案内表示装置20aの処理判断部23aに送信することが可能である。また、伝送部27aは、図示しない記憶部と、自車両向け送信部と、隣接車両向け送信部とを有し、列車番号設定装置30から送信された列車種別情報1DまたはATS制御情報2Dを自車両に取り込むだけでなく、伝送部27a内で一旦記憶して、隣接車両向け送信部から隣接する他の車両に中継伝送することが可能である。このように、情報を各車両で中継しながら送信することにより、先頭車両から後尾車両まで、伝送時のエラーを少なくして確実に伝送することが可能となる。
記憶部24または記憶部24aに格納された開扉情報テーブル200には、プラットホーム許容両数205に関する情報が格納されているので、処理判断部23は、停車する駅のプラットホームの長さ(許容両数)と、列車の長さ(車両数)を比較し、列車両数がプラットホームの許容両数以内であるか否かを車両毎に判別することが可能である。
図10は、プラットホーム許容両数を考慮して開扉方向を決定するフローチャートの一例を示す図である。図6に示す実施の形態1における処理フローとの相違点は、ステップS103とステップS104との間に、ステップS201の処理ステップを追加した点である。なお、図6に示す処理ステップと同一の処理ステップには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
ステップS103にて到着ホームと開扉方向とが特定された場合、処理判断部23および処理判断部23aは、車両数がプラットホーム許容両数内に納まっているか否かを判断する(ステップS201)。車両数がプラットホーム許容両数内に納まっている場合には(ステップS201,Yes)、図6のフローにも示したステップS104〜S108の処理を実施し、車両数がプラットホーム許容両数内に納まっていない場合には(ステップS201,No)、本処理フローを終了する(次回の読み込み処理の待ち状態となる)。
ここで、ステップS201における判定処理は、当該判定処理を行う処理判断部23または処理判断部23aが、プラットホーム許容両数内に収まっているか否かで、次の処理が異なってくる。
例えば、列車Aの号車番号が進行方向から昇順(1,2,…,n−1,n)に設定されている場合、「処理判断部の号車番号」≦「プラットホーム許容両数」のときは、ステップS205以降の開扉方向の判定処理に進むが、「処理判断部の号車番号」>「プラットホーム許容両数」のときは、ステップS205以降の開扉方向の判定処理を行うことなく、本処理フローを終了する。
また、列車Aの号車番号が進行方向から降順(n,n−1,…,2,1)に設定されている場合、「列車編成両数−処理判断部の号車番号」<「プラットホーム許容両数」のときは、ステップS205以降の開扉方向の判定処理に進むが、「列車編成両数−処理判断部の号車番号」≧「プラットホーム許容両数」のときは、ステップS205以降の開扉方向の判定処理を行うことなく、本処理フローを終了する。
以上説明したように、実施の形態2の車内案内表示装置20および車内案内表示装置20aによれば、ATS制御情報2Dを各車両に搭載されている車内案内表示装置20aに送信し、車両毎にATS制御情報2Dと開扉情報テーブル200を照合できるので、実施の形態1の効果に加え、プラットホームの許容両数を超えている車両内の表示器に誤った情報が表示されるのを確実に防止することができるという効果が得られる。
なお、本実施の形態では、車内案内表示装置がATSシステムから直接、データを入手する構成としたが、列車の各車両に搭載され、互いに連係して列車情報(列車運行情報、列車位置情報、ATS制御情報等)を管理する車両情報管理装置を経由して入手する構成としてもよい。
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る車内案内表示システムの構成を示す図である。実施の形態1(図1)と同一または同等の部分には同一符号を付して説明を省略する。実施の形態3に係る車内案内表示システムは、車内案内表示装置20および、この車内案内表示装置20と連係する列車位置測定装置3を含んで構成されるシステムであり、列車位置測定装置3からの列車位置情報5Dが車内案内表示装置20に入力される構成である。
より詳細に説明すると、実施の形態3に係る車内案内表示システムでは、図1の構成におけるATSシステム10に代えて、列車位置測定装置3が接続されており、列車位置測定装置3が測定した列車位置情報5Dを、車内案内表示装置20内の列車位置測定装置インタフェース34を介して処理判断部23に取り込むように構成されている。ここで、列車位置情報5Dには、列車位置の情報と列車の進路(進行方向)に関する情報が含まれている。
図12は、実施の形態3の開扉情報テーブルの内容を示す図である。記憶部24には、列車番号設定装置30を介して入手した開扉情報テーブル200aの情報が予め記憶されている。この開扉情報テーブル200aでは、図3に示した開扉情報テーブル200の各情報に加え、プラットホーム位置情報206が付加されている。プラットホーム位置情報206は、プラットホーム情報203に対応して設けられ、その要素P1〜P3は、例えばプラットホーム位置の緯度経度情報である。
上述のように構成された開扉情報テーブル200aによれば、プラットホーム位置情報206とプラットホーム情報203とが関連づけられ、また、進路コード202およびプラットホーム情報203によって開扉方向204が特定されるので、列車位置測定装置3からの列車位置情報5D(列車位置、進行方向)を入手することにより開扉方向の特定が可能となる。なお、列車位置情報5Dに含まれる進行方向の情報は、列車位置の変化(移動方向)を見ることにより得ることができる。
図13は、図11に示す列車位置測定装置3を搭載した列車編成の概略構成を示すブロック図である。なお、煩雑さを避けるため、図13では、車内案内表示装置20の図示を省略している。
図13において、列車には車両1a,1b,1cが連結されている。そして、最前列の車両1aには、運転台7およびパンタグラフ8が設置されるとともに、GPS受信アンテナ2、列車位置測定装置3、加速度センサ6a,6bおよび列車保安装置4が設けられ、列車保安装置4にはトランスポンダ5が接続されている。また、最後尾の車両1cには、加速度センサ6cが設けられている。
列車位置測定装置3は、GPSによる測位結果と列車の加速度の検出結果とを利用して列車の現在位置を測定する機能を有している。加速度センサ6aは、列車の前後方向の加速度を検出することができ、加速度センサ6b,6cは、列車の左右方向の加速度を検出することができる。
また、列車位置測定装置3には、電波測位部3a、線路マップ取得部3b、マップマッチング処理部3cおよび現在位置演算部3dが設けられている。電波測位部3aは、電波で送信される信号の受信結果に基づいて現在位置の経度および緯度を測位することができる。なお、電波測位部3aとしては、例えば、GPS受信機を用いることができ、GPS衛星15a,15bから送られた信号に基づいて現在位置の経度および緯度を測位することができる。あるいは、電波測位部3aとして、ガリレオなどの他の衛星測位システムを用いるようにしてもよいし、地上基地から送出される電波を受信することで現在位置を求める方式を用いるようにしてもよい。なお、図13では、GPS衛星15a,15bは2個しか示していないが、測位用電波源(衛星や地上基地局)は3個以上必要なところを省略して描いている。
線路マップ取得部3bは、列車が走行する路線の線路配置が記述された線路マップを取得することができる。この線路マップには、列車が走行する路線の線路配置と経度および緯度との関係を登録することができる。また、列車が走行する路線の線路配置には、基準点からのキロ程を線路上の位置ごとに数メートル単位で記述したデータを含むことができる。なお、線路マップ取得部3bとしては、線路マップを記憶する記憶装置であってもよいし、無線通信にて線路マップを受信する受信装置であってもよい。
マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置を線路マップ上の線路上に合致させることができる。なお、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップ上の線路からずれていた場合、電波測位部3aにて測位された現在位置に最も近い線路上に列車の現在位置を移動させることができる。
現在位置演算部3dは、マップマッチング処理部3cにて合致された線路上の位置を起点として、列車の加速度の検出結果から求めた走行距離を参照することで、線路上での列車の現在位置を演算することができる。なお、現在位置演算部3dは、線路上での列車の現在位置を演算する場合、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果とともに、列車の加速度の検出結果を補助的に用いることができる。なお、GPS受信機のトラッキングモードでは、GPS衛星15a,15bやGPSサーバ局から測位計算に必要なアシスト情報(GPS衛星15a,15bの番号や電離層情報)などを取得することなく、1秒間隔程度の短時間で連続測位することができる。
また、現在位置演算部3dは、左右方向の加速度の検出結果に基づいて、列車の現在の進行方向および進行方向の変化を判断することができる。そして、列車の現在の進行方向の変化が線路マップ上の線路の曲線に対応するように、線路上での列車の現在位置を補正したり、ホームの入線番線を判断したりすることができる。
つぎに、電波測位部3aとしてGPS受信機が用いられている場合を例にとり、列車位置測定装置3の動作について説明する。
図13において、列車位置測定装置3が起動されると、GPS衛星15a,15bから送られてきた信号がGPS受信アンテナ2にて受信され、電波測位部3aに送られる。なお、列車位置測定装置3を動作させる電源は、パンタグラフ8を介して取得することができる。そして、電波測位部3aにおいて、GPS衛星15a,15bからの信号に基づいて現在位置の経度および緯度が測位され、その測位結果がマップマッチング処理部3cに送られる。
一方、線路マップ取得部3bでは線路マップが取得され、その線路マップの情報がマップマッチング処理部3cに送られる。そして、マップマッチング処理部3cにおいて、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップ上の線路の位置と照合され、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップの線路上に合致するように補正されることで、列車の現在位置が算出される。なお、線路マップの取得は、列車位置測定装置3の起動時に限らず、予めメモリ内に保存しておいてもよい。
そして、マップマッチング処理部3cにて線路マップの線路上に合致された列車の現在位置が算出されると、その列車の現在位置が現在位置演算部3dに送られる。
一方、加速度センサ6aでは、列車の前後方向の加速度が検出されるとともに、加速度センサ6b,6cでは、列車の左右方向の加速度が検出され、現在位置演算部3dに送られる。
そして、現在位置演算部3dにおいて、マップマッチング処理部3cにて合致された線路上の位置を起点として、加速度センサ6a〜6cによる加速度の積分処理が行われることで、その起点からの列車の走行距離が算出される。そして、その走行距離に対応した分だけ線路マップの線路上を移動した点が求められることで、列車の現在位置が測定される。
なお、現在位置演算部3dにて列車の現在位置を演算する場合、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果も用いるようにしてもよい。そして、列車がトンネルやビル街などに進入したため、GPS衛星15a,15bから送られた電波が列車に届かない場合、加速度センサ6a〜6cにて検出された加速度の検出結果を補助的に使用するようにしてもよい。
また、現在位置演算部3dにて列車の現在位置を演算する場合、加速度センサ6b,6cによる左右方向の加速度の検出結果に基づいて、列車の現在の進行方向の変化を判断するようにしてもよい。そして、列車の現在の進行方向の変化の度合い(曲率半径など)を求め、列車の現在の進行方向の変化の度合いが、線路マップ上の線路の曲がり具合と一致しているかどうかを判断することができる。そして、列車の現在の進行方向の変化の度合いと、線路マップ上の線路の曲がり具合とが異なっている場合、列車の現在の進行方向の変化の度合いが、線路マップ上の線路の曲がり具合と一致するように、列車の現在位置を補正するようにしてもよい。
また、現在位置演算部3dにて列車の現在位置を演算する場合、左右方向の加速度が加速度センサ6b,6cにてそれぞれ検出された時の順序および時間差を求め、それらの順序および時間差に基づいて、列車が通り抜けた線路がどのような曲線であるかを判断したり、ホームの入線番線を判断したりするようにしてもよい。
そして、現在位置演算部3dにて列車の現在位置が演算されると、その演算結果は、列車位置情報5Dとして車内案内表示装置20に入力される。
図14は、図13の列車の進行状況と加速度センサ6a〜6cにかかる加速度との関係を線路マップと対比して示す平面図である。図14において、列車が直線状の線路PL上でB駅に向けてA駅ホームを出発したものとする。この場合、列車は直線的に加速されることから、加速度センサ6aにて後方向の加速度αが検出されるとともに、加速度センサ6b,6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、列車がA駅ホームを出発した後、加速度αの積算処理を行うことにより、A駅ホームからの列車の走行距離を求めることができる。そして、A駅ホームを基点として、その走行距離に対応した分だけ線路マップMPの線路VL上を移動した点P0を求めることで、列車の現在位置を測定することができる。
また、列車が実際の線路PL上の地点Cに差し掛かると、先ず車両1aが右方向に向きを変え、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出される。そして、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されると、図13の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、右方向への旋回角を求めることができる。
ここで、この時の線路マップMP上での列車の現在位置がP1であるものとすると、図13の現在位置演算部3dは、線路マップMP上での列車の現在位置P1において、線路マップMP上での線路VLが、加速度センサ6bからの信号より求めた旋回角分だけ右方向に曲がっているかどうかを判断することができる。そして、線路マップMP上での列車の現在位置P1において、線路マップMP上での線路VLが、加速度センサ6bからの信号より求めた旋回角分だけ右方向に曲がっていない場合、加速度センサ6bからの信号より求めた旋回角分だけ右方向に線路VLが曲っている点P2を線路マップMP上で求めることができる。そして、列車が実際の線路PL上の地点Cに差し掛かった場合、線路マップMPの線路VL上の点P2に列車の現在位置が対応するように、列車の現在位置を補正することができる。
図15(a)から図15(d)は、図13の列車が分岐線(2番線)に進入したときの列車の進行状況と加速度センサ6b,6cにかかる加速度との関係を示す平面図である。図15(a)において、列車が実際の線路上の右曲線に差し掛かると、先ず車両1aが右方向に向きを変え、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されるとともに、加速度センサ6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されると、図13の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1aの右方向への旋回角を求めることができる。
つぎに、図15(b)において、列車がさらに走行し、2番線に進入したものとすると、車両1aが左方向に向きを変え、加速度センサ6bにて右方向の加速度γが検出されるとともに、加速度センサ6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6bにて右方向の加速度γが検出されると、現在位置演算部3dは、加速度γの積算処理を行うことにより、車両1aの左方向への旋回角を求めることができる。
つぎに、図15(c)において、列車がさらに進入したものとすると、最後尾の車両1cが右方向に向きを変え、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出されるとともに、加速度センサ6bにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出されると、現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1cの右方向への旋回角を求めることができる。
そして、列車がさらに走行したものとすると、車両1aは直進し、加速度センサ6bにて検出される左右方向の加速度は0となる一方、車両1cが左方向に向きを変え、加速度センサ6cにて右方向の加速度が検出される。現在位置演算部3dは、この右方向の加速度の積算処理を行うことにより、車両1cの左方向への旋回角を求めることができる。
つぎに、図15(d)において、列車がさらに走行したものとすると、列車は直線状の線路上を進むようになり、加速度センサ6b,6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。
図16(a)から図16(e)は、図13の列車が分岐線(3番線)に進入したときの列車の進行状況と加速度センサ6b,6cにかかる加速度との関係を示す平面図である。図16(a)において、列車が実際の線路上の右曲線に差し掛かると、先ず車両1aが右方向に向きを変え、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されるとともに、加速度センサ6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されると、図13の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1aの右方向への旋回角を求めることができる。
つぎに、図16(b)において、列車がさらに走行し、3番線に進入したものとすると、車両1aが左方向に向きを変え、加速度センサ6bにて右方向の加速度δが検出されるとともに、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出される。そして、加速度センサ6bにて右方向の加速度δが検出されると、現在位置演算部3dは、加速度δの積算処理を行うことにより、車両1aの左方向への旋回角を求めることができる。また、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出されると、現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1cの右方向への旋回角を求めることができる。
つぎに、図16(c)において、列車がさらに走行したものとすると、車両1a,1cはそれぞれ直線上を進むようになり、加速度センサ6b,6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。
つぎに、図16(d)において、列車がさらに進入したものとすると、最後尾の車両1cが左方向に向きを変え、加速度センサ6cにて右方向の加速度δが検出される。そして、加速度センサ6cにて右方向の加速度δが検出されると、現在位置演算部3dは、加速度δの積算処理を行うことにより、車両1cの左方向への旋回角を求めることができる。
そして、図16(e)において、列車がさらに走行したものとすると、列車は直線状の線路上を進むようになり、加速度センサ6b,6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。
ここで、列車が2番線に進入したときには、図15(b)および図15(c)に示すように、加速度センサ6bにて右方向の加速度γが検出されてから、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出される。一方、列車が3番線に進入したときには、図16(b)に示すように、加速度センサ6bにて右方向の加速度δが検出される前に、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出される。このため、列車が2番線に進入したときと3番線に進入したときとでは、加速度センサ6b,6cにてそれぞれ検出される左右の加速度の順序および時間が異なるようになる。従って、図13の現在位置演算部3dは、左右方向の加速度が加速度センサ6b,6cにてそれぞれ検出されたときの順序および時間差を求めることで、ホームの入線番線を判断することができる。
また、加速度センサ6bにて左右方向の加速度が検出された後、列車がどれだけ進行した後に、加速度センサ6bにて検出されたのと同一の加速度が加速度センサ6cにて検出されたかを判断することにより、どのような曲線を列車が通り抜けたかを判断することができる。なお、例えば列車が直線的に進入する場合(図15、図16の例であれば、1番線側にプラットホームが存在し、この1番線に進入するような場合)、加速度センサ6b,6c共に加速度は検出されないが、プラットホームに進入したか否かは、自動列車制御装置(ATC)や自動列車停止装置(ATS)などの列車保安装置からの情報により判断できるので、列車が直線的に進入する場合であっても、駅構内に進入したか否かの判定は可能である。
したがって、停車駅のプラットホームの構造が複雑であっても、駅構内の何れの番線に進入したかの判定を行うことができ、開扉方向を特定するための情報をシステム的に入手して車両内の表示器に表示することが可能となる。
ここで、加速度センサ6b,6cの位置について言及する。加速度センサ6b,6cを同一編成の列車内でなるべく離れるように設置すれば、加速度が検出される時刻を分離することができるので、検出精度が向上するという利点がある。一方、開扉方向の決定時刻は、列車の後方側に位置する加速度センサ6cの検出時刻に依存する。よって、加速度センサ6cの位置は、可能な限り前方にある方が好ましい。したがって、加速度センサ6b,6cの位置は、検出精度に影響を与えない程度に適度に離間して設置し(例えば、互いに異なる車両)、且つ、進行方向に向かって可能な限り前方側(例えば、1両目および2両目)に設置するのがよい。
図17は、本発明の実施の形態3に係る車内案内表示装置と連係する列車位置測定装置の動作を示すフローチャートである。図17において、列車位置測定装置3の電源がオンされると(ステップST100)、始発駅を発車する前に方向転換操作が行われ(ステップST101)、GPS受信機が起動される(ステップST102)。
そして、GPS衛星15a,15bから送られたGPS信号がGPS受信アンテナ2にて受信され、電波測位部3aに送られる(ステップST103)。そして、電波測位部3aは、GPS衛星15a,15bからのGPS信号に基づいて現在位置の経度および緯度を測位し(ステップST104)、現在位置の経度および緯度をマップマッチング処理部3cに送る。
そして、マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置の経度および緯度を線路マップ上の線路の位置と照合する(ステップST105)。そして、電波測位部3aにて測位された現在位置の経度および緯度が線路マップの線路上に合致するように補正することで、列車の現在位置を算出し、その現在位置を線路マップ上の起点として設定する(ステップST106)。
つぎに、現在位置演算部3dは、加速度センサ6aからの入力があるか否かを判断し(ステップST107)、加速度センサ6aからの入力があった場合、電波測位部3aはトラッキングモードでの測位を行う(ステップST108)。ここで、現在位置演算部3dは、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果とともに、加速度センサ6aによる加速度の検出結果を補助的に用いることができる。
つぎに、現在位置演算部3dは、加速度センサ6aからの入力があるか否かを判断し(ステップST109)、加速度センサ6aからの入力があった場合、加速度センサ6aにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST110)、列車の走行距離を算出する。
つぎに、現在位置演算部3dは、加速度センサ6bからの入力があるか否かを判断し(ステップST111)、加速度センサ6bからの入力があった場合、加速度センサ6bにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST112)、列車の旋回角を算出する。
つぎに、現在位置演算部3dは、加速度センサ6cからの入力があるか否かを判断し(ステップST113)、加速度センサ6cからの入力があった場合、加速度センサ6cにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST114)、列車の旋回角を算出する。
つぎに、列車が停車したかどうかを判断し(ステップST115)、列車が停車していない場合、GPSトラッキング測位結果、加速度センサ6aからの入力より求めた列車の走行距離、加速度センサ6b,6cからの入力より求めた横方向の加速度、横方向の加速度がかかる時間、前後の車両で横方向の加速度がかかる時間差などに基づいて、列車の現在位置を更新し(ステップST116)、その現在位置を線路マップ上の線路の位置と照合することで、線路マップ上での列車の現在位置を測定し(ステップST117)、現在位置の情報を列車位置情報として車内案内表示装置20に通報する(ステップST108)。
例えば、加速度センサ6aからの入力があった場合、加速度センサ6aからの入力より列車の走行距離を求め、その走行距離に対応した分だけ線路マップ上での列車の位置を更新することで、列車の実際の現在位置を測定する。
また、加速度センサ6bからの入力があった場合、加速度センサ6bからの入力より横方向の加速度および横方向の加速度がかかる時間を算出する。そして、その算出結果から列車が現在走行している線路の曲がり具合を求め、その線路の実際の曲がり具合を線路マップ上での線路の曲がり具合と照合することで、列車の実際の現在位置を補正する。
さらに、加速度センサ6cからの入力があった場合、加速度センサ6b,6cからの入力より横方向の加速度、横方向の加速度がかかる時間および前後の車両で横方向の加速度がかかる時間差を算出する。そして、その算出結果から列車がどのような曲線の線路を通り抜けたかを判断し、列車が実際に通り抜けた線路の曲線を線路マップ上の線路の曲線と照合することで、列車の実際の現在位置を補正する。
そして、列車が停車するまで、ステップST108〜ST118の処理が繰り返される(ステップST115)。そして、列車が停車した場合、電波測位部3aは、GPS衛星15a,15bからのGPS信号に基づいて現在位置の経度および緯度を測位し(ステップST119)、列車の現在位置を更新する(ステップST120)。そして、マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置の経度および緯度が線路マップの線路上に合致するように列車の現在位置を補正する(ステップST121)。
つぎに、電源がオフされたかどうかを判断し(ステップST122)、電源がオフされない場合、列車が方向転換されるまで(ステップST123)、ステップST107〜ST122の処理を繰り返す。一方、列車が方向転換された場合、ステップST101に戻る。そして、電源がオフされるまで(ステップST122)、ステップST101〜ST123の処理を繰り返す。
なお、上述した実施の形態では、列車位置測定装置が3両編成の列車に搭載された場合を例にとって説明したが、3両編成の列車に限定されることなく、何両編成であってもよい。
また、上述した実施の形態では、列車の現在位置を測定するために、加速度センサ6a〜6cを用いる方法について説明したが、加速度センサ6aのみを用いるようにしてもよいし、加速度センサ6a、6bのみを用いるようにしてもよい。
上記の実施の形態では、列車の走行距離を求める方法として加速度センサ6a、6b、6cで検出された加速度の積分計算による場合を述べたが、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果と、加速度の積分結果のうち、線路マップの線路VLにより近い方の結果を選択して採用する方法を用いてもよい。
以上説明したように、実施の形態3の車内案内表示システムによれば、電波測位部による測位結果および列車の加速度の検出結果を用いることにより、列車位置情報を演算して車内案内表示装置に入力することとしたので、新たな地上装置を設けることなく、開扉方向を特定するための情報をシステム的に入手して車両内の表示器に表示することが可能となる。