[パッシブエントリシステムの一実施の形態の構成例]
図1は、本発明に係る車両のパッシブエントリシステムの一実施の形態の構成例を示す図である。
パッシブエントリシステムは、図1で示されるように、従来の主に鍵の役目を携帯機13(13−1乃至13−3のいずれか)に持たせ、車両11が携帯機13と通信することにより、携帯機13との通信結果から、ドアロックの開錠施錠、または、エンジンを始動させるためのイグニッション動作の受け付け等を管理するものである。尚、図1において、携帯機13−1乃至13−3を特に区別する必要がない場合、単に、携帯機13と称するものとし、その他の構成についても同様に称するものとする。
より具体的には、図1で示されるように、運転者が、従来の鍵と同様に携帯機13を所持し、車両11に接近しドアノブ12−1乃至12−4のいずれかを操作すると、車両11に設けられた車外通信部22−1または22−2から携帯機13と通信し、正規な携帯機13であると判定した場合、ドアロックを解除する。そして、さらに、ドアロックが解除されて、ドアが開放されると、車内通信部21−1,21−2が、携帯機13と通信し、イグニッション操作を受け付ける状態に入る。
これらの一連の動作により、運転者は、携帯機13を所持しているだけで、車両11に接近して、ドアノブを操作することで車両11のドアロックが解除され、さらに、ドアを開放して乗り込むと、イグニッション操作を受け付ける状態となるので、図示せぬスタートボタンを操作するだけで、イグニッション操作を実現することが可能となる。
また、イグニッション操作によりエンジンが始動されると、携帯機13と車両11とは、携帯機13の持ち出しを監視する携帯機監視処理を開始し、携帯機13が車両11から持ち出されたか否かを監視し、車両11から持ち出されたと判定されると、車両が警告を発する。これにより、携帯機を所持した搭乗者が、携帯機を所持していること自体を忘れて車両から離れたり、携帯機が盗難にあったような場合、直ちに警告がなされるので、携帯機13をリアルタイムで監視することが可能となる。
[車両および携帯機により実現される機能の構成例]
次に、図2の機能ブロック図を参照して、車両11、および携帯機13により実現される機能の構成例について説明する。
車両11は、車内通信部21、車外通信部22、およびECU(Electronic Control Unit)51より構成される。
車内通信部21−1,21−2は、図1で示されるように、車両11の前部座席中央部、および後部座席中央部にそれぞれ設けられている。車内通信部21は、ECU51の車内信号発信制御部81により制御されている。車内通信部21は、車内信号発信部61を制御して、車内信号を車内用アンテナ部62より携帯機13に向けて送信させる。車内用アンテナ部62は、図1中の一点鎖線で示される車内の指向範囲についてLF波(Low Frequency Wave)で車内信号を送信する指向性アンテナである。また、車内用アンテナ部62は、UHF波(Ultra High Frequency Wave)で、携帯機13より送信されてくる車内信号の応答信号を受信し、車内信号受信部63に供給する。車内信号受信部63は、ECU51の車内信号受信制御部82により制御され、車内用アンテナ部62により受信された車内信号を受信する。尚、以降においては、車内通信部21の車内用アンテナ部62により携帯機13からUHF波の信号の受信範囲についても図1中の1点鎖線で示される車内の指向範囲であるものとする。
車外通信部22−1,22−2は、それぞれ図1で示されるように、車両11のドアノブ12−1,12−2、およびドアノブ12−3,12−4の近傍に設けられている。車外通信部22は、ECU51の車外信号発信制御部86により制御されている。車外通信部22は、車外信号発信部71を制御して、車外信号を車外用アンテナ部72より携帯機13に向けて送信させる。車外用アンテナ部72は、図1中の点線で示される車外の指向範囲についてLF波で車外信号を送信する指向性アンテナである。また、車外用アンテナ部72は、UHF波で、携帯機13より送信されてくる車外信号の応答信号を受信し、車外信号受信部73に供給する。車外信号受信部73は、ECU51の車外信号受信制御部87により制御され、車内用アンテナ部62により受信された車内信号を受信する。尚、以降においては、車外通信部22の車外用アンテナ部72により携帯機13からUHF波の信号の受信範囲についても図1中の点線で示される車内の指向範囲であるものとする。
車内信号発信制御部81は、静止時信号発信制御部81a、および動作時信号発信制御部81bとからなり、エンジンが動作していない静止時の処理、すなわち、ドアロックの開錠動作、およびイグニッション受付動作については、静止時信号発信制御部81aを制御して処理を実行させ、エンジンが動作している動作時の処理、すなわち、携帯機監視処理については動作時信号発信制御部81bを制御して処理を実行させる。
車内信号発信制御部81は、静止時信号発信制御部81aを制御して、ドアノブ検出部83がドアノブ12の操作を検出すると、車内通信部21を制御して車内信号をLF波で携帯機13に発信させる。また、車内信号発信制御部81は、動作時信号発信制御部81bを制御して、携帯機13からの確認信号の要求に応じた確認信号管理部90からの確認信号を、車内通信部21を介して、車内信号としてLF波で携帯機13に発信させる。
車内信号受信制御部82は、静止時信号受信制御部82a、および動作時信号受信制御部82bとからなり、エンジンが動作していない静止時の処理、すなわち、ロックの施錠開錠、およびイグニッション受付動作については、静止時信号受信制御部82aを制御して処理を実行させ、エンジンが動作している動作時の処理、すなわち、携帯機監視処理については動作時信号受信制御部82bを制御して処理を実行させる。
車内信号受信制御部82は、静止時信号受信制御部82aを制御して、ドアノブ検出部83がドアノブ12の操作を検出すると、携帯機13よりUHF波で車内信号に対応して送信されてくる応答信号としてのイグニッション許可信号を受信させ、イグニッション制御部88に供給する。また、車内信号受信制御部82は、動作時信号受信制御部82bを制御して、車内通信部21を介して、携帯機13よりUHF波で車内信号に対応して送信されてくる確認信号の要求信号、および、確認信号に対する応答信号を受信させ、確認信号管理部90、および応答信号管理部91に供給する。
ドアノブ検出部83は、ドアノブ12の操作の有無を検出し、車内信号発信制御部81に供給する。ドア開放検出部84は、車両11のドアの開放を検出する。
エンジン動作状態監視部85は、図示せぬ車両のエンジンが動作しているか、停止しているか否かを監視し、動作状態が切り替わるとき、車内通信部21を介して携帯機13にエンジンの動作状態を示す動作状態信号を供給する。図示せぬエンジンは、セルモータ52により動作が開始される。
車外信号発信制御部86は、車外通信部22を制御して車外信号をLF波で携帯機13に発信させる。
車外信号受信制御部87は、車外通信部22を制御して携帯機13よりUHF波で車外信号に対応して送信されてくる応答信号としてロック解除信号を受信させ、ロック制御部89に供給する。
イグニッション制御部88は、車外信号受信制御部87よりイグニッション許可信号が供給されてくると、スタートボタン53の操作を受け付け、スタートボタン53が操作されるとエンジンを起動させるセルモータを回転させる。
ロック制御部89は、車内信号受信制御部82よりロック解除信号が供給されてくると、車両11のロック部54を動作させて、ドアロックを解除させる。
確認信号管理部90は、車内信号受信制御部82の動作時信号受信制御部82bより、車内通信部21を介して携帯機13より供給されてくる確認信号の要求に基づいて、車内信号確認信号を携帯機13に送信させる。
応答信号管理部91は、車内信号受信制御部82の動作時信号受信制御部82bより、車内通信部21を介して、確認信号に応じて、携帯機13より供給されてくる応答信号を受信させる。また、応答信号管理部91は、応答信号が受信できなかった場合、確認信号管理部90に対して再度確認信号の送信を要求すると共に、応答信号が受信できなかった回数をカウンタ91aに記憶する。さらに、応答信号管理部91は、応答信号が受信できなかった回数が所定回数以上である場合、警告処理部92を制御して、スピーカやディスプレイなどからなる警告装置55を動作させて、携帯機13が車外に持ち出されたことを警告させる。
携帯機13は、通信部101、制御部102、ウェイクアップ認識部103、および加速度センサ104より構成されており、車両11と通信することにより、車両11のロック部54を開錠、または施錠を制御し、スタートボタン53によるイグニッション動作の受け付けを制御すると共に、携帯機13の持ち出しを監視する。
通信部101は、制御部102により制御され、信号受信部111、送受信アンテナ部112、および信号送信部113より構成されている。通信部101は、信号受信部111を制御して、車両11の車内通信部21、または車外通信部22よりLF波で送信されてくる車内信号および車外信号を送受信アンテナ部112を介して受信する。通信部101は、受信した車内信号(確認信号、および動作状態信号を含む)または車外信号を制御部102、ウェイクアップ認識部103、および加速度センサ104に供給する。さらに、通信部101は、信号送信部113を制御して、送受信アンテナ部112を介して、制御部102より供給されてくるロック解除信号、イグニッション許可信号、確認信号要求信号、および応答信号をUHF波で車両11に送信する。
ウェイクアップ認識部103は、車内信号、および車外信号の先頭部分に含まれるウェイクアップデータが送信されてきたか否かを判定し、送信されてきた場合、制御部102の起動処理部133に供給し、制御部102を起動させる。
加速度センサ104は、エンジン動作状態判定部104aを備えており、車両11より送信されてくるエンジンの動作状態を示す動作状態信号に基づいて、エンジンが動作している場合、起動して加速度を計測すると共に、計測結果を加速度絶対値判定部137、加速度検出時間判定部138、および加速度変化頻度判定部139に供給する。また、加速度センサ104は、エンジンが停止している場合、動作を停止する。
信号発信制御部131は、静止時信号発信制御部131a、および動作時信号発信制御部131bから構成されている。信号発信制御部131は、エンジン停止時には、静止時信号発信制御部131aを制御して、ロック解除信号生成部135により生成されたロック解除信号、またはイグニッション許可信号生成部136により生成されたイグニッション許可信号を通信部101を介して、UHF波により車両11に送信させる。信号発信制御部131は、エンジン動作時には、動作時信号発信制御部131bを制御して、確認信号管理部140により生成される確認信号要求信号、および応答信号管理部141により生成される応答信号を通信部101を介して、UHF波により車両11に送信させる。
信号受信制御部132は、静止時信号受信制御部132a、および動作時信号受信制御部132bから構成されている。信号受信制御部132は、エンジン停止時には、静止時信号受信制御部132aを制御して、通信部101を介して、車両11より送信されてくる車外信号、または車内信号を受信させ、受信した車外信号、および車内信号をデータ認識部134に供給する。信号受信制御部132は、エンジン動作時には、動作時信号受信制御部132bを制御して、通信部101を介して、車両11より送信されてくる車内信号である、確認信号を受信させ、受信した車内信号である確認信号をデータ認識部134に供給する。
起動処理部133は、ウェイクアップ認識部103からの起動指令に基づいて、図示せぬ電源より電力の供給を開始し、制御部102を起動させる。
データ認識部134は、信号受信制御部132より供給されてくる車内信号(確認信号を含む)および車外信号を認識し、車外信号である場合、ロック解除信号生成部135を制御してロック解除信号を生成させる。一方、データ認識部134は、静止時の車内信号である場合、イグニッション許可信号生成部136を制御してイグニッション許可信号を生成させる。また、データ認識部134は、動作時には、信号受信制御部132より供給されてくる確認信号を認識し、応答信号管理部141に供給する。
加速度絶対値判定部137は、加速度センサ104の計測結果である加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きいか否かを判定し、判定結果を確認信号管理部140に供給する。
加速度検出時間判定部138は、加速度センサ104の計測結果である加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きい状態が継続して検出されている期間が所定期間Tよりも長いかか否かを判定し、判定結果を確認信号管理部140に供給する。
加速度変化頻度判定部139は、加速度センサ104の計測結果である加速度Gの値の正負が反転する頻度を計測し、所定の頻度よりも高いかにより加速度Gが安定しているか否かを判定し、判定結果を確認信号管理部140に供給する。
確認信号管理部140は、加速度絶対値判定部137、加速度検出時間判定部138、および、加速度変化頻度判定部139の判定結果に基づいて、加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きく、かつ、加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きい状態が所定期間以上継続し、かつ、加速度Gの値の正負が反転する頻度が所定の頻度よりも高い場合、信号発信制御部131に、通信部101より確認信号を要求する、確認信号要求信号を車両11に送信させる。
応答信号管理部141は、確認信号要求信号に基づいて、車両11より送信されてきた確認信号を信号受信制御部132を介して受信すると、信号発信制御部131に、通信部101より確認信号に対応する応答信号を車両11に送信させる。
[図2の車両および携帯機による車両通信処理]
次に、図3のフローチャートを参照して、図2の車両11、および携帯機13による、ロックの開錠動作、およびイグニッション受付動作を含む車両通信処理について説明する。
ステップS11において、ドアノブ検出部83は、ドアノブ12−1乃至12−4のいずれかが操作されて、車両のドアノブ12が引かれたか否かを判定し、ドアノブ12が引かれたと判定されるまで同様の処理を繰り返す。
ステップS11において、例えば、図1のドアノブ12−1が操作されて、ドアノブが引かれたと判定された場合、ステップS12において、ドアノブ検出部83は、ドアノブが引かれたことを車内信号発信制御部81に通知する。この時点では、図示せぬエンジンは停止状態であるので、車内信号発信制御部81は、静止時信号発信制御部81aを制御して、車内通信部21より車内信号を送信させる。これにより、車内通信部21−1,21−2の車内信号発信部61は、車内用アンテナ部62よりLF波により車内信号を、例えば、図1における一点鎖線で示される範囲Z1−1,Z1−2に向けて送信する。
ステップS13において、ドア開放検出部84は、車両11のドアが開放されているか否かを判定し、例えば、運転者が車両11に接近し、ドアノブ12を引いたが扉が開放されていない場合、ステップS14において、車外信号発信制御部86は、車外通信部22を制御して、車外信号を送信させる。これにより、車外通信部22の車外信号発信部71は、車外用アンテナ部72よりLF波により車外信号を、図1における点線で示される範囲Z2−1,Z2−2に向けて送信する。
また、ステップS13において、ドアが開放されていると判定された場合、ステップS14の処理がスキップされる。すなわち、ドアが開放されているとき、車外信号は送信されない状態となる。
さらに、ステップS31において、ウェイクアップ認識部103は、通信部101の送受信アンテナ部112が信号受信部111により制御されて、車外信号、または車内信号が受信され、その先頭データであるウェイクアップデータが受信されたか否かを判定する。
例えば、今の場合、図1における携帯機13−1で示されるように、車外通信部22−1からの車外信号の送信範囲として示されている点線で示された範囲Z2−1,Z2−2の範囲外に存在するような場合、車外信号が受信されることはないので、当然にウェイクアップデータが受信されないものとして判定され、処理は、ステップS37に進む。
また、例えば、図1における携帯機13−2で示されるように、範囲Z2−1内に存在するような場合、車外信号が受信されることになるので、ウェイクアップデータが受信されたものとして判定され、処理は、ステップS32に進む。
ステップS32において、ウェイクアップ認識部103は、制御部102の起動処理部133に対して制御部102の起動を指示する。これにより、起動処理部133は、制御部102への通電をオンにさせることにより起動させ、実質的に、携帯機13を起動させる。
ステップS33において、データ認識部134は、信号受信制御部132により通信部101を介して受信されるデータが車外信号であるか否かを判定させる。
例えば、図1で示されるように、範囲Z2−1にしか属していない携帯機13−2であるような場合、車内通信部21からの車内信号は受信不能であり、逆に、車外通信部22からの車外信号は受信可能であるので、車外信号が受信されることになり、処理は、ステップS34に進む。
ステップS33において、データ認識部134は、送信されてきている信号が車外信号であることを認識するため、ステップS34において、ロック解除信号生成部135に対してロック解除信号の生成を指示する。これにより、ロック解除信号生成部135は、ロック解除信号を生成し、信号発信制御部131に供給する。信号発信制御部131は、静止時信号発信制御部131aを制御して、通信部101より車両11に対してロック解除信号を送信させる。より詳細には、信号発信制御部131は、静止時信号発信制御部131aを制御して、通信部101の信号送信部113にロック解除信号を供給し、送受信アンテナ部112よりUHF波で車両11に対してロック解除信号を送信させる。
ステップS15において、車外信号受信制御部87は、静止時信号受信制御部82aを制御して、車外通信部22によりUHF波でロック解除信号が送信されてきたか否かを判定する。例えば、ステップS34の処理によりロック解除信号が送信されてきた場合、ステップS16において、車外信号受信制御部87は、静止時信号受信制御部82aを制御して、車外通信部22でロック解除信号を受信させ、ロック制御部89に供給する。ロック制御部89は、供給されてきたロック解除信号が、正規の携帯機13のものであることを確認した後、ロック部54を制御して、ロックを解除し、ドアノブ12が引かれることによりドアを開放する。
以上の処理により、正規な携帯機13を所持しない第三者によるドアロックの開錠を禁止しつつ、正規な携帯機13を所持する運転者だけは、開錠操作を一切することなく、車両11のドアノブを引くだけで、ドアロックを解除してドアを開放することが可能となり、車両11に乗り込むことが可能となる。
また、正規な携帯機13を所持した運転者は、ドアを開けて車両11に乗り込んだ場合、例えば、図1の携帯機13−3で示されるように、車内通信部21により送信されてくる車内信号のみを受信する状態となる。また、ドアが開放されると、ステップS14の処理がスキップされることにより、車内信号のみが送信されてくることになる。したがって、ステップS33において、受信されるデータは、車外信号ではないと判定され、ステップS34の処理がスキップされる。
そして、ステップS35において、データ認識部134は、信号受信制御部132の静止時信号受信制御部132aにより通信部101を介して受信されるデータが車内信号であるか否かを判定させる。
例えば、図1で示されるように、範囲Z1−1にしか属していない携帯機13−3であるような場合、車内信号は受信可能であるが、車外信号は受信できないことになるので、処理は、ステップS36に進む。
ステップS35において、データ認識部134は、送信されてきている信号が車内信号であることを認識するため、ステップS36において、イグニッション許可信号生成部136に対してイグニッション許可信号の生成を指示する。これにより、イグニッション許可信号生成部136は、イグニッション許可信号を生成し、信号発信制御部131に供給する。信号発信制御部131は、静止時信号発信制御部131aを制御して、通信部101より車両11に対してイグニッション許可信号を送信させる。より詳細には、信号発信制御部131は、通信部101の信号送信部113にイグニッション許可信号を供給し、送受信アンテナ部112よりUHF波で車両11に対してイグニッション許可信号を送信させる。
ステップS15において、例えば、ステップS36の処理によりイグニッション許可信号が送信されてきた場合、ロック解除信号ではないので、ステップS16の処理がスキップされて、処理は、ステップS17に進む。
ステップS17において、車内信号受信制御部82は、静止時信号受信制御部82aを制御して、車内通信部21においてUHF波でイグニッション許可信号が送信されてきたか否かを判定する。例えば、ステップS36の処理によりイグニッション許可信号が送信されてきた場合、処理は、ステップS18に進む。
ステップS18において、車内信号受信制御部82は、静止時信号受信制御部82aを制御して、車内通信部21を介して、送信されてきたイグニッション許可信号を受信し、イグニッション制御部88に供給する。イグニッション制御部88は、供給されてきたイグニッション許可信号が、正規の携帯機13のものであることを確認した後、スタートボタン53の操作を受け付ける状態に制御する。この結果、スタートボタン53が操作されると、イグニッション制御部88は、セルモータ52を回転させるので、エンジンを始動させることが可能となる。
以上の処理により、正規の携帯機13を所持しない不正な第三者によるエンジン始動を禁止しつつ、正規の携帯機13を所持した運転者のみが、ドアロックを解除して運転席に着座するだけで、スタートボタン53によるエンジンの始動を可能にすることができる。
ステップS19において、車内信号発信制御部81の静止時信号発信制御部81aは、所定回数車内信号を送信したか否かを判定し、所定回数送信していない場合、処理は、ステップS12に戻る。すなわち、所定回数だけステップS12乃至S19の処理が繰り返される。
そして、ステップS19において、所定回数送信された場合、処理は、ステップS11に戻る。
結果として、車両に接近した運転者が、ドアノブを引いた後、ドアロックが開錠され、さらに、物理的にドアが開放されるまでの間に全ての処理を完了させることができるので、ドアロックにより第三者によるドアの開放を禁止しつつも、正規の携帯機を携帯する運転者だけが、一連の処理を意識することなく、ドアロックを解除してドアを開放することが可能となる。
一方、ステップS31において、ウェイクアップデータが受信されないと判定された場合、ステップS37において、ウェイクアップ認識部103は、ウェイクアップデータが受信できない状態となってから所定時間が経過したか否かを判定する。例えば、所定時間が経過していない場合、処理は、ステップS31に戻る。また、ステップS37において、所定時間が経過したと判定された場合、ウェイクアップ認識部103は、制御部102の起動処理部133にその旨を通知する。これにより、起動処理部133は、図示せぬ制御部102の動作を停止する。この処理により、所定時間操作がなされない場合、携帯機13の電力供給が停止されるので、携帯機13の消費電力を低減させることが可能となる。
[図2の車両および携帯機による携帯機監視処理]
次に、図4のフローチャートを参照して、図2の車両11、および携帯機13による、携帯機監視処理について説明する。
ステップS51において、エンジン動作状態監視部85は、図示せぬエンジンが始動されたか否かを判定し、始動されたと判定されるまで、同様の処理を繰り返す。ステップS51において、例えば、図3を参照した処理によりイグニッションが受け付けられた状態で、スタートボタン53が操作されるなどして、イグニッション制御部88がセルモータ52を駆動させてエンジンを始動させた場合、エンジンが始動されたものと判定され、処理は、ステップS52に進む。
ステップS52において、エンジン動作状態監視部85は、車内信号発信制御部81に対してエンジンが始動したことを通知する。車内信号発信制御部81は、エンジンが始動したことを示す通知を受けると、動作時信号発信制御部81bを制御して、車内通信部21を介して、LF波で携帯機13にエンジン始動を通知する。
ステップS81において、携帯機13の加速度センサ104のエンジン動作状態判定部104aは、通信部101を介して、エンジン始動の通知が送信されてきたか否かを判定し、エンジン始動が通知されてくるまで同様の処理を繰り返す。ステップS81において、例えば、ステップS52の処理により、エンジン始動が通知されてくると、ステップS82において、エンジン動作状態判定部104aは、加速度センサ104を起動させると共に、加速度の計測を開始させる。そして、加速度センサ104は、計測結果を制御部102の加速度絶対値判定部137、加速度検出時間判定部138、および加速度変化頻度判定部139に順次供給する。
ステップS83において、加速度絶対値判定部137は、加速度センサ104より計測された加速度Gの絶対値|G|を求め、加速度の絶対値|G|が所定値gthよりも大きいか否かを判定する。ステップS83において、例えば、加速度の絶対値|G|が所定値gthよりも大きいと判定された場合、すなわち、携帯機13が移動を開始したとみなされた場合、処理は、ステップS84に進む。
ステップS84において、加速度検出時間判定部138は、加速度の絶対値|G|が所定値gthよりも大きい状態が計測されている期間(時間)を計測し、所定期間Tよりも長いか否かを判定する。ステップS84において、例えば、加速度の絶対値が所定値gthよりも大きい状態が計測されている期間が、所定期間Tよりも長い場合、すなわち、携帯機13の移動が継続的なものであるとみなされた場合、処理は、ステップS85に進む。
ステップS85において、加速度変化頻度判定部139は、加速度の正負が反転する頻度が所定頻度よりも低く安定しているか否かを判定する。ステップS85において、加速度の正負が反転する頻度が所定頻度よりも低く安定していると判定された場合、すなわち、不整地走行などがなされておらず、頻繁に加速度の方向が変化していないとみなされた場合、処理は、ステップS86に進む。
ステップS86において、確認信号管理部140は、信号発信制御部131に対して、車両11に確認信号を要求する確認信号要求信号を送信させる。すなわち、確認信号管理部140は、携帯機13の加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きく、かつ、加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きい状態が所定期間よりも長く継続し、かつ、不整地走行などなされるなどしておらず、安定した方向に移動しているとみなされた場合、信号発信制御部131は、動作時信号発信制御部131bを制御して、通信部101より確認信号要求信号を送信する。
ステップS53において、応答信号管理部91は、カウンタ91aのカウント値nを初期化して0にする。
ステップS54において、確認信号管理部90は、車内信号受信制御部82を制御して、確認信号要求信号が送信されてきたか否かを判定する。これにより、確認信号管理部90は、車内信号受信制御部82が、動作時信号受信制御部82bを制御して、車内通信部21を介して確認信号要求信号が受信されたか否かを判定する。
ステップS54において、例えば、ステップS86の処理により、確認信号要求信号が送信されているので、例えば、図1の携帯機13−3で示されるような、範囲Z1−1に属している場合、確認信号要求信号は、車内通信部21−1により受信可能であるので、処理は、ステップS55に進む。
ステップS55において、車内信号受信制御部82は、動作時信号受信制御部82bを制御して、車内通信部21によりUHF波で、確認信号要求信号を受信し、確認信号管理部90に供給する。これに応じて、確認信号管理部90は、確認信号を生成し、車内信号発信制御部81に供給し、車内通信部21を介して、LF波により携帯機13に対して確認信号を送信させる。
ステップS87において、応答信号管理部141は、信号受信制御部132を制御して、通信部101を介して、LF波で確認信号が送信されてきたか否かを判定する。より詳細には、応答信号管理部141は、信号受信制御部132が動作時信号受信制御部132bを制御して、通信部101の送受信アンテナ112、および信号受信部111を介して、LF波で確認信号が送信されてきたか否かを判定する。
ステップS87において、例えば、ステップS55の処理により確認信号が送信されてきた場合、例えば、図1の携帯機13−3で示されるような、範囲Z1−1に属している場合、確認信号要求信号に対応する確認信号は、携帯機13−3により受信可能であるので、処理は、ステップS88に進む。
ステップS88において、応答信号管理部141は、信号受信制御部132を制御して、通信部101を介して、LF波で確認信号が送信されてきた場合、確認信号を受信すると共に、確認信号に対応した応答信号を生成し、信号発信制御部131に供給する。信号発信制御部131は、動作時信号発信制御部131bを制御して、通信部101を制御して、UHF波で応答信号を車両11に送信する。
ステップS56において、応答信号管理部91は、車内信号受信制御部82を制御して、車内通信部21を介して、携帯機13より応答信号が送信されてきたか否かを判定する。ステップS56において、例えば、図1の携帯機13−1,13−2で示されるような、範囲Z1−1,Z1−2のいずれにも属さず、ステップS88の処理により応答信号が送信されても、携帯機13からの応答信号が車内通信部21により受信できない場合、処理は、ステップS57に進む。
ステップS57において、応答信号管理部91は、カウンタ91aのカウント値nを1インクリメントする。
ステップS58において、応答信号管理部91は、カウンタ91aのカウント値nが所定回数以上であるか否かを判定し、例えば、所定回数ではない場合、処理は、ステップS55に戻る。すなわち、応答信号が受信できない場合、ステップS55乃至S58の処理が繰り返されて、確認信号が繰り返し携帯機13に送信され続ける。
この場合、例えば、上述したように、例えば、図1の携帯機13−1,13−2で示されるような、範囲Z1−1,Z1−2のいずれにも属さず、ステップS88の処理により応答信号が送信されても、携帯機13からの応答信号が車内通信部21により受信できないとき、カウンタ91aのカウント値nが処理回数に応じてインクリメントされ続けることになる。
そして、ステップS58において、カウンタ91aのカウント値nが所定回数以上であると判定された場合、ステップS59において、警告処理部92は、警告装置55を制御して、音声、または、画像により携帯機13が車両11の車外に持ち出されたことを警告する。
一方、ステップS56において、例えば、例えば、図1の携帯機13−3で示されるような、範囲Z1−1に属し、ステップS88の処理により応答信号が送信されることにより、携帯機13からの応答信号が車内通信部21により受信できるとき、ステップS57乃至S59の処理がスキップされる。
すなわち、携帯機13が車内に存在することが認識されるので、警告処理が実行されない。
ステップS60において、エンジン動作状態監視部85は、エンジンが停止したか否かを判定し、例えば、停止していないと判定された場合、処理は、ステップS53に戻る。すなわち、エンジンが動作している限り、ステップS53乃至S60の処理が繰り返される。そして、ステップS60において、エンジンが停止したと判定された場合、ステップS61において、エンジン動作状態監視部85は、車内信号発信制御部81に対して、動作時信号発信制御部81bを制御して、車内通信部21よりエンジン停止を携帯機13に通知させ、処理は、ステップS11に戻る。
ステップS89において、加速度センサ104のエンジン動作状態判定部104aは、信号受信制御部132に対して動作時信号受信制御部132bを制御させて、エンジンの停止が通知されてきたか否かを判定させる。ステップS89において、例えば、ステップS61の処理によりエンジン停止が通知されてきた場合、ステップS90において、エンジン動作状態判定部104aは、加速度センサ104の動作を停止させて、ステップS81の処理に戻る。すなわち、携帯機監視処理を終了する。
一方、ステップS83において、加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きくないと判定された場合、ステップS84において、加速度Gの絶対値|G|が所定値よりも大きい状態が所定期間T以上継続していない、または、ステップS85において、加速度Gの正負の反転の頻度が所定の頻度よりも高く、不安定であると判定された場合、携帯機の持ち出しがされていない、または、不整地走行などにより加速度の正負が頻繁に反転しているものとみなし、ステップS86乃至S89の処理がスキップされる。
また、ステップS87において、確認信号が送信されてこないと判定された場合、ステップS91において、所定時間が経過したか否かが判定され、所定時間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS86に戻る。そして、ステップS91において、所定時間が経過した場合、処理は、ステップS89に進む。
すなわち、確認信号要求信号に基づいて確認信号が所定時間以上送信されてこない場合、車両11が携帯機13と通信できない距離に存在する可能性が高いので、一旦処理を打ち切る。
以上の処理により、携帯機自身が、加速度Gの絶対値|G|が所定値gthよりも大きい状態が所定期間T以上継続し、その正負が反転するといったことがなく安定した状態が継続したとき、携帯機13が車外に持ち出されたものとみなし、車両に対して通信を開始するようにしたので、携帯機の持ち出しを監視する際に、リアルタイムでの監視を実現できるようにすると共に、電力消費を節減することが可能となる。
ところで、上述した一連の監視処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
図5は、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブルメディア1011から読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
尚、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。