JP5267752B1 - 溶接機 - Google Patents

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Abstract

本発明は、溶接条件に関する知識をあまり有しない作業者でも、容易に溶接条件の設定を行い、溶接パラメータを決定できる溶接機をより安価に実現したものである。
複数の溶接関連情報(B,C)を選択して決定することで溶接条件を決定する機能を備えた溶接機であって、操作部(2)に文字表示用の液晶表示部を使用する代わりに、複数のセグメントを備えたLED(A1〜A3)を複数個使用する。切換部(4)および決定部(5)の操作により、特定の溶接関連に対応したLEDのセグメントの点灯が切り替わり、作業者による溶接条件の入力が可能となる。全ての溶接条件の入力が完了すれば、入力した溶接条件に最適な溶接パラメータが決定されて表示される。

Description

本発明は、例えばアークを発生させて加工対象物を加工する装置、特にデジタル制御を行う溶接機に関する。
近年、機器の高性能化や高機能化に対応するため、溶接機の電力制御回路、ガス制御回路およびスタート制御回路などの制御回路は、プログラム可能な素子で構成されている。そして、溶接機はソフトウェアで制御されることが一般的となっており、デジタル制御溶接機(以下、「デジタル溶接機」と称する。)として普及している。
このデジタル溶接機は、複数の溶接方法を備え、各々の溶接方法に対して詳細な条件設定が可能となっている。例えば、溶接方法に関しては、加工対象物が鉄やステンレスの場合に出力を直流出力とする直流溶接モードや、加工対象物がアルミニウムの場合に出力を交流出力とする交流溶接モードがある。また、溶接方法に関しては、加工対象物の状態に応じて出力をパルス波形とするパルス溶接法など、さまざまな溶接方法がある。また、詳細な条件設定に関しては、加工対象物の厚みや溶接姿勢などに応じて出力電流、パルス周波数およびパルス幅などを変化させる必要があり、その条件パラメータは膨大である。
デジタル溶接機では、これらの多くのパラメータを設定するため、通常、ジョグダイヤルと呼ばれるエンコーダーや、LED表示部、さらには条件設定用の複数のスイッチを備えている。そして、これらのパラメータの設定は、作業者の知識と経験、または、取扱説明書などの施工条件を参考に設定される。
加えて、最近のアーク溶接機では、操作部に液晶表示部などの文字表示部を備えているものもある。そのアーク溶接機では、液晶表示の指示に従いながら、作業者が加工対象物や溶接姿勢などに対応した溶接の条件を設定する。これにより、アーク溶接機は、その溶接条件に一般的に適切である溶接方法や溶接電流などのパラメータを設定できるような機能を有している。このアーク溶接機を使用することによって、溶接熟練者でなくても、簡単に、作業者の行う溶接条件のパラメータを設定することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
以下、従来の溶接機について、図14を参照しながら説明する。図14は、従来の溶接機の操作部の概略構成を示す平面図である。
図14に示すように、アーク溶接機は、操作部に英数字などを表示するためのLED表示部21と、文字情報を表示するための液晶表示部22と、条件設定用のジョグダイヤル23と、条件設定用のスイッチ部24と、を備えている。
以上のように構成された従来のアーク溶接機について、その動作を説明する。
作業者は、スイッチ部24の操作により、溶接条件の項目を選択し、ジョグダイヤル23の操作により溶接条件の項目に対する数値を設定する。設定した数値はLED表示部21に表示され、確認することができる。そして、作業者は、この操作を繰り返し行い、目的とする溶接に必要な条件を全て設定し、その後に溶接を開始する。
また、溶接条件を導きだす機能がついている溶接機の場合は、まず作業者がスイッチ部24で、溶接条件を導き出すモードを選択する。すると、液晶表示部22の表示が、加工対象物などの条件設定の状態に切り替わる。そこから、作業者は、作業者が行う溶接設定をジョグダイヤル23とスイッチ部24を操作しながら決定して入力していく。これにより、最終的にその設定に適した溶接条件がLED表示部21に表示される。
しかしながら、従来のアーク溶接機では、複数の溶接関連情報を選択して決定することで溶接条件を決定する機能を備えた溶接機の場合、そのパラメータの多さから、液晶表示や、溶接方法設定用に複数のスイッチなどが必要となってしまい、高価であった。
特開2010−201499号公報
本発明は、簡単な構成で、かつ、溶接作業の初心者でも容易に最適な溶接条件を設定できる安価な溶接機を提供する。
上記課題を解決するための、本発明の溶接機は、複数の溶接関連情報を選択して決定することで溶接条件を決定する機能を備えた溶接機であって、表示部と、情報部と、切換部と、決定部と、を備え、上記切換部と上記決定部を操作することで溶接関連情報を選択して決定する構成からなる。ここで、表示部は、複数のセグメントを有するLEDを複数個備えている。情報部は、セグメント部に対応する位置に設けられており、セグメント部が点灯することで特定される溶接関連情報を表示する。切換部は、点灯するセグメント部を切り換えることで、情報部の特定される溶接関連情報を切り換える。決定部は、セグメント部が点灯している際に操作することで点灯しているセグメント部に対応する溶接関連情報を決定する。
この構成により、LED表示部を見ながら、切換部と決定部の操作を行うだけで溶接関連情報の設定が可能であり、簡単に最適な溶接条件を設定することが可能となる。これにより、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも溶接条件の設定を容易に行うことができる。
また、液晶表示部や溶接条件設定用の複数のスイッチが必要ないことから、操作部を簡素化でき、溶接機の生産時間の短縮や溶接機のコストダウンが可能である。
図1は、本発明の実施の形態1における溶接機の外観を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態1における溶接機の概略構成を示す構成図である。 図3は、本発明の実施の形態1における溶接機の操作部の概略構成を示す平面図である。 図4は、本発明の実施の形態1における溶接機の操作部の概略構成を示す平面図である。 図5は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図6は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図7は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図8は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図9は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図10は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図11は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図12は、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部の表示の一例を示す平面図である。 図13Aは、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部のLEDの表示の一例を示す平面図である。 図13Bは、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部のLEDの表示の一例を示す平面図である。 図13Cは、本発明の実施の形態1における溶接機の表示部のLEDの表示の一例を示す平面図である。 図14は、従来の溶接機の操作部の概略構成を示す平面図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の溶接機1について、図1から図13を用いて説明する。図1は、本実施の形態1における溶接機1の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態1における溶接機1の概略構成を示す構成図である。図3と図4は、本実施の形態1における溶接機1の操作部2の概略構成を示す平面図である。図5から図12並びに図13A、図13Bおよび図13Cは、本実施の形態1における溶接機1の表示部(ここでは、一例としてLED表示部3を示す。)の表示の一例を示す平面図である。
図1および図2に示すように、溶接機1は、操作部2を備えている。
図2に示すように、操作部2は、LED表示部3と、切換部4と、決定部5と、モード設定部6と、を備えている。ここで、LED表示部3は、種々の情報を表示する。切換部4は、LED表示部3の表示内容を切り換える。決定部5は、LED表示部3に表示されている情報を決定する。モード設定部6は、溶接条件設定モードなどのモードを設定する。さらに図2に示すように、溶接機1は、第1の記憶部7と、第2の記憶部8と、第3の記憶部9と、第4の記憶部10と、を備えている。なお、これらの記憶部についての詳細は後述する。さらにまた、溶接機1は、溶接機1の構成要素、例えばLED表示部3、切換部4および決定部5などを制御する制御部11を備えている。
なお、溶接機1には、一般に知られているように溶接を行うための変圧器等の構成要素も必要であるが、本実施の形態1の特別な技術的特徴には直接関係しないので、図2では、これらの構成要素は省略している。
次に、本実施の形態1の溶接機1の操作部2について説明する。なお、図3の操作部2の概略構成の平面図を用いて、操作部2の概念的な説明を行い、図4の操作部2の概略構成の平面図を用いて、操作部2の具体例の説明を行う。
図3に示すように、操作部2には、英数字などを表示するための複数のセグメントを有するLEDを複数個備えたLED表示部3と、LED表示部3の表示内容を切り換えるための切換部4と、決定部5と、モード設定部6と、を備えている。なお、LED表示部3は、複数のLED3aが配置されて、第1のLED表示部A1と、第2のLED表示部A2と、第3のLED表示部A3と、を備え、それぞれにセグメント部を構成している。
また、操作部2には、LED表示部3を挟む位置に情報部14が配置されている。すなわち、情報部14は、LED表示部3に対応する位置(ここでは、LED表示部3の上部および下部)に設けられており、LED表示部3が点灯することで特定される、第1の情報部15と第2の情報部16を有している。
第1の情報部15は、第1の溶接関連情報Bを表示し、第1の溶接関連情報Bとして、例えば図3に示すように第1の項目B1、第2の項目B2および第3の項目B3を表示する。
また、第2の情報部16は、第2の溶接関連情報Cを表示し、第2の溶接関連情報Cとして、例えば図3に示すように第1の項目C1、第2の項目C2および第3の項目C3を表示する。
第1の溶接関連情報Bおよび第2の溶接関連情報Cのうち、第1の項目B1と第1の項目C1は、第1のLED表示部A1に対応する位置(A1の上部および下部)に設けられている。同様に第2の項目B2と第2の項目C2は、第2のLED表示部A2に対応する位置(A2の上部および下部)に設けられている。同様に第3の項目B3と第3の項目C3は、第3のLED表示部A3に対応する位置(A3の上部および下部)に設けられている。ここで、第1の溶接関連情報Bと第2の溶接関連情報Cは、例えば、シールに印字されて操作部2の情報部14に貼り付けられる、あるいは、操作部2の情報部14の表面に直接印字する、などして操作部2の情報部14に表示されている。
なお、切換部4は、LED表示部3の点灯するセグメント部17a(ここでは、例えば、図3に示す第1のLED表示部A1、第2のLED表示部A2および第3のLED表示部A3)を切り換えるものである。決定部5は、LED表示部3のセグメント部17aが点灯している際に操作することで点灯しているセグメント部17aに対応する、情報部14の溶接関連情報の項目を決定するものである。
すなわち、本実施の形態1の溶接機1は、複数の溶接関連情報を選択して決定することで溶接条件を決定する機能を備えた溶接機であって、表示部3と、情報部14と、切換部4と、決定部5と、を備え、切換部4と決定部5を操作することで溶接関連情報を選択して決定する構成からなる。ここで、表示部3は、複数のセグメント17を有するLED3aを複数個備えている。情報部14は、セグメント部17aに対応する位置に設けられており、セグメント部17aが点灯することで特定される溶接関連情報を表示する。切換部4は、点灯するセグメント部17aを切り換えることで、情報部14の特定される溶接関連情報を切り換える。決定部5は、セグメント部17aが点灯している際に操作することで点灯しているセグメント部17aに対応する溶接関連情報を決定する。
この構成により、LED表示部3を見ながら、切換部4と決定部5の操作を行うだけで溶接関連情報の設定が可能であり、簡単に最適な溶接条件を設定することが可能となる。これにより、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも溶接条件の設定を容易に行うことができる。
また、液晶表示部や溶接条件設定用の複数のスイッチが必要ないことから、操作部2を簡素化でき、溶接機1の生産時間の短縮や溶接機1のコストダウンが可能である。
以上のような操作部2を備えた溶接機1について、溶接を行う際の溶接パラメータを決定して設定する動作について説明する。
作業者は、モード設定部6を操作して、溶接機1に記憶されている溶接条件を再生するモードである溶接条件設定モードを選択する。溶接条件設定モードが選択されると、第1の溶接関連情報Bに対応して点灯する第1のLED表示部A1のうち、第1の溶接関連情報Bの第1の項目B1に対応するセグメント部17aが点灯する。この点灯は、第1の溶接関連情報Bのうち第1の項目B1を選択していることを示している。
ここで、第1の溶接関連情報Bの選択されている項目を変更するには、切換部4を操作する。切換部4を操作することで、第1の溶接関連情報Bのそれぞれの項目に対応したセグメント部17aが順々に点灯していく。
例えば、第1の情報部15の第1の溶接関連情報Bの第1の項目B1に対応するセグメント部17aが点灯している状態で、切換部4を一度操作すると、第1の溶接関連情報Bの第2の項目B2に対応するセグメント部17aへと、点灯するセグメント部17aが変わる。さらに切換部4の操作を行うと、点灯するセグメント部17aが変わる。そして、作業者の選択したい項目に対応するセグメント部17aが点灯している状態で決定部5を操作すると、その項目を選択したこととなる。
上述の選択を行うと、続いて、第2の情報部16の第2の溶接関連情報Cの項目を決定するための表示に変わり、第2の溶接関連情報Cの第1の項目C1に対応する第1のLED表示部A1のセグメント部17aが点灯する。そして、上述と同様に、切換部4と決定部5を操作することで、第2の情報部16の第2の溶接関連情報Cの項目を決定する。
すなわち、本実施の形態1の溶接機1の情報部14は、表示部3の上側に設けられて第1の溶接関連情報Bを表示する第1の情報部15と、表示部3の下側に設けられて第2の溶接関連情報Cを表示する第2の情報部16と、を有する。そして、切換部4を操作すると、決定部5を操作するまでは、第1の溶接関連情報Bに対応するセグメント部17aの点灯が順次切り換えられる。そして、決定部5を操作して第1の溶接関連情報Bを決定した後は、切換部4を操作すると、決定部5を操作するまでは、第2の溶接関連情報Cに対応するセグメント部17aの点灯が順次切り換えられ、決定部5を操作することで第2の溶接関連情報Cを決定する構成としてもよい。ここで、切換部4を操作して決定部5を操作するまでの第1の溶接関連情報Bおよび第2の溶接関連情報Cに対応するセグメント部17aの点灯は、順次切り換えられるだけでなく、繰り返し切り換えられてもよい。
この構成により、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも溶接条件の設定を容易に行うことができる。また、液晶表示部や溶接条件設定用の複数のスイッチが必要ないことから、操作部2を簡素化でき、溶接機1の生産時間の短縮や溶接機1のコストダウンが可能である。
以上のようにして複数の溶接関連情報の項目の決定を行うと、溶接機1の記憶部に記憶された情報に基づいて、作業者が選択した複数の溶接関連情報の項目に適した溶接電流値などの溶接パラメータが読み出され、LED表示部3に読み出された溶接電流値が表示される。
次に、図4から図10を用いて、本実施の形態1の溶接機1における溶接条件の設定の具体例について説明する。
図4は、図3を用いて説明した操作部2の具体的な実施例の一つである。図4の操作部2は、LED表示部3と、切換部4と、決定部5と、モード設定部6と、を備えている。なお、切換部4は、例えば、ジョグダイヤルである。また、決定部5やモード設定部6は、例えば、押しボタンスイッチである。この構成により、切換部4で簡単かつ効率的に選択したい溶接関連情報の切り換えができ、決定部5で迅速かつ確実に選択した溶接関連情報を決定できる。
また、LED表示部3を構成する第1のLED表示部A1、第2のLED表示部A2および第3のLED表示部A3は、図4に示すように、例えば7個のセグメント17を含んで構成される7セグメントLEDである。この構成により、表示部3は、点滅するだけでなく、数字を表示することができ、具体的で適切な溶接関連情報を表示できる。
また、LED表示部3は、さらに、LED表示部3に電流を表示した時に点灯するLED12と、溶接棒の棒径の選択時に点灯するLED13と、を備えている。
また、溶接機1は、第1の情報部15に表示される第1の溶接関連情報Bとして「材質」を備えており、第2の情報部16に表示される第2の溶接関連情報Cとして「姿勢」(溶接姿勢)を備えている。さらに、第1の溶接関連情報Bである「材質」や、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」とは選択方法が異なるが、第3の溶接関連情報Dとして「溶接棒径」を備えている。すなわち、溶接機1は3種類の溶接関連情報を備えている。
また、第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目として、図4に示すように鉄の材質を示す、第1の項目B1である「軟鋼」と、第2の項目B2である「ステンレス」と、を備えている。そして、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」の項目として、溶接棒の先端の指し示す方向を示す、第1の項目C1である「下向」と、第2の項目C2である「上向/立向」と、を備えている。
すなわち、本実施の形態1の溶接機1は、第1の溶接関連情報Bと第2の溶接関連情報Cのうち、一方は溶接対象物の材質に関する情報であり、他方は溶接姿勢に関する情報である構成としてもよい。この構成により、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも溶接条件の設定を容易に行うことができる。
そして、第3の溶接関連情報Dである「溶接棒径」は、詳細は後述するが、「直径2.0mm以上、8.0mm以下」の範囲を0.1mm単位で選択できる。
また、7セグメントLEDである第1のLED表示部A1の上部には、第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目として、第1の項目B1である「軟鋼」の表示が設けられている。同様に第2のLED表示部A2の上部には、第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目として、第2の項目B2である「ステンレス」の表示が設けられている。
さらに、第1のLED表示部A1の下部には、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」の項目として、第1の項目C1である「下向」の表示が設けられている。同様に第2のLED表示部A2の下部には、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」の項目として、第2の項目C2である「上向/立向」の表示が設けられている。
溶接作業者は、先ず、モード設定部6を操作して、溶接条件設定モードを選択する。溶接条件選択モードが選択されると、第1の溶接関連情報Bである「材質」のうち、第1の項目B1である「軟鋼」に対応する第1のLED表示部A1の上側のセグメント部17aが、図5に示すように点灯する。そうすると、第1の溶接関連情報Bの項目として「軟鋼」が選択されている表示となる。
ここで、第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目を、第1の項目B1である「軟鋼」から第2の項目B2である「ステンレス」に変更する場合には、切換部4を操作する。例えば、切換部4であるジョグダイヤルを回す。この操作により、第1の溶接関連情報Bである「材質」の第2の項目B2に対応した第2のLED表示部A2の上側のセグメント部17aが、図6のように点灯し、第1の溶接関連情報Bの項目として「ステンレス」が選択されている表示となる。
なお、切換部4の操作を繰り返すと、決定部5を操作するまでは、図3に示す表示と図4に示す表示が、順次および繰り返し切り換えられる。そして、決定部5を操作することで、第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目を決定する。
決定部5を操作して第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目を決定すると、続いて、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」の選択状態に切り換わり、その時の表示は図7に示すものとなる。すなわち、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」の第1の項目C1である「下向」に対応する第1のLED表示部A1の下側のセグメント部17aが、図7に示すように点灯し、第2の溶接関連情報Cの項目として「下向」が選択されている表示となる。
なお、第2の溶接関連情報Cの項目の決定についても、第1の溶接関連情報Bの項目の決定と同様に、切換部4と決定部5を用いて行う。切換部4の操作を繰り返すことで図7に示す表示と図8に示す表示が、順次および繰り返し切り換えられ、決定部5を操作することで第2の溶接関連情報Cの項目が決定される。
そして、第2の溶接関連情報Cの項目を決定すると、続いて、第3の溶接関連情報Dである「溶接棒径」の選択状態に切り換わり、その時の表示は図9に示すものとなる。すなわち、第1のLED表示部A1、第2のLED表示部A2、第3のLED表示部A3およびLED13が点灯し、第2のLED表示部A2と第3のLED表示部A3に表示された数字により、溶接棒径として2.0mmが選択されていることを示す。
ここで、切換部4を操作すると、LED表示部3に表示される溶接棒径の値が、2.0mm以上、8.0mm以下の範囲で変化する。そして、作業者が使用する溶接棒径の値が表示されている状態で決定部5を操作すると、溶接棒径がその時に表示されている値に決定される。
以上のように、第1の溶接関連情報Bである「材質」の項目、第2の溶接関連情報Cである「姿勢」の項目および第3の溶接関連情報Dである「溶接棒径」の値が決定される。そうすると、上述の決定された事項に適した溶接電流などの溶接パラメータが読み出され、例えば図10に示すようにLED表示部3に溶接電流値が表示され、LED12が点灯し、溶接条件が決定される。図10では、溶接電流が100Aである溶接条件が表示され、決定されている。
すなわち、本実施の形態1の溶接機1は、第1の溶接関連情報Bと第2の溶接関連情報Cを決定した後、表示部3に溶接棒の棒径が表示される。そして、切換部4を操作することで棒径の値が順次切り換えられ、決定部5を操作することで表示部3に表示されている値が棒径として決定される構成としてもよい。この構成により、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも溶接条件の設定を確実かつ容易に行うことができる。なお、切換部4を操作することで棒径の値が順次切り換えられるだけでなく、繰り返し切り換えられるようにしてもよい。
また、第1の溶接関連情報B、第2の溶接関連情報Cおよび棒径が決定されると、第1の溶接関連情報B、第2の溶接関連情報Cおよび棒径の3つの情報に基づいて溶接条件の1つである溶接電流の値が決定されて表示部3に表示される構成としてもよい。この構成により、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも溶接条件の設定を確実かつ容易に手順よく行うことができる。
ここで、図2を用いて、溶接機1の動作について説明する。第1の記憶部7には、LED表示部3の点灯するセグメント部17aと、溶接関連情報の項目との関係が記憶されている。第2の記憶部8には、LED表示部3に表示する溶接棒径の範囲(例えば、2.0mm以上、8.0mm以下の溶接棒径)が記憶されている。第3の記憶部9には、第1の溶接関連情報Bの項目の値、第2の溶接関連情報Cの項目の値、第3の溶接関連情報Dの値および溶接条件である溶接電流値を対応付けたテーブルあるいは数式が記憶されている。第4の記憶部10は、決定された溶接パラメータ、例えば溶接電流値を記憶しておくものである。
制御部11は、切換部4、決定部5およびモード設定部6の操作並びに第1の記憶部7や第2の記憶部8に記憶されている情報に基づいて、LED表示部3の表示を変化させる。また、制御部11は、決定部5の操作および第1の記憶部7や第2の記憶部8に記憶されている情報に基づいて、選択された第1の溶接関連情報Bの項目、第2の溶接関連情報Cの項目および第3の溶接関連情報Dの項目の値を把握する。そして、これらの選択された情報と第3の記憶部9に記憶されている情報に基づいて溶接条件である溶接電流値を決定し、LED表示部3に表示させるとともに第4の記憶部10に記憶し、溶接条件を決定する。そして、溶接機1は、決定された溶接電流値で溶接を行う。
以上のように、本実施の形態1の溶接機1によれば、LED表示部3を見ながら、切換部4と決定部5を操作する。これにより、溶接対象物の「材質」、溶接の「姿勢」および使用する溶接棒の「溶接棒径」といった溶接条件を設定することが可能となる。そして、これら溶接条件を設定することで、設定した溶接条件に適した溶接電流値などの溶接パラメータが自動的に設定される。
したがって、溶接条件や溶接パラメータに関する知識や経験が乏しい溶接作業者であっても、溶接対象物の情報等の溶接条件を目視確認しながら、容易に順々に入力することができる。また、入力した溶接条件に適した溶接電流値等の溶接パラメータを溶接機1が自動的に設定するので、深い知識と豊富な経験が必要とされる溶接パラメータの設定作業において、溶接作業者が、溶接パラメータを設定しなくても良い。特に、溶接電流値等の溶接パラメータは、一般的に、勘や経験等に基づいて作業者が設定するものであり、溶接経験が浅い作業者にとっては難しい作業である。しかし、本実施の形態1の溶接機1では、LED表示部3を見ながら切換部4と決定部5を用いて溶接関連情報(溶接条件)を入力すれば、溶接機1が溶接パラメータを決定するので、特に、溶接経験が浅い作業者にとって非常に有用である。なお、溶接対象物の「材質」、溶接の「姿勢」および使用する溶接棒の「溶接棒径」は、溶接経験が浅い作業者にとっても理解しやすい情報である。このように理解しやすい情報だけを設定し入力するだけで、本来難しい作業である溶接電流値等の溶接パラメータが決定されるので、溶接経験が浅い作業者にとって非常に有用である。
また、液晶表示部のような文字情報を表示する部分が必要なく、英数字などを表示するための複数のセグメント17を有するLED3aを複数個備えた表示部3のみで対応可能であることから、安価に実現可能である。そして、手棒溶接を行う場合に設定する溶接条件の数は少ないので、本実施の形態1は、手棒溶接用の溶接機に特に適している。
なお、本実施の形態1では、表示部3のLED3aを3つ設けた例を示したが、LED3aの数を増やして溶接関連情報の種類や、各溶接関連情報における項目の数を増やすこともできる。
例えば、図11に示すように、LED3aを4つ設け、4つのLED3aに対応するように、溶接関連情報の項目を設けることで、図4に示す場合と比べて、1つの溶接関連情報についてより多くの項目が選択可能となる。なお、図11では、溶接関連情報として、第2の情報部に「接続状態」と「継手」を示す表示を設けた例を示している。
また、例えば、図12に示すように、LED3aを4つ設け、2つのLED3aをセットにして溶接関連情報の項目を選択するようにすることで、4つの溶接関連情報に対応することが可能となる。図12の場合、溶接関連情報として、第1の情報部15で「材質」および「パルス有無」を示し、第2の情報部16で「姿勢」および「クレータ有無」を示し、全部で4つの溶接関連情報について、項目を選択することができる。すなわち、図11の場合と比べ、より多くの溶接関連情報に対応することが可能となる。なお、図12の場合、1つの溶接関連情報の項目の数は、それぞれ2つである。
また、本実施の形態1では、7セグメントLEDを使用する例を示したが、図13A〜Cに示す16個のセグメント17を含んで構成される16セグメントLED等を使用するようにしてもよい。16セグメントLEDを使用した場合、図13A〜Cに示すように、例えば1つのLED3bで1つの溶接関連情報に対して3つの項目を選択することが可能となる。図13Aは、「軟鋼」が選択されていることを表すセグメント部17bが点灯している例を示しており、図13Bは、「銅」が選択されていることを表すセグメント部17bが点灯している例を示している。また、図13Cは、「アルミ」(アルミニウム)が選択されていることを表すセグメント部17bが点灯している例を示している。
このように、セグメント17数の多いLED3bを使用すると1つのLED3bの上部のみで1つの溶接関連情報を表示することもできる。また、図13A、図13Bおよび図13CのそれぞれのLED3bの下部に第2の情報部16として別の溶接関連情報の項目を並べて、同様にセグメント部17bを点灯させることで1つの項目を選択させることもできる。
本発明のアーク溶接機は、液晶表示部や複数の溶接条件設定用のスイッチ部などを用いることなく安価で簡単な構成とし、溶接条件に関する知識が乏しい溶接作業の初心者でも簡単な操作で溶接条件の設定および溶接パラメータの決定ができる。これにより、溶接条件を設定して溶接を行う溶接機として産業上有用である。
1 溶接機
2 操作部
3 LED表示部
3a,3b,12,13 LED
4 切換部
5 決定部
6 モード設定部
7 第1の記憶部
8 第2の記憶部
9 第3の記憶部
10 第4の記憶部
11 制御部
15 第1の情報部
16 第2の情報部
17 セグメント
17a,17b セグメント部

Claims (7)

  1. 複数の溶接関連情報を選択して決定することで溶接条件を決定する機能を備えた溶接機であって、
    複数のセグメントを有するLEDを複数個備えた表示部と、
    セグメント部に対応する位置に設けられており前記セグメント部が点灯することで特定される溶接関連情報を表示する情報部と、
    点灯する前記セグメント部を切り換えることで、前記情報部の特定される溶接関連情報を切り換える切換部と、
    前記セグメント部が点灯している際に操作することで点灯している前記セグメント部に対応する溶接関連情報を決定する決定部と、を備え、
    前記切換部と前記決定部を操作することで溶接関連情報を選択して決定する溶接機。
  2. 前記情報部は、前記表示部の上側に設けられて第1の溶接関連情報を表示する第1の情報部と、前記表示部の下側に設けられて第2の溶接関連情報を表示する第2の情報部と、を有し、
    前記切換部を操作すると、前記決定部を操作するまでは、前記第1の溶接関連情報に対応するセグメント部の点灯が順次切り換えられ、
    前記決定部を操作して前記第1の溶接関連情報を決定した後は、前記切換部を操作すると、前記決定部を操作するまでは、前記第2の溶接関連情報に対応するセグメント部の点灯が順次切り換えられ、前記決定部を操作することで前記第2の溶接関連情報を決定する請求項1記載の溶接機。
  3. 前記第1の溶接関連情報と前記第2の溶接関連情報のうち、一方は溶接対象物の材質に関する情報であり、他方は溶接姿勢に関する情報である請求項2記載の溶接機。
  4. 前記第1の溶接関連情報と前記第2の溶接関連情報を決定した後、前記表示部に溶接棒の棒径が表示され、前記切換部を操作することで前記棒径の値が順次切り換えられ、前記決定部を操作することで前記表示部に表示されている値が前記棒径として決定される請求項3記載の溶接機。
  5. 前記第1の溶接関連情報、前記第2の溶接関連情報および前記棒径が決定されると、前記第1の溶接関連情報、前記第2の溶接関連情報および前記棒径の3つの情報に基づいて溶接条件の1つである溶接電流の値が決定されて前記表示部に表示される請求項4記載の溶接機。
  6. 前記表示部は、7セグメントLEDである請求項1から5のいずれか1項に記載の溶接機。
  7. 前記切換部はジョグダイヤルを含んで構成され、前記決定部は押しボタンスイッチを含んで構成される請求項1から5のいずれか1項に記載の溶接機。
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