JP5263019B2 - 燃料電池とその制御方法 - Google Patents

燃料電池とその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5263019B2
JP5263019B2 JP2009140482A JP2009140482A JP5263019B2 JP 5263019 B2 JP5263019 B2 JP 5263019B2 JP 2009140482 A JP2009140482 A JP 2009140482A JP 2009140482 A JP2009140482 A JP 2009140482A JP 5263019 B2 JP5263019 B2 JP 5263019B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
cell
temperature
fuel cell
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009140482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010287439A (ja
Inventor
大雄 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2009140482A priority Critical patent/JP5263019B2/ja
Publication of JP2010287439A publication Critical patent/JP2010287439A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5263019B2 publication Critical patent/JP5263019B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、低温始動性に優れた燃料電池と、その制御方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側およびカソード側の触媒層とから膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が形成され、この膜電極接合体とこれを挟持するアノード側およびカソード側のガス拡散層(GDL)とから電極体(MEGA:Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)が形成され、電極体に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気を集電するための金属多孔体からなるガス流路層とセパレータが電極体の両側に配されて構成されている。なお、セパレータにガス流路溝が形成された燃料電池セルも従来一般のものであり、この形態の場合にはガス流路層となる金属多孔体は不要である。実際の燃料電池スタックは、所要電力に応じた基数の燃料電池セルが積層され、スタッキングされることによって形成されている。
上記する燃料電池では、アノード電極に燃料ガスとして水素ガス等が提供され、カソード電極には酸化剤ガスとして酸素や空気が提供され、各電極では固有のガス流路層(またはセパレータに形成されたガス流路溝)にて面内方向にガスが流れ、次いでガス拡散層にて拡散されたガスが電極触媒層に導かれて電気化学反応がおこなわれるものである。
上記する燃料電池セルにおいては、膜電極接合体に供給される燃料ガスや酸化剤ガス、さらにはセルの昇温を抑止するための冷却水などの冷却媒体をシールするためのガスケットが、電極体や金属多孔体の周縁に射出成形や圧縮成形にて形成されている。たとえばガス流路となる金属多孔体を具備する燃料電池セルにおいては、成形型のキャビティ内にアノード側もしくはカソード側の一方の金属多孔体を収容し、次いで電極体を収容し、次いでアノード側もしくはカソード側の他方の金属多孔体を収容した姿勢で、電極体および金属多孔体の周縁のガスケット形成用キャビティに樹脂を注入してガスケット成形がおこなわれている。なお、キャビティ内にアノード側もしくはカソード側いずれか一方のセパレータを最初に収容し、次いで上記する構成部材を収容して射出成形をおこなう方法もある。
上記するセパレータには、たとえばチタンやステンレスからなる2枚のプレート(カソード側プレートとアノード側プレート)の間に流路が形成されたプレート(中間層、中間プレート)が介層された3層構造のものや、中間層を樹脂製の枠材とし、2枚のプレートの一方から多数のディンプルや流路を画成するリブを突出させて冷却水流路を形成するものなどがあり(このような構造も3層構造のセパレータに含めることができる)、この3層構造のセパレータを具備する燃料電池が特許文献1に開示されている。この構造のセパレータは、当該セル自体のアノード側もしくはカソード側のいずれか一方のセパレータであると同時に、積層姿勢において隣接するセルのアノード側もしくはカソード側の他方のセパレータとなるものである。すなわち、この3層構造セパレータを有する燃料電池セルのセル構成部材は、一つの3層構造セパレータと、アノード側およびカソード側のガス透過層(エキスパンドメタルや金属発泡焼結体などの金属多孔体からなるガス流路層)と、電極体(膜電極接合体およびガス拡散層)と、からなり、複数の燃料電池セルが積層された姿勢において、任意の燃料電池セルは、その両端にアノード側およびカソード側のセパレータを有することとなる。
ここで、3層構造セパレータの理解を容易とするべく、図4に3層構造セパレータを具備する燃料電池セルの縦断面図を示している。
図4において、燃料電池セルは、電解質膜aとこれを挟持するカソード側およびアノード側の触媒層b1、b2とから膜電極接合体cが形成され、この膜電極接合体cをカソード側およびアノード側のガス拡散層d1、d2が挟持して電極体eが形成され、電極体eをカソード側およびアノード側のガス流路層f1、f2が挟持し、アノード側のガス流路層f2の下方に、3層構造のセパレータhが配され、電極体eの側方に流体流通用のマニホールドMを具備するガスケットgが射出成形等されてその全体が構成されている。この3層構造のセパレータhは、2枚のステンレス製もしくはチタン製の第1のプレートh1(アノード側プレート)と第2のプレートh2(カソード側プレート)と、このプレートh1、h2間に介在してガスや冷却水などの流体用の流路を画成する中間層h3(中間プレート)と、から構成されている。なお、燃料電池スタックは、図示する燃料電池セルが複数積層され、スタッキングされることによって形成されるものであり、不図示の燃料電池セルが図示する燃料電池セルの上下に積層されるものである。
中間層h3には、酸化剤ガスを不図示の燃料電池セル(図示する燃料電池セルの下方に位置することとなる燃料電池セル)のカソード側ガス流路層に提供するための酸化剤ガス導入路h3a(酸化剤ガスの流れ:Z1)と、図示する燃料電池セル自身のアノード側ガス流路層f2に燃料ガスを提供するための燃料ガス導入路h3b(燃料ガスの流れ:Z2)、さらには、発電経過における電極体eの昇温を抑止するための冷却媒体が流通する冷却用流路h3cが形成されている。なお、図4は、酸化剤ガスが流通するマニホールドMを通る断面で切断した縦断面図である。
ところで、燃料電池セルにおいては、その触媒層が形成された領域が一般に発電領域となっており、セパレータの全面積に対する該発電領域の割合は発電面積利用率と称され、この発電面積利用率を可及的に高くすることが求められている。
しかし、図4からも明らかなように、3層構造セパレータでは、その構造上の制約(ガスの導入路を設けたり、酸化剤ガスと燃料ガスのそれぞれに固有のガス流路層等へガスを供給するための開口(燃料ガス用のガス供給用開口h1a、酸化剤ガス用のガス供給用開口h2a)およびガス流路層等からガスを排気するための排気用開口(不図示)を同じ側面領域に設けるなど)から、電極体eの触媒層形成領域は、冷却媒体が流通する冷却用流路が形成されている平面範囲にしか設けることができない。より具体的には、平面視でカソード側のガス供給用開口h2aおよびガス排気用開口(不図示)よりもアノード側のガス供給用開口h1aおよびガス排気用開口(不図示)が内側に形成されている場合には、このアノード側のガス供給用開口h1aおよびガス排気用開口の内側範囲に触媒層形成領域(図中の中央領域)が限定されている。なお、これらの開口は、ガス流路層の全範囲に効果的にガスを提供するとともに、ガス流路層等からのガスの効率的な排気を図るべく、触媒層と同程度の幅をその延長とする細長形状に形成される形態もあり、このような細長形状のガス開口は、いわゆるコモンレールと称されることもある。
特開2008−123883号公報
上記理由から触媒層形成領域が制限されているのに対して、発電領域を仮に広げ、この触媒層形成領域を中央領域のみならず、その外側の周縁領域まで広げた場合に(したがって、少なくとも上記コモンレールh1a、h2aに対応する平面位置、およびそれよりもさらに外側の領域に触媒層が形成される)、この周縁領域に対応するガス流路層等において(対応する位置には冷却用流路が形成されていない)、高密度電流通電時等の際に異常過熱が生じ、電解質膜にガスのクロスリーク路となり得る孔が開いたり、あるいは、異常過熱によってドライアップが助長され、燃料電池の局所的な発電落ち(発電性能低下、発電不可)が生じ得るという課題が危惧される。
さらに、上記する周縁領域は、マニホールドMから導入されるガスリッチな酸化剤ガスや燃料ガスが流れ込んでくる領域でもあるため、発電経過において、電極体の中央領域よりも高温になり易く、上記する課題の発生が一層懸念される。
そこで、上記する燃料電池セルの周縁領域に触媒層を設けて、発電利用面積を広げる代わりに、この周縁領域のガス透過層(ガス流路層やガス拡散層など)に他の作用を奏させるべく、当該領域を有効に利用する試み、検証が現在進行している。
ところで、上記するコモンレールは、燃料ガスや酸化剤ガスをガス透過層に供給し、あるいはガス透過層から外部へ排出するために比較的大きな開口面積を有するものである一方で、燃料電池セル内で生成された生成水等がこのコモンレールを閉塞するという課題があり、当該分野にて解決すべき重要な課題の一つとなっている。
たとえば、燃料電池セル内が氷点下雰囲気の場合に、このようにコモンレール内で水分が滞留した姿勢で燃料電池の発電を停止した場合、滞留した水分が凍結してコモンレールやセパレータのガス導入路、ガス排出路等を閉塞してしまい、たとえば氷点下起動時に燃料電池セルへのガス提供が阻害されて起動不良が生じるという課題が懸念される。また、この際には、冷却媒体も同様に凍結していることが十分に考えられ、したがって、冷却媒体による電極体の昇温抑制が図れないといった課題も懸念される。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、燃料電池セルで発電に寄与していない未使用領域を有効活用すること、および、セル内に存在する液体(冷却媒体である冷却水等)が凍結し得る低温雰囲気の場合における低温始動性に優れた、燃料電池とその制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による燃料電池は、電解質膜と、該電解質膜の両側で当接する触媒層と、から膜電極接合体が形成され、該膜電極接合体の両側にガス透過層が配され、いずれか一方のガス透過層側には、燃料ガスもしくは酸化剤ガスのいずれか一方を該ガス透過層に提供するセパレータが配されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、前記セパレータには、アノード側もしくはカソード側のガス透過層に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するためのガス供給用開口と、該アノード側もしくはカソード側のガス透過層から燃料ガスもしくは酸化剤ガスを排出するためのガス排気用開口が開設されており、前記ガス供給用開口と前記ガス排気用開口の間の内側に対応する中央領域に触媒層が形成されており、前記燃料電池セルのうち、前記中央領域の外側の周縁領域には、加熱手段が配されており、セル内の温度が予め設定された温度以下の場合に、該加熱手段を作動する制御手段をさらに具備しているものである。
ここで、上記する燃料電池セルの構造は、膜電極接合体のアノード側とカソード側の双方に拡散層基材と集電層からなるガス拡散層を具備する形態、アノード側とカソード側のいずれか一方は集電層のみを具備する(拡散層基材が廃された)形態の双方を含んでいる。また、本明細書では、これらのいずれの形態も電極体と称呼している。また、電極体の両側にガス流路溝が形成されたセパレータが直接配された形態は勿論のこと、いわゆるフラットタイプのセパレータと電極体の間に、ガス流路層(エキスパンドメタル等の金属多孔体)が配された形態を含むものである。さらに、「ガス透過層」とは、ガス拡散層とガス流路層の双方を含む意味である。したがって、ガス流路層を具備しないセル形態においては「ガス透過層」は「ガス拡散層」を意味するものであり、ガス拡散層とガス流路層の双方を具備するセル形態においては「ガス透過層」は「ガス拡散層」と「ガス流路層」の双方もしくはいずれか一方を意味するものである。
また、本発明の燃料電池を構成する燃料電池セルは、たとえば3層構造のセパレータを有し、かつ、このセパレータに開設されて、ガス透過層へ燃料ガスや酸化剤ガスを提供するガス供給用開口と、ガス透過層からのガスを排気するためのガス排気用開口と、を有し、たとえば、これらの開口が細長形状に形成されているものにおいて、これらの開口の間の中央領域に対応する電極体内にアノード側およびカソード側の触媒層が形成されており、この中央領域の外側の周縁領域のたとえばガス透過層(ガス流路層やガス拡散層など)に加熱手段が形成されている。すなわち、セル構造のうち、本来的に発電に寄与しない周縁領域に加熱手段を配し、セル内のたとえば冷却媒体等の温度をセンシングし、冷却媒体等が凍結する温度を基準として、この基準温度(予め設定された温度)以下の場合に周縁領域に配された加熱手段を作動させてセル内を昇温し、冷却媒体等の凍結を効果的に防止する、もしくは、既に凍結している冷却媒体等を迅速に融解することで、低温始動性に優れた燃料電池となるものである。
なお、ここでいう「低温始動性」とは、セル内に存在する冷却媒体等が凍結し得る低温雰囲気下において、可及的速やかに、燃料電池スタックを構成する各燃料電池セルの所期の発電を実行できる状態となる性能を指称している。
ここで、加熱手段の一例として、発熱素子や小型ヒータなどを挙げることができる。そして、温度センサ等の検知手段による計測結果が、たとえば燃料電池スタックの外部に設けられた制御手段(装置)に送られ、計測温度が予め設定された温度以下の場合には、制御手段から加熱手段へ作動信号が送信され、発熱素子や小型ヒータ等が発熱するものである。なお、加熱手段の作動後も温度センサ等のセンシングは継続され、セル内が昇温され過ぎないように、すなわち、所定の温度に達した段階で加熱手段の作動が停止されるような制御が実行されるのが好ましい。
また、「予め設定された温度」としては、冷却媒体に冷却水を使用する場合には、この冷却水や上記する開口を仮に閉塞している水分の氷点である摂氏ゼロ度を、この温度に設定することができるし、その氷点よりも若干高めの温度をこの「予め設定された温度」としておくことで、冷却媒体の凍結を確実に抑止するようにしてもよい。
燃料電池スタックの低温作動時において、上記する加熱手段によってセル内の冷却媒体等の凍結が抑止され、あるいは、既に凍結している冷却媒体等が融解され、当該冷却媒体等が可及的速やかに凍結温度以上とされる。そして、この凍結温度以上が確認された段階で、燃料電池スタックの本来的な発電がおこなわれるものである。なお、セル内の温度が上記する設定温度よりも高い場合には、加熱手段の作動はおこなわれず、燃料電池スタックの本来的な発電のみが実行されることは言うまでもない。
上記する本発明による燃料電池によれば、従来構造では未使用であった燃料電池セルの非発電領域となる周縁領域のガス流路層等に適宜の加熱手段を配し、この加熱手段を所望に制御してセル内の温度を迅速に昇温することにより、冷却媒体等の液体が凍結しないように調整でき、もしくは、凍結している場合には即座に融解させることができるため、燃料電池セルの未使用領域を有効に利用しながら、低温始動性に優れた燃料電池を得ることが可能となる。
また、本発明による燃料電池の他の実施の形態は、前記中央領域の触媒層は第1の触媒層であり、前記周縁領域には、前記第1の触媒層と絶縁された第2の触媒層が形成されており、第1の触媒層が介在する第1の回路と、前記加熱手段となる、第2の触媒層が介在する第2の回路と、少なくとも前記第2の回路に設けられて該回路をON−OFF制御するスイッチと、セル内温度検知手段と、をさらに有し、セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度以下であることが検知された際に、前記制御手段によって、少なくとも前記第2の回路のスイッチがON制御されるようになっているものである。
本実施の形態は、前記周縁領域にも中央領域の触媒層(第1の触媒層)とは別途の触媒層(第2の触媒層)を設けておき、この第2の触媒層を加熱手段として利用するものである。
たとえば、3層構造セパレータが適用される場合には、その中央領域に冷媒流路が存在し、その周縁領域には当該冷媒流路が存在しない。したがって、この第2の触媒層を介して発電をおこなった際には、冷却媒体による昇温抑制が図られないことから、周縁領域は自ずと昇温する。本実施の形態は、周縁領域が冷却媒体によって冷却されないことを有効に利用し、これを加熱手段として各燃料電池セルの低温始動性を高めようとするものである。
なお、前記第1の回路も該回路をON−OFF制御するスイッチを有していてもよく、前記セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度以下であることが検知された際に、第2の回路のスイッチに加えて、第1の回路のスイッチもON制御されるようになっており、セル内の温度が前記予め設定された温度よりも高くなったことが確認された段階で、燃料ガスおよび酸化剤ガスのセル内への導入が実行され、発電が開始されるものであってもよい。
上記実施の形態の具体的な構成としては、第1の触媒層を含む回路を第1の回路とし、この回路で燃料電池スタックによる発電が実行されるものであり、加熱手段である第2の触媒層を含む回路を第2の回路とし、この回路は、セル内温度(のたとえば冷却媒体等)が予め設定された温度以下の場合にのみ使用されるものである。そして、少なくとも第2の回路にはそのON−OFFが制御自在なスイッチ(リレースイッチ、トランジスタなど)が設けてあり、この回路スイッチのON−OFF制御は、セル内温度検知手段(たとえば温度センサ等)による測定結果に基づき、制御手段からの制御信号によって所望に制御されるものである。なお、第1、第2の回路を完全に絶縁するべく、少なくとも、第1、第2の触媒層の間に適宜の絶縁材が介層されている。なお、このセル内温度検知手段は、冷却媒体用マニホールドにおける冷却媒体の入口近傍もしくは出口近傍に一箇所程度設けておいてもよいし、各燃料電池セルのセパレータに形成されたガス導入用開口やガス排気用開口などに設けておいてもよい。
ここで、第2の触媒層の加熱作用を高めるべく、第1の触媒層に比して、第2の触媒層の発熱に寄与する抵抗を相対的に大きくしておくのがよい。
たとえば、第1の触媒層に比して、第2の触媒層を形成する担持触媒量を相対的に少なくしたり、第1の触媒層のガス透過層との間の接触抵抗に比して、第2の触媒層のガス透過層との間の接触抵抗を相対的に大きくする(したがって、面圧を低減する)、などの措置を挙げることができる。
また、本発明による燃料電池の制御方法は、電解質膜と、該電解質膜の両側で当接する触媒層と、から膜電極接合体が形成され、該膜電極接合体の両側にガス透過層が配され、いずれか一方のガス透過層側には、燃料ガスもしくは酸化剤ガスのいずれか一方を該ガス透過層に提供するセパレータが配されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、前記セパレータには、アノード側もしくはカソード側のガス透過層に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するためのガス供給用開口と、該アノード側もしくはカソード側のガス透過層から燃料ガスもしくは酸化剤ガスを排出するためのガス排気用開口が開設され、前記ガス供給用開口と前記ガス排気用開口の間の内側に対応する中央領域に触媒層が形成されている、燃料電池の内部温度の制御方法であって、以下のステップのいずれか一方が選択され、実行されるものであり、該ステップは、セル内の温度が予め設定された温度以下である際に、少なくとも、燃料電池セルの前記中央領域の外側の周縁領域に配された加熱手段を加熱するステップ、セル内の温度が予め設定された温度よりも高い場合に、燃料電池セルの前記中央領域の触媒層を介して燃料電池の発電を実行し、電力を取り出すステップ、からなるものである。
さらに、本発明による燃料電池の制御方法の他の実施の形態において、前記周縁領域には、前記第1の触媒層と絶縁された第2の触媒層が形成され、第1の触媒層が介在する第1の回路と、前記加熱手段となる、第2の触媒層が介在する第2の回路と、該加熱手段を作動する制御手段と、少なくとも前記第2の回路に設けられて該回路をON−OFF制御するスイッチと、セル内温度検知手段と、を有した燃料電池の制御方法であって、セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度以下であることが検知された際に、前記制御手段によって、少なくとも前記第2の回路のスイッチがON制御されるようになっており、セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度よりも高い温度であることが検知された際に、前記制御手段によって、前記第2の回路のスイッチがOFF制御され、前記第1の回路のスイッチがON制御されるようになっているものである。
なお、上記する制御方法において、前記セル内の温度が予め設定された温度以下である際に、前記加熱手段を加熱することに加えて、燃料ガスおよび酸化剤ガスをセル内に導入しない姿勢で前記第1の回路もON制御するようになっており、セル内の温度が前記予め設定された温度よりも高くなった段階で、燃料ガスおよび酸化剤ガスのセル内への導入が実行され、燃料電池の発電を開始するような制御方法であってもよい。
上記する本発明の制御方法によって、各燃料電池セル内に存在する液体が凍結し得る低温雰囲気下におけるセル内温度が所望に制御されることにより、低温始動性に優れた燃料電池を形成することが可能となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の燃料電池とその制御方法によれば、従来構造では未使用であった燃料電池セルの非発電領域である周縁領域に適宜の加熱手段を配し、この加熱手段を所望に制御してセル内の温度を迅速に昇温可能としたことにより、冷却媒体等の液体が凍結しないように調整したり、冷却媒体等が凍結している場合には可及的速やかに融解させることができ、したがって、燃料電池セルの未使用領域を有効に利用しながら、その低温始動性を格段に向上させることができる。
本発明の燃料電池を側面から見た模式図である。 図1の燃料電池を構成する燃料電池セルの一部を拡大した縦断面図である。 本発明の燃料電池の制御方法を説明したフロー図である。 従来の燃料電池を構成する燃料電池セルの実施の形態の一部を拡大した縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示する燃料電池セルは、その左側領域、より具体的には、燃料ガスが導入されるガス供給用開口を含む領域のみを取り出して拡大した図であり、実際の燃料電池セルはこれと同構造の右側領域であって、ガス排気用開口を具備する領域を有するものであることは言うまでもないことである。また、説明をより明瞭とするべく、図2では酸化剤ガスの供給用開口などの図示は省略している。
図1は、本発明の燃料電池をその側面から見た図である。図示する燃料電池100は、所望基数の燃料電池セル10,…が積層されて燃料電池スタックをなし、それらの外側にそれぞれ、ターミナルプレート20,20、絶縁プレート30,30、総マイナス側エンドプレート40Aおよび総プラス側エンドプレート40Bが配され、不図示のテンションプレートを介して全体がスタッキングされることにより、燃料電池100が形成されている。なお、各燃料電池セル10において、総マイナス側にアノード側電極、総プラス側にカソード側電極が形成されていることは言うまでもない。
また、図示例では、総マイナス側エンドプレート40Aの外側に断熱部材50が配されており、総マイナス側エンドプレート40Aの保温性能をより確実に保障できるようになっている。
この燃料電池100の総マイナス側SMには、冷却媒体供給配管60Aと、冷却媒体排出配管60Bそれぞれの端部開口が臨んでおり、冷却媒体供給配管60Aを流通する(X1方向でWin)冷却媒体(冷却水など)は、各燃料電池セル10のたとえばセパレータに設けられた不図示の流路を介してその面内方向に流れ(X2方向)、発電経過で発熱した電極体を所望にクーリングするようになっている。
各燃料電池セル10内を流れた冷却水は、冷却媒体排出配管60Bに排水され(Wout)、冷却媒体排出配管60Bを介して燃料電池100外に排出される。
ここで、図2を参照して各燃料電池セル10の構造を概説する。図2は、図1の燃料電池を構成する燃料電池セルの一部を拡大した縦断面図である。
図2で示す燃料電池セル10は、電解質膜1と、カソード側およびアノード側の触媒層2,2’と、から膜電極接合体3が形成され、これをカソード側およびアノード側のガス拡散層4,4’(ガス透過層)が挟持して電極体5が形成され、これをカソード側およびアノード側のガス流路層6,6’(ガス透過層、金属多孔体)が挟持し、さらに、アノード側のガス流路層6’側に3層構造のセパレータ7が配されて構成される。
触媒層2,2’は電解質膜1に比してそれらの面積が狭小であり、したがって、電解質膜1の両側の触媒層2,2’の周縁には該触媒層2,2’が存在しない露出領域1aが形成され、この露出領域1aには、カソード側およびアノード側の不図示の保護フィルムが配されて、ガス拡散層4,4’から突出する毛羽が電解質膜1の露出領域に突き刺さるのを防護している。
ここで、膜電極接合体3を構成する電解質膜1は、たとえば、スルホン酸基やカルボニル基を持つフッ素系イオン交換膜、置換フェニレンオキサイドやスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化フェニレンスルファイドなどの非フッ素系のポリマーなどから形成される。
また、触媒層2,2’は、触媒が担持された導電性担体(粒子状のカーボン担体など)と、電解質と、分散溶媒(有機溶媒)と、を混合して触媒溶液(触媒インク)を生成し、これを電解質膜1やガス拡散層4,4’等の基材にたとえば塗工ブレードにて層状に引き伸ばして塗膜を形成し、温風乾燥炉等で乾燥することで触媒層が形成される。ここで、触媒溶液を形成する電解質は、プロトン伝導性ポリマーである、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレンなどのスルホアルキル化プラスチック系電解質などを挙げることができる。なお、市販素材としては、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)などを挙げることができる。また、分散溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒を挙げることができ、さらには、これらを単独で、もしくは混合液として使用することができる。さらに、触媒が担持された導電性担体に関し、この導電性担体としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの炭素材料のほか、炭化ケイ素などに代表される炭素化合物などを挙げることができ、この触媒(金属触媒)としては、たとえば、白金や白金合金、パラジウム、ロジウム、金、銀、オスミウム、イリジウムなどのうちのいずれか一種を使用することができ、好ましくは白金または白金合金を使用するのがよい。さらに、この白金合金としては、たとえば、白金と、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、チタンおよび鉛のうちの少なくとも一種との合金を挙げることができる。
また、ガス拡散層4,4’は、拡散層基材と集電層(MPL)からなるものであり、拡散層基材としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、導電性無機物質を主とするものを挙げることができ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材やこれらのナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等を挙げることができる。また、拡散層基材の導電性無機物質の形態は特に限定されるものではなく、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から無機導電性繊維であって、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造のものも使用することができ、カーボンペーパーやカーボンクロスなどを挙げることができる。織布としては、紋織、平織など、特に限定されるものではなく、不織布としては、抄紙法、ウォータージェットパンチ法によるものなどが挙げられる。さらに、この炭素繊維としては、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを挙げることができる。さらに、集電層はアノード側、カソード側の触媒層2,2’から電子を集める電極の役割を果たすとともに、生成水等を排水する撥水作用を有するものであり、導電性材料である、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅及びこれらの化合物または合金、導電性炭素材料と、フッ素樹脂(PTFE)などから形成できる。
また、金属多孔体6,6’は、エキスパンドメタルや金属発泡焼結体などから形成でき、たとえば、チタンやステンレス、銅、ニッケル等の耐食性に優れた金属素材の発泡焼結体からガス流路層が形成されるものである。
また、3層構造のセパレータ7は、ステンレスやチタンからなる金属製の第1、第2のプレート71,72と、その間に介在する中間層73(中間プレート)と、がろう付け等で一体化されたものである。
図示するセパレータ7を構成する中間層73には、自身が構成要素となる燃料電池セルのアノード側の金属多孔体6'に燃料ガスを供給するための燃料ガスの導入路73bと、セルの積層姿勢において、隣接する不図示の燃料電池セルのカソード側の金属多孔体6に酸化剤ガスを供給する(Z1方向)ための導入路73aが形成されている。さらには、冷却水等の冷却媒体が流通する冷却用流路73cが形成されている。ここで、中間層73には、その内側の領域に冷却用流路73cが形成されており、中間層73には燃料ガス用の導入路73bが形成され、これに連通する第1のプレート71には、平面視で細長形状の燃料ガス用のガス供給用開口71a(コモンレールとも称される)が形成され、このコモンレールを介して燃料ガスがガス流路層6’に提供されるようになっている(Z2方向)。なお、ガス流路層6’に提供された燃料ガスは、当該ガス流路層6’内を面内方向に流れ(Z3方向)、各所でガス拡散層4’に提供されるものである(Z4方向)。
また、中間層73にはさらに酸化剤ガス用の導入路73aが形成され、これに連通する第2のプレート72に形成された細長形状の酸化剤ガス用のガス供給用開口72aが形成されている。なお、図示しない燃料ガスや酸化剤ガスの排出路やガス排気用開口も、不図示の燃料電池セルの右側領域に形成されている。
なお、図示を省略しているが、触媒層の周縁であって電解質膜が該触媒層と密着していない露出領域には、ガス拡散層から突出する毛羽が電解質膜に突き刺さるのを防止し、さらには、射出成形されるガスケットに対して電解質膜を補強する効果を奏する保護ポリマーフィルムが接着されている。この保護ポリマーフィルムは、ポリテトラフルオロエチレン、PVDF(二フッ化ポリビニル)、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、シリコーン、シリコンゴム、シリコンベースのエラストマなどから形成されるものである。
ガスケット8は、その端部のマニホールドMの周縁に該マニホールドMを囲繞する無端リブ8aを有するものである。その成形方法の概要は、不図示の成形型内にアノード側の金属多孔体6’、電極体5、カソード側の金属多孔体6の順に収容して型閉めし、膜電極接合体4の側方のガスケット用キャビティ内に樹脂を注入する(射出成形)等の方法でおこなわれる。ここで、このガスケットの材料としては、耐メタノール性を有するエポキシ系樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタンRTVゴムやブチルゴム系樹脂、シリコーンRTVゴム、EPDM系樹脂等が使用できる。
図示する燃料電池セル10では、発電に寄与する中央領域と、発電に寄与しない周縁領域を絶縁する絶縁領域9が設けられており、この周縁領域に、別途の触媒層2a、2’aが形成されている。すなわち、触媒層2,2’は第1の触媒層であり、触媒層2a、2’aは第2の触媒層であって、この第2の触媒層2a、2’aが発熱手段を形成するものである。
燃料電池セル10の絶縁領域9は、触媒層やセパレータ等、各構成部材に跨って形成されるものであり、各構成部材を形成する過程で、適宜の絶縁樹脂を充填硬化させたり、この領域のみ絶縁金属素材で形成する等の方法で当該絶縁領域9が形成される。
燃料電池セル10内にこの絶縁領域9を設け、少なくとも第1の触媒層2,2’と第2の触媒層2a、2’aを完全に通電不可としたことにより、以下で説明するように、中央領域のみからなる電気回路と、周縁領域のみからなる電気回路を形成することが可能となる。
なお、第2の触媒層2a、2’aは発熱手段となり、燃料電池100の低温始動性を高めるために設けられた構成であることから、第1の触媒層2,2’に比して発熱性能を高めるべく、第2の触媒層2a、2’aを形成する担持触媒量を相対的に少なくしたり、第2の触媒層2a、2’aのガス透過層との間の接触抵抗を相対的に大きくする(したがって、面圧を低減する)、などの措置を講じておくのが好ましい。
図1に戻り、本発明の燃料電池100は、各燃料電池セル10の周縁領域を介して形成された回路K2(第2の回路)と、この回路K2と絶縁領域9を挟んで絶縁され、各燃料電池セル10の中央領域を介して形成された回路K1(第1の回路)と、を有しており、各回路K1,K2の通電制御を実行するためのスイッチSW1,SW2が設けられている。第2の回路K2には負荷装置F2が介在しており、第1の回路K1には、燃料電池スタックによって発電された電力を取り出すための電力取り出し装置F1が介在している。
そして、冷却媒体排出配管60Bの内部に温度センサSE(セル内温度検知手段)が配されており、少なくとも冷却水等の冷却媒体の温度がセンシングできるようになっている。
温度センサSEによる計測データは制御装置SG(制御手段)に送信され、計測データに基づいて、この制御手段SGにて、各回路K1,K2のスイッチSW1,SW2のON−OFF制御が実行されるようになっている。
なお、制御装置SGの内部構造の図示は省略するが、その内部構造は、公知のCPU,RAM,ROM、インターフェイス回路、温度計測データ取得部、閾値となる「予め設定された温度」を格納する格納部、この予め設定された温度と温度計測データを比較し、その結果に応じてスイッチSE1,SE2にON−OFF制御信号を送信する比較演算部、などが、バスなどで繋がれた構造となっている。
次に、図1で示す燃料電池100の制御方法を図3で示すフロー図に基づいて説明する。なお、ここでは、本発明の燃料電池100を搭載する車両(ハイブリッド車、電気自動車(燃料電池車も含まれる))がその効果を奏する条件である、冷却媒体(冷却水)が凍結し得る冬期、もしくは寒冷地に置かれていることを条件とする。
まず、車両が停止し、したがって、燃料電池が停止した状態(一応、この状態をステップS1とする)から、車両のイグニッションをONする(ステップS2)。
イグニッションがONされると、温度センサSEによる温度計測データが制御装置SGに送信され、ここで、セル内温度が予め設定された温度以下か否かが比較される(ステップS3)。なお、この「予め設定された温度」は、冷却媒体に冷却水を使用する場合には、この冷却水の氷点である摂氏ゼロ度とすることができ、あるいは、その氷点よりも若干高めの温度を設定しておくことで、冷却媒体の凍結を確実に抑止するようにしてもよい。
比較の結果、温度計測データが予め設定された温度以下であると判断された際には、回路K2のスイッチSW2のみをON制御する、もしくは、ガスを燃料電池セルに提供しない姿勢で回路K1のスイッチSW1もともにON制御する、ことで、少なくとも発熱手段である第2の触媒層2a、2’aを発熱させることができる(スイッチSW1もONした際には、第1の触媒層2,2’も発熱手段となり得る)。
温度センサSEによるセンシングは継続されており、計測データは制御装置SGに随時送信され、設定温度との比較が随時実行されていて(ステップS6)、セル内温度が予め設定された温度より高くなった段階で、スイッチSW2はOFF制御され(ステップS7)、発熱が終了する。このような発熱を終了させる制御をもおこなうことで、周縁領域が過熱されることが抑止される。
一方、上記ステップS3で、セル内温度が予め設定された温度よりも高い場合には、発熱手段による発熱の必要がないことから、スイッチSW1のみがON制御され(ステップS5)、燃料ガスおよび酸化剤ガスがセル内に導入されて(ステップS8)、燃料電池100による発電が実行され、電力取り出し装置F1にて電力の取り出しが実行される(ステップS9)。
また、ステップS7で発熱手段の作動が停止された後は、ステップS5以降と同様の制御フローを辿ることになる。
図示する本発明の燃料電池100やその制御方法によれば、従来構造の燃料電池にて未使用の周縁領域を発熱手段として有効利用しながら、セル内に存在する冷却媒体等が凍結し得る低温雰囲気下において、当該冷却媒体の凍結の有無に関わらず、可及的速やかに燃料電池の通常発電を実行できる状態を形成することができる(良好な低温始動性)。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。たとえば、図示するコモンレールが、酸化剤ガス導入路であり、この内側に燃料ガス用のコモンレールが配された構造であってもよい。
1…電解質膜、1a…張り出している箇所、2、2’…触媒層(第1の触媒層)、2a、2’a…触媒層(第2の触媒層、発熱手段)、3…膜電極接合体、4…カソード側のガス拡散層(ガス透過層)、4’…アノード側のガス拡散層(ガス透過層)、5…電極体、6…カソード側の金属多孔体(ガス透過層、ガス流路層)、6’…アノード側の金属多孔体(ガス透過層、ガス流路層)、7…セパレータ、71…第1のプレート(アノード側プレート)、71a…ガス供給用開口(コモンレール)、72…第2のプレート(カソード側プレート)、73…中間層(中間プレート)、73a…酸化剤ガスの導入路、73b…燃料ガスの導入路、73c…冷却用流路、8…ガスケット、9…絶縁領域、10…燃料電池セル、100…燃料電池

Claims (9)

  1. 電解質膜と、該電解質膜の両側で当接する触媒層と、から膜電極接合体が形成され、該膜電極接合体の両側にガス透過層が配され、いずれか一方のガス透過層側には、燃料ガスもしくは酸化剤ガスのいずれか一方を該ガス透過層に提供するセパレータが配されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、
    前記セパレータには、アノード側もしくはカソード側のガス透過層に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するためのガス供給用開口と、該アノード側もしくはカソード側のガス透過層から燃料ガスもしくは酸化剤ガスを排出するためのガス排気用開口が開設されており、
    前記ガス供給用開口と前記ガス排気用開口の間の内側に対応する中央領域に触媒層が形成されており、
    前記燃料電池セルのうち、前記中央領域の外側の周縁領域には、加熱手段が配されており、セル内の温度が予め設定された温度以下の場合に、該加熱手段を作動する制御手段をさらに具備していて、
    前記中央領域の触媒層は第1の触媒層であり、
    前記周縁領域には、前記第1の触媒層と絶縁された第2の触媒層が形成されており、
    第1の触媒層が介在する第1の回路と、
    前記加熱手段となる、第2の触媒層が介在する第2の回路と、
    少なくとも前記第2の回路に設けられて該回路をON−OFF制御するスイッチと、
    セル内温度検知手段と、をさらに有し、
    セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度以下であることが検知された際に、前記制御手段によって、少なくとも前記第2の回路のスイッチがON制御されるようになっている燃料電池。
  2. 前記第1の回路も該回路をON−OFF制御するスイッチを有しており、
    前記セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度以下であることが検知された際に、第2の回路のスイッチに加えて、第1の回路のスイッチもON制御されるようになっており、
    セル内の温度が前記予め設定された温度よりも高くなった際に、燃料ガスおよび酸化剤ガスのセル内への導入が実行されるようになっている、請求項に記載の燃料電池。
  3. 前記セル内温度検知手段にて、セル内の冷却媒体の温度が検知される、請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記第1の触媒層に比して、前記第2の触媒層の発熱に寄与する抵抗が相対的に大きくなっている、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 前記セパレータは、第1のプレート、中間層、第2のプレートが積層された3層構造を呈しており、該第1のプレートもしくは第2のプレートのいずれか一方に細長形状の前記開口が開設されており、該中間層のうち、前記中央領域に対応する位置において、冷却媒体が流通するようになっている、請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池。
  6. 前記ガス透過層は、ガス拡散層、金属多孔体からなるガス流路層、該ガス拡散層と該ガス流路層の組み合わせ、のいずれかの形態からなり、
    アノード側とカソード側双方のガス透過層が、複数の前記形態中の同一の形態、もしくは異なる形態のいずれかからなる、請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池。
  7. 電解質膜と、該電解質膜の両側で当接する触媒層と、から膜電極接合体が形成され、該膜電極接合体の両側にガス透過層が配され、いずれか一方のガス透過層側には、燃料ガスもしくは酸化剤ガスのいずれか一方を該ガス透過層に提供するセパレータが配されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、前記セパレータには、アノード側もしくはカソード側のガス透過層に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するためのガス供給用開口と、該アノード側もしくはカソード側のガス透過層から燃料ガスもしくは酸化剤ガスを排出するためのガス排気用開口が開設され、前記ガス供給用開口と前記ガス排気用開口の間の内側に対応する中央領域に触媒層が形成されていて、前記周縁領域には、前記第1の触媒層と絶縁された第2の触媒層が形成され、第1の触媒層が介在する第1の回路と、前記加熱手段となる、第2の触媒層が介在する第2の回路と、該加熱手段を作動する制御手段と、少なくとも前記第2の回路に設けられて該回路をON−OFF制御するスイッチと、セル内温度検知手段と、を有した燃料電池の制御方法であって、
    以下のステップのいずれか一方が選択され、実行されるものであり、該ステップは、
    セル内の温度が予め設定された温度以下である際に、少なくとも、燃料電池セルの前記中央領域の外側の周縁領域に配された加熱手段を加熱するステップ、
    セル内の温度が予め設定された温度よりも高い場合に、燃料電池セルの前記中央領域の触媒層を介して燃料電池の発電を実行し、電力を取り出すステップ、からなり、
    セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度以下であることが検知された際に、前記制御手段によって、少なくとも前記第2の回路のスイッチがON制御されるようになっており、
    セル内温度検知手段にてセル内の温度が前記予め設定された温度よりも高い温度であることが検知された際に、前記制御手段によって、前記第2の回路のスイッチがOFF制御され、前記第1の回路のスイッチがON制御されるようになっている燃料電池の制御方法。
  8. 前記セル内の温度が予め設定された温度以下である際に、前記加熱手段を加熱することに加えて、燃料ガスおよび酸化剤ガスをセル内に導入しない姿勢で前記第1の回路もON制御するようになっており、
    セル内の温度が前記予め設定された温度よりも高くなった際に、燃料ガスおよび酸化剤ガスのセル内への導入が実行されるようになっている、請求項に記載の燃料電池の制御方法。
  9. 前記セル内温度検知手段にて、セル内の冷却媒体の温度が検知される、請求項7または8に記載の燃料電池の制御方法。
JP2009140482A 2009-06-11 2009-06-11 燃料電池とその制御方法 Active JP5263019B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009140482A JP5263019B2 (ja) 2009-06-11 2009-06-11 燃料電池とその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009140482A JP5263019B2 (ja) 2009-06-11 2009-06-11 燃料電池とその制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010287439A JP2010287439A (ja) 2010-12-24
JP5263019B2 true JP5263019B2 (ja) 2013-08-14

Family

ID=43542986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009140482A Active JP5263019B2 (ja) 2009-06-11 2009-06-11 燃料電池とその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5263019B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4987194B2 (ja) * 2001-04-13 2012-07-25 本田技研工業株式会社 燃料電池
JP3864767B2 (ja) * 2001-11-28 2007-01-10 日産自動車株式会社 燃料電池装置
JP3661643B2 (ja) * 2001-12-27 2005-06-15 日産自動車株式会社 燃料電池システム
JP2004165030A (ja) * 2002-11-14 2004-06-10 Toyota Motor Corp 燃料電池
JP4767543B2 (ja) * 2005-01-07 2011-09-07 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 固体酸化物形燃料電池システムの起動方法
JP5186754B2 (ja) * 2006-11-14 2013-04-24 トヨタ自動車株式会社 燃料電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010287439A (ja) 2010-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5181969B2 (ja) 燃料電池
JP2010282940A (ja) 燃料電池
JP5181950B2 (ja) 燃料電池
JP2010198903A (ja) 燃料電池とその製造方法
JP5263019B2 (ja) 燃料電池とその制御方法
JP2010232062A (ja) 燃料電池
JP5316244B2 (ja) 燃料電池
WO2008023822A1 (fr) Pile a combustible
JP2010244871A (ja) 燃料電池
JP2010102976A (ja) 燃料電池
JP2010211964A (ja) 燃料電池の製造方法
JP2010186711A (ja) 燃料電池
JP2011129265A (ja) 燃料電池
JP2010097895A (ja) 燃料電池
JP2010218717A (ja) 燃料電池
JP2010198763A (ja) 燃料電池
JP2010140716A (ja) 燃料電池
JP2011129367A (ja) 燃料電池
JP2010262823A (ja) 燃料電池
JP2010113876A (ja) 膜電極接合体とこれを備えた燃料電池
JP5352252B2 (ja) 燃料電池用触媒層の製造方法
JP2011014507A (ja) 燃料電池
JP2010262829A (ja) 燃料電池セルの製造方法
JP2010186717A (ja) 燃料電池セルの製造方法
JP2010108685A (ja) 燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130415

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5263019

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151