JP5262827B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ倍力装置を備えた車両用制動制御装置に関する。
特許文献1に記載のブレーキ倍力装置では、ブレーキペダルと一体に進退移動するインプットロッドのストロークに応じて目標ピストンストロークを算出し、ピストンストロークが目標ピストンストロークとなるようにブレーキ倍力装置のアクチュエータを駆動し、ピストンに推力を付与している。
特開2007−112426号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、ドライバがブレーキペダルを踏み込んだとき、アクチュエータの応答遅れによりペダル操作に対してブレーキペダル反力が遅れて立ち上がるため、ドライバに違和感を与えるという問題があった。
本発明の目的は、ブレーキペダルの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制し、ドライバに与える違和感を軽減できる車両用制動制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、車両停止と判定された場合、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材の移動速度が高いほど、マスタシリンダと各ホイルシリンダとを接続するブレーキ回路の流路抵抗を増大させる。
よって、本発明にあっては、ブレーキペダルの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
実施例1のブレーキ装置1の全体構成図である。 実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8による閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートである。 電動モータ50の応答遅れに伴うインプットロッドストロークXiに対するインプットロッド入力Fiの遅れを示す図である。 実施例1の作用を示すタイムチャートである。 実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8による閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートである。 S12の車両停止判定処理の流れを示すフローチャートである。 ステップS13の停止維持可能マスタシリンダ圧算出処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の作用を示すタイムチャートである。 実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8で実行される閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例4のマスタシリンダ圧制御装置8で実行される閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートである。 実施例4の作用を示す図である。
以下、本発明の車両用制動制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
[ブレーキ装置]
図1は、実施例1のブレーキ装置1の全体構成図であり、実施例1のブレーキ装置1は、電動モータとエンジンとを動力源とするハイブリッド車両に搭載している。図において、FL輪は左前輪、FR輪は右前輪、RL輪は左後輪、RR輪は右後輪である。また、矢印付きの破線は信号線であり、矢印の向きによって信号の流れを表す。
ブレーキ制御装置1は、マスタシリンダ2と、リザーバタンクRESと、ホイルシリンダ圧制御機構3と、各輪FL,FR,RL,RRに設けられたホイルシリンダ4a〜4dと、マスタシリンダ2に接続して設けられたマスタシリンダ圧制御機構5およびインプットロッド6と、ブレーキ操作量検出装置(移動量検出手段)7と、マスタシリンダ圧制御機構5を制御するマスタシリンダ圧制御装置8と、ホイルシリンダ圧制御機構3を制御するホイルシリンダ圧制御装置9と、を有している。
インプットロッド6は、ブレーキペダルBPとともに、マスタシリンダ2内の液圧(以下、マスタシリンダ圧Pmc)を加減圧する。マスタシリンダ圧制御機構5およびマスタシリンダ圧制御装置8は、マスタシリンダ2のプライマリピストン2bとともに、マスタシリンダ圧Pmcを加減圧する。
以下、説明のため、マスタシリンダ2の軸方向にx軸を設定し、ブレーキペダルBPの側を負方向と定義する。マスタシリンダ2はいわゆるタンデム型であり、シリンダ2a内にプライマリピストン2bおよびセカンダリピストン2cを有している。シリンダ2aの内周面と、プライマリピストン2bのx軸正方向側の面およびセカンダリピストン2cのx軸負方向側の面との間で、加圧室としてのプライマリ液室2dが形成されている。シリンダ2aの内周面とセカンダリピストン2cのx軸正方向側の面との間で、加圧室としてのセカンダリ液室2eが形成されている。
プライマリ液室2dは、ブレーキ回路10と連通可能に接続され、セカンダリ液室2eは、ブレーキ回路20と連通可能に接続されている。プライマリ液室2dの容積は、プライマリピストン2bおよびセカンダリピストン2cがシリンダ2a内で摺動することで変化する。プライマリ液室2dには、プライマリピストン2bをx軸負方向側に付勢する戻しバネ2fが設置されている。セカンダリ液室2eの容積は、セカンダリピストン2cがシリンダ2a内で摺動することで変化する。セカンダリ液室2eには、セカンダリピストン2cをx軸負方向側に付勢する戻しバネ2gが設置されている。
インプットロッド6のx軸正方向側の一端6aは、プライマリピストン2bの隔壁2hを貫通し、プライマリ液室2d内に設置されている。インプットロッド6の一端6aとプライマリピストン2bの隔壁2hとの間はシールされ、液密性が保たれているとともに、一端6aは隔壁2hに対してx軸方向に摺動可能に設けられている。一方、インプットロッド6のx軸負方向側の他端6bは、ブレーキペダルBPに連結されている。ブレーキペダルBPが踏まれるとインプットロッド6はx軸正方向側に移動し、ブレーキペダルBPが戻されるとインプットロッド6はx軸負方向側に移動する。
プライマリ液室2dの作動液は、インプットロッド6または(駆動モータ50により駆動される)プライマリピストン2bがx軸正方向側へ推進することによって加圧される。加圧された作動液は、ブレーキ回路10を経由してホイルシリンダ圧制御機構3に供給される。また、加圧されたプライマリ液室2dの圧力により、セカンダリピストン2cがx軸正方向側へ推進する。セカンダリ液室2eの作動液は、セカンダリピストン2cの上記推進によって加圧され、ブレーキ回路20を経由してホイルシリンダ圧制御機構3に供給される。
このようにインプットロッド6がブレーキペダルBPと連動して移動し、プライマリ液室2dを加圧する構成により、万一、故障により駆動モータ50が停止した場合にも、ドライバのブレーキ操作によってマスタシリンダ圧Pmcを上昇でき、所定のブレーキ力が確保される。また、マスタシリンダ圧Pmcに応じた力がインプットロッド6を介してブレーキペダルBPに作用し、ブレーキペダル反力としてドライバに伝達されるため、上記構成を採らない場合に必要な、ブレーキペダル反力を生成するバネ等の装置が不要となる。よって、ブレーキ制御装置の小型化・軽量化が図られ、車両への搭載性が向上する。
インプットロッド6の他端6b側には、ドライバの要求ブレーキ力を検出するブレーキ操作量検出装置7が設けられている。ブレーキ操作量検出装置7は、インプットロッド6のx軸方向変位量を検出する変位センサ(ブレーキペダルBPのストロークセンサ)である。本実施例1では、2つの変位センサ7a,7bが設けられており、これらにより検出された変位量はそれぞれマスタシリンダ圧制御装置8に入力される。このように複数個の変位センサを組み合わせることにより、万一、故障により1つのセンサからの信号が途絶えた場合にも、残りのセンサによってドライバのブレーキ要求が検出・認知されるため、フェールセーフが確保される。
また、ブレーキ操作量検出装置7としては、ブレーキペダルBPの踏力を検出する踏力センサや、ストロークセンサと踏力センサを組み合わせた構成であってもよい。
リザーバタンクRESは、隔壁によって互いに仕切られた少なくとも2つの液室を有している。各液室はそれぞれブレーキ回路10j,20jを介して、マスタシリンダ2のプライマリ液室2dおよびセカンダリ液室2eと連通可能に接続されている。
ホイルシリンダ圧制御機構3は、ABS制御や車両挙動安定化制御等を実行可能な液圧制御ユニットであり、マスタシリンダ2等で加圧された作動液を、ホイルシリンダ圧制御装置9の制御指令に従って、各ホイルシリンダ4a〜4dへ供給する。
ホイルシリンダ4a〜4dは、シリンダ、ピストン、パッド等を有しており、ホイルシリンダ圧制御機構3から供給された作動液によって上記ピストンが推進され、このピストンに連結されたパッドがディスクロータ40a〜40dに押圧される周知のものである。なお、ディスクロータ40a〜40dはそれぞれ車輪FL,FR,RL,RRと一体回転し、ディスクロータ40a〜40dに作用するブレーキトルクは、車輪FL,FR,RL,RRと路面との間に作用するブレーキ力となる。
マスタシリンダ圧制御機構5は、プライマリピストン2bの変位量すなわちマスタシリンダ圧Pmcを、マスタシリンダ圧制御装置8の制御指令に従って制御するものであり、駆動モータ50と、減速装置51と、回転−並進変換装置55と、を有している。
マスタシリンダ圧制御装置8は演算処理回路であり、ブレーキ操作量検出装置7や駆動モータ50からのセンサ信号や、後述するホイルシリンダ圧制御装置9からの信号等に基づいて、駆動モータ50の作動を制御する。
ホイルシリンダ圧制御装置9は演算処理回路であり、先行車との車間距離や道路情報、および車両状態量(例えば、ヨーレート、前後加速度、横加速度、ハンドル舵角、車輪速、車体速等)に基づき、各輪FL,FR,RL,RRで発生させるべき目標ブレーキ力を算出する。そして、この算出結果に基づき、ホイルシリンダ圧制御機構3の各アクチュエータ(ソレノイドバルブやポンプ)の作動を制御する。
なお、マスタシリンダ圧制御装置8とホイルシリンダ圧制御装置9とは信号線Lで結線されて通信可能である。
[ホイルシリンダ圧制御機構]
以下、ホイルシリンダ圧制御機構3の油圧回路構成を説明する。
ブレーキ回路は独立した2つのブレーキ系統を有し、プライマリ系統およびセカンダリ系統に分かれている。プライマリ系統は、プライマリ液室2dから作動液の供給を受け、ブレーキ回路10を介してFL輪とRR輪のブレーキ力を制御する。セカンダリ系統は、セカンダリ液室2eから作動液の供給を受け、ブレーキ回路20を介してFR輪とRL輪のブレーキ力を制御する。このようにいわゆるX配管構造であるため、一方のブレーキ系統が失陥した場合でも、他方の正常なブレーキ系統によって対角2輪分のブレーキ力が確保され、車両の挙動が安定に保たれる。以下、プライマリ系統を例にとって説明する。
ブレーキ回路10のマスタシリンダ2側(以下、上流という)からホイルシリンダ4a,4d側(以下、下流という)に向かう途中には、アウト側ゲート弁11が設けられている。アウト側ゲート弁11は、マスタシリンダ2で加圧された作動液をホイルシリンダ4a,4dに供給する際に開弁される。
アウト側ゲート弁11が設けられたブレーキ回路10kの下流はブレーキ回路10a,10bに分岐し、ブレーキ回路10a,10bは、それぞれブレーキ回路10l,10mを介してホイルシリンダ4a,4dに接続している。ブレーキ回路10a,10b上には、それぞれ増圧弁12,13が設けられている。増圧弁12,13は、マスタシリンダ2または後述のポンプPで加圧された作動液をホイルシリンダ4a,4dに供給する際に開弁される。
ブレーキ回路10a,10bには、増圧弁12,13の下流側で、リターン回路10c,10dがそれぞれ接続している。リターン回路10c,10d上にはそれぞれ減圧弁14,15が設けられている。減圧弁14,15は、ホイルシリンダ4a,4d内の圧力(以下、ホイルシリンダ圧Pwc)を減圧する際に開弁される。リターン回路10c,10dは合流してリターン回路10eを形成し、リターン回路10eはリザーバ16に接続している。
一方、ブレーキ回路10はアウト側ゲート弁11の上流で分岐し、吸入回路10gを形成している。吸入回路10g上には、吸入回路10gの連通・遮断を切り換えるイン側ゲート弁17が設けられている。イン側ゲート弁17は、例えば、マスタシリンダ2で加圧された作動液を後述のポンプPで昇圧してホイルシリンダ4a,4dに供給する際に開弁される。吸入回路10gは、リザーバ16からのリターン回路10fと合流して吸入回路10hを形成している。
ブレーキ回路10には、マスタシリンダ2以外の液圧源として、作動液の吸入・吐出を行うポンプPが接続されている。ポンプPはプランジャ式又はギヤ式のポンプであって、第1ポンプP1および第2ポンプP2を備えている。ポンプPは、例えば、車両挙動安定化制御等の自動ブレーキ制御を行う際、マスタシリンダ2の作動圧を超える圧力が必要な場合に、マスタシリンダ圧Pmcを昇圧してホイルシリンダ4a,4dに供給する。第1ポンプP1は、吸入回路10hおよび吐出回路10iと接続し、吐出回路10iを介してブレーキ回路10kと接続している。
モータMは、DC(直流)ブラシレスモータ又はDCブラシモータであり、その出力軸にはポンプP1,P2が連結されている。モータMは、ホイルシリンダ圧制御装置9の制御指令に基づき供給される電力によって作動し、ポンプP1、P2を駆動する。
アウト側ゲート弁11、イン側ゲート弁17、増圧弁12,13、および減圧弁14,15は、ソレノイドへの通電により弁の開閉が行われる電磁式のものであり、ホイルシリンダ圧制御装置9が出力する駆動信号に応じた大きさの駆動電流が通電されることで、弁の開閉量が各弁個々に制御される。
なお、アウト側ゲート弁11および増圧弁12,13は常開弁であり、イン側ゲート弁17および減圧弁14,15は常閉弁である。これにより万一、故障によりいずれかの弁への電力供給が停止した場合であっても、マスタシリンダ2で加圧された作動液が全てホイルシリンダ4a,4dに到達する回路構成となるため、ドライバの要求通りのブレーキ力を発生させることができる。
ブレーキ回路20側の油圧回路も、上記ブレーキ回路10側と同様に構成されている。
ブレーキ回路10(マスタシリンダ2とホイルシリンダ圧制御機構3との間)、およびブレーキ回路20(ホイルシリンダ圧制御機構3内)には、それぞれ、マスタシリンダ圧Pmc(プライマリ液室2dおよびセカンダリ液室2eの圧力)を検出する圧力センサであるマスタシリンダ圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)3a,3bが設けられている。マスタシリンダ圧センサ3a,3bが検出したマスタシリンダ圧Pmcの情報は、マスタシリンダ圧制御装置8およびホイルシリンダ圧制御装置9に入力される。なお、マスタシリンダ圧センサの個数および設置位置に関しては、制御性やフェールセーフ等を考慮して任意に決定できる。
以下、ブレーキ制御時のホイルシリンダ圧制御機構3の動作を説明する。
通常制御時には、マスタシリンダ2の作動液がブレーキ回路10,20を介して各ホイルシリンダ4a〜4dに供給され、ブレーキ力が発生する。
ABS制御時には、車輪FLを例にとると、ホイルシリンダ4aに接続されている減圧弁14を開弁させるとともに増圧弁12を閉弁させ、ホイルシリンダ4aの作動液をリザーバ16に戻すことで減圧を行う。また、車輪FLがロック傾向から回復したら、増圧弁12を開弁させるとともに減圧弁14を閉弁させることで増圧を行う。このときポンプPは、リザーバ16に逃がした作動液をブレーキ回路10kに戻す。
車両挙動安定化制御等の自動ブレーキ制御時には、アウト側ゲート弁11,21を閉弁させる一方で、イン側ゲート弁17,27を開弁させる。同時にポンプPを作動させ、吸入回路10g,10h,20g,20h、吐出回路10i,20iを介してマスタシリンダ2からブレーキ回路10k,20kに向けて作動液を吐出させる。さらに、ホイルシリンダ圧Pwcが必要なブレーキ力に応じた目標圧となるようにアウト側ゲート弁11,21または増圧弁12,13,22,23を制御する。
[マスタシリンダ圧制御機構]
以下、マスタシリンダ圧制御機構5の構成と動作について説明する。駆動モータ50は三相DCブラシレスモータであり、マスタシリンダ圧制御装置8の制御指令に基づき供給される電力によって動作し、所望の回転トルクを発生する。
減速装置51は、駆動モータ50の出力回転をプーリ減速方式により減速する。減速装置51は、駆動モータ50の出力軸に設けられた小径の駆動側プーリ52と、回転−並進変換装置55のボールネジナット56に設けられた大径の従動側プーリ53と、駆動側および従動側プーリ52,53に巻き掛けられたベルト54と、を有している。減速装置51は、駆動モータ50の回転トルクを、減速比(駆動側および従動側プーリ52,53の半径比)分だけ増幅させて、回転−並進変換装置55に伝達する。
なお、駆動モータ50の回転トルクが十分に大きく、減速によるトルク増幅が必要でない場合には、減速装置51を省略して、駆動モータ50と回転−並進変換装置55とを直結することとしてもよい。この場合、減速装置51の介在に起因して発生する、信頼性や静粛性、および搭載性等に関する諸問題を回避できる。
回転−並進変換装置55は、駆動モータ50の回転動力を並進動力に変換し、この並進動力によりプライマリピストン2bを押圧する。本実施例1では、動力変換機構としてボールネジ方式を採用しており、回転−並進変換装置55は、ボールネジナット56と、ボールネジ軸57と、可動部材58と、戻しバネ59と、を有している。
マスタシリンダ2のx軸負方向側には第1ハウジング部材HSG1が接続され、第1ハウジング部材HSG1のx軸負方向側には第2ハウジング部材HSG2が接続されている。ボールネジナット56は、第2ハウジング部材HSG2内に設けられたベアリングBRGの内周に、軸回転可能に設置されている。ボールネジナット56のx軸負方向側の外周には、従動側プーリ53が嵌合されている。ボールネジナット56の内周には、中空のボールネジ軸57が螺合している。ボールネジナット56とボールネジ軸57との間の隙間には、複数のボールが回転移動可能に設置されている。
ボールネジ軸57のx軸正方向側の端には、可動部材58が一体に設けられている。可動部材58のx軸正方向側の面には、プライマリピストン2bが接合している。プライマリピストン2bは、第1ハウジング部材HSG1内に収容されている。プライマリピストン2bのx軸正方向側の端は第1ハウジング部材HSG1から突出してマスタシリンダ2のシリンダ2aの内周に嵌合している。
第1ハウジング部材HSG1内では、プライマリピストン2bの外周に、戻しバネ59が設置されている。戻しバネ59のx軸正方向側の端は第1ハウジング部材HSG1内部のx軸正方向側の面Aに固定される一方、x軸負方向側の端は可動部材58に係合している。戻しバネ59は、面Aと可動部材28との間でx軸方向に押し縮められて設置され、可動部材58およびボールネジ軸57をx軸負方向側に付勢している。
従動側プーリ53が回転するとボールネジナット56が一体に回転し、このボールネジナット56の回転運動により、ボールネジ軸57がx軸方向に並進運動する。x軸正方向側へのボールネジ軸57の並進運動の推力により、可動部材58を介して、プライマリピストン2bがx軸正方向側に押圧される。なお、図1では、ブレーキ非操作時にボールネジ軸57がx軸負方向側に最大変位した初期位置にある状態を示す。
一方、ボールネジ軸57には、上記x軸正方向側への推力と反対方向(x軸負方向側)に、戻しバネ59の弾性力が作用する。これによりブレーキ中、すなわちプライマリピストン2bがx軸正方向側に押圧されマスタシリンダ圧Pmcが加圧されている状態で、万一、故障により駆動モータ50が停止し、ボールネジ軸57の戻し制御が不能となった場合でも、戻しバネ59の反力によりボールネジ軸27が初期位置に戻される。これによりマスタシリンダ圧Pmcがゼロ付近まで低下するため、ブレーキ力の引きずりの発生が防止され、この引きずりに起因して車両挙動が不安定になる事態が回避される。
また、インプットロッド6とプライマリピストン2bとの間に画成された環状空間Bには、一対のバネ6d,6e(付勢手段)が配設されている。一対のバネ6d,6eは、その各一端がインプットロッド6に設けられたフランジ部6cに係止され、バネ6dの他端がプライマリピストン2bの隔壁2hに係止され、バネ6eの他端がプライマリピストン2bの隔壁2iに係止されている。一対のバネ6d,6eは、プライマリピストン2bに対してインプットロッド6を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢し、ブレーキ非作動時にインプットロッド6とプライマリピストン2bとを相対移動の中立位置に保持する機能を有している。また、インプットロッド6とプライマリピストン2bとが中立位置からいずれかの方向に相対変位したとき、一対のバネ6d,6eにより、プライマリピストン2bに対してインプットロッド6を中立位置に戻す付勢力が作用する。
なお、駆動モータ50には回転角検出センサ50aが設けられており、これにより検出されるモータ出力軸の位置信号がマスタシリンダ圧制御装置8に入力される。マスタシリンダ圧制御装置8は、入力された位置信号に基づき駆動モータ50の回転角を算出し、この回転角に基づき回転−並進変換装置25の推進量、すなわちプライマリピストン2bのx軸方向変位量を算出する。
また、駆動モータ50には温度センサ50bが設けられており、検出された駆動モータ50の温度情報はマスタシリンダ圧制御装置8に入力される。
[倍力制御処理]
次に、マスタシリンダ圧制御機構5とマスタシリンダ圧制御装置8による、インプットロッド6の推力の増幅作用について説明する。
マスタシリンダ圧制御機構5およびマスタシリンダ圧制御装置8は、ドライバのブレーキ操作によるインプットロッド6の変位量に応じて、プライマリピストン2bを変位させる。これによりプライマリ液室2dが、インプットロッド6の推力に加えてプライマリピストン2bの推力によって加圧され、マスタシリンダ圧Pmcが調整される。すなわちインプットロッド6の推力が増幅される。増幅比(以下、倍力比α)は、プライマリ液室2dにおけるインプットロッド6とプライマリピストン2bの軸直方向断面積(以下、それぞれ受圧面積AIRおよびAPP)の比等により、以下のように決定される。
マスタシリンダ圧Pmcの液圧調整は、下記の式(1)で示される圧力平衡関係をもって行われる。
Pmc=(FIR+K×Δx)/AIR=(FPP−K×Δx)/APP …(1)
ここで、上記圧力平衡式(1)における各要素は、以下のとおりである。
Pmc:プライマリ液室2dの液圧(マスタシリンダ圧)
FIR:インプットロッド6の推力
FPP:プライマリピストン2bの推力
AIR:インプットロッド6の受圧面積
APP:プライマリピストン2bの受圧面積
K:バネ6d,6eのバネ定数
Δx:インプットロッド6とプライマリピストン2bとの相対変位量
なお、実施例1では、インプットロッド6の受圧面積AIRは、プライマリピストン2bの受圧面積APPよりも小さく構成されている。
ここで相対変位量Δxは、インプットロッド6の変位(インプットロッドストローク)をXi、プライマリピストン2bの変位(ピストンストローク)をXbとして、Δx=Xb−Xiと定義する。よって、Δxは、相対移動の中立位置では0、インプットロッド6に対してプライマリピストン2bが前進(x軸正方向側へ変位)する方向では正符号、その逆方向では負符号となる。なお、圧力平衡式(1)ではシールの摺動抵抗を無視している。プライマリピストン2bの推力FPPは、駆動モータ50の電流値から推定できる。
一方、倍力比αは、下記式(2)のように表わされる。
α=PM/C×(APP+AIR)/FIR …(2)
よって、この式(2)に上記式(1)のPM/Cを代入すると、倍力比αは下記式(3)となる。
α=(1+K×Δx/FIR)×(AIR+APP)/AIR …(3)
倍力制御では、目標のマスタシリンダ圧特性が得られるように、駆動モータ50(ピストンストロークXb)を制御する。ここでマスタシリンダ圧特性とは、インプットロッドストロークXiに対するマスタシリンダ圧Pmcの変化の特性を指す。インプットロッドストロークXiに対するピストンストロークXbを示すストローク特性と、上記目標マスタシリンダ圧特性とに対応して、インプットロッドストロークXiに対する相対変位量Δxの変化を示す目標変位量算出特性が得られる。検証により得られた目標変位量算出特性データに基づき、相対変位量Δxの目標値(以下、目標変位量Δx*)が算出される。
すなわち、目標変位量算出特性は、インプットロッドストロークXiに対する目標変位量Δx*の変化の特性を示し、インプットロッドストロークXiに対応して1つの目標変位量Δx*が定まる。検出されたインプットロッドストロークXiに対応して決定される目標変位量Δx*を実現するように駆動モータ50の回転(ピストンストロークXb)を制御すると、目標変位量Δx*に対応する大きさのマスタシリンダ圧Pmcがマスタシリンダ2で発生する。
ここで、上記のようにインプットロッドストロークXiはブレーキ操作量検出装置7により検出され、ピストンストロークXbは回転角検出センサ50aの信号に基づき算出され、相対変位量Δxは上記検出(算出)された変位量の差により求められる。倍力制御では、具体的には、上記検出したインプットロッドストロークXiと目標変位量算出特性とに基づいて目標変位量Δx*を設定し、上記検出(算出)された相対変位量Δxが目標変位量Δx*と一致するように駆動モータ50を制御(フィードバック制御)する。なお、ピストンストロークXbを検出するストロークセンサを別途設けることとしてもよい。
このように踏力センサを用いることなく倍力制御を行った場合、その分、コストを低減できる。また、相対変位量Δxが任意の所定値となるように駆動モータ50を制御することにより、受圧面積比(AIR+APP)/AIRで定まる倍力比よりも大きな倍力比や小さな倍力比を得ることができ、所望の倍力比に基づく制動力を得ることができる。
一定倍力制御は、インプットロッド6およびプライマリピストン2bを一体的に変位させる、すなわちインプットロッド6に対してプライマリピストン2bが常に上記中立位置となり相対変位量Δx=0で変位するように、駆動モータ50を制御するものである。このようにΔx=0となるようにプライマリピストン2bを変位させた場合、上記式(3)により、倍力比αは、α=(AIR+APP)/AIRとして一意に定まる。よって、必要な倍力比に基づいてAIRおよびAPPを設定し、変位量XbがインプットロッドストロークXiに等しくなるようにプライマリピストン2bを制御することで、常に一定の(上記必要な)倍力比を得ることができる。
一定倍力制御における目標マスタシリンダ圧特性は、インプットロッド6の前進(x軸正方向側への変位)に伴い発生するマスタシリンダ圧Pmcが2次曲線、3次曲線、あるいはこれらにそれ以上の高次曲線等が複合した多次曲線(以下、これらを総称して多次曲線という)状に大きくなる。また、一定倍力制御は、インプットロッドストロークXiと同じ量だけプライマリピストン2bが変位する(Xb=Xi)ストローク特性を有している。このストローク特性と上記目標マスタシリンダ圧特性とに基づき得られる目標変位量算出特性では、あらゆるインプットロッドストロークXiに対して目標変位量Δx*が0となる。
これに対して、倍力可変制御は、目標変位量Δx*を正の所定値に設定し、相対変位量Δxがこの所定値となるように駆動モータ50を制御する。これにより、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が前進移動するに従い、インプットロッド6ストロークXiに比べてピストンストロークXbが大きくなるようにするものである。上記式(3)により、倍力比αは、(1+K×Δx/FIR)倍の大きさとなる。すなわち、インプットロッドストロークXiに比例ゲイン(1+K×Δx/FIR)を乗じた量だけプライマリピストン2bを変位させることと同義となる。このようにΔxに応じて倍力比αが可変となり、マスタシリンダ圧制御機構5が倍力源として働いて、ドライバの要求通りのブレーキ力を発生させつつペダル踏力の大きな低減を図ることができる。
すなわち、制御性の観点からは上記比例ゲイン(1+K×Δx/FIR)は1であることが望ましいが、例えば緊急ブレーキ等によりドライバのブレーキ操作量を上回るブレーキ力が必要な場合には、一時的に、1を上回る値に上記比例ゲインを変更することができる。これにより、同量のブレーキ操作量でも、マスタシリンダ圧Pmcを通常時(上記比例ゲインが1の場合)に比べて引き上げることができるため、より大きなブレーキ力を発生させることができる。ここで、緊急ブレーキの判定は、例えば、ブレーキ操作量検出装置7の信号の時間変化率が所定値を上回るか否かで判定できる。
このように倍力可変制御は、インプットロッド6の前進に対してプライマリピストン2bの前進をより進め、インプットロッド6に対するプライマリピストン2bの相対変位量Δxがインプットロッド6の前進に伴い大きくなり、これに対応してインプットロッド6の前進に伴うマスタシリンダ圧Pmcの増加が一定倍力制御よりも大きくなるように駆動モータ50を制御する方法である。
倍力可変制御における目標マスタシリンダ圧特性は、インプットロッド6の前進(x軸正方向側への変位)に伴い発生するマスタシリンダ圧Pmcの増加が一定倍力制御よりも大きくなる(多次曲線状に増加するマスタシリンダ圧特性がより急峻になる)。また、倍力可変制御は、インプットロッドストロークXiの増加に対するピストンストロークXbの増加分が1よりも大きいストローク特性を有している。このストローク特性と上記目標マスタシリンダ圧特性とに基づき得られる目標変位量算出特性では、インプットロッドストロークXiが増加するに応じて目標変位量Δx*が所定の割合で増加する。
また、倍力可変制御として、上記制御、すなわち、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてピストンストロークXbが大きくなるように駆動モータ50を制御すること、に加え、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてピストンストロークXbが小さくなるように駆動モータ50を制御することを含めてもよい。このように1を下回る値に上記比例ゲインを変更することで、ハイブリッド車両の回生ブレーキ力分だけ液圧ブレーキを減圧する回生協調ブレーキ制御に適用することも可能である。
[増圧弁の閉弁量調整]
図2は、実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図であり、マスタシリンダ圧制御装置8は、アシストストローク算出部8aと、ストローク速度算出部(移動速度検出手段)8bと、閉弁量算出部(流路抵抗制御手段)8cとを備える。
アシストストローク算出部8aは、インプットロッドストロークXiに対して所望の目標ストローク特性および目標マスタシリンダ圧特性を得る目標変位量Δx*となるようなピストンストロークXbの目標値であるアシストストロークXbbaseを算出し、マスタシリンダ圧制御機構8へ出力する。図2のアシストストローク算出部8aのブロック内に、インプットロッドストロークXiに応じたアシストストロークXbbaseの設定マップを示す。
この設定マップでは、目標変位量Δx*を0とした場合のインプットロッドストロークXiに対するアシストストロークXbbaseの特性を記載しているが、時間の経過に従ってブレーキ力を高めるブレーキアシスト制御、または回生協調ブレーキ制御の実施中、目標変位量Δx*は0以外の値となるため、それに応じてマップの特性も変化する。
ストローク速度算出部8bは、インプットロッドストロークXiとその前回値Xi_Zとの差分からストローク速度ΔXiを算出し、閉弁量算出部8cへ出力する。なお、入力したインプットロッドストロークXiは、次回の演算周期まで前回値Xi_Zとして保持する。
閉弁量算出部8cは、ストローク速度ΔXiに基づいて、ホイルシリンダ圧制御機構3の増圧弁(流路抵抗調整手段)12,13,22,23の閉弁量Vpoを算出し、ホイルシリンダ圧制御装置9に出力する。図2の閉弁量算出部8cのブロック内に、ストローク速度Xiに応じた閉弁量Vpoの設定マップを示す。この設定マップでは、ストローク速度ΔXiに応じて閉弁量Vpoを0%(開弁量100%)から50%(開弁量50%)まで変化させ、ストローク速度ΔXiが高いほど閉弁量Vpoを増加させる特性としている。
マスタシリンダ圧制御機構8は、アシストストローク算出部8aにより算出されたアシストストロークXbbaseが得られるような制御指令を電動モータ50へ出力する。
ホイルシリンダ圧制御装置9は、閉弁量算出部8cにより算出された閉弁量Vpoが得られるような制御指令を、各増圧弁12,13,22,23のソレノイドへ出力する。
[閉弁量調整処理]
図3は、実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8による閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この処理は、ドライバのブレーキ操作中、所定の演算周期で繰り返し実行するが、ABS制御や車両挙動安定化制御の介入時には中止する。
ステップS1では、アシストストローク算出部8aおよびストローク速度算出部8bにおいて、インプットロッドストロークXiを読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ストローク速度算出部8bにおいて、インプットロッドストロークXiとその前回値Xi_Zとの差分からストローク速度ΔXiを算出し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、アシストストローク算出部8aにおいて、インプットロッドストロークXiに応じたアシストストロークXbbaseを算出し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、閉弁量算出部8cにおいて、ストローク速度ΔXiに応じた閉弁量Vpoを算出し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、アシストストローク算出部8aにおいて、マスタシリンダ圧制御機構5に対し、ピストンストロークXbをアシストストロークXbbaseとする指令を出力し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、閉弁量算出部8cにおいて、ホイルシリンダ圧制御装置9に対し、増圧弁12,13,22,23のバルブ開度を閉弁量Vpoに応じて閉じる指令を出力し、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、ストローク速度算出部8bにおいて、入力したインプットロッドストロークXiを前回値Xi_Zとして保存し、リターンへ移行する。
次に、実施例1の作用を説明する。
実施例1のブレーキ装置1では、ドライバのブレーキペダル操作によりストロークするインプットロッド6と、マスタシリンダ圧制御機構5の駆動モータ50によりストロークするプライマリピストン2bの2つでマスタシリンダ圧Pmcを発生させている。ここで、駆動モータ50には応答遅れがあるため、図4(a)に示すように、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んでインプットロッドストロークXiを変化させたとき、プライマリピストン2bは遅れてストロークする。
このため、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んでからブレーキペダルBPを保持し、インプットロッドストロークXiが止まった時点から、プライマリピストン2bのストロークが停止するまでの間(図4のA−Bの区間)に、マスタシリンダ圧Pmcが増加することにより(図4(b))、インプットロッド入力Fiも大きくなる(図4(c))。よって、ドライバはブレーキペダルBPを保持しているにもかかわらず、ブレーキペダル反力が増加するため、ドライバに違和感を与える。
これに対し、実施例1では、図5(a)に示すように、インプットロッド6のストローク速度ΔXiが高いほど、増圧弁12,13,22,23の開弁量を小さく(閉弁量を大きく)し、マスタシリンダ2と各ホイルシリンダ4a〜4dを接続するブレーキ回路10l,10m,20l,20mの流路抵抗を大きくする。
よって、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んだとき、ペダル操作速度に応じて過渡的にマスタシリンダ圧Pmcが上昇するため、本制御を適用しない場合と比較して、マスタシリンダ圧Pmcをより速く立ち上げることができる(図5(b))。このため、図5(c)に示すように、ペダルストロークに対するインプットロッド入力Fi(ブレーキペダル反力)の立ち上がり遅れを抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用制動制御装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) ストローク速度算出部8bにより検出されたストローク速度ΔXiが高いほど、増圧弁12,13,22,23の閉弁量Vpoを大きくしてブレーキ回路10l,10m,20l,20mの流路抵抗を増加させる閉弁量算出部8cを備える。これにより、ブレーキペダルの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
(2) 各ホイルシリンダ圧を制御するABS制御用の増圧弁12,13,22,23により流路調整手段を構成した。すなわち、一般に普及しているABSユニットを用いることにより、新たに流路調整手段を追加した場合と比較して、コストダウンを図ることができる。また、増圧弁12,13,22,23はホイルシリンダ4a〜4d毎に設けられているため、X配管構造を採用したブレーキ回路であっても、例えば、前輪側ホイルシリンダ4a,4dの閉弁量Vpoのみの調整、後輪側ホイルシリンダ4b,4cの閉弁量Vpoのみの調整というように、閉弁量Vpoを調整するホイルシリンダを任意に設定できる。
図6は、実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。なお、実施例1と共通する部位については、同一呼称、同一符号で表す。
停止判定部(停止判定手段)8dは、車輪速、アクセル開度および変速機のシフト位置に基づいて、車両停止判定を行い、判定結果を閉弁量算出部8cに出力する。
閉弁量算出部8cは、停止判定部8dにおいて、車両停止判定がなされている場合、ストローク速度ΔXiに基づいて、増圧弁(流路抵抗調整手段)12,13,22,23の閉弁量Vpo1を算出し、ホイルシリンダ圧制御装置9に出力する。一方、停止判定部8dにおいて、車両走行判定がなされている場合は、閉弁量Vpo1をゼロとする。
停止維持可能マスタシリンダ圧算出部(路面勾配検出手段,停止維持可能制動力算出手段)8eは、車両に作用する前後Gに基づいて路面勾配を検出し、検出した路面勾配で車両停止を維持可能な制動力(車両停止維持可能制動力)に対応するマスタシリンダ圧(停止維持可能制動力)に対応するマスタシリンダ圧(停止維持可能マスタシリンダ圧)Pmcsを停止維持補正ゲイン算出部8fへ出力する。
停止維持補正ゲイン算出部8fは、マスタシリンダ圧Pmcと停止維持可能マスタシリンダ圧Pmcsとの差に応じた停止維持補正ゲインKbs(0%≦Kbs≦100%)を算出し、乗算器8gへ出力する。図6の停止維持補正ゲイン算出部8fのブロック内に、マスタシリンダ圧Pmcと停止維持可能マスタシリンダ圧Pmcsとの差に応じた停止維持補正ゲインKbsの設定マップを示す。この設定マップにおいて、停止維持補正ゲインKbsは、Pmc−Pmcsが負の場合はゼロ、正の場合はPmc−Pmcsが大きいほど大きくし、Pmc−Pmcsが所定値以上で100%となるような特性としている。
乗算器8gは、閉弁量Vpo1と停止維持補正ゲインKbsとを乗算した値を、最終的な閉弁量Vpoとしてホイルシリンダ圧制御装置9へ出力する。
実施例2では、閉弁量算出部8cと停止維持補正ゲイン算出部8fと乗算器8gとにより流路抵抗制御手段を構成する。
[閉弁量調整処理]
図7は、実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8で実行される閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施例1と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS11では、停止維持補正ゲイン算出部8fにおいて、マスタシリンダ圧Pmcを読み込み、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、停止判定部8dにおいて、停止判定処理を実行し、ステップS13へ移行する。停止判定処理については後述する。
ステップS13では、停止維持可能マスタシリンダ圧算出部8eにおいて、停止維持可能マスタシリンダ圧算出処理を実行し、ステップS3へ移行する。停止維持可能マスタシリンダ圧算出処理については後述する。
ステップS14では、閉弁量算出部8cにおいて、停止判定部8dにより車両停止判定がなされているか否かを判定する。YESの場合にはステップS4へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS15では、閉弁量算出部8cにより算出される閉弁量Vpo1がゼロとなるため、加算器8gにおいて、閉弁量Vpo=0を出力し、ステップS6へ移行する。
ステップS16では、停止維持補正ゲイン算出部8fにおいて、マスタシリンダ圧Pmcと停止維持可能マスタシリンダ圧Pmcsとの差に応じて停止維持補正ゲインKbsを算出し、ステップS17へ移行する。
ステップS17では、乗算器8gにおいて、閉弁量Vpo1と停止維持補正ゲインKbsとを乗算して閉弁量Vpoを算出し、ステップS6へ移行する。
[停止判定処理]
図8は、S12の車両停止判定処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS201では、4輪の車輪速をそれぞれ読み込み、ステップS202へ移行する。
ステップS202では、アクセル開度Apoを読み込み、ステップS203へ移行する。
ステップS203では、変速機のシフト位置を読み込み、ステップS204へ移行する。
ステップS204では、各車輪速が全てゼロであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS207へ移行し、NOの場合にはステップS205へ移行する。
ステップS205では、停止判定カウンタをクリア(=0)し、ステップS206へ移行する。
ステップS206では、車両走行判定を行い、本制御を終了する。
ステップS207では、シフト位置がPレンジであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS211へ移行し、NOの場合にはステップS208へ移行する。
ステップS208では、アクセル開度Apoがゼロであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS209へ移行し、NOの場合はステップS205へ移行する。
ステップS209では、停止判定カウンタのカウント値が所定値よりも大きいか否かを判定する。YESの場合にはステップS211へ移行し、NOの場合にはステップS210へ移行する。ここで、所定値は、数秒(例えば5秒)に対応する値とする。
ステップS210では、停止判定カウンタのカウンタ値をインクリメント(+1)し、ステップS206へ移行する。
ステップS211では、車両停止判定を行い、本制御を終了する。
以上のように、実施例1の車両停止判定処理では、各車輪速が全てゼロ、かつ、シフトがPレンジである場合、または、各車輪速が全てゼロ、かつアクセル開度Apoがゼロである状態が所定時間継続した場合、車両停止判定を行い、それ以外の場合、車両走行判定を行う。
[停止維持可能マスタシリンダ圧算出処理]
図9は、ステップS13の停止維持可能マスタシリンダ圧算出処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS301では、4輪の車輪速をそれぞれ読み込み、ステップS302へ移行する。
ステップS302では、前後Gセンサ値GLを読み込み、ステップS303へ移行する。
ステップS303では、タイヤ回転の変化量から車速微分減速度Gwを算出し、ステップS304へ移行する。車輪微分減速度Gwは、4輪の車輪速平均値と前回値(所定時間前の4輪の車輪速平均値)との差分をフィルタ処理してノイズを除去した値とする。
ステップS304では、車速微分減速度Gwと前後Gセンサ値GLとの偏差の絶対値を減速度差分Gaとして算出し、ステップS305へ移行する。
ステップS305では、減速度差分Gaに換算定数αを乗算して停止維持可能マスタシリンダ圧Pmcsを算出し、本制御を終了する。ここで、換算定数αは、減速度をマスタシリンダ圧に換算するためのもので、車両諸元(車両重量、ブレーキキャリパ面積、ブレーキパッド摩擦係数、ディスクロータ有効径、タイヤ半径等)から求める。
次に、実施例2の作用を説明する。
実施例2では、車両停止判定がなされている場合、ストローク速度ΔXiが高いほど増圧弁12,13,22,23の閉弁量Vpoを大きくする(ステップS1→ステップS2→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS3→ステップS5→ステップS14→ステップS4→ステップS16→ステップS17→ステップS6→ステップS7)。一方、車両走行判定がなされている場合、閉弁量Vpoをゼロとする(ステップS1→ステップS2→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS3→ステップS5→ステップS14→ステップS15→ステップS6→ステップS7)。
車両走行中は、増圧弁12,13,22,23の閉弁量Vpoを増加さることにより、車両走行中は減速度の発生が遅れることから、実施例2では、閉弁量Vpoの増加を車両停止時に限り実施する。また、走行中は、ペダルストロークとペダル踏力との関係に加え、減速度が伴うため、ペダル操作に対してブレーキペダル反力が遅れて立ち上がったとしても、ドライバにペダルフィールの違和感を与えにくく、支障は生じない。
また、実施例2では、マスタシリンダ圧Pmcと停止維持可能マスタシリンダ圧Pmcsとの差がゼロ以上の場合、閉弁量Vpoをゼロとする。上り坂や下り坂のシーンでドライバがブレーキペダルBPを踏んで車両を停止させている場合、増圧弁12,13,22,23の閉弁量Vpoを増加させると、車両のずり下がりが発生するおそれがある(図10の「適用無し」参照。
これに対し、実施例2では、車両の制動力が停止維持可能制動力以下の場合には、増圧弁12,13,22,23の閉弁量Vpoをゼロとすることにより、図10(c)に示すように、本制御を適用しない場合と比較して、ホイルシリンダ圧Pwcの立ち上がり遅れを抑制できる。つまり、ドライバの要求する制動力を維持できるため、坂路における車両のずり下がりを防止できる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用制動制御装置にあっては、実施例1の効果(1),(2)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(3) 停止を判定する停止判定部8dを備え、流路抵抗制御手段(閉弁量算出部8c,停止維持補正ゲイン算出部8f,乗算器8g)は、車両停止と判定された場合、閉弁量Vpoを増加するため、走行時におけるドライバの要求減速度に対する発生減速度の遅れを防止できる。
(4) 路面勾配における車両の停止維持可能制動力を算出する停止維持可能制動力算出部8eと、マスタシリンダ圧Pmcを検出するマスタシリンダ圧センサ3a,3bと、を備え、流路抵抗制御手段は、マスタシリンダ圧Pmcが停止維持可能制動力Pmcs以上である場合、閉弁量Vpoを増加する。これにより、停止状態の維持とペダルフィールの違和感軽減との両立を図ることができる。
図11は、実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。なお、実施例1または実施例2と共通する部位については、同一呼称、同一符号で表す。
温度補正ゲイン算出部8iは、マスタシリンダ2内に配置したブレーキ液温度センサ(温度検出手段)8hにより検出されたブレーキ液温度Tbに基づいて温度補正ゲインKtb(0%≦Ktb≦100%)を算出し、乗算器8gへ出力する。図11の温度補正ゲイン算出部8iのブロック内に、ブレーキ液温度Tbに応じた温度補正ゲインKtbの設定マップを示す。
この設定マップにおいて、温度補正ゲインKtbは、ブレーキ液温度Tbがゼロ℃以上の場合は100%となり、ブレーキ液温度Tbがマイナスの場合はブレーキ液温度Tbが低いほど小さくなるような特性としている。また、ブレーキ液の粘度が急激に高くなる-20℃以下の温度では、温度補正ゲインKtbを0%としている。
乗算器8gは、閉弁量Vpo1と停止維持補正ゲインKbsと温度補正ゲインKtbを乗算した値を、最終的な閉弁量Vpoとしてホイルシリンダ圧制御装置9へ出力する。
実施例3では、閉弁量算出部8cと停止維持補正ゲイン算出部8fと乗算器8gと温度補正ゲイン算出部8iとにより流路抵抗制御手段を構成する。
[閉弁量調整処理]
図12は、実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8で実行される閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施例1または実施例2と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、温度補正ゲイン算出部8iにおいて、ブレーキ液温度Tbを読み込み、ステップS12へ移行する。
ステップS22では、温度補正ゲイン算出部8iにおいて、ブレーキ液温度Tbに応じた温度補正ゲインKtbを算出し、ステップS23へ移行する。
ステップS23では、乗算器8gにおいて、閉弁量Vpo1と停止維持補正ゲインKbsと温度補正ゲインKtbとを乗算して閉弁量Vpoを算出し、ステップS6へ移行する。
次に、実施例3の作用を説明する。
実施例3では、ブレーキ液温度Tbが低いほど、閉弁量Vpoを小さくして流路抵抗増加量を抑制する。ブレーキ液は温度低下に伴い粘度が高くなる特性を有するため、流路抵抗を増加させるとマスタシリンダ2から各ホイルシリンダ4a〜4dへのブレーキ液の導入が阻害され、マスタシリンダ圧Pmcが過度に高くなる。
そこで、実施例3では、ブレーキ液温度Tbが低いほど閉弁量Vpoを小さくすることで、極低温環境下、すなわち、ブレーキ液の粘度が高いときの過度なブレーキペダル反力の上昇とホイルシリンダ圧Pwcの発生遅れを防止できる。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両用制動制御装置にあっては、実施例1の効果(1),(2)、実施例2の効果(3),(4)に加え、以下の効果を奏する。
(5) 流路抵抗制御手段(閉弁量算出部8c,停止維持補正ゲイン算出部8f,乗算器8g,温度補正ゲイン算出部8i)は、温度センサ8hにより検出されたブレーキ液温度Tbが低いほど、流路抵抗増加量を抑制するため、ブレーキ液の粘度が高いときの過度なブレーキペダル反力の上昇とホイルシリンダ圧の発生遅れを防止できる。
図13は、実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。なお、実施例1または実施例2と共通する部位については、同一呼称、同一符号で表す。
反力目標算出部(目標反力算出手段)8jは、インプットロッドストロークXiに基づいて、反力目標Ficomを算出し、比較器8mへ出力する。図13の反力目標算出部8j内に、インプットロッドストロークXiに応じた反力目標Ficomの設定マップを示す。この設定マップでは、インプットロッドストロークXiが大きくなるほど反力目標Ficomを大きくする特性としている。
推定反力算出部(反力推定手段)8kは、インプットロッドストロークXiとマスタシリンダ圧PmcとピストンストロークXbとに基づき、式(1)に示した圧力平衡関係から、下記の式(4)を参照してブレーキペダル反力の推定値である推定反力Firを算出する。
式(1)より、
Pmc×AIR=(FIR+K×Δx) …(1)'
ここで、Δx=Xb−Xiであるから、FIR=Firとおくと、
Fir=Pmc×AIR+K×(Xi−Xb) …(4)
比較器8mは、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分を反力偏差補正ゲイン算出部8nへ出力する。
反力偏差補正ゲイン算出部8nは、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に応じて反力偏差補正ゲインKbf(0%≦Kbf≦100%)を算出し、乗算器8gへ出力する。図13の反力偏差補正ゲイン算出部8n内に、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に応じた反力偏差補正ゲインKbfの設定マップを示す。この設定マップにおいて、反力偏差補正ゲインKbfは、Ficom−Firが負の場合はゼロ、正の場合はFicom−Firが大きいほど大きくし、Ficom−Firが所定値以上で100%となるような特性としている。
乗算器8gは、閉弁量Vpo1と停止維持補正ゲインKbsと反力偏差補正ゲインKbfを乗算した値を、最終的な閉弁量Vpoとしてホイルシリンダ圧制御装置9へ出力する。
実施例4では、閉弁量算出部8cと停止維持補正ゲイン算出部8fと乗算器8gと反力偏差補正ゲイン算出部8nとにより流路抵抗制御手段を構成する。
また、実施例1〜3では流路抵抗調整手段として、増圧弁12,13,22,23を用いたが、実施例4では、ホイルシリンダ圧制御機構3のアウト側ゲート弁11,21を流路抵抗調整手段として用いる。
[閉弁量調整処理]
図14は、実施例4のマスタシリンダ圧制御装置8で実行される閉弁量調整処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、実施例1または実施例2と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS31では、推定反力算出部8kにおいて、ピストンストロークXbを読み込み、ステップS12へ移行する。
ステップS32では、反力目標算出部8jにおいて、インプットロッドストロークXiに基づいて、反力目標Ficomを算出し、ステップS33へ移行する。
ステップS33では、推定反力算出部8kにおいて、インプットロッドストロークXiとマスタシリンダ圧PmcとピストンストロークXbとから式(4)を参照して推定反力Firを算出し、ステップS34へ移行する。
ステップS34では、反力偏差補正ゲイン算出部8nは、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に応じて反力偏差補正ゲインKbfを算出し、ステップS16へ移行する。
ステップS35では、乗算器8gにおいて、閉弁量Vpo1と停止維持補正ゲインKbsと反力偏差補正ゲインKbfとを乗算して閉弁量Vpoを算出し、ステップS6へ移行する。
次に、実施例4の作用を説明する。
実施例4では、アシストストロークXbbaseに反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に応じた反力偏差補正ゲインKbfに応じて閉弁量Vpoを補正することにより、ブレーキペダル反力特性を、あらかじめ設定した目標反力特性に近付ける。
本実施例の制御を適用しない場合、ドライバがブレーキペダルBPをゆっくりと踏み込んだとき、図15に示すように、インプットロッド入力Fiが反力目標Ficomよりも大きくなり、ペダルフィーリングの悪化が懸念される。そこで、実施例4では、反力目標Ficomと推定反力Firとの差を無くすように閉弁量Vpoを補正することで、ドライバがブレーキペダルBPをゆっくりと踏み込んだとき、ブレーキペダル反力が過剰となるのを抑制できる。
次に、効果を説明する。
実施例4の車両用制動制御装置にあっては、実施例1の効果(1),(2)、実施例2の効果(3),(4)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(6) 流路抵抗制御手段(閉弁量算出部8c,停止維持補正ゲイン算出部8f,乗算器8g,反力偏差補正ゲイン算出部8n)は、ブレーキペダルBPの反力があらかじめ設定した目標反力特性に近づくように閉弁量Vpoを調整する。これにより、ブレーキペダル反力が過剰となるのを抑制できる。
(7) ブレーキ回路10k,20kの開閉を行う常開のアウト側ゲート弁11,21により流路抵抗調整手段を構成したため、流路抵抗調整手段として増圧弁12,13,22,23を用いた場合と比較して、制御するソレノイドの数を半減でき、消費電力を抑制できる。
(他の実施例)
以上、本発明の車両用制動制御装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、流路抵抗調整手段として、ABS制御や車両挙動安定化制御等を実行可能なホイルシリンダ圧制御機構の増圧弁またはアウト側ゲート弁を用いる例を示したが、流路抵抗調整手段は、マスタシリンダと各ホイルシリンダとを接続するブレーキ回路の流路抵抗を調整可能であればよく、例えば、可変オリフィスを用いてもよい。
また、実施例3と温度補正ゲインによる閉弁量の補正と、実施例2の反力偏差補正ゲインによる閉弁量の補正とを組み合わせ構成としてもよい。
BP ブレーキペダル
2b プライマリピストン(アシスト部材)
3a,3b マスタシリンダ圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)
5 マスタシリンダ圧制御機構(ブレーキ倍力装置)
6 インプットロッド(入力部材)
6d,6e バネ(付勢手段)
7 ブレーキ操作量検出装置(移動量検出手段)
8b ストローク速度算出部(移動速度検出手段)
8c 閉弁量算出部(流路抵抗制御手段)
8d 停止判定部(停止判定手段)
8e 停止維持可能マスタシリンダ圧算出部(路面勾配検出手段,停止維持可能制動力算出手段)
8f 停止維持補正ゲイン算出部(流路抵抗制御手段)
8g 乗算器(流路抵抗制御手段)
8h ブレーキ液温度センサ(温度検出手段)
8i 温度補正ゲイン算出部(流路抵抗制御手段)
8j 反力目標算出部(目標反力算出手段)
8k 推定反力算出部(反力推定手段)
8n 反力偏差補正ゲイン算出部(流路抵抗制御手段)
11,21 アウト側ゲート弁(流路抵抗調整手段)
12,13,22,23 増圧弁(流路抵抗調整手段)
50 駆動モータ(倍力アクチュエータ)

Claims (6)

  1. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、この入力部材の移動方向に対して相対移動可能に設けたアシスト部材と、このアシスト部材に対して前記入力部材を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢する付勢手段と、前記アシスト部材を進退移動させる倍力アクチュエータとを備え、前記入力部材の移動に応じて前記アシスト部材に付与するアシスト推力によりマスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させるブレーキ倍力装置と、
    前記マスタシリンダと各ホイルシリンダとを接続するブレーキ回路と、
    このブレーキ回路の流路抵抗を調整可能な流路抵抗調整手段と、
    前記入力部材の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
    車両停止を判定する停止判定手段と、
    前記停止判定手段により車両停止と判定された場合、前記移動速度検出手段により検出された前記入力部材の移動速度が高いほど、前記流路抵抗調整手段の流路抵抗を増加させる流路抵抗制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制動制御装置において、
    路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
    この路面勾配検出手段により検出された路面勾配における車両の停止維持可能制動力を算出する停止維持可能制動力算出手段と、
    マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
    を備え、
    前記流路抵抗制御手段は、前記マスタシリンダ圧検出手段により検出されたマスタシリンダ圧に応じた制動力が前記停止可能制動力算出手段により算出された停止維持可能制動力以上である場合、前記流路抵抗増加を実行することを特徴とする車両用制動制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両用制動制御装置において、
    前記入力部材の移動量を検出する移動量検出手段と、
    この移動量検出手段により検出された移動量に基づいて目標反力を算出する目標反力算出手段と、
    を備え、
    前記流路抵抗制御手段は、前記ブレーキペダルの反力があらかじめ設定した目標反力特性に近づくように前記流路抵抗を制御することを特徴とする車両用制動制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用制動制御装置において、
    ブレーキ液の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記流路抵抗制御手段は、前記温度検出手段により検出されたブレーキ液の温度が低いほど、前記流路抵抗増加量を抑制することを特徴とする車両用制動制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用制動制御装置において、
    前記流路抵抗調整手段は、各ホイルシリンダ圧を制御するABS制御用の増圧弁であることを特徴とする車両用制動制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用制動制御装置において、
    前記流路抵抗調整手段を、前記ブレーキ回路の開閉を行う常開のアウト側ゲート弁であることを特徴とする車両用制動制御装置。
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