JP5262052B2 - タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、空気入りタイヤの騒音及び振動特性を改良したゴム組成物並びにそれをカーカス層及びサイドゴムとそれに隣接する他の部材ゴムとの間に、挿入又は配置した空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤの騒音・振動特性を改良するために、サイドウォールの一部に防振特性に優れるブチルゴムを使用する提案が多数なされている。例えば特許文献1にはタイヤカーカスに隣接して配設されるサイドウォールゴムに、騒音低下用のハロゲン化ブチルゴムを40〜80重量部含む基材とこのゴム基材に平均気泡系60〜120μmかつ発泡倍率50〜150%の独立気泡を設ける発泡剤とを含むゴム組成物を用いることが提案されている。しかしながら、一般に、ブチルゴムは、騒音・防振特性には優れているが、ジエン系ゴムとの接着性に乏しいので、ジエン系ゴムから成る他の部材との間で剥離等の重大な問題が発生するおそれがある。
そこで、特許文献2には、特定の化合物をハロゲン化ブチルに配合し、このシートをベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴムとカーカス層との間及びベルトクッションゴム、ビードフィラーゴムとサイドゴムとの間の少なくとも一箇所に配置することによって、各部材との間の剥離という問題を生ずることなく、所望の騒音性能に優れた空気入りタイヤが提供されている。
特開平7−276909号公報 特開2006−62405号公報
従って、本発明は、前記特許文献2と同様に、空気入りタイヤのカーカス層と隣接するベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴムの各部材との間及び/又はベルトクッションゴム、ビードフィラーゴムとサイドゴムとの間の少なくとも一箇所に挿入又は配設することによって、空気入りタイヤの騒音性能を改良すると共に、隣接するジエン系ゴムから成る各部材との間の接着性の問題を解消することができる空気入りタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明によれば、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムの少なくとも一種10重量部以上を含むジエン系ゴム100重量部、窒素吸着比表面積が20〜120m2/gのカーボンブラック20〜80重量部並びに珪藻土10〜50重量部を含んでなるタイヤ用ゴム組成物並びにそれを用いた空気入りタイヤが提供される。
本発明の好ましい態様によれば、前記ゴム組成物に、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、式(I):
Figure 0005262052
(式中、Zは活性水素含有基を示し、Xは、置換基を有していてもよく、かつSO2、O、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24の有機基を示し、Aは、活性水素を有さず、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜24の有機基を示し、nは1〜4の整数である。)
で表わされる化合物0.5〜10重量部を更に含むタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤが提供される。
本発明によれば、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含むジエン系ゴムに、特定のカーボンブラック及び珪藻土を配合することにより、ベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴムとカーカス層との間、及びベルトクッションゴム、ビードフィラーゴムとサイドゴムとの間の少なくとも一箇所以上に配置することにより、耐騒音性能を向上させると共に、ゴムシートと各部材との間に剥離の重大な問題を生ずることのないゴム組成物並びにそれを用いた空気入りタイヤが得られる。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム10重量部以上を含むジエン系ゴム100重量部に、窒素吸着比表面積(N2SA)(K6217−2に準拠して測定)が20〜120m2/g、好ましくは25〜100m2/gのカーボンブラック(かかるカーボンブラックはGPF〜HAFとして市販されている)20〜80重量部、好ましくは30〜50重量部及び珪藻土10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部を配合することによって前記目的を達成することに成功した。カーボンブラックのN2SAが20m2/g未満では所望の補強性が得られないので好ましくなく、逆に120m2/gを超えると発熱性が悪化するので好ましくない。またカーボンブラックの配合量が少ないと必要な破断強度が得られないので好ましくなく、逆に配合量が多いと発熱性が悪化するので好ましくない。更に珪藻土の配合量が10重量部未満の場合所望の効果が得られず、50重量部より多いと、発熱が極めて悪化し、耐久性が逆に悪くなるので好ましくない。なお、本発明において使用する珪藻土は公知で、従来からろ過材、脱臭材、壁材、コンロやレンガの原料などに使用されているような任意の珪藻土を用いることができる。
本発明の好ましい態様では、更にブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムに対して、前記した特定の式(I)の化合物を、前記カーボンブラック及び前記珪藻土に加えて、所定量配合するときは、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムと従来使用のジエン系ゴムとの間の接着性が極めて向上するとの知見を得、かかる配合から成るゴム組成物から成るゴムシートを、空気入りタイヤのカーカス層とそれに隣接する各部材間およびそのベルトクッションゴム、ビードフィラーゴムとサイドゴム間に配設するときは、空気入りタイヤの騒音性能が改良されると同時に、当該ゴムシートとそれを挟み込んだ各部材間における剥離の問題も生じない。
本発明に係るゴム組成物のシートは、具体的には、空気入りタイヤのトレッド部とビード部の間に配置される各部材間において、特に騒音が発生しやすい部位、即ち、図1〜図5に示すような、カーカス層とベルトクッションゴムとの間(図1)、カーカス層とサイドゴムとの間(図2)、カーカス層とビードフィラーゴムとの間(図3)、サイドゴムとベルトクッションゴムとの間(図4)、およびサイドゴムとビードフィラーゴムとの間(図5)の少なくとも一箇所に配設される。ゴムシートの厚さは、特に限定はないが、好ましくは0.5〜10mm厚、更に好ましくは1〜4mm厚である。
本発明のゴム組成物を用いる空気入りタイヤにおけるカーカス層の構成ゴム及びベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴム等のゴム素材には、通常のジエン系ゴム、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ブタジエンゴム(BR)などの合成ゴムを単独で、あるいは二種以上のブレンドとして使用することができる。一方、当該各部材間に挿入、配設されるゴムシートを構成するゴム成分には、これらのジエン系ゴムに、一般に騒音・振動特性に優れたブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム(例えば公知で市販されている臭素化ブチルゴム又は塩素化ブチルゴム)を10重量部以上、好ましくは20重量部以上含むゴムを使用する。当該ゴムシートを構成するゴムには、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムが100重量部、即ち全部がブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムから構成されていてもよい。ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの配合量が、ゴム成分100重量部中10重量部未満では、所期の騒音・振動特性が得られるゴムとならないので、好ましくない。
本発明の好ましい態様においては、ベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴム等の前記各部材間に挿入、配設されるゴムシートには、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを少なくとも10重量部含むジエン系ゴム100重量部に対して、前記式(1)で示される化合物0.5〜10重量部、好ましくは2〜7重量部を配合することができる。
前記式(I)の化合物は、本願発明でのゴムシートを構成するブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムと前記ベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴム等の各部材を構成するジエン系ゴムとを共架橋化して、これら両ゴム間同士を強く接着して、結果的に各部材間を強固に接合する役割を有する。当該化合物の配合量が0.5重量部未満では更なる接着効果が発揮できず、また逆に10重量部を超えると、それ以上接着効果が向上しないばかりか、セット性の低下を招くので、好ましくない。更に、当該ゴムシートの厚さが0.5mm未満であると、十分な音、振動特性の改善が得られないので好ましくなく、逆に10mmを超えると、発熱が上昇し、タイヤの耐久性が低下するので好ましくない。
前記式(I)の化合物について更に説明すると、式中、Zは、活性水素含有基を表す。Zは、活性水素含有基であれば特に限定されないが、本発明で用いるゴムシートとジエン系ゴム部材との接着性をより強化する点で、有する活性水素が1個又は2個である活性水素含有基であることが好ましい。有する活性水素が1個又は2個である活性水素含有基としては、例えばチオール基、カルボキシル基、イミノ基、アミノ基が挙げられる。イミノ基としては、例えば−NHR2(式中、R2は炭素数1〜20個の有機基を表す。)、より具体的には、例えば−NHC65などが挙げられる。
また、Zで表される活性水素含有基は、本発明でのゴムシートが加硫される加硫温度を考慮して選択することもできる。例えば、Zがカルボキシ基のような電子吸引性の高い基である場合には、後述する熱解離(マレイミド化合物の脱離)が起こり易くなるため、加硫温度を低くすることができる。
式(I)中、Xは、置換基を有していてもよく、かつ、SO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24個の有機基を表す。より具体的には、Xは、非環状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、複素環基、アルキル芳香族基などであるが、中でも芳香族基または複素環基が好ましい。Xの価数は、上記式(I)からも分るように(1+n)価である。置換基は、特に限定されない。
前記Xとしては、例えばエチレン基、ヘキサメチレン基(−(CH2)6−)、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、キシリル基、イミダゾール環を有する2価の基、ナフタレン環を有する2価の基、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される3価の基が挙げられる。中でも、o−フェニレン基、p−フェニレン基、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される3価の基、下記式(c)で表される2価の基が好ましい。
Figure 0005262052
(式中、R3は炭素数1〜24個の有機基を表す。)
また、前記Xも、前記Zと同様に、本発明でのゴムシートが加硫される加硫温度を考慮して選択することができる。
式(I)において、Aはそれぞれ独立に、活性水素基を有しないが、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の有機基を表す。Aで表される有機基は、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基及びアリール基;並びに1個以上の置換基を有する置換アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基及びアリール基が挙げられる。中でも、シクロアルキル基、及び芳香族基、例えばフェニル基が好ましい。
本発明で用いる前記化合物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、チオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物と、式(II)で表されるマレイミド化合物とを用い、前記マレイミド化合物の炭素原子間の二重結合に前記チオール基を付加させる方法を用いることができる。
Figure 0005262052
(式中、Aは、式(I)における定義と同じである。)
上記製造方法において、上記Zで表される活性水素含有基がチオール基よりも反応性が高いものである場合には、この活性水素含有基を適当な保護基で保護してから反応させるなどの方法を採ればよい。
上述した製造方法に用いられるチオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物としては、例えば、チオサリチル酸、2−アミノエタンチオール、2−ピリジンチオール、4−ピリジンチオール、2−アミノベンゼンチオール、4−アミノベンゼンチオール、4−ヒドロキシベンゼンチオール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトイミダゾリン、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ポリチオール(例えば、チオコールまたはチオールで変性されたゴムおよび/または樹脂)が挙げられる。
中でも、芳香族性チオール、複素環式チオールが、熱による解離を起こし易いという点で好ましい。具体的には、例えば、チオサリチル酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメルカプト−トリアジン、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールが好適に挙げられる。特に、チオサリチル酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンは、固体で臭気がないため取扱い易いという点、および、熱による解離を起こし易いという点で好ましい。
上述した製造方法に用いられる式(II)で表されるマレイミド化合物としては、従来公知のN−置換マレイミドとして公知のものが挙げられる。具体的には、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ジクロロヘキシルマレイミド等のN−アルキル基置換マレイミド;N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキル基置換マレイミド;N−フェニルマレイミド等のN−芳香族基置換マレイミドが好適に挙げられる。中でも、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが安価に入手することができる点で好ましい。
上述した製造方法は、より具体的には、例えばチオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物に、上記式(II)で表されるマレイミド化合物を、モル比で、0.90から1.10倍、好ましくは0.95〜1.05倍加え、有機溶媒中、室温から150℃で、1〜24時間攪拌する方法が、好適に挙げられる。
前記有機溶媒は、チオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物および上記式(II)で表されるマレイミド化合物の両者を溶解することができるものであれば、特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドが好適に挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドが高い溶解性を示す点で好ましい。反応終了後、減圧下で有機溶剤を濃縮除去することにより本発明の化合物が得られる。
本発明で用いる化合物の好適な具体例としては、上述したチオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物と、上記式(II)で表されるマレイミド化合物とのそれぞれの具体例の組み合わせから得ることができる化合物が挙げられる。より具体的には、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンとN−フェニルマレイミドとから得ることができる下記式(III)で表される化合物、チオサリチル酸とN−フェニルマレイミドとから得ることができる下記式(IV)で表される化合物、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンとN−フェニルマレイミドとから得ることができる下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005262052
当該化合物(I)をブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム更にジエン系ゴムのを含有するゴム組成物に配合し、硫黄で加硫させると、以下の反応が起こり、両ゴムの共架橋が実現できる。具体的には、先ず、当該化合物とブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムとを含有するゴム組成物を加熱すると、化合物の活性水素含有基と、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの炭素−臭素結合とが反応して、化合物がゴムの主鎖と結合する(下記式中の反応1)。次いで、反応1後の組成物に、ジエン系ゴムと硫黄とを添加し、更に加熱すると、ジエン系ゴムが硫黄により架橋すると共に、ゴムの主鎖と結合した化合物から、熱により解離してマレイミド化合物が脱離して、チオール基を発生させ、発生したチオール基とジエン系ゴムの二重結合とが反応して結合する(下記式中の反応2)。このようにして、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムとジエン系ゴムの両者を共架橋することができる。
Figure 0005262052
ここで、当該化合物は、活性水素含有基を分子内に1個のみ有しているので、加硫時の加硫温度に達する前の加熱過程において、その活性水素含有基がゴムと反応しても、架橋は起こらず、スコーチ等の問題がない。また、酸化マグネシウムを含有する場合には、上記反応で発生する酸を捕捉するため、スコーチが防止される。一方、当該化合物は、マレイミド化合物で保護されたチオール基を分子内に有しており、このマレイミド化合物は一定温度範囲(例えば、160〜180℃)で脱離するので、加硫温度をその温度範囲に設定すれば、加硫時において加硫温度に達したときに、速やかに架橋が起こる。そして、脱離したマレイミド化合物は、ラジカル捕捉剤として働くため、加硫温度を高くした場合(例えば、200℃)であっても、ラジカルによるゴムの主鎖の分解を抑制することができるので、熱安定性に優れる。
本発明に係るゴム組成物には、上記各成分に加えて、更に通常のタイヤ用ゴム組成物に配合される充填剤、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑剤などの各種配合剤を配合することができる。その際に、更に、酸化マグネシウムを配合することが好ましい。酸化マグネシウムは、前述した化合物の活性水素含有基とゴムにおける活性水素含有基との反応の際に発生する酸を捕捉して、スコーチを防止する作用を有する。これらの添加剤の配合量も本発明の目的を損わない限り、依前通りとすることができる。
本発明のゴム組成物は、汎用のゴム用混練機、例えばロール、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練した後、次いで押出機によって所要の厚さに押出してゴムシートとし、これを適当な大きさに切断して本発明における所望の部位に挿入、配設した後、加硫成形してタイヤとする。最終的には、当該ゴムシートが、それを挟み込む各部材ゴムとの間で、タイヤ成形時の熱により共架橋することによって相互に強固に接合して、所望の騒音抑制効果が発揮される空気入りタイヤを得ることができる。
以下、従来例、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
化合物1の合成例
チオサリチル酸15.4g(0.1モル)、N−フェニルマレイミド17.3g(0.1モル)およびメチルエチルケトン150gを反応器に仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧下90℃で濃縮して、前記式(IV)で表わされる化合物1を32.5g得た(収率99%)。
化合物2の合成例
2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン23.6g(0.1モル)、N−フェニルマレイミド34.6g(0.2モル)およびジメチルホルムアミド150gを反応器に仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧下100℃で濃縮して、前記式(V)で表わされる化合物2を56.3g得た(収率97%)。
標準例1、実施例1〜6及び比較例1〜4
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を3リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、160℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
評価試験法
1)カーカスとの剥離試験: JIS K6256(布とゴムとの剥離試験)に準拠して、以下で作製した試験片を50mm/分の速度で剥離することによって剥離試験を行った。結果は、標準例1を100として指数で表示した。指数が大なる程剥離力が大きいことを示す。結果は表Iに示す。
試験片の作製: 先ず、以下の表Iの標準例、比較例及び実施例における配合組成より成る各例の未加硫ゴム組成物を得、これらを、糸の打ち込み本数50本/5cmで0.8mm厚の補強用カーカス材に対して1.2mm厚のゴムシートにそれぞれ押出して補強用カーカス材に積層した。次いで、この各積層物上のゴムシート側に以下の表IIの配合組成よりなるカーカス材用未加硫ゴム組成物をそれぞれ1.2mm厚のシートとして同様に押出し、積層した。更に、これらの各積層物側に、糸の打ち込み本数50本/5cmで0.8mm厚の補強用カーカス材を裏打ち、積層した。サンプルは、最終的に、糸の長手方向に150mm以上とし、幅を100mmとなるように切断して得た。この時、試験機の掴みしろとするために長手方向に端から60mmまでセロファンを挟み込んでおいた。これらの積層ゴム片を150℃で45分間加硫し、16時間放置した後、幅が25mmとなるように切断して、試験片とした。
2)騒音性試験: 以下で作製した試験タイヤ(11R22.5 14PR TY787)を22.5×8.25サイズのリムに装着し、空気圧700kPaとした上で、8トン車(2−D)に取り付けて、JASO C606の実車試験法に準拠して騒音性能を測定した。結果は標準例1の値を基準として表示した。
試験タイヤの作製: 以下の表Iの従来例、比較例および実施例に示す配合組成の未加硫ゴム組成物から成る2.5mm厚×100mm幅×一周分長のゴムシートをカーカス層とサイドウォールゴムとの間に配設した11R22.5サイズのリブ基調のタイヤを製造し、試験タイヤとした。
3)脆化温度: JIS K6261に準拠して測定した。
Figure 0005262052
表I脚注
1)Bayer Bromobutyl X2(バイエル製)
2)TSR20
3)NIPOL 1220(日本ゼオン製)
4)NIPOL IR 2200(日本ゼオン製)
5)ショウブラックN330T(昭和キャボット製)
6)酸化亜鉛3種(正同化学工業製)
7)ビーズステアリン酸(日本油脂製)
8)プロセスオイル 123(昭和シェル石油製)
9)金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業製)
10)サンノック(大内新興化学工業製)
11)SANTOFLEX 6PPD(FLEXSYS製)
12)ノクセラー NS−P(大内新興化学工業製)
13)化合物1の合成例より得た化合物
14)化合物2の合成例より得た化合物
Figure 0005262052
上記表Iの結果によれば、本発明の空気入りタイヤでは、タイヤのトレッド部とビード部の間に配置されるベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴムとカーカス層との間、およびベルトクッションゴム、ビードフィラーゴムとサイドゴムとの間の少なくとも一箇所に、特定の化合物とカーボンブラックを所定量含むハロゲン化ブチルゴムのゴムシートを挿入、配設すると、タイヤの加硫時に、そのゴムシートとそれを挟み込む両部材ゴムとの間でそれぞれ強力に架橋接合して、その結果、当該ハロゲン化ブチルゴムあるいはそれを含むゴムシートとジエン系ゴムから成る両部材との界面における剥離の問題が一切解消され、かつ所望の騒音性能に優れた空気入りタイヤが得られることが分る。
本発明に係るゴムシートをカーカス層とベルトクッションゴムとの間に配設した態様の空気入りタイヤにおけるタイヤ軸方向の部分断面図を示す。 本発明に係るゴムシートをカーカス層とサイドゴムとの間に配設した態様の空気入りタイヤにおけるタイヤ軸方向の部分断面図を示す。 本発明に係る特定組成のゴムシートをカーカス層とビードフィラーゴムとの間に配設した態様の空気入りタイヤにおけるタイヤ軸方向の部分断面図を示す。 本発明に係るゴムシートをサイドゴムとベルトクッションゴムとの間に配設した態様の空気入りタイヤにおけるタイヤ軸方向の部分断面図を示す。 本発明に係るゴムシートをサイドゴムとビードフィラーゴムとの間に配設した態様の空気入りタイヤにおけるタイヤ軸方向の部分断面図を示す。

Claims (5)

  1. ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムの少なくとも一種10重量部以上を含むジエン系ゴム100重量部、窒素吸着比表面積が20〜120m2/gのカーボンブラック20〜80重量部並びに珪藻土10〜50重量部を含んでなるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 式(I):
    Figure 0005262052
    (式中、Zは活性水素含有基を示し、Xは、置換基を有していてもよく、かつ、SO2、O、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24の有機基を示し、Aは、活性水素を有さず、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜24の有機基を示し、nは1〜4の整数である)
    で表わされる化合物を、ジエン系ゴム100重量部に対し、0.5〜10重量部を更に含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記式(I)で表わされる化合物のXが芳香族基又は複素環基である請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 前記式(I)で表わされる化合物のZがチオール基、イミノ基もしくはアミノ基又はカルボキシル基である請求項2又は3に記載のゴム組成物。
  5. ベルトクッションゴム、サイドゴム、ビードフィラーゴムとカーカス層との間及びベルトクッションゴム、ビードフィラーゴムとサイドゴムとの間の少なくとも一箇所に請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物のシートを挿入又は配置した空気入りタイヤ。
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