JP5260524B2 - 反射鏡、ランプユニット及び投射型画像表示装置 - Google Patents

反射鏡、ランプユニット及び投射型画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、反射鏡、前記反射鏡と高圧放電ランプとを備えるランプユニット及び前記ランプユニットを備える投射型画像表示装置に関する。
ランプユニットには、高圧放電ランプ(以下、単に「ランプ」という。)から出射された光を被照射側に集光させるための凹状の反射面を有する反射鏡(後述する補助反射鏡と区別するために、以下、「主反射鏡」という。)を備えるもの以外に、ランプから主反射鏡と反対側に向けて出射された光をランプの発光中心(一対の電極間の中点)へと反射させる補助反射鏡を備えたものがある。
なお、補助反射鏡を設けることにより、ランプから主反射鏡のない向きに出射された光を効率良く利用することができ、結果的に集光効率を高めることができる。
補助反射鏡の反射面は一般的には球面形状をしており、ランプの発光中心と球面の中心とが一致するように補助反射面がランプに装着される。これは、ランプの発光中心から出射した光が反射面で反射した後、ランプの発光中心を通って主反射面に向かうからである。しかし、現実には、発光中心からの光がランプのバルブに入射する際、バルブから出射する際等に屈折が生じ、ランプから補助反射鏡に向けて出射され当該補助反射鏡で反射した光が一対の電極間を通過せずに電極に到達することもあり、ランプからの光が有効に利用されているとは言い難い。
一方、屈折を考慮して反射面を補正する技術がある(特許文献1)。この技術は、ランプの発光中心から出射された光が、第2の焦点位置に集光するように主反射鏡の反射面を補正するものである。この技術を補助反射鏡の反射面の補正に適用させて、ランプの発光中心から出射された光が、補助反射鏡の反射面で反射して発光中心に戻るように、補助反射鏡の反射面を補正することができる。
特開2004−265702号公報
しかしながら、上記補正技術は、ランプの発光中心から光が出射されることを前提としたものであり、一対の電極間で所定の輝度分布を有する実際のランプユニットに適用すると、電極の温度が過度に上昇し、電極消耗が激しくなることが判明した。
図15の(a)はランプの輝度分布を示す図であり、(b)は(a)の輝度分布を中央で切断した切断図である。なお、(b)は、最高輝度を「1」とした相対輝度で、その輝度分布を示している。
同図に示すように、一対の電極間で、各電極に近い位置での輝度が高く、この輝度の高い箇所の間ではその中央位置での輝度が最も低いことが分かる。なお、輝度の高い2つの位置を位置S1,S3と、輝度の低い位置を位置S2とする。
ここで、位置S1,S2,S3から出射した光が反射面の任意の位置Ptに達するまでの光路と、当該任意の位置Ptで反射された反射光の光路について説明する。
図16は、図15の(b)の位置S1,S2,S3から出射した光が反射面901の任意の位置Ptに達するまでの反射前光路を示し、図17は、反射面901の任意の位置Ptで反射した反射後光路を示す。
(1)反射前光路
位置S1,S2,S3から出射した光が反射面の位置Ptに達するまでの光路は、反射面(901)を補正していない反射鏡(903)、補正している反射鏡(923)に関係なく、位置S1,S2,S3から出射した光が、ランプ905のバルブ907に入射する際、バルブ907から出射する際に、それぞれ屈折して反射面901の位置Ptに達する。
(2)反射後光路
反射面901を補正していないランプユニットでは、図17(a)に示すように、反射後の光は、ランプ905のバルブ907に入射する際、バルブ907から放電空間909に出射する際に、それぞれ屈折して、それぞれの方向に進む。各光(3本の線に相当する。)のそれぞれは、ランプ905の発光中心Cよりも補助反射鏡903がある側と反対側にずれて進行し、3本の光の内、紙面に向かって最も左側を進行する光は、電極911に達する。
一方、上記補正技術で補正された反射面921を備えるランプユニットでは、発光中心Cから出射された光が反射面921で反射して放電空間909内の発光中心Cに戻るように、反射面が補正されている。このため、発光中心C、つまり、位置S3から出射した光が、図17(b)に示すように、反射面921の位置Ptで反射して発光中心Cに戻る。
しかしながら、補正されている反射面921を備えるランプユニットにおいても、3本の光の内、向かって最も左側を進行する光は、電極911の先端に達する。
このように、輝度の高い位置S1S3から出射された光が、反射面901,921で反射して電極911に戻ってくると、当該電極911の温度が過度に上昇してしまい、電極材料が蒸発し、短命化を招くのである。
本発明は、上記の課題に鑑み、実際のランプで発生している実アークの輝度分布を考慮して、輝度の高い位置から出射された光が反射面で反射して電極の温度が過度に上昇するのを抑制することできる反射面を有する反射鏡、ランプユニット及び投射型画像表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る反射鏡は、バルブ内に一対の電極が共通する軸心上に対向配置されてなる高圧放電ランプに装着され、前記高圧放電ランプから出射された光の一部を前記一対の電極側に向けて反射させる反射面を有する反射鏡であって、前記共通する軸心をZ軸、前記Z軸と直交する軸をY軸とし、前記共通する軸心上の一点から出射された後に前記反射面における一の反射点で反射された反射光が前記Z軸と交差する交差位置をZ座標で、当該位置における照度をY座標で表し、前記電極間であって前記共通する軸心上の1番目からn番目までのn個(nは、3以上の自然数である。)の各点(n個の点は、数の順で並ぶ。)から出射されたn本の光が任意の同一の反射点で反射されたとき、そのi(1≦i≦n)番目の反射光についてのそれぞれのZ軸上の交差位置とその位置における照度とをZ−Y直交座標系上の点Pi(ZiYi)とし、n番目及び1番目の反射光の前記Z軸における交差位置を点Pp(Zn0)、点Pq(Z10)とした場合に、1番目の反射光の点P1(Z1Y1)からn番目の反射光の点Pn(ZnYn)までの各点と、点Pp(Zn0)と、点Pq(Z10)と、点P1(Z1,Y1)とをこの順で結んだ線分で囲まれた領域の中で、前記一対の電極間に対応する領域部分の面積が、反射面を球面とした場合に前記n個の点から出射して球面で反射されたとしてZ−Y直交座標上に描ける領域の中の一対の電極間に対応する領域部分の面積よりも広くなるように、各反射点における反射面の角度が球面から補正されていることを特徴としている。
ここでいう「電極」とは、アークを発生させる部分(例えば、コイル状のもの、棒状のもの、筒状のもの等を含む。)を含んでおれば良く、例えば、電極コイルを電極としても良いし、電極コイルと電極軸とから構成されるものを電極としても良い。
また、「前記高圧放電ランプから出射された光の一部を前記一対の電極側に向けて反射させる」の「一対の電極側に向けて」とは、「一対の電極に向けて」、「電極間に向けて」、そして「一対の電極及び電極間に向けて」を含む概念である。
また、点Pnと点Ppとが異なる点であっても良いし、一致する点であっても良い。同様に、点P1と点Pqとが異なる点であっても良いし、一致する点であっても良い。
反射面は、記高圧放電ランプから被照射側と反対側に向けて出射された光を前記一対の電極間に向けて反射するようにしているが、バルブの肉厚やバルブの形状の影響で、反射した反射光が電極に到達することもあり(球面形状の反射面に比べると低減されている)、本発明に係る反射鏡は、前記高圧放電ランプから被照射側と反対側に向けて出射された光を前記一対の電極間に向けて反射する反射面を有することになる。
また、「高圧放電ランプ」には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が含まれる。
本発明に係る反射鏡は、上記のように、一対の電極間であって共通する軸心上のn個の各点から出射されたn本の光について補正しているので、一対の電極間で実際に発生している実アークの輝度分布を考慮することができる。
また、1番目の反射光の点P1(Z1Y1)からn番目の反射光の点Pn(ZnYn)までの各点と、点Pp(Zn0)と、点Pq(Z10)と、点P1(Z1,Y1)とをこの順で結んだ線分で囲まれた領域における一対の電極間に対応する領域部分の面積が、前記n個の各点から出射して球面状の反射面で反射した場合の面積よりも広くなるように、各反射点における反射面の角度が補正されているので、反射鏡で反射された反射光が電極に到達するのを低減することができる。これにより、集光効率の向上さらには装置として光利用効率の向上を図ることができる上、反射光による電極の温度上昇を抑制することができ、結果的に高圧放電ランプの寿命特性を向上させることができる。
さらに、例えば、n個の点のうちの2点を輝度の高い位置に設定することにより、輝度の高い位置から出射された光が反射面で反射して電極に到達するのを抑制でき、結果的に電極の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。
また、前記n個の各点には、前記一対の電極間の中点に位置する点と、前記一対の電極間であって前記一対の電極間の中点に位置する点の両側で輝度ピークを示す位置の点を含むことを特徴とし、或いは、前記nの数は3であり、2番目の点が、前記一対の電極間の中点に位置する点であり、1番目及び3番目の点は、前記一対の電極間であって前記第2の点の両側で輝度ピークを示す位置の点であることを特徴としている。これにより、補正に用いられる輝度分布を実際に発生している実アークの輝度分布に近づけることができ、精度の高い補正を行うことができる。
さらに、前記各反射点における補正は、前記領域における前記一対の電極間に対応する領域部分の面積が略最大となるように行われていることを特徴としている。これにより、例えば、前記領域における前記一対の電極間に対応する領域部分の面積が略最大となるような位置をコンピュータを用いて計算することができ、当該補正を容易に行うことができる。
本発明に係るランプユニットは、高圧放電ランプと、当該高圧放電ランプから出射された光の一部を前記電極側に向けて反射させる反射面を有する反射鏡とを備えるランプユニットであって、前記反射鏡は、上記の反射鏡であることを特徴としている。
このため、一対の電極間で実際に発生している実アークの輝度分布を考慮することができる。また、反射鏡で反射された反射光が電極に到達するのを低減することができ、これにより、集光効率の向上さらには装置として光利用効率の向上を図ることができる上、反射光による電極の温度上昇を抑制することができ、結果的に高圧放電ランプの寿命特性を向上させることができる。さらに、例えば、n個の点のうちの2点を輝度の高い位置に設定することにより、輝度の高い位置から出射された光が反射面で反射して電極に到達するのを抑制でき、結果的に電極の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。
前記ランプユニットは、前記反射鏡以外に、前記高圧放電ランプから出射された光であって前記反射鏡に向けて出射された光以外の光と、前記反射鏡で反射された光とを、所定方向に反射させる第2の反射鏡を備えることを特徴としている。このため、高圧放電ランプから全方向に向けて出射された光を有効に利用することができる。
本発明に係る投射型画像表示装置は、ランプユニットを光源として備える投射型画像表示装置であって、当該ランプユニットは、上記のランプユニットであることを特徴としている。このため、実際のランプの輝度分布を考慮して、輝度の高い位置から出射された光が反射面で反射して電極の温度が過度に上昇するのを抑制することできる。
第1の実施の形態に係るランプユニットの構成を示す図である。 ランプ及び補助反射鏡の構成を示す図である。 ランプの発光部付近を示す拡大断面図である。 反射後の光の光路を示し、(a)は補正なしの光路を、(b)は補正ありの光路をそれぞれ示す。 反射鏡で反射した光の電極間における補正前後の照度分布を示し、(a)は補正前の照度分布を、(b)は補正後の照度分布をそれぞれ示す。 一対の電極間における第1の実施の形態に係る照度面積を示す。 点Ptの反射面の補正角度の算出を説明する図である。 固着剤の充填工程を説明するための工程図である。 第2の実施の形態に係るプロジェクタの一部破断斜視図である。 (a)は変形例1aに係る補正方法を説明する図であり、(b)は変形例1bに係る補正方法を説明する図である。 変形例2に係るランプ及び補助反射鏡の構成を示す図である。 変形例2に係る固着剤の充填工程を説明するための工程図である。 変形例3に係るランプ及び補助反射鏡の構成を示す図である。 変形例4に係るプロジェクタの全体斜視図である。 (a)はランプの輝度分布を示す図であり、(b)は(a)の輝度分布を中央で切断した切断図である。 図15の(b)の位置S1,S2,S3から出射した光が反射面の任意の位置Ptに達するまでの反射前光路を示す。 反射面の任意の位置Ptで反射した反射後光路を示す。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る反射鏡を有する高圧放電ランプ、当該高圧放電ランプを利用したランプユニット及び当該ランプユニットを利用したプロジェクタについて、図面に基づき説明する。
1.ランプユニット
図1は、第1の実施の形態に係るランプユニットの構成を示す図であり、内部の様子が分かるように、主反射鏡、補助反射鏡等の一部を切り欠いている。なお、図1では、ランプユニットに係る電気配線等の記載は省略している。
図1に示すように、ランプユニット20は、高圧放電ランプ21(以下、単に「ランプ21」という。)と、ランプ21から被照射側と反対側に出射された光L1を被照射側に反射させる主反射鏡23と、ランプ21から被照射側に出射された光L2を、主反射鏡23に反射させる補助反射鏡25とを備える。
ランプユニット20は、ランプ21の両端から延出する外部リード線53,55に接続された一対のリード線91,93と、リード線91,93の他端部に接続されたコネクタ119,121とを介して後述する電源ユニット131に接続される。
2.各構成
(1)ランプ
図2は、ランプ及び補助反射鏡の構成を示す図である。
ランプ21は、図2に示すように、内部が放電空間31となる発光部33と当該発光部33の両側に延設された第1及び第2封止部35,37とを有するガラスバルブ39と、前記放電空間31の内部で先端部(後述する電極コイル61,63)同士が対向する状態で第1及び第2封止部35,37にそれぞれ封止された第1及び第2電極構成体41,43とからなる。なお、放電空間31には、発光物質として水銀、始動補助用の希ガス、ハロゲンサイクル用のハロゲンガスが封入されている。
第1及び第2電極構成体41,43は、第1及び第2電極45,47と、第1及び第2金属箔49,51と、第1及び第2外部リード線53,55とがこの順で、例えば溶接により接合されてなる。
第1及び第2電極45,47は、第1及び第2電極軸57,59と、それら電極軸57,59の先端に設けられた第1及び第2電極コイル61,63とからなる。第1及び第2電極軸57,59は、例えばタングステン製である。なお、第1及び第2電極コイル61,63は、第1及び第2電極軸57,59と異なる材料で構成されていても良いし、同じ材料で構成されていても良い。
第1及び第2電極45,47は、その先端(第1及び第2電極コイル61,63)が放電空間31で第1及び第2電極軸57,59に共通する軸上で対向(第1電極軸57と第2電極軸59の軸心が一致する状態で対向する。)し、他端が第1及び第2封止部35,37内に位置している。
ランプ21はいわゆるショートアーク型であって、点光源に近付けるために電極間距離(第1電極コイル61と第2電極コイル63との間隔)が0.5mm〜2.0mmの範囲に設定されている。
第1及び第2金属箔49,51は、第1及び第2電極45,47の第1及び第2封止部35,37内に位置する側の端部に接合されており、第1及び第2封止部35,37内に封止された状態にある。当該第1及び第2金属箔49,51は、例えばモリブデン製である。
第1及び第2外部リード線53,55は、第1及び第2封止部35,37における発光部33と反対側の端面からガラスバルブ39の外部に導出されている。
(2)主反射鏡
図1に示すように、主反射鏡23は、凹状の反射面65が内面に形成された、例えば漏斗状の主反射鏡本体67と、主反射鏡本体67の中央背面(主反射鏡本体67の底部であって反射面65と反対側)から反射鏡の光軸に沿って外方に延出した円筒状のランプ保持部69とからなる。
主反射鏡23は、ランプ21の第1封止部35を保持している。具体的には、主反射鏡23のランプ保持部69内にランプ21の第1封止部35を遊挿した状態で、ランプ保持部69と第1封止部35との隙間に固着剤71が充填されて固着されている。固着剤71としては、例えば、主成分がシリカ、アルミナ、或いは、シリカ−アルミナ等の無機接着剤が考えられ、無機接着剤の一例としてスミセラムS(朝日化学工業株式会社製)が挙げられる。
主反射鏡23は、例えば硬質ガラス製のダイクロイック反射鏡であり、反射面65は、例えば真空蒸着法により形成された誘電体多層膜(例えば、TiO/SiOやTa/SiO)で構成されている。主反射鏡23は、ランプ21の発光部33から出射された可視光線を反射面65で被照射側に反射させる。赤外光線は主反射鏡23を透過する。
(3)補助反射鏡
図1及び図2に示すように、補助反射鏡25は、球面形状を補正した凹状曲面からなる反射面75が内面に形成された、例えば漏斗状の補助反射鏡本体77と、補助反射鏡本体77の中央背面(補助反射鏡本体77の底部であって反射面75と反対側)から被照射方向に延出した円筒状の筒状部79とからなる。
補助反射鏡25は、ランプ21の第2封止部37に取り付けられている。具体的には、補助反射鏡25の筒状部79内にランプ21の第2封止部37を遊挿し、反射面75の補正の基準となった球面の中心と、ランプ21の第1及び第2電極45,47間(電極コイル61,63間)の中点位置(この位置を「発光中心」ともいう。)とが一致するように位置合せした状態で取り付けられている。
図3は、ランプの発光部付近を示す拡大断面図である。上記状態において、図2及び図3に示すように、筒状部79の基端から延出端までの間には、第2電極47の第2封止部37内に位置する端縁47aが存在している。
なお、補助反射鏡25において筒状部79とは、図3に示す二点鎖線Eよりも右側の部分であり、補助反射鏡本体77とは二点鎖線Eよりも左側の部分である。当該二点鎖線Eは、補助反射鏡25の外径が変化する点E1,E2を結んだ線である。
補助反射鏡25は、筒状部79と第2封止部37との隙間に固着剤81が充填され第2封止部37に固着されている。固着剤81としては、例えば、主成分がシリカ、アルミナ、或いは、シリカ−アルミナ等の無機接着剤が考えられ、無機接着剤の一例としてスミセラムS(朝日化学工業株式会社製)が挙げられる。なお、固着剤81についての詳細は後述する。
補助反射鏡25は、例えば石英ガラス製であり、反射面75は、例えば真空蒸着法により形成された誘電体多層膜(例えば、TiO/SiOやTa/SiO)で構成されている。補助反射鏡25は、ランプ21の発光部33から被照射側に向けて出射された可視光線を反射面75で主反射鏡23の反射面65に反射させる。赤外光線は補助反射鏡25を透過する。なお、反射面75は、球面形状を補正して得られたものであり、その補正の方法等については、後述する。
リード線91,93は、図1に示すように、導電性を有する芯材95,97を絶縁性の被覆材99,101で被覆された被覆導線103,105と、当該被覆導線103,10
5におけるランプ21の外部リード線53,55と接続される側の芯材95,97に接続されたニッケル線107,109とから構成される。
芯材95,97とニッケル線107,109とは、被覆導線103,105の被覆材99,101を剥がし、露出した芯材95,97とニッケル線107,109とを接続スリーブ111,113の内部で重ね、当該接続スリーブ111,113をかしめて接続されている。
リード線91,93とランプ21の外部リード線53,55とは、ニッケル線107,109の先端部が内挿されている接続スリーブ115,117をかしめ、当該接続スリーブ115,117と外部リード線53,55とを溶接して接続されている。
リード線91(93)とコネクタ119(121)とは、被覆材99(101)の内部の芯材95(97)がコネクタ119(121)の接続部123の内部に延出するように被覆材99(101)をコネクタ119(121)の固定部125に固定することで接続されている。なお、被覆導線103,105には、保護チューブ127,129がさらに被覆されている。
3.動作
上記構成のランプユニット20の点灯状態について説明する。
図1に示すように、ランプ21は、発光部33の内部の第1及び第2電極45,47間(以下、単に「電極間」ともいう。)でアークが生じて点灯する。電極間のアークから主反射鏡23の反射面65に向けて出射された光L1は、そのまま進んでランプ21の外部へと放射され、反射面65で被照射面側へと反射されて、ランプユニット20から所定方向に向けて出射される。
一方、電極間で生じたアークから主反射鏡23と反対側、すなわち補助反射鏡25の反射面75に向けて出射された光L2は、そのまま進んでランプ21の外部へ放射され、反射面75で、発光部33や一対の電極間を通って主反射鏡23の反射面に届くように、主反射鏡23側に向けて反射され、その後、主反射鏡23の反射面65で上述のように被照射面側へと反射されて、ランプユニット20から所定方向に向けて出射される。
これにより、ランプユニット20から被照射側に出射される光は、ランプ21から主反射鏡23の反射面65に向けて出射された光と、ランプ21から補助反射鏡25の反射面75に向けて出射され当該反射面75で反射された光との総和となるため、当該ランプユニット20は、補助反射鏡25を有しないランプユニットと比べて集光効率が高くなる。
4.補助反射鏡の反射面
(1)補正方法の概略
本実施の形態に係る補助反射鏡25は、球面形状を補正した反射面75を有している。この補正は、一対の電極間から出射した後に反射面75で反射した反射光が、第1電極45と第2電極47の間を通るように、換言すると、より多くの反射光が第1及び第2電極45,47、或いは、どちらか一方の電極(45,47)に到達するのを抑制するように行われている。
図4は、反射後の光の光路を示し、(a)は補正なし(反射面が球面形状のままである。)の光路を、(b)は補正ありの光路をそれぞれ示す。なお、図4に示す3本の光は、図15の輝度の高い位置S1,S3と、低い位置S2から出射されたものである。また、ここでの補正方法は、本発明に係る「軸心上のn個の各点から出射されたn本の光」の「n個」が「3個」の場合である。
反射面75aの形状が球面形状のままの補助反射鏡25aは、上述したように、発光中心と反射面の曲率中心とが一致するように、ランプ21に取り付けられている。発光中心Cである位置S2から出射した光は、放電空間31とガラスバルブ39の発光部33に相当する部分との間、ガラスバルブ39の発光部33に相当する部分と外気との間での屈折を考慮しない場合は、補助反射鏡25aで反射して位置S2を通過して、主反射鏡23へと向かう。
しかしながら、実際には、ガラスバルブ39等での屈折があるため、図4の(a)に示すように、電極間の位置(S3)から出射した光は、一対の電極間の中央に戻らず(電極間を通過せず)、一方の電極、ここでは第1電極45側にずれ、第1電極45に到達する。
本実施の形態に係る補正は、同図の(a)の第1電極45に到達していた光を、図4の(b)に示すように電極45に到達しないように、その反射面を補正している。つまり、球面形状の反射面75aを有する反射鏡25aの場合に、3つの位置S1,S2,S3から出射して反射面75aで反射した反射光を、他方の(同図において向かって右側の)電極、ここでは第2電極47側に所定量ずらすようにしている。
図5は、反射鏡で反射した反射光の電極間における補正前後の照度分布を示し、(a)は補正前の照度分布を、(b)は補正後の照度分布をそれぞれ示す。
球面形状から反射面75の補正は、第1及び第2電極45,47の先端同士を結ぶ線分(図中の一点鎖線)Aと当該線分A上での照度を示す照度曲線Bとによって囲まれた面積(この面積を「照度面積」という。)のうち、電極間(図中の「L」の間)に相当する領域のおける面積(この面積を上記照度面積と区別するために「相当面積」という。)が大きく(略最大)なるようにしている。なお、上記線分Aは、第1電極45の軸心(つまり、電極軸57の軸心)と一致するとともに、第2電極47の軸心(つまり、電極軸59の軸心)とも一致している。
図5を利用して説明すると、補正前の反射鏡25aでの照度面積は、図5の(a)に示す、クロスハッチング部分と水平ハッチング部分の和となり、相当面積Spはクロスハッチング部分である。補正後の反射鏡での照度面積は、図5の(b)に示す、クロスハッチング部分と水平方向のハッチング部分の和となり、相当面積Sqはクロスハッチング部分である。このように図5の(b)に示す補正後の相当面積Sqは、(a)に示す補正前の相当面積Spよりも広くなっている。
つまり、本実施の形態に係る補正では、図5の(a)に示すような第1電極45側に寄っている照度分布を、図5の(b)に示すように電極間に位置する照度分布となるようにしている。
(2)所定量の算出
本実施の形態では、図15で示す輝度分布BKにおいて、輝度のピークを示す位置S1,S3と、位置S1,S3間であって輝度が最も低い位置S2との3点から出射された光の電極間における照度から面積を求める。
この面積を図5の照度曲線Bと線分Aとで囲まれた照度面積と擬制し、この擬制した照度面積のうち、電極間に存在する領域と重なる相当面積が最大となるようにしている。なお、輝度が最も低い位置S2は、電極間の中点位置(発光中心C)に相当する。
図6は、一対の電極間における第1の実施の形態に係る照度面積を示す。
照度面積は、電極の先端同士を結んだ線分Aの延伸方向にZ軸を、Z軸において電極間の中点を通り且つZ軸と直交する方向にY軸をそれぞれ取り、一対の電極間から出射された光がZ軸に達した点での照度をZY座標で表したときの点P1(Z1,Y1),P2(Z2,Y2),P3(Z3,Y3),P4(Z3,0),P5(Z1,0)の各点をその順に結んだ線分で囲まれてなる閉領域の面積としている。ここで、点P4が本発明に係る点Ppに相当し、また、点P5が本発明に係るPqに相当する。
なお、Z1,Z2,Z3は、図15に示す位置S1,S2,S3から出射された光がZ軸と交差するZの値であり、Y1,Y2,Y3は、位置S1,S2,S3から出射された光が反射面75上の任意の位置である点Ptで反射されて、Z軸に達した際の照度を示し、これらの数値はコンピュータ解析により算出される。
次に、図6の上図に示すように、照度面積を基準にして相当面積Sp(同図のクロスハッチング部分である。)を求め、閉領域の形状をそのままにして、Z軸に沿って平行移動させた時の相当面積を求め、当該相当面積が略最大となった(つまり、図6の下図のクロスハッチング部分で示す相当面積Sqである。)移動量ΔZを算出する。この移動量ΔZが、上記の所定量となる。なお、図6では、補正前後の座標点を区別するために、補正前の座標点をPで表し、補正後の座標点をQで表している。
このようにして移動量ΔZが算出できると、位置S1,S2,S3から出射され、反射面で反射された光の照度分布が、閉領域の移動後の照度分布となるように任意の位置である点Ptの反射面を補正する。
(3)補正角度の算出方法
図7は、点Ptの反射面の補正角度の算出を説明する図である。
図7では、補正前の反射光の光路と補正後の反射光の光路とを実線で示している。補正前の光路は、図4の(a)に示す3本の光路の真中を進行する光路を示し、補正後の光路は、図4の(b)に示す3本の光路の真中を進行する光路を示す。
実線で表した各光路は、任意の位置である反射点Ptからガラスバルブ39を通過して放電空間31へ入射する際の屈折を考慮しており、この屈折を考慮しない場合は、それぞれのガラスバルブ39の厚み内部(発光部33の内径と外径との間に位置する部分)を進行している光路をそのままZ軸まで延長させた破線となる。
ここで補正角度θは、点Pt(ZaYa)、点P2a(Zpa0)、点R(Za0)の3点を結ぶ直角三角形(つまり、底辺をZa−Zpa、高さをYaとし、頂点がPtとなる直角三角形)における頂角と、点Pt(ZaYa)、点Q2a(Zqa0)、点R(Za0)の3点を結ぶ直角三角形(つまり、底辺をZa−Zqa、高さをYaとし、頂点がPtとなる直角三角形)における頂角との差となり、これを式で表すと、
θ = tan−1(Za−Zpa)/Ya − tan−1(Za−Zqa)/Yaとなる。
(4)反射面
任意の位置である点Ptについての補正角度θは上述のようにして算出できる。従って、反射面75の補正は、上記の点Ptを、球面における中心を通る一平面内の曲線(円弧状)上の所定の点(位置)について繰り返し行うことで、補正された反射曲線(一平面内)が得られ、この反射曲線をZ軸中心で回転することで、目的とする補正された反射面75を得ることができる。
(5)効果
上述した補正では、電極間であって共通する軸心上の位置S1,S2,S3から出射された光について補正しているので、一対の電極間で実際に発生している実アークの輝度分布に近づけることができ、精度の高い補正を行うことができる。
上記補正された補助反射鏡25を利用した場合、上記補正をしていない反射鏡25aと比較して、反射光の第1及び第2電極45,47へ到達(衝突)するのを抑制でき、第1及び第2電極45,47の温度上昇を抑制することができる。これによりランプ21の長寿命化を図ることができる。
また、反射光の第1及び第2電極45,47へ到達(衝突)するのを抑制できるため、補正していない補助反射鏡25aに比べて、一対の電極間を通って主反射鏡23へ達する反射光を多くでき、結果的に集光効率の向上、ランプユニット20としての光利用率を向上させることができる。
なお、補正していない補助反射鏡25aと補正した補助反射鏡25とについてシミュレーションした結果、上記補正した補助反射鏡25を用いた場合は、補正していない補助反射鏡25aを用いた場合に対して集光効率が3(%)向上することが判明している。
5.補助反射鏡の取付
図2に示すように、第1及び第2電極45,47と第1及び第2外部リード線53,55との間には、第1及び第2金属箔49,51が介在しており、それら第1及び第2金属箔49,51が第1及び第2封止部35,37に封止され、これにより放電空間31が密封状態に保たれている。
これは、一般に、第1及び第2電極45,47は、棒状の金属材料製(例えばタングステン製)であり、図3に示すように、第1及び第2電極45,47と第1及び第2封止部分35,37との間には隙間87,89が存在するが、第1及び第2金属箔49,51は、箔状に形成された金属材料製(例えばモリブデン製)であるため、第1及び第2金属箔49,51と第1及び第2封止部35,37との間には隙間が存在し難いからである。
一方、第1及び第2電極45,47と第1及び第2金属箔49,51との接合部分45b,47b(図2におけるハッチング部分)は、比較的構造が複雑であるため、ガラスバルブ39との間に隙間87,89が生じ易い。
この隙間87,89は、放電空間31と繋がっているため、放電空間31内の水銀蒸気が隙間87,89内に入る。隙間87,89は、発光中心から遠いため放電空間31よりも低温となり易く、その中でも発光中心から最も遠い第1及び第2電極45,47の第1及び第2封止部35,37内に位置する端縁45a,47aの付近は特に低温になり易い。
さらに、それら端縁45a,47aのうち、特に第2電極47の端縁47aの付近が最冷点になり易い。これは、第1封止部35で主反射鏡23と結合されているため、第2封止部37側が低温となり易く、この第2封止部37内に第2電極47が位置するからである。
そこで、上記第2電極47の端縁47aの付近が最冷点になるのを防止するために、図3に示すように、第2封止部37と筒状部79との隙間全体に亘って固着剤81を充填している。これによって、ガラスバルブ39から大気への放熱が妨げられて最冷点の温度が上昇するため、放電空間31の蒸気圧を高く保つことができ、ランプユニット20の発光効率を向上させることができる。
なお、固着剤81が補助反射鏡25の反射面75上にはみ出していると、当該固着剤81が発光部33から補助反射鏡25の反射面75に向けて出射された光を遮ってしまい、ランプユニット20の集光効率が低下するといった不具合が生じる。したがって、図3に示すように、固着剤81は、発光部33から補助反射鏡25の反射面75に向けて出射された光L3を遮らない部位に充填されていることが好ましい。つまり、固着剤81の発光部側の端部81aが前記光L3を遮らないことが好ましい。
図8は、固着剤の充填工程を説明するための工程図である。
図8に示すように、固着剤81の充填工程においては、まず、図8(a)に示すように、ランプ21の第2封止部37に補助反射鏡25を遊嵌させる。その際、図8(b)に示すように、筒状部79の基端から延出端までの間に第2電極47の第2封止部37内に位置する端縁47aが存在する状態とする。次に、図8(c)に示すように、補助反射鏡25の筒状部79側の端縁から、第2封止部37と筒状部79との隙間全体に行き亘るように、充填機73で固着剤81を充填する。
なお、充填の際、第2封止部37と筒状部79との隙間全体に固着剤81が十分に行き亘らず、充填むらが生じる場合がある。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態ではランプユニットについて説明したが、第2の実施の形態では、上記構成のランプユニットを用いたプロジェクタ(本発明の「投射型画像表示装置」である。)の一例について説明する。
図9は、第2の実施の形態に係るプロジェクタの一部破断斜視図である。
図9に示すように、第2の実施の形態に係るプロジェクタ130は、いわゆる前面投射型のプロジェクタであって、第1の実施の形態に係るランプユニット20と、ランプを点灯させるための電子安定器を含む電源ユニット131と、制御ユニット133と、レンズ系と透過型のカラー液晶表示板とが内蔵されているレンズユニット135と、冷却用のファン装置137とを、ケース139の内部に備える。なお、レンズユニット135は、その一部がケース139の外部に張り出すように設けられている。
電源ユニット131は、家庭用AC100Vの電源を所定の電圧に変換して、電子安定器や制御ユニット133等に供給する。なお、電源ユニット131は、レンズユニット135の上部に配された基板141や、この基板141に実装された複数の電子・電気部品143等から構成されている。
制御ユニット133は、外部から入力された画像信号に基づき、カラー液晶表示板を駆動してカラー画像を表示させる。また、レンズユニット135の内部に配されている駆動モータを制御し、フォーカシング動作やズーム動作を実行させる。
ランプユニット20から出射された光は、レンズユニット135の内部に配されているレンズ系を通過して、光路途中に配されたカラー液晶表示板を透過する。これにより、カラー液晶表示板に形成された画像が、レンズ145等を介して図外のスクリーン上に投影される。
<変形例>
以上、本発明に係る補助反射鏡、ランプユニット、投影型表示装置について上記実施の形態で説明してきたが、本発明に係る補助反射鏡等は上記形態に限定されないことは言うまでもない。
1.補助反射鏡
(1)補正方法
(1−1)照度面積
第1の実施の形態では、一対の電極間における照度面積は、図6の下図に示すように、その一対の電極の先端間に収まっている。つまり、補正後の反射光が、電極に到達することなく(図6の下図で言えば、電極と照度面積とが重なることなく)、一対の電極間を通っている。
しかしながら、一対の電極間における照度面積が、一対の電極の先端間に収まらない、つまり、補正後の反射光が、電極に到達する場合も生じる。具体的には、角度補正を行う任意の点Ptと発光中心Cとを結ぶ線分と、電極の先端同士を結んだ線分A(つまり、図6のZ軸である。)とで挟まれた角の角度、そのときの反射光がガラスバルブを通過する際のガラスバルブの厚み等によっては、点P1のZ軸上の値が電極45側に位置する場合がある。
以下、一対の電極間における照度面積が、一対の電極の先端間に収まらない場合の補正方法を変形例1aとして説明する。
図10の(a)は、変形例1aに係る補正方法を説明する図である。
本変形例1aは、第1の実施の形態と同様に、点P1,P2,P3の3点によって照度面積を算出している。なお、点P4及び点P5も、第1の実施の形態と同じ、点P3P1のZ軸上の値である。
そして、変形例1aにおいても、図10の(a)の上図に示すように、球面形状の反射面で反射した反射光での照度曲線とZ軸とで囲まれた部分の形状、照度面積及び相当面積Sp(同図のクロスハッチング部分である。)を基準にして、図10の(a)の下図に示すように、照度面積の内の相当面積Sq(同図のクロスハッチング部分である。)が略最大となるように、ずらし量ΔZを算出している。
このように、一対の電極間に存在する点から出射した光が反射面で反射して、その内の光が電極45側に大きく入った位置に到達する場合(Z1が電極45側に移っているため、点P1での照度が点P3での照度よりも低くなっている。)であっても、実施の形態と同様の補正を行うことにより、図10の(a)の下図のような照度分布となる。
この場合、電極45に到達する光を少なくでき、電極45の温度上昇を防ぐことができる。また、一対の電極間から発せられた光の光束ロスを少なくできる。なお、光束ロスは、図10の(a)における水平ハッチング部分の面積であり、同図の上図と下図とを比べると、下図の水平ハッチングの面積(光束ロス)が小さい。
(1−2)出射点の数
第1の実施の形態では、一対の電極間における照度面積を、図15の位置S1,S2,S3から出射された光を利用して、照度曲線Bを、図6に示すような「M」字状と擬制して、照度面積を求めたが、補助反射鏡の反射面の補正方法は、上記の位置S1,S2,S3の3点に対応した点P1,P2,P3の3点に限定するものではなく、5点以上であっても良いし、出射点(上記の位置S1,S2,S3に相当する点)をさらに増やし、図15の照度曲線と略一致するようにしても良い。
つまり、第1の実施の形態では、本発明に係る「軸心上の1番目からn番目までのn個(nは、3以上の自然数である。)の各点(n個の点は、数の順で並ぶ。)から出射されたn本の光」の「n」が「3」の場合について説明したが、nは3以上の自然数であれば良く、例えば、5以上の自然数であっても良い。
以下、出射点を5点として(つまり、「n」が「5」である。)照度曲線を当該5点で擬制した変形例1bについて説明する。
図10の(b)は、変形例1bに係る補正方法を説明する図である。
本変形例1bは、点P1,P2,P3,P4,P5の5点によって照度面積を算出している。 ここで、点P2,P4は、輝度のピークを示す位置であり、点P3は一対の電極間で最も輝度の低い位置(一対の電極間の中点の位置でもある。)である。
また、点P1は、電極45の先端内部に相当する位置で、輝度が略「0」の位置であり、点P7も輝度が略「0」の位置である。
照度面積は、電極の先端同士を結んだ線分Aの延伸方向にZ軸を、Z軸において電極間の中点を通り且つZ軸と直交する方向にY軸をそれぞれ取り、一対の電極間から出射された光がZ軸に達した点での照度をZY座標で表したときの点P1(Z1,0),P2(Z2,Y2),P3(Z3,Y3),P4(Z4,Y4),P5(Z5,0)の各点をその順に結んだ線分で囲まれてなる閉領域の面積となる。ここで、点P5が本発明に係る点Ppに相当し、また、点P1が本発明に係るPqに相当する。
そして、変形例1bにおいても、図10の(b)の上図に示すように、球面形状の反射面で反射した反射光での照度曲線とZ軸とで囲まれた領域部分の形状、照度面積及び相当面積Sa(同図のクロスハッチング部分である。)を基準にして、図10の(b)の下図に示すように、照度面積の内の相当面積Sb(同図のクロスハッチング部分である。)が略最大となるように、ずらし量ΔZを算出している。なお、図10の(b)では、補正前後の座標点を区別するために、補正前の座標点をPで表し、補正後の座標点をQで表している。
ここで、本例では、本発明の点PpPqと点P5P1とが一致することになるが、点P1〜P5を順に結ぶ線分により囲まれた領域と、P1〜P5PpPqP1とをこの順に結ぶ線分により囲まれた領域とが同一となり、本発明に係る補正方に影響を及ぼすことはない。
また、実施の形態や変形例1bでは、反射面の補正の基準となった球面の中心とランプの発光中心とを一致させるように、補助反射鏡をランプに取り付けていたが、例えば、反射面の補正の基準となった球面の中心とランプの発光中心とをずれた状態(一対の電極が共通する軸(図6のZ軸に相当する。)上でずれが生じている方が好ましい。)で、補助反射鏡をランプに取付けることを前提にしても、本発明に係る反射鏡を得ることができる。
具体的には、反射面の補正の基準となった球面の中心とランプの発光中心とをずれた状態で、電極間の少なくとも3箇所から出射され、点Ptで反射した反射光を利用して相当面積を求め、当該相当面積が略最大となるように補正すれば良い。
なお、本例では、「n」が5の場合であり、本発明の点PpPqと点P1,P5とが一致する場合について説明したが、当然、「n」が5以上であり、本発明の点PpPqと点P1,P5とが一致しない場合にでも適用できることは言うまでもない。
(2)材料
補助反射鏡は、石英ガラス製に限定されず、例えば、硬質ガラス製、セラミック製或いは金属製等であっても良い。
補助反射鏡は、赤外光線が透過するものに限定されず、赤外光線を吸収するものであっても良い。例えば、赤外光線の透過率が90%以下の材料で構成されていても良い。従来の補助反射鏡には赤外光線の透過率が95%以上の石英ガラスが使用されていたが、赤外光線の透過率が90%以下の材料を使用すれば、赤外光線の吸収量を増加させることができる。赤外光線を吸収した補助反射鏡は輻射熱を発しランプが加熱されるため、放電空間内の温度が上昇して蒸気圧が上がり、ランプの発光効率を向上させることができる。
ランプから発せられる赤外光線は900nmより短い波長のものが主流であるため、補助反射鏡は、650〜900nmの赤外光線を吸収する材料で構成することが考えられる。但し、900nmを超え1500nm以下の赤外光線を吸収する材料で構成されている場合であっても、ある程度輻射熱を利用してランプの発光効率を向上させることができる。
また、補助反射鏡は、赤外光線の吸収率を向上させるために黒色にしても良い。例えば、スラリー状の石英ガラスに炭素を混入したものを金型内に充填して成形し、焼成、研磨して製造される黒色の石英ガラス製であっても良い。また、黒色以外の色であっても黒色と同程度に赤外光線を吸収率する材料製であっても良い。
また、補助反射鏡は、可視光線のみを反射させる反射面と、反射面の下層に形成され且つ赤外光線を吸収して輻射熱を発する吸収面とで構成されていても良い。
(3)取付について
(3−1)固着剤の充填部位
以下に、固着剤81を充填する部位についての変形例を説明する。なお、変形例は、固着剤の充填部位が異なる他は、基本的に第1の実施の形態と同様の構成をしている。したがって、共通の構成部分には第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略し、固着剤を充填する部位についてのみ説明する。
図11は、変形例2に係るランプ及び補助反射鏡の構成を示す図である。
図11に示すように、変形例2では、固着剤83が、ランプ21第2封止部37と補助反射鏡25の筒状部79との隙間における第2電極47と第2金属箔51との接合部分47bの全体を取り囲む部位に充填されている。
第2電極47において、第2金属箔51との接合部分47bは、第2金属箔51によって伝導により熱が奪われ易い部位であるため比較的低温になり易い。したがって、第2電極47の端縁47a付近だけを固着剤83で温めるのではなく、接合部分47b全体を固着剤83で温めることが好ましい。そして、図6に示すように、第2封止部37と筒状部79との隙間における第2電極47と第2金属箔51との接合部分47b全体を取り囲む部位にのみ固着剤83を充填すれば、固着剤83の使用量を少なく抑えつつ効率的にランプユニット20の発光効率を向上させることができる。
図12は、変形例2に係る固着剤の充填工程を説明するための工程図である。
図12に示すように、固着剤83の充填工程においては、まず、図12(a)に示すように、ランプ21の第2封止部37における第2電極47と第2金属箔51との接合部分47bの全体を取り囲む部位に充填機73で固着剤85を付着させる。
次に、図12(b)に示すように、補助反射鏡25を第2封止部37に遊嵌させる。その際、筒状部79の基端から延出端までの間に第2電極47の第2封止部37内に位置する端縁47aが存在する状態とする。これにより、図12(c)に示すように、筒状部79と第2封止部37との隙間における第2電極47と第2金属箔51との接合部分47bの全体を取り囲む部位に固着剤85が充填された状態となる。
(3−2)固着剤の塗布範囲
図13は、変形例3に係るランプ及び補助反射鏡の構成を示す図である。
図13に示すように、変形例3では、固着剤85が、補助反射鏡25の筒状部79とランプ21第2封止部37との隙間だけでなく、第2封止部37における補助反射鏡25で覆われていない部位にも充填されている。このように、第2封止部37の表面を出来るだけ広範囲に亘って固着剤85で覆うことによってガラスバルブ39の最冷点の温度をより上昇させることができ、よりランプユニット20の発光効率を向上させることができる。
なお、近年、ランプユニットは、平行光を出射するタイプよりも、出射光がある一点に収束するタイプが主流になりつつある。出射光が一点に収束するタイプは、プロジェクタ内の光路長を短くすることができるため、プロジェクタの小型化に適している。
出射光が一点に収束するタイプの場合、固着剤を充填する範囲が広すぎると、固着剤が主反射鏡の反射面で反射した光を遮ってしまい、ランプユニットの集光効率が低下するといった不具合が生じる。したがって、図13に示すように、変形例2の構成において固着剤85を筒状部79で覆われていない部位に充填する場合は、固着剤85が主反射鏡23の反射面65で反射した光L4を遮らない部位に充填されていることが好ましい。
さらに、補助反射鏡25の筒状部79が被照射側に延出し過ぎた場合も、主反射鏡23の反射面65で反射した光L4を遮る場合がある。例えば、補助反射鏡25を取り付ける位置によっては、筒状部79の被照射側の端縁79aが前記光L4を遮ってしまい、ランプユニット20の集光効率が低下するといった不具合も生じる。したがって、補助反射鏡25は、筒状部79が前記光L4を遮らない位置に取り付けられていることが好ましい。
2.プロジェクタ
第2の実施形態におけるプロジェクタとして前面投射型のプロジェクタ140について説明したが、本発明に係る投射型画像表示装置(プロジェクタ)は前面投射型以外でも良く、例えば背面投射型の画像表示装置でも良い。
図14は、変形例4に係るプロジェクタの全体斜視図である。
図14に示すように、プロジェクタ150は、いわゆる背面投射型のプロジェクタであって、キャビネット151の前壁に画像等を表示するスクリーン153を備え、またキャビネット151の内部には、本発明の一実施形態に係るランプユニット20を備える。
本発明は、高圧放電ランプから出射された光が反射面で電極に向けて反射されるのを抑制するのに利用できる。
20 ランプユニット
21 放電ランプ
23 主反射鏡
25 補助反射鏡
33 発光部
35 第1封止部
37 第2封止部
39 ガラスバルブ
45 第1電極
47 第2電極
75 反射面
130,150 プロジェクタ

Claims (8)

  1. バルブ内に一対の電極が共通する軸心上に対向配置されてなる高圧放電ランプに装着され、前記高圧放電ランプから出射された光の一部を前記一対の電極側に向けて反射させる反射面を有する反射鏡であって、
    前記共通する軸心をZ軸、前記Z軸と直交する軸をY軸とし、前記共通する軸心上の一点から出射された後に前記反射面における一の反射点で反射された反射光が前記Z軸と交差する交差位置をZ座標で、当該位置における照度をY座標で表し、
    前記電極間であって前記共通する軸心上の1番目からn番目までのn個(nは、3以上の自然数である。)の各点(n個の点は、数の順で並ぶ。)から出射されたn本の光が任意の同一の反射点で反射されたとき、そのi(1≦i≦n)番目の反射光についてのそれぞれのZ軸上の交差位置とその位置における照度とをZ−Y直交座標系上の点Pi(ZiYi)とし、n番目及び1番目の反射光の前記Z軸における交差位置を点Pp(Zn0)、点Pq(Z10)とした場合に、
    1番目の反射光の点P1(Z1Y1)からn番目の反射光の点Pn(ZnYn)までの各点と、点Pp(Zn0)と、点Pq(Z10)と、点P1(Z1,Y1)とをこの順で結んだ線分で囲まれた領域の中で、前記一対の電極間に対応する領域部分の面積が、反射面を球面とした場合に前記n個の点から出射して球面で反射されたとしてZ−Y直交座標上に描ける領域の中の一対の電極間に対応する領域部分の面積よりも広くなるように、各反射点における反射面の角度が球面から補正されていることを特徴とする反射鏡。
  2. 前記n個の各点には、前記一対の電極間の中点に位置する点と、前記一対の電極間であって前記一対の電極間の中点に位置する点の両側で輝度ピークを示す位置の点を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射鏡。
  3. 前記nの数は3であり、
    2番目の点が、前記一対の電極間の中点に位置する点であり、1番目及び3番目の点は、前記一対の電極間であって前記第2の点の両側で輝度ピークを示す位置の点であることを特徴とする請求項1に記載の反射鏡。
  4. 前記各反射点における補正は、前記領域における前記一対の電極間に対応する領域部分の面積が略最大となるように行われていることを特徴とする請求項1に記載の反射鏡。
  5. 高圧放電ランプと、当該高圧放電ランプから出射された光の一部を前記電極側に向けて反射させる反射面を有する反射鏡とを備えるランプユニットであって、
    前記反射鏡は、請求項1に記載の反射鏡であることを特徴とするランプユニット。
  6. 前記反射鏡は、補正の基準となった球面の中心と、前記一対の電極間の中点とが一致するように、前記高圧放電ランプに装着されていることを特徴とする請求項5に記載のランプユニット。
  7. 前記ランプユニットは、前記反射鏡以外に、前記高圧放電ランプから出射された光であって前記反射鏡に向けて出射された光以外の光と、前記反射鏡で反射された光とを、所定方向に反射させる第2の反射鏡を備えることを特徴とする請求項5に記載のランプユニット。
  8. ランプユニットを光源として備える投射型画像表示装置であって、
    当該ランプユニットは、請求項7に記載のランプユニットであることを特徴とする投射型画像表示装置。
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