JP5260051B2 - 皮膚収縮緩和剤としてのピペリジン誘導体の使用 - Google Patents

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Description

本発明は、しわの寄った皮膚を皮膚収縮緩和効果により処置する美容方法であって、生理学的に許容される媒体中に、特定の式の少なくとも1種のピペリジン誘導体を含む組成物を前記皮膚に局所施用することを含む方法に関する。
一般に、女性は、また男性ですら、可能な限り長い間若く見えることを願望する傾向を持ち、したがって、特にしわおよび小じわに現れる、皮膚の老化の徴候を和らげることを求めている。その点について、広告およびファッション界は、若い皮膚の徴候である、輝いたしわのない皮膚を可能な限り長い間保持することを意図した製品を話題に挙げている。このことは、身体的な外観が、精神および/または気力に影響を与えるのでなおさらそうである。
今まで、しわおよび小じわは、皮膚に作用する活性剤を含む化粧品を用いて、例えば、皮膚細胞の再生を向上させることによって、あるいは、皮膚組織を作る弾性線維の合成を促進することによって、またはその分解を阻止することによって処置されてきた。
これらの処置法は、年齢に伴う老化または内因性の老化によって引き起こされるしわおよび小じわ、および光による老化によって引き起こされるものにも作用することを可能にするが、表情じわには効果がない。表情じわには、(筋弛緩因子を介する)筋収縮要素または(皮膚収縮緩和因子を介する)皮膚収縮要素への介入が必要となる。
表情じわは、実際、老化に起因するしわを発生させるメカニズムとは異なるメカニズムから生じる。
具体的には、表情じわは、顔の表情を可能にする皮膚の筋肉によって皮膚に及ぼされるしわ寄せ作用のためにもたらされる。顔の形、顔の表情と起こり得るチックの頻度に応じて、表情じわは早ければ幼児期に見られることもある。年齢、加えて日光への暴露などのある種の環境要因は、表情じわの発生に関与しないが、それをより深く、かつ永久的にすることもある。
表情じわは、その周囲が皮膚筋肉である、鼻(鼻の溝)、口(口周辺のしわおよび「にがり顔」じわ)、および眼(烏の足跡じわ)により形成される開口部の周り、ならびにまた、眉毛の間(眉間のしわまたはライオンじわ)および額上の溝の存在により特徴付けられる。
これまで、表情じわに対処するために一般的に使用される唯一の手段は、ボツリヌス毒素であり、これは特に眉毛間のしわである眉間のしわに注入される(J.D. Carrutersら、J. Dermatol. Surg. Oncol.、1992、18、17〜21頁参照)。
本出願人も、皮膚に局所的に適用した場合、筋弛緩効果を提供し、これにより、他の経路を介して表情じわに対処することを可能にする種々の化合物を提案してきた。これらの化合物の中で、特に、カルシウムチャネルに関連した受容体のアンタゴニスト、例えば、ベラパミル(FR-2793681)、および特に、マンガンおよびその塩(FR-2809005)、およびアルベリン(FR-2798590);グリシン(EP-0704210)およびイリスパルリダ(Iris pallida)のある種の抽出物(FR-2746641)を含む、クロライドチャネルに関連した受容体のアゴニスト、ならびにサポゲニン(EP-1352643)を挙げることができる。
これらの筋弛緩剤に加えて、本出願人は、種々の皮膚収縮緩和化合物、特にアミン化合物(EP-1405633)を報告してきた。
J.D. Carrutersら、J. Dermatol. Surg. Oncol.、1992、18、17〜21頁 FR-2793681 FR-2809005 FR-2798590 EP-0704210 FR-2746641 EP-1352643 EP-1405633 EP-0542846 JP-61027963 米国特許第4952560号 WO 03/032969 JP-62226909 JP-62270514 EP-0308328 Asselineauら、Exp. Cell. Res.、1985、159、536〜539頁 Models in dermatology、1987、第3巻、1〜7頁
しかし、表情じわを滑らかにするか、和らげるための従来技術の化合物より有効なものが依然として必要である。
今回、本出願人は、驚くべきことに、ある特定のピペリジン誘導体が、この必要性を満たすことができることを見出した。具体的には、これらの化合物は、表情じわの発生に関与すると予想される皮膚収縮細胞を弛緩させるかまたは収縮を緩和することを可能にすることを実証した。実際、顔の表情の間に皮膚筋肉の収縮により作り出されたピンと張ったしわに沿って位置するある特定の線維芽細胞の表現型が、この収縮の影響下で徐々に修飾され、これによって、これらの線維芽細胞に特異的な収縮性を付与するものと考えられる。したがって、これらの細胞の収縮緩和は、表情じわの他の要素に作用することを可能にすると思われる。
本発明により使用される化合物の中で、いくつかは、特許出願EP-0542846およびJP-61027963および米国特許第4952560号に、カルシウムチャネル阻害剤としてすでに記載されている。
しかし、本出願人は、カルシウムチャネル阻害剤は、特許出願FR-2793681の教示による先験的な筋弛緩剤であるが、これらは、全てが皮膚収縮緩和剤とは限らないことを実証してきた。詳細には、シンナリジン、ジルチアゼム、ニトレンジピンおよびジアゼパム[これらは、既知の抗カルシウム化合物であり(なぜならば、これらはカルシウムチャネルに直接作用するか、あるいはクロライドチャネルに作用し、これによって抗カルシウム作用が生じるからである)、かつこれらの筋弛緩効果は(少なくとも、ジアゼパムに関しては)実証されている]は、以下の実施例1に提示する試験において、皮膚収縮緩和剤としては活性でない。したがって、カルシウムチャネル阻害剤としても知られている本発明により使用される化合物が、皮膚収縮緩和効果を有することになるかは予測することはできない。
さらに、皮膚収縮緩和は、ミオシン軽鎖のリン酸化に起因する現象である。このリン酸化は、多数の因子、例えば、ミオシン軽鎖-特異的ホスファターゼの活性化により調節される。今のところ、カルシウムチャネル阻害剤はこの経路に作用しない。したがって、これらの阻害剤のあるものが皮膚収縮緩和効果を有するということは、示唆されていない。
本発明により使用される化合物の中で、イフェンプロジルは、老化、糖尿病および喫煙に関連する合併症(WO 03/032969)の治療用、血液循環促進および皮膚保湿用(JP-62226909およびUS 4952560)ならびに毛髪用製品中(JP-62270514)の抗グリケーション薬としてすでに記載されている。他のピペリジン誘導体は、抗菌性物質(EP-0308328)と報告されてきた。
これにひきかえ、本出願人の知る限り、これらのピペリジン誘導体のしわ、特に、表情じわの抑制、および/または皮膚の収縮緩和および/または目鼻立ちを和らげるための使用は、示唆されていない。
したがって、本発明の主題は、しわの寄った皮膚、特に顔および/または額の皮膚を、皮膚収縮緩和効果により処置する美容方法であって、
生理学的に許容される媒体中に、式(I)の化合物:
Figure 0005260051
[式中、
R1は、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル基、OR基、NRR'基、CF3基、NHCOR基もしくはCONRR'基から選択される基を表し、
R2は、少なくとも1つのOR、COOR、=O、NRR'、NHCORもしくはCONRR'基によって、または1つまたは複数の基R1により場合によって置換されたフェニル基により場合によって置換された、直鎖または分枝のC1〜C20アルキル基またはアルケニル基を表し、
但し、RおよびR'は互いに独立に、水素原子またはC1〜C6アルキル基を表し、
mは0〜5の範囲であり、
nは0〜5の範囲である]
から選択される少なくとも1種のピペリジン誘導体、ならびにその塩および光学異性体を含む組成物を前記皮膚に局所施用することを含む方法である。
本発明の主題はまた、しわ、特に表情じわを抑制するため、および/または皮膚の収縮を緩和するため、および/または目鼻立ちを和らげるための皮膚収縮緩和剤としての、上記に定義した少なくとも1種のピペリジン誘導体の化粧用の使用である。
式(I)では、アルキル基は特に、場合により、基:メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリルおよびアラキジルから選択してよい。
さらに、本出願に関連して、「アルケニル」という用語は、共役していても、いなくてもよい、1つまたは複数の二重結合を場合により含む基を意味するものとする。これらは、特に、場合により、基:ビニル、アリル、ブテニルまたはペンテニルから選択してよい。
式(I)の化合物の塩として、式(I)の化合物に、特に、塩酸、硫酸およびリン酸から選択される無機酸、あるいは特に、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸および酒石酸から選択される有機酸を添加することによって得られた塩を挙げることができる。
好ましくは、本発明によるピペリジン誘導体は、下記の条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たすようなものである:
・mは、0〜3の範囲であり、好ましくは0に等しく、
・nは、0または1に等しく、
・R1は、メトキシ基またはトリフルオロメチル基を表し、
・R2は、フェニル基により場合によって置換された、直鎖または分枝のC1〜C6アルキル基またはアルケニル基を表す。
有利には、4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジンまたはその塩の1つ、例えばそのマレイン酸塩(市販されている)、さもなければ、4-ベンジル-1-ヘキシルピペリジンまたはその塩の1つである。
式(I)の化合物は特に、下記の反応スキームに従って、アセトニトリル中でK2CO3の存在下、1当量の置換ピペリジンAを1当量のB(但し、Xは、ハロゲンまたはスルフォネートタイプの脱離基を表す)と還流で一晩反応させることによって調製することができる:
Figure 0005260051
得られた生成物を、処理し、シリカカラムにより精製してよい。
本発明により使用することができるピペリジン誘導体の量は、もちろん所望の効果により決まり、したがって大幅に変化し得る。
数量の大きさのオーダーを挙げれば、これらの誘導体は、組成物の総重量の0.01〜10%になる量で、好ましくは組成物の総重量の0.05〜5%になる量で、より好ましくは組成物の総重量の0.1〜2%になる量で使用することができる。
本発明により使用される組成物は、皮膚の局所施用に適しており、したがって、この組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわち、皮膚および場合によってその外皮(睫毛、爪、毛髪)および/または粘膜に適合性のある媒体を含む。この媒体は、有利には、化粧品として許容される、すなわち、この組成物のユーザを嫌にさせ得るそう痒、刺すような痛みまたは発赤を生じさせることはなく、快適な外観、香りおよび感触を有する。
この組成物は、化粧品分野で通常使用される任意の薬剤の形態で提供してよく、特に、場合によってゲル化された溶液、ローションタイプの分散体(場合によって2相のローション)、水性相中の脂肪相(O/W)もしくは逆の場合(W/O)の分散体によって得られるエマルジョン、または三重エマルジョン(W/O/WまたはO/W/O)、あるいはイオン性および/または非イオン性タイプの小胞分散体の形態であってよい。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。本発明によれば、水中油型エマルジョンの形態で組成物を使用することが好ましい。
この組成物は、多かれ少なかれ流動性であってよく、白色または着色のクリーム、軟膏、乳液、ローション、美容液、ペーストまたはムースの外観であってよい。これは場合によってエアロゾルの形態で適用してよい。これは固体状、特にスティック状で供給してよい。これは、皮膚用ケア製品としておよび/またはメイキャップ化粧品として使用してよい。
周知のように、本発明により使用される組成物は、化粧品分野で通例の補助剤、例えば親水性または親油性のゲル化剤、親水性または親油性の活性剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、充填剤、遮蔽剤、顔料、臭い吸収剤および染料を含んでもよい。この種々の補助剤の量は、考慮される分野で通常使用される量、例えば組成物の総重量の0.01〜20 %である。その性質に応じて、これらの補助剤は、脂肪相中、水性相中または脂質小胞体中に導入してよい。いずれにせよ、これらの補助剤、およびその割合は、本発明によるピペリジン誘導体の所望の特性を損なわないように選択される。
本発明により使用される組成物がエマルジョンの場合、脂肪相の割合は、組成物の総重量に対して5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲であり得る。エマルジョンの形態の組成物に使用される油、乳化剤および乳化助剤は、考慮される分野で通常使用されるものから選択される。乳化剤および乳化助剤は、組成物の総重量に対して0.3〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲の割合で組成物中に存在する。
本発明で使用し得る油としては、ミネラルオイル(流動ワセリン)、植物起源の油(アボカド油、大豆油)、動物起源の油(ラノリン)、合成油(ペルヒドロスクアレン)、シリコーン油(シクロメチコン)およびフルオロ油(パーフルオロポリエーテル)を挙げることができる。脂肪アルコール(セチルアルコール)、脂肪酸またはワックス(カルナウバロウ、オゼケライト)もまた脂肪として使用し得る。
本発明で使用し得る乳化剤および乳化助剤として、例えば、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、例えばステアリン酸PEG-100、およびグリセロールの脂肪酸エステル、例えばステアリン酸グリセリルを挙げることができる。
親水性ゲル化剤/増粘剤としては、特に、カルボキシルビニルポリマー(カルボマー)、アクリル系コポリマー、例えばアクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、多糖類、天然のガムおよび粘土を挙げることができ、かつ、親油性ゲル化剤/増粘剤としては、変性粘土、例えば、ベントン、脂肪酸の金属塩、および疎水性シリカを挙げることができる。
活性剤としては、本発明により使用される組成物に、以下から選択される少なくとも1種の化合物を導入することが有利である:
落屑剤;保湿剤;脱色剤または着色促進剤(propigmenting agents);抗グリケーション薬;NO合成酵素阻害剤;真皮または表皮の高分子合成の刺激薬および/またはその分解防止薬;線維芽細胞および/またはケラチノサイト増殖の刺激薬またはケラチノサイト分化の刺激薬;他の筋弛緩剤および/または他の皮膚収縮緩和剤;テンショニング剤;汚染防止剤および/またはフリーラジカル捕捉剤;微小循環に作用する薬剤;細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤;ならびにこれらの混合物。
このような追加の化合物の例としては、レチノールおよびその誘導体、例えばパルミチン酸レチニル;アスコルビン酸およびその誘導体、例えばリン酸アスコルビルマグネシウムおよびアスコルビルグルコシド;トコフェロールおよびその誘導体、例えば酢酸トコフェリル;ニコチン酸およびその前駆体、例えばニコチンアミド;ユビキノン;グルタチオンおよびその前駆体、例えばL-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸;植物抽出物および特に植物タンパク質およびその加水分解物、およびまた植物ホルモン;海産物の抽出物、例えば藻類抽出物;細菌抽出物;サポゲニン、例えばジオスゲニン、およびこれらを含有するヤマノイモの抽出物;セラミド;ヒドロキシ酸;ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸および5-n-オクタノイルサリチル酸;レスベラトロル;オリゴペプチドおよび擬ペプチド、ならびにそのアシル化誘導体;マンガン塩およびマグネシウム塩、特にグルコン酸塩;およびこれらの混合物がある。
上記の本発明による組成物はまた、UVAおよび/またはUVB領域で活性な、有機化合物または無機化合物の形態の光防護剤を含んでよく、無機化合物は、それを疎水性にするために場合によってコートされる。
有機光防護剤は、特に、アントラニル酸塩、特にアントラニル酸メンチル;ベンゾフェノン、特に、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12、好ましくは、ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン)、またはベンゾフェノン-4(BASF社から入手可能なUvinul MS40);ベンジリデンカンファー、特に3-ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、メト硫酸ベンザルコニウムカンファー、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、テレフタリリジンジカンファースルホン酸、好ましくは4-メチルベンジリデンカンファー(Merck社から入手可能なEusolex 6300);ベンズイミダゾール、特にベンズイミダジレート(benzimidazilate)(Haarmann and Reimer社から入手可能なNeo Heliopan AP)、またはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Merck社から入手可能なEusolex 232);ベンゾトリアゾール、特にドロメトリゾールトリシロキサン、またはメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(Ciba社から入手可能なTinosorb M);桂皮酸塩、特に、シノキサート、メトキシ桂皮酸DEA、メチル桂皮酸ジイソプロピル、ジメトキシ桂皮酸エチルへキサン酸グリセリル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、桂皮酸イソアミルおよび、好ましくは、エトクリレン(BASF社から入手可能なUvinul N35)、メトキシ桂皮酸オクチル(Hoffmann La Roche社から入手可能なParsol MCX)、またはオクトクリレン(BASF社から入手可能なUvinul 539);ジベンゾイルメタン、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789);イミダゾリン、特にエチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリン;PABA類、特に、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、PABA、PEG-25PABA、および好ましくは、ジエチルヘキシルブトアミドトリアゾン(3V Sigma社から入手可能なUvasorb HEB)、エチルヘキシルトリアゾン(BASF社から入手可能なUvinul T150またはエチルPABA(ベンゾカイン);サリチル酸塩、特にサリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレートまたはサリチル酸TEA;トリアジン、特にアニソトリアジン(Ciba社から入手可能なTinosorb S)から選択することができる。
無機光防護剤は、アルミナおよび/またはステアリン酸で場合によりコートされている、好ましくはナノメートルサイズの、酸化亜鉛および/または二酸化チタンからなるのが好ましい。
本発明による組成物は、有利には、表情じわが目立つ顔および/または額の領域に、および/または表情じわがある個人に適用することを意図している。
関連するしわは、好ましくは、口および/または眼の周りに放射状にあるもの、特に烏の足跡じわ、および/または額にあるもの、特に、眉毛の間の眉間に位置する「ライオン」じわ、および/または額に水平にあるものである。
本発明を、下記の非限定的な実施例によって例示する。この実施例では、量は重量パーセントで示す。
(実施例1:本発明によるピペリジン誘導体の皮膚収縮緩和効果の実証)
a)試験の原理
この試験の原理は、正常なヒト線維芽細胞を播種したコラーゲンのマトリックスからなる真皮等価物モデルにおける、4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジンのマレイン酸塩(Biomol、ICN、NacalaiおよびTocris社の1つから市販で入手可能)の収縮緩和効果を調査することである。
この条件は、in vitroにおいて、顔の表情時に生じる皮膚収縮現象に近付けることを意図したものである。この条件下では、実際、細胞がコラーゲンゲルの収縮を誘起する張力を自発的に発現する。この結果、この真皮等価物の総表面積は時間がたつにつれて減少する。この表面積の測定により、この真皮等価物と接触させたこの物質の弛緩効果を評価することが可能になる。
b)プロトコル
正常なヒト線維芽細胞を含む2つの系列の付着された真皮等価物(なにも処理を行わない対照系列、およびこの被験化合物(1μM)で処理した系列)を調製する。この実験を3回反復する。
この真皮等価物を、Asselineauら、Exp. Cell. Res.、1985、159、536〜539頁;Models in dermatology、1987、第3巻、1〜7頁に記載されたように、下記の割合で調製する。
MEM培地(1.76×) (化合物を含むまたは含まない)45%
胎児ウシ血清 10%
NaOH(0.1N) 5%
酢酸(1/1000) 4%
コラーゲン 26%
線維芽細胞 11%
処理された真皮等価物は、これに1μMの被験化合物を添加する点で対照真皮等価物と異なる。
使用したコラーゲンは、タイプIコラーゲン(市販の溶液)である。これは、ラットの尾部から、またはウシの皮膚から酸加水分解によって抽出し、酸性媒体中に+4℃で保存される。これは、37℃に再加熱することおよび酸性度を低下させることによって自然に重合する。このコラーゲンは、あらかじめ、水+酢酸を用いて連続して透析する。
このプロトコルは以下の通りである:添加剤(1%グルタミン、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウム、1%fungizoneおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン)の存在下の1.76×MEM培地、胎児ウシ血清および0.1N水酸化ナトリウムNaOHを、粉砕した氷中におかれた50mlの遠心チューブに入れる。次いで、ヒト皮膚外植片から単離した線維芽細胞を培養液1ml当り細胞1.5×105の濃度で添加する。
次いで、1/1000(体積/体積)の酢酸中のコラーゲン混合物を、白色の濁りの出現を観察するよう試験管の壁に沿って徐々に添加する。
次いで、全体の組合せを入念に混合し、12ウェル培養プレート(Costarタイプ、注文番号3512)のウェルに、1ウェル当り混合物2mlの割合で分配した。最終細胞濃度は細胞3×104個/真皮等価物であり、最終コラーゲン濃度は1mg/mlである。次いで、この培養プレートを5%のCO2を含む37℃のインキュベータ中に入れる。
コラーゲンの重合後に真皮等価物が成形されると、培養支持体に3日間付着させておき、次いで、収縮が開始することができるように支持体から剥離する。この付着された真皮等価物を、収縮動態の各ポイント(0、4、8および24時間)で、その表面積を測定することを目的として、写真を撮るために、インキュベータの外に出す。これらは、各測定点の間は直ちにインキュベータに戻す。
(被験化合物で)処理された真皮等価物、および(被験化合物なしの)対照真皮等価物の自発的収縮を、自発的収縮の開始後における様々な時間で、その表面積を測定するによって評価する。
このために、カメラ(CCDカメラ-Iris Sony DXC-107P)を用いて、処理されたまたは非処理のそれぞれの真皮等価物に対してデジタル画像を得て、次いで、画像解析システム(Zeiss Axiovision 3.0)を用いて、各画像について表面積を計算する。この表面積測定値に対応するものは、以下の式による、表面積の比に等しい収縮パーセントである:
%収縮=(Sp-Si)/Sp×100
[式中、
「Sp」は、培養プレートのウェルの表面積を表し、収縮前の真皮等価物の総表面積に対応し、
「Si」は、収縮動態の時間iにおける真皮等価物の表面積を表す]
c)結果
4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジンのマレイン酸塩は、対照に比較して、この実験の時間にわたる平均で、線維芽細胞の収縮を17%減少させる。したがって、この化合物は有意な皮膚収縮緩和効果を有する。
(実施例2:4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジンの合成)
この化合物は、下記の反応スキームに従って調製される:
Figure 0005260051
4-フェニルピペラジン(1当量)を、アセトニトリル中でK2CO3の存在下、4-フェニルブロモブチル(1当量)と還流で一晩反応させる。得られた生成物を処理し、シリカカラムで精製する。500MHzの1H NMRは、予想される構造に合致する。
(実施例3:化粧用組成物)
この組成物は、当業者には通常の方法で調製される。この実施例に示された量は、重量パーセントを表す。
4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジン 0.10%
ステアリン酸 3.00%
モノステアリン酸グリセリルと
ステアリン酸ポリエチレングリコール(100 EO)の混合物 2.50%
ステアリン酸ポリエチレングリコール(20 EO) 1.00%
シクロペンタジメチルシロキサン 10.00%
充填剤 3.00%
植物油 7.00%
合成油 6.00%
防腐剤 1.20%
メトキシ末端を有するオキシエチレン化(16 EO)ジメチルシロキサン 1.00%
シリコーンガム 0.20%
逆エマルジョンのアクリル系コポリマー(Seppic社製Simulgel 600) 1.70%
ステアリルアルコール 1.00%
水 適量 100%
このクリームは、目鼻立ちを和らげ、顔の皮膚の収縮を緩和するために、顔および額に適用することが意図される。

Claims (11)

  1. 表情じわを、皮膚収縮緩和効果により処置する美容方法であって、
    生理学的に許容される媒体中に、式(I)の化合物:
    Figure 0005260051
    [式中、
    R1は、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル基、OR基、NRR'基、CF3基、NHCOR基もしくはCONRR'基から選択される基を表し、
    R2は、少なくとも1つのOR、COOR、=O、NRR'、NHCORもしくはCONRR'基によって、または1つまたは複数の基R1により場合によって置換されたフェニル基により場合によって置換された、直鎖または分枝のC1〜C20アルキルまたはアルケニル基を表し、
    ここで、RおよびR'は、互いに独立に水素原子またはC1〜C6アルキル基を表し、
    mは0〜5の範囲であり、
    nは0である]
    から選択される少なくとも1種のピペリジン誘導体、またはその塩もしくは光学異性体を含む組成物を前記皮膚に局所施用することを含む方法。
  2. 前記塩が、式(I)の化合物に、塩酸、硫酸およびリン酸から選択される無機酸を添加することによって得られた塩であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塩が、式(I)の化合物に、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸および酒石酸から選択される有機酸を添加することによって得られた塩であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記誘導体は、mが0〜3の範囲であるものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記誘導体は、R1が、メトキシ基またはトリフルオロメチル基を表すものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記誘導体は、mが0に等しいものであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  7. 前記誘導体は、R2が、フェニル基により場合によって置換された、直鎖または分枝のC1〜C6アルキルまたはアルケニル基を表すものであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記誘導体が、4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジンまたはその塩の1つであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記誘導体が、4-フェニル-1-(4-フェニルブチル)ピペリジンのマレイン酸塩であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 組成物が、表情じわが目立つ顔および/または額の領域に、および/または表情じわがある個人に適用されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 表情じわを抑制するための皮膚収縮緩和剤としてであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1種のピペリジン誘導体の化粧用の使用。
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