JP5258036B2 - ポリスチレン系樹脂発泡シート - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1では、灰分を減少させる手段として、気泡調整剤であるタルクを減らすことが有効であると記載されている。気泡調整剤は、発泡シートの製造工程において、発泡体を構成するセル(気泡)を生成する際の核となるものであり、気泡調整剤を減らすとセル数が少なくなり、発泡シートおよび熱成形品中のセルが大きくなるため、表面のキメが粗くなり外観の劣るものになるため、商品価値を下げる問題がある。また、気泡調整剤量が減少すると、発泡シートを熱成形(2次発泡)して得られる成形体の強度、柔軟性などの品質を高く維持した上で熱線への異物の付着を少なくすることが困難となる。
すなわち、熱線切断面のカットズレや異物発生を抑制するには、熱線と2次発泡シートの接触抵抗を小さくすることが有効であり、その手段として、溶融粘度が低い基材樹脂を用い、かつ、2次発泡シート中のセル構造を特定のものとすることにより、接触抵抗を小さくすることができる。さらに、2次発泡シートが熱線切断時に撓みにくくすることがより好ましい。撓みにくくするためには、特にセル構造において、厚み方向での小径セルの含有率を少なくすることが有効であることを見出した。
[1]樹脂温度200℃および荷重49Nの条件にて測定するメルトマスフローレイトが2.0〜3.2g/10minであるポリスチレン系樹脂を基材樹脂として用い、上記基材樹脂をイソブタン65〜100重量%及びノルマルブタン0〜35重量%からなる混合ブタンにより発泡させてなるポリスチレン系樹脂発泡シートであって、該発泡シートを加熱して得られる2次発泡シートの長手方向に垂直な縦断面での、全体厚みの上下各20%にあたる表層部を除くコア部において、厚み方向および幅方向でのセル径が、厚み方向での平均セル径の1/2以下である小径セル含有率が、20%以下であることを特徴とする、熱線で分離するシート状成形体用のポリスチレン系樹脂発泡シート、および
[2]ポリスチレン系樹脂発泡シートを加熱して得られる2次発泡シートの厚みが2.0〜3.5mm、坪量が80〜150g/m2であり、かつ、ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚み方向でのセル数が9〜12個の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の熱線で分離するシート状成形体用のポリスチレン系樹脂発泡シート
に関する。
図1のように、2次発泡シートをシート長手方向に垂直な面で切断し、その縦断面の写真を撮影する。得られたシート断面の写真に関して、全体厚みの上下各20%にあたる表層部を除くコア部において、コア部の厚みおよび厚み方向でのセル数を測定し、コア部の厚みを厚み方向でのセル数で除した値を平均セル径とした。
次に、コア部における、シート幅方向での5mmの間に存在する全セル数を数えた。各セルに関して、ノギスを用いて、厚み方向および幅方向のセル径を測定した。
最後に、幅方向および厚み方向のセル径が平均セル径の1/2以下であるセルを、小径セルと定義し、その数を数えた。そして、コア部における幅方向5mmの間に存在する全セル数に対する小径セル数の割合を求め、「小径セル含有率」とした。なお、幅方向での5mm領域での測定は、シート幅方向において等間隔で10点測定し、その相加平均値とした。
なお、2次発泡シートの厚みは、1次発泡シートの製造時における発泡剤の圧入量、加熱時の加熱熱量、等により、調整することができる。
なお、2次発泡シートの坪量は、1次発泡シートの製造時における引取速度により調整することができる。
なお、ポリスチレン系樹脂発泡シート(1次発泡シート)のセル数は製造時における気泡調整剤量により調整することができる。
シート幅方向に測定点を等間隔に5点設定し、各測定点の厚みをダイヤルゲージ(PEACOCK社製、DIAL THICKNESS GAUGE)を用いて測定し、相加平均値を求めた。
セル数は、厚み方向について、押出方向と直交する幅方向の発泡シートの垂直縦断面を顕微鏡にて投影した。この投影図を用いて測定した厚み方向に積層するセル数を目視で数えることにより求めた。
ポリスチレン系樹脂発泡シートの2次発泡シートの厚みを、1次発泡シートの厚みで除した値を、2次発泡倍率とした。
ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して複数個の成形体が連接したシート状成形品を、50枚重ねて、ニクロム線(ニクロム線径0.5mm、表面温度350℃)をにて、厚み方向に上から下へ移動(送り速度6.0mm/sec)させて、溶断して個々の成形体に分離した。50枚重ねのシート状成形品の、押出方向と直交する幅方向の切断面の凹凸を観察した。
尚、カットズレの評価基準は、以下のとおりである。
○:50枚重ね凹凸の最大・最小の差が1.0mm以下。
△:50枚重ね凹凸の最大・最小の差が1.0mmより大きく2.0mm以下。
×:50枚重ね凹凸の最大・最小の差が2.0mmより大きい。
ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して複数個の成形体が連接したシート成形品を、50枚重ねて、ニクロム線で溶断するサイクル(約1min)を繰り返して行った。その際、ニクロム線への異物付着状況および成形容器への異物付着状況を観察し成形体に異物が付着し始めるまでの時間を計測した。異物が付着し始めるまでの時間が2hr以上のものを、合格とした。
ニクロム線溶断に関する総合評価は、以下の基準により行った。
◎:カットズレ評価が○で、異物付着評価が合格である。
○:カットズレ評価が○で、異物付着評価が不合格である。または、カットズレ評価が△で、異物付着評価が合格である。
△:カットズレ評価が△で、異物付着評価が不合格である。
×:カットズレ評価が×で、異物付着評価が不合格である。
ポリスチレン系樹脂としてHH102(PSジャパン(株)社製、MFR=3.0g/10min)を使用し、気泡調整剤としてタルク(林化成(株)社製、タルカンパウダーPK)とステアリン酸マグネシウム(堺化学工業(株)社製、SM−1000)を重量比88:12で混合したものを、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.16重量部混合した。
得られた混合物を、115−150mmφタンデム型押出機に供給し、1段目押出機にて溶融させた後に、発泡剤としてイソブタンとノルマルブタンの組成比が85:15(重量%)の混合ガスを3.0重量部圧入した。その後、2段目押出機にて発泡適正温度まで冷却した後、両端2点構造を持つサーキュラーダイより大気圧下に吐出し、冷却筒にて成形しながら、引取速度16m/minで引取り、上下2枚に切り開きながら巻取り、ポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を、表1に示す。
ポリスチレン系樹脂としてHRM13N(東洋スチレン(株)社製、MFR=2.2g/10min)を使用し、気泡調整剤としてタルク(松村産業(株)社製、ハイフィラーKA−1)をポリスチレン樹脂100重量部に対して0.30重量部混合した混合物を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
発泡剤の圧入量を2.2重量部に変更した以外は、実施例2と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
引取速度を10.5m/minに変更した以外は、実施例2と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
サーキュラーダイ構造を両端2点構造から多孔板構造へ変更した以外は、実施例2と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
タルク(松村産業(株)社製、ハイフィラーKA−1)量をポリスチレン樹脂100重量部に対して0.50重量部へ変えた以外は、実施例2と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
ポリスチレン樹脂としてHRM26(東洋スチレン(株)社製、MFR=1.6g/10min)を使用した以外は、実施例2と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
ポリスチレン樹脂としてHRM26(東洋スチレン(株)社製、MFR=1.6g/10min)を使用し、タルク(松村産業(株)社製、ハイフィラーKA−1)量をポリスチレン樹脂100重量部に対して0.50重量部へ変更し、サーキュラーダイ構造を両端2点構造から多孔板構造へ変更した以外は、実施例2と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの評価結果を表1に示す。
s 表層部
c コア部
1 内筒
2 外筒
3 支持部
4 樹脂流路
Claims (2)
- 樹脂温度200℃および荷重49Nの条件にて測定するメルトマスフローレイトが2.0〜3.2g/10minであるポリスチレン系樹脂を基材樹脂として用い、上記基材樹脂をイソブタン65〜100重量%及びノルマルブタン0〜35重量%からなる混合ブタンにより発泡させてなるポリスチレン系樹脂発泡シートであって、
該発泡シートを加熱して得られる2次発泡シートの長手方向に垂直な縦断面での、全体厚みの上下各20%にあたる表層部を除くコア部において、厚み方向および幅方向でのセル径が、厚み方向での平均セル径の1/2以下である小径セル数の含有率が、20%以下であることを特徴とする、熱線で分離するシート状成形体用のポリスチレン系樹脂発泡シート。 - ポリスチレン系樹脂発泡シートを加熱して得られる2次発泡シートの厚みが2.0〜3.5mm、坪量が80〜150g/m2であり、かつ、ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚み方向でのセル数が9〜12個の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の熱線で分離するシート状成形体用のポリスチレン系樹脂発泡シート。
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