JP5257838B2 - 水洗大便器 - Google Patents
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Description
このような水洗大便器においては、水平方向外側に広がる流れである旋回流が溜水表面の浮遊系汚物を外側に押し出すように作用するため、旋回流自体により浮遊系汚物を排水トラップ管路の入口開口に誘導することが困難であるため、通常は、サイホン作用による引き力やジェット吐水口からの吐水によって、排水トラップ管路へ誘導するようにしている。
また、近年の水洗大便器においては、節水化に伴って、洗浄水が排水トラップへ押し込まれる時間やサイホン作用に要する時間を短縮して効率的に汚物を排出することが重要となっている。したがって、浮遊系汚物を溜水中に押し込んで排水トラップ側へ誘導する旋回流以外の洗浄水の流れを、水量を抑えつついかにして形成させるのかが重大な課題となっている。
このように構成された本発明においては、吐水部の開口部を便器の左右方向に長い扁平形状に形成し且つその底面を溜水部方向に向かって下り傾斜させたので、洗浄水導水路を経由した洗浄水は吐水部からボウル部の外周側を旋回する旋回流と、吐水部の傾斜した開口底面に沿って溜水部方向へ流れる下降流の2つの主流に分水される。旋回流は、汚物受け面に付着した汚物等を効果的に溜水部側に誘導し、下降流は、溜水部表面に浮遊する汚物等を排水トラップ管路内へ押し込む流れとなって汚物等を効果的に排出することができる。また、洗浄水導水路を流れる洗浄水は、洗浄水導水路の扁平部分にて扁平状態の洗浄水流となって整流され、吐水部の扁平な開口から吐水される際には、上下方向に広がらずに左右方向に広がりのある吐水形態をとることができるため、確実に下降流を形成することができる。さらに、吐水部の開口のみでなく、洗浄水導水路も併せて扁平形状としたので、吐水部において洗浄水が確実に整流され、それにより、旋回流と下降流を確実に分水し、下降流をより効果的に形成することができる。
このように構成された本発明においては、少なくとも吐水部に整流された洗浄水を供給するために必要な領域に形成された扁平形状の洗浄水導水路を流れる洗浄水は、扁平状態の洗浄水流となって整流され、吐水部の扁平な開口から吐水される際には、上下方向に広がらずに左右方向に広がりのある吐水形態をとることができるため、確実に下降流を形成することができる。さらに、吐水部の開口のみでなく、洗浄水導水路も併せて扁平形状としたので、吐水部において洗浄水が確実に整流され、それにより、旋回流と下降流を確実に分水し、下降流をより効果的に形成することができる。
このように構成された本発明においては、洗浄水導水路から吐水部の開口に向けて扁平状態の洗浄水流が確実に形成され、吐水部から溜水部方向へ流れる下降流の分水をより効果的に行うことができる。
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態による水洗大便器1は、便器本体2と、この便器本体2の後部に取り付けられた洗浄水を貯水して給水する洗浄水給水手段である貯水タンク4とを備えている。
この貯水タンク4には排水弁6が設けられ、便器本体2へ洗浄水が供給されるようになっている。
便器本体2の前方上部にはボウル部8が形成され、後方上部には洗浄水の導水路10(詳細は後述する)が形成され、さらに、ボウル部8の下方には排水トラップ管路12が形成されている。
また、ボウル部8下方には、溜水部18が形成されている。この溜水部18の下方には、上述した排水トラップ管路12の入口12aが開口し、この入口12aから上昇路12bが後方に延びている。この上昇路12bには下降路12cが連続し、下降路12cの下端は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。
なお、本実施形態では、導水路10の入口部10aからコーナー部10bにかけての全領域における各縦断面の形状を左右方向に長い扁平形状としているが、この左右方向に長い扁平形状の断面は、導水路10の入口部10aからコーナー部10bにかけての全領域のうちの一部に形成されているものでもよく、要するに、少なくとも吐水部20に整流された洗浄水が供給されるために必要な領域に形成されていればよい。
ここで、図4に示すように、一例として、導水路10の扁平形状の開口部分は、その縦短辺aと横長辺bの比a/bが0.3〜0.5になるように形成されているのが好ましく、その値はボウル部8の形状に合わせて調整されることになる。また、吐水口20の溜水部18側に向かって下り傾斜した底面10cと内側面10dが成す角度は60°〜70°に設定するのが好ましく、その値はボウル部8の形状に合わせて調整されることになる。
最初に、便器洗浄のための操作レバー(図示せず)を操作すると、貯水タンク4に設けられた排水弁6が開き、貯水タンク4内の洗浄水が洗浄水給水口4aより導水路10の入口部10aに流入し、導水路10のコーナー部10bを経て(矢印F1参照)、吐水口20から吐水される。この際、導水路10の入口部10aからコーナー部10bまでの区間における縦断面が左右方向に長い扁平形状となっているため、この区間の導水路10を流れる洗浄水は、導水路10の扁平部分にて扁平状態の洗浄水流となって整流され、吐水口20から吐水される際には、上下方向に広がらずに左右方向に広がりのある扁平状態の吐水形態をとることができる。
ここで、上述したように、吐水口20は左右方向に長い扁平形状であり且つその底面が溜水部18側に向かって下り傾斜した形状となっていることに加え、導水路10のコーナー部10bから吐水口20までの区間における扁平形状の縦断面の面積は下流側に行くに従って徐々に広くなって吐水口20で最大となっているため、下降流(矢印F3参照)を確実により効果的に形成することができる。
この結果、吐水口20からコーナー部8a付近までほぼ一周旋回した旋回流(矢印F2参照)は、コーナー部8a付近で下降流(矢印F3参照)に衝突して合流することにより、二周目の旋回にほとんど突入することなく下降流(矢印F5参照)となるため、浮遊系汚物も外側へ押し出されることがなく、洗浄水の旋回中心付近に集まることになる。
ちなみに、例えば、水洗大便器の洗浄水量が6リットルに通常設定されている場合、吐水口20における瞬間流量を90±20[L/min]に設定することにより、浮遊系汚物を確実に排出する下降流の流量を確保することができる。
図7は本発明の第2実施形態による水洗大便器を示す平面図である。ここで、図7において、本発明の第1実施形態による水洗大便器の部分と同一部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図7に示すように、本発明の第2実施形態による水洗大便器30は、第1実施形態の導水路10よりも縦断面の面積が小さい2つの同一形態の導水路10が左右対称に配置されている点で第1実施形態と異なっている。しかしながら、本実施形態の導水路10の入口部10aからコーナー部10bを経て吐水口20にかけての縦断面の形状については、第1実施形態の導水路10のものと相似形となっている。
このようにして、浮遊系汚物は、サイホンの吸引力と排水トラップ管路12の入口12aに向かう流れで押し込まれる押し込み力により(矢印F3及びF6参照)浮遊系汚物を確実に排出することができる。
例えば、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆるウォッシュダウン式の水洗大便器についても適用可能である。要するに、導水路の縦断面と吐水口の断面を本発明の実施形態のものと同様に設定することで、浮遊系汚物を溜水面上に残すことなく確実に排出することができる。
2 便器本体
4 貯水タンク
4a 洗浄水給水口
6 排水弁
8 ボウル部
10 導水路
10a 導水路の入口部
10b 導水路のコーナー部
10c 導水路の底面(吐水口の底面)
10d 導水路の内側面(吐水口の内側面)
12 排水トラップ管路
14 汚物受け面
16 リム部
18 溜水部
20 吐水口(吐水部)
Claims (3)
- 洗浄水給水手段から洗浄水を便器に供給し、便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面及び上縁部にあるリム部を備えたボウル部と、
このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、
この排水トラップ管路の近傍で且つ上記ボウル部下方に形成された溜水部と、
上記ボウル部に洗浄水を吐水して旋回流を形成すると共にその吐水方向が便器前方方向である吐水部と、
この吐水部に上記洗浄水給水手段からの洗浄水を供給する洗浄水導水路と、を有し、
上記吐水部の開口は、便器の左右方向に長い扁平形状に形成され、且つ、その底面を外側から内側へ向かって上記溜水部側に下り傾斜させることにより上記ボウル部の外周側を旋回する旋回流と上記溜水部方向に流れる下降流を形成するように構成され、上記洗浄水導水路は、便器の左右方向に長い扁平形状に形成され、上記吐水部から上流側に形成される上記洗浄水導水路の一部の区間の底面が上記吐水部の開口の底面の下り傾斜の方向と同一の方向に下り傾斜するように形成されていることを特徴とする水洗大便器。 - 上記洗浄水導水路の扁平形状は、少なくとも上記吐水部に整流された洗浄水を供給するために必要な領域に形成されている請求項1記載の水洗大便器。
- 上記洗浄水導水路は、下流側ほど断面積が広くなり、上記吐水部で最大となる請求項1又は2に記載の水洗大便器。
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