以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(液晶装置の構成)
電気光学装置の一例として、液晶装置の実施の形態の構成について図1から図8に基づいて説明する。図1は、液晶装置の実施の形態におけるTFTアレイ基板上に設けられた導電線(以下、シールド線と称す。)を含む各種配線、周辺回路等の構成を示す平面図であり、図2は、図1のシールド線のより詳細な2次元的レイアウトを示す平面図であり、図3(a)及び(b)は夫々、シールド線、画像信号線及びクロック信号線等の配線を示す図2のA−A’断面図及びB−B’断面図であり、図5は、図1の画素部分の拡大平面図であり、図6は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図7は、対向基板を含めて示す図6のH−H’断面図である。図8は、図1の画像信号線の2次元的レイアウトの一例を示す概略平面図(図8(a))及び他の例を示す概略平面図(図8(b))である。
図1において、液晶装置200は、例えば石英基板、ハードガラス等からなるTFTアレイ基板1を備えている。TFTアレイ基板1上には、マトリクス状に設けられた複数の画素電極11と、X方向に複数配列されており夫々がY方向に沿って伸びるデータ線35と、Y方向に複数配列されており夫々がX方向に沿って伸びる走査線31と、各データ線35と画素電極11との間に夫々介在すると共に該間における導通状態及び非導通状態を、走査線31を介して夫々供給される走査信号に応じて夫々制御するスイッチング素子の一例としての複数のTFT30とが形成されている。またTFTアレイ基板1上には、後述の蓄積容量(図9参照)のための配線である容量線31’が、走査線31に沿ってほぼ平行に形成されている。
TFTアレイ基板1上には更に、データ信号供給手段の一例を構成するサンプリング回路301及びデータ線駆動回路101と、走査信号供給手段の一例を構成する走査線駆動回路104とが形成されている。また、複数の画素電極11により規定される画面表示領域(即ち、実際に液晶の配向状態変化により画像が表示される液晶パネルの領域)の上辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、画面表示領域の四隅には、TFTアレイ基板1と対向基板との間で電気的導通をとるための導通材からなる銀点106が設けられている。但し、上下導通箇所は少なくとも1カ所で良い。以下図1から図8の説明において、TFTアレイ基板1の下辺に沿って複数設けられた外部入力端子102を介して入力される信号名称と、その信号配線とは、説明の容易化のために同一のアルファベット記号を信号及び配線の後に夫々付加して参照する(例えば、信号名称である「クロック信号CLX」に対し、その信号配線を「配線CLX」と呼ぶ)ことにする。
走査線駆動回路104は、外部制御回路から外部入力端子102並びに配線VSSY及びVDDYを介して供給される、走査線駆動回路104用の負電源VSSY及び正電源VDDYを電源として用いて、スタート信号DYの入力により内蔵シフトレジスタ回路をスタートさせる。そして、外部入力端子102並びに配線CLY及びCLY’を介して供給される、走査線駆動回路104の内蔵シフトレジスタ回路用の基準クロック信号CLY及びその反転クロック信号CLY’に基づく所定タイミングで、走査線31に走査信号をパルス的に線順次で印加する。
データ線駆動回路101は、外部制御回路から外部入力端子102並びに信号配線VSSX及びVDDXを介して供給される、データ線駆動回路用の負電源VSSX及び正電源VDDXを電源として用いて、スタート信号DXの入力により内蔵シフトレジスタ回路をスタートさせる。そして、外部入力端子102並びに配線CLX及びCLX’を介して供給される、データ線駆動回路101の内蔵シフトレジスタ回路用の基準クロック信号CLX及びその反転クロック信号CLX’に基づき、走査線駆動回路104が走査信号を印加するタイミングに合わせて、外部入力端子102及び配線VID1〜VID12を介して供給される例えば12相展開された画像信号VID1〜VID12夫々について、データ線35毎にサンプリング回路駆動信号をサンプリング回路301にサンプリング回路駆動信号線306を介して所定タイミングで供給する。
サンプリング回路301は、TFT302を各データ線35毎に備えており、配線VID1〜VID12がTFT302のソース電極に接続されており、サンプリング回路駆動信号線306がTFT302のゲート電極に接続されている。そして、画像信号VID1〜VID12が入力されると、これらの画像信号をサンプリングする。また、サンプリング回路駆動信号線306を介して、データ線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号が入力されると、画像信号VID1〜VID12夫々についてサンプリングされた画像信号を、12本の隣接するデータ線35からなるグループ毎に順次印加する。
以上のように、データ線駆動回路101とサンプリング回路301とは、12相展開された画像信号VID1〜VID12をデータ線35にデータ信号として供給するように構成されている。本実施の形態では隣接する12本のデータ線35に接続されるサンプリング回路301を同時に選択し、12本のデータ線35からなるグループ毎に順次転送していく方式を述べたが、データ線35を6本毎に選択してもよいし、24本毎に選択してもよい。或いは、2本以上の任意の本数を同時に選択してもよい。また、サンプリング回路301のTFT302の能力が高ければ、データ線毎に順次に選択してもよい。この際、少なくとも画像信号の相展開数だけ、画像信号用の外部入力端子102及び画像信号線が必要なことは言うまでもない。本実施の形態では特に、以下に述べるようにデータ線駆動回路101の両側から配線VID1〜VID12が引き回されているので、この本数(相展開数)は多くてもTFTアレイ基板1上にバランス良く配線できる。尚、画像信号の相展開数とサンプリング回路301を同時に選択する数が相等しくなるように構成してもよいし、前者が後者よりも多くなるように構成してもよい。
図2に示すように、データ線駆動回路101は、スタート信号DXが入力されると、基準クロック信号CLX及びその反転クロック信号CLK’に基づく転送信号の順次生成を開始するシフトレジスタ回路101aと、シフトレジスタ回路101aからの転送信号を波形整形しバッファリングした後、サンプリング回路駆動信号線306を介してサンプリング回路301に供給する波形制御回路101b及びバッファ回路101cとを備えている。また、サンプリング回路301は、12相展開された画像信号VID1〜VID12に対応してTFT302が12個ずつパラレルに各サンプリング回路駆動信号線306に接続されている。
即ち、TFT302から構成されるスイッチS1〜S12が左から1本目のサンプリング回路駆動信号線306に接続されており、スイッチS13〜S24が左から2本目のサンプリング回路駆動信号線306に接続されており、スイッチSn〜Sn−11が右端のサンプリング回路駆動信号線306に接続されている。図1では省略し図2で示したイネーブル信号ENB1及びENB2は、波形制御回路101b内に設けられたイネーブル回路に入力される。このイネーブル回路では、シフトレジスタ回路101aから順次出力されるパルスの幅を、イネーブル信号ENB1及びENB2のパルス幅に制限することにより、サンプリング回路301の選択期間を制御する。これにより、データ線12本分ずつ離れて同一の配線(VID1〜12)から画像信号を受けるデータ線35間におけるゴーストの発生を防止する。従って、イネーブル信号ENB1及びENB2は、クロック信号CLX及びCLX’と同じく、水平走査期間よりも短い周期を持つ高周波制御信号に属する。他方、シフトレジスタ回路101aに入力されるスタート信号DXは、クロック信号CLY及びCLY’や走査線駆動回路側のシフトレジスタに入力されるスタート信号DYと同じく、水平走査期間よりも短くない周期を持つ低周波制御信号に属する。
ここで、シフトレジスタ回路101aの具体的な回路構成及び動作について図3を参照して説明する。尚、図3(a)は、イネーブル回路を含むシフトレジスタ回路を示す回路図であり、図3(b)は、このシフトレジスタ回路における各種信号のタイミングチャートである。
先ず、図3(a)において、シフトレジスタ回路101aの各段の出力に対応してイネーブル回路112が夫々設けられている。シフトレジスタ回路101aの各段は、右方向(左から右へ向かう方向)に対応する転送方向で各段から転送信号が順次出力されるように、所定周期の基準クロック信号CLX及びその反転信号CLX’の2値レベルが変化する毎に転送信号に帰還をかけて次段に転送する2つのクロックドインバータを夫々含んで構成されている。また、イネーブル回路112は、シフトレジスタ回路101aの奇数段目から出力される転送信号のパルス幅を第1イネーブル信号ENB1のパルス幅に制限すると共に偶数段目から出力される転送信号のパルス幅を第2イネーブル信号ENB2のパルス幅に制限するように、転送信号とイネーブル信号ENB1又はENB2との排他的論理積をとるNAND回路と、その結果を反転させるインバータ回路とから構成されている。シフトレジスタ回路101aには、転送信号の転送をスタートさせるための信号DXが図中左側から入力される。
図3(b)のタイミングチャートに示すタイミングで、この信号DX、クロック信号CLX及びその反転信号CLX’と、第1及び第2イネーブル信号ENB1及びENB2とが入力されると、上述のように構成されたシフトレジスタ回路101aからは、クロック信号CLXの半周期だけ順次遅れる転送信号が順次出力される。すると、イネーブル回路112により、この転送信号のパルス幅が信号ENB1及びENB2のパルス幅に制限されて、クロック信号CLXのパルス幅よりも幅の狭いパルスから夫々なるサンプリング回路駆動信号Q1、Q2、Q3、…、Qn(但し、nは奇数)が、図2に示した波形制御回路101b及びバッファ回路101cを介してサンプリング回路301に順次供給される。
本実施の形態では特に、図1及び図2に示すように、TFTアレイ基板1には、負電源VSSY用の配線VSSYを兼ねた定電位のシールド線80、負電源VSSX用の配線VSSXを兼ねた定電位のシールド線80’、正電源VDDX用の配線VDDXを兼ねた定電位のシールド線82、及び正電源VDDY用の配線VDDYを兼ねた定電位のシールド線86が配線されている。これらのシールド線80、80’、82及び86により、画像信号線である配線VID1〜VID12は、配線CLX及びCLX’並びに配線ENB1及びENB2から電気的にシールドされている。従って、クロック信号CLXの周波数が高い場合でも、高周波制御信号線である配線CLX及びCLX’並びに配線ENB1及びENB2から配線VID1〜VID12への高周波のクロックノイズ等の飛び込みを低減できる。
しかも、図1及び図2に示したように、第1画像信号線群の一例を構成する奇数番目の画像信号線VID1、3、5、7、9及び11は、TFTアレイ基板1上をX方向に見てデータ線駆動回路101の右側へ引き回されており、第2画像信号線群の一例を構成する偶数番目の画像信号線VID2、4、6、8、10及び12は、TFTアレイ基板1上でデータ線駆動回路101の左側へ引き回されている。従って、例えば12相展開というように比較的多相の相展開数を行うことにより、サンプリング回路301に供給される画像信号VID1〜12の周波数を下げつつ、多数の配線VID1〜12については、データ線駆動回路101の両側にバランス良く配置できる。この結果、サンプリング回路301及びデータ線駆動回路101からなるデータ信号供給手段を形成する領域をTFTアレイ基板1上に容易に確保することができる。従って、限られた基板サイズにおける画面の大型化が図られる。
本実施の形態では特に、図2に示したように、定電位のシールド線80’により、画像信号線たる配線VID1〜12は、前述の高周波制御信号に属するクロック信号CLX及びCLX’並びにイネーブル信号ENB1及びENB2を供給する高周波制御信号線たる配線CLX及びCLX’並びに配線ENB1及びENB2から電気的にシールドされている。従って、クロック信号の周波数が高い場合でも、これらの高周波制御信号線から配線VID1〜12への高周波のクロックノイズ等の飛び込みを低減できる。他方、前述の低周波制御信号に属するスタート信号DX及びDY、並びにクロック信号CLY及びCLY’については、配線VID1〜12上の画像信号や、これに基づいて供給されたデータ線35上のデータ信号中の高周波ノイズの原因とはならない。このため、低周波制御信号線たる配線DX、DY、CLY及びCLY’は、定電位のシールド線によりシールドしてもよく、シールドしなくてもよい。本実施の形態では、図2に示したように、右側では配線VID1、3、…、11は、定電位の配線VDDYからなるシールド線86により配線DY、CLY及びCLY’からシールドされており、左側では配線VID2、4、…、12は定電位の配線VSSYからなるシールド線80により配線DYからシールドされている。また、配線DXからは、シールド線80’により配線VID1〜12はシールドされている。
更に本実施の形態では特に、右側(奇数番目)の画像信号線群の中で高周波制御信号線たる配線CLX及びCLX’に近い側に位置する配線VID11は、配線VSSX及びVDDXから夫々なる2本のシールド線80’及び82の存在により、これらの配線CLX及びCLX’から離間されており、且つ電気的にシールドされている。また、左側(偶数番目)の画像信号線群の中で高周波制御信号線たる配線CLX及びCLX’に近い側に位置する配線VID12は、配線VSSXからなる1本のシールド線80’及び低周波制御信号線たる配線DXの存在により、これらの配線CLX及びCLX’から離間されており、且つ電気的にシールドされている。即ち、画像信号やデータ信号中の高周波ノイズの原因とはならない低周波制御信号線に属する配線DXを、高周波制御信号線たる配線CLX及びCLX’と配線VID12との間に、シールド線80’と共に配置することにより、配線CLX及びCLX’のVID12に対するクロックノイズ等の悪影響を更に低減できる。一般に距離及び障害物の介在に応じて電磁波は減少するので、配線CLX及びCLX’や配線ENB1及びENB2と配線VID1〜12との間にシールド線(配線80、80’、82、86等の定電位の配線)や低周波制御信号線(配線DX、DY、CLY、CLY’等の低周波制御信号が供給される配線)をなるべく多く配線する構成により、クロックノイズを発生させる電磁波が減少して、クロックノイズ等が低減する。このように、シールド線以外に低周波制御信号線を高周波制御信号線と画像信号線との間に介在させることはTFT基板1上スペースの有効利用及びノイズ低減の観点から見て有利である。
また図2に示したように本実施の形態では、TFTアレイ基板1の周辺部上において、配線VID1〜12に夫々接続された外部入力端子102は両側に配置されており、その間に配線ENB1、ENB2、CLX’及びCLXに接続された外部入力端子102が集中配置されている。そして、配線VID12に接続された外部入力端子102と配線ENB1に接続された外部入力端子102との間に、シールド線80’(配線VSSX)に接続された外部入力端子102が配置されている。また、配線VID11に接続された外部入力端子102と配線CLXに接続された外部入力端子102との間に、シールド線80’(配線VSSX)に接続された外部入力端子102が配置されている。従って、配線VID1〜12と配線ENB1、ENB2、CLX’及びCLXとの間にシールド線80’を配線する構成を容易に得ることができる。特に、液晶装置200に入力される前段階で、例えば、表示情報処理回路等の外部回路から液晶装置200への配線中で、クロック信号CLX等が、画像信号VID1〜12に対しクロックノイズ等を発生させてしまう事態を効果的に阻止し得る。このように本実施の形態によれば、液晶装置200に入力される前後において、クロック信号用の配線から画像信号用の配線への高周波のクロックノイズの飛び込み等を低減できる。尚、より好ましくは、TFTアレイ基板1の周辺部において外部入力端子102を形成可能な領域において、配線VID1〜12用の外部入力端子102を可能な限り両側(右側及び左側)に寄せて配置すると共に、中央に集中配置される配線CLX’等用の外部入力端子102との間に可能な限り間隔を空けて、この間隔にシールド線80’等用の外部入力端子102を配置する。
本実施の形態では、配線VSSY、VSSX、VDDX及びVSSYを夫々延設してシールド線80、80’、82及び86とすることにより、外部入力端子や配線を共用することが可能となり、装置構成の簡略化と省スペース化を図ることが出来る。また、シールド線80、80’、82及び86の電位は、このように定電位線との共用化により、容易に定電位とされる。但し、電源用の配線とシールド線を別個に配線してもよい。
本実施の形態では、図2に示すように、負電源VSSXが入力される外部入力端子102が2つ設けられている。そして、配線VID1〜VID12は、負電源VSSXの電位(負電位)とされたシールド線80’により、TFTアレイ基板1上で囲まれている。特に、シフトレジスタ回路101aと波形制御回路101bとの間にも、データ線35と同じAl等の金属層から形成されたシールド線80’は延設されている。そして、延設されたシールド線80’の先端部は、後述のように第1層間絶縁層を介してAl等の金属層の下方において、例えば走査線31と同じポリシリコン等の導電性層から形成されたシールド線接続部81を介して、波形制御回路101b及びバッファ回路101cを囲むようにしてシールド線80’に接続されている。
他方、図2に示すように、配線CLX及びCLX’は、データ線駆動回路101に隣接する部分においては、正電源VDDXの電位(正電位)とされたシールド線82により、TFTアレイ基板1上で囲まれている。特に、波形制御回路101bとバッファ回路101cとの間にも、データ線35と同じAl等の金属層から形成されたシールド線82は延設されており、その先端部は、例えば走査線31と同じポリシリコン等の導電性層から形成されたシールド線接続部83を介して波形制御回路101b及びシフトレジスタ回路101aを囲むようにしてシールド線82に接続されている。
従って、配線VID1〜VID12は、TFTアレイ基板1上で配線CLX及びCLX’並びに配線ENB1及びENB2から2重にシールドされた構成が採られており、シフトレジスタ回路101a並びに波形制御回路101b及びバッファ回路101cに対するシールドも信頼性が高いものとされている。但し、このように囲む構成を採らなくても、配線CLX、CLX’、ENB1及びENB2と配線VID1〜VID12との間にシールド線80、80’、82及び86が少なくとも一本介在するように構成すれば、シールドの効果は多少なりとも得られる。
本実施の形態では図1及び図2に示したように、シールド線80により、画面表示領域及び複数のデータ線35は、TFTアレイ基板1上で囲まれている。このため、当該画面表示領域及び複数のデータ線35も、配線CLX、CLX’、ENB1及びENB2からシールドされている。従って、データ線駆動回路101から出力されたサンプリング回路駆動信号、TFT30や画素電極11に到達したデータ信号等における、高周波のクロックノイズの発生等を低減できる。但し、このように画面表示領域までも囲む構成を採らなくても、サンプリング回路301に至るまでの配線VID1〜VID6をシールド線80、80’、82又は86によりシールドするように構成すれば、シールドの効果は多少なりとも得られる。この場合図1から分かるように、シールド線80は、配線VSSYから延設されており、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104に電源信号VSSYを冗長的に供給するように延設されている。このため、たとえ、シールド線80或いは配線VSSYに断線が生じても、装置欠陥になり難いので有利である。
図4(a)及び(b)の断面図に夫々示すように、外部入力端子102に接続された各種配線DY、VSSY、…、VDDXは、例えば、Al(アルミニウム)等の、データ線35と同一の低抵抗金属材料から形成されている。従って、シールド線80(配線VSSY)、80’(配線VSSX)、82(配線VDDX)及び86(配線VDDY)の引き回し領域が、たとえ長くても、各シールド線80、80’、82及び86の抵抗は実用上十分に低く抑えられる。即ち、図2に示したように、他の各種配線やシフトレジスタ回路101a並びに波形制御回路101b及びバッファ回路101cの隙間を縫ってジグザグにシールド線82や80’を長く配線でき、更に画面表示領域までも含めた広い領域にシールド線80を長く配線できる。このように比較的簡単な構成により、当該シールドの効果を全体として高めることが出来る。また図4(a)及び(b)に示すように、各種配線DY、VSSY、…、VDDXは、TFTアレイ基板1に形成された第1層間絶縁層42上に、即ち同一層上に形成されている。従って、シールドの効果がより効率良く発揮される。更に、このように構成すると、液晶装置200の製造プロセスにおいて、各種配線DY、VSSY、…、VDDXを、例えば、Al層等の同一の低抵抗金属層から同一工程により一括して形成できるので、製造上有利である。
尚、図1から図4に示した外部入力端子102から入力される信号LCCOMは、共通電極の電源信号であり、配線LCCOM及び前述の銀点106を介して、後述の対向基板に設けられた共通電極(図9参照)に供給される。
ここで図5の平面図に示すように、容量線31’は、TFTアレイ基板1上において走査線31(ゲート電極)と平行に、例えば走査線31と同じく導電性のポリシリコン層等から形成されており、シールド線80にコンタクトホール80aを介して接続されている。このように構成すれば、容量線31’を定電位とするための配線をシールド線80で兼用でき、容量線31’を定電位にするために必要な外部入力端子も、シールド線80用の外部入力端子102で兼用できる。
本実施の形態では特に、サンプリング回路301は、図1中斜線領域で示すように且つ図6及び図7に示すように、対向基板2に形成された遮光性の周辺見切り53に対向する位置においてTFTアレイ基板1上に設けられており、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、液晶層50に面しないTFTアレイ基板1の狭く細長い周辺部分上に設けられている。TFTアレイ基板1の上には、画面表示領域の周囲において両基板を貼り合わせて液晶層50を包囲するシール部材の一例としての光硬化性樹脂からなるシール材52が、画面表示領域に沿って設けられている。そして、対向基板2上における画面表示領域とシール材52との間には、遮光性の周辺見切り53が設けられている。
周辺見切り53は、後に画面表示領域に対応して開口部が設けられた遮光性のケースにTFTアレイ基板1が入れられた場合に、当該画面表示領域が製造誤差等により当該ケースの開口の縁に隠れてしまわないように、即ち、例えばTFTアレイ基板1のケースに対する数百μm程度のずれを許容するように、画面表示領域の周囲に少なくとも500μm以上の幅を持つ帯状の遮光性材料から形成されたものである。このような遮光性の周辺見切り53は、例えば、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)等の金属材料を用いたスパッタリング、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程等により対向基板2に形成される。或いは、カーボンやTi(チタン)をフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成される。また、TFTアレイ基板1上に遮光性の周辺見切り53を設けてもよい。周辺見切り53をTFTアレイ基板1上に内蔵すれば、TFTアレイ基板1と対向基板2との貼り合わせ工程での精度のばらつきで画素の開口領域が影響を受けることがないため、液晶パネルの透過率を高精度に維持することができる。
シール材52の外側の領域には、画面表示領域の下辺に沿ってデータ線駆動回路101及び外部入力端子(実装端子)102が設けられており、画面表示領域の左右の2辺に沿って走査線駆動回路104が画面表示領域の両側に設けられている。そして、シール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板2が当該シール材52によりTFTアレイ基板1に固着されている。
以上のようにシールド線80及びサンプリング回路301は、TFTアレイ基板1上の周辺見切り53の下に設けられているので、TFTアレイ基板1上の省スペース化が図られ、例えば、走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101をTFTアレイ基板1の周辺部分に余裕を持って形成することができ、シールド線80の形成により液晶装置200における有効表示面積が減少することも殆ど又は全くない。
図8(a)に、図1及び図2に示した走査線駆動回路101とサンプリング回路301との間における配線VID1〜12の引き回し方式を拡大して示す。同図において、奇数番目の画像信号線たる配線VID1、…、11と偶数番目の画像信号たる配線VID2、…、12とは、各配線毎に両側から櫛歯状に交互に引き回されている。従って、データ線駆動回路101の周囲において、配線VID1〜12及びサンプリング回路駆動信号線306は、大変規則性良く且つバランス良く配線さている。
ところで、本実施の形態では、液晶を直流駆動により劣化させないためや表示画面上のフリッカを防止するため等に、液晶駆動電圧を反転させる各種の方式、例えば、フィールド又はフレーム反転駆動、走査線反転駆動(所謂1H反転駆動)、データ線反転駆動(所謂1S反転駆動)、ドット反転駆動などを採用可能である。ここで特に、1S反転やドット反転といった相隣接するデータ線間で電圧極性を反転させて液晶駆動を行う場合には、図8(a)に示したように一本の配線VID1〜12毎に櫛歯状にするよりも、図8(b)に示すように、相隣接する2本のデータ線35に対応する2本の配線VID1及び2、5及び6等を夫々一対として2本おきに一方の側(例えば右側)から引き回すと共に、それら以外の相隣接する2本のデータ線35に対応する2本の配線VID3及び4、7及び8等を夫々一対として2本おきに逆側(例えば左側)から引き回すと共に、データ線駆動回路101とサンプリング回路301の間で2本の配線を一対として夫々両側から櫛歯状にするのがより好ましい。このように配線すれば、TFTアレイ基板1上で相隣接する各対の配線1及び2、3及び4、…から供給される画像信号は夫々逆極性とされてデータ線35に供給されるので、これらの信号中に存在する同一のノイズ源に起因したノイズ成分については、これら各対をなす両者間で打ち消し合う効果が働くので、ノイズを低減するのに役立つ。
(液晶パネル部分の構成)
次に、液晶装置200が含む液晶パネル部分の具体的構成について図9及び図10を参照して説明する。ここに、図9は液晶パネルのTFT30部分における断面図であり、図10は周辺見切りの下における液晶パネルのシールド線80に沿った断面図である。尚、図9及び図10においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
図9の断面図において、液晶パネル10は、各画素に設けられるTFT30部分において、TFTアレイ基板1並びにその上に積層された半導体層32、ゲート絶縁層33、走査線31(ゲート電極)、第1層間絶縁層42、データ線35(ソース電極)、第2層間絶縁層43、画素電極11及び配向膜12を備えている。液晶パネル10はまた、例えばガラス基板から成る対向基板2並びにその上に積層された共通電極21、配向膜22及び遮光層23を備えている。液晶パネル10は更に、これらの両基板間に挟持された液晶層50を備えている。
ここでは先ず、これらの層のうち、TFT30を除く各層の構成について順に説明する。
第1及び第2層間絶縁層42及び43は夫々、5000〜15000Å程度の厚みを持つNSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる。尚、TFTアレイ基板1上に、TFT30の下地となる層間絶縁層をシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等から形成してもよい。
画素電極11は例えば、ITO膜(Indium Tin Oxide膜)などの透明導電性薄膜からなる。このような画素電極11は、スパッタリング処理等によりITO膜等を約500〜2000Åの厚さに堆積した後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を施すこと等により形成される。尚、当該液晶パネル10を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極11を形成してもよい。
配向膜12は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。このような配向膜12は、例えばポリイミド系の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により形成される。
共通電極21は、対向基板2の全面に渡って形成されている。このような共通電極21は、例えばスパッタリング処理等によりITO膜等を約500〜2000Åの厚さに堆積して形成される。
配向膜22は、例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。このような配向膜22は、例えばポリイミド系の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により形成される。
遮光層23は、TFT30に対向する所定領域に設けられている。このような遮光層23は、前述の周辺見切り53同様に、CrやNiなどの金属材料を用いたスパッタリング、フォトリソグラフィ及びエッチング等の工程により形成されたり、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成される。遮光層23は、TFT30の半導体層(ポリシリコン膜)32に対する遮光の他に、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
液晶層50は、画素電極11と共通電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板1と対向基板2との間において、シール材52(図6及び図7参照)により囲まれた空間に液晶が真空吸引等により封入されることにより形成される。液晶層50は、画素電極11からの電界が印加されていない状態で配向膜12及び22により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材52は、二つの基板1及び2をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのスペーサが混入されている。
次に、TFT30に係る各層の構成について順に説明する。
TFT30は、走査線31(ゲート電極)、走査線31からの電界によりチャネルが形成される半導体層32、走査線31と半導体層32とを絶縁するゲート絶縁層33、半導体層32に形成されたソース領域34、データ線35(ソース電極)、及び半導体層32に形成されたドレイン領域36を備えている。ドレイン領域36には、複数の画素電極11のうちの対応する一つが接続されている。
ソース領域34及びドレイン領域36は後述のように、半導体層32に対し、n型又はp型のチャネルを形成するかに応じて所定濃度のN型用又はP型用のドーパントをドープすることにより形成されている。N型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子であるTFT30として用いられることが多い。
TFT30を構成する半導体層32は、例えば、TFTアレイ基板1上にa−Si(アモルファスシリコン)膜を形成後、アニール処理を施して約500〜2000Åの厚さに固相成長させることにより形成する。この際、Nチャネル型のTFT30の場合には、Sb(アンチモン)、As(砒素)、P(リン)などのV族元素のドーパントを用いたイオン注入等によりドープしてもよい。また、pチャネル型のTFT30の場合には、B(ボロン)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)などのIII族元素のドーパントを用いたイオン注入等によりドープする。特にTFT30をLDD(Lightly Doped Drain)構造を持つNチャネル型のTFTとする場合、P型の半導体層32に、ソース領域34及びドレイン領域36のうちチャネル側に夫々隣接する一部にPなどのV族元素のドーパントにより低濃度ドープ領域を形成し、同じくPなどのV族元素のドーパントにより高濃度ドープ領域を形成する。また、Pチャネル型のTFT30とする場合、N型の半導体層32に、BなどのIII族元素のドーパントを用いてソース領域34及びドレイン領域36を形成する。このようにLDD構造とした場合、ショートチャネル効果を低減できる利点が得られる。尚、TFT30は、LDD構造における低濃度ドープ領域にイオン注入したオフセット構造のTFTとしてもよいし、ゲート電極をマスクとして高濃度の不純物イオンをドープすることにより自己整合的に高濃度なソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTとしてもよい。
また本実施の形態では、図9において、TFT30のソース・ドレイン間に、ゲート絶縁膜2を介して、同一の走査信号が供給される2つのゲート電極31を設けて、デユアルゲート(ダブルゲート)構造のTFTとしてもよい。これにより、TFT30のリーク電流を低減することができる。また、デユアルゲート構造のTFTを、上述のLDD構造、或いはオフセット構造を持つようにすれば、更にTFT30のリーク電流を低減することができ、高いコントラスト比を実現することができる。また、デユアルゲート構造により、冗長性を持たすことができ、大幅に画素欠陥を低減できるだけでなく、高温動作時でも、リーク電流が低いため、高コントラスト比の画質を実現することができる。尚、TFT30のソース・ドレイン間に設けるゲート電極31は3つ以上でもよいことは言うまでもない。
ゲート絶縁層33は、半導体層32を約900〜1300℃の温度により熱酸化することにより、300〜1500Å程度の比較的薄い厚さの熱酸化膜を形成して得る。
走査線31(ゲート電極)は、減圧CVD法等によりポリシリコン膜を堆積した後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により形成される。或いは、W(タングステン)、Mo(モリブデン)等の高融点金属膜又は金属シリサイド膜から形成されてもよい。この場合、走査線31(ゲート電極)を、遮光層23が覆う領域の一部又は全部に対応する遮光膜として配置すれば、金属膜や金属シリサイド膜の持つ遮光性により、遮光層23の一部又は全部を省略することも可能となる。この場合特に、対向基板2とTFTアレイ基板1との貼り合わせずれによる画素開口率の低下を防ぐことが出来る利点がある。
データ線35(ソース電極)は、画素電極11と同様にITO膜等の透明導電性薄膜から形成してもよい。或いは、スパッタリング処理等により、約1000〜5000Åの厚さに堆積されたAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等から形成してもよい。
また、第1層間絶縁層42には、ソース領域34へ通じるコンタクトホール37及びドレイン領域36へ通じるコンタクトホール38が夫々形成されている。
このソース領域34へのコンタクトホール37を介して、データ線35(ソース電極)はソース領域34に電気的接続される。更に、第2層間絶縁層43には、ドレイン領域36へのコンタクトホール38が形成されている。このドレイン領域36へのコンタクトホール38を介して、画素電極11はドレイン領域36に電気的接続される。前述の画素電極11は、このように構成された第2層間絶縁層43の上面に設けられている。各コンタクトホールは、例えば、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成される。
尚、一般にはチャネルが形成される半導体層32は、光が入射すると光電変換効果により光電流が発生してしまいTFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施の形態では、対向基板2には各TFT30に夫々対向する位置に遮光層23が形成されているので、入射光が半導体層32に入射することが防止される。更にこれに加えて又は代えて、ゲート電極を上側から覆うようにデータ線35(ソース電極)をAl等の不透明な金属薄膜から形成すれば、遮光層23と共に又は単独で、半導体層32への入射光(即ち、図9で上側からの光)の入射を効果的に防ぐことが出来る。
図9において、画素電極11には蓄積容量70が夫々設けられている。この蓄積容量70は、より具体的には、半導体層32と同一工程により形成される第1蓄積容量電極層32’、ゲート絶縁層33と同一工程により形成される絶縁層33’、走査線31と同一工程により形成される容量線31’(第2蓄積容量電極)、第1及び第2層間絶縁層42及び43、並びに第1及び第2層間絶縁層42及び43を介して容量線31’に対向する画素電極11の一部から構成されている。このように蓄積容量70が設けられているため、デューティー比が小さくても高精細な表示が可能とされる。
図10の断面図に示すように、周辺見切り53に対向し且つ複数の走査線31の上方の位置において第1層間絶縁層42上をシールド線80は通過する。そして、このシールド線80は、その殆どの部分が、前述したデータ線(ソース電極)35と同一工程で形成されたAl等の金属薄膜からなる低抵抗な配線である。
このように液晶装置200の製造プロセスにおいて、シールド線80とデータ線35とを一括して形成できるので、製造上有利である。
本実施の形態では特に、TFT30はポリシリコンタイプのTFTであるので、TFT30の形成時に同一薄膜形成工程で、サンプリング回路301、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の同じくポリシリコンTFTタイプのTFT302等から構成された周辺回路を形成できるので製造上有利である。
例えば、これらの周辺回路は、Nチャネル型ポリシリコンTFT及びPチャネル型ポリシリコンTFTから構成される相補構造の複数のTFTからTFTアレイ基板1上の周辺部分に形成される。
尚、図9及び図10には示されていないが、液晶パネル10においては、対向基板2の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板1の投射光が出射する側には夫々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
また、以上説明した液晶パネル10は、カラー液晶プロジェクタに適用されるため、3つの液晶パネル10がRGB用のライトバルブとして夫々用いられ、各パネルには夫々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が入射光として夫々入射されることになる。従って、各実施の形態では、対向基板2に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、液晶パネル10においても遮光層23の形成されていない画素電極11に対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板2上に形成してもよい。
このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に本実施の形態の液晶パネルを適用できる。更に、対向基板2上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶パネルが実現できる。更にまた、対向基板2上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶パネルが実現できる。
液晶パネル10において、TFTアレイ基板1側における液晶分子の配向不良を抑制するために、第2層間絶縁層43の上に更に平坦化膜をスピンコート等で塗布してもよく、又はCMP処理を施してもよい。或いは、第2層間絶縁層43を平坦化膜で形成してもよい。
液晶パネル10のスイッチング素子は、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT等の他の形式のTFTに対しても、本実施の形態は有効である。
液晶パネル10においては、一例として液晶層50をネマティック液晶から構成したが、液晶を高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、配向膜12及び22、並びに前述の偏光フィルム、偏光板等が不要となり、光利用効率が高まることによる液晶パネルの高輝度化や低消費電力化の利点が得られる。更に、画素電極11をAl等の反射率の高い金属膜から構成することにより、液晶パネル10を反射型液晶装置に適用する場合には、電圧無印加状態で液晶分子がほぼ垂直配向されたSH(スーパーホメオトロピック)型液晶などを用いても良い。更にまた、液晶パネル10においては、液晶層50に対し垂直な電界(縦電界)を印加するように対向基板2の側に共通電極21を設けているが、液晶層50に平行な電界(横電界)を印加するように一対の横電界発生用の電極から画素電極11を夫々構成する(即ち、対向基板2の側には縦電界発生用の電極を設けることなく、TFTアレイ基板1の側に横電界発生用の電極を設ける)ことも可能である。このように横電界を用いると、縦電界を用いた場合よりも視野角を広げる上で有利である。その他、各種の液晶材料(液晶層)、動作モード、液晶配列、駆動方法等に本実施の形態を適用することが可能である。
以上説明した実施の形態において更に、周辺見切り53下やTFTアレイ基板1の周辺部に、プリチャージ回路、検査回路等の周知の周辺回路を設けてもよい。プリチャージ回路は、コントラスト比の向上、データ線の電位レベルの安定、表示画面上のラインむらの低減等を目的として、データ線に対し、データ線駆動回路から供給されるデータ信号に先行するタイミングで、プリチャージ信号を供給することにより、データ信号をデータ線に書き込む際の負荷を軽減する回路である。例えば、特開平7−295520号公報に、このようなプリチャージ回路の一例が開示されている。他方、検査回路は、周辺見切り53下やTFTアレイ基板の周辺部に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための回路である。
また、以上の実施の形態において、特開平9−127497号公報、特公平3−52611号公報、特開平3−125123号公報、特開平8−171101号公報等に開示されているように、TFTアレイ基板1上においてTFT30に対向する位置(即ち、TFT30の下側)にも、例えばW(タングステン)、Mo(モリブデン)等の高融点金属や金属シリサイドからなる遮光層を設けてもよい。このようにTFT30の下側にも遮光層を設ければ、TFTアレイ基板1の側からの戻り光等がTFT30に入射するのを未然に防ぐことができる。従って、当該液晶装置200を液晶プロジェクタ用のライトバルブとして好適に用いることが出来る。
更にまた、以上の実施の形態において、TFT30に代えてMIM(Metal Insulator Metal)等の2端子型非線形素子等からスイッチング素子を構成してもよい。この場合、データ線及び走査線のうち一方の線を対向基板に配置して対向電極として機能させ、TFTアレイ基板に設けられた他方の線と画素電極との間にスイッチング素子を夫々配置して液晶駆動する。このように構成しても、画素信号線やデータ線をクロック信号線からシールドすることにより、高周波のクロックノイズの画像信号やデータ信号への飛び込みを防止する効果は発揮される。
(液晶装置の動作)
次に、以上のように構成された液晶装置200の動作について図1を参照して説明する。
先ず、走査線駆動回路104は、所定タイミングで走査線31に走査信号をパルス的に線順次で印加する。
これと並行して、12本の配線VID1〜VID12からパラレルな画像信号を受けると、サンプリング回路301は、これらの画像信号をサンプリングする。データ線駆動回路101は、走査線駆動回路104がゲート電圧を印加するタイミングに合わせて、12本の配線VID1〜VID12夫々について一つのデータ線毎にサンプリング回路駆動信号を供給して、サンプリング回路301のTFT302をオン状態とする。これにより、隣接する12本のデータ線35に対して、サンプリング回路301にサンプリングされたデータ信号を順次印加する。即ち、データ線駆動回路101とサンプリング回路301により、配線VID1〜VID12から入力された12相展開されたパラレルな画像信号VID1〜VID12は、データ線35に供給される。
このように、走査信号(ゲート電圧)及びデータ信号(ソース電圧)の両方が印加されたTFT30においては、ソース領域34、半導体層32に形成されたチャネル及びドレイン領域36を介して画素電極11に電圧が印加される。そして、この画素電極11の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間だけ蓄積容量(図9参照)により保持される。ここで特に、シールド線80、80’、82及び86により、配線VID1〜VID12は、配線CLX及びCLX’並びに配線ENB1及びENB2からシールドされているので、クロック信号CLXの周波数が高い場合でも、配線CLX及びCLX’並びに配線ENB1及びENB2から配線VID1〜VID12への高周波のクロックノイズ等の飛び込みを低減できる。
以上のように、画素電極11に電圧が印加されると、液晶層50におけるこの画素電極11と共通電極21とに挟まれた部分における液晶の配向状態が変化し、ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶パネル10からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。
以上の結果、表示すべき画像の解像度が高く、高周波のシリアルな画像信号VID1〜VID12が入力される場合にも、これに対応して周波数が高いクロック信号CLXを用いつつ、高周波のクロックノイズの発生により画質が劣化することは殆ど又は全く無くなり、高品位の画像表示が可能とされる。しかも、12相展開という比較的多数の相に相展開した結果、画像信号の周波数を落とすことにより、通常性能のサンプリング回路によりサンプリングを行うことが可能とされている。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した液晶装置200を備えた電子機器の実施の形態について図11から図15を参照して説明する。
先ず図11に、このように液晶装置200を備えた電子機器の概略構成を示す。
図11において、電子機器は、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、駆動回路1004、液晶パネル10、クロック発生回路1008並びに電源回路1010を備えて構成されている。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク装置などのメモリ、テレビ信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路1008からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの表示情報を表示情報処理回路1002に出力する。表示情報処理回路1002は、増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成されており、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKと共に駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、液晶パネル10を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定電源を供給する。尚、液晶パネル10を構成するTFTアレイ基板の上に、駆動回路1004を搭載してもよく、これに加えて表示情報処理回路1002を搭載してもよい。
次に図12から図15に、このように構成された電子機器の具体例を夫々示す。
図12において、電子機器の一例たる液晶プロジェクタ1100は、上述した駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載された液晶パネル10を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本実施の形態においては特に、前述のように遮光層をTFTの下側にも設けておけば、当該液晶パネル10からの入射光に基づく液晶プロジェクタ内の投射光学系による反射光、入射光が通過する際のTFTアレイ基板の表面からの反射光、他の液晶パネルから出射した後にダイクロイックプリズム1112を突き抜けてくる入射光の一部(R光及びG光の一部)等が、戻り光としてTFTアレイ基板の側から入射しても、画素電極のスイッチング用のTFT等のチャネルに対する遮光を十分に行うことができる。この場合、小型化に適したプリズムを投射光学系に用いても、各液晶パネルのTFTアレイ基板とプリズムとの間において、戻り光防止用のARフィルムを貼り付けたり、偏光板にAR被膜処理を施したりすることが不要となるので、構成を小型且つ簡易化する上で大変有利である。
図13において、電子機器の他の例たるマルチメディア対応のラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)1200は、上述した液晶パネル10がトップカバーケース内に備えられており、更にCPU、メモリ、モデム等を収容すると共にキーボード1202が組み込まれた本体1204を備えている。
図14において、電子機器の他の例たるページャ1300は、金属フレーム1302内に前述の駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載されて液晶モジュールをなす液晶パネル10が、バックライト1306aを含むライトガイド1306、回路基板1308、第1及び第2のシールド板1310及び1312、二つの弾性導電体1314及び1316、並びにフィルムキャリアテープ1318と共に収容されている。この例の場合、前述の表示情報処理回路1002(図11参照)は、回路基板1308に搭載してもよく、液晶パネル10のTFTアレイ基板上に搭載してもよい。更に、前述の駆動回路1004を回路基板1308上に搭載することも可能である。
尚、図14に示す例はページャであるので、回路基板1308等が設けられている。しかしながら、駆動回路1004や更に表示情報処理回路1002を搭載して液晶モジュールをなす液晶パネル10の場合には、金属フレーム1302内に液晶パネル10を固定したものを液晶装置として、或いはこれに加えてライトガイド1306を組み込んだバックライト式の液晶装置として、生産、販売、使用等することも可能である。
また図15に示すように、駆動回路1004や表示情報処理回路1002を搭載しない液晶パネル10の場合には、駆動回路1004や表示情報処理回路1002を含むIC1324がポリイミドテープ1322上に実装されたTCP(Tape Carrier Package)1320に、TFTアレイ基板1の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して物理的且つ電気的に接続して、液晶装置として、生産、販売、使用等することも可能である。
以上図12から図15を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、携帯電話、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが図11に示した電子機器の例として挙げられる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、高周波のクロックノイズの発生が低減されており、高品位の画像表示が可能であり、しかも基板サイズに比べて画面表示領域が大きい液晶装置200を備えた各種の電子機器を実現できる。
[付記]
付記1.本電気光学装置は、基板上に複数のデータ線と、該複数のデータ線に交差する複数の走査線と、前記複数のデータ線及び走査線に接続された複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子に接続された複数の画素電極と、画像信号が供給される複数の画像信号線と、クロック信号を含む制御信号が供給される複数の制御信号線と、前記画像信号線及び前記制御信号線を夫々介して前記画像信号及び前記制御信号が入力され、前記画像信号に対応するデータ信号を前記制御信号に基づいて前記複数のデータ線に供給するデータ信号供給手段とを備えており、前記複数の画像信号線のうち第1画像信号線群は前記基板上で前記データ信号供給手段の一方の側へ引き回されており、前記複数の画像信号線のうち第2画像信号線群は前記基板上で前記データ信号供給手段の他方の側へ引き回されており、前記第1及び第2画像信号線群を前記複数の制御信号線から夫々電気的にシールドする少なくとも1本の導電線を前記基板上に更に備えたことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、画像信号は、画像信号線を介して、データ信号供給手段に供給される。これと並行して、クロック信号、イネーブル信号等を含む制御信号は、制御信号線を介して、データ信号供給手段に供給される。すると、例えばデータ線駆動回路、サンプリング回路等を含んで構成されるデータ信号供給手段により、制御信号に基づいて画像信号に対応するデータ信号が、複数のデータ線に供給される。ここで特に、基板に配線された導電線により、画像信号線は、クロック信号線、イネーブル信号線等の制御信号線から夫々電気的にシールドされている。従って、クロック信号の周波数が高い場合でも、クロック信号線等の制御信号線から画像信号線への高周波のクロックノイズ等の飛び込みを低減できる。
他方で、基板に形成されるか又は基板に接続された走査線駆動回路等を含む走査信号供給手段により、走査信号が走査線を介してスイッチング素子に供給される。これと並行して、上述のように高周波のクロックノイズ等が低減された画像信号に対応するデータ信号が、データ線を介してスイッチング素子に供給され、更にスイッチング素子を介して供給されるデータ信号により画素電極に印加される電圧が変化し、当該画素電極に対向する液晶が駆動される。
以上の結果、表示すべき画像の解像度が高く、例えば多相展開された画像信号が入力される場合にも、高周波のクロックノイズ等の発生により画質が劣化することは殆ど又は全く無くなり、高品位の画像表示が可能とされる。しかも、第1画像信号線群は、基板上でデータ信号供給手段の一方の側へ引き回されており、第2画像信号線群は基板上でデータ信号供給手段の他方の側へ引き回されている。従って、例えば12相展開、24相展開、…というように相展開数を増やすことによりデータ信号供給手段に供給される画像信号の周波数を下げつつ、多相展開に対応する多数の画像信号線については、データ信号供給手段の両側にバランス良く配置できる。この結果、サンプリング回路或いはサンプリング回路、データ線駆動回路等からなるデータ信号供給手段を形成する領域を基板上に容易に確保することができる。従って、限られた基板サイズでの画面の大型化を図ることも可能となる。
付記2.付記1に記載の電気光学装置において、前記導電線は、前記複数の制御信号線のうち少なくとも前記画像信号の水平走査期間よりも短い周期を持つ高周波制御信号を供給する高周波制御信号線から、前記第1及び第2画像信号線群をシールドすることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、導電線により、画像信号線は、複数の制御信号線のうち高周波制御信号(例えば、クロック信号、イネーブル信号等)を供給する高周波制御信号線から電気的にシールドされている。従って、クロック信号の周波数が高い場合でも、高周波制御信号線から画像信号線への高周波のクロックノイズ等の飛び込みを低減できる。尚、低周波制御信号(例えば、データ線駆動回路内のシフトレジスタ用のスタート信号等)については、画像信号やデータ信号中の高周波ノイズの原因とはならないため、これを供給する低周波制御信号線を導電線によりシールドしてもよく、シールドしなくてもよい。
付記3.付記2に記載の電気光学装置において、前記第1及び第2画像信号線群と前記高周波制御信号線との間には、前記導電線と共に前記複数の制御信号線のうち少なくとも前記画像信号の水平走査期間よりも短くない周期を持つ低周波制御信号を供給する低周波制御信号線が配線されていることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、第1及び第2画像信号線群の中で高周波制御信号線に近い側に位置する画像信号線は、低周波制御信号線と導電線との少なくとも合計2本の配線の存在により、高周波制御信号線から離間され且つ電気的にシールドされている。即ち、画像信号やデータ信号中の高周波ノイズの原因とはならない低周波制御信号(例えば、データ線駆動回路内のシフトレジスタ用のスタート信号等)を供給する低周波制御信号線を、高周波制御信号線と画像信号線との間に導電線と共に配置することにより、高周波制御信号線の画像信号線に対するクロックノイズ等の悪影響を更に低減できる。特に、一般に距離及び障害物の介在に応じて電磁波は減少するので、制御信号線と画像信号線との間に導電線や低周波制御信号線をなるべく多く配線する構成により、高周波制御信号線から画像信号線に印加される電磁波が減少する。このように、導電線以外に低周波制御信号線を高周波制御信号線と画像信号線との間に介在させることは基板上スペースの有効利用及びノイズ低減の観点から見て有利である。
付記4.付記1に記載の電気光学装置において、前記第1画像信号線群に接続されており外部画像信号源から前記画像信号が夫々入力される複数の第1外部入力端子と、前記第2画像信号線群に接続されており前記外部画像信号源から前記画像信号が夫々入力される複数の第2外部入力端子と、前記制御信号線に接続されており外部制御信号源から前記制御信号が夫々入力される複数の第3外部入力端子と、前記導電線に夫々接続された複数の第4外部入力端子とを前記基板の周辺部上に更に備えており、前記第1及び第2外部入力端子の間には、前記第3外部入力端子が配置されており、前記第1及び第3外部入力端子の間並びに前記第3及び第2外部入力端子の間には、前記第4外部入力端子が夫々配置されていることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、基板の周辺部上において、第1及び第2画像信号線群に夫々接続された複数の第1及び第2外部入力端子の間には、制御信号線に接続された複数の第3外部入力端子が配置されている。即ち、第1から第4外部入力端子が設けられた基板の周辺部上において、中央に制御信号線に接続された複数の第3外部入力端子が集中配置されており、その両側に第1及び第2画像信号線群に夫々接続された複数の第1及び第2外部入力端子が配置されている。そして、これらの間に、導電線に接続された第4外部入力端子が配置されている。従って、第1及び第2画像信号線群と制御信号線との間に基板上で距離を置くと共に、これらの間に導電線を配線する構成を容易に得ることができる。特に、当該電気光学装置に入力される前段階で、クロック信号等の制御信号が、画像信号に対しクロックノイズ等を発生させてしまう事態を効果的に阻止し得る。仮に、画像信号線に接続された複数の外部入力端子と制御信号線に接続された複数の外部入力端子とが混在していたり、隣接していたりすれば、当該電気光学装置に入力される前段階で、画像信号線と制御信号線とが隣接或いは近接する配線部分が不可避となり、画像信号中にクロックノイズ等が飛び込んでしまうのである。このように本発明によれば、電気光学装置に入力される前後において、クロック信号線から画像信号線への高周波のクロックノイズの飛び込みを低減できる。尚、より好ましくは、基板の周辺部において外部入力端子を形成可能な領域において、第1及び第2外部入力端子を可能な限り両側に寄せて配置すると共に、両者の間に配置される第3外部入力端子との間に可能な限り間隔を空けて、この間隔に導電線に接続された第4外部入力端子を配置する。
付記5.付記4に記載の電気光学装置において、前記導電線は、前記複数の制御信号線のうち少なくとも前記画像信号の水平走査期間よりも短い周期を持つ高周波制御信号を供給する高周波制御信号線から、前記第1及び第2画像信号線群をシールドし、前記第3外部入力端子のうち前記第4外部入力端子に隣接する端子は、前記複数の制御信号線のうち少なくとも前記画像信号の水平走査期間よりも短くない周期を持つ低周波制御信号を供給する低周波制御信号線に接続されていることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、導電線により、画像信号線は、高周波制御信号線から電気的にシールドされている。ここで特に、制御信号線に接続された第3外部入力端子のうち導電線に接続された第4外部入力端子に隣接する端子は、低周波制御信号線に接続されているので、画像信号線は、低周波制御信号線と導電線との少なくとも合計2本の配線の存在により、高周波制御信号線から離間され且つ電気的にシールドされる。
付記6.付記1に記載の電気光学装置において、前記導電線は、前記データ信号供給手段に定電位のデータ線駆動用電源を供給するデータ線駆動用定電位線から構成された部分を含むことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、導電線は、前記データ信号供給手段に定電位のデータ線駆動用電源を供給するデータ線駆動用定電位線から構成された部分を含むので、外部入力端子や配線そのものを共用することにより、言い換えれば定電位線を延設して導電線とすることにより、構成の簡略化と省スペース化を図ることが出来、特に導電線を定電位とすることも極めて容易となる。
付記7.付記6に記載の電気光学装置において、前記データ線駆動用定電位線は、相異なる定電位の電源を前記データ信号供給手段に供給する第1及び第2定電位線からなり、該第1定電位線から構成された前記導電線部分は、前記基板上で第1及び第2画像信号線群を囲み、前記第2定電位線から構成された前記導電線部分は、前記基板上で前記第1基板上で前記制御信号線を囲むことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、第1及び第2画像信号線群は、例えば接地電位の負電源を供給するための第1定電位線から構成された導電線部分により、基板上で囲まれている。制御信号線は、例えば正電源を供給するための第2定電位線から構成された導電線部分により、基板上で囲まれている。従って、画像信号線は、第1基板上で制御信号線から2重にシールドされた構成が得られる。
付記8.付記1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置において、前記導電線は、前記複数の画素電極により規定される画面表示領域及び前記複数のデータ線を前記基板上で囲むように延設されたこと特徴とする。
この電気光学装置によれば、導電線により、画面表示領域及び複数のデータ線は、基板上で囲まれているので、当該画面表示領域及び複数のデータ線も、クロック信号線等の制御信号線からシールドされることになる。従って、データ信号供給手段から出力されたデータ信号、スイッチング素子や画素電極に到達したデータ信号等における、高周波のクロックノイズ等の発生を低減できる。
付記9.付記8に記載の電気光学装置において、前記基板に対向して対向基板が設けられており、前記画面表示領域の輪郭に沿って前記基板及び対向基板のうち少なくとも一方に形成された遮光性の周辺見切りを更に備えており、前記導電線は前記周辺見切りに対向する位置において前記周辺見切りに沿って前記基板に設けられた部分を含むことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、導電線は、基板の周辺見切り下に設けられているので、TFTアレイ基板上の省スペース化が図られ、例えば、走査線駆動回路やデータ線駆動回路を基板の周辺部分に余裕を持って形成することができ、導電線形成により液晶装置における有効表示面積の減少することも殆ど又は全くない。
付記10.付記1から9のいずれか一項に記載の液晶装置において、前記導電線及び前記データ線は、同一の低抵抗金属材料から形成されたことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、導電線は例えば、Al(アルミニウム)等の、データ線と同一の低抵抗金属材料から形成されているので、導電線の引き回し領域が、たとえ長くても、導電線の抵抗は実用上十分に低く抑えられる。即ち、抵抗増加によりシールドの効果を下げることなく、例えば他の配線や回路等の隙間を縫ってジグザグに導電線を長く配線したり、画面表示領域等までも含めた広い領域に導電線を長く配線することが可能となるので、比較的簡単な構成により、当該シールドの効果を全体として、より高めることが出来る。更に、当該電気光学装置の製造プロセスにおいて、導電線及びデータ線を、同一の低抵抗金属材料から同一工程により形成できる。即ち、導電線を形成することによる製造プロセスの増加を最低限に抑えることができる。
付記11.付記1から10のいずれか一項に記載の電気光学装置において、前記画素電極に所定量の容量を付与する容量線を更に備えており、該容量線が前記導電線に接続されたことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、容量線により画素電極に所定量の容量が付与されているので、デューティー比が小さくても高精細な表示が可能とされる。そして、容量線は導電線に接続されている。従って、容量線の電位変動によるスイッチング素子や画素電極への悪影響は防止されている。しかも、容量線を定電位とするための配線を導電線で兼用でき、更に、容量線を定電位にするために必要な外部入力端子も、例えば、前述の第3外部入力端子或いは導電線専用の外部入力端子で兼用できる。
付記12.付記1から11のいずれか一項に記載の電気光学装置において、走査信号を前記複数の走査線に順次供給する走査信号供給手段を前記基板上に更に備えており、前記導電線は、前記走査信号供給手段に定電位の走査線駆動用電源を供給する走査線駆動用定電位線から構成された部分を含むことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、走査線駆動用定電位線から構成された導電線部分により、画像信号線は、制御信号線から電気的にシールドされている。従って、クロック信号の周波数が高い場合でも、制御信号線から画像信号線への高周波のクロックノイズ等の飛び込みを低減できる。
付記13.付記12に記載の電気光学装置において、前記走査信号供給手段は、前記複数の画素電極により規定される画面表示領域の両側に設けられており、前記走査線駆動用定電位線から構成された前記導電線部分は、前記画面表示領域及び前記複数のデータ線を前記基板上で囲むように且つ前記走査線供給手段に前記走査線駆動用電源を冗長的に供給するように延設されている。
この電気光学装置によれば、走査線駆動用定電位線から構成された導電線部分により、画面表示領域及び複数のデータ線は、基板上で囲まれているので、当該画面表示領域及び複数のデータ線も、クロック信号線等の制御信号線からシールドされることになる。従って、データ信号供給手段から出力されたデータ信号、スイッチング素子や画素電極に到達したデータ信号等における、高周波のクロックノイズ等の発生を低減できる。更に、走査線駆動用定電位線から構成された導電線部分は、画面表示領域の両側に設けられた走査線供給手段に走査線駆動用電源を冗長的に供給するように延設されているので、たとえ、走査線駆動用定電位線から構成された導電線部分や、それ以外の部分で走査線駆動用定電位線に断線が生じても、装置欠陥になり難いので有利である。
付記14.付記1から13のいずれか一項に記載の電気光学装置において、前記データ信号供給手段は、前記画像信号をサンプリングするサンプリング回路と、前記制御信号に基づいて該サンプリング回路を駆動するデータ線駆動回路とを備えており、前記第1画像信号線群に含まれる画像信号線と前記第2画像信号線群に含まれる画像信号線とは、前記データ線駆動回路と前記サンプリング回路との間において、少なくとも1本の画像信号線毎に前記データ線駆動回路の両側から櫛歯状に交互に引き回されていることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、第1画像信号線群に含まれる画像信号線(例えば、奇数番目のデータ線に対応する画像信号線VID1、3、5、7、…)と第2画像信号線群に含まれる画像信号線(例えば、偶数番目のデータ線に対応する画像信号線VID2、4、6、8、…)とは、少なくとも1本の画像信号線毎にデータ線駆動回路の両側から櫛歯状に交互に引き回されている。従って、データ線駆動回路の周囲で画像信号線やデータ線を規則正しく且つバランス良く配線することができる。
付記15.付記14に記載の電気光学装置において、前記データ信号供給手段は、前記データ線毎に前記データ信号の電圧極性を反転し、前記第1画像信号線群に含まれる画像信号線と前記第2画像信号線群に含まれる画像信号線とは、相隣接する2本のデータ線に対応する2本の画像信号線を対にして前記データ線駆動回路の両側から櫛歯状に交互に引き回されていることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、データ信号供給手段により、データ線毎にデータ信号の電圧極性が反転され、所謂1S反転やドット反転といった反転駆動が行われ、表示画面上のフリッカが低減される。ここで、第1画像信号線群に含まれる画像信号線(例えば、相隣接する2本のデータ線に対応する2本おきの画像信号線VID1、2、5、6…)と第2画像信号線群に含まれる画像信号線(例えば、相隣接する2本のデータ線に対応する2本おきの画像信号線VID3、4、7、8…)とは、相隣接する2本のデータ線に対応する2本の画像信号線を対にしてデータ線駆動回路の両側から櫛歯状に交互に引き回されている。従って、相隣接する画像信号線には逆極性の画像信号が供給されることになり、同一のノイズ源に起因したノイズ成分については、これら両者間で打ち消し合う効果が働くので、ノイズを低減する上で有利である。
付記16.電子機器は、付記1から15に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この電子機器によれば、電子機器は、上述した本願発明の液晶装置を備えており、高周波のクロックノイズ等が低減されており、高品位の画像表示が可能となる。