JP5257112B2 - 信号処理集積回路及び効果付与装置 - Google Patents
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Description
一方、操作子からの操作データに応じた係数データやアドレスデータの生成処理、及び、特定のステップの係数データやアドレスデータの変更処理をマイクロプログラム化してDSP自身に実行させることも考えられるが、その場合、その生成処理や変更処理に多くのステップが消費され、本来の目的であったはずの入力する波形データに対する信号処理に使えるステップが大幅に減少してしまうという問題がある。
また、請求項7に係る本発明は、請求項3又は5のいずれかに記載の信号処理集積回路と、外部から前記音響信号を入力して、前記信号処理回路に供給する入力部と、前記操作子を備えており、該操作子の操作に応じた操作データを生成し、前記信号処理回路に供給するパラメータ操作部と、選択操作子を備えており、該選択操作子の操作に応じた前記タイプデータを生成し、前記信号処理集積回路に供給する選択操作部と、前記信号処理集積回路から出力される音響信号を、外部へ出力する出力部とを備えた効果付与装置である。
図1は、本発明に係るデジタルエフェクタの全体構成を説明するためのブロック図であって、信号処理集積回路の内部構成を詳細に示している。
図1において、デジタルエフェクタは、デジタル音響信号(波形データ)に対して信号処理を実行する信号処理集積回路(DSP)1を備え、このDSP1に対して、外部ソースから出力されたアナログ音響信号(アナログ波形)をデジタル音響信号(波形データ)に変換してDSP1に入力する入力部と、DSP1の処理結果として出力されたデジタル音響信号(波形データ)をアナログ音響信号(アナログ波形)に変換して出力する出力部と、ユーザパラメータ調整操作子(UP調整操作子)2と、エフェクトタイプ選択操作子(EF選択操作子)3と、ユーザパラメータ機能オン/オフスイッチ(UPオン/オフSW)4と、効果付与機能オン/オフスイッチ(EFオン/オフSW)5と、DSP1内の各構成要素及びデジタルエフェクタの各部に対する電力供給をオン/オフする電源スイッチ6とが接続される。図1に示す通り、本実施例に係るデジタルエフェクタは、DSP1の動作制御用のCPUを具備しない簡素な構成である。
本実施例のDSP1は、詳しくは後述する通り、DSP1の動作制御用のCPUを具備しない簡素な構成であっても、DSP1の処理ステップをあまり使用することなく、(1)信号処理の複数のステップのうちの当該現在選択されているエフェクトタイプに応じた特定のステップのパラメータをUP調整操作子2の操作に応じたユーザパラメータにより制御することができる点に特徴を有しており、また、(2)当該現在選択されているエフェクトタイプに応じた特定の複数ステップのユーザパラメータを、各ステップ毎に相互に異なる値にすることができる点に別の特徴を有している。なお、本明細書において、「パラメータ」は、信号処理に用いる「係数データ」と「アドレスデータ」を総称するものである。
デジタルエフェクタの入力部は、アナログデジタル変換部(ADC)7と、2チャンネルのアナログ波形入力チャンネルからなる。2つの入力チャンネルのそれぞれには、入力されたアナログ波形の音量レベルを調整するレベル操作子8,9が設けられている。混合部10は、レベル操作子8,9でレベル調整された各チャンネル毎のアナログ波形を合算して、該合算した1チャンネル分のアナログ波形を出力する。なお、各入力チャンネルのレベル操作子8,9の出力は、混合部10に入力される一方で、後述する出力部に分岐している。これは、出力部において、効果付与前の原音(いわゆるDRY信号)と、効果付与後の信号(いわゆるWET信号)とを混合するためである。また、入力部の混合部10の後段には、混合部10の出力信号のレベルを調整するレベル操作子11が設けられている。レベル操作子11により混合部10の出力信号のレベルを調整することで、効果付与後の信号(いわゆるWET信号)のレベル、すなわちデジタルエフェクタの出力信号中のWET信号の割合を調整する。
ユーザパラメータ調整操作子(UP調整操作子)2は、DSP1が実行する効果付与処理のパラメータ(係数データ又はアドレスデータ)の値を、ユーザの操作により調整するための操作子である。本明細書では、UP調整操作子2を用いて制御されるパラメータを「ユーザパラメータ」といい、その機能を「ユーザパラメータ機能(UP機能)」という。なお、ユーザパラメータに対して、後述するROMに予め記憶されたパラメータを「プリセットパラメータ」という。この実施例では、UP調整操作子2は、例えばつまみ付きロータリースイッチで構成され、操作位置に応じた複数ビットの操作値データSD(操作データ)を生成し、DSP1に出力する。ユーザによりUP調整操作子2が操作されると、その操作位置に応じた操作値データSD(アナログ信号)がADC7に出力される。すなわち、UP調整操作子2及びADC7は、操作子の操作に応じた操作データを生成し、DSP1に供給するパラメータ操作部を構成する。
次に、図1に示すDSP1内部の詳細な構成を説明する。図1において符号21〜符号31で示す各ブロックは、マイクロプログラムメモリやデータメモリ等であって、DSP1が実行する信号処理のマイクロプログラムの切り替え制御や、信号処理のステップ毎のパラメータ制御を、CPUによる制御ではなく当該DSP1自身で行うための構成要素である。また、図1において符号40〜52で示す各ブロックは、波形データに対する信号処理を行う演算部を構成する構成要素である。また、符号53〜55で示す各ブロックは、遅延メモリをアクセスするためのデータを生成する構成要素である。したがって、符号40〜55で示す各部が、DSP1に入力された音響信号に信号処理を施して、信号処理された音響信号を出力する信号処理部に相当する。
また、操作値レジスタ30は、第2選択回路26の第2選択信号P/U2の出力ラインに接続され、第2選択信号P/U2が入力されている。これは、UP調整操作子2の操作に応じてユーザアドレスデータUAの値を変更するタイミングを、後述するCHG信号とACK信号により制御するための構成である。
DSP1の演算部(点線で示すブロック)の構成は、概ね従来と同様である。DSP1の演算部の各部は、信号処理のステップ周期毎に、μプログラムメモリ22から出力されたμコードに含まれる制御信号に基づき制御される。以下、DSP1の各部(i)に供給される制御信号を、「制御信号(i)」と表す。なお、「i」は該各部に付与された符号である。
第1セレクタ40は、制御信号(40)に応じて、ADC7からS/P変換部56を介して入力された2chの入力データ(波形データ、及びUP調整操作子2の操作値データ)と、バス49上のデータとのいずれかを選択して、選択されたデータを入出力RAM(I/O RAM)41に出力する。入出力RAM41は、制御信号(41)に応じて、第1セレクタ40からのデータを、制御信号(41)の示すアドレスに記憶したり、制御信号(41)の示すアドレスからデータを読み出して出力したりする。入出力RAM41には、ADC7からS/P変換部56を介して入力された2ch分の入力データや、P/S変換部57を化しいてDCA12へ出力すべき波形データなども格納される。テンポラリRAM(TempRAM)42は、制御信号(42)に応じて、バス49の出力データや遅延メモリ50からの読み出しデータMRDを、制御信号(42)の示すアドレスに記憶したり、制御信号(42)の示すアドレスからデータを読み出して出力する。テンポラリRAM42には、信号処理途中のデータの他、レジスタ30に渡すべき操作値データなどが格納される。
加算器53は、各ステップ毎に、アドレスデータセレクタ28から出力されたアドレスデータADと、サンプルカウンタ54から出力されたカウント値SCと、RADレジスタ55から出力されたレジスタアドレスデータRADを加算して、遅延メモリ50をアクセスするために用いるメモリアドレスデータMADを生成する。メモリアドレスMADは、遅延メモリ50の所定の上位アドレスを指示する上位ビットデータを切り捨てることで、メモリアドレスMADの指示するアドレスを遅延メモリ50の先頭アドレスに戻すように制御されている。この上位ビット切り捨て制御により、遅延メモリ50をリングメモリとして使用できる。
図2は、上記構成からなるデジタルエフェクタに登載された複数種類のエフェクトタイプを説明する図である。図2において、「TYPE」欄には、デジタルエフェクタに登載された複数種類のエフェクトタイプのタイプ名が示されている。これら複数種類のエフェクトタイプのいずれか1つが、エフェクトタイプ選択コードEFTに基づいて選択される。「TYPE」の右欄は「PRG.」欄であり、対応するエフェクトタイプで使用するμプログラムが示されている。また、「PRG.」欄の右欄は「RANGE」欄であり、ここには、対応するエフェクトタイプで制御するパラメータのレンジ(可変範囲:パラメータが何個の値をとれるか)が示されている。図においては、便宜上、エフェクトタイプ毎の「RANGE」欄に、異なるアルファベット文字を示すことで、エフェクトタイプ毎にパラメータの値のレンジが異なる趣旨を表した。また、図示はしないが、ユーザパラメータの制御対象となるパラメータの種類(係数かアドレスか)や値(変換カーブ)もエフェクトタイプ毎に設定される。
図3は、図1のμプログラムメモリ22、係数メモリ23、アドレスメモリ24、及び変換テーブルメモリ25のそれぞれに記憶されている複数のデータセットの構成を説明する図である。各メモリ22〜25に記憶された複数のデータセットは、「C処理用」のデータセットと、「EF処理用」のデータセットとに大別される。
「EF処理」とは、1サンプリング周期の期間で実行されるプログラムの信号処理のうちの、エフェクトタイプ選択コードEFTに基づいて処理内容が変換する信号処理(効果付与処理)を指す。また、「C処理」とは、例えば波形データの入出力制御、入出力波形データに対する入出力フィルタ処理、或いはレベル制御処理等の、エフェクトタイプ選択コードEFTの値によらない「コンスタントな処理」である。DSP1は、1サンプリング周期毎に、所定のNcステップ分の「C処理」と、所定のNefステップ分の「EF処理」とを時分割で実行する。すなわち、NcとNefの和が所定複数ステップ(512ステップ)となる。DSP1が主に行うべき処理は「EF処理」であるので、NcはNefよりも少ないステップ数とされる。
図4(a)は、μプログラムメモリ22に記憶された複数のEF処理用μプログラムのうちの1つのEF処理用μプログラムの記述例を示す。図4(a)に示す通り、1つのEF処理用μプログラムは、第0アドレス〜第Nefアドレスの合計Nef個の各アドレスに1つずつμコードが記憶されており、1つのアドレスに格納されたμコードが信号処理のステップ周期毎に出力される。各ステップのμコードには、図1において点線で描いた各ブロック(符号40〜52で示す演算部、符号31で示すレジスタ)と、第2選択回路26、及び、加算器53の各部に対する制御信号が含まれるが、図4(a)では、図示の便宜上、その一部だけを示した。
図4(b)は、μコードに含まれるユーザパラメータタイプコードUPTCユーザパラメータタイプ指定信号UPTと、第1選択回路21の出力するユーザパラメータタイプ指定信号UPTの構成例を説明する図である。UPTCとUPTとは、前述のとおり、パラメータ(係数データ又はアドレスデータ)の「タイプ」を指示するコードである。(b)に示す8通りのUPT及びUPTCには、それぞれ「0」〜「7」の番号が付与されている。
図5は、上記構成からなるDSP1が、サンプリング周期毎に実行する信号処理の内容を説明するブロック図である。図5において、点線で囲まれた各ブロックの処理は、信号処理のステップ周期毎にμプログラムメモリ22から出力されるμコードに含まれる制御信号に基づき、DSP1の演算部(図1において符号40〜52で示す各部)が実行する処理である。
また、図5においてハッチングを施した各ブロックは、信号処理のうちのEF処理用μプログラムに基づくEF処理に関するブロックである。これらEF処理に関する各ブロックにおけるデータや信号処理の内容は、現在、エフェクトタイプ選択コードEFTに基づいて選択されているエフェクトタイプに応じて異なる。それ以外の白抜きで示す各ブロックはC処理に関するブロックである。これらC処理に関する各ブロックにおける信号処理の内容は全てのエフェクトタイプで共通である。
Rch入力部60は、S/P変換部56からのRチャンネルのデータを入出力RAM41に取り込む処理を行うことにより、ADC7からの波形データを入力する。HPF処理及びレベル制御部62は、Rch入力部60により入力された波形データをハイパスフィルタ処理し、更に、後述するレベル値生成部77で生成したレベル値で該波形データのレベルを制御して、処理された波形データを出力する。Din書込部63は、該処理された波形データを、入出y録RAM41のEF処理へ入力する波形データ用のアドレスに書き込むことにより、該波形データを、エフェクト処理部(EF処理部)64に供給する。一方、Lch入力部61は、S/P変換部56からのLチャンネルのデータを入出力RAM41に取り込む処理を行うことにより、ADC7からの操作値データSDを入力する。LPF処理部65は、Lch入力部61により入力された操作値データSDをローパスフィルタ処理し、処理された操作値データSDをテンポラリRAM42の処理済み操作値データ用のアドレスに書き込む。SD出力部66は、テンポラリRAM42から該書き込まれた操作値データSDを読み出し、操作値レジスタ30に記憶させることにより、前記ローパスフィルタ処理された操作値データSDをレンジ制御部67に出力する処理を行う。
EF処理部64は、Din書込部63により入出力RAM41に書き込まれた前記波形データ(モノラル)に対して、現在、エフェクトタイプ選択コードEFTに基づいて選択されているエフェクトタイプに応じたEF処理用μプログラムに基づく効果付与処理(EF処理)を行い、EF処理されたステレオ2チャンネル(Lチャンネル及びRチャンネル)の波形データを得る。エフェクトタイプ別のEF処理の具体例は後述する。EF処理部64が実行するEF処理の各ステップで用いるパラメータは、係数供給部71からステップ毎に供給される係数データCD、及びアドレス供給部72からステップ毎に供給されるアドレスデータADにより制御される。そして、EF処理された2チャンネル波形データを、入出力RAM41のEF処理から出力する波形データ用のアドレスに書き込む。すなわち、EF処理部64は、マイクロコード出力部(μプログラムメモリ22)から出力されるマイクロコードと、パラメータ選択部(第2選択回路26、係数データセレクタ27及びアドレスデータセレクタ28)により選択されたパラメータとに基づいて、入力される音響信号に信号処理を施し、該信号処理された音響信号を出力する。
Dout読出部73は、入出力RAM41から、前記EF処理された2チャンネルの波形データをチャンネル毎に読み出して、レベル制御部74に出力する。レベル制御部74は、Dout読出部73により読み出されたチャンネル毎の波形データのレベルを、後述するレベル値生成部77で生成したレベル値に基づき制御し、該レベル制御された2チャンネルの波形データを入出力RAM41のDAC12へ出力すべき波形データ用のアドレスに書き込む。Lチャンネル出力部75及びRチャンネル出力部76は、入出力RAM41から、該レベル制御された2チャンネルの波形データを読み出し、P/S変換部57に書き込むことにより、該2チャンネルの波形データを、DAC12へ出力する。
レンジ制御部67、変換テーブル部68、係数セット部69及びアドレスセット部70は、EF処理に用いるパラメータを出力する処理を行うブロックである。これら各ブロックの処理は、μプログラムによる制御を受けない。図5では、これら各ブロックを点線の囲み外に描くことで、μプログラムによる制御を受けない趣旨が表現されている。
変換テーブル部68は、図1の変換テーブルメモリ25に対応している。変換テーブル部68において、現在選択中のエフェクトタイプに応じて複数変換テーブルセットのうちの1つの変換テーブルセットが選択され、UPカウンタ29により生成されたカウント値UPCに基づき、変換テーブルセット中の1つの変換テーブルが選択される。UPカウンタ29のカウント値UPCは、上述した通り、サンプリング周期毎にリセットされ、且つ、UPTCによりパラメータの置換えが指示されたステップ毎(UPTとUPTCが一致したステップであって、ユーザパラメータを使用するステップ毎)に1ずつ歩進するものであるから、変換テーブル部68においては、現在選択中のエフェクトタイプに応じた変換テーブルセット中の変換テーブルが、サンプリング周期の先頭から順に、UPTCによりパラメータの置換えが指示されたステップ毎(ユーザパラメータを使用するステップ毎)に、1つずつ切り替わる。そして、次のサンプリング周期の先頭で、変換テーブル部68において選択される変換テーブルは1枚目に戻り、前回と同様に、UPTとUPTCが一致したステップ毎に、1つずつ切り替わる。
また、係数セット部69は、図1の係数メモリ23に対応しており、信号処理のステップ周期毎に、該現在選択中のエフェクトタイプに応じた係数セットの各アドレスからプリセット係数データPCを出力する。また、アドレスセット部70は、図1のアドレスメモリ24において現在選択中のエフェクトタイプに応じたアドレスデータセットに対応しており、号処理のステップ周期毎に、該アドレスデータセットの各アドレスからプリセットアドレスデータPAを出力する。なお、プリセットアドレスデータPAは、遅延メモリ50をアクセスするステップにだけ必要なデータであるから、EF処理の全てのステップで出力されるわけではない。
係数供給部71及びアドレス供給部72は、図1の第2選択回路26、係数データセレクタ27及びアドレスデータセレクタ28の動作に対応している。すなわち、係数供給部71は、信号処理のステップ周期毎にμプログラムメモリ22から出力されるUPTCと、現在選択されているエフェクトタイプに応じたUPTが同じ係数タイプコード(図4(b)のタイプ1係数〜タイプ3係数のいずれか)で一致したステップで変換テーブル部68から出力されたユーザ係数データUCを選択し、それ以外のステップでは、係数セット部69から出力されたプリセット係数データPCを選択して、選択したデータをそのステップの係数データCDとしてEF処理部64に出力する。また、アドレス供給部72は、信号処理のステップ周期毎にμプログラムメモリ22から出力されるUPTCと、現在選択されているエフェクトタイプに応じたUPTが同じアドレスタイプコード(図4(b)のタイプ1アドレス〜タイプ3アドレスのいずれか)で一致したステップで変換テーブル部68から出力されたユーザアドレスデータUAを選択し、それ以外のステップではアドレスセット部70から出力されたプリセットアドレスデータPAを選択して、選択したデータをそのステップのアドレスデータADとしてEF処理部64に出力する。
DSP1が図5に示す信号処理を実行するタイミングについて、図6のタイミング図を参照して説明する。図6において、横軸は時間である。図6(a)の動作クロックΦoは、サンプリング周期毎に、DSP1が実行するμプログラム処理の複数ステップ(512ステップ)分のカウント値をカウントして、そのステップ毎の信号処理タイミグを示す。(b)は、ワードクロック信号(WC信号)であって、これはサプリング周期ごとのクロック信号である。また、(c)は、1サンプリング周期におけるC処理とE処理の切り替えタイミングを制御するC/E信号であって、1サンプリング周期の前半のNcステップ分の期間(WC信号の立ち上がりエッジからNcステップ分の期間)で「C」(ハイレベル)のパルスが発生し、その後のNcステップ分の期間で「E」(ローレベル)となる。
図7(a)〜(c)は、図5のEF処理部64がEF処理用μプログラムに基づき実行するEF処理の内容を、エフェクトタイプ別に示すブロック図である。
図7(a)はリバーブ効果や、エコー効果などに用いるリバーブ用μプログラム(図2の「Rev.」)の処理内容を示すブロック図である。リバーブ効果及びエコー効果は入力された音に残響を付加して出力するエフェクトである。(a)に示すリバーブ、エコー等のEF処理は、入力段のローパスフィルタ(LPF)80と、初期反射音制御部(「Early Ref.」)81と、残響制御部(「Reverb」)82と、2系統の出力チャンネルのそれぞれに対応して設けられた混合部(MIX)83,84からなり、初期反射音と残響音との2種の残響が別々に制御されるよう設計されている。初期反射音制御部81は、LPF80でローパスフィルタ処理された波形データに対して、遅延メモリ50を使った遅延処理を利用して初期反射音を制御する。また、残響制御部82は、初期反射音制御部81の出力に対して遅延メモリ50を使った遅延処理を利用して残響音を制御する。2系統の出力チャンネルごとの混合部83,84は、それぞれ初期反射音制御部81の出力と残響制御部82の出力を混合して出力する。
このモジュレーション用μプログラムを使う信号処理では、UP調整操作子2の操作値データXDにより係数データCDを制御する。すなわち、変換テーブル部68はユーザ係数データUCを出力する。そして、UP調整操作子2の操作値データXDに応じたユーザパラメータ(ユーザ係数データUC)によりLFO87を制御する。
このEF処理用μプログラムを使うエフェクトタイプでは、UP調整操作子2の操作値データXDにより係数データCDを制御する。すなわち、変換テーブル部68はUP調整操作子2の操作値データXDに応じたユーザ係数データUCを出力する。そして、UP調整操作子2の操作値データXDに応じたユーザパラメータ(ユーザ係数データUC)により非線形制御部91を制御する。
EF選択操作子3がユーザによって操作され、エフェクトタイプの切り替えが指示されたとき、DSP1は、WET信号(EF処理された波形)のレベルを一旦ミュートしてから、エフェクトタイプの切り替え処理を行う。図8は、エフェクトタイプを切り替える処理を行うときの各種動作のタイミングを示しており、横軸は時間である。なお、図8では、図6のタイミング図に比べて時間軸を縮小して示している。
また、UP操作子2の操作によりユーザアドレスデータUAの値が変更されるときにも、上記図8を参照して説明したエフェクトタイプ切り替え処理時と同様な、CHG信号とACK信号を用いたレベル制御が行われる。すなわち、図1において、操作値レジスタ30は、第2選択信号P/U2の接続線に接続されており、第2選択信号P/U2のHレベルが入力されるよう構成されている。UP調整操作子2の操作値データSDによりユーザアドレスデータUAが制御されるとき(第2選択信号P/U2のHレベルが入力され、UP調整操作子2の操作によってユーザアドレスデータUAの値の変更が指示されたとき)には、操作値レジスタ30は、UP調整操作子2の操作に応じた操作値データSDを出力する前に、図8で説明した動作と同様に、CHG信号のHレベルを出力する。DSP1は、CHG信号の立ち上がりエッジのタイミングでレベル値生成処理を開始して、レベル値を0dBから−∞dBまで下げてから、ACK信号を操作値レジスタ30に入力する。操作値レジスタ30は、ACK信号の入力タイミングで、UP調整操作子2の操作に応じた操作値データSDをレンジ制御部31に出力し、且つ、CHG信号をLレベルに立ち下げる。これにより、WET信号(EF処理された波形)のレベルを一旦ミュートしてから、UP調整操作子2の操作による値の変更がメモリアドレスMADに反映されることになる。
また、UPオン/オフSW4が操作されたときにも、上記図8を参照して説明したエフェクトタイプ切り替え処理時と同様な、CHG信号とACK信号を用いたレベル制御が行われる。UPオン/オフSW4がオフされて、UP不使用が指示されたとき、第1選択回路21は、CHG信号のHレベルを出力することによりレベル値生成処理を開始させて、レベル値を−∞dBまで下げてから、ACK信号の入力タイミングでCHG信号をLレベルに立ち下げて、且つ、ユーザパラメータタイプ指定信号UPTとしてUP機能不使用を示す値「3」(図4(b)を参照)を出力する。その後、レベル値生成処理はレベル値を0dBに戻す。また、UPオン/オフSW4がオンされて、UP使用が指示されたとき、第1選択回路21は、CHG信号のHレベルを出力することによりレベル値生成処理を開始させて、レベル値を−∞dBまで下げてから、ACK信号の入力タイミングでCHG信号をLレベルに立ち下げて、且つ、ユーザパラメータタイプ指定信号UPTとして現在選択されているエフェクトタイプ選択コードEFTに応じた値を出力する。その後、レベル値生成処理はレベル値を0dBに戻す。これにより、WET信号(EF処理された波形)のレベルを一旦ミュートしてから、UP使用又は不使用の切り替えが行われる。
EFオン/オフSW5の操作により効果付与機能のオン/オフが切り替えられたときにも、上記と概ね同様なレベル制御が行われる。ただし、この場合、レベル制御は、効果付与機能がオフの間はWET信号のレベルを−∞dB(最小値)に下げておき、効果付与機能がオンの間はWET信号のレベルを0dB(最大値)に設定すればよく、ここでは、EFオン/オフSW5の操作により出力される制御信号EFONのH及びLに応じて、DSP1はレベル値生成処理によるレベル制御を行う。
図10は、サンプリング周期毎にレベル値生成部77が実行するレベル値生成処理の内容を説明するブロック図である。図10において、レベル値生成処理は、更新制御部95と、現在のレベル値を保持するレジスタ96と、更新制御部95から出力される目標値(Target)とレジスタ96が保持する現在のレベル値を比較する比較部97と、更新制御部95の制御により新たなレベル値を生成する更新部98とからなる。なお、レベル値は所定ビット数(例えば14ビット)の2進値により構成されるデシベル単位のデータである。
また、上記実施例では、信号処理のパラメータが係数データとアドレスデータとの2つのパラメータがある例について説明したが、音響信号処理装置を適用したデジタルエフェクタに登載するエフェクトタイプの種類によっては、パラメータは係数データ又はアドレスデータのいずれかのみであってよい場合がある。そのような場合でも本発明に係る音響信号処理装置を適用することができる。
また、上記実施例では、DSP1に入力する操作データ(操作値データSD)をそのまま操作値レジスタ30に入れるのではなく、C処理のμプログラムでローパスフィルタ処理を施してから操作値レジスタ30に記憶するようになっている。これは、このローパスフィルタ処理が、本発明のパラメータ生成処理とは異なり、比較的短いμプログラムで実現でき、かつ、専用のハードウェアを設けることが、構成的に非効率なためである。しかしながら、DSP1の外部にアナログ又はデジタルのローパスフィルタを別途用意できる場合は、当該ローパスフィルタ処理は、外部のローパスフィルタに任せるよう構成し、DSP1は、入力する操作データ(操作値データSD)を、μプログラム処理せずに、直接操作値レジスタ30に記憶する構成とするのがよい。
Claims (7)
- 所定サンプリング周期毎に、入力された音響信号に対して所定ステップ数の信号処理を行う信号処理集積回路であって、
操作子の操作を示す操作データを受け付ける操作データ受付部と、
パラメータをプリセットパラメータからユーザパラメータに置換することを示す置換コードを含む複数ステップのマイクロコードからなるマイクロプログラムを記憶しており、各ステップ毎に、マイクロプログラムの各マイクロコードを順次出力するマイクロコード出力部と、
各サンプリング周期毎に、前記マイクロコード出力部から出力されたマイクロコードに含まれる置換コードによってパラメータの置換が示された回数をカウントするユーザパラメータカウント部と、
前記ユーザパラメータカウント部のカウント値に基づいて、前記操作データ受付部により受け付けられた操作データに応じたユーザパラメータを出力するユーザパラメータ出力部と、
各ステップ毎に、前記マイクロコード出力部から出力されるマイクロコードに含まれる置換コードがパラメータの置換を示しているときは、前記ユーザパラメータ出力部の出力するユーザパラメータを選択するパラメータ選択部と、
前記マイクロコード出力部から出力されるマイクロコードと、前記パラメータ選択部により選択されたパラメータとに基づいて、入力される音響信号に信号処理を施し、該信号処理された音響信号を出力する信号処理部と
を備えることを特徴とする信号処理集積回路。 - 各ステップ毎に、複数ステップ分のプリセットパラメータからなるプリセットパラメータセットの各プリセットパラメータを順次出力するプリセットパラメータ出力部を更に備え、
前記パラメータ選択部は、各ステップ毎に、前記マイクロコード出力部から出力されるマイクロコードに含まれる置換コードがパラメータの置換を示しているときは、前記ユーザパラメータ出力部の出力するユーザパラメータを選択し、該置換コードがパラメータの置換を示していないときは、前記プリセットパラメータ出力部の出力するプリセットパラメータを選択するものであることを特徴とする請求項1に記載の信号処理集積回路。 - 効果タイプを指定するタイプデータを受け付ける効果タイプ受付部を更に備え、
前記マイクロコード出力部は、前記マイクロプログラムを複数記憶しており、前記タイプデータにより指定された効果タイプに応じたマイクロプログラムのマイクロコードを、各ステップ毎に順次出力し、
前記プリセットパラメータ出力部は、前記プリセットパラメータセットを複数記憶しており、前記タイプデータにより指定された効果タイプに応じたプリセットパラメータセットの各プリセットパラメータを、各ステップ毎に順次出力し、
前記ユーザパラメータ出力部は、前記タイプデータにより指定された効果タイプと前記ユーザパラメータカウント部のカウント値とに基づいて、前記操作データ受付部により受け付けられた操作データに応じたユーザパラメータを出力するものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号処理集積回路。 - 効果タイプを指定するタイプデータを受け付ける効果タイプ受付部を更に備え、
前記ユーザパラメータ出力部は、前記操作データ受付部により受け付けられた操作データをユーザパラメータに変換する変換テーブルを、前記ユーザパラメータカウント部が各サンプリング周期毎にカウントするパラメータの置換が示された回数に対応する数有する変換テーブルセットにより構成され、前記タイプデータにより指定された効果タイプと前記ユーザパラメータカウント部のカウント値とに基づいて、前記変換テーブルセットの変換テーブルを1つずつ切り替えるものであり、該切り替えられた変換テーブルに基づき前記操作データに応じたユーザパラメータを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号集積回路。 - 前記ユーザパラメータ出力部は、前記変換テーブルセットを複数記憶しており、
前記タイプデータにより指定された効果タイプに応じて前記複数の変換テーブルセットのうちの1つを選択し、前記ユーザパラメータカウント部のカウント値に基づいて、該選択された変換テーブルセットの変換テーブルを1つずつ切り替えて、該切り替えられた変換テーブルに基づき前記操作データを前記効果タイプに応じたユーザパラメータに変換して出力するものであることを特徴とする請求項4に記載の信号処理集積回路。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の信号処理集積回路と、
外部から前記音響信号を入力して、前記信号処理回路に供給する入力部と、
前記操作子を備えており、該操作子の操作に応じた操作データを生成し、前記信号処理回路に供給するパラメータ操作部(2,7)と、
前記信号処理集積回路から出力される音響信号を、外部へ出力する出力部と
を備えた効果付与装置。 - 請求項3又は5のいずれかに記載の信号処理集積回路と、
外部から前記音響信号を入力して、前記信号処理回路に供給する入力部と、
前記操作子を備えており、該操作子の操作に応じた操作データを生成し、前記信号処理回路に供給するパラメータ操作部と、
選択操作子を備えており、該選択操作子の操作に応じた前記タイプデータを生成し、前記信号処理集積回路に供給する選択操作部と、
前記信号処理集積回路から出力される音響信号を、外部へ出力する出力部と
を備えた効果付与装置。
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