JP5732769B2 - 楽音生成装置 - Google Patents
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Description
このような楽音生成装置の出力部は、一般にステレオ構成であり、高品質な楽音を生成するために、波形メモリにステレオの波形データを格納して、この波形メモリから、発生すべき楽音に対応するステレオ波形データを読み出すことにより、ステレオの楽音を生成することも行われている。
そこで、本発明は、発音チャンネルの数を増加しても楽音生成用の集積回路の規模が大きくなることを極力抑制できる楽音生成装置を提供することを目的としている。
また、本発明の他の楽音生成装置は、発音単位が2つの発音chからなり、N(Nは1以上の整数)個の前記発音単位毎に楽音波形を生成する音源部と、ステレオサンプリングされたLch波形データとRch波形データとからなる複数の波形データペアを記憶している波形メモリとを備える楽音生成装置であって、前記音源部は、N個の発音単位の各々について、音源レジスタに記憶された当該発音単位のFナンバに対応する数を累算することにより、当該発音単位のLchとRchの両chに共通の位相を発生すると共に、各発音単位の該累算は、N個の発音単位の各々について、相互に独立して、発音開始指示を受け付ける受付部が受け付けた当該発音単位の発音開始指示をトリガとして開始される位相発生部と、N個の発音単位の各々について、前記位相発生部から供給される当該発音単位の位相と、前記音源レジスタに記憶された当該発音単位のLch波形指定情報とに基づいて、前記波形メモリから1つのLch波形データを読み出すとともに、該位相と、前記音源レジスタに記憶された当該発音単位のRch波形指定情報とに基づいて、前記波形メモリから1つのRch波形データを読み出す波形読出部とから構成されていることを最も主要な特徴としている。
さらに、特性制御パラメータは制御波形パラメータであり、制御波形発生部は、この制御波形パラメータに基づいて各発音単位のLchとRchに共通の制御波形を発生するようになっていることから、制御波形発生部で発生する特性制御波形の数は、生成可能な楽音数、すなわち発音単位の数の半分となり、制御波形発生部の処理量を少なくすることができる。なお、この特性制御波形は、本発明の実施例における、ピッチエンベロープ波形(ピッチEG波形)、音量エンベロープ波形(音量EG波形)、フィルタエンベロープ波形(フィルタEG波形)、低周波波形(LFO波形)の何れかに対応する。
これにより、発音チャンネルの数を増加しても楽音生成用の集積回路の規模が大きくなることを極力抑制できるようになる。
図1に示す本発明の楽音生成装置1においては、ステレオ発音する左チャンネル(以下、「Lch」という)と右チャンネル(以下、「Rch」という)の2つの発音チャンネル(以下、「チャンネル」を「ch」という)で1発音単位が構成されており、音源部20は、N(Nは1以上の整数)個の発音単位を備えている。例えば、音源部20における発音ch数が256chとされた場合に、発音単位数は発音ch数の半分の128とされる。そして、本発明にかかる楽音生成装置1において同時に複数の楽音を発生させるために、複数の発音単位での楽音発生処理をサンプリング周期毎に時分割で行うようにしている。さらに、各発音単位では2ch分の楽音波形サンプルが時分割で演算生成されることから、1サンプリング周期毎に発音単位の倍の楽音波形サンプルが演算生成されるようになる。ここで、本発明にかかる楽音生成装置1においては、発音単位とされるLchおよびRchにおける一部のパラメータを2ch間で共用するようにしている。すなわち、LchとRchとの発音ch毎に個別とされるタイプ1のパラメータは、音源レジスタ23に用意された発音単位の領域に各ch毎に独立して記憶される。また、LchとRchとの2ch間で共用されるタイプ2のパラメータは、音源レジスタ23に用意された発音単位の領域に共通して記憶される。すなわち、音源レジスタ23には、N個の発音単位に対応するN個の音色制御データを記憶する領域が用意されており、各音色制御データには、その音色で使用するタイプ1のパラメータとされるステレオのLch波形データを示すLch波形指定情報、Rchの波形データを示すRch波形指定情報と、タイプ2のパラメータとされるLchとRchの両chに共通の楽音のピッチを決定するFナンバと特性制御パラメータとが含まれている。
この波形メモリ21に記録されている多数の波形データのデータ構造(メモリマップ)を図4に示す。図4に示すデータ構造において、波形データWD1mはモノラルの波形データであり、波形データWD2slとWD2srとはステレオの波形データペアであり、このうちのWD2slはLch波形データであり、WD2srはRch波形データである。また、同様に波形データWD3slとWD3srとはステレオの他の波形データペアであり、このうちのWD3slはLch波形データであり、WD3srはRch波形データである。波形メモリ21には、このようなモノラルの波形データおよびステレオの波形データペアが多数記録されている。Lch波形データとRch波形データは、1つずつを見れば1つの波形データであり、モノラルの波形データと何ら違いがあるわけではない。従って、Lch波形データとRch波形データの何れか一方だけを、モノラルの波形データとして読み出すこともできる。
さらに、波形読出部112は、時分割で、複数の発音単位の各々について、位相発生部111から供給される当該発音単位の位相と、音源レジスタ23に記憶された当該発音単位のLch波形指定情報とに基づいて、波形メモリ21から1つのLch波形データを読み出すとともに、同じく位相発生部111から供給される位相と、音源レジスタ23に記憶された当該発音単位のRch波形指定情報とに基づいて、波形メモリ21から1つのRch波形データを読み出している。
図1に示す本発明の楽音生成装置1は楽音生成用の集積回路により実現されているが、上記説明したように一部のブロックの処理量を少なくすることができることから、発音チャンネルの数を増加しても楽音を生成する音源部20の集積回路の規模が大きくなることを極力抑制できるようになる。
図2に示す楽音生成装置1は、上記の通りステレオ発音するLchとRchとの2つのchで1発音単位が構成されており、音源部20は、N(Nは1以上の整数)個の発音単位を備えている。例えば、音源部20における発音ch数が256chとされた場合に、発音単位数は発音ch数の半分の128とされる。そして、本発明にかかる楽音生成装置1において同時に複数の楽音を発生させるために、複数の発音単位での楽音発生処理を時分割で行うようにしている。各発音単位では2chのそれぞれにおいて楽音波形サンプルが生成されることから、1サンプリング周期毎に発音単位の倍の楽音波形サンプルが時分割で演算生成されるようになる。
図3(a)に示す発音単位毎のデータは、セント値で表されたピッチシフトデータ(PS)、LFO周波数、PMデプス、FMデプス、AMデプスを含むLFOパラメータ(LFOPs)、複数の各ステートのPEGレートおよびPEGレベルからなるPEGパラメータ(PEGPs)、複数の各ステートのFEGレートおよびFEGレベルからなるFEGパラメータ(FEGPs)、複数の各ステートのAEGレートおよびAEGレベルからなるAEGパラメータ(AEGPs)、Lchのパンデータ(PAN(L))およびRchのパンデータ(PAN(R))からなるパンデータ(PANs)、ステレオ発音モードかモノラル発音モードかのいずれかのモードを示すモードフラグ(Mode)とされている。ここで、ピッチシフトデータ(PS)は、波形メモリから読み出す波形データの音高をシフトする量を制御するデータであり、セントスケールにおけるFナンバである。後述するFナンバ発生部(FG)20aでは、周波数比のリニアスケールにおけるFナンバを発生するが、このPSは、その発生されるFナンバの値を決定する主因子である。PSの分解能は1セントであり、リアルタイムに変更してもノイズを生じないように、値の変化をスムーズ化する補間器が設けられている。また、これらのパラメータにおいて小文字の「s」が付されているパラメータは、それぞれ、単一のパラメータではなく、複数のパラメータで構成されることを示している。
これら3つのアドレスWS、LS、WEは、それぞれ、波形メモリの絶対アドレスとされているが、何れか1つを絶対アドレスとして残し、残りの2つをその絶対アドレスからの相対アドレスとしてもよい。例えば、ループ先頭アドレスLSを絶対アドレスとし、先頭アドレスWSと末尾アドレスWEを、それぞれ、ループ先頭アドレスLSからの相対アドレスとしてもよい。その場合、相対アドレスとされた2つのアドレスは、発音単位の2ch間で共通にすることができ、発音単位毎のデータ(図3(a))に移動することができる。すなわち、本発明の波形指定情報は、3つのアドレスWS、LS、WEのうちの、少なくとも1つの絶対アドレスとされているアドレスに対応する。
さらに、音源レジスタ23には、図3(a)、図3(b)に示す発音単位毎の領域とは別に、各発音単位GUに対して発音の開始を指示するための発音開始フラグGT(GU)の領域と、リリースの開始を指示するためのリリース開始フラグRT(GU)の領域とが含まれている。
波形選択情報は、発音指示に係る音高(ノート番号)や演奏強度(ベロシティ)に応じて、その発音指示に応じた楽音を生成するのに使用する波形データ(を読み出すための波形管理データ)を選択するための情報である。例えば、操作子13とされる鍵盤を弾いた際のノートオンに応じて、鍵盤パートに設定された音色の音色データの波形選択情報が、そのノートオンに付随するノート番号ないしベロシティで参照され、1つのステレオ波形データペアないしモノラル波形データに対応する波形管理データが選択される。
PEGパラメータ、FEGパラメータ、およびAEGパラメータは、それぞれ、複数ステートの折れ線形状を有する、ピッチEG波形、フィルタEG波形、および音量EG波形の制御するパラメータであって、各ステートのレートとレベルのパラメータ、および、ノート番号やベロシティなどに応じて一部のレートないしレベルを調整するためのパラメータからなる。音量EG波形の複数ステートは、例えば、アタック(ないしホールド)、第1ディケイ、第2ディケイ、サスティン、リリースの5ステートで構成され、アタック(ないしホールド)のレベルが、ベロシティに応じて増減される。LFOパラメータは、生成するLFO波形の周波数を制御するLFO周波数、楽音のピッチを変調するためのLFO波形の振幅(ピッチ変調の深さ)を制御するPMデプス、楽音の周波数特性を変調するためのLFO波形の振幅(フィルタ変調の深さ)を制御するFMデプス、楽音の振幅を変調するためのLFO波形の振幅(振幅変調の深さ)を制御するAMデプスの情報からなる。
CPU10は、これら何れかのノートオンが検出されると、図6に示すノートオンイベント処理をスタートし、まず、ステップS10にて発生されたノートオンから、そのパート番号、ノート番号およびベロシティを取り出し、RAM12のワークエリアに確保された領域PTにパート番号を、領域NNにノート番号を、領域VLにベロシティをそれぞれ格納する。次いで、ステップS11にて全発音単位から発音割り当てされていない空き発音単位(Unit)を検出する処理が行われ、この検出する処理において空き発音単位が検出されたか否かがステップS12にて判断される。ここで、空き発音単位が検出されたと判断された場合は、ステップS13に進み、その空き発音単位のUnit番号を、RAM12のワークエリアに確保された領域AUに格納する。また、ステップS12にて空き発音単位が検出されないと判断された場合は、ステップS14に分岐してトランケートUnit決定処理を行い、決定されたトランケート発音単位のUnit番号を上記領域AUに格納する。
次いで、ステップS17にて、当該音色データと、領域PT、NNおよび領域VLに格納されているパート番号、ノート番号およびベロシティとに基づいて、新規楽音の生成に用いる各種パラメータを決定し、音源レジスタ23の、領域AUに格納されているUnit番号に対応する記憶領域(図3(a)、(b))に、決定した各種パラメータを設定する。CPU10が設定する各種パラメータは、上記決定された発音モードを示すモードフラグ(Mode)、上記現音色の音色データにおける波形選択情報と上記ノート番号および上記ベロシティ値とに応じて選択された波形データのLch波形指定情報、Rch波形指定情報、ループ情報、および、圧縮情報と、上記ノート番号および上記ベロシティ値とに応じて加工されたLchとRchの両chに共通の上記現音色の音色データにおけるLFOパラメータ、PEGパラメータ、FEGパラメータ、AEGパラメータ、上記ノート番号と基本ピッチとの差に基づくピッチシフトデータ(セントスケールにおけるFナンバ)、および、パンデータなどからなる音色制御データとされている。ただし、Rch波形指定情報は、ステレオ発音モードの場合のみ設定し、モノラル発音モードのときは(設定する情報が無いので)設定しなくてよい。ステップS17において音色制御データをAU領域に設定した後、CPU10は、ステップS18にて、音源レジスタ23の発音開始フラグGT(AU)に「1」を書き込むことにより、領域AUのUnit番号が示す発音単位に対して発音開始指示を行う。これにより、ノートオンイベント処理は終了し、音源部20は発音開始指示(GT(AU)←1)をトリガとして、割り当てられた発音単位(Unit)において、設定された音色制御データに基づいて、LchおよびRchの楽音の生成(ステレオ発音モード)、ないし、モノラルchの楽音の生成(モノラル発音モード)を開始するようになる。
なお、本実施形態は、「*」が付されたステップS12−S15の発音割当処理、およびステップS18の発音開始指示処理において、ステレオ発音モードかモノラル発音モードかに関わらず実質的に同じ処理が行われる点に特徴がある。
Fナンバを発生するFナンバ発生部(FG)20aには、当該発音単位のタイムスロットで、LFO20mからの変調データ(PMデプスで振幅が調整されたLFO波形)と、音源レジスタ23からのピッチシフトデータ(PS)と、ピッチエンベロープ発生部(PEG)20kからのピッチEG波形とが供給され、これらの3つのデータが加算され、さらに、セントスケールからリニアスケールに変換されて、LchとRchとの発音単位に共通のFナンバが発生される。この場合、これら3つのデータはセント値を単位とするデータとされ、音源レジスタ23から直接供給されるPSは、波形メモリ21から読み出される波形データが記録された際の音高(図5(a)の基本ピッチ)と、生成すべき楽音の音高(ノート番号)との差分をセント値で表したデータとされる。FG20aで発生するFナンバは、大まかな値はピッチシフトデータによって決定され、さらに、その値に対して変調データとピッチEG波形による比較的小さな調整が加えられたリニア値のデータである。例えば、記録された際の音高と同じ音高で楽音を生成する際は、PSは「0」とされ、調整値であるLFO20mおよびPEG20kからのデータを無視すると、この場合にFG20aで発生されるFナンバは「1」となる。FG20aからのFナンバはフェーズ発生器(PG)20bに供給され、PG20bは、当該発音単位のタイムスロットで、サンプリング周期毎に供給されるFナンバを累算し、その累算値の上位ビットを読出アドレスを生成するためのLchとRchとの発音単位に共通の位相の整数部として、下位ビットを同位相の小数部として、波形アドレス発生部(WAG)20cに出力する。PG20bにおけるFナンバの累算は、音源レジスタ23の受付部から供給される当該発音単位の発音指示(GT)をトリガとして、ゼロを初期値として開始される。生成される位相の整数部は波形データのサンプル単位の位置を指定するデータであり、小数部は隣接する2サンプル間の中間位置を指定するデータである。
WAG20cには、当該発音単位のLchとRchのタイムスロットで、音源レジスタ23からLch波形データの先頭アドレス、ループ先頭アドレス、末尾アドレスからなるLch波形指定情報、Rch波形データの先頭アドレス、ループ先頭アドレス、末尾アドレスからなるRch波形指定情報、および、ループ情報で構成される波形アドレス用パラメータ(WAPs)が供給され、これらのパラメータ(WAPs)と位相の整数部とに基づいて、当該発音単位のLchの波形アドレスとRchの波形アドレスとが生成される。ループ読み出ししないループ情報が設定された発音単位の各chでは、先頭アドレスが示すサンプル位置から末尾アドレスが示すサンプル位置まで、サンプリング周期毎の位相の整数部の増加速度と同じ速度で進行する波形アドレスが生成される。ループ読み出しするループ情報が設定された発音単位の各chでは、前記増加速度と同じ速度で、先頭アドレスが示すサンプル位置から末尾アドレスが示すサンプル位置まで一通り進行した後、ループ先頭アドレスが示すサンプル位置から末尾アドレスが示すサンプル位置まで繰り返し進行する波形アドレスが生成される。WAG20cから出力されるLchおよびRchの波形アドレス(整数部)は読出&Cashe部20dに供給され、LchおよびRchの位相の小数部はサンプル間補間部(INT)20fに供給される。波形メモリ21には、圧縮された波形データである圧縮波形データと、圧縮されていないリニア波形データとが記録されており、読出&Cashe部20dは、当該発音単位のLchとRchのタイムスロットで、供給されたLchおよびRchの波形アドレスと圧縮情報とに応じて波形メモリ21からLchおよびRchのそれぞれの波形データのサンプルを読み出す。読み出されたLchおよびRchの波形データは、それが圧縮波形データである場合には、デコーダ(DEC)20eにおいて、当該発音単位のLchおよびRchのタイムスロットで伸張され、元のLch波形データサンプルとRch波形データサンプルが出力される。一方、リニア波形データである場合には、同じタイムスロットでDEC20eを通過して、Lch波形データサンプルとRch波形データサンプルとして出力される。
このように圧縮波形データが記憶された波形メモリ21から圧縮波形データを読み出す場合は、読出&Cashe部20dは、当該発音単位のLchとRchの各タイムスロットで、サンプリング周期ごとにWAG20cから供給される波形アドレスがkだけ進むごとに1つだけ進むメモリアドレスを生成し、該メモリアドレスにより波形メモリ21をアクセスしてnビットのデータを読み出すと共に、読み出されたnビットのデータから(n−m)ビットのデータを取り出して圧縮情報を含む副情報を出力する。また、読み出されたnビットのデータからmビットのデータを取り出してキャッシュメモリに一時記憶する。そして、DEC20eが、当該発音単位のLchとRchのタイムスロットで、波形アドレスによりキャッシュメモリをアクセスして、kサンプルの圧縮波形データを順次読み出し、圧縮情報と順次読み出される圧縮波形データのサンプルとに基づいてDEC20eにおいて伸長処理を行うことにより元の波形データのサンプルを復元する。
なお、伸張する際に用いられる圧縮情報は、1つ前に読み出されたフレームに記憶されていた圧縮情報が用いられることから、圧縮情報がない初期においては音源レジスタ23から供給されたデコーダ初期値を用いて伸張される。また、圧縮波形データに関しての詳細については特許第3912304号公報を参照されたい。
INT20fから出力される補間されたLchおよびRchの発音単位の波形データは、ディジタルコントロールドフィルタ(DCF)20gに供給され高域成分が減衰される。DCF20gには、当該発音単位のLchとRchのタイムスロットで、LFO20mからの変調データ(FMデプスで振幅が調整されたLFO波形)とフィルタエンベロープ発生部(FEG)20nからのフィルタEG波形とが供給され、この2つのデータに応じてDCF20gのカットオフ周波数やQ(選択度)が制御されて、Lch波形データとRch波形データのそれぞれの高域成分が減衰される。FEG20nには、当該発音単位のタイムスロットで、音源レジスタ23からLchとRchとの発音単位に共通の、各ステート毎のFEGレートおよびFEGレベルからなるFEGパラメータ(FEGPs)が供給され、該FEGパラメータに基づいて、複数ステートの、LchとRchとの発音単位に共通のフィルタEG波形であって、サンプリング周期毎に値が変化するフィルタEG波形が生成されてDCF20gに供給される。該フィルタEG波形の生成は、音源レジスタ23から供給される発音指示(GT)をトリガとして開始される。
楽音生成装置1において新たなノートオンイベントが検出された際に、CPU10は、発音割当処理を行うことにより新たなノートオンを空き発音単位に割り当て、音源レジスタ23における割り当てられた発音単位の領域に上記した図3(a)(b)に示す新たなノートオンの各種パラメータを設定する。この場合は、音源レジスタ23に設定されるモードフラグ(Mode)はモノラル発音モードとされるが、モノラル発音のノートオンでも2chの発音単位が割り当てられる。なお、この実施形態では、音源部20の各発音単位の2chのうちのLchの各種リソースを用いてモノラル発音を行っているが、Rchの各種リソースを用いてモノラル発音をするようにしてもよい。
音源レジスタ23における新たなノートオンに割り当てられた発音単位の領域に各種パラメータが設定され、当該発音単位に対して発音開始が指示されると、FG20aは、ステレオ発音する場合と同様にして、当該発音単位のタイムスロットでFナンバを生成し、PG20bは、ステレオ発音する場合と同様にして、当該発音単位のタイムスロットで、サンプリング周期毎にFナンバを累算し、読出アドレスを生成するための整数部と小数部からなる位相を生成してWAG20cに出力する。
上記したように、モノラル発音モードが設定された発音単位では、その発音単位が有するWAG20c、読出&Cashe部20dおよびDEC20eの2ch分のリソースの内の1chの処理しか使用しないため、残り1ch分のリソースが余ることになる。そこで、これらのリソースを、全て、当該発音単位の1サンプリング周期におけるモノラル波形データのサンプルの読み出しに転用するようにすると、1サンプリング周期において2倍の数のサンプルを読み出しデコードできることから、モノラル発音時においては、通常の2倍までのピッチアップを行うことができるようになる。
CPU10は、ノートオフが検出されると、図7に示すノートオフイベント処理をスタートし、ステップS20にて、ノートオフが指示された楽音のパート番号をRAM12のワークエリアに確保された領域PTに、ノート番号を領域NNに格納する。次いで、ステップS21にて、音源部20で楽音データを生成中の発音単位の中から、領域PTのパート番号が示すパートで、領域NNのノート番号が示す音高の楽音を形成中の発音単位(Unit)を検出する処理が行われ、該当する発音単位が検出されると、当該発音単位のUnit番号がRAM12のワークエリアに確保された領域DUに格納される。そして、ステップS22にて、ステップS21で該当する発音単位が検出されたか否かが判断され、検出されたと判断された場合はステップS23に進む。ステップS23では、音源レジスタ23の減衰開始フラグRT(DU)に「1」を書き込むことにより、領域DUのUnit番号が示す当該発音単位に対してリリースの開始を指示する。これにより、ノートオフイベント処理は終了し、音源部20のPEG20k、FEG20n、およびAEG20pでは、それぞれ、該リリース開始指示(RT(DU)←1)をトリガとして、当該発音単位のタイムスロットで生成中のピッチEG波形、フィルタEG波形、および振幅EG波形をリリースステートに移行させる。リリースステートに移行した振幅EG波形は、現在のレベルからゼロレベル(−∞dB)に向けて、音源レジスタ23から供給されるリリースステートのAEGレートで徐々に減少するので、これによって、当該発音単位のLchとRchのタイムスロットで生成中のLchとRchの楽音データの音量が、ゼロレベルに向けて徐々に減衰する。また、ステップS22にて、検出されなかったと判断された場合は、そのままノートオフイベント処理は終了する。また、充分に減衰が進んだ発音単位が検出された場合には、CPU10が、その発音単位を上述した「空き発音単位」として開放する開放処理を行う。
なお、本実施形態は、「*」が付されたステップS23の減衰開始指示処理において、ステレオ発音モードがモノラル発音モードかに関わらず実質的に同じ処理が行われる点に特徴がある。
ピッチベンド命令が検出されると、図8に示すピッチベンドイベント処理がスタートされ、ステップS30にて、ピッチベンド命令に付随するパート番号をRAM12のワークエリアに確保された領域PTに、ベンド量を領域PVに格納する。次いで、ステップS31にて128ある発音単位(Unit)の先頭の発音単位が指定されて、指定された発音単位のUnit番号がRAM12のワークエリアに確保された領域CUに格納される。そして、ステップS32にて領域CUに格納されているUnit番号から後方へ向かって、領域PTに格納されているパート番号の楽音データを形成中の発音単位が検出されて、検出された場合はその発音単位のUnit番号がRAM12のワークエリアに確保された領域DUに格納される。そして、上記楽音データを形成中の発音単位が検出されたか否かがステップS33にて判断され、検出されたと判断された場合はステップS34に進む。
なお、本実施形態は、「*」が付されたステップS34のピッチ変更処理において、ステレオ発音モードかモノラル発音モードかに関わらず実質的に同じ処理が行われる点に特徴がある。
また、音源部20においては、発音単位毎にステレオ発音モードかモノラル発音モードかが設定されることから、ステレオ発音モードの発音単位とモノラル発音モードの発音単位とが平行して楽音データを生成するようになる。
なお、WAG20c、読出&Cache部20d、DEC20e、INT20f、DCF20g等のステレオ2ch分のリソースを有する各ブロックでは、モノラル発音モードの発音単位のタイムスロットにおいて、Lchのリソースを使用してモノラル波形データの処理を行うようになっていたが、Rchのリソースを使用してモノラル波形データの処理を行うように変更してもよい。
また、トランケートUnit決定処理では、サーチ対象パートの楽音を生成している発音単位のLchの音量レベルに基づいて、トランケートする発音単位を決定していたが、この決定を、LchとRchのうちの大きいほうの音量レベルに基づいて行うようにしてもよい。また、その発音単位がリリース開始前か後かに関わらず、トランケートする発音単位を決定するようにしていたが、既にリリース開始されている発音単位を、優先的にトランケートする発音単位として決定するようにしてもよい。また、まず、サーチ対象のパートを絞り込み、絞り込まれたパートの楽音を生成している発音単位の音量レベルに基づいて、トランケートする発音単位を決定していたが、この絞込みを行わず、全パートの楽音を生成している発音単位の音量に基づいて、トランケートする発音単位を決定するようにしてもよい。
また、CPU11は、セントスケールのFナンバであるピッチシフトデータ(PS)を、音源レジスタ23に設定するようになっていたが、その代わりに、リニアスケールのFナンバを設定するようにしてもよい。この場合、Fナンバ発生部20aでは、CPU11が設定したFナンバを、セントスケールからリニアスケールに変換する必要はなくなる。ただし、Fナンバ発生部20aにおける、CPU11からのFナンバと、PEG20kからのピッチEGと、LFO20mからの変調データの合成のための構成が複雑化するので、音源レジスタ23にリニアスケールのFナンバを記憶させることは、設計として不適切である。
リアルタイムに制御パラメータの値を制御する例として、ピッチベンド命令の例を示したが、リアルタイム制御はこれに限らない。例えば、音量をリアルタイム制御するエクスプレション命令、LFOによる振幅等の変調深さをリアルタイム制御するモジュレーションデプス命令、カットオフ周波数をリアルタイム制御するパラメータチェンジ命令等によるリアルタイム制御であってもよい。
Claims (5)
- LchとRchの2つの発音chからなる複数の発音単位毎に楽音を生成する音源部と、Lch波形データとRch波形データとからなる複数の波形データペアを記憶している波形メモリとからなる楽音生成装置であって、
前記音源部は、
前記発音単位のLchとRchの両chに共通な位相を発生する位相発生部と、
前記位相発生部が発生した位相に基づいて、前記発音単位のLch波形データとRch波形データとを、前記波形メモリから読み出す波形読出部と
から構成されていることを特徴とする楽音生成装置。 - さらに制御部を含むとともに、前記音源部は音源レジスタを含み、
前記音源レジスタは前記発音単位毎に、複数の楽音生成パラメータを各々記憶しており、該複数の楽音生成パラメータは、前記発音単位を構成する2つの発音chに共通の楽音生成パラメータ、および、前記2つの発音chのそれぞれに特有の楽音生成パラメータを含み、
前記制御部は、楽音生成パラメータを前記音源レジスタに書き込み、前記音源部が、前記音源レジスタに書き込まれた楽音生成パラメータに基づいて楽音生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の楽音生成装置。 - 発音単位が2つの発音chからなり、N(Nは1以上の整数)個の前記発音単位毎に楽音波形を生成する音源部と、ステレオサンプリングされたLch波形データとRch波形データとからなる複数の波形データペアを記憶している波形メモリとを備える楽音生成装置であって、
前記音源部は、
N個の発音単位の各々について、音源レジスタに記憶された当該発音単位のFナンバに対応する数を累算することにより、当該発音単位のLchとRchの両chに共通の位相を発生すると共に、各発音単位の該累算は、N個の発音単位の各々について、相互に独立して、発音開始指示を受け付ける受付部が受け付けた当該発音単位の発音開始指示をトリガとして開始される位相発生部と、
N個の発音単位の各々について、前記位相発生部から供給される当該発音単位の位相と、前記音源レジスタに記憶された当該発音単位のLch波形指定情報とに基づいて、前記波形メモリから1つのLch波形データを読み出すとともに、該位相と、前記音源レジスタに記憶された当該発音単位のRch波形指定情報とに基づいて、前記波形メモリから1つのRch波形データを読み出す波形読出部と、
から構成されていることを特徴とする楽音生成装置。 - 前記音源部は、さらに、N個の発音単位の各々について、前記波形読出部が読み出したLch波形データとRch波形データの楽音特性を、それぞれ、前記音源レジスタに記憶された当該発音単位の特性制御パラメータに基づき制御することにより、当該発音単位のLchの楽音信号とRchの楽音信号とを形成する特性制御部を備え、
前記特性制御パラメータは、制御波形パラメータであり、
前記特性制御部は、N個の発音単位の各々について、当該発音単位の制御波形パラメータに基づいて値が時間的に変化する、当該発音単位のLchとRchの両chに共通の特性制御波形を発生する制御波形発生部を備えており、該制御波形発生部が発生した特性制御波形に基づいて、Lch波形データとRch波形データの特性をそれぞれ制御することを特徴とする請求項3に記載の楽音生成装置。 - ステレオサンプリングされたLch波形データとRch波形データとからなる複数の波形データペアを、少なくとも記憶している波形メモリと、
2つの発音chからなる発音単位であって、N(Nは1以上の整数)個の発音単位を備えており、各発音単位毎に、前記波形メモリから2ch分の波形データを読み出し、2ch分の楽音波形を生成することができる音源部と、
N個の発音単位に対応するN個の音色制御データを記憶しており、各音色制御データは、その発音単位で楽音生成に使用するステレオのLch波形データを示すLch波形指定情報、Rchの波形データを示すRch波形指定情報、LとRの両chに共通のFナンバと特性制御パラメータとを含んでいる音源レジスタと、
前記音源レジスタへパラメータを書き込むことにより、前記音源部の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、新たな楽音の発音を指示する発音指示命令に応じて、
N個の発音単位の何れか1つを、発音指示された楽音の生成に割り当て、
発音指示された楽音の生成に使用するLch波形指定情報、Rch波形指定情報、Fナンバ、および、特性制御パラメータを含む音色制御データを形成して、前記音源レジスタの割り当てられた発音単位に対応する記憶領域に設定し、
割り当てられた発音単位に対して、2chの発音の開始を指示する処理を行い、
前記音源部は、前記制御部からの1つの発音単位に対する発音開始指示に応じて、当該発音単位のリソースを用いて、前記音源レジスタに設定された当該発音単位のLch波形指定情報が示すLch波形データと、当該発音単位のRch波形指定情報が示すRch波形データとを、それぞれ、当該発音単位のFナンバが示す速度で前記波形メモリから読み出し、読み出されたLch波形データとRch波形データの各楽音特性を、前記音源レジスタに設定された当該発音単位の特性制御パラメータに基づいて制御して、Lchの楽音信号とRchの楽音信号とを形成する処理を行うことを特徴とする楽音生成装置。
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